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JPWO2019235452A1 - ターシャリーアルキル置換多環芳香族化合物 - Google Patents

ターシャリーアルキル置換多環芳香族化合物 Download PDF

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JPWO2019235452A1
JPWO2019235452A1 JP2020523107A JP2020523107A JPWO2019235452A1 JP WO2019235452 A1 JPWO2019235452 A1 JP WO2019235452A1 JP 2020523107 A JP2020523107 A JP 2020523107A JP 2020523107 A JP2020523107 A JP 2020523107A JP WO2019235452 A1 JPWO2019235452 A1 JP WO2019235452A1
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Abstract

ホウ素原子と酸素原子などで複数の芳香族環を連結した新規な多環芳香族化合物に特定のターシャリーアルキル基を導入することで、有機EL素子用材料等、有機デバイス用材料の選択肢を増やす。また、新規なシクロアルキル置換多環芳香族化合物を有機EL素子用材料として用いることで、例えば発光効率に優れた有機EL素子を提供する。

Description

本発明は、ターシャリーアルキル置換多環芳香族化合物と、これを用いた有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタおよび有機薄膜太陽電池、並びに、表示装置および照明装置に関する。なお、本明細書中で「有機電界発光素子」のことを「有機EL素子」または単に「素子」と表記することがある。
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、小電力化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料から成る有機電界発光素子は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の一つである青色などの発光特性を有する有機材料の開発、および正孔、電子などの電荷輸送能(半導体や超電導体となる可能性を有する)を備えた有機材料の開発については、高分子化合物、低分子化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。
有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層には、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがあるが、これらの層に適当な種々の有機材料が開発されている。
発光層用材料としては、例えばベンゾフルオレン系化合物などが開発されている(国際公開第2004/061047号公報)。また、正孔輸送材料としては、例えばトリフェニルアミン系化合物などが開発されている(特開2001-172232号公報)。また、電子輸送材料としては、例えばアントラセン系化合物などが開発されている(特開2005-170911号公報)。
また、近年では有機EL素子や有機薄膜太陽電池に使用する材料としてトリフェニルアミン誘導体を改良した材料も報告されている(国際公開第2012/118164号公報)。この材料は既に実用化されていたN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)を参考にして、トリフェニルアミンを構成する芳香環同士を連結することでその平面性を高めたことを特徴とする材料である。この文献では例えばNO連結系化合物(63頁の化合物1)の電荷輸送特性が評価されているが、NO連結系化合物以外の材料の製造方法については記載されておらず、また、連結する元素が異なれば化合物全体の電子状態が異なるため、NO連結系化合物以外の材料から得られる特性も未だ知られていない。このような化合物の例は他にも見られる(国際公開第2011/107186号公報)。例えば、三重項励起子のエネルギー(T1)が大きい共役構造を有する化合物は、より短い波長の燐光を発することができるため、青色の発光層用材料として有益である。また、発光層を挟む電子輸送材料や正孔輸送材料としてもT1が大きい新規共役構造を有する化合物が求められている。
有機EL素子のホスト材料は、一般に、ベンゼンやカルバゾールなどの既存の芳香環を単結合やリン原子やケイ素原子で複数連結した分子である。これは、比較的共役系の小さな芳香環を多数連結することで、ホスト材料に必要とされる大きなHOMO−LUMOギャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)が担保されるからである。さらに、燐光材料や熱活性型遅延蛍光材料を用いた有機EL素子のホスト材料には、高い三重項励起エネルギー(E)も必要となるが、分子にドナーあるいはアクセプター性の芳香環や置換基を連結することで、三重項励起状態(T1)のSOMO1およびSOMO2を局在化させ、両軌道間の交換相互作用を小さくすることで、三重項励起エネルギー(E)を向上させることが可能となる。しかし、共役系の小さな芳香環はレドックス安定性が十分ではなく、既存の芳香環を連結していった分子をホスト材料として用いた素子は寿命が十分ではない。一方、拡張π共役系を有する多環芳香族化合物は、一般に、レドックス安定性は優れているが、HOMO−LUMOギャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)や三重項励起エネルギー(E)が低いため、ホスト材料に不向きと考えられてきた。
国際公開第2004/061047号公報 特開2001-172232号公報 特開2005-170911号公報 国際公開第2012/118164号公報 国際公開第2011/107186号公報 国際公開第2015/102118号公報
上述するように、有機EL素子に用いられる材料としては種々の材料が開発されているが、有機EL素子用材料の選択肢を増やすために、従来とは異なる化合物からなる材料の開発が望まれている。特に、特許文献1〜4で報告されたNO連結系化合物以外の材料から得られる有機EL特性やその製造方法は未だ知られていない。
また、特許文献6では、ホウ素を含む多環芳香族化合物とそれを用いた有機EL素子が報告されているが、更に素子特性を向上させるべく、発光効率や素子寿命を向上させることができる発光層用材料、特にドーパント材料が求められている。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の構造を有するターシャリーアルキル基を導入した多環芳香族化合物を含有する層を一対の電極間に配置して例えば有機EL素子を構成することにより、優れた有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、以下のようなターシャリーアルキル置換多環芳香族化合物またはその多量体、さらには以下のようなターシャリーアルキル置換多環芳香族化合物またはその多量体を含む有機EL素子用材料等の有機デバイス用材料を提供する。
なお、本明細書において化学構造や置換基を炭素数で表すことがあるが、化学構造に置換基が置換した場合や、置換基にさらに置換基が置換した場合などにおける炭素数は、化学構造や置換基それぞれの炭素数を意味し、化学構造と置換基の合計の炭素数や、置換基と置換基の合計の炭素数を意味するものではない。例えば、「炭素数Xの置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「炭素数Xの置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。また例えば、「置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「(炭素数限定がない)置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。
項1.
下記一般式(1)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(1)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体。
Figure 2019235452
(上記式(1)中、
A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rであり、前記Si−RおよびGe−RのRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、
およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、前記>C(−R)のRは、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、また、前記>N−RのRおよび/または前記>C(−R)のRは連結基または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合していてもよく、
式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、重水素、シアノまたはハロゲンで置換されていてもよく、そして、
式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は上記一般式(tR)で表される基で置換されており、
上記式(tR)中、Rは炭素数2〜24のアルキルであり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置換されていてもよく、上記式(tR)で表される基は*において上記式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素と置換する。)
項2.
A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は、置換または無置換のアリール、置換または無置換のヘテロアリール、置換または無置換のジアリールアミノ、置換または無置換のジヘテロアリールアミノ、置換または無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換または無置換のジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、置換または無置換のアルキル、置換または無置換のシクロアルキル、置換または無置換のアルコキシまたは置換または無置換のアリールオキシで置換されていてもよく、また、これらの環はY、XおよびXから構成される上記式中央の縮合2環構造と結合を共有する5員環または6員環を有し、
は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rであり、前記Si−RおよびGe−RのRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、
およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよいヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、前記>C(−R)のRは、水素、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、また、前記>N−RのRおよび/または前記>C(−R)のRは−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合していてもよく、前記−C(−R)−のRは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであり、
式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、重水素、シアノまたはハロゲンで置換されていてもよく、
多量体の場合には、一般式(1)で表される構造を2または3個有する2または3量体であり、そして、
式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は上記一般式(tR)で表される基で置換されており、
上記式(tR)中、Rは炭素数2〜24のアルキルであり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置換されていてもよく、上記式(tR)で表される基は*において上記式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素と置換する、
項1に記載する多環芳香族化合物またはその多量体。
項3.
下記一般式(2)で表される、項1に記載する多環芳香族化合物。
Figure 2019235452
(上記式(2)中、
〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rであり、前記Si−RおよびGe−RのRは、炭素数6〜12のアリール、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜14のシクロアルキルであり、
およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜14のシクロアルキルであり、前記>C(−R)のRは、水素、炭素数6〜12のアリール、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜14のシクロアルキルであり、また、前記>N−RのRおよび/または前記>C(−R)のRは−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により前記a環、b環および/またはc環と結合していてもよく、前記−C(−R)−のRは炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜14のシクロアルキルであり、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、重水素、シアノまたはハロゲンで置換されていてもよく、そして、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は上記一般式(tR)で表される基で置換されており、
上記式(tR)中、Rは炭素数2〜24のアルキルであり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置換されていてもよく、上記式(tR)で表される基は*において上記式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換する。)
項4.
〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、ジアリールボリル(ただしアリールは炭素数6〜12のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数3〜24のシクロアルキルであり、また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9〜16のアリール環または炭素数6〜15のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数3〜16のシクロアルキルで置換されていてもよく、
は、B、P、P=O、P=SまたはSi−Rであり、前記Si−RのRは、炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、
およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)または>Sであり、前記>N−RのRは、炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、前記>C(−R)のRは、水素、炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、重水素、シアノまたはハロゲンで置換されていてもよく、そして、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は上記一般式(tR)で表される基で置換されており、
上記式(tR)中、Rは炭素数2〜24のアルキルであり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置換されていてもよく、上記式(tR)で表される基は*において上記式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換する、
項3に記載する多環芳香族化合物。
項5.
〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜20のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)、ジアリールボリル(ただしアリールは炭素数6〜10のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数3〜16のシクロアルキルであり、
は、B、P、P=OまたはP=Sであり、
およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rまたは>C(−R)であり、前記>N−RのRは、炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、前記>C(−R)のRは、水素、炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、そして、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は上記一般式(tR)で表される基で置換されており、
上記式(tR)中、Rは炭素数2〜24のアルキルであり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置換されていてもよく、上記式(tR)で表される基は*において上記式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換する、
項3に記載する多環芳香族化合物。
項6.
〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜16のアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)、ジアリールボリル(ただしアリールは炭素数6〜10のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数3〜16のシクロアルキルであり、
はBであり、
およびXは共に>N−Rであるか、または、Xは>N−RであってXは>Oであり、前記>N−RのRは、炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、そして、
式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は上記一般式(tR)で表される基で置換されており、
上記式(tR)中、Rは炭素数2〜24のアルキルであり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置換されていてもよく、上記式(tR)で表される基は*において上記式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換する、
項3に記載する多環芳香族化合物。
項7.
上記一般式(tR)で表される基で置換されたジアリールアミノ基、上記一般式(tR)で表される基で置換されたカルバゾリル基または上記一般式(tR)で表される基で置換されたベンゾカルバゾリル基で置換されている、項1〜6のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体。
項8.
は、上記一般式(tR)で表される基で置換されたジアリールアミノ基または上記一般式(tR)で表される基で置換されたカルバゾリル基である、項3〜6のいずれかに記載する多環芳香族化合物。
項9.
前記ハロゲンはフッ素である、項1〜8のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体。
項10.
下記構造式のいずれかで表される、項1に記載する多環芳香族化合物。
Figure 2019235452
(各式中の「tBu」はt−ブチル基、「tAm」はt−アミル基である。)
項11.
下記構造式のいずれかで表される、項1に記載する多環芳香族化合物。
Figure 2019235452
(各式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt−ブチル基、「tAm」はt−アミル基である。)
項12.
項1〜11のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体に反応性置換基が置換した、反応性化合物。
項13.
項12に記載する反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、または、当該高分子化合物をさらに架橋させた高分子架橋体。
項14.
主鎖型高分子に項12に記載する反応性化合物を置換させたペンダント型高分子化合物、または、当該ペンダント型高分子化合物をさらに架橋させたペンダント型高分子架橋体。
項15.
項1〜11のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体を含有する、有機デバイス用材料。
項16.
項12に記載する反応性化合物を含有する、有機デバイス用材料。
項17.
項13に記載する高分子化合物または高分子架橋体を含有する、有機デバイス用材料。
項18.
項14に記載するペンダント型高分子化合物またはペンダント型高分子架橋体を含有する、有機デバイス用材料。
項19.
前記有機デバイス用材料が、有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料である、項15〜18のいずれかに記載する有機デバイス用材料。
項20.
前記有機電界発光素子用材料が発光層用材料である、項19に記載する有機デバイス用材料。
項21.
項1〜11のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体と、有機溶媒とを含む、インク組成物。
項22.
項12に記載する反応性化合物と、有機溶媒とを含む、インク組成物。
項23.
主鎖型高分子と、項12に記載する反応性化合物と、有機溶媒とを含む、インク組成物。
項24.
項13に記載する高分子化合物または高分子架橋体と、有機溶媒とを含む、インク組成物。
項25.
項14に記載するペンダント型高分子化合物またはペンダント型高分子架橋体と、有機溶媒とを含む、インク組成物。
項26.
陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、請求項1〜11のいずれかに記載する多環芳香族化合物もしくはその多量体、項12に記載する反応性化合物、項13に記載する高分子化合物もしくは高分子架橋体、または、項14に記載するペンダント型高分子化合物もしくはペンダント型高分子架橋体を含有する有機層とを有する、有機電界発光素子。
項27.
陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、項1〜11のいずれかに記載する多環芳香族化合物もしくはその多量体、項12に記載する反応性化合物、項13に記載する高分子化合物もしくは高分子架橋体、または、項14に記載するペンダント型高分子化合物もしくはペンダント型高分子架橋体を含有する発光層とを有する、有機電界発光素子。
項28.
前記発光層が、ホストと、ドーパントとしての前記多環芳香族化合物、その多量体、反応性化合物、高分子化合物、高分子架橋体、ペンダント型高分子化合物またはペンダント型高分子架橋体とを含む、項27に記載する有機電界発光素子。
項29.
前記ホストが、アントラセン系化合物、フルオレン系化合物、ジベンゾクリセン系化合物またはピレン系化合物である、項28に記載する有機電界発光素子。
項30.
前記陰極と前記発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体およびキノリノール系金属錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、項26〜29のいずれかに記載する有機電界発光素子。
項31.
前記電子輸送層および/または電子注入層が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、項30に記載の有機電界発光素子。
項32.
正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層のうちの少なくとも1つの層が、各層を形成し得る低分子化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくは、当該高分子化合物をさらに架橋させた高分子架橋体、または、各層を形成し得る低分子化合物を主鎖型高分子と反応させたペンダント型高分子化合物、もしくは、当該ペンダント型高分子化合物をさらに架橋させたペンダント型高分子架橋体を含む、項26〜31のいずれかに記載する有機電界発光素子。
項33.
項26〜32のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置。
項34.
有機電界発光素子の発光層を塗布形成するための発光層形成用組成物であって、
第1成分として、少なくとも1種の項1〜11のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体と、
第2成分として、少なくとも1種のホスト材料と、
第3成分として、少なくとも1種の有機溶媒と、
を含む発光層形成用組成物。
項35.
陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、項34に記載する発光層形成用組成物を塗布・乾燥して形成した発光層とを有する、有機電界発光素子。
本発明の好ましい態様によれば、例えば有機EL素子用材料等の有機デバイス用材料として用いることができる、新規なターシャリーアルキル置換多環芳香族化合物を提供することができ、このターシャリーアルキル置換多環芳香族化合物を用いることで優れた有機EL素子等の有機デバイスを提供することができる。
具体的には、本発明者らは、芳香環をホウ素、リン、酸素、窒素、硫黄などのヘテロ元素で連結した多環芳香族化合物(基本骨格部分)が、大きなHOMO−LUMOギャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)と高い三重項励起エネルギー(E)を有することを見出した。これは、ヘテロ元素を含む6員環は芳香族性が低いため、共役系の拡張に伴うHOMO−LUMOギャップの減少が抑制されること、ヘテロ元素の電子的な摂動により三重項励起状態(T1)のSOMO1およびSOMO2が局在化することが原因となっていると考えられる。また、本発明に係るヘテロ元素を含有する多環芳香族化合物(基本骨格部分)は、三重項励起状態(T1)におけるSOMO1およびSOMO2の局在化により、両軌道間の交換相互作用が小さくなるため、三重項励起状態(T1)と一重項励起状態(S1)のエネルギー差が小さく、熱活性型遅延蛍光を示すため、有機EL素子の蛍光材料としても有用である。また、高い三重項励起エネルギー(E)を有する材料は、燐光有機EL素子や熱活性型遅延蛍光を利用した有機EL素子の電子輸送層や正孔輸送層としても有用である。更に、これらの多環芳香族化合物(基本骨格部分)は、置換基の導入により、HOMOとLUMOのエネルギーを任意に動かすことができるため、イオン化ポテンシャルや電子親和力を周辺材料に応じて最適化することが可能である。
このような基本骨格部分の特性に加えて、本発明の化合物には上記一般式(tR)で表されるターシャリーアルキル基が導入されることで、以下のような効果を得ることができる。
多環芳香族化合物の基本骨格部分は分子の平面性が高く、分子間の相互作用が大きくなるため、例えば有機EL素子の発光層のドーパント材料として使用する場合に、分子の凝集に由来して素子の発光効率が低下することがある。そのため、従来、基本骨格部分にアルキル基を導入して分子間の相互作用を低下させることで、発光効率を改善していた。
しかしながら、例えばt−ブチル基は、化合物の溶解性を高めるほどのアルキル鎖長ではなく、化合物の溶解性が低いと、合成や精製などの処理に莫大な有機溶剤が必要となり、作業工数や製造コストが大きくなるので、好ましくない。
これらの点を鑑み鋭意検討した結果、上記一般式(tR)で表される基を導入することで、分子の凝集が緩和されることにより高い発光効率が得られ、さらに溶解性が高くなるためより低コストで製造が可能な、多環芳香族化合物を見出した。また、上記式(tR)で表される基の導入により有機溶媒への溶解性が向上するため、塗布プロセスを利用した素子作製にも適用することが可能となる。ただし、これらの効果は、分子内に少なくとも1つの式(tR)で表される基が存在していれば得られる効果であり、分子内に、上述した、溶解性を高めるほどのアルキル鎖長ではない置換基(例えばt−ブチル基)が存在することを否定するものではない。なお、本発明は特にこれらの原理に限定されるわけではない。
本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
1.ターシャリーアルキル置換された多環芳香族化合物およびその多量体
本願発明は、下記一般式(1)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(1)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体であり、好ましくは、下記一般式(2)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(2)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体であり、これらの化合物または構造における少なくとも1つの水素は下記一般式(tR)で表される基で置換されている。
Figure 2019235452
一般式(1)におけるA環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換基で置換されていてもよい。この置換基は、置換または無置換のアリール、置換または無置換のヘテロアリール、置換または無置換のジアリールアミノ、置換または無置換のジヘテロアリールアミノ、置換または無置換のアリールヘテロアリールアミノ(アリールとヘテロアリールを有するアミノ基)、置換または無置換のジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、置換または無置換のアルキル、置換または無置換のシクロアルキル、置換または無置換のアルコキシまたは置換または無置換のアリールオキシが好ましい。これらの基が置換基を有する場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルがあげられる。また、上記アリール環またはヘテロアリール環は、Y、XおよびXから構成される一般式(1)中央の縮合2環構造と結合を共有する5員環または6員環を有することが好ましい。
ここで、「縮合2環構造」とは、一般式(1)の中央に示した、Y、XおよびXを含んで構成される2つの飽和炭化水素環が縮合した構造を意味する。また、「縮合2環構造と結合を共有する6員環」とは、例えば上記一般式(2)で示すように前記縮合2環構造に縮合したa環(ベンゼン環(6員環))を意味する。また、「(A環である)アリール環またはヘテロアリール環がこの6員環を有する」とは、この6員環だけでA環が形成されるか、または、この6員環を含むようにこの6員環にさらに他の環などが縮合してA環が形成されることを意味する。言い換えれば、ここで言う「6員環を有する(A環である)アリール環またはヘテロアリール環」とは、A環の全部または一部を構成する6員環が、前記縮合2環構造に縮合していることを意味する。「B環(b環)」、「C環(c環)」、また「5員環」についても同様の説明が当てはまる。
一般式(1)におけるA環(またはB環、C環)は、一般式(2)におけるa環とその置換基R〜R(またはb環とその置換基R〜R11、c環とその置換基R〜R)に対応する。すなわち、一般式(2)は、一般式(1)のA〜C環として「6員環を有するA〜C環」が選択された構造に対応する。その意味で、一般式(2)の各環を小文字のa〜cで表した。
一般式(2)では、a環、b環およびc環の置換基R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。したがって、一般式(2)で表される多環芳香族化合物は、a環、b環およびc環における置換基の相互の結合形態によって、下記式(2−1)および式(2−2)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。各式中のA’環、B’環およびC’環は、一般式(1)におけるそれぞれA環、B環およびC環に対応する。
Figure 2019235452
上記式(2−1)および式(2−2)中のA’環、B’環およびC’環は、一般式(2)で説明すれば、置換基R〜R11のうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環およびc環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す(a環、b環またはc環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。なお、式では示してはいないが、a環、b環およびc環の全てがA’環、B’環およびC’環に変化した化合物もある。また、上記式(2−1)および式(2−2)から分かるように、例えば、b環のRとc環のR、b環のR11とa環のR、c環のRとa環のRなどは「隣接する基同士」には該当せず、これらが結合することはない。すなわち、「隣接する基」とは同一環上で隣接する基を意味する。
上記式(2−1)や式(2−2)で表される化合物は、例えばa環(またはb環またはc環)であるベンゼン環に対してベンゼン環、インドール環、ピロール環、ベンゾフラン環またはベンゾチオフェン環が縮合して形成されるA’環(またはB’環またはC’環)を有する化合物であり、形成されてできた縮合環A’(または縮合環B’または縮合環C’)はそれぞれナフタレン環、カルバゾール環、インドール環、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環である。
一般式(1)におけるYは、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rであり、前記Si−RおよびGe−RのRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルである。P=O、P=S、Si−RまたはGe−Rの場合には、A環、B環またはC環と結合する原子はP、SiまたはGeである。Yは、B、P、P=O、P=SまたはSi−Rが好ましく、Bが特に好ましい。この説明は一般式(2)におけるYでも同じである。
一般式(1)におけるXおよびXは、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、前記>C(−R)のRは、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、前記>N−RのRおよび/または前記>C(−R)のRは連結基または単結合により前記B環および/またはC環と結合していてもよく、連結基としては、−O−、−S−または−C(−R)−が好ましい。なお、前記「−C(−R)−」のRは水素、アルキルまたはシクロアルキルである。この説明は一般式(2)におけるXおよびXでも同じである。
ここで、一般式(1)における「前記>N−RのRおよび/または前記>C(−R)のRは連結基または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合している」との規定は、一般式(2)では「前記>N−RのRおよび/または前記>C(−R)のRは−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により前記a環、b環および/またはc環と結合している」との規定に対応する。
この規定は、下記式(2−3−1)で表される、XやXが縮合環B’および縮合環C’に取り込まれた環構造を有する化合物で表現できる。すなわち、例えば一般式(2)におけるb環(またはc環)であるベンゼン環に対してX(またはX)を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるB’環(またはC’環)を有する化合物である。形成されてできた縮合環B’(または縮合環C’)は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。
また、上記規定は、下記式(2−3−2)や式(2−3−3)で表される、Xおよび/またはXが縮合環A’に取り込まれた環構造を有する化合物でも表現できる。すなわち、例えば一般式(2)におけるa環であるベンゼン環に対してX(および/またはX)を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるA’環を有する化合物である。形成されてできた縮合環A’は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。
Figure 2019235452
一般式(1)のA環、B環およびC環である「アリール環」としては、例えば、炭素数6〜30のアリール環があげられ、炭素数6〜16のアリール環が好ましく、炭素数6〜12のアリール環がより好ましく、炭素数6〜10のアリール環が特に好ましい。なお、この「アリール環」は、一般式(2)で規定された「R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に形成されたアリール環」に対応し、また、a環(またはb環、c環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数9が下限の炭素数となる。
具体的な「アリール環」としては、単環系であるベンゼン環、二環系であるビフェニル環、縮合二環系であるナフタレン環、三環系であるテルフェニル環(m−テルフェニル、o−テルフェニル、p−テルフェニル)、縮合三環系である、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、縮合五環系であるペリレン環、ペンタセン環などがあげられる。
一般式(1)のA環、B環およびC環である「ヘテロアリール環」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリール環があげられ、炭素数2〜25のヘテロアリール環が好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリール環がより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリール環がさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリール環が特に好ましい。また、「ヘテロアリール環」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。なお、この「ヘテロアリール環」は、一般式(2)で規定された「R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に形成されたヘテロアリール環」に対応し、また、a環(またはb環、c環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数6が下限の炭素数となる。
具体的な「ヘテロアリール環」としては、例えば、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H−インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H−ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、フェナザシリン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、フラザン環、チアントレン環などがあげられる。
上記「アリール環」または「ヘテロアリール環」における少なくとも1つの水素は、第1の置換基である、置換または無置換の「アリール」、置換または無置換の「ヘテロアリール」、置換または無置換の「ジアリールアミノ」、置換または無置換の「ジヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、置換または無置換の「アルキル」、置換または無置換の「シクロアルキル」、置換または無置換の「アルコキシ」、または、置換または無置換の「アリールオキシ」で置換されていてもよいが、この第1の置換基としての「アリール」や「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」のアリール、「ジヘテロアリールアミノ」のヘテロアリール、「アリールヘテロアリールアミノ」のアリールとヘテロアリール、「ジアリールボリル」のアリール、また「アリールオキシ」のアリールとしては上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基があげられる。
また第1の置換基としての「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキルがあげられる。炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)が特に好ましい。炭素数1〜4のアルキルとしては、メチル基およびt−ブチル基がより好ましいが、t−ブチル基がさらに好ましい。
具体的なアルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
また第1の置換基としての「シクロアルキル」としては、炭素数3〜24のシクロアルキル、炭素数3〜20のシクロアルキル、炭素数3〜16のシクロアルキル、炭素数3〜14のシクロアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数5〜6のシクロアルキル、炭素数5のシクロアルキルなどがあげられる。
具体的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、およびこれらの炭素数1〜4のアルキル(特にメチル)置換体や、ノルボルネニル、ビシクロ[1.0.1]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられる。
また第1の置換基としての「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1〜24の直鎖または炭素数3〜24の分岐鎖のアルコキシがあげられる。炭素数1〜18のアルコキシ(炭素数3〜18の分岐鎖のアルコキシ)が好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ(炭素数3〜12の分岐鎖のアルコキシ)がより好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ(炭素数3〜6の分岐鎖のアルコキシ)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ(炭素数3〜4の分岐鎖のアルコキシ)が特に好ましい。
具体的なアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシなどがあげられる。
また第1の置換基の「ジアリールボリル」中の「アリール」としては、上述したアリールの説明を引用できる。また、この2つのアリールは単結合または連結基(例えば>C(−R)、>O、>Sまたは>N−R)を介して結合していてもよい。ここで、>C(−R)および>N−RのRは、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)であり、当該第1置換基にはさらにアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)が置換していてもよく、これらの基の具体例としては、上述した第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシの説明を引用できる。
第1の置換基である、置換または無置換の「アリール」、置換または無置換の「ヘテロアリール」、置換または無置換の「ジアリールアミノ」、置換または無置換の「ジヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、置換または無置換の「アルキル」、置換または無置換の「シクロアルキル」、置換または無置換の「アルコキシ」、または、置換または無置換の「アリールオキシ」は、置換または無置換と説明されているとおり、それらにおける少なくとも1つの水素が第2の置換基で置換されていてもよい。この第2の置換基としては、例えば、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルがあげられ、それらの具体例は、上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基、また第1の置換基としての「アルキル」または「シクロアルキル」の説明を参照することができる。また、第2の置換基としてのアリールやヘテロアリールには、それらにおける少なくとも1つの水素がフェニルなどのアリール(具体例は上述した基)やメチルなどのアルキル(具体例は上述した基)またはシクロヘキシルなどのシクロアルキル(具体例は上述した基)で置換された構造も第2の置換基としてのアリールやヘテロアリールに含まれる。その一例としては、第2の置換基がカルバゾリル基の場合には、9位における少なくとも1つの水素がフェニルなどのアリール、メチルなどのアルキルまたはシクロヘキシルなどのシクロアルキルで置換されたカルバゾリル基も第2の置換基としてのヘテロアリールに含まれる。
一般式(2)のR〜R11におけるアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノのアリール、ジヘテロアリールアミノのヘテロアリール、アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリール、ジアリールボリルのアリール、またはアリールオキシのアリールとしては、一般式(1)で説明した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基があげられる。また、R〜R11におけるアルキル、シクロアルキルまたはアルコキシとしては、上述した一般式(1)の説明における第1の置換基としての「アルキル」、「シクロアルキル」または「アルコキシ」の説明を参照することができる。さらに、これらの基への置換基としてのアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルも同様である。また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成した場合の、これらの環への置換基であるヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ、および、さらなる置換基であるアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルについても同様である。
具体的には、第1置換基の構造の立体障害性、電子供与性および電子吸引性により発光波長を調整することができ、好ましくは以下の構造式で表される基であり、より好ましくは、メチル、t−ブチル、フェニル、o−トリル、p−トリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジフェニルアミノ、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6−ジメチルカルバゾリル、3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルおよびフェノキシであり、さらに好ましくは、メチル、t−ブチル、フェニル、o−トリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジフェニルアミノ、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6−ジメチルカルバゾリルおよび3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルである。合成の容易さの観点からは、立体障害が大きい方が選択的な合成のために好ましく、具体的には、t−ブチル、o−トリル、p−トリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、3,6−ジメチルカルバゾリルおよび3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルが好ましい。
下記構造式において、「Me」はメチル、「tBu」はt−ブチルを表す。
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一般式(1)のYにおけるSi−RおよびGe−RのRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルであるが、このアリール、アルキルまたはシクロアルキルとしては上述する基があげられる。特に炭素数6〜10のアリール(例えばフェニル、ナフチルなど)、炭素数1〜4のアルキル(例えばメチル、エチル、t−ブチルなど、特にt−ブチル)または炭素数5〜10のシクロアルキル(好ましくはシクロヘキシルやアダマンチル)が好ましい。この説明は一般式(2)におけるYでも同じである。
一般式(1)のXおよびXにおける>N−RのRは、上述した第2の置換基で置換されていてもよい、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、アリールやヘテロアリールにおける少なくとも1つの水素は例えばアルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。このアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルとしては上述する基があげられる。特に炭素数6〜10のアリール(例えばフェニル、ナフチルなど)、炭素数2〜15のヘテロアリール(例えばカルバゾリルなど)、炭素数1〜4のアルキル(例えばメチル、エチル、t−ブチルなど、特にt−ブチル)または炭素数5〜10のシクロアルキル(好ましくはシクロヘキシルやアダマンチル)が好ましい。この説明は一般式(2)におけるXおよびXでも同じである。
一般式(1)のXおよびXにおける>C(−R)のRは、水素、上述した第2の置換基で置換されていてもよい、アリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、アリールにおける少なくとも1つの水素は例えばアルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。このアリール、アルキルまたはシクロアルキルとしては上述する基があげられる。特に炭素数6〜10のアリール(例えばフェニル、ナフチルなど)、炭素数1〜4のアルキル(例えばメチル、エチル、t−ブチルなど、特にt−ブチル)または炭素数5〜10のシクロアルキル(好ましくはシクロヘキシルやアダマンチル)が好ましい。この説明は一般式(2)におけるXおよびXでも同じである。
一般式(1)における連結基である「−C(−R)−」のRは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであるが、このアルキルまたはシクロアルキルとしては上述する基があげられる。特に炭素数1〜4のアルキル(例えばメチル、エチル、t−ブチルなど、特にt−ブチル)または炭素数5〜10のシクロアルキル(好ましくはシクロヘキシルやアダマンチル)が好ましい。この説明は一般式(2)における連結基である「−C(−R)−」でも同じである。
また、本願発明は、一般式(1)で表される単位構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体、好ましくは、一般式(2)で表される単位構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。多量体は、2〜6量体が好ましく、2〜3量体がより好ましく、2量体が特に好ましい。多量体は、一つの化合物の中に上記単位構造を複数有する形態であればよく、例えば、上記単位構造が単結合、炭素数1〜3のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などの連結基で複数結合した形態(連結型多量体)に加えて、上記単位構造に含まれる任意の環(A環、B環またはC環、a環、b環またはc環)を複数の単位構造で共有するようにして結合した形態(環共有型多量体)であってもよく、また、上記単位構造に含まれる任意の環(A環、B環またはC環、a環、b環またはc環)同士が縮合するようにして結合した形態(環縮合型多量体)であってもよいが、環共有型多量体および環縮合型多量体が好ましく、環共有型多量体がより好ましい。
このような多量体としては、例えば、下記式(2−4)、式(2−4−1)、式(2−4−2)、式(2−5−1)〜式(2−5−4)または式(2−6)で表される多量体化合物が挙げられる。下記式(2−4)で表される多量体化合物は、一般式(2)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、複数の一般式(2)で表される単位構造を一つの化合物中に有する多量体化合物(環共有型多量体)である。また、下記式(2−4−1)で表される多量体化合物は、一般式(2)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、二つの一般式(2)で表される単位構造を一つの化合物中に有する多量体化合物(環共有型多量体)である。また、下記式(2−4−2)で表される多量体化合物は、一般式(2)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、三つの一般式(2)で表される単位構造を一つの化合物中に有する多量体化合物(環共有型多量体)である。また、下記式(2−5−1)〜式(2−5−4)で表される多量体化合物は、一般式(2)で説明すれば、b環(またはc環)であるベンゼン環を共有するようにして、複数の一般式(2)で表される単位構造を一つの化合物中に有する多量体化合物(環共有型多量体)である。また、下記式(2−6)で表される多量体化合物は、一般式(2)で説明すれば、例えばある単位構造のb環(またはa環、c環)であるベンゼン環とある単位構造のb環(またはa環、c環)であるベンゼン環とが縮合するようにして、複数の一般式(2)で表される単位構造を一つの化合物中に有する多量体化合物(環縮合型多量体)である。
Figure 2019235452
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多量体化合物は、式(2−4)、式(2−4−1)または式(2−4−2)で表現される多量化形態と、式(2−5−1)〜式(2−5−4)のいずれかまたは式(2−6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよく、式(2−5−1)〜式(2−5−4)のいずれかで表現される多量化形態と、式(2−6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよく、式(2−4)、式(2−4−1)または式(2−4−2)で表現される多量化形態と式(2−5−1)〜式(2−5−4)のいずれかで表現される多量化形態と式(2−6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよい。
また、一般式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の化学構造中の水素は、その全てまたは一部が重水素、シアノまたはハロゲンであってもよい。例えば、式(1)においては、A環、B環、C環(A〜C環はアリール環またはヘテロアリール環)、A〜C環への置換基、YがSi−RまたはGe−RであるときのR(=アルキル、シクロアルキル、アリール)、ならびに、XおよびXが>N−Rや>C(−R)であるときのR(=アルキル、シクロアルキル、アリール)における水素が重水素、シアノまたはハロゲンで置換されうるが、これらの中でもアリールやヘテロアリールにおける全てまたは一部の水素が重水素、シアノまたはハロゲンで置換された態様が挙げられる。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくはフッ素または塩素である。
また、本発明に係る多環芳香族化合物およびその多量体は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などがあげられる。特に、有機電界発光素子においては、発光層のドーパント材料として、YがB、XおよびXが>N−Rである化合物、YがB、Xが>O、Xが>N−Rである化合物、YがB、XおよびXが>Oである化合物が好ましく、発光層のホスト材料として、YがB、Xが>O、Xが>N−Rである化合物、YがB、XおよびXが>Oである化合物が好ましく、電子輸送材料として、YがB、XおよびXが>Oである化合物、YがP=O、XおよびXが>Oである化合物が好ましく用いられる。
また、一般式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の化学構造中の少なくとも1つの水素は下記一般式(tR)で表される基で置換されており、全ての水素または一部の水素が下記式(tR)で表される基であってもよい。
Figure 2019235452
上記式(tR)中、Rは炭素数2〜24のアルキルであり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置換されていてもよく、上記式(tR)で表される基は*において上記式(1)または式(2)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素と置換する。
の「炭素数2〜24のアルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数2〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキル、炭素数2〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)、炭素数2〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)、炭素数2〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)、炭素数2〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)があげられる。
およびRの「炭素数1〜24のアルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキル、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)があげられる。
一般式(1)の式(tR)におけるR、RおよびRの炭素数の合計は炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10が特に好ましい。
、RおよびRの具体的なアルキルとしては、メチル(Rは除く)、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
