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JPWO2019146801A1 - 新規化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩を提供する。【化1】[一般式(1)中、R1及びR2は、アルデヒド基、カルボキシル基又はC1−6アルキル基を示し、但し、少なくとも一方がアルデヒド基又はカルボキシル基であり、R3は、水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C6−10アリール基、C7—11アラルキル基、C1−6アルキルカルボニル基、又はC7—11アラルキルカルボニル基を示し、R4は、水素原子、又はC1−6アルキル基を示す。]

Description

本発明は、新規化合物に関する。
プロポリスは、ミツバチ科昆虫が種々の植物から集めてきた樹脂等を固めたワックス状の組成物で、古くから食品等として利用されており、様々な生理活性を有することが知られている。例えば特許文献1には、プロポリスまたはその抽出物を有効成分とするロイコトリエン産生もしくは遊離抑制剤が開示されている。
特開2008−214235号公報
本発明者等により、プロポリスに由来する化合物の中から、ロイコトリエン遊離抑制、NF-κB阻害等の生理活性を有する新規な化合物が見出された。
本発明の目的は、ロイコトリエン遊離抑制作用及びNF-κB阻害活性を示す化合物を提供することにある。
本発明は、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩に関する。
Figure 2019146801
[一般式(1)中、
及びRは、アルデヒド基、カルボキシル基又はC1−6アルキル基を示し、但し、少なくとも一方がアルデヒド基又はカルボキシル基であり、
は、水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C6−10アリール基、C7―11アラルキル基、C1−6アルキルカルボニル基、又はC7―11アラルキルカルボニル基を示し、
は、水素原子、又はC1−6アルキル基を示す。]
上記一般式(1)で表される化合物は、ロイコトリエン遊離抑制作用及びNF-κB阻害活性を示す。
一般式(1)において、Rがアルデヒド基又はカルボキシル基であってよく、RがC1−6アルキル基であってよい。
本発明はまた、式(3)で表される化合物又はその塩に関する。
Figure 2019146801
本発明はまた、式(4)で表される化合物又はその塩に関する。
Figure 2019146801
本発明は、上述の化合物及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、ロイコトリエン遊離抑制剤に関する。
本発明はまた、上述の化合物及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、NF−κB阻害剤にも関する。
本発明によれば、ロイコトリエン遊離抑制作用及びNF-κB阻害活性を示す化合物を提供することが可能となる。
実施例の結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下に定義または例示される各種の置換基は、任意に選択して組み合わせることができる。
[本件化合物]
本発明の一実施形態は、一般式(1)で表される化合物(以下、「本件化合物」ともいう)又はその塩である。
Figure 2019146801
一般式(1)中、R及びRは、アルデヒド基、カルボキシル基又はC1−6アルキル基を示し、但し、少なくとも一方がアルデヒド基又はカルボキシル基であり、
は、水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C6−10アリール基、C7―11アラルキル基、C1−6アルキルカルボニル基、又はC7―11アラルキルカルボニル基を示し、
は、水素原子、又はC1−6アルキル基を示す。
本明細書において、「C1−6アルキル基」とは、炭素数が1〜6個の直鎖又は分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
本明細書において、「C2−6アルケニル基」とは、炭素数が2〜6の直鎖又は分岐状のアルケニル基を意味する。C2−6アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペン−1−イル基、プロペン−2−イル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、5−ペンテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、4−メチル−1−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、4−メチル−2−ブテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、4−メチル−3−ブテニル基、1,2−ジメチル−1−プロペニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘキセニル基及びこれらの構造異性体のようなアルケニル基が挙げられる。
本明細書において、「C2−6アルキニル基」とは、炭素数2〜6のアルキニル基を意味する。C2−6アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基が挙げられる。
本明細書において、「C6−10アリール基」とは、炭素数6〜10のアリール基を意味する。C6−10アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
