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JPWO2016047268A1 - 活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、粘着シート - Google Patents

活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、粘着シート Download PDF

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JPWO2016047268A1
JPWO2016047268A1 JP2016550011A JP2016550011A JPWO2016047268A1 JP WO2016047268 A1 JPWO2016047268 A1 JP WO2016047268A1 JP 2016550011 A JP2016550011 A JP 2016550011A JP 2016550011 A JP2016550011 A JP 2016550011A JP WO2016047268 A1 JPWO2016047268 A1 JP WO2016047268A1
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Abstract

活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、一般式(I)で表される化合物と、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートと、多官能ウレタン(メタ)アクリレート以外の、エチレン性不飽和基を有する化合物と、を含む。

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、および、粘着シートに関する。
ウレタン(メタ)アクリレートは活性エネルギー線硬化型樹脂として知られており、その利用分野も近年拡大傾向にあり、例えば、粘着剤用途にも使用されている。
具体的には、特許文献1においては、所定の成分を反応して得られるポリイソシアネート系誘導体(ウレタン(メタ)アクリレートに該当)、および、エチレン性不飽和モノマーを含有してなる活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物が開示されている。上記組成物では、光重合開始剤として、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア2959」)が使用されている。
特開2003−183615号公報
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成される粘着シートには、被着体に対して優れた粘着性を示すことが求められる。また、粘着シートは長期間放置された後に使用される場合もあるため、湿熱環境下にて放置された後も優れた粘着性を示すことも求められる。つまり、粘着性の経時安定性も求められる。
本発明者らは、特許文献1に記載されるような、ウレタン(メタ)アクリレートとイルガキュア2959とを含む活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を用いて形成される粘着シートの特性について検討を行ったところ、特に、粘着性の経時安定性が昨今要求されるレベルを満たしたおらず、更なる改良が必要であった。
また、ウレタン(メタ)アクリレートの反応性を高めるために、イルガキュア2959の使用量を増やすと、組成物中で光重合開始剤が溶解しないという問題もあった。
本発明は、上記実情を鑑みて、優れた粘着性を示し、かつ、湿熱環境下に放置した後でも、粘着性の劣化が抑制される粘着シートを形成することができる、不溶物の析出が抑制された活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を用いて形成される粘着シートを提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、所定の光重合開始剤を用いることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 後述する一般式(I)で表される化合物と、
1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートと、
多官能ウレタン(メタ)アクリレート以外の、エチレン性不飽和基を有する化合物と、を含む活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
一般式(I)中、V、V、VおよびVは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。nは、1〜5の整数を表す。
(2) nが1または2である、(1)に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。(3) nが1である、(1)または(2)に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
(4) 多官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物中の全固形分質量に対して、5〜40質量%である、(1)〜(3)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
(5) (メタ)アクリロイル基の数が2〜4個である、(1)〜(4)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
