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JPWO2018038105A1 - Iii族窒化物半導体発光素子および該素子構成を含むウエハ - Google Patents

Iii族窒化物半導体発光素子および該素子構成を含むウエハ Download PDF

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Abstract

n型層とp型層との間に活性層を含み、前記n型層上にn電極、前記p型層上にp電極を有し、p型層を含むメサ構造を有するIII族窒化物半導体発光素子であって、前記III族窒化物半導体発光素子の上面視において、前記p電極が、メサ端方向に凸部を有し、且つ、前記凸部の突端部のメサ端近傍にn電極不形成領域を有することを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子を提供する。

Description

本発明は、紫外線の発光ピーク波長を有するIII族窒化物半導体発光素子に関する。特に、発光素子のメサ構造端部における電流集中を抑制する技術に関する。また、本発明は該発光素子構成を含むウエハに関する。
図1、図2にIII族窒化物半導体発光素子1の典型的模式構造を示す。図1は、素子の上面図であり、図2は図1のA−A線断面図を示す。III族窒化物半導体発光素子1は、基板2の一表面側にn型層3、活性層4およびp型層5を含む積層体(以下、「積層半導体層」と記載することがある)が形成され、その積層半導体層の一部にメサ構造6を形成したものが知られている。メサ構造6は、基板2の一表面側にn型層3、活性層4およびp型層5を含む積層半導体層を形成した後に、エッチング等により積層構造の一部を除去し、n型層3の一部を露出させて形成される。活性層4およびp型層5を含む台地状の部分(メサとも呼ばれる)を残存させることによりメサ構造6が形成される(特許文献1参照)。露出したn型層3の表面にはn電極7が形成され、p型層5の表面にはp電極8が形成される。
メサ構造6を有するIII族窒化物半導体発光素子1において、p型層5上のp電極8およびn型層3上のn電極7に動作電圧を印加すると、電流はp電極8とn電極7との間で抵抗の低い経路(通常は最短経路)を流れようとするため、電流はn電極7およびp電極8に近接するメサ構造6の端部(以下、「メサ端」と記載することがある)付近の領域に集中して流れる。この結果、電流が活性層4に均一に流れずに発光ムラが生じる。また、電流がメサ端に集中するため、メサ端近傍で局所的に発熱する。この結果、発光素子の劣化が進行しやすくなり、発光効率の低下、動作電圧の増加、信頼性の低下などを招く。
特許文献2には、p型層もしくはp電極よりも高抵抗の高抵抗層が、p型層の表面においてn電極に近い側でp型層側の形状に沿った形状に形成された紫外半導体発光素子が開示されている。特許文献2のように、メサ端に近いp型層上に高抵抗層を形成すると、メサ端付近の領域に電流が集中するのを抑制できる。しかし、高抵抗層の存在により、p電極と半導体層との間の抵抗が大きくなって、動作電圧が増大するという問題が生じる。
特許文献3には、p電極とn電極との間にトレンチが形成された半導体発光素子が開示されている。トレンチを形成することにより、p電極とn電極との間に流れる電流経路の長さのバラツキを減少させ、特定の部分に電流が集中するのを抑制する。しかし、電流経路の長さのバラツキを十分に小さくするには、トレンチの深さを大きくする必要がある。トレンチの深さを大きくすると、電流経路が全体的に長くなり、抵抗が大きくなって、動作電圧が増大するという問題を生じる。
さらに、近年のデバイス設計の多様化により、様々な形状、構成の発光素子が提案され、メサ構造、電極形状のデザインも多様化している。上記のような高抵抗層の形成、トレンチの形成などの技術は、発光素子の製造における工程数の増加を招くため、多様化したメサ構造、電極形状に迅速に対応することが困難になっている。
そして、特に、発光ピーク波長が200〜350nmである深紫外の発光素子は、発光素子自体の製造が難しく、歩留まりが低下しやすい。さらに、通電した際に電流がメサ端付近の領域に集中するため、その部分は発熱等により劣化が進行し品質不良を生じやすい。そのため、電流がメサ端付近の領域に集中することによる劣化を抑制できる発光素子の開発が望まれていた。
特開2014−96539号公報 特開2014−96460号公報 特開2007−134700号公報
本発明は、発光素子の製造における工程数を増加することなく、p電極とn電極との間に流れる電流がメサ端付近の領域に集中することによる発光素子の劣化を抑制する技術を提供することを目的としている。
