JPWO2002023065A1 - 減速機付きモータのシリーズ - Google Patents
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Abstract
減速機付きモータのシリーズにおいて、使用者の減速比の要求あるいは減速機タイプの要望に柔軟に且つ確実に対応することができると共に、騒音や振動レベルの低減を図る。モータに対して複数種の減速機を組み合わせることにより、任意の減速機付きモータを選択可能とする場合に、太陽ローラ121と遊星ローラ122とリングローラ123とを備えた単純遊星ローラ部120を複数用意し、複数の単純遊星ローラ部120をモータの出力軸周りのカバー110に選択・連結することにより、複数の中速モータ群SMCを構成可能とし、且つ、同形の中速モータに、遊星ローラ122の公転成分と同期するキャリア100を介して複数種の減速機が選択・連結可能とされている。
Description
技術分野
本発明は、モータに対して複数種の減速機を組み合わせることにより、任意の減速機付きモータを選択可能とした減速機付きモータのシリーズに関する。
背景技術
この種の減速機付きモータとして、大半のものは、回転動力を発生するモータと、この回転動力を減速する歯車式の減速機とを組み合わせたものである。この種の減速機付きモータは、機械的に減速する構造であるため、モータを最も効率のよい状態(回転数領域)で運転をすることができ、あらゆる産業分野で広く用いられている。
この場合、一般の歯車式の減速機の大半(8割以上)は、総減速比が1/10〜1/60くらいの範囲で使用されており、減速機の種類としては、例えば、単純遊星歯車減速機、揺動内接噛合遊星歯車減速機、ベベル式減速機、ハイポイド減速機、ウォーム減速機等の種々のタイプが、用途に応じて選択できるようにシリーズとして用意されている。
ところで、この種の減速機付きモータのシリーズにおいては、歯車式の減速機を使用する関係で、減速比が所定の間隔(公比)で設定されているため、必ずしも豊富なバリエーションの減速比を用意できるとは限らず、使用者の要求に細かく対応できないことがあった。
又、それぞれのタイプの減速機は、得意とする減速比の範囲を有しており、製作コストを抑制しながら、各タイプの減速比の範囲を拡大するのには限界があった。しかも、一般的に高減速比をカバーできる減速機ほど製作コストが高いため、高減速比の駆動装置が要求された場合には、必然的にコストの高いタイプの減速機を選んでモータと組み合わせざるを得ず、結果的に減速機タイプの選択の自由度が制限されてしまうという問題があった。
又、これらの問題とは別に、歯車式の減速機を使用する場合には、歯車の噛み合い部分(特に高速に回転する入力軸と第1段ギヤとの噛み合い部分)によって、大きな騒音や振動を発生する上、更に、減速機側とモータ側との共振現象によって、減速機付きモータ全体の騒音レベルや振動レベルが単体での騒音以上に大きくなることがしばしばあるといった問題もあった。
この点を、特に騒音・振動レベルが大きくなりがちである、従来公知の揺動内接噛合遊星歯車構造(国際分類F16H1/32に該当する歯車装置)を減速機として使用したギヤドモータを例に出して具体的に説明する。
図16は、特開平5−231482号公報に記載された揺動内接噛合遊星歯車減速機を備えたギヤドモータ(減速機付きモータ)の例を示している。このギヤドモータ1は、減速機2とモータ3とを結合して一体化したものである。
減速機2のケーシング51は、中央ケーシング52と、モータ3側の継ケーシング53と、モータ3と反対側の前部ケーシング54とからなる。モータ3のケーシング55は、円筒ケーシング56と、減速機2側の継ケーシング53と、減速機2と反対側の後面カバー57とからなる。この場合、前記継ケーシング53が、減速機2とモータ3のケーシング51、55の一部を兼用しており、この継ケーシング53を介して、減速機2とモータ3が一体に結合されている。
減速機2は、入力軸となる第1軸11と出力軸となる第2軸12とを備える。
第1軸11の外周上には、所定位相差(この例では180°)をもって2つの偏心体13a、13bが嵌合され、これら偏心体13a、13bが、第1軸11と一体に回転する。偏心体13a、13bの中心は、それぞれ第1軸11の軸芯に対して所定の偏心量だけ偏心している。それぞれの偏心体13a、13bの外周には、外歯歯車15a、15bが嵌合されている。外歯歯車15a、15bには、内ピン孔16a、16bがそれぞれ複数設けられており、これら内ピン孔16a、16bに内ピン17が遊嵌されている。
外歯歯車15a、15bの外周にはトロコイド歯形や円弧歯形の外歯が設けられ、内歯歯車20に対して内接噛合している。内歯歯車20は、中央ケーシング52の内周に一体的に形成されており、各内歯が、中央ケーシング52の内周に保持された外ピン21によって形成されている。
外歯歯車15a、15bの両側には一対のキャリア23、24が配されている。両キャリア23、24は、軸受31、32により回転自在に支持され、複数本のキャリアピン(連結ピン)25及びスペーサ26で一体に結合されている。
内ピン17の両端は、両側のキャリア23、24にすべり回転可能に結合され、外歯歯車15a、15bの自転成分のみが、内ピン17を介して両側のキャリア23、24に伝達される。
モータ3側のキャリア23の中央孔23aには、第1軸11の一端が臨み、カップリング70を介してモータ軸61と連結されている。
この構成によりこの減速機では公知の作用で外歯歯車15a、15bの歯数分の1の減速が実現できる。
次に他の従来例を説明する。
図17、図18は、特開平10−299841公報に記載された従来のギヤドモータの例を示している。このギヤドモータ500に使用されている揺動内接噛合遊星歯車減速機は、いわゆる振り分け軸タイプのものである。
この内接噛合遊星歯車減速機は、外部のモータ軸501に連結される第1軸502と、該第1軸502と同心の円周上に配置され、該第1軸502と連動して回転する複数の振り分け軸503と、該複数の振り分け軸503上にそれぞれ設けられた偏心体504と、該偏心体504に嵌合されることにより、前記第1軸502に対して偏心回転可能とされた外歯歯車505と、前記第1軸502と同心に組み込まれ、前記外歯歯車505が該第1軸502に対して偏心回転しながら内接噛合する内歯歯車506と、前記複数の振り分け軸503と連結された第2軸507と、を備える。
この内接噛合遊星歯車構造では、偏心体504を一対のキャリア523、324の間に位置するように配置すると共に、キャリア523、524によって振り分け軸503を回転可能に支持している。そして、前記第1軸502に太陽ローラ511を設け、前記複数の振り分け軸503のそれぞれに、該太陽ローラ511と各々外接する複数の振り分けローラ512をスプライン結合により設け、これら複数の振り分けローラ512の外側に、該振り分けローラ512が内接する圧接リング513を設けたものである。この場合の圧接リング513は、単に太陽ローラ511と振り分けローラ512との間に圧接力を発生させるためのものであり、機能としては単純遊星のリングのそれとは異なる。
以上の例にあげたような内接噛合遊星歯車減速機を採用したギヤドモータは、単純且つコンパクトな構造で剛性が高い上に、高い減速比が得られるという利点を有するものの、外歯歯車が揺動しながら相手側歯車と噛み合う構造になっているので、減速機側の振動とモータ側の振動が重なって共振することで、どうしても騒音が大きくなりやすいという問題を有している。
即ち、上記のギヤドモータの場合、減速機側で発生する振動によって、それと結合されているモータが加振され、モータ自身が発生する振動と一緒になって複雑な共振を起こす。更にその振動が元の減速機に戻ることで、より複雑な共振を起こし、それらが原因で、稀にギヤドモータ全体で大きな騒音を発生することがある。
この点、図16のギヤドモータ1の場合は、モータ軸61と第1軸11をスプライン式のカップリング70を介してフローティング結合することにより、モータユニット3自身の振動と、減速機ユニット2自身の振動の相互伝達を阻止して、両者が共振するのを防止するようにしている。
しかしながら、カップリング70を介してフローティング結合するだけでは、振動の相互伝達を大きく抑制することができないため、十分な騒音低減効果が得られなかった。
又、図17の振り分け軸タイプの内接噛合遊星歯車構造を採用したギヤドモータの場合も、実際に運転してみると、期待していたほどの騒音低減効果が得られなかった。その理由としては、次のことが考えられる。
即ち、この振り分けタイプの構造は、各振り分け軸503に外歯歯車505の揺動運動に伴う振動や撓みが生じるので、該振り分け軸503は、どうしてもこの外歯歯車505からの荷重を受けて振動したり変形(撓む)したりする可能性が高い。にもかかわらず、このギヤドモータでは、その振り分け軸503上に、太陽ローラ511と圧接する振り分けローラ512が存在するので、振り分け軸503の振動や変形が直接、振り分けローラ512→太陽ローラ511と伝わってしまい、摩擦ローラを使用した故の振動伝達の阻止作用がうまく機能していない。換言すると、高速低トルクの動力伝達に適したローラ512を、内接噛合遊星歯車構造の荷重伝達に伴う変形の影響を直接的に受ける振り分け軸503に直接配置していることに原因があったと考えられる。
いずれにしても(原因はともかく)、結局、上述した2例では、フローティング結合や摩擦ローラの組込みを採用していたとしても、騒音改善効果はギヤドモータの常識を塗り替えるまでには達成されていなかった。
このような騒音や振動レベルが大きくなるという点は、他のタイプの減速機を使用した場合にも、似たような結果となっていた。
発明の開示
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、使用者の減速比の要求あるいは減速機タイプの要望に柔軟に且つ確実に対応することができると共に、騒音や振動レベルの低減を図ることのできる駆動装置のシリーズを提供することを目的とする。
請求項1の発明は、モータに対して複数種の減速機を組み合わせることにより、任意の減速機付きモータを選択可能とした減速機付きモータのシリーズにおいて、太陽ローラと、該太陽ローラの周りを転接する遊星ローラと、該遊星ローラが内接するリングローラと、を備えた単純遊星ローラ機構を複数用意し、前記複数の単純遊星ローラ機構を、前記モータの出力軸周りのカバーに選択・連結することにより、複数の中速モータ群を構成可能とし、且つ、同形の中速モータに、遊星ローラの公転成分と同期するキャリアを介して前記複数種の減速機が選択・連結可能とされていることにより、上記課題を解決したものである。
この減速機付きモータにおいて最も重要な要件は、特定のモータの出力軸周りのカバーに複数の単純遊星ローラ機構を選択・連結することにより、実質的に複数の中速モータ群を構成可能とし、しかも、同形の中速モータに対して、複数種の減速機を自由に選択して連結できるようにしたことである。
このように、単純遊星ローラ機構の付加によって実質的に中速モータ群が構成可能であることにより、減速機側の負担の軽減と選択の制限の緩和を図ることができる。
即ち、一つには、単純遊星ローラ機構で1段目の減速ができるので、減速機側の減速比をその分余裕を持って小さく設定することができる。例えば、総減速比1/10〜1/60を実現する場合、単純遊星ローラ機構で1/3〜1/9あるいは一般的には1/4〜1/6くらいの減速比を受け持つことができるため、減速機側では1/2〜1/10くらいの減速比を受け持てばよくなり、減速機の選定が楽にできるようになる。又、単純遊星ローラ機構で1段目の減速ができるので、総減速比の範囲を広げることも可能になる。更に、単純遊星ローラ機構では各ローラの径比を変えることで細かく減速比を調節することが容易にできることから、減速比のバリエーションの豊富化が図れる。
又、もう一つには、単純遊星ローラ機構が第1段目の減速機能を発揮することにより、減速機への入力回転速度を低く設定することができる。従って、単純遊星ローラ機構によって実現される高速部(1段目)での騒音発生が少ないことに加え、低速部である減速機において発生する騒音・振動レベルを大幅に低減することができる。又、減速機とモータの間に単純遊星ローラ機構が介在することにより、減速機とモータ間で伝わろうとする振動(特に回転方向の振動及び軸方向の振動)を、単純遊星ローラ機構のローラの相互の接触によって吸収することができる。
その結果、減速機とモータ間で振動が伝達することにより発生する複雑な共振現象を回避することができ、減速機付きモータ全体で発生する騒音・振動のレベルを(予想を大きく超えて)低減することができる。
つまり、モータに単純遊星ローラ機構を組合せることによって「中速モータ」を形成することにより、従来は避けられなかった減速機からモータへの振動伝達、及び、モータから減速機への振動伝達を、共に有効に抑えることができ、共振を防止して結果として、全体の騒音を低減することができるものである。
