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JPWO2015181944A1 - 植物栽培ユニット、ユニット保持具、植物栽培ユニットの製造方法、及び植物栽培方法 - Google Patents

植物栽培ユニット、ユニット保持具、植物栽培ユニットの製造方法、及び植物栽培方法 Download PDF

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JPWO2015181944A1
JPWO2015181944A1 JP2016523050A JP2016523050A JPWO2015181944A1 JP WO2015181944 A1 JPWO2015181944 A1 JP WO2015181944A1 JP 2016523050 A JP2016523050 A JP 2016523050A JP 2016523050 A JP2016523050 A JP 2016523050A JP WO2015181944 A1 JPWO2015181944 A1 JP WO2015181944A1
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Abstract

【課題】水耕栽培の全工程を通して植物を機能的にハンドリングできるようにする。【解決手段】水耕栽培に用いる植物栽培ユニット1であって、全体が略円筒形状に形成されて両端が開口した内径を有する筒部21と、水分を含有したゲル材料からなり、筒部21の内径に充填された培地3と、培地3に接触するよう配置された栽培対象の植物の種子4と、を有し、筒部21は、胴部の外周側面に、外部機器による当該植物栽培ユニット1の保持と搬送を補助するための第1鍔部22と第2鍔部23を、有している。

Description

開示の実施形態は、植物栽培ユニット、ユニット保持具、植物栽培ユニットの製造方法、及び植物栽培方法に関する。
近年、自然光(太陽光)又は人工光(例えば蛍光灯やLED等の発光光)を利用した水耕栽培により食用植物を栽培するシステムが提案されている。栽培対象の種子を発芽させて育苗するには、当該種子を保持して根や葉を成長させる培地が必要となるが、全体を直方体に形成したウレタン樹脂で培地ブロックを構成し、これをシステム内の保持具に直接保持させる構成が取られていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−289056号公報
水耕栽培の栽培工程においては植物単位で移送するハンドリング作業を高い頻度で行う必要がある。しかしながら、上記従来技術のようにウレタン樹脂からなる培地ブロックを多くの回数で直接保持して搬送した場合、培地ブロックが劣化して安定的な保持、搬送が困難となる。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、水耕栽培の全工程を通して植物を機能的にハンドリングすることが可能な植物栽培ユニットと、それに関連したユニット保持具、植物栽培ユニットの製造方法、及び植物栽培方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、水耕栽培に用いる植物栽培ユニットであって、両端が開口した内径を有する筒部と、水分を含有したゲル材料からなり、前記筒部の内径に充填された培地と、を有する植物栽培ユニットが適用される。
また、本発明の別の観点によれば、水耕栽培に用いる植物栽培ユニットであって、両端が開口した内径を有する筒部と、水分を含有したゲル材料からなり、前記筒部の内径に充填された培地と、前記培地に接触するよう配置された栽培対象の植物の種子と、を有する植物栽培ユニットが適用される。
また、本発明の別の観点によれば、請求項1又は2記載の植物栽培ユニットを保持するユニット保持具であって、前記筒部の胴部の外周形状に応じた凹部を縁部に形成したパネルを有するユニット保持具が適用される。
また、本発明の別の観点によれば、請求項1又は2記載の植物栽培ユニットの製造方法であって、ゲル状態の前記培地を略円柱形状に成形することと、成形された前記培地を前記筒部の内径に挿入することと、を実行する植物栽培ユニットの製造方法。が適用される。
また、本発明の別の観点によれば、請求項1又は2記載の植物栽培ユニットの製造方法であって、前記筒部の内径の軸方向一方側の開口部を閉塞することと、前記筒部の内径の軸方向他方側の開口部にゾル状態の前記培地を流入することと、流入した前記培地を前記筒部の内部で固化してゲル状態とすることと、を実行する植物栽培ユニットの製造方法が適用される。