本発明者等は、上記課題に対し、鋭意検討を行った。まずp電極とn電極の間を流れる電流が集中する箇所を検討したところ、III族窒化物半導体発光素子を上面視した際に、p型層の少なくとも三方がn型層に囲まれたメサ構造のメサ端付近(図1における8)において、p電極とn電極の間を流れる電流が特に集中することを見出した。そこで、上記メサ構造周辺のn電極の構造を調整することにより、上記課題が解決できるのではないかと考え、鋭意検討した。その結果、上記三方がn型層に囲まれたメサ構造のメサ端の少なくとも一端においてn電極が存在しないか、あるいは、一定の距離をおいてn電極を配置することによって、当該箇所における電流の集中を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、第1の発明は、n型層とp型層との間に活性層を含み、前記n型層上にn電極、前記p型層上にp電極を有し、p型層を含むメサ構造を有するIII型窒化物半導体発光素子であって、前記n型電極と前記p型電極が、前記III族窒化物半導体発光素子の同一上面視上にあり、該上面視において、前記p型層の少なくとも三方がn型層に囲まれたメサ構造を有し、前記n電極が、該メサ構造におけるメサ端の少なくとも一端に実質的に存在しないか、或いはメサ端の少なくとも一端から50μm以上離れていることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子である。
上記本発明のIII族窒化物半導体発光素子において、以下の態様を採ることが好ましい。
1)前記n電極が、前記上面視において、少なくとも三方がn型層に囲まれたメサ構造における一番短いメサ端に実質的に存在しないか、或いはメサ端の少なくとも一端から50μm以上離れていること。
2)前記上面視におけるn電極が存在しない領域を介してn電極同士が電気的に接続されていること。
3)III族窒化物半導体発光素子の発光ピーク波長が200〜350nmであること。
本発明では、III族窒化物半導体発光素子を上面視から見た場合に、p型層の凸部の突端部のメサ端近傍にn電極が存在しない領域(以下、「n電極不形成領域」とも言う)を設けることが特徴である。III族窒化物半導体発光素子に電圧を印加すると、n型電極からp型電極方向に電子が流れる。この時、p型層の少なくとも三方がn型層に囲まれたメサ構造部分においては、該メサ構造のメサ端の全てにn型電極が設けられていると、当該部分には各方から電子が流れ込むことになり、その他のp電極部分と比して電子が多く流れてしまう。電子が多くながれる箇所ほど発光が強く、またp型電極および発光層の劣化が著しくなるため、上記電極構造を有するIII族窒化物半導体発光素子は、発光ムラやp型電極の劣化および発光層の劣化が生じやすい傾向にある。
そこで、本発明においては、上記p型層の少なくとも三方がn型層に囲まれたメサ構造部分のメサ端の少なくとの一端にn電極不形成領域を設けることによって、当該p型層上に設けられたp型電極および発光層への電流の集中を抑制させることが可能となる。その結果、メサ構造における局所的な劣化が生じにくく、また、電流が活性層に均一に流れやすくなることで発光ムラの生じにくい、III族窒化物半導体発光素子が得られる。
これにより、通電した際にメサ端近傍の電流集中による品質不良の発生を低減することができ、発光素子の歩留まりを向上することができる。
p型層上に設けられたp型電極への電流集中を抑制させる方法としては、上記メサ構造の端部付近にp型電極を設けない方法も考えられる。この場合、p型層の中心部にp型電極が設けられることになり、発光面積が減少する傾向にある。本発明では、メサ構造の端部のn型層側にn電極不形成領域を設けているため、メサ構造の端部のp型層側近傍までp型電極を設けることが可能であり、したがって、広い発光面積を得ることができる。
なお、従来技術においては、上記メサ端の凸部方向にn電極不形成領域を設けることは行われていない。本発明者等は、メサ端の凸部方向においてのみn電極の不形成領域を設ければ、動作電圧を過度に増大させることなく、電流集中を効果的に抑制し、発光素子の歩留まりを向上できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
特に、200〜350nmに発光ピーク波長を有する紫外発光素子は、350nmを超える発光ピーク波長の発光素子、例えば、可視光領域の発光素子よりも、各層の組成の影響により製造が難しく、歩留まりが低下する傾向にある。上記のとおり、本発明は、メサ構造における局所的な劣化を原因とする歩留まりの低下を抑制できるため、200〜350nmに発光ピーク波長を有する紫外発光素子に適している。