(6) 多官能ウレタン(メタ)アクリレートと一般式(I)で表される化合物との質量比Aが、3.0〜10である、(1)〜(5)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。なお、質量比Aは、多官能ウレタン(メタ)アクリレートの質量/一般式(I)で表される化合物の質量を表す。
(7) エチレン性不飽和基の数が1〜2個である、(1)〜(6)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
(8) エチレン性不飽和基を有する化合物が、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以下のエチレン性不飽和基を有する化合物を含む、(1)〜(7)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
(9) 多官能ウレタン(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和基を有する化合物と質量比Bが0.25〜1.0である、(1)〜(8)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。質量比Bは、多官能ウレタン(メタ)アクリレートの質量/エチレン性不飽和基を有する化合物の質量を表す。
(10) (1)〜(9)のいずれかに活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射して得られる粘着シート。
本発明によれば、優れた粘着性を示し、かつ、湿熱環境下に放置した後でも、粘着性の劣化が抑制される粘着シートを形成することができる、不溶物の析出が抑制された活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を用いて形成される粘着シートを提供することもできる。
段差追従性評価で使用される評価サンプルの断面図である。
以下に、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物等について説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、成分が2種以上の化合物を含む場合、上記成分の含有量とは、合計の含有量を指す。
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の特徴点の一つとしては、一般式(I)で表される化合物を使用している点が挙げられる。後述するように、一般式(I)で表される化合物は、光重合開始剤として機能する。特許文献1で使用されていたイルガキュア
2959は、必ずしも多官能ウレタン(メタ)アクリレート等への溶解性が十分でなく、結果として高濃度で添加した際に溶解せず、不溶物として析出したり、結晶化して析出したりしていた。一方、本発明で使用される一般式(I)で表される化合物は、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと優れた相溶性を示すため、高添加量での使用も可能となり、不溶物の析出が抑制される。よって、多官能ウレタン(メタ)アクリレートの反応性が向上し、モノマー残渣等の成分が低減し、結果として優れた粘着性が実現される。さらに、一般式(I)で表される化合物が感光して分解した後において、その残渣物にはエチレンオキシ構造由来の成分が含まれるが、これらの成分は多官能ウレタン(メタ)アクリレート中のイソシアネート残基と反応可能と考えられる。従来使用されていたイルガキュア2959が感光した後に生じる残渣物は湿熱環境下において粘着シートの表面にブリードアウトし、それらの成分が粘着性を低下させていると考えられる。それに対して、上述したように、一般式(I)で表される化合物から生じる残渣物は多官能ウレタン(メタ)アクリレート中のイソシアネート残渣と反応し、粘着シート内に固定化されることにより、上記のようなブリードアウトが抑制され、結果として湿熱環境下に粘着シートを放置した後も粘着性の低下が抑制されると考えられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(以後、単に「組成物」とも称する)には、後述する一般式(I)で表される化合物と、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと、エチレン性不飽和基を有する化合物とが少なくとも含まれる。
以下、まず、組成物に含まれる成分について詳述する。
<(A):一般式(I)で表される化合物>
組成物には、一般式(I)で表される化合物が含まれる。この化合物は、いわゆる光重合開始剤として機能する。
一般式(I)中、V、V、V、および、Vは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表す。置換基の種類は特に制限されないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルキルチオ基、メルカプト基、アシル基、アミノ基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子、臭素原子がより好ましく、塩素原子が特に好ましい。
アルキル基に含まれる炭素原子数は特に制限されないが、炭素原子数1〜6が好ましく、炭素原子数1〜3がより好ましい。アルキル基は、直鎖アルキル基であってもよいし、分岐鎖アルキル基であってもよい。また、アルキル基は、脂環構造を有していてもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
アルコキシ基に含まれる炭素原子数は特に制限されないが、炭素原子数1〜6が好ましく、炭素原子数1〜3がより好ましい。アルコキシ基は、直鎖アルコキシ基であってもよいし、分岐鎖アルコキシ基であってもよい。また、アルコキシ基は、脂環構造を有していてもよい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基が好ましい。