また、本発明の別の観点によれば、植物栽培方法であって、筒部に充填されて水分を含有したゲル材料からなる培地に栽培対象の植物の種子を播種することと、前記種子から発芽した根を有機養液に浸すことと、前記種子から発芽した葉に光を当てることと、前記植物の成長度合いに応じて当該植物の配置を変えることと、を実行する植物栽培方法が適用される。
本発明によれば、水耕栽培の全工程を通して植物を機能的にハンドリングすることができる。
実施形態の植物栽培ユニットの外観全体を斜視で表した図である。 図1中の矢視II−II断面で見た軸方向側断面を表した図である。 植物栽培ユニットに対する播種工程を斜視で表した図である。 播種工程を経た植物栽培ユニットの軸方向側断面を表した図である。 培地内の種子が発芽した状態の植物栽培ユニットの軸方向側断面を表した図である。 発芽直後の植物栽培ユニットを効率的に配置した状態の平面図である。 植物が生長した状態の植物栽培ユニットの軸方向側断面を表した図である。 植物が生長した状態の植物栽培ユニットを効率的に配置した状態の平面図である。 植物栽培ユニットの保持機構の一例を斜視で表した図である。 筒部の外周側面に保持溝を形成した植物栽培ユニットの軸方向側断面を表した図である。 培地の軸方向一方側の端部に凹形状の窪みを形成した植物栽培ユニットの軸方向側断面を表した図である。 培地の凹形状の窪みに種子を載置した植物栽培ユニットの軸方向側断面を表した図である。 培地に形成した保持穴に種子を嵌入した植物栽培ユニットの軸方向側断面を表した図である。 筒部の内径の途中位置まで充填した培地に種子を載置した植物栽培ユニットの軸方向側断面を表した図である。 筒部の内径の上半分をゲル培地で充填し、下半分をゾル培地で充填してゲル培地に種子を埋設した植物栽培ユニットの軸方向側断面を表した図である。 図15の植物栽培ユニットで培地内の種子が発芽した状態を表した図である。 筒部の内径にテーパ面を形成した植物栽培ユニットの軸方向側断面を表した図である。 内径にテーパ面を形成したホルダだけを上方から見た図である。 ホルダに網状規制部を設けた状態の植物栽培ユニットの軸方向側断面を表した図である。 ユニット保持具の一例を斜視で表した図である。 植物が発芽直後の状態の植物栽培ユニットを保持するユニット保持具を表した図である。 植物が成長した状態の植物栽培ユニットを保持するユニット保持具を表した図である。 平行な2辺の縁部に凹部を交互に配置したパネルの平面図である。 図25のパネルを用いて植物栽培ユニットを保持した状態を表した図である。 植物栽培ユニットの第1の製造方法を表す図である。 植物栽培ユニットの第2の製造方法を表す図である。 中央に略球面形状の凸部を有する面で筒部の内径の下方側の開口部を閉塞した場合の植物栽培ユニットの軸方向側断面を表した図である。 筒部の内径と同じ外径の円柱形状の治具を嵌合することで筒部の内径の下方側の開口部を閉塞した場合の植物栽培ユニットの軸方向側断面を表した図である。 筒部の内径の下方側の開口部に対してシール材で封止することで閉塞植物栽培ユニットの軸方向側断面を表した図である。
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下では、植物栽培ユニット等の構成の説明の便宜上、上下左右等の方向を適宜使用するが、植物栽培ユニット等の各構成の位置関係を限定するものではない。
<植物栽培ユニットの概略構成>
図1は、本実施形態の植物栽培ユニットの全体の外観を斜視で表し、図2は、図1中の矢視II−II断面で見た軸方向側断面を表している。これら図1、図2において、本実施形態の植物栽培ユニット1は、ホルダ2と、培地3を有している。
ホルダ2は、両端が開口した内径を有する筒部21と、筒部21の軸方向一方側(図中の上側)の端部に当該筒部21と一体に設けられた第1鍔部22と、筒部21の軸方向他方側(図中の下側)の端部に当該筒部21と一体に設けられた第2鍔部23を有している。本実施形態の例では、筒部21は円筒形状に形成され、その内径の軸方向長さや直径の寸法は栽培対象の植物の種類に応じて設定する。また本実施形態の例では、第1鍔部22、及び第2鍔部23(被保持搬送部)は、いずれも同じ直径及び同じ厚さの環状円盤形状に形成され、筒部21のそれぞれの端部において中心軸と同軸的な配置で設けられている。各鍔部22,23の直径寸法は筒部21の外径より大きく、厚さ寸法は筒部21の軸方向長さと比較して十分薄く設定する。また本実施形態の例では、ホルダ2全体がプラスチックを材料として一体成形されたものを想定しているが、機能的には一定以上の機械的強度を有する構造物であればよく、金属やゴムなどの材料から成形してもよい。