本明細書において、「C7―11アラルキル基」とは、合計炭素数7〜11の、アリール基を有するアルキル基を意味し、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基及びナフチルメチル基が挙げられる。
本明細書において、「C1−6アルキルカルボニル基」とは、上記の「C1−6アルキル基」が結合したカルボニル基を意味し、例えばアセチル基、プロパノイル基、ペンタノイル基、ピバロイル基、ヘプタノイル基等が挙げられる。
本明細書において、「C7―11アラルキルカルボニル基」とは、上記の「C7―11アラルキル基」に結合したカルボニル基を意味する。
一般式(1)中、は、アルデヒド基、カルボキシル基又はC1−6アルキル基を示し、但し、少なくとも一方がアルデヒド基又はカルボキシル基である。R及びRは、一方がアルデヒド基又はカルボキシル基を示し、他方がC1−6アルキル基を示すものであってよい。すなわち、本件化合物は、下記一般式(2A)、(2B)、(2C)、又は(2D)で表される化合物であってよい。
Figure 2019146801
Figure 2019146801
Figure 2019146801
Figure 2019146801
一般式(2A)、(2B)、(2C)及び(2D)中、R及びRは、上記と同定義である。
及びRにおけるC1−6アルキル基は、好ましくは、炭素数が1〜3個のアルキル基であるC1−3アルキル基であり、より好ましくは、メチル基である。
一般式(1)において、好ましくは、Rがアルデヒド基又はカルボキシル基、Rがメチル基であり、より好ましくは、Rがアルデヒド基、Rがメチル基である。一般式(1)で表される化合物は、好ましくは、上記一般式(2A)で表される化合物である。
一般式(1)において、Rは、水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C6−10アリール基、C7―11アラルキル基、C1−6アルキルカルボニル基、C7―11アラルキルカルボニル基である。Rは、好ましくは、水素原子である。
一般式(1)において、Rは、水素原子、又はC1−6アルキル基である。Rは、好ましくは、水素原子である。
及びRは、好ましくは少なくとも一方が水素原子であり、より好ましくは両方が水素原子である。
一般式(1)で表される化合物の具体例として、下記式(3)で表される化合物(以下、「化合物(3)」ともいう)が挙げられる。
Figure 2019146801
また、一般式(1)で表される化合物の他の具体例として、下記式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」ともいう)が挙げられる。
Figure 2019146801
本件化合物は、食品用途又は医薬用途に許容される塩であってもよい。本件化合物の塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、その他の金属、アンモニウム等との塩が挙げられる。本件化合物の塩のより具体的な例として、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が挙げられる。
本件化合物及びその塩は、例えば、プロポリス等の天然物から、精製して得たものであってよい。具体的には、例えば、化合物(3)は、後述する実施例に記載の方法で、天然物から得ることができる。また、本件化合物は、市販化合物又は天然物の抽出物(例えば、化合物(3))等を原料として化学合成により得ることもできる。具体的には、例えば、化合物(3)のフェノール性ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基に対し、公知の方法で、上記一般式(1)中のR及びRで定義される官能基を導入することにより得てもよく、アルデヒド基を有しない天然物の抽出物に対し、公知の方法でアルデヒド基を導入することにより得てもよい。
一般式(1)で表される化合物のうち、化合物(3)は、例えば、次のように合成することが可能である。すなわち、まず、下記スキーム1〜3により、化合物(A−1)又は化合物(A−2)から化合物(C)を合成する。次いで、化合物(C)の保護基を脱保護することにより、化合物(3)を得ることができる。なお、化合物(A−1)又は化合物(A−2)は、後述するスキーム4により合成することができる。
スキーム1
Figure 2019146801
式中、Rは、メチル基(Me)を示し、Rは、アシル基、アルキル基、若しくはシリル基等の水酸基の保護基、又は水素原子を示し、Rは、アルキル基等を示す。なお、複数存在するRは同一の基を示す。シリル基の具体例としては、例えば、tert−ブチルジメチルシリル基が挙げられる。
化合物(A−1)を、二酸化セレンによりメチル基の一方(Rのうち一方)を酸化して、水酸基を有する化合物B(アルコールB)とする。続いて、化合物(B)を酸化して、アルデヒド基を有する化合物(C)とする。化合物(B)を酸化して化合物(C)を得る条件は温和な条件が望ましく、クロム、マンガンなどの金属酸化剤の他、有機イオウ試薬、ハロゲン試薬等の酸化剤が用いられる。また、例えば、化合物(A−1)から、二酸化セレンによる酸化で、化合物(C)を得ることもできる。
スキーム2
Figure 2019146801
式中、Rは、メチル基又は水素原子を示し、Rは、アシル基、アルキル基、若しくはシリル基等の水酸基の保護基、又は水素原子を示し、Rは、アルキル基等を示す。なお、複数存在するRは同一の基を示す。
化合物(A−1)のプレニル基、又は、化合物(A−2)のアリル基を選択的に酸化切断することでアルデヒド基を有する化合物(D)とし、2−(トリフェニルホスホラニリデン)プロピオンアルデヒドとのWittig反応による増炭反応によって化合物(C)を得ることができる。
