JPWO2011136122A1 - ガラス板の製造方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
フロートバス3で成形されたガラスリボン6を、フロートバス3の下流側に配備された搬送経路7の複数のローラ8によって連続的に搬送しつつ徐々に冷却するに際して、搬送経路7上におけるガラスリボン6が、歪点−10℃以上で且つ徐冷点+30℃以下の温度領域S内にある時に、ガラスリボン6に搬送方向Aの圧縮応力及び引張応力が印加することを抑制するように該ガラスリボン6の搬送速度V11、V12に対するローラ8の周速度V21、V22を調整する。
Description
本発明は、フロート法を用いたガラス板の製造方法及びその装置に係り、詳しくは、フロートバスの下流側に配備された搬送経路を構成している複数のローラの速度調整に関する。
周知のように、プラズマディスプレイ(PDP)や液晶ディスプレイ(LCD)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板に代表される各種のガラス板は、その一例として、フロート法と称される方法を用いて製造される。このフロート法を用いてガラス板を製造する際には、溶融錫が貯留されたフロートバスの下流側に、複数のローラを有する搬送経路を配備し、この複数のローラによって、フロートバスで成形されたガラスリボンを連続的に搬送しつつ徐々に冷却することが行われる。
このフロート法によるガラス板の製造過程においては、図6に示すような手法によりガラスリボンの成形および冷却が行われる。すなわち、フロートバス3xの溶融錫2x上には、上流側から溶融ガラスが連続的に供給され、この溶融ガラスの下流側に向かう流延時に、トップロール等を用いて幅方向両側への引張力が付与されることにより、必要な厚みと幅を有するガラスリボン6xが成形される。そして、この成形された軟質のガラスリボン6xは、フロートバス3xの出口部分であるドロスボックス4x内を通過した後、その下流側に配備された徐冷炉5x内に連続的に搬送される。
このドロスボックス4x内および徐冷炉5x内は、下流側に移行するに連れて温度が低下するように構成されており、この両者4x、5xの内部空間には、搬送経路7xを構成する複数のローラ(搬送ローラ)8xが配設されている。したがって、フロートバス3xで成形されたガラスリボン6xは、搬送経路7xを構成する複数のローラ8xによって連続的に搬送されつつ徐々に冷却されて固化されていき、徐冷炉5xの下流端から搬出された後、所定長さに切断されることにより、FPD用のガラス基板に代表されるガラス板が得られる。
このFPD用等のガラス基板は、例えばパネル製造過程において熱工程を経た場合、ガラスの構造緩和により熱収縮が生じる。特に、PDP等の場合には、電極等をパターン形成した前面ガラス基板と背面ガラス基板とを精度良く貼り合わせて構成される関係上、上記の熱工程においてガラス基板の熱収縮量に差が生じると、パターンのずれの原因となるため、パネルの画素が正常に表示されないという不具合を招く。
ところで、ガラス基板の熱収縮率は、上記の搬送経路7xにおけるガラスリボン6xの冷却速度に依存することが周知となっている。そこで、PDP用等のガラス基板の製造過程においては、ガラス基板の熱収縮率に差が生じないようにするため、ガラスリボン6xの冷却速度をドロスボックス4x内及び徐冷炉5x内で厳密に制御している。ここで、ドロスボックス4x及び徐冷炉5xの内部空間には、多数のローラ(搬送ローラ)8xが配列されるのが通例であって、それらのローラ8xを一定の速度で回転させることにより、ガラスリボン6xに送りを付与して、ドロスボックス4x及び徐冷炉5x内を通過させるように構成している。