培地3は、水分を含有したゲル材料からなり、上記ホルダ2の筒部21の内径容積内一杯に充填されている。ここで、ゲルとは、コロイド粒子が一定の組織的な結びつきをつくり、自由に動けなくなった状態の材料であり、適度な弾性、粘性を有しているものを想定している。このゲルは、いわゆるゾルと比較して流動性が低いため、単純な筒部21の内径内においても充填した状態を維持し続けることができる。これにより、機械的な強度構造部材である筒部21と粘性を有する培地3とを単体の植物栽培ユニット1として一体的に簡易に取り扱うことができる。また本実施形態の例では、培地3のゲル材料は、植物を育成するための化学的な有機養分を含有していないものを想定しているが、これに限られるものではない。
<植物栽培ユニットの利用形態>
上述した本実施形態の植物栽培ユニット1の利用形態について、以下に説明する。なお、以下に説明する例においては、栽培対象の植物としていわゆる葉物野菜を想定しているが、これに限られるものではない。
まず、一般的な水耕栽培による植物の栽培工程としては、播種→育苗→定植→収穫の順で行われる。播種工程は、栽培対象の植物の種子を培地3の内部に植え付ける工程である。育苗工程は、培地3内の種子から根と葉を発芽させる工程である。定植工程は、育苗後の成長過程においてその植物の成長度合いに応じて個体単位で移送して配置を変える工程である。収穫工程は、十分に成長した植物から主として出荷対象の部位(この例の葉の部分)を切断して採集する工程である。
これらの工程のうち播種と育苗の工程においては、非常に小さくて軽い種子を確実に保持できる機械的な構成があるのが望ましいが、その反面、この保持構成においては発芽した際の非常に柔らかい生え始めの根と葉の成長を妨げてはいけないという制約がある。また、育苗と定植の工程においては、後述する栽培面積の効率化を図るために、植物を個体単位で移送する作業を高い頻度で行うのが望ましい。しかし、育苗後においても植物の根や葉は非常にもろく、商品価値を維持するためにも移送作業においてはできるだけ根と葉に直接触れないようにするのが望ましい。
このように、栽培工程中の植物に対するハンドリングについて機械的な観点で見ると、多様な条件、制約が課せられている。そして近年では、省コスト化を図るために上記栽培工程を通していかに人手の手間を省き、またロボットなどの大がかりな設備を用いずに、運用費用を抑えてかつ効率的に植物をハンドリングするかが重要なポイントとなっている。そこで上述した本実施形態の構成の植物栽培ユニット1を用いることで、種子の播種から収穫までの栽培工程を通して栽培対象の植物の好適なハンドリングを可能にする。
まず種子の播種工程においては、上記図1に対応する図3に示すように、筒部21の一方側の開口部から栽培対象の種子4を培地3の内部に挿入、埋設することにより行う。これにより、上記図2に対応する図4に示すように、ゲル材料からなる培地3が種子4を適切に保持するとともに、ゲル材料が含有する水分により種子4の育苗を促進できる。この育苗工程においては、ゲル材料に有機養分が含まれていなくとも種子4そのものが有する養分によって発芽までは可能であり、その場合の方が余分な有機養分による藻の発生を防いで衛生的に望ましい。また、ゲル材料には適度の粘性を有しているため、種子4に対する保持機能を維持したまま発芽時における根5と葉6の成長を妨げにくい(図5参照)。
以上の育苗工程までは、発芽した根5及び葉6の大きさが植物栽培ユニット1全体の直径より小さいため、図6に示すようにホルダ2どうしを近接させて配置することができる。このようにできるだけ多くの植物栽培ユニット1を密集させて配置することにより、栽培面積(図中のA×B)の効率化を図ることができる。
