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JPWO2018003840A1 - 中空糸脱気モジュール及び当該中空糸脱気モジュールを用いて液体を脱気する方法 - Google Patents

中空糸脱気モジュール及び当該中空糸脱気モジュールを用いて液体を脱気する方法 Download PDF

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Abstract

中空糸脱気モジュール1は、筒体2と、筒体2の一方の端部2bを封止し、液体供給口7が設けられる第1の蓋部3と、筒体2の他方の端部2cを封止する第2の蓋部4と、筒体2内にて液体供給口7に連通する筒状本体部11a、及び筒状本体部11aの外周面に設けられる複数の開口部11bを有する液体流入部11と、液体流入部11の外周面を覆うように筒体2内に収容され、複数の中空糸膜12を有する中空糸膜束13と、筒体2内の液体を排出する液体排出口5と、第1の蓋部3及び第2の蓋部4のいずれか一方に設けられ、複数の中空糸膜12の内側に繋がる排気口8と、筒体2に設けられ、液体中の気泡が排出される気泡排出口6と、を備える。

Description

本発明は、中空糸脱気モジュール及び当該中空糸脱気モジュールを用いて液体を脱気する方法に関する。
液体中には、空気等の気体が溶存していることがある。例えば、測定対象の液体に気体が溶存されている場合、当該気体によって正確な測定結果が得られないことがある。また、インク、レジスト、又はコーティング材料に気体が溶存されている場合、印字不良等が発生することがある。例えば、下記特許文献1には、インク貯留部からインクジェットヘッドに至るインク流路に、中空糸膜を用いた中空糸脱気モジュールを取り付けることが開示されている。下記特許文献1では、中空糸脱気モジュールによって連続的にインクが脱気されることが開示されている。
国際公開第2007/063720号
上述したような中空糸脱気モジュールでは、液体中に溶存する気体及び微小な気泡は、中空糸膜の表面に設けられた孔を介して当該中空糸膜の内側に侵入する。しかしながら、中空糸膜の孔の径よりも極端に大きい気泡が液体中に形成された場合、当該気泡は、中空糸膜内に侵入しないことがある。この場合、中空糸脱気モジュールから排出される液体は、十分に脱泡されないことがある。また、例えば液体が高粘度液体である場合、中空糸脱気モジュール内の気泡は、液体の剪断応力により破壊されないことがある。この気泡は、中空糸脱気モジュール内に溜まる傾向にある。この溜まった気泡に起因して、脱気の対象となる高粘度液体と、中空糸膜との接触面積が低下し、中空糸脱気モジュールによる充分な脱気性能を発揮できなくなる問題もある。
本発明の一態様は、液体を良好に脱気及び脱泡できる中空糸脱気モジュールおよび当該中空糸脱気モジュールを用いて良好に脱気及び脱泡を行う方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る中空糸脱気モジュールは、筒体と、筒体の一方の端部を封止し、液体供給口が設けられる第1の蓋部と、筒体の他方の端部を封止する第2の蓋部と、筒体内にて液体供給口に連通すると共に筒体の軸線方向に延在する筒状本体部、及び筒状本体部の外周面に設けられる複数の開口部を有する液体流入部と、筒状本体部の外周面を覆うように筒体内に収容され、複数の中空糸膜を有する中空糸膜束と、筒体内の液体を排出する液体排出口と、第1の蓋部及び第2の蓋部のいずれか一方に設けられ、複数の中空糸膜の内側に繋がる第1の排気口と、筒体に設けられ、液体中の気泡が排出される気泡排出口と、を備える。
この中空糸脱気モジュールでは、液体供給口を介して液体流入部の筒状本体部に供給された液体は、開口部を介して筒体内に浸入する。筒体内に浸入した液体に溶存している気体及び微小な気泡は、中空糸膜の内側に侵入する。すなわち、筒体内に浸入した液体は、中空糸膜束を通過する際に脱気される。中空糸膜の内側に侵入した気体等は、第1の排気口から中空糸脱気モジュールの外部に排出される。また、筒体内に収容される液体中に存在し、中空糸膜によって脱泡されなかった気泡は、液体排出口とは異なる気泡排出口から中空糸脱気モジュールの外部に排出される。したがって、上記中空糸脱気モジュールを用いることによって、液体を良好に脱気及び脱泡できる。
気泡排出口は、液体排出口よりも上側に設けられてもよい。この場合、気泡排出口から排出される液体量を低減できると共に、筒体内において液体排出口に到達するまでの液体の流路が長くなる。これにより、液体排出口から排出される液体への気泡の混入を良好に抑制できる。
気泡排出口は、複数の開口部よりも上側に設けられてもよい。この場合、液体中の気泡が複数の開口部を介して逆流することを抑制できる。
上記中空糸脱気モジュールは、第1の蓋部及び第2の蓋部の他方に設けられ、複数の中空糸膜の内側に繋がる第2の排気口をさらに備えてもよい。この場合、中空糸膜の内側に侵入した気体を良好に排出できる。
