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JPWO2015194260A1 - マイクロニードルユニット - Google Patents

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Abstract

少なくとも1つの突起部を有する第1面と、第1面とは反対側の第2面とを有して可撓性を有するマイクロニードルと、マイクロニードルの第2面に接合してマイクロニードルを支持する支持部とを備える。支持部は、第2面から第2面の外側にはみ出して皮膚に接着する接着性を有した接着部と、接着部、および、マイクロニードルよりも高い剛性を有する剛体板部を含む剛体部とを備える。

Description

本発明は、マイクロニードルを備えるマイクロニードルユニットに関する。
経皮吸収法は、薬剤などの物質を皮膚から身体の内部に浸透させることで、身体の内部に物質を投与する方法である。経皮吸収法は、人などの投与対象に痛みを与えることなく、物質を身体の内部に簡便に投与することが可能な方法でもある。
経皮吸収法においては、マイクロニードルを皮膚に刺すことによって、皮膚の内部に薬剤などを投与する方法が提案されている。マイクロニードルは、投与対象に痛みを与えない程度の大きさを有した突起部を備え、突起部が皮膚のバリア層である角質層を貫通する。そして、マイクロニードルが皮膚に形成した孔から薬剤が皮膚の内部に吸収されることによって、薬剤が経皮吸収される(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2008/020632号明細書
ところで、マイクロニードルが皮膚に刺されるとき、まず、皮膚表面が人体の骨格などに沿うように使用者によって引き伸ばされ、その後に、引き伸ばされた状態の皮膚表面にマイクロニードルが押し当てられる。この際に、引き伸ばされた状態から元の状態に戻るだけの弾性を皮膚表面は有しているため、マイクロニードルを皮膚表面に押し当てる力が解除されると、引き伸ばされた状態の皮膚表面は、元の状態に戻るように縮む。そして、マイクロニードルの皮膚への刺さり具合や、皮膚の動き具合によっては、皮膚表面が縮むことに合わせて、マイクロニードルが皮膚から押し出されてしまい、結果として、マイクロニードルが皮膚から脱離することもある。それゆえに、マイクロニードルには、皮膚に刺された後に、使用者による皮膚に対して押し当てる力が解除されても、皮膚から脱離しにくいことが求められている。
本発明は、皮膚に刺されたマイクロニードルが、皮膚から脱離することを抑えられるマイクロニードルユニットを提供することを目的とする。
マイクロニードルユニットの一態様は、少なくとも1つの突起部を有する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有して可撓性を有するマイクロニードルと、前記マイクロニードルの前記第2面に接合して前記マイクロニードルを支持する支持部と、を備える。前記支持部は、前記第2面と対向する平面視において、前記第2面から前記第2面の外側にはみ出して皮膚に接着する接着性を有した接着部と、前記接着部に接合する剛体部であって、前記接着部、および、前記マイクロニードルよりも高い剛性を有する剛体板部を含む前記剛体部と、を備える。
マイクロニードルが皮膚に刺されるとき、皮膚表面のうちでマイクロニードルユニットが押し当てられる部分は、使用者によって引き伸ばされる。そして、引き伸ばされた状態の皮膚表面にマイクロニードルユニットが押し当てられる。上記マイクロニードルユニットの一態様によれば、マイクロニードルが皮膚に刺されるとき、接着部と皮膚表面とが接着する。そして、マイクロニードルユニットの有する支持部では、皮膚表面に接着された接着部が、皮膚の復元力を皮膚表面から受ける。一方で、接着部に接合された剛体部は、こうした接着部の変形を剛体板部が抑えるように、接着部に対して剛体部の剛性を作用させる。結果として、皮膚の縮みが抑えられる、あるいは、皮膚の縮む速度が低くなり、マイクロニードルが皮膚から脱離しにくくなる。
上記マイクロニードルの他の態様において、前記接着部は、前記第2面と対向する平面視において、前記剛体板部から前記剛体板部の外側にはみ出し、前記剛体部は、第1方向に沿って延びる板形状を有することが好ましい。
上記マイクロニードルユニットの他の態様によれば、剛体板部が第1方向に沿って延びる。そのため、剛体板部の延びる方向と、皮膚の引き伸ばされた方向とが平行であるとき、支持部による皮膚の形状が変わることを抑える効果が最も大きくなる。なお、剛体板部の延びる方向と、皮膚の引き伸ばされる方向とが互いに交差する場合であっても、支持部は、皮膚の形状が変わることを少なからず抑える。
上記マイクロニードルユニットの他の態様において、前記剛体板部は、前記第2面と対向する平面視において、前記マイクロニードルの少なくとも一部に重なることが好ましい。
上記マイクロニードルユニットの他の態様において、前記剛体部は、前記マイクロニードルの前記第1面を曲げる外力を受けて前記第1面とともに曲がる可撓性を有することが好ましい。
上記マイクロニードルユニットの他の態様によれば、マイクロニードルが皮膚に刺されるとき、皮膚表面と第1面とが整合するように剛体部も変形し、剛体部が変形した状態において接着部と皮膚表面とが接着する。そのため、マイクロニードルが皮膚に刺された状態では、剛体部が皮膚表面に沿った形を有するため、剛体部が皮膚表面に沿わない状態で接着部が皮膚表面に接着する構成と比べて、マイクロニードルが皮膚から脱離しにくくなる。
上記マイクロニードルの他の態様において、前記接着部は、前記第1方向と、前記第1方向と交差する第2方向とに拡がる板形状を有し、前記剛体部は、前記第1方向に沿って延びる板形状を有する部分である第1板部分と、前記第2方向に沿って延びる板形状を有する部分である第2板部分とをさらに備えることが好ましい。
上記マイクロニードルユニットの他の態様によれば、剛体板部が、第1板部分と第2板部分とを備えているため、使用者が、皮膚を引き伸ばした方向と、剛体板部の延びる方向とが一致しなくとも、第1板部分の延びる方向と、第2板部分の延びる方向との双方が、皮膚を引き伸ばした方向と交差する。これにより、皮膚が、縮む方向に形状を変えるとき、第1板部分と第2板部分との双方が有する剛性に基づき、少なからず皮膚の形状が変わることを抑えるための反力が皮膚に与えられる。結果として、皮膚の引き伸ばされた方向と、剛体板部の延びる方向との関係によらず、剛体板部による皮膚の変形を抑える効果が得られやすくなる。
上記マイクロニードルの他の態様において、前記剛体板部は、前記第1板部分と、前記第2板部分とが交差する交差部を有し、前記第2面の少なくとも一部は、前記第2面と対向する平面視にて、前記交差部と重なることが好ましい。