スキーム3
Figure 2019146801
式中、Rは、メチル基又は水素原子を示し、Rは、アシル基、アルキル基、若しくはシリル基等の水酸基の保護基、又は水素原子を示し、Rは、アルキル基等を示す。なお、複数存在するRは同一の基を示す。
また、化合物(A−1)又は化合物(A−2)を金属触媒存在下でメタアクロレインとの交差メタセシス反応に供することによって、化合物(C)を合成できる。メタセシス反応に用いられる触媒としてはGrubbs触媒、Hoveyda−Grubbs触媒等が好適である。
化合物(A−1)又は化合物(A−2)は、以下のスキーム4により合成することができる。
スキーム4
Figure 2019146801
式中、Xは、ハロゲン原子を示し、Rは、メチル基又は水素原子を示し、Rは、アシル基、アルキル基、若しくはシリル基等の水酸基の保護基、又は水素原子を示し、Rは、アルキル基等を示す。なお、複数存在するRは同一の基を示す。
市販の4−ハロフェノール(化合物(E))をプレニル化して化合物(F−1)とする。化合物(E)におけるハロゲン原子としては臭素原子又はヨウ素原子が好適である。この際、アリルハライドを用いて、4−ハロフェノール(化合物(E))からアリル誘導体である化合物(F−2)を合成することができる。化合物(F−1)又は(F−2)は、場合により水酸基を保護した後、パラジウム触媒存在下、アクリル酸エステルとの溝呂木−ヘック反応により、炭素鎖の伸びた化合物(A−1)又は(A−2)をとする。化合物(F−1)又は(F−2)における水酸基は保護してもよく、保護しなくてもよい。水酸基を保護する場合、水酸基の保護基はアシル基、アルキル基、又はシリル基等が好適である。また、アクリル酸のエステル部分は脂肪族アルコールとのエステルが望ましい。パラジウム触媒としては酢酸パラジウム等の市販の触媒が利用できる。
一般式(1)で表される化合物において、R又はRのうち、一方がカルボキシル基である化合物は、例えば、下記スキームに準じて合成可能である。化合物(4)は、具体的には、例えば、化合物(3)(ドルパナール)のPinnick酸化により、合成可能である。
スキーム5
Figure 2019146801
また、化合物(4)は、スキーム6の通り、ドルパニン(原料)から合成することもできる。なお、ドルパニン(Drupanin)は、特開2008−214235号公報に開示されている方法により得ることができる。
スキーム6
Figure 2019146801
式中、Pは、官能基の保護基を意味する。一分子内に複数存在するPは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
[ロイコトリエン遊離抑制剤]
本件化合物及びその塩は、ロイコトリエン遊離抑制作用を示すため、ロイコトリエン遊離抑制剤として有用である。すなわち、本発明の一実施形態として、上記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有するロイコトリエン遊離抑制剤が提供される。
上記ロイコトリエン遊離抑制剤は、ロイコトリエン遊離抑制作用を介して、抗アレルギー作用、抗炎症作用、抗花粉症作用、抗アレルギー性鼻炎作用、抗アトピー性皮膚炎作用、抗気管支喘息作用等を示す。したがって、上記ロイコトリエン遊離抑制剤は、抗アレルギー剤、抗炎症剤、抗花粉症剤、抗アレルギー性鼻炎剤、抗アトピー性皮膚炎剤、抗気管支喘息剤等として使用することもできる。
本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤は、上記有効成分のみを含有するものであってもよく、他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、例えば、薬学的に許容される成分(例えば、賦形剤、結合材、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤)、食品として許容される成分(例えば、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤)を挙げることができる。
本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤は、有効成分量換算で、体重60kgの成人に一日当たり0.01mg以上10g以下の用量で用いることができ、0.05mg以上8g以下の用量で用いることが好ましく、0.10mg以上3g以下の用量で用いることがより好ましく、0.15mg以上1.5g以下の用量で用いることが更に好ましく、0.20mg以上1g以下の用量で用いることが更により好ましく、0.22mg以上500mg以下の用量で用いることが更によりまた好ましく、0.24mg以上250mg以下の用量で用いることが特に好ましい。当該用量は、摂取する人の健康状態、投与方法及び他の剤との組み合わせ等の因子に応じて、上記範囲内で適宜設定することができる。
本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤は、経口投与(摂取)されてもよく、非経口投与(例えば、鼻腔内投与)されてもよい。本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤は、一日当たりの有効成分量が上述した範囲内にあれば、一日一回投与されてもよいし、一日二回、一日三回等、複数回に分けて投与されてもよい。また、本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤は、継続的に投与されるのが好ましい。継続的に投与されることにより、ロイコトリエン遊離抑制効果がより一層顕著に発揮される。