そして発芽後には、水分を含んだ有機養液Wに根5を浸すとともに、葉6に光L(太陽光でもよいし、LEDや蛍光灯等による人工光でもよい)を当てることで植物のさらなる成長を促すことができる。このように植物の成長を促進させることで、根5と葉6は互いに筒部21の逆側の開口部からそれぞれ膨出するよう成長し、その結果図7に示すように植物全体の中央に位置する茎の外周に筒部21が嵌合する状態となる。この位置に定着した筒部21に対して適宜の農具、ロボットハンド、又は人手によって機械的に把持、支持することで、根5と葉6の両方にほとんど触れることなく植物全体を適切な重心バランスでハンドリングすることが可能となる。また、育苗後に根5と葉6が筒部21の内径よりも十分大きく拡大した状態では、筒部21から植物が抜脱することがほとんどない。これによりファクトリーオートメーション化された水耕栽培システム等(特に図示せず)において、簡易な機構による植物単位の安定した保持と搬送が可能となる。なお、図7に示す例では、筒部21の外周における2つの鍔部22,23の間にその離間距離とほぼ同じ厚さ寸法のパネル7を挟み込むことで、植物全体を安定的に保持している。
また、植物の成長に伴って根5と葉6の成長領域がホルダ2の直径より大きくなった際には、隣接する植物どうしで根5と葉6が接触するのを避けるためにも、各植物を個体単位で移送して配置を変える定植工程を実行するのが望ましい。例えば、発芽直後の時点であれば上記図6で示したようにA×Bの広さの栽培面積において25個の植物栽培ユニット1を配置できたが、図8に示す成長状態では同じA×Bの広さの栽培面積において植物栽培ユニット1を4個しか配置できない。つまり必要な栽培面積がおよそ6倍以上に拡大する。定植工程では、このように植物の成長に応じて隣接する植物間の離間間隔を調整するよう、各植物を個体単位で移送し再配置する。一般的には、全ての栽培工程を通した全体の栽培面積をできるだけ小さくして効率化を図るために、一つの植物に対して3、4回の定植を行うのが望ましい。
図9は、上述した定植工程を考慮した植物栽培ユニット1の保持機構8の一例を斜視で表している。この図9において、上記保持機構8は略四角筒形状に形成された中空の箱体81と、この箱体81の上方に配置された光Lの光源である蛍光灯82を有している。箱体81の上壁の幅方向中央位置には、その長手方向に沿って筒部21の外径とほぼ同じ幅の長溝83が形成されており、この長溝83に植物栽培ユニット1の筒部外周が嵌め込まれる。このとき上下2つの鍔部22,23が長溝83の2つの縁部に対してその上面と下面で挟み込む。これにより、植物が箱体81に安定的に保持される。そして箱体81内部に有機養液Wを満たして(又は長手方向に流通させて)植物の根5に有機養液Wを供給するとともに、上方の蛍光灯82から光Lを照射して植物の葉6に当てることで植物の成長を促進する。
また、植物栽培ユニット1は、植物を保持しながらその全体を箱体81の長溝83に沿って自由に移動できる(図中の矢印D参照)。これにより、適宜の搬送手段を用いて各植物を個体単位で容易に移送させ、隣接の植物との離間距離を適切に調整する定植工程が容易となる。搬送手段としては、例えば箱体81全体を傾斜させて植物の自重を利用したり、有機養液Wの水流を利用したり、箱体81に設けた適宜の機械的な搬送機構を利用したり、適宜の治具を用いて人手により筒部21のみを押し込む手法などがある(特に図示せず)。そして栽培工程が進むにつれて、植物の成長に伴い培地3は崩壊、離散して主に有機養液Wへ落下する。この有機養液Wに対して適宜の処理を行うことで、培地3は適切に処分される。また収穫工程で根5と葉6を分離した後には筒部21を取り出して再利用できる。このため、栽培工程を通じて植物栽培ユニット1から無機固形物としての廃棄物をほとんど出すことがない。
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の植物栽培ユニット1は、ゲル材料からなる培地3が種子4を適切に保持するとともに、ゲル材料が含有する水分により種子4の育苗を促進できる。また、ゲル材料には適度の粘性を有しているため、保持機能を維持したまま発芽時における根5と葉6の成長をほとんど妨げることがない。そして筒部21は、成長した植物全体の中央に位置する茎の外周に嵌合する状態となり、この位置の筒部21を機械的に把持、支持することで、根5と葉6の両方にほとんど触れることなく植物全体を適切な重心バランスでハンドリングすることが可能となる。また、育苗後に根5と葉6が筒部21の内径よりも十分大きく拡大した状態では、筒部21から植物が抜脱することがほとんどない。
以上の結果、本実施形態の植物栽培ユニット1によれば、水耕栽培の全工程を通して植物を機能的にハンドリングすることが可能となる。
なお、上記実施形態では、栽培対象の種子4を有していない状態の植物栽培ユニット1に対する播種工程から説明したが、これに限られない。つまり、あらかじめ種苗業者が培地3の内部に栽培対象の種子4を埋設した状態で当該植物栽培ユニット1を流通させてもよく、この場合には栽培業者側で播種工程を省略することができ、種苗業者と栽培業者との間の流通上の取り扱いを簡易にできる。