ここで本発明では、モータに組合せる減速機として単純遊星ローラ機構を用いている。
即ち、単純遊星ローラ機構は、遊星ローラの自転や公転を伴う単純遊星ローラ機構特有の動力伝達構造により、(複数の)ローラの接触面の摩擦によって回転動力を伝達するので、各接触面によって、単純遊星ローラ機構の両側の減速機とモータ間で相互伝達しようとする振動(特に回転方向の振動及び軸方向の振動)を極めて良好に吸収する。
上述した図17の振り分け軸タイプのものでも、摩擦ローラは用いていた。しかし、振り分け軸タイプのものの場合は、単純遊星ローラ機構を有しておらず、太陽ローラ511と圧接リング513の間に挟まれた振り分けローラ512自体が、振り分け軸503の振動を拾いやすい構造になっている。そのため、振り分け軸503の振動や変形に伴い、振り分けローラ512の位置がずれたり、振り分けローラ512が振動したりし、太陽ローラ511との間で正しい(速度変動のない)動力伝達ができなくなって、結果的に、摩擦接触面における振動吸収作用を果たす以前に、振り分けローラ512自体の振動が、全体の振動や騒音に影響を残すことになっていた。
つまり、もともと、この装置は共振回避という思想に立脚したものではないため、振り分け軸503からの振動が直接振り分けローラ512→太陽ローラ511と伝わる構成となっており、振動伝達の阻止による共振回避という本発明の目的を達成するような構造となっていなかったのである。
従って、摩擦ローラが組込まれていたとしても騒音改善効果はギヤモータの常識を塗り替えるまでには達成されておらず、「摩擦ローラの効果もこの程度のもの」と結果として考えられ、開発もそこで中断され、それ以上吟味されることもなかった。
これに対し、単純遊星ローラ機構を減速機とモータの間に介在させる本発明の場合は、(振り分けローラの自転自体によって直接動力伝達を行うのではなく)内周側の太陽ローラと外周側のリングローラと、この間に挟まれた遊星ローラの三者の相対運動によって動力伝達を行うものであるから、前述の振り分けローラのように、揺動内接噛合遊星歯車減速機からの無用の変形や振動を直接受け取らずにすむ。
従って、太腸ローラとリングローラ間に挟まれていながらも、摩擦伝動に必要な圧力で遊星ローラが太陽ローラ及びリングローラに転接するだけであり、摩擦接触面における圧力変動が少なく、結果的に、単純遊星ローラ機構を介しての振動伝達が抑制される。しかも、前述したように摩擦接触面が振動吸収機能を有効に果たすので、減速機とモータ間の相互振動伝達を阻止し、騒音低減に大きな効果を果たすことになる。
又、単純遊星ローラ機構を採用したことにより、同機構の入力部と出力部も同軸上に配置することができ、従って、例えば太陽ローラとモータの連結部と、キャリアを介して行う減速機との連結部を同一軸線上に配置することができる。
この同軸性は、特に、前述した外歯歯車の荷重の影響を受ける軸が、(振り分け軸タイプと違って)減速機の中心部に1本だけという構造にできることを意味し、この部分の剛性を高めるだけで全体の剛性を大きくとることができるようになるという点で有益である。
又、例えば揺動内接噛合遊星歯車タイプの減速機とモータとを結合して減速機付きモータを構成する際に、外歯歯車からの振動を1本の高速軸に集約し、この高速軸と単純遊星ローラ機構の一端を連結するだけで単純遊星ローラ機構との連結を完了できるため、振動遮断という点でも有益である。
即ち、単純でコンパクトな構造でありながら、剛性を大きくすることができ、それだけ大トルクの伝達が可能となるというメリットが得られるほか、騒音低減に関しても有利な構造と言えるものである。
更に、この同軸性は、1本の中心軸線上に、モータの駆動軸、減速機側の入出力軸が並んだ構成のギヤドモータに対して、簡単に本発明を適用することができるという点でも有益である。例えば、図16に示す従来のギヤドモータ1のモータ3と揺動内接噛合遊星歯車減速機2の間に、前記の単純遊星ローラ機構を付加することにより、本発明のシリーズに含まれる減速機付きモータを簡単に実現することができる。その場合、図16のギヤドモータ1では、モータ軸61と揺動内接噛合遊星歯車ユニット2の第1軸11とをカップリング70で連結しているが、そのカップリング70を流用して、単純遊星ローラ機構の遊星ローラと減速機とをキャリアを介して連結したり、太陽ローラの軸とモータの駆動軸とを連結したりすることができる。
ここで、前段の摩擦伝動によるトルク伝達は、後段の歯車噛合によるトルク伝達よりも、確保し得るトルク伝達量が小さくなるが、もともと前段の減速において伝達すべき伝達トルクはあまり大きくならず、又、後述するように、単純遊星ローラ機構は、その入出力部材を選択することにより各ローラにおける必要伝達トルクを調整することができるため、大きな問題とはならない。
特に、単純遊星ローラ機構の場合、遊星ローラを減速機側と切り離したキャリアで支持することができるので、たとえ減速機側で振動や変形が発生しても、その影響は単純遊星ローラ機構のローラ接触面にはほとんど及ばない。よって、確実で安定したトルク伝動が行われるため、一層問題は生じにくい。
又、以上のような多彩な機能を発揮する単純遊星ローラ機構をモータの出力周りのカバーに組み込んで中速モータ群を構成することは、実質的に、回転速度のバリエーションの豊富なモータのシリーズを提供できることを意味する。
請求項2の発明は、請求項1において、前記単純遊星ローラ機構が、リングローラを同径とし、遊星ローラと太陽ローラとの径比を変えて、異なる変速比を有するように複数備えられていることにより、上記課題を解決したものである。
このように一番外周側にあるリングローラの径を同径に設定し、遊星ローラと太陽ローラの径比だけを変えて、異なる複数の変速比を実現するようにすると、減速機やモータとの取り合い寸法を大幅に変更することなく、多種の減速比を用意した減速機付きモータのシリーズを提供することができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記単純遊星ローラ機構が、前記モータに対してその取り合い寸法を同一として、異なる枠番を有するように複数備えられていることにより、上記課題を解決したものである。
このように、モータとの取り合い寸法を同一として単純遊星ローラ機構の枠番を複数用意するようにすると、中速モータのバリエーションの豊富化が図れる。又、この構成により、単純複数ローラ機構は、恰もモータのカバー内にそっくり包含されるように連結されることから、モータとの一体化が促進され、「中速モータ」としての形態を一層備えることができる。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記組み合わせ可能な複数種の減速機の中に、ベベルギヤによる直交軸歯車減速機が含まれており、且つこの直交軸歯車減速機と前記単純遊星ローラ機構とにより1/3〜1/60の範囲の総減速比を達成する減速機付きモータがシリーズ中に含まれていることにより、上記課題を解決したものである。
このように、シリーズの中に、ベベルギヤによる直交軸歯車減速機と単純遊星ローラ機構とにより1/3〜1/60の範囲の総減速比を達成するものが含まれているので、コストアップを抑制しながら、使用者の選択の幅を広げることができる。
即ち、総減速比1/3〜1/60の直交減速機と言えば、一般的には(特にその大減速比側は)ハイポイドギヤセットの領域となる。しかし、本発明によれば、「中速モータ」としての出力として、既に1/4〜1/6(より大きくは1/2〜1/10)の幅で一段減速されたものが取り出される。従ってはるかに安価なベベルギヤセットを用いることが可能となり大幅なコスト低減が図れる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は実施形態の減速機付きモータ(以下では駆動装置とも言う)のシリーズの全体構成を示している。このシリーズは、任意の減速機付きモータを構成するための、ギヤ部(主に歯車減速機)の選択群SGと、単純遊星ローラ機構としてのトラクションドライブ(T/Dと略する場合もある)の選択群ST/Dと、モータ部(モータ)の選択群SMとから構成されている。そして、モータ部の選択群SMの中から選択した1個のモータと、T/Dの選択群ST/Dの中から選択した1個のT/D部(単純遊星ローラ部)と、ギヤ部の選択群SGの中から選択した1個の減速機(これ自体に減速機能を持たない出力機構部の場合を含む)との三者を連結することにより、任意の減速機付きモータを構成できるようになっている。
この場合、ギヤ部の選択群SGには、次の複数種類の出力機構部が用意されている。
(1)それ自体には減速機能はなく、モータ並びにT/Dと組み合わせることで、T/Dによる1段減速を実現する駆動装置GM1を構成するための出力機構部G1。
(2)それ自体にT/Dが組み込まれており、モータ並びにT/Dと組み合わせることで、T/Dによる2段減速を実現する駆動装置GM2を構成するためのT/D式減速出力機構部(減速機)G2。
(3)それ自体に揺動内接噛合遊星歯車構造が内装されており、モータ並びにT/Dと組み合わせることで、T/Dによる1段目減速+揺動内接噛合遊星歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM3を構成するための揺動内接噛合遊星歯車減速機G3。
(4)それ自体にベベル式歯車構造が内装されており、モータ並びにT/Dと組み合わせることで、T/Dによる1段目減速+ベベル式歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM4を構成するためのベベル式歯車減速機G4。
(5)それ自体にハイポイド式歯車構造が内装されており、モータ並びにT/Dと組み合わせることで、T/Dによる1段目減速+ハイポイド式歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM5を構成するためのハイポイド式歯車減速機G5。
(6)それ自体にウォーム式歯車構造が内装されており、モータ並びにT/Dと組み合わせることで、T/Dによる1段目減速+ウォーム式歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM6を構成するためのウォーム式歯車減速機G6。
ここで、T/Dによる1段減速を実現する駆動装置GM1を構成するための出力機構部G1は、図2に拡大して示すように、ケーシング11と、ケーシング11に軸受13を介して回転自在に設けられた出力軸12と、出力軸12の内端に結合されたキャリアピン101付きキャリア100とから構成されている。
又、T/Dによる2段減速を実現する駆動装置GM2を構成するためのT/D式減速出力機構部G2は、図3に拡大して示すように、ケーシング21と、ケーシング21に軸受23を介して回転自在に設けられた出力軸22と、この出力軸22に出力側が結合された後段減速部をなすT/D24と、このT/D24の入力側に結合されたキャリアピン101付きキャリア100とから構成されている。
又、T/Dによる1段減速+揺動内接噛合遊星歯車構造による2段減速を実現する駆動装置GM3を構成するための揺動内接噛合遊星歯車減速機G3は、図4に拡大して示すように、ケーシング31と、ケーシング31に軸受33を介して回転自在に設けられた出力軸32と、この出力軸32に出力側が結合された揺動内接噛合遊星歯車構造34と、この揺動内接噛合遊星歯車構造34の入力側に結合されたキャリアピン101付きキャリア100とから構成されている。
又、T/Dによる1段減速+ベベル式歯車構造による2段減速を実現する駆動装置GM4を構成するためのベベル式の歯車減速機G4は、図5に拡大して示すように、ケーシング41と、ケーシング41に軸受を介して回転自在に設けられた出力軸42と、この出力軸42に結合されたベベルギヤ44と、このベベルギヤ44と噛み合うピニオン45と、このベベルピニオン45に結合されたキャリアピン101付きキャリア100とから構成されている。
又、T/Dによる1段減速+ハイポイド式歯車構造による2段減速を実現する駆動装置GM5を構成するためのハイポイド式歯車減速機G5は、図6に拡大して示すように、ケーシング51と、ケーシング51に軸受を介して回転自在に設けられた出力軸52と、この出力軸52に結合されたハイポイドギヤ54と、このハイポイドギヤ54と噛み合うハイポイドピニオン55と、このハイポイドピニオン55に結合されたキャリアピン101付きキャリア100とから構成されている。
又、T/Dによる1段減速+ウォーム式歯車構造による2段減速を実現する駆動装置GM6を構成するためのウォーム式歯車減速機G6は、図7に拡大して示すように、ケーシング61と、ケーシング61に軸受を介して回転自在に設けられた出力軸62と、この出力軸62に結合されたピニオンギヤ64と、このピニオンギヤ64と噛み合うウォームギヤ65と、このウォームギヤ65に結合されたキャリアピン101付きキャリア100とから構成されている。