本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤は、固体、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよい。本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤の形態は、例えば、素錠、糖衣錠、顆粒、粉末、タブレット、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル、シームレスカプセル)であってもよい。本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤は、例えば、有効成分である上記化合物及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、必要に応じて他の成分とを混合して上記剤形に成形することによって調製することができる。
本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤は、医薬品、医薬部外品及び食品組成物そのものとして、並びに医薬品、医薬部外品及び食品組成物に添加して使用することができる。食品組成物としては、食品の3次機能(体調調節機能)が強調された食品であることが好ましい。食品の3次機能が強調された食品としては、例えば、健康食品、機能性表示食品、栄養補助食品、サプリメント及び特定保健用食品を挙げることができる。
本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤からなる医薬品、医薬部外品若しくは食品組成物、又は本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤を含む医薬品、医薬部外品若しくは食品組成物は、ロイコトリエン遊離抑制用、及び/又は抗アレルギー用、抗花粉症用、抗アレルギー性鼻炎用、抗アトピー性皮膚炎用、抗気管支喘息用であってよい。ロイコトリエン遊離抑制剤からなる、又は、ロイコトリエン遊離抑制剤を含む、上記製品は、例えば、アレルギーを抑える旨、アナフィラキシー症状を抑える旨、花粉症を抑える旨、通年性鼻炎を抑える旨、目の痒みや充血、違和感を抑える旨、くしゃみやせきを抑える旨、鼻炎を抑える旨、鼻水・鼻づまりを抑える旨、アトピー性皮膚炎を抑える旨、気管支喘息を抑える旨、呼吸困難を抑える旨、じんましんを抑える旨、紅斑・発赤を抑える旨、口腔の腫れを抑える旨、まぶたの腫れを抑える旨、灼熱感を抑える旨、息切れを抑える旨、吐き気を抑える旨、消化管の違和感を抑える旨、嘔吐・腹痛・下痢を抑える旨、頭痛を抑える旨等の表示が付されていてもよい。
医薬品、医薬部外品及び食品組成物における本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤の含有量は、一日当たり摂取する有効成分量が上述した範囲内となるように、医薬品、医薬部外品及び食品組成物の種類等に応じて適宜設定すればよい。
本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤を食品組成物そのものとして、又は食品組成物に添加して使用する場合、食品組成物の形態は特に限定されず、例えば、飲料類(コーヒー、ジュース、茶飲料等の清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料等);スプレッド類(カスタードクリーム等);ペースト類(フルーツペースト等);洋菓子類(チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、ゼリー、キャンデー、クッキー、ケーキ、プリン等);和菓子類(大福、餅、饅頭、カステラ、あんみつ、羊羹等);氷菓類(アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベット等);食品類(カレー、牛丼、雑炊、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム等);調味料類(ドレッシング、ふりかけ、旨味調味料、スープの素等)であってもよい。
本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤を食品の3次機能が強調された食品(例えば、健康食品、機能性表示食品、栄養補助食品、サプリメント又は特定保健用食品)そのものとして、又は食品の3次機能が強調された食品に添加して使用する場合、食品の3次機能が強調された食品の形態は、上述した食品の形態に加えて、例えば、素錠、糖衣錠、顆粒、粉末、タブレット、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル、シームレスカプセル)であってもよい。
本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤を医薬品若しくは医薬部外品そのものとして、又は医薬品若しくは医薬部外品に添加して使用する場合、医薬品又は医薬部外品の形態は特に限定されず、例えば、素錠、糖衣錠、顆粒、粉末、タブレット、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル、シームレスカプセル)であってもよい。
本実施形態のロイコトリエン遊離抑制剤を添加した医薬品、医薬部外品又は食品組成物の製法は特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。例えば、医薬品、医薬部外品又は食品組成物の製造工程における中間製品又は最終製品に、ロイコトリエン遊離抑制剤を混合等して、上記の用途に用いられる医薬品、医薬部外品又は食品組成物を得ることができる。
[NF−κB阻害剤]
