第3世代と呼ばれる通信方式のうち、W−CDMA(Wideband Code division Multiple Access)方式が2001年から日本で商用サービスが開始されている。また、下りリンク(個別データチャネル、個別制御チャネル)にパケット伝送用のチャネル(High Speed-Downlink Shared Channel:HS−DSCH)を追加することにより、下りリンクを用いたデータ送信の更なる高速化を実現するHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)のサービスが開始されている。さらに、上り方向のデータ送信をより高速化するためHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)方式についてもサービスが開始されている。W−CDMAは、移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)により定められた通信方式であり、リリース8版の規格書がとりまとめられている。
また、3GPPにおいて、W−CDMAとは別の通信方式として、無線区間についてはロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)、コアネットワーク(単にネットワークとも称する)を含めたシステム全体構成については、システムアーキテクチャエボリューション(System Architecture Evolution:SAE)と称される新たな通信方式が検討されている。
LTEでは、アクセス方式、無線のチャネル構成やプロトコルが、現在のW−CDMA(HSDPA/HSUPA)とは全く異なるものになる。例えば、アクセス方式は、W−CDMAが符号分割多元接続(Code Division Multiple Access)を用いているのに対して、LTEは下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向はSC−FDMA(Single Career Frequency Division Multiple Access)を用いる。また、帯域幅は、W−CDMAが5MHzであるのに対し、LTEでは1.4MHz,3MHz,5MHz,10MHz,15MHz,20MHzの中で基地局毎に選択可能となっている。また、LTEでは、W−CDMAのように回線交換を含まず、パケット通信方式のみになる。
LTEは、W−CDMAのコアネットワークであるGeneral Packet Radio Service(GPRS)とは異なる新たなコアネットワークを用いて通信システムが構成されるため、W−CDMA網とは別の独立した無線アクセス網として定義される。したがって、W−CDMAの通信システムと区別するため、LTEの通信システムでは、移動端末(User Equipment:UE)と通信を行う基地局(Base station)はeNB(E-UTRAN NodeB)と称され、複数の基地局と制御データやユーザデータのやり取りを行う基地局制御装置(Radio Network Controller)は、EPC(Evolved Packet Core)またはaGW(Access Gateway)と称される。このLTEの通信システムでは、ユニキャスト(Unicast)サービスとE-MBMSサービス(Evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)とが提供される。E−MBMSサービスとは、放送型マルチメディアサービスであり、単にMBMSと称される場合もある。複数の移動端末に対してニュースや天気予報、モバイル放送などの大容量放送コンテンツが送信される。これを1対多(Point to Multipoint)サービスともいう。
3GPPでの、LTEシステムにおける全体的なアーキテクチャ(Architecture)に関する現在の決定事項が、非特許文献1(4.6.1章)に記載されている。全体的なアーキテクチャについて図1を用いて説明する。図1は、LTE方式の通信システムの構成を示す説明図である。図1において、移動端末101に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局102で終端するならば、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)は1つあるいは複数の基地局102によって構成される。
基地局102は、MME(Mobility Management Entity)103から通知されるページング信号(Paging Signal、ページングメッセージ(paging messages)とも称される)のスケジューリング(Scheduling)および送信を行う。基地局102は、X2インタフェースにより、互いに接続される。また基地局102は、S1インタフェースによりEPC(Evolved Packet Core)に接続される。より明確には、基地局102は、S1_MMEインタフェースによりMME(Mobility Management Entity)103に接続され、S1_UインタフェースによりS−GW(Serving Gateway)104に接続される。
MME103は、複数あるいは単数の基地局102へのページング信号の分配を行う。また、MME103は待ち受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME103は、移動端末が待ち受け状態の際、および、アクティブ状態(Active State)の際に、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。
S−GW104は、ひとつまたは複数の基地局102とユーザデータの送受信を行う。S−GW104は、基地局間のハンドオーバの際、ローカルな移動性のアンカーポイント(Mobility Anchor Point)となる。EPCには、さらにP−GW(PDN Gateway)が存在し、ユーザ毎のパケットフィルタリングやUE−IDアドレスの割当などを行う。
移動端末101と基地局102との間の制御プロトコルRRCは、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局と移動端末の状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDとがある。RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティ等が行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができ、また、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbour cell)のメジャメント等が行われる。RRC_IDLEを単にIDLE、待ち受け状態とも称する。RRC_CONNECTEDを単にCONNECTED、接続状態とも称する。「待ち受け状態」とは、電源は投入されているが、基地局と接続していない状態、換言すれば、電源が投入された状態で通信していない状態をいう。「接続状態」とは、基地局と接続している状態、換言すれば、通信している状態をいい、前述の「アクティブ状態」に相当する。
非特許文献1(5章)に記載される3GPPでの、LTEシステムにおけるフレーム構成に関する現在の決定事項について、図2を用いて説明する。図2は、LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。図2において、1つの無線フレーム(Radio frame)は10msである。無線フレームは10個の等しい大きさのサブフレーム(Subframe)に分割される。サブフレームは、2個の等しい大きさのスロット(slot)に分割される。無線フレーム毎に1番目と6番目のサブフレームに下り同期信号(Downlink Synchronization Signal:SS)が含まれる。同期信号には、第一同期信号(Primary Synchronization Signal:P−SS)と、第二同期信号(Secondary Synchronization Signal:S−SS)とがある。サブフレーム単位で、MBSFN(Multimedia Broadcast multicast service Single Frequency Network)用のチャネルと、MBSFN以外用のチャネルとの多重が行われる。以降、MBSFN送信用のサブフレームをMBSFNサブフレーム(MBSFN subframe)と称する。
非特許文献2に、MBSFNサブフレームの割り当て時のシグナリング例が記載されている。図3は、MBSFNフレームの構成を示す説明図である。図3において、MBSFNフレーム(MBSFN frame)毎にMBSFNサブフレームが割り当てられる。MBSFNフレームの集合(MBSFN frame Cluster)がスケジュールされる。MBSFNフレームの集合の繰り返し周期(Repetition Period)が割り当てられる。
3GPPでの、LTEシステムにおけるチャネル構成に関する現在の決定事項が、非特許文献1(5章)に記載されている。CSGセル(Closed Subscriber Group cell)においてもnon−CSGセルと同じチャネル構成が用いられると想定されている。物理チャネル(Physical channel)について、図4を用いて説明する。図4は、LTE方式の通信システムで使用される物理チャネルを説明する説明図である。図4において、物理報知チャネル(Physical Broadcast channel:PBCH)401は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。BCHトランスポートブロック(transport block)は、40ms間隔中の4個のサブフレームにマッピングされる。40msタイミングの明白なシグナリングはない。物理制御チャネルフォーマットインジケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel:PCFICH)402は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PCFICHは、PDCCHsのために用いるOFDMシンボルの数について基地局102から移動端末101へ通知する。PCFICHは、サブフレーム毎に送信される。
物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH)403は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PDCCHは、リソース割り当て(allocation)、DL−SCH(後述の図5に示されるトランスポートチャネルの1つである下り共有チャネル)に関するHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)情報、PCH(図5に示されるトランスポートチャネルの1つであるページングチャネル)を通知する。PDCCHは、上りスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)を運ぶ。PDCCHは、上り送信に対する応答信号であるAck(Acknowledgement)/Nack(Negative Acknowledgement)を運ぶ。PDCCHは、L1/L2制御信号とも呼ばれる。
物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH)404は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PDSCHには、トランスポートチャネルであるDL-SCH(下り共有チャネル)やトランスポートチャネルであるPCHがマッピングされている。物理マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel:PMCH)405は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PMCHには、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)がマッピングされている。
物理上り制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH)406は、移動端末101から基地局102への上り送信用のチャネルである。PUCCHは、下り送信に対する応答信号(response)であるAck/Nackを運ぶ。PUCCHは、CQI(Channel Quality Indicator)レポートを運ぶ。CQIとは受信したデータの品質、もしくは通信路品質を示す品質情報である。またPUCCHは、スケジューリングリクエスト(Scheduling Request:SR)を運ぶ。物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)407は、移動端末101から基地局102への上り送信用のチャネルである。PUSCHには、UL−SCH(図5に示されるトランスポートチャネルの1つである上り共有チャネル)がマッピングされている。
物理HARQインジケータチャネル(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel:PHICH)408は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PHICHは、上り送信に対する応答であるAck/Nackを運ぶ。物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel:PRACH)409は、移動端末101から基地局102への上り送信用のチャネルである。PRACHは、ランダムアクセスプリアンブル(random access preamble)を運ぶ。
下りリファレンスシグナル(Reference signal)は、移動体通信システムとして既知のシンボルである。下りリファレンスシグナルは、毎スロットの最初、3番目、最後のOFDMシンボルに挿入される。移動端末の物理レイヤの測定として、リファレンスシンボルの受信電力(Reference Symbol Received Power:RSRP)測定がある。
非特許文献1(5章)に記載されるトランスポートチャネル(Transport channel)について、図5を用いて説明する。図5は、LTE方式の通信システムで使用されるトランスポートチャネルを説明する説明図である。図5(A)には、下りトランスポートチャネルと下り物理チャネルとの間のマッピングを示す。図5(B)には、上りトランスポートチャネルと上り物理チャネルとの間のマッピングを示す。下りトランスポートチャネルについて報知チャネル(Broadcast Channel:BCH)は、その基地局(セル)のカバレッジ全体に報知される。BCHは、物理報知チャネル(PBCH)にマッピングされる。
下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL−SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。DL−SCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が可能である。DL−SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。準静的なリソース割り当ては、パーシステントスケジューリング(Persistent Scheduling)とも言われる。DL−SCHは、移動端末の低消費電力化のために移動端末のDRX(Discontinuous reception)をサポートする。DL−SCHは、物理下り共有チャネル(PDSCH)へマッピングされる。
ページングチャネル(Paging Channel:PCH)は、移動端末の低消費電力を可能とするために移動端末のDRXをサポートする。PCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が要求される。PCHは、動的にトラフィックに利用できる物理下り共有チャネル(PDSCH)のような物理リソース、あるいは他の制御チャネルの物理下り制御チャネル(PDCCH)のような物理リソースへマッピングされる。マルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)は、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知に使用される。MCHは、マルチセル送信におけるMBMSサービス(MTCHとMCCH)のSFN合成をサポートする。MCHは、準静的なリソース割り当てをサポートする。MCHは、PMCHへマッピングされる。
上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL−SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。UL−SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。UL−SCHは、物理上り共有チャネル(PUSCH)へマッピングされる。図5(B)に示されるランダムアクセスチャネル(Random Access Channel:RACH)は、制御情報に限られている。RACHは、衝突のリスクがある。RACHは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)へマッピングされる。
HARQについて説明する。HARQとは、自動再送要求(Automatic Repeat reQuest:ARQ)と誤り訂正(Forward Error Correction)との組み合わせにより、伝送路の通信品質を向上させる技術である。HARQには、通信品質が変化する伝送路に対しても、再送により誤り訂正が有効に機能するという利点がある。特に、再送にあたって初送の受信結果と再送の受信結果との合成をすることで、更なる品質向上を得ることも可能である。
再送の方法の一例を説明する。受信側にて、受信データが正しくデコードできなかった場合、換言すればCRC(Cyclic Redundancy Check)エラーが発生した場合(CRC=NG)、受信側から送信側へ「Nack」を送信する。「Nack」を受信した送信側は、データを再送する。受信側にて、受信データが正しくデコードできた場合、換言すればCRCエラーが発生しない場合(CRC=OK)、受信側から送信側へ「Ack」を送信する。「Ack」を受信した送信側は次のデータを送信する。
HARQ方式の一例として、チェースコンバイニング(Chase Combining)がある。チェースコンバイニングとは、初送と再送とにおいて、同じデータを送信するもので、再送において初送のデータと再送のデータとの合成を行うことで、利得を向上させる方式である。これは、初送データに誤りがあったとしても、部分的に正確なものも含まれており、正確な部分の初送データと再送データとを合成することで、より高精度にデータを送信できるという考え方に基づいている。また、HARQ方式の別の例として、IR(Incremental Redundancy)がある。IRとは、冗長度を増加させるものであり、再送においてパリティビットを送信することで、初送と組み合わせて冗長度を増加させ、誤り訂正機能により品質を向上させるものである。
