JPWO2003070546A1 - サドルの昇降機構およびこの機構を有する自転車 - Google Patents
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Abstract
本発明は、各種の部材が外部に付設されることによりこれらの部材が自転車10の運転操作の障害になるというおそれを確実になくし、さらに自転車10の外観視の美麗さを確保することができるサドル昇降機構70およびこの機構を有する自転車を提供することを目的とし、シートパイプ21には、サドルポスト51を上方に向けて付勢する下部コイルスプリング73と、サドルポスト51の昇降を規制するストッパー71と、操作部材74の操作ダイヤル74bの操作でストッパー71の規制を解除する二重ケーブル75のインナーケーブル75a等のサドル昇降機構70を構成する部材のほとんどが内装され、これによって自転車10の外嵌視が複雑なものになるのを防いでいる。
Description
技術分野
本発明は、主に自転車を対象とし、運転しながら座席であるサドルの高さ位置を簡単な操作で容易に昇降させ得るように構成したサドルの昇降機構およびこの機構を有する自転車に関するものである。
背景技術
二輪車である自転車は、サドルの高さ位置がそれに跨って運転する運転者の体格に合わせて運転し易いように若干高めに設定されているのが一般的である。したがって、自転車に乗って走行しているときは快適に運転することができるが、信号待ちや踏み切りの手前等で一時的に停止するときには、通常、両足を地面につけることができず、自転車を横に向けて若干倒した状態とし、片足だけを地面につけるようにすることが行われる。しかしながら、片足のみの接地による停車状態は不安定である。
そこで、このような不安定な停車状態を解消するためのものとして、例えば、日本国実開平2−38196号公報に記載された図11に示すようなサドルの昇降機構100が提案されている。この昇降機構100は、自転車のフレームの一部であるサドルパイプ101に取り付けられ、かつ、頂部にサドル102が固定されたサドルポスト103が遊嵌されるリング状ストッパー110と、このリング状ストッパー110を係止姿勢(図11の(a))と係止解除姿勢(図11の(b))との間で姿勢変更させる二重ケーブル120とを備えて構成されている。リング状ストッパー110は、サドルポスト103がサドルパイプ101に昇降可能に嵌挿された状態で、サドルポスト103の上方に突出した部分に遊嵌されている。
上記リング状ストッパー110は、サドルポスト103が遊嵌される遊嵌孔113を備えたリング部111と、このリング部111の外周縁から外方に向けて突設された柄部112とからなっている。リング状ストッパー110は、リング部111の遊嵌孔113がサドルパイプ101の上面開口に対向配置された状態で、リング部111がサドルパイプ101に固定されたブラケット104に水平軸105回りに回動自在に軸支され、リング部111の柄部112と反対側の端部が先下がりに下がった図11の(a)に示す係止姿勢と、水平になった図11の(b)に示す係止解除姿勢との間で姿勢変更し得るようになっている。
上記二重ケーブル120は、チューブ状のアウターケーブル121と、このアウターケーブル121に摺接状態で内装されたインナーケーブル122とからなっている。アウターケーブル121は、その端部がサドルパイプ101から突設された支持板106に固定され、インナーケーブル122が支持板106を貫通して上方に引き出されている。この引き出されたインナーケーブル122は、圧縮コイルバネ107に差し通された状態で、その上端部がリング状ストッパー110の柄部112の水平軸105より外方位置に固定されている。
また、サドルパイプ101には、その底部とサドルポスト103との間にコイルスプリング108が内装され、このコイルスプリング108の付勢力によってサドルポスト103は上方に向けて付勢されるようになっている。
このように構成された昇降機構100によれば、普段は、リング状ストッパー110が圧縮コイルバネ107の付勢力により水平軸105回りに時計方向に向けて付勢されて斜めになった係止姿勢に姿勢設定されているため、リング部111の前後(図11の紙面の左右方向)の縁部がサドルポスト103の外周面に当接し、これによる摩擦力でサドルポスト103は、図11の(a)に示すように、高さ位置が固定された状態になっている。従って、この状態で運転者がサドル102に跨って体重を掛けても、サドル102が下降することがない。
これに対し、図略の操作手段の操作でインナーケーブル122を圧縮コイルバネ107の付勢力に抗して下方に引くと、リング状ストッパー110は水平軸105回りに反時計方向に回動し、図11の(b)に示すように、水平な係止解除姿勢になる。そうすると、リング部111の対向縁部のサドルポスト103に対する当接状態が解消され、これによってサドルポスト103はサドルパイプ101内で昇降し得るようになる。
従って、運転者は、サドル102に跨った状態でインナーケーブル122を引くことによりリング状ストッパー110を係止解除姿勢に姿勢設定し(図11の(b))、引き続き腰を浮かせてコイルスプリング108の付勢力によりサドル102を上昇させて適切な高さ位置を設定した後、インナーケーブル122を元に戻してリング状ストッパー110を係止姿勢に姿勢設定することにより(図11の(a))、サドル102の高さ位置が固定される。
しかしながら、このような従来の昇降機構100にあっては、ブラケット104や支持板106、さらにはリング状ストッパー110の柄部112や二重ケーブル120等がサドルパイプ101から外部に突出して自転車の外部に目障りで、かつ、邪魔になる異物が存在した状態になっており、これによって自転車の外観視が見苦しくなるとともに、運転操作の障害になるおそれがあるという解決すべき課題が存在する。
本発明は、従来の上記のような状況に鑑みなされたもので、自転車等の外観視の美麗さを確保することができるとともに、自転車等の運転操作の障害になるおそれを確実に払拭することができるサドルの昇降機構およびこの機構を有する自転車を提供することを目的としている。
発明の開示
本発明のサドルの昇降機構は、シートパイプに嵌挿されるサドルポストの上下動で当該サドルポストの頂部に設けられたサドルの高さ位置を調節し得るように構成されたサドルの昇降機構であって、上記シートパイプには、サドルポストを上方に向けて付勢する第一付勢手段と、この付勢手段によるサドルポストの上昇およびサドルに下方へ向かう力が加わることによるサドルポストの下降を規制する昇降規制手段と、操作手段の操作で上記昇降規制手段の規制を解除する規制解除手段とが内装されてなるものである。
この昇降機構によれば、普段は、サドルポストは昇降規制手段の規制で昇降が規制され、これによってサドルの高さ位置が設定された状態になっている。この状態で、操作手段の操作で規制解除手段を介して昇降規制手段の規制を解除することにより、サドルポストはサドルに跨っている運転者の重量で第一付勢手段の付勢力に抗して下降する一方、運転者がサドルから腰を浮かすと、サドルポストは第一付勢手段の付勢力によって上昇するため、サドルは元の高さ位置に復元する。この状態で操作手段の操作で規制解除手段を介して昇降規制手段によりサドルポストの昇降を規制することにより、再度サドルの高さ位置が固定されるため、運転者はこの状態で自転車等の運転を行えばよい。
このように、この発明の昇降機構は、操作手段の操作および運転者のサドルに対する体重加減によってサドルの高さ位置を任意に調節し得るようになっているため、踏切待ちや信号待ちのときにはサドルの高さ位置を容易に下降させて両足を地面に着かせて自転車等への跨り姿勢を安定させることができるとともに、自転車等の走行時にはサドルを走行に適した高さ位置に容易に設定することができ、自転車等の運転の安全性が確保される。
そして、特にこの発明においては、第一付勢手段、サドルポストの昇降を規制する昇降規制手段および操作手段の操作で上記昇降規制手段の規制を解除する規制解除手段の全てがサドルポストに内装されているため、これらが外部に露出した従来のものに比べて自転車等の外観視が極めて簡素で美麗であり、かつ、外部に露出したものが運転操作の障害になるという従来の不都合が解消され、自転車等の商品価値を向上させることができる。
このような昇降機構を備えた自転車は、操作性の面および安全性の面から、特に子供用や老人用として有用であるが、特に子供用および老人用に限定されるものではない。
上記のような昇降機構において、昇降規制手段を、サドルポストに外嵌される外嵌孔を備え、かつ、回動中心から先下がりまたは先上がりに傾斜してサドルポストの昇降を規制する係止姿勢と、回動中心と略同一高さレベルになってサドルポストの昇降を許容する係止解除姿勢との間で姿勢変更可能な環状ストッパーによって構成すれば、昇降規制手段を極めて簡単な構造のものとした上で、サドルポストの昇降(特に下降)を確実に規制することができる。
すなわち、環状ストッパーが回動中心から先下がりまたは先上がりに傾斜すると、外嵌孔の平面視の形状が小さくなるように変化して外嵌孔の対向縁部でサドルポストを挟持した状態になる。そして、環状ストッパーを先下がりに傾斜させた状態で、運転者がサドルに体重をかけると、環状ストッパーは、下方に向かおうとするサドルポストに誘導されてさらに先下がりの傾斜方向に向けて力が加えられるため、その楔効果でサドルポストは先下がりに傾斜した環状ストッパーにより下降が確実に規制された状態になる。
これに対し、運転者がサドルから腰を浮かすことによりサドルポストに下方に向けて加えられていた力が減少すると、サドルボストは、優勢になった第一付勢手段の付勢力により上方に向かおうとし、環状ストッパーは、これに誘導されて先上がりに傾斜した状態になる。そして、環状ストッパーが先上がりに傾斜すると、上記とは方向が逆の楔効果によってサドルポストの上昇が規制される。
そして、環状ストッパーを、その中心位置と上記回動中心とを結ぶ直線に直交する直線位置で上方に向かって折り曲げれば、環状ストッパーが先下がりに傾斜した状態で、外嵌孔の先端側(回動中心に対向した側)の上縁部をサドルポストの周面に当接させることが可能になり、これによってサドルポストに対して鋭角で環状ストッパーの外嵌孔の縁部がサドルポストの周面に当ることから、サドルポストに対するより確実な下降阻止効果を得ることができる。
また、上記外嵌孔を、短径寸法がサドルポストの外周面と摺接するように寸法設定するとともに、長径寸法がサドルポストの外径寸法より大きく寸法設定した楕円孔によって形成するとともに、環状ストッパーの回動中心位置を、長径方向の一方の端部回りに回動するように位置設定すれば、環状ストッパーが回動中心回りに先下がりに回動した状態で、楕円孔は平面視(正確にはサドルポストの延びる方向から見た状態)で真円になり、これによって楕円孔の全縁が円柱からなるサドルポストの全周面に当接した状態になってさらなる下降規制効果を高めることになる。
また、サドルポストに上下方向の所定範囲に亘って係止姿勢に姿勢設定された環状ストッパーの縁部が係合する複数状の周方向に延びた切込み溝を設けることにより、環状ストッパーが先下がりに傾斜した係止姿勢に姿勢設定された状態で、楕円孔の縁部が切込み溝に係合するため、この係合でサドルポストの下降がさらに確実に規制される。
さらに、シートパイプに環状ストッパーを下方に向けて付勢する第二付勢手段を内装することにより、環状ストッパーは第二付勢手段によって常に下降に向けて付勢された状態になるため、環状ストッパーの係止姿勢への姿勢変更が迅速に行われる。
加えて、上記規制解除手段を、操作手段の操作によってサドルポストに対する昇降規制を解除し得るように上記昇降規制手段に接続された二重ケーブルによって形成することにより、規制解除手段が簡単な構造になるとともに、シートパイプに容易に内装することができる。
そして、このようなサドル昇降機構を自転車に適用することにより、当該自転車が安全運転に適したものになる。
発明を実施するための最良の形態
図1は、本発明に係る自転車の一実施形態を示す側面図である。この図に示すように、自転車10は、躯体を構成するフレーム20と、このフレーム20の前方位置(図1の左方)に設けられた前輪31と、同後方位置に設けられた後輪32と、前輪31を操舵するハンドル40と、同中央部で上方に向けて突設された着座席としてのサドル50と、同中央下部に設けられた自転車10を走行させるための足踏み手段であるペダル60と、サドル50の高さ位置を調節するために当該サドル50を昇降させるサドル昇降機構70とを備えた基本構成を有している。
上記フレーム20は、中央部で後方に向けて若干傾くように傾斜設定された上下方向に延びるシートパイプ21と、このシートパイプ21の下端部が嵌挿されるシートパイプ支持筒27と、このシートパイプ支持筒27から先上がりで前方に向けて突設された前部下パイプ22と、シートパイプ21の上下方向の略中間位置から前部下パイプ22に沿うように下に凸で前方に向けて突設された円弧状の前部上パイプ23と、これら前部下および上パイプ22,23の前端部に固定された、上記シートパイプ21と略平行なヘッドパイプ24と、シートパイプ21および前部下パイプ22の接合位置から後方(図1の左方)に向けて延設された平面視で二股状の後部下パイプ25と、シートパイプ21の上下方向の略中央位置から後方に向けて先下がりで突設されて上記後部下パイプ25の後端部と連結される後部上パイプ26とを備えている。
このようにシートパイプ21を中央に位置させた状態で前方に前部下パイプ22および前部上パイプ23とで略三角状を形成するとともに、後方に後部下パイプ25と後部上パイプ26とで三角形を形成したいわゆるラーメン構造を採用することにより、フレーム20は構造的に丈夫なものになっている。