式(tR)で表される基としては、例えば、t−アミル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−エチル−1−メチルブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジメチルオクチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,1−ジメチルヘプチル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、1−エチル−1−メチルヘキシル基、1−エチル−1,3−ジメチルブチル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、1−ブチル−1−メチルペンチル基、1,1−ジエチルブチル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、1−プロピル−1−メチルペンチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1,2,2−トリメチルプロピル基、1−プロピル−1−メチルブチル基、1,1−ジメチルヘキシル基などがあげられる。
本発明のターシャリーアルキル置換の他の形態としては、一般式(1)または(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体が、例えば、式(tR)の基で置換されたジアリールアミノ基、式(tR)の基で置換されたカルバゾリル基または式(tR)の基で置換されたベンゾカルバゾリル基で置換された例が挙げられる。「ジアリールアミノ基」については上記「第1の置換基」として説明した基があげられる。ジアリールアミノ基、カルバゾリル基およびベンゾカルバゾリル基への式(tR)の基の置換形態としては、これらの基におけるアリール環またはベンゼン環の一部または全ての水素が式(tR)の基で置換された例が挙げられる。
また、さらに具体的な例としては、一般式(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体におけるRが、式(tR)の基で置換されたジアリールアミノ基または式(tR)の基で置換されたカルバゾリル基である例が挙げられる。
この一例として、下記一般式(2−A)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(2−A)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体が挙げられる。tRは式(tR)の基、nそれぞれ独立しては1〜5(好ましくは1)の整数であり、構造式中の各符号の定義は一般式(2)中の各符号の定義と同じである。
Figure 2019235452
また、本発明のターシャリーアルキル置換された多環芳香族化合物およびその多量体の具体的な例としては、化合物中の1個または複数個の芳香環における少なくとも1つの水素が1個または複数個の式(tR)の基で置換された化合物が挙げられ、例えば1〜2個の式(tR)の基で置換された化合物が挙げられる。
具体的には、以下の式(1−1−tR)〜式(1−4401−tR)で表される化合物が挙げられる。下記式中のnはそれぞれ独立して0〜2(ただしすべてのnが0になることはない)、好ましくは1である。なお、下記構造式中の「tR」は式(tR)で表される基、「OPh」はフェノキシ基、「Me」はメチル基を示す。
Figure 2019235452
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本発明のターシャリーアルキル置換された多環芳香族化合物のさらに具体的な例としては、以下の構造式で表される化合物が挙げられる。なお、下記構造式中の「D」は重水素、「Me」はメチル基、「Et」はエチル基、「Pr」はプロピル基、「Hep」はヘプチル基、「tBu」はt−ブチル基、「tAm」はt−アミル基を示す。
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本発明に係る一般式(1)で表される多環芳香族化合物およびその多量体は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物(この高分子化合物を得るための前記モノマーは重合性置換基を有する)、もしくは当該高分子化合物をさらに架橋させた高分子架橋体(この高分子架橋体を得るための前記高分子化合物は架橋性置換基を有する)、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物(このペンダント型高分子化合物を得るための前記反応性化合物は反応性置換基を有する)、もしくは当該ペンダント型高分子化合物をさらに架橋させたペンダント型高分子架橋体(このペンダント型高分子架橋体を得るための前記ペンダント型高分子化合物は架橋性置換基を有する)としても、有機デバイス用材料、例えば、有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料に用いることができる。
上述した反応性置換基(前記重合性置換基、前記架橋性置換基、および、ペンダント型高分子を得るための反応性置換基を含み、以下、単に「反応性置換基」とも言う)としては、上記多環芳香族化合物またはその多量体を高分子量化できる置換基、そのようにして得られた高分子化合物をさらに架橋化できる置換基、また、主鎖型高分子にペンダント反応し得る置換基であれば特に限定されないが、以下の構造の置換基が好ましい。各構造式中の*は結合位置を示す。
Figure 2019235452
Lは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、>C=O、−O−C(=O)−、炭素数1〜12のアルキレン、炭素数1〜12のオキシアルキレンおよび炭素数1〜12のポリオキシアルキレンである。上記置換基の中でも、式(XLS−1)、式(XLS−2)、式(XLS−3)、式(XLS−9)、式(XLS−10)または式(XLS−17)で表される基が好ましく、式(XLS−1)、式(XLS−3)または式(XLS−17)で表される基がより好ましい。
このような高分子化合物、高分子架橋体、ペンダント型高分子化合物およびペンダント型高分子架橋体(以下、単に「高分子化合物および高分子架橋体」とも言う)の用途の詳細については後述する。
2.ターシャリーアルキル置換された多環芳香族化合物およびその多量体の製造方法
一般式(1)や(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体は、例えば国際公開第2015/102118号公報で開示されている方法を応用することで合成することができる。基本的には、まずA環(a環)とB環(b環)およびC環(c環)とを結合基(XやXを含む基)で結合させることで中間体を製造し(第1反応)、その後に、A環(a環)、B環(b環)およびC環(c環)を結合基(Yを含む基)で結合させることで最終生成物を製造することができる(第2反応)。また、これらの反応工程のどこかで、式(tR)で表されるターシャリーアルキル基で置換された原料を用いたり、式(tR)で表されるターシャリーアルキル基を導入する工程を追加したりすることで、所望の位置がターシャリーアルキル置換された本発明の化合物を製造することができる。
第1反応では、例えばエーテル化反応であれば、求核置換反応、ウルマン反応といった一般的反応が利用でき、アミノ化反応で有ればブッフバルト−ハートウィッグ反応といった一般的反応が利用できる。また、第2反応では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応(連続的な芳香族求電子置換反応、以下同様)が利用できる。
第2反応は、下記スキーム(1)や(2)に示すように、A環(a環)、B環(b環)およびC環(c環)を結合するYを導入する反応であり、例としてYがホウ素原子、XおよびXが酸素原子の場合を以下に示す。まず、XとXの間の水素原子をn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムまたはt−ブチルリチウム等でオルトメタル化する。次いで、三塩化ホウ素や三臭化ホウ素等を加え、リチウム−ホウ素の金属交換を行った後、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等のブレンステッド塩基を加えることで、タンデムボラフリーデルクラフツ反応させ、目的物を得ることができる。第2反応においては反応を促進させるために三塩化アルミニウム等のルイス酸を加えてもよい。なお、下記スキーム(1)および(2)中、さらにその後のスキーム(3)〜(5)中の各構造式における符号の定義は上述した定義と同じである。
Figure 2019235452
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なお、上記スキーム(1)や(2)は、一般式(1)や(2)で表される多環芳香族化合物の製造方法を主に示しているが、その多量体については、複数のA環(a環)、B環(b環)およびC環(c環)を有する中間体を用いることで製造することができる。詳細には下記スキーム(3)〜(5)で説明する。この場合、使用するブチルリチウム等の試薬の量を2倍量、3倍量とすることで目的物を得ることができる。
Figure 2019235452
Figure 2019235452
Figure 2019235452
上記スキームにおいては、オルトメタル化により所望の位置へリチウムを導入したが、リチウムを導入したい位置に臭素原子等のハロゲンを導入し、ハロゲン−メタル交換によっても所望の位置へリチウムを導入することができる。
その他、一般式(2−A)で表される多環芳香族化合物については、下記スキーム(6)のように、式(tR)で表されるターシャリーアルキル基で置換された中間体を合成し、それを環化させることで所望の位置がターシャリーアルキル置換された多環芳香族化合物を合成できる。スキーム(6)中、Xはハロゲンまたは水素を表し、その他の符号の定義は一般式(2)中の符号の定義と同じである。
Figure 2019235452
スキーム(6)中の環化前の中間体も、スキーム(1)等に示されている方法で合成することができる。すなわちBuchwald−Hartwig反応や鈴木カップリング反応、または求核置換反応やUllmann反応などによるエーテル化反応などを適宜組み合わせることで、所望の置換基を有する中間体を合成することができる。これらの反応において、ターシャリーアルキル置換された前駆体となる原料は市販品を利用することもできる。
ターシャリーアルキル置換されたジフェニルアミノ基を有する一般式(2−A)の化合物は、例えば次のような方法でも合成できる。すなわち、ターシャリーアルキル置換ブロモベンゼンとトリハロゲン化アニリンとをBuchwald−Hartwig反応のようなアミノ化反応によってターシャリーアルキル置換されたジフェニルアミノ基を導入した後、X、XがN−Rである場合にはBuchwald−Hartwig反応のようなアミノ化反応にて、X、XがOである場合にはフェノールを用いたエーテル化によって中間体(M−3)へと誘導し、その後、例えばブチルリチウムのようなメタル化試薬を作用させトランスメタル化した後、三臭化ホウ素のようなハロゲン化ホウ素を作用させた後、ジエチルイソプロピルアミンのようなブレンステッド塩基を作用させることによるタンデムボラフリーデルクラフツ反応によって、一般式(2−A)の化合物を合成することができる。これらの反応は、その他のターシャリーアルキル置換された化合物にも応用することができる。
3.有機デバイス
本発明に係るターシャリーアルキル置換された多環芳香族化合物は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などがあげられる。
3−1.有機電界発光素子
以下に、本実施形態に係る有機EL素子について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
<有機電界発光素子の構造>
図1に示された有機EL素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機EL素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機EL素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。
<有機電界発光素子における基板>
基板101は、有機EL素子100の支持体であり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
<有機電界発光素子における陽極>
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たす。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および/または正孔輸送層104が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物があげられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどがあげられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3−メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどがあげられる。その他、有機EL素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100〜5Ω/□、好ましくは50〜5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50〜300nmの間で用いられることが多い。
<有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層>
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たす。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意の化合物を選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N−アリールカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖または側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N4’−ジフェニル−N,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、N,N,N4’,N4’−テトラ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、または、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)など)が知られている(特開2005-167175号公報)。
上述した正孔注入層用材料および正孔輸送層用材料は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくはその高分子架橋体、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物、もしくはそのペンダント型高分子架橋体としても、正孔層用材料に用いることができる。この場合の反応性置換基としては、式(1)で表される多環芳香族化合物での説明を引用できる。
このような高分子化合物および高分子架橋体の用途の詳細については後述する。
<有機電界発光素子における発光層>
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光する層である。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であるのが好ましい。本発明では、発光層用の材料として、ホスト材料と、例えばドーパント材料としての上記一般式(1)で表される多環芳香族化合物とを用いることができる。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着したり、有機溶媒と共にホスト材料と予め混合してから湿式成膜法により製膜したりしてもよい。
ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の50〜99.999重量%であり、より好ましくは80〜99.95重量%であり、さらに好ましくは90〜99.9重量%である。
ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の0.001〜50重量%であり、より好ましくは0.05〜20重量%であり、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。
ホスト材料としては、以前から発光体として知られていたアントラセン、ピレン、ジベンゾクリセンまたはフルオレンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体などがあげられる。特に、アントラセン系化合物、フルオレン系化合物またはジベンゾクリセン系化合物が好ましい。
<アントラセン系化合物>
ホストとしてのアントラセン系化合物は、例えば下記一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2019235452
式(3)中、
XおよびArは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいジアリールアミノ、置換されていてもよいジヘテロアリールアミノ、置換されていてもよいアリールヘテロアリールアミノ、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアリールチオまたは置換されていてもよいシリルであり、全てのXおよびArは同時に水素になることはなく、
式(3)で表される化合物における少なくとも1つの水素はハロゲン、シアノ、重水素または置換されていてもよいヘテロアリールで置換されていてもよい。
また、式(3)で表される構造を単位構造として多量体(好ましくは二量体)を形成してもよい。この場合、例えば式(3)で表される単位構造同士がXを介して結合する形態が挙げられ、このXとしては単結合、アリーレン(フェニレン、ビフェニレンおよびナフチレン等)およびヘテロアリーレン(ピリジン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環、ベンゾカルバゾール環およびフェニル置換カルバゾール環などが二価の結合価を有する基)等が挙げられる。
上記アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールチオまたはシリルの詳細は、以下の好ましい態様の欄で説明する。また、これらへの置換基としては、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールチオまたはシリルなどが挙げられ、これらの詳細も以下の好ましい態様の欄で説明する。
上記アントラセン系化合物の好ましい態様を以下に説明する。下記構造における符号の定義は上述する定義と同じである。
Figure 2019235452
一般式(3)では、Xはそれぞれ独立して上記式(3−X1)、式(3−X2)または式(3−X3)で表される基であり、式(3−X1)、式(3−X2)または式(3−X3)で表される基は*において式(3)のアントラセン環と結合する。好ましくは、2つのXが同時に式(3−X3)で表される基になることはない。より好ましくは2つのXが同時に式(3−X2)で表される基になることもない。
また、式(3)で表される構造を単位構造として多量体(好ましくは二量体)を形成してもよい。この場合、例えば式(3)で表される単位構造同士がXを介して結合する形態が挙げられ、このXとしては単結合、アリーレン(フェニレン、ビフェニレンおよびナフチレン等)およびヘテロアリーレン(ピリジン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、カルバゾール環、ベンゾカルバゾール環およびフェニル置換カルバゾール環などが二価の結合価を有する基)等が挙げられる。
式(3−X1)および式(3−X2)におけるナフチレン部位は1つのベンゼン環で縮合されていてもよい。このようにして縮合した構造は以下のとおりである。
Figure 2019235452
ArおよびArは、それぞれ独立して、水素、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニリル、または、上記式(A)で表される基(カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基およびフェニル置換カルバゾリル基も含む)である。なお、ArまたはArが式(A)で表される基である場合は、式(A)で表される基はその*において式(3−X1)または式(3−X2)中のナフタレン環と結合する。
Arは、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニリル、または、上記式(A)で表される基(カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基およびフェニル置換カルバゾリル基も含む)である。なお、Arが式(A)で表される基である場合は、式(A)で表される基はその*において式(3−X3)中の直線で表される単結合と結合する。すなわち、式(3)のアントラセン環と式(A)で表される基が直接結合する。
また、Arは置換基を有していてもよく、Arにおける少なくとも1つの水素はさらに炭素数1〜4のアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキル、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、フルオレニル、クリセニル、トリフェニレニル、ピレニリル、または、上記式(A)で表される基(カルバゾリル基およびフェニル置換カルバゾリル基も含む)で置換されていてもよい。なお、Arが有する置換基が式(A)で表される基である場合は、式(A)で表される基はその*において式(3−X3)中のArと結合する。
Arは、それぞれ独立して、水素、フェニル、ビフェニリル、ターフェニリル、ナフチル、または炭素数1〜4のアルキル(メチル、エチル、t−ブチルなど)および/もしくは炭素数5〜10のシクロアルキルで置換されているシリルである。
シリルに置換する炭素数1〜4のアルキルは、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチルなどがあげられ、シリルにおける3つの水素が、それぞれ独立して、これらのアルキルで置換されている。
具体的な「炭素数1〜4のアルキルで置換されているシリル」としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリi−プロピルシリル、トリブチルシリル、トリsec−ブチルシリル、トリt−ブチルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、i−プロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、sec−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、i−プロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、sec−ブチルジエチルシリル、t−ブチルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、sec−ブチルジプロピルシリル、t−ブチルジプロピルシリル、メチルジi−プロピルシリル、エチルジi−プロピルシリル、ブチルジi−プロピルシリル、sec−ブチルジi−プロピルシリル、t−ブチルジi−プロピルシリルなどがあげられる。
シリルに置換する炭素数5〜10のシクロアルキルは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルネニル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられ、シリルにおける3つの水素が、それぞれ独立して、これらのシクロアルキルで置換されている。
具体的な「炭素数5〜10のシクロアルキルで置換されているシリル」としては、トリシクロペンチルシリル、トリシクロヘキシルシリルなどがあげられる。
置換されているシリルとしては、2つのアルキルと1つのシクロアルキルが置換したジアルキルシクロアルキルシリルと、1つのアルキルと2つのシクロアルキルが置換したアルキルジシクロアルキルシリルもあり、置換するアルキルおよびシクロアルキルの具体例としては上述した基があげられる。
また、一般式(3)で表されるアントラセン系化合物の化学構造中の水素は上記式(A)で表される基で置換されていてもよい。式(A)で表される基で置換される場合は、式(A)で表される基はその*において式(3)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換する。
式(A)で表される基は、式(3)で表されるアントラセン系化合物が有しうる置換基の1つである。
Figure 2019235452
上記式(A)中、Yは−O−、−S−または>N−R29であり、R21〜R28はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルコキシ、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよいアリールチオ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリル、アルキルジシクロアルキルシリル、置換されていてもよいアミノ、ハロゲン、ヒドロキシまたはシアノであり、R21〜R28のうち隣接する基は互いに結合して炭化水素環、アリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、R29は水素または置換されていてもよいアリールである。
21〜R28における「置換されていてもよいアルキル」の「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキルがあげられる。炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)が特に好ましい。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
21〜R28における「置換されていてもよいシクロアルキル」の「シクロアルキル」としては、炭素数3〜24のシクロアルキル、炭素数3〜20のシクロアルキル、炭素数3〜16のシクロアルキル、炭素数3〜14のシクロアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数5〜6のシクロアルキル、炭素数5のシクロアルキルなどがあげられる。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、およびこれらの炭素数1〜4のアルキル(特にメチル)置換体や、ノルボルネニル、ビシクロ[1.0.1]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられる。
21〜R28における「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられ、炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。
具体的な「アリール」としては、単環系であるフェニル、二環系であるビフェニリル、縮合二環系であるナフチル、三環系であるテルフェニリル(m−テルフェニリル、o−テルフェニリル、p−テルフェニリル)、縮合三環系である、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、縮合四環系であるトリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、縮合五環系であるペリレニル、ペンタセニルなどがあげられる。
21〜R28における「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1〜5個含有する複素環などがあげられる。
具体的な「ヘテロアリール」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニル、フリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ジベンゾチエニル、フラザニル、オキサジアゾリル、チアントレニル、ナフトベンゾフラニル、ナフトベンゾチエニルなどがあげられる。
21〜R28における「置換されていてもよいアルコキシ」の「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1〜24の直鎖または炭素数3〜24の分岐鎖のアルコキシがあげられる。炭素数1〜18のアルコキシ(炭素数3〜18の分岐鎖のアルコキシ)が好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ(炭素数3〜12の分岐鎖のアルコキシ)がより好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ(炭素数3〜6の分岐鎖のアルコキシ)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ(炭素数3〜4の分岐鎖のアルコキシ)が特に好ましい。
具体的な「アルコキシ」としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシなどがあげられる。
21〜R28における「置換されていてもよいアリールオキシ」の「アリールオキシ」としては、−OH基の水素がアリールで置換された基であり、このアリールは上述したR21〜R28における「アリール」として説明した基を引用することができる。
21〜R28における「置換されていてもよいアリールチオ」の「アリールチオ」としては、−SH基の水素がアリールで置換された基であり、このアリールは上述したR21〜R28における「アリール」として説明した基を引用することができる。
21〜R28における「トリアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してアルキルで置換された基があげられ、このアルキルは上述したR21〜R28における「アルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいアルキルは、炭素数1〜4のアルキルであり、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロブチルなどがあげられる。
具体的な「トリアルキルシリル」としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリi−プロピルシリル、トリブチルシリル、トリsec−ブチルシリル、トリt−ブチルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、i−プロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、sec−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、i−プロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、sec−ブチルジエチルシリル、t−ブチルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、sec−ブチルジプロピルシリル、t−ブチルジプロピルシリル、メチルジi−プロピルシリル、エチルジi−プロピルシリル、ブチルジi−プロピルシリル、sec−ブチルジi−プロピルシリル、t−ブチルジi−プロピルシリルなどがあげられる。
21〜R28における「トリシクロアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してシクロアルキルで置換された基があげられ、このシクロアルキルは上述したR21〜R28における「シクロアルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいシクロアルキルは、炭素数5〜10のシクロアルキルであり、具体的にはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられる。
具体的な「トリシクロアルキルシリル」としては、トリシクロペンチルシリル、トリシクロヘキシルシリルなどがあげられる。
2つのアルキルと1つのシクロアルキルが置換したジアルキルシクロアルキルシリルと、1つのアルキルと2つのシクロアルキルが置換したアルキルジシクロアルキルシリルの具体例としては、上述した具体的なアルキルおよびシクロアルキルから選択される基が置換したシリルがあげられる。
21〜R28における「置換されていてもよいアミノ」の「置換されたアミノ」としては、例えば2つの水素がアリールやヘテロアリールで置換されたアミノ基があげられる。2つの水素がアリールで置換されたアミノがジアリール置換アミノであり、2つの水素がヘテロアリールで置換されたアミノがジヘテロアリール置換アミノであり、2つの水素がアリールとヘテロアリールで置換されたアミノがアリールヘテロアリール置換アミノである。このアリールやヘテロアリールは上述したR21〜R28における「アリール」や「ヘテロアリール」として説明した基を引用することができる。
具体的な「置換されたアミノ」としては、ジフェニルアミノ、ジナフチルアミノ、フェニルナフチルアミノ、ジピリジルアミノ、フェニルピリジルアミノ、ナフチルピリジルアミノなどがあげられる。
21〜R28における「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられる。
21〜R28として説明した基のうち、いくつかは上述するように置換されてもよく、この場合の置換基としてはアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールがあげられる。このアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは上述したR21〜R28における「アルキル」、「シクロアルキル」、「アリール」または「ヘテロアリール」として説明した基を引用することができる。
Yとしての「>N−R29」におけるR29は水素または置換されていてもよいアリールであり、このアリールとしては上述したR21〜R28における「アリール」として説明した基を引用することができ、またその置換基としてはR21〜R28に対する置換基として説明した基を引用することができる。