本件化合物及びその塩は、NF−κB阻害活性を示すため、NF−κB阻害剤として有用である。すなわち、本発明の一実施形態として、上記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有するNF−κB阻害剤が提供される。
上記NF−κB阻害剤は、NF−κB阻害作用を介して、抗炎症作用、自己免疫疾患改善作用、関節炎改善作用、慢性関節リウマチ改善作用、変形性関節リウマチ改善作用等を示す。したがって、上記NF−κB阻害剤は、抗炎症剤、自己免疫疾患改善剤、関節炎改善剤、慢性関節リウマチ改善剤、変形性関節リウマチ改善剤等として使用することもできる。
本実施形態のNF−κB阻害剤は、上記有効成分のみを含有するものであってもよく、他の成分を更に含有していてもよい。他の成分としては、例えば、薬学的に許容される成分(例えば、賦形剤、結合材、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤)、食品として許容される成分(例えば、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤)を挙げることができる。
本実施形態のNF−κB阻害剤は、有効成分量換算で、体重60kgの成人に一日当たり0.01mg以上10g以下の用量で用いることができ、0.05mg以上8g以下の用量で用いることが好ましく、0.10mg以上3g以下の用量で用いることがより好ましく、0.15mg以上1.5g以下の用量で用いることが更に好ましく、0.20mg以上1g以下の用量で用いることが更により好ましく、0.22mg以上500mg以下の用量で用いることが更によりまた好ましく、0.24mg以上250mg以下の用量で用いることが特に好ましい。当該用量は、摂取する人の健康状態、投与方法及び他の剤との組み合わせ等の因子に応じて、上記範囲内で適宜設定することができる。
本実施形態のNF−κB阻害剤は、経口投与(摂取)されてもよく、非経口投与(例えば、鼻腔内投与)されてもよい。本実施形態のNF−κB阻害剤は、一日当たりの有効成分量が上述した範囲内にあれば、一日一回投与されてもよいし、一日二回、一日三回等、複数回に分けて投与されてもよい。また、本実施形態のNF−κB阻害剤は、継続的に投与されるのが好ましい。継続的に投与されることにより、NF−κB阻害効果がより一層顕著に発揮される。
本実施形態のNF−κB阻害剤は、固体、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよい。本実施形態のNF−κB阻害剤の形態は、例えば、素錠、糖衣錠、顆粒、粉末、タブレット、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル、シームレスカプセル)であってもよい。本実施形態のNF−κB阻害剤は、例えば、有効成分である上記化合物及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、必要に応じて他の成分とを混合して上記剤形に成形することによって調製することができる。
本実施形態のNF−κB阻害剤は、医薬品、医薬部外品及び食品組成物そのものとして、並びに医薬品、医薬部外品及び食品組成物に添加して使用することができる。食品組成物としては、食品の3次機能(体調調節機能)が強調された食品であることが好ましい。食品の3次機能が強調された食品としては、例えば、健康食品、機能性表示食品、栄養補助食品、サプリメント及び特定保健用食品を挙げることができる。
本実施形態のNF−κB阻害剤からなる医薬品、医薬部外品若しくは食品組成物、又は本実施形態のNF−κB阻害剤を含む医薬品、医薬部外品若しくは食品組成物は、NF−κB阻害用、抗炎症用、自己免疫疾患改善用、関節炎改善用、慢性関節リウマチ改善用、変形性関節リウマチ改善用、抗がん用であってよい。NF−κB阻害剤からなる、又は、NF−κB阻害剤を含む、上記製品は、例えば、炎症を抑える旨、免疫機能を調整する旨、自己免疫疾患を予防する旨、ウイルス性疾患を予防する旨、関節の痛みを和らげる旨、関節リウマチを予防する旨、アトピー性皮膚炎の悪化を予防する旨、クローン病・炎症性腸疾患を予防する旨、腫瘍の発生や進行を抑える旨、がんの発生や進行(増殖・浸潤・転移)を抑える旨、敗血病を予防する旨、サイトメガロウイルス(CMV)やヒト免疫不全ウイルス(HIV)の増殖を抑える旨、メタボリックシンドロームを予防する旨、ロコモティブシンドロームを予防する旨、筋肉の委縮を抑える旨、サルコぺニアを予防する旨、歩行の衰えを抑える旨、椎間板ヘルニアを抑える旨、腰痛を抑える旨、骨粗鬆症を予防する旨、骨の老化を抑える旨、表皮の肥厚を抑える旨、色素沈着を抑える旨、肌弾力の低下を抑える旨、肌の光老化を抑える旨等の表示が付されていてもよい。
医薬品、医薬部外品及び食品組成物における本実施形態のNF−κB阻害剤の含有量は、一日当たり摂取する有効成分量が上述した範囲内となるように、医薬品、医薬部外品及び食品組成物の種類等に応じて適宜設定すればよい。
本実施形態のNF−κB阻害剤を食品組成物そのものとして、又は食品組成物に添加して使用する場合、食品組成物の形態は特に限定されず、例えば、上記ロイコトリエン遊離抑制剤で例示したものと同様であってよい。
本実施形態のNF−κB阻害剤を食品の3次機能が強調された食品(例えば、健康食品、機能性表示食品、栄養補助食品、サプリメント又は特定保健用食品)そのものとして、又は食品の3次機能が強調された食品に添加して使用する場合、食品の3次機能が強調された食品の形態は、上述した食品の形態に加えて、例えば、素錠、糖衣錠、顆粒、粉末、タブレット、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル、シームレスカプセル)であってもよい。
