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JPWO2017149890A1 - 保護膜形成用複合シート - Google Patents

保護膜形成用複合シート Download PDF

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Abstract

この保護膜形成用複合シートは、支持シートを備え、支持シートの一方の表面上に保護膜形成用フィルムを備え、前記支持シートの前記保護膜形成用フィルムを備えている側とは反対側の表面上にコーティング層を備えてなり、前記コーティング層の前記支持シートと接触している側とは反対側の表面の表面粗さRaが、前記支持シートの前記コーティング層を備えている側の表面の表面粗さRaよりも小さくなっている。

Description

本発明は、半導体チップの裏面に保護膜を形成するための保護膜形成用複合シートに関する。
本願は、2016年3月4日に、日本に出願された特願2016−042689号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、いわゆるフェースダウン(face down)方式と呼ばれる実装法を用いた半導体装置の製造が行われている。フェースダウン方式においては、回路面上にバンプ等の電極を有する半導体チップが用いられ、前記電極が基板と接合される。このため、チップの回路面とは反対側の裏面は剥き出しとなることがある。
この剥き出しとなったチップの裏面には、有機材料からなる樹脂膜が保護膜として形成され、保護膜付き半導体チップとして半導体装置に取り込まれることがある。保護膜は、ダイシング工程やパッケージングの後に、チップにおいてクラックが発生するのを防止するために利用される。
このような保護膜の形成には、支持シート上に保護膜形成用フィルムを備えてなる保護膜形成用複合シートが用いられる。前記支持シートとしては、例えば、樹脂製の基材や、基材及び粘着剤層等の積層構造体が用いられ、前記基材の保護膜形成用フィルム又は粘着剤層等の積層面が表面処理されることもある。前記保護膜形成用複合シートは、保護膜形成用フィルムが保護膜形成能を有しているのに加え、支持シートがダイシングシートとして機能可能であり、保護膜形成用フィルムとダイシングシートとが一体化されたものとすることができる。
支持シートに用いられる加工前の前記基材において、通常、その片面又は両面は凹凸形状を有している。これは、このような凹凸形状を有していないと、基材を巻き取ってロールとしたときに、基材同士の接触面が貼り付いてブロッキングしてしまい、使用が困難になるためである。基材同士の接触面のうち、少なくとも一方が凹凸形状を有していれば、接触面の面積が小さくなるために、ブロッキングが抑制される。
このような凹凸面を有する基材を用いた従来の保護膜形成用複合シートは、典型的には、図4に示すような構成を有する。図4は、従来の保護膜形成用複合シートの一例を模式的に示す断面図である。なお、以降の説明で用いる図面においては、例えば、保護膜形成用複合シートの特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
ここに示す従来の保護膜形成用複合シート9は、支持シート90上に保護膜形成用フィルム13を備えてなり、支持シート90は基材91及び粘着剤層12の積層構造体からなり、粘着剤層12上に保護膜形成用フィルム13を備えている。保護膜形成用フィルム13は硬化によって保護膜となる。保護膜形成用複合シート9は、さらに保護膜形成用フィルム13上に剥離フィルム15を備えており、剥離フィルム15は、保護膜形成用複合シート9の使用時に取り除かれる。保護膜形成用複合シート9において、支持シート90の保護膜形成用フィルム13を備えている面(表面)90aとは反対側の面(裏面)90b、すなわち、基材91の粘着剤層12を備えている面(表面)91aとは反対側の面(裏面)91bは、凹凸面となっている。保護膜形成用複合シート9は、このように、基材91の裏面91bが凹凸面となっていることにより、巻き取ってロールとしたときに、ブロッキングが抑制される。すなわち、積層された保護膜形成用複合シート9同士の貼り付き、より具体的には、基材91の裏面91bと剥離フィルム15の露出面(表面)15aとの貼り付きが抑制される。
一方で、保護膜形成用複合シートは、保護膜形成用フィルムから形成された保護膜の支持シート側の面に、レーザー光の照射によって印字(以下、「レーザー印字」と称することがある)が行われることがある。レーザー印字は、支持シートの保護膜が形成されている側とは反対側から照射される。このとき、例えば、保護膜形成用複合シート9の場合には、基材91の裏面91b側から支持シート90を通して、保護膜にレーザー光を照射することになるが、基材91の裏面91bが凹凸面であるため、ここで光が乱反射してしまい、レーザー印字が不鮮明になるという問題点があった。
このような光の乱反射を防止できる保護膜形成用複合シートとしては、図5に示すような構成を有する保護膜形成用複合シート8が知られている(例えば、特許文献1参照)。図5は、従来の保護膜形成用複合シートの他の例を模式的に示す断面図である。
ここに示す従来の保護膜形成用複合シート8は、保護膜形成用複合シート9と同様に、支持シート80上に保護膜形成用フィルム13を備えてなり、支持シート80は基材81及び粘着剤層12の積層構造体からなり、粘着剤層12上に保護膜形成用フィルム13を備えている。ただし、支持シート80において、基材81の凹凸面の配置は、支持シート90における基材91とは反対となっている。すなわち、保護膜形成用複合シート8において、基材81の粘着剤層12を備えている面(表面)81aが凹凸面となっており、基材81の表面81aとは反対側の面(裏面)81bが平滑面となっている。支持シート80における基材81、保護膜形成用フィルム13及び剥離フィルム15は、それぞれ支持シート90における基材91、保護膜形成用フィルム13及び剥離フィルム15と同様のものである。
しかし、保護膜形成用複合シート8の場合には、基材81の裏面81b、すなわち、支持シート80の粘着剤層12を備えている面(表面)80aとは反対側の面(裏面)80bが平滑面となっており、保護膜形成用複合シート8を巻き取ってロールとしたときに、基材81の裏面81bと剥離フィルム15の露出面(表面)15aとの貼り付き、すなわちブロッキングを抑制できない。ブロッキングが生じると、保護膜形成用複合シート8にシワが生じたり、保護膜形成用複合シート8をロールから繰り出すときに、剥離フィルム15が保護膜形成用フィルム13から剥離してしまう。さらに、基材81の表面81a上においては、凹凸の形状を解消するように、粘着剤層12は十分な厚さを有することが必要となる。これが不十分であると、基材81の凹凸形状を反映して、保護膜形成用フィルム13の支持シート80側の面(裏面)13bが凹凸形状を有するようになり、このような保護膜形成用フィルム13から形成された保護膜の支持シート側の面に施されたレーザー印字が不鮮明になってしまうという問題点があった。
このように、従来は、ブロッキングの抑制と、保護膜への鮮明なレーザー印字と、を両立できる保護膜形成用複合シートが無いのが実情であった。
特許第5432853号公報
本発明は、半導体チップの裏面に保護膜を形成するために用いる保護膜形成用複合シートであって、ブロッキングを抑制でき、かつ保護膜に鮮明にレーザー印字できる保護膜形成用複合シートを提供することを課題とする。
本発明は、支持シートを備え、前記支持シートの一方の表面上に保護膜形成用フィルムを備え、前記支持シートの前記保護膜形成用フィルムを備えている側とは反対側の表面上にコーティング層を備えてなり、前記コーティング層の前記支持シートと接触している側とは反対側の表面は、前記支持シートの前記コーティング層を備えている側の表面よりも表面粗さRaが小さい、保護膜形成用複合シートを提供する。
本発明の保護膜形成用複合シートにおいては、さらに前記保護膜形成用フィルム上に剥離フィルムを備えた前記保護膜形成用複合シートを用いて、下記方法で測定した前記剥離フィルムの剥離力が10mN/50mm以下であってもよい。
(剥離フィルムの剥離力の測定方法)
保護膜形成用フィルム上に剥離フィルムを備えた、幅50mm、長さ100mmの前記保護膜形成用複合シートを、前記コーティング層がすべて同じ方向を向くように、かつ前記コーティング層の合計の厚さが10〜60μmとなるように複数枚重ねることで、一方の最外層がコーティング層で、他方の最外層が剥離フィルムである積層体とし、前記積層体を、前記保護膜形成用複合シートの積層方向において980.665mNの力を加えたまま40℃で3日間静置した後、前記積層方向において前記最外層のコーティング層に最も近い剥離フィルムを剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、隣接するコーティング層から剥離させたときの剥離力を測定する。
本発明の保護膜形成用複合シートにおいては、前記支持シートが、基材及び粘着剤層が積層されてなり、前記保護膜形成用複合シートが、前記コーティング層、基材、粘着剤層及び保護膜形成用フィルムがこの順に積層されてなるものであってもよい。
本発明の保護膜形成用複合シートにおいては、前記粘着剤層が、エネルギー線硬化性又は非エネルギー線硬化性のものであってもよい。
本発明の保護膜形成用複合シートにおいては、前記保護膜形成用フィルムが、熱硬化性又はエネルギー線硬化性のものであってもよい。
本発明の保護膜形成用複合シートは、半導体チップの裏面に保護膜を形成するためのものであって、この保護膜形成用複合シートを用いることで、保護膜形成用複合シートのブロッキングを抑制でき、かつ保護膜に鮮明にレーザー印字できる。
本発明に係る保護膜形成用複合シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明に係る保護膜形成用複合シートの他の実施形態を模式的に示す断面図である。 実施例で製造した保護膜形成用複合シートを示す平面図である。 従来の保護膜形成用複合シートの一例を模式的に示す断面図である。 従来の保護膜形成用複合シートの他の例を模式的に示す断面図である。
◎保護膜形成用複合シート
本発明に係る保護膜形成用複合シートは、支持シートを備え、前記支持シートの一方の表面上に保護膜形成用フィルムを備え、前記支持シートの前記保護膜形成用フィルムを備えている側とは反対側の表面上にコーティング層を備えてなり、前記コーティング層の前記支持シートと接触している側とは反対側の表面は、前記支持シートの前記コーティング層を備えている側の表面よりも表面粗さRaが小さいものである。
前記保護膜形成用複合シートにおいては、前記コーティング層の前記支持シートと接触している側とは反対側の表面の表面粗さRaが、前記支持シートの前記コーティング層を備えている側の表面の表面粗さRaよりも小さくなっている。すなわち、コーティング層の支持シートと接触している側とは反対側の表面は平滑面であるか、又は凹凸の度合いが抑制された面となっている。したがって、レーザー光を照射したときに、コーティング層の表面粗さRaが小さい前記表面でのレーザー光の乱反射が抑制される。そのために、保護膜形成用フィルムを硬化させた後の保護膜に対して、コーティング層側から支持シートを通してレーザー光を照射したときに、保護膜に鮮明にレーザー印字を行うことができる。
また、前記保護膜形成用複合シート中のコーティング層は、コーティング層との接触物に対して適度に滑り易く、かつ帯電防止性を有している。したがって、保護膜形成用複合シートを巻き取ってロールとしたときに、積層された保護膜形成用複合シート同士の貼り付き、すなわちブロッキングが抑制される。
なお、本明細書においては、前記保護膜形成用複合シートにおいて、保護膜形成用フィルムを加熱又はエネルギー線の照射によって硬化させて保護膜としたものも、前記支持シート及び保護膜の積層構造が維持されている限り、「保護膜形成用複合シート」と称する。また、前記保護膜形成用複合シートにおいて、前記支持シートが基材及び粘着剤層の積層構造体である場合、粘着剤層を硬化させたものも、前記基材、粘着剤層の硬化物、及び保護膜形成用フィルム又は保護膜の積層構造が維持されている限り、「保護膜形成用複合シート」と称する。
図1は、本発明に係る保護膜形成用複合シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示す保護膜形成用複合シート1は、支持シート10を備え、支持シート10の一方の表面10a上に保護膜形成用フィルム13を備え、支持シート10の他方の表面(裏面)10b上にコーティング層14を備えてなる。さらに、支持シート10は、基材11及び粘着剤層12が積層されてなり、基材11の一方の表面11a上に粘着剤層12を備え、基材11の他方の表面(裏面)11b上にコーティング層14を備えており、粘着剤層12上に保護膜形成用フィルム13を備える。また、保護膜形成用複合シート1は、さらに保護膜形成用フィルム13上に剥離フィルム15を備えており、剥離フィルム15は保護膜形成用複合シート1の使用時に取り除かれる。保護膜形成用フィルム13は硬化によって保護膜となる。
保護膜形成用複合シート1において、粘着剤層12は基材11の前記表面11a上に積層され、保護膜形成用フィルム13は粘着剤層12の表面12aの一部に積層されている。そして、粘着剤層12の表面12aのうち、保護膜形成用フィルム13が積層されていない露出面と、保護膜形成用フィルム13の表面13a(換言すると上面及び側面)の上に、剥離フィルム15が積層されている。
なお、剥離フィルム15と、粘着剤層12の表面12a又は保護膜形成用フィルム13の表面13aと、の間には、空隙部が存在していてもよい。例えば、保護膜形成用フィルム13の側面や、粘着剤層12の表面12aのうち、保護膜形成用フィルム13の近傍領域は、前記空隙部が生じ易い。
保護膜形成用複合シート1において、支持シート10の保護膜形成用フィルム13を備えている面(表面)10aとは反対側の面(裏面)10b、換言すると、基材11の粘着剤層12を備えている面(表面)11aとは反対側の面(裏面)11bは、凹凸面となっている。そして、コーティング層14は、この凹凸面を被覆して設けられている。コーティング層14の支持シート10(基材11)と接触している面(表面)14aとは反対側の面(裏面)14bは、支持シート10の前記裏面10b(換言すると基材11の前記裏面11b)よりも、表面粗さRaが小さくなっている。保護膜形成用フィルム13から形成された保護膜(図示略)にレーザー印字を行う場合には、保護膜の支持シート10側の面に、コーティング層14側からレーザー光を照射する。このとき、上述のように、コーティング層14の前記裏面14bの表面粗さRaが小さくなっていることにより、コーティング層14でのレーザー光の乱反射が抑制される。したがって、保護膜に対して鮮明にレーザー印字を行うことができる。
なお、本明細書において、「表面粗さRa」とは、特に断りのない限り、JIS B0601:2001で規定される、いわゆる算術平均粗さを意味する。
また、保護膜形成用複合シート1は、コーティング層14を備えていることにより、巻き取ってロールとした場合であっても、積層された保護膜形成用複合シート1同士の貼り付き、すなわちブロッキングが抑制される。より具体的には、基材11の前記裏面11bと剥離フィルム15の露出面(表面)15aとの貼り付きが抑制される。
保護膜形成用複合シート1において、基材11の表面11aは、ここでは平滑面となっているが、平滑度が低い凹凸面であってもよい。ただし、後述するように、基材11と粘着剤層12との間における空隙部の発生を抑制し、保護膜形成用複合シート1を好ましい特性のものとすることがより容易である点から、基材11の表面11aは平滑面であることが好ましい。
図1に示す保護膜形成用複合シート1においては、その使用時に、剥離フィルム15が取り除かれ、保護膜形成用フィルム13の表面13aに、半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付される。さらに、粘着剤層12の表面12aのうち、保護膜形成用フィルム13が積層されていない露出面が、リングフレーム等の治具に貼付される。
図2は、本発明に係る保護膜形成用複合シートの他の実施形態を模式的に示す断面図である。なお、図2において、図1に示すものと同じ構成要素には、図1の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。これは図2以降の図においても同様である。
ここに示す保護膜形成用複合シート2においては、粘着剤層12の表面12aの全面に保護膜形成用フィルム23が積層され、保護膜形成用フィルム23の表面23aの一部に治具用接着剤層16が積層されている。さらに、保護膜形成用複合シート2においては、保護膜形成用フィルム23の表面23aのうち、治具用接着剤層16が積層されていない露出面と、治具用接着剤層16の表面16a(換言すると上面及び側面)の上に、剥離フィルム15が積層されている。これらの点を除き、保護膜形成用複合シート2は、図1に示す保護膜形成用複合シート1と同じである。
なお、剥離フィルム15と、保護膜形成用フィルム23の表面23a又は治具用接着剤層16の表面16aと、の間には、空隙部が存在していてもよい。例えば、治具用接着剤層16の側面や、保護膜形成用フィルム23の表面23aのうち、治具用接着剤層16の近傍領域は、前記空隙部が生じ易い。
保護膜形成用複合シート2においても、保護膜形成用複合シート1の場合と同様に、支持シート10の前記裏面10b(基材11の前記裏面11b)は、凹凸面となっているが、コーティング層14がこの凹凸面を被覆して設けられている。そのため、コーティング層14の前記裏面14bは、支持シート10の前記裏面10bよりも、表面粗さRaが小さくなっている。したがって、保護膜形成用フィルム23から形成された保護膜に対して、鮮明にレーザー印字を行うことができる。
また、保護膜形成用複合シート2は、コーティング層14を備えていることにより、巻き取ってロールとした場合であっても、積層された保護膜形成用複合シート2同士の貼り付き、すなわちブロッキングが抑制される。
図2に示す保護膜形成用複合シート2においては、その使用時に、剥離フィルム15が取り除かれ、保護膜形成用フィルム23の表面23aに半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付される。さらに、治具用接着剤層16の表面16aのうち上面が、リングフレーム等の治具に貼付される。
本発明に係る保護膜形成用複合シートは、図1〜2に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1〜2に示すものの一部の構成が変更又は削除されたものや、これまでに説明したものにさらに他の構成が追加されたものであってもよい。
以下、本発明に係る保護膜形成用複合シートの各構成について、さらに詳細に説明する。
○支持シート
前記支持シートは、前記保護膜形成用フィルムを設けることが可能であれば、特に限定されない。支持シートとしては、例えば、保護膜形成用フィルムの表面にホコリ等の付着を防止するために用いる剥離シート、及びダイシング工程等で保護膜形成用フィルムの表面を保護するために用い、ダイシングシート等の役割を果たすものが挙げられる。
前記支持シートで好ましいものとしては、半導体ウエハの加工用シートの分野で通常用いられる基材のみからなるもの、並びに基材及び粘着剤層が積層されてなるもの等が挙げられる。
支持シートは、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。支持シートが複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、各層の材質及び厚さの少なくとも一方が互いに異なることを意味する。
支持シートの厚さは、目的に応じて適宜選択すればよいが、保護膜に対してより鮮明にレーザー印字を行うことができ、さらに、前記保護膜形成用複合シートに十分な可撓性を付与でき、半導体ウエハに対する貼付性が良好となる点から、好ましくは10〜500μm、より好ましくは20〜350μm、特に好ましくは30〜200μmであり、例えば、40〜175μm及び50〜150μmのいずれかであってもよい。
ここで、「支持シートの厚さ」とは、支持シートを構成する各層の合計の厚さを意味し、例えば、基材及び粘着剤層が積層されてなる支持シートの場合には、基材の厚さ及び粘着剤層の厚さの合計値を意味する。
なお、支持シートは、少なくとも一方の面が凹凸面となり得るが、支持シートの厚さは、支持シートのこの凹凸面における凸部を含む部位では、この凸部の先端を一方の起点として算出することができる。
・基材
前記基材の材質は、各種樹脂であることが好ましい。
前記樹脂の具体的な例としては、ポリエチレン(低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE等))、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリウレタンアクリレート、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂、及びこれらのいずれかの樹脂の水添加物、変性物、架橋物又は共重合物等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。