上面視から見た典型的III族窒化物半導体発光素子の例 典型的III族窒化物半導体発光素子の断面図 様々なメサ端の形状例 上面視におけるn電極が、該メサ構造におけるメサ端の少なくとも一端に実質的に存在しないか、或いはメサ端の少なくとも一端から50μm以上離れている例 比較例1における発光素子の上面構造を示す(パッド電極層なし) 比較例1における発光素子の上面構造を示す(パッド電極層あり) 比較例1における発光素子の断面構造を示す 比較例2における発光素子の上面構造を示す(パッド電極層なし) 比較例2における発光素子の上面構造を示す(パッド電極層あり) 比較例2における発光素子の断面構造を示す 実施例1における発光素子の上面構造を示す(パッド電極層なし) 実施例1における発光素子の上面構造を示す(パッド電極層あり) 実施例1における発光素子の断面構造を示す 実施例2における発光素子の上面構造を示す(パッド電極層なし) 実施例2における発光素子の上面構造を示す(パッド電極層あり) 実施例2における発光素子の断面構造を示す 実施例3における発光素子の上面構造を示す(パッド電極層なし) 実施例3における発光素子の上面構造を示す(パッド電極層あり) 実施例3における発光素子の断面構造を示す
以下、本発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光素子は、本発明の技術思想を具体化した一例であって、本発明を限定しない。たとえば、以下に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
本発明のIII族窒化物半導体発光素子が放出する光の発光領域は、特に制限されるものではない。本発明によれば、発光領域に関係なく、メサ構造における局所的な電流集中による劣化を原因とする出力低下を抑制し、歩留まりを向上することができる。好ましくは、本発明は、可視光領域、又は紫外領域に発光ピーク波長を有するIII族窒化物半導体発光素子に適用される。より好ましくは、本発明は、発光ピーク波長が200〜350nmの紫外線を放出するIII族窒化物半導体発光素子に適用される。以下、発光ピーク波長が200〜350nmのIII族窒化物半導体発光素子を中心に説明する。
典型的なIII族窒化物半導体発光素子1は、図1および図2に示したように、基板2と、n型層3、活性層4およびp型層5を含むメサ構造6(積層半導体層)と、n電極7およびp電極8とを含む。以下に、これらについて非限定的な典型例を説明する。
なお、屈折率、透過率および反射率は、波長265nmの光を基準とした。これは、DNAが波長265nm付近で極大吸収を持つことから波長265nmの光は殺菌に最も適しており、産業上の利用価値が高いと考えられるからである。以下、単に、屈折率、透過率、および反射率とした場合には、波長265nmの光に対する値である。
<基板>
基板2は、III族窒化物半導体結晶を表面にエピタキシャル成長でき、紫外線を透過する基板であれば特に限定されるものではない。基板2に用いられる材料としては、例えば、サファイア、SiC(炭化ケイ素)、AlN(窒化アルミニウム)などが挙げられる。中でもC面を主面とするAlN単結晶基板が好ましい。
基板2の波長265nmの光に対する透過率は、高ければ高いほど良く、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上である。基板2の透過率の上限は、好ましくは100%であるが、工業的な生産を考慮すると上限は80%である。透光性基板の透過率は、材質、基板の厚み、結晶性、不純物含有量によって調整できる。
基板2の厚みは、特に制限されるものではないが、好ましくは30〜150μmであり、より好ましくは50〜100μmである。基板2の厚みを上記範囲とすることにより、透過率が向上し、かつ生産性が向上する。基板2の厚みは、III族窒化物半導体発光素子の製造後に上記範囲を満たせばよく、基板上に後述する積層半導体層または電極を積層後に該基板の下面を研削または研磨することにより、基板の厚みが上記範囲となるようにしてもよい。
<積層半導体層>
積層半導体層(図1におけるメサ構造6を含む素子の主要部)は、図2に示すように基板2上に形成され、n型層3、活性層4ならびにp型層5(p型クラッド層およびp型コンタクト層からなる層)がこの順で積層されてなる。各層について以下に非限定的例を説明する。
<n型層>
n型層3は、AlxInyGazN(x、y、zは、0<x≦1.0、0≦y≦0.1、0≦z<1.0を満たす有理数とし、x+y+z=1.0である)で構成されるIII族窒化物半導体であり、好ましくは不純物を含む。