本実施形態のNF−κB阻害剤を医薬品若しくは医薬部外品そのものとして、又は医薬品若しくは医薬部外品に添加して使用する場合、医薬品又は医薬部外品の形態は特に限定されず、例えば、素錠、糖衣錠、顆粒、粉末、タブレット、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル、シームレスカプセル)であってもよい。
本実施形態のNF−κB阻害剤を添加した医薬品、医薬部外品又は食品組成物の製法は特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。例えば、医薬品、医薬部外品又は食品組成物の製造工程における中間製品又は最終製品に、NF−κB阻害剤を混合等して、上記の用途に用いられる医薬品、医薬部外品又は食品組成物を得ることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[試験例1:試験化合物の精製と構造決定]
〔試験化合物の精製〕
アレクリンプロポリス原塊(ミナスジェライス州産)の80%エタノール抽出物(Lot. 451A)71gを酢酸エチル560mLに溶解し、分液ロートに移した。超純水700mLを添加し、pH試験紙で確認しながら0.1N塩酸を加え、pHを2に調整した。液液抽出し、酢酸エチル層を回収した。水層は同量の酢酸エチルで更に2回抽出した。酢酸エチル層をエバポレーターで濃縮し、酢酸エチル抽出物38.6gを得た。
酢酸エチル抽出物726mgをカラムクロマトグラフィー(ゲルの種類:株式会社大阪ソーダ製シリカゲル(IR−60−40/63、粒子径50μm、細孔径 6nm、表面積450m/g、細孔容積0.70mL/g、水分量2.0%以下)、ゲル量:1000g、カラムサイズ:φ80×630mm、溶出条件:100%ヘキサンを200mL、50%クロロホルム−ヘキサンを10L、70%クロロホルム−ヘキサンを8L、100%クロロホルムを5L、10%酢酸エチル−クロロホルムを5L、20%酢酸エチル−クロロホルムを5L、メタノールを10L流し以下のように13個の画分に分画した。
(1)100%ヘキサン200mL画分(9.8mg)
(2)50%ヘキサン−クロロホルム0−10L目画分(883.3mg)
(3)70%ヘキサン−クロロホルム0−7L目画分(1967.6mg)
(4)70%ヘキサン−クロロホルム7−8L目画分(6248.7mg)
(5)100%クロロホルム0−1L目画分(6480mg)
(6)100%クロロホルム1−2L目画分(631.6mg)
(7)100%クロロホルム2−3L目画分(1232.78mg)
(8)100%クロロホルム3−5L目画分(2007.1mg)
(9)10%酢酸エチル−クロロホルム0−2L目画分(643.1mg)
(10)10%酢酸エチル−クロロホルム2−5 L目画分 (3885.9mg)
(11)20%酢酸エチル−クロロホルム0−3 L目画分 (2197.4mg)
(12)20%酢酸エチル−クロロホルム3−5 L目画分 (1082.58mg)
(13)メタノール画分(13823.58mg)
(12)20%酢酸エチル−クロロホルム3−5L目画分(1082.58mg)を中圧カラムクロマトグラフィーにて以下の条件で分画した。
(中圧カラムクロマトグラフィー条件)
使用カラム:ODS−SM 50μm(ゲル量:110g、カラムサイズ:φ46×130mm)
流速:60mL/min
分画容量:100mL
溶出条件:40%、50%、60%、70%メタノール−0.1%TFA、各20分回収
中圧カラムクロマトグラフィーにより得られた画分は次の通りである。
・40%MeOH画分:フラクション番号(Fr.)1−12
・50%MeOH画分:Fr.1−12
・60%MeOH画分:Fr.1−12
・70%MeOH画分:Fr.1−12
50%MeOH画分のFr.3−7(54.31mg)をHPLC分取した(分取条件:Cosmosil 5C18−AR−II(10mm×250mm),40%メタノール−0.1%TFA)。
HPLC分取により得たサンプルを酢酸エチルに溶解後、ヘキサンを添加することで再結晶し、構造未知化合物を得た。
〔試験化合物の構造決定〕
得られた化合物を下記装置で解析し構造を決定した。
・質量分析装置: Waters製ACQUITY UPLC−Quattro Premier XE
・NMR:ブルカー・バイオスピン製AVANCE500型
LC−MS測定条件
(UPLC条件)
機器:Waters Acquity
カラム:Sunniest C18−HT,2μm,2.1x100mm
カラムオーブン:40℃
打込み量:2μL
流速:0.3mL/min
溶媒:A=0.1%ギ酸水、B=メタノール
溶出条件:B5%(2min hold),5-40%(8min 線形グラジエント(linear gradient)),40-85%(20min linear gradient),100%(4min hold),100-5%(2min linear gradient),5%(4min hold)計40分
(MS/MS条件)
機器:Quattro Premier Mass Spectrometer (Waters)
MS測定の結果、構造未知化合物の分子量を246と推定した。
構造未知化合物に対して、NMR測定を実施した。表1にH−NMR及び13C−NMR測定データを示す。
Figure 2019146801
NMR及びMSの測定結果から、得られた構造未知化合物を(2E)−3−{4−ヒドロキシ−3−[(2E)−3−メチル−4−オキソブテ−2−ニル]フェニル}−2−プロペン酸と決定し、ドルパナールと命名した。
〔合成化合物の構造決定〕