アルキルチオ基に含まれる炭素原子数は特に制限されないが、炭素原子数1〜6が好ましく、炭素原子数1〜4がより好ましい。アルキルチオ基は、直鎖アルキルチオ基であってもよいし、分岐鎖アルキルチオ基であってもよい。また、アルキルチオ基は、脂環構造を有していてもよい。アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基が挙げられ、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基が好ましい。
アシル基に含まれる炭素原子数は特に制限されないが、炭素原子数1〜6が好ましく、炭素原子数1〜3がより好ましい。アシル基は、直鎖アシル基であってもよいし、分岐鎖アシル基であってもよい。アシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、エチルアシル基、n−プロピルアシル基、イソプロピルアシル基が挙げられ、ホルミル基、アセチル基、エチルアシル基が好ましい。
なかでも、粘着シートの粘着性がより優れる点、および/または、湿熱環境下での粘着シートの粘着性の低下がより抑制される点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、V〜Vとしては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基が好ましく、水素原子、アルコキシ基、アルキルチオ基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
また、一般式(I)で表される化合物の好ましい形態として、V〜Vのうち、2つ以上(好ましくは3つ以上、より好ましくは4つ)が水素原子である形態が挙げられる。
一般式(I)中、nは1〜5の整数を表す。なかでも、本発明の効果がより優れる点で、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましく、1がさらに好ましい。
以下、一般式(I)で表される化合物の具体例(例示化合物)を示すが、一般式(I)で表される化合物はこれらに限定されるものではない。
一般式(I)で表される化合物は23℃条件下において液体であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
一般式(I)で表される化合物は、例えば、特開2000−186242号公報の段落0067〜0071および0112〜0115に記載された方法に準じて合成できる。
組成物中における一般式(I)で表される化合物の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物中の固形分全質量に対して、0.3〜10.0質量%が好ましく、0.5〜7.0質量%がより好ましく、0.8〜5.0質量%がさらに好ましい。
なお、組成物中の固形分とは、粘着シートを構成する成分を意図し、溶媒等の揮発成分は含まれない。
なお、一般式(I)で表される化合物は1種のみが使用されてもよいし、2種以上合わせて使用されてもよい。
<(B):多官能ウレタン(メタ)アクリレート>
組成物には、多官能ウレタン(メタ)アクリレートが含まれる。多官能ウレタン(メタ)アクリレートとは、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有し、ウレタン結合(−NHCOO−)を有する化合物である。なお、多官能ウレタン(メタ)アクリレートとは、多官能ウレタンアクリレートおよび多官能ウレタンメタクリレートを含む概念である。また、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基を含む概念である。
多官能ウレタン(メタ)アクリレート中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は2個以上あればよいが、本発明の効果がより優れる点で、2〜8個が好ましく、2〜6個がより好ましく、粘着シートの段差追従性がより優れる点で、2〜4個がさらに好ましい。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートの一例としては、ポリイソシアネート系化合物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物とを反応させてなるものである。
ポリイソシアネート系化合物としては特に限定されないが、例えば、芳香族系、脂肪族系、脂環式系等のポリイソシアネートが挙げられ、なかでも、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等のポリイソシアネート或いはこれらポリイソシアネートの3量体化合物若しくは多量体化合物、ビューレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート(例えば、日本ポリウレタン工業社製の「アクアネート100」、「アクアネート110」、「アクアネート200」、「アクアネート210」等)、または、これらポリイソシアネートとポリオールの反応生成物等が挙げられる。これらは、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、上記ポリイソシアネートと反応可能なポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、ポリカプロラクトン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリテトラメチレングリコール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、カプロラクトン変性ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、2官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物として、例えば、U−108A、UA−112P、UA−5201、UA−512、UA−412A、UA−4200、UA−4400、UA−340P、UA−2235PE、UA−160TM、UA−122P、UA−512、UA−W2、UA−7000、UA−7100(以上、商品名、新中村化学工業製);CN962、CN963、CN964、CN965、CN980、CN981、CN982、CN983、CN996、CN9001、CN9002、CN9788、CN9893、CN978、CN9782、CN9783(以上、商品名、サートマー・ジャパン(株)製);M−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600(以上、商品名、東亞合成化学工業製);UN−9000PEP、UN−9200A、UN−7600、UN−