又、ケーシングについては、図示例では、脚付きタイプ(出力軸と平行な据え付け面を持つ)のものを示したが、フランジタイプ(出力軸と直角の据え付け面を持つ)のものも必要に応じて用意されている。
又、T/D(トラクションドライブ)部の選択群ST/Dには、複数の枠番毎に、変速比を異ならせた複数のローラの組み合わせ(リングローラ、遊星ローラ、太陽ローラの組み合わせ=単純遊星ローラ部=T/D部120)が用意されている。
又、モータ部の選択群SMには、三相モータ、ブレーキ付三相モータ、単相モータ、インバータ用モータ等の複数種類のモータが用意されている。場合によっては、図8に示すように、大形のモータ群を別途用意することもある。
又、モータには、出力軸周りカバー110A、110B(モータの前端ケーシング)が付属しており、このカバー110A、110Bに対して、(恰も該カバー110に包含されるように)T/D部120を構成するローラの組み合わせ(リングローラ、遊星ローラ、太陽ローラの組み合わせ)を組み付ける。これにより、モータと一体化したT/D機構を構成することができ、複数のT/D部をモータに固定した共通のカバー110に選択して組み付けることにより、中速モータ群SMCを構成できるようになっている。即ち、前記カバー110A、110Bは、同形のモータ(種類は問わず)に対して1種類用意され、複数のT/Dの連結に共用される。
T/D機構(単純遊星ローラ機構)は、太陽ローラ121と、該太陽ローラ1121の周りを転接する遊星ローラ122と、該遊星ローラ122が内接するリングローラ123とを主体として構成されており、モータの前部に設けるカバー110に、これらの単純遊星ローラ部を構成する三種のローラ121、122、123を組み込むことで、単純遊星ローラ機構が構成される。
ここでは、同形の単純遊星ローラ部を有する単純遊星ローラ機構に対し、遊星ローラ122の公転成分を取り出すキャリア100を介して、その出力側において前記複数種類用意されたギヤ部の中から任意の出力機構部(主に減速機)を選択・連結可能としている。
又、T/D部120は、リングローラ123を同径として、遊星ローラ122と太陽ローラ121の径比を変えて、異なる変速比を有するように複数備えられており使用者の選択の幅を更に広げることができる(図1のT/Dの表の横軸をベースとする展開)。
又、T/D部120が、異なる枠番を有するように複数用意され、且つ、T/D部120と複数種類用意されたモータとが同一の取り合い寸法を有するように設定されると共に、T/D部120と複数種類用意されたギヤ部とが同一の取り合い寸法を有するように設定されてることにより、それぞれの枠番のT/D部120を中心として、(枠番の異なる)モータ部、ギヤ部を有する駆動装置のシリーズが展開されている。これにより、使用者の選択を更に広げることができる(図1のT/Dの表の縦軸をベースとする展開)。
このように、T/D部をマトリクス的に用意すると、シリーズ全体における使用後の選択の幅を一層広げることができる。
次に、このシリーズにおいて構成可能な駆動装置(減速機付きモータ)の各例について、拡大した図2〜図7に基づきより詳しく説明する。
図2は、T/Dによる1段減速を実現する駆動装置GM1の構成図である。
この駆動装置GM1は、モータ部の選択群SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部120と、カバー110を介してモータM1と結合される出力機構部G1とを組み合わせて一体化したものである。
この駆動装置GM1を構成するには、モータM1の前端にカバー110を固定すると共に、カバー110の前面の凹部111の内周部に、T/D部の一要素であるリングローラ123をボルト112で固定する。又、リングローラ123の内周に3〜4個の遊星ローラ122を配置し、遊星ローラ122の内側に太陽ローラ121を配置して、この太陽ローラ121を、モータ出力軸M1sの先端に結合する。
この段階で中速モータMCが構成される。
即ち、モータ出力軸M1sの高速回転をT/D部120で減速して出力することができるので、後は遊星ローラ122の公転を取り出すキャリア100を介してギヤ部と連結することにより、これを実質的な中速モータMC1として取り扱うことができるようになる。この場合、前述したように、T/D部120の減速比は複数の中から自由に選択できるように用意されているので、減速比の異なる中速モータMCをシリーズとして用意することができる。
上のように、T/D部120をモータM1の前端のカバー110に組み込んだ後は、出力機構部G1のキャリア100に設けてあるキャリアピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ(キャリアピン101に被せられ、キャリアピン101と遊星ローラ122との間に介在された円筒状の滑り促進部材)101Aを介して嵌合する。同時に、ケーシング11をボルト19でモータM1の前端に結合したカバー110に連結する。これにより、駆動装置GM1が組み上がる。
この駆動装置GM1では、モータM1の高速回転がT/D部120によって中速回転に落とされた上で、そのまま出力軸12から取り出される。
即ち、モータM1の主力軸M1sが回転すると、その回転がT/D部120の太陽ローラ121に伝わり、遊星ローラ122が回転しようとする。ここで、遊星ローラ122は、固定されたリングローラ123に接しているので、リングローラ123の内周に沿って自転・公転運動をし、その公転運動成分がキャリア100を介して、出力機構部G1の出力軸12から取り出される。
この場合の駆動装置GM1は、歯車減速機を使用しないので、T/Dの特徴である低騒音、低振動を実現することができる。又、減速比は、T/D部120の選定の仕方により色々と変更することができる。
なお、キャリア100は、出力機構部G1の出力軸12の内端に対してスプライン18により結合してあるので、遊星ローラ122の公転半径の大きさ等に応じて随時交換することができる。
次に、図3は、T/Dによる2段減速を実現する駆動装置GM2の構成図である。
この駆動装置GM2は、モータ部の選択群SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部120と、カバー110を介してモータM1と結合されるT/D式減速出力機構部G2とを組み合わせて一体化したものである。
ここで、前述した中速モータMC部分までの構成は同じであり、異なるのはT/D式減速出力機構部G2を出力側に組み合わせた点であるから、異なる点のみ説明する。
T/D式減速出力機構部G2の中のT/D24は、太陽ローラ24Aと、その外周に転接する遊星ローラ24Bと、遊星ローラ24Bが自身の内周に転接するリングローラ24Cと、遊星ローラ24Bの公転成分を取り出すキャリアピン24D付きのキャリア24Eとからなり、このキャリア24Eが出力軸22の後端に一体形成され、太陽ローラ24Aに、前段のT/D部120の遊星ローラ122の公転成分を取り出すキャリア100が、スプライン28を介して結合されている。
この駆動装置GM2を構成するには、まず、前述の中速モータMCを構成した後、T/D式減速出力機構部G2のキャリア100に設けてあるキャリアピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ101Aを介して嵌合する。同時に、ケーシング21をボルト29でリングローラ24Cと共に、モータM1の前端に結合したカバー110に連結する。これにより、駆動装置GM2が組み上がる。
この駆動装置GM2では、モータM1の高速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中速回転に落とされた上で、T/D式減速出力機構部G2に入力され、同出力機構部G2内のT/D24で更に減速された上で、出力軸22から取り出される。
即ち、モータM1の出力軸M1sが回転すると、T/D部120で中速に減速された回転が、T/D式減速出力機構部G2の入力部材である太陽ローラ24Aに入力される。次いで、太陽ローラ24Aの回転により、遊星ローラ24Bが回転しようとする。ここで、遊星ローラ24Bは、固定されたリングローラ24Cに接しているので、リングローラ24Cの内周に沿って自転・公転運動をし、その公転運動成分がキャリア24Eを介して、出力軸22から取り出される。
この場合の駆動装置GM2は、前記の例と同じく、歯車減速機を使用しないものであるから、T/Dの特徴である低騒音、低振動を実現することができる。又、減速比は、1段目のT/D部120の選定の仕方と、2段目のT/D24の選定の仕方により色々と変更することができる。
次に、図4は、T/Dによる1段目減速+揺動内接噛合遊星歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM3の構成図である。
この駆動装置GM3は、モータ部の選択群SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部120と、カバー110を介してモータM1と結合される揺動内接噛合遊星歯車減速機G3とを組み合わせて一体化したものである。
ここで、前述した中速モータMC部分までの構成は同じであり、異なるのは揺動内接噛合遊星歯車減速機G3を出力側に組み合わせた点であるから、異なる部分のみ説明する。
揺動内接噛合遊星歯車減速機G3の中の揺動内接噛合遊星歯車構造34は、入力軸34Aと、入力軸34Aの外周に設けられた偏心体34Bと、偏心体34Bの外周に軸受34Cを介して嵌合された外歯歯車34Dと、外歯歯車34Dが内接噛合する内歯歯車34Eと、外歯歯車34Dに自転成分のみを取り出すキャリアピン34F付きのキャリア34Gとからなり、このキャリア34Gが出力軸32の後端に一体に形成され、入力軸34Aに、前段のT/D部120の遊星ローラ122の公転成分を取り出すキャリア100が、スプライン38を介して結合されている。
この駆動装置GM3を構成するには、まず、前述の中速モータMCを構成した後、揺動内接噛合遊星歯車減速機G3のキャリア100に設けてあるキャリアピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ101Aを介して嵌合する。同時に、ケーシング31をボルト39で内歯歯車34Eと共に、モータM1の前端に結合したカバー110に連結する。これにより、駆動装置GM3が組み上がる。
この駆動装置GM3では、モータM1の高速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中速回転に落とされた上で、揺動内接噛合遊星歯車減速機G3に入力され、同揺動内接噛合遊星歯車減速機G3内の揺動内接噛合遊星歯車構造34で更に大きく減速された上で、出力軸32から取り出される。
即ち、モータM1の主力軸M1sが回転すると、その回転がT/D部120で中速に減速された上で、揺動内接噛合遊星歯車減速機G3の入力部材である外歯歯車34Dに入力される。外歯歯車34Dは、内歯歯車34Eに噛合しているので、入力された回転動力は、外歯歯車34Eの自転成分として取り出され、出力軸32に伝達される。
この場合の駆動装置GM3は、出力機構部として結合してある揺動内接噛合歯車減速機G3自体が、外歯歯車34Dの偏心回転によって振動及び騒音を生じ易い構造になっているが、前述したようにT/D部120の存在によって、全体として騒音及び振動が予想を超える大きさで大幅に低減される。
次に、図5は、T/Dによる1段目減速+ベベル式歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM4の構成図である。
この駆動装置GM4は、モータ部の選択群SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部120と、カバー110を介してモータM1と結合されるベベル式歯車減速機G4とを組み合わせて一体化したものである。
ここで、前述した中速モータMC部分までの構成は同じであり、異なるのはベベル式歯車減速機G4を出力側に組み合わせた点であるから、異なる部分のみ説明する。
ベベル式歯車減速機G4のケーシング41には、互いに直交する関係で入力軸46と出力軸42がそれぞれ回転可能に取り付けられており、入力軸46の一端にベベルピニオン45が形成され、入力軸46の他端に、スプライン48を介して、T/D部120の遊星ローラ122の公転成分を取り出すキャリア100が結合されている。又、出力軸42には、ベベルピニオン45と噛合するベベルギヤ44が固定されている。
この駆動装置GM4を構成するには、まず、前述の中速モータMCを構成した後、ベベル式歯車減速機G4のキャリア100に設けてあるキャリアピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ101Aを介して嵌合する。同時に、ケーシング41をボルト49で、モータM1の前端に結合したカバー110に連結する。これにより、駆動装置GM4が組み上がる。