上記中空糸脱気モジュールは、軸線方向において、第1の蓋部側の液体流入部及び中空糸膜束を固定し、筒体内の第1の空間と第1の蓋部内の第2の空間とを区画する第1の封止部と、軸線方向において、第2の蓋部側の液体流入部及び中空糸膜束を固定し、第1の空間と第2の蓋部内の第3の空間とを区画する第2の封止部と、をさらに備え、複数の開口部、液体排出口、及び気泡排出口のそれぞれは、第1の空間に繋がっており、第1の排気口は、第2の空間及び第3の空間のいずれか一方に繋がっていてもよい。この場合、第1及び第2の封止部によって、第1の排気口が繋がる空間と、複数の開口部、液体排出口、及び気泡排出口のそれぞれが繋がる第1の空間とが、互いに分断されている。これにより、第1の排気口に排出される気体が、第1の空間に混入されることを良好に抑制できる。
第1の封止部は、軸線方向において第2の封止部よりも上側に位置しており、気泡排出口は、軸線方向において第1の封止部と離間してもよい。この場合、軸線方向において筒体内の第1の封止部と気泡排出口との間には、気泡が溜まる領域が形成される。この領域に溜まった気泡による気体が、当該領域に露出する中空糸膜に侵入することにより、より良好に脱気できる。
第1の蓋部は、軸線方向において第2の蓋部よりも上側に位置してもよい。この場合、液体供給口が液体を自然落下にて筒状本体部に供給できる。
液体排出口は、筒体に設けられてもよい。この場合、第1の蓋部及び第2の蓋部の形状等にかかわらず、脱気された液体を良好に排出できる。
液体の粘度は、1000mPa・s以上であってもよい。この場合、液体中の気泡が破壊されにくく、中空糸膜束だけでは脱泡が不十分になる傾向にある。これに対して、上記中空糸脱気モジュールは、気泡排出口を備えている。したがって、上記中空糸脱気モジュールによって処理される液体の粘度が1000mPa・s以上であっても、当該液体の脱気及び脱泡を良好に実施できる。
上記中空糸脱気モジュールを用いて液体を脱気する方法は、中空糸脱気モジュールの気泡排出口から液体中の気泡を排出しながら脱気する方法である。このように中空糸脱気モジュールを用いて、気泡排出口から液体中の気泡を排出しながら液体中の溶存気体を脱気することにより、良好に脱気及び脱泡を行うことができる。
本発明の一態様によれば、液体を良好に脱気及び脱泡できる中空糸脱気モジュールおよび当該中空糸脱気モジュールを用いて良好に脱気及び脱泡を行う方法を提供できる。
図1は、実施形態に係る中空糸脱気モジュールを示す正面図である。 図2は、図1に示される中空糸脱気モジュールの概略断面図である。 図3(a),(b)は、図2に示される中空糸膜束の一部拡大図である。 図4は、各実施例にて用いられる性能評価ラインを示すブロック図である。 図5は、表1に示される各実施例の結果をグラフ化した図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1は、実施形態に係る中空糸脱気モジュールを示す正面図である。図2は、図1に示される中空糸脱気モジュールの概略断面図である。図1及び図2に示されるように、内部に供給された液体を脱気する中空糸脱気モジュール1は、外部灌流型の脱気モジュールである。中空糸脱気モジュール1は、中央部2a及び端部2b,2cを有する筒体2と、筒体2の一方の端部2bを封止する第1の蓋部3と、筒体2の他方の端部2cを封止する第2の蓋部4とを備えている。筒体2の中央部2aには、液体排出口5及び気泡排出口6が設けられている。第1の蓋部3には、液体供給口7及び排気口8(第1の排気口)が設けられている。第2の蓋部4には、排気口9(第2の排気口)が設けられている。本実施形態では、筒体2の中心軸線L1に沿った方向を上下方向(又は軸線方向)と定義する。この場合、端部2b(及び第1の蓋部3)は、端部2c(及び第2の蓋部4)よりも上側に設けられている。
本実施形態の中空糸脱気モジュール1にて脱気される液体は、気泡が発生しやすい液体もしくは発生した気泡が破壊されにくい液体であれば特に限定されない。具体例としては、液体として起泡性液体又は高粘度液体が挙げられる。起泡性液体としては、いわゆる界面活性剤もしくは界面活性物質を含む液体が挙げられる。高粘度液体としては、液体が中空糸脱気モジュール1を流れる温度において、所定の粘度を有する液体が挙げられる。本実施形態では、高粘度液体が用いられる。
高粘度液体において、上記温度における所定の粘度の下限値は、例えば100mPa・s以上の任意の値でもよく、500mPa・s以上の任意の値でもよく、1000mPa・s以上の任意の値でもよい。高粘度液体において、上記温度における所定の粘度の上限値は、例えば5000mPa・s以下の任意の値でもよく、2000mPa・s以下の任意の値でもよい。上記温度における液体の粘度は、1600mPa・s程度であってもよい。なお、高粘度液体において、上記の粘度の範囲の組合せとしては、発生した気泡が液体排出口側へ混ざることを防ぐ観点と、液体の流動性の観点とを考慮すると、100〜5000mPa・sの任意の値でよく、500〜5000mPaの任意の値でもよく、1000〜5000mPaの任意の値でもよく、さらに、より多くの液体を処理できる観点も考慮すると、上記組合わせは、100〜2000mPa・sの任意の値でもよく、500〜2000mPaの任意の値でもよく、1000〜2000mPaの任意の値でもよい。液体が中空糸脱気モジュール1を流れる温度の下限値は、例えば、液体の凝固点より高ければよい。液体が中空糸脱気モジュール1を流れる温度の上限値は、例えば、後述する中空糸膜12を構成する樹脂の熱変形温度未満までの範囲であればよい。例えば、中空糸膜を構成する樹脂がポリオレフィンである場合、上記温度は、0℃〜70℃でもよく、4℃〜60℃でもよく、室温(20℃)〜45℃でもよい。例えば、インク、レジスト、又はコーティング材料等として前記高粘度液体が用いられている。