333、UN−1255、UN−6060PTM、UN−6060P、SH−500B(以上、商品名、根上工業製);AH−600、AT−600(以上、商品名、共栄社化学製);エベクリル280、エベクリル284、エベクリル402、エベクリル8402、エベクリル8807、エベクリル9270(以上、商品名、ダイセル・サイテック製);等が挙げられる。
3官能のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、CN929、CN944B85、CN989、CN9008(以上、商品名、サートマー・ジャパン(株)製);エベクリル264、エベクリル265、エベクリル1259、エベクリル8201、KRM8296、エベクリル294/25HD、エベクリル4820(以上、商品名、ダイセル・サイテック製);等が挙げられる。
4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、U−6HA、U−6LPA、U−6H、U−15HA、UA−32P、U−324A、UA−7200(以上、商品名、新中村化学工業製);CN968、CN9006、CN9010(以上、商品名、サートマー・ジャパン(株)製);UN−3320HA、UN−3320HB、UN−3320HC、UN−3320HS、UN−904、UN−901T、UN−905、UN−952(以上、商品名、根上工業製);エベクリル1290、エベクリル1290K、KRM8200、エベクリル5129、エベクリル8210、エベクリル8301、エベクリル8405(以上、商品名、ダイセル・サイテック製);等が挙げられる。
組成物中における多官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物中の固形分全質量に対して、2.5〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、15〜35質量%がさらに好ましい。
なお、多官能ウレタン(メタ)アクリレートは1種のみが使用されてよいし、2種以上合わせて使用されてもよい。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートと一般式(I)で表される化合物との質量比A(多官能ウレタン(メタ)アクリレートの質量/一般式(I)で表される化合物の質量)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.5以上が好ましく、3.0以上がより好ましく、12以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましい。
<(C):エチレン性不飽和基を有する化合物>
組成物には、上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート以外の、エチレン性不飽和基を有する化合物が含まれる。つまり、組成物には、多官能ウレタン(メタ)アクリレートとは異なる、エチレン性不飽和基を有する化合物が別途含まれる。
この化合物に含まれるエチレン性不飽和基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられる。なお、(メタ)アクリルアミド基とは、アクリルアミド基およびメタクリルアミド基を含む概念である。
この化合物に含まれるエチレン性不飽和基の数は特に制限されないが、通常、1個以上含まれ、本発明の効果がより優れる点で、1〜4個が好ましく、1〜2個がより好ましい。
エチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、β−カルボキシルエチルアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート、イミドアクリレート、イソアミルアクリレート、エトキシ化コハク酸アクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、N−ビニルホルムアミド等の単官能の化合物;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジアクリレート等の2官能の化合物等が挙げられる。
エチレン性不飽和基を有する化合物の好適態様の一つとしては、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)(ホモポリマーを形成したときのガラス転移温度)が0℃以下(好ましくは、−70〜−30℃)のエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。このような化合物を使用すると、粘着シートの硬さを調整しやすく、粘着性の制御がしやすい。なお、上記ホモポリマーのガラス転移温度は、J. Brandrup, E. H. Immergut, Polymer Handbook, 2nd Ed.,J. Wiley, New York 1975、光硬化技術データブック(テクノネットブックス社)、POLYMER HANDBOOK(ポリマーハンドブック)第3版、第6章、209ページ等に記載されている。