非特許文献1(6章)に記載される論理チャネル(ロジカルチャネル:Logical channel)について、図6を用いて説明する。図6は、LTE方式の通信システムで使用される論理チャネルを説明する説明図である。図6(A)には、下りロジカルチャネルと下りトランスポートチャネルとの間のマッピングを示す。図6(B)には、上りロジカルチャネルと上りトランスポートチャネルとの間のマッピングを示す。報知制御チャネル(Broadcast Control Channel:BCCH)は、報知システム制御情報のための下りチャネルである。論理チャネルであるBCCHは、トランスポートチャネルである報知チャネル(BCH)、あるいは下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。
ページング制御チャネル(Paging Control Channel:PCCH)は、ページング信号を送信するための下りチャネルである。PCCHは、移動端末のセルロケーションをネットワークが知らない場合に用いられる。論理チャネルであるPCCHは、トランスポートチャネルであるページングチャネル(PCH)へマッピングされる。共有制御チャネル(Common Control Channel:CCCH)は、移動端末と基地局との間の送信制御情報のためのチャネルである。CCCHは、移動端末がネットワークとの間でRRC接続(connection)を持っていない場合に用いられる。下り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。上り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされる。
マルチキャスト制御チャネル(Multicast Control Channel:MCCH)は、1対多の送信のための下りチャネルである。MCCHは、ネットワークから移動端末への1つあるいはいくつかのMTCH用のMBMS制御情報の送信のために用いられる。MCCHは、MBMS受信中の移動端末のみに用いられる。MCCHは、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL−SCH)あるいはマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
個別制御チャネル(Dedicated Control Channel:DCCH)は、移動端末とネットワークとの間の個別制御情報を送信するチャネルである。DCCHは、上りでは上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL−SCH)にマッピングされる。
個別トラフィックチャネル(Dedicated Traffic Channel:DTCH)は、ユーザ情報の送信のための個別移動端末への1対1通信のチャネルである。DTCHは、上りおよび下りともに存在する。DTCHは、上りでは上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。
マルチキャストトラフィックチャネル(Multicast Traffic channel:MTCH)は、ネットワークから移動端末へのトラフィックデータ送信のための下りチャネルである。MTCHは、MBMS受信中の移動端末のみに用いられるチャネルである。MTCHは、下り共有チャネル(DL−SCH)あるいはマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
GCIとは、グローバルセル識別子(Global Cell Identity)のことである。LTEおよびUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)において、CSGセル(Closed Subscriber Group cell)が導入される。CSGセルについて以下に説明する(非特許文献3 3.1章参照)CSG(Closed Subscriber Group)セルとは、利用可能な加入者をオペレータが特定しているセル(以下「特定加入者用セル」という場合がある)である。特定された加入者は、PLMN(Public Land Mobile Network)の1つ以上のE-UTRANセルにアクセスすることが許可される。特定された加入者がアクセスを許可されている1つ以上のE−UTRANセルを「CSGセル(CSG cell(s))」と呼ぶ。ただし、PLMNにはアクセス制限がある。CSGセルは、固有のCSGアイデンティティ(CSG identity:CSG ID;CSG−ID)を報知するPLMNの一部である。予め利用登録し、許可された加入者グループのメンバーは、アクセス許可情報であるところのCSG−IDを用いてCSGセルにアクセスする。
CSG−IDは、CSGセルまたはセルによって報知される。移動体通信システムにCSG−IDは複数存在する。そして、CSG−IDは、CSG関連のメンバーのアクセスを容易にするために、移動端末(UE)によって使用される。移動端末の位置追跡は、1つ以上のセルからなる区域を単位に行われる。位置追跡は、待受け状態であっても移動端末の位置を追跡し、呼び出す(移動端末が着呼する)ことを可能にするためである。この移動端末の位置追跡のための区域をトラッキングエリアと呼ぶ。CSGホワイトリスト(CSG White List)とは、加入者が属するCSGセルのすべてのCSG IDが記録されている、USIM(Universal Subscriber Identity Module)に格納されたリストである。CSGホワイトリストは、許可CSGリスト(Allowed CSG ID List)と呼ばれることもある。
「適切なセル」(Suitable cell)について以下に説明する(非特許文献3 4.3章参照)。「適切なセル」(Suitable cell)とは、UEが通常(normal)サービスを受けるためにキャンプオン(Camp ON)するセルである。そのようなセルは、以下の条件を満たすものとする。
(1)セルは、選択されたPLMNもしくは登録されたPLMN、または「Equivalent PLMNリスト」のPLMNの一部であること。
(2)NAS(Non-Access Stratum)によって提供された最新情報にて、さらに以下の条件を満たすこと
(a)そのセルが禁じられた(barred)セルでないこと
(b)そのセルが「ローミングのための禁止されたLAs」リストの一部ではなく、少なくとも1つのトラッキングエリア(Tracking Area:TA)の一部であること。その場合、そのセルは上記(1)を満たす必要がある
(c)そのセルが、セル選択評価基準を満たしていること
(d)そのセルが、CSGセルとしてシステム情報(System Information:SI)によって特定されたセルに関しては、CSG−IDはUEの「CSGホワイトリスト」(CSG WhiteList)の一部であること(UEのCSG WhiteList中に含まれること)。
「アクセプタブルセル」(Acceptable cell)について以下に説明する(非特許文献3 4.3章参照)。これは、UEが限られたサービス(緊急通報)を受けるためにキャンプオンするセルである。そのようなセルは、以下のすべての要件を充足するものとする。つまり、E−UTRANネットワークで緊急通報を開始するための最小のセットの要件を以下に示す。(1)そのセルが禁じられた(barred)セルでないこと。(2)そのセルが、セル選択評価基準を満たしていること。
「セルにキャンプオン(camp on)する」とは、UEがセル選択(cell selection)またはセル再選択(cell re-selection)の処理を完了し、UEがシステム情報とページング情報をモニタするセルを選択した状態である。
3GPPにおいて、Home−NodeB(Home−NB;HNB)、Home−eNodeB(Home−eNB;HeNB)と称される基地局が検討されている。UTRANにおけるHNB、またはE-UTRANにおけるHeNBは、例えば家庭、法人、商業用のアクセスサービス向けの基地局である。非特許文献4には、HeNBおよびHNBへのアクセスの3つの異なるモードが開示されている。具体的には、オープンアクセスモード(Open access mode)と、クローズドアクセスモード(Closed access mode)と、ハイブリッドアクセスモード(Hybrid access mode)である。
各々のモードは、以下のような特徴を有する。オープンアクセスモードでは、HeNBやHNBは通常のオペレータのノーマルセルとして操作される。クローズドアクセスモードでは、HeNBやHNBがCSGセルとして操作される。これはCSGメンバーのみアクセス可能なCSGセルである。ハイブリッドアクセスモードでは、非CSGメンバーも同時にアクセス許可されているCSGセルである。ハイブリッドアクセスモードのセル(ハイブリッドセルとも称する)は、言い換えれば、オープンアクセスモードとクローズドアクセスモードの両方をサポートするセルである。
3GPPでは、全PCI(Physical Cell Identity)を、CSGセル用とnon−CSGセル用とに分割(PCIスプリットと称する)することが議論されている(非特許文献5参照)。またPCIスプリット情報は、システム情報にて基地局から傘下の移動端末に対して報知されることが議論されている。非特許文献5は、PCIスプリットを用いた移動端末の基本動作を開示する。PCIスプリット情報を有していない移動端末は、全PCIを用いて、例えば504コード全てを用いて、セルサーチを行う必要がある。これに対して、PCIスプリット情報を有する移動端末は、当該PCIスプリット情報を用いてセルサーチを行うことが可能である。
また3GPPでは、リリース10として、ロングタームエボリューションアドヴァンスド(Long Term Evolution Advanced:LTE−A)の規格策定が進められている(非特許文献6、非特許文献7参照)。
LTE−Aシステムでは、高い通信速度、セルエッジでの高いスループット、新たなカバレッジエリアなどを得るために、リレー(Relay:リレーノード(RN))をサポートすることが検討されている。リレーノードは、ドナーセル(Donor cell;Donor eNB;DeNB)を介して無線アクセスネットワークに無線で接続される。ドナーセルの範囲内で、ネットワーク(Network:NW)からリレーへのリンクは、ネットワークからUEへのリンクと同じ周波数バンドを共用する。この場合、リリース8のUEも該ドナーセルに接続することを可能とする。ドナーセルとリレーノードとの間のリンクをバックホールリンク(backhaul link)と称し、リレーノードとUEとの間のリンクをアクセスリンク(access link)と称す。
FDD(Frequency Division Duplex)におけるバックホールリンクの多重方法として、DeNBからRNへの送信は下り(DL)周波数バンドで行われ、RNからDeNBへの送信は上り(UL)周波数バンドで行われる。リレーにおけるリソースの分割方法として、DeNBからRNへのリンクおよびRNからUEへのリンクが一つの周波数バンドで時分割多重され、RNからDeNBへのリンクおよびUEからRNへのリンクも一つの周波数バンドで時分割多重される。こうすることで、リレーにおいて、リレーの送信が自リレーの受信へ干渉することを防ぐことができる。
LTE−Aで検討される技術の一つとして、ヘテロジーニアスネットワークス(Heterogeneous networks:HetNets)が加えられた。3GPPでは、ピコeNB(ピコセル(pico cell))、ホットゾーンセル用のノード、HeNB/HNB/CSGセル、リレーノード、リモートラジオヘッド(RRH)のような低出力電力のローカルエリアレンジのネットワークノードを扱うことが決定されている。
また、3GPPでは、インフラ(infrastructure)の消費電力低減(Energy Saving)について議論がされている。インフラの消費電力低減を実現するための技術が、例えば非特許文献8に開示されている。非特許文献8に開示される技術では、eNBが構成するセルにアクティブなUEが存在しないときに、eNBは、拡張セル(Extended Cell)間欠送信(Discontinuous Transmission;DTX)という送信状態に移行することができる。拡張セルDTXでは、eNBはSS、PBCH、PBCHの復調に必要な参照信号RS(Reference Signal)のみを送信する。UEは、拡張セルDTX状態のセルの受信レベルを測定するために、RSの代替にS−SSの受信信号強度を測定する。
実施の形態1.
図7は、現在3GPPにおいて議論されているLTE方式の移動体通信システムの全体的な構成を示すブロック図である。現在3GPPにおいては、CSG(Closed Subscriber Group)セル(E−UTRANのHome−eNodeB(Home−eNB;HeNB)、UTRANのHome−NB(HNB))と、non−CSGセル(E−UTRANのeNodeB(eNB)、UTRANのNodeB(NB)、GERANのBSS)とを含めたシステムの全体的な構成が検討されており、E−UTRANについては、図7のような構成が提案されている(非特許文献1 4.6.1.章参照)。
図7について説明する。移動端末装置(以下「移動端末(User Equipment:UE)」という)71は、基地局装置(以下「基地局」という)72と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。基地局72は、eNB72−1と、Home−eNB72−2とに分類される。eNB72−1は、MME、あるいはS−GW、あるいはMMEおよびS−GWを含むMME/S−GW部(以下「MME部」という)73とS1インタフェースにより接続され、eNB72−1とMME部73との間で制御情報が通信される。ひとつのeNB72−1に対して、複数のMME部73が接続されてもよい。eNB72−1間は、X2インタフェースにより接続され、eNB72−1間で制御情報が通信される。
Home−eNB72−2は、MME部73とS1インタフェースにより接続され、Home−eNB72−2とMME部73との間で制御情報が通信される。ひとつのMME部73に対して、複数のHome−eNB72−2が接続される。あるいは、Home−eNB72−2は、HeNBGW(Home-eNB GateWay)74を介してMME部73と接続される。Home−eNB72−2とHeNBGW74とは、S1インタフェースにより接続され、HeNBGW74とMME部73とはS1インタフェースを介して接続される。ひとつまたは複数のHome−eNB72−2がひとつのHeNBGW74と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。HeNBGW74は、ひとつまたは複数のMME部73と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。
さらに現在3GPPでは、以下のような構成が検討されている。Home−eNB72−2間のX2インタフェースはサポートされない。MME部73からは、HeNBGW74はeNB72−1として見える。Home−eNB72−2からは、HeNBGW74はMME部73として見える。Home−eNB72−2が、HeNBGW74を介してMME部73に接続されるか否かに関係なく、Home−eNB72−2とMME部73との間のインタフェースは、S1インタフェースで同じである。HeNBGW74は、複数のMME部73にまたがるような、Home−eNB72−2へのモビリティ、あるいはHome−eNB72−2からのモビリティはサポートしない。Home−eNB72−2は、唯一のセルをサポートする。
図8は、本発明に係る移動端末(図7の移動端末71)の構成を示すブロック図である。図8に示す移動端末71の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部801からの制御データ、およびアプリケーション部802からのユーザデータが、送信データバッファ部803へ保存される。送信データバッファ部803に保存されたデータは、エンコーダー部804へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部803から変調部805へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコーダー部804でエンコード処理されたデータは、変調部805にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部806へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ807から基地局72に送信信号が送信される。
また、移動端末71の受信処理は、以下のとおりに実行される。基地局72からの無線信号がアンテナ807により受信される。受信信号は、周波数変換部806にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部808において復調処理が行われる。復調後のデータは、デコーダー部809へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部801へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部802へ渡される。移動端末71の一連の処理は、制御部810によって制御される。よって制御部810は、図8では省略しているが、各部801〜809と接続している。
図9は、本発明に係る基地局(図7の基地局72)の構成を示すブロック図である。基地局72は、EPC通信部901、他基地局通信部902、プロトコル通信部903、送信データバッファ部904、エンコーダー部905、変調部906、周波数変換部907、アンテナ908、復調部909、デコーダー部910、制御部1211およびセル(Cell)DTX制御部915を備えて構成される。
EPC通信部901は、基地局72と、コアネットワークであるEPC(MME部73、HeNBGW74などを含む)との間のデータの送受信を行う。MMEおよびHeNBGWなどのコアネットワークを構成する装置は、ネットワーク制御装置に相当する。他基地局通信部902は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。基地局72である前述の図7に示すeNB72−1およびHome−eNB72−2のうち、Home−eNB72−2間のX2インタフェースはサポートされない方向であるため、Home−eNB72−2では、他基地局通信部902が存在しないことも考えられる。EPC通信部901および他基地局通信部902は、それぞれプロトコル処理部903と情報の受け渡しを行う。