筒体2は、中空糸脱気モジュール1における本体部であり、略円筒形状を有している。中央部2a内には仕切り等が設けられておらず、且つ、端部2b,2cのそれぞれは開口している。このため、筒体2は中空形状を有している。製造容易性の観点から、筒体2は、例えば樹脂製である。筒体2は、例えば射出成形によって形成される。中央部2aにおける端部2bに隣接する領域には、拡径部Eが設けられている。すなわち、中央部2aにおける上端には、拡径部Eが設けられている。この拡径部Eにおいて、外径は中央部2aと同一である一方で、内径は中央部2aよりも大きくなっている。このため筒体2内の空間S1(第1の空間)において、拡径部Eによって画成される内部空間の断面積は、拡径部E以外の領域によって画成される内部空間の断面積よりも大きくなっている。
端部2b,2cの外径は、互いに略同一であり、中央部2aの外径よりも小さくなっている。一方、端部2b,2cの内径は、互いに略同一であり、且つ、拡径部Eを除いた中央部2aの内径とも略同一である。端部2bの外周面には、第1の蓋部3に係止するための爪部2d,2eが設けられている、端部2bの内周面には、後述する封止部14が引っかかる溝部2fが設けられている。同様に、端部2cの外周面には第2の蓋部4に係止するための爪部2g,2hが設けられており、端部2cの内周面には後述する封止部15が引っかかる溝部2iが設けられている。
筒体2内には、第1の蓋部3の液体供給口7に連通する液体流入部11と、液体流入部11の外周面を覆い、複数本の中空糸膜12を有する中空糸膜束13と、空間S1を封止すると共に中空糸膜束13を固定する封止部14,15とが収容されている。
液体流入部11は、液体供給口7から供給された液体を筒体2内に供給する樹脂製の部材である。液体流入部11は、中央部2a内にて上下方向に延在する筒状本体部11a、及び筒状本体部11aの外周面に設けられる複数の開口部11bを有する。このため、液体供給口7と、液体流入部11の内部空間と、空間S1とが互いに繋がっており、液体供給口7から供給された液体は、液体流入部11を介して空間S1内に浸入する。筒状本体部11aは円筒形状を有しており、筒状本体部11aの中心軸が筒体2の中心軸に重なっている。上下方向において、筒状本体部11aの長さは、筒体2の長さと同一でもよいし、異なってもよい。本実施形態では、筒状本体部11aの上記長さは、筒体2の長さと略同一である。筒状本体部11aの外周面には、第1の蓋部3及び第2の蓋部4と同様に、後述する封止部14が引っかかる溝部11cと、後述する封止部15が引っかかる溝部11dとが設けられている。
筒状本体部11aにおける上側の一端は、連結部材16を介して液体供給口7に連結されている。一方、筒状本体部11aにおける下側の一端は塞がれている。筒状本体部11aの外径及び厚みは、例えば、液体流入部11の内部を通る液体の圧力損失が高くならない範囲で、適宜設定される。連結部材16は、液体供給口7と液体流入部11とを水密に連結するための部材であり、例えば樹脂製の部材である。
図3(a),(b)は、図2に示される中空糸膜束の一部拡大図である。図3(a),(b)に示されるように、中空糸膜12は、気体を透過する一方で液体を透過しない中空糸形状の膜であり、上下方向に沿って延在している。上下方向において、中空糸膜12の両端は、それぞれ開口されている。中空糸膜12の上側の端は、第1の蓋部3内の空間S2(第2の空間)に繋がっている。中空糸膜12の下側の端は、第2の蓋部4内の空間S3(第3の空間)に繋がっている。空間S2は、第1の蓋部3における液体供給口7内の空間と分断されている。
中空糸膜12は、液体により膨潤する性質を有する。中空糸膜12の素材、膜形状、膜形態等は、特に制限されない。中空糸膜12の素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)などのポリオレフィン系樹脂、ポリジメチルシロキサン、又はその共重合体などのシリコン系樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、フッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂が挙げられる。中空糸膜12の膜形状(側壁の形状)としては、例えば、多孔質膜、微多孔膜、多孔質を有さない均質膜(非多孔膜)が挙げられる。中空糸膜12の膜形態としては、例えば、膜全体の化学的あるいは物理的構造が均質な対称膜(均質膜)、膜の化学的あるいは物理的構造が膜の部分によって異なる非対称膜(不均質膜)が挙げられる。非対称膜(不均質膜)は、非多孔質の緻密層と多孔質とを有する膜である。この場合、緻密層は、膜の表層部分又は多孔質膜内部等、膜中のどこに形成されていてもよい。不均質膜には、化学構造の異なる複合膜、3層構造のような多層構造膜も含まれる。特にポリ(4−メチルペンテン−1)樹脂を用いた不均質膜は、液体を遮断する緻密層を有するため、水以外の液体の脱気に用いられてもよい。外部灌流型に用いる中空糸の場合は、緻密層が中空糸外表面に形成されてもよい。