この場合において、ガラスリボン6xに接触しているローラ8xの周速度が、ガラスリボン6xにおけるその接触部位の移動を阻害するような速度であると、その接触部位の直上流側に位置するガラスリボン6xを搬送方向において圧縮する応力が発生する。これとは逆に、ガラスリボン6xに接触しているローラ8xの周速度が、ガラスリボンにおけるその接触部位の移動を助長するような速度であると、ガラスリボン6を搬送方向において引っ張る応力が発生する。
そして、ガラスリボン6xに上記の圧縮応力が印加された場合、その圧縮応力はガラスリボン6xの搬送方向におけるガラスの構造緩和を助長し、逆に引張応力が印加された場合には、その引張応力はガラスリボン6xの搬送方向におけるガラスの構造緩和を阻害する。従って、ドロスボックス4x及び徐冷炉5x内においてガラスリボン6xの冷却速度を厳密に制御したとしても、上述の応力の印加によりガラスリボン6xの搬送方向とこれに直交する幅方向との両方向におけるガラスの構造緩和に差が生じ、ガラス基板の熱収縮率の差となって現れる。
このような問題に対処すべく、特許文献1によれば、フロート法によるガラス基板の製造過程において、ガラスリボンの徐冷点よりも200〜350℃低温の領域で、当該ガラスリボンの幅方向に温度差を設ける方法が開示されている。
しかしながら、上記の特許文献1に開示された方法によれば、ガラスリボンの徐冷点よりも200〜350℃低温の領域内の何れかの部分において、ガラスリボンを幅方向に三等分した各部の温度を、両側部分が中央部分に比して10〜35℃高くなるように制御している。
そのため、ガラスリボンの幅方向における三箇所の温度差に起因して、当該ガラスリボンの幅方向に一時的な歪が発生し得ることから、ガラスリボンを破損に至らしめる要因となり、却って問題が大きくなる。
本発明は、上記事情に鑑み、フロート法によるガラス板の製造過程において、ガラスリボンの搬送方向と幅方向とに対応するガラス板の熱収縮率の差を、ガラスリボンの幅方向に温度差を設けることによる破損等の発生を招くことなく低減させることを技術的課題とする。
上記技術的課題を解決するために創案された本発明に係る方法は、フロートバスで成形されたガラスリボンを、該フロートバスの下流側に配備された搬送経路の複数のローラによって連続的に搬送しつつ徐々に冷却するガラス板の製造方法において、前記搬送経路上におけるガラスリボンが、歪点−10℃以上で且つ徐冷点+30℃以下の温度領域内にある時に、前記ガラスリボンに搬送方向の圧縮応力及び引張応力が印加することを抑制するように該ガラスリボンの搬送速度に対する前記ローラの周速度を調整することに特徴づけられる。ここで、「ガラスリボンの搬送速度」とは、ガラスリボンが下流側に向って搬送されることにより該ガラスリボンが冷却されて搬送方向に収縮することに伴って該ガラスリボンの移動速度が遅くなることをも加味した搬送速度を意味する。
このような構成によれば、フロートバスで成形されて搬送経路の複数のローラによって搬送されているガラスリボンが、[歪点−10℃]以上で且つ[徐冷点+30℃]以下の温度領域内にある時には、当該ガラスリボンの搬送速度に対するローラの周速度が調整されることにより、ガラスリボンに搬送方向の圧縮応力及び引張応力が印加されることを抑制することができる。この場合、ガラスリボンに対しては幅方向の応力が印加されることはない。これにより、ガラスリボンの搬送方向と幅方向との両方向においてガラスの構造緩和の差が生じることを抑制し得ることになり、その結果として、最終的に得られるガラス板の上記両方向における熱収縮率の差を低減させることが可能となる。すなわち、本発明者は、ガラスリボンに印加された圧縮応力や引張応力が、ガラスの構造緩和に与える影響の大きさは、その応力が印加される温度領域に大きく依存することを見出した。そして、[歪点−10℃]未満、または[徐冷点+30℃]超の温度領域においては、ガラスリボンに搬送方向の応力が印加されたとしても、その応力がガラスの構造緩和に与える影響を無視し得ることを知見した。そこで、鋭意研究を重ねた結果、[歪点−10℃]以上で且つ[徐冷点+30℃]以下の温度領域内において、ガラスリボンに搬送方向の応力が印加されることを抑制するように、ガラスリボンの搬送速度に対するローラの周速度を調整すれば好適であることを案出するに至った。これにより、ガラスの構造緩和の差が抑制され得ることになり、その結果として、ガラス板の熱収縮率の差を低減させることができるという効果を得るに至った。