図9に示す基地局72の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部903からの制御データ、ならびにEPC通信部901および他基地局通信部902からのユーザデータおよび制御データが、送信データバッファ部904へ保存される。送信データバッファ部904に保存されたデータは、エンコーダー部905へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部904から変調部906へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコードされたデータは、変調部906にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部907へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ908より一つもしくは複数の移動端末71に対して送信信号が送信される。
セル(Cell)DTX制御部915は、UE状態監視部912、送信状態判定部913および送信ON/OFF制御部914を備える。UE状態監視部912は、プロトコル処理部903から与えられるUEに関する情報に基づいて、UEの状態を監視し、送信状態判定部913に通知する。本実施の形態とは異なるが、前述の非特許文献8に開示される技術では、UE状態監視部912は、基地局72のカバレッジ内にアクティブなUEが存在するか否かを監視し、UEの状態を送信状態判定部913に通知する。
送信状態判定部913は、UE状態監視部912から与えられるUEの状態に基づいて、基地局72の送信状態を、どのような状態にするかを決定する。換言すれば、送信状態判定部913は、基地局72の送信状態として設定するべき状態を判定する。本実施の形態とは異なるが、前述の非特許文献8に開示される技術では、送信状態判定部913は、UE状態監視部912から、アクティブなUEが存在しないと通知された場合は、拡張セルDTXと判定し、UE状態監視部912から、アクティブなUEが存在すると通知された場合は通常の送信と判定する。送信状態判定部913は、判定結果を送信ON/OFF制御部914に通知する。
送信ON/OFF制御部914は、周波数変換部907を、送信するべき信号が有るタイミングでは、送信動作をオン(ON)する、すなわち送信動作を行うように制御し、UEに送信するべき信号(以下「下り送信信号」という場合がある)が無いタイミングでは、送信動作をオフ(OFF)する、すなわち送信動作を行わないように制御する機能を有する。送信ON/OFF制御部914は、送信状態判定部913から通知される判定結果に応じて、送信のON、OFFの制御信号を周波数変換部907に与える。
また、基地局72の受信処理は以下のとおりに実行される。ひとつもしくは複数の移動端末71からの無線信号が、アンテナ908により受信される。受信信号は、周波数変換部907にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部909で復調処理が行われる。復調されたデータは、デコーダー部910へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部903あるいはEPC通信部901、他基地局通信部902へ渡され、ユーザデータはEPC通信部901および他基地局通信部902へ渡される。基地局72の一連の処理は、制御部911によって制御される。よって制御部911は、図9では省略しているが、基地局72の各部901〜910,915と接続されている。
現在3GPPにおいて議論されているHome−eNB72−2の機能を以下に示す(非特許文献1 4.6.2章参照)。Home−eNB72−2は、eNB72−1と同じ機能を有する。加えて、HeNBGW74と接続する場合、Home−eNB72−2は、適当なサービングHeNBGW74を発見する機能を有する。Home−eNB72−2は、1つのHeNBGW74に唯一接続する。つまり、HeNBGW74との接続の場合は、Home−eNB72−2は、S1インタフェースにおけるFlex機能を使用しない。Home−eNB72−2は、1つのHeNBGW74に接続されると、同時に別のHeNBGW74や別のMME部73に接続しない。
Home−eNB72−2のTACとPLMN IDは、HeNBGW74によってサポートされる。Home−eNB72−2をHeNBGW74に接続すると、「UE attachment」でのMME部73の選択は、Home−eNB72−2の代わりに、HeNBGW74によって行われる。Home−eNB72−2は、ネットワーク計画なしで配備される可能性がある。この場合、Home−eNB72−2は、1つの地理的な領域から別の地理的な領域へ移される。したがって、この場合のHome−eNB72−2は、位置によって、異なったHeNBGW74に接続する必要がある。
図10は、本発明に係るMME(図7のMME部73)の構成を示すブロック図である。PDN GW通信部1001は、MME部73とPDN GWとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部1002は、MME部73と基地局72との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。PDN GWから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、PDN GW通信部1001から、ユーザプレイン通信部1003経由で基地局通信部1002に渡され、1つあるいは複数の基地局72へ送信される。基地局72から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部1002から、ユーザプレイン通信部1003経由でPDN GW通信部1001に渡され、PDN GWへ送信される。
PDN GWから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、PDN GW通信部1001から制御プレイン制御部1005へ渡される。基地局72から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部1002から制御プレイン制御部1005へ渡される。
HeNBGW通信部1004は、HeNBGW74が存在する場合に設けられ、情報種別によって、MME部73とHeNBGW74との間のインタフェース(IF)によるデータの送受信を行う。HeNBGW通信部1004から受信した制御データは、HeNBGW通信部1004から制御プレイン制御部1005へ渡される。制御プレイン制御部1005での処理の結果は、PDN GW通信部1001経由でPDN GWへ送信される。また、制御プレイン制御部1005で処理された結果は、基地局通信部1002経由でS1インタフェースにより1つあるいは複数の基地局72へ送信され、またHeNBGW通信部1004経由で1つあるいは複数のHeNBGW74へ送信される。
制御プレイン制御部1005には、NASセキュリティ部1005−1、SAEベアラコントロール部1005−2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部1005―3などが含まれ、制御プレインに対する処理全般を行う。NASセキュリティ部1005―1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。SAEベアラコントロール部1005―2は、SAE(System Architecture Evolution)のベアラの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部1005―3は、待受け状態(LTE−IDLE状態、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末71のトラッキングエリア(TA)の追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト(TA List)管理などを行う。
MME部73は、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area:TA)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。MME部73に接続されるHome−eNB72−2のCSGの管理やCSG−IDの管理、そしてホワイトリスト管理は、アイドルステートモビリティ管理部1005―3で行ってもよい。
CSG−IDの管理では、CSG−IDに対応する移動端末とCSGセルとの関係が管理(追加、削除、更新、検索)される。例えば、あるCSG−IDにユーザアクセス登録された一つまたは複数の移動端末と該CSG−IDに属するCSGセルとの関係であってもよい。ホワイトリスト管理では、移動端末とCSG−IDとの関係が管理(追加、削除、更新、検索)される。例えば、ホワイトリストには、ある移動端末がユーザ登録した一つまたは複数のCSG−IDが記憶されてもよい。これらのCSGに関する管理は、MME部73の中の他の部分で行われてもよい。MME部73の一連の処理は、制御部1006によって制御される。よって制御部1006は、図10では省略しているが、各部1001〜1005と接続している。
現在3GPPにおいて議論されているMMEの機能を以下に示す(非特許文献1 4.6.2章参照)。MMEは、CSG(Closed Subscriber Group)のメンバーの1つ、あるいは複数の移動端末のアクセスコントロールを行う。MMEは、ページングの最適化(Paging optimization)の実行をオプションとして認める。
図11は、本発明に係るHeNBGWである図7に示すHeNBGW74の構成を示すブロック図である。EPC通信部1101は、HeNBGW74とMME部73との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。基地局通信部1102は、HeNBGW74とHome−eNB72−2との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。ロケーション処理部1103は、EPC通信部1101経由で渡されたMME部73からのデータのうちレジストレーション情報などを、複数のHome−eNB72−2に送信する処理を行う。ロケーション処理部1103で処理されたデータは、基地局通信部1102に渡され、ひとつまたは複数のHome−eNB72−2にS1インタフェースを介して送信される。
ロケーション処理部1103での処理を必要とせず通過(透過)させるだけのデータは、EPC通信部1101から基地局通信部1102に渡され、ひとつまたは複数のHome−eNB72−2にS1インタフェースを介して送信される。HeNBGW74の一連の処理は、制御部1104によって制御される。よって制御部1104は、図11では省略しているが、各部1101〜1103と接続している。
現在3GPPにおいて議論されているHeNBGW74の機能を以下に示す(非特許文献1 4.6.2章参照)。HeNBGW74は、S1アプリケーションについてリレーする。Home−eNB72−2へのMME部73の手順の一部分であるが、HeNBGW74は、移動端末71に関係しないS1アプリケーションについて終端する。HeNBGW74が配置されるとき、移動端末71に無関係な手順がHome−eNB72−2とHeNBGW74との間、そしてHeNBGW74とMME部73との間を通信される。HeNBGW74と他のノードとの間でX2インタフェースは設定されない。HeNBGW74は、ページングの最適化(Paging optimization)の実行をオプションとして認める。
次に移動体通信システムにおける一般的なセルサーチ方法の一例を示す。図12は、LTE方式の通信システムにおいて移動端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。移動端末は、セルサーチを開始すると、ステップST1201で、周辺の基地局から送信される第一同期信号(P−SS)、および第二同期信号(S−SS)を用いて、スロットタイミング、フレームタイミングの同期をとる。P−SSとS−SSとを合わせて、同期信号(SS)には、セル毎に割り当てられたPCI(Physical Cell Identity)に1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。PCIの数は現在504通りが検討されており、この504通りのPCIを用いて同期をとるとともに、同期がとれたセルのPCIを検出(特定)する。
次に同期がとれたセルに対して、ステップST1202で、基地局からセル毎に送信される参照信号RS(Reference Signal)を検出し受信電力の測定を行う。参照信号RSには、PCIと1対1に対応したコードが用いられており、そのコードで相関をとることによって他セルと分離できる。ステップST1201で特定したPCIから、該セルのRS用のコードを導出することによって、RSを検出し、RS受信電力を測定することが可能となる。
次にステップST1203で、ステップST1202までで検出されたひとつ以上のセルの中から、RSの受信品質が最も良いセル、例えば、RSの受信電力が最も高いセル、つまりベストセルを選択する。
次にステップST1204で、ベストセルのPBCHを受信して、報知情報であるBCCHを得る。PBCH上のBCCHには、セル構成情報が含まれるMIB(Master Information Block)がのる。したがってPBCHを受信してBCCHを得ることで、MIBが得られる。MIBの情報としては、例えば、DL(ダウンリンク)システム帯域幅(送信帯域幅設定(transmission bandwidth configuration:dl-bandwidth)とも呼ばれる)、送信アンテナ数、SFN(System Frame Number)などがある。
次にステップST1205で、MIBのセル構成情報をもとに該セルのDL−SCHを受信して、報知情報BCCHの中のSIB(System Information Block)1を得る。SIB1には、該セルへのアクセスに関する情報や、セルセレクションに関する情報、他のSIB(SIBk;k≧2の整数)のスケジューリング情報が含まれる。また、SIB1には、TAC(Tracking Area Code)が含まれる。
次にステップST1206で、移動端末は、ステップST1205で受信したSIB1のTACと、移動端末が既に保有しているTACとを比較する。比較した結果、同じならば、該セルで待ち受け動作に入る。比較して異なる場合は、移動端末は該セルを通してコアネットワーク(Core Network,EPC)(MMEなどが含まれる)へ、TAU(Tracking Area Update)を行うためにTAの変更を要求する。コアネットワークは、TAU要求信号とともに移動端末から送られてくる該移動端末の識別番号(UE−IDなど)をもとに、TAの更新を行う。コアネットワークは、TAの更新後、移動端末にTAU受領信号を送信する。移動端末は、該セルのTACで、移動端末が保有するTAC(あるいはTACリスト)を書き換える(更新する)。その後、移動端末は、該セルで待ち受け動作に入る。
LTEやUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)においては、CSG(Closed Subscriber Group)セルの導入が検討されている。前述したように、CSGセルに登録したひとつまたは複数の移動端末のみにアクセスが許される。CSGセルと登録されたひとつまたは複数の移動端末とがひとつのCSGを構成する。このように構成されたCSGには、CSG−IDと呼ばれる固有の識別番号が付される。なお、ひとつのCSGには、複数のCSGセルがあってもよい。移動端末は、どれかひとつのCSGセルに登録すれば、そのCSGセルが属するCSGの他のCSGセルにはアクセス可能となる。
また、LTEでのHome−eNBやUMTSでのHome−NBが、CSGセルとして使われることがある。CSGセルに登録した移動端末は、ホワイトリストを有する。具体的には、ホワイトリストはSIM(Subscriber Identity Module)/USIMに記憶される。ホワイトリストには、移動端末が登録したCSGセルのCSG情報が格納される。CSG情報として具体的には、CSG−ID、TAI(Tracking Area Identity)、TACなどが考えられる。CSG−IDとTACとが対応付けられていれば、どちらか一方でよい。また、CSG−IDおよびTACと、GCI(Global Cell Identity)とが対応付けられていればGCIでもよい。
以上から、ホワイトリストを有しない(本発明においては、ホワイトリストが空(empty)の場合も含める)移動端末は、CSGセルにアクセスすることは不可能であり、non−CSGセルのみにしかアクセスできない。一方、ホワイトリストを有する移動端末は、登録したCSG−IDのCSGセルにも、non−CSGセルにもアクセスすることが可能となる。
3GPPでは、全PCI(Physical Cell Identity)を、CSGセル用とnon−CSGセル用とに分割(PCIスプリットと称する)することが議論されている(非特許文献5参照)。またPCIスプリット情報は、システム情報にて基地局から傘下の移動端末に対して報知されることが議論されている。非特許文献5は、PCIスプリットを用いた移動端末の基本動作を開示する。PCIスプリット情報を有していない移動端末は、全PCIを用いて、例えば504コード全てを用いて、セルサーチを行う必要がある。これに対して、PCIスプリット情報を有する移動端末は、当該PCIスプリット情報を用いてセルサーチを行うことが可能である。
また3GPPでは、ハイブリッドセルのためのPCIは、CSGセル用のPCI範囲の中には含まれないことが決定されている(非特許文献1 10.7章参照)。
HeNBおよびHNBに対しては、様々なサービスへの対応が求められている。例えば、オペレータは、ある決められたHeNBおよびHNBに移動端末を登録させ、登録した移動端末のみにHeNBおよびHNBのセルへのアクセスを許可することで、該移動端末が使用できる無線リソースを増大させて、高速に通信を行えるようにする。その分、オペレータは、課金料を通常よりも高く設定する、といったサービスである。
このようなサービスを実現するため、登録した(加入した、メンバーとなった)移動端末のみがアクセスできるCSGセル(Closed Subscriber Group cell)が導入されている。CSGセル(Closed Subscriber Group cell)は、商店街やマンション、学校、会社などへ数多く設置されることが要求される。例えば、商店街では店舗毎、マンションでは部屋毎、学校では教室毎、会社ではセクション毎にCSGセルを設置し、各CSGセルに登録したユーザのみが該CSGセルを使用可能とするような使用方法が要求されている。HeNB/HNBは、マクロセルのカバレッジ外での通信を補完するためだけでなく、上述したような様々なサービスへの対応が求められている。このため、HeNB/HNBがマクロセルのカバレッジ内に設置される場合も生じる。