支持シートが、基材と、粘着剤層等のその他のものと、が積層されてなるものである場合、基材の厚さは、目的に応じて適宜選択できるが、15〜300μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましく、例えば、30〜175μm、40〜150μm及び50〜125μmのいずれかであってもよい。基材の厚さがこのような範囲であることで、前記保護膜形成用複合シートの可撓性と、半導体ウエハ又は半導体チップへの貼付性がより向上する。
基材は1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。基材が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、上述の支持シートの場合と同様のことを意味する。
基材が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材の厚さとなるようにするとよい。
基材の粘着剤層を備えている面(表面)の表面粗さRaは、0.001〜0.1μmであることが好ましく、0.005〜0.08μmであることがより好ましく、0.01〜0.04μmであることが特に好ましい。基材表面の前記表面粗さRaが前記上限値以下であることで、保護膜に対してより鮮明にレーザー印字を行うことができる。
基材表面の前記表面粗さRaは、例えば、基材の成形条件や、基材の表面処理条件等により、調節できる。
なお、半導体ウエハをダイシングによって半導体チップへと個片化する方法としては、例えば、ブレードを用いて半導体ウエハを切り込むブレードダイシング、レーザー照射により半導体ウエハを切り込むレーザーダイシング、又は研磨剤を含む水の吹き付けにより半導体ウエハを切り込むウオーターダイシング等を利用する方法が挙げられる。
一方、半導体ウエハを半導体チップへと個片化する方法としては、これらダイシングを利用する方法以外にも、半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束されるように、赤外域のレーザー光を照射して、半導体ウエハの内部に改質層を形成した後、この半導体ウエハに対して力を加えることで、前記改質層の形成部位において半導体ウエハを分割し、個片化する方法も挙げられる。
基材表面の前記表面粗さRaが、例えば、0.01〜0.2μmである場合、このような基材を備えた保護膜形成用複合シートは、上述の半導体ウエハの内部に改質層を形成して半導体ウエハを個片化する際に用いるものとして好適である。
一方、基材の粘着剤層を備えている面(表面)とは反対側の面(裏面)の表面粗さRa、換言すると、支持シートの保護膜形成用フィルムを備えている面(表面)とは反対側の面(裏面)の表面粗さRaは、0.001〜4μmであることが好ましく、0.005〜3.7μmであることがより好ましく、0.01〜3.4μmであることがさらに好ましく、0.02〜3.1μmであることが特に好ましい。基材裏面の前記表面粗さRaが前記上限値以下であることで、コーティング層の支持シートと接触している側とは反対側の表面における表面粗さRaをより容易に小さくでき、保護膜に対して鮮明にレーザー印字を行うことがより容易となる。
基材裏面の前記表面粗さRaは、例えば、基材の成形条件や、基材の表面処理条件等により、調節できる。
基材の材質である樹脂は、架橋されたものであってもよい。
また、樹脂を構成材料とする基材は、熱可塑性樹脂の押出形成によりシート化されたものであってもよいし、延伸されたものであってもよく、硬化性樹脂の公知の手段による薄層化及び硬化によって、シート化されたものであってもよい。
また、基材は、着色されたものであってもよいし、印刷が施されたものであってもよい。
基材は、耐熱性に優れ、かつ適度な柔軟性を有することでエキスパンド適性を有し、ピックアップ適性も良好となる点から、ポリプロピレンを含有するものが好ましい。
ポリプロピレンを含有する基材は、例えば、ポリプロピレンのみからなる単層又は複数層の基材であってもよいし、ポリプロピレン層とポリプロピレン以外の樹脂層とが積層されてなる複数層(2層以上)の基材であってもよい。
保護膜形成用フィルムが熱硬化性である場合には、基材が耐熱性を有することで、基材の熱による劣化が抑制され、半導体装置の製造プロセスにおける不具合の発生を効果的に抑制できる。
基材は、その上に設けられる粘着剤層又は保護膜形成用フィルムとの接着性を向上させるために、サンドブラスト処理、溶剤処理等による凹凸化処理;コロナ放電処理、電子線照射処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理等の酸化処理等が表面に施されたものであってもよい。また、基材は、表面がプライマー処理されたものであってもよい。
・粘着剤層
前記粘着剤層は、公知のものを適宜使用できる。
粘着剤層は、これを構成するための、粘着剤等の各種成分を含有する粘着剤組成物を用いて形成できる。粘着剤組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、粘着剤層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
粘着剤層の厚さは、目的に応じて適宜選択できるが、1〜100μmであることが好ましく、2〜80μmであることがより好ましく、3〜50μmであることが特に好ましく、例えば、3〜35μm、3〜20μm及び3〜10μmのいずれかであってもよい。
粘着剤層は、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。粘着剤層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、上述の支持シートの場合と同様のことを意味する。
粘着剤層が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい粘着剤層の厚さとなるようにするとよい。
前記粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂等の粘着性樹脂が挙げられる。また、前記粘着剤としては、その機能の観点で分類した場合には、例えば、エネルギー線硬化性樹脂等が挙げられる。
なお、本明細書において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
また、本明細書において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
前記エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性基を有するものが挙げられる。
前記粘着性樹脂は、アクリル系樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含む、(メタ)アクリル酸エステル共重合体であることがより好ましい。
前記粘着剤層は、エネルギー線硬化性樹脂等の、エネルギー線の照射により重合する成分を含有している場合には、エネルギー線硬化性のものとなり、エネルギー線を照射してその粘着性を低下させることで、後述する保護膜付き半導体チップのピックアップが容易となる。このような粘着剤層は、例えば、エネルギー線の照射により重合する成分を含有する各種の粘着剤組成物を用いて形成できる。
<<粘着剤組成物>>
前記粘着剤組成物で好ましいものとしては、エネルギー線の照射により重合する成分を含有するものが挙げられる。このような粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系樹脂とエネルギー線重合性化合物とを含有するもの(以下、「粘着剤組成物(i)」と略記することがある。)、水酸基を有し、かつ重合性基を側鎖に有する前記アクリル系樹脂と、イソシアネート系架橋剤と、を含有するもの(以下、「粘着剤組成物(ii)」と略記することがある。)等が挙げられる。上述の、水酸基を有し、かつ重合性基を側鎖に有するアクリル系樹脂としては、例えば、水酸基を有し、かつウレタン結合を介して重合性基を側鎖に有するアクリル系樹脂等が挙げられる。
<粘着剤組成物(i)>
粘着剤組成物(i)は、前記アクリル系樹脂とエネルギー線重合性化合物とを必須成分として含有する。
以下、各成分について説明する。
[アクリル系樹脂]
粘着剤組成物(i)における前記アクリル系樹脂で好ましいものとしては、例えば、モノマーとして(メタ)アクリル酸エステルと、必要に応じて用いられる、(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーと、を重合して得られた、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル基、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル((メタ)アクリル酸イソステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イミド;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
アクリル系樹脂を構成する前記(メタ)アクリル酸エステル、前記(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマー等の各種モノマーは、いずれも1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(i)が含有するアクリル系樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(i)のアクリル系樹脂の含有量は、粘着剤組成物(i)中の溶媒以外の全ての含有成分の総量に対して40〜99質量%であることが好ましく、50〜91量%であることがより好ましい。
[エネルギー線重合性化合物]
前記エネルギー線重合性化合物は、エネルギー線の照射により重合して硬化する化合物であり、その例としては、分子内にエネルギー線硬化性二重結合等のエネルギー線重合性基を有するものが挙げられる。
前記エネルギー線重合性化合物としては、例えば、エネルギー線重合性基を有する低分子量化合物(単官能又は多官能のモノマー及びオリゴマー)が挙げられる。
前記エネルギー線重合性化合物として、より具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等のアクリレート;
ジシクロペンタジエンジメトキシジアクリレート等の環状脂肪族骨格含有アクリレート;
ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレート、イタコン酸オリゴマー等のアクリレート系化合物等が挙げられる。
前記エネルギー線重合性化合物の分子量は、100〜30000であることが好ましく、300〜10000であることがより好ましい。
粘着剤組成物(i)が含有するエネルギー線重合性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(i)のエネルギー線重合性化合物の含有量は、前記アクリル系樹脂の含有量100質量部に対して、1〜125質量部であることが好ましく、10〜125質量部であることがより好ましい。
[光重合開始剤]
粘着剤組成物(i)は、前記アクリル系樹脂及びエネルギー線重合性化合物以外に、光重合開始剤を含有していてもよい。
前記光重合開始剤は、公知のものでよい。
前記光重合開始剤として、具体的には、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のα−ケトール系化合物;
メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;
ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;
ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;
2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;
1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;
カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。
粘着剤組成物(i)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
光重合開始剤を用いる場合、粘着剤組成物(i)の光重合開始剤の含有量は、前記エネルギー線重合性化合物の含有量100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。光重合開始剤の前記含有量が前記下限値以上であることで、光重合開始剤を用いたことによる効果が十分に得られる。また、光重合開始剤の前記含有量が前記上限値以下であることで、過剰な光重合開始剤からの副生成分の発生が抑制されて、粘着剤層の硬化がより良好に進行する。
[架橋剤]
粘着剤組成物(i)は、前記アクリル系樹脂及びエネルギー線重合性化合物以外に、架橋剤を含有していてもよい。
前記架橋剤としては、例えば、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物等が挙げられる。
前記有機多価イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物並びにこれら化合物の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体;前記芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物又は脂環族多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。前記アダクト体は、前記芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物又は脂環族多価イソシアネート化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物を意味する。
前記有機多価イソシアネート化合物として、より具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート;2,6−トリレンジイソシアネート;1,3−キシリレンジイソシアネート;1,4−キシレンジイソシアネート;ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート;3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート;トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて若しくは一部の水酸基に、トリレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートのいずれか一方又は両方を付加した化合物;リジンジイソシアネート等が挙げられる。
前記有機多価イミン化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
架橋剤としてイソシアネート化合物を用いる場合、アクリル系樹脂としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤がイソシアネート基を有し、アクリル系樹脂が水酸基を有する場合、これらイソシアネート基と水酸基との反応によって、粘着剤層に架橋構造を簡便に導入できる。
粘着剤組成物(i)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
架橋剤を用いる場合、粘着剤組成物(i)の架橋剤の含有量は、前記アクリル系樹脂の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜16質量部であることがより好ましい。
[溶媒]
粘着剤組成物(i)は、前記アクリル系樹脂及びエネルギー線重合性化合物以外に、さらに溶媒を含有することが好ましい。
前記溶媒は特に限定されない。
好ましい前記溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
粘着剤組成物(i)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(i)が溶媒を含有する場合、粘着剤組成物(i)の溶媒の含有量は、40〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。
[その他の成分]
粘着剤組成物(i)は、前記アクリル系樹脂及びエネルギー線重合性化合物以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、前記光重合開始剤、架橋剤及び溶媒に該当しないその他の成分を含有していてもよい。
前記その他の成分は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。好ましい前記その他の成分としては、例えば、染料、顔料、劣化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、シリコーン化合物、連鎖移動剤等の各種添加剤が挙げられる。
粘着剤組成物(i)が含有する前記その他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
<粘着剤組成物(ii)>
粘着剤組成物(ii)は、水酸基を有し、かつ重合性基を側鎖に有するアクリル系樹脂と、イソシアネート系架橋剤と、を必須成分として含有する。ここで、前記アクリル系樹脂としては、例えば、水酸基を有し、かつウレタン結合を介して重合性基を側鎖に有するアクリル系樹脂等が挙げられる。
粘着剤組成物(ii)を用いた場合には、アクリル系樹脂が重合性基を側鎖に有することにより、粘着剤組成物(i)の場合のように、エネルギー線重合性化合物を用いて、エネルギー線の照射により重合反応させた場合よりも、重合反応(硬化)後の粘着剤層の粘着性低下による被着体からの剥離性が向上し、保護膜付き半導体チップのピックアップ性が向上する。
なお、本明細書においては、粘着剤組成物(ii)における「アクリル系樹脂」との記載は、特に断りのない限り、「重合性基を側鎖に有するアクリル系樹脂」を意味するものとする。
[アクリル系樹脂]
上述の重合性基を側鎖に有するアクリル系樹脂としては、例えば、モノマーとして、水酸基を有しない(メタ)アクリル酸エステル(本明細書においては「水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステル」と称することがある)と、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル(本明細書においては「水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル」と称することがある)等の水酸基含有化合物と、を共重合させ、得られた水酸基含有共重合体の水酸基に、イソシアネート基及び重合性基を有する化合物のイソシアネート基を反応させて、ウレタン結合を形成して得られたものが挙げられる。
前記水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、粘着剤組成物(i)における(メタ)アクリル酸エステルのうち、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル以外のものが挙げられる。
また、前記水酸基含有化合物としては、粘着剤組成物(i)における水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと同じものが挙げられる。
前記アクリル系樹脂を構成する、水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステル及び水酸基含有化合物は、それぞれ1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
前記イソシアネート基及び重合性基を有する化合物としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
前記アクリル系樹脂を構成する、前記イソシアネート基及び重合性基を有する化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(ii)が含有するアクリル系樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(ii)のアクリル系樹脂の含有量は、粘着剤組成物(ii)中の溶媒以外の全ての含有成分の総量に対して80〜99質量%であることが好ましく、90〜97質量%であることがより好ましい。
[イソシアネート系架橋剤]
前記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、粘着剤組成物(i)における架橋剤である前記有機多価イソシアネート化合物と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(ii)が含有するイソシアネート系架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(ii)中のイソシアネート系架橋剤が有するイソシアネート基のモル数は、粘着剤組成物(ii)中のアクリル系樹脂が有する水酸基のモル数に対して0.2〜3倍であることが好ましい。イソシアネート基の前記モル数が前記下限値以上であることで、硬化後の粘着剤層の粘着性低下による被着体からの剥離性が向上し、保護膜付き半導体チップのピックアップ性が向上する。また、イソシアネート基の前記モル数が前記上限値以下であることで、イソシアネート系架橋剤同士の反応による副生成物の発生をより抑制できる。