この場合、前記ガラスリボンの搬送速度に対する前記ローラの周速度の調整は、該ガラスリボンの搬送速度と該ローラの周速度とが同一もしくは略同一になるように行うことが好ましい。
このようにすれば、[歪点−10℃]以上で且つ[徐冷点+30℃]以下の温度領域内では、ガラスリボンの搬送速度とローラの周速度とが同一もしくは略同一になるので、当該ガラスリボンに搬送方向の応力が実質的に印加されなくなる。これにより、ガラスリボンの搬送方向と幅方向との両方向におけるガラスの構造緩和の差、及び最終的に得られるガラス板の上記両方向における熱収縮率の差を可及的に低減させることが可能となる。
更に、前記ガラスリボンが、歪点−10℃以上で且つ徐冷点+30℃以下の温度領域内にある時には、該ガラスリボンの冷却速度が10〜50℃/分の範囲内にあることが好ましい。
このようにすれば、[歪点−10℃]以上で且つ[徐冷点+30℃]以下の温度領域内において、ガラスリボンの搬送方向と幅方向との両方向に対してガラスの構造緩和の差が生じることを、より一層適切に抑制することが可能となる。すなわち、本発明者は、ガラスリボンに印加された圧縮応力や引張応力が、ガラスの構造緩和に与える影響の大きさは、上述の如くその応力が印加される温度領域に依存するのみならず、ガラスリボンの冷却速度にも依存することを見出した。そして、鋭意研究を重ねた結果、ガラスリボンの冷却速度が50℃/分よりも大きいと、[徐冷点+30℃]超の温度領域での応力の印加の影響が無視できなくなるおそれがあると共に、ガラスリボンの冷却速度が10℃/分よりも小さいと、[歪点−10℃]未満の温度領域での応力の印加の影響が無視できなくなるおそれがあることを知見するに至った。従って、ガラスリボンの冷却速度が上記の数値範囲内にあれば、これらの弊害が生じるおそれを回避し得ることになる。
また、上記技術的課題を解決するために創案された本発明に係る装置は、フロートバスで成形されたガラスリボンを、該フロートバスの下流側に配備された搬送経路の複数のローラによって連続的に搬送しつつ徐々に冷却するように構成したガラス板の製造装置において、前記搬送経路上におけるガラスリボンが、歪点−10℃以上で且つ徐冷点+30℃以下の温度領域内にある時に、前記ガラスリボンに搬送方向の圧縮応力及び引張応力が印加することを抑制するように前記ガラスリボンの搬送速度に対する前記ローラの周速度の調整が行われることに特徴づけられる。
この装置の構成は、上述の本発明に係る方法のうち冒頭で述べた方法の構成と実質的に同一であるので、作用効果を含む説明事項は、当該方法について既に述べた説明事項と同一である。
以上のように本発明によれば、フロートバスで成形されて[歪点−10℃]以上で且つ[徐冷点+30℃]以下の温度領域内にあるガラスリボンの搬送速度に対するローラの周速度を適切に調整することにより、ガラスリボンに搬送方向の応力が印加されることを抑制することができるため、ガラスリボンの搬送方向と幅方向との両方向に対してガラスの構造緩和の差を抑制し得ることになり、その結果として、最終的に得られるガラス板の上記両方向における熱収縮率の差を大幅に低減させることが可能となる。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態においては、プラズマディスプレイ用のガラス基板(板厚が1.0〜4.0mm)の成形に使用されるガラス板の製造装置を例示する。