上記ハンドル40は、上記ヘッドパイプ24に摺接状態で軸心回りに回動自在に嵌挿されたハンドルポスト41の頂部に固定されている。そして、ヘッドパイプ24を貫通したハンドルポスト41の下端部には正面視で二股状のフォーク42の上端部が固定され、一対のフォーク42間に前輪31が挟持された状態で当該フォーク42の下端部間に架設される前輪軸33回りに回転自在に前輪31が軸支されている。
また、ハンドル40の両端部には運転者が把持してハンドル40を操作するためのグリップ43がそれぞれ設けられており、各グリップ43を把持してハンドル40をハンドルポスト41回りに一体回動させる操舵操作を行うことにより前輪31がフォーク42を介して軸心回りにハンドルポスト41と共回りして自転車10が操舵されるようになっている。
また、ハンドル40には、その両端部に運転者が把持してハンドル40を操作するためのグリップ43がそれぞれ設けられており、
上記サドル50は、シートパイプ21に上下動可能に嵌挿されたサドルポスト51の頂部に、当該サドルポスト51に冠設されたサドルスペーサー52を介して固定されている。かかるサドル50は、後に詳述するサドル昇降機構70の操作によるサドルポスト51の昇降によって高さ位置が調節可能になっている。
上記ペダル60は、シートパイプ21および前部下パイプ22の各下端部の結合部分に回転可能に貫通されたペダル軸61にペダルロッド62を介して連結され、ペダル60をペダル軸61回りに回転操作することにより、ペダル軸61を軸心回りに回転させ得るようになっている。ペダル軸61には、フロントギヤ63が同心で一体に固定されている。
一方、後輪32は、二股状を呈した上記後部下パイプ25および後部上パイプ26に挟み込まれた状態で各パイプ25,26の後端部の連結部分間に架設された後輪軸34回りに回転可能に軸支されている。また、後輪軸34には同心で当該後輪軸34回りに回転可能にリアギヤ64が装着されているとともに、後輪32はリアギヤ64回りに後輪軸34と一体回転可能とされている。
そして、フロントギヤ63とリアギヤ64との間には、チェーン65が張設され、運転者がサドル50に跨った状態で足裏を載せたペダル60をペダル軸61回りに回転操作することにより、この回転は、ペダルロッド62、ペダル軸61、フロントギヤ63、チェーン65およびリアギヤ64を介して後輪32に伝達され、これによる後輪32の後輪軸34回りの回転によって自転車10は前進し得るようになっている。
図2は、サドル昇降機構70の一実施形態を示す一部切欠き分解斜視図であり、図3はその組立て斜視図である。また、図4は、図3に示すサドル昇降機構70の縦断面図である。また、図5は、ストッパーの一実施形態を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)および(d)は一部断面側面図であり、(c)はストッパーが係止解除姿勢に姿勢設定された状態、(d)はストッパーが係止姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。なお、図2〜図4においては、図示の都合上シートパイプ21を直立姿勢に姿勢設定して示している。
まず、図2〜図4に示すように、サドル昇降機構70は、シートパイプ21に内装され、かつ、サドルポスト51が貫通される環状のストッパー(昇降規制手段)71と、シートパイプ21内でサドルポスト51に遊嵌された状態でストッパー71を下方に向けて付勢する上部コイルスプリング(第二付勢手段)72と、シートパイプ21内でサドルポスト51に遊嵌された状態で当該サドルポスト51を上方に向けて付勢する下部コイルスプリング(第一付勢手段)73と、一方のグリップ43(図1に示す例では右側のグリップ43)に隣接してハンドル40に同心で設けられた操作部材(操作手段)74と、この操作部材44とストッパー71との間に介設された二重ケーブル75とを備えて構成されている。
上記ストッパー71は、図5の(a)に示すように、サドルポスト51を遊嵌させ得る楕円孔(外嵌孔)71bを備えたストッパー本体71aと、このストッパー本体71aの外縁部から外方に向かって突設された係止突片71cとからなっている。ストッパー本体71aは、円形に形状設定されているとともに、外径寸法がシートパイプ21の内径寸法より若干小さめに寸法設定されている。
上記楕円孔71bは、図5の(b)に示すように、楕円の長軸が係止突片71cの平面視での中央位置とストッパー本体71aの中心点とを結ぶ直線(長軸線L1)と一致するようにストッパー本体71aの中央部に設けられている。かかる楕円孔71bは、短径寸法がサドルポスト51の外周面と摺接するように寸法設定されているとともに、長径寸法がサドルポスト51の外径寸法より大きく寸法設定されている。
また、ストッパー本体71aは、楕円孔71bの短軸の延長線(短軸線L2)位置を折れ線として上に凹となるように角度αで折り曲げられている。折り曲げ角度αは、5°〜30°に設定される。角度αが5°〜30°に設定されるのは、以下の理由による。
すなわち、角度αが5°未満であれば折り曲げ状態が不充分であり、したがって、ストッパー71が先下がりの係止姿勢に姿勢設定された状態で、楕円孔71bの係止突片71cに対向した縁部(対向縁部71e)における上縁部がサドルポスト51の周面に当接しないで逆に下縁部が当接した状態になり、これによって楔効果を期待することができず、ストッパー71が折り曲げられたことによる確実な係止効果を得ることがでないからである。
逆に折り曲げ角度αが30°を越えると、曲がり過ぎによりストッパー71に力が加わったときに曲折状態の維持が困難になからである。すなわち、ストッパー71は、サドルポスト51から力を受けると開いてしまい、これによる楕円孔71bの長径側の内寸法増大でサドルポスト51がずり下がってしまうおそれがあるからである。因みに本実施形態においては、種々の試験の結果に基いて折り曲げ角度αは12°〜17°を採用している。
図6は、ストッパー71の折り曲げ角度α、楕円孔71bの長径寸法dおよびサドルポスト51の外径寸法D間の関係を説明するための説明図である。この図においては、楕円孔71bの対向縁部71e側の内面が全体的にサドルポスト51の周面に当接するとともに、楕円孔71bの係止突片側縁部71dの内面側の上縁部が鋭角でサドルポスト51の周面に当接し、これによってサドルポスト51がストッパー71に係止された状態(基準係止状態)を示している。
この基準係止状態において、
ストッパー71の折り曲げ角度を「α」(曲げ位置は、上記短軸線L2(図5)に沿う位置)
楕円孔71bの長径寸法を「d」(但し、ストッパー71が折り曲げられる前の長径寸法)
サドルポストの外径(直径)寸法を「D」
とした場合、以下の関係式が成立する。
D=(d/2)cosα+(d/2)…▲1▼
ところで、▲1▼式において、Dの方が右辺の式の値より大きいという条件を設定すると、以下の▲2▼式が得られる。
D>(d/2)cosα+(d/2)…▲2▼
▲2▼式の意味するところは、当該▲2▼式の条件が満たされれば、ストッパー71は、基準係止状態でサドルポスト51を係止することができず、基準係止状態から回動中心○回りに反時計方向に回動することによってストッパー71の先端側(図6の右方)が先上りになった係止状態(先上り係止状態)にならざるを得ないということである。
そして、ストッパー71が先上がり係止状態に設定されると、楕円孔71bの対向縁部71e側の上縁部が鋭角でサドルポスト51の周面に当接するため、サドルポスト51に対する係止効果が向上することになる。
▲2▼式を変形して左辺に長径寸法dを移項すると以下の▲3▼式が得られる。
d<(2D)/(cosα+1) …▲3▼
また、当然に「d>D」であるから、結局長径寸法dは以下の▲4▼式で表される範囲内の値ということになる。
D<d<(2D)/(cosα+1)…▲4▼
この▲4▼式は、サドルポスト51の外径寸法Dとストッパー71の折り曲げ角度αが既知のときに、ストッパー71の楕円孔71bの長径寸法dをどの程度にすればよいかを決めるときに利用することができる。
例えば、サドルポスト51の外径寸法Dが12.00mm、ストッパー71の折り曲げ角度αが17°のときには、これらを▲4▼式に代入することにより、
12.00<d<12.26mm
となり、楕円孔71bとして例えば長径寸法が12.2mmで短径寸法が12.01mm(サドルポスト51の外径寸法Dより僅かに大きい寸法)の楕円形が採用されることになる。
なお、本発明は、▲4▼式を満足するように楕円孔71bの長径寸法dを設定することが好ましいが、▲4▼式を満足するように長径寸法dを設定することに限定されるものではなく、状況に応じて長径寸法dを▲4▼式の右辺の式によって計算される値より大きくしてもよい。
そして、本実施形態においては、かかるストッパー71の曲折状態を確実に保持するために、ストッパー71の材料として例えば軟鋼やステンレススチールなどの通常の鋼が採用された場合には、ストッパー71を曲折した後、当該ストッパー71に焼入れ処理を施すようにしている。
この焼入れ処理では、真空環境において980℃で所定時間の焼入れを行った後、550℃で所定時間の焼戻しを行う、いわゆる真空焼入れ法が採用される。かかる真空焼入れ法によってストッパー71に焼入れ処理を施すことにより、ストッパー71は極めて強靭なものになり、サドルポスト51への当接で大きな力ガ加わっても曲折状態が維持される。
ちなみに、ストッパー71の材料としてバネ鋼を採用した場合には、曲折処理されたストッパー71に対して特に焼入れ処理を施さなくても、当該ストッパー71の曲折状態は良好に維持される。
そして、ストッパー本体71aは、その短軸線L2より先端側(図5の右側)が係止突片71cの高さ位置より若干下がった係止姿勢に姿勢設定された状態で、図5の(c)に示すように、楕円孔71bの長軸側の各縁部がサドルポスト51と干渉する一方、係止突片71c側の外縁部(係止突片側縁部71d)と当該外縁部に対向した縁部(対向縁部71e)とを結ぶ直線が略水平になる係止解除姿勢に姿勢設定された状態で、図5の(d)に示すように、楕円孔71bの長径側各縁部のサドルポスト51周面に対する当接が解除されるように楕円孔71bの長径寸法が設定されている。
一方、上記シートパイプ21の適所には、図1〜図3に示すように、係止突片71cに対応した係止孔21aが穿設され、シートパイプ21内でこの係止孔21aに係止突片71cが嵌入されることにより、ストッパー71が係止孔21a回りに正逆回動し得るようになっている。係止孔21aは、シートパイプ21の外面側から内面側に向けてプレス処理により切起し片21a′を切り起すことによって若干横長の矩形状に形成されている。かかる切起し片21a′は、図4に示すように、係止孔21aの下縁部からシートパイプ21内に向けて突出している。したがって、ストッパー71の係止突片71cは、正確には係止孔21aに嵌挿された状態で係止孔21aの先端縁部(回動中心)回りに正逆回動することになる。
そして、サドルポスト51が楕円孔71bに挿通された状態で、普段はストッパー71が、図3および図5の(c)に示すように、係止姿勢に姿勢設定され、これによる平面視で円形になった楕円孔71bの縁部のサドルポスト51外周面への当接で当該サドルポスト51のずり下がりが阻止されるようになっている。
このように、ストッパー71が先下がりに傾斜した状態で楕円孔71bの長軸側の各縁部にサドルポスト51の外周面が当接するため、いわゆる楔作用(サドルポスト51が下降しようとすれば、これによる誘導でストッパー本体71aは切起し片21a′の先端縁部回りに時計方向に向けて回動し、楕円孔71bの上縁部がサドルポスト51の周面に食い込んでいく作用)によってサドルポスト51のずり下がりが確実に防止されることになる。
そして、本実施形態においては、サドルポスト51の外周面の前後位置に微小ピッチで切り込まれて形成した多数の切込み溝51aが設けられ、ストッパー71が先下がりに傾斜した係止姿勢に姿勢設定された状態で、楕円孔71bの上縁部がこの切込み溝51aに嵌り込み、これによってサドルポスト51のずり下がりがより確実に阻止されるようになっている。
上記シートパイプ21は、上部開口が上部蓋体21bによって閉止されるとともに、下部開口が下部蓋体21cによって閉止されるようになっている。上部蓋体21bは、摺接状態でシートパイプ21の上部開口に嵌入される筒状の上部蓋本体21dと、この上部蓋本体21dの上端部に形成された環状の上方鍔部21eとからなっている。上方鍔部21eは、外径寸法がシートパイプ21の外径寸法と略同一に径設定されているとともに、シートパイプ21の内径寸法は、サドルポスト51の外径寸法より僅かに大きく寸法設定されている。
かかる上部蓋体21bは、上部蓋本体21dが上部開口からシートパイプ21内に嵌入された状態で、シートパイプ21の上部に穿設された挿通孔21fにビスBを挿通し、挿通孔21fに対応して上部蓋本体21dに螺設されたビス孔21gに螺着して締結することにより、シートパイプ21に固定されるようになっている。
そして、このような上部蓋体21bの内周面には、互いに対向した位置に平面視で三角形状を呈した上下方向に延びる一対の回動阻止片21hが対向方向に向けて突設されている。これらの回動阻止片21hは、シートパイプ21に嵌挿されるサドルポスト51の回り止めのために設けられている。
上記下部蓋体21cは、上下が逆転されている点、および回動阻止片21hが向けられていない点を除いて上部蓋体21bと同一構成であり、下部蓋本体21iと、この下部蓋本体21iの下端部に形成された下方鍔部21jとからなっている。下部蓋本体21iがシートパイプ21の下部開口に嵌入された状態で、シートパイプ21の下部に穿設された挿通孔21kにビスBを挿通し、挿通孔21kに対応して下部蓋本体21iに螺設されたビス孔21mに螺着して締結することにより、下部蓋体21cがシートパイプ21に固定されるようになっている。