上記マイクロニードルユニットの他の態様によれば、剛体板部における第1板部分および第2板部分の各々は、第2面と対向する平面視にて、マイクロニードルから放射状に延びる。ここで、マイクロニードルは、通常、皮膚のうち、使用者によって引き伸ばされた部分の中央に置かれる。それゆえに、剛体部の第1板部分と第2板部分とは、皮膚のうち、使用者によって引き伸ばされた部分の中央から放射状に延びる。結果として、剛体部による皮膚の形状の変化を抑える効果が、皮膚のうちで使用者によって引き伸ばされた部分の全体におよびやすくなる。
上記マイクロニードルの他の態様において、前記剛体部の形成材料は、樹脂であることが好ましい。
上記マイクロニードルユニットの他の態様によれば、剛体部の形成材料が樹脂であるため、支持部の剛性が、人の皮膚、特に、顔の皮膚や腕の皮膚に用いられる上で好ましい大きさになる。それゆえに、皮膚の形状が変わることを抑えることで、マイクロニードルが皮膚から脱離することを抑えつつ、皮膚の形状が変わることが過度に抑えられることで、マイクロニードルの刺された対象に、皮膚の引きつりを感じさせにくくなる。
上記マイクロニードルの他の態様において、前記支持部のうち、前記第2面と接する面とは反対側の面が薄橙色を有することが好ましい。
上記マイクロニードルユニットの他の態様によれば、第2面とは反対側の面が薄橙色であるため、マイクロニードルの刺される対象が人であるとき、皮膚の有する色と、皮膚の上に位置するマイクロニードルユニットの有する色との差異が小さくなる。それゆえに、皮膚に対してマイクロニードルユニットが目立つことが抑えられる。
上記マイクロニードルの他の態様において、前記支持部のうち、前記第2面と接する面とは反対側の面がマット処理された表面を含むことが好ましい。
上記マイクロニードルユニットの他の態様によれば、マット処理された表面にて、光の反射が抑えられるため、皮膚に対してマイクロニードルユニットが目立つことが抑えられる。
本発明のマイクロニードルユニットによれば、マイクロニードルが皮膚から脱離することを抑えることができる。
本発明のマイクロニードルユニットを具体化した第1実施形態における分解斜視構造を示す分解斜視図である。 剛体板部および支持層の平面構造を示す平面図である。 マイクロニードルユニットの断面構造を示す断面図である。 マイクロニードルの作用を説明するための作用図である。 マイクロニードルの作用を説明するための作用図である。 マイクロニードルの作用を説明するための作用図である。 マイクロニードルの作用を説明するための作用図である。 変形例における剛体板部の平面構造を示す平面図である。 変形例における剛体板部の平面構造を示す平面図である。 変形例における剛体板部の平面構造を示す平面図である。 変形例における剛体板部の平面構造を示す平面図である。 変形例における剛体板部の平面構造を示す平面図である。 変形例における剛体板部の平面構造を示す平面図である。 変形例における剛体板部の平面構造を示す平面図である。
図1から図7を参照して、本発明のマイクロニードルユニットを具体化した1つの実施形態を説明する。以下では、マイクロニードルユニットの構成、剛体板部の構成、マイクロニードルの構成、マイクロニードルの形成材料、マイクロニードルの製造方法、および、マイクロニードルユニットの作用を順番に説明する。
[マイクロニードルユニットの構成]
図1を参照してマイクロニードルユニットの構成を説明する。
図1が示すように、マイクロニードルユニット10は、マイクロニードル11と、マイクロニードル11を支持する支持部12とを備えている。マイクロニードル11は、基体21と少なくとも1つの突起部22とを備え、基体21を構成する複数の面のうち、突起部22を有する面が突起形成面21aであり、基体21において突起形成面21aとは反対側の面が被支持面21bである。突起形成面21aが第1面の一例であり、被支持面21bが第2面の一例である。
マイクロニードル11の基体21は、例えば、円板形状を有している。基体21は、円板形状に限らず、矩形板形状などの多角形板形状を有してもよい。基体21における突起形成面21aの面積は、1つ以上の突起部22が位置することのできる面積以上であればよい。また、基体21の突起形成面21aは、平面形状を有してもよいし、曲面形状を有してもよいし、平面形状と曲面形状との両方を有してもよい。基体21の被支持面21bは、平面形状を有してもよいし、曲面形状を有してもよいし、平面形状と曲面形状との両方を有してもよい。
基体21の突起形成面21aには、複数の突起部22が位置し、複数の突起部22は、突起形成面21aにおける中央領域にて、規則的に、例えば、格子形状の頂点に位置する状態で並んでいる。なお、複数の突起部22は、基体21の突起形成面21aのうち、中央領域以外のいずれかの領域に位置してもよいし、突起形成面21aにおいて不規則に並んでもよいし、他の規則に従って並んでもよい。例えば、複数の突起部22が規則的に並ぶとき、複数の突起部22は、最密充填の状態で並んだり、同心円状に並んだりしてもよい。
突起部22は、例えば、1つの方向である延在方向に沿って延びる円錐形状を有している。なお、突起部22は、円錐形状以外の錐体形状である多角錐形状を有してもよい。あるいは、突起部22は、円錐台形状および多角錘台形状を含む錘台形状を有してもよいし、円柱形状および多角柱形状を含む柱体形状を有してもよいし、刃状を有していてもよい。
なお、突起部22は、延在方向において相互に異なる2つ以上の形状を有してもよく、この場合には、上述した錐体形状、錘台形状、柱体形状、および、刃状に含まれる2つ以上の形状を有していればよい。突起部22の外周面は、捻れや段差を有してもよい。各突起部22が皮膚に刺さる上では、少なくとも突起部22の先端が、錐体形状を有することが好ましい。
複数の突起部22は、相互に同じ形状を有しているが、相互に異なる形状を有してもよい。複数の突起部22の形成を容易にする上では、複数の突起部22が、相互に同じ形状を有することが好ましい。複数の突起部22は、相互に同じ方向に沿って延びているが、複数の突起部22は、相互に交差する方向に沿って延びてもよい。複数の突起部22が相互に交差する方向に沿って延びるとき、各突起部22の延びる方向は、各突起部22の先端が他の突起部22の先端に接しない方向であることが好ましく、複数の突起部22の先端は、相互に同じ平面上に位置することが好ましい。複数の突起部22において、延在方向に沿う長さが相互に同じであるが、複数の突起部22において、延在方向に沿う長さが相互に異なってもよい。
支持部12は、例えば、円板形状を有し、支持部12を構成する複数の面のうち、マイクロニードル11の被支持面21bに接合する面が接合面12aである。支持部12は、接合面12aにおいてマイクロニードル11の被支持面21bと接することで、マイクロニードル11を支持する。支持部12は、円板形状に限らず、例えば、多角形板形状を有してもよい。
支持部12における接合面12aの面積は、基体21の被支持面21bの面積よりも大きく、接合面12aは、被支持面21bと対向する平面視において、基体21から基体21の被支持面21bの外側にはみ出している。また、支持部12の接合面12aは、平面形状を有してもよいし、曲面形状を有してもよいし、平面形状と曲面形状との両方を有してもよい。例えば、基体21の被支持面21bが、支持部12に向けて突き出た凸面形状を有するときには、支持部12の接合面12aは、マイクロニードル11から離れる方向に向けて窪んだ凹面形状であることが好ましい。