図1は、本発明の実施形態に係るガラス板の製造装置の要部を示す概略側面図である。同図に示すように、ガラス板の製造装置1は、溶融錫2が貯留されたフロートバス3と、該フロートバス3の出口部分を構成するドロスボックス4と、該ドロスボックス4の下流側に配備された徐冷炉5とを有する。ドロスボックス4および徐冷炉5の内部空間には、フロートバス3の浴面上で形成されたガラスリボン6を徐々に冷却しつつ搬送する搬送経路7が配設されている。
この搬送経路7は、ドロスボックス4の上流端から徐冷炉5の下流端に至る経路であって、例えば100〜300本のローラ(搬送ローラ)8を備え、上流側から下流側に移行するに連れて温度が低くなるように構成されている。そして、この搬送経路7には、ガラスリボン6が、[歪点−10℃]以上で且つ[徐冷点+30℃]以下の温度となる特定領域Sが存在している。この特定領域Sでは、ガラスリボン6に搬送方向Aの圧縮応力及び引張応力(厳密には、搬送方向Aに沿う圧縮応力及び引張応力)が印加されることを抑制するように、ガラスリボン6の搬送速度に対するローラ8の周速度が調整されるように構成されている。本実施形態では、特定領域Sは、徐冷炉5の上流側部位に存在しているが、この部位よりも下流側に存在していてもよく、或いはドロスボックス4内と徐冷炉5内とに跨って存在していてもよい。なお、図例では、搬送経路7(特に徐冷炉5内の搬送経路)におけるローラ8の配列個数が実際よりも少数に記載されている。
図2に詳細に示すように、上記の特定領域Sでは、ガラスリボン6の搬送速度V11、V12とローラ8の周速度V21、V22との速度差が小さくなるように調整され、つまりV11とV21との速度差、及びV12とV22との速度差がそれぞれ小さくなるように調整され、好ましくは、ガラスリボン6の搬送速度V11、V12とローラ8の周速度V21、V22とが同一もしくは略同一になるように調整されている。すなわち、この特定領域Sで、ガラスリボン6の搬送速度V11、V12とローラ8の周速度V21、V22との差が大きいと、ガラスリボン6に搬送方向Aの圧縮応力aや引張応力bが印加されるが、その両速度[V11、V12]、[V21、V22]の差が適切に小さいと、ガラスリボン6への上記応力の印加が有効に抑制される。特に、この特定領域Sで、ガラスリボン6の搬送速度V11、V12とローラ8の周速度V21、V22とが全ての部位において同一もしくは略同一であると、ガラスリボン6に上記応力が印加されることを実質的に阻止することができる。従って、ガラスリボン6の搬送速度V11、V12を目標値として、ローラ8の周速度V21、V22がその目標値にできる限り近づくように制御することが必要である。
そして、このように搬送経路7が特定領域Sにある時、すなわち搬送経路7の複数のローラ8によって搬送されているガラスリボン6が、[歪点−10℃]以上で且つ[徐冷点+30℃]以下の温度領域内にある時には、ガラスリボン6に搬送方向Aの応力が印加されることを抑制することができ、しかもこの時に、ガラスリボン6に対して幅方向Bの応力が印加されることはない。これにより、ガラスリボン6の搬送方向Aと幅方向Bとの両方向においてガラスの構造緩和の差が生じることを抑制し得ることになり、その結果として、最終的に得られるガラス板の上記両方向における熱収縮率の差を低減させることが可能となる。
因みに、搬送経路7が、上記の特定領域Sを逸脱している場合、すなわちガラスリボン6が[歪点−10℃]未満、または[徐冷点+30℃]超の温度領域においては、ガラスリボン6に搬送方向Aの応力が印加されたとしても、その応力がガラスの構造緩和に与える影響を無視することができる。従って、上記の特定領域Sにおいてのみ、ガラスリボン6の搬送速度V11、V12とローラ8の周速度V21、V22との調整を適切に行えばよいことになる。なお、ガラスリボン6は、特定領域S内において、下流側に移動するに連れて冷却されることにより搬送方向Aに収縮するため、その収縮をも加味したガラスリボン6の移動速度が上述の搬送速度V11、V12となる。従って、ガラスリボン6の搬送速度V11、V12及びローラ8の周速度V21、V22とは、各ローラ8が接触しているガラスリボン6のその接触部位における搬送速度V11、V12及び周速度V21、V22を意味している。