LTE−Aで検討される技術の一つとして、ヘテロジーニアスネットワークス(Heterogeneous networks:HetNets)が加えられた。3GPPでは、ピコeNB(ピコセル(pico cell))、ホットゾーンセル用のノード、HeNB/HNB/CSGセル、リレーノード、リモートラジオヘッド(RRH)のような低出力電力のローカルエリアレンジ(Local-area range)のネットワークノード(ローカルエリアレンジノード(local area range node)、ローカルエリアノード(local area node)、ローカルノード(local node))を扱う。したがって、通常のeNB(マクロセル)に、このようなローカルエリアレンジノードを一つ以上組み入れたネットワークの運用が要求される。通常のeNB(マクロセル)に、このようなローカルエリアレンジノードを一つ以上組み入れたネットワークがヘテロジーニアスネットワークスと呼ばれ、干渉低減方法、キャパシティー改善方法などが検討される。
現在3GPPでは、インフラ(infrastructure)の消費電力低減(Energy Saving)について議論がされている。具体的には、以下の議論がなされている。例えば、前述の非特許文献8には、基地局が構成するセルの圏内、すなわちカバレッジ内にアクティブなUEが存在しない場合、または、存在するUEがIDLEモード(待ち受け状態)である場合、基地局はSSおよびPBCHのみを送信することが開示されている。基地局は、送信するOFDMシンボルがないときは、送信をOFFすることで消費電力低減を行うことができる。
図13は、非特許文献8の課題を説明するタイミングチャートである。図13に示すように、SSは無線フレーム(10ms)の中で、1番目のサブフレーム#0と6番目のサブフレーム#5とに配置され、PBCHは無線フレーム(10ms)の中で、1番目のサブフレーム#0に配置される。したがって、基地局は、5ms周期でSSおよびPBCHのOFDMシンボルがあるときには、送信動作をオン(ON)して、UEに送信すべき下り送信信号を送信し、その他の期間は、送信動作をオフ(OFF)して、前記下り送信信号の送信動作を停止することができる。この技術は、拡張セルDTX(Discontinuous Transmission)と呼ばれている。
実施の形態1で解決する課題について、以下に説明する。非特許文献8に開示される技術では、UEがIDLEモード(待ち受け状態)であるときも、基地局は拡張セルDTXでSSおよびPBCHを送信することとしている。一方で、UEは、待ち受け状態のときは、低消費電力化のために、DRX(Discontinuous Reception)周期とよばれる比較的長い周期、例えば1秒〜5秒程度の周期でページング情報とセルのみを受信している。ローカルエリアレンジのネットワークノードは、CSGに属する限定されたUEのみをサービスの対象にしている。
非特許文献8では、IDLEモードのUEがDRX周期でページングを受信していることについては言及されていない。基地局は、UEに対するページング、すなわち呼び出しがネットワークから発生しているときにだけ、ページング情報をUEに対して送信する。UEは、ページング情報が送信されるタイミングで受信を行い、ページングの有無を最初に判定する。ページング情報が送信されるタイミングは、PO(Paging Occasion)と呼ばれる。
以降、便宜のためローカルエリアレンジのネットワークノードを、ローカルeNB(Local eNB)と記載する。ローカルeNBは、送信電力である出力電力が比較的小さい。これに対して、ワイドエリアeNB、例えば通常のeNB(マクロセル)は、出力電力が比較的大きい。すなわち、ローカルeNBの出力電力は、ワイドエリアeNBの出力電力に比べて小さい。ローカルeNBを、ローカル基地局装置という場合がある。
非特許文献8に開示された方法を、図14の状況に適用した場合、以下の課題が発生する。図14は、非特許文献8の課題を説明するロケーション図である。ローカルeNB1401の通信可能範囲であるカバレッジ1402内に、移動端末(UE)1403が存在する。ここで、ローカルeNB1401のCSGに属するUEは、UE1403だけとする。移動端末1403は、待受け状態(IDLE)とし、ローカルeNB1401のPOをDRX周期、具体的には1秒〜5秒程度の周期で受信しているとする。ローカルeNB1401は、カバレッジ1402内のUE1403がIDLEであるため、拡張セルDTXを適用して送信する、つまり、SSおよびPBCHを5ms周期で送信する。該CSGに属するUEは、UE1403だけであるので、UE1403が受信しないSSおよびPBCHの送信は無駄になるという課題が発生する。
非特許文献8に開示された方法のもうひとつの課題を以下に述べる。UEのページング判定の実現手段としては、POにおいて、RSの受信信号強度を基準として、呼び出し信号であるページング信号の強度を閾値判定して、ページングの有無を推定する実装が考えられる。ここで、拡張セルDTXを行っている基地局は、ページングがない場合、POにおいてRSすら送信しない。したがって、先に述べた実現手段でPOを受信するUEは、ページングの有無を誤判定する確率が増加し、無駄な動作時間が増える。これによって、UEの消費電力が増加するという課題が発生するおそれがある。
実施の形態1での解決策を以下に示す。本実施の形態では、ローカルeNBにて消費電力の低減をサポートする。消費電力の低減をサポートするための実現方法の具体例を、以下に示す。図14の状況において、非特許文献8で開示される拡張セルDTXよりも、さらに送信OFFの割合を大きくし、ローカルeNBの消費電力の低減を図る方法を開示する。
図14の状況における、ローカルeNBの動作例を図15に示す。図15は、実施の形態1の解決策を用いた基地局送信信号の例を説明するタイミングチャートである。図15において、ローカルeNBのカバレッジ内、すなわちセル圏内のUEは、IDLEモード、すなわち待ち受け状態であり、DRX周期(1秒〜5秒程度)でローカルeNBの下り信号1502の中でページングフレーム(Paging Frame:PF)1503の無線フレームに含まれるPO1504を受信する。本実施の形態では、ローカルeNBは、送信ON信号1501が送出されたタイミングで、PO1504だけを送信する。ローカルeNBの送信ON信号1501は、DRX周期(1秒〜5秒程度)で、PO1504のサブフレーム(1ms程度)の期間のみONする、すなわち送出される。これによって、非特許文献8に開示された拡張セルDTXよりも大幅に送信時間の割合を小さくすることができる。DRX周期は、第2の送信周期に相当する。
また、図15に示すようにローカルeNBは、PO1504において、PDSCHとそれに付随するPDCCH、RSを送信する。ページング情報がない場合は、PDSCHを送信する必要はないので、RSのみを送信する。待ち受け状態でPO1504を受信するUEは、PO1504のタイミングで常にRSを受信することができるので、以下の3つの性能における優位性を持つことができる。
(1)ローカルeNBの受信レベルRSRPを監視することができる。UEは、他のeNB、ローカルeNBのRSRPも監視して、セル再選択の判断に用いる。
(2)チャネル推定を行う。さらに、チャネル推定値の時間変動から、受信信号とUE基準クロックとの周波数偏差を推定する。周波数偏差推定値は、AFC(Automatic Frequency Control)のトラッキングに用いることができる。
(3)RSの受信信号強度をリファレンスとして、ページング信号の有無を精度良く判定することができる。
図15における送信ONの時間は、PO1504のサブフレーム期間としてもよいし、PO1504の中に送信するPDCCH、PDSCHがある期間としてもよいし、PF1503の無線フレーム期間としてもよい。このとき、送信するPDCCH、PDSCHがない期間では、RS、またはRSとPBCHを送信する。ここで、上述の送信ONの時間を、呼び出し期間と定義する。すなわち呼び出し期間は、例えばPOのサブフレーム期間、POのサブフレーム期間のうちのPDCCH、PDSCHがある期間、またはPFの無線フレーム期間である。
以上のように本実施の形態1によれば、UEが待ち受け状態であるとき、ローカルeNBは、ページング信号を送信するべき期間として予め定める期間である呼び出し期間に、ページング信号およびRSのうち、少なくともRSを送信する間欠送信動作を行う。これによってUEは、呼び出し期間にRSを受信することができるので、RSを用いて、ローカルeNBから送信される信号の受信レベルを求め、ページング信号の有無の判定などに用いることができる。またローカルeNBは、呼び出し期間以外の期間には、例えば送信動作を停止して、送信電力を抑制することができるので、消費電力を低減することができる。したがって、待ち受け状態のUEが存在する場合でも、ネットワークノードであるローカルeNBにおける低消費電力化を効率良く行うことができる。
図16は、実施の形態1の解決策を説明するロケーション図である。図16および前述の図14から、ローカルeNBとUEとの関係は、以下の3種類が考えられる。
(1)図14のロケーション図に示すように、UE1403がローカルeNB1401のカバレッジ1402内にあり、IDLEモードで待ち受けている状態
(2)図16のロケーション図に示すように、UE1603がローカルeNB1601のカバレッジ1602内にあり、CONNECTEDモードで通信している状態
(3)UEがローカルeNBのカバレッジの外にいる状態(圏外)。
上記に示すローカルeNBとUEとの関係は、UEの移動やサービスの状況により、刻一刻と変化するものであり、ローカルeNBは状況に応じて送信方法を変える必要があるという課題がある。以下に、この課題を解決するための方法について開示する。
図17は、実施の形態1の解決策を説明する状態遷移図である。図17では、前述の図9に示す基地局72の送信状態判定部913において判定される送信状態の遷移図を示す。実施の形態1のローカルeNBである基地局72は、図9に示す送信状態判定部913において、送信状態を、通常送信1701、拡張セルDTX1702、およびDRX周期のセルDTX1703のうちのいずれの状態にするかを判定する。つまり、基地局72は、送信状態判定部913において、送信状態を、図17に示すように通常送信1701、拡張セルDTX1702、およびDRX周期のセルDTX1703のうちのいずれかの状態に切り替える。通常送信1701の状態で、ローカルeNBは通常の送信を行う。拡張セルDTX1702の状態で、ローカルeNBは非特許文献8に開示された拡張セルDTXの送信を行う。DRX周期のセルDTX1703の状態で、ローカルeNBは実施の形態1に開示されるDRX周期のPO(RS、PDCCH、PDSCH)送信を行う。このようにしてローカルeNBは、間欠送信動作を行う。
図18は、実施の形態1の解決策を説明する状態遷移図である。図18では、前述の図9に示す基地局72のUE状態監視部912において判定されるUEの状態の遷移図を示す。実施の形態1のローカルeNBである基地局72は、図9に示すUE状態監視部912において、プロトコル処理部903からの情報により、ローカルeNBのCSGに登録されるUEの状態を監視して、図18に示すように、CONNECTEDモード1801、セル圏外、すなわちカバレッジ外1802、およびIDLEモード1803のうちのいずれの状態であるかを判定する。以下、CSGに登録されるUEが1つの場合の動作例について説明する。ローカルeNBは、図9のUE状態監視部912で判定した該UEの状態により、図9の送信状態判定部913において、送信状態を以下のように決定する。
(1)CONNECTEDモードと判定した場合、通常送信とする
(2)セル圏外と判定した場合、拡張セルDTXとする
(3)IDLEモードと判定した場合、DRX周期のセルDTXとする。
実施の形態1におけるUE状態監視部912でのUE状態の判断の方法を以下に開示する。
UEが電源をONされてからIDLEモードへ変化するときのローカルeNBでの判定方法を開示する。図19は、実施の形態1の解決策を用いた場合の移動体通信システムのシーケンス例を説明する図である。図19では、UEが電源をON、すなわち電源を投入されてから、ローカルeNBのセルで待ち受け状態になるまでのシーケンスを示している。つまり図19は、図18において参照符号1804の矢符で表す状態遷移の一例を示している。
UEが電源をONされると、ステップST1901において、UEは初期のセルの選択を行う。UEは、例えば受信品質が最良のセルを選択する。本動作例では、ローカルeNBを選択したとする。ステップST1902において、UEは、ステップST1901にて選択したローカルeNBのシステム情報を受信する。これによってUEは、システム情報の内容により、ローカルeNBへランダムアクセスするパラメータを知ることができる(3GPP TS36.331 V9.1.0(以下「非特許文献9」という)参照)。
ステップST1903において、UEは、ローカルeNBに対してPRACH送信を行う。ステップST1902で取得したシステム情報には、ローカルeNBのCSG−IDが含まれる(非特許文献9)ので、ステップST1903において、UEは、選択したローカルeNBのCSG−IDがUE内のホワイトリストに存在した場合にPRACH送信を行うようにしてもよい。
ローカルeNBは、UEから送信されるPRACHを受信すると、ステップST1904において、通常送信を開始する。またUEは、前述のようにしてステップST1903でPRACH送信を行うと、ステップST1905において、CONNECTEDモードとなる。
ステップST1906およびステップST1907において、ローカルeNBおよびUEは、個別チャネル回線を設定する。具体的に述べると、まずステップST1906において、ローカルeNBは、個別チャネル回線の設定を指示するラジオベアラセットアップ(Radio Bearer Setup)メッセージをUEに送信する。UEは、ローカルeNBから送信されたラジオベアラセットアップメッセージを受信すると、ステップST1907において、個別チャネル回線を設定する処理を行い、ラジオベアラセットアップコンプリート(Radio Bearer Setup Complete)メッセージをローカルeNBに送信する。したがって、ローカルeNBは、ステップST1906の処理の前に、UEと個別チャネルの通信を開始するために、ステップST1904で通常送信を開始する。またUEは、ステップST1905において、CONNECTEDモード(RRC_CONNECTEDモードとも称される)となる。
UEは、ステップST1906およびステップST1907で個別チャネル回線が確立すると、ステップST1908において、ローカルeNBを通して、MMEまたはHeNBGWへAttach要求(Attach Request)を送信する。ステップST1909において、MMEまたはHeNBGWは、ローカルeNBを通して、UEへAttach了承(Attach Accept)を通知する。Attach了承を受信したUEは、ステップST1910において、Attach完了(Attach Complete)を、ローカルeNBを通してMMEへ通知する。これによって、Attach成功となる(3GPP TS23.401 V9.4.0(以下「非特許文献10」という)参照)。
そして、ステップST1911およびステップST1912の処理で、ローカルeNBおよびUEは、個別チャネル回線を開放する。具体的に述べると、ステップST1911において、ローカルeNBは、ラジオベアラリリース(Radio Bearer Release)メッセージをUEに送信する。UEは、ローカルeNBから送信されたラジオベアラリリースメッセージを受信すると、ステップST1912において、個別チャネル回線を開放する処理を行い、ラジオベアラリリースコンプリート(Radio Bearer Release Complete)メッセージをローカルeNBに送信する。
ローカルeNBは、UEから送信されたラジオベアラリリースコンプリートメッセージを受信すると、ステップST1913において、DRX周期のセルDTXを開始する。またUEは、前述のようにしてステップST1912でラジオベアラリリースコンプリートメッセージを送信すると、ステップST1914において、IDLEモードとなり、ローカルeNBのセルで待ち受けを行う。
図19のシーケンスで、ローカルeNBが、UEがローカルeNBのセル圏内、すなわちカバレッジ内に存在し、IDLEモードであることを判定する方法の具体例を、以下に2つ開示する。
(1)MMEあるいはHeNBGWから、Attach了承を受信
(2)UEからAttach完了を受信。
UEがローカルeNBのセル圏外または他のeNBのセルから、ローカルeNBのセル圏内へ移動して、ローカルeNBで待ち受けをするときのローカルeNBでの判定方法を開示する。図20は、実施の形態1の解決策を用いた場合の移動体通信システムのシーケンス例を説明する図である。図20では、UEがセル再選択でローカルeNBを選択して、ローカルeNBのセルで待ち受け状態になるまでのシーケンスを示している。つまり図20は、図18において参照符号1804の矢符で表す状態遷移の一例を示している。
ステップST2001において、UEはセルの再選択を行う。例えばUEは、受信品質が最良のセルを選択する。本動作例では、ローカルeNBを選択したとする。ステップST2002において、ローカルeNBは、報知情報をUEに送信する。これによってUEは、ステップST2001にて選択したローカルeNBのシステム情報を受信する。UEは、システム情報の内容により、ローカルeNBへランダムアクセスするパラメータ、トラッキングエリアコード(TAC)、ローカルeNBのCSG−IDを知ることができる。
従来の技術においては、UEが登録済みのTAI(Tracking Area Identity)のリストに無い新しいトラッキングエリアに入ったときにTAUを行う(非特許文献10参照)。従来の技術においては、例えばステップST2001にてセル選択する前のセルと、ステップST2001にてセル選択した後のセル、つまりローカルeNBとが同じトラッキングエリアに属する場合は、UEはTAUを行わない。よって、ローカルeNBは、UEがセル圏外または他のeNBのセルから、セル圏内へ移動したことを検出できないという課題が発生する。
そこで本実施の形態では、ステップST2002でシステム情報を受信したUEは、ステップST2021において、セル選択したセル(以下「選択セル」という場合がある)がローカルeNBであるか否かを判断し、ローカルeNBであればステップST2003に移行し、該ローカルeNBのトラッキングエリアと無関係にTAUを行うこととする。この処理により、ローカルeNBは、UEがセル圏外または他のeNBのセルからセル圏内へ移動したことを検出可能となる。UEは、ステップST2021において、選択セルがローカルeNBではないと判断すると、ステップST2022に移行する。ステップST2022において、UEは、TAがTAIリスト(list)に含まれるか否かを判断し、含まれていない場合はステップST2003に移行し、含まれている場合は処理を終了する。