中空糸膜束13は、例えば、複数の中空糸膜12が簾状に織られた中空糸膜シート(不図示)により形成されている。この場合、例えば、中空糸膜束13は、1インチ当たり30本〜90本の中空糸膜12で構成されている。中空糸膜束13は、筒状本体部11aの外周面を囲んで当接しており、略円筒形状を構成している。このため、中空糸膜束13の中空糸膜12は、液体流入部11によって半径方向内側から支持されている。中空糸膜束13は、筒体2の内周面に接してもよいし、接しなくてもよい。上下方向において、中空糸膜束13の長さは、液体流入部11の長さと同一でもよいし、異なってもよい。例えば、中空糸膜束13の上記長さは、液体流入部11よりも短くてもよい。本実施形態では、液体流入部11と中空糸膜束13とが同じ長さとなっている。このため、中空糸膜束13における上側の端面と筒状本体部11aにおける上側の端とが一致しており、中空糸膜束13における下側の端面と筒状本体部11aにおける下側の端とが一致している。中空糸膜束13の上記長さと、筒体2の内径との比率は、例えば、6:1〜1:1である。
封止部14(第1の封止部)は、筒体2の端部2b内を充填するように設けられる封止部材であり、上下方向において、上側の液体流入部11と中空糸膜束13の端部13aとを固定する部材である。封止部14は、上述したように溝部2f,11c内に入り込むことにより、上下方向において端部2b内に固定されている。封止部14は、樹脂により形成されている。封止部14に含まれる樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、紫外線硬化型樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。封止部14は、端部2bの上下方向に対して垂直な断面において、筒状本体部11aの内部及び中空糸膜12の内側以外の全域に充填されている。換言すると、封止部14は、中空糸膜12間、中空糸膜束13と筒状本体部11aの外周面との間、及び中空糸膜束13と端部2bの内周面との間に充填されている。このため、封止部14は、筒体2内の空間S1と、第1の蓋部3内の空間S2とを区画するように設けられている。この場合、空間S1内の液体が空間S2に浸入することを防止できる。
封止部15(第2の封止部)は、筒体2の端部2c内を充填するように設けられる封止部材であり、上下方向において、下側の液体流入部11と中空糸膜束13の端部13bとを固定する部材である。封止部15は、上述したように溝部2i,11d内に入り込むことにより、上下方向において端部2c内に固定されている。封止部15は、封止部14と同様の樹脂により形成されている。封止部15は、端部2cの上下方向に対して垂直な断面において、筒状本体部11aの内部及び中空糸膜12の内側以外の全域に充填されている。換言すると、封止部15は、中空糸膜12間、中空糸膜束13と筒状本体部11aの外周面との間、及び中空糸膜束13と端部2cの内周面との間に充填されている。このため、封止部15は、筒体2内の空間S1と、第2の蓋部4内の空間S3とを区画するように設けられている。この場合、空間S1内の液体が空間S3に浸入することを防止できる。
第1の蓋部3は、液体供給口7を支持すると共に筒体2の端部2bに被さっている樹脂製の部材である。第1の蓋部3は、略円盤状の天板21と、天板21の縁を囲んで設けられる側板22とを有している。天板21には、中心軸線L1を中心点として設けられる開口部21aと、開口部21aを囲むように外表面に設けられる環状の溝部21bと、溝部21bよりも外側の外表面に設けられる凹部21c,21dとが設けられている。環状の溝部21b内には、液体供給口7との気密性を向上するためのシールリングRが設けられている。凹部21c,21dは、雌ねじ部であってもよい。側板22には、筒体2の爪部2d,2eをそれぞれ嵌入させるための溝部22a,22bと、排気口8を挿通するための貫通孔22cとが設けられている。排気口8は、管等を介して空間S2から外部へ気体を排出する部材である。排気口8,9から排出される気体は、中空糸膜12の内側に侵入する液体内の気体である。排気口8と管との接続は、例えば、嵌合又は螺合によりなされる。
ここで、液体供給口7は、液体を供給する管に接続される略円筒状の接続部7aと、接続部7aを固定すると共に第1の蓋部3に取り付けられる本体部7bと、開口部21aに挿通されるように本体部7bから突出し、連結部材16に連結される筒状の突出部7cとを有している。本体部7bには、突出部7cが開口部21aに挿入された際に、凹部3c,3dに重なるように設けられる開口部7d,7eがそれぞれ設けられる。接続部7aと管との接続は、例えば、嵌合又は螺合によりなされる。開口部7d,7eには、ピンなどの固定部材F1,F2がそれぞれ挿入されうる。
本実施形態では、液体供給口7は、第1の蓋部3における天板21の外表面上に配置されている。このとき、突出部7cは、開口部21aに挿入されており、連結部材16に連結されている。開口部7dと凹部21cとの両方に固定部材F1が挿入されていると共に、開口部7eと凹部21dとの両方に固定部材F2が挿入されている。これにより、液体供給口7は、シールリングRを介して気密性よく第1の蓋部3に装着されている。