この駆動装置GM4では、モータM1の高速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中速回転に落とされた上で、ベベル式歯車減速機G4に入力され、同ベベル式歯車減速機G4内のベベルピニオン45とベベルギヤ44の噛み合いにより、更に大きく減速された上で、出力軸42から取り出される。
この場合の駆動装置GM4は、出力機構部として結合してあるベベル式歯車減速機G4自体が振動及び騒音を生じ易い構造になっているが、T/D部120の存在によって、全体として騒音及び振動が低減される。
なお、ベベル式歯車減速機G4を使用するシリーズの中には、前段のT/D部120と合わせて、1/3〜1/60の範囲の総減速比を達成するものが含まれている。この領域のうち、特に高目の領域は、従来ならばハイポイド式歯車構造でなければ実現しにくい領域であったが、本発明により、ベベル式で代替できるようになり大幅なコストダウンが可能となった。なお、ベベル式の歯車構造は一般にハイポイド式より騒音が大きくなるが、本発明では単純遊星ローラによる「中速モータ」を実現しているため、騒音の観点でも特に問題とはならない。
次に、図6は、T/Dによる1段目減速+ハイポイド式歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM5の構成図である。
この駆動装置GM5は、モータ部の選択群SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部120と、カバー110を介してモータM1と結合されるハイポイド式歯車減速機G5とを組み合わせて一体化したものである。
ここで、前述した中速モータMC部分までの構成は同じであり、異なるのはハイポイド式歯車減速機G5を出力側に組み合わせた点であるから、異なる部分のみ説明する。
ハイポイド式歯車減速機G5のケーシング51には、互いに直交する関係で入力軸56と出力軸52がそれぞれ回転可能に取り付けられている。この場合、入力軸56は、出力軸52の中心を通る出力軸52と直交する線に対して所定距離だけオフセットした軸線上に配置されており、入力軸56の一端にハイポイドピニオン55が形成され、入力軸56の他端に、スプライン58を介して、T/D部120の遊星ローラ122の公転成分を取り出すキャリア100が結合されている。又、出力軸52には、ハイポイドピニオン55と噛合するハイポイドギヤ54が固定されている。
この駆動装置GM5を構成するには、まず、前述の中速モータMCを構成した後、ハイポイド式歯車減速機G5のキャリア100に設けてあるキャリアピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ101Aを介して嵌合する。同時に、ケーシング51をボルト59で、モータM1の前端に結合したカバー110に連結する。これにより、駆動装置GM5が組み上がる。
この駆動装置GM4では、モータM1の高速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中速回転に落とされた上で、ハイポイド式歯車減速機G5に入力され、同ハイポイド式歯車減速機G5内のハイポイドピニオン55とハイポイドギヤ54の噛み合いにより、更に大きく減速された上で、出力軸52から取り出される。
この場合の駆動装置GM5における、出力機構部として結合してあるハイポイド式歯車減速機G5は、これ自体振動及び騒音があまり生じない構造になっているが、T/D部120の存在によって、全体として一層騒音及び振動が低減された駆動装置が実現される。
次に、図7は、T/Dによる1段目減速+ウォーム式歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM6の構成図である。
この駆動装置GM6は、モータ部の選択群SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部120と、カバー110を介してモータM1と結合されるウォーム式歯車減速機G6とを組み合わせて一体化したものである。
ここで、前述した中速モータMC部分までの構成は同じであり、異なるのはウォーム式歯車減速機G6を出力側に組み合わせた点であるから、異なる部分のみ説明する。
ウォーム式歯車減速機G6のケーシング61には出力軸62が回転可能に取り付けられており、この出力軸62にウォームギヤ64が固定されている。又、ウォームギヤ64に噛み合うようにウォームピニオン65を備えた入力軸66が回転自在に設けられ、入力軸66の一端に、スプライン68を介して、T/D部120の遊星ローラ122の公転成分を取り出すキャリア100が結合されている。
この駆動装置GM6を構成するには、まず、前述の中速モータMCを構成した後、ウォーム式歯車減速機G6のキャリア100に設けてあるキャリアピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ101Aを介して嵌合する。同時に、ケーシング51をボルト69で、モータM1の前端に結合したカバー110に連結する。これにより、駆動装置GM6が組み上がる。
この駆動装置GM6では、モータM1の高速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中速回転に落とされた上で、ウォーム式歯車減速機G6に入力され、同ウォーム式歯車減速機G6内のウォームピニオン65とウォームギヤ64の噛み合いにより、更に大きく減速された上で、出力軸62から外部に取り出される。
この場合の駆動装置GM6における、出力機構部として結合してあるウォーム式歯車減速機G6もこれ自体振動及び騒音があまり生じない構造になっているが、T/D部120の存在によって、全体として一層騒音及び振動が低減される。
〔騒音測定試験〕
次に、本発明の有効性を客観的に示すデータとして、上述した本発明の実施形態の駆動装置の騒音測定試験を実施した結果について説明する。
ここでは、本発明の駆動装置のサンプルとして、一番騒音レベルの高いとされる揺動内接噛合遊星歯車減速機G3を組み込んだ駆動装置GM3を使用して試験を行い、比較のために、他の複数のギヤドモータについても同じ測定試験を行った。
測定試験に用いたギヤドモータは6種類あり、全てモータと2段の減速部を有する。即ち、モータに対して、1段目の減速部として比較例を含めて6種類の減速部が連結され、2段目の減速部として、全て揺動内接噛合遊星歯車構造が連結されている。
各サンプル(a)〜(f)として用意したギヤドモータは次の通りの構成であり、各タイプのギヤドモータの機構部分の組み合わせを、簡略のために記号を用いて図9に示す。
ここで使用している記号の意味は、
M … モータ
C … 揺動内接噛合遊星歯車タイプ
F … 振り分け軸タイプ
P … 単純遊星タイプ
G … 歯車タイプ
T/D … ローラによる摩擦伝動タイプ
であり、個別的には、
C1 … 揺動内接噛合遊星歯車タイプの減速段(後段側=2段目)
C2 … 揺動内接噛合遊星歯車タイプの減速段(前段側=1段目)
F(G) … 振り分け軸タイプで歯車式の減速段
F(T/D)… 振り分け軸タイプで摩擦伝動ローラ式の減速段
P(G) … 遊星タイプで歯車式の減速段
P(T/D)… 遊星タイプで摩擦伝動ローラ式の減速段
A … 遊星ローラの保持タイプ(1)
B … 遊星ローラの保持タイプ(2)
である。
〔試験に用いたギヤドモータのタイプ〕
各タイプのサンプル(a)〜(f)のギヤドモータについて、記号で表すと次のようになる。
(a)サンプル…「C1+C2+M」
(b)サンプル…「C1+F(G)+M」
(c)サンプル…「C1+F(T/D)+M」
(d)サンプル…「C1+P(G)+M」
(e)サンプル…「C1+P(T/D)A+M」
(f)サンプル…「C1+P(T/D)B+M」
これらのサンプルのうち、(a)〜(d)は比較例として用意したギヤドモータ、(e)、(f)は本発明の実施形態のギヤドモータである。
(a)のサンプル「C1+C2+M」のギヤドモータは、図19に示すタイプのギヤドモータ600である。このギヤドモータ600は、第1段目の減速部に揺動内接噛合遊星歯車機構601(C2)を有し、第2段目の減速部に揺動内接噛合遊星歯車機構602(C1)を有する。そして、第1段目の揺動内接噛合遊星歯車機構601の入力軸に、モータ(M)603の軸がスプライン605により浮動結合され、第1段目の揺動内接噛合遊星歯車機構601の出力軸が、第2段目の揺動内接噛合遊星歯車機構602の入力軸にスプライン604により浮動結合されている。
(b)のサンプル「C1+F(G)+M」のギヤドモータは、図20に示すタイプのギヤドモータ700である。このギヤドモータ700は、図17の「摩擦ローラ(太陽ローラ511と振り分けローラ512)」を、「歯車(太陽歯車711と振り分け歯車712)」に置き換えたものである。即ち、このギヤドモータ700は、振り分け軸タイプの揺動内接噛合遊星歯車機構(C1)751の振り分け軸703に、太陽歯車711と振り分け歯車712からなる歯車伝動機構752〔F(G)〕で入力回転を与えるように構成したものである。太陽歯車711を先端に設けた入力軸702は、モータ753(M)の軸701にスプライン結合されている。
(c)のサンプル「C1+F(T/D)+M」のギヤドモータは、図17に示した従来のタイプのギヤドモータ500である。このギヤドモータ500では、振り分け軸に摩擦ローラタイプの伝動機構〔F(T/D)〕によって入力回転を与えるようになっている。
(d)のサンプル「C1+P(G)+M」のギヤドモータは、図21に示すタイプのギヤドモータ800である。このギヤドモータ800は、1段目減速部に遊星歯車機構801〔P(G)〕を有し、2段目減速部に揺動内接噛合遊星歯車構造802(C1)を有するものであり、遊星歯車機構801の入力軸とモータMの出力軸の連結部805、及び、遊星歯車機構801の出力軸と揺動内接噛合遊星歯車構造802の入力軸の連結部804が、共に浮動結合構造となっているものである。
(e)のサンプル「C1+P(T/D)A+M」のギヤドモータは、図4の本発明のタイプの駆動装置と類似のギヤドモータである。このギヤドモータは、1段目に単純遊星ローラ機構(T/D)を備え、且つ、遊星ローラの公転成分の取出しを、キャリアに設けたリテーナで行うタイプのものである。
(f)のサンプル「C1+P(T/D)B+M」のギヤドモータは、図4の本発明のタイプの駆動装置と類似のギヤドモータである。このギヤドモータは、単純遊星ローラ機構(T/D)を備え、且つ、遊星ローラの公転成分の取出しを、キャリアに設けたピンで行うタイプのものである。
〔試験の条件及び方法〕
測定試験の条件及び方法は以下の通りである。
(1)測定は、無負荷の場合と100%負荷の場合で行った。
(2)ならし運転は、潤滑方式によらず、右2分、左2分だけ、測定前に無負荷で行った。
(3)測定時の回転方向は、左右両方向で行った。
(4)測定は、ギヤドモータの上方、左横、右横、低速軸の前、及びモータの後の各表面から1m(突起物を除く1m)の距離の5カ所にマイクロホンを設置して行った。
(5)測定は、マイクロホンセレクタを切り替えて、精密騒音測定計で1カ所ずつデータを読みとることで行った。
(6)測定場所は防音室とした。
(7)据え付けは、設置条件として厳しい低剛性の軽量架台への据付を想定した。なお、一部についてはFC定盤(鋳鉄)の上への据付についても測定を実施した。両者とも架台や定盤の上面とサンプル機械との間に空間があかないようにしてある。
(8)負荷はブロニーブレーキで与えた。
(9)聴感補正はA特性とした。
(10)騒音計の出力をFFT分析して、騒音スペクトルを測定した。そのときのサンプリングモードは、32回SUM(平均化処理)とした。
〔騒音測定結果〕
騒音測定結果を図10の表に数値で示し、100%負荷時の騒音量の違いを図11のグラフに示す。又、騒音スペクトルを分析した結果を、図12〜図15に示す。
〔騒音測定結果からの考察1〕
この測定試験結果から、次のことが考察できる。
(1)まず、(a)のギヤドモータの場合を基準に見てみると、(b)の振り分けタイプの歯車式のギヤドモータは、(a)よりも高騒音となっている。これは、振り分けタイプであるが故に、振り分け軸を通して振動が相互伝達することにより、全体が共振化しているため、と考えることができる。
(2)次に振り分けタイプにおいて、振り分け伝動方式を摩擦ローラ式にした(c)のタイプを見てみると、(b)よりも低騒音化していることが分かる。これは、摩擦ローラの接触面での振動吸収作用が功を奏しているため、と考えることができる。しかし、摩擦ローラを使用した場合でも、(a)のタイプと大差はない。このことは、単に摩擦ローラを使用したというだけでは、騒音低減の効果は必ずしも得られないことを意味している。