21〜R28のうち隣接する基は互いに結合して炭化水素環、アリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよい。環を形成しない場合が下記式(A−1)で表される基であり、環を形成した場合としては例えば下記式(A−2)〜式(A−14)で表される基があげられる。なお、式(A−1)〜式(A−14)のいずれかで表される基における少なくとも1つの水素はアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリル、アルキルジシクロアルキルシリル、ジアリール置換アミノ、ジヘテロアリール置換アミノ、アリールヘテロアリール置換アミノ、ハロゲン、ヒドロキシまたはシアノで置換されていてもよい。
Figure 2019235452
隣接する基が互いに結合してできた環としては、炭化水素環であれば例えばシクロヘキサン環があげられ、アリール環やヘテロアリール環としては上述したR21〜R28における「アリール」や「ヘテロアリール」で説明した環構造があげられ、これらの環は上記式(A−1)における1つまたは2つのベンゼン環と縮合するように形成される。
式(A)で表される基としては、例えば上記式(A−1)〜式(A−14)のいずれかで表される基があげられ、上記式(A−1)〜式(A−5)および式(A−12)〜式(A−14)のいずれかで表される基が好ましく、上記式(A−1)〜式(A−4)のいずれかで表される基がより好ましく、上記式(A−1)、式(A−3)および式(A−4)のいずれかで表される基がさらに好ましく、上記式(A−1)で表される基が特に好ましい。
式(A)で表される基は、式(A)中の*において、式(3−X1)または式(3−X2)中のナフタレン環、式(3−X3)中の単結合、式(3−X3)中のArと結合し、また式(3)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換することは上述したとおりだが、これらの結合形態の中でも式(3−X1)または式(3−X2)中のナフタレン環、式(3−X3)中の単結合および/または式(3−X3)中のArと結合した形態が好ましい。
また、式(A)で表される基の構造中で、式(3−X1)または式(3−X2)中のナフタレン環、式(3−X3)中の単結合、式(3−X3)中のArが結合する位置、また、式(A)で表される基の構造中で、式(3)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換する位置は、式(A)の構造中のいずれの位置であってもよく、例えば式(A)の構造中の2つのベンゼン環のいずれかや、式(A)の構造中のR21〜R28のうち隣接する基が互いに結合して形成されたいずれかの環や、式(A)の構造中のYとしての「>N−R29」におけるR29中のいずれかの位置で結合することができる。
式(A)で表される基としては、例えば以下の基があげられる。式中のYおよび*は上記と同じ定義である。
Figure 2019235452
また、一般式(3)で表されるアントラセン系化合物の化学構造中の水素は、その全てまたは一部が重水素であってもよい。
アントラセン系化合物の具体的な例としては、例えば、下記式(3−1)〜式(3−72)で表される化合物があげられる。なお、下記構造式中の「Me」はメチル基、「D」は重水素、「tBu」はt−ブチル基を示す。
Figure 2019235452
Figure 2019235452
Figure 2019235452
Figure 2019235452
式(3)で表されるアントラセン系化合物は、アントラセン骨格の所望の位置に反応性基を有する化合物と、X、Arおよび式(A)の構造などの部分構造に反応性基を有する化合物を出発原料として、鈴木カップリング、根岸カップリング、その他の公知のカップリング反応を応用して製造することができる。これらの反応性化合物の反応性基としては、ハロゲンやボロン酸などがあげられる。具体的な製造方法としては、例えば国際公開第2014/141725号公報の段落[0089]〜[0175]における合成法を参考にすることができる。
<フルオレン系化合物>
一般式(4)で表される化合物は基本的にはホストとして機能する。
Figure 2019235452
上記式(4)中、
1からR10は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは連結基を介して上記式(4)におけるフルオレン骨格と結合していてもよい)、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
また、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRまたはRとR10がそれぞれ独立して結合して縮合環またはスピロ環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは連結基を介して当該形成された環と結合していてもよい)、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、そして、
式(4)で表される化合物における少なくとも1つの水素がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。
上記式(4)の定義における各基の詳細は、上述した、式(1)の多環芳香族化合物における説明を引用することができる。
1からR10におけるアルケニルとしては、例えば、炭素数2〜30のアルケニルがあげられ、炭素数2〜20のアルケニルが好ましく、炭素数2〜10のアルケニルがより好ましく、炭素数2〜6のアルケニルがさらに好ましく、炭素数2〜4のアルケニルが特に好ましい。好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルである。
なお、ヘテロアリールの具体例として、下記式(4−Ar1)、式(4−Ar2)、式(4−Ar3)、式(4−Ar4)または式(4−Ar5)の化合物から任意の1つの水素原子を除いて表される1価の基もあげられる。
Figure 2019235452
式(4−Ar1)から式(4−Ar5)中、Yは、それぞれ独立して、O、SまたはN−Rであり、Rはフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニルまたは水素であり、
上記式(4−Ar1)から式(4−Ar5)の構造における少なくとも1つの水素はフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、メチル、エチル、プロピル、または、ブチルで置換されていてもよい。
これらのヘテロアリールは、連結基を介して、上記式(4)におけるフルオレン骨格と結合していてもよい。すなわち、式(4)におけるフルオレン骨格と上記ヘテロアリールとが直接結合するだけでなく、それらの間に連結基を介して結合してもよい。この連結基としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、メチレン、エチレン、−OCHCH−、−CHCHO−、または、−OCHCHO−などがあげられる。
また、式(4)中のRとR、RとR、RとR、RとR、RとRまたはRとRがそれぞれ独立して結合して縮合環を、RとR10が結合してスピロ環を形成していてもよい。RからRにより形成された縮合環は、式(4)におけるベンゼン環に縮合する環であり、脂肪族環または芳香族環である。好ましくは芳香族環であり、式(4)におけるベンゼン環を含めた構造としてはナフタレン環やフェナントレン環などがあげられる。RとR10により形成されたスピロ環は、式(4)における5員環にスピロ結合する環であり、脂肪族環または芳香族環である。好ましくは芳香族環であり、フルオレン環などがあげられる。
一般式(4)で表される化合物は、好ましくは、下記式(4−1)、式(4−2)または式(4−3)で表される化合物であり、それぞれ、一般式(4)においてRとRが結合して形成されたベンゼン環が縮合した化合物、一般式(4)においてRとRが結合して形成されたベンゼン環が縮合した化合物、一般式(4)においてRからRのいずれもが結合していない化合物である。
Figure 2019235452
式(4−1)、式(4−2)および式(4−3)におけるRからR10の定義は式(4)において対応するRからR10と同じであり、式(4−1)および式(4−2)におけるR11からR14の定義も式(4)におけるRからR10と同じである。
一般式(4)で表される化合物は、さらに好ましくは、下記式(4−1A)、式(4−2A)または式(4−3A)で表される化合物であり、それぞれ、式(4−1)、式(4−1)または式(4−3)においてRとR10が結合してスピロ−フルオレン環が形成された化合物である。
Figure 2019235452
式(4−1A)、式(4−2A)および式(4−3A)におけるRからRの定義は式(4−1)、式(4−2)および式(4−3)において対応するRからRと同じであり、式(4−1A)および式(4−2A)におけるR11からR14の定義も式(4−1)および式(4−2)におけるR11からR14と同じである。
また、式(4)で表される化合物における水素は、その全てまたは一部がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。
<ジベンゾクリセン系化合物>
ホストとしてのジベンゾクリセン系化合物は、例えば下記一般式(5)で表される化合物である。
Figure 2019235452
上記式(5)中、
1からR16は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは連結基を介して上記式(5)におけるジベンゾクリセン骨格と結合していてもよい)、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
また、RからR16のうち隣接する基同士が結合して縮合環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール(当該ヘテロアリールは連結基を介して当該形成された環と結合していてもよい)、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、そして、
式(5)で表される化合物における少なくとも1つの水素がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。
上記式(5)の定義における各基の詳細は、上述した、式(1)の多環芳香族化合物における説明を引用することができる。
上記式(5)の定義におけるアルケニルとしては、例えば、炭素数2〜30のアルケニルがあげられ、炭素数2〜20のアルケニルが好ましく、炭素数2〜10のアルケニルがより好ましく、炭素数2〜6のアルケニルがさらに好ましく、炭素数2〜4のアルケニルが特に好ましい。好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルである。
なお、ヘテロアリールの具体例として、下記式(5−Ar1)、式(5−Ar2)、式(5−Ar3)、式(5−Ar4)または式(5−Ar5)の化合物から任意の1つの水素原子を除いて表される1価の基もあげられる。
Figure 2019235452
式(5−Ar1)から式(5−Ar5)中、Yは、それぞれ独立して、O、SまたはN−Rであり、Rはフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニルまたは水素であり、
上記式(5−Ar1)から式(5−Ar5)の構造における少なくとも1つの水素はフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、メチル、エチル、プロピル、または、ブチルで置換されていてもよい。
これらのヘテロアリールは、連結基を介して、上記式(5)におけるジベンゾクリセン骨格と結合していてもよい。すなわち、式(5)におけるジベンゾクリセン骨格と上記ヘテロアリールとが直接結合するだけでなく、それらの間に連結基を介して結合してもよい。この連結基としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、メチレン、エチレン、−OCHCH−、−CHCHO−、または、−OCHCHO−などがあげられる。
一般式(5)で表される化合物は、好ましくは、R、R、R、R、R、R12、R13およびR16は水素である。この場合、式(5)中のR、R、R、R、R10、R11、R14およびR15は、それぞれ独立して、水素、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、上記式(5−Ar1)、式(5−Ar2)、式(5−Ar3)、式(5−Ar4)もしくは式(5−Ar5)の構造を有する1価の基(当該構造を有する1価の基は、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、メチレン、エチレン、−OCHCH−、−CHCHO−、または、−OCHCHO−を介して、上記式(5)におけるジベンゾクリセン骨格と結合していてもよい)、メチル、エチル、プロピル、または、ブチルであることが好ましい。
一般式(5)で表される化合物は、より好ましくは、R、R、R、R、R、R、R、R10、R12、R13、R15およびR16は水素である。この場合、式(5)中のR、R、R11およびR14の少なくとも1つ(好ましくは1つまたは2つ、より好ましくは1つ)は、単結合、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、メチレン、エチレン、−OCHCH−、−CHCHO−、または、−OCHCHO−を介した、上記式(5−Ar1)、式(5−Ar2)、式(5−Ar3)、式(5−Ar4)または式(5−Ar5)の構造を有する1価の基であり、
前記少なくとも1つ以外(すなわち、前記構造を有する1価の基が置換した位置以外)は水素、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、メチル、エチル、プロピル、または、ブチルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、メチル、エチル、プロピル、あるいは、ブチルで置換されていてもよい。
また、式(5)中のR、R、R、R、R10、R11、R14およびR15として、上記式(5−Ar1)から式(5−Ar5)で表される構造を有する1価の基が選択された場合には、当該構造における少なくとも1つの水素は式(5)中のRからR16のいずれかと結合して単結合を形成していてもよい。
<ピレン系化合物>
ホストとしてのピレン系化合物は、例えば下記一般式(6)で表される化合物である。
Figure 2019235452
上記式(6)中、
s個のピレン部分とp個のAr部分とがピレン部分の*のいずれかの位置とAr部分のいずれかの位置とで結合し、
ピレン部分の少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、炭素数6〜10のアリール、炭素数2〜11のヘテロアリール、炭素数1〜30のアルキル、炭素数3〜24のシクロアルキル、炭素数2〜30のアルケニル、炭素数1〜30のアルコキシまたは炭素数6〜30のアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、炭素数6〜10のアリール、炭素数2〜11のヘテロアリール、炭素数1〜30のアルキル、炭素数3〜24のシクロアルキル、炭素数2〜30のアルケニル、炭素数1〜30のアルコキシまたは炭素数6〜30のアリールオキシで置換されていてもよく、
Arは、それぞれ独立して、炭素数14〜40のアリールまたは炭素数12〜40のヘテロアリールであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、炭素数6〜10のアリール、炭素数2〜11のヘテロアリール、炭素数1〜30のアルキル、炭素数3〜24のシクロアルキル、炭素数2〜30のアルケニル、炭素数1〜30のアルコキシまたは炭素数6〜30のアリールオキシで置換されていてもよく、
sおよびpはそれぞれ独立して1または2の整数であり、sおよびpは同時に2になることはなく、sが2である場合は2個のピレン部分は置換基を含めて構造的に同一であっても異なっていてもよく、pが2である場合は2個のAr部分は置換基を含めて構造的に同一であっても異なっていてもよく、そして、
式(6)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。
上記式(6)の定義における各基の詳細は、上述した、式(1)の多環芳香族化合物における説明を引用することができる。
なお、アルケニルとしては、例えば、炭素数2〜30のアルケニルがあげられ、炭素数2〜20のアルケニルが好ましく、炭素数2〜10のアルケニルがより好ましく、炭素数2〜6のアルケニルがさらに好ましく、炭素数2〜4のアルケニルが特に好ましい。好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルである。
なお、ヘテロアリールの具体例として、下記式(6−Ar1)、式(6−Ar2)、式(6−Ar3)、式(6−Ar4)または式(6−Ar5)の構造を有する1価の基もあげられる。
Figure 2019235452
式(6−Ar1)から式(6−Ar5)中、Yは、それぞれ独立して、>O、>Sまたは>N−Rであり、当該Rはフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニルまたは水素であり、
上記式(6−Ar1)から式(6−Ar5)の構造における少なくとも1つの水素はフェニル、ビフェニリル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、メチル、エチル、プロピル、または、ブチルで置換されていてもよい。
これらのヘテロアリールは、連結基を介して、上記式(6)におけるピレン部分と結合していてもよい。すなわち、式(6)におけるピレン部分と上記ヘテロアリールとが直接結合するだけでなく、それらの間に連結基を介して結合してもよい。この連結基としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、メチレン、エチレン、−OCHCH−、−CHCHO−、または、−OCHCHO−などがあげられる。
上述した発光層用材料(ホスト材料およびドーパント材料)は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくはその高分子架橋体、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物、もしくはそのペンダント型高分子架橋体としても、発光層用材料に用いることができる。この場合の反応性置換基としては、式(1)で表される多環芳香族化合物での説明を引用できる。
このような高分子化合物および高分子架橋体の用途の詳細については後述する。
<高分子ホスト材料の一例>
Figure 2019235452
式(SPH−1)において、
MUはそれぞれ独立して2価の芳香族化合物、ECはそれぞれ独立して1価の芳香族化合物であり、MU中の2つの水素がECまたはMUと置換され、kは2〜50000の整数である。
より具体的には、
MUは、それぞれ独立して、アリーレン、ヘテロアリーレン、ジアリーレンアリールアミノ、ジアリーレンアリールボリル、オキサボリン−ジイル、アザボリン−ジイルであり、
ECは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノまたはアリールオキシであり、
MUおよびECにおける少なくとも1つの水素はさらに、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキルおよびシクロアルキルで置換されていてもよく、
kは2〜50000の整数である。
kは20〜50000の整数であることが好ましく、100〜50000の整数であることがより好ましい。
式(SPH−1)中のMUおよびECにおける少なくとも1つの水素は、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜24のシクロアルキル、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよく、さらに、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−または−Si(CH−で置換されていてもよく、前記アルキルにおける式(SPH−1)中のECに直結している−CH−を除く任意の−CH−は炭素数6〜24のアリーレンで置換されていてもよく、前記アルキルにおける任意の水素はフッ素で置換されていてもよい。
MUとしては、例えば、以下のいずれかの化合物から任意の2つの水素原子を除いて表される2価の基が挙げられる。
Figure 2019235452
より具体的には、以下のいずれかの構造で表される2価の基が挙げられる。これらにおいて、MUは*において他のMUまたはECと結合する。
Figure 2019235452
Figure 2019235452
Figure 2019235452
Figure 2019235452
Figure 2019235452
Figure 2019235452
Figure 2019235452
Figure 2019235452
Figure 2019235452
また、ECとしては、例えば以下のいずれかの構造で表される1価の基が挙げられる。これらにおいて、ECは*においてMUと結合する。
Figure 2019235452
Figure 2019235452
式(SPH−1)で表される化合物は、溶解性および塗布成膜性の観点から、分子中のMU総数(k)の10〜100%のMUが炭素数1〜24のアルキルを有することが好ましく、分子中のMU総数(k)の30〜100%のMUが炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)を有することがより好ましく、分子内のMU総数(k)の50〜100%のMUが炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)を有することがさらに好ましい。一方、面内配向性および電荷輸送の観点からは、分子中のMU総数(k)の10〜100%のMUが炭素数7〜24のアルキルを有することが好ましく、分子中のMU総数(k)の30〜100%のMUが炭素数7〜24のアルキル(炭素数7〜24の分岐鎖アルキル)を有することがより好ましい。
このような高分子化合物および高分子架橋体の用途の詳細については後述する。
一般式(1)で表される多環芳香族化合物は、有機溶媒と共に発光層形成用組成物として使用することもできる。該組成物は、第1成分として少なくとも1種の多環芳香族化合物と、第2成分として少なくとも1種のホスト材料と、第3成分として少なくとも1種の有機溶媒とを含有する。第1成分は、該組成物から得られる発光層のドーパント成分として機能し、第2成分は発光層のホスト成分として機能する。第3成分は、組成物中の第1成分と第2成分を溶解する溶媒として機能し、塗布時には第3成分自身の制御された蒸発速度により平滑で均一な表面形状を与える。
<有機溶媒>
上記発光層形成用組成物は、第3成分として、少なくとも一種の有機溶媒を含む。成膜時に有機溶媒の蒸発速度を制御することで、成膜性および塗膜の欠陥の有無、表面粗さ、平滑性を制御および改善することができる。また、インクジェット法を用いた成膜時は、インクジェットヘッドのピンホールでのメニスカス安定性を制御し、吐出性を制御・改善することができる。加えて、膜の乾燥速度および誘導体分子の配向を制御することで、該発光層形成用組成物より得られる発光層を有する有機EL素子の電気特性、発光特性、効率、および寿命を改善することができる。
(1)有機溶媒の物性
第3成分において、少なくとも1種の有機溶媒の沸点は、130℃〜300℃であり、140℃〜270℃がより好ましく、150℃〜250℃がさらに好ましい。沸点が130℃より高い場合、インクジェットの吐出性の観点から好ましい。また、沸点が300℃より低い場合、塗膜の欠陥、表面粗さ、残留溶媒および平滑性の観点から好ましい。第3成分は、良好なインクジェットの吐出性、製膜性、平滑性および低い残留溶媒の観点から、2種以上の有機溶媒を含む構成がより好ましい。一方で、場合によっては、運搬性などを考慮し、発光層形成用組成物中から溶媒を除去することで固形状態とした組成物であってもよい。
さらに、第3成分が第2成分のホスト材料に対する良溶媒(GS)と貧溶媒(PS)とを含み、良溶媒(GS)の沸点(BPGS)が貧溶媒(PS)の沸点(BPPS)よりも低い、構成が特に好ましい。
高沸点の貧溶媒を加えることで成膜時に低沸点の良溶媒が先に揮発し、組成物中の含有物の濃度と貧溶媒の濃度が増加し速やかな成膜が促される。これにより、欠陥が少なく、表面粗さが小さい、平滑性の高い塗膜が得られる。
溶解度の差(SGS−SPS)は、1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましく、5%以上であることがさらに好ましい。沸点の差(BPPS−BPGS)は、10℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。
有機溶媒は、成膜後に、真空、減圧、加熱などの乾燥工程により塗膜より取り除かれる。加熱を行う場合、塗布製膜性改善の観点からは、第1成分のガラス転移温度(Tg)+30℃以下で行うことが好ましい。また、残留溶媒の削減の観点からは、第1成分のガラス転移点(Tg)−30℃以上で加熱することが好ましい。加熱温度が有機溶媒の沸点より低くても膜が薄いために、有機溶媒は十分に取り除かれる。また、異なる温度で複数回乾燥を行ってもよく、複数の乾燥方法を併用してもよい。
(2)有機溶媒の具体例
発光層形成用組成物に用いられる有機溶媒としては、アルキルベンゼン系溶媒、フェニルエーテル系溶媒、アルキルエーテル系溶媒、環状ケトン系溶媒、脂肪族ケトン系溶媒、単環性ケトン系溶媒、ジエステル骨格を有する溶媒および含フッ素系溶媒などがあげられ、具体例として、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサン−2−オール、ヘプタン−2−オール、オクタン−2−オール、デカン−2−オール、ドデカン−2−オール、シクロヘキサノール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、δ−テルピネオール、テルピネオール(混合物)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾ三フッ化物、クメン、トルエン、2−クロロ−6−フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、ブロモベンゼン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロメチルアニソール、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、2−メチルアニソール、フェネトール、ベンゾジオキソール、4−メチルアニソール、s−ブチルベンゼン、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、シメン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、n−ブチルベンゼン、3−フルオロベンゾニトリル、デカリン(デカヒドロナフタレン)、ネオペンチルベンゼン、2,5−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル、1−フルオロ−3,5−ジメトキシベンゼン、安息香酸メチル、イソペンチルベンゼン、3,4−ジメチルアニソール、o−トルニトリル、n−アミルベンゼン、ベラトロール、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、安息香酸エチル、n−ヘキシルベンゼン、安息香酸プロピル、シクロヘキシルベンゼン、1−メチルナフタレン、安息香酸ブチル、2−メチルビフェニル、3−フェノキシトルエン、2,2’−ビトリル、ドデシルベンゼン、ジペンチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、トリメトキシベンゼン、トリメトキシトルエン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、1−メチル−4−(プロポキシメチル)ベンゼン、1−メチル−4−(ブチルオキシメチル)ベンゼン、1−メチル−4−(ペンチルオキシメチル)ベンゼン、1−メチル−4−(ヘキシルオキシメチル)ベンゼン、1−メチル−4−(ヘプチルオキシメチル)ベンゼンベンジルブチルエーテル、ベンジルペンチルエーテル、ベンジルヘキシルエーテル、ベンジルヘプチルエーテル、ベンジルオクチルエーテルなどが挙げられるが、それだけに限定されない。また、溶媒は単一で用いてもよく、混合してもよい。
<任意成分>
発光層形成用組成物は、その性質を損なわない範囲で、任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、バインダーおよび界面活性剤等が挙げられる。
(1)バインダー
発光層形成用組成物は、バインダーを含有していてもよい。バインダーは、成膜時には膜を形成するとともに、得られた膜を基板と接合する。また、該発光層形成用組成物中で他の成分を溶解および分散および結着させる役割を果たす。
発光層形成用組成物に用いられるバインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体(AES)樹脂、アイオノマー、塩素化ポリエーテル、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、テフロン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、および、上記樹脂およびポリマーの共重合体、が挙げられるが、それだけに限定されない。
発光層形成用組成物に用いられるバインダーは、1種のみであってもよく複数種を混合して用いてもよい。
(2)界面活性剤
発光層形成用組成物は、例えば、発光層形成用組成物の膜面均一性、膜表面の親溶媒性および撥液性の制御のために界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、親水性基の構造からイオン性および非イオン性に分類され、さらに、疎水性基の構造からアルキル系およびシリコン系およびフッ素系に分類される。また、分子の構造から、分子量が比較的小さく単純な構造を有する単分子系および分子量が大きく側鎖や枝分かれを有する高分子系に分類される。また、組成から、単一系、二種以上の界面活性剤および基材を混合した混合系に分類される。該発光層形成用組成物に用いることのできる界面活性剤としては、全ての種類の界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリフローNo.45、ポリフローKL−245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(商品名、共栄社化学工業(株)製)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK342、BYK344、BYK346(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)、KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(商品名、信越化学工業(株)製)、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(商品名、セイミケミカル(株)製)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(商品名、(株)ネオス製)、EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(商品名、三菱マテリアル(株)製)、メガファックF−470、メガファックF−471、メガファックF−475、メガファックR−08、メガファックF−477、メガファックF−479、メガファックF−553、メガファックF−554(商品名、DIC(株)製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を挙げることができる。
また、界面活性剤は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<発光層形成用組成物の組成および物性>
発光層形成用組成物における各成分の含有量は、発光層形成用組成物中の各成分の良好な溶解性、保存安定性および成膜性、ならびに、該発光層形成用組成物から得られる塗膜の良質な膜質、また、インクジェット法を用いた場合の良好な吐出性、該組成物を用いて作製された発光層を有する有機EL素子の、良好な電気特性、発光特性、効率、寿命の観点から、第1成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.0001重量%〜2.0重量%、第2成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.0999重量%〜8.0重量%、第3成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、90.0重量%〜99.9重量%が好ましい。
より好ましくは、第1成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.005重量%〜1.0重量%、第2成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.095重量%〜4.0重量%、第3成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、95.0重量%〜99.9重量%である。さらに好ましくは、第1成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.05重量%〜0.5重量%、第2成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.25重量%〜2.5重量%、第3成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、97.0重量%〜99.7重量%である。
発光層形成用組成物は、上述した成分を、公知の方法で攪拌、混合、加熱、冷却、溶解、分散等を適宜選択して行うことによって製造できる。また、調製後に、ろ過、脱ガス(デガスとも言う)、イオン交換処理および不活性ガス置換・封入処理等を適宜選択して行ってもよい。
発光層形成用組成物の粘度としては、高粘度である方が、良好な成膜性とインクジェット法を用いた場合の良好な吐出性が得られる。一方、低粘度である方が薄い膜を作りやすい。このことから、該発光層形成用組成物の粘度は、25℃における粘度が0.3mPa・s〜3mPa・sであることが好ましく、1mPa・s〜3mPa・sであることがより好ましい。本発明において、粘度は円錐平板型回転粘度計(コーンプレートタイプ)を用いて測定した値である。