第2の蓋部4は、筒体2の端部2cに被さっている樹脂製の部材である。第2の蓋部4は、略円盤状の底板31と、底板31の縁を囲んで設けられる側板32とを有している。底板31には、中心軸線L1を中心点として設けられる開口部31aが設けられている。開口部31aには、排気口9が挿入されている。排気口9は、管等を介して空間S3から外部へ気体を排出する部材である。排気口9から排出される気体は、中空糸膜12の内側に侵入する液体内の気体である。排気口9と管との接続は、例えば、嵌合又は螺合によりなされる。側板32には、筒体2の爪部2g,2hをそれぞれ嵌入させるための溝部32a,32bが設けられている。
液体排出口5は、筒体2における中央部2aの側壁を貫通するように設けられており、管等を介して空間S1から外部へ液体を排出する部材である。液体排出口5は、中央部2aにおける端部2c側であって、上下方向において封止部14,15の間に設けられている。液体排出口5と管との接続は、例えば、嵌合又は螺合によりなされる。液体排出口5から排出される液体は、液体流入部11から空間S1へ浸入し、中空糸膜束13を介して脱気された液体である。
気泡排出口6は、筒体2における中央部2aの側壁を貫通するように設けられており、管等を介して空間S1から外部へ気体(主に気泡)を排出する部材である。気泡排出口6は、中央部2aにおける端部2b側であって、上下方向において封止部14,15の間(より具体的には、拡径部E)に設けられている。気泡排出口6と管との接続は、例えば、嵌合又は螺合によりなされる。気泡排出口6から排出される気体は、中空糸膜12のいずれにも侵入せず、空間S1内に存在する気体及び気泡である。換言すると、気泡排出口6からは、気泡だけでなく気体も排出される。なお、気泡排出口6から液体も排出される。
気体は液体よりも軽いため、気泡排出口6は、液体排出口5よりも上側に設けられてもよい。この場合、気泡排出口6から排出される液体の量が、液体排出口5から排出される液体の量よりも大幅に少なくなる。気泡排出口6は、上下方向において封止部14と離間するように設けられている。この場合、空間S1において封止部14と気泡排出口6との間には、気泡及び当該気泡からなる気体が溜まる領域が形成される。本実施形態では、この領域は空間S1において拡径部Eの位置に相当しており、中空糸膜束13の一部が当該領域に露出している。気泡排出口6は、液体流入部11における複数の開口部11bよりも上側に設けられてもよく、液体排出口5及び複数の開口部11bよりも上側に設けられてもよい。
次に、中空糸脱気モジュール1による液体の脱気方法について説明する。
外部から液体供給口7に供給された液体は、筒体2内の液体流入部11に流入する。液体流入部11に流入した液体は、複数の開口部11bを介して空間S1内に浸入する。空間S1内に浸入した液体は、中空糸膜12間の隙間に供給され、更に、当該隙間を通って筒体2の内周面に流れていく。つまり、空間S1内に浸入した液体は、中空糸膜束13の外側に向かって流れていく。このとき、真空ポンプ等を作動させて排気口8,9から空間S2,S3内を吸気することにより、中空糸膜12の内側が減圧される。すると、液体が中空糸膜束13を通過する際に、液体に溶存している気体(溶存気体)及び液体中の微小な気泡が、中空糸膜12の内側に引き込まれる。これにより、液体の脱気が行われる。微小な気泡は、中空糸膜12の孔を通過できる程度の径を有する気泡である。
液体中には、中空糸膜12によって脱泡されなかった気泡がある。この気泡は、液体に対する比重の関係から、空間S1の上側(具体的には、空間S1において拡径部Eに対応する領域)に集まりやすい。当該領域に集まった気泡による気体は、中空糸膜12に侵入し、脱気される。また、気泡は、気泡排出口6から外部へ排出される。これにより、液体中における中空糸膜12の内側に侵入しない気泡を脱泡できるので、中空糸脱気モジュール1の気泡排出口6から液体中の気泡を排出しながら、中空糸脱気モジュール1の中空糸膜12によって液体を脱気することができる。そして、気泡排出口6と、排気口8,9とによって脱気及び脱泡された液体は、液体排出口5から外部に排出される。
このように、本実施形態に係る中空糸脱気モジュール1では、筒体2内に浸入した液体に溶存している気体及び微小な気泡は、中空糸膜12の内側に侵入する。すなわち、筒体2の空間S1内に浸入した液体は、中空糸膜束13を通過する際に脱気される。中空糸膜12の内側に侵入した気体等は、排気口8から中空糸脱気モジュール1の外部に排出される。また、筒体2の空間S1内に収容される液体中に存在し、中空糸膜12によって脱泡されなかった気泡は、液体排出口5とは異なる気泡排出口6から中空糸脱気モジュール1の外部に排出される。したがって、中空糸脱気モジュール1を用いることによって、気泡排出口6から液体中の気泡を排出しながら液体中の溶存気体を脱気することができるので、液体を良好に脱気及び脱泡できる。
気泡排出口6は、液体排出口5よりも上側に設けられている。このため、気泡排出口6からの液体の排出量を低減できると共に、筒体2の空間S1内において液体排出口5に到達するまでの液体の流路が長くなる。これにより、液体排出口5から排出される液体への気泡の混入を良好に抑制できる。