(3)次に(d)の遊星歯車機構を前段に使用したギヤドモータについて見てみると、(a)〜(c)のタイプに比べて相当に騒音が大きいことが分かる。これは、遊星歯車機構自体が歯車の噛み合い箇所を多数持つものであり、多数の噛み合い箇所で発生する振動が、全体の騒音レベルを押し上げているため、と考えることができる。このことは、単に単純遊星タイプの減速部を介在させたというだけでは、騒音低減の効果は得られず、むしろ、騒音は増大してしまう場合があることを意味している。
(4)それに対し、本発明の実施形態で示した(e)タイプと(f)タイプのギヤドモータについて見てみると、他のタイプのものに比べて、大幅な低騒音化が達成できていることが分かる。これは、主には単純遊星タイプにおいて、歯車の代わりに、摩擦ローラを使用したことによる、と考えることができる。
つまり、(d)の遊星歯車タイプのギヤドモータでは、遊星タイプであるが故に、逆に歯車の噛み合い箇所が多くなることで、極めて高騒音化しているが、(e)、(f)のタイプのギヤドモータでは、その歯車を摩擦ローラに代えることで、却って摩擦接触面が多数箇所確保されることになり、騒音吸収効果が増して全体の低騒音化が達成できたものと考えることができる。
(5)次に(c)のタイプと(e)、(f)のタイプの違いを見てみると、(c)の振り分けローラタイプは、摩擦接触面の数は(e)、(f)のタイプと同じ程度確保することができるが、むしろ振り分け軸の振動を拾ってしまう(前述)ことで、騒音低下の効果があまり出てこなかったと考えることができる。反対に、(e)、(f)のタイプは、単純遊星タイプであるが故に、無用な振動を拾わずに済むため、低騒音化に寄与できたと見なせる。
(6)又、据え付け方式を軽量架台から定盤にした場合、(a)のタイプは大きな変化があったが、(e)、(f)のタイプでは、あまり大きな変化は見られなかった。この事実から(a)のタイプでは、相当大きなレベルの振動がギヤドモータ自体にあり、従ってこれを軽量架台に取り付けた場合には、該軽量架台がギヤドモータによって加振され(共振することによって)大きな騒音を発生する。
一方、これを定盤のような剛性上極めて強固な相手に据え付けた場合には、当該振動が据付によって抑制されるようになるため、騒音も減少する;
それに対し、(e)、(f)のタイプでは、既にギヤドモータ自体の振動のレベルが相当程度押さえ込まれているため、据え付け方式の違い、あるいは据え付け相手も違いによる差が出てこない、という推察が可能となる。
この推察の当否はともかく、いずれにしても(e)、(f)の本発明の場合は、据え付け方式の違いによる差が出て来ないレベルまで、振動低減効果が行き届いていることだけは明白である。この種のギヤドモータは、実際上必ず何らかの相手部材に据付なければならないことを考えると、「相手部材の如何によらず騒音レベルが低い」というのは、非常に大きなメリットであると言える。
(7)騒音スペクトルを見てみても分かるように、(e)、(f)の場合は、他の(a)〜(d)に比べて、ほとんど全ての周波数領域において、騒音レベルが低減している。従って、周波数が大きい範囲で知覚され易い騒音も、周波数が低い範囲で知覚され易い振動も大幅に低減されていると見なせる。
なお、ここでは、内接噛合遊星歯車構造の減速部との連結のみをデータとして示したが、外の減速部との連結においても同様の効果が得られることが発明者らの追試験で確認されている。そしてその知見が本発明創案の原点となっている。
なお、上記実施形態では、ギヤドモータとしての一体性を確保するために、モータのカバー110の中にT/D部120を組み込んでいたが、カバー110を伝って減速機とモータ間で振動が伝達するのを遮断するために、敢えて、減速機とモータのカバーとT/D部のハウジングとを分離した上で結合するようにしてもよい。その場合は、例えばT/D機構のハウジングの両端にフランジを形成し、これらのフランジを減速機とモータに結合するようにすればよい。
このようにケーシング(ハウジングあるいはカバーを含む)間の縁を切ることにより、ケーシングを伝ってモータと減速機の間で振動が伝達するのを遮断することができるようになり、一層の「低騒音化」が可能になる。この場合、各ケーシングの連結部分にゴム等の振動吸収手段を挟み込むことで、一層の振動伝達阻止を図ることができる。
又、ケーシングを介しての外部への振動伝達を回避する目的で、単純遊星ローラ機構のリングローラ123をカバー110に直接固定するのを止めて、両者の間に振動吸収部材や空間を介在させることも考えられる。
そうすれば、ギヤドモータとしての一体性は若干低下するが、減速機と単純遊星ローラ機構とモータの三者を、動力伝達経路においても、又、ケーシングにおいても、完全に遮断することができる。この結果、特にケーシングの振動を抑えることができることから、駆動装置自体のみならず、相手機械(部材)との間の共振回避効果をも更に高めることができる。なお、このように三者のケーシングを分断した場合には、ギヤドモータの外部への取付脚部を、単純遊星ローラ機構のケーシングに設けることで、据え付け状態での相手部材への振動の伝達を更に抑制することができ、より一層騒音レベルを低減させることができる。
又、本発明の駆動装置はT/D部を介在させたことにより、各ローラの径のバリエーションを組み合わせることにより、非常に多種多様な減速比を備えた駆動装置のシリーズを容易に展開できる。
即ち、歯車式の減速機は、その構造上、ひとつひとつの部品が特殊で、多くの種類の部品を常時保有するのは、在庫コストが非常に嵩むため、メーカーサイドでの大きな問題のひとつとなっている。しかし、単純遊星ローラ機構は、ローラの径をわずかな追加加工で無段階に容易に変えることができるため、より個別的な微妙な変速比の調整についても適用範囲が広い。
なお、前述の各実施形態の駆動装置GM1〜GM6においては、潤滑をグリース潤滑としており、一般的には分離して別の種類のグリースを用いる1段目のT/D部分と、2段目以降の減速部の潤滑を共有化している。これにより、低速段で温度上昇が少なく消耗(酸化)の少ないグリースを高速段であるT/D部分へ円滑に補給できるようになっている。なお、T/D部分と歯車式の減速機とでグリースを共用化することについては、特開平11−364225号に詳しい開示がある。
産業上の利用の可能性
本発明の減速機付きモータのシリーズによれば、複数の単純遊星ローラ機構を用いて実質的に複数の中速モータ群を構成し、しかも、同形の中速モータに対して、複数種の減速機を自由に選択して連結できるようにしたので、単純遊星ローラ機構による減速機能の発揮により、減速機側の減速比をその分余裕を持って小さく設定することができるようになり、減速機の選定もコスト面を考慮しながら楽にできるようになる。又、中速モータを構成する単純遊星ローラ機構で1段目の減速が行われることにより、減速機付きモータの総減速比の範囲を広げることも容易にできる。更に、単純遊星ローラ機構において細かく減速比を調節することにより、減速比のバリエーションの豊富化が図れ、使用者の減速比の要求に柔軟に且つ確実に対応することができる。
又、モータと減速機との間に単純遊星ローラ機構が存在することにより、減速機への入力回転速度を低く設定できて、減速機において発生する騒音・振動レベル自体を大幅に低減することができる上、減速機とモータ間で伝わろうとする振動(特に回転方向の振動及び軸方向の振動)を、単純遊星ローラ機構のローラの相互の接触によって吸収することができるので、減速機とモータ間で起こる複雑な共振現象を回避することができて、減速機付きモータ全体の振動や騒音のレベルを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施形態として示す減速機付きモータのシリーズの構成図である。
第2図は、同シリーズにおいて構成することのできる駆動装置の第1例を示す側断面図である。
第3図は、同シリーズにおいて構成することのできる駆動装置の第2例を示す側断面図である。
第4図は、同シリーズにおいて構成することのできる駆動装置の第3例を示す側断面図である。
第5図は、同シリーズにおいて構成することのできる駆動装置の第4例を示す側断面図である。
第6図は、同シリーズにおいて構成することのできる駆動装置の第5例を示す側断面図である。
第7図は、同シリーズにおいて構成することのできる駆動装置の第6例を示す側断面図である。
第8図は、同シリーズのモータの選択群を更に豊富化させた例を示す図である。
第9図は、騒音測定試験を行うサンプルとして用意したギヤドモータのタイプを示す図である。
第10図は、騒音測定試験結果を表として示す図である。
第11図は、騒音測定試験結果をグラフとして示す図である。
第12図は、タイプ別の騒音スペクトルを示す図である。
第13図は、タイプ別の騒音スペクトルを示す図である。
第14図は、タイプ別の騒音スペクトルを示す図である。
第15図は、タイプ別の騒音スペクトルを示す図である。
第16図は、従来のギヤドモータの断面図である。
第17図は、従来の振り分け軸タイプの揺動内接噛合遊星歯車構造の断面図である。
第18図は、図17のXIX−XIX矢視部の概略断面図である。
第19図は、騒音測定試験で比較例として用いたギヤドモータの断面図である。
第20図は、騒音測定試験で比較例として用いた他のギヤドモータの断面図である。
第21図は、騒音測定試験で比較例として用いた更に他のギヤドモータの断面図である。
本発明は、モータに対して複数種の減速機を組み合わせることにより、任意の減速機付きモータを選択可能とした減速機付きモータのシリーズに関する。
背景技術
この種の減速機付きモータとして、大半のものは、回転動力を発生するモータと、この回転動力を減速する歯車式の減速機とを組み合わせたものである。この種の減速機付きモータは、機械的に減速する構造であるため、モータを最も効率のよい状態(回転数領域)で運転をすることができ、あらゆる産業分野で広く用いられている。
この場合、一般の歯車式の減速機の大半(8割以上)は、総減速比が1/10〜1/60くらいの範囲で使用されており、減速機の種類としては、例えば、単純遊星歯車減速機、揺動内接噛合遊星歯車減速機、ベベル式減速機、ハイポイド減速機、ウォーム減速機等の種々のタイプが、用途に応じて選択できるようにシリーズとして用意されている。
ところで、この種の減速機付きモータのシリーズにおいては、歯車式の減速機を使用する関係で、減速比が所定の間隔(公比)で設定されているため、必ずしも豊富なバリエーションの減速比を用意できるとは限らず、使用者の要求に細かく対応できないことがあった。
又、それぞれのタイプの減速機は、得意とする減速比の範囲を有しており、製作コストを抑制しながら、各タイプの減速比の範囲を拡大するのには限界があった。しかも、一般的に高減速比をカバーできる減速機ほど製作コストが高いため、高減速比の駆動装置が要求された場合には、必然的にコストの高いタイプの減速機を選んでモータと組み合わせざるを得ず、結果的に減速機タイプの選択の自由度が制限されてしまうという問題があった。
又、これらの問題とは別に、歯車式の減速機を使用する場合には、歯車の噛み合い部分(特に高速に回転する入力軸と第1段ギヤとの噛み合い部分)によって、大きな騒音や振動を発生する上、更に、減速機側とモータ側との共振現象によって、減速機付きモータ全体の騒音レベルや振動レベルが単体での騒音以上に大きくなることがしばしばあるといった問題もあった。
この点を、特に騒音・振動レベルが大きくなりがちである、従来公知の揺動内接噛合遊星歯車構造(国際分類F16H1/32に該当する歯車装置)を減速機として使用したギヤドモータを例に出して具体的に説明する。
図16は、特開平5−231482号公報に記載された揺動内接噛合遊星歯車減速機を備えたギヤドモータ(減速機付きモータ)の例を示している。このギヤドモータ1は、減速機2とモータ3とを結合して一体化したものである。
減速機2のケーシング51は、中央ケーシング52と、モータ3側の継ケーシング53と、モータ3と反対側の前部ケーシング54とからなる。モータ3のケーシング55は、円筒ケーシング56と、減速機2側の継ケーシング53と、減速機2と反対側の後面カバー57とからなる。この場合、前記継ケーシング53が、減速機2とモータ3のケーシング51、55の一部を兼用しており、この継ケーシング53を介して、減速機2とモータ3が一体に結合されている。
減速機2は、入力軸となる第1軸11と出力軸となる第2軸12とを備える。
第1軸11の外周上には、所定位相差(この例では180°)をもって2つの偏心体13a、13bが嵌合され、これら偏心体13a、13bが、第1軸11と一体に回転する。偏心体13a、13bの中心は、それぞれ第1軸11の軸芯に対して所定の偏心量だけ偏心している。それぞれの偏心体13a、13bの外周には、外歯歯車15a、15bが嵌合されている。外歯歯車15a、15bには、内ピン孔16a、16bがそれぞれ複数設けられており、これら内ピン孔16a、16bに内ピン17が遊嵌されている。