不純物としては、特に限定されるものではないが、例えばSi、Ge、Snなどが挙げられる。中でもSiが好ましい。不純物の濃度は1.0×1017cm-3以上5.0×1020cm-3以下、好ましくは1.0×1018cm-3以上5.0×1019cm-3以下である。不純物の濃度を上記範囲とすることで、n型層の結晶性およびコンタクト特性が向上する。このようなn型層は、MOCVD法により製造できる。
n型層の屈折率は、特に制限されるものではないが、1.5〜3.0である。屈折率は、n型層の組成等により調整すればよい。
n型層の厚みは、100nm以上10000nm以下であり、好ましくは500nm以上3000nm以下である。n型層の厚みを上記範囲とすることで、n型層の結晶性および導電性が向上する。
なお、図1には図示していないが、III族窒化物半導体発光素子1は、基板2とn型層3との間に、AlN、または上記n型層と同じ、または類似した組成のIII族窒化物半導体を含むバッファ層を有していてもよい。
後述するように、一般的なIII族窒化物半導体発光素子において、n電極からn型層を通じてp電極へと電子が流れる。この時の電子の拡散長はn型層の組成および比抵抗に影響される。従って、後述するメサ端の凸部における電流集中を抑制させるという点から電子の拡散長は長くなりすぎないことが好ましく、n型層のAl組成xは0.6〜0.8、比抵抗は0.01〜0.03Ω・cmの範囲にあることが好ましい。
<活性層>
活性層4は、AlxInyGazN(x、y、zは、0<x≦1.0、0≦y≦0.1、0≦z<1.0を満たす有理数とし、x+y+z=1.0である)で構成される井戸層と、前記井戸層よりもバンドギャップエネルギーの大きいAlxInyGazN(x、y、zは、0<x≦1.0、0≦y≦0.1、0≦z<1.0を満たす有理数とし、x+y+z=1.0である)で構成される障壁層との積層構造からなる。活性層は、多重量子井戸構造であっても単一量子井戸構造であってもよい。
井戸層の厚みは1nm以上、好ましくは2nm以上であり、上限は10nmである。障壁層の厚みは1nm以上、好ましくは2nm以上であり、上限は1μmである。このような活性層は、MOCVD法により製造できる。
<p型層>
p型層5は、p型クラッド層およびp型コンタクト層で構成される。p型クラッド層は、AlxInyGazN(x、y、zは、0<x≦1.0、0≦y≦0.1、0≦z<1.0を満たす有理数とし、x+y+z=1.0である)で構成されるIII族窒化物半導体であり、好ましくは不純物を含む。
p型クラッド層の不純物は、好ましくはMgである。p型クラッド層における不純物の濃度は1.0×1017cm-3以上5.0×1020cm-3以下、好ましくは1.0×1018cm-3以上5.0×1020cm-3以下である。p型クラッド層の厚みは、5nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上70nm以下である。
p型コンタクト層は、AlxInyGazN(x、y、zは、0≦x<1.0、0≦y≦0.1、0<z≦1.0を満たす有理数とし、x+y+z=1.0である)で構成されるIII族窒化物半導体である。好ましくは、p型コンタクト層はGaNで構成される。p型コンタクト層をGaNで構成すると、すなわち、p−GaN層とすると、p型コンタクト層のコンタクト特性を向上させることができる。また、p型コンタクト層は、好ましくは不純物を含む。
p型コンタクト層の不純物は、p型クラッド層と同様に、好ましくはMgである。p型コンタクト層における不純物の濃度は1.0×1017cm-3以上5.0×1020cm-3以下、好ましくは1.0×1018cm-3以上2.0×1020cm-3以下である。p型コンタクト層の厚みは、1nm以上400nm以下であり、好ましくは250nm以上350nm以下である。p型コンタクト層の厚みを上記範囲とすることで、p型層の紫外線透過性およびコンタクト特性が向上する。
<n電極>
n電極7は、n型層3の露出面に形成される。n型層3の露出面はエッチング等の手段により形成される。n型層3の露出面形成により、積層半導体層は台地状に残り、メサ構造6が形成される。n型層3上のn電極7はメサ構造6の低地部に、メサ構造6の下端に沿って形成されるが、メサ構造6の底部からやや距離をあけ、メサ構造6とn電極7との間にn型層3が露出した構造であってもよい。本発明では、n電極7の形成領域を、メサ構造6の形状と関連する所定の指針に基づいて設定する。これにより、メサ端近傍に集中しやすい電流を拡散し、メサ端への電流集中を抑制する。n電極の形成パターンの設定指針については後述し、まず一般的なn電極の性質およびその形成方法について、非限定的な典型例を説明する。