また、本実施形態では特に、筒部21の全体が略円筒形状に形成されていることにより、軸周りの回転を許容するため、例えば上記図9で示した長溝83に嵌合した場合の円滑な搬送を可能にする。なお、特に図示しないが、筒部21は四角筒形状などの多角筒形状に形成されてもよく、この場合には意図的に回転を抑止できる。
また、本実施形態では特に、筒部21がその胴部の外周側面に、外部機器による当該植物栽培ユニット1の保持と搬送を補助する2つの鍔部22,23を有している。これにより、ファクトリーオートメーション化された水耕栽培システムにおける当該植物栽培ユニット1の保持と搬送を簡易かつ確実に行うことができる。
なお、筒部21に2つの鍔部22,23を設ける構成以外にも、例えば図10に示すように筒部21の外周側面の全周又は一部の角度範囲で保持溝24を形成する構成としてもよい。この場合には、保持溝24の幅と同じ厚さ寸法の薄板を嵌合することで保持が可能となる。
また、本実施形態では特に、筒部21の軸方向一方側(図1中の上方側)の端部に第1鍔部22を有していることにより、植物の自重を確実に支えて搬送を容易にできる。
また、本実施形態では特に、筒部21の軸方向他方側(図1中の下方側)の端部に第2鍔部23を有していることにより、第1鍔部22と第2鍔部23が協働して上方と下方の両方で保持することで、収穫工程などにおいて植物全体を天地逆(上下逆さま)の姿勢に保持することも可能となる(特に図示せず)。
なお、上記実施形態では、ホルダ2の筒部21の内径容積内一杯に培地3が充填されていたが、これに限られない。例えば、図11に示すように、培地3の軸方向一方側の端部に凹形状の窪み31が形成されていてもよく、この場合には播種工程において凹形状を介した正確な位置での種子4の挿入が容易となる。
また、上記実施形態では、培地3の内部に種子4を埋設していたが、これに限られず、種子4を培地3の上表面に載置しただけでも発芽させることができる。つまり、播種工程において種子4が少なくとも培地3に接触されるよう配置されるだけで、当該種子4は培地3に含有されている水分を吸収して発芽することができる。しかし、一般的な葉物野菜の種子4は非常に小さく軽いため、播種から発芽までの間に培地3は種子4を機械的に安定して保持する機能があるのが望ましい。そのため、例えば上記図11に示した培地3の凹形状の窪み31の内部に種子4を載置することで(挿入せずに置くだけ)、種子4が培地3の表面から転落する可能性を低減できる(図12参照)。さらに、図13に示すように、上記凹形状の窪み31より底の深い保持穴32を形成して種子4を嵌入することで、より確実な保持が可能となる。また、図14に示すように、培地3を筒部2の内径容積の軸方向途中位置まで満たすよう充填しただけでも、その上表面に種子4を載置した場合には露出した筒部2の内周面が種子4の転落を防ぐことができる。
また、ホルダ2の筒部21の内径容積内には、種子4を機械的に保持するためのゲル材料からなる培地3の他にも、水分を含有したゾル材料からなる培地3Aも併せて充填してもよい。例えば、図15に示すように、筒部2の内径の上半分にゲル材料の培地3を充填し、それと混合しないよう下半分にゾル材料の培地3Aを充填し、種子4はゲル材料の培地3内で境界付近に挿入配置する。そして、育苗工程において2種類の培地3,3Aの上下配置関係(ゲル材料の培地3を上方に、ゾル材料の培地3Aを適宜の漏出防止構成で筒部2内に保持したまま下方に配置)を維持したまま種子4を発芽させる。これにより、図16に示すように、比較的強い葉6をゲル材料の培地3に通過させて成長させ、比較的もろいゾル材料の培地3Aに通過させて成長させることができる。このように比較的流動性の低いゲル材料の培地3に種子4を機械的に保持させつつ、根5と葉6のそれぞれの強度に応じて流動性の異なる培地3,3Aで成長させるといった機能的な育成が可能となる。
また、培地3が寒天などの化学的な有機養分を含有するゲル材料であってもよい。この場合には、種子4に寒天の有機養分を吸収させてより健常に発芽させることができる。また寒天以外でも、培地3自体が水分とともに有機養分を含有していれば、種子4の健常な発芽を促進できる。
<植物栽培ユニットの変形例>
なお、開示の実施形態は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
(1)筒部の内径に培地抜け防止用テーパ面を設けた場合