支持部12は、粘着層31と、剛体部32とを備えている。粘着層31は、マイクロニードル11の被支持面21bと接する接合面12aを構成して、マイクロニードル11を支持部12に粘着し、また、被支持面21bと対向する平面視において、マイクロニードル11の被支持面21bから被支持面21bの外側にはみ出している。粘着層31は、さらに、マイクロニードル11の刺される対象の皮膚に対して粘着性を有し、マイクロニードル11を皮膚に刺すための力が解除された状態でも、皮膚に粘着し続ける程度の粘着性を有する。粘着層31の形成材料は、例えば、アクリル酸接着剤である。なお、粘着層31は、接着部の一例である。
支持部12は、マイクロニードル11の刺される対象と向かい合う面に粘着層31を有するため、マイクロニードル11が皮膚に刺されるとき、マイクロニードル11と同時に粘着層31も皮膚に向けて押し付けられる。これにより、マイクロニードルユニット10は、粘着層31の粘着性によって皮膚に貼り付く。
剛体部32は、マイクロニードル11の突起形成面21aを曲げる外力を受けて、マイクロニードル11の突起形成面21aとともに曲がる可撓性を有している。また、剛体部32は、マイクロニードル11および粘着層31よりも高い剛性を有した剛体板部42を備えている。
剛体部32は、剛体板部42と、剛体板部42を挟み込む基材層41とを備えている。基材層41は、剛体板部42を支持する支持層41aと、剛体板部42を覆うカバー層41bとから構成され、支持層41aとカバー層41bとの間に、剛体板部42を挟み込んでいる。支持層41aの形成材料は、粘着層31が支持層41aに粘着することが可能であり、かつ、剛体板部42を支持することのできる材料であればよい。基材層41の剛性は、剛体板部42の剛性よりも低い。
支持層41aの形成材料は、例えば、ポリエチレン、および、ポリウレタンなどであり、このうち、ポリウレタンは、マイクロニードル11の刺される対象が人であるとき、人に対して好ましい触感、例えば、肌になじみやすい感覚を与えることから好ましい。カバー層41bの形成材料は、支持層41aと同様、剛体板部42を支持することのできる材料であればよい。カバー層41bの形成材料は、例えば、ポリエチレン、および、ポリウレタンなどであり、上述の理由から、ポリウレタンであることが好ましい。
なお、支持層41aの形成材料と、カバー層41bの形成材料とは、相互に同じであってもよいし、相互に異なってもよいが、支持層41aの材料とカバー層41bの形成材料とは相互に同じであることが好ましい。これにより、支持層41aとカバー層41bとが剛体板部42を挟んだ状態で貼り合わされるとき、支持層41aの形成材料とカバー層41bの形成材料とが相互に異なる構成と比べて、支持層41aとカバー層41bとの密着性が高まる。また、マイクロニードルユニット10の形成材料の種類が増えることが抑えられる。さらには、支持部12が円板形状を有している構成であれば、支持層41aとカバー層41bとを同じ形状とすることが可能であるため、支持層41a用の形成材料と、カバー層41b用の形成材料とを個別に準備しなくともよい。
カバー層41bのうち、少なくとも剛体板部42とは対向しない面であって、支持部12の表面を形成する面は、薄橙色を有することが好ましい。こうした構成によれば、マイクロニードル11の刺される対象が人であるとき、皮膚の有する色と、皮膚の上に位置するマイクロニードルユニット10の有する色との差異が小さくなる。それゆえに、皮膚に対してマイクロニードルユニット10が目立つことが抑えられる。
カバー層41bのうち、少なくとも剛体板部42とは対向しない面は、マット処理された表面であることが好ましい。マット処理とは、カバー層41bの表面に、梨地形状を形成する処理であり、これにより、カバー層41bの表面での光の反射が抑えられる。そのため、皮膚に対してマイクロニードルユニット10が目立つことが抑えられる。
なお、支持層41aとカバー層41bとを剛体板部42を挟んだ状態で粘着させるために、粘着剤が支持層41aとカバー層41bとに塗布される。粘着剤は、支持層41aとカバー層41bとの粘着が可能であればよく、例えば、酢酸ビニル系粘着剤やアクリル酸系粘着剤などであればよい。
[剛体板部の構成]
図2を参照して支持部の有する剛体部の構成を説明する。なお、図2では、剛体板部42の形状を説明する便宜上、基材層41のうち、カバー層41bの図示が省略されている。
図2が示すように、剛体板部42は、例えば、1つの方向である第1方向D1に沿って延びる板形状を有している。剛体板部42において、第1方向D1の中央が、マイクロニードル11の被支持面21bと対向する平面視にて、マイクロニードル11の径方向における中央と重なっている。剛体板部42における第1方向D1に沿う幅は、マイクロニードル11の直径よりも大きく、かつ、剛体板部42における第2方向D2に沿う幅は、マイクロニードル11の直径よりも小さい。
剛体板部42は、マイクロニードル11の突起形成面21aを曲げる外力を受けて、突起形成面21aとともに曲がる可撓性と、粘着層31およびマイクロニードル11よりも高い剛性とを有する。剛体板部42が、粘着層31およびマイクロニードル11よりも高い剛性を有することで、剛体板部42を備える剛体部32が、粘着層31およびマイクロニードル11よりも高い剛性を有した部分を含む。剛体板部42の剛性は、突起形成面21aを曲げる外力が解除されても、剛体板部42の形状が変わった状態が維持される程度に大きい。
支持部12の形状は、例えば、支持部12が使用者によって皮膚に押し付けられることで、使用者の骨格などに沿って変わる。例えば、マイクロニードルユニット10に向けて突き出た凸形状を有する皮膚表面にマイクロニードルユニット10が押し付けられるとき、マイクロニードルユニット10は、マイクロニードル11が凸曲面形状の頂部に位置するように凹曲面形状に変形する。これにより、剛体板部42は、皮膚表面とマイクロニードル11の突起形成面21aとが整合するように変形する。
一方で、マイクロニードルユニット10から離れる方向に窪んだ凹形状を有する皮膚表面にマイクロニードルユニット10が押し付けられるとき、マイクロニードルユニット10は、マイクロニードル11が凸曲面形状の底部に位置するように凹曲面形状に変形する。これにより、剛体板部42は、皮膚表面とマイクロニードル11の突起形成面21aとが整合するように変形する。
なお、平坦な皮膚表面にマイクロニードルユニット10が押し付けられても、剛体板部42は、皮膚表面の形状にあわせて、皮膚表面とマイクロニードル11の突起形成面21aとが整合するように変形する。