なお、エチレン性不飽和基を有する化合物は1種のみが使用されてもよいし、2種以上合わせて使用されてもよい。
エチレン性不飽和基を有する化合物を2種使用する場合において、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)がA℃であるエチレン性不飽和基を有する化合物Aと、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)がB℃であるエチレン性不飽和基を有する化合物Bとの関係において、粘着シートの粘着性の制御が容易である点で、A℃とB℃とが40℃以上異なることが好ましく、60℃以上異なることがより好ましく、75℃以上異なることがさらに好ましい。A℃とB℃との差の上限は特に制限されないが、180℃以内が好ましい。
また、2種以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を使用する場合は、エチレン性不飽和基を1個有する化合物(単官能化合物)と、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物(多官能化合物)とを合わせて使用してもよい。
組成物中におけるエチレン性不飽和基を有する化合物の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物中の固形分全質量に対して、2.5〜95%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、20〜65質量%がさらに好ましい。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和基を有する化合物との質量比B(多官能ウレタン(メタ)アクリレートの質量/エチレン性不飽和基を有する化合物の質量)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.05以上が好ましく、0.25以上がより好ましく、1.5以下が好ましく、1.0以下がより好ましい。
<その他成分>
組成物には、上述した成分(一般式(I)で表される化合物、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和基を有する化合物)以外の成分が含まれていてもよい。
例えば、組成物には、バインダーが含まれていてもよい。バインダーとしては、例えば、いわゆる高分子バインダーが使用される。バインダーの種類は特に制限されないが、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリジエン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系重合体およびキトサン系重合体等が挙げられる。
組成物中にバインダーが含まれる場合、バインダーの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物中の固形分全質量に対して、10〜70%が好ましく、20〜60質量%がより好ましく、30〜60質量%がさらに好ましい。
なお、バインダーは1種のみが使用されてもよいし、2種以上合わせて使用されてもよい。
組成物には、上記以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料等の粉体、粒子状、箔状物等の従来公知の各種の添加剤を使用する用途に応じて適宜添加することができる。
組成物の調製方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、上記各成分を混合した後、公知の手段により撹拌することによって調製することができる。
<粘着シートの製造方法>
上記組成物に活性エネルギー線を照射することにより、粘着シートを製造することができる。
粘着シートの製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用できるが、例えば、組成物を基材上に付与して塗膜を形成して、塗膜に活性エネルギー線を照射して硬化させ、粘着シートを製造する方法が挙げられる。
以下、上記方法に関して詳述する。
使用される基材の種類は特に制限されないが、粘着シートを他の部材に貼り合せる点から、いわゆる離型フィルム(離型シート、剥離フィルム)が好ましく挙げられる。離型フィルムとしては、例えば、表面をシリコーン系剥離剤やその他の剥離剤で処理したフィルム、それ自体が剥離性を有するフィルム等が挙げられる。また、離型フィルムを構成する材料としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
組成物を基材上に付与する方法としては、公知の方法が採用でき、例えば、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、ナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター等による塗布方法が挙げられる。
上記付与により形成される塗膜の平均厚みは特に制限されず、製造したい粘着シートの平均厚みに応じて調整されるが、通常、5〜2500μm(好ましくは、10〜500μm)の場合が多い。上記平均厚みは、塗膜の任意の10点の厚みを測定し、それらを算術平均した値である。
なお、上記塗膜を形成した後、必要に応じて、乾燥処理を実施してもよい。乾燥処理を実施することにより、塗膜中に含まれる揮発成分(溶媒等)を除去することができる。乾燥処理の方法は特に制限されないが、多官能ウレタン(メタ)アクリレート等の重合が進行しない程度の温度(例えば、60〜100℃)にて加熱処理を施す方法や、風乾処理を実施する方法等が挙げられる。
次に、得られた塗膜に対して、活性エネルギー線を照射する。