粘着剤組成物(ii)のイソシアネート系架橋剤の含有量は、イソシアネート基のモル数が上述のような範囲となるように適宜調節することが好ましい。
さらに、粘着剤組成物(ii)のイソシアネート系架橋剤の含有量は、このようなイソシアネート基のモル数の条件を満たしたうえで、アクリル系樹脂の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜15質量部であることがより好ましく、0.3〜12質量部であることが特に好ましい。
[光重合開始剤]
粘着剤組成物(ii)は、前記アクリル系樹脂及びイソシアネート系架橋剤以外に、光重合開始剤を含有していてもよい。
前記光重合開始剤としては、例えば、粘着剤組成物(i)の場合と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(ii)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
光重合開始剤を用いる場合、粘着剤組成物(ii)の光重合開始剤の含有量は、アクリル系樹脂の含有量100質量部に対して、0.05〜20質量部であることが好ましい。光重合開始剤の前記含有量が前記下限値以上であることで、光重合開始剤を用いたことによる効果が十分に得られる。また、光重合開始剤の前記含有量が前記上限値以下であることで、過剰な光重合開始剤からの副生成分の発生が抑制されて、粘着剤層の硬化がより良好に進行する。
[溶媒]
粘着剤組成物(ii)は、前記アクリル系樹脂及びイソシアネート系架橋剤以外に、さらに溶媒を含有することが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、粘着剤組成物(i)の場合と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(ii)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
粘着剤組成物(ii)が溶媒を含有する場合、粘着剤組成物(ii)の溶媒の含有量は、40〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。
[その他の成分]
粘着剤組成物(ii)は、前記アクリル系樹脂及びイソシアネート系架橋剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、前記光重合開始剤及び溶媒に該当しないその他の成分を含有していてもよい。
前記その他の成分としては、例えば、粘着剤組成物(i)の場合と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(ii)が含有する前記その他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
ここまでは、エネルギー線の照射により重合する成分を含有する粘着剤組成物について説明したが、粘着剤層の形成には、エネルギー線の照射により重合する成分を含有しない粘着剤組成物を用いてもよい。すなわち、粘着剤層はエネルギー線硬化性を有しない、非エネルギー線硬化性のものでもよい。
このような非エネルギー線硬化性粘着剤組成物で好ましいものとしては、例えば、アクリル系樹脂及び架橋剤を含有するもの(以下、「粘着剤組成物(iii)」と略記することがある。)等が挙げられる。粘着剤組成物(iii)は、溶媒、溶媒に該当しないその他の成分等の任意成分を含有していてもよい。
<粘着剤組成物(iii)>
粘着剤組成物(iii)が含有する前記アクリル系樹脂、架橋剤、溶媒及びその他の成分は、それぞれ粘着剤組成物(i)におけるアクリル系樹脂、架橋剤、溶媒及びその他の成分と同様のものである。
粘着剤組成物(iii)のアクリル系樹脂の含有量は、粘着剤組成物(iii)中の溶媒以外の全ての含有成分の総量に対して40〜99質量%であることが好ましく、50〜93質量%であることがより好ましい。
粘着剤組成物(iii)の架橋剤の含有量は、アクリル系樹脂の含有量100質量部に対して、3〜30質量部であることが好ましく、5〜25質量部であることがより好ましい。
粘着剤組成物(iii)は、上述の点以外は、粘着剤組成物(i)と同様のものである。
<<粘着剤組成物の製造方法>>
粘着剤組成物(i)〜(iii)等の前記粘着剤組成物は、前記粘着剤と、必要に応じて前記粘着剤以外の成分等の、各粘着剤組成物を構成するための成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
○保護膜形成用フィルム
前記保護膜形成用フィルムは、熱硬化性及びエネルギー線硬化性のいずれでもあってもよい。保護膜形成用フィルムは、硬化を経て最終的には耐衝撃性が高い保護膜となる。この保護膜は、例えば、ダイシング工程以降の半導体チップにおける、クラックの発生を防止する。
保護膜形成用フィルムは、後述する熱硬化性保護膜形成用組成物又はエネルギー線硬化性保護膜形成用組成物(以下、これらを包括して「保護膜形成用組成物」と称することがある)を用いて形成できる。
保護膜形成用フィルムは1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
保護膜形成用フィルムの厚さは、特に限定されないが、1〜100μmであることが好ましく、5〜75μmであることがより好ましく、5〜50μmであることが特に好ましい。保護膜形成用フィルムの厚さが前記下限値以上であることで、被着体である半導体ウエハ及び半導体チップに対する接着力が、より大きくなる。また、保護膜形成用フィルムの厚さが前記上限値以下であることにより、半導体チップのピックアップ時に、せん断力を利用して、硬化物である保護膜をより容易に切断できる。
・熱硬化性保護膜形成用フィルム
好ましい熱硬化性保護膜形成用フィルムとしては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するものが挙げられる。重合体成分(A)は、重合性化合物が重合反応して形成されたとみなせる成分である。また、熱硬化性成分(B)は、熱を反応のトリガーとして、硬化(重合)反応し得る成分である。なお、本発明において重合反応には、重縮合反応も含まれる。
<<熱硬化性保護膜形成用組成物>>
熱硬化性保護膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する熱硬化性保護膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、熱硬化性保護膜形成用フィルムの形成対象面に熱硬化性保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に熱硬化性保護膜形成用フィルムを形成できる。熱硬化性保護膜形成用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、熱硬化性保護膜形成用フィルムの前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。ここで、「常温」とは、先に説明したとおりである。
熱硬化性保護膜形成用組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
熱硬化性保護膜形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、熱硬化性保護膜形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。溶媒を含有する熱硬化性保護膜形成用組成物は、例えば、70〜130℃で10秒〜5分の条件で乾燥させることが好ましい。
<保護膜形成用組成物(III−1)>
熱硬化性保護膜形成用組成物としては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有する熱硬化性保護膜形成用組成物(III−1)(本明細書においては、「保護膜形成用組成物(III−1)」と略記することがある)等が挙げられる。
[重合体成分(A)]
重合体成分(A)は、熱硬化性保護膜形成用フィルムに造膜性や可撓性等を付与するための重合体化合物である。
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムが含有する重合体成分(A)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
重合体成分(A)としては、例えば、アクリル系樹脂((メタ)アクリロイル基を有する樹脂)、ポリエステル、ウレタン系樹脂(ウレタン結合を有する樹脂)、アクリルウレタン樹脂、シリコーン系樹脂(シロキサン結合を有する樹脂)、ゴム系樹脂(ゴム構造を有する樹脂)、フェノキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド等が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
重合体成分(A)における前記アクリル系樹脂としては、公知のアクリル重合体が挙げられる。
アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000〜2000000であることが好ましく、100000〜1500000であることがより好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記下限値以上であることで、熱硬化性保護膜形成用フィルムの形状安定性(保管時の経時安定性)が向上する。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記上限値以下であることで、被着体の凹凸面へ熱硬化性保護膜形成用フィルムが追従し易くなり、被着体と熱硬化性保護膜形成用フィルムとの間でボイド等の発生がより抑制される。
アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−60〜70℃であることが好ましく、−30〜50℃であることがより好ましい。アクリル系樹脂のTgが前記下限値以上であることで、保護膜と支持シートとの接着力が抑制されて、支持シートの剥離性が向上する。また、アクリル系樹脂のTgが前記上限値以下であることで、熱硬化性保護膜形成用フィルム及び保護膜の被着体との接着力が向上する。
アクリル系樹脂としては、例えば、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの重合体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN−メチロールアクリルアミド等から選択される2種以上のモノマーの共重合体等が挙げられる。
アクリル系樹脂を構成する前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イミド;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル等の置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基を意味する。
アクリル系樹脂は、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステル以外に、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN−メチロールアクリルアミド等から選択される1種又は2種以上のモノマーが共重合してなるものでもよい。
アクリル系樹脂を構成するモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
アクリル系樹脂は、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の他の化合物と結合可能な官能基を有していてもよい。アクリル系樹脂の前記官能基は、後述する架橋剤(F)を介して他の化合物と結合してもよいし、架橋剤(F)を介さずに他の化合物と直接結合していてもよい。アクリル系樹脂が前記官能基により他の化合物と結合することで、保護膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性が向上する傾向がある。
本発明においては、重合体成分(A)として、アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂(以下、単に「熱可塑性樹脂」と略記することがある)をアクリル系樹脂と併用してもよい。前記熱可塑性樹脂を用いることで、保護膜の支持シートからの剥離性が向上したり、被着体の凹凸面へ熱硬化性保護膜形成用フィルムが追従し易くなり、被着体と熱硬化性保護膜形成用フィルムとの間でボイド等の発生がより抑制されることがある。
前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は1000〜100000であることが好ましく、3000〜80000であることがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−30〜150℃であることが好ましく、−20〜120℃であることがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムが含有する前記熱可塑性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(III−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(A)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性保護膜形成用フィルムの重合体成分(A)の含有量)は、重合体成分(A)の種類によらず、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜35質量%であることが特に好ましい。
重合体成分(A)は、熱硬化性成分(B)にも該当する場合がある。本発明においては、保護膜形成用組成物(III−1)が、このような重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の両方に該当する成分を含有する場合、保護膜形成用組成物(III−1)は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するとみなす。
[熱硬化性成分(B)]
熱硬化性成分(B)は、熱硬化性保護膜形成用フィルムを硬化させて、硬質の保護膜を形成するための成分である。
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムが含有する熱硬化性成分(B)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
熱硬化性成分(B)としては、例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂、熱硬化性ポリイミド、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂等が挙げられ、エポキシ系熱硬化性樹脂が好ましい。
(エポキシ系熱硬化性樹脂)
エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)からなる。
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムが含有するエポキシ系熱硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・エポキシ樹脂(B1)
エポキシ樹脂(B1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂(B1)としては、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いてもよい。不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂は、不飽和炭化水素基を有しないエポキシ樹脂よりもアクリル系樹脂との相溶性が高い。そのため、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いることで、保護膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性が向上する。
不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、多官能系エポキシ樹脂のエポキシ基の一部が不飽和炭化水素基を有する基に変換されてなる化合物が挙げられる。このような化合物は、例えば、エポキシ基へ(メタ)アクリル酸又はその誘導体を付加反応させることにより得られる。
また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合した化合物等が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
なお、本明細書において「誘導体」とは、元の化合物の1個以上の水素原子が水素原子以外の基(置換基)で置換されてなるものを意味する。
エポキシ樹脂(B1)の数平均分子量は、特に限定されないが、熱硬化性保護膜形成用フィルムの硬化性、並びに硬化後の保護膜の強度及び耐熱性の点から、300〜30000であることが好ましく、300〜10000であることがより好ましく、300〜3000であることが特に好ましい。
エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量は、100〜1100g/eqであることが好ましく、150〜1000g/eqであることがより好ましい。
エポキシ樹脂(B1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・熱硬化剤(B2)
熱硬化剤(B2)は、エポキシ樹脂(B1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(B2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、フェノール性水酸基を有するフェノール系硬化剤としては、例えば、多官能フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(以下、「DICY」と略記することがある)等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)は、不飽和炭化水素基を有するものでもよい。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(B2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
熱硬化剤(B2)としてフェノール系硬化剤を用いる場合には、保護膜の支持シートからの剥離性が向上する点から、熱硬化剤(B2)は軟化点又はガラス転移温度が高いものが好ましい。
熱硬化剤(B2)は、常温では固形で、かつエポキシ樹脂(B1)に対して硬化活性を示さず、一方で、加熱によって溶解し、かつエポキシ樹脂(B1)に対して硬化活性を示す熱硬化剤(以下、「熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤」と略記することがある)であることが好ましい。
前記熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤は、常温では熱硬化性保護膜形成用フィルムにおいて、エポキシ樹脂(B1)中に安定して分散しているが、加熱によってエポキシ樹脂(B1)と相溶し、エポキシ樹脂(B1)と反応する。前記熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤を用いることで、保護膜形成用複合シートの保存安定性が顕著に向上する。例えば、保護膜形成用フィルムから隣接する支持シートへのこの硬化剤の移動が抑制され、熱硬化性保護膜形成用フィルムの熱硬化性の低下が効果的に抑制される。そして、熱硬化性保護膜形成用フィルムの加熱による熱硬化度がより高くなるため、後述する保護膜付き半導体チップのピックアップ性がより向上する。
前記熱活性潜在性エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、オニウム塩、二塩基酸ヒドラジド、ジシアンジアミド、硬化剤のアミン付加物等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、多官能フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂等の樹脂成分の数平均分子量は、300〜30000であることが好ましく、400〜10000であることがより好ましく、500〜3000であることが特に好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60〜500であることが好ましい。