ステップST2021における選択セルがローカルeNBであるか否かの判断の具体例を、以下に開示する。システム情報中に、選択セルがローカルeNBであるか否かを示すインジケータを新設する。システム情報に含まれる該インジケータが、選択セルがローカルeNBであることを示していた場合、UEは、選択セルはローカルeNBと判断し、該インジケータが、選択セルがローカルeNBであることを示していない場合、UEは、選択セルはローカルeNBではないと判断する。
または、選択セルがHeNBであれば、該ローカルeNBのトラッキングエリアと無関係にTAUを行うこととしてもよい。
選択セルがHeNBであるか否かの判断の具体例を、以下に3つ開示する。
(1)システム情報に含まれる、CSG−IDを用いる。UEは、例えばCSG−IDが含まれていれば、選択セルはHeNBと判断し、CSG−IDが含まれていなければ、選択セルはHeNBではないと判断する。
(2)システム情報に含まれるcsg-Indicationを用いる。UEは、例えばcsg-Indicationが「TRUE」であれば、選択セルはHeNBと判断し、csg-Indicationが「TRUE」でなければ、選択セルはHeNBではないと判断する。
(3)システム情報に含まれる、hnb-Nameを用いる。UEは、例えばhnb-Nameが含まれていれば、選択セルはHeNBと判断し、hnb-Nameが含まれていなければ、選択セルはHeNBではないと判断する。
ステップST2003において、UEはローカルeNBに対してPRACH送信を行う。前述のステップST2002で受信したシステム情報には、ローカルeNBのCSG−IDが含まれるので、ステップST2003においてUEは、選択したローカルeNBのCSG−IDがUE内のホワイトリストに存在した場合にPRACH送信を行うようにしてもよい。
ローカルeNBは、該PRACHをCSGに属するUEからのものであると判断すると、アクセスを許可し、ステップST2006およびステップST2007の処理で個別チャネル回線を設定する。具体的に述べると、まずステップST2006において、ローカルeNBは、個別チャネル回線の設定を指示するラジオベアラセットアップメッセージをUEに送信する。UEは、ローカルeNBから送信されたラジオベアラセットアップメッセージを受信すると、ステップST2007において、個別チャネル回線を設定する処理を行い、ラジオベアラセットアップコンプリートメッセージをローカルeNBに送信する。
したがって、ローカルeNBは、ステップST2006の処理の前に、UEと個別チャネルの通信を開始するために、ステップST2004で通常送信を開始する。またUEは、ステップST2005において、CONNECTEDモード(RRC_CONNECTEDとも称される)となる。
UEは、ステップST2006およびステップST2007の処理で個別チャネル回線が確立すると、ステップST2008において、ローカルeNBを通して、MMEまたはHeNBGWへTA Update(TAU)を実行する。ステップST2008でTA Updateを受信したMMEまたはHeNBGWは、ステップST2009において、ローカルeNBを通して、UEへTA Update Acceptを送信する。ステップST2009でTA Update Acceptを受信したUEは、ステップST2010において、ローカルeNBを通して、MMEまたはHeNBGWへTA Update Completeを送信する。これによって、TAU成功となる。
そして、ステップST2011およびステップST2012の処理で、ローカルeNBおよびUEは、個別チャネル回線を開放する。具体的に述べると、ステップST2011において、ローカルeNBは、ラジオベアラリリースメッセージをUEに送信する。UEは、ローカルeNBから送信されたラジオベアラリリースメッセージを受信すると、ステップST2012において、個別チャネル回線を開放する処理を行い、ラジオベアラリリースコンプリートメッセージをローカルeNBに送信する。以上のステップST2003〜ステップST2012の処理を「TA Updateシーケンス」という。
以上のようにしてTA Updateシーケンスを実行すると、ローカルeNBは、ステップST2013において、DRX周期のセルDTXを開始する。UEは、ステップST2014においてIDLEモードとなり、ローカルeNBのセルで待ち受けを行う。
図20のシーケンスで、ローカルeNBが、UEがローカルeNBのセル圏内に存在し、IDLEモードであることを判定する方法の具体例を、以下に2つ開示する。
(1)MMEあるいはHeNBGWから、TA Update Acceptを受信
(2)UEからTA Update Completeを受信。
UEがローカルeNBのセル圏内からセル圏外、具体的にはサービス圏外または他のeNBのセルへ移動して、ローカルeNBで待ち受けをしなくなるときのローカルeNBでの判定方法を開示する。図21は、実施の形態1の解決策を用いた場合の移動体通信システムのシーケンス例を説明する図である。図21では、UEが周期的にTAUを送信するシーケンスを示している。つまり図21は、図18において参照符号1805の矢符で表す状態遷移の一例を示している。
前述の図19に示すシーケンス、または図20に示すシーケンスを実行して、ステップST2101でUEがIDLEモードとなり、ステップST2111でローカルeNBがDRX周期のセルDTXを開始した後は、ステップST2102において、前述の図20に示すTA Updateシーケンスを実行する。その後は、予め定めるTA Update周期で、ステップST2102のTA Updateシーケンスを繰返す。この周期的なTAUにより、ローカルeNBは、UEがセル圏内からセル圏外へ移動したことを認識可能となる。ローカルeNBは、傘下のUEに対して、周期的なTAUを指示するとしてもよい。HeNBは、傘下のUEに対して、周期的なTAUを指示するとしてもよい。HeNBは、自セルと同じCSGへ登録するUEに対して、周期的なTAUを指示するとしてもよい。またDRX周期のセルDTXをサポートするeNBは、傘下のUEに対して、周期的なTAUを指示するとしてもよい。
UEは、ステップST2103においてセルの再選択を行い、このセルの再選択で他のeNBを最良のセルと判断すると、該ローカルeNBへ周期的なTAUを送信しなくなる。他のeNBは、ステップST2112において、報知情報をUEに送信する。UEは、他のeNBから送信された報知情報を受信すると、ステップST2104において、他のeNBとの間で、前述の図20に示すTA Updateシーケンスを実行する。
ローカルeNBは、次のTA Update周期で、ステップST2113において、UEからTA Updateを受信したか否かを判定する。図21に示す例では、ローカルeNBは、ステップST2113において、TA Updateを受信していないと判定して、ステップST2114に移行する。ステップST2114において、ローカルeNBは、拡張セルDTXを開始する。
図21のシーケンスで、ローカルeNBが、ローカルeNBのセル圏内で待ち受けていた該UEがセル圏外に移動したと判定する場合を、以下に開示する。
前述の図9に示すUE状態監視部912においてIDLEモードと判断しているUEと最後に個別チャネル回線を確立し、正常に開放してからTAU周期以上の時間が経過している場合。前述の図9に示すUE状態監視部912においてIDLEモードと判断しているUEからTAU周期にて、TAUが実行されない場合。
UEがローカルeNBのセル圏内で待ち受け状態から発信するときのローカルeNBでのUE状態判定方法を開示する。図22は、実施の形態1の解決策を用いた場合の移動体通信システムのシーケンス例を説明する図である。図22では、UEがローカルeNBのセル圏内で待ち受けをしている状態から、発信によりCONNECTEDモードになるまでのシーケンスを示している。つまり図22は、図18において参照符号1806の矢符で表す状態遷移の一例を示している。
ステップST2201において、UEはIDLEモードとなり、ローカルeNBのセルで待ち受けを行っている状態となる。ステップST2202において、UEは、発信操作を行う。ステップST2203において、UEは、ローカルeNBへランダムアクセス(Random Access)を要求する。ランダムアクセスの要求を行ったUEは、ステップST2205において、CONNECTEDモードとなる。
ローカルeNBは、要求されたランダムアクセスが、CSGに属するUEからのものであると判断すると、アクセスを許可し、ステップST2206およびステップST2207の処理で個別チャネル回線を設定する。具体的に述べると、ステップST2206において、ローカルeNBはラジオベアラセットアップメッセージをUEに送信する。UEは、ローカルeNBから送信されたラジオベアラセットアップメッセージを受信すると、ステップST2207において、個別チャネル回線を設定する処理を行い、ラジオベアラセットアップコンプリートメッセージをローカルeNBに送信する。
したがって、ローカルeNBは、ステップST2206の処理の前に、UEと個別チャネルの通信を開始するために、ステップST2204で通常送信を開始する。ステップST2207の処理後は、MMEまたはHeNB−GWと、ローカルeNBおよびUEとの間で、ユーザデータの送受信が行われる。
図22のシーケンスで、ローカルeNBが、ローカルeNBのセル圏内で待ち受けていたUEがCONNECTEDモードに変化したことを判定する方法の具体例を、以下に2つ開示する。
(1)UE状態監視部912においてIDLEモードと判断しているUEからのランダムアクセスの要求を許可する
(2)UE状態監視部912においてIDLEモードと判断しているUEとの間で個別チャネル回線設定を決定する。
UEがローカルeNBのセル圏内において待ち受け状態で着信するときの、ローカルeNBでのUE状態判定方法を開示する。図23は、実施の形態1の解決策を用いた場合の移動体通信システムのシーケンス例を説明する図である。図23では、UEがローカルeNBのセル圏内で待ち受け状態から、着信によりCONNECTEDモードになるまでのシーケンスを示している。つまり図23は、図18において参照符号1806の矢符で表す状態遷移の一例を示している。
ステップST2301において、UEはIDLEモードとなり、ローカルeNBのセルで待ち受けを行っている状態となる。ステップST2302において、MMEまたはHeNBGWは、UEに対する呼び出し(以下「UE呼び出し」という場合がある)をローカルeNBに送信する。ローカルeNBは、MMEまたはHeNBGWから送信されたUEへのUE呼び出しを受信すると、ステップST2303において、ページング(Paging)情報をUEに送信する。
UEは、ローカルeNBから送信されたページング情報を受信すると、ステップST2304において、Paging情報判定を行う。UEは、ステップST2304のPaging情報判定処理において、自装置への呼び出しであると判定すると、ステップST2305において、ローカルeNBへランダムアクセスを要求する。ランダムアクセスの要求を行ったUEは、ステップST2307において、CONNECTEDモードとなる。
ローカルeNBは、要求されたランダムアクセスが、CSGに属するUEからのものであると判断すると、アクセスを許可し、ステップST2308およびステップST2309の処理で個別チャネル回線を設定する。具体的に述べると、ステップST2308において、ローカルeNBはラジオベアラセットアップメッセージをUEに送信する。UEは、ローカルeNBから送信されたラジオベアラセットアップメッセージを受信すると、ステップST2309において、個別チャネル回線を設定する処理を行い、ラジオベアラセットアップコンプリートメッセージをローカルeNBに送信する。
したがって、ローカルeNBは、ステップST2308の処理の前に、UEと個別チャネルの通信を開始するために、ステップST2306で通常送信を開始する。ステップST2309の処理後は、MMEまたはHeNB−GWと、ローカルeNBおよびUEとの間で、ユーザデータの送受信が行われる。
図23のシーケンスで、ローカルeNBが、ローカルeNBのセル圏内で待ち受けていたUEがCONNECTEDモードに変化したことを判定する方法の具体例を、以下に2つ開示する。
(1)UE状態監視部912においてIDLEモードと判断しているUEからのランダムアクセスの要求を許可する
(2)UE状態監視部912においてIDLEモードと判断しているUEとの間で個別チャネル回線設定を決定する。
UEがローカルeNBとの通信を切断(開放)するときの、ローカルeNBでのUE状態判定方法を開示する。図24は、実施の形態1の解決策を用いた場合の移動体通信システムのシーケンス例を説明する図である。図24では、UEがCONNECTEDモードでローカルeNBと通信している状態から、通信を切断してIDLEモードになるまでのシーケンスを示している。つまり図24は、図18において参照符号1807の矢符で表す状態遷移の一例を示している。
ステップST2401において、UEは、CONNECTEDモードとなり、ローカルeNBと通信している状態となる。この状態で、MMEまたはHeNB−GWと、ローカルeNBおよびUEとの間で、ユーザデータの送受信が行われる。
UEからローカルeNBとの通信を切断する場合、UEは、ステップST2402において、リリースリクエスト(Release Request)メッセージをローカルeNBに送信する。リリースリクエストメッセージへの応答として、ローカルeNBは、ステップST2403において、ラジオベアラリリースメッセージをUEに送信する。図24に示す例とは異なるが、ネットワークから通信を切断する場合、ローカルeNBは、ネットワークからの指示に基づいて、ステップST2403において、ラジオベアラリリースメッセージをUEに送信する。
ラジオベアラリリースメッセージを受信したUEは、ラジオベアラリリースメッセージに対する応答として、ステップST2404において、ラジオベアラリリースコンプリートメッセージをローカルeNBに送信する。このステップST2404の処理により、ローカルeNB、UEともに個別チャネル回線を開放し、UEは、ステップST2406において、ローカルeNBのセル圏内でIDLEモードとなる。またローカルeNBは、ステップST2405において、DRX周期のセルDTXを開始する。
図24のシーケンスで、ローカルeNBが、ローカルeNBと通信しているUEがIDLEモードに変化したことを判定する方法を、以下に開示する。
(1)UE状態監視部912においてCONNECTEDモードと判断しているUEへラジオベアラリリースメッセージを送信する、または、(2)該UEからラジオベアラリリースコンプリートメッセージを受信する。
実施の形態1の変形例1.
図25は、実施の形態1の変形例1の課題を説明するロケーション図である。ローカルeNBは、図25に示すように、複数のローカルeNB、例えば3つのローカルeNB(Local−eNB)252−1,252−2,252−3が1つのトラッキングエリア(TA)253を構成することがある。ここで便宜的に、図25に示す3つのローカルeNBを、第1ローカルeNB252−1、第2ローカルeNB252−2および第3ローカルeNB252−3と呼ぶこととする。
TA253の管理はMME/S−GW部255が行うので、UEは、TA圏外からTA圏内に移動する場合、ローカルeNB252−1,252−2,252−3の1つを通して、MME/S−GW部255に対してTAUを行う。例えば、第1ローカルeNB252−1を通してTAUを行った場合、第1ローカルeNB252−1は、UE251がIDLEモードで待ち受けていることを知ることができるが、第2および第3ローカルeNB252−2,252−3は、UE251がIDLEモードであることを知ることができない。
また、UE251がTA253内でセルの再選択を行っても、UE251は、再選択したローカルeNBへTAUを送信しない。したがって、例えば、UE251が第2ローカルeNB252−2をセルの再選択で選択して待ち受けをしても、第2ローカルeNB252−2は、実施の形態1で開示したDRX周期のセルDTXを行うことができないという課題が発生する。
以下に、実施の形態1の変形例1の課題を解決する方法について説明する。図25のMME/S−GW部255は、TA253内にCSGに属するUE251が在圏することを知ると、規格として傘下の同じTAに属する複数のローカルeNB、図25では第1〜第3ローカルeNB252−1,252−2,252−3に対して、UE251がTA253に在圏していること(以下「TA在圏」という場合がある)を通知することとする。同様に、MME/S−GW部255は、CSGに属するUE251がTA253の圏外であることを知ると、規格として、同じTAに属する傘下の複数のローカルeNB、図25では第1〜第3ローカルeNB252−1,252−2,252−3に対して、UE251のTAの圏外であること(以下「TA圏外」という場合がある)を通知する。ここで、TA在圏、TA圏外を通知するのは、HeNBGW254としてもよい。
図25に示すローカルeNB252−1,252−2,252−3は、UE251のTA在圏、すなわちUE251がTA253の圏内に存在することを通知され、かつ、UE251が自装置と通信していない場合、UE251に対して実施の形態1で開示したDRX周期のセルDTXを行う。また図25に示すローカルeNB252−1,252−2,252−3は、UE251のTA圏外、すなわちUE251がTA圏外に存在すると通知されると、UE251に対して拡張セルDTXを行う。
図26は、実施の形態1の変形例1の解決策を説明するロケーション図である。図26では、複数のローカルeNB、具体的には3つのローカルeNB(Local−eNB)262−1,262−2,262−3が1つのトラッキングエリア(TA)263−1を構成し、ワイドエリアのeNB(以下「ワイドエリアeNB」という場合がある)266が異なるTA263−2を構成する例を示している。ローカルeNB262−1,262−2,262−3で構成されるTA263−1を、第1TA263−1と呼び、ワイドエリアeNBで構成されるTA263−2を、第2TA263−2と呼ぶこととする。第1TA263−1の管理は、HeNBGW264または第1MME/S−GW部265−1が行い、第2TA263−2の管理は第2MME/S−GW部265−2が行う。
UE261は、第1TA263−1から第2TA263−2へ移動すると、ワイドエリアeNB266を通して、第1MME/S−GW部265−1にTAUを行う。3つのローカルeNB262−1,262−2,262−3は、自装置のTAである第1TA263−1に在圏していたUE261が、他のTA、例えば第2TA263−2へ移動したことを知ることができれば、それを契機にUE261が第1TA263−1の圏外になったと判定することができる。
以下に具体的な動作例について、シーケンス図を用いて説明する。動作例としては、UEが、ローカルeNBを含むTAでAttachする場合、UEが他のTAからローカルeNBを含むTA内へ移動し、TAUを行う場合、UEがローカルeNBを含むTAでDetachする場合、およびUEがローカルeNBを含むTAから他のTAへ移動し、TAUを行う場合がある。シーケンス図では、理解を容易にするために、ローカルeNBは2つ、具体的には第1ローカルeNBおよび第2ローカルeNBとする。