発光層形成用組成物の表面張力としては、低い方が良好な成膜性および欠陥のない塗膜が得られる。一方、高い方が良好なインクジェット吐出性を得られる。このことから、該発光層形成用組成物の粘度は、25℃における表面張力が20mN/m〜40mN/mであることが好ましく、20mN/m〜30mN/mであることがより好ましい。本発明において、表面張力は懸滴法を用いて測定した値である。
<有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層>
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たす。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することをつかさどる層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香族環または複素芳香族環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香族環誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香族環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体などがあげられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3−ビス[(4−t−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N−フェニルベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−テルピリジニル))ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、リンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体などがあげられる。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などがあげられる。
上述した材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
上述した材料の中でも、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、およびキノリノール系金属錯体が好ましい。
<ボラン誘導体>
ボラン誘導体は、例えば下記一般式(ETM−1)で表される化合物であり、詳細には特開2007-27587号公報に開示されている。
Figure 2019235452
上記式(ETM−1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよいアリーレンであり、Yは、置換されていてもよい炭素数16以下のアリール、置換されているボリル、または置換されていてもよいカルバゾリルであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
上記一般式(ETM−1)で表される化合物の中でも、下記一般式(ETM−1−1)で表される化合物や下記一般式(ETM−1−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2019235452
式(ETM−1−1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、Xは、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、そして、mはそれぞれ独立して0〜4の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
Figure 2019235452
式(ETM−1−2)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
の具体的な例としては、下記式(X−1)〜式(X−9)のいずれかで表される2価の基があげられる。
Figure 2019235452
(各式中、Rは、それぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基または置換されていてもよいフェニル基である。)
このボラン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2019235452
このボラン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ピリジン誘導体>
ピリジン誘導体は、例えば下記式(ETM−2)で表される化合物であり、好ましくは式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)で表される化合物である。
Figure 2019235452
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数である。
上記式(ETM−2−1)において、R11〜R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)である。
上記式(ETM−2−2)において、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)であり、R11およびR12は結合して環を形成していてもよい。
各式において、「ピリジン系置換基」は、下記式(Py−1)〜式(Py−15)のいずれかであり、ピリジン系置換基はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルで置換されていてもよい。また、ピリジン系置換基はフェニレン基やナフチレン基を介して各式におけるφ、アントラセン環またはフルオレン環に結合していてもよい。
Figure 2019235452
ピリジン系置換基は、上記式(Py−1)〜式(Py−15)のいずれかであるが、これらの中でも、下記式(Py−21)〜式(Py−44)のいずれかであることが好ましい。
Figure 2019235452
各ピリジン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよく、また、上記式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における2つの「ピリジン系置換基」のうちの一方はアリールで置き換えられていてもよい。
11〜R18における「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
ピリジン系置換基に置換する炭素数1〜4のアルキルとしては、上記アルキルの説明を引用することができる。
11〜R18における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
11〜R18における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6〜30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6〜18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6〜14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「炭素数6〜30のアリール」としては、単環系アリールであるフェニル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
好ましい「炭素数6〜30のアリール」は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、クリセニルまたはトリフェニレニルなどがあげられ、さらに好ましくはフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはフェナントリルがあげられ、特に好ましくはフェニル、1−ナフチルまたは2−ナフチルがあげられる。
上記式(ETM−2−2)におけるR11およびR12は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このピリジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2019235452
このピリジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<フルオランテン誘導体>
フルオランテン誘導体は、例えば下記一般式(ETM−3)で表される化合物であり、詳細には国際公開第2010/134352号公報に開示されている。
Figure 2019235452
上記式(ETM−3)中、X12〜X21は水素、ハロゲン、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、直鎖、分岐もしくは環状のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールを表す。ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
このフルオランテン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2019235452
<BO系誘導体>
BO系誘導体は、例えば下記式(ETM−4)で表される多環芳香族化合物、または下記式(ETM−4)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。
Figure 2019235452
〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、式(ETM−4)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
式(ETM−4)における置換基や環形成の形態の説明については、上記一般式(1)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の説明を引用することができる。
このBO系誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2019235452
このBO系誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<アントラセン誘導体>
アントラセン誘導体の一つは、例えば下記式(ETM−5−1)で表される化合物である。
Figure 2019235452
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンであり、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6〜20のアリールである。
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンから適宜選択することができ、2つのArが異なっていても同じであってもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じであることが好ましい。Arはピリジンと結合して、「Arおよびピリジンからなる部位」を形成しており、この部位は例えば下記式(Py−1)〜式(Py−12)のいずれかで表される基としてアントラセンに結合している。
Figure 2019235452
これらの基の中でも、上記式(Py−1)〜式(Py−9)のいずれかで表される基が好ましく、上記式(Py−1)〜式(Py−6)のいずれかで表される基がより好ましい。アントラセンに結合する2つの「Arおよびピリジンからなる部位」は、その構造が同じであっても異なっていてもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じ構造であることが好ましい。ただし、素子特性の観点からは、2つの「Arおよびピリジンからなる部位」の構造が同じであっても異なっていても好ましい。
〜Rにおける炭素数1〜6のアルキルについては直鎖および分岐鎖のいずれでもよい。すなわち、炭素数1〜6の直鎖アルキルまたは炭素数3〜6の分岐鎖アルキルである。より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)である。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、または2−エチルブチルなどがあげられ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、またはt−ブチルが好ましく、メチル、エチル、またはt−ブチルがより好ましい。
〜Rにおける炭素数3〜6のシクロアルキルの具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
〜Rにおける炭素数6〜20のアリールについては、炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。
「炭素数6〜20のアリール」の具体例としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アントラセン−(1−,2−,9−)イル、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、テトラセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イルなどがあげられる。
好ましい「炭素数6〜20のアリール」は、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリルまたはナフチルであり、より好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはm−テルフェニル−5’−イルであり、さらに好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1−ナフチルまたは2−ナフチルであり、最も好ましくはフェニルである。
アントラセン誘導体の一つは、例えば下記式(ETM−5−2)で表される化合物である。
Figure 2019235452
Arは、それぞれ独立して、単結合、2価のベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、またはフェナレンである。
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における「炭素数6〜20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどがあげられる。
〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における説明を引用することができる。
これらのアントラセン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2019235452
これらのアントラセン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ベンゾフルオレン誘導体>
ベンゾフルオレン誘導体は、例えば下記式(ETM−6)で表される化合物である。
Figure 2019235452
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における「炭素数6〜20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどがあげられる。
Arは、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)であり、2つのArは結合して環を形成していてもよい。
Arにおける「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキルがあげられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)である。具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシルなどがあげられる。
Arにおける「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルがあげられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどがあげられる。
Arにおける「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6〜30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6〜18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6〜14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「炭素数6〜30のアリール」としては、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、ペリレニル、ペンタセニルなどがあげられる。
2つのArは結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このベンゾフルオレン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2019235452
このベンゾフルオレン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ホスフィンオキサイド誘導体>
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM−7−1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2013/079217号公報にも記載されている。
Figure 2019235452
は、置換または無置換の、炭素数1〜20のアルキル、炭素数3〜16のシクロアルキル、炭素数6〜20のアリールまたは炭素数5〜20のヘテロアリールであり、
は、CN、置換または無置換の、炭素数1〜20のアルキル、炭素数3〜16のシクロアルキル、炭素数1〜20のヘテロアルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数5〜20のヘテロアリール、炭素数1〜20のアルコキシまたは炭素数6〜20のアリールオキシであり、
およびRは、それぞれ独立して、置換または無置換の、炭素数6〜20のアリールまたは炭素数5〜20のヘテロアリールであり、
は酸素または硫黄であり、
jは0または1であり、kは0または1であり、rは0〜4の整数であり、qは1〜3の整数である。
ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどがあげられる。
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM−7−2)で表される化合物でもよい。
Figure 2019235452
〜Rは、同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、および隣接置換基との間に形成される縮合環の中から選ばれる。
Arは、同じでも異なっていてもよく、アリーレン基またはヘテロアリーレン基である。Arは、同じでも異なっていてもよく、アリール基またはヘテロアリール基である。ただし、ArおよびArのうち少なくとも一方は置換基を有しているか、または隣接置換基との間に縮合環を形成している。nは0〜3の整数であり、nが0のとき不飽和構造部分は存在せず、nが3のときR1は存在しない。
これらの置換基の内、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。置換されている場合の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基、複素環基等をあげることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常、1〜20の範囲である。
また、シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキル基部分の炭素数は特に限定されないが、通常、3〜20の範囲である。
また、アラルキル基とは、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも置換されていてもかまわない。脂肪族部分の炭素数は特に限定されないが、通常、1〜20の範囲である。
また、アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜20の範囲である。
また、シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセン基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。
また、アルキニル基とは、例えば、アセチレニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜20の範囲である。
また、アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基などのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1〜20の範囲である。
また、アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、シクロアルキルチオ基とは、シクロアルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基などのエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、芳香族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。
また、アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、無置換でも置換されていてもかまわない。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。
また、複素環基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する環状構造基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜30の範囲である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。
アルデヒド基、カルボニル基、アミノ基には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環などで置換された基も含むことができる。
また、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環は無置換でも置換されていてもかまわない。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基などのケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。シリル基の炭素数は特に限定されないが、通常、3〜20の範囲である。また、ケイ素数は、通常、1〜6である。
隣接置換基との間に形成される縮合環とは、例えば、ArとR、ArとR、ArとR、ArとR、RとR、ArとAr等の間で形成された共役または非共役の縮合環である。ここで、nが1の場合、2つのR同士で共役または非共役の縮合環を形成してもよい。これら縮合環は、環内構造に窒素、酸素、硫黄原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。
このホスフィンオキサイド誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2019235452
このホスフィンオキサイド誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ピリミジン誘導体>
ピリミジン誘導体は、例えば下記式(ETM−8)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM−8−1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2011/021689号公報にも記載されている。
Figure 2019235452
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このピリミジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2019235452
このピリミジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<カルバゾール誘導体>
カルバゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−9)で表される化合物、またはそれが単結合などで複数結合した多量体である。詳細は米国公開公報2014/0197386号公報に記載されている。
Figure 2019235452
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは0〜4の整数であり、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0または1である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
カルバゾール誘導体は、上記式(ETM−9)で表される化合物が単結合などで複数結合した多量体であってもよい。この場合、単結合以外に、アリール環(好ましくは多価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)で結合されていてもよい。
このカルバゾール誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2019235452
このカルバゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<トリアジン誘導体>
トリアジン誘導体は、例えば下記式(ETM−10)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM−10−1)で表される化合物である。詳細は米国公開公報2011/0156013号公報に記載されている。
Figure 2019235452
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1〜3の整数であり、好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどがあげられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このトリアジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。
Figure 2019235452
このトリアジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ベンゾイミダゾール誘導体>
ベンゾイミダゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−11)で表される化合物である。
Figure 2019235452
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数であり、「ベンゾイミダゾール系置換基」は、上記式(ETM−2)、式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がベンゾイミダゾール基に置き換わった置換基であり、ベンゾイミダゾール誘導体における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。
Figure 2019235452
上記ベンゾイミダゾール基におけるR11は、水素、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜30のアリールであり、上記式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)におけるR11の説明を引用することができる。
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができ、各式中のR11〜R18は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをベンゾイミダゾール系置換基に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11〜R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM−2−1)におけるR11〜R18の少なくとも1つをベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11〜R18で置き換えてもよい。
このベンゾイミダゾール誘導体の具体例としては、例えば1−フェニル−2−(4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(3−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールなどがあげられる。
Figure 2019235452
このベンゾイミダゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<フェナントロリン誘導体>
フェナントロリン誘導体は、例えば下記式(ETM−12)または式(ETM−12−1)で表される化合物である。詳細は国際公開2006/021982号公報に記載されている。
Figure 2019235452
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数である。
各式のR11〜R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)である。また、上記式(ETM−12−1)においてはR11〜R18のいずれかがアリール環であるφと結合する。
各フェナントロリン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
11〜R18におけるアルキル、シクロアルキルおよびアリールとしては、上記式(ETM−2)におけるR11〜R18の説明を引用することができる。また、φは上記した例のほかに、例えば、以下の構造式があげられる。なお、下記構造式中のRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリルまたはテルフェニリルである。
Figure 2019235452
このフェナントロリン誘導体の具体例としては、例えば4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、9,10−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)アントラセン、2,6−ジ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ピリジン、1,3,5−トリ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ベンゼン、9,9’−ジフルオロ−ビ(1,10−フェナントロリン−5−イル)、バソクプロイン、1,3−ビス(2−フェニル−1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンや下記構造式で表される化合物などがあげられる。
Figure 2019235452
このフェナントロリン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<キノリノール系金属錯体>
キノリノール系金属錯体は、例えば下記一般式(ETM−13)で表される化合物である。
Figure 2019235452
式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アルケニル、シアノ、アルコキシまたはアリールであり、MはLi、Al、Ga、BeまたはZnであり、nは1〜3の整数である。
キノリノール系金属錯体の具体例としては、8−キノリノールリチウム、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,5,6−テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウムなどがあげられる。
このキノリノール系金属錯体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体>
チアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−14−1)で表される化合物である。
Figure 2019235452
ベンゾチアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−14−2)で表される化合物である。
Figure 2019235452
各式のφは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数であり、「チアゾール系置換基」や「ベンゾチアゾール系置換基」は、上記式(ETM−2)、式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基が下記のチアゾール基やベンゾチアゾール基に置き換わった置換基であり、チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
Figure 2019235452
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができ、各式中のR11〜R18は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11〜R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM−2−1)におけるR11〜R18の少なくとも1つをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11〜R18で置き換えてもよい。