外歯歯車15a、15bの外周にはトロコイド歯形や円弧歯形の外歯が設けられ、内歯歯車20に対して内接噛合している。内歯歯車20は、中央ケーシング52の内周に一体的に形成されており、各内歯が、中央ケーシング52の内周に保持された外ピン21によって形成されている。
外歯歯車15a、15bの両側には一対のキャリア23、24が配されている。両キャリア23、24は、軸受31、32により回転自在に支持され、複数本のキャリアピン(連結ピン)25及びスペーサ26で一体に結合されている。
内ピン17の両端は、両側のキャリア23、24にすべり回転可能に結合され、外歯歯車15a、15bの自転成分のみが、内ピン17を介して両側のキャリア23、24に伝達される。
モータ3側のキャリア23の中央孔23aには、第1軸11の一端が臨み、カップリング70を介してモータ軸61と連結されている。
この構成によりこの減速機では公知の作用で外歯歯車15a、15bの歯数分の1の減速が実現できる。
次に他の従来例を説明する。
図17、図18は、特開平10−299841公報に記載された従来のギヤドモータの例を示している。このギヤドモータ500に使用されている揺動内接噛合遊星歯車減速機は、いわゆる振り分け軸タイプのものである。
この内接噛合遊星歯車減速機は、外部のモータ軸501に連結される第1軸502と、該第1軸502と同心の円周上に配置され、該第1軸502と連動して回転する複数の振り分け軸503と、該複数の振り分け軸503上にそれぞれ設けられた偏心体504と、該偏心体504に嵌合されることにより、前記第1軸502に対して偏心回転可能とされた外歯歯車505と、前記第1軸502と同心に組み込まれ、前記外歯歯車505が該第1軸502に対して偏心回転しながら内接噛合する内歯歯車506と、前記複数の振り分け軸503と連結された第2軸507と、を備える。
この内接噛合遊星歯車構造では、偏心体504を一対のキャリア523、324の間に位置するように配置すると共に、キャリア523、524によって振り分け軸503を回転可能に支持している。そして、前記第1軸502に太陽ローラ511を設け、前記複数の振り分け軸503のそれぞれに、該太陽ローラ511と各々外接する複数の振り分けローラ512をスプライン結合により設け、これら複数の振り分けローラ512の外側に、該振り分けローラ512が内接する圧接リング513を設けたものである。この場合の圧接リング513は、単に太陽ローラ511と振り分けローラ512との間に圧接力を発生させるためのものであり、機能としては単純遊星のリングのそれとは異なる。
以上の例にあげたような内接噛合遊星歯車減速機を採用したギヤドモータは、単純且つコンパクトな構造で剛性が高い上に、高い減速比が得られるという利点を有するものの、外歯歯車が揺動しながら相手側歯車と噛み合う構造になっているので、減速機側の振動とモータ側の振動が重なって共振することで、どうしても騒音が大きくなりやすいという問題を有している。
即ち、上記のギヤドモータの場合、減速機側で発生する振動によって、それと結合されているモータが加振され、モータ自身が発生する振動と一緒になって複雑な共振を起こす。更にその振動が元の減速機に戻ることで、より複雑な共振を起こし、それらが原因で、稀にギヤドモータ全体で大きな騒音を発生することがある。
この点、図16のギヤドモータ1の場合は、モータ軸61と第1軸11をスプライン式のカップリング70を介してフローティング結合することにより、モータユニット3自身の振動と、減速機ユニット2自身の振動の相互伝達を阻止して、両者が共振するのを防止するようにしている。
しかしながら、カップリング70を介してフローティング結合するだけでは、振動の相互伝達を大きく抑制することができないため、十分な騒音低減効果が得られなかった。
又、図17の振り分け軸タイプの内接噛合遊星歯車構造を採用したギヤドモータの場合も、実際に運転してみると、期待していたほどの騒音低減効果が得られなかった。その理由としては、次のことが考えられる。
即ち、この振り分けタイプの構造は、各振り分け軸503に外歯歯車505の揺動運動に伴う振動や撓みが生じるので、該振り分け軸503は、どうしてもこの外歯歯車505からの荷重を受けて振動したり変形(撓む)したりする可能性が高い。にもかかわらず、このギヤドモータでは、その振り分け軸503上に、太陽ローラ511と圧接する振り分けローラ512が存在するので、振り分け軸503の振動や変形が直接、振り分けローラ512→太陽ローラ511と伝わってしまい、摩擦ローラを使用した故の振動伝達の阻止作用がうまく機能していない。換言すると、高速低トルクの動力伝達に適したローラ512を、内接噛合遊星歯車構造の荷重伝達に伴う変形の影響を直接的に受ける振り分け軸503に直接配置していることに原因があったと考えられる。
いずれにしても(原因はともかく)、結局、上述した2例では、フローティング結合や摩擦ローラの組込みを採用していたとしても、騒音改善効果はギヤドモータの常識を塗り替えるまでには達成されていなかった。
このような騒音や振動レベルが大きくなるという点は、他のタイプの減速機を使用した場合にも、似たような結果となっていた。
発明の開示
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、使用者の減速比の要求あるいは減速機タイプの要望に柔軟に且つ確実に対応することができると共に、騒音や振動レベルの低減を図ることのできる駆動装置のシリーズを提供することを目的とする。
請求項1の発明は、モータに対して複数種の減速機を組み合わせることにより、任意の減速機付きモータを選択可能とした減速機付きモータのシリーズにおいて、太陽ローラと、該太陽ローラの周りを転接する遊星ローラと、該遊星ローラが内接するリングローラと、を備えた単純遊星ローラ機構を複数用意し、前記複数の単純遊星ローラ機構を、前記モータの出力軸周りのカバーに選択・連結することにより、複数の中速モータ群を構成可能とし、且つ、同形の中速モータに、遊星ローラの公転成分と同期するキャリアを介して前記複数種の減速機が選択・連結可能とされていることにより、上記課題を解決したものである。
この減速機付きモータにおいて最も重要な要件は、特定のモータの出力軸周りのカバーに複数の単純遊星ローラ機構を選択・連結することにより、実質的に複数の中速モータ群を構成可能とし、しかも、同形の中速モータに対して、複数種の減速機を自由に選択して連結できるようにしたことである。
このように、単純遊星ローラ機構の付加によって実質的に中速モータ群が構成可能であることにより、減速機側の負担の軽減と選択の制限の緩和を図ることができる。
即ち、一つには、単純遊星ローラ機構で1段目の減速ができるので、減速機側の減速比をその分余裕を持って小さく設定することができる。例えば、総減速比1/10〜1/60を実現する場合、単純遊星ローラ機構で1/3〜1/9あるいは一般的には1/4〜1/6くらいの減速比を受け持つことができるため、減速機側では1/2〜1/10くらいの減速比を受け持てばよくなり、減速機の選定が楽にできるようになる。又、単純遊星ローラ機構で1段目の減速ができるので、総減速比の範囲を広げることも可能になる。更に、単純遊星ローラ機構では各ローラの径比を変えることで細かく減速比を調節することが容易にできることから、減速比のバリエーションの豊富化が図れる。
又、もう一つには、単純遊星ローラ機構が第1段目の減速機能を発揮することにより、減速機への入力回転速度を低く設定することができる。従って、単純遊星ローラ機構によって実現される高速部(1段目)での騒音発生が少ないことに加え、低速部である減速機において発生する騒音・振動レベルを大幅に低減することができる。又、減速機とモータの間に単純遊星ローラ機構が介在することにより、減速機とモータ間で伝わろうとする振動(特に回転方向の振動及び軸方向の振動)を、単純遊星ローラ機構のローラの相互の接触によって吸収することができる。
その結果、減速機とモータ間で振動が伝達することにより発生する複雑な共振現象を回避することができ、減速機付きモータ全体で発生する騒音・振動のレベルを(予想を大きく超えて)低減することができる。
つまり、モータに単純遊星ローラ機構を組合せることによって「中速モータ」を形成することにより、従来は避けられなかった減速機からモータへの振動伝達、及び、モータから減速機への振動伝達を、共に有効に抑えることができ、共振を防止して結果として、全体の騒音を低減することができるものである。
ここで本発明では、モータに組合せる減速機として単純遊星ローラ機構を用いている。
即ち、単純遊星ローラ機構は、遊星ローラの自転や公転を伴う単純遊星ローラ機構特有の動力伝達構造により、(複数の)ローラの接触面の摩擦によって回転動力を伝達するので、各接触面によって、単純遊星ローラ機構の両側の減速機とモータ間で相互伝達しようとする振動(特に回転方向の振動及び軸方向の振動)を極めて良好に吸収する。
上述した図17の振り分け軸タイプのものでも、摩擦ローラは用いていた。しかし、振り分け軸タイプのものの場合は、単純遊星ローラ機構を有しておらず、太陽ローラ511と圧接リング513の間に挟まれた振り分けローラ512自体が、振り分け軸503の振動を拾いやすい構造になっている。そのため、振り分け軸503の振動や変形に伴い、振り分けローラ512の位置がずれたり、振り分けローラ512が振動したりし、太陽ローラ511との間で正しい(速度変動のない)動力伝達ができなくなって、結果的に、摩擦接触面における振動吸収作用を果たす以前に、振り分けローラ512自体の振動が、全体の振動や騒音に影響を残すことになっていた。
つまり、もともと、この装置は共振回避という思想に立脚したものではないため、振り分け軸503からの振動が直接振り分けローラ512→太陽ローラ511と伝わる構成となっており、振動伝達の阻止による共振回避という本発明の目的を達成するような構造となっていなかったのである。
従って、摩擦ローラが組込まれていたとしても騒音改善効果はギヤモータの常識を塗り替えるまでには達成されておらず、「摩擦ローラの効果もこの程度のもの」と結果として考えられ、開発もそこで中断され、それ以上吟味されることもなかった。
これに対し、単純遊星ローラ機構を減速機とモータの間に介在させる本発明の場合は、(振り分けローラの自転自体によって直接動力伝達を行うのではなく)内周側の太陽ローラと外周側のリングローラと、この間に挟まれた遊星ローラの三者の相対運動によって動力伝達を行うものであるから、前述の振り分けローラのように、揺動内接噛合遊星歯車減速機からの無用の変形や振動を直接受け取らずにすむ。
従って、太腸ローラとリングローラ間に挟まれていながらも、摩擦伝動に必要な圧力で遊星ローラが太陽ローラ及びリングローラに転接するだけであり、摩擦接触面における圧力変動が少なく、結果的に、単純遊星ローラ機構を介しての振動伝達が抑制される。しかも、前述したように摩擦接触面が振動吸収機能を有効に果たすので、減速機とモータ間の相互振動伝達を阻止し、騒音低減に大きな効果を果たすことになる。
又、単純遊星ローラ機構を採用したことにより、同機構の入力部と出力部も同軸上に配置することができ、従って、例えば太陽ローラとモータの連結部と、キャリアを介して行う減速機との連結部を同一軸線上に配置することができる。
この同軸性は、特に、前述した外歯歯車の荷重の影響を受ける軸が、(振り分け軸タイプと違って)減速機の中心部に1本だけという構造にできることを意味し、この部分の剛性を高めるだけで全体の剛性を大きくとることができるようになるという点で有益である。
又、例えば揺動内接噛合遊星歯車タイプの減速機とモータとを結合して減速機付きモータを構成する際に、外歯歯車からの振動を1本の高速軸に集約し、この高速軸と単純遊星ローラ機構の一端を連結するだけで単純遊星ローラ機構との連結を完了できるため、振動遮断という点でも有益である。
即ち、単純でコンパクトな構造でありながら、剛性を大きくすることができ、それだけ大トルクの伝達が可能となるというメリットが得られるほか、騒音低減に関しても有利な構造と言えるものである。
更に、この同軸性は、1本の中心軸線上に、モータの駆動軸、減速機側の入出力軸が並んだ構成のギヤドモータに対して、簡単に本発明を適用することができるという点でも有益である。例えば、図16に示す従来のギヤドモータ1のモータ3と揺動内接噛合遊星歯車減速機2の間に、前記の単純遊星ローラ機構を付加することにより、本発明のシリーズに含まれる減速機付きモータを簡単に実現することができる。その場合、図16のギヤドモータ1では、モータ軸61と揺動内接噛合遊星歯車ユニット2の第1軸11とをカップリング70で連結しているが、そのカップリング70を流用して、単純遊星ローラ機構の遊星ローラと減速機とをキャリアを介して連結したり、太陽ローラの軸とモータの駆動軸とを連結したりすることができる。
ここで、前段の摩擦伝動によるトルク伝達は、後段の歯車噛合によるトルク伝達よりも、確保し得るトルク伝達量が小さくなるが、もともと前段の減速において伝達すべき伝達トルクはあまり大きくならず、又、後述するように、単純遊星ローラ機構は、その入出力部材を選択することにより各ローラにおける必要伝達トルクを調整することができるため、大きな問題とはならない。