上記実施形態では、筒部21の内径が軸方向全体に渡って同じ径の単純穴で形成されていたが、これに限られない。例えば、図17に示すように、筒部21の内径にテーパ面25を形成してその内部に培地3を充填させてもよい。
このテーパ面25は、内径の軸方向他方側(図17中の下方側)の端部に向けて内径が連続的に小さくなるよう形成されている。また、テーパ面25の内周表面には、複数の環状の凸部26が同軸的に形成されており、すなわち軸方向に対して凹凸形状が形成されている。また、ホルダ2だけを上方から見た図18に示すように、テーパ面25の全体が周方向に8等分で分割されており、これによってテーパ面25の内径が弾性的に拡縮可能に構成されている。
以上説明したように、本変形例の植物栽培ユニット1は、筒部21の内径にテーパ面25を有していることにより、テーパ面25の小径口を下方に位置することで、筒部21の内径から培地3が抜け落ちることを防ぐことができる。
また、本変形例では特に、テーパ面25において軸方向に対して凹凸形状が形成されていることにより、さらに内径における培地3の保持を確実にできる。
また、本変形例では特に、テーパ面25の内径が弾性的に拡縮するように構成されていることにより、植物の根5が成長して太くなった場合でもその発育を阻害せずに保持できる。なお、この機能を発揮するために、テーパ面25を一体的に形成するホルダ2全体、もしくはテーパ面25だけを弾性を有する材料で構成するか、または筒部21の内径とテーパ面25との間に弾性部材(図示省略)を設けて開閉可能としてもよい。
(2)筒部の一方の端部に網状規制部を設けた場合
図19に示すように、植物の根5が膨出する側の筒部21の開口部に、根5の発育領域を制限するための網状規制部27を設けてもよい。網状規制部27(網目部材)は、例えば水を容易に通過できる金網をカゴ状に形成したものであり、その唯一の開口部を根5が膨出する側の筒部21の開口部に連結させる。この網状規制部27は、根5に対する有機養液Wの供給を可能にするとともに、根5の発育領域を限定して不必要に広がることを防ぐことができる。
以上説明したように、本変形例の植物栽培ユニット1は、網状規制部27が根5の発育領域を限定することで、隣接配置される2つの植物の間でそれぞれの根5がそれぞれの発育領域に干渉することを防ぐことができる。なお、図示する例では、底部を有するカゴ状に網状規制部27を形成したが、少なくとも筒形状の側面を有していれば底部を省略してもよい。また、ホルダ2に対して網状規制部27を固定的に設けてもよいし、また着脱可能としてもよい。
<ユニット保持具について>
上記図9に示した保持機構8の例では、上壁部の長溝83に植物栽培ユニット1を嵌合して保持する構成を示したが、これに限られない。他にも、図20に示すように、2つのパネル91でホルダ2を挟み込む構成のユニット保持具9を用いてもよい。
図20において、ユニット保持具9は、2つのパネル91と、これら2つのパネル91を開閉可能に連結するヒンジ92を有している。各パネル91は、いずれも筒部21の2つの鍔部22,23の間の離間距離とほぼ同じ厚さ寸法の板部材であり、ヒンジ92を介して閉じることで各パネル91の対向する縁部どうしが全体で一致するよう接触する。それら接触する2辺の縁部には、それぞれ同じ数(図示する例では5つ)の凹部93が互いに対応する配置で形成されている。いずれの凹部93も、ホルダ2の筒部外周と同じ径の半円形で形成されている。
以上の構成のユニット保持具9において、図21に示すように、対応する位置の凹部93の間に植物栽培ユニット1の筒部21を挟み込ませて2つのパネル91を閉じることで、植物の根5と葉6に触れずに植物栽培ユニット1を保持することができる。
そして、発芽直後の植物の場合には図21に示すように凹部93を狭い間隔で配置したユニット保持具9を用いて、根5や葉6が大きく成長した植物の場合には図22に示すように凹部93を広い間隔で配置したユニット保持具9Aを用いる。
以上説明したように、本変形例のユニット保持具は、筒部21の胴部の外周形状に応じた凹部93を縁部に形成したパネル91を有している。これにより、複数のパネル91を用いてそれぞれの縁部の凹部93を対向させるよう配置することで、植物の根5と葉6に触れずに胴部側面を挟み込んで適切に保持できる。
また、本変形例では特に、凹部93は、種子4(植物)の成長度合いに応じた所定の間隔で配置されていることにより、育苗中及び育苗直後で根5と葉6がまだ小さい段階では比較的狭い間隔で配置して全体の栽培面積を縮小でき、根5と葉6の大きさに合わせて間隔を広げることで栽培面積の効率化を図ることができる。