これらのチアゾール誘導体またはベンゾチアゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有する物質であれば、様々な物質が用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
好ましい還元性物質としては、Na(仕事関数2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0〜2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属があげられ、仕事関数が2.9eV以下の物質が特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら2種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
上述した電子輸注入層用材料および電子輸送層用材料は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくはその高分子架橋体、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物、もしくはそのペンダント型高分子架橋体としても、電子層用材料に用いることができる。この場合の反応性置換基としては、式(1)で表される多環芳香族化合物での説明を引用できる。
このような高分子化合物および高分子架橋体の用途の詳細については後述する。
<有機電界発光素子における陰極>
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たす。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様の材料を用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム−リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例としてあげられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
<各層で用いてもよい結着剤>
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
<有機電界発光素子の作製方法>
有機EL素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度+50〜+400℃、真空度10−6〜10−3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚2nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
次に、有機EL素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
<蒸着法>
適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法などにより形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法などにより形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
<湿式成膜法>
湿式成膜法は、有機EL素子の各有機層を形成し得る低分子化合物を液状の有機層形成用組成物として準備し、これを用いることによって実施される。この低分子化合物を溶解する適当な有機溶媒がない場合には、当該低分子化合物に反応性置換基を置換させた反応性化合物として溶解性機能を有する他のモノマーや主鎖型高分子と共に高分子化させた高分子化合物などから有機層形成用組成物を準備してもよい。
湿式成膜法は、一般的には、基板に有機層形成用組成物を塗布する塗布工程および塗布された有機層形成用組成物から溶媒を取り除く乾燥工程を経ることで塗膜を形成する。上記高分子化合物が架橋性置換基を有する場合(これを架橋性高分子化合物ともいう)には、この乾燥工程によりさらに架橋して高分子架橋体が形成される。塗布工程の違いにより、スピンコーターを用いる方法をスピンコート法、スリットコーターを用いる方法をスリットコート法、版を用いる方法をグラビア、オフセット、リバースオフセット、フレキソ印刷法、インクジェットプリンタを用いる方法をインクジェット法、霧状に吹付ける方法をスプレー法と呼ぶ。乾燥工程には、風乾、加熱、減圧乾燥などの方法がある。乾燥工程は1回のみ行なってもよく、異なる方法や条件を用いて複数回行なってもよい。また、例えば、減圧下での焼成のように、異なる方法を併用してもよい。
湿式成膜法とは溶液を用いた成膜法であり、例えば、一部の印刷法(インクジェット法)、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などである。湿式成膜法は真空蒸着法と異なり高価な真空蒸着装置を用いる必要が無く、大気圧下で成膜することができる。加えて、湿式成膜法は大面積化や連続生産が可能であり、製造コストの低減につながる。
一方で、真空蒸着法と比較した場合には、湿式成膜法は積層化が難しい場合がある。湿式成膜法を用いて積層膜を作製する場合、上層の組成物による下層の溶解を防ぐ必要があり、溶解性を制御した組成物、下層の架橋および直交溶媒(Orthogonal solvent、互いに溶解し合わない溶媒)などが駆使される。しかしながら、それらの技術を用いても、全ての膜の塗布に湿式成膜法を用いるのは難しい場合がある。
そこで、一般的には、幾つかの層だけを湿式成膜法を用い、残りを真空蒸着法で有機EL素子を作製するという方法が採用される。
例えば、湿式成膜法を一部適用し有機EL素子を作製する手順を以下に示す。
(手順1)陽極の真空蒸着法による成膜
(手順2)正孔注入層用材料を含む正孔注入層形成用組成物の湿式成膜法による成膜
(手順3)正孔輸送層用材料を含む正孔輸送層形成用組成物の湿式成膜法による成膜
(手順4)ホスト材料とドーパント材料を含む発光層形成用組成物の湿式成膜法による成膜
(手順5)電子輸送層の真空蒸着法による成膜
(手順6)電子注入層の真空蒸着法による成膜
(手順7)陰極の真空蒸着法による成膜
この手順を経ることで、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子が得られる。
もちろん、下層の発光層の溶解を防ぐ手段があったり、また上記手順とは逆に陰極側から成膜する手段などを用いることで、電子輸送層用材料や電子注入層用材料を含む層形成用組成物として準備して、それらを湿式成膜法により成膜できる。
<その他の成膜法>
有機層形成用組成物の成膜化には、レーザー加熱描画法(LITI)を用いることができる。LITIとは基材に付着させた化合物をレーザーで加熱蒸着する方法で、基材へ塗布される材料に有機層形成用組成物を用いることができる。
<任意の工程>
成膜の各工程の前後に、適切な処理工程、洗浄工程および乾燥工程を適宜入れてもよい。処理工程としては、例えば、露光処理、プラズマ表面処理、超音波処理、オゾン処理、適切な溶媒を用いた洗浄処理および加熱処理等が挙げられる。さらには、バンクを作製する一連の工程も挙げられる。
バンクの作製にはフォトリソグラフィ技術を用いることができる。フォトリソグラフィの利用可能なバンク材としては、ポジ型レジスト材料およびネガ型レジスト材料を用いることができる。また、インクジェット法、グラビアオフセット印刷、リバースオフセット印刷、スクリーン印刷などのパターン可能な印刷法も用いることができる。その際には永久レジスト材料を用いることもできる。
バンクに用いられる材料としては、多糖類およびその誘導体、ヒドロキシルを有するエチレン性モノマーの単独重合体および共重合体、生体高分子化合物、ポリアクリロイル化合物、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリフェニルエーテル、ポリウレタン、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合ポリマー(ABS)、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム、ポリフルオロビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ化ポリマー、フルオロオレフィン−ヒドロカーボンオレフィンの共重合ポリマー、フルオロカーボンポリマーが挙げられるが、それだけに限定されない。
<湿式成膜法に使用される有機層形成用組成物>
有機層形成用組成物は、有機EL素子の各有機層を形成し得る低分子化合物、または当該低分子化合物を高分子化させた高分子化合物を有機溶媒に溶解させて得られる。例えば、発光層形成用組成物は、第1成分として少なくとも1種のドーパント材料である多環芳香族化合物(またはその高分子化合物)と、第2成分として少なくとも1種のホスト材料と、第3成分として少なくとも1種の有機溶媒とを含有する。第1成分は、該組成物から得られる発光層のドーパント成分として機能し、第2成分は発光層のホスト成分として機能する。第3成分は、組成物中の第1成分と第2成分を溶解する溶媒として機能し、塗布時には第3成分自身の制御された蒸発速度により平滑で均一な表面形状を与える。
<有機溶媒>
有機層形成用組成物は少なくとも一種の有機溶媒を含む。成膜時に有機溶媒の蒸発速度を制御することで、成膜性および塗膜の欠陥の有無、表面粗さ、平滑性を制御および改善することができる。また、インクジェット法を用いた成膜時は、インクジェットヘッドのピンホールでのメニスカス安定性を制御し、吐出性を制御・改善することができる。加えて、膜の乾燥速度および誘導体分子の配向を制御することで、該有機層形成用組成物より得られる有機層を有する有機EL素子の電気特性、発光特性、効率、および寿命を改善することができる。
(1)有機溶媒の物性
少なくとも1種の有機溶媒の沸点は、130℃〜300℃であり、140℃〜270℃がより好ましく、150℃〜250℃がさらに好ましい。沸点が130℃より高い場合、インクジェットの吐出性の観点から好ましい。また、沸点が300℃より低い場合、塗膜の欠陥、表面粗さ、残留溶媒および平滑性の観点から好ましい。有機溶媒は、良好なインクジェットの吐出性、成膜性、平滑性および低い残留溶媒の観点から、2種以上の有機溶媒を含む構成がより好ましい。一方で、場合によっては、運搬性などを考慮し、有機層形成用組成物中から溶媒を除去することで固形状態とした組成物であってもよい。
さらに、有機溶媒が溶質の少なくとも1種に対する良溶媒(GS)と貧溶媒(PS)とを含み、良溶媒(GS)の沸点(BPGS)が貧溶媒(PS)の沸点(BPPS)よりも低い、構成が特に好ましい。
高沸点の貧溶媒を加えることで成膜時に低沸点の良溶媒が先に揮発し、組成物中の含有物の濃度と貧溶媒の濃度が増加し速やかな成膜が促される。これにより、欠陥が少なく、表面粗さが小さい、平滑性の高い塗膜が得られる。
溶解度の差(SGS−SPS)は、1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましく、5%以上であることがさらに好ましい。沸点の差(BPPS−BPGS)は、10℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。
有機溶媒は、成膜後に、真空、減圧、加熱などの乾燥工程により塗膜より取り除かれる。加熱を行う場合、塗布成膜性改善の観点からは、溶質の少なくとも1種のガラス転移温度(Tg)+30℃以下で行うことが好ましい。また、残留溶媒の削減の観点からは、溶質の少なくとも1種のガラス転移点(Tg)−30℃以上で加熱することが好ましい。加熱温度が有機溶媒の沸点より低くても膜が薄いために、有機溶媒は十分に取り除かれる。また、異なる温度で複数回乾燥を行ってもよく、複数の乾燥方法を併用してもよい。
(2)有機溶媒の具体例
有機層形成用組成物に用いられる有機溶媒としては、アルキルベンゼン系溶媒、フェニルエーテル系溶媒、アルキルエーテル系溶媒、環状ケトン系溶媒、脂肪族ケトン系溶媒、単環性ケトン系溶媒、ジエステル骨格を有する溶媒および含フッ素系溶媒などがあげられ、具体例として、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサン−2−オール、ヘプタン−2−オール、オクタン−2−オール、デカン−2−オール、ドデカン−2−オール、シクロヘキサノール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、δ−テルピネオール、テルピネオール(混合物)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾ三フッ化物、クメン、トルエン、2−クロロ−6−フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、ブロモベンゼン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロメチルアニソール、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、2−メチルアニソール、フェネトール、ベンゾジオキソール、4−メチルアニソール、s−ブチルベンゼン、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、シメン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、n−ブチルベンゼン、3−フルオロベンゾニトリル、デカリン(デカヒドロナフタレン)、ネオペンチルベンゼン、2,5−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル、1−フルオロ−3,5−ジメトキシベンゼン、安息香酸メチル、イソペンチルベンゼン、3,4−ジメチルアニソール、o−トルニトリル、n−アミルベンゼン、ベラトロール、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、安息香酸エチル、n−ヘキシルベンゼン、安息香酸プロピル、シクロヘキシルベンゼン、1−メチルナフタレン、安息香酸ブチル、2−メチルビフェニル、3−フェノキシトルエン、2,2’−ビトリル、ドデシルベンゼン、ジペンチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、トリメトキシベンゼン、トリメトキシトルエン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、1-メチル-4-(プロポキシメチル)ベンゼン、1-メチル-4-(ブチルオキシメチル)ベンゼン、1-メチル-4-(ペンチルオキシメチル)ベンゼン、1-メチル-4-(ヘキシルオキシメチル)ベンゼン、1-メチル-4-(ヘプチルオキシメチル)ベンゼンベンジルブチルエーテル、ベンジルペンチルエーテル、ベンジルヘキシルエーテル、ベンジルヘプチルエーテル、ベンジルオクチルエーテルなどが挙げられるが、それだけに限定されない。また、溶媒は単一で用いてもよく、混合してもよい。
<任意成分>
有機層形成用組成物は、その性質を損なわない範囲で、任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、バインダーおよび界面活性剤等が挙げられる。
(1)バインダー
有機層形成用組成物は、バインダーを含有していてもよい。バインダーは、成膜時には膜を形成するとともに、得られた膜を基板と接合する。また、該有機層形成用組成物中で他の成分を溶解および分散および結着させる役割を果たす。
有機層形成用組成物に用いられるバインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体(AES)樹脂、アイオノマー、塩素化ポリエーテル、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、テフロン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、および、上記樹脂およびポリマーの共重合体、が挙げられるが、それだけに限定されない。
有機層形成用組成物に用いられるバインダーは、1種のみであってもよく複数種を混合して用いてもよい。
(2)界面活性剤
有機層形成用組成物は、例えば、有機層形成用組成物の膜面均一性、膜表面の親溶媒性および撥液性の制御のために界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、親水性基の構造からイオン性および非イオン性に分類され、さらに、疎水性基の構造からアルキル系およびシリコン系およびフッ素系に分類される。また、分子の構造から、分子量が比較的小さく単純な構造を有する単分子系および分子量が大きく側鎖や枝分かれを有する高分子系に分類される。また、組成から、単一系、二種以上の界面活性剤および基材を混合した混合系に分類される。該有機層形成用組成物に用いることのできる界面活性剤としては、全ての種類の界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリフローNo.45、ポリフローKL−245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(商品名、共栄社化学工業(株)製)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK342、BYK344、BYK346(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)、KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(商品名、信越化学工業(株)製)、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(商品名、セイミケミカル(株)製)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(商品名、(株)ネオス製)、EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(商品名、三菱マテリアル(株)製)、メガファックF−470、メガファックF−471、メガファックF−475、メガファックR−08、メガファックF−477、メガファックF−479、メガファックF−553、メガファックF−554(商品名、DIC(株)製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を挙げることができる。
また、界面活性剤は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<有機層形成用組成物の組成および物性>
有機層形成用組成物における各成分の含有量は、有機層形成用組成物中の各成分の良好な溶解性、保存安定性および成膜性、ならびに、該有機層形成用組成物から得られる塗膜の良質な膜質、また、インクジェット法を用いた場合の良好な吐出性、該組成物を用いて作製された有機層を有する有機EL素子の、良好な電気特性、発光特性、効率、寿命の観点を考慮して決定される。例えば、発光層形成用組成物の場合には、第1成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.0001重量%〜2.0重量%、第2成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.0999重量%〜8.0重量%、第3成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、90.0重量%〜99.9重量%が好ましい。
より好ましくは、第1成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.005重量%〜1.0重量%、第2成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.095重量%〜4.0重量%、第3成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、95.0重量%〜99.9重量%である。さらに好ましくは、第1成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.05重量%〜0.5重量%、第2成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、0.25重量%〜2.5重量%、第3成分が発光層形成用組成物の全重量に対して、97.0重量%〜99.7重量%である。
有機層形成用組成物は、上述した成分を、公知の方法で攪拌、混合、加熱、冷却、溶解、分散等を適宜選択して行うことによって製造できる。また、調製後に、ろ過、脱ガス(デガスとも言う)、イオン交換処理および不活性ガス置換・封入処理等を適宜選択して行ってもよい。
有機層形成用組成物の粘度としては、高粘度である方が、良好な成膜性とインクジェット法を用いた場合の良好な吐出性が得られる。一方、低粘度である方が薄い膜を作りやすい。このことから、該有機層形成用組成物の粘度は、25℃における粘度が0.3〜3mPa・sであることが好ましく、1〜3mPa・sであることがより好ましい。本発明において、粘度は円錐平板型回転粘度計(コーンプレートタイプ)を用いて測定した値である。
有機層形成用組成物の表面張力としては、低い方が良好な成膜性および欠陥のない塗膜が得られる。一方、高い方が良好なインクジェット吐出性を得られる。このことから、該有機層形成用組成物の粘度は、25℃における表面張力が20〜40mN/mであることが好ましく、20〜30mN/mであることがより好ましい。本発明において、表面張力は懸滴法を用いて測定した値である。
<架橋性高分子化合物:一般式(XLP−1)で表される化合物>
次に、上述した高分子化合物が架橋性置換基を有する場合について説明する。このような架橋性高分子化合物は例えば下記一般式(XLP−1)で表される化合物である。
Figure 2019235452
式(XLP−1)において、
MUx、ECxおよびkは上記式(SPH−1)におけるMU、ECおよびkと同定義であり、ただし、式(XLP−1)で表される化合物は少なくとも1つの架橋性置換基(XLS)を有し、好ましくは架橋性置換基を有する1価または2価の芳香族化合物の含有量は、分子中0.1〜80重量%である。
架橋性置換基を有する1価または2価の芳香族化合物の含有量は、0.5〜50重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。
架橋性置換基(XLS)としては、上述した高分子化合物をさらに架橋化できる基であれば特に限定されないが、以下の構造の置換基が好ましい。各構造式中の*は結合位置を示す。
Figure 2019235452
Lは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、>C=O、−O−C(=O)−、炭素数1〜12のアルキレン、炭素数1〜12のオキシアルキレンおよび炭素数1〜12のポリオキシアルキレンである。上記置換基の中でも、式(XLS−1)、式(XLS−2)、式(XLS−3)、式(XLS−9)、式(XLS−10)または式(XLS−17)で表される基が好ましく、式(XLS−1)、式(XLS−3)または式(XLS−17)で表される基がより好ましい。
架橋性置換基を有する2価の芳香族化合物としては、例えば下記部分構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2019235452
Figure 2019235452
Figure 2019235452
Figure 2019235452
<高分子化合物および架橋性高分子化合物の製造方法>
高分子化合物および架橋性高分子化合物の製造方法について、上述した式(SPH−1)で表される化合物および(XLP−1)で表される化合物を例にして説明する。これらの化合物は、公知の製造方法を適宜組み合わせて合成することができる。
反応で用いられる溶媒としては、芳香族溶媒、飽和/不飽和炭化水素溶媒、アルコール溶媒、エーテル系溶媒などがあげられ、例えば、ジメトキシエタン、2−(2−メトキシエトキシ)エタン、2−(2−エトキシエトキシ)エタン等があげられる。
また、反応は2相系で行ってもよい。2相系で反応させる場合は、必要に応じて、第4級アンモニウム塩等の相間移動触媒を加えてもよい。
式(SPH−1)の化合物および(XLP−1)の化合物を製造する際、一段階で製造してもよいし、多段階を経て製造してもよい。また、原料を反応容器に全て入れてから反応を開始する一括重合法により行ってもよいし、原料を反応容器に滴下し加える滴下重合法により行ってもよいし、生成物が反応の進行に伴い沈殿する沈殿重合法により行ってもよく、これらを適宜組み合わせて合成することができる。例えば、式(SPH−1)で表される化合物を一段階で合成する際、モノマーユニット(MU)およびエンドキャップユニット(EC)を反応容器に加えた状態で反応を行うことで目的物を得る。また、一般式(SPH−1)で表される化合物を多段階で合成する際、モノマーユニット(MU)を目的の分子量まで重合した後、エンドキャップユニット(EC)を加えて反応させることで目的物を得る。多段階で異なる種類のモノマーユニット(MU)を加え反応を行えば、モノマーユニットの構造について濃度勾配を有するポリマーを作ることができる。また、前駆体ポリマーを調製した後、あと反応により目的物ポリマーを得ることができる。
また、モノマーユニット(MU)の重合性基を選べばポリマーの一次構造を制御することができる。例えば、合成スキームの1〜3に示すように、ランダムな一次構造を有するポリマー(合成スキームの1)、規則的な一次構造を有するポリマー(合成スキームの2および3)などを合成することが可能であり、目的物に応じて適宜組み合わせて用いることができる。さらには、重合性基を3つ以上有するモノマーユニットを用いれば、ハイパーブランチポリマーやデンドリマーを合成することができる。
Figure 2019235452
本発明で用いることのできるモノマーユニットとしては、特開2010-189630号公報、国際公報第2012/086671号、国際公開第2013/191088号、国際公開第2002/045184号、国際公開第2011/049241号、国際公開第2013/146806号、国際公開第2005/049546号、国際公開第2015/145871号、特開2010-215886号、特開2008-106241号公報、特開2010-215886号公報、国際公開第2016/031639号、特開2011-174062号公報、国際公開第2016/031639号、国際公開第2016/031639号、国際公開第2002/045184号に記載の方法に準じて合成することができる。
また、具体的なポリマー合成手順については、特開2012-036388号公報、国際公開第2015/008851号、特開2012-36381号公報、特開2012-144722号公報、国際公開第2015/194448号、国際公開第2013/146806号、国際公開第2015/145871号、国際公開第2016/031639号、国際公開第2016/125560号、国際公開第2016/031639号、国際公開第2016/031639号、国際公開第2016/125560号、国際公開第2015/145871号、国際公開第2011/049241号、特開2012-144722号公報に記載の方法に準じて合成することができる。
<有機電界発光素子の応用例>
また、本発明は、有機EL素子を備えた表示装置または有機EL素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機EL素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機EL素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどがあげられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などがあげられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスでは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されており、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などがあげられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどがあげられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式が蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
3−2.その他の有機デバイス
本発明に係る多環芳香族化合物は、上述した有機電界発光素子の他に、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などの作製に用いることができる。
有機電界効果トランジスタは、電圧入力によって発生させた電界により電流を制御するトランジスタのことであり、ソース電極とドレイン電極の他にゲート電極が設けられている。ゲート電極に電圧を印加すると電界が生じ、ソース電極とドレイン電極間を流れる電子(あるいはホール)の流れを任意にせき止めて電流を制御することができるトランジスタである。電界効果トランジスタは、単なるトランジスタ(バイポーラトランジスタ)に比べて小型化が容易であり、集積回路などを構成する素子としてよく用いられている。
有機電界効果トランジスタの構造は、通常、本発明に係る多環芳香族化合物を用いて形成される有機半導体活性層に接してソース電極およびドレイン電極が設けられており、さらに有機半導体活性層に接した絶縁層(誘電体層)を挟んでゲート電極が設けられていればよい。その素子構造としては、例えば以下の構造があげられる。
(1)基板/ゲート電極/絶縁体層/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層
(2)基板/ゲート電極/絶縁体層/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極
(3)基板/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極/絶縁体層/ゲート電極
(4)基板/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層/絶縁体層/ゲート電極
このように構成された有機電界効果トランジスタは、アクティブマトリックス駆動方式の液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画素駆動スイッチング素子などとして適用できる。
有機薄膜太陽電池は、ガラスなどの透明基板上にITOなどの陽極、ホール輸送層、光電変換層、電子輸送層、陰極が積層された構造を有する。光電変換層は陽極側にp型半導体層を有し、陰極側にn型半導体層を有している。本発明に係る多環芳香族化合物は、その物性に応じて、ホール輸送層、p型半導体層、n型半導体層、電子輸送層の材料として用いることが可能である。本発明に係る多環芳香族化合物は、有機薄膜太陽電池においてホール輸送材料や電子輸送材料として機能しうる。有機薄膜太陽電池は、上記の他にホールブロック層、電子ブロック層、電子注入層、ホール注入層、平滑化層などを適宜備えていてもよい。有機薄膜太陽電池には、有機薄膜太陽電池に用いられる既知の材料を適宜選択して組み合わせて用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されるものではない。まず、多環芳香族化合物の合成例について、以下に説明する。
合成例(1):化合物(1−151)の合成
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、4−(t−アミル)アニリン(15.0g)をアセトニトリル(150ml)へ溶解させ、そこに氷冷下、臭素(22.5g)を滴下し、0.5時間撹拌した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−A)を得た(20.0g)。
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、塩化銅(10.1g)、中間体(I−A)(20.0g)をアセトニトリル(100ml)へ溶解させ、そこへ、アセトニトリル(50ml)へ溶解させた亜硝酸t−ブチル(9.6g)を60℃にて滴下し、同温にて0.5時間撹拌した。反応後、反応液に希塩酸と酢酸エチルを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/4(容量比))で精製することで、中間体(I−B)を得た(19.0g)。
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、中間体(I−B)(10.0g)、ビス(4−t−ブチルフェニル)アミン(18.2g)、パラジウム触媒としてジクロロビス[(ジ−t−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ)パラジウム(Pd−132、0.21g)、ナトリウム−t−ブトキシド(NaOtBu、7.1g)およびキシレン(100ml)をフラスコに入れ、100℃で1時間加熱した。反応後、反応液に水とトルエンを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−C)を得た(18.0g)。
Figure 2019235452
中間体(I−C)(18.0g)およびt−ブチルベンゼン(500ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.56Mのt−ブチルリチウムペンタン溶液(28.9ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−50℃まで冷却して三臭化ホウ素(11.3g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.8g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製した。得られた粗生成物をクロロベンゼンで再結晶させることで、化合物(1−151)を得た(7.1g)。
Figure 2019235452
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=0.49(t,3H)、0.92(s,6H)、1.28(q,2H)、1.46(s,18H)、1.47(s,18H)、6.05(s,2H)、6.77(d,2H)、7.28(m,4H)、7.50(m,2H)、7.67(m,4H)、8.97(d,2H).