活性エネルギー線としては、目的に応じて適宜設定すればよく、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が挙げられ、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線が好ましい。
紫外線照射には、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプおよび紫外線LED等を用いることができる。
塗膜に対して施される光照射の照度は特に制限されないが、得られる粘着シートの特性および生産性のバランスの点から、10〜2000mW/cmが好ましく、100〜1000mW/cmがより好ましい。
光照射の際の露光量は特に制限されないが、得られる粘着シートの特性および生産性のバランスの点から、2000mJ/cm以下が好ましく、1750mJ/cm以下がより好ましく、1500mJ/cm以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、粘着シートの特性の点から、500mJ/cm以上が好ましい。
光照射の際の雰囲気は特に制限されず、大気下でも、不活性ガス雰囲気下でもよい。
なお、活性エネルギー線を照射する際には、離型フィルムで塗膜を挟んだ状態で実施してもよい。
<粘着シート>
上記手順により得られる粘着シートは、優れた粘着性を示すと共に、湿熱環境下においても粘着性の劣化が抑制されている。また、粘着シートは、優れた段差追従性も示す。
粘着シートの平均厚みは特に制限されないが、通常、5〜2500μmであることが好ましく、10〜500μmであることがより好ましく、50〜250μmであることがさらに好ましい。上記平均厚みは、粘着シートの任意の10点の厚みを測定し、それらを算術平均した値である。
粘着シートは、光学的に透明であることが好ましい。つまり、透明粘着シートであることが好ましい。光学的に透明とは、全光線透過率は85%以上であることを意図し、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
得られた粘着シートの表面には、必要に応じて、離型フィルムを貼り合せてもよい。
上記組成物を用いて形成される粘着シートのゲル分率は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、30%以上が好ましく、35%以上がより好ましい。
粘着シートのゲル分率の測定方法は以下の通りである。
すなわち、粘着シート(0.2g)を所定の溶媒(30g)に浸漬し、40℃保持下で24時間静置する。これにより、粘着シート中のゲル成分以外の成分は溶媒に溶解する。そして、浸漬した粘着シートを取り出し、乾燥し、その質量を測定する。そして、以下の式から、粘着シート中のゲル分率(%)を算出する。
「ゲル分率」=(浸漬後の粘着シートの質量)/(浸漬前の粘着シートの質量)×100(%)
なお、所定の溶媒としては、使用した多官能ウレタン(メタ)アクリレートおよびエチレン性不飽和基を有する化合物の溶解度が1質量%以上である溶媒を使用する。ここで溶解度(質量%)とは、溶媒に対して上記成分が均一に溶解する量を意図し、例えば、溶媒100gに対して、多官能ウレタン(メタ)アクリレートが1g均一に溶解する場合は溶解度(質量%)が1質量%と定義する。このような溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル等が挙げられ、後述する実施例においては酢酸エチルを使用する。
本発明の粘着シートは種々の用途に適用でき、例えば、タッチパネル用途が挙げられ、なかでも、タッチパネル(特に、静電容量式タッチパネル)の製造に好適に使用できる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<光重合開始剤の合成>
(中間体(2)−1の合成)
90℃に加熱した170.0gのフェニルジグリコール(PhDG、日本乳化剤製)(0.93mol)に、無水酢酸97.2g(0.95mol)を滴下し、120℃で6時間加熱攪拌した。その後、減圧により濃縮し、中間体(2)−1を204.4g得た(収率98%)。なお、得られた中間体(2)−1の構造は、核磁気共鳴装置(H−NMR)(使用溶媒:CDCl)を用いて測定することで、下記式(2)−1の化合物であることが確認できた。H−NMRの測定データを下記に示す。
H−NMR(CDCl
δ:2.10(3H,s),3.78(2H,m),3.87(2H,m),4.15(2H,m),4.26(2H,m),6.90−6.98(3H,m),7.25−7.32(2H,m)
(中間体(3)−1の合成)
270mLのo−ジクロロベンゼン(DCB)(2.39mol)に120.0gの塩化アルミニウム(III)(0.90mol)を加えて0℃まで冷却した。これに、44.26mLの2−ブロモイソ酪酸ブロミド(0.36mol)を滴下し、15分攪拌した。その後、反応液の温度を0℃に保ちながら、67.28gの中間体(2)−1(0.30mol)を30分間かけて滴下した。滴下後の反応液を室温(22℃)に戻し、2時間攪拌した。その後、5℃に冷却した水300mLに反応液を数回に分けて添加した。有機相を水300mlで2回洗浄した後、さらに重曹水135mL、飽和食塩水135mLで洗浄し、有機相に水300mLを添加し、減圧により共沸濃縮することで中間体(3)−1を110.8g得た(収率95%)。なお、得られた中間体(3)−1の構造は、核磁気共鳴装置(使用溶媒:CDCl)を用いて測定することで、下記式(3)−1の化合物であることが確認できた。H−NMRの測定データを下記に示す。
H−NMR(CDCl
δ:2.04(6H,s),2.08(3H,s),3.79(2H,m),3.85(2H,m),4.21(2H,m),4.26(2H,m),6.94(2H,d),8.21(2H,d)
(化合物(I)−1の合成)