更に、この特定領域Sにおいて、ガラスリボン6の冷却速度が10〜50℃/分の範囲内にあると、より確実にガラスリボン6の搬送方向Aと幅方向Bとの両方向においてガラスの構造緩和の差が生じることを抑制することができ、最終的に得られるガラス板の上記両方向における熱収縮率の差を低減させる上で有利となる。すなわち、ガラスリボン6の冷却速度が50℃/分よりも大きいと、[徐冷点+30℃]超の温度領域におけるガラスリボン6に対する搬送方向Aの応力の印加の影響を無視できなくなるおそれがあり、またガラスリボン6の冷却速度が10℃/分よりも小さいと、[歪点−10℃]未満の温度領域におけるガラスリボン6に対する搬送方向Aの応力の印加の影響を無視できなくなるおそれがある。
この事項について詳述すると、図3に示すように、ガラスリボン6に印加される応力がガラスの構造緩和ひいては熱収縮率に与える影響は、温度によって重みが異なるため、重み関数として表わすことができる。そして、この重み関数は、ガラスリボン6の冷却速度が大きい場合には、同図に実線で示す特性曲線Cとして表わすことができ、またガラスリボン6の冷却速度が小さい場合には、同図に三点鎖線で示す特性曲線Dとして表わすことができる。
具体的には、重み関数は、図4に示すように、ガラスリボン6の冷却速度が50℃/分の場合には実線で示す特性曲線E、40℃/分の場合には破線で示す特性曲線F、30℃/分の場合には一点鎖線で示す特性曲線G、20℃/分の場合には二点鎖線で示す特性曲線H、10℃/分の場合には三点鎖線で示す特性曲線Iとして表わすことができる。なお、これらの特性曲線E、F、G、H、Iは、ガラスの粘度特性から重み(ガラスの構造緩和ひいては熱収縮率に与える影響の重み)を計算して得られたものである。
この図4からも把握できるように、ガラスリボン6の冷却速度が10〜50℃/分の範囲内にあることを条件に、[歪点−10℃]以上で且つ[徐冷点+30℃]以下の特定領域Sにおいて重みを有することになり、この特定領域Sを逸脱した場合には、殆ど重みを有しないことになる。従って、ガラスリボン6の冷却速度が10〜50℃/分の範囲内にあり且つガラスリボン6の温度領域が上記の特定領域Sにある時に、ガラスの構造緩和ひいては熱収縮率に影響を与え得る。このような観点から、ガラスリボン6の冷却速度が10〜50℃/分の範囲内にあれば、より確実にガラス板の熱収縮率の差を低減させ得ることになる。
なお、上記実施形態では、プラズマディスプレイ用のガラス基板の成形に本発明を適用したが、液晶ディスプレイ用などのガラス基板やその他のガラス板であっても、フロート法により成形されるガラス板であれば、同様にして本発明を適用することが可能である。
本発明の実施例として、先ず第1段階で、ガラスリボンを冷却固化して最終的に得られたガラス板の中央部分から、図5aに示すように、試料としてのガラス板10を切り出し、そのガラス板10の幅方向(左右方向)の両端から同一寸法離間し且つ相互間寸法がLxとなるように2本のマーキング20を入れる。その後、ガラス板10を、マーキング20と直交する鎖線Mに沿って折り割ることにより、同一の大きさの2枚のガラス板片10a,10bに分割する。そして、この2枚のガラス板片10a、10bのうち、一方のガラス板片10aに対してのみ、常温から10℃/分の速度で昇温した後、保持温度580℃で1時間保持し、その後に5℃/分の速度で降温する。この後、図5bに示すように、上記の熱処理を施した一方のガラス板片10aと、熱処理が施されていない他方のガラス板片10bとを並列に配列させ、接着テープ(図示略)を用いて両ガラス板片10a、10bを固定した状態で、レーザー顕微鏡によりマーキング20の位置ズレ量を測定する。そして、下記の数1の式1に、マーキング20の位置ズレ量ΔL1、ΔL2と、マーキング20の相互間寸法Lxとを代入することにより、熱収縮率S(ppm)を求める。