メサ構造6を形成するためのエッチングの手法としては、例えば反応性イオンエッチング、誘導結合プラズマエッチング等のドライエッチングが挙げられる。n型層3の露出面形成後、エッチングのダメージを除去するため、好ましくは、露出面を酸またはアルカリの溶液で表面処理する。その後、n型層3の露出面にオーミック性を有するn電極7を形成する。
n電極7のパターンニングは、リフトオフ法を用いて実施することができる。リフトオフ法では、電極を形成する面にフォトレジストを塗布して、フォトマスクを備えたUV露光機で紫外線を照射し、現像液に浸漬させて感光したフォトレジストを溶解させて所望のパターンを形成した後、パターニングされたフォトレジスト上に電極金属を堆積させ、剥離液でフォトレジストを溶解して電極金属のパターンを形成する。また、その他のパターンニング手法として、電極形成面に電極金属膜を形成し、フォトレジストを塗布後、露光、現像工程を経てフォトレジストをパターニングし、フォトレジストをマスクとしてドライエッチング、またはウェットエッチングで電極金属をパターニングし、剥離液でフォトレジストを溶解する方法もある。リフトオフ法は、比較的工程が簡略であるため好ましい。
n電極金属を堆積する手法としては、例えば、真空蒸着、スパッタリング、化学気相成長法等が挙げられる。特に、電極金属中の不純物を排除できるため真空蒸着が好ましい。n電極に用いられる材料は、公知の材料から選択することができる。例えば、Ti、Al、Rh、Cr、In、Ni、PtおよびAuなどが挙げられる。中でも、Ti、Al、Rh、Cr、NiおよびAuが好ましい。特に、Ti、AlおよびAuの組み合わせは、オーミック性および反射率を向上できるため好ましい。n電極は、これらの金属の合金または酸化物を含む単層、または多層構造であってもよい。
n電極の層厚みは、特に制限されるものではないが、生産の安定性を考えると好ましくは2nm以上であり、上限は2μmである。
n電極の幅は特に限定はされないが、通常は5〜100μm程度であり、好ましくは10〜50μmである。この場合、n電極の幅は、一様でなくてもよい。たとえば、幅の狭い部分と幅の広い部分とが混在してもよい。この場合、n電極の平均幅が上記の範囲にあればよい。
n型層とのコンタクト性を向上させるため、好ましくは、n電極金属を堆積後、300℃〜1100℃の温度で30秒〜3分間熱処理を施す。熱処理の温度、時間については、n電極の金属種、層厚みに応じて適宜最適な条件を選択できる。
<n電極の形成パターン>
本発明では、III族窒化物半導体発光素子を上面視から見た場合に、p型層の少なくとも三方がn型層に囲まれたメサ構造におけるメサ端の少なくとも一端に実質的に存在しないか、或いはメサ端の少なくとも一端から50μm以上離れていることが特徴である。このような上記メサ端近傍にn電極不形成領域を設けることによって、当該p型層上に設けられたp型電極への電流の集中を抑制させることが可能となる。
図1に示したように、n電極7が台地状のメサ構造6を取り囲むように形成された場合、n電極7とp電極8との導通は、抵抗の低い経路が優先されるため、電流はn電極7とp電極8との最短距離にある、p型層5の少なくとも三方がn型層3に囲まれたメサ構造6の端部付近(図1では右方向に突き出たp電極8の突端部、以下、「メサ端の凸部」とも言う)の領域に集中しやすい。
そこで、本発明では、上記メサ端における電流集中を回避するため、該メサ端の少なくとも一端にn電極不形成領域を設ける。このように、n電極の不形成領域を設けると、この部分には電流が流れにくくなり、メサ構造6の端部付近の領域における電流集中を抑制できる。しかし、すべてのメサ端において、n電極の不形成領域を設けると、n電極の面積が減少するために、III族窒化物半導体発光素子の動作電圧が上がることもある。したがって、本発明では、特に電流が集中しやすい部分で、n電極の不形成領域を設ければよい。
メサ構造6の輪郭は、素子設計における電極パターンに応じて様々である。したがって、「メサ端の凸部」を一義的に定義することは困難である。そこで、図2に素子の上面視におけるメサ構造6の輪郭と、n電極7の形成パターンについての非制限的な例を示し、電流が集中しやすい「メサ端の凸部」を破線の円により表示した。なお、図2の上面視ではn電極7とメサ構造6とが接しているが、図2に示すように断面ではメサ構造6の端部とn電極7との間には、メサ構造のテーパ部や、露出したn型層3が存在していてもよい。
図3中のAは、矩形状のメサ構造6を示す。この構造では、矩形状の突端部がn電極7の形成領域に突出しているため、この部分では電流が集中しやすい。なお、上記矩形状のメサ構造6の他に、図3中のB突端部の角部が円弧状となっていてもよく、この場合においても破線の円部分に電流が集中しやすい。