熱硬化剤(B2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムにおいて、熱硬化剤(B2)の含有量は、エポキシ樹脂(B1)の含有量100質量部に対して、0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜200質量部であることがより好ましい。熱硬化剤(B2)の前記含有量が前記下限値以上であることで、熱硬化性保護膜形成用フィルムの硬化がより進行し易くなる。また、熱硬化剤(B2)の前記含有量が前記上限値以下であることで、熱硬化性保護膜形成用フィルムの吸湿率が低減されて、保護膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムにおいて、熱硬化性成分(B)の含有量(例えば、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)の総含有量)は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、1.5〜85質量部であることがより好ましく、2〜70質量部であることが特に好ましい。熱硬化性成分(B)の前記含有量がこのような範囲であることで、保護膜と支持シートとの接着力が抑制されて、支持シートの剥離性が向上する。
[硬化促進剤(C)]
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムは、硬化促進剤(C)を含有していてもよい。硬化促進剤(C)は、保護膜形成用組成物(III−1)の硬化速度を調整するための成分である。
好ましい硬化促進剤(C)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムが含有する硬化促進剤(C)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
硬化促進剤(C)を用いる場合、保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムにおいて、硬化促進剤(C)の含有量は、熱硬化性成分(B)の含有量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。硬化促進剤(C)の前記含有量が前記下限値以上であることで、硬化促進剤(C)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、硬化促進剤(C)の含有量が前記上限値以下であることで、例えば、高極性の硬化促進剤(C)が、高温・高湿度条件下で熱硬化性保護膜形成用フィルム中において被着体との接着界面側に移動して偏析することを抑制する効果が高くなり、保護膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
[充填材(D)]
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムは、充填材(D)を含有していてもよい。熱硬化性保護膜形成用フィルムが充填材(D)を含有することにより、熱硬化性保護膜形成用フィルムを硬化して得られた保護膜は、熱膨張係数の調整が容易となる。そして、この熱膨張係数を保護膜の形成対象物に対して最適化することで、保護膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。また、熱硬化性保護膜形成用フィルムが充填材(D)を含有することにより、保護膜の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
充填材(D)は、有機充填材及び無機充填材のいずれでもよいが、無機充填材であることが好ましい。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましい。
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムが含有する充填材(D)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
充填材(D)を用いる場合、保護膜形成用組成物(III−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性保護膜形成用フィルムの充填材(D)の含有量)は、5〜80質量%であることが好ましく、7〜60質量%であることがより好ましい。充填材(D)の含有量がこのような範囲であることで、上記の熱膨張係数の調整がより容易となる。
[カップリング剤(E)]
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムは、カップリング剤(E)を含有していてもよい。カップリング剤(E)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを用いることにより、熱硬化性保護膜形成用フィルムの被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(E)を用いることで、熱硬化性保護膜形成用フィルムを硬化して得られた保護膜は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
カップリング剤(E)は、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)等が有する官能基と反応可能な官能基を有する化合物であることが好ましく、シランカップリング剤であることがより好ましい。
好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムが含有するカップリング剤(E)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
カップリング剤(E)を用いる場合、保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムにおいて、カップリング剤(E)の含有量は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の総含有量100質量部に対して、0.03〜20質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。カップリング剤(E)の前記含有量が前記下限値以上であることで、充填材(D)の樹脂への分散性の向上や、熱硬化性保護膜形成用フィルムの被着体との接着性の向上など、カップリング剤(E)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、カップリング剤(E)の前記含有量が前記上限値以下であることで、アウトガスの発生がより抑制される。
[架橋剤(F)]
重合体成分(A)として、上述のアクリル系樹脂等の、他の化合物と結合可能なビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の官能基を有するものを用いる場合、保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムは、架橋剤(F)を含有していてもよい。架橋剤(F)は、重合体成分(A)中の前記官能基を他の化合物と結合させて架橋するための成分であり、このように架橋することにより、熱硬化性保護膜形成用フィルムの初期接着力及び凝集力を調節できる。
架橋剤(F)としては、例えば、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物、金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤)、アジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤)等が挙げられる。
前記有機多価イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物及び脂環族多価イソシアネート化合物(以下、これら化合物をまとめて「芳香族多価イソシアネート化合物等」と略記することがある);前記芳香族多価イソシアネート化合物等の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体;前記芳香族多価イソシアネート化合物等とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。前記「アダクト体」は、前記芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物又は脂環族多価イソシアネート化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物を意味する。前記アダクト体の例としては、後述するようなトリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物等が挙げられる。また、「末端イソシアネートウレタンプレポリマー」とは、先に説明したとおりである。
前記有機多価イソシアネート化合物として、より具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート;2,6−トリレンジイソシアネート;1,3−キシリレンジイソシアネート;1,4−キシレンジイソシアネート;ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート;3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート;トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて又は一部の水酸基に、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートのいずれか1種又は2種以上が付加した化合物;リジンジイソシアネート等が挙げられる。
前記有機多価イミン化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
架橋剤(F)として有機多価イソシアネート化合物を用いる場合、重合体成分(A)としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤(F)がイソシアネート基を有し、重合体成分(A)が水酸基を有する場合、架橋剤(F)と重合体成分(A)との反応によって、熱硬化性保護膜形成用フィルムに架橋構造を簡便に導入できる。
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムが含有する架橋剤(F)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
架橋剤(F)を用いる場合、保護膜形成用組成物(III−1)において、架橋剤(F)の含有量は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることが特に好ましい。架橋剤(F)の前記含有量が前記下限値以上であることで、架橋剤(F)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、架橋剤(F)の前記含有量が前記上限値以下であることで、熱硬化性保護膜形成用フィルムの支持シートとの接着力や、熱硬化性保護膜形成用フィルムの半導体ウエハ又は半導体チップとの接着力が、過度に低下することが抑制される。
本発明においては、架橋剤(F)を用いなくても、本発明の効果が十分に得られる。
[エネルギー線硬化性樹脂(G)]
保護膜形成用組成物(III−1)は、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していてもよい。熱硬化性保護膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していることにより、エネルギー線の照射によって特性を変化させることができる。
エネルギー線硬化性樹脂(G)は、エネルギー線硬化性化合物を重合(硬化)して得られたものである。
前記エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
前記アクリレート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の鎖状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート等の環状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;オリゴエステル(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー;エポキシ変性(メタ)アクリレート;前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外のポリエーテル(メタ)アクリレート;イタコン酸オリゴマー等が挙げられる。
前記エネルギー線硬化性化合物の重量平均分子量は、100〜30000であることが好ましく、300〜10000であることがより好ましい。
重合に用いる前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(III−1)が含有するエネルギー線硬化性樹脂(G)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エネルギー線硬化性樹脂(G)を用いる場合、保護膜形成用組成物(III−1)のエネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量は、1〜95質量%であることが好ましく、2〜90質量%であることがより好ましく、3〜85質量%であることが特に好ましい。
[光重合開始剤(H)]
保護膜形成用組成物(III−1)は、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有する場合、エネルギー線硬化性樹脂(G)の重合反応を効率よく進めるために、光重合開始剤(H)を含有していてもよい。
保護膜形成用組成物(III−1)における光重合開始剤(H)としては、粘着剤組成物(ii)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
保護膜形成用組成物(III−1)が含有する光重合開始剤(H)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
光重合開始剤(H)を用いる場合、保護膜形成用組成物(III−1)において、光重合開始剤(H)の含有量は、エネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、2〜5質量部であることが特に好ましい。
[着色剤(I)]
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムは、着色剤(I)を含有していてもよい。
着色剤(I)としては、例えば、無機系顔料、有機系顔料、有機系染料等、公知のものが挙げられる。
前記有機系顔料及び有機系染料としては、例えば、アミニウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、アズレニウム系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトラクタム系色素、アゾ系色素、縮合アゾ系色素、インジゴ系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、ピロール系色素、チオインジゴ系色素、金属錯体系色素(金属錯塩染料)、ジチオール金属錯体系色素、インドールフェノール系色素、トリアリルメタン系色素、アントラキノン系色素、ジオキサジン系色素、ナフトール系色素、アゾメチン系色素、ベンズイミダゾロン系色素、ピランスロン系色素及びスレン系色等が挙げられる。
前記無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、コバルト系色素、鉄系色素、クロム系色素、チタン系色素、バナジウム系色素、ジルコニウム系色素、モリブデン系色素、ルテニウム系色素、白金系色素、ITO(インジウムスズオキサイド)系色素、ATO(アンチモンスズオキサイド)系色素等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムが含有する着色剤(I)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
着色剤(I)を用いる場合、熱硬化性保護膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよい。例えば、保護膜はレーザー照射により印字が施される場合があり、熱硬化性保護膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量を調節し、保護膜の光透過性を調節することにより、印字視認性を調節できる。また、熱硬化性保護膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量を調節することで、保護膜の意匠性を向上させたり、半導体ウエハの裏面の研削痕を見えにくくすることもできる。これの点を考慮すると、保護膜形成用組成物(III−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する着色剤(I)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性保護膜形成用フィルムの着色剤(I)の含有量)は、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜7.5質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることが特に好ましく、例えば、0.1〜3質量%及び0.1〜1質量%のいずれかであってもよい。着色剤(I)の前記含有量が前記下限値以上であることで、着色剤(I)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、着色剤(I)の前記含有量が前記上限値以下であることで、熱硬化性保護膜形成用フィルムの光透過性の過度な低下が抑制される。
[汎用添加剤(J)]
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内において、汎用添加剤(J)を含有していてもよい。
汎用添加剤(J)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ゲッタリング剤等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムが含有する汎用添加剤(I)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(III−1)及び熱硬化性保護膜形成用フィルムの汎用添加剤(I)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
保護膜形成用組成物(III−1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する保護膜形成用組成物(III−1)は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されない。
好ましい前記溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(III−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(III−1)が含有する溶媒は、保護膜形成用組成物(III−1)中の含有成分をより均一に混合できる点から、メチルエチルケトン等であることが好ましい。
<<熱硬化性保護膜形成用組成物の製造方法>>
保護膜形成用組成物(III−1)等の熱硬化性保護膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
・エネルギー線硬化性保護膜形成用フィルム
エネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性成分(a)を含有する。
エネルギー線硬化性成分(a)は、未硬化であることが好ましく、粘着性を有することが好ましく、未硬化でかつ粘着性を有することがより好ましい。ここで、「エネルギー線」及び「エネルギー線硬化性」とは、先に説明したとおりである。
<<エネルギー線硬化性保護膜形成用組成物>>
エネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムは、その構成材料を含有するエネルギー線硬化性保護膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、エネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムの形成対象面にエネルギー線硬化性保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位にエネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムを形成できる。エネルギー線硬化性保護膜形成用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、エネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムの前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。ここで、「常温」とは、先に説明したとおりである。