100.0gの化合物(3)−1(0.27mol)をイソプロピルアルコール200mLに溶解させ、214gの25質量%水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、2時間攪拌した。その後、攪拌を停止し、有機相を飽和食塩水で2回洗浄した後、塩酸で中和した。有機相を減圧により濃縮した後、メチルエチルケトン72mLを添加し、析出した塩をろ過した。ろ液を減圧濃縮した後、水72mLを添加し、減圧による共沸濃縮を行うことで、化合物(I)−1を56.8g得た(収率87%)。
H−NMR(CDCl
δ:1.64(6H,s),3.69(2H,m),3.78(2H,m),3.91(2H,m),4.22(2H,m),4.26(1H,s),6.97(2H,d),8.06(2H,d)
一般式(I)で表される化合物として、上記手順を参考にして、化合物(I)−2、化合物(I)−4、化合物(C)−1を合成した。また、後述する表2に示すように、比較例で使用する化合物として、市販品である「Irgacure 2959」(Irg2959)(商品名、BASF社製)を用いた。なお、Irg2959は、一般式(I)においてn=0の化合物に該当する。
<実施例1〜27、比較例1〜8>
(活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物の調製)
下記表2に示す成分を、下記表2に示す配合量(質量部)で混合し、撹拌することで各活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を得た。
例えば、実施例1の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、多官能ウレタン(メタ)アクリレートであるU−6LPA(6官能:新中村化学工業製)30質量部と、テトラエチレングリコールジアクリレート(TEGDA)20質量部と、メトキシエチルアクリレート(MEA)45質量部と、一般式(I)−1で表される化合物5質量部とを混合して得られる組成物である。
(粘着シートの作製)
得られた活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物をそれぞれ離型PET(離型処理されたポリエチレンテレフタレートフイルム(商品名ダイヤホイル):三菱樹脂社製)上に全面塗布して塗膜(前駆体膜)を形成し、さらに塗膜上にもう一枚離型PETを貼り付けて、離型PETで挟まれた塗膜を形成した。次に、形成した塗膜にフュージョンUVランプ(Dバルブ)を用いて、照度(200mW/cm)および露光量(1000mJ/cm)の条件で照射し、硬化させて、離型PET(ポリエチレンテレフタレート)で挟まれた粘着シート(平均厚み:100μm)と、離型PETとを含む粘着フィルムを得た。
各実施例および比較例で得られた粘着シートにおける、ゲル分率(%)は、上述した方法により測定した。結果を表2にまとめて示す。
<粘着力Frの評価(初期粘着性の評価)>
得られた各粘着フィルムを2.5cm×5cmに切り出し、離型PETをはがして、切り出した粘着シートの片面をガラス基板に、もう一方の面をカプトンフイルムに貼り付けたサンプルを作製した。続いて、島津製作所社製オートグラフを用いてカプトンフイルムの一端(粘着シートの2.5cm幅側)を把持して、180度ピール試験(引張速度300cm/分)を行い、粘着シートとガラス基板の試験力平均値を測定し、この値を粘着力Fr(N/mm)とした。結果を表2に示す。実用上、接着強度は0.45N/mm以上であることが好ましい。
<粘着力Thの評価(湿熱環境下放置後の評価)>
得られた粘着フィルムを、85℃/85RH条件にて10日間、高温の水蒸気に暴露した。その後、得られた粘着フィルムを用いて、上記<粘着力Frの評価(初期粘着性の評価)>と同様の手順に従って、粘着力Th(N/mm)を測定した。結果を表2に示す。
なお、表2には、上記粘着力Frと粘着力Thとの差(Δ=粘着力Fr−粘着力Th)を示す。実用上、Δは0.10N/mm以下であることが好ましい。
<段差追従性の評価>
得られた各粘着フィルムを2.5cm×4cmに切り出し、離型PETをはがして、切り出した粘着シートの片面を、カプトンテープ(5mm幅35μm厚み)を巻き付けたガラス基板に貼り付け、もう一方の面を、光学PETに貼り付けたサンプルを作製した。続いてオートクレーブを用い、内温40℃、5気圧、20分の条件で加熱プレス処理し、段差追従性試験用のサンプルを作製した。
作製したサンプルについて、粘着シートとカプトンテープ段差との間に形成された境界面をニコン社製光学顕微鏡で観察し、境界空隙幅を測定した。より具体的には、図1に示すように、得られサンプルの構成は、カプトンテープ52を貼ったガラス基板50上に、粘着シート54および光学PET56を配置した態様に該当する。図1に示すように、カプトンテープ52の段差部分においてガラス基板50と粘着シート54との間には空隙58が生じやすく、境界空隙幅とは、カプトンテープ52と粘着シート54とが接していないガラス基板上の距離Dを意図する。
測定された境界空隙幅のうち最も大きい値が20μm未満のものを段差追従性が優れるものとして「A」とし、20μm以上50μm未満のものを段差追従性が比較的優れるものとして「B」とし、50μm以上100μm未満のものを好ましくはないが実用上使用可能なものとして「C」とし、100μm以上のものを段差追従性に劣り実用性がないものとして「D」とした。結果を表2に示す。
表2中、「UA−6LPA(6)」「UA−160TM(2)」「UA−122P(2)」は、それぞれ新中村化学工業製の多官能ウレタン(メタ)アクリレートに該当する。なお、( )中の数値は、(メタ)アクリロイル基の数を意図する。
表2中、「TEGDA(2)」はテトラエチレングリコールジアクリレートを、「MEA(1)」はメトキシエチルアクリレートを、「BA(1)」はブチルアクリレートをそれぞれ表す。( )中の数値は、エチレン性不飽和基の数を意図する。なお、テトラエチレングリコールジアクリレートのホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は23℃であり、メトキシエチルアクリレートのホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は−50℃であり、ブチルアクリレートのホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は−55℃であった。