また、本変形例では特に、対応する位置に凹部93を形成した縁部をそれぞれ有する2つのパネル91を、ヒンジ92を介してそれぞれの縁部の間を開閉可能に連結している。これにより、複数の凹部93を形成した縁部どうしの位置合わせが容易となり、植物栽培ユニット1の挟み込み作業を簡易化できる。なお、他の適宜の連結構成が用意されていれば、ヒンジ92で連結せずに各パネル91を単独で形成してもよい。
なお、図25に示すように、1つのパネル91Bにおいて平行な配置関係にある2辺の縁部に、それぞれ縁部に沿う方向に対して凹部93を交互に配置するよう形成してもよい。このパネル91Bを複数用いて植物栽培ユニット1を挟み込むよう保持した場合には、図24に示すように面積的に無駄の少ない配置で各植物を位置させることができ、栽培面積の効率化を図ることができる。
また、特に図示しないが、パネル91の縁部に形成する凹部93は筒部21の半周以上の角度範囲に対応する外周形状に対応して形成してもよく、この場合にはパネル91自体の弾性を利用して押し広げた凹部93の開口部に植物栽培ユニット1を嵌め込んで保持させる。これにより、1枚のパネル91だけでも植物栽培ユニット1を保持できる。
<植物栽培ユニットの製造方法について>
以下、植物栽培ユニット1の製造方法について説明する。上記実施形態の構成の植物栽培ユニット1を製造する方法には主に2通りある。
第1の製造方法としては、図25に示すように、あらかじめゲル状態となっている培地3を略円柱形状に成形することと、成形された培地3を筒部21の内径に挿入することを順次実行する方法である。図示する例では、筒部21の内径と同じ外径の円柱形状で長尺に形成されたゲル材料31を、筒部21の軸方向長さと同じ長さで切断することで培地3を成形している。このようにゲル状態の培地3を筒部21の内径に挿入する第1の製造方法によれば、後述する第2の製造方法と比較してゾルの固化時間が不要であるため迅速に製造することができ、作業効率を向上できる。
また第2の製造方法としては、図26に示すように、筒部21の内径の下方側の開口部を閉塞することと、流動性を有するゾル状態の培地32を筒部21の内径の上方側の開口部に流入することと、流入した培地3を筒部21の内部で固化してゲル状態とすることを順次実行する方法である。図示する例では、熱容量の大きい定盤10の平面上にホルダ2を載置して下方側の開口部を閉塞している。このようにゾル状態の培地32を筒部21の内径に流入する第2の製造方法によれば、上述した第1の製造方法と比較してゲルの円柱形状の成形作業と挿入作業が不要であるため確実に製造することができ、歩溜まりを向上できる。
なお、上記第2の製造方法において、筒部21の内径の下方側の開口部に対する閉塞は、平面以外にも所定の形状を有する治具を利用して閉塞してもよい。例えば、図27に示すように、中央に略球面形状の凸部11を有する面で筒部21の内径の下方側の開口部を閉塞することで上記図11に示したような凹形状の窪み31を形成することができ(固化後に上下逆さまに姿勢を変える)、播種工程における正確な位置での種子4の挿入を容易にすることができる。
また、上記の略球面形状の凸部11の代わりに 図28に示すように筒部21の内径と同じ外径の円柱形状の治具12を嵌合することで筒部21の内径の下方側の開口部を閉塞してもよい。この場合には、治具12を嵌合した側の培地3の端面を同じ側の鍔部23の端面より内側に位置させて凹形状を形成でき、この凹形状によっても播種工程における種子4の挿入を容易にすることができる。
また、図29に示すように、筒部21の内径の下方側の開口部に対してシール紙などのシール材13で封止することで閉塞してもよい。この場合には、密閉度の高いシール材13で閉塞できるため、ゲル材料の培地3の漏出を確実に防ぐことができる。
なお、以上の説明における「等しい」とは、厳密な意味ではない。すなわち、「等しい」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に等しい」という意味である。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
1 植物栽培ユニット
2 ホルダ
3 ゲル培地
3A ゾル培地
4 種子
5 根
6 葉
8 保持機構
9、9A ユニット保持具
11 凸部
12 治具
13 シール材
21 筒部
22 第1鍔部(被保持搬送部)
23 第2鍔部(被保持搬送部)
24 保持溝(被保持搬送部)