UEが電源をONされてからIDLEモードへ変化するときのローカルeNBでの判定方法を開示する。図27は、実施の形態1の変形例1の解決策を用いた場合の移動体通信システムのシーケンス例を説明する図である。図27では、UEが電源をON、すなわち投入されてから、ローカルeNBのセルで待ち受け状態になるまでのシーケンスを示している。
UEは、電源をONされると、ステップST2701において、初期のセルの選択を行う。UEは、例えば受信品質が最良のセルを選択する。本動作例では、第1ローカルeNBを選択したとする。ステップST2702において、UEは、ステップST2701にて選択したローカルeNB、すなわち第1ローカルeNBのシステム情報を受信する。これによってUEは、システム情報の内容により、第1ローカルeNBへランダムアクセスするパラメータを知ることができる(非特許文献9参照)。
ステップST2703において、UEは、ステップST2701で選択したローカルeNB、すなわち第1ローカルeNBに対してPRACH送信を行う。ステップST2702で取得したシステム情報には、ローカルeNBのCSG−IDが含まれる(非特許文献9参照)ので、ステップST2703において、UEは、ステップST2701で選択したローカルeNBのCSG−IDがUE内のホワイトリストに存在した場合のPRACH送信を行うようにしてもよい。
第1ローカルeNBは、UEから送信されるPRACHを受信すると、ステップST2704において、通常送信を開始する。またUEは、前述のようにしてステップST2703でPRACH送信を行うと、ステップST2705において、CONNECTEDモードとなる。
ステップST2706およびステップST2707において、第1ローカルeNBおよびUEは、個別チャネル回線を設定する。具体的に述べると、まずステップST2706において、第1ローカルeNBは、個別チャネル回線の設定を指示するラジオベアラセットアップ(Radio Bearer Setup)メッセージをUEに送信する。UEは、第1ローカルeNBから送信されたラジオベアラセットアップメッセージを受信すると、ステップST2707において、個別チャネル回線を設定する処理を行い、ラジオベアラセットアップコンプリート(Radio Bearer Setup Complete)メッセージを第1ローカルeNBに送信する。したがって、第1ローカルeNBは、ステップST2706の処理の前に、UEと個別チャネルの通信を開始するために、ステップST2704で通常送信を開始する。またUEは、ステップST2705において、CONNECTEDモード(RRC_CONNECTEDモードとも称される)となる。
UEは、ステップST2706およびステップST2707で個別チャネル回線が確立すると、ステップST2708において、第1ローカルeNBを通して、HeNBGWへAttach要求(Attach Request)を送信する。Attach要求を受信したHeNBGWは、ステップST2709において、第1ローカルeNBを通して、UEへAttach了承(Attach Accept)を通知する。Attach了承を受信したUEは、ステップST2709−1において、Attach完了(Attach Complete)を、第1ローカルeNBを通してHeNBGWへ通知する。これによって、Attach成功となる(非特許文献10参照)。
そして、ステップST2713およびステップST2714の処理で、第1ローカルeNBおよびUEは、個別チャネル回線を開放する。具体的に述べると、ステップST2713において、第1ローカルeNBは、ラジオベアラリリース(Radio Bearer Release)メッセージをUEに送信する。UEは、第1ローカルeNBから送信されたラジオベアラリリースメッセージを受信すると、ステップST2714において、個別チャネル回線を開放する処理を行い、ラジオベアラリリースコンプリート(Radio Bearer Release Complete)メッセージを第1ローカルeNBに送信する。このようにしてステップST2714でラジオベアラリリースコンプリートメッセージを送信すると、ステップST2716において、UEは、IDLEモードとなり、第1ローカルeNBのセルで待ち受けを行う。
HeNBGW、あるいはMMEは、ステップST2709−1でAttachの成功を確認すると、ステップST2710において、配下の第1ローカルeNBへTA在圏通知を送信し、またステップST2711において、第2ローカルeNBへTA在圏通知を送信する。これによって、CSGに属するUEがTAに在圏することを第1および第2ローカルeNBに通知する。
第1ローカルeNB、第2ローカルeNBは、各々TA在圏通知がされたCSGに属するUEが自装置と通信していなければ、該UEがIDLEモードで待ち受けをしていると判断して、ステップST2712およびステップST2715において、実施の形態1で開示するDRX周期のセルDTXを開始する。このように同じTA内の複数のローカルeNBにおいて、DRX周期のセルDTXを行うことができる。
以上のように本変形例1では、複数のローカルeNBが1つのTAを構成する場合、換言すれば、1つのTA内に複数のローカルeNBが設けられる場合、ネットワーク制御装置であるMMEまたはHeNBGWは、そのTA内にUEが存在するか否かを判断し、その判断結果を各ローカルeNBに通知する。各ローカルeNBは、自身のTA内にUEが存在することがMMEまたはHeNBGWから通知されると、そのUEと通信しているか否かを判断し、通信していないと判断すると、DRX周期のセルDTXを行う。同じTA内の複数のローカルeNBにおいて、DRX周期のセルDTXを行うことができる。
図27のシーケンスで、ローカルeNBが、UEがローカルeNBのセル圏内に存在し、IDLEモードであることを判定する方法を、以下に開示する。
(1)TA在圏であり、かつ、(2)個別チャネルを設定していないUEはIDLEモードと判定する。
図26に示すように、UEが他のTA263−2からローカルeNBを含むTA263−1内へ移動し、TAUを行うときのローカルeNBでの判定方法を開示する。図28は、実施の形態1の変形例1の解決策を用いた場合の移動体通信システムのシーケンス例を説明する図である。図28では、他のTA263−2からローカルeNBを含むTA263−1へ移動してTAUを行う動作を示すシーケンスの例を示している。
ステップST2801において、UEはセルの再選択を行う。UEは、例えば受信品質が最良のセルを選択する。本動作例では、第1ローカルeNBを選択したとする。ステップST2802において、UEは、ステップST2801において選択した第1ローカルeNBのシステム情報を受信する。これによってUEは、システム情報の内容により、第1ローカルeNBへランダムアクセスするパラメータ、トラッキングエリアコード(TAC)、第1ローカルeNBのCSG−IDを知ることができる。
従来の技術においては、UEが登録済みのTAI(Tracking Area Identity)のリストに無い新しいトラッキングエリアに入ったときにTAUを行う(非特許文献10参照))。従来の技術においては、例えば、ステップST2801においてセル選択する前のセルと、ステップST2801においてセル選択した後のセル、つまりローカルeNBとが同じトラッキングエリアに属する場合は、UEはTAUを行わない。よって、ローカルeNBは、UEがセル圏外または他のeNBのセルから、セル圏内へ移動したことを検出できないという課題が発生する。
そこで本変形例では、図28のステップST2802でシステム情報を受信したUEは、ステップST2801における選択セルがローカルeNBであるか否かを判断し、ローカルeNBであれば、該ローカルeNBのトラッキングエリアと無関係にTAUを行うこととする。この処理により、ローカルeNBは、UEがセル圏外または他のeNBのセルからセル圏内へ移動したことを検出可能となる。
ステップST2801における選択セルがローカルeNBであるか否かの判断の具体例を、以下に開示する。システム情報中に、選択セルがローカルeNBであるか否かを示すインジケータを新設する。システム情報に含まれる該インジケータが、選択セルがローカルeNBであることを示していた場合、UEは、選択セルをローカルeNBと判断し、該インジケータが、選択セルがローカルeNBであることを示していない場合、UEは、選択セルをローカルeNBではないと判断する。
または、選択セルがHeNBであれば、該ローカルeNBのトラッキングエリアと無関係にTAUを行うこととしてもよい。
選択セルがHeNBであるか否かの判断の具体例を、以下に3つ開示する。
(1)システム情報に含まれる、CSG−IDを用いる。UEは、例えばCSG−IDが含まれていれば、選択セルはHeNBと判断し、CSG−IDが含まれていなければ、選択セルはHeNBではないと判断する。
(2)システム情報に含まれるcsg-Indicationを用いる。UEは、例えばcsg-Indicationが「TRUE」であれば、選択セルはHeNBと判断し、csg-Indicationが「TRUE」でなければ、選択セルはHeNBではないと判断する。
(3)システム情報に含まれる、hnb-Nameを用いる。UEは、例えばhnb-Nameが含まれていれば、選択セルはHeNBと判断し、hnb-Nameが含まれていなければ、選択セルはHeNBではないと判断する。
ステップST2803において、UEは第1ローカルeNBに対してPRACH送信を行う。ステップST2802で取得したシステム情報には、ローカルeNBのCSG−IDが含まれるので、ステップST2803においてUEは、選択したローカルeNBのCSG−IDがUE内のホワイトリストに存在した場合にPRACH送信を行うようにしてもよい。
第1ローカルeNBは、該PRACHをCSGに属するUEからのものであると判断すると、アクセスを許可し、ステップST2806およびステップST2807の処理で個別チャネル回線を設定する。具体的に述べると、まずステップST2806において、第1ローカルeNBは、個別チャネル回線の設定を指示するラジオベアラセットアップメッセージをUEに送信する。UEは、第1ローカルeNBから送信されたラジオベアラセットアップメッセージを受信すると、ステップST2807において、個別チャネル回線を設定する処理を行い、ラジオベアラセットアップコンプリートメッセージを第1ローカルeNBに送信する。
したがって、第1ローカルeNBは、ステップST2806の処理の前に、UEと個別チャネルの通信を開始するために、ステップST2804で通常送信を開始する。またUEは、ステップST2805において、CONNECTEDモード(RRC_CONNECTEDとも称される)となる。
UEは、ステップST2806およびステップST2807の処理で個別チャネル回線が確立すると、ステップST2808において、第1ローカルeNBを通して、HeNBGW、あるいはMMEへTA Update(TAU)を実行する。ステップST2808でTAUを受信したHeNBGWは、ステップST2809において、第1ローカルeNBを通して、UEへTA Update Acceptを送信する。ステップST2809でTA Update Acceptを受信したUEは、ステップST2809−1において、第1ローカルeNBを通して、HeNBGWへTA Update Completeを送信する。これによって、TAU成功となる。
そしてステップST2813およびステップST2814の処理で、第1ローカルeNBおよびUEは、個別チャネル回線を開放する。具体的に述べると、ステップST2813において、第1ローカルeNBは、ラジオベアラリリースメッセージをUEに送信する。UEは、第1ローカルeNBから送信されたラジオベアラリリースメッセージを受信すると、ステップST2814において、個別チャネル回線を開放する処理を行い、ラジオベアラリリースコンプリートメッセージを第1ローカルeNBに送信する。またUEは、前述のようにしてステップST2814でラジオベアラリリースコンプリートメッセージを送信すると、ステップST2816において、IDLEモードとなり、第1ローカルeNBのセルで待ち受けを行う。
HeNBGW、あるいはMMEは、ステップST2809−1でTAUの成功を確認すると、ステップST2810において、配下の第1ローカルeNBへTA在圏通知を送信し、またステップST2811において、第2ローカルeNBへTA在圏通知を送信する。このようにしてHeNBGWは、CSGに属するUEがTAに在圏することを、配下のローカルeNB、図28に示す例では第1および第2ローカルeNBに通知する。
第1ローカルeNB、第2ローカルeNBは、各々TA在圏通知がされたCSGに属するUEが自装置と通信していなければ、該UEがIDLEモードで待ち受けをしていると判断して、ステップST2812およびステップST2815において、実施の形態1で開示するDRX周期のセルDTXを開始する。
図28のシーケンスで、ローカルeNBが、UEがローカルeNBのセル圏内に存在し、IDLEモードであることを判定する方法を、以下に開示する。
(1)TA在圏であり、かつ、(2)個別チャネルを設定していないUEはIDLEモードと判定する。
TAに在圏するCSGに属するUEが、Detachを行うときのローカルeNBでの判定方法を開示する。図29は、実施の形態1の変形例1の解決策を用いた場合の移動体通信システムのシーケンス例を説明する図である。
図29において、UEは、電源のOFFを要求されると、ステップST2903において、第1ローカルeNBに対してPRACH送信を行う。第1ローカルeNBは、UEから送信されるPRACHを受信すると、ステップST2904において、通常送信を開始する。またUEは、前述のようにしてステップST2903でPRACH送信を行うと、ステップST2905において、CONNECTEDモードとなる。
UEは、ステップST2906およびステップST2907の処理によって個別チャネル回線を設定し、第1ローカルeNBと個別チャネルの回線を確立する。具体的に述べると、まずステップST2906において、第1ローカルeNBは、個別チャネル回線の設定を指示するラジオベアラセットアップメッセージをUEに送信する。UEは、第1ローカルeNBから送信されたラジオベアラセットアップメッセージを受信すると、ステップST2907において、個別チャネル回線を設定する処理を行い、ラジオベアラセットアップコンプリート(Radio Bearer Setup Complete)メッセージを第1ローカルeNBに送信する。
次いで、UEは、ステップST2908において、第1ローカルeNBを通して、HeNBGWに対してDetach要求を送信する。Detach要求を受信したHeNBGWは、ステップST2909において、Detach完了を、第1ローカルeNBを通してUEへ送信する。これによって、Detach成功となる。
そしてステップST2913およびステップST2914の処理で、第1ローカルeNBおよびUEは、個別チャネル回線を開放する。具体的に述べると、ステップST2913において、第1ローカルeNBは、ラジオベアラリリースメッセージをUEに送信する。UEは、第1ローカルeNBから送信されたラジオベアラリリースメッセージを受信すると、ステップST2914において、個別チャネル回線を開放する処理を行い、ラジオベアラリリースコンプリートメッセージを第1ローカルeNBに送信する。またUEは、前述のようにしてステップST2914でラジオベアラリリースコンプリートメッセージを送信すると、ステップST2916において、電源をOFFする処理を行う。
HeNBGWは、ステップST2908およびステップST2909でDetachの成功を確認すると、ステップST2910において、配下の第1ローカルeNBへTA圏外通知を送信し、またステップST2911において、第2ローカルeNBへTA圏外通知を送信する。このようにしてHeNBGWは、CSGに属するUEがTAに在圏しないことを、配下のローカルeNB、図29に示す例では第1および第2ローカルeNBに通知する。
第1ローカルeNB、第2ローカルeNBは、各々TA圏外通知がされたCSGに属するUEが自装置と通信していなければ、セル圏外に存在すると判断して、ステップST2912およびステップST2915において、実施の形態1で開示する拡張セルDTXを開始する。
図29のシーケンスで、ローカルeNBが、UEがローカルeNBのセル圏外に存在し、IDLEモードであることを判定する方法を、以下に開示する。
(1)TA圏外であり、かつ、(2)個別チャネルを設定していないUEは圏外と判定する。
前述の図26に示すように、CSGに属するUE261が、ローカルeNBを含むTA263−1から他のTA263−2へ移動し、他のMME/S−GW部265−2へTAUを行うときの、ローカルeNBでの判定方法を開示する。図30は、実施の形態1の変形例1の解決策を用いた場合の移動体通信システムのシーケンス例を説明する図である。図30では、ローカルeNBを含むTA263−1から他のTA263−2へ移動してTAUを行う動作を示すシーケンスの例を示している。
ステップST3001において、UEはセルの再選択を行う。UEは、例えば受信品質が最良のセルを選択する。本動作例では、eNB266を選択したとする。ステップST3002において、UEは、ステップST3001にて選択したeNB266のシステム情報を受信する。これによってUEは、システム情報の内容により、eNB266へランダムアクセスするパラメータ、トラッキングエリアコード(TAC)、eNB266のCSG−IDを知ることができる。
従来の技術においては、UEが登録済みのTAIのリストに無い新しいトラッキングエリアに入ったときにTAUを行う(非特許文献10参照)。従来の技術においては、例えばステップST3001においてセル再選択する前のセルと、ステップST3001にてセル再選択した後のセル、つまりeNBが同じトラッキングエリアに属する場合は、UEはTAUを行わない。よって、ローカルeNBは、UEがセル圏内からセル圏外または他のeNBのセルへ移動したことを検出できないという課題が発生する。
そこで本変形例では、図30のステップST3002でシステム情報を受信したUEは、ステップST3001でセル再選択を行う前まで在圏していたセルがローカルeNBであれば、セル再選択で選択したeNBのトラッキングエリアと無関係にTAUを行うこととする。この処理により、ローカルeNBは、UEがセル圏内からセル圏外または他のeNBのセルへ移動したことを検出可能となる。
在圏しているセル(以下「在圏セル」という場合がある)がローカルeNBであるか否かの判断の具体例を、以下に開示する。システム情報中に、在圏セルがローカルeNBであるか否かを示すインジケータを新設する。システム情報に含まれる該インジケータが、在圏セルがローカルeNBであることを示していた場合、UEは、在圏セルはローカルeNBと判断し、該インジケータが、在圏セルがローカルeNBであることを示していない場合、UEは、在圏セルはローカルeNBではないと判断する。
または、在圏しているセルがHeNBであれば、セル再選択で選択したeNBのトラッキングエリアと無関係にTAUを行うこととしてもよい。
在圏しているセルがHeNBであるか否かの判断の具体例を、以下に3つ開示する。
(1)システム情報に含まれる、CSG−IDを用いる。UEは、例えばCSG−IDが含まれていれば、在圏セルはHeNBと判断し、CSG−IDが含まれていなければ、在圏セルはHeNBではないと判断する。