気泡排出口6は、複数の開口部11bよりも上側に設けられている。このため、液体中の気泡が複数の開口部11bを介して逆流することを抑制できる。
中空糸脱気モジュール1は、第2の蓋部4に設けられ、複数の中空糸膜12の内側に繋がる排気口9を備えている。このため、中空糸膜12の内側に侵入した気体を良好に排出できる。
中空糸脱気モジュール1は、上下方向において、第1の蓋部3側の液体流入部11及び中空糸膜束13を固定し、筒体2内の空間S1と第1の蓋部3内の空間S2とを区画する封止部14と、上下方向において、第2の蓋部4側の液体流入部11及び中空糸膜束13を固定し、空間S1と第2の蓋部4内の空間S3とを区画する封止部15と、を備えている。加えて、複数の開口部11b、液体排出口5、及び気泡排出口6のそれぞれは、空間S1に繋がっており、排気口8は、空間S2に繋がっており、排気口9は、空間S3に繋がっている。このため、封止部14,15によって、複数の開口部11b、液体排出口5、及び気泡排出口6のそれぞれが繋がる空間S1と、排気口8が繋がる空間S2と、排気口9が繋がる空間S3とが、互いに分断されている。これにより、排気口8,9に排出される気体が、空間S1に混入されることを良好に抑制できる。
気泡排出口6は、上下方向において封止部14と離間している。このため、上下方向において筒体2内の封止部14と気泡排出口6との間には、気泡が溜まる領域が形成される。この領域に溜まった気泡による気体が、当該領域に露出する中空糸膜12に侵入することにより、より良好に脱気できる。ここで、拡径部Eが設けられることにより、気泡排出口6と封止部14との離間距離を縮めた場合であっても、気体が溜まる領域を確保できる。
第1の蓋部3は、上下方向において第2の蓋部4よりも上側に位置している。このため、液体供給口7が液体を自然落下にて筒状本体部11aに供給できる。
液体排出口5は、筒体2に設けられてもいる。このため、第1の蓋部3及び第2の蓋部4の形状等にかかわらず、脱気された液体を良好に排出できる。
液体の粘度は、1000mPa・s以上であってもよい。この場合、液体中の気泡が液体の剪断応力により破壊されにくく、中空糸膜束13だけでは脱泡が不十分になる傾向にある。これに対して、中空糸脱気モジュール1は、気泡排出口6を備えている。したがって、中空糸脱気モジュール1によって処理される液体の粘度が1000mPa・s以上であっても、破壊されなかった気泡は気泡排出口6より排出されるので、当該液体の脱気及び脱泡を良好に実施できる。換言すると、中空糸脱気モジュール1に供給される液体が高粘度液体である場合、当該液体の脱気及び脱泡を特に良好に実施できる。
本発明の一態様に係る中空糸脱気モジュール及び当該中空糸モジュールを用いて液体を脱気する方法は、上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態に係る中空糸脱気モジュール1において、中心軸線L1が延在する方向は、上下方向に限られない。例えば、中心軸線L1は、上下方向に交差又は直交する方向に延在してもよい。この場合、第1の蓋部3は、筒体2及び第2の蓋部4よりも上側に位置しなくてもよい。また、液体供給口7は、筒体2及び第2の蓋部4よりも上側に位置しなくてもよい。
上記実施形態において、第1の蓋部3が第2の蓋部4の下側に位置してもよい。換言すると、筒体2は、上記実施形態と反転した状態であってもよい。この場合、拡径部は、端部2cに隣接するように設けられると共に気泡排出口6が当該拡径部を貫通するように設けられる。なお、上記実施形態における拡径部Eは、必ずしも設けられなくてもよい。
上記実施形態において、筒体2の中央部2aにおいて液体排出口5及び気泡排出口6が設けられる位置は、限定されない。このため、例えば液体排出口5が気泡排出口6よりも上側に位置してもよい。また、液体排出口5は、中央部2a以外に設けられてもよい。例えば、液体排出口5は、第1の蓋部3又は第2の蓋部4に設けられてもよい。
上記実施形態において、排気口8,9のそれぞれには、空間S2,S3のそれぞれを吸気するための真空ポンプが接続されてもよい。この場合、中空糸膜12の内側が減圧され、空間S1内における中空糸膜12を介する液体を良好に脱気できる。
上記実施形態において、中空糸脱気モジュール1に供給される液体は、1000mPa・s以上の粘度を有さなくてもよい。すなわち、中空糸脱気モジュール1に供給される液体は、高粘度液体でなくてもよい。また、液体は、起泡性の液体でなくてもよい。加えて、液体が紫外線等の光に反応する特性を有する場合、筒体2、第1の蓋部3、及び第2の蓋部4のそれぞれは、光を透過しない色(例えば黒色)に塗装されていてもよい。
上記実施形態の中空糸脱気モジュール1は、筒体2と第1の蓋部3との気密性を向上するためのシールリング等を有してもよい。加えて、中空糸脱気モジュール1は、筒体2と第2の蓋部4との気密性を向上するためのシールリング等を有してもよい。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
後述する実施例に用いられる中空糸脱気モジュールを作製し、図4に示される性能評価ラインにおいて、中空糸脱気モジュールの脱気性能及び脱泡性能等を確認した。
(性能評価ライン)