そして、上記サドルポスト51は、このような上部蓋体21bおよび下部蓋体21cに貫通されることによってシートパイプ21に装着されるようになっている。
サドルポスト51には、その外周面に上記上部蓋体21bの回動阻止片21hに対応した平面視でV字状の一対のV字溝51bが凹設されている。図2および図3においては、図示の都合上一方側のV字溝51bのみを示している。これらのV字溝51bは、サドルポスト51の上部位置に所定範囲(サドルポスト51の昇降範囲)に亘って上下方向に延びるように設けられている。
かかるV字溝51bは、サドルポスト51が上部蓋体21bを介してシートパイプ21に嵌挿されるときに、上部蓋体21bの回動阻止片21hに外嵌され、これによってシートパイプ21に嵌挿されたサドルポスト51は、上下動が許容された状態で回り止めされるようになっている。
また、サドルポスト51には、当該サドルポスト51がシートパイプ21に装着され、かつ、サドルスペーサー52が上部蓋体21bに当接した状態で、ストッパー71より若干下方位置に同心でフランジ51cが設けられている。このフランジ51cは、外径寸法がシートパイプ21の内径寸法より僅かに小さく径設定され、これによってシートパイプ21内に嵌挿し得るようになっている。
さらに、サドルポスト51には、最下部位置より若干上方位置に環状溝51dが設けられている。この環状溝51dは、抜け止め用のCリング51fを装着するためのものであり、サドルポスト51が上部から下部蓋体21cに貫通された状態で環状溝51dにCリング51fを装着することにより、サドルポスト51は、Cリング51fが下部蓋体21cと干渉するため、上方に向かって抜け出るのが阻止される。
このようなサドルポスト51は、その上端部に雄ねじの螺設された螺設部51gを有している一方、サドルスペーサー52には螺設部51gに対応した上下方向に延びる同心のねじ孔52aが設けられ、螺設部51gをねじ孔52aに螺着して締結することによりサドルスペーサー52がサドルポスト51に固定されるようになっている。
上記上部コイルスプリング72は、ストッパー71を下方に向けて付勢するためのものであり、シートパイプ21内においてサドルポスト51に外嵌された状態で、ストッパー71と上部蓋体21bとの間に介設される。かかる上部コイルスプリング72の付勢力により、ストッパー71は、常に切起し片21a′の先端縁部回りに下方に向けて押圧され、これによって係止姿勢に姿勢設定された状態で当該係止姿勢を確実に維持し得るようになっている。
上記下部コイルスプリング73は、上記のようなサドルポスト51のフランジ51cより下部に外嵌されるものである。そして、シートパイプ21に嵌挿された状態のサドルポスト51に、シートパイプ21の下部開口から下部コイルスプリング73を外嵌し、引き続き下部蓋体21cをサドルポスト51に外嵌した上で当該下部蓋体21cをシートパイプ21に固定するとともに、サドルポスト51の下端部の環状溝51dにCリング51fを装着することにより、サドルポスト51は、フランジ51cを介して抜け止め状態で上方に向けて付勢されることになる。
上記操作部材74は、図2に示すように、グリップ43の基端側近傍でハンドル40に同心で固定された環状ケーシング74aと、この環状ケーシング74aおよびグリップ43間にハンドル40と同心で介設された環状の操作ダイヤル74bとを備えて構成されている。
操作部材74の外周面の適所からは二重ケーブル75の装着を誘導するための誘導筒片74cが突設され、二重ケーブル75は、この誘導筒片74cを介して環状ケーシング74a内に引き入れられている。
そして、操作ダイヤル74bを一方向に回動操作して昇降規制位置にダイヤル設定することにより、シートパイプ21内のストッパー71が二重ケーブル75を介して操作され、ストッパー71がサドルポスト51を昇降しないように係止する係止姿勢に姿勢設定される一方、同他方向に回動操作して昇降可能位置にダイヤル設定することにより、シートパイプ21内のストッパー71が二重ケーブル75を介して操作されて係止解除姿勢に姿勢変更し、これによってサドルポスト51の昇降規制が解除されるようになっている。
上記二重ケーブル75は、鋼製のワイヤーからなるインナーケーブル(規制解除手段)75aと、このインナーケーブル75aを被覆した合成樹脂製のアウターケーブル75bとからなっている。
アウターケーブル75bの一方の端部は、誘導筒片74cを介して環状ケーシング74a内に引き入れられ、誘導筒片74c内で固定されている一方、アウターケーブル75bから引き出されたインナーケーブル75aが操作部材74内の図略の操作機構に接続されているのに対し、同他方の端部は、アウターケーブル75bが上部蓋体21bの上方鍔部21eに固定された状態でインナーケーブル75aが上部蓋体21bを介してシートパイプ21内に引き入れられ、その先端がストッパー71に接続されている。
上方鍔部21eには、その周縁部に二重ケーブル75を装着するための上部蓋本体21d内に連通した装着筒片21nが設けられ、アウターケーブル75bはこの装着筒片21nに挿入され固定されているとともに、インナーケーブル75aは装着筒片21n内から上部蓋体21b内に引き出され、シートパイプ21内を垂下している。
そして、シートパイプ21内のインナーケーブル75aの下端部には係止片75cが固定されている一方、ストッパー71の上記対向縁部71eには外周部から中心に向けて切り込まれて形成した係止溝71fが設けられ、係止片75cをこの係止溝71fに挟み込んで所定の抜け止め処理を施すことによりインナーケーブル75aがストッパー71に接続されるようにしている。
そして、本発明においては、操作ダイヤル74bが昇降規制位置にダイヤル設定されることにより、シートパイプ21内のインナーケーブル75aは下方に向かって引き出され、これによってストッパー71は上部コイルスプリング72の付勢力で係止孔21aの切起し片21a′の先端縁部回りに下方に向けて回動し、図5の(c)に示す係止姿勢に姿勢設定される一方、操作ダイヤル74bが昇降可能位置にダイヤル設定されることにより、シートパイプ21内のインナーケーブル75aは上方に向かって引き上げられ、これによってストッパー71は図5の(d)に示す係止解除姿勢に姿勢設定されるようになされている。
以下、図2に示すサドル昇降機構70の各部品の組み立てについて説明する。サドル昇降機構70を組み立てるに際しては、まず、二重ケーブル75を上部蓋体21bの装着筒片21nに装着し、上部蓋体21b内から引き出されたインナーケーブル75aの先端の係止片75cを係止溝71fに係止させることによりストッパー71をインナーケーブル75aの先端に接続する。
ついで、ストッパー71の上面に上部コイルスプリング72の下端部を当接させた状態で当該ストッパー71および上部コイルスプリング72を上部開口からシートパイプ21内に挿入していき、ストッパー71の係止突片71Cをシートパイプ21の係止孔21aに嵌挿するとともに、上部蓋本体21dをシートパイプ21の上部開口に嵌挿してビスBで固定する。
引き続き、サドルスペーサー52が外され、かつ、フランジ51cより下方部分に下部コイルスプリング73の外嵌されたサドルポスト51を、その上端部側からシートパイプ21の下部開口に差し入れ、ストッパー71の楕円孔71bに貫通させた上で上部が上部蓋体21bの上部開口から上方に突出した状態にする。
この状態でシートパイプ21の下部開口から外部に突出しているサドルポスト51に下部コイルスプリング73の付勢力に抗して下部蓋体21cを外嵌した後、下部蓋本体21iをシートパイプ21の下部開口に嵌挿しビスBで固定するとともに、サドルポスト51の環状溝51dに抜け止めのCリング51fを装着する。こうすることによって、図3に示すように、サドル昇降機構70が完成する。
このようにして完成したサドル昇降機構70を有するシートパイプ21は、自転車10(図1)の前部下パイプ22と後部下パイプ25との交差位置に設けられた二段孔構造(上部の孔径はシートパイプ21の外径寸法よりわずかに大きく寸法設定されている一方、下部の孔径は上部の孔径より小さく、かつ、サドルポスト51の外径より大きく寸法設定されている)のシートパイプ支持筒27に嵌挿された状態で、前部上パイプ23および後部上パイプ26の各端部が当該シートパイプ21に溶接止めされることにより自転車10に組み付けられた状態になる。
シートパイプ21を上記のような二段孔構造のシートパイプ支持筒27に嵌挿することにより、サドルポスト51が下降し得る空間がシートパイプ支持筒27内の下部位置に確保される。
そして、自転車10に組み付けられたサドル昇降機構70において、シートパイプ21内におけるインナーケーブル75aのアウターケーブル75bからの突出量の調整は、二重ケーブル75を操作部材74に装着するときに行われる。具体的には、二重ケーブル75の端部を操作部材74の環状ケーシング74a内の操作機構に接続するに際し、アウターケーブル75bからインナーケーブル75aを適宜出入させてシートパイプ21内におけるインナーケーブル75aのアウターケーブル75bからの突出量が調整される。
この調整操作においては、操作ダイヤル74bが昇降規制位置にダイヤル設定された状態で、ストッパー71が図5の(c)に示す係止姿勢に姿勢設定されているか否か、操作ダイヤル74bが昇降可能位置にダイヤル設定された状態で、ストッパー71が図5の(d)に示す係止解除姿勢に姿勢設定されているか否かが確認される。
この確認は、シートパイプ21に内装されているストッパー71を視認することができないため、操作ダイヤル74bが昇降規制位置に設定された状態でサドルポスト51の昇降が確実に規制されているか、および操作ダイヤル74bが昇降可能位置に設定された状態でサドルポスト51が昇降し得るかを実際に試験することにより行われる。
本発明のサドル昇降機構70は、以上詳述したように、シートパイプ21に嵌挿されるサドルポスト51の上下動で当該サドルポスト51の頂部に設けられたサドル50の高さ位置を調節し得るように構成されたものであり、シートパイプ21には、サドルポスト51を上方に向けて付勢する下部コイルスプリング73と、サドルポスト51の昇降を規制するストッパー71と、操作部材74の操作ダイヤル74bの操作でストッパー71の規制を解除する二重ケーブル75とを備えて構成されている。
したがって、普段は、サドルポスト51はストッパー71の規制で下部コイルスプリング73の付勢力やサドル50に跨った運転者の体重に抗して昇降が阻止され、サドル50の高さ位置が予め設定された高さレベルになっている。
この状態で、操作部材74の操作で二重ケーブル75を介してストッパー71の規制を解除することにより、サドルポスト51はサドル50に跨っている運転者の重量で下部コイルスプリング73の付勢力に抗して下降する一方、運転者がサドル50から腰を浮かすと、サドルポスト51は下部コイルスプリング73の付勢力によって上昇するため、サドル50を元の高さ位置に上昇させることができる。
この状態で操作ダイヤル74bの操作により二重ケーブル75を介してストッパー71の係止解除姿勢から係止姿勢への姿勢変更でサドルポスト51の昇降を規制すれば、再度サドル50の高さ位置が固定されるため、運転者はこの状態で自転車10を快適に走行させることができる。
このように、本発明に係るサドル昇降機構70は、操作部材74の操作および運転者のサドル50に対する体重の加減によってサドル50の高さ位置を任意に調節することができるため、踏切待ちや信号待ちのときにはサドル50の高さ位置を容易に下降させて両足を地面に着かせて自転車10への跨り姿勢を安定させることができるとともに、自転車10の走行時にはサドル50を走行に適した高さ位置に容易に設定することができ、自転車10を運転する場合の安全性を確保することができる。
そして、特に本発明に係るサドル昇降機構70にあっては、下部コイルスプリング73、サドルポスト51の昇降を規制するストッパー71およびストッパー71に姿勢変更を行わせる規制解除手段としての二重ケーブル75のインナーケーブル75a等、サドル昇降機構70を構成するほとんどの部材がサドルポスト51に内装されているため、これらが外部に露出した従来のものに比べて自転車10の外観視が極めて簡素で美麗になるとともに、外部に露出した部品が自転車10の運転操作の障害になるという従来の不都合が解消され、これらによってサドル昇降機構70を備えた自転車10の商品価値を向上させることができる。
また、ストッパー71は、サドルポスト51に外嵌される楕円孔71bを備え、シートパイプ21の切起し片21a′から先下がりに傾斜してサドルポスト51の昇降を規制する係止姿勢と、回動中心と略同一高さレベルになってサドルポスト51の昇降を許容する係止解除姿勢との間で姿勢変更可能に構成されているため、操作ダイヤル74bの操作でストッパー71を切起し片21a′の先端縁部から先下がりに傾斜した係止姿勢に設定すると、楕円孔71bの平面視の形状が小さくなるように変化し、サドルポスト51は楕円孔71bの対向縁部で挟持された状態になるとともに、サドル50に体重をかけることによってサドルポスト51は下降方向へ向かう力を受け、この楔効果でサドルポスト51の下降はさらに確実に規制され、昇降規制手段を極めて簡単な構造のものとした上で、サドルポスト51の下降を確実に阻止することができる。
そして、ストッパー71は、その中心位置と上記回動中心(切起し片21a′の先端縁部の位置)とを結ぶ直線に直交する直線位置で上方に向かって折り曲げられているため、ストッパー71が先下がりに傾斜した係止姿勢に姿勢設定された状態で、楕円孔71bの先端側(回動中心に対向した側)の上縁部をサドルポスト51の周面に当接させることができ、これによってストッパー71の楕円孔71bの縁部がサドルポスト51に対して鋭角でサドルポスト51の周面に当ることから、サドルポスト51に対するより下降阻止効果を高めることができる。