エネルギー線硬化性保護膜形成用組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
エネルギー線硬化性保護膜形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、エネルギー線硬化性保護膜形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。溶媒を含有するエネルギー線硬化性保護膜形成用組成物は、例えば、70〜130℃で10秒〜5分の条件で乾燥させることが好ましい。
<保護膜形成用組成物(IV−1)>
エネルギー線硬化性保護膜形成用組成物としては、例えば、前記エネルギー線硬化性成分(a)を含有するエネルギー線硬化性保護膜形成用組成物(IV−1)(本明細書においては、単に「保護膜形成用組成物(IV−1)」と略記することがある)等が挙げられる。
[エネルギー線硬化性成分(a)]
エネルギー線硬化性成分(a)は、エネルギー線の照射によって硬化する成分であり、エネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムに造膜性や、可撓性等を付与するための成分でもある。
エネルギー線硬化性成分(a)としては、例えば、エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2)が挙げられる。前記重合体(a1)は、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
(エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1))
エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1)としては、例えば、他の化合物が有する基と反応可能な官能基を有するアクリル系重合体(a11)と、前記官能基と反応する基、及びエネルギー線硬化性二重結合等のエネルギー線硬化性基を有するエネルギー線硬化性化合物(a12)と、が付加反応してなるアクリル系樹脂(a1−1)が挙げられる。
他の化合物が有する基と反応可能な前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基(アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基)、エポキシ基等が挙げられる。ただし、半導体ウエハや半導体チップ等の回路の腐食を防止するという点では、前記官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
これらの中でも、前記官能基は、水酸基であることが好ましい。
・官能基を有するアクリル系重合体(a11)
前記官能基を有するアクリル系重合体(a11)としては、例えば、前記官能基を有するアクリル系モノマーと、前記官能基を有しないアクリル系モノマーと、が共重合してなるものが挙げられ、これらモノマー以外に、さらにアクリル系モノマー以外のモノマー(非アクリル系モノマー)が共重合したものであってもよい。
また、前記アクリル系重合体(a11)は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
前記官能基を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、置換アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル系不飽和アルコール((メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2−カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記官能基を有するアクリル系モノマーは、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましく、水酸基含有モノマーがより好ましい。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する、前記官能基を有するアクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記官能基を有しないアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
また、前記官能基を有しないアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル等を含む、芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステル;非架橋性の(メタ)アクリルアミド及びその誘導体;(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等も挙げられる。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する、前記官能基を有しないアクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記非アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン;酢酸ビニル;スチレン等が挙げられる。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する前記非アクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系重合体(a11)において、これを構成する構成単位の全量に対する、前記官能基を有するアクリル系モノマーから誘導された構成単位の量の割合(含有量)は、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることが特に好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、前記アクリル系重合体(a11)と前記エネルギー線硬化性化合物(a12)との共重合によって得られた前記アクリル系樹脂(a1−1)において、エネルギー線硬化性基の含有量は、保護膜の硬化の程度を好ましい範囲に容易に調節可能なものとなる。
前記アクリル系樹脂(a1−1)を構成する前記アクリル系重合体(a11)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(IV−1)において、アクリル系樹脂(a1−1)の含有量は、1〜40質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることが特に好ましい。
・エネルギー線硬化性化合物(a12)
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、前記アクリル系重合体(a11)が有する官能基と反応可能な基として、イソシアネート基、エポキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1種又は2種以上を有するものが好ましく、前記基としてイソシアネート基を有するものがより好ましい。前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、例えば、前記基としてイソシアネート基を有する場合、このイソシアネート基が、前記官能基として水酸基を有するアクリル系重合体(a11)のこの水酸基と容易に反応する。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、1分子中に前記エネルギー線硬化性基を1〜5個有することが好ましく、1〜2個有することがより好ましい。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物等が挙げられる。
これらの中でも、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートであることが好ましい。
前記アクリル系樹脂(a1−1)を構成する前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系樹脂(a1−1)において、前記アクリル系重合体(a11)に由来する前記官能基の含有量に対する、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)に由来するエネルギー線硬化性基の含有量の割合は、20〜120モル%であることが好ましく、35〜100モル%であることがより好ましく、50〜100モル%であることが特に好ましい。前記含有量の割合がこのような範囲であることで、硬化後の保護膜の接着力がより大きくなる。なお、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)が一官能(前記基を1分子中に1個有する)化合物である場合には、前記含有量の割合の上限値は100モル%となるが、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)が多官能(前記基を1分子中に2個以上有する)化合物である場合には、前記含有量の割合の上限値は100モル%を超えることがある。
前記重合体(a1)の重量平均分子量(Mw)は、100000〜2000000であることが好ましく、300000〜1500000であることがより好ましい。
ここで、「重量平均分子量」とは、先に説明したとおりである。
前記重合体(a1)が、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものである場合、前記重合体(a1)は、前記アクリル系重合体(a11)を構成するものとして説明した、上述のモノマーのいずれにも該当せず、かつ架橋剤と反応する基を有するモノマーが重合して、前記架橋剤と反応する基において架橋されたものであってもよいし、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)に由来する、前記官能基と反応する基において、架橋されたものであってもよい。
保護膜形成用組成物(IV−1)及びエネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムが含有する前記重合体(a1)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
(エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2))
エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2)中の前記エネルギー線硬化性基としては、エネルギー線硬化性二重結合を含む基が挙げられ、好ましいものとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
前記化合物(a2)は、上記の条件を満たすものであれば、特に限定されないが、エネルギー線硬化性基を有する低分子量化合物、エネルギー線硬化性基を有するエポキシ樹脂、エネルギー線硬化性基を有するフェノール樹脂等が挙げられる。
前記化合物(a2)のうち、エネルギー線硬化性基を有する低分子量化合物としては、例えば、多官能のモノマー又はオリゴマー等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
前記アクリレート系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル]プロパン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン等の2官能(メタ)アクリレート;
トリス(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等の多官能(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
前記化合物(a2)のうち、エネルギー線硬化性基を有するエポキシ樹脂、エネルギー線硬化性基を有するフェノール樹脂としては、例えば、「特開2013−194102号公報」の段落0043等に記載されているものを用いることができる。このような樹脂は、後述する熱硬化性成分を構成する樹脂にも該当するが、本発明においては前記化合物(a2)として取り扱う。
前記化合物(a2)の重量平均分子量は、100〜30000であることが好ましく、300〜10000であることがより好ましい。
保護膜形成用組成物(IV−1)及びエネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムが含有する前記化合物(a2)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
[エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)]
保護膜形成用組成物(IV−1)及びエネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムは、前記エネルギー線硬化性成分(a)として前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましい。
前記重合体(b)は、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、アクリル系重合体、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ゴム系樹脂、アクリルウレタン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、前記重合体(b)は、アクリル系重合体(以下、「アクリル系重合体(b−1)」と略記することがある)であることが好ましい。
アクリル系重合体(b−1)は、公知のものでよく、例えば、1種のアクリル系モノマーの単独重合体であってもよいし、2種以上のアクリル系モノマーの共重合体であってもよいし、1種又は2種以上のアクリル系モノマーと、1種又は2種以上のアクリル系モノマー以外のモノマー(非アクリル系モノマー)と、の共重合体であってもよい。
アクリル系重合体(b−1)を構成する前記アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、先に説明したとおりである。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
前記環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記グリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
前記置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル等が挙げられる。
アクリル系重合体(b−1)を構成する前記非アクリル系モノマーとしては、例えば、エチレン、ノルボルネン等のオレフィン;酢酸ビニル;スチレン等が挙げられる。
少なくとも一部が架橋剤によって架橋された、前記エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、前記重合体(b)中の反応性官能基が架橋剤と反応したものが挙げられる。
前記反応性官能基は、架橋剤の種類等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、架橋剤がポリイソシアネート化合物である場合には、前記反応性官能基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられ、これらの中でも、イソシアネート基との反応性が高い水酸基が好ましい。また、架橋剤がエポキシ系化合物である場合には、前記反応性官能基としては、カルボキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、これらの中でもエポキシ基との反応性が高いカルボキシ基が好ましい。ただし、半導体ウエハや半導体チップの回路の腐食を防止するという点では、前記反応性官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
前記反応性官能基を有する、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、少なくとも前記反応性官能基を有するモノマーを重合させて得られたものが挙げられる。アクリル系重合体(b−1)の場合であれば、これを構成するモノマーとして挙げた、前記アクリル系モノマー及び非アクリル系モノマーのいずれか一方又は両方として、前記反応性官能基を有するものを用いればよい。反応性官能基として水酸基を有する前記重合体(b)としては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られたものが挙げられ、これ以外にも、先に挙げた前記アクリル系モノマー又は非アクリル系モノマーにおいて、1個又は2個以上の水素原子が前記反応性官能基で置換されてなるモノマーを重合して得られたものが挙げられる。
反応性官能基を有する前記重合体(b)において、これを構成する構成単位の全量に対する、反応性官能基を有するモノマーから誘導された構成単位の量の割合(含有量)は、1〜20質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、前記重合体(b)において、架橋の程度がより好ましい範囲となる。
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の重量平均分子量(Mw)は、保護膜形成用組成物(IV−1)の造膜性がより良好となる点から、10000〜2000000であることが好ましく、100000〜1500000であることがより好ましい。ここで、「重量平均分子量」とは、先に説明したとおりである。
保護膜形成用組成物(IV−1)及びエネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムが含有する、エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(IV−1)としては、前記重合体(a1)及び前記化合物(a2)のいずれか一方又は両方を含有するものが挙げられる。そして、保護膜形成用組成物(IV−1)は、前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましく、この場合、さらに前記(a1)を含有することも好ましい。また、保護膜形成用組成物(IV−1)は、前記化合物(a2)を含有せず、前記重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)をともに含有していてもよい。
保護膜形成用組成物(IV−1)が、前記重合体(a1)、前記化合物(a2)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)を含有する場合、保護膜形成用組成物(IV−1)において、前記化合物(a2)の含有量は、前記重合体(a1)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の総含有量100質量部に対して、10〜400質量部であることが好ましく、30〜350質量部であることがより好ましい。
保護膜形成用組成物(IV−1)において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の合計含有量の割合(すなわち、エネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムの前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の合計含有量)は、5〜90質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましく、20〜70質量%であることが特に好ましい。エネルギー線硬化性成分の含有量の前記割合がこのような範囲であることで、エネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムのエネルギー線硬化性がより良好となる。
保護膜形成用組成物(IV−1)は、前記エネルギー線硬化性成分以外に、目的に応じて、熱硬化性成分、光重合開始剤、充填材、カップリング剤、架橋剤、着色剤及び汎用添加剤からなる群より選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。例えば、前記エネルギー線硬化性成分及び熱硬化性成分を含有する保護膜形成用組成物(IV−1)を用いることにより、形成されるエネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムは、加熱によって被着体に対する接着力が向上し、このエネルギー線硬化性保護膜形成用フィルムから形成された保護膜の強度も向上する。
保護膜形成用組成物(IV−1)における前記熱硬化性成分、光重合開始剤、充填材、カップリング剤、架橋剤、着色剤及び汎用添加剤としては、それぞれ、保護膜形成用組成物(III−1)における熱硬化性成分(B)、光重合開始剤(H)、充填材(D)、カップリング剤(E)、架橋剤(F)、着色剤(I)及び汎用添加剤(J)と同じものが挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV−1)において、前記熱硬化性成分、光重合開始剤、充填材、カップリング剤、架橋剤、着色剤及び汎用添加剤は、それぞれ、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(IV−1)における前記熱硬化性成分、光重合開始剤、充填材、カップリング剤、架橋剤、着色剤及び汎用添加剤の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