本発明者は、このようにしてガラス板の熱収縮率を求めることを条件として、ガラスリボンの搬送速度に対するローラの周速度の調整を、上記の実施形態に係る[歪点−10℃]以上で且つ[徐冷点+30℃]以下の特定領域Sで行った。その実験結果を、下記の表1に示す。なお、表1中、符号○は、極めて良好でることを意味し、符号△は、やや良好であることを意味している。
上記の表1によれば、ガラスリボンの搬送速度に対するローラの周速度の差が、0.30%及び0.40%の場合には、ガラスリボンから最終的に得られたガラス板の搬送方向と幅方向との熱収縮率の差が何れも3ppmであるのに対して、前者の差が0.70%である場合には、後者の差が11ppmである。この事は、ガラスリボンの搬送速度に対するローラの周速度の差が、0.30%及び0.40%の場合に、ガラス板が極めて良好な熱収縮特性を示し、同じく上記速度の差が、0.70%の場合に、ガラス板がやや良好な熱収縮特性を示していると言える。このような事情を勘案すれば、ガラスリボンの搬送速度に対するローラの周速度の差は、0.5%未満であることが好ましいと解される。
1 ガラス板の製造装置
3 フロートバス
4 ドロスボックス
5 徐冷炉
6 ガラスリボン
7 搬送経路
8 ローラ
S ガラスリボンが[歪点−10℃]以上で且つ[徐冷点+30℃]以下の特定領域
V11、V12 ガラスリボンの搬送速度
V21、V22 ローラの周速度
V4 下流ゾーン(第4ゾーン)
3 フロートバス
4 ドロスボックス
5 徐冷炉
6 ガラスリボン
7 搬送経路
8 ローラ
S ガラスリボンが[歪点−10℃]以上で且つ[徐冷点+30℃]以下の特定領域
V11、V12 ガラスリボンの搬送速度
V21、V22 ローラの周速度
V4 下流ゾーン(第4ゾーン)
Claims (4)
- フロートバスで成形されたガラスリボンを、該フロートバスの下流側に配備された搬送経路の複数のローラによって連続的に搬送しつつ徐々に冷却するガラス板の製造方法において、
前記搬送経路上におけるガラスリボンが、歪点−10℃以上で且つ徐冷点+30℃以下の温度領域内にある時に、前記ガラスリボンに搬送方向の圧縮応力及び引張応力が印加することを抑制するように該ガラスリボンの搬送速度に対する前記ローラの周速度を調整することを特徴とするガラス板の製造方法。 - 前記ガラスリボンの搬送速度に対する前記ローラの周速度の調整は、該ガラスリボンの搬送速度と該ローラの周速度とが同一もしくは略同一になるように行うことを特徴とする請求項1に記載のガラス板の製造方法。
- 前記ガラスリボンが、歪点−10℃以上で且つ徐冷点+30℃以下の温度領域内にある時に、該ガラスリボンの冷却速度が10〜50℃/分の範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス板の製造方法。
- フロートバスで成形されたガラスリボンを、該フロートバスの下流側に配備された搬送経路の複数のローラによって連続的に搬送しつつ徐々に冷却するように構成したガラス板の製造装置において、
前記搬送経路上におけるガラスリボンが、歪点−10℃以上で且つ徐冷点+30℃以下の温度領域内にある時に、前記ガラスリボンに搬送方向の圧縮応力及び引張応力が印加することを抑制するように前記ガラスリボンの搬送速度に対する前記ローラの周速度の調整が行われることを特徴とするガラス板の製造装置。
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