また、上記楕円孔71bは、短径寸法がサドルポスト51の外周面と摺接するように寸法設定されているとともに、長径寸法がサドルポスト51の外径寸法より大きく寸法設定されているため、ストッパー71が回動中心回りに先下がりに回動した状態で、楕円孔はサドルポスト51の延びる方向から見た状態で真円になり、これによって楕円孔の全縁が円柱からなるサドルポスト51の全周面に当接した状態になり、さらなる良好な下降規制効果を得ることができる。
また、サドルポスト51には、フランジ51cより上方位置に係止姿勢に姿勢設定されたストッパー71の楕円孔71bの縁部が係合する複数状の周方向に延びた切込み溝51aが設けられているため、ストッパー71が先下がりに傾斜した係止姿勢に姿勢設定された状態で、楕円孔71bの縁部が切込み溝51aに係合し、この係合でサドルポスト51の下降をさらに確実に規制することができる。
さらに、シートパイプ21には、ストッパー71を下方に向けて付勢する上部コイルスプリング72が内装されているため、ストッパー71は上部コイルスプリング72によって常に下降に向けて付勢された状態になり、ストッパー71の係止姿勢への姿勢変更を迅速に行わせることができるとともに、係止姿勢に姿勢設定された楕円孔71bの縁部のサドルポスト51に対する当接状態をより確実なものにすることができる。
そして、本実施形態においては、図4に示すように、シートパイプ21の適所(ストッパー71が設けられている位置より若干下部位置)にストッパー用ねじ孔21qが貫通状態で螺設されている。このストッパー用ねじ孔21qは、操作ダイヤル74bの操作に拘らずサドル50の高さ位置を固定するためのストッパーボルトB1を螺着して貫通させるためものである。
そして、予めストッパー用ねじ孔21qにストッパーボルトB1を螺着しておけば、ストッパーボルトB1を締め付けてその先端をサドルポスト51の周面に押圧当止させることにより、たとえ操作ダイヤル74bが操作されてもサドルポスト51の昇降がストッパーボルトB1によって規制されるため、サドル50の高さ位置は維持される。このようなストッパーボルトB1は、運転者が操作ダイヤル74bの操作によってサドル50の高さ位置を変更させることを望まないときに用いられる。
図7は、装着筒片21nが他の取り付け位置に取り付けられた自転車10を示す側面図である。この実施形態の自転車10においては、二重ケーブル75の先端側が装着される装着筒片21nが、シートパイプ21の上端後方位置に設けられている。これに伴って、シートパイプ21に穿設される係止孔21aは、シートパイプ21の前方位置に設けられるとともに、ストッパー71の装着姿勢も前後で反転されることになる。その他のサドル昇降機構70の構成は、図2〜図4に示す先のものと同様である。
装着筒片21nを支持部材本体21の後部に設けることにより、運転者が自転車10に女乗り(すなわち片足で前部上パイプ23を跨いで乗り降りする乗降方法)で乗り降りしたり、サドル50に跨って運転操作を行うに際し、二重ケーブル75が邪魔になるような不都合が生じず、自転車10をより快適に運転することができる。
図8は、サドル昇降機構70aの他の実施形態を示す一部切欠き分解斜視図であり、図9はその組立て斜視図である。また、図10は、図9に示すサドル昇降機構70aの縦断面図である。これらの図に示すように、この実施形態においては、サドル昇降機構70aは、先の実施形態のストッパー71、上部コイルスプリング72、下部コイルスプリング73および操作部材74に加えてサドルポスト51の上部で当該サドルポスト51をカバーするカバー筒体76を備えて構成されている。
上記カバー筒体76は、サドルポスト51の略中間位置であってストッパー71より下部に設けられたフランジ51cと、サドルスペーサー52の下端縁部に設けられたフランジ52bとの間に外れ止め状態で介設されるものである。
かかるカバー筒体76は、外径寸法がシートパイプ21の内径寸法より僅かに小さく寸法設定されているとともに、内径寸法がストッパー71および上部コイルスプリング72の外径寸法より大きく寸法設定され、これによってシートパイプ21内に摺接状態で嵌挿し得るとともに、サドルポスト51に外嵌されたストッパー71および上部コイルスプリング72を内装し得るようになっている。
また、この実施形態においては、カバー筒体76がシートパイプ21に摺接状態で嵌挿され得ることから、先の実施形態で採用された、シートパイプ21の上部開口を閉止するための上部蓋体21bは不要であるため採用されない。したがって、二重ケーブル75のアウターケーブル75bをシートパイプ21内に引き入れるための装着筒片21nは、シートパイプ21の上縁部または周面に取り付けられている。図に示す例では装着筒片21nは、シートパイプ21の上縁部であってカバー筒体76と干渉しない位置に取り付けられている。
そして、カバー筒体76には、筒心を中心とした点対称位置に上下方向に延びる一対の逃しスリット76aが設けられ、一方の逃しスリット76aからはサドルポスト51に外嵌されているストッパー71の係止突片71cが内側から外側に向けて貫通されるとともに、他方の逃しスリット76aには、シートパイプ21内で装着筒片21nから垂下されたアウターケーブル75bおよび係止片75cが通されるようになっている。
また、シートパイプ21における係止孔21aの上方位置には、ビスBを螺着するねじ孔21pが貫通螺設されている。そして、カバー筒体76がシートパイプ21に嵌挿された状態で、ビスBがこのねじ孔21pに螺着されることにより、その先端部が、図10に示すように、カバー筒体76の一方の逃しスリット76aに嵌り込み、これによってサドルポスト51が軸心回りに回動するのが規制されるようになされている。なお、ビスBの長さ寸法を若干長めに設定しておけば、当該ビスBに第一実施形態のストッパーボルトB1(図4)と同一の役割を担わせることができる。
このようなサドル昇降機構70aの組み付けは、以下のようにして行われる。すなわち、サドルスペーサー52が螺設部51gに螺着される前のサドルポスト51にまず上からカバー筒体76を外嵌する。引き続きストッパー71を上からサドルポスト51に外嵌し、その係止突片71cを一方の逃しスリット76aから外方に突出させた状態でカバー筒体76内に挿入する。ついでサドルポスト51に外嵌した上部コイルスプリング72をカバー筒体76内に挿入する。
その後、装着筒片21nから引き出されたアウターケーブル75bの下端部に装着されている係止片75cを、他方の逃しスリット76aを介してストッパー71の係止溝71fに係止する。
そして、この状態のサドルポスト51のフランジ51cより下部に下部コイルスプリング73を外嵌し、この下部コイルスプリング73ごとサドルポスト51を上部開口からシートパイプ21に挿入し、ストッパー71の係止突片71cを係止孔21aに嵌め込む。この状態でサドルスペーサー52をサドルポスト51の螺設部51gに螺着して締結することにより、カバー筒体76が上下のフランジ52b,51cに挟持されてサドルポスト51に固定される。
引き続き、シートパイプ21から下方に向けて突出しているサドルポスト51の下部に下部コイルスプリング73の付勢力に抗して下部蓋体21cを外嵌した後、当該下部蓋体21cの下部蓋本体21iをシートパイプ21に内嵌してビスBで止める。そして、最後にCリング51fをサドルポスト51の下端部の環状溝51dに装着することによりサドル昇降機構70aが完成する。
この実施形態のサドル昇降機構70aによれば、サドルポスト51がシートパイプ21に嵌挿された状態で、図7に二点鎖線で、および図9に示すように、サドルポスト51のシートパイプ21から上方に突出している部分(すなわちカバー筒体76)が、シートパイプ21に比べて顕著に細くなっていないため、外嵌視に違和感がなく、この部分が細いことにより運転者に不安感を与えたり、見栄えが劣るような不都合を解消することができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、操作部材74として操作ダイヤル74bを備えたダイヤル式のものが採用されているが、本発明は、操作部材74がダイヤル式のものであることに限定されるものではなく、レバーの支持軸回りの正逆回動操作でストッパー71の姿勢を係止姿勢と係止解除姿勢との間で姿勢変更させ得るようにしたレバー式の操作部材を採用してもよい。
(2)上記の実施形態においては、操作部材74の操作が二重ケーブル75を介してストッパー71に伝達されるようにしているが、本発明は、操作部材74とストッパー71との間に二重ケーブル75を介設することに限定されるものではなく、例えば複数の操作アームをリンクして構成したリンク機構を操作部材とストッパー71との間に介設し、操作部材の操作でリンク機構を介してシートパイプ21内のストッパー71に姿勢変更を行わせるようにしてもよい。
(3)上記の図2〜図4に示す実施形態において、サドルポスト51のシートパイプ21から上方に突出している部分に、蛇腹のような多数の襞が形成された布製、合成樹脂製あるいはゴム製のフレキシブルチューブを外嵌してもよい。こうすることによってシートパイプ21に比べて相当細いサドルポスト51の細さが隠され、自転車10が見栄えのよいものになる。
(4)上記の実施形態においては、ストッパー71は折り曲げられているが、本発明はストッパー71が折り曲げられることに限定されるものではなく、平板状であってもよい。
(5)上記の実施形態においては、ストッパー71に楕円孔71bが設けられているが、本発明は、ストッパー71に穿設される孔が楕円孔71bであることに限定されるものではなく、円孔であってもよい。但し、円孔を採用する場合には、ストッパー71が係止解除姿勢に設定されたときに、サドルポスト51が円滑に昇降し得るように円孔の径寸法を、サドルポスト51の外径寸法より相当大きく設定することが好ましい。
(6)上記の実施形態において、ストッパー71は完全に環状に形成されているが、本発明はストッパー71が完全環状であることに限定されるものではなく、ストッパー本体71aの一部が外周面から内周面に亘って切り欠かれたC字状のものであってもよい。
(7)上記の実施形態においては、ストッパー71の回動中心O(図6)としてストッパー71の係止突片側縁部71dが係止孔21aの内壁面と当接する位置(図6に示す例では切起し片21a′の頂部)が設定されているが、本発明は、ストッパー71の回動中心が長軸線L1(図5)に沿う縁部であることに限定されるものではなく、ストッパー本体71aと交差する短軸線L2(図5)に平行なあらゆる線(短軸平行線)を回動中心線とし、この短軸平行線回りにストッパー71を回動差せるようにしてもよい。すなわち、ストッパー71は、ストッパー本体71aと交差し、かつ、短軸線L2と平行な短軸平行線回りに回動させることにより、回動方向がいずれの方向であっても、また短軸平行線がどの位置にあっても、サドルポスト51を係止することができる。
(8)上記の実施形態においては、シートパイプ21およびサドルポスト51はスチール製のものが採用されているが、本発明はシートパイプ21およびサドルポスト51がスチール製であることに限定されるものではなく、シートパイプ21およびサドルポスト51のいずれか一方または双方を強化プラスチック製あるいは強化アルミニウム製にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る自転車の一実施形態を示す側面図である。
図2は、サドル昇降機構の一実施形態を示す一部切欠き分解斜視図である。
図3は、図2に示すサドル昇降機構の組立て斜視図である。
図4は、図3に示すサドル昇降機構の縦断面図である。
図5は、ストッパーの一実施形態を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)および(d)は一部断面側面図であり、(c)はストッパーが係止解除姿勢に姿勢設定された状態、(d)はストッパーが係止姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
図6は、ストッパーの折り曲げ角度α、楕円孔の長径寸法dおよびサドルポストの外径寸法D間の関係を説明するための説明図である。
図7は、装着筒片が他の取り付け位置に取り付けられた自転車を示す側面図である。
図8は、サドル昇降機構の他の実施形態を示す一部切欠き分解斜視図である。
図9は、図8に示すサドル昇降機構の組立て斜視図である。
図10は、図9に示すサドル昇降機構の縦断面図である。
図11は、従来のサドル昇降機構を示す断面視の説明図であり、(a)は、サドルの高さ位置が固定された状態、(b)は、サドルの高さ位置が変更可能にされた状態をそれぞれ示している。
本発明は、主に自転車を対象とし、運転しながら座席であるサドルの高さ位置を簡単な操作で容易に昇降させ得るように構成したサドルの昇降機構およびこの機構を有する自転車に関するものである。
背景技術
二輪車である自転車は、サドルの高さ位置がそれに跨って運転する運転者の体格に合わせて運転し易いように若干高めに設定されているのが一般的である。したがって、自転車に乗って走行しているときは快適に運転することができるが、信号待ちや踏み切りの手前等で一時的に停止するときには、通常、両足を地面につけることができず、自転車を横に向けて若干倒した状態とし、片足だけを地面につけるようにすることが行われる。しかしながら、片足のみの接地による停車状態は不安定である。