表2中、「PSt」はポリスチレン(重量平均分子量35000)を、「PMMB」はポリメタクリル酸ブチル(重量平均分子量12000)を表す。
表2中の各成分欄の数値は、質量部を表す。
表2中、「パラメータ」欄において「A値」は、質量比A(多官能ウレタン(メタ)アクリレートの質量/式(I)で表される化合物の質量)を表す。「B値」は、質量比B(多官能ウレタン(メタ)アクリレートの質量/エチレン性不飽和基を有する化合物の質量)を表す。
なお、表2中、比較例1、5〜8においては光重合開始剤が組成物中に溶解せず、不溶分があったため、各種評価を実施しなかった。
表2に示すように、本発明の組成物より得られる粘着シートは、粘着性に優れ、かつ、湿熱環境下に放置後においても粘着性の低下が抑制され、所望の効果が得られることが確認された。また、実施例で使用した組成物には、不溶物は確認されなかった。
特に、実施例2、5および18−2の比較より、多官能ウレタン(メタ)アクリレートの官能数((メタ)アクリロイル基の数)が4以下の場合、段差追従性がより優れることが確認された。
また、実施例7、26および27の比較より、一般式(I)中のnが1または2(特に、1)の場合、粘着力がより優れ、Δがより小さく、湿熱環境下での粘着力の低下がより小さいことが確認された。
また、実施例7〜9(または、実施例19〜22)の比較より、質量比Aが3.0〜10において、Δがより小さく、湿熱環境下での粘着力の低下がより小さいことが確認された。
また、実施例24と25との比較より、質量比Bが1.0以下の場合に段差追従性がより優れ、全ての実施例の比較より、段差追従性が「A」となるためには少なくとも質量比Bが0.25以上であることを満たすことが求められることが確認された。
一方、上述したように、比較例1、5〜8においてはそもそも光重合開始剤(Irg2959)が組成物中に溶解せず、各種評価を実施することができなかった。また、一般式(I)で表される化合物を使用していない比較例2〜4においては、粘着力Frに劣る、および/または、Δが大きく、所望の効果が得られなかった。なお、特許文献1に記載のIrg2959を使用した比較例2〜3においても、所望の効果が得られなかった。
50 ガラス基板
52 カプトンテープ
54 粘着シート
56 光学PET
58 空隙

Claims (10)

  1. 一般式(I)で表される化合物と、
    1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートと、
    前記多官能ウレタン(メタ)アクリレート以外の、エチレン性不飽和基を有する化合物と、を含む活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。

    一般式(I)中、V、V、VおよびVは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、nは、1〜5の整数を表す。
  2. nが1または2である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  3. nが1である、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  4. 前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が、前記活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物中の全固形分質量に対して、5〜40質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  5. 前記(メタ)アクリロイル基の数が2〜4個である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  6. 前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートと前記一般式(I)で表される化合物との質量比Aが、3.0〜10であり、
    前記質量比Aは、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートの質量/前記一般式(I)で表される化合物の質量を表す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  7. 前記エチレン性不飽和基の数が1〜2個である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  8. 前記エチレン性不飽和基を有する化合物が、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以下のエチレン性不飽和基を有する化合物を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  9. 前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートと前記エチレン性不飽和基を有する化合物との質量比Bが0.25〜1.0であり、
    前記質量比Bは、前記多官能ウレタン(メタ)アクリレートの質量/前記エチレン性不飽和基を有する化合物の質量を表す、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射して得られる粘着シート。
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