保護膜形成用組成物(IV−1)は、希釈によってその取り扱い性が向上することから、さらに溶媒を含有するものが好ましい。
保護膜形成用組成物(IV−1)が含有する溶媒としては、例えば、保護膜形成用組成物(III−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
<<エネルギー線硬化性保護膜形成用組成物の製造方法>>
保護膜形成用組成物(IV−1)等のエネルギー線硬化性保護膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
○コーティング層
前記コーティング層は、その支持シートと接触している側とは反対側の表面が、支持シートのコーティング層を備えている側の表面よりも、表面粗さRaが小さいものであれば、特に限定されない。
前記コーティング層としては、例えば、エネルギー線の照射によって硬化されて得られた硬化物を含有するものが好ましく、エネルギー線の照射により重合する、エネルギー線重合性化合物を含有するコーティング組成物を硬化させて得られたものが好ましい。そして、前記エネルギー線重合性化合物は、(メタ)アクリル酸又はその誘導体であることが好ましい。
前記保護膜形成用複合シートは、ダイシングして得られた半導体チップの裏面を保護するための保護膜を形成するという機能だけでなく、例えば、半導体ウエハをダイシングするときのダイシングシートとしての機能も兼ね備えたものとすることができる。そして、半導体ウエハのダイシング時には、保護膜形成用複合シートが貼付された半導体ウエハをエキスパンドすることがあり、その場合、保護膜形成用複合シートは、適度な柔軟性を有することが求められる。保護膜形成用複合シートに適度な柔軟性を付与するためには、例えば、前記支持シートを構成する材質として、ポリプロピレン等の柔軟な樹脂が選択されることがある。一方で、このような柔軟な樹脂等は、加熱によって変形してしまったり、皺が入ってしまうことがある。したがって、コーティング層は、原料となる組成物を熱硬化ではなく、エネルギー線の照射による硬化で形成できるものが望ましいといえる。
前記コーティング層の厚さは、特に限定されないが、0.1〜20μmであることが好ましく、0.4〜15μmであることがより好ましく、0.8〜10μmであることが特に好ましい。コーティング層の厚さが前記下限値以上であることで、コーティング層の前記支持シートと接触している側とは反対側の表面における表面粗さRaの低減がより容易となり、さらに、前記保護膜形成用複合シートのブロッキングを抑制する効果がより高くなる。また、コーティング層の厚さが前記上限値以下であることで、前記保護膜形成用複合シートが貼付された後の半導体ウエハの状態を、前記シートを介して赤外線カメラ等によって検査するときに、より鮮明な検査画像を取得でき、さらに、エキスパンドを伴う半導体ウエハのダイシングをより容易に行うことができる。
なお、コーティング層は、上述のように支持シートの凹凸面を被覆することで、支持シートとの接触面が凹凸面となり得るが、コーティング層の厚さは、コーティング層のこの凹凸面における凸部を含む部位では、この凸部の先端を一方の起点として算出することができる。
前記コーティング層の前記支持シートと接触している側とは反対側の表面における表面粗さRaは、0.5μm以下であることが好ましく、0.4μm以下であることがより好ましく、0.3μm以下であることがさらに好ましく、0.2μm以下であることが特に好ましい。コーティング層の前記表面粗さRaが前記上限値以下であることで、保護膜に対してより鮮明にレーザー印字を行うことができる。
また、前記コーティング層の前記支持シートと接触している側とは反対側の表面における表面粗さRaの下限値は、特に限定されないが、例えば、0.005μm等とすることが可能である。
すなわち、前記表面粗さRaは、例えば、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.005〜0.4μm、さらに好ましくは0.005〜0.3μm、特に好ましくは0.005〜0.2μm以下とすることができる。
コーティング層の前記表面粗さRaは、例えば、支持シートのコーティング層を備えている側の表面の表面粗さRa、コーティング層の厚さ、コーティング層を形成するための後述するコーティング組成物の塗工方法等により、調節できる。
前記コーティング層は、[コーティング層の厚さ(μm)]/[支持シートのコーティング層を備えている側の表面の表面粗さRa(μm)]の値が、0.1〜30であることが好ましく、0.3〜20であることがより好ましく、0.5〜10であることが特に好ましい。前記値が前記下限値以上であることで、コーティング層の前記支持シートと接触している側とは反対側の表面における表面粗さRaがより小さくなる。そのため、保護膜に対してより鮮明にレーザー印字を行うことができ、さらに、前記保護膜形成用複合シートのブロッキングを抑制する効果がより高くなる。また、前記値が前記上限値以下であることで、コーティング層の厚さが過剰となることが避けられる。
前記コーティング層の前記支持シートと接触している側(前記支持シート側)とは反対側の表面のグロス値は、32〜95であることが好ましく、40〜90であることがより好ましく、45〜85であることが特に好ましく、例えば、50〜80であってもよい。コーティング層の前記グロス値がこのような範囲であることで、保護膜に対してより鮮明にレーザー印字を行うことができる。さらに、コーティング層の前記グロス値が前記下限値以上であることで、前記保護膜形成用複合シートが貼付された後の半導体ウエハの状態を、前記シートを介して赤外線カメラ等によって検査するときに、より鮮明な検査画像を取得できる。そして、コーティング層の前記グロス値が前記上限値以下であることで、同様に半導体ウエハの状態を検査するときに、コーティング層が光る現象が抑制されて、赤外線カメラ等による検査画像の視認がより容易となる。
なお、前記グロス値は、JIS K 7105に従って、コーティング層の前記支持シート側とは反対側から、コーティング層の表面の20°鏡面光沢度を測定して得られた値である。
保護膜形成用複合シートの前記コーティング層側からのヘーズの測定値は、47%以下であることが好ましく、1〜47%であることがより好ましく、2〜40%であることがさらに好ましく、3〜30%であることが特に好ましい。保護膜形成用複合シートの前記ヘーズが前記上限値以下であることで、光の散乱が抑制され、保護膜に対してより鮮明にレーザー印字を行うことができる。また、前記保護膜形成用複合シートが貼付された後の半導体ウエハの状態を、前記シートを介して赤外線カメラ等によって検査するときに、より鮮明な検査画像を取得できる。ここで、保護膜形成用複合シートの前記ヘーズの測定値とは、保護膜形成用複合シートにおいて、前記コーティング層の前記支持シートと接触している側とは反対側の表面の方向から測定したヘーズの値を意味する。
なお、前記ヘーズは、JIS K 7136に従って測定して得られた値である。
前記コーティング層のグロス値等の各種特性は、例えば、コーティング層の厚さ、コーティング層を形成するための後述するコーティング組成物の含有成分等により、調節できる。
保護膜形成用複合シートの前記コーティング層側からのヘーズの測定値は、例えば、コーティング層や支持シート等の、保護膜形成用複合シートを構成する各層の厚さ、これら各層を形成するための組成物(例えば、後述するコーティング組成物)の含有成分等により、調節できる。
<<コーティング組成物>>
前記コーティング組成物は、シリカゾル、及びラジカル重合性不飽和基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子、のいずれか一方又は両方(α)(以下、「成分(α)」と略記することがある)と、多官能性アクリレート系モノマー及びアクリレート系プレポリマーからなる群より選択される1種又は2種以上(β)(以下、「成分(β)」と略記することがある)と、を含有するものが好ましい。
[成分(α)]
前記成分(α)は、前記コーティング層の屈折率を低下させると共に、前記保護膜形成用複合シートの硬化収縮性及び熱湿収縮性を低下させて、これらの収縮に起因する保護膜形成用複合シートにおけるカールの発生を抑制するためのものである。
成分(α)におけるシリカゾルとしては、例えば、シリカ微粒子が、アルコール、エチレングリコール由来のエーテル(セロソルブ)等の有機溶媒中に、コロイド状態で懸濁してなるコロイダルシリカが挙げられる。懸濁している前記シリカ微粒子の平均粒子径は、0.001〜1μmであることが好ましく、0.03〜0.05μmであることがより好ましい。
成分(α)における、ラジカル重合性不飽和基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子は、エネルギー線の照射により架橋及び硬化する。
前記ラジカル重合性不飽和基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子としては、例えば、シリカ微粒子の表面に存在するシラノール基と、ラジカル重合性不飽和基含有有機化合物中の官能基と、が反応してなるものが挙げられ、このシリカ微粒子の平均粒子径は、0.005〜1μmであることが好ましい。ラジカル重合性不飽和基含有有機化合物中の前記官能基は、シリカ微粒子中の前記シラノール基と反応し得るものであれば、特に限定されない。
前記官能基を有するラジカル重合性不飽和基含有有機化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2017149890
(式中、Rは水素原子又はメチル基であり;Rはハロゲン原子又は下記式(2a)〜(2f)のいずれかで表される基である。)
Figure 2017149890
における前記ハロゲン原子としては、例えば、塩素元素、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記ラジカル重合性不飽和基含有有機化合物で好ましいものとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸2−イソシアナ−トエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2,3−イミノプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明において、前記ラジカル重合性不飽和基含有有機化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
成分(α)において、シリカゾル、及びラジカル重合性不飽和基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子は、それぞれ1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
成分(α)としては、シリカゾルのみを用いてもよいし、前記ラジカル重合性不飽和基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子のみを用いてもよく、シリカゾル、及び前記ラジカル重合性不飽和基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子を併用してもよい。
前記コーティング組成物の成分(α)の含有量は、前記支持シートの屈折率に応じて選択することが好ましいが、通常は、前記コーティング層の成分(α)に由来するシリカの含有量が20〜60質量%となる量であることが好ましい。シリカの前記含有量が前記下限値以上であることで、コーティング層の屈折率を低下させる効果と、前記保護膜形成用複合シートにおけるカールの発生を抑制する効果とが、より高くなる。また、シリカの前記含有量が前記上限値以下であることで、コーティング層の形成がより容易となるとともに、コーティング層の硬度の低下を抑制する効果がより高くなる。
上述のコーティング層の屈折率、形成容易性及び硬度、並びに保護膜形成用複合シートにおけるカールの発生抑制性が、より良好となることから、コーティング層の成分(α)に由来するシリカの含有量は、20〜45質量%であることがより好ましい。
[成分(β)]
前記成分(β)は、前記コーティング層を形成する主要な光硬化性成分である。
前記成分(β)における多官能性アクリレート系モノマーは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する(メタ)アクリル酸誘導体であれば、特に限定されない。
好ましい前記多官能性アクリレート系モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記成分(β)におけるアクリレート系プレポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルで光硬化性を有するポリマー又はオリゴマーであれば、特に限定されない。
好ましい前記アクリレート系プレポリマーとしては、例えば、ポリエステルアクリレート系プレポリマー、エポキシアクリレート系プレポリマー、ウレタンアクリレート系プレポリマー、ポリオールアクリレート系プレポリマー等が挙げられる。
前記ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮合反応によって得られる、分子の両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの前記水酸基を、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られるもの;多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加反応させて得られるオリゴマーの末端の水酸基を、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られるもの等が挙げられる。
前記エポキシアクリレート系プレポリマーとしては、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂又はノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化することにより得られるものが挙げられる。
前記ウレタンアクリレート系プレポリマーとしては、例えば、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートと、の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られるものが挙げられる。
前記ポリオールアクリレート系プレポリマーとしては、例えば、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られるものが挙げられる。
成分(β)において、前記多官能性アクリレート系モノマー及びアクリレート系プレポリマーは、それぞれ1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
成分(β)としては、前記多官能性アクリレート系モノマーのみを用いてもよいし、前記アクリレート系プレポリマーのみを用いてもよく、前記多官能性アクリレート系モノマー及びアクリレート系プレポリマーを併用してもよい。
[溶媒]
前記コーティング組成物は、成分(α)及び成分(β)以外に、さらに溶媒を含有するものが好ましい。コーティング組成物が溶媒を含有することで、後述するように、コーティング組成物を塗工及び乾燥させて、コーティング層を形成するための塗膜をより容易に形成できる。
前記溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;2−エトキシエタノール(エチルセロソルブ)等のセロソルブ等が挙げられる。
[任意成分]
前記コーティング組成物は、成分(α)及び成分(β)以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、単官能性アクリレート系モノマー、光重合開始剤、光増感剤、重合禁止剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤等の各種任意成分を含有していてもよい。
前記任意成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(単官能性アクリレート系モノマー)
任意成分としての前記単官能性アクリレート系モノマーは、光硬化性成分であり、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個のみ有する(メタ)アクリル酸誘導体であれば、特に限定されない。
好ましい前記単官能性アクリレート系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が挙げられる。
(光重合開始剤)
任意成分としての前記光重合開始剤としては、ラジカル重合に対して従来用いられている公知のものが挙げられる。
好ましい前記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アルキルアミノベンゾフェノン系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジルジメチルアセタール系化合物、ベンゾイルベンゾエート系化合物、α−アシロキシムエステル系化合物等のアリールケトン系光重合開始剤;スルフィド系化合物、チオキサントン系化合物等の含硫黄系光重合開始剤;アシルジアリールホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;アントラキノン系化合物等が挙げられる。
なお、前記コーティング組成物を電子線の照射により硬化させる場合には、光重合開始剤は不要である。
前記コーティング組成物において、光重合開始剤の含有量は、光硬化性成分の総含有量100質量部に対して、0.2〜10質量部であることが好ましく、0.5〜7質量部であることがより好ましい。
(光増感剤)
前記光増感剤としては、例えば、第三級アミン類、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、チオール系増感剤等が挙げられる。
前記コーティング組成物において、光増感剤の含有量は、光硬化性成分の総含有量100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、2〜10質量部であることがより好ましい。
(酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤)
前記酸化防止剤、紫外線吸収剤及び光安定剤は、公知のものでよいが、分子内に(メタ)アクリロイル基等を有する反応型の酸化防止剤、紫外線吸収剤及び光安定剤であることが好ましい。これら酸化防止剤、紫外線吸収剤及び光安定剤は、エネルギー線の照射により形成されたポリマー鎖に結合するため、経時による硬化層からの逸散が抑制され、長期間に渡ってこれら成分の機能が発揮される。
前記コーティング組成物は、成分(α)としてシリカゾルを含有するものが好ましく、コロイド状態で懸濁しているシリカ微粒子の平均粒子径が0.03〜0.05μmであるシリカゾルを含有するものがより好ましい。
前記コーティング層がこのようなシリカゾルを含有することにより、前記保護膜形成用複合シートのブロッキングを抑制する効果がより高くなる。そして、前記コーティング層において、このようなシリカゾルが、支持シート側とは反対側の表面やその近傍領域に、他の領域よりも多く存在して、偏在していることにより、前記保護膜形成用複合シートのブロッキングを抑制する効果がさらに高くなる。前記コーティング層において、シリカゾル等の含有成分を偏在させるためには、前記コーティング組成物の塗工条件を調節すればよい。
<<コーティング組成物の製造方法>>
コーティング組成物は、例えば、成分(α)及び成分(β)等のエネルギー線重合性化合物と、必要に応じてこれ以外の成分等、コーティング組成物を構成するための各成分を配合することで得られる。コーティング組成物は、例えば、配合成分が異なる点以外は、上述の粘着剤組成物の場合と同様の方法で得られる。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
コーティング組成物中の溶媒以外の成分は、溶解していてもよいし、溶解せずに分散していてもよい。そして、コーティング組成物の各成分の濃度や粘度は、コーティング組成物が塗工可能である限り、特に限定されない。
◎保護膜形成用複合シートの製造方法
本発明に係る保護膜形成用複合シートは、前記保護膜形成用組成物を用いて保護膜形成用フィルムを形成し、前記コーティング組成物を用いてコーティング層を形成し、コーティング層、支持シート及び保護膜形成用フィルムをこの順に積層することで製造できる。支持シートが複数層からなる場合には、これら複数の層を積層して支持シートを作製すればよい。例えば、支持シートが基材及び粘着剤層が積層されたものである場合には、前記粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成すればよい。