そこで、このような不安定な停車状態を解消するためのものとして、例えば、日本国実開平2−38196号公報に記載された図11に示すようなサドルの昇降機構100が提案されている。この昇降機構100は、自転車のフレームの一部であるサドルパイプ101に取り付けられ、かつ、頂部にサドル102が固定されたサドルポスト103が遊嵌されるリング状ストッパー110と、このリング状ストッパー110を係止姿勢(図11の(a))と係止解除姿勢(図11の(b))との間で姿勢変更させる二重ケーブル120とを備えて構成されている。リング状ストッパー110は、サドルポスト103がサドルパイプ101に昇降可能に嵌挿された状態で、サドルポスト103の上方に突出した部分に遊嵌されている。
上記リング状ストッパー110は、サドルポスト103が遊嵌される遊嵌孔113を備えたリング部111と、このリング部111の外周縁から外方に向けて突設された柄部112とからなっている。リング状ストッパー110は、リング部111の遊嵌孔113がサドルパイプ101の上面開口に対向配置された状態で、リング部111がサドルパイプ101に固定されたブラケット104に水平軸105回りに回動自在に軸支され、リング部111の柄部112と反対側の端部が先下がりに下がった図11の(a)に示す係止姿勢と、水平になった図11の(b)に示す係止解除姿勢との間で姿勢変更し得るようになっている。
上記二重ケーブル120は、チューブ状のアウターケーブル121と、このアウターケーブル121に摺接状態で内装されたインナーケーブル122とからなっている。アウターケーブル121は、その端部がサドルパイプ101から突設された支持板106に固定され、インナーケーブル122が支持板106を貫通して上方に引き出されている。この引き出されたインナーケーブル122は、圧縮コイルバネ107に差し通された状態で、その上端部がリング状ストッパー110の柄部112の水平軸105より外方位置に固定されている。
また、サドルパイプ101には、その底部とサドルポスト103との間にコイルスプリング108が内装され、このコイルスプリング108の付勢力によってサドルポスト103は上方に向けて付勢されるようになっている。
このように構成された昇降機構100によれば、普段は、リング状ストッパー110が圧縮コイルバネ107の付勢力により水平軸105回りに時計方向に向けて付勢されて斜めになった係止姿勢に姿勢設定されているため、リング部111の前後(図11の紙面の左右方向)の縁部がサドルポスト103の外周面に当接し、これによる摩擦力でサドルポスト103は、図11の(a)に示すように、高さ位置が固定された状態になっている。従って、この状態で運転者がサドル102に跨って体重を掛けても、サドル102が下降することがない。
これに対し、図略の操作手段の操作でインナーケーブル122を圧縮コイルバネ107の付勢力に抗して下方に引くと、リング状ストッパー110は水平軸105回りに反時計方向に回動し、図11の(b)に示すように、水平な係止解除姿勢になる。そうすると、リング部111の対向縁部のサドルポスト103に対する当接状態が解消され、これによってサドルポスト103はサドルパイプ101内で昇降し得るようになる。
従って、運転者は、サドル102に跨った状態でインナーケーブル122を引くことによりリング状ストッパー110を係止解除姿勢に姿勢設定し(図11の(b))、引き続き腰を浮かせてコイルスプリング108の付勢力によりサドル102を上昇させて適切な高さ位置を設定した後、インナーケーブル122を元に戻してリング状ストッパー110を係止姿勢に姿勢設定することにより(図11の(a))、サドル102の高さ位置が固定される。
しかしながら、このような従来の昇降機構100にあっては、ブラケット104や支持板106、さらにはリング状ストッパー110の柄部112や二重ケーブル120等がサドルパイプ101から外部に突出して自転車の外部に目障りで、かつ、邪魔になる異物が存在した状態になっており、これによって自転車の外観視が見苦しくなるとともに、運転操作の障害になるおそれがあるという解決すべき課題が存在する。
本発明は、従来の上記のような状況に鑑みなされたもので、自転車等の外観視の美麗さを確保することができるとともに、自転車等の運転操作の障害になるおそれを確実に払拭することができるサドルの昇降機構およびこの機構を有する自転車を提供することを目的としている。
発明の開示
本発明のサドルの昇降機構は、シートパイプに嵌挿されるサドルポストの上下動で当該サドルポストの頂部に設けられたサドルの高さ位置を調節し得るように構成されたサドルの昇降機構であって、上記シートパイプには、サドルポストを上方に向けて付勢する第一付勢手段と、この付勢手段によるサドルポストの上昇およびサドルに下方へ向かう力が加わることによるサドルポストの下降を規制する昇降規制手段と、操作手段の操作で上記昇降規制手段の規制を解除する規制解除手段とが内装されてなるものである。
この昇降機構によれば、普段は、サドルポストは昇降規制手段の規制で昇降が規制され、これによってサドルの高さ位置が設定された状態になっている。この状態で、操作手段の操作で規制解除手段を介して昇降規制手段の規制を解除することにより、サドルポストはサドルに跨っている運転者の重量で第一付勢手段の付勢力に抗して下降する一方、運転者がサドルから腰を浮かすと、サドルポストは第一付勢手段の付勢力によって上昇するため、サドルは元の高さ位置に復元する。この状態で操作手段の操作で規制解除手段を介して昇降規制手段によりサドルポストの昇降を規制することにより、再度サドルの高さ位置が固定されるため、運転者はこの状態で自転車等の運転を行えばよい。
このように、この発明の昇降機構は、操作手段の操作および運転者のサドルに対する体重加減によってサドルの高さ位置を任意に調節し得るようになっているため、踏切待ちや信号待ちのときにはサドルの高さ位置を容易に下降させて両足を地面に着かせて自転車等への跨り姿勢を安定させることができるとともに、自転車等の走行時にはサドルを走行に適した高さ位置に容易に設定することができ、自転車等の運転の安全性が確保される。
そして、特にこの発明においては、第一付勢手段、サドルポストの昇降を規制する昇降規制手段および操作手段の操作で上記昇降規制手段の規制を解除する規制解除手段の全てがサドルポストに内装されているため、これらが外部に露出した従来のものに比べて自転車等の外観視が極めて簡素で美麗であり、かつ、外部に露出したものが運転操作の障害になるという従来の不都合が解消され、自転車等の商品価値を向上させることができる。
このような昇降機構を備えた自転車は、操作性の面および安全性の面から、特に子供用や老人用として有用であるが、特に子供用および老人用に限定されるものではない。
上記のような昇降機構において、昇降規制手段を、サドルポストに外嵌される外嵌孔を備え、かつ、回動中心から先下がりまたは先上がりに傾斜してサドルポストの昇降を規制する係止姿勢と、回動中心と略同一高さレベルになってサドルポストの昇降を許容する係止解除姿勢との間で姿勢変更可能な環状ストッパーによって構成すれば、昇降規制手段を極めて簡単な構造のものとした上で、サドルポストの昇降(特に下降)を確実に規制することができる。
すなわち、環状ストッパーが回動中心から先下がりまたは先上がりに傾斜すると、外嵌孔の平面視の形状が小さくなるように変化して外嵌孔の対向縁部でサドルポストを挟持した状態になる。そして、環状ストッパーを先下がりに傾斜させた状態で、運転者がサドルに体重をかけると、環状ストッパーは、下方に向かおうとするサドルポストに誘導されてさらに先下がりの傾斜方向に向けて力が加えられるため、その楔効果でサドルポストは先下がりに傾斜した環状ストッパーにより下降が確実に規制された状態になる。
これに対し、運転者がサドルから腰を浮かすことによりサドルポストに下方に向けて加えられていた力が減少すると、サドルボストは、優勢になった第一付勢手段の付勢力により上方に向かおうとし、環状ストッパーは、これに誘導されて先上がりに傾斜した状態になる。そして、環状ストッパーが先上がりに傾斜すると、上記とは方向が逆の楔効果によってサドルポストの上昇が規制される。
そして、環状ストッパーを、その中心位置と上記回動中心とを結ぶ直線に直交する直線位置で上方に向かって折り曲げれば、環状ストッパーが先下がりに傾斜した状態で、外嵌孔の先端側(回動中心に対向した側)の上縁部をサドルポストの周面に当接させることが可能になり、これによってサドルポストに対して鋭角で環状ストッパーの外嵌孔の縁部がサドルポストの周面に当ることから、サドルポストに対するより確実な下降阻止効果を得ることができる。
また、上記外嵌孔を、短径寸法がサドルポストの外周面と摺接するように寸法設定するとともに、長径寸法がサドルポストの外径寸法より大きく寸法設定した楕円孔によって形成するとともに、環状ストッパーの回動中心位置を、長径方向の一方の端部回りに回動するように位置設定すれば、環状ストッパーが回動中心回りに先下がりに回動した状態で、楕円孔は平面視(正確にはサドルポストの延びる方向から見た状態)で真円になり、これによって楕円孔の全縁が円柱からなるサドルポストの全周面に当接した状態になってさらなる下降規制効果を高めることになる。
また、サドルポストに上下方向の所定範囲に亘って係止姿勢に姿勢設定された環状ストッパーの縁部が係合する複数状の周方向に延びた切込み溝を設けることにより、環状ストッパーが先下がりに傾斜した係止姿勢に姿勢設定された状態で、楕円孔の縁部が切込み溝に係合するため、この係合でサドルポストの下降がさらに確実に規制される。
さらに、シートパイプに環状ストッパーを下方に向けて付勢する第二付勢手段を内装することにより、環状ストッパーは第二付勢手段によって常に下降に向けて付勢された状態になるため、環状ストッパーの係止姿勢への姿勢変更が迅速に行われる。
加えて、上記規制解除手段を、操作手段の操作によってサドルポストに対する昇降規制を解除し得るように上記昇降規制手段に接続された二重ケーブルによって形成することにより、規制解除手段が簡単な構造になるとともに、シートパイプに容易に内装することができる。
そして、このようなサドル昇降機構を自転車に適用することにより、当該自転車が安全運転に適したものになる。
発明を実施するための最良の形態
図1は、本発明に係る自転車の一実施形態を示す側面図である。この図に示すように、自転車10は、躯体を構成するフレーム20と、このフレーム20の前方位置(図1の左方)に設けられた前輪31と、同後方位置に設けられた後輪32と、前輪31を操舵するハンドル40と、同中央部で上方に向けて突設された着座席としてのサドル50と、同中央下部に設けられた自転車10を走行させるための足踏み手段であるペダル60と、サドル50の高さ位置を調節するために当該サドル50を昇降させるサドル昇降機構70とを備えた基本構成を有している。
上記フレーム20は、中央部で後方に向けて若干傾くように傾斜設定された上下方向に延びるシートパイプ21と、このシートパイプ21の下端部が嵌挿されるシートパイプ支持筒27と、このシートパイプ支持筒27から先上がりで前方に向けて突設された前部下パイプ22と、シートパイプ21の上下方向の略中間位置から前部下パイプ22に沿うように下に凸で前方に向けて突設された円弧状の前部上パイプ23と、これら前部下および上パイプ22,23の前端部に固定された、上記シートパイプ21と略平行なヘッドパイプ24と、シートパイプ21および前部下パイプ22の接合位置から後方(図1の左方)に向けて延設された平面視で二股状の後部下パイプ25と、シートパイプ21の上下方向の略中央位置から後方に向けて先下がりで突設されて上記後部下パイプ25の後端部と連結される後部上パイプ26とを備えている。
このようにシートパイプ21を中央に位置させた状態で前方に前部下パイプ22および前部上パイプ23とで略三角状を形成するとともに、後方に後部下パイプ25と後部上パイプ26とで三角形を形成したいわゆるラーメン構造を採用することにより、フレーム20は構造的に丈夫なものになっている。
上記ハンドル40は、上記ヘッドパイプ24に摺接状態で軸心回りに回動自在に嵌挿されたハンドルポスト41の頂部に固定されている。そして、ヘッドパイプ24を貫通したハンドルポスト41の下端部には正面視で二股状のフォーク42の上端部が固定され、一対のフォーク42間に前輪31が挟持された状態で当該フォーク42の下端部間に架設される前輪軸33回りに回転自在に前輪31が軸支されている。
また、ハンドル40の両端部には運転者が把持してハンドル40を操作するためのグリップ43がそれぞれ設けられており、各グリップ43を把持してハンドル40をハンドルポスト41回りに一体回動させる操舵操作を行うことにより前輪31がフォーク42を介して軸心回りにハンドルポスト41と共回りして自転車10が操舵されるようになっている。
また、ハンドル40には、その両端部に運転者が把持してハンドル40を操作するためのグリップ43がそれぞれ設けられており、
上記サドル50は、シートパイプ21に上下動可能に嵌挿されたサドルポスト51の頂部に、当該サドルポスト51に冠設されたサドルスペーサー52を介して固定されている。かかるサドル50は、後に詳述するサドル昇降機構70の操作によるサドルポスト51の昇降によって高さ位置が調節可能になっている。
上記ペダル60は、シートパイプ21および前部下パイプ22の各下端部の結合部分に回転可能に貫通されたペダル軸61にペダルロッド62を介して連結され、ペダル60をペダル軸61回りに回転操作することにより、ペダル軸61を軸心回りに回転させ得るようになっている。ペダル軸61には、フロントギヤ63が同心で一体に固定されている。