合成例(2):化合物(1−147)の合成
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、2,3−ジクロロアニリン(15.0g)、1−ブロモ−4−t−アミルベンゼン(52.6g)、パラジウム触媒としてPd−132(1.32g)、NaOtBu(22.0g)およびキシレン(150ml)をフラスコに入れ、130℃で4時間加熱した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/1(容量比))で精製することで、中間体(I−D)を得た(38.0g)。
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、中間体(I−D)(15.0g)、ビス(4−t−ブチルフェニル)アミン(8.4g)、パラジウム触媒としてPd−132(0.21g)、NaOtBu(4.3g)およびキシレン(60ml)をフラスコに入れ、120℃で1時間加熱した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−E)を得た(15.0g)。
Figure 2019235452
中間体(I−E)(15.0g)およびt−ブチルベンゼン(120ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.56Mのt−ブチルリチウムペンタン溶液(27.5ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−50℃まで冷却して三臭化ホウ素(10.7g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.5g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製した。得られた粗生成物をヘプタンで再沈殿させることで、化合物(1−147)を得た(6.5g)。
Figure 2019235452
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=0.76(t,3H)、0.82(t,3H)、1.41(s,6H)、1.44(s,6H)、1.46(s,9H)、1.47(s,9H)、1.76(q,4H)、6.13(dd,2H)、6.73(d,1H)、6.75(d,1H)、7.28(m,5H)、7.45(dd,1H)、7.52(dd,1H)、7.61(d,2H)、7.67(d,2H)、8.91(d,1H)、8.97(d,1H).
合成例(3):化合物(1−142)の合成
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、中間体(I−D)(15.0g)、ビス(4−t−アミルフェニル)アミン(9.3g)、パラジウム触媒としてPd−132(0.21g)、NaOtBu(4.3g)およびキシレン(60ml)をフラスコに入れ、120℃で1.5時間加熱した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−F)を得た(14.5g)。
Figure 2019235452
中間体(I−F)(14.5g)およびt−ブチルベンゼン(120ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.56Mのt−ブチルリチウムペンタン溶液(25.6ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−50℃まで冷却して三臭化ホウ素(10.0g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.1g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製した。得られた粗生成物をヘプタンで再沈殿させることで、化合物(1−142)を得た(5.7g)。
Figure 2019235452
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=0.76(t,6H)、0.82(t,6H)、1.42(s,12H)、1.44(s,12H)、1.76(m,8H)、6.12(d,2H)、6.73(d,2H)、7.23(t,1H)、7.30(d,4H)、7.44(dd,2H)、7.61(d,4H)、8.89(d,2H).
合成例(4):化合物(1−401)の合成
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、中間体(I−B)(7.0g)、ビス(4−tertアミルフェニル)アミン(14.0g)、パラジウム触媒としてPd−132(0.15g)、NaOtBu(4.9g)およびキシレン(80ml)をフラスコに入れ、100℃で1時間加熱した。反応後、反応液に水とトルエンを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−G)を得た(9.8g)。
Figure 2019235452
中間体(I−G)(9.8g)およびt−ブチルベンゼン(80ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.56Mのt−ブチルリチウムペンタン溶液(15.8ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−50℃まで冷却して三臭化ホウ素(6.2g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.2g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製した。得られた粗生成物をヘプタンで再沈殿させることで、化合物(1−401)を得た(4.9g)。
Figure 2019235452
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=0.48(t,3H)、0.75(m,12H)、0.90(s,6H)、1.27(q,2H)、1.42(s,12H)、1.44(s,12H)、1.76(m,8H)、6.03(s,2H)、6.80(d,2H)、7.29(d,4H)、7.43(dd,2H)、7.61(d,4H)、8.88(d,2H).
合成例(5):化合物(1−171)の合成
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、3,4,5−トリクロロアニリン(15.0g)、ヨードベンゼン(46.7g)、パラジウム触媒としてPd−132(0.54g)、NaOtBu(18.3g)およびキシレン(150ml)をフラスコに入れ、120℃で2時間加熱した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−H)を得た(49.7g)。
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、中間体(I−H)(10.0g)、ビス(4−tertアミルフェニル)アミン(19.5g)、パラジウム触媒としてビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba)、0.33g)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(Sphos、0.59g)、NaOtBu(6.9g)およびキシレン(80ml)をフラスコに入れ、100℃で1時間加熱した。反応後、反応液に水とトルエンを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−I)を得た(16.0g)。
Figure 2019235452
中間体(I−I)(16.0g)およびt−ブチルベンゼン(100ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.56Mのt−ブチルリチウムペンタン溶液(22.1ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−50℃まで冷却して三臭化ホウ素(9.0g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.6g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製した。得られた粗生成物をヘプタンで再沈殿させることで、化合物(1−171)を得た(8.5g)。
Figure 2019235452
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=0.62(t,6H)、0.75(t,6H)、1.29(s,12H)、1.43(s,12H)、1.62(q,4H)、1.75(q,4H)、5.63(s,2H)、6.70(d,2H)、6.86(m,2H)、6.92(d,4H)、7.05(m,4H)、7.14(d,4H)、7.38(m,6H)、8.85(d,2H).
合成例(6):化合物(1−141)の合成
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、1,3−ジブロモ−5−t−ブチル−2−クロロベンゼン(10.0g)、ビス(4−tertアミルフェニル)アミン(20.9g)、パラジウム触媒としてPd−132(0.22g)、NaOtBu(7.4g)およびキシレン(100ml)をフラスコに入れ、100℃で1時間加熱した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−J)を得た(20.0g)。
Figure 2019235452
中間体(I−J)(20.0g)およびt−ブチルベンゼン(100ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.56Mのt−ブチルリチウムペンタン溶液(32.7ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−50℃まで冷却して三臭化ホウ素(12.8g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(6.6g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製した。得られた粗生成物をヘプタンで再沈殿させることで、化合物(1−141)を得た(9.1g)。
Figure 2019235452
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=0.75(m,12H)、0.96(s,9H)、1.42(s,12H)、1.44(s,12H)、1.75(m,8H)、6.08(s,2H)、6.78(d,2H)、7.29(d,4H)、7.43(dd,2H)、7.61(d,4H)、8.88(d,2H).
合成例(7):化合物(1−406)の合成
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、中間体(I−K)(15.0g)、ビス(4−t−アミルフェニル)アミン(8.0g)、パラジウム触媒としてPd−132(0.19g)、NaOtBu(3.9g)およびキシレン(60ml)をフラスコに入れ、120℃で1時間加熱した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−L)を得た(15.2g)。
Figure 2019235452
中間体(I−L)(15.0g)およびt−ブチルベンゼン(120ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.56Mのt−ブチルリチウムペンタン溶液(27.0ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−50℃まで冷却して三臭化ホウ素(10.5g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.4g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製した。得られた粗生成物をヘプタンで再沈殿させることで、化合物(1−406)を得た(6.9g)。
Figure 2019235452
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=0.75(t,3H)、0.81(t,3H)、1.43(s,12H)、1.47(s,18H)、1.76(quin,4H)、2.16(s,3H)、5.95(d,2H)、6.68(d,2H)、7.28(m,4H)、7.42(dd,1H)、7.49(dd,1H)、7.61(d,2H)、7.67(d,2H)、8.89(d,1H)、8.95(d,1H).
合成例(8):化合物(1−146)の合成
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、2,3−ジクロロ−5−メチルアニリン(7.0g)、1−ブロモ−4−t−アミルベンゼン(19.9g)、パラジウム触媒としてPd−132(0.28g)、NaOtBu(9.6g)およびキシレン(70ml)をフラスコに入れ、120℃で3時間加熱した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−M)を得た(12.0g)。
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、中間体(I−M)(11.0g)、ビス(4−t−アミルフェニル)アミン(6.1g)、パラジウム触媒としてPd−132(0.17g)、NaOtBu(3.4g)およびキシレン(50ml)をフラスコに入れ、120℃で1時間加熱した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−N)を得た(12.5g)。
Figure 2019235452
中間体(I−N)(12.5g)およびt−ブチルベンゼン(100ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.56Mのt−ブチルリチウムペンタン溶液(21.6ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−50℃まで冷却して三臭化ホウ素(8.4g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.4g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製した。得られた粗生成物をヘプタンで再沈殿させることで、化合物(1−146)を得た(6.9g)。
Figure 2019235452
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=0.75(t,6H)、0.81(t,6H)、1.42(s,12H)、1.43(s,12H)、1.76(quin,8H)、2.15(s,3H)、5.93(s,2H)、6.68(d,2H)、7.28(m,4H)、7.42(dd,2H)、7.61(d,4H)、8.88(d,2H).
合成例(9):化合物(1−403)の合成
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、中間体(I−K)(8.0g)、ビス(4−t−オクチルフェニル)アミン(6.5g)、パラジウム触媒としてPd−132(0.13g)、NaOtBu(2.6g)およびキシレン(40ml)をフラスコに入れ、120℃で1時間加熱した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−O)を得た(11.5g)。
Figure 2019235452
中間体(I−O)(11.5g)およびt−ブチルベンゼン(90ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.56Mのt−ブチルリチウムペンタン溶液(18.5ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−50℃まで冷却して三臭化ホウ素(7.2g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.7g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製した。得られた粗生成物をヘプタンで再沈殿させることで、化合物(1−403)を得た(4.6g)。
Figure 2019235452
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=0.74(s,9H)、0.84(s,9H)、1.46(s,9H)、1.47(s,9H)、1.51(s,6H)、1.54(s,6H)、1.82(s,2H)、1.86(s,2H)、2.12(s,3H)、5.94(d,2H)、6.68(d,1H)、6.74(d,1H)、7.28(m,4H)、7.45(dd,1H)、7.49(dd,1H)、7.68(m,4H)、8.93(d,1H)、8.97(d,1H).
合成例(10):化合物(1−502)の合成
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、4−(t−アミル)フェノール(24.3g)、2−ブロモ−5−クロロ−1,3−ジフルオロベンゼン(16.0g)、炭酸カリウム(29.2g)およびN−メチル−2−ピロリドン(NMP、80ml)をフラスコに入れ、180℃で4時間加熱した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いでトルエンを加えて分液した。反応後、反応液に水とヘプタンを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/2(容量比))で精製することで、中間体(I−P)を得た(27g)。
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、1.3Mイソプロピルマグネシウムクロリド−塩化リチウム錯体溶液(33ml)およびテトラヒドロフラン(THF、50ml)の入ったフラスコに、0℃で、中間体(I−P)(17.5g)のテトラヒドロフラン溶液(70ml)を加えた。滴下終了後、室温まで昇温して2時間撹拌した。0℃まで冷却して2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(8.8g)のテトラヒドロフラン溶液(15ml)を加え、室温まで昇温して2時間撹拌した。反応液にトルエンと飽和塩化アンモニウム水溶液を加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−Q)を得た(17.1g)。
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、三臭化ほう素(25g)およびトルエン(25ml)の入ったフラスコにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.9g)を加えた。その後、中間体(I−Q)(5.6g)のトルエン溶液(35ml)を加え、加熱還流下で6時間撹拌した。反応後、反応液に水とヘプタンを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。得られた粗生成物をヘプタンで再沈殿させることで、中間体(I−R)を得た(3.0g)。
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、中間体(I−R)(11.0g)、9,10−ジヒドロ−9,9−ジメチルアクリジン(1.0g)、トリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート([(t−Bu)PH]BF、0.1g)、パラジウム触媒としてPd(dba)(0.05g)、NaOtBu(0.65g)およびトルエン(40ml)をフラスコに入れ、加熱還流下で2時間加熱した。反応後、反応液に水とトルエンを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/1(容量比))で精製した。得られた粗生成物をヘプタンで再沈殿させることで、化合物(1−502)を得た(2.2g)。
Figure 2019235452
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=0.79(t,6H)、1.48(s,12H)、1.72(s,6H)、1.80(quin,4H)、6.49(d,2H)、6.94−7.01(m,4H)、7.22(s,2H)、7.48−7.50(m,4H)、7.73(dd,2H)、8.71(d,2H).
合成例(11):化合物(1−163)の合成
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、3,4,5−トリクロロアニリン(20.0g)、1−ブロモ−4−t−アミルベンゼン(48.6g)、パラジウム触媒としてPd−132(2.88g)、NaOtBu(24.5g)およびキシレン(200ml)をフラスコに入れ、120℃で2時間加熱した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−S)を得た(49.7g)。
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、中間体(I−S)(22.4g)、ビス(4−tertアミルフェニル)アミン(28.4g)、[(t−Bu)PH]BF(0.53g)、パラジウム触媒としてPd(dba)(0.84g)、NaOtBu(11.0g)およびキシレン(225ml)をフラスコに入れ、100℃で1時間加熱した。反応後、反応液に水とトルエンを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−T)を得た(31.2g)。
Figure 2019235452
中間体(I−T)(22.0g)およびt−ブチルベンゼン(100ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.56Mのt−ブチルリチウムペンタン溶液(25.0ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−50℃まで冷却して三臭化ホウ素(10.1g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.2g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製した。得られた粗成生物をヘプタンで再沈殿させることで、化合物(1−163)を得た(8.5g)。
Figure 2019235452
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=0.63(t,6H)、0.69(t,6H)、0.74(t,6H)、1.22(s,12H)、1.28(s,12H)、1.43(s,12H)、1.56(q,4H)、1.62(q,4H)、1.74(q,4H)、5.84(br,2H)、6.63(d,2H)、6.79(d,4H)、6.99(d,4H)、7.14(d,4H)、7.37(m,6H)、8.83(d,2H).
合成例(12):化合物(1−412)の合成
Figure 2019235452
窒素雰囲気下、中間体(I−U)(8.0g)、ビス(4−t−オクチルフェニル)アミン(7.0g)、パラジウム触媒としてPd−132(0.13g)、NaOtBu(2.6g)およびキシレン(40ml)をフラスコに入れ、120℃で1時間加熱した。反応後、反応液に水と酢酸エチルを加え攪拌した後、有機層を分離して水洗した。その後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(I−V)を得た(10.5g)。
Figure 2019235452
中間体(I−V)(10.5g)およびt−ブチルベンゼン(80ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、0℃で、1.56Mのt−ブチルリチウムペンタン溶液(17.5ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して0.5時間撹拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−50℃まで冷却して三臭化ホウ素(6.7g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び0℃まで冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.5g)を加え、発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて分液した。有機層を濃縮後に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製した。得られた粗生成物をヘプタンで再沈殿させることで、化合物(1−412)を得た(4.2g)。
Figure 2019235452
NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl): δ=0.75(s,9H)、0.86(s,9H)、1.45(s,9H)、1.48(s,9H)、1.50(s,6H)、1.54(s,6H)、1.83(s,2H)、1.87(s,2H)、6.13(t,2H)、6.72(d,1H)、6.74(d,1H)、7.22(t,1H)、7.28(m,4H)、7.45(dd,1H)、7.52(dd,1H)、7.68(m,4H)、8.94(d,1H)、8.98(d,1H).