(2E)−3−{4−ヒドロキシ−3−[(2E)−3−メチル−4−オキソブテ−2−ニル]フェニル}−2−プロペン酸(ドルパナール)を後述する合成例1に記載の方法に従って合成した。合成化合物について、H−NMR、13C−NMR及びMSの測定を実施した。測定装置は、ドルパナールの構造決定に用いた装置と同じ装置を用いた。
MS測定の結果、合成化合物の分子量を246と推定した。表2にH−NMR及び13C−NMR測定データを示す。
Figure 2019146801
[試験例2:ロイコトリエン遊離阻害活性]
〔材料の準備〕
まず、以下の材料を準備した。
(1)HL−60細胞
HL−60細胞は、10%FBS、100units/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンを含むRPMI 1640培地で培養した(37℃、5%CO)。
(2)ロイコトリエン測定試薬
製品名:CAST(登録商標)(cellular antigen stimulation test)−2000 ELISA(供給元:BUHLMANN)
(3)その他の試薬
カルシウムイオノフォアA23187(SIGMA C7522)、BSA(SIGMA A8806)、DMSO(ナカライ GR13407−45)、D−PBS(−)(ナカライテスク 14249−95)、D−PBS(+)(ナカライテスク 14248−05)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)(ナカライテスク 24720−56)、Phorborl 12−myristate 13−acetate (PMA)(SIGMA P8139)は市販品を購入して用いた。
〔サンプル調製〕
ドルパナールを3mg/mlとなるようDMSOに溶解させた。PBS(+)で希釈後、目的の試験濃度に応じて試験系に加えた。DMSOの終濃度が1%(v/v)となるよう調製した。
〔ロイコトリエン測定〕
(HL−60細胞の分化)
HL−60細胞をRPMI1640(10 % FBS、100 units/ml ペニシリン、100 μg/ml ストレプトマイシンを含む)培地で培養し試験に用いた(37℃、5%CO)。細胞を5×10cells/mlに調製後、DMSO1.25%を添加し、37℃、5%COで6日間インキュベートして分化を誘導した。顆粒球様細胞への分化の判定は、細胞懸濁液に1 mg/ml NBT及び4μMPMAをそれぞれ等量ずつ加え、37℃、30分インキュベートした後、顕微鏡下で陽性細胞の割合を算出すること(NBT 還元法)により、行った。
〔ロイコトリエン産生誘導〕
DMSOで分化させたHL−60細胞(PBS(+)−1%BSAに懸濁)に各サンプルを添加し37℃、15分プレインキュベート後、1μM A23187を添加して37℃、15分インキュベートした(細胞濃度1×10cells/ml、DMSO 1%〜2%含有)。ロイトコリエンの産生を誘導後、回収した上清を測定試料とした。
〔CysLT量測定〕
回収した上清中のロイコトリエン濃度をCAST ELISA キットにより定量した(各条件とも、n=2)。
〔IC50の算出〕
各サンプルの試験濃度の対数を横軸に、ロイコトリエン遊離阻害率を縦軸にプロットした。50%を挟む2点の濃度とその阻害率(%)から、回帰計算ソフト(Kaiki 6)により下記計算式に基づき、IC50を算出した。
計算式:IC50=10(log[A/B]*[50−C]/[D−C]+log[B])
A=50%を挟む高い濃度
B=50%を挟む低い濃度
C=Bでの阻害率
D=Aでの阻害率
〔試験結果〕
ドルパナールのロイコトリエン遊離阻害活性のIC50は0.90μg/mLであった。一方、特開2008−214235号公報に開示されている桂皮酸誘導体であるアルテピリンC及びドゥルパニンのロイコトリエン遊離阻害活性のIC50はそれぞれ3.0μg/mL及び7.0μg/mLであった。
ドルパナールを含有するブラジル産グリーンプロポリスそのもののIC50は1.46μg/mLだった。
[試験例3:NF−κB阻害活性]
〔材料〕
以下の材料を準備した。
細胞株:NF−κ Reporter, Luciferase, HEK293 Recombinant Cell Line (BPS Bioscience)
培地:Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium − low glucose− (Thermo Fisher Scientific)
FBS:Serum, Fetal Bovine, BSE Tested, EC Approved (biowest)
測定プレート:ViewPlate−384 TC (PerkinElmer)
〔測定方法〕
培養した細胞株(NF−κ Reporter, Luciferase, HEK293 Recombinant Cell Line)を細胞培養用384wellプレート2枚に10,000cells/wellの濃度で播種した。播種した細胞は37℃で一晩インキュベーションした。
ドルパナールはジメチルスルホキシド(DMSO)で最終濃度が50,10,2,0.4μg/mL、1%DMSOになるよう調整し、プレート2枚の細胞に添加した。220×g、10secの条件でスピンダウンした。その後、37℃、1時間インキュベーションした。
DMEM培地で最終濃度が10ng/mLになるように調整したTNF−α(R&D Systems)をプレート2枚の細胞に添加した。220×g、10secの条件でスピンダウンした。その後、37℃で5時間インキュベーションした。全く同じ2枚のプレートのうち、1枚を細胞生存数(Cell viability)測定に、もう1枚をルシフェラーゼアッセイに供した。細胞生存数測定にはCellTiter−Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を使用した。