(2)システム情報に含まれるcsg-Indicationを用いる。UEは、例えばcsg-Indicationが「TRUE」であれば、在圏セルはHeNBと判断し、csg-Indicationが「TRUE」でなければ、在圏セルはHeNBではないと判断する。
(3)システム情報に含まれる、hnb-Nameを用いる。UEは、例えばhnb-Nameが含まれていれば、在圏セルはHeNBと判断し、hnb-Nameが含まれていなければ、在圏セルはHeNBではないと判断する。
ステップST3003において、UEはeNBに対してPRACH送信を行う。PRACH送信を行うと、UEは、ステップST3004において、CONNECTEDモードとなる。eNBは、該PRACHによりアクセスを許可すると、ステップST3005およびステップST3006の処理で個別チャネル回線を設定する。具体的に述べると、まずステップST3005において、eNBは、個別チャネル回線の設定を指示するラジオベアラセットアップメッセージをUEに送信する。UEは、eNBから送信されたラジオベアラセットアップメッセージを受信すると、ステップST3006において、個別チャネル回線を設定する処理を行い、ラジオベアラセットアップコンプリートメッセージをeNBに送信する。
UEは、ステップST3005およびステップST3006の処理で個別チャネル回線が確立すると、ステップST3007において、eNBを通して、MME/S−GW部、具体的には図26の第2MME/S−GW部265−2へTA Updateを送信する。ステップST3007でTA Updateを受信したMME/S−GW部は、ステップST3008において、eNBを通して、UEへTA Update Acceptを送信する。ステップST3008でTA Update Acceptを受信したUEは、ステップST3022において、eNBを通して、MME/S−GW部へTA Update Completeを送信する。これによって、TAU成功となる。
そして、ステップST3024およびステップST3025の処理で、eNBおよびUEは、個別チャネル回線を開放する。具体的に述べると、ステップST3024において、eNBは、ラジオベアラリリースメッセージをUEに送信する。UEは、eNBから送信されたラジオベアラリリースメッセージを受信すると、ステップST3025において、個別チャネル回線を開放する処理を行い、ラジオベアラリリースコンプリートメッセージをeNBに送信する。このようにしてステップST3025でラジオベアラリリースコンプリートメッセージを送信すると、ステップST3026において、UEはIDLEモードとなり、eNBのセルで待ち受けを行う。
MME/S−GW部は、ステップST3008、ステップST3022でTAUの成功を確認すると、ステップST3009およびステップST3023において、S1インタフェースを介してeNBおよび周辺のHeNBGWへTA在圏通知を送信する。これによってMME/S−GW部は、UEがTAに在圏することをeNBおよび周辺のHeNBGWに通知する。
HeNBGWは、ステップST3009でMME/S−GW部からTA在圏通知を受信すると、UEが自装置のTAに在圏しないことを知り、ステップST3010およびステップST3011において、配下の第1ローカルeNB、第2ローカルeNBへTA圏外通知を送信する。MMEから第1ローカルeNB、第2ローカルeNBへTA圏外通知を行ってもよい。
第1ローカルeNB、第2ローカルeNBは、各々TA圏外通知がされたCSGに属するUEが自装置と通信していなければ、セル圏外に存在すると判断して、ステップST3012およびステップST3013において、実施の形態1で開示する拡張セルDTXを開始する。
図30のシーケンスで、ローカルeNBが、UEがローカルeNBのセル圏外に存在し、IDLEモードであることを判定する方法を、以下に開示する。
(1)TA圏外であり、かつ、(2)個別チャネルを設定していない該UEは圏外と判定する。
実施の形態1の変形例1のもう1つの課題について説明する。前述の図25において、CSGに属するUE251がTA253内に在圏すると判断して、全てのローカルeNB252−1,252−2,252−3が実施の形態1で開示するDRX周期のセルDTXを行うとする。ここで、UE251が第1ローカルeNB252−1で待ち受けをしている場合、UE251は、第1ローカルeNB252−1のPOを受信すると同時に、周辺セルである第2ローカルeNB252−2、第3ローカルeNB252−3をセルサーチで検出できなければならない。また検出した後は、UE251は、第2ローカルeNB252−2、第3ローカルeNB252−3の受信レベルを監視できなければならない。
しかし、第2ローカルeNB252−2、第3ローカルeNB252−3が実施の形態1で開示するDRX周期のセルDTXを実行している場合、第2ローカルeNB252−2、第3ローカルeNB252−3は、SSもPBCHも送信しないので、UE251がセルサーチで第2ローカルeNB252−2、第3ローカルeNB252−3を検出できなくなるという課題が発生する。
以上で述べた課題の解決方法を以下に開示する。図31に、実施の形態1の変形例1のもう1つの課題を解決するための、DRX周期のセルDTXでのローカルeNBの送信方法を示す。図31は、実施の形態1の変形例1の解決策を用いた基地局送信信号の例を説明するタイミングチャートである。図31では、第1ローカルeNB252−1、第2ローカルeNB252−2、第3ローカルeNB252−3がDRX周期のセルDTXを実行している場合を示す。
第1ローカルeNB252−1は、送信ON信号3101に従い、無線フレーム3102を送信する。ここで、ページングフレーム(PF)3103に含まれるPOのタイミングで送信ONするだけでなく、PF3103とは異なる別の無線フレームにて、SS、PBCHのタイミングでも送信ONすることが本変形例の特徴である。第2ローカルeNB252−2、第3ローカルeNB252−3も同様に、POおよびPFとは異なる別の無線フレームにてSS、PBCHを送信ONにする。
またPOおよびPFの次の無線フレーム3104に含まれるSS、PBCHのタイミングで送信ONしてもよい。これにより、IDLE中の移動端末(UE)は、ページング信号受信と、周辺セルサーチの動作を1度の受信回路オン動作で行うことが可能となる。よって移動端末の低消費電力化という効果を得ることができる。以降、POおよびPFの次の無線フレームにてSS、PBCHのタイミングで送信ONする場合について説明する。
具体例として、UEは、IDLEモードであり、第1ローカルeNB252−1のセルで待ち受けをしているとする。該UEは、DRX周期で第1ローカルeNB252−1のPOを受信する。該UEは、PO受信に続けて周辺セルサーチを実行する。該UEは、第1ローカルeNB252−1のSSおよびPBCH、第2ローカルeNB252−2のSSおよびPBCH、第3ローカルeNB252−3のSSおよびPBCHを受信することができるので、第1ローカルeNB252−1、第2ローカルeNB252−2、第3ローカルeNB252−3を検出することができる。
第1ローカルeNB252−1、第2ローカルeNB252−2、第3ローカルeNB252−3は、SS、PBCHを送信するときに、同時にRSも送信する。UEは、セルサーチで検出した第1ローカルeNB252−1、第2ローカルeNB252−2、第3ローカルeNB252−3のRSのRSRPを測定して、セルを監視することができる。3GPPリリース8対応の移動端末(UE)は、セル選択において、RSのRSRP値を用いて各セルの比較を実施している。よって、本実施の形態1の変形例1にてSS、PBCHを送信するときに、同時にRSを送信する方法は、後方互換性に優れた移動体通信システムを構築することができるという効果を得ることができる。
図31では、第1ローカルeNB252−1、第2ローカルeNB252−2、第3ローカルeNB252−3は、SS、PBCHを1無線フレームで送信しているが、この期間を2無線フレームや3無線フレームなどと長くしてもよい。また、図31では、第1ローカルeNB252−1、第2ローカルeNB252−2、第3ローカルeNB252−3は、PFに続く無線フレームで、SS、PBCH以外のサブフレームを送信していないが、SS、PBCH以外のサブフレームでRSのみを送信してもよい。
実施の形態1の変形例2.
実施の形態1の移動体通信システムにおいて、CSGに登録されるUEが複数台存在する場合の課題について説明する。図32は、実施の形態1の変形例2の課題を説明するロケーション図である。図32では、ローカルeNB3201のカバレッジ3202内、すなわちセル圏内において、第1のUE3203がIDLEモードでページング信号受信のために、PO3204を待ち受けており、第2のUE3205がローカルeNB3201のカバレッジ3202外、すなわちセル圏外にいることを示している。ここで、ローカルeNB3201が、第1のUE3203を対象として実施の形態1で開示したDRX周期のセルDTXを行うとする。このとき、第2のUE3205がカバレッジ3202の外からカバレッジ3202の中に移動すると、ローカルeNB3201はSSもPBCHも送信していないので、第2のUE3205はローカルeNB3201のカバレッジ3202内、すなわちセル圏内にいるにも関わらず、ローカルeNB3201をセルサーチできないという課題が発生する。
このようにローカルeNB3201をセルサーチできないと、以下のような課題が発生する。例えば、第2のUE3205が電源OFF状態から電源ON状態になった場合、あるいはローカルeNB3201のカバレッジ3202の外から中に、すなわちセル圏外からセル圏内に移動してきた場合、ローカルeNB3201のカバレッジ3202内、すなわちセル圏内に存在しているにも関わらず、ローカルeNB3201にアタッチ(Attach)、すなわち位置登録できなくなる。また例えば、第2のUE3205が他の基地局のカバレッジエリアで待ち受け中であれば、ローカルeNB3201のカバレッジ3202内、すなわちセル圏内に存在しているにも関わらず、ローカルeNB3201をセル再選択で選択できなくなる。また例えば、第2のUE3205が他の基地局と通信中であれば、ローカルeNB3201のカバレッジ3202内、すなわちセル圏内にいるにも関わらず、ローカルeNB3201へハンドオーバできなくなる。
実施の形態1の変形例2における課題を解決する方法を、以下に開示する。図33は、実施の形態1の変形例2の解決策を用いた基地局送信信号の例を説明するタイミングチャートである。図33では、図32に示すローカルeNB3201およびUE3203,3205の配置および状態における、図32のローカルeNB3201の送信信号を示している。本変形例では、ローカルeNBは、前述の拡張セルDTXの信号と、実施の形態1に開示されるDRX周期のセルDTXの信号とを混合した信号を送信する。
拡張セルDTXの信号としては、SSおよびPBCHが送信される。SSは、無線フレーム(10ms)の中で、1番目のサブフレーム#0と6番目のサブフレーム#5とに配置される。PBCHは、無線フレーム(10ms)の中で、1番目のサブフレーム#0に配置される。
DRX周期のセルDTXの信号は、ローカルeNBの下り送信信号3302を構成する無線フレームのうち、例えば図33の例では、ページングフレーム(PF)3303の中で、9番目のサブフレーム♯8であるPOのサブフレームで送信される。ローカルeNBは、DRX周期のセルDTXの信号として、PDSCHとそれに付随するPDCCH、RSを送信する。ページング情報がない場合は、PDSCHを送信する必要がないので、ローカルeNBは、RSのみを送信する。
ローカルeNBは、5ms周期で送信動作をオンして、SSおよびPBCHを送信するとともに、DRX周期、具体的には1秒〜5秒程度の周期で送信動作をオンして、PDSCHとそれに付随するPDCCH、RSを送信する。つまり、ローカルeNBの送信ON信号3301は、5ms周期で、SSおよびPBCHを送信するサブフレーム(1ms程度)の期間に送出されるとともに、DRX周期、具体的には1秒〜5秒程度の周期で、POのサブフレーム(1ms程度)の期間に送出される。ローカルeNBは、その他の期間は、送信動作をオフして、下り送信信号3302の送信動作を停止することができる。SSおよびPBCHの送信周期、具体的には5ms周期は、第1の送信周期に相当し、DRX周期は、第2の送信周期に相当する。ここで、DRX周期の間欠送信(DTX)は、ページング情報がない場合、PDSCHとそれに付随するPDCCHを送信する必要がないため、RSだけとなる。
このように拡張セルDTXの信号とDRX周期のセルDTXの信号とを混合した信号を送信することによって、図32においてIDLEモードとなっている第1のUE3203は、POのタイミングでRSを受信できるので、ローカルeNB3201からのページング信号の監視ができ、ローカル周波数の偏差も測定できる。図32においてローカルeNB3201のカバレッジ3202の外、すなわちセル圏外にある第2のUE3205は、ローカルeNB3201のカバレッジ3202内、すなわちセル圏内に移動すれば、ローカルeNB3201のSSおよびPBCHを受信することができるので、ローカルeNB3201をセルサーチすることが可能である。
以上に示したように実施の形態1の変形例2では、実施の形態1と比較すると、図33に示すように、基地局であるローカルeNBの送信状態として、PO、SSおよびPBCHを送信する状態が追加されている。これは、前述の図17の拡張セルDTX1702とDRX周期のセルDTX1703とが混合された状態(以下「拡張セルとDRX周期の混合DTX」という場合がある)といえる。
図34は、実施の形態1の変形例2の解決策を説明する状態遷移図である。実施の形態1の変形例2のローカルeNBの送信状態判定部は、ローカルeNBの送信状態として、例えば、図34に示すように、通常送信3401、拡張セルDTX3402、DRX周期のセルDTX3403、および拡張セルとDRX周期の混合DTX3404の4つの状態を管理する。
CSGに登録されるUEが複数の場合におけるローカルeNBの送信状態の管理方法の例を、以下に4つ開示する。1つ1つのUEの状態を、実施の形態1の方法で管理し、複数のUEの状態の組合せで送信状態を管理する。
(1)全てのUEがセル圏外の場合、拡張セルDRX3402とする
(2)全てのUEがIDLEモードの場合、DRX周期のセルDTX3403とする
(3)1つ以上のUEがCONNECTEDモードの場合、通常送信3401とする
(4)1つ以上のUEがセル圏外であり、1つ以上のUEがIDLEモードであり、CONNECTEDモードのUEがない場合、拡張セルとDRX周期の混合DTX3404とする。
つまり、本変形例2では、予めCSGに登録されるUEが複数ある場合、ローカルeNBは、以下のように動作する。
(1)全てのUEがセルの圏外に存在するとき、拡張セルDRX3402として、SSが無線フレームに配置される周期、具体的には5ms周期で、SSおよび、報知チャネルであるPBCHを間欠的に送信する。
(2)全てのUEがIDLEモード、すなわち待ち受け状態であるとき、DRX周期のセルDTX3403として、DRX周期、具体的には1秒〜5秒程度の周期で、ページング信号およびRSのうち、少なくともRSを間欠的に送信する。
(3)複数のUEのうち、少なくとも1つのUEがCONNECTEDモードである、すなわちローカルeNBと通信しているとき、通常送信3401として、各無線フレームにおいて、SS、PBCHおよびRSを送信する。
(4)複数のUEのうち、少なくとも1つのUEがIDLEモード、すなわち待ち受け状態であり、少なくとも1つのUEがローカルeNBのセルの圏外に存在し、かつローカルeNBと通信しているUEが存在しないとき、拡張セルとDRX周期の混合DTX3404として、SSが無線フレームに配置される周期でSSおよびPBCHを間欠的に送信するとともに、DRX周期でページング信号およびRSのうち、少なくともRSを間欠的に送信する。
このように本変形例2では、(4)の1つ以上のUEがIDLEモードでPOを待ち受けており、1つ以上のUEがローカルeNBのセル圏外に存在する場合には、拡張セルとDRX周期の混合DTXを行う。これによって、IDLEモードのUEは、POのタイミングでRSを受信することができるので、ローカルeNBの監視ができ、ローカル周波数の偏差も測定できる。またローカルeNBのセル圏外に存在するUEは、セル圏内に移動したときに、ローカルeNBから送信されたSSおよびPBCHを受信することができるので、ローカルeNBをセルサーチすることが可能である。したがって、セル圏内に移動してきたときには、確実に位置登録を行うことができる。またローカルeNBをセル再選択で選択することができる。またローカルeNBにハンドオーバすることができる。
実施の形態1の変形例2で解決するべきもう一つの課題を説明する。図35は、実施の形態1の変形例2の解決策を説明するロケーション図である。図35は、2つのUE、すなわち第1のUE3503および第2のUE3505がIDLEモードであり、ローカルeNB3501のカバレッジ3502内で待ち受けをしていることを示している。第1のUE3503は第1のPO3504を受信し、第2のUE3505は第2のPO3506を受信する。一般に、第1のPO3504と第2のPO3506とは、異なるタイミングで送信される(非特許文献3参照)。したがって、ローカルeNB3501は、DRX周期で2回POを送信することになるので、第1のPO3504と第2のPO3506とを同じタイミングで送信する場合に比べて、送信時間が長くなり、消費電力が増加するという課題がある。
以下に、複数のUEが、ローカルeNBのセル圏内、すなわちカバレッジ内においてIDLEモードで待ち受けをしているときに、ローカルeNBの送信信号がDRX周期に複数回送信ONとなることを避け、消費電力の増加を抑制する方法について開示する。
(1)複数のUEの複数のPOを同一のサブフレームにする
(2)POを含む無線フレームPFでRSを送信する場合、複数のUEの複数のPOを同一の無線フレーム内にする。
複数のUEの複数のPOを同一のサブフレーム、または同一の無線フレーム内で送信する方法の例を以下に開示する。以下の方法は、非特許文献3には開示されていない。
(1)ローカルeNBおよびUEは、POの計算式をローカルeNBの場合とそれ以外のeNBの場合とで分けて、複数持つ。UEは、セル再選択をするとき、待ち受けるセルがローカルeNBであるか否かを判断し、ローカルeNBならばローカルeNB用のPOの計算式を用いる。ローカルeNB用のPOの計算式では、全てのUEにおいて同じPOまたはPFが導出されるものとする。UEは、セル再選択のときに取得するシステム情報からローカルeNBであるか否かを判断してもよい。
(2)ローカルeNBおよびUEは、複数のPOの計算式を持つ。計算式の中には、同一のeNBもしくはローカルeNBの傘下にあるUEが同一のPOまたはPFを導出する計算式C1を含む。eNBおよびローカルeNBは、どのPOの計算式を用いるかのインジケータをシステム情報に載せる。ローカルeNBは、該POの計算式C1を示すインジケータを送信する。
実施の形態1の変形例3.