図4に示される性能評価ラインとして、上記実施形態の中空糸脱気モジュール1と同様の構成を有する中空糸脱気モジュール40、加圧送液型の原液供給部41、脱気済み液体収容部42、気泡収容部43、及び真空ポンプ44を組み合わせたラインを用いた。具体的には、原液供給部41を、チューブ45を介して中空糸脱気モジュール40の液体供給口に接続させた(図1,2も参照)。同様に、脱気済み液体収容部42を、チューブ46を介して中空糸脱気モジュール40の液体排出口に接続させ、気泡収容部43を、チューブ47を介して中空糸脱気モジュール40の気泡排出口に接続させ、真空ポンプ44を、チューブ48を介して中空糸脱気モジュール40の排気口に接続させた(図1,2も参照)。また、チューブ45,46に差圧計49を取り付けた。
中空糸脱気モジュール40として、DIC株式会社製のSEPAREL EF−002Aをベースとし、気泡排出口を新たに設けたモジュールを作製した。この中空糸脱気モジュール40は、以下のようにして作製した。
まず、上記実施形態と同様の液体排出口及び気泡排出口を備えると共に、内径77mmφ、外径89mmφ、長さ230mmの寸法を有するポリフェニレンエーテル製の筒体を準備した。次に、当該筒体内に、内径100μm、外径190μm、長さ230mmのポリ4−メチルペンテン−1からなる不均質中空糸膜72000本を、バンドル化して装填した。次に、筒体の両端部を硬化性樹脂組成物により封止すると共に、当該硬化性樹脂組成物によって中空糸膜束を筒体内に固定した。具体的には、まず、常温にて、筒体における一方の端部に硬化性樹脂組成物を注入した後、約3時間静置して硬化させた。そして、常温にて、筒体における他方の端部に上記硬化性樹脂組成物を注入した後、同様に約3時間静置して硬化させた。その後、60℃の条件下で15時間静置させ、筒体の両端部に注入した硬化性樹脂組成物をさらに硬化させた。次に、中空糸膜束における両端部のそれぞれにおいて、上記硬化性樹脂組成物の硬化物で密着固定された部分を、糸束長さ方向に直交する方向に沿って切断した。これにより、各中空糸膜を開口した。そして、開口した中空糸膜束を装填した筒体の端部に、対応するポリフェニレンエーテル製の蓋部を取り付けることによって、図2に示される中空糸脱気モジュールと同様の形状を有する外部灌流型の中空糸膜脱気モジュールを製造した。
硬化性樹脂組成物として、主剤及び硬化剤が主成分である組成物を用いた。主剤は、三菱化学株式会社製のビスフェノールエポキシ樹脂(製品名「エピコート828」)であり、硬化剤は、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであった。
原液供給部41にDIC株式会社製の高粘度の液体(製品名:EX−08802、粘度:1600mPa・s)を収容させた。この液体の温度は、23℃〜27℃に設定した。真空ポンプ44として、株式会社アルバック製DTC−41Kを用いた。チューブ45,46,48のそれぞれの内径は5mmとし、チューブ47の内径は、3mmとした。差圧計49は、チューブ45内を流れる液体の圧力と、チューブ46内を流れる脱気済み液体の圧力との差(圧力損失)を測定する装置であり、株式会社バルコム製の圧力センサ(製品名:VHR3)を用いた。
(実施例1)
まず、原液供給部41内の液体を撹拌し、その後空気を供給した。これにより、原液供給部41内の液体に、目視にて確認できる多量の気泡を形成した。次に、流量を30ml/minと設定し、原液供給部41から中空糸脱気モジュール40へ液体を1時間供給した。上記液体の供給中に真空ポンプ44による吸気を行うことによって、チューブ48と、当該チューブ48に連通する筒体内の空間の圧力を約5.3kPa(約40Torr)に設定した。性能評価ラインの駆動後(すなわち、液体の供給開始から1時間後)、脱気済み液体収容部42内に収容された液体に溶存する酸素量を、セントラル科学株式会社製の溶存酸素計(有機溶媒用DOメーター、製品名:US−12−SOL)を用いて測定した。液体供給中において、チューブ45,46内の圧力を測定し、これらの差圧(圧力損失)を算出した。実施例1におけるチューブ45,46の圧力と、差圧とは、下記表1に示した通りである。実施例1の脱気済み液体収容部42内に収容された液体を目視したところ、気泡は含まれていなかった。
(実施例2)
液体の流量を20ml/minと設定した以外は、実施例1と同様にして性能評価ラインを駆動させ、脱気済み液体収容部42内に収容された液体に溶存する酸素量を測定した。液体供給中において、チューブ45,46内の圧力を測定し、これらの差圧を算出した。実施例2におけるチューブ45,46の圧力と、差圧とは、下記表1に示した通りである。実施例2の脱気済み液体収容部42内に収容された液体を目視したところ、実施例1と同様に、気泡は含まれていなかった。
(実施例3)
液体の流量を10ml/minと設定した以外は、実施例1と同様にして性能評価ラインを駆動させ、チューブ45,46内の圧力を測定した。実施例3におけるチューブ45,46の圧力と、差圧とは、下記表1に示した通りである。実施例3の脱気済み液体収容部42内に収容された液体を目視したところ、実施例1,2と同様に、気泡は含まれていなかった。
(実施例4)