保護膜形成用複合シートを構成する各層(コーティング層、支持シート、保護膜形成用フィルム)の形成順は特に限定されない。さらに、これら各層の組成物からの形成は、保護膜形成用複合シートの状態で隣接する層の表面上で直接行ってもよいし、別途剥離フィルム(剥離シート)を用いてこの表面上で行い、この形成した層を、保護膜形成用複合シートの状態で隣接する層の表面に貼り合わせてもよい。ただし、コーティング層と支持シートの凹凸面(裏面)との間に、空隙部が生じることを抑制するために、コーティング層は、支持シートの凹凸面に直接コーティング組成物を塗工して形成することが好ましい。
以下、保護膜形成用複合シートの好ましい製造方法の一例について、説明する。
コーティング層は、支持シートの凹凸面(図1及び2においては、支持シート10の裏面10b、すなわち基材11の裏面11b)にコーティング組成物を塗工し、乾燥させ、必要に応じて形成した塗膜を硬化させることで、形成することが好ましい。
コーティング組成物の対象面への塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
コーティング組成物を支持シートの凹凸面に塗工する場合には、コーティング層と支持シートの凹凸面との間において、空隙部の発生を抑制することが好ましい。前記空隙部の発生を抑制することで、コーティング層と支持シートの凹凸面との境界における光の乱反射が抑制され、保護膜の表面にレーザー印字をより鮮明に行うことができる。
前記空隙部の発生を抑制するためには、例えば、粘度が小さいコーティング組成物を用いることが好ましい。また、エネルギー線重合性化合物を含有するコーティング組成物は、通常、前記空隙部の発生を抑制するのに好適である。
コーティング組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、コーティング組成物は加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、70〜130℃で0.5〜5分の条件で乾燥させることが好ましい。
コーティング組成物から形成した塗膜の硬化条件は、特に限定されず、公知の方法で行えばよい。
エネルギー線の照射により硬化を行う場合には、例えば、紫外線を照射する場合であれば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用い、照射量を好ましくは100〜500mJ/cmとして、照射すればよい。一方、電子線を照射する場合であれば、電子線加速器等によって電子線を発生させ、照射量を好ましくは150〜350kVとして、照射すればよい。なかでもコーティング層の形成は、紫外線の照射により行うことが好ましい。
支持シートが、例えば、基材及び粘着剤層が積層されてなるものである場合、粘着剤層は、コーティング層を備えた基材の表面(図1及び2においては基材11の表面11a)に粘着剤組成物を直接塗工して形成することが可能である。ただし通常は、例えば、剥離シートの剥離処理面に粘着剤組成物を塗工し、乾燥させることで形成した粘着剤層を、基材の表面に貼り合わせ、前記剥離シートを取り除くなど、粘着剤層を別途形成しておき、これを基材の表面に貼り合わせる方法を採用することが好ましい。
粘着剤組成物は、コーティング組成物の場合と同様の方法で、対象面へ塗工できる。
塗工した粘着剤組成物は、加熱することで架橋させてもよく、この加熱による架橋は乾燥を兼ねて行ってもよい。加熱条件は、例えば、100〜130℃で1〜5分間とすることができるが、これに限定されない。
支持シートが、基材のみからなるもの等、1層(単層)からなるものである場合と、例えば、基材及び粘着剤層が積層されてなるもの等、複数層からなる場合と、のいずれにおいても、コーティング層を備えた支持シートの表面(図1及び2においては、支持シート10の表面10a、すなわち粘着剤層12の表面12a)に保護膜形成用組成物を直接塗工して、保護膜形成用フィルムを形成することが可能である。ただし通常は、上述の粘着剤層の場合と同様に、剥離シートの剥離処理面に保護膜形成用組成物を塗工し、乾燥させることで形成した保護膜形成用フィルムを、支持シートの表面に貼り合わせ、必要に応じて前記剥離シートを取り除くなど、保護膜形成用フィルムを別途形成しておき、これを支持シートの表面に貼り合わせる方法を採用することが好ましい。
保護膜形成用組成物は、コーティング組成物の場合と同様の方法で、対象面へ塗工できる。
保護膜形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、コーティング組成物の場合と同様の方法で乾燥させることができる。
支持シートが基材及び粘着剤層が積層されてなるものである場合には、本発明に係る保護膜形成用複合シートは、上述の方法以外でも製造できる。例えば、前記粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成し、前記保護膜形成用組成物を用いて保護膜形成用フィルムを形成した後、これら粘着剤層及び保護膜形成用フィルムを重ね合わせて積層体とし、この積層体の前記粘着剤層の表面(粘着剤層の保護膜形成用フィルムが設けられていない面)に、コーティング層を備えた基材の表面(図1及び2においては基材11の表面11a)を貼り合わせることによっても、保護膜形成用複合シートを製造できる。
この場合の粘着剤層及び保護膜形成用フィルムの形成条件は、上述の方法の場合と同じである。
例えば、図1に示すような、保護膜形成用複合シートを上方から見下ろして平面視したときに、保護膜形成用フィルムが粘着剤層よりも表面積が小さい保護膜形成用複合シートを製造する場合には、上述の製造方法において、あらかじめ所定の大きさ及び形状に切り出しておいた保護膜形成用フィルムを粘着剤層上に設けるようにすればよい。
◎保護膜形成用複合シートの使用方法
本発明に係る保護膜形成用複合シートの使用方法は、例えば、以下に示すとおりである。
まず、保護膜形成用フィルムが熱硬化性である場合の保護膜形成用複合シートの使用方法について説明する。
この場合には、まず、保護膜形成用複合シートの保護膜形成用フィルムに半導体ウエハの裏面を貼付するとともに、保護膜形成用複合シートをダイシング装置に固定する。
次いで、保護膜形成用フィルムを加熱によって硬化させて保護膜とする。半導体ウエハの表面(電極形成面)にバックグラインドテープが貼付されている場合には、通常、このバックグラインドテープを半導体ウエハから取り除いてから、保護膜を形成する。
次いで、半導体ウエハをダイシングして半導体チップとする。保護膜を形成してからダイシングを行うまでの間においては、保護膜形成用複合シートのコーティング層側から保護膜にレーザー光を照射して、保護膜の表面に印字を行うことができる。この場合、先の説明のように、コーティング層の支持シートと接触している側とは反対側の面(裏面)の表面粗さRaが十分に小さくなっており、コーティング層の前記裏面は平滑面であるか、又は凹凸の度合いが抑制された面となっている。そこで、レーザー光を照射したときに、コーティング層の前記裏面でのレーザー光の乱反射が抑制され、保護膜に対して鮮明にレーザー印字を行うことができる。
また、ダイシングを行う前の半導体ウエハや、ダイシングを行って得られた半導体チップについては、その裏面(保護膜形成用複合シートが貼付されている面)側から赤外線カメラ等によって観察することで、状態を検査することがある。例えば、半導体チップであれば、その欠けや割れ等の破損の有無を検査することがある。
一方で、本発明に係る保護膜付き半導体チップにおいては、上述のように、コーティング層の支持シートと接触している側とは反対側の面(裏面)の表面粗さRaが十分に小さくなっており、さらに、コーティング層と支持シートの凹凸面(裏面)との間には、空隙部の発生が抑制されている。したがって、半導体ウエハや半導体チップを、コーティング層側から保護膜形成用複合シートを介して、赤外線カメラ等によって観察するときに、鮮明な検査画像を取得できるため、高精度に検査を行うことができる。
次いで、支持シートから、半導体チップをその裏面に貼付されている保護膜とともに剥離させてピックアップすることにより、保護膜付き半導体チップを得る。例えば、支持シートが基材及び粘着剤層が積層されてなり、前記粘着剤層がエネルギー線硬化性のものである場合には、エネルギー線の照射によって粘着剤層を硬化させ、この硬化後の粘着剤層から、半導体チップをその裏面に貼付されている保護膜とともにピックアップすることにより、より容易に保護膜付き半導体チップが得られる。
例えば、図1に示す保護膜形成用複合シート1を用いる場合には、保護膜形成用複合シート1の保護膜形成用フィルム13に半導体ウエハの裏面を貼付するとともに、露出されている支持シート10(粘着剤層12)をリングフレーム等のダイシング用治具(図示略)に貼付して、保護膜形成用複合シート1をダイシング装置に固定する。次いで、保護膜形成用フィルム13を硬化させて保護膜とした後、保護膜にレーザー印字を行い、次いでダイシングを行い、必要に応じてエネルギー線の照射によって、粘着剤層12の前記治具への貼付箇所以外の領域を硬化させてから、保護膜付き半導体チップをピックアップすればよい。このように、粘着剤層12がエネルギー線硬化性のものである保護膜形成用複合シート1を用いた場合には、保護膜形成用複合シート1が前記治具から剥離してしまわないように、粘着剤層12の特定領域を硬化させないように調節することが必要となる。一方で、保護膜形成用複合シート1を用いた場合には、これを前記治具へ貼付するための構成を別途設ける必要がない。
これに対して、図2に示す保護膜形成用複合シート2を用いる場合には、保護膜形成用複合シート2の保護膜形成用フィルム23に半導体ウエハの裏面を貼付するとともに、治具用接着剤層16をリングフレーム等のダイシング用治具(図示略)に貼付して、保護膜形成用複合シート2をダイシング装置に固定する。次いで、保護膜形成用フィルム23を硬化させて保護膜とした後、保護膜にレーザー印字を行い、次いでダイシングを行い、必要に応じてエネルギー線の照射によって粘着剤層12を硬化させてから、保護膜付き半導体チップをピックアップすればよい。このように、粘着剤層12がエネルギー線硬化性のものである保護膜形成用複合シート2を用いた場合には、保護膜形成用複合シート1を用いた場合とは異なり、粘着剤層12の特定領域を硬化させないように調節することは不要である。一方で、保護膜形成用複合シート2として、保護膜形成用複合シート1とは異なり、治具用接着剤層16を備えたものが必要となる。治具用接着剤層16を備えていることで、粘着剤層12として、目的に応じて幅広い組成のものを選択できる。
次に、保護膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性である場合の保護膜形成用複合シートの使用方法について説明する。
この場合には、まず、上述の保護膜形成用フィルムが熱硬化性である場合と同様に、保護膜形成用複合シートの保護膜形成用フィルムに半導体ウエハの裏面を貼付するとともに、保護膜形成用複合シートをダイシング装置に固定する。
次いで、保護膜形成用フィルムをエネルギー線の照射によって硬化させて保護膜とする。半導体ウエハの表面(電極形成面)にバックグラインドテープが貼付されている場合には、通常、このバックグラインドテープを半導体ウエハから取り除いてから、保護膜を形成する。
次いで、半導体ウエハをダイシングして半導体チップとする。保護膜を形成してからダイシングを行うまでの間においては、保護膜形成用複合シートのコーティング層側から保護膜にレーザー光を照射して、保護膜の表面に印字を行うことができる。この印字からダイシングまでは、上述の保護膜形成用フィルムが熱硬化性である場合と同様に行うことができ、その場合と同様に、保護膜に対して鮮明にレーザー印字を行うことができ、赤外線カメラ等によって高精度に検査を行うことができる。
次いで、支持シートから、半導体チップをその裏面に貼付されている保護膜とともに剥離させてピックアップすることにより、保護膜付き半導体チップを得る。
この方法は、例えば、保護膜形成用複合シートとして、支持シートが基材及び粘着剤層が積層されてなり、かつ前記粘着剤層が非エネルギー線硬化性であるものを用いる場合に、特に好適である。なお、ここでは、保護膜形成用フィルムをエネルギー線の照射によって硬化させてから、半導体ウエハをダイシングし、保護膜付き半導体チップをピックアップする得る場合について説明したが、前記粘着剤層が非エネルギー線硬化性である場合には、保護膜形成用フィルムのエネルギー線の照射による硬化は、半導体チップをピックアップするまでのいずれの段階でも行うことができる。
例えば、支持シートが基材及び粘着剤層が積層されてなり、かつ前記粘着剤層がエネルギー線硬化性のものである保護膜形成用複合シートを用いる場合には、以下に説明する方法が好ましい。
すなわち、まず、上記の場合と同様に、保護膜形成用複合シートの保護膜形成用フィルムに半導体ウエハの裏面を貼付するとともに、保護膜形成用複合シートをダイシング装置に固定する。
次いで、保護膜形成用複合シートのコーティング層側から保護膜にレーザー光を照射して、保護膜の表面に印字を行い、さらに半導体ウエハをダイシングして半導体チップとする。この印字からダイシングまでは、上述の保護膜形成用フィルムが熱硬化性である場合と同様に行うことができ、その場合と同様に、保護膜に対して鮮明にレーザー印字を行うことができ、赤外線カメラ等によって高精度に検査を行うことができる。
次いで、エネルギー線の照射によって、保護膜形成用フィルムを硬化させて保護膜とすると共に、粘着剤層を硬化させ、この硬化後の粘着剤層から、半導体チップをその裏面に貼付されている保護膜とともにピックアップすることにより、保護膜付き半導体チップが得られる。
一方、長尺の保護膜形成用複合シートを巻き取る場合には、通常、保護膜形成用フィルムの露出面上に剥離フィルム(図1及び2においては剥離フィルム15)が積層された状態の保護膜形成用複合シートが使用される。そして、本発明に係る保護膜形成用複合シートは、如何なる構成であっても(例えば、図1に示す保護膜形成用複合シート1、及び図2に示す保護膜形成用複合シート2のいずれであっても)、保護膜形成用複合シートをロール状に巻き取るに従って、コーティング層、支持シート、保護膜形成用フィルム及び剥離フィルムがこの順に積層されている積層単位が、ロールの径方向に順次積み重ねられていく。その結果、ロールの径方向において互いに接触している積層単位同士の間では、一方の積層単位の剥離フィルムの表面(保護膜形成用フィルムが設けられている側とは反対側の面)と、他方の積層単位のコーティング層の裏面(基材と接触している側とは反対側の面)とが接触し、押圧された状態となり、この状態のまま、保護膜形成用複合シートのロールは保存される。しかし、コーティング層が設けられていることにより、積層単位同士の間では、これら剥離フィルム及びコーティング層の貼り付きが抑制されるため、本発明に係る保護膜形成用複合シートは、ブロッキングが抑制される。
保護膜形成用フィルム上に剥離フィルムを備えた状態の、幅50mm、長さ100mmの本発明に係る保護膜形成用複合シートを、コーティング層がすべて同じ方向を向くように、かつコーティング層の合計の厚さが10〜60μmとなるように複数枚重ねることで、一方の最外層がコーティング層で、他方の最外層が剥離フィルムである積層体とし、この積層体を、保護膜形成用複合シートの積層方向において980.665mN(すなわち100gf)の力(外力)を加えたまま40℃で3日間静置した後、前記積層方向において前記最外層のコーティング層に最も近い剥離フィルムを剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、隣接するコーティング層(前記積層方向において前記最外層のコーティング層に最も近いコーティング層)から剥離させたときの剥離力は、好ましくは、10mN/50mm以下、より好ましくは7.5mN/50mm以下、特に好ましくは5mN/50mm以下となる。なお、ここで複数枚重ねる保護膜形成用複合シートは、すべて同じ構成のものとする。また、重ねる保護膜形成用複合シートの枚数は、10枚であることが好ましい。このような剥離フィルムの剥離力から、本発明に係る保護膜形成用複合シートのブロッキング抑制効果(耐ブロッキング性)の高さを確認できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
<保護膜形成用複合シートの製造>
[実施例1]
図1に示す構成の保護膜形成用複合シートを製造した。この保護膜形成用複合シートの平面図を図3に示す。より具体的には、以下のとおりである。
[第1積層体の製造]
(熱硬化性保護膜形成用組成物の調製)
下記成分を下記量(固形分)で配合し、さらにメチルエチルケトンを配合して、固形分濃度が51質量%の保護膜形成用組成物(III−1)を得た。
(重合体成分(A))
(A)−1:アクリル酸n−ブチル10質量部、アクリル酸メチル70質量部、メタクリル酸グリシジル5質量部及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル15質量部を共重合してなるアクリル系樹脂(重量平均分子量400000、ガラス転移温度−1℃)150質量部
(熱硬化性成分(B))
・エポキシ樹脂(B1)
(B1)−1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「JER828」、エポキシ当量183〜194g/eq、分子量370)60質量部
(B1)−2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「JER1055」、エポキシ当量800〜900g/eq、分子量1600)10質量部
(B1)−3:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「エピクロンHP−7200HH」、エポキシ当量274〜286g/eq)30質量部
・熱硬化剤(B2)
(B2)−1:ジシアンジアミド(固体分散型潜在性硬化剤、ADEKA社製「アデカハードナーEH−3636AS」、活性水素量21g/eq)2質量部
(硬化促進剤(C))
(C)−1:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製「キュアゾール2PHZ」)2質量部
(充填材(D))
(D)−1:シリカフィラー(アドマテックス社「SC2050MA」、エポキシ系化合物で表面修飾されたもの、平均粒子径0.5μm)320質量部
(カップリング剤(E))
(E)−1:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤、信越化学工業社製「KBM403」、メトキシ当量12.7mmol/g、分子量236.3)0.4質量部
(着色剤(I))
(I)−1:カーボンブラック(顔料、三菱化学社製「MA600B」、平均粒子径28nm)1.2質量部
(保護膜形成用フィルムの形成、第1積層体の製造)
第1剥離フィルム(リンテック社製「SP−P502010*」、厚さ50μm)の剥離処理面上に、ナイフコーターを用いて、上記で得られた保護膜形成用組成物(III−1)を塗布し、120℃で2分間乾燥させて、保護膜形成用フィルム(厚さ25μm)を形成した。
次いで、この保護膜形成用フィルムの第1剥離フィルムが設けられている面とは反対側の面に、第2剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031C」、厚さ38μm)の剥離処理面を貼り合わせて、第1剥離フィルム、保護膜形成用フィルム及び第2剥離フィルムがこの順に積層されてなる、長尺の積層体を得た。次いで、この長尺の積層体を巻き取ってロールとした後、この積層体を、その幅方向(図3に示す保護膜形成用複合シート1の符号wで示す幅の方向)において300mmの大きさの分だけ裁断した。
そして、この裁断した積層体に対して、その幅方向中央部において、第2剥離フィルム側から、第2剥離フィルム及び保護膜形成用フィルムにともに、平面視にて直径220mmの円形を描くように切れ込みを入れるハーフカットを行った。なお、本明細書において積層体の「平面視」とは、積層体をその積層方向上方から見下ろすことを意味する。そして、このハーフカットで形成した円形の部分のみを残すようにして、第2剥離フィルム及び保護膜形成用フィルムを前記積層体から除去することにより、第1剥離フィルムの剥離処理面上に、平面視にて円形の保護膜形成用フィルム及び第2剥離フィルムがこの順に積層されてなる第1積層体を得た。この第1積層体における円形の保護膜形成用フィルムは、図3に示す保護膜形成用複合シート1における、直径dが220mmの円形の保護膜形成用フィルム13に相当する。
(コーティング組成物の調製)
シリカゾルが2−エトキシエタノール(エチルセロソルブ)中に分散された分散液(触媒化成工業社製「OSCAL1632」、シリカゾルの粒径30〜50nm、固形分濃度30質量%)150質量部に、ウレタンアクリレート及び多官能性アクリレートモノマーからなるハードコート剤(荒川化学工業社製「ビームセット575CB」、固形分濃度100質量%、光重合開始剤含有)100質量部を配合して、コーティング組成物(固形分濃度30質量%)を得た。
(コーティング層の形成)
次いで、凹凸面の表面粗さRaが0.4μmで、この凹凸面とは反対側の面の表面粗さRaが0.02μmであるポリプロピレン製基材(厚さ100μm、融点140〜160℃)の前記凹凸面に、マイヤーバーコーターを用いて、上記で得られたコーティング組成物を塗布し、80℃で1分乾燥させた後、約230mJ/cmの光量で紫外線を照射して乾燥後の塗膜を硬化させ、コーティング層(厚さ3μm)を形成した。
(粘着剤組成物の調製)