実施の形態1の変形例3で解決する課題について、以下に説明する。前述の非特許文献8に開示される基地局は、該基地局のセル圏内にアクティブ(Active)なUEが存在しなければ、拡張セルDTXでSSおよびPBCHのみを送信することとしている。図36は、実施の形態1の変形例3の課題を説明するロケーション図である。図36におけるローカルeNB3601は、非特許文献8に開示される拡張セルDTXに対応しているものとする。ローカルeNB3601は、カバレッジ3602内、すなわちセル圏内にUEが存在しないので、SSおよびPBCHのみを送信する。ここで、カバレッジ3602の外、すなわちセル圏外または電源OFFのUE3603は、移動によりカバレッジ3602内、すなわちセル圏内に入る、またはカバレッジ3602内、すなわちセル圏内で電源ONになるとする。
UE3603は、ローカルeNB3601をセルサーチで検出すると、ローカルeNB3601を通してコアネットワークへアタッチ(Attach)することが規格で決められている。アタッチの手順は、前述の図27に示すとおりである。以下に、図27のシーケンスに従って動作を説明する。
図27のステップST2701において、UEは初期のセルの選択を行う。UEは、例えば受信品質が最良のセルを選択する。本動作例では、第1ローカルeNBを選択したとする。ステップST2702において、UEは、ステップST2701にて選択したローカルeNB、すなわち第1ローカルeNBのシステム情報を受信する。これによってUEは、システム情報の内容により、第1ローカルeNBへランダムアクセスするパラメータを知ることができる(非特許文献9参照)。
ところで、システム情報は、マスター情報ブロック(Master Information Block:MIB)とシステム情報ブロック(System Information Block:SIB)とから構成される。ここで、SIBは、SIB1〜SIB13まである。ランダムアクセスに必要なパラメータ、RACH設定(RACH Configuration)は、SIB2に含まれる。SIB2は、PDSCHに載せて送信される(非特許文献9参照)。
ローカルeNB3601は、非特許文献8の拡張セルDTXを行っているので、SIBを載せたPDSCHを送信しない。したがってローカルeNB3601を初期のセル選択で最良のセルと判断したUEは、ローカルeNB3601のRACH設定を取得できず、ローカルeNB3601へランダムアクセスできない。すなわち、該UEは、ローカルeNB3601を通して、コアネットワークへアタッチすることができず、通信サービスを受けることができないという課題が発生する。
また、前述の図20に示すTAUのシーケンスでも、UEがランダムアクセスできないので、TAUができないことになる。これによって、最良と判断したセルを含むTAを選択できないことになり、通信サービスが劣化するという課題が発生する。
実施の形態1の変形例3における課題を解決する方法を、以下に開示する。規格として、UEがローカルeNBにCSGとして登録するときに、ローカルeNBはUEにRACH設定を予め通知することとする。UEは、通知されたRACH設定を、ローカルeNBと関連付けて記憶しておく。
規格として、SS(P−SS,S−SS)によって送信されるセル識別番号(Physical Cell Identity:PCIとも称される)、あるいはGCI、あるいはPBCHによって送信されるMIBの中の情報によって、UEが、セルサーチしたeNBを、予め登録しているローカルeNBであることを識別できるように決めておく。
UEは検出した基地局が拡張セルDTXを実行しているか否かを判定する。拡張セルDTXの判定方法として、以下に4つ開示する。
(1)規格として、MIBの中に拡張セルDTXを示すインジケータを載せ、インジケータの値により判定する
(2)規格として、SIB1の中に拡張セルDTXを示すインジケータを載せ、インジケータの値により判定する
(3)拡張セルDTXで送信されない信号の、拡張セルDTXで送信される信号に対する信号強度の比を測定し、結果を閾値で判定する。閾値未満ならば拡張セルDTXと判定する。拡張セルDTXで送信されない信号は、例えばRSとする。拡張セルDTXで送信される信号は、例えばSSとする
(4)ある決められた時間内にSIB2の復調に成功しない場合に、拡張セルDTXと判定する。
次に実施の形態1の変形例3の課題を解決する具体的な動作例を開示する。図37は、実施の形態1の変形例3の解決策を用いた場合の移動体通信システムのシーケンス例を説明する図である。図37では、UEがローカルeNBにCSGとして登録するシーケンスの例を示している。UEは、ステップST3701において、ローカルeNBへCSG登録開始要求メッセージを送信する。ステップST3701でCSG登録開始要求メッセージを受信したローカルeNBは、ステップST3702において、UEにCSG登録開始許可メッセージを送信する。このステップST3701およびステップST3702の処理で行われるUEとローカルeNBとの間の通信は、無線回線、赤外線および有線接続のいずれの手段を用いて行ってもよく、これら以外の手段を用いて行ってもよい。
CSG登録中のローカルeNBとUEとは、ステップST3703において、CSG登録に必要な情報交換を行う。この情報交換の中で、ローカルeNBは、ステップST3704において、ランダムアクセスに必要なパラメータ、RACH設定をUEに送信する。UEは、ステップST3705において、登録中のCSG IDと、ステップST3704で受信したRACH設定およびセル識別番号とを関連付けて記憶する。ステップST3705においてUEが、CSG IDと、RACH設定およびセル識別番号とを関連付けて記憶すると、ローカルeNBは、ステップST3706において、UEにCSG登録開始完了メッセージを送信する。
図37に示す移動体通信システムのシーケンス例とは異なるが、以下のような動作例も考えられる。ローカルeNBのオーナーが別途通信網を用いてCSG登録要求を行う。上位システムからローカルeNB経由でUEへCSG登録許可が通知される。CSG登録許可には、ランダムアクセスに必要なパラメータ、RACH設定が含まれるとする。UEは、登録したローカルeNBのCSG IDと、受信したRACH設定およびセル識別番号とを関連付けて記憶する。
次に、UEがローカルeNBにランダムアクセスするときの動作例を、図38に示すシーケンスで説明する。図38は、実施の形態1の変形例3の解決策を用いた場合の移動体通信システムのシーケンス例を説明する図である。ローカルeNBは、ステップST3811において、拡張セルDTXを実行中であり、ステップST3812において、UEにSSを送信する。
ステップST3812でローカルeNBから送信されたSSを受信したUEは、ステップST3801において、初期のセルの選択またはセルの再選択を行う。UEは、例えば受信品質が最良のセルを選択する。本動作例では、ローカルeNBを選択したとする。ローカルeNBは、ステップST3813において、UEにPBCHを送信する。ステップST3813でローカルeNBから送信されるPBCHを受信したUEは、ステップST3802において、ステップST3801にて選択したローカルeNBのシステム情報(MIB、SIB1)を取得する。
ステップST3803において、UEは、基地局、本動作例ではローカルeNBが拡張セルDTXを実行中であるか否かを判定する。ステップST3803における拡張セルDTXの判定方法は、前述の(1)〜(4)の4つのどの方法でもよい。
ステップST3803においてUEが、ステップST3801で検出した基地局、すなわちローカルeNBが拡張セルDTXを実行中ではないと判断した場合、UEは、ステップST3807に移行し、ステップST3807において、通常の手順通り、システム情報としてSIB2を取得する。これによって、検出した基地局へランダムアクセスするパラメータを知ることができる(非特許文献9参照)。次いで、UEは、ステップST3808において、ステップST3807で取得したSIB2からRACH設定を決定する。
ステップST3803においてUEが、ステップST3801で検出した基地局、すなわちローカルeNBが拡張セルDTXを実行中であると判断した場合は、UEは、ステップST3804に移行する。ステップST3804において、UEは、ステップST3801のセルサーチで検出したローカルeNBのセル識別番号(CSG−ID、PCI、GCIなど)が、登録されているローカルeNBの識別番号に一致するか否かを判断する。ステップST3804において、セルサーチで検出したローカルeNBのセル識別番号が、登録されているローカルeNBの識別番号と一致しないと判断した場合は、UEは全ての処理を終了する。
ステップST3804において、セルサーチで検出したローカルeNBのセル識別番号が、登録されているローカルeNBの識別番号に一致すると判断した場合は、UEは、ステップST3805に移行する。ステップST3805において、UEは、セル識別番号から、RACH設定を決定する。より詳細には、セル識別番号と関連して記憶しているRACH設定を、検出した基地局へランダムアクセスするパラメータとして決定する。
次に、UEは、ステップST3806において、ローカルeNBにPRACH送信を行う。これによって、検出した基地局へランダムアクセスし、アクセスが許可されると、個別チャネル回線を設定する。
以上のように本変形例3では、ローカルeNBは、UEが登録されるとき、そのUEとの間のランダムアクセスに必要なパラメータをUEに通知する。これによってUEは、セル選択で選択したローカルeNBが拡張セルDTXを実行中であっても、RACH設定を特定した該基地局にランダムアクセスすることができる。UEが電源OFFの状態から電源ONした場合には、セル選択で選択したローカルeNBを通して、コアネットワークへアタッチすることができ、通信サービスを受けることが可能になる。UEが、移動により、異なるTAのローカルeNBをセル再選択した場合には、最良と判断したセルを含むTAを選択してTAUを行うことにより、通信サービスの品質を維持することができる。
実施の形態1の変形例3の課題を解決する別の方法を以下に開示する。規格として、基地局、例えばeNB、ローカルeNBは、特定の上り送信を受信すると、ランダムアクセスに必要なパラメータを含むシステム情報ブロック(SIB)を載せた物理下り共有チャネル(PDSCH)の送信を一定時間再開することにする。すなわち基地局は、前述のSIBを載せたPDSCHの送信を停止しているときに、特定の上り送信を受信すると、そのSIBを載せたPDSCHの送信を一定時間再開する。
特定の上り送信とは、上り送信用のパラメータが、移動体通信システムとして既知、あるいは準静的に決定されたものである。準静的に決定される場合は、サービングセルから移動端末(UE)へ変更時、あるいは周期的に通知されるようにすればよい。上り送信用のパラメータの具体例としては、無線リソース(周波数、時間など)、初期送信パワー、送信データ(シーケンスなど)、変調方式などがある。特定の上り送信は、特定のPRACHであってもよい。
実施の形態1の変形例3の課題を解決する具体的な動作例を、以下に開示する。UEがローカルeNBにランダムアクセスするときの動作例を、図39に示すシーケンスで説明する。
図39は、実施の形態1の変形例3の解決策を用いた場合の移動体通信システムのシーケンス例を説明する図である。ローカルeNBは、ステップST3911において、拡張セルDTXを実行中であり、ステップST3912において、UEにSSを送信する。
ステップST3912でローカルeNBから送信されたSSを受信したUEは、ステップST3901において、初期のセルの選択またはセルの再選択を行う。UEは、例えば受信品質が最良のセルを選択する。本動作例では、ローカルeNBを選択したとする。ローカルeNBは、ステップST3913において、UEにPBCHを送信する。ステップST3913でローカルeNBから送信されるPBCHを受信したUEは、ステップST3902において、ステップST3901にて選択したローカルeNBのシステム情報(MIB、SIB1)を取得する。
ステップST3903において、UEは、ステップST3901で選択した基地局、すなわちローカルeNBが拡張セルDTXを実行中であるか否かを判定する。ステップST3903における拡張セルDTXの判定方法は、前述の(1)〜(4)の4つのどの方法でもよい。
ステップST3903においてUEが、ステップST3901で検出した基地局、すなわちローカルeNBが拡張セルDTXを実行中ではないと判断した場合は、ステップST3905に移行し、ステップST3905において、通常の手順通り、SIB2を取得して、検出した基地局へランダムアクセスするパラメータを知ることができる(非特許文献9参照)。
ステップST3903においてUEが、ステップST3901で検出した基地局、すなわちローカルeNBが拡張セルDTXを実行中であると判断した場合は、ステップST3904に移行し、ステップST3904において、必要なSIB2を要求するPRACHをローカルeNBに送信する。ステップST3904でUEから送信されるPRACHを受信したローカルeNBは、ステップST3905において、一定時間、要求されたSIB2を載せたPDCCHおよびPDSCHのUEへの送信を再開する。UEは、ステップST3905でローカルeNBから送信されるSIB2を受信することによってSIB2を取得して、検出した基地局へランダムアクセスするパラメータを知ることができる。ステップST3906において、UEは、ステップST3905で受信したSIB2から、RACH設定を決定する。
次に、UEは、ステップST3907において、ローカルeNBにPRACH送信を行う。これによって、検出した基地局へランダムアクセスし、アクセスが許可されると、個別チャネル回線を設定する。
以上より、UEは、セル選択で選択したローカルeNBが拡張セルDTXを実行中であっても、RACH設定を特定した該基地局にランダムアクセスすることができる。UEが電源OFFの状態から電源ONした場合には、セル選択で選択したローカルeNBを通して、コアネットワークへアタッチすることができ、通信サービスを受けることが可能になる。UEが、移動により、異なるTAのローカルeNBをセル再選択で選択した場合には、最良と判断したセルを含むTAを選択してTAUを行うことにより、通信サービスの品質を維持することができる。
実施の形態1の変形例3の解決策の第2の方法は、基地局がローカルeNBの例を説明したが、基地局がeNBの場合にも本変形例を適用することができ、本変形例と同様の効果を得ることができる。
本変形例では、実施の形態1と組み合わせた例について主に記載したが、実施の形態1の変形例1および実施の形態1の変形例2と組み合わせても用いることができる。
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。