一方、図3中のCからEのメサ構造は、本願における「p型層の少なくとも三方がn型層に囲まれたメサ構造」に該当しない例である。すなわち、図3中のCは、メサ端がn電極7の形成領域に突出していないため、この部分に電流は集中しにくい。また、図3中のDおよびEは、メサ端が凹部となっておりn電極7の形成領域に突出していないため、この部分に電流は集中しにくい。
本発明は、上記のメサ端の凸部の少なくとも一端にn電極不形成領域を設けることが特徴である。図3におけるAの例におけるメサ端の凸部の少なくとも一端にn電極不形成領域を設ける例を図4に示す。
図4のAでは、矩形状のメサ構造6において、メサ端の凸部における一番短いメサ端の方向から基板の端部にかけてn電極不形成領域が形成されている例である。なお、上記Bの例のように、メサ端の凸部における一番短いメサ端部にはn電極が存在しないため、メサ端端部における電流の集中を抑制させることができる。
また上記メサ構造においては、n電極の形成時にメサ端の凸部の長手方向から、上記一番短いメサ端の両側の一部にn電極が形成される場合があるが、このような場合においても、一番短いメサ端の周長の少なくとも50%以上の部分にn電極不形成領域が設けられていれば良い。
図4のCは、Aの構造のメサ構造における突端部の角部が円弧状となっている場合のn電極不形成領域が形成された例である。
また、上記A〜Cの例は、メサ端の方向から基板の端部にかけて、n電極が形成されていない(切り欠いた)例であるが、D及びEの例のように、メサ端とn電極との距離が少なくとも50μm以上離れるようにn電極不形成領域が形成されていても良い。一般的なIII族窒化物半導体発光素子においては、n電極からn型層を通じてp電極へと電子が流れる。この時電子の拡散長はn電極の下層にあるn型層の組成および比抵抗に影響されるが、拡散長が50μm未満の場合、D及びEの構成においてもメサ端部分への電流の集中を抑制させることができる。
なお、電子の拡散長は短いほど、p型層端部への電流集中を引き起こしやすく、発光素子の駆動電圧も増加する傾向にあるため、拡散長は10μm以上、より好ましくは20μm以上であることが好ましい。
また、上記D及びEの例のように、メサ端から離してn電極を形成した場合、離れるに従って電圧が増加する傾向にあるため、距離は150μm以下、より好ましくは100μm以下であることが好適である。
上記の例は一方、メサ端の凸部における一番短いメサ端部にn電極不形成領域が設けられている例であるが、メサ端の凸部の長手方向の一端にn電極不形成領域が設けられていても良い。図4のDはメサ端の凸部の長手方向の一端にn電極不形成領域が設けられている例である。
上記n電極不形成領域の例の中でも電極パターンの形成が容易である点、メサ端の凸部への電流集中の抑制効果が高い点から、n電極が、上面視において、少なくとも三方がn型層に囲まれたメサ構造における一番短いメサ端に実質的に存在しないか、或いはメサ端の少なくとも一端から50μm以上離れていることが好ましい。
上記図4のA〜Cの例では、n電極が切り欠いた例であり、n電極が独立して複数存在している。このようなn電極において電圧を印加した場合には、n電極の一部が通電し、他の部分には電流が流れないため、全てのn電極に電流を流すという観点から、上面視におけるn電極が存在しない領域を介してn電極同士が電気的に接続されていることが好ましい。n電極の電気的な接続方法としては、ワイヤボンディングなどの技術によって、n電極をワイヤにより接続する方法、後述するn電極を介したパッド電極層等が挙げられる。
<p電極>
p電極8のパターニングは、n電極のパターニング同様、リフトオフ法を用いて実施することが好ましい。p電極に用いられる金属材料は、公知の材料から選択することができる。例えば、Ni、Cr、Au、Mg、Zn、PdおよびPtなどが挙げられる。中でも、Ni、Auの組み合せが好ましい。p電極は、これらの金属の合金または酸化物を含む単層、または多層構造であってもよい。
p電極金属を堆積する方法としては、n電極の形成方法と同様に、例えば真空蒸着、スパッタリング、化学気相成長法等が挙げられる。特に、電極金属中の不純物を排除できるため真空蒸着が好ましい。p型コンタクト層とのコンタクト性向上のため、好ましくは、p電極金属を堆積後、200℃〜800℃の温度で30秒〜3分間熱処理を施す。熱処理の温度、時間については、p電極の金属種、層厚みに応じて適宜最適な条件を選択できる。
p電極の形状は限定されないが、通常は前述したようにメサ構造6よりもやや小さな相似形に形成される。ただし、電流集中が起こりやすいメサ端凸部においては、電流集中を抑制するためにメサ端とp電極端の距離を離して形成することが好ましい。また、p電極の幅も特に限定されず、幅の狭い部分と幅の広い部分とが混在してもよい。
<パッド電極層>