原料の化合物を適宜変更することにより、上述した合成例に準じた方法で、本発明の他の多環芳香族化合物を合成することができる。
次に、本発明をさらに詳細に説明するために、本発明の化合物を用いた有機EL素子の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
<有機EL素子の評価>
実施例1−1〜実施例1−8に係る有機EL素子を作製し、1000cd/m発光時の特性である電圧(V)、発光波長(nm)、外部量子効率(%)を測定した。
発光素子の量子効率には、内部量子効率と外部量子効率とがあるが、内部量子効率は、発光素子の発光層に電子(または正孔)として注入される外部エネルギーが純粋に光子に変換される割合を示している。一方、外部量子効率は、この光子が発光素子の外部にまで放出された量に基づいて算出され、発光層において発生した光子は、その一部が発光素子の内部で吸収されたりまたは反射され続けたりして、発光素子の外部に放出されないため、外部量子効率は内部量子効率よりも低くなる。
外部量子効率の測定方法は次の通りである。アドバンテスト社製電圧/電流発生器R6144を用いて、素子の輝度が1000cd/mになる電圧を印加して素子を発光させた。TOPCON社製分光放射輝度計SR−3ARを用いて、発光面に対して垂直方向から可視光領域の分光放射輝度を測定した。発光面が完全拡散面であると仮定して、測定した各波長成分の分光放射輝度の値を波長エネルギーで割ってπを掛けた数値が各波長におけるフォトン数である。次いで、観測した全波長領域でフォトン数を積算し、素子から放出された全フォトン数とした。印加電流値を素電荷で割った数値を素子へ注入したキャリア数として、素子から放出された全フォトン数を素子へ注入したキャリア数で割った数値が外部量子効率である。
作製した実施例1−1〜実施例1−8に係る有機EL素子における各層の材料構成、およびEL特性データを下記表1Aおよび表1Bに示す。
Figure 2019235452
Figure 2019235452
表1Aにおいて、「HI」はN,N4’−ジフェニル−N,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンであり、「HAT−CN」は1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルであり、「HT−1」はN−([1,1’−ビフェニル]−4−イル−9,9−ジメチル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン[1,1’−ビフェニル]−4−アミンであり、「HT−2」はN,N−ビス(4−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)フェニル)−[1,1’:4’,1”−テルフェニル]−4−アミンであり、「BH−1」は2−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフト[2,3−b]ベンゾフランであり、「ET−1」は4,6,8,10−テトラフェニル[1,4]ベンゾキサボリニノ[2,3,4−kl]フェノキサボリニンであり、「ET−2」は3,3’−((2−フェニルアントラセン−9,10−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(4−メチルピリジン)である。「Liq」と共に以下に化学構造を示す。
Figure 2019235452
<実施例1−1>
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(長州産業(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI、HAT−CN、HT−1、HT−2、BH−1、化合物(1−151)、ET−1およびET−2をそれぞれ入れたタンタル製蒸着用ボート、Liq、LiFおよびアルミニウムをぞれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着した。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIを加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、次に、HAT−CNを加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、HT−1を加熱して膜厚45nmになるように蒸着し、次に、HT−2を加熱して膜厚10nmになるように蒸着して、4層からなる正孔層を形成した。次に、BH−1と化合物(1−151)を同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH−1と化合物(1−151)の重量比がおよそ98対2になるように蒸着速度を調節した。さらに、ET−1を加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、ET−2とLiqを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して、2層からなる電子層を形成した。ET−2とLiqの重量比がおよそ50対50になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得た。
ITO電極を陽極、LiF/アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、1000cd/m発光時の特性を測定したところ、波長465nmの青色発光が得られ、駆動電圧は3.66V、外部量子効率は8.73%であった。
<実施例1−2〜1−8>
実施例1−1に準じた方法で有機EL素子を作製し(表1A)、EL特性を測定した(表1B)。
<実施例2>
次に、化合物の溶解試験を行った。試験化合物1gを100℃のトルエン30mlに入れて攪拌した後、試験化合物が溶解しているか否か検証した。結果を表2に示す。
Figure 2019235452
<塗布型有機EL素子の評価>
次に、有機層を塗布形成して得られる有機EL素子について説明する。
<高分子ホスト化合物:SPH−101の合成>
国際公開第2015/008851号に記載の方法に従い、SPH−101を合成した。M1の隣にはM2またはM3が結合した共重合体が得られ、仕込み比より各ユニットは50:26:24(モル比)であると推測される。
Figure 2019235452
<高分子正孔輸送化合物:XLP−101の合成>
特開2018-61028号公報に記載の方法に従い、XLP−101を合成した。M7の隣にはM2またはM3が結合した共重合体が得られ、仕込み比より各ユニットは40:10:50(モル比)であると推測される。
Figure 2019235452
<実施例3〜10>
各層を形成する材料の塗布用溶液を調製して塗布型有機EL素子を作製する。
<実施例3〜5の有機EL素子の作製>
有機EL素子における、各層の材料構成を表3に示す。
Figure 2019235452
表3における、「ET1」の構造を以下に示す。
Figure 2019235452
<発光層形成用組成物(1)の調製>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することで発光層形成用組成物(1)を調製する。調製した発光層形成用組成物をガラス基板にスピンコートし、減圧下で加熱乾燥することによって、膜欠陥がなく平滑性に優れた塗布膜が得られる。
化合物(A) 0.04 重量%
SPH−101 1.96 重量%
キシレン 69.00 重量%
デカリン 29.00 重量%
なお、化合物(A)は、一般式(1)で表される多環芳香族化合物、その多量体、前記多環芳香族化合物もしくはその多量体をモノマー(すなわち当該モノマーは反応性置換基を有する)として高分子化させた高分子化合物、または当該高分子化合物をさらに架橋させた高分子架橋体である。高分子架橋体を得るための高分子化合物は架橋性置換基を有する。
<PEDOT:PSS溶液>
市販のPEDOT:PSS溶液(Clevios(TM) P VP AI4083、PEDOT:PSSの水分散液、Heraeus Holdings社製)を用いる。
Figure 2019235452
<OTPD溶液の調製>
OTPD(LT-N159、Luminescence Technology Corp社製)およびIK−2(光カチオン重合開始剤、サンアプロ社製)をトルエンに溶解させ、OTPD濃度0.7重量%、IK−2濃度0.007重量%のOTPD溶液を調製する。
Figure 2019235452
<XLP−101溶液の調製>
キシレンにXLP−101を0.6重量%の濃度で溶解させ、0.7重量%XLP−101溶液を調製する。
<PCz溶液の調製>
PCz(ポリビニルカルバゾール)をジクロロベンゼンに溶解させ、0.7重量%PCz溶液を調製する。
Figure 2019235452
<実施例3>
ITOが150nmの厚さに蒸着されたガラス基板上に、PEDOT:PSS溶液をスピンコートし、200℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚40nmのPEDOT:PSS膜を成膜する(正孔注入層)。次いで、OTPD溶液をスピンコートし、80℃のホットプレート上で10分間乾燥した後、露光機で露光強度100mJ/cmで露光し、100℃のホットプレート上で1時間焼成することで、溶液に不溶な膜厚30nmのOTPD膜を成膜する(正孔輸送層)。次いで、発光層形成用組成物(1)をスピンコートし、120℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚20nmの発光層を成膜する。
作製した多層膜を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、ET1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、LiFを入れたモリブデン製蒸着用ボート、アルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着する。真空槽を5×10−4Paまで減圧した後、ET1を加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成する。電子輸送層を形成する際の蒸着速度は1nm/秒とする。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着する。次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成する。このようにして有機EL素子を得る。
<実施例4>
実施例2と同様の方法で有機EL素子を得る。なお、正孔輸送層は、XLP−101溶液をスピンコートし、200℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚30nmの膜を成膜する。
<実施例5>
実施例2と同様の方法で有機EL素子を得る。なお、正孔輸送層は、PCz溶液をスピンコートし、120℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚30nmの膜を成膜する。
<実施例6〜8の有機EL素子の作製>
有機EL素子における、各層の材料構成を表4に示す。
Figure 2019235452
<発光層形成用組成物(2)〜(4)の調製>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することで発光層形成用組成物(2)を調製する。
化合物(A) 0.02 重量%
mCBP 1.98 重量%
トルエン 98.00 重量%
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することで発光層形成用組成物(3)を調製する。
化合物(A) 0.02 重量%
SPH−101 1.98 重量%
キシレン 98.00 重量%
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することで発光層形成用組成物(4)を調製する。
化合物(A) 0.02 重量%
DOBNA 1.98 重量%
トルエン 98.00 重量%
表4おいて、「mCBP」は3,3’−ビス(N−カルバゾリル)−1,1’−ビフェニルであり、「DOBNA」は3,11−ジ−o−トリル−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンであり、「TSPO1」はジフェニル[4−(トリフェニルシリル)フェニル]ホスフィンオキシドである。以下に化学構造を示す。
Figure 2019235452
<実施例6>
ITOが45nmの厚さに成膜されたガラス基板上に、ND−3202(日産化学工業製)溶液をスピンコートした後、大気雰囲気下において、50℃、3分間加熱し、更に230℃、15分間加熱することで、膜厚50nmのND−3202膜を成膜する(正孔注入層)。次いで、XLP−101溶液をスピンコートし、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で200℃、30分間加熱させることで、膜厚20nmのXLP−101膜を成膜する(正孔輸送層)。次いで、発光層形成用組成物(2)をスピンコートし、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることで、20nmの発光層を成膜する。
作製した多層膜を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、TSPO1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、LiFを入れたモリブデン製蒸着用ボート、アルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着する。真空槽を5×10−4Paまで減圧した後、TSPO1を加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成する。電子輸送層を形成する際の蒸着速度は1nm/秒とする。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着する。次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成する。このようにして有機EL素子を得る。
<実施例7および8>
発光層形成用組成物(3)または(4)を用いて、実施例6と同様の方法で有機EL素子を得る。
<実施例9〜11の有機EL素子の作製>
有機EL素子における、各層の材料構成を表5に示す。
Figure 2019235452
<発光層形成用組成物(5)〜(7)の調製>
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することで発光層形成用組成物を調製する。
化合物(A) 0.02 重量%
2PXZ−TAZ 0.18 重量%
mCBP 1.80 重量%
トルエン 98.00 重量%
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することで発光層形成用組成物を調製する。
化合物(A) 0.02 重量%
2PXZ−TAZ 0.18 重量%
SPH−101 1.80 重量%
キシレン 98.00 重量%
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することで発光層形成用組成物を調製する。
化合物(A) 0.02 重量%
2PXZ−TAZ 0.18 重量%
DOBNA 1.80 重量%
トルエン 98.00 重量%
表5おいて、「2PXZ−TAZ」は10,10’−((4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジイル)ビス(4,1−フェニルの))ビス(10H−フェノキサジン)である。以下に化学構造を示す。
Figure 2019235452
<実施例9>
ITOが45nmの厚さに成膜されたガラス基板上に、ND−3202(日産化学工業製)溶液をスピンコートした後、大気雰囲気下において、50℃、3分間加熱し、更に230℃、15分間加熱することで、膜厚50nmのND−3202膜を成膜する(正孔注入層)。次いで、XLP−101溶液をスピンコートし、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で200℃、30分間加熱させることで、膜厚20nmのXLP−101膜を成膜する(正孔輸送層)。次いで、発光層形成用組成物(5)をスピンコートし、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることで、20nmの発光層を成膜する。
作製した多層膜を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、TSPO1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、LiFを入れたモリブデン製蒸着用ボート、アルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着する。真空槽を5×10−4Paまで減圧した後、TSPO1を加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成する。電子輸送層を形成する際の蒸着速度は1nm/秒とする。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着する。次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成する。このようにして有機EL素子を得る。
<実施例10および11>
発光層形成用組成物(6)または(7)を用いて、実施例9と同様の方法で有機EL素子を得る。
本発明では、新規なターシャリーアルキル置換多環芳香族化合物を提供することで、例えば有機EL素子用材料などの有機デバイス用材料の選択肢を増やすことができる。また、新規なターシャリーアルキル置換多環芳香族化合物を有機EL素子用材料として用いることで、例えば発光効率に優れた有機EL素子、それを備えた表示装置およびそれを備えた照明装置などを提供することができる。
100 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極

Claims (35)

  1. 下記一般式(1)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(1)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体。
    Figure 2019235452
    (上記式(1)中、
    A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
    は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rであり、前記Si−RおよびGe−RのRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、前記>C(−R)のRは、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、また、前記>N−RのRおよび/または前記>C(−R)のRは連結基または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合していてもよく、
    式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、重水素、シアノまたはハロゲンで置換されていてもよく、そして、
    式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は上記一般式(tR)で表される基で置換されており、
    上記式(tR)中、Rは炭素数2〜24のアルキルであり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置換されていてもよく、上記式(tR)で表される基は*において上記式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素と置換する。)
  2. A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は、置換または無置換のアリール、置換または無置換のヘテロアリール、置換または無置換のジアリールアミノ、置換または無置換のジヘテロアリールアミノ、置換または無置換のアリールヘテロアリールアミノ、置換または無置換のジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、置換または無置換のアルキル、置換または無置換のシクロアルキル、置換または無置換のアルコキシまたは置換または無置換のアリールオキシで置換されていてもよく、また、これらの環はY、XおよびXから構成される上記式中央の縮合2環構造と結合を共有する5員環または6員環を有し、
    は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rであり、前記Si−RおよびGe−RのRは、アリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよいヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、前記>C(−R)のRは、水素、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよいアリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、また、前記>N−RのRおよび/または前記>C(−R)のRは−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合していてもよく、前記−C(−R)−のRは、水素、アルキルまたはシクロアルキルであり、
    式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は、重水素、シアノまたはハロゲンで置換されていてもよく、
    多量体の場合には、一般式(1)で表される構造を2または3個有する2または3量体であり、そして、
    式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素は上記一般式(tR)で表される基で置換されており、
    上記式(tR)中、Rは炭素数2〜24のアルキルであり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置換されていてもよく、上記式(tR)で表される基は*において上記式(1)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素と置換する、
    請求項1に記載する多環芳香族化合物またはその多量体。
  3. 下記一般式(2)で表される、請求項1に記載する多環芳香族化合物。
    Figure 2019235452
    (上記式(2)中、
    〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
    は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rであり、前記Si−RおよびGe−RのRは、炭素数6〜12のアリール、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜14のシクロアルキルであり、
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜14のシクロアルキルであり、前記>C(−R)のRは、水素、炭素数6〜12のアリール、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜14のシクロアルキルであり、また、前記>N−RのRおよび/または前記>C(−R)のRは−O−、−S−、−C(−R)−または単結合により前記a環、b環および/またはc環と結合していてもよく、前記−C(−R)−のRは炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜14のシクロアルキルであり、
    式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、重水素、シアノまたはハロゲンで置換されていてもよく、そして、
    式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は上記一般式(tR)で表される基で置換されており、
    上記式(tR)中、Rは炭素数2〜24のアルキルであり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置換されていてもよく、上記式(tR)で表される基は*において上記式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換する。)
  4. 〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、ジアリールボリル(ただしアリールは炭素数6〜12のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数3〜24のシクロアルキルであり、また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数9〜16のアリール環または炭素数6〜15のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数3〜16のシクロアルキルで置換されていてもよく、
    は、B、P、P=O、P=SまたはSi−Rであり、前記Si−RのRは、炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)または>Sであり、前記>N−RのRは、炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、前記>C(−R)のRは、水素、炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、
    式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、重水素、シアノまたはハロゲンで置換されていてもよく、そして、
    式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は上記一般式(tR)で表される基で置換されており、
    上記式(tR)中、Rは炭素数2〜24のアルキルであり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置換されていてもよく、上記式(tR)で表される基は*において上記式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換する、
    請求項3に記載する多環芳香族化合物。
  5. 〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜20のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)、ジアリールボリル(ただしアリールは炭素数6〜10のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数3〜16のシクロアルキルであり、
    は、B、P、P=OまたはP=Sであり、
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rまたは>C(−R)であり、前記>N−RのRは、炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、前記>C(−R)のRは、水素、炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、そして、
    式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は上記一般式(tR)で表される基で置換されており、
    上記式(tR)中、Rは炭素数2〜24のアルキルであり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置換されていてもよく、上記式(tR)で表される基は*において上記式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換する、
    請求項3に記載する多環芳香族化合物。
  6. 〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜16のアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜10のアリール)、ジアリールボリル(ただしアリールは炭素数6〜10のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数3〜16のシクロアルキルであり、
    はBであり、
    およびXは共に>N−Rであるか、または、Xは>N−RであってXは>Oであり、前記>N−RのRは、炭素数6〜10のアリール、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、そして、
    式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素は上記一般式(tR)で表される基で置換されており、
    上記式(tR)中、Rは炭素数2〜24のアルキルであり、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキルであり、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−で置換されていてもよく、上記式(tR)で表される基は*において上記式(2)で表される化合物における少なくとも1つの水素と置換する、
    請求項3に記載する多環芳香族化合物。
  7. 上記一般式(tR)で表される基で置換されたジアリールアミノ基、上記一般式(tR)で表される基で置換されたカルバゾリル基または上記一般式(tR)で表される基で置換されたベンゾカルバゾリル基で置換されている、請求項1〜6のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体。
  8. は、上記一般式(tR)で表される基で置換されたジアリールアミノ基または上記一般式(tR)で表される基で置換されたカルバゾリル基である、請求項3〜6のいずれかに記載する多環芳香族化合物。
  9. 前記ハロゲンはフッ素である、請求項1〜8のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体。
  10. 下記構造式のいずれかで表される、請求項1に記載する多環芳香族化合物。
    Figure 2019235452
    (各式中の「tBu」はt−ブチル基、「tAm」はt−アミル基である。)
  11. 下記構造式のいずれかで表される、請求項1に記載する多環芳香族化合物。
    Figure 2019235452
    (各式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt−ブチル基、「tAm」はt−アミル基である。)
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体に反応性置換基が置換した、反応性化合物。
  13. 請求項12に記載する反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、または、当該高分子化合物をさらに架橋させた高分子架橋体。
  14. 主鎖型高分子に請求項12に記載する反応性化合物を置換させたペンダント型高分子化合物、または、当該ペンダント型高分子化合物をさらに架橋させたペンダント型高分子架橋体。
  15. 請求項1〜11のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体を含有する、有機デバイス用材料。
  16. 請求項12に記載する反応性化合物を含有する、有機デバイス用材料。
  17. 請求項13に記載する高分子化合物または高分子架橋体を含有する、有機デバイス用材料。
  18. 請求項14に記載するペンダント型高分子化合物またはペンダント型高分子架橋体を含有する、有機デバイス用材料。
  19. 前記有機デバイス用材料が、有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料である、請求項15〜18のいずれかに記載する有機デバイス用材料。
  20. 前記有機電界発光素子用材料が発光層用材料である、請求項19に記載する有機デバイス用材料。
  21. 請求項1〜11のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体と、有機溶媒とを含む、インク組成物。
  22. 請求項12に記載する反応性化合物と、有機溶媒とを含む、インク組成物。
  23. 主鎖型高分子と、請求項12に記載する反応性化合物と、有機溶媒とを含む、インク組成物。
  24. 請求項13に記載する高分子化合物または高分子架橋体と、有機溶媒とを含む、インク組成物。
  25. 請求項14に記載するペンダント型高分子化合物またはペンダント型高分子架橋体と、有機溶媒とを含む、インク組成物。
  26. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、請求項1〜11のいずれかに記載する多環芳香族化合物もしくはその多量体、請求項12に記載する反応性化合物、請求項13に記載する高分子化合物もしくは高分子架橋体、または、請求項14に記載するペンダント型高分子化合物もしくはペンダント型高分子架橋体を含有する有機層とを有する、有機電界発光素子。
  27. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、請求項1〜11のいずれかに記載する多環芳香族化合物もしくはその多量体、請求項12に記載する反応性化合物、請求項13に記載する高分子化合物もしくは高分子架橋体、または、請求項14に記載するペンダント型高分子化合物もしくはペンダント型高分子架橋体を含有する発光層とを有する、有機電界発光素子。
  28. 前記発光層が、ホストと、ドーパントとしての前記多環芳香族化合物、その多量体、反応性化合物、高分子化合物、高分子架橋体、ペンダント型高分子化合物またはペンダント型高分子架橋体とを含む、請求項27に記載する有機電界発光素子。
  29. 前記ホストが、アントラセン系化合物、フルオレン系化合物、ジベンゾクリセン系化合物またはピレン系化合物である、請求項28に記載する有機電界発光素子。
  30. 前記陰極と前記発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体およびキノリノール系金属錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項26〜29のいずれかに記載する有機電界発光素子。
  31. 前記電子輸送層および/または電子注入層が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項30に記載の有機電界発光素子。
  32. 正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層のうちの少なくとも1つの層が、各層を形成し得る低分子化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくは、当該高分子化合物をさらに架橋させた高分子架橋体、または、各層を形成し得る低分子化合物を主鎖型高分子と反応させたペンダント型高分子化合物、もしくは、当該ペンダント型高分子化合物をさらに架橋させたペンダント型高分子架橋体を含む、請求項26〜31のいずれかに記載する有機電界発光素子。
  33. 請求項26〜32のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置。
  34. 有機電界発光素子の発光層を塗布形成するための発光層形成用組成物であって、
    第1成分として、少なくとも1種の請求項1〜11のいずれかに記載する多環芳香族化合物またはその多量体と、
    第2成分として、少なくとも1種のホスト材料と、
    第3成分として、少なくとも1種の有機溶媒と、
    を含む発光層形成用組成物。
  35. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、請求項34に記載する発光層形成用組成物を塗布・乾燥して形成した発光層とを有する、有機電界発光素子。
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