ここで、マイクロニードル11が皮膚、例えば、腕や顔に刺されるとき、マイクロニードル11が押し当てられる部分は、使用者によって引き伸ばされて、引き伸ばされた状態の皮膚表面にマイクロニードル11が押し当てられる。マイクロニードル11が皮膚に刺されるとき、剛体板部42は、上述したように、皮膚表面とマイクロニードル11の突起形成面21aとが整合するように皮膚表面の形状に応じて変形し、剛体板部42が変形した状態において粘着層31と皮膚表面とが粘着する。
その後、使用者は、マイクロニードル11を押し当てる力と、皮膚を引き伸ばす力とを解除する。すると、皮膚は、引き伸ばされた状態から力を加えられる前の状態に戻るように縮む。これにより、支持部12では、皮膚表面に粘着した粘着層31が皮膚の復元力を皮膚表面から受ける一方で、粘着層31に接合された剛体部32は、粘着層31の変形を抑えるように粘着層31に対して剛体板部42の剛性を作用させる。つまり、粘着層31を介して剛体板部42が、皮膚の復元力に対する反力を皮膚に与える。結果として、支持部12が皮膚に対して皮膚の縮む方向(復元方向)とは逆向きの力を与えることより、皮膚の縮み(復元)が抑えられる、あるいは、皮膚の縮む速度(復元速度)が低くなる。
特に、剛体板部42の延びる方向と、皮膚の引き伸ばされた方向とが平行であるとき、剛体板部42による皮膚の形状が変わることを抑える効果が最も大きくなる。一方で、剛体板部42の延びる方向と、皮膚の引き伸ばされる方向とが交差する場合であっても、剛体板部42は、皮膚の形状が変わることを少なからず抑える。なお、剛体板部42の延びる方向と、皮膚の引き伸ばされる方向とが交差する場合であれば、マイクロニードル11の被支持面21bと対向する平面視にて、少なくともマイクロニードル11と剛体板部42とが重なる部分において、皮膚の形状が変わることが抑えられる。
剛体板部42の形成材料は、例えば樹脂であり、ポリエチレンテレフタラートやポリ乳酸などのポリエステル、および、アクリル樹脂やポリアミド樹脂などの高弾性率熱可塑性樹脂などであることが好ましい。あるいは、剛体板部42の形成材料は、アクリル樹脂、ポリエステル、および、エポキシ樹脂などの熱硬化性ポリマーであってもよい。樹脂製の剛体板部42によれば、剛体板部42の剛性が、人の皮膚、特に、顔の皮膚や腕の皮膚に用いられる上で好ましい高さになる。そのため、樹脂製の剛体板部42によれば、皮膚の形状が変わることを抑えることで、マイクロニードル11が皮膚から脱離することを抑えつつ、皮膚の形状が変わることが過度に抑えられることで、マイクロニードル11の刺された対象に、皮膚の引きつりを感じさせにくくなる。
あるいは、剛体板部42は、金属ストリップによって具体化することも可能であり、金属ストリップは、樹脂製の剛体板部42と比べて、よりマイクロニードル11の形状を維持する機能を大きくすることができる点で好ましい。
[マイクロニードルの構成]
図3を参照してマイクロニードル11の構成を説明する。図3は、図2における第1方向に沿って延びる平面であって、基材層41、剛体板部42、粘着層31、および、マイクロニードル11を通る平面に沿う断面形状である。
図3が示すように、マイクロニードル11の突起部22においては、突起部22の高さHは、延在方向に沿った長さであって、基体21の突起形成面21aから突起部22における基体21から離れた端部である先端までの長さである。突起部22は、皮膚に孔を形成する上で適した高さHを有することが好ましく、突起部22の高さHは、10μm以上1000μm以下の範囲に含まれることが好ましい。
突起部22の高さHは、対象に形成される孔の底部が、皮膚の内部におけるいずれの部位に位置するかに応じて設定されることが好ましい。孔における底部の位置が、角質層の内部に設定されるとき、突起部22の高さHは、10μm以上300μm以下の範囲に含まれることが好ましく、30μm以上200μm以下の範囲に含まれることがより好ましい。
孔における底部の位置が、皮膚における角質層を貫通し、かつ、神経層に達しない位置に設定されるとき、突起部22の高さHは、200μm以上700μm以下の範囲に含まれることが好ましく、200μm以上500μm以下の範囲に含まれることがより好ましい。孔における底部の位置が、皮膚における角質層を貫通し、かつ、神経層に達しない位置に設定されるとき、突起部22の高さHは、200μm以上300μm以下の範囲に含まれることがさらに好ましい。
孔における底部の位置が、真皮に達する位置に設定されるとき、突起部22の高さHは、200μm以上500μm以下の範囲に含まれることが好ましい。孔における底部の位置が、表皮に達する位置に設定されるとき、突起部22の高さHは、200μm以上300μm以下の範囲に含まれることが好ましい。
突起部22においては、延在方向と直交する方向の長さにおける最大値が幅Dであり、突起部22の幅Dは、1μm以上300μm以下の範囲に含まれることが好ましい。例えば、突起部22が正四角錐形状あるいは正四角柱形状を有するとき、突起部22の先端とは異なる端部である基端は、突起形成面21aにて正方形の領域を区画する。そして、突起部22の基端が区画する正方形の領域での対角線の長さが、突起部22の幅Dである。また、例えば、突起部22が円錐形状あるいは円柱形状を有するとき、突起部22の基端は、突起形成面21aにて円形の領域を区画する。そして、突起部22の基端が区画する円形の領域での直径が、突起部22の幅Dである。
突起部22においては、幅Dに対する高さHの比(A=H/D)がアスペクト比Aである。突起部22のアスペクト比Aは、1以上10以下の範囲に含まれることが好ましい。
突起部22が少なくとも先端に錐体形状を有するとき、突起部22においては、先端における角度が先端角θであり、先端角θは、基体21における接合面12aと直交する方向に沿った断面にて、突起部22が形成する角度の最大値である。例えば、突起部22が正四角錐形状を有するとき、突起部22の先端角θは、突起部22の基端における対角線を底辺とし、かつ、突起部22の先端を頂点とする二等辺三角形の頂角である。
突起部22が少なくとも先端に錐体形状を有し、かつ、孔の底部の位置が、角質層を貫通する位置に設定されるとき、先端角θは、5°以上30°以下の範囲に含まれることが好ましく、10°以上20°以下の範囲に含まれることがより好ましい。
[マイクロニードルの形成材料]
マイクロニードル11の形成材料は、生体適合性を有する材料、すなわち、マイクロニードル11としての機能を発現しつつ、マイクロニードル11が適用される対象に対して負の影響を与えない材料であることが好ましい。マイクロニードル11の形成材料が生体適合性を有する材料であるとき、形成材料は、例えば、シリコン、金属、および、樹脂などである。マイクロニードル11の形成材料が金属であるとき、形成材料は、ステンレス鋼、チタン、および、マンガンなどである。マイクロニードル11の形成材料が樹脂であるとき、形成材料は、例えば、医療用シリコーン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカーボネート、および、環状オレフィンコポリマーなどである。