一方、後輪32は、二股状を呈した上記後部下パイプ25および後部上パイプ26に挟み込まれた状態で各パイプ25,26の後端部の連結部分間に架設された後輪軸34回りに回転可能に軸支されている。また、後輪軸34には同心で当該後輪軸34回りに回転可能にリアギヤ64が装着されているとともに、後輪32はリアギヤ64回りに後輪軸34と一体回転可能とされている。
そして、フロントギヤ63とリアギヤ64との間には、チェーン65が張設され、運転者がサドル50に跨った状態で足裏を載せたペダル60をペダル軸61回りに回転操作することにより、この回転は、ペダルロッド62、ペダル軸61、フロントギヤ63、チェーン65およびリアギヤ64を介して後輪32に伝達され、これによる後輪32の後輪軸34回りの回転によって自転車10は前進し得るようになっている。
図2は、サドル昇降機構70の一実施形態を示す一部切欠き分解斜視図であり、図3はその組立て斜視図である。また、図4は、図3に示すサドル昇降機構70の縦断面図である。また、図5は、ストッパーの一実施形態を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)および(d)は一部断面側面図であり、(c)はストッパーが係止解除姿勢に姿勢設定された状態、(d)はストッパーが係止姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。なお、図2〜図4においては、図示の都合上シートパイプ21を直立姿勢に姿勢設定して示している。
まず、図2〜図4に示すように、サドル昇降機構70は、シートパイプ21に内装され、かつ、サドルポスト51が貫通される環状のストッパー(昇降規制手段)71と、シートパイプ21内でサドルポスト51に遊嵌された状態でストッパー71を下方に向けて付勢する上部コイルスプリング(第二付勢手段)72と、シートパイプ21内でサドルポスト51に遊嵌された状態で当該サドルポスト51を上方に向けて付勢する下部コイルスプリング(第一付勢手段)73と、一方のグリップ43(図1に示す例では右側のグリップ43)に隣接してハンドル40に同心で設けられた操作部材(操作手段)74と、この操作部材44とストッパー71との間に介設された二重ケーブル75とを備えて構成されている。
上記ストッパー71は、図5の(a)に示すように、サドルポスト51を遊嵌させ得る楕円孔(外嵌孔)71bを備えたストッパー本体71aと、このストッパー本体71aの外縁部から外方に向かって突設された係止突片71cとからなっている。ストッパー本体71aは、円形に形状設定されているとともに、外径寸法がシートパイプ21の内径寸法より若干小さめに寸法設定されている。
上記楕円孔71bは、図5の(b)に示すように、楕円の長軸が係止突片71cの平面視での中央位置とストッパー本体71aの中心点とを結ぶ直線(長軸線L1)と一致するようにストッパー本体71aの中央部に設けられている。かかる楕円孔71bは、短径寸法がサドルポスト51の外周面と摺接するように寸法設定されているとともに、長径寸法がサドルポスト51の外径寸法より大きく寸法設定されている。
また、ストッパー本体71aは、楕円孔71bの短軸の延長線(短軸線L2)位置を折れ線として上に凹となるように角度αで折り曲げられている。折り曲げ角度αは、5°〜30°に設定される。角度αが5°〜30°に設定されるのは、以下の理由による。
すなわち、角度αが5°未満であれば折り曲げ状態が不充分であり、したがって、ストッパー71が先下がりの係止姿勢に姿勢設定された状態で、楕円孔71bの係止突片71cに対向した縁部(対向縁部71e)における上縁部がサドルポスト51の周面に当接しないで逆に下縁部が当接した状態になり、これによって楔効果を期待することができず、ストッパー71が折り曲げられたことによる確実な係止効果を得ることがでないからである。
逆に折り曲げ角度αが30°を越えると、曲がり過ぎによりストッパー71に力が加わったときに曲折状態の維持が困難になからである。すなわち、ストッパー71は、サドルポスト51から力を受けると開いてしまい、これによる楕円孔71bの長径側の内寸法増大でサドルポスト51がずり下がってしまうおそれがあるからである。因みに本実施形態においては、種々の試験の結果に基いて折り曲げ角度αは12°〜17°を採用している。
図6は、ストッパー71の折り曲げ角度α、楕円孔71bの長径寸法dおよびサドルポスト51の外径寸法D間の関係を説明するための説明図である。この図においては、楕円孔71bの対向縁部71e側の内面が全体的にサドルポスト51の周面に当接するとともに、楕円孔71bの係止突片側縁部71dの内面側の上縁部が鋭角でサドルポスト51の周面に当接し、これによってサドルポスト51がストッパー71に係止された状態(基準係止状態)を示している。
この基準係止状態において、
ストッパー71の折り曲げ角度を「α」(曲げ位置は、上記短軸線L2(図5)に沿う位置)
楕円孔71bの長径寸法を「d」(但し、ストッパー71が折り曲げられる前の長径寸法)
サドルポストの外径(直径)寸法を「D」
とした場合、以下の関係式が成立する。
D=(d/2)cosα+(d/2)…▲1▼
ところで、▲1▼式において、Dの方が右辺の式の値より大きいという条件を設定すると、以下の▲2▼式が得られる。
D>(d/2)cosα+(d/2)…▲2▼
▲2▼式の意味するところは、当該▲2▼式の条件が満たされれば、ストッパー71は、基準係止状態でサドルポスト51を係止することができず、基準係止状態から回動中心○回りに反時計方向に回動することによってストッパー71の先端側(図6の右方)が先上りになった係止状態(先上り係止状態)にならざるを得ないということである。
そして、ストッパー71が先上がり係止状態に設定されると、楕円孔71bの対向縁部71e側の上縁部が鋭角でサドルポスト51の周面に当接するため、サドルポスト51に対する係止効果が向上することになる。
▲2▼式を変形して左辺に長径寸法dを移項すると以下の▲3▼式が得られる。
d<(2D)/(cosα+1) …▲3▼
また、当然に「d>D」であるから、結局長径寸法dは以下の▲4▼式で表される範囲内の値ということになる。
D<d<(2D)/(cosα+1)…▲4▼
この▲4▼式は、サドルポスト51の外径寸法Dとストッパー71の折り曲げ角度αが既知のときに、ストッパー71の楕円孔71bの長径寸法dをどの程度にすればよいかを決めるときに利用することができる。
例えば、サドルポスト51の外径寸法Dが12.00mm、ストッパー71の折り曲げ角度αが17°のときには、これらを▲4▼式に代入することにより、
12.00<d<12.26mm
となり、楕円孔71bとして例えば長径寸法が12.2mmで短径寸法が12.01mm(サドルポスト51の外径寸法Dより僅かに大きい寸法)の楕円形が採用されることになる。
なお、本発明は、▲4▼式を満足するように楕円孔71bの長径寸法dを設定することが好ましいが、▲4▼式を満足するように長径寸法dを設定することに限定されるものではなく、状況に応じて長径寸法dを▲4▼式の右辺の式によって計算される値より大きくしてもよい。
そして、本実施形態においては、かかるストッパー71の曲折状態を確実に保持するために、ストッパー71の材料として例えば軟鋼やステンレススチールなどの通常の鋼が採用された場合には、ストッパー71を曲折した後、当該ストッパー71に焼入れ処理を施すようにしている。
この焼入れ処理では、真空環境において980℃で所定時間の焼入れを行った後、550℃で所定時間の焼戻しを行う、いわゆる真空焼入れ法が採用される。かかる真空焼入れ法によってストッパー71に焼入れ処理を施すことにより、ストッパー71は極めて強靭なものになり、サドルポスト51への当接で大きな力ガ加わっても曲折状態が維持される。
ちなみに、ストッパー71の材料としてバネ鋼を採用した場合には、曲折処理されたストッパー71に対して特に焼入れ処理を施さなくても、当該ストッパー71の曲折状態は良好に維持される。
そして、ストッパー本体71aは、その短軸線L2より先端側(図5の右側)が係止突片71cの高さ位置より若干下がった係止姿勢に姿勢設定された状態で、図5の(c)に示すように、楕円孔71bの長軸側の各縁部がサドルポスト51と干渉する一方、係止突片71c側の外縁部(係止突片側縁部71d)と当該外縁部に対向した縁部(対向縁部71e)とを結ぶ直線が略水平になる係止解除姿勢に姿勢設定された状態で、図5の(d)に示すように、楕円孔71bの長径側各縁部のサドルポスト51周面に対する当接が解除されるように楕円孔71bの長径寸法が設定されている。
一方、上記シートパイプ21の適所には、図1〜図3に示すように、係止突片71cに対応した係止孔21aが穿設され、シートパイプ21内でこの係止孔21aに係止突片71cが嵌入されることにより、ストッパー71が係止孔21a回りに正逆回動し得るようになっている。係止孔21aは、シートパイプ21の外面側から内面側に向けてプレス処理により切起し片21a′を切り起すことによって若干横長の矩形状に形成されている。かかる切起し片21a′は、図4に示すように、係止孔21aの下縁部からシートパイプ21内に向けて突出している。したがって、ストッパー71の係止突片71cは、正確には係止孔21aに嵌挿された状態で係止孔21aの先端縁部(回動中心)回りに正逆回動することになる。
そして、サドルポスト51が楕円孔71bに挿通された状態で、普段はストッパー71が、図3および図5の(c)に示すように、係止姿勢に姿勢設定され、これによる平面視で円形になった楕円孔71bの縁部のサドルポスト51外周面への当接で当該サドルポスト51のずり下がりが阻止されるようになっている。
このように、ストッパー71が先下がりに傾斜した状態で楕円孔71bの長軸側の各縁部にサドルポスト51の外周面が当接するため、いわゆる楔作用(サドルポスト51が下降しようとすれば、これによる誘導でストッパー本体71aは切起し片21a′の先端縁部回りに時計方向に向けて回動し、楕円孔71bの上縁部がサドルポスト51の周面に食い込んでいく作用)によってサドルポスト51のずり下がりが確実に防止されることになる。
そして、本実施形態においては、サドルポスト51の外周面の前後位置に微小ピッチで切り込まれて形成した多数の切込み溝51aが設けられ、ストッパー71が先下がりに傾斜した係止姿勢に姿勢設定された状態で、楕円孔71bの上縁部がこの切込み溝51aに嵌り込み、これによってサドルポスト51のずり下がりがより確実に阻止されるようになっている。
上記シートパイプ21は、上部開口が上部蓋体21bによって閉止されるとともに、下部開口が下部蓋体21cによって閉止されるようになっている。上部蓋体21bは、摺接状態でシートパイプ21の上部開口に嵌入される筒状の上部蓋本体21dと、この上部蓋本体21dの上端部に形成された環状の上方鍔部21eとからなっている。上方鍔部21eは、外径寸法がシートパイプ21の外径寸法と略同一に径設定されているとともに、シートパイプ21の内径寸法は、サドルポスト51の外径寸法より僅かに大きく寸法設定されている。
かかる上部蓋体21bは、上部蓋本体21dが上部開口からシートパイプ21内に嵌入された状態で、シートパイプ21の上部に穿設された挿通孔21fにビスBを挿通し、挿通孔21fに対応して上部蓋本体21dに螺設されたビス孔21gに螺着して締結することにより、シートパイプ21に固定されるようになっている。
そして、このような上部蓋体21bの内周面には、互いに対向した位置に平面視で三角形状を呈した上下方向に延びる一対の回動阻止片21hが対向方向に向けて突設されている。これらの回動阻止片21hは、シートパイプ21に嵌挿されるサドルポスト51の回り止めのために設けられている。
上記下部蓋体21cは、上下が逆転されている点、および回動阻止片21hが向けられていない点を除いて上部蓋体21bと同一構成であり、下部蓋本体21iと、この下部蓋本体21iの下端部に形成された下方鍔部21jとからなっている。下部蓋本体21iがシートパイプ21の下部開口に嵌入された状態で、シートパイプ21の下部に穿設された挿通孔21kにビスBを挿通し、挿通孔21kに対応して下部蓋本体21iに螺設されたビス孔21mに螺着して締結することにより、下部蓋体21cがシートパイプ21に固定されるようになっている。
そして、上記サドルポスト51は、このような上部蓋体21bおよび下部蓋体21cに貫通されることによってシートパイプ21に装着されるようになっている。
サドルポスト51には、その外周面に上記上部蓋体21bの回動阻止片21hに対応した平面視でV字状の一対のV字溝51bが凹設されている。図2および図3においては、図示の都合上一方側のV字溝51bのみを示している。これらのV字溝51bは、サドルポスト51の上部位置に所定範囲(サドルポスト51の昇降範囲)に亘って上下方向に延びるように設けられている。
かかるV字溝51bは、サドルポスト51が上部蓋体21bを介してシートパイプ21に嵌挿されるときに、上部蓋体21bの回動阻止片21hに外嵌され、これによってシートパイプ21に嵌挿されたサドルポスト51は、上下動が許容された状態で回り止めされるようになっている。
また、サドルポスト51には、当該サドルポスト51がシートパイプ21に装着され、かつ、サドルスペーサー52が上部蓋体21bに当接した状態で、ストッパー71より若干下方位置に同心でフランジ51cが設けられている。このフランジ51cは、外径寸法がシートパイプ21の内径寸法より僅かに小さく径設定され、これによってシートパイプ21内に嵌挿し得るようになっている。
さらに、サドルポスト51には、最下部位置より若干上方位置に環状溝51dが設けられている。この環状溝51dは、抜け止め用のCリング51fを装着するためのものであり、サドルポスト51が上部から下部蓋体21cに貫通された状態で環状溝51dにCリング51fを装着することにより、サドルポスト51は、Cリング51fが下部蓋体21cと干渉するため、上方に向かって抜け出るのが阻止される。