液体の流量を5ml/minと設定した以外は、実施例1と同様にして性能評価ラインを駆動させ、チューブ45,46内の圧力を測定した。実施例4におけるチューブ45,46の圧力と、差圧とは、下記表1に示した通りである。実施例2の脱気済み液体収容部42内に収容された液体を目視したところ、実施例1〜3と同様に、気泡は含まれていなかった。
Figure 2018003840
(溶存酸素量)
実施例1において、脱気済み液体収容部42内に収容された液体に溶存していた酸素量は、1.2mg/Lであった。また、実施例2において、脱気済み液体収容部42内に収容された液体に溶存していた酸素量は、1.1mg/Lであった。これらの結果より、脱気済みの液体における溶存酸素量は、中空糸脱気モジュールへの液体の供給量に依存しない傾向にあることが確認された。
(圧力損失)
図5は、上記表1に示される結果をグラフ化した図である。図5において、横軸は中空糸脱気モジュール40に供給される液体の流量を示し、縦軸は圧力を示す。図5において、丸で示されるプロット51〜54は、実施例1〜4のそれぞれにおけるチューブ45内の圧力を示し、三角で示されるプロット55〜58は、実施例1〜4のそれぞれにおけるチューブ46内の圧力を示し、丸で示されるプロット59〜62は、実施例1〜4のそれぞれにおける差圧(圧力損失)を示している。図5に示されるように、実施例1〜4の圧力損失は、中空糸脱気モジュール40に供給される液体の流量に応じて比例的に増加することが確認された。
1…中空糸脱気モジュール、2…筒体、2a…中央部、2b,2c…端部、3…第1の蓋部、4…第2の蓋部、5…液体排出口、6…気泡排出口、7…液体供給口、8…排気口(第1の排気口)、9…排気口(第2の排気口)、11…液体流入部、11a…筒状本体部、11b…開口部、12…中空糸膜、13…中空糸膜束、14…封止部(第1の封止部)、15…封止部(第2の封止部)、E…拡径部、L1…中心軸線、S1…空間(第1の空間)、S2…空間(第2の空間)、S3…空間(第3の空間)。

Claims (10)

  1. 筒体と、
    前記筒体の一方の端部を封止し、液体供給口が設けられる第1の蓋部と、
    前記筒体の他方の端部を封止する第2の蓋部と、
    前記筒体内にて前記液体供給口に連通すると共に前記筒体の軸線方向に延在する筒状本体部、及び前記筒状本体部の外周面に設けられる複数の開口部を有する液体流入部と、
    前記液体流入部の前記外周面を覆うように前記筒体内に収容され、複数の中空糸膜を有する中空糸膜束と、
    前記筒体内の前記液体を排出する液体排出口と、
    前記第1の蓋部及び前記第2の蓋部のいずれか一方に設けられ、前記複数の中空糸膜の内側に繋がる第1の排気口と、
    前記筒体に設けられ、前記液体中の気泡が排出される気泡排出口と、
    を備える中空糸脱気モジュール。
  2. 前記気泡排出口は、前記液体排出口よりも上側に設けられている、請求項1に記載の中空糸脱気モジュール。
  3. 前記気泡排出口は、前記複数の開口部よりも上側に設けられている、請求項1又は2に記載の中空糸脱気モジュール。
  4. 前記第1の蓋部及び前記第2の蓋部の他方に設けられ、前記複数の中空糸膜の内側に繋がる第2の排気口をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の中空糸脱気モジュール。
  5. 前記軸線方向において、前記第1の蓋部側の前記液体流入部及び前記中空糸膜束を固定し、前記筒体内の第1の空間と前記第1の蓋部内の第2の空間とを区画する第1の封止部と、
    前記軸線方向において、前記第2の蓋部側の前記液体流入部及び前記中空糸膜束を固定し、前記第1の空間と前記第2の蓋部内の第3の空間とを区画する第2の封止部と、
    をさらに備え、
    前記複数の開口部、前記液体排出口、及び前記気泡排出口のそれぞれは、前記第1の空間に繋がっており、
    前記第1の排気口は、前記第2の空間及び前記第3の空間のいずれか一方に繋がっている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の中空糸脱気モジュール。
  6. 前記第1の封止部は、前記軸線方向において前記第2の封止部よりも上側に位置しており、
    前記気泡排出口は、前記軸線方向において前記第1の封止部と離間している、請求項5に記載の中空糸脱気モジュール。
  7. 前記第1の蓋部は、前記第2の蓋部よりも上側に位置している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の中空糸脱気モジュール。
  8. 前記液体排出口は、前記筒体に設けられている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の中空糸脱気モジュール。
  9. 前記液体の粘度は、1000mPa・s以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の中空糸脱気モジュール。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の中空糸脱気モジュールを用いて液体を脱気する方法であって、前記中空糸脱気モジュールの前記気泡排出口から液体中の気泡を排出しながら脱気する方法。
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