マイクロニードル11の形成材料は、生体適合性を有し、かつ、液体で溶解する材料であってもよい。形成材料が液体で溶解する材料であるとき、形成材料は、例えば水溶性高分子である。水溶性高分子は、例えば、アルギン酸塩、カードラン、キチン、キトサン、グルコマンナン、ポリリンゴ酸、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、キトサンサクシナミド、トリメチルキトサン、オリゴキトサン、オリゴキチン、エチレングリコールキトサン、エチレングリコールキチンなどである。
なお、本実施形態のマイクロニードルユニットにおいて、マイクロニードル11の形成材料は、上述した具体的な材料に限定されるものではない。
マイクロニードル11において、基体21の形成材料と突起部22の形成材料とは、相互に同じでであってもよいし、相互に異なってもよい。マイクロニードル11の備える複数の突起部22において、各突起部22の形成材料は、相互に同じであってもよいし、相互に異なってもよい。
なお、本実施形態のマイクロニードルユニットにおいて、マイクロニードル11の基体21の形成材料と突起部22の形成材料とは、水溶性高分子を含むことが好ましい。基体21と突起部22が水溶性高分子を用いて形成されるマイクロニードル11は、柔軟性が高い。したがって、本発明の効果を高いものとすることができる。
なお、マイクロニードル11の形成材料が液体で溶解する材料であるとき、マイクロニードル11は、皮膚に投与される薬剤を形成材料として含んでもよい。皮膚に投与される薬剤は、薬理活性物質、あるいは、化粧品組成物などである。薬剤が薬理活性物質であるとき、薬剤は、使用者の用途に応じて適宜選択される。薬剤が薬理活性物質であるとき、薬剤は、例えば、インフルエンザなどのワクチン、癌患者などが用いる痛止め薬、インスリン、生物製剤、遺伝子治療薬、注射剤、経口剤、および、皮膚適用製剤などである。
マイクロニードル11は皮膚に刺されることから、マイクロニードルユニット10を用いた経皮投与は、従来から経皮投与に用いられてきた薬理活性物質以外にも、皮下注射が必要な薬理活性物質にも適用される。特に、注射剤であるワクチンなどが投与される場合であっても、マイクロニードルユニット10を用いた経皮投与によれば、薬剤が投与されるときに痛みを伴わない。
そのため、マイクロニードルユニット10を用いた経皮投与は、小児に適用されることが好ましい。また、マイクロニードルユニット10による経皮投与によれば、薬剤が患者に投与されるとき、患者は薬剤を飲む必要がない。そのため、マイクロニードルユニット10は、経口剤を飲むことが難しい小児に適用されることが好ましい。
化粧品組成物は、化粧品および美容品として用いられる組成物であって、薬剤が化粧品組成物であるとき、薬剤は、例えば、保湿剤、色料、香料、および、美容効果を示す生理活性物質などである。美容効果を示す活性物質は、例えば、しわ、にきび、および、妊娠線などを改善する効果を有する物質や、脱毛を改善する効果を有する物質などである。
[マイクロニードルの製造方法]
マイクロニードル11の製造方法は、公知である各種の方法のいずれかであればよい。マイクロニードル11の形成材料が樹脂であるとき、マイクロニードル11の製造方法は、例えば、射出成形法、押出成形法、インプリント法、ホットエンボス法、キャスティング法などのいずれかであればよい。
マイクロニードル11の形成材料がシリコンや金属であるとき、マイクロニードル11の製造方法は、例えば切削加工法などの機械加工法や、エッチング法などのいずれかであればよい。
マイクロニードル11の形成材料が上述した材料のいずれであっても、マイクロニードル11の製造方法は、マイクロニードル11を原版とする凹版を用いて複製する方法であってもよい。凹版は、例えば、めっき法や樹脂を用いた型取り法などによって作製される。
[マイクロニードルユニットの作用]
図4から図7を参照して、使用者がマイクロニードル11の刺される対象の皮膚に対してマイクロニードル11を刺すときのマイクロニードルユニット10の作用を説明する。なお、マイクロニードル11の刺される対象の皮膚は、例えば、人の皮膚でもよいし、人以外の動物の皮膚でもよい。また、以下では、マイクロニードル11が、マイクロニードル11に対して突き出た凸形状を有する皮膚に刺される場合であって、剛体板部42の延びる方向と、皮膚の引き伸ばされる方向とがほぼ一致する場合を一例として説明する。
図4が示すように、使用者がマイクロニードルユニット10を皮膚に刺すとき、使用者は、一方の手、例えば左手の親指と人差し指とにより、皮膚のうち、マイクロニードル11の突起部22が刺される部分を引き伸ばす。そして、他方の手、例えば、右手の親指と人差し指とによりマイクロニードルユニット10を挟んで、皮膚のうち、左手で引き伸ばしている部分に近付ける。
図5が示すように、使用者は、マイクロニードルユニット10を皮膚の上に載せ、マイクロニードルユニット10の支持部12を引き伸ばされた状態の皮膚に向けて押し当てる。これにより、マイクロニードル11の突起部22の各々が、皮膚に刺さる。このとき、粘着層31と剛体板部42とが、接合面12aを皮膚に向けた状態で湾曲し、マイクロニードル11の突起形成面21aを皮膚表面に整合させる。また、粘着層31は、皮膚に向けて押し当てられることで、マイクロニードル11の基体21と、基体21の周囲に拡がる。これにより、粘着層31が、マイクロニードル11、および、粘着層31の上方に位置する剛体板部42と基材層41とを、皮膚表面の形状に応じて変形した状態で皮膚に粘着させる。
図6が示すように、マイクロニードル11の突起部22が皮膚に刺さると、使用者は、皮膚を引き伸ばす力と、マイクロニードルユニット10を皮膚に押し当てる力との両方を解除する。これにより、皮膚は、引き伸ばされる前の状態に戻るように引き伸ばされた方向とは逆の方向に向けて縮み出す。
しかしながら、マイクロニードルユニット10の有する剛体板部42は、皮膚の縮む方向への変形力を受ける粘着層31に対して、剛体板部42の有する剛性に基づく反力を与えることで、皮膚表面に対して粘着層31を介して反力を与える。これにより、マイクロニードル11の剛体板部42は、皮膚が縮む方向とは逆向きの力を皮膚に作用させる。それゆえに、皮膚の形状が変わることが抑えられる、あるいは、皮膚の形状が変わる速度が低くなる。
図7が示すように、結果として、皮膚に刺されたマイクロニードル11の突起部22が皮膚から抜けにくくなり、マイクロニードル11を皮膚に押し当てる力が解除されても、マイクロニードル11が皮膚から脱離することが抑えられる。
なお、マイクロニードルユニット10は、両方の手を用いて皮膚に貼り付けられなくともよい。例えば、一方の手によって、皮膚のうち、マイクロニードル11の刺される部分を引き伸ばすことと、マイクロニードルユニット10を皮膚に押し当てることとが同時に行われてもよい。こうした場合であっても、マイクロニードルユニット10によれば、上述と同等の効果が得られる。また、マイクロニードル11が、上述した凹形状を有した皮膚表面や、平坦な皮膚表面に刺される場合であっても、上述と同等の効果が得られる。
[実施例]
[マイクロニードルの形成工程]