電極不形成領域を設けた場合、n電極が分離されてしまうことがある。通常、発光素子を形成した後は、p電極とn電極にそれぞれプローブを接触させ通電することで、発光素子の電気的特性および光学的特性を評価する。しかし、n電極不形成領域を設けることでn電極が分離されてしまうと、プローブが当たっていない方のn電極には電流が流れないため電極としての機能を果たさない。そこで、分離したn電極をつなぐようにパッド電極層を形成することが好ましい。すなわち、n電極上に加えて、n型層が露出しているn電極不形成領域上にもパッド電極層を形成する。これによって、パッド電極層を導電層としてn電極が接続されるため、上述したプローブの当たっていないn電極も電極として機能することが可能となる。
通常はn型層上に上記パッド電極層は形成しない。発光素子を組み立てる際、発光素子の電極パターンとサブマウント表面の金属パターン間をAu−SnはんだやAuバンプによって接合させるが、Au−SnやAuと接着するためには、発光素子の電極最表面にはAuがなくてはならない。しかしながら、電極は熱処理によって合金化しており、最上層にAuはあまり存在しておらず、このままではサブマウントとの接合ができない。そこで、通常は最上層にAuを持つパッド電極層を形成するわけだが、これは電極上にのみ形成し、n型層上に形成することはない。
上述のとおり、パッド電極層9は、p電極8、n電極7およびn電極不形成領域上に形成される。パッド電極層のパターニングは、pおよびn電極のパターニング同様、リフトオフ法を用いて実施することが好ましい。パッド電極層に用いられる金属材料は、公知の材料から選択することができる。例えば、Ti、Ni、Cr、Au、Mg、Zn、PdおよびPtなどが挙げられる。中でも、Ti、Ni、Auの組み合せが好ましい。パッド電極層金属を堆積する方法としては、pおよびn電極の形成方法と同様に、例えば真空蒸着、スパッタリング、化学気相成長法等が挙げられる。特に、電極金属中の不純物を排除できるため真空蒸着が好ましい。パッド電極層は電極ではないため、pおよびn電極とは異なり熱処理は行わない。また、パッド電極層の幅は特に限定されず、幅の狭い部分と幅の広い部分とが混在してもよい。
<発光素子の製造>
上記III族窒化物半導体発光素子の構成を含むウエハを製造した後、透光性基板の下面を研削または研磨することにより、透光性基板の厚みを薄くして透過率を向上させることもできる。その後、スクライビング、ダイシング、レーザ溶断など、公知の発光素子分離方法を適宜用いて、発光素子を製造する。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(実施例および比較例)
図4〜8に示した断面構造を有する積層半導体層を形成した。まず、MOCVD法を用いて、C面AlN基板(一辺7mm角、厚さ500μm)上に、Siを1.0×1019cm-3ドープしたAl0.7Ga0.3N層(1μm)をn型半導体層として形成した。このn型層上に、量子井戸構造を有する活性層(井戸層2nm、障壁層7nm)を形成した。この時、井戸層および障壁層の組成はそれぞれAl0.5Ga0.5NおよびAl0.7Ga0.3Nとし、障壁層には1.0×1018cm-3のSiをドープした。活性層は、井戸層3層と障壁層4層の積層構造から成る。
次に、この活性層上に、電子ブロック層として、Mgを5×1019cm-3ドープしたAlN層(15nm)を形成した。その後、電子ブロック層上に、pクラッド層として、Mgを5×1019cm-3ドープしたAl0.8Ga0.2N層(50nm)を形成した。最後に、pクラッド層上に、pコンタクト層として、Mgを2×1019cm-3ドープしたGaN層(300nm)を形成した。
次に、得られた半導体ウエハをN2中において、900℃で20分間の熱処理を行った。その後、pコンタクト層の表面にフォトリソグラフィーおよび真空蒸着により所定のメタルマスクパターンを形成した後、パターンの形成されていないpコンタクト層表面をn型層が露出するまでドライエッチングする事でメサ構造を形成した。次に、フォトリソグラフィーによりpコンタクト層を覆うように(比較例1、比較例2)、またはpコンタクト層およびn電極不形成領域を覆うように(実施例1、実施例2)、さらにpコンタクト層を覆いかつn型層を50μm覆うように(実施例3:メサ端から50μm離れてn電極が形成される)、レジストパターンを形成した後、真空蒸着によって、Ti(20nm)/Al(200nm)/Au(5nm)層を形成した後、N2中において810℃で1分間熱処理することでn電極を形成した。同様に、p型層上にNi(20nm)/Au(50nm)層を形成し、O2中において550℃で3分間焼成することでp電極を形成した。