まず、培地と等量のCellTiter−Glo試薬を細胞に添加し、遮光しながら2分間振盪した。次いで、室温で10分間インキュベーションし、EnVision(PerkinElmer)にて蛍光強度を測定した。ルシフェラーゼアッセイにはONE−GloTM Luciferase Assay System(Promega)を使用した。培地と等量のONE−Glo試薬を細胞に添加し、遮光しながら1分間振盪した。室温で3分間インキュベーションし、EnVision(PerkinElmer)にて蛍光強度を測定した。
ルシフェラーゼアッセイの結果の値は、細胞生存数で除算する。さらにその値はTNF−αと溶媒のみを加えたwellの蛍光強度を100%、TNF−αを添加していないwellを0%とした値へ標準化した。得られた結果より、統計ソフトウェアGraphPad Prism 7を用いて50%阻害濃度を計算した。
〔試験結果〕
図1にドルパナールのNF−κB阻害活性の結果を示す。その結果、ドルパナールのNF−κB阻害活性のIC50は13.4μg/mLと分かった。なお、陽性対照として、よく使用されるRo106−9920のIC50は平均5.3μM(=1.3μg/mL)(実測値)である。
〔合成例1:ドルパナールの化学合成1〕
ドルパナールの化学合成を下記スキームIに従って実施した。
Figure 2019146801
4−ヨードフェノール(化合物2)、水素化ナトリウム(NaH)、及び1−ブロモー3−メチルー2−ブテンを0℃のトルエン中で混合してから、室温(rt)で攪拌した。反応混合物に対し、通常の方法で後処理を行い、化合物3を収率62%で合成した。
上記方法で得られた化合物3、t−ブチルアクリレート、酢酸パラジウム(II)、トリ(o−トリル)ホスフィン、テトラブチルアンモニウムクロリド、トリエチルアミン及び水を、ジメチルホルムアミド(DMF)中で35℃で反応させて、得られた反応混合物を通常の方法により後処理することにより化合物4を収率96%で合成した。
化合物4を60〜65℃の95%エタノール水溶液中で、二酸化セレンと反応させ、得られた反応混合物を通常の方法により、後処理することにより化合物5(収率43%)及び化合物6(30%)を合成した。化合物5及び化合物6の収率は、出発原料である化合物4の消費量に基づく収率である。
化合物6をトリフルオロ酢酸存在下、ジクロロメタン及び水中で反応させ、得られた反応混合物を通常の方法により後処理することで、化合物1を収率94%で合成した。
〔合成例2:ドルパナールの化学合成2〕
ドルパナールの化学合成を下記スキームIIに従って実施した。
Figure 2019146801
化合物2からスキームIと同様の手順で化合物4を合成した。
化合物4、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(TBSCl)、及びイミダゾールをジメチルホルムアミド(DMF)中に0℃で添加し、室温にて撹拌した。得られた反応混合物を通常の方法により後処理することにより、化合物7を収率85%で合成した。
化合物7を60〜65℃の95%エタノール水溶液中で、二酸化セレンと反応させ、得られた反応混合物を通常の方法により、後処理することにより化合物8(収率42%)及び化合物9(22%)を合成した。化合物8は、二酸化マンガン存在下、ジクロロメタン中で反応させ、得られた混合物を通常の方法により後処理して化合物9(収率63%)とした。
得られた化合物9、tert−ブチルジメチルシリルトリフラート及び2,6−ルチジンをジクロロメタンに0℃で添加し、室温にて反応させた。得られた反応混合物を後処理し、その後、1mol/lの塩酸存在下ジクロロメタン中で反応させた。これにより得られた反応混合物を通常の方法により後処理し、テトラブチルアンモニウムフルオリド存在下、テトラヒドロフラン中で室温にて反応させた。これにより得られた反応混合物を通常の方法により後処理し、化合物1を合成した。
スキームIIに従って合成した化合物1が、アレクリンプロポリス原塊から単離した(2E)−3−{4−ヒドロキシ−3−[(2E)−3−メチル−4−オキソブテ−2−ニル]フェニル}−2−プロペン酸(ドルパナール)及びスキームIに従って合成した化合物1と、NMR及びMSの測定データが一致することを確認した。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物又はその塩。
    Figure 2019146801
    [一般式(1)中、
    及びRは、アルデヒド基、カルボキシル基又はC1−6アルキル基を示し、但し、少なくとも一方がアルデヒド基又はカルボキシル基であり、
    は、水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C6−10アリール基、C7―11アラルキル基、C1−6アルキルカルボニル基、又はC7―11アラルキルカルボニル基を示し、
    は、水素原子、又はC1−6アルキル基を示す。]
  2. 前記Rがアルデヒド基又はカルボキシル基であり、前記RがC1−6アルキル基である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. 下記式(3)で表される化合物又はその塩。
    Figure 2019146801
  4. 下記式(4)で表される化合物又はその塩。
    Figure 2019146801
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、ロイコトリエン遊離抑制剤。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する、NF−κB阻害剤。
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