マイクロニードル11を形成するときには、まず、マイクロニードル11の原版を、精密機械加工によってシリコン基板から作成した。シリコン基板には、円板形状の基体と、36個の正四角錐形状の突起部とを形成し、各突起部においては、高さHを150μmに設定し、底面における一辺の長さを60μmに設定した。36個の突起部の各々を、相互に1mmの間隔を空けて形成し、かつ、6列6行の格子状に配列した。
次いで、シリコン基板から形成されたマイクロニードル11の原版に、500μmの厚さを有するニッケル膜をメッキ法によって形成した。ニッケル膜を形成すると、原版を、90℃に加熱した30重量%の水酸化カリウム水溶液を用いたウェットエッチングによって除去し、ニッケルから構成される凹版を作成した。
凹版を作成すると、液体状のヒドロキシプロピルセルロースを凹版に供給し、ヒドロキシプロピルセルロースを熱源で加熱することで固化した。固化したヒドロキシプロピルセルロースを凹版から剥がすことで、基体21と複数の突起部22とを備えるマイクロニードル11を得た。
[支持部の形成工程]
支持部12を形成するときには、まず、剛体板部42を覆う基材層41として、2枚のウレタンシートと、剛体板部42を構成する板部材として、ポリエステル製の板部材を準備した。2枚のウレタンシートは、相互に同じ大きさを有した円板形状を有する。ポリエステル製の板部材は、1つの方向に沿って延びる矩形板である。
そして、一方のウレタンシートの両面と、ポリエステル製の板部材の一方の面に、アクリル酸系粘着剤を塗布し、一方のウレタンシートの片面に、ポリエステル製の板部材のうち、アクリル酸系接着剤が塗布された面を接着させた。これにより、ウレタンシートのうち、ポリエステル製の板部材が接していない面に塗布されたアクリル酸系粘着剤の層として、粘着層を形成した。
次いで、他方のウレタンシートの片面にアクリル酸系粘着剤を塗布し、ウレタンシートのうち、アクリル酸系粘着剤が塗布された面をポリエステル製の板部材に向けた状態で、ポリエステル製の板部材の上からウレタンシートを被せた。そして、2つのウレタンシートの間にポリエステル製の板部材を挟んだ状態で、2つのウレタンシートを相互に貼り付けて、支持部12を形成した。
[マイクロニードルユニットの形成工程]
マイクロニードル11の被支持面21bを支持部12の接合面12aを構成する粘着層31に貼り付けて、マイクロニードルユニット10を形成した。
[比較例]
比較例として、ポリエステル製の板部材(剛体板部42)を備えないマイクロニードルユニットを以下の方法により形成した。
[マイクロニードルの形成工程]
実施例と同様に、マイクロニードルの原版を、精密機械加工によってシリコン基板から作成した。シリコン基板には、円板形状の基体と、36個の正四角錐形状の突起部とを形成し、各突起部においては、高さHを150μmに設定し、底面における一辺の長さを60μmに設定した。36個の突起部の各々を、相互に1mmの間隔を空けて形成し、かつ、6列6行の格子状に配列した。
次いで、シリコン基板から形成されたマイクロニードルの原版に、500μmの厚さを有するニッケル膜をメッキ法によって形成した。ニッケル膜を形成すると、原版を、90℃に加熱した30重量%の水酸化カリウム水溶液を用いたウェットエッチングによって除去し、ニッケルから構成される凹版を作成した。
凹版を作成すると、液体状のヒドロキシプロピルセルロースを凹版に供給し、ヒドロキシプロピルセルロースを熱源で加熱することで固化した。固化したヒドロキシプロピルセルロースを凹版から剥がすことで、基体21と複数の突起部22とを備えるマイクロニードルを得た。得られたマイクロニードルは実施例のマイクロニードルと同一である。
[支持部の形成工程]
支持部は、まず、基材層として、2枚のウレタンシートを準備した。2枚のウレタンシートは、実施例と同一のものであり、相互に同じ大きさを有した円板形状を有する。
そして、一方のウレタンシートの両面にアクリル酸系粘着剤を塗布し、一方のウレタンシートの片面にアクリル酸系接着剤が塗布された面を接着させ、2枚のウレタンシートを貼り合わせた。これにより、一方の面に粘着層を備える支持部を形成した。
[マイクロニードルユニットの形成工程]
マイクロニードルの被支持面21bを比較例の支持部において接合面を構成する粘着層に貼り付けて、マイクロニードルユニットを形成した。繰り返しになるが、作製した比較例のマイクロニードルは、実施例のマイクロニードルユニットからポリエステル製の板部材(剛体板部42)を除いたものである。
[評価]
作製した実施例のマイクロニードルユニットと、比較例のマイクロニードルユニットとを以下の方法により評価した。
(1)皮膚を引き伸ばしながら、マイクロニードルユニットのマイクロニードルを皮膚に押し当て粘着層を皮膚に貼付した。
(2)貼付した状態で2時間保持した。
(3)マイクロニードルユニットを皮膚から剥がし、マイクロニードル表面の突起部を実体顕微鏡により観察した。
観察の結果、実施例のマイクロニードルにあっては、突起部が溶解している様子が確認された。一方、比較例のマイクロニードルにあっては、実施例のマイクロニードルと比較して、一部の突起部が溶解していない様子が確認された。比較例のマイクロニードルユニットは、皮膚に穿刺後、マイクロニードルの突起部が皮膚から脱離し、突起部が皮内の水分により十分に溶解しなかったものと考えられる。
以上より、剛体部を備える実施例のマイクロニードルユニットは、皮膚に穿刺後マイクロニードルの突起部が皮膚から脱離することを抑制できるという効果が確認された。
以上説明したように、本実施形態のマイクロニードルユニットによれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)マイクロニードル11が皮膚に刺されるとき、皮膚表面のうちでマイクロニードルユニット10が押し当てられる部分は使用者によって引き伸ばされて、引き伸ばされた状態の皮膚表面にマイクロニードルユニット10が押し当てられる。マイクロニードル11が皮膚に刺されるとき、粘着層31と皮膚表面とが接着する。そして、マイクロニードルユニット10の有する支持部12では、皮膚表面に接着された粘着層31が皮膚の復元力を皮膚表面から受ける一方で、粘着層31に接合された剛体板部42は、こうした粘着層31の変形を抑えるように粘着層31に対して剛体板部42の剛性を作用させる。結果として、皮膚の縮みが抑えられる、あるいは、皮膚の縮む速度が低くなり、マイクロニードル11が皮膚から脱離しにくくなる。
(2)剛体板部42が第1方向D1に沿って延びる。そのため、剛体板部42と皮膚の引き伸ばされた方向とが平行であるとき、支持部12による皮膚の形状が変わることを抑える効果が最も大きくなる。一方で、剛体板部42の延びる方向と、皮膚の引き伸ばされる方向とが交差する場合であっても、支持部12は、皮膚の形状が変わることを少なからず抑える。