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体100質量部、及び芳香族系ポリイソシアネート化合物(架橋剤、三井化学社製「タケネートD110N」)10質量部(固形分)を配合し、さらにメチルエチルケトンを配合して、固形分濃度が30質量%の粘着剤組成物(iii)を得た。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、アクリル酸n−ブチル40質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル55質量部及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル5質量部を共重合してなる、重量平均分子量600000のアクリル系樹脂である。
(粘着剤層(支持シート)の形成、第2積層体の製造)
片面がシリコーン系の剥離剤層の形成によって剥離処理されてなる、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製フィルムからなる第3剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031C」)の前記剥離処理面に、ナイフコーターを用いて、上記で得られた粘着剤組成物(iii)を塗布し、乾燥させて、粘着剤層(厚さ5μm)を形成した。
次いで、コーティング層が形成された上述の基材の、凹凸面とは反対側の面をコロナ処理した後、このコロナ処理面に、上記の粘着剤層を貼り合わせ、コーティング層、基材、粘着剤層及び第3剥離フィルムがこの順に積層されてなり、支持シートを含む、長尺の第2積層体を得た。
次いで、この長尺の第2積層体を巻き取ってロールとした後、この第2積層体を、その幅方向(図3に示す保護膜形成用複合シート1の符号wで示す幅の方向)において300mmの大きさの分だけ裁断した。
(保護膜形成用複合シートの製造)
上記で得られた第1積層体から第2剥離フィルムを取り除き、円形の保護膜形成用フィルムを露出させた。また、上記で得られた第2積層体から第3剥離フィルムを取り除き、粘着剤層を露出させた。そして、この粘着剤層の露出面に、上記の保護膜形成用フィルムの露出面を貼り合わせることで、コーティング層、基材、粘着剤層、保護膜形成用フィルム及び第1剥離フィルムがこの順に積層されてなる、保護膜形成用複合シートに相当する第3積層体を得た。
上記で得られた第3積層体に対して、コーティング層側から、コーティング層、基材及び粘着剤層のすべてに、平面視にて直径270mmの円形を描くように切れ込みを入れるハーフカットを行った。このハーフカットでは、平面視にて、直径270mmの前記円が、保護膜形成用フィルムが形成している直径220mmの円に対して同心円となるように、コーティング層、基材及び粘着剤層のすべてに切れ込みを入れた。
次いで、平面視にて、上記の直径270mmの円に対して、この円の径方向外側に20mm離れた位置に、第3積層体の幅方向(図3に示す保護膜形成用複合シート1の符号wで示す幅の方向)において対向する一対の円弧を描くように、コーティング層側から、コーティング層、基材及び粘着剤層のすべてに切れ込みを入れるハーフカットを行った。この一対の円弧に相当する切れ込みは、図3に示す保護膜形成用複合シート1における、符号121で示す粘着剤層の曲面状の周縁部を形成する。そして、直径270mmの円と、前記円弧との間の距離(20mm)は、図3に示す保護膜形成用複合シート1における、符号wに相当する。
このような、2個の同心円と一対の円弧を描く上述のハーフカットを、第3積層体の長手方向(図3に示す保護膜形成用複合シート1の符号wで示す幅の方向に対して直交する方向)における複数箇所で行い、平面視にて、隣り合う箇所の間で円弧同士を前記長手方向で連結する直線を2本描くように、コーティング層側から、コーティング層、基材及び粘着剤層のすべてに切れ込みを入れるハーフカットを行った。この2本の直線に相当する切れ込みは、図3に示す保護膜形成用複合シート1における、符号122で示す粘着剤層の平面状の周縁部を形成する。
次いで、平面視にて、上記の直径270mmの円と一対の円弧との間の部分、及び上記の円弧同士を連結する2本の直線で挟まれた部分における、コーティング層、基材及び粘着剤層を取り除くことで、図1及び3に示す保護膜形成用複合シートを得た。この保護膜形成用複合シートにおける円形の粘着剤層(支持シート)は、図3における、直径dが270mmの円形の粘着剤層12(支持シート10)に相当する。また、この保護膜形成用複合シートにおける第1剥離フィルムは、図3における剥離フィルム15に相当する。
[実施例2]
表1に示すように、凹凸面の表面粗さRaが0.4μmではなく1μmである基材を用いた点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用複合シートを得た。
[実施例3]
表1に示すように、凹凸面の表面粗さRaが0.4μmではなく1μmである基材を用い、コーティング層の厚さを3μmに代えて1μmとした点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用複合シートを得た。
[実施例4]
表1に示すように、コーティング層の厚さを3μmに代えて1μmとした点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用複合シートを得た。
[実施例5]
表1に示すように、凹凸面の表面粗さRaが0.4μmではなく1μmである基材を用い、コーティング層の厚さを3μmに代えて6μmとした点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用複合シートを得た。
[実施例6]
表1に示すように、凹凸面の表面粗さRaが0.4μmではなく3μmである基材を用い、コーティング層の厚さを3μmに代えて6μmとした点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用複合シートを得た。
[比較例1]
表1に示すように、凹凸面の表面粗さRaが0.4μmではなく1μmである基材を用い、コーティング層を形成しなかった点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用複合シートを得た。
[比較例2]
表1に示すように、凹凸面が反対側、すなわち粘着剤層側(内側)に向くように基材を配置して、コーティング層を形成しなかった(すなわち、図5に示す従来の構成とした)点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用複合シートを得た。
[比較例3]
表1に示すように、凹凸面の表面粗さRaが0.4μmではなく1μmである基材を用い、凹凸面が反対側、すなわち粘着剤層側(内側)に向くようにこの基材を配置して、コーティング層を形成しなかった(すなわち、図5に示す従来の構成とした)点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用複合シートを得た。
[比較例4]
シリカゾルが2−エトキシエタノール中に分散された分散液に代えて、固形分として同じ量の、エポキシ基で表面修飾された球状シリカ(アドマテックス社製「SC2050MA」、平均粒子径0.5μm)を用いた点以外は、実施例1と同じ方法でコーティング組成物を調製した。
そして、このコーティング組成物を用いた点以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用複合シートを得た。
得られた保護膜形成用複合シートにおいて、基材側最表面の表面粗さRaは、表1に示すように、0.8μmであった。
<保護膜形成用複合シートの評価>
[レーザー印字性]
上記で得られた各実施例及び比較例の保護膜形成用複合シートにおいて、第1剥離フィルムを取り除き、貼付装置(リンテック社製「RAD−2700F/12」)を用いて、ステンレス製リングフレームに粘着剤層を貼付するとともに、70℃に加熱したシリコンウエハ(外径8インチ、厚さ100μm)の裏面に保護膜形成用フィルムを貼付した。
次いで、保護膜形成用フィルムを130℃で2時間加熱処理することで、保護膜形成用フィルムを熱硬化させて保護膜を形成した。
次いで、印字装置(KEYENCE社製「VK9700」)を用いて、出力0.6W、周波数40kHz、走査速度100mm/秒の条件で、基材側から保護膜に対して波長532nmのレーザー光を照射して、下記の2つのパターン(パターン1、パターン2)で保護膜にレーザー印字を行った。
(パターン)
パターン1:文字サイズ0.4mm×0.5mm、文字間隔0.3mm、文字数20
パターン2:文字サイズ0.2mm×0.5mm、文字間隔0.3mm、文字数20
次いで、上記のレーザー印字で保護膜に形成された文字について、基材側からの視認性(レーザー印字性)を下記基準に従って評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
A:パターン1及び2の全ての文字が鮮明であり、パターン1及び2の文字を問題なく読むことができた。
B:パターン2では少なくとも一部の文字が不鮮明であるが、パターン1では全ての文字が鮮明であり、パターン1の文字を問題なく読むことができた。
C:パターン1及び2のいずれにおいても、少なくとも一部の文字が不鮮明であった。
[耐ブロッキング性(1)]
上記で得られた各実施例及び比較例の保護膜形成用複合シートを、3インチ径のABS樹脂製コアに10mの長さで巻き取り、この状態のまま室温で3日間静置した。
次いで、実施例1〜6、比較例4の保護膜形成用複合シートについては、コーティング層、基材、粘着剤層、保護膜形成用フィルム及び第1剥離フィルムがこの順に積層されている積層単位10個分を、比較例1〜3の保護膜形成用複合シートについては、コーティング層が存在しないため、基材、粘着剤層、保護膜形成用フィルム及び第1剥離フィルムがこの順に積層されている積層単位10個分を、それぞれ繰り出すことを試み、このとき、巻き取り時に互いに接触していた保護膜形成用複合シートの接触部同士の貼り付きの有無と、貼り付きがあった場合にはその程度について、下記基準に従って評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
A:前記接触部同士の貼り付きが全く認められなかった。
B:前記接触部同士の軽度の貼り付きが認められたが、問題なく保護膜形成用複合シートを繰り出すことができた。
C:前記接触部同士が一部で完全に貼り付いており、保護膜形成用複合シートを繰り出すときに、第1剥離フィルムが粘着剤層から剥離してしまった。
[耐ブロッキング性(2)]
上記で得られた各実施例及び比較例の保護膜形成用複合シートを、幅50mm、長さ100mmの大きさのテープとなるように切り出した。なお、切り出しに際しては、このテープの長さ方向が粘着剤組成物の塗布方向と一致するようにした。
このようにして得られたテープを10枚用意し、これらテープを積層して試験片とした。このとき、実施例1〜6、比較例4の場合には、いずれもコーティング層が上向きとなるように前記テープを積層した。そして、比較例1〜3の場合には、コーティング層が存在しないため、いずれも基材が上向きとなるように前記テープを積層した。次いで、この試験片を2枚のガラス板(幅75mm、長さ15mm、厚さ5mm)で挟み込み、これらガラス板と試験片との積層物全体を、一方のガラス板を最下層として所定の箇所に載置し、他方の最上層のガラス板上に錘を載せて、前記試験片を加圧した。このときの、前記テープの積層方向において、前記試験片に加えられた力は980.665mN(すなわち100gf)であった。この状態でこれらガラス板と試験片との積層物全体を、湿熱促進器(ESPEC社製)内で、40℃で3日間保管し、前記試験片に対して加熱加圧促進試験を行った。
次いで、湿熱促進器から前記試験片を取り出し、最下層の第1剥離フィルム(最下層のガラス板と接触していた第1剥離フィルム)及びこれに隣接する保護膜形成用フィルムを取り除き、露出した粘着剤層を、両面粘着テープを介して支持板に貼り合わせることで、加熱加圧促進試験後の前記試験片から最下層の第1剥離フィルム及びこれに隣接する保護膜形成用フィルムのみ取り除かれたものを前記支持板に固定した。
次いで、実施例1〜6、比較例4の場合には、上記の固定したもののうち、前記支持板から最も遠い最上層のコーティング層、基材、粘着剤層及び保護膜形成用フィルムからなる積層物を取り除き、露出した第1剥離フィルムを、引張試験機を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、隣接するコーティング層から剥離させたときの剥離力を測定した。比較例1〜3の場合には、上記の固定したもののうち、前記支持板から最も遠い最上層の基材、粘着剤層及び保護膜形成用フィルムからなる積層物を取り除き、露出した第1剥離フィルムを、引張試験機を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、隣接する基材から剥離させたときの剥離力を測定した。このようにして得られた、第1剥離フィルムの剥離力の測定値を、保護膜形成用複合シートの耐ブロッキング性の指標とした。
なお、測定しようとする第1剥離フィルムの剥離力が十分に小さい場合には、湿熱促進器から取り出した前記試験片から、上述の様に最下層の第1剥離フィルム(最下層のガラス板と接触していた第1剥離フィルム)に隣接する保護膜形成用フィルムを取り除こうとするときに、剥離力の測定対象である第1剥離フィルムが先に、その隣接する層(実施例1〜6、比較例4の場合にはコーティング層、比較例1〜3の場合には基材)から剥離してしまうことがある。その場合には、湿熱促進器から取り出した前記試験片から、最下層の第1剥離フィルムを取り除いた後、これに隣接する保護膜形成用フィルムは取り除かずに、この保護膜形成用フィルムを、両面粘着テープを介して支持板に貼り合わせることで、前記試験片から最下層の第1剥離フィルムのみが取り除かれたものを前記支持板に固定して、この固定したものについて、上記と同様に第1剥離フィルムの剥離力を測定した。
結果を表1に示す。
[基材側最表面の表面粗さRa]
上記で得られた実施例1〜6、比較例4の保護膜形成用複合シートについて、基材側最表面、すなわち、コーティング層の基材側とは反対側の面の表面粗さRaを、接触式表面粗さ計(ミツトヨ社製「SURFTEST SV−3000」)を用いて、カットオフ値λcを0.8mm、評価長さLnを4mmとし、JIS B0601:2001に従って測定した。結果を表1に示す。表1において、比較例1〜3の保護膜形成用複合シートについては、基材側最表面の表面粗さRaとして、上述の基材の粘着剤層側とは反対側の面の表面粗さRaを記載した。
[コーティング層の表面のグロス値]
上記で得られた実施例1〜6、比較例4の保護膜形成用複合シートについて、光沢計(日本電色社製グロスメーター「VG 2000」)を用いて、JIS K 7105に従って、コーティング層の基材側とは反対側から、コーティング層の表面の20°鏡面光沢度を測定し、その測定値をコーティング層の表面のグロス値とした。結果を表1に示す。
[コーティング層側からのヘーズの測定値]
上記で得られた実施例1〜6、比較例4の保護膜形成用複合シートについて、ヘーズメーター(日本電色工業社製「NDH−2000」)を用いて、JIS K 7136に従って、コーティング層側からヘーズを測定した。結果を表1に示す。
Figure 2017149890
実施例1〜6の保護膜形成用複合シートは、基材側の最外層にコーティング層を備えていることで、レーザー印字性及び耐ブロッキング性がいずれも良好であった。
特に、実施例1、2、4及び5の保護膜形成用複合シートは、実施例3及び6の保護膜形成用複合シートよりもレーザー印字性に優れており、これは、実施例1、2、4及び5の保護膜形成用複合シートでは、「[コーティング層の厚さ(μm)]/[基材の凹凸面の表面粗さRa(μm)]」の値がより大きく、基材の凹凸面の表面粗さRaに対するコーティング層の相対的な厚さがより厚いことで、基材側最表面(コーティング層の基材側とは反対側の面)の表面粗さRa(μm)がより小さくなっているためであると推測される。
また、実施例1〜4の保護膜形成用複合シートは、実施例5及び6の保護膜形成用複合シートよりも耐ブロッキング性に優れており、これは、実施例1〜4の保護膜形成用複合シートの方が、コーティング層の厚さが薄いためであると推測される。
なお、実施例1〜6の保護膜形成用複合シートは、いずれも基材と粘着剤層との間に空隙部が認められなかった。
これに対して、比較例1の保護膜形成用複合シートは、図4に示すものと同様に、基材の粘着剤層を備えている側の面(表面)とは反対側の面(裏面)が凹凸面であり、かつコーティング層も備えていないことにより、耐ブロッキング性には優れていたものの、レーザー印字性に劣っていた。
比較例2の保護膜形成用複合シートは、図5に示すものと同様に、基材の粘着剤層を備えている側の面(表面)とは反対側の面(裏面)が平滑面であり、かつコーティング層も備えていないことにより、レーザー印字性は良好であったものの、耐ブロッキング性に劣っていた。比較例3の保護膜形成用複合シートも、比較例2の保護膜形成用複合シートと同様の構成を有しているものの、耐ブロッキング性だけでなく、レーザー印字性にも劣っていた。これは、基材の粘着剤層を備えている側の面(表面)が凹凸面であり、かつその表面粗さRaが比較例2の保護膜形成用複合シートよりも大きいためであると推測される。比較例3では、前記凹凸面の表面粗さRaが大きいために、凹凸面の形状が保護膜の表面にも反映されてしまい、保護膜の表面における凹凸の度合いが比較例2の場合よりも大きくなってしまったことで、光の乱反射がより大きく、レーザー印字性がより劣っていたと推測される。さらに、比較例2及び3の保護膜形成用複合シートは、いずれも基材の凹凸面と粘着剤層との間に空隙部があったが、比較例3の方が比較例2よりも凹凸面の表面粗さRaが大きいために空隙部が大きくなっており、そのため、比較例3の方が比較例2よりも光の乱反射がより大きく、レーザー印字性がより劣っていたと推測される。
比較例4の保護膜形成用複合シートは、実施例1の保護膜形成用複合シートと同様に、基材の粘着剤層を備えている側の面(表面)とは反対側の面(裏面)が凹凸面であり、かつコーティング層も備えており、耐ブロッキング性には優れていたものの、レーザー印字性に劣っていた。これは、比較例4の保護膜形成用複合シートでは、基材側最表面(コーティング層の基材側とは反対側の面)が、基材の粘着剤層を備えている側の面(表面)とは反対側の面(裏面)よりも、表面粗さRa(μm)が大きくなっているためであると推測される。
本発明は、裏面が保護膜で保護された半導体チップ等の製造に利用可能である。
1,2・・・保護膜形成用複合シート、10・・・支持シート、10a・・・支持シートの表面、10b・・・支持シートの裏面、11・・・基材、11a・・・基材の表面、11b・・・基材の裏面、12・・・粘着剤層、12a・・・粘着剤層の表面、13,23・・・保護膜形成用フィルム、13a,23a・・・保護膜形成用フィルムの表面、14・・・コーティング層、14a・・・コーティング層の表面、14b・・・コーティング層の裏面、15・・・剥離フィルム、15a・・・剥離フィルムの表面、16・・・治具用接着剤層、16a・・・治具用接着剤層の表面

Claims (5)

  1. 支持シートを備え、前記支持シートの一方の表面上に保護膜形成用フィルムを備え、前記支持シートの前記保護膜形成用フィルムを備えている側とは反対側の表面上にコーティング層を備えてなり、
    前記コーティング層の前記支持シートと接触している側とは反対側の表面は、前記支持シートの前記コーティング層を備えている側の表面よりも表面粗さRaが小さい、保護膜形成用複合シート。
  2. さらに前記保護膜形成用フィルム上に剥離フィルムを備えた前記保護膜形成用複合シートを用いて、下記方法で測定した前記剥離フィルムの剥離力が10mN/50mm以下である、請求項1に記載の保護膜形成用複合シート。
    (剥離フィルムの剥離力の測定方法)
    保護膜形成用フィルム上に剥離フィルムを備えた、幅50mm、長さ100mmの前記保護膜形成用複合シートを、前記コーティング層がすべて同じ方向を向くように、かつ前記コーティング層の合計の厚さが10〜60μmとなるように複数枚重ねることで、一方の最外層がコーティング層で、他方の最外層が剥離フィルムである積層体とし、前記積層体を、前記保護膜形成用複合シートの積層方向において980.665mNの力を加えたまま40℃で3日間静置した後、前記積層方向において前記最外層のコーティング層に最も近い剥離フィルムを剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、隣接するコーティング層から剥離させたときの剥離力を測定する。
  3. 前記支持シートが、基材及び粘着剤層が積層されてなり、
    前記保護膜形成用複合シートが、前記コーティング層、基材、粘着剤層及び保護膜形成用フィルムがこの順に積層されてなる、請求項1又は2に記載の保護膜形成用複合シート。
  4. 前記粘着剤層が、エネルギー線硬化性又は非エネルギー線硬化性のものである、請求項3に記載の保護膜形成用複合シート。
  5. 前記保護膜形成用フィルムが、熱硬化性又はエネルギー線硬化性のものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の保護膜形成用複合シート。
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