このようなサドルポスト51は、その上端部に雄ねじの螺設された螺設部51gを有している一方、サドルスペーサー52には螺設部51gに対応した上下方向に延びる同心のねじ孔52aが設けられ、螺設部51gをねじ孔52aに螺着して締結することによりサドルスペーサー52がサドルポスト51に固定されるようになっている。
上記上部コイルスプリング72は、ストッパー71を下方に向けて付勢するためのものであり、シートパイプ21内においてサドルポスト51に外嵌された状態で、ストッパー71と上部蓋体21bとの間に介設される。かかる上部コイルスプリング72の付勢力により、ストッパー71は、常に切起し片21a′の先端縁部回りに下方に向けて押圧され、これによって係止姿勢に姿勢設定された状態で当該係止姿勢を確実に維持し得るようになっている。
上記下部コイルスプリング73は、上記のようなサドルポスト51のフランジ51cより下部に外嵌されるものである。そして、シートパイプ21に嵌挿された状態のサドルポスト51に、シートパイプ21の下部開口から下部コイルスプリング73を外嵌し、引き続き下部蓋体21cをサドルポスト51に外嵌した上で当該下部蓋体21cをシートパイプ21に固定するとともに、サドルポスト51の下端部の環状溝51dにCリング51fを装着することにより、サドルポスト51は、フランジ51cを介して抜け止め状態で上方に向けて付勢されることになる。
上記操作部材74は、図2に示すように、グリップ43の基端側近傍でハンドル40に同心で固定された環状ケーシング74aと、この環状ケーシング74aおよびグリップ43間にハンドル40と同心で介設された環状の操作ダイヤル74bとを備えて構成されている。
操作部材74の外周面の適所からは二重ケーブル75の装着を誘導するための誘導筒片74cが突設され、二重ケーブル75は、この誘導筒片74cを介して環状ケーシング74a内に引き入れられている。
そして、操作ダイヤル74bを一方向に回動操作して昇降規制位置にダイヤル設定することにより、シートパイプ21内のストッパー71が二重ケーブル75を介して操作され、ストッパー71がサドルポスト51を昇降しないように係止する係止姿勢に姿勢設定される一方、同他方向に回動操作して昇降可能位置にダイヤル設定することにより、シートパイプ21内のストッパー71が二重ケーブル75を介して操作されて係止解除姿勢に姿勢変更し、これによってサドルポスト51の昇降規制が解除されるようになっている。
上記二重ケーブル75は、鋼製のワイヤーからなるインナーケーブル(規制解除手段)75aと、このインナーケーブル75aを被覆した合成樹脂製のアウターケーブル75bとからなっている。
アウターケーブル75bの一方の端部は、誘導筒片74cを介して環状ケーシング74a内に引き入れられ、誘導筒片74c内で固定されている一方、アウターケーブル75bから引き出されたインナーケーブル75aが操作部材74内の図略の操作機構に接続されているのに対し、同他方の端部は、アウターケーブル75bが上部蓋体21bの上方鍔部21eに固定された状態でインナーケーブル75aが上部蓋体21bを介してシートパイプ21内に引き入れられ、その先端がストッパー71に接続されている。
上方鍔部21eには、その周縁部に二重ケーブル75を装着するための上部蓋本体21d内に連通した装着筒片21nが設けられ、アウターケーブル75bはこの装着筒片21nに挿入され固定されているとともに、インナーケーブル75aは装着筒片21n内から上部蓋体21b内に引き出され、シートパイプ21内を垂下している。
そして、シートパイプ21内のインナーケーブル75aの下端部には係止片75cが固定されている一方、ストッパー71の上記対向縁部71eには外周部から中心に向けて切り込まれて形成した係止溝71fが設けられ、係止片75cをこの係止溝71fに挟み込んで所定の抜け止め処理を施すことによりインナーケーブル75aがストッパー71に接続されるようにしている。
そして、本発明においては、操作ダイヤル74bが昇降規制位置にダイヤル設定されることにより、シートパイプ21内のインナーケーブル75aは下方に向かって引き出され、これによってストッパー71は上部コイルスプリング72の付勢力で係止孔21aの切起し片21a′の先端縁部回りに下方に向けて回動し、図5の(c)に示す係止姿勢に姿勢設定される一方、操作ダイヤル74bが昇降可能位置にダイヤル設定されることにより、シートパイプ21内のインナーケーブル75aは上方に向かって引き上げられ、これによってストッパー71は図5の(d)に示す係止解除姿勢に姿勢設定されるようになされている。
以下、図2に示すサドル昇降機構70の各部品の組み立てについて説明する。サドル昇降機構70を組み立てるに際しては、まず、二重ケーブル75を上部蓋体21bの装着筒片21nに装着し、上部蓋体21b内から引き出されたインナーケーブル75aの先端の係止片75cを係止溝71fに係止させることによりストッパー71をインナーケーブル75aの先端に接続する。
ついで、ストッパー71の上面に上部コイルスプリング72の下端部を当接させた状態で当該ストッパー71および上部コイルスプリング72を上部開口からシートパイプ21内に挿入していき、ストッパー71の係止突片71Cをシートパイプ21の係止孔21aに嵌挿するとともに、上部蓋本体21dをシートパイプ21の上部開口に嵌挿してビスBで固定する。
引き続き、サドルスペーサー52が外され、かつ、フランジ51cより下方部分に下部コイルスプリング73の外嵌されたサドルポスト51を、その上端部側からシートパイプ21の下部開口に差し入れ、ストッパー71の楕円孔71bに貫通させた上で上部が上部蓋体21bの上部開口から上方に突出した状態にする。
この状態でシートパイプ21の下部開口から外部に突出しているサドルポスト51に下部コイルスプリング73の付勢力に抗して下部蓋体21cを外嵌した後、下部蓋本体21iをシートパイプ21の下部開口に嵌挿しビスBで固定するとともに、サドルポスト51の環状溝51dに抜け止めのCリング51fを装着する。こうすることによって、図3に示すように、サドル昇降機構70が完成する。
このようにして完成したサドル昇降機構70を有するシートパイプ21は、自転車10(図1)の前部下パイプ22と後部下パイプ25との交差位置に設けられた二段孔構造(上部の孔径はシートパイプ21の外径寸法よりわずかに大きく寸法設定されている一方、下部の孔径は上部の孔径より小さく、かつ、サドルポスト51の外径より大きく寸法設定されている)のシートパイプ支持筒27に嵌挿された状態で、前部上パイプ23および後部上パイプ26の各端部が当該シートパイプ21に溶接止めされることにより自転車10に組み付けられた状態になる。
シートパイプ21を上記のような二段孔構造のシートパイプ支持筒27に嵌挿することにより、サドルポスト51が下降し得る空間がシートパイプ支持筒27内の下部位置に確保される。
そして、自転車10に組み付けられたサドル昇降機構70において、シートパイプ21内におけるインナーケーブル75aのアウターケーブル75bからの突出量の調整は、二重ケーブル75を操作部材74に装着するときに行われる。具体的には、二重ケーブル75の端部を操作部材74の環状ケーシング74a内の操作機構に接続するに際し、アウターケーブル75bからインナーケーブル75aを適宜出入させてシートパイプ21内におけるインナーケーブル75aのアウターケーブル75bからの突出量が調整される。
この調整操作においては、操作ダイヤル74bが昇降規制位置にダイヤル設定された状態で、ストッパー71が図5の(c)に示す係止姿勢に姿勢設定されているか否か、操作ダイヤル74bが昇降可能位置にダイヤル設定された状態で、ストッパー71が図5の(d)に示す係止解除姿勢に姿勢設定されているか否かが確認される。
この確認は、シートパイプ21に内装されているストッパー71を視認することができないため、操作ダイヤル74bが昇降規制位置に設定された状態でサドルポスト51の昇降が確実に規制されているか、および操作ダイヤル74bが昇降可能位置に設定された状態でサドルポスト51が昇降し得るかを実際に試験することにより行われる。
本発明のサドル昇降機構70は、以上詳述したように、シートパイプ21に嵌挿されるサドルポスト51の上下動で当該サドルポスト51の頂部に設けられたサドル50の高さ位置を調節し得るように構成されたものであり、シートパイプ21には、サドルポスト51を上方に向けて付勢する下部コイルスプリング73と、サドルポスト51の昇降を規制するストッパー71と、操作部材74の操作ダイヤル74bの操作でストッパー71の規制を解除する二重ケーブル75とを備えて構成されている。
したがって、普段は、サドルポスト51はストッパー71の規制で下部コイルスプリング73の付勢力やサドル50に跨った運転者の体重に抗して昇降が阻止され、サドル50の高さ位置が予め設定された高さレベルになっている。
この状態で、操作部材74の操作で二重ケーブル75を介してストッパー71の規制を解除することにより、サドルポスト51はサドル50に跨っている運転者の重量で下部コイルスプリング73の付勢力に抗して下降する一方、運転者がサドル50から腰を浮かすと、サドルポスト51は下部コイルスプリング73の付勢力によって上昇するため、サドル50を元の高さ位置に上昇させることができる。
この状態で操作ダイヤル74bの操作により二重ケーブル75を介してストッパー71の係止解除姿勢から係止姿勢への姿勢変更でサドルポスト51の昇降を規制すれば、再度サドル50の高さ位置が固定されるため、運転者はこの状態で自転車10を快適に走行させることができる。
このように、本発明に係るサドル昇降機構70は、操作部材74の操作および運転者のサドル50に対する体重の加減によってサドル50の高さ位置を任意に調節することができるため、踏切待ちや信号待ちのときにはサドル50の高さ位置を容易に下降させて両足を地面に着かせて自転車10への跨り姿勢を安定させることができるとともに、自転車10の走行時にはサドル50を走行に適した高さ位置に容易に設定することができ、自転車10を運転する場合の安全性を確保することができる。
そして、特に本発明に係るサドル昇降機構70にあっては、下部コイルスプリング73、サドルポスト51の昇降を規制するストッパー71およびストッパー71に姿勢変更を行わせる規制解除手段としての二重ケーブル75のインナーケーブル75a等、サドル昇降機構70を構成するほとんどの部材がサドルポスト51に内装されているため、これらが外部に露出した従来のものに比べて自転車10の外観視が極めて簡素で美麗になるとともに、外部に露出した部品が自転車10の運転操作の障害になるという従来の不都合が解消され、これらによってサドル昇降機構70を備えた自転車10の商品価値を向上させることができる。
また、ストッパー71は、サドルポスト51に外嵌される楕円孔71bを備え、シートパイプ21の切起し片21a′から先下がりに傾斜してサドルポスト51の昇降を規制する係止姿勢と、回動中心と略同一高さレベルになってサドルポスト51の昇降を許容する係止解除姿勢との間で姿勢変更可能に構成されているため、操作ダイヤル74bの操作でストッパー71を切起し片21a′の先端縁部から先下がりに傾斜した係止姿勢に設定すると、楕円孔71bの平面視の形状が小さくなるように変化し、サドルポスト51は楕円孔71bの対向縁部で挟持された状態になるとともに、サドル50に体重をかけることによってサドルポスト51は下降方向へ向かう力を受け、この楔効果でサドルポスト51の下降はさらに確実に規制され、昇降規制手段を極めて簡単な構造のものとした上で、サドルポスト51の下降を確実に阻止することができる。
そして、ストッパー71は、その中心位置と上記回動中心(切起し片21a′の先端縁部の位置)とを結ぶ直線に直交する直線位置で上方に向かって折り曲げられているため、ストッパー71が先下がりに傾斜した係止姿勢に姿勢設定された状態で、楕円孔71bの先端側(回動中心に対向した側)の上縁部をサドルポスト51の周面に当接させることができ、これによってストッパー71の楕円孔71bの縁部がサドルポスト51に対して鋭角でサドルポスト51の周面に当ることから、サドルポスト51に対するより下降阻止効果を高めることができる。
また、上記楕円孔71bは、短径寸法がサドルポスト51の外周面と摺接するように寸法設定されているとともに、長径寸法がサドルポスト51の外径寸法より大きく寸法設定されているため、ストッパー71が回動中心回りに先下がりに回動した状態で、楕円孔はサドルポスト51の延びる方向から見た状態で真円になり、これによって楕円孔の全縁が円柱からなるサドルポスト51の全周面に当接した状態になり、さらなる良好な下降規制効果を得ることができる。
また、サドルポスト51には、フランジ51cより上方位置に係止姿勢に姿勢設定されたストッパー71の楕円孔71bの縁部が係合する複数状の周方向に延びた切込み溝51aが設けられているため、ストッパー71が先下がりに傾斜した係止姿勢に姿勢設定された状態で、楕円孔71bの縁部が切込み溝51aに係合し、この係合でサドルポスト51の下降をさらに確実に規制することができる。
さらに、シートパイプ21には、ストッパー71を下方に向けて付勢する上部コイルスプリング72が内装されているため、ストッパー71は上部コイルスプリング72によって常に下降に向けて付勢された状態になり、ストッパー71の係止姿勢への姿勢変更を迅速に行わせることができるとともに、係止姿勢に姿勢設定された楕円孔71bの縁部のサドルポスト51に対する当接状態をより確実なものにすることができる。