(3)マイクロニードル11が皮膚に刺されるとき、皮膚表面と突起形成面21aとが整合するように剛体板部42も変形し、剛体板部42が変形した状態において粘着層31と皮膚表面とが接着する。そのため、マイクロニードル11が皮膚に刺された状態では、剛体板部42が皮膚表面に沿った形状を有するため、剛体板部が皮膚表面に沿わない状態で粘着層31が皮膚表面に接着する構成と比べて、マイクロニードル11が皮膚から脱離しにくくなる。
(4)剛体板部42の形成材料が樹脂であるとき、剛体板部42の剛性が、人の皮膚、特に、顔の皮膚や腕の皮膚に用いられる上でこのましい強度になる。それゆえに、皮膚の形状が変わることを抑えることで、マイクロニードル11が皮膚から脱離することを抑えつつ、皮膚の形状が変わることが過度に抑えられることで、マイクロニードル11の刺された対象に、皮膚の引きつりを感じさせにくくなる。
(5)支持部12において、接合面12aとは反対側の面が薄橙色であるため、マイクロニードル11の刺される対象が人であるとき、皮膚の有する色と、皮膚の上に位置するマイクロニードルユニット10の有する色との差異が小さくなる。それゆえに、皮膚に対してマイクロニードルユニット10が目立つことが抑えられる。
(6)支持部12において、マット処理された表面にて、光の反射が抑えられるため、皮膚に対してマイクロニードルユニット10が目立つことが抑えられる。
なお、上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。また、以下に説明される図8から図14では、剛体板部の形状を説明する便宜上、基材層の備えるカバー層の図示が省略されている。
・支持部12において、カバー層41bのうち、接合面12aとは反対側の面はマット処理されていなくてもよい。
・支持部12において、カバー層41bのうち、接合面12aとは反対側の面は薄橙色でなくともよい。接合面12aとは反対側の面は白色などの任意の色を有してもよいし、支持部12は、透明であってもよい。
・剛体板部42の形成材料は、上述したように、樹脂に限らず金属などでもよい。要は、剛体板部42の形成材料は、剛体部32が外力を与えられることで曲がり、かつ、剛体板部42が粘着層31およびマイクロニードル11よりも高い剛性を有するような形成材料であればよい。
・図8が示すように、粘着層31および基材層41が、第1方向D1に沿って延びる楕円板形状を有し、剛体板部42が、第1方向D1に沿って延びる板形状を有してもよい。こうした構成によれば、基材層41における第2方向D2に沿う幅よりも、基材層41における第1方向D1に沿う幅が大きい。そのため、マイクロニードルユニット10の使用者は、剛体板部42の延びる方向と、皮膚の引き伸ばす方向とを合わせた状態で、マイクロニードル11を皮膚に刺しやすい。それゆえに、剛体板部42の有する剛性が、皮膚の形状が変わることを抑える力として機能しやすくなる。なお、マイクロニードル11の基体21は、上述のような円板形状を有してもよいし、例えば、粘着層31の形状に合わせて楕円板形状を有してもよい。
・図9が示すように、粘着層31および基材層41が、第1方向D1に沿って延びる矩形板形状を有し、剛体板部42が、第1方向D1に沿って延びる板形状を有してもよい。こうした構成によれば、基材層41における第2方向D2に沿う幅よりも、基材層41における第1方向D1に沿う幅が大きい。そのため、マイクロニードルユニット10の使用者は、剛体板部42の延びる方向と、皮膚の引き伸ばす方向とを合わせた状態で、マイクロニードル11を皮膚に刺しやすい。それゆえに、剛体板部42の有する剛性が、皮膚の形状が変わることを抑える力として機能しやすくなる。なお、マイクロニードル11の基体21は、上述のような円板形状を有してもよいし、例えば、粘着層31の形状に合わせて矩形板形状を有してもよい。
・図10が示すように、剛体板部42における第2方向D2に沿う幅が、マイクロニードル11の直径よりも大きく、かつ、マイクロニードル11の被支持面21bと対向する平面視にて、剛体板部42がマイクロニードル11からはみ出す構成でもよい。こうした構成によれば、剛体板部42の延びる方向と、皮膚の引き伸ばされる方向とが交差する場合であっても、剛体板部42のうちで、マイクロニードル11からはみ出た部分の剛性により、皮膚の形状が変わることが抑えられる。結果として、皮膚のうちで、マイクロニードル11の接する部分の全体の形状が変わることが抑えられるため、マイクロニードル11が皮膚からより脱離しにくくなる。
・剛体板部42において、第1方向D1に沿う幅と、第2方向D2とに沿う幅とが相互に同じであってもよい。
・図11が示すように、剛体板部42は、第1方向D1に沿って延びる第1板部分42aと、第2方向D2に沿って延びる第2板部分42bとを備えてもよい。こうした構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(7)使用者が皮膚を引き伸ばした方向と、剛体部32の延びる方向とが一致しなくとも、第1板部分42aの延びる方向と、第2板部分42bの延びる方向との双方が、皮膚を引き伸ばした方向と交差する。これにより、皮膚が縮む方向に形状を変えるとき、第1板部分42aと第2板部分42bとの双方が、少なからず皮膚の形状が変わることを抑える向きの反力を皮膚に与える。結果として、皮膚の引き伸ばされた方向と、剛体板部42の延びる方向との関係によらず、粘着層31と剛体板部42とによる皮膚の変形を抑える効果が得られやすくなる。
また、マイクロニードル11の被支持面21bと対向する平面視にて、剛体板部42における第1板部分42aと第2板部分42bとの交差部42cと、マイクロニードル11の少なくとも一部とが重なってもよい。こうした構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(8)剛体板部42の第1板部分42a、および、第2板部分42bの各々は、被支持面21bと対向する平面視において、マイクロニードル11から放射状に延びる。ここで、マイクロニードル11は、通常、皮膚のうち、使用者によって引き伸ばされた部分の中央に置かれる。それゆえに、剛体板部42の第1板部分42aと第2板部分42bとは、皮膚のうち、使用者によって引き伸ばされた部分の中央から放射状に延びる。結果として、剛体板部42による皮膚の形状の変化を抑える効果が、皮膚のうちで使用者によって引き伸ばされた部分の全体におよびやすくなる。
・剛体板部42は、例えば、図12が示すように、第1方向D1に沿って延びる2つの第1板部分51aと、第2方向D2に沿って延びる2つの第2板部分51bとを備える構成でもよい。こうした構成では、2つの第1板部分51aが、第1方向D1と平行な1つの直線上に位置し、かつ、2つの第2板部分51bが、第2方向D2に平行な1つの直線上に位置して、2つの第1板部分51aと2つの第2板部分51bとが、マイクロニードル11の基体21を中心とする放射状に並んでもよい。なお、剛体板部42は、被支持面21bと対向する平面視において、マイクロニードル11と重ならない位置に配置されてもよい。