特に、単純遊星ローラ機構の場合、遊星ローラを減速機側と切り離したキャリアで支持することができるので、たとえ減速機側で振動や変形が発生しても、その影響は単純遊星ローラ機構のローラ接触面にはほとんど及ばない。よって、確実で安定したトルク伝動が行われるため、一層問題は生じにくい。
又、以上のような多彩な機能を発揮する単純遊星ローラ機構をモータの出力周りのカバーに組み込んで中速モータ群を構成することは、実質的に、回転速度のバリエーションの豊富なモータのシリーズを提供できることを意味する。
請求項2の発明は、請求項1において、前記単純遊星ローラ機構が、リングローラを同径とし、遊星ローラと太陽ローラとの径比を変えて、異なる変速比を有するように複数備えられていることにより、上記課題を解決したものである。
このように一番外周側にあるリングローラの径を同径に設定し、遊星ローラと太陽ローラの径比だけを変えて、異なる複数の変速比を実現するようにすると、減速機やモータとの取り合い寸法を大幅に変更することなく、多種の減速比を用意した減速機付きモータのシリーズを提供することができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記単純遊星ローラ機構が、前記モータに対してその取り合い寸法を同一として、異なる枠番を有するように複数備えられていることにより、上記課題を解決したものである。
このように、モータとの取り合い寸法を同一として単純遊星ローラ機構の枠番を複数用意するようにすると、中速モータのバリエーションの豊富化が図れる。又、この構成により、単純複数ローラ機構は、恰もモータのカバー内にそっくり包含されるように連結されることから、モータとの一体化が促進され、「中速モータ」としての形態を一層備えることができる。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記組み合わせ可能な複数種の減速機の中に、ベベルギヤによる直交軸歯車減速機が含まれており、且つこの直交軸歯車減速機と前記単純遊星ローラ機構とにより1/3〜1/60の範囲の総減速比を達成する減速機付きモータがシリーズ中に含まれていることにより、上記課題を解決したものである。
このように、シリーズの中に、ベベルギヤによる直交軸歯車減速機と単純遊星ローラ機構とにより1/3〜1/60の範囲の総減速比を達成するものが含まれているので、コストアップを抑制しながら、使用者の選択の幅を広げることができる。
即ち、総減速比1/3〜1/60の直交減速機と言えば、一般的には(特にその大減速比側は)ハイポイドギヤセットの領域となる。しかし、本発明によれば、「中速モータ」としての出力として、既に1/4〜1/6(より大きくは1/2〜1/10)の幅で一段減速されたものが取り出される。従ってはるかに安価なベベルギヤセットを用いることが可能となり大幅なコスト低減が図れる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は実施形態の減速機付きモータ(以下では駆動装置とも言う)のシリーズの全体構成を示している。このシリーズは、任意の減速機付きモータを構成するための、ギヤ部(主に歯車減速機)の選択群SGと、単純遊星ローラ機構としてのトラクションドライブ(T/Dと略する場合もある)の選択群ST/Dと、モータ部(モータ)の選択群SMとから構成されている。そして、モータ部の選択群SMの中から選択した1個のモータと、T/Dの選択群ST/Dの中から選択した1個のT/D部(単純遊星ローラ部)と、ギヤ部の選択群SGの中から選択した1個の減速機(これ自体に減速機能を持たない出力機構部の場合を含む)との三者を連結することにより、任意の減速機付きモータを構成できるようになっている。
この場合、ギヤ部の選択群SGには、次の複数種類の出力機構部が用意されている。
(1)それ自体には減速機能はなく、モータ並びにT/Dと組み合わせることで、T/Dによる1段減速を実現する駆動装置GM1を構成するための出力機構部G1。
(2)それ自体にT/Dが組み込まれており、モータ並びにT/Dと組み合わせることで、T/Dによる2段減速を実現する駆動装置GM2を構成するためのT/D式減速出力機構部(減速機)G2。
(3)それ自体に揺動内接噛合遊星歯車構造が内装されており、モータ並びにT/Dと組み合わせることで、T/Dによる1段目減速+揺動内接噛合遊星歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM3を構成するための揺動内接噛合遊星歯車減速機G3。
(4)それ自体にベベル式歯車構造が内装されており、モータ並びにT/Dと組み合わせることで、T/Dによる1段目減速+ベベル式歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM4を構成するためのベベル式歯車減速機G4。
(5)それ自体にハイポイド式歯車構造が内装されており、モータ並びにT/Dと組み合わせることで、T/Dによる1段目減速+ハイポイド式歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM5を構成するためのハイポイド式歯車減速機G5。
(6)それ自体にウォーム式歯車構造が内装されており、モータ並びにT/Dと組み合わせることで、T/Dによる1段目減速+ウォーム式歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM6を構成するためのウォーム式歯車減速機G6。
ここで、T/Dによる1段減速を実現する駆動装置GM1を構成するための出力機構部G1は、図2に拡大して示すように、ケーシング11と、ケーシング11に軸受13を介して回転自在に設けられた出力軸12と、出力軸12の内端に結合されたキャリアピン101付きキャリア100とから構成されている。
又、T/Dによる2段減速を実現する駆動装置GM2を構成するためのT/D式減速出力機構部G2は、図3に拡大して示すように、ケーシング21と、ケーシング21に軸受23を介して回転自在に設けられた出力軸22と、この出力軸22に出力側が結合された後段減速部をなすT/D24と、このT/D24の入力側に結合されたキャリアピン101付きキャリア100とから構成されている。
又、T/Dによる1段減速+揺動内接噛合遊星歯車構造による2段減速を実現する駆動装置GM3を構成するための揺動内接噛合遊星歯車減速機G3は、図4に拡大して示すように、ケーシング31と、ケーシング31に軸受33を介して回転自在に設けられた出力軸32と、この出力軸32に出力側が結合された揺動内接噛合遊星歯車構造34と、この揺動内接噛合遊星歯車構造34の入力側に結合されたキャリアピン101付きキャリア100とから構成されている。
又、T/Dによる1段減速+ベベル式歯車構造による2段減速を実現する駆動装置GM4を構成するためのベベル式の歯車減速機G4は、図5に拡大して示すように、ケーシング41と、ケーシング41に軸受を介して回転自在に設けられた出力軸42と、この出力軸42に結合されたベベルギヤ44と、このベベルギヤ44と噛み合うピニオン45と、このベベルピニオン45に結合されたキャリアピン101付きキャリア100とから構成されている。
又、T/Dによる1段減速+ハイポイド式歯車構造による2段減速を実現する駆動装置GM5を構成するためのハイポイド式歯車減速機G5は、図6に拡大して示すように、ケーシング51と、ケーシング51に軸受を介して回転自在に設けられた出力軸52と、この出力軸52に結合されたハイポイドギヤ54と、このハイポイドギヤ54と噛み合うハイポイドピニオン55と、このハイポイドピニオン55に結合されたキャリアピン101付きキャリア100とから構成されている。
又、T/Dによる1段減速+ウォーム式歯車構造による2段減速を実現する駆動装置GM6を構成するためのウォーム式歯車減速機G6は、図7に拡大して示すように、ケーシング61と、ケーシング61に軸受を介して回転自在に設けられた出力軸62と、この出力軸62に結合されたピニオンギヤ64と、このピニオンギヤ64と噛み合うウォームギヤ65と、このウォームギヤ65に結合されたキャリアピン101付きキャリア100とから構成されている。
又、ケーシングについては、図示例では、脚付きタイプ(出力軸と平行な据え付け面を持つ)のものを示したが、フランジタイプ(出力軸と直角の据え付け面を持つ)のものも必要に応じて用意されている。
又、T/D(トラクションドライブ)部の選択群ST/Dには、複数の枠番毎に、変速比を異ならせた複数のローラの組み合わせ(リングローラ、遊星ローラ、太陽ローラの組み合わせ=単純遊星ローラ部=T/D部120)が用意されている。
又、モータ部の選択群SMには、三相モータ、ブレーキ付三相モータ、単相モータ、インバータ用モータ等の複数種類のモータが用意されている。場合によっては、図8に示すように、大形のモータ群を別途用意することもある。
又、モータには、出力軸周りカバー110A、110B(モータの前端ケーシング)が付属しており、このカバー110A、110Bに対して、(恰も該カバー110に包含されるように)T/D部120を構成するローラの組み合わせ(リングローラ、遊星ローラ、太陽ローラの組み合わせ)を組み付ける。これにより、モータと一体化したT/D機構を構成することができ、複数のT/D部をモータに固定した共通のカバー110に選択して組み付けることにより、中速モータ群SMCを構成できるようになっている。即ち、前記カバー110A、110Bは、同形のモータ(種類は問わず)に対して1種類用意され、複数のT/Dの連結に共用される。
T/D機構(単純遊星ローラ機構)は、太陽ローラ121と、該太陽ローラ1121の周りを転接する遊星ローラ122と、該遊星ローラ122が内接するリングローラ123とを主体として構成されており、モータの前部に設けるカバー110に、これらの単純遊星ローラ部を構成する三種のローラ121、122、123を組み込むことで、単純遊星ローラ機構が構成される。
ここでは、同形の単純遊星ローラ部を有する単純遊星ローラ機構に対し、遊星ローラ122の公転成分を取り出すキャリア100を介して、その出力側において前記複数種類用意されたギヤ部の中から任意の出力機構部(主に減速機)を選択・連結可能としている。
又、T/D部120は、リングローラ123を同径として、遊星ローラ122と太陽ローラ121の径比を変えて、異なる変速比を有するように複数備えられており使用者の選択の幅を更に広げることができる(図1のT/Dの表の横軸をベースとする展開)。
又、T/D部120が、異なる枠番を有するように複数用意され、且つ、T/D部120と複数種類用意されたモータとが同一の取り合い寸法を有するように設定されると共に、T/D部120と複数種類用意されたギヤ部とが同一の取り合い寸法を有するように設定されてることにより、それぞれの枠番のT/D部120を中心として、(枠番の異なる)モータ部、ギヤ部を有する駆動装置のシリーズが展開されている。これにより、使用者の選択を更に広げることができる(図1のT/Dの表の縦軸をベースとする展開)。
このように、T/D部をマトリクス的に用意すると、シリーズ全体における使用後の選択の幅を一層広げることができる。
次に、このシリーズにおいて構成可能な駆動装置(減速機付きモータ)の各例について、拡大した図2〜図7に基づきより詳しく説明する。
図2は、T/Dによる1段減速を実現する駆動装置GM1の構成図である。
この駆動装置GM1は、モータ部の選択群SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部120と、カバー110を介してモータM1と結合される出力機構部G1とを組み合わせて一体化したものである。
この駆動装置GM1を構成するには、モータM1の前端にカバー110を固定すると共に、カバー110の前面の凹部111の内周部に、T/D部の一要素であるリングローラ123をボルト112で固定する。又、リングローラ123の内周に3〜4個の遊星ローラ122を配置し、遊星ローラ122の内側に太陽ローラ121を配置して、この太陽ローラ121を、モータ出力軸M1sの先端に結合する。
この段階で中速モータMCが構成される。
即ち、モータ出力軸M1sの高速回転をT/D部120で減速して出力することができるので、後は遊星ローラ122の公転を取り出すキャリア100を介してギヤ部と連結することにより、これを実質的な中速モータMC1として取り扱うことができるようになる。この場合、前述したように、T/D部120の減速比は複数の中から自由に選択できるように用意されているので、減速比の異なる中速モータMCをシリーズとして用意することができる。