そして、本実施形態においては、図4に示すように、シートパイプ21の適所(ストッパー71が設けられている位置より若干下部位置)にストッパー用ねじ孔21qが貫通状態で螺設されている。このストッパー用ねじ孔21qは、操作ダイヤル74bの操作に拘らずサドル50の高さ位置を固定するためのストッパーボルトB1を螺着して貫通させるためものである。
そして、予めストッパー用ねじ孔21qにストッパーボルトB1を螺着しておけば、ストッパーボルトB1を締め付けてその先端をサドルポスト51の周面に押圧当止させることにより、たとえ操作ダイヤル74bが操作されてもサドルポスト51の昇降がストッパーボルトB1によって規制されるため、サドル50の高さ位置は維持される。このようなストッパーボルトB1は、運転者が操作ダイヤル74bの操作によってサドル50の高さ位置を変更させることを望まないときに用いられる。
図7は、装着筒片21nが他の取り付け位置に取り付けられた自転車10を示す側面図である。この実施形態の自転車10においては、二重ケーブル75の先端側が装着される装着筒片21nが、シートパイプ21の上端後方位置に設けられている。これに伴って、シートパイプ21に穿設される係止孔21aは、シートパイプ21の前方位置に設けられるとともに、ストッパー71の装着姿勢も前後で反転されることになる。その他のサドル昇降機構70の構成は、図2〜図4に示す先のものと同様である。
装着筒片21nを支持部材本体21の後部に設けることにより、運転者が自転車10に女乗り(すなわち片足で前部上パイプ23を跨いで乗り降りする乗降方法)で乗り降りしたり、サドル50に跨って運転操作を行うに際し、二重ケーブル75が邪魔になるような不都合が生じず、自転車10をより快適に運転することができる。
図8は、サドル昇降機構70aの他の実施形態を示す一部切欠き分解斜視図であり、図9はその組立て斜視図である。また、図10は、図9に示すサドル昇降機構70aの縦断面図である。これらの図に示すように、この実施形態においては、サドル昇降機構70aは、先の実施形態のストッパー71、上部コイルスプリング72、下部コイルスプリング73および操作部材74に加えてサドルポスト51の上部で当該サドルポスト51をカバーするカバー筒体76を備えて構成されている。
上記カバー筒体76は、サドルポスト51の略中間位置であってストッパー71より下部に設けられたフランジ51cと、サドルスペーサー52の下端縁部に設けられたフランジ52bとの間に外れ止め状態で介設されるものである。
かかるカバー筒体76は、外径寸法がシートパイプ21の内径寸法より僅かに小さく寸法設定されているとともに、内径寸法がストッパー71および上部コイルスプリング72の外径寸法より大きく寸法設定され、これによってシートパイプ21内に摺接状態で嵌挿し得るとともに、サドルポスト51に外嵌されたストッパー71および上部コイルスプリング72を内装し得るようになっている。
また、この実施形態においては、カバー筒体76がシートパイプ21に摺接状態で嵌挿され得ることから、先の実施形態で採用された、シートパイプ21の上部開口を閉止するための上部蓋体21bは不要であるため採用されない。したがって、二重ケーブル75のアウターケーブル75bをシートパイプ21内に引き入れるための装着筒片21nは、シートパイプ21の上縁部または周面に取り付けられている。図に示す例では装着筒片21nは、シートパイプ21の上縁部であってカバー筒体76と干渉しない位置に取り付けられている。
そして、カバー筒体76には、筒心を中心とした点対称位置に上下方向に延びる一対の逃しスリット76aが設けられ、一方の逃しスリット76aからはサドルポスト51に外嵌されているストッパー71の係止突片71cが内側から外側に向けて貫通されるとともに、他方の逃しスリット76aには、シートパイプ21内で装着筒片21nから垂下されたアウターケーブル75bおよび係止片75cが通されるようになっている。
また、シートパイプ21における係止孔21aの上方位置には、ビスBを螺着するねじ孔21pが貫通螺設されている。そして、カバー筒体76がシートパイプ21に嵌挿された状態で、ビスBがこのねじ孔21pに螺着されることにより、その先端部が、図10に示すように、カバー筒体76の一方の逃しスリット76aに嵌り込み、これによってサドルポスト51が軸心回りに回動するのが規制されるようになされている。なお、ビスBの長さ寸法を若干長めに設定しておけば、当該ビスBに第一実施形態のストッパーボルトB1(図4)と同一の役割を担わせることができる。
このようなサドル昇降機構70aの組み付けは、以下のようにして行われる。すなわち、サドルスペーサー52が螺設部51gに螺着される前のサドルポスト51にまず上からカバー筒体76を外嵌する。引き続きストッパー71を上からサドルポスト51に外嵌し、その係止突片71cを一方の逃しスリット76aから外方に突出させた状態でカバー筒体76内に挿入する。ついでサドルポスト51に外嵌した上部コイルスプリング72をカバー筒体76内に挿入する。
その後、装着筒片21nから引き出されたアウターケーブル75bの下端部に装着されている係止片75cを、他方の逃しスリット76aを介してストッパー71の係止溝71fに係止する。
そして、この状態のサドルポスト51のフランジ51cより下部に下部コイルスプリング73を外嵌し、この下部コイルスプリング73ごとサドルポスト51を上部開口からシートパイプ21に挿入し、ストッパー71の係止突片71cを係止孔21aに嵌め込む。この状態でサドルスペーサー52をサドルポスト51の螺設部51gに螺着して締結することにより、カバー筒体76が上下のフランジ52b,51cに挟持されてサドルポスト51に固定される。
引き続き、シートパイプ21から下方に向けて突出しているサドルポスト51の下部に下部コイルスプリング73の付勢力に抗して下部蓋体21cを外嵌した後、当該下部蓋体21cの下部蓋本体21iをシートパイプ21に内嵌してビスBで止める。そして、最後にCリング51fをサドルポスト51の下端部の環状溝51dに装着することによりサドル昇降機構70aが完成する。
この実施形態のサドル昇降機構70aによれば、サドルポスト51がシートパイプ21に嵌挿された状態で、図7に二点鎖線で、および図9に示すように、サドルポスト51のシートパイプ21から上方に突出している部分(すなわちカバー筒体76)が、シートパイプ21に比べて顕著に細くなっていないため、外嵌視に違和感がなく、この部分が細いことにより運転者に不安感を与えたり、見栄えが劣るような不都合を解消することができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、操作部材74として操作ダイヤル74bを備えたダイヤル式のものが採用されているが、本発明は、操作部材74がダイヤル式のものであることに限定されるものではなく、レバーの支持軸回りの正逆回動操作でストッパー71の姿勢を係止姿勢と係止解除姿勢との間で姿勢変更させ得るようにしたレバー式の操作部材を採用してもよい。
(2)上記の実施形態においては、操作部材74の操作が二重ケーブル75を介してストッパー71に伝達されるようにしているが、本発明は、操作部材74とストッパー71との間に二重ケーブル75を介設することに限定されるものではなく、例えば複数の操作アームをリンクして構成したリンク機構を操作部材とストッパー71との間に介設し、操作部材の操作でリンク機構を介してシートパイプ21内のストッパー71に姿勢変更を行わせるようにしてもよい。
(3)上記の図2〜図4に示す実施形態において、サドルポスト51のシートパイプ21から上方に突出している部分に、蛇腹のような多数の襞が形成された布製、合成樹脂製あるいはゴム製のフレキシブルチューブを外嵌してもよい。こうすることによってシートパイプ21に比べて相当細いサドルポスト51の細さが隠され、自転車10が見栄えのよいものになる。
(4)上記の実施形態においては、ストッパー71は折り曲げられているが、本発明はストッパー71が折り曲げられることに限定されるものではなく、平板状であってもよい。
(5)上記の実施形態においては、ストッパー71に楕円孔71bが設けられているが、本発明は、ストッパー71に穿設される孔が楕円孔71bであることに限定されるものではなく、円孔であってもよい。但し、円孔を採用する場合には、ストッパー71が係止解除姿勢に設定されたときに、サドルポスト51が円滑に昇降し得るように円孔の径寸法を、サドルポスト51の外径寸法より相当大きく設定することが好ましい。
(6)上記の実施形態において、ストッパー71は完全に環状に形成されているが、本発明はストッパー71が完全環状であることに限定されるものではなく、ストッパー本体71aの一部が外周面から内周面に亘って切り欠かれたC字状のものであってもよい。
(7)上記の実施形態においては、ストッパー71の回動中心O(図6)としてストッパー71の係止突片側縁部71dが係止孔21aの内壁面と当接する位置(図6に示す例では切起し片21a′の頂部)が設定されているが、本発明は、ストッパー71の回動中心が長軸線L1(図5)に沿う縁部であることに限定されるものではなく、ストッパー本体71aと交差する短軸線L2(図5)に平行なあらゆる線(短軸平行線)を回動中心線とし、この短軸平行線回りにストッパー71を回動差せるようにしてもよい。すなわち、ストッパー71は、ストッパー本体71aと交差し、かつ、短軸線L2と平行な短軸平行線回りに回動させることにより、回動方向がいずれの方向であっても、また短軸平行線がどの位置にあっても、サドルポスト51を係止することができる。
(8)上記の実施形態においては、シートパイプ21およびサドルポスト51はスチール製のものが採用されているが、本発明はシートパイプ21およびサドルポスト51がスチール製であることに限定されるものではなく、シートパイプ21およびサドルポスト51のいずれか一方または双方を強化プラスチック製あるいは強化アルミニウム製にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る自転車の一実施形態を示す側面図である。
図2は、サドル昇降機構の一実施形態を示す一部切欠き分解斜視図である。
図3は、図2に示すサドル昇降機構の組立て斜視図である。
図4は、図3に示すサドル昇降機構の縦断面図である。
図5は、ストッパーの一実施形態を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)および(d)は一部断面側面図であり、(c)はストッパーが係止解除姿勢に姿勢設定された状態、(d)はストッパーが係止姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
図6は、ストッパーの折り曲げ角度α、楕円孔の長径寸法dおよびサドルポストの外径寸法D間の関係を説明するための説明図である。
図7は、装着筒片が他の取り付け位置に取り付けられた自転車を示す側面図である。
図8は、サドル昇降機構の他の実施形態を示す一部切欠き分解斜視図である。
図9は、図8に示すサドル昇降機構の組立て斜視図である。
図10は、図9に示すサドル昇降機構の縦断面図である。
図11は、従来のサドル昇降機構を示す断面視の説明図であり、(a)は、サドルの高さ位置が固定された状態、(b)は、サドルの高さ位置が変更可能にされた状態をそれぞれ示している。
Claims (8)
- シートパイプに嵌挿されるサドルポストの上下動で当該サドルポストの頂部に設けられたサドルの高さ位置を調節し得るように構成されたサドルの昇降機構であって、上記シートパイプには、サドルポストを上方に向けて付勢する第一付勢手段と、この付勢手段によるサドルポストの上昇およびサドルに下方へ向かう力が加わることによるサドルポストの下降を規制する昇降規制手段と、操作手段の操作で上記昇降規制手段の規制を解除する規制解除手段とが内装されていることを特徴とするサドルの昇降機構。
- 上記昇降規制手段は、サドルポストに外嵌される外嵌孔を備え、かつ、回動中心から先下がりまたは先上がりに傾斜してサドルポストの昇降を規制する係止姿勢と、回動中心と略同一高さレベルになってサドルポストの昇降を許容する係止解除姿勢との間で姿勢変更可能な環状ストッパーによって構成されていることを特徴とする請求項1記載のサドルの昇降機構。
- 上記環状ストッパーは、その中心位置と上記回動中心とを結ぶ直線に直交する直線位置で上方に向かって折り曲げられていることを特徴とする請求項2記載のサドルの昇降機構。
- 上記外嵌孔は、短径寸法がサドルポストの外周面と摺接するように寸法設定されているとともに、長径寸法がサドルポストの外径寸法より大きく寸法設定された楕円孔によって形成され、上記環状ストッパーは、長径方向の一方の端部回りに回動するように回動中心位置が設定されていることを特徴とする請求項2または3記載のサドルの昇降機構。
- 上記サドルポストには、上下方向の所定範囲に亘って係止姿勢に姿勢設定された環状ストッパーの縁部が係合する複数状の周方向に延びた切込み溝が凹設されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のサドルの昇降機構。
- 上記シートパイプには、環状ストッパーを下方に向けて付勢する第二付勢手段が内装されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載のサドルの昇降機構。
- 上記規制解除手段は、上記操作手段の操作によってサドルポストに対する昇降規制を解除し得るように上記昇降規制手段に接続された二重ケーブルによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のサドルの昇降機構。
- 請求項1乃至7に記載のサドルの昇降機構が装備されてなることを特徴とするサドルの昇降機構を有する自転車。
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