・図13が示すように、剛体板部42は、第1板部分52a、第2板部分52b、および、第3板部分52cを備え、第1板部分52a、第2板部分52b、および、第3板部分52cが、基体21を中心とする放射状に並ぶ構成でもよい。なお、剛体板部42は、被支持面21bと対向する平面視において、マイクロニードル11と重ならない位置に配置されてもよい。
・剛体部32は、複数の剛体板部を備える構成でもよい。すなわち、図14が示すように、複数の剛体板部53は、例えば、第2方向D2において所定の間隔を空けて並び、各剛体板部53は第1方向D1に沿って延びる構成であればよい。
・図14が示すように、支持部12の支持層54は、第1方向D1と第2方向D2とに沿って拡がる四角板形状を有してもよい。こうした構成では、上述したように、剛体部32が、第1方向D1に沿って延びる複数の剛体板部53を備える構成であるとき、皮膚の引き伸ばされる方向に限らず、剛体板部42による皮膚の形状が変わることを抑える効果が得られやすくなる。
・剛体部32は、基材層41と剛体板部42とから構成されるため、基材層41の剛性が剛体板部42の剛性と等しくともよい。こうした構成であっても、剛体部32の剛性が、粘着層31、および、マイクロニードル11の剛性よりも高ければ、上述した(1)に準じた効果を得ることができる。なお、剛体部32において、皮膚表面の形状に対する追従性を高める上では基材層41の剛性が剛体板部42の剛性よりも低い方が好ましい。また、剛体部32を構成する剛体板部42によって、マイクロニードル11よりも高い剛性と、粘着層31よりも高い剛性とが担保されていれば、基材層41の剛性は、マイクロニードル11の剛性、および、粘着層31の剛性以下であってもよい。
・剛体部32は、剛体板部42と、基材層41のうち、カバー層41bのみとを備え、剛体板部42が、粘着層31に直接接合した構成であってもよい。こうした構成であっても、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。
・剛体部32は、少なくとも剛体板部42を有していればよく、基材層41を有してなくともよい。すなわち、剛体板部42が、粘着層31に直接接合した構成であってもよい。こうした構成であっても、支持部12が粘着層31による粘着性と剛体板部42による剛性とを有する以上は、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。
・粘着層31は粘着性を有した部分でなくともよく、接着性を有した接着部であってもよい。こうした構成であっても、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
・剛体板部42は、マイクロニードル11が突起形成面21aを曲げる外力を受けたときに、突起形成面21aとともに曲がる可撓性を有していなくてもよい。すなわち、剛体板部42は、マイクロニードル11の突起形成面21aが曲がったとしても、突起形成面21aに追従して撓まない程度に高い剛性を有してもよい。こうした構成であっても、マイクロニードル11の突起形成面21aが、外力を受けて曲がり、かつ、剛体板部42が撓まない状態で、粘着層31が、粘着層31と、マイクロニードル11とを皮膚表面に粘着することのできる粘着性を有していればよい。こうした構成であれば、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
なお、剛体部32の全体が、マイクロニードル11および粘着層31よりも高い剛性を有する構成であれば、剛体部32が可撓性を有していなくともよく、こうした構成であっても、粘着層31が、粘着層31とマイクロニードル11とを皮膚表面に粘着することのできる粘着性を有していればよい。これにより、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
・上述したマイクロニードルユニット10の実施形態と、複数の変形例とは、任意に組み合わせて実施することもできる。
10…マイクロニードルユニット、11…マイクロニードル、12…支持部、12a…接合面、21…基体、21a…突起形成面、21b…被支持面、22…突起部、31…粘着層、32…剛体部、41…基材層、41a,54…支持層、41b…カバー層、42,53…剛体板部、42a,51a,52a…第1板部分、42b,51b,52b…第2板部分、42c…交差部、52c…第3板部分。

Claims (9)

  1. 少なくとも1つの突起部を有する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有して可撓性を有するマイクロニードルと、
    前記マイクロニードルの前記第2面に接合して前記マイクロニードルを支持する支持部と、を備え、
    前記支持部は、
    前記第2面と対向する平面視において、前記第2面から前記第2面の外側にはみ出して皮膚に接着する接着性を有した接着部と、
    前記接着部に接合する剛体部であって、前記接着部、および、前記マイクロニードルよりも高い剛性を有する剛体板部を含む前記剛体部と、を備える
    マイクロニードルユニット。
  2. 前記接着部は、前記第2面と対向する平面視において、前記剛体板部から前記剛体板部の外側にはみ出し、
    前記剛体板部は、第1方向に沿って延びる板形状を有する
    請求項1に記載のマイクロニードルユニット。
  3. 前記剛体板部は、前記第2面と対向する平面視において、前記マイクロニードルの少なくとも一部に重なる
    請求項1または2に記載のマイクロニードルユニット。
  4. 前記剛体部は、前記マイクロニードルの前記第1面を曲げる外力を受けて前記第1面とともに曲がる可撓性を有する
    請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロニードルユニット。
  5. 前記接着部は、前記第1方向と、前記第1方向と交差する第2方向とに拡がる板形状を有し、
    前記剛体板部は、
    前記第1方向に沿って延びる板形状を有する部分である第1板部分と、
    前記第2方向に沿って延びる板形状を有する部分である第2板部分と、を備える
    請求項2に記載のマイクロニードルユニット。
  6. 前記剛体板部は、前記第1板部分と前記第2板部分とが交差する交差部を有し、
    前記第2面の少なくとも一部は、前記第2面と対向する平面視にて、前記交差部と重なる
    請求項5に記載のマイクロニードルユニット。
  7. 前記剛体部の形成材料は、樹脂である
    請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロニードルユニット。
  8. 前記支持部のうち、前記第2面と接する面とは反対側の面が薄橙色を有する
    請求項1から7のいずれか一項に記載のマイクロニードルユニット。
  9. 前記支持部のうち、前記第2面と接する面とは反対側の面がマット処理された表面を含む
    請求項1から8のいずれか一項に記載のマイクロニードルユニット。
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