その後、n電極およびp電極上にパッド電極層9(Ti(20nm)/Ni(400nm)/Au(300nm))を形成した(実施例1、2については、電極上だけでなくn電極不形成領域上にもパッド電極層を形成した)。得られた半導体ウエハを750μm角に切り出して、窒化物半導体発光素子(発光ピーク波長265nmの窒化物半導体発光素子)とした。比較例1および比較例2における発光素子のパッド電極層を形成する前の上面構造を図5および図8に、パッド電極層を形成した後の上面構造を図6および図9に、図6および図9のAA断面における断面構造を図7および図10に示す。実施例1および実施例2における発光素子のパッド電極層を形成する前の上面構造を図11および図14に、パッド電極層を形成した後の上面構造を図12および図15に、図12および図15のAA断面における断面構造を図13および図16に示す。実施例3における発光素子のパッド電極層を形成する前の上面構造を図17に、パッド電極層を形成した後の上面構造および断面構造を図18および図19に示す。
比較例1、2および実施例1、2、3において、メサ端平坦部の点Aおよびメサ端凸部の点Bの発光強度を評価し、点Aに対する点Bの発光強度比をとることで発光素子の発光ムラを評価した。この評価を、製造した各50個の発光素子について行った結果の平均値を表1に示す。発光強度比が大きいほど電流集中していることを表すため、本発明の適用により電流集中を大幅に緩和できることが明らかになった。
次に、比較例1、2および実施例1、2、3で製造した各50個の素子について500時間経過時の出力特性の経時変化を故障率にて評価した。結果を表1に示す。測定は、環境温度25℃、印加電流150mAにて行った。なお、故障率は、全素子の中で電流集中を原因としてメサ端凸部のp電極の劣化(電極と半導体層との反応が活性層を貫通して進行することでリークパスが形成)が発生した素子の割合を意味する。表1の結果より、n電極不形成領域を設けるか、メサ端とn電極端の距離を50μm離すことで発光ムラが抑えられていることから、メサ端凸部の電流集中が緩和されたことが分かる。これにより凸部における負荷が小さくなり、故障率が大幅に改善されたと考えられる。なお、比較例および実施例で製造した発光素子の発光ピーク波長は265nmであった。
本発明では、III族窒化物半導体発光素子を上面視から見た場合に、メサ端凸部の突端部近傍にはn電極を形成しないn電極不形成領域を設けることで、p電極とn電極との間に流れる電流がメサ端付近の領域に集中するのを抑制する。その結果、メサ構造における局所的な劣化が生じにくく、また、電流が活性層に均一に流れやすくなることで発光ムラの生じにくい、III族窒化物半導体発光素子が得られる。
1:III族窒化物半導体発光素子
2:基板
3:n型層
4:活性層
5:p型層
6:メサ構造
7:n電極
8:p電極
9:パッド電極層
A:メサ端平坦部
B:メサ端凸部

Claims (5)

  1. n型層とp型層との間に活性層を含み、前記n型層上にn電極、前記p型層上にp電極を有し、p型層を含むメサ構造を有するIII型窒化物半導体発光素子であって、
    前記n型電極と前記p型電極が、前記III族窒化物半導体発光素子の同一上面視上にあり、
    該上面視において、前記p型層の少なくとも三方がn型層に囲まれたメサ構造を有し、
    前記n電極が、該メサ構造におけるメサ端の少なくとも一端に実質的に存在しないか、或いはメサ端の少なくとも一端から50μm以上離れていることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
  2. 前記n電極が、前記上面視において、少なくとも三方がn型層に囲まれたメサ構造における一番短いメサ端に実質的に存在しないか、或いはメサ端の少なくとも一端から50μm以上離れている請求項1記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  3. 前記上面視におけるn電極が存在しない領域を介してn電極同士が電気的に接続されている請求項1又は2のいずれかに記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  4. 前記n電極からp電極への、電子の拡散長が50μm未満である請求項1から3のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
  5. 発光ピーク波長が200〜350nmである請求項1から4のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
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