25 テーパ面
26 環状凸部
27 網状規制部(網目部材)
81 箱体
82 蛍光灯
83 長溝
91、91B パネル
92 ヒンジ
93 凹部
W 有機養液
L 光

Claims (20)

  1. 水耕栽培に用いる植物栽培ユニットであって、
    両端が開口した内径を有する筒部と、
    水分を含有したゲル材料からなり、前記筒部の内径に充填された培地と、
    を有することを特徴とする植物栽培ユニット。
  2. 水耕栽培に用いる植物栽培ユニットであって、
    両端が開口した内径を有する筒部と、
    水分を含有したゲル材料からなり、前記筒部の内径に充填された培地と、
    前記培地に接触するよう配置された栽培対象の植物の種子と、
    を有することを特徴とする植物栽培ユニット。
  3. 前記筒部は、
    全体が略円筒形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培ユニット。
  4. 前記筒部は、
    胴部の外周側面に、外部機器による当該植物栽培ユニットの保持と搬送を補助する被保持搬送部を有していることを特徴とする請求項3記載の植物栽培ユニット。
  5. 前記被保持搬送部は、
    前記筒部の軸方向一方側の端部に第1鍔部を有していることを特徴とする請求項4記載の植物栽培ユニット。
  6. 前記被保持搬送部は、
    前記筒部の軸方向他方側の端部に第2鍔部を有していることを特徴とする請求項5記載の植物栽培ユニット。
  7. 前記培地は、
    軸方向一方側の端部に凹形状が形成されていることを特徴とする請求項6記載の植物栽培ユニット。
  8. 前記培地は、寒天であることを特徴とする請求項7記載の植物栽培ユニット。
  9. 前記筒部は、
    前記内径にテーパ面を有していることを特徴とする請求項8記載の植物栽培ユニット。
  10. 前記テーパ面は、軸方向に対して凹凸形状が形成されていることを特徴とする請求項9記載の植物栽培ユニット。
  11. 前記テーパ面は、内径が弾性的に拡縮するように構成されたことを特徴とする請求項10記載の植物栽培ユニット。
  12. 前記筒部は、
    軸方向一方側の端部に略筒形状の網目部材を有することを特徴とする請求項11記載の植物栽培ユニット。
  13. 請求項1又は2記載の植物栽培ユニットを保持するユニット保持具であって、
    前記筒部の胴部の外周形状に応じた凹部を縁部に形成したパネルを有することを特徴とするユニット保持具。
  14. 前記凹部は、
    前記種子の成長度合いに応じた所定の間隔で配置されていることを特徴とする請求項13記載のユニット保持具。
  15. 前記パネルは、
    略平行な配置関係にある2辺の縁部を有し、
    前記凹部は、
    前記2辺の縁部に沿う方向に対して前記2辺の縁部どうしで交互に配置されていることを特徴とする請求項14記載のユニット保持具。
  16. 請求項1又は2記載の植物栽培ユニットの製造方法であって、
    ゲル状態の前記培地を略円柱形状に成形することと、
    成形された前記培地を前記筒部の内径に挿入することと、
    を実行することを特徴とする植物栽培ユニットの製造方法。
  17. 請求項1又は2記載の植物栽培ユニットの製造方法であって、
    前記筒部の内径の軸方向一方側の開口部を閉塞することと、
    前記筒部の内径の軸方向他方側の開口部にゾル状態の前記培地を流入することと、
    流入した前記培地を前記筒部の内部で固化してゲル状態とすることと、
    を実行することを特徴とする植物栽培ユニットの製造方法。
  18. 前記軸方向一方側の開口部に対する閉塞は、略円柱形状の治具を嵌合して実行することを特徴とする請求項17記載の植物栽培ユニットの製造方法。
  19. 前記軸方向一方側の開口部に対する閉塞は、シール材で封止して実行することを特徴とする請求項17記載の植物栽培ユニットの製造方法。
  20. 植物栽培方法であって、
    筒部に充填されて水分を含有したゲル材料からなる培地に栽培対象の植物の種子を播種することと、
    前記種子から発芽した根を有機養液に浸すことと、
    前記種子から発芽した葉に光を当てることと、
    前記植物の成長度合いに応じて当該植物の配置を変えることと、
    を実行することを特徴とする植物栽培方法。
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