上のように、T/D部120をモータM1の前端のカバー110に組み込んだ後は、出力機構部G1のキャリア100に設けてあるキャリアピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ(キャリアピン101に被せられ、キャリアピン101と遊星ローラ122との間に介在された円筒状の滑り促進部材)101Aを介して嵌合する。同時に、ケーシング11をボルト19でモータM1の前端に結合したカバー110に連結する。これにより、駆動装置GM1が組み上がる。
この駆動装置GM1では、モータM1の高速回転がT/D部120によって中速回転に落とされた上で、そのまま出力軸12から取り出される。
即ち、モータM1の主力軸M1sが回転すると、その回転がT/D部120の太陽ローラ121に伝わり、遊星ローラ122が回転しようとする。ここで、遊星ローラ122は、固定されたリングローラ123に接しているので、リングローラ123の内周に沿って自転・公転運動をし、その公転運動成分がキャリア100を介して、出力機構部G1の出力軸12から取り出される。
この場合の駆動装置GM1は、歯車減速機を使用しないので、T/Dの特徴である低騒音、低振動を実現することができる。又、減速比は、T/D部120の選定の仕方により色々と変更することができる。
なお、キャリア100は、出力機構部G1の出力軸12の内端に対してスプライン18により結合してあるので、遊星ローラ122の公転半径の大きさ等に応じて随時交換することができる。
次に、図3は、T/Dによる2段減速を実現する駆動装置GM2の構成図である。
この駆動装置GM2は、モータ部の選択群SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部120と、カバー110を介してモータM1と結合されるT/D式減速出力機構部G2とを組み合わせて一体化したものである。
ここで、前述した中速モータMC部分までの構成は同じであり、異なるのはT/D式減速出力機構部G2を出力側に組み合わせた点であるから、異なる点のみ説明する。
T/D式減速出力機構部G2の中のT/D24は、太陽ローラ24Aと、その外周に転接する遊星ローラ24Bと、遊星ローラ24Bが自身の内周に転接するリングローラ24Cと、遊星ローラ24Bの公転成分を取り出すキャリアピン24D付きのキャリア24Eとからなり、このキャリア24Eが出力軸22の後端に一体形成され、太陽ローラ24Aに、前段のT/D部120の遊星ローラ122の公転成分を取り出すキャリア100が、スプライン28を介して結合されている。
この駆動装置GM2を構成するには、まず、前述の中速モータMCを構成した後、T/D式減速出力機構部G2のキャリア100に設けてあるキャリアピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ101Aを介して嵌合する。同時に、ケーシング21をボルト29でリングローラ24Cと共に、モータM1の前端に結合したカバー110に連結する。これにより、駆動装置GM2が組み上がる。
この駆動装置GM2では、モータM1の高速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中速回転に落とされた上で、T/D式減速出力機構部G2に入力され、同出力機構部G2内のT/D24で更に減速された上で、出力軸22から取り出される。
即ち、モータM1の出力軸M1sが回転すると、T/D部120で中速に減速された回転が、T/D式減速出力機構部G2の入力部材である太陽ローラ24Aに入力される。次いで、太陽ローラ24Aの回転により、遊星ローラ24Bが回転しようとする。ここで、遊星ローラ24Bは、固定されたリングローラ24Cに接しているので、リングローラ24Cの内周に沿って自転・公転運動をし、その公転運動成分がキャリア24Eを介して、出力軸22から取り出される。
この場合の駆動装置GM2は、前記の例と同じく、歯車減速機を使用しないものであるから、T/Dの特徴である低騒音、低振動を実現することができる。又、減速比は、1段目のT/D部120の選定の仕方と、2段目のT/D24の選定の仕方により色々と変更することができる。
次に、図4は、T/Dによる1段目減速+揺動内接噛合遊星歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM3の構成図である。
この駆動装置GM3は、モータ部の選択群SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部120と、カバー110を介してモータM1と結合される揺動内接噛合遊星歯車減速機G3とを組み合わせて一体化したものである。
ここで、前述した中速モータMC部分までの構成は同じであり、異なるのは揺動内接噛合遊星歯車減速機G3を出力側に組み合わせた点であるから、異なる部分のみ説明する。
揺動内接噛合遊星歯車減速機G3の中の揺動内接噛合遊星歯車構造34は、入力軸34Aと、入力軸34Aの外周に設けられた偏心体34Bと、偏心体34Bの外周に軸受34Cを介して嵌合された外歯歯車34Dと、外歯歯車34Dが内接噛合する内歯歯車34Eと、外歯歯車34Dに自転成分のみを取り出すキャリアピン34F付きのキャリア34Gとからなり、このキャリア34Gが出力軸32の後端に一体に形成され、入力軸34Aに、前段のT/D部120の遊星ローラ122の公転成分を取り出すキャリア100が、スプライン38を介して結合されている。
この駆動装置GM3を構成するには、まず、前述の中速モータMCを構成した後、揺動内接噛合遊星歯車減速機G3のキャリア100に設けてあるキャリアピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ101Aを介して嵌合する。同時に、ケーシング31をボルト39で内歯歯車34Eと共に、モータM1の前端に結合したカバー110に連結する。これにより、駆動装置GM3が組み上がる。
この駆動装置GM3では、モータM1の高速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中速回転に落とされた上で、揺動内接噛合遊星歯車減速機G3に入力され、同揺動内接噛合遊星歯車減速機G3内の揺動内接噛合遊星歯車構造34で更に大きく減速された上で、出力軸32から取り出される。
即ち、モータM1の主力軸M1sが回転すると、その回転がT/D部120で中速に減速された上で、揺動内接噛合遊星歯車減速機G3の入力部材である外歯歯車34Dに入力される。外歯歯車34Dは、内歯歯車34Eに噛合しているので、入力された回転動力は、外歯歯車34Eの自転成分として取り出され、出力軸32に伝達される。
この場合の駆動装置GM3は、出力機構部として結合してある揺動内接噛合歯車減速機G3自体が、外歯歯車34Dの偏心回転によって振動及び騒音を生じ易い構造になっているが、前述したようにT/D部120の存在によって、全体として騒音及び振動が予想を超える大きさで大幅に低減される。
次に、図5は、T/Dによる1段目減速+ベベル式歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM4の構成図である。
この駆動装置GM4は、モータ部の選択群SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部120と、カバー110を介してモータM1と結合されるベベル式歯車減速機G4とを組み合わせて一体化したものである。
ここで、前述した中速モータMC部分までの構成は同じであり、異なるのはベベル式歯車減速機G4を出力側に組み合わせた点であるから、異なる部分のみ説明する。
ベベル式歯車減速機G4のケーシング41には、互いに直交する関係で入力軸46と出力軸42がそれぞれ回転可能に取り付けられており、入力軸46の一端にベベルピニオン45が形成され、入力軸46の他端に、スプライン48を介して、T/D部120の遊星ローラ122の公転成分を取り出すキャリア100が結合されている。又、出力軸42には、ベベルピニオン45と噛合するベベルギヤ44が固定されている。
この駆動装置GM4を構成するには、まず、前述の中速モータMCを構成した後、ベベル式歯車減速機G4のキャリア100に設けてあるキャリアピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ101Aを介して嵌合する。同時に、ケーシング41をボルト49で、モータM1の前端に結合したカバー110に連結する。これにより、駆動装置GM4が組み上がる。
この駆動装置GM4では、モータM1の高速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中速回転に落とされた上で、ベベル式歯車減速機G4に入力され、同ベベル式歯車減速機G4内のベベルピニオン45とベベルギヤ44の噛み合いにより、更に大きく減速された上で、出力軸42から取り出される。
この場合の駆動装置GM4は、出力機構部として結合してあるベベル式歯車減速機G4自体が振動及び騒音を生じ易い構造になっているが、T/D部120の存在によって、全体として騒音及び振動が低減される。
なお、ベベル式歯車減速機G4を使用するシリーズの中には、前段のT/D部120と合わせて、1/3〜1/60の範囲の総減速比を達成するものが含まれている。この領域のうち、特に高目の領域は、従来ならばハイポイド式歯車構造でなければ実現しにくい領域であったが、本発明により、ベベル式で代替できるようになり大幅なコストダウンが可能となった。なお、ベベル式の歯車構造は一般にハイポイド式より騒音が大きくなるが、本発明では単純遊星ローラによる「中速モータ」を実現しているため、騒音の観点でも特に問題とはならない。
次に、図6は、T/Dによる1段目減速+ハイポイド式歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM5の構成図である。
この駆動装置GM5は、モータ部の選択群SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部120と、カバー110を介してモータM1と結合されるハイポイド式歯車減速機G5とを組み合わせて一体化したものである。
ここで、前述した中速モータMC部分までの構成は同じであり、異なるのはハイポイド式歯車減速機G5を出力側に組み合わせた点であるから、異なる部分のみ説明する。
ハイポイド式歯車減速機G5のケーシング51には、互いに直交する関係で入力軸56と出力軸52がそれぞれ回転可能に取り付けられている。この場合、入力軸56は、出力軸52の中心を通る出力軸52と直交する線に対して所定距離だけオフセットした軸線上に配置されており、入力軸56の一端にハイポイドピニオン55が形成され、入力軸56の他端に、スプライン58を介して、T/D部120の遊星ローラ122の公転成分を取り出すキャリア100が結合されている。又、出力軸52には、ハイポイドピニオン55と噛合するハイポイドギヤ54が固定されている。
この駆動装置GM5を構成するには、まず、前述の中速モータMCを構成した後、ハイポイド式歯車減速機G5のキャリア100に設けてあるキャリアピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ101Aを介して嵌合する。同時に、ケーシング51をボルト59で、モータM1の前端に結合したカバー110に連結する。これにより、駆動装置GM5が組み上がる。
この駆動装置GM4では、モータM1の高速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中速回転に落とされた上で、ハイポイド式歯車減速機G5に入力され、同ハイポイド式歯車減速機G5内のハイポイドピニオン55とハイポイドギヤ54の噛み合いにより、更に大きく減速された上で、出力軸52から取り出される。
この場合の駆動装置GM5における、出力機構部として結合してあるハイポイド式歯車減速機G5は、これ自体振動及び騒音があまり生じない構造になっているが、T/D部120の存在によって、全体として一層騒音及び振動が低減された駆動装置が実現される。
次に、図7は、T/Dによる1段目減速+ウォーム式歯車構造による2段目減速を実現する駆動装置GM6の構成図である。
この駆動装置GM6は、モータ部の選択群SMの中から選択されたモータM1と、モータの出力軸周りのカバー110と、T/D部の選択群ST/Dの中から選択されてカバー110に組み込まれたT/D部120と、カバー110を介してモータM1と結合されるウォーム式歯車減速機G6とを組み合わせて一体化したものである。
ここで、前述した中速モータMC部分までの構成は同じであり、異なるのはウォーム式歯車減速機G6を出力側に組み合わせた点であるから、異なる部分のみ説明する。
ウォーム式歯車減速機G6のケーシング61には出力軸62が回転可能に取り付けられており、この出力軸62にウォームギヤ64が固定されている。又、ウォームギヤ64に噛み合うようにウォームピニオン65を備えた入力軸66が回転自在に設けられ、入力軸66の一端に、スプライン68を介して、T/D部120の遊星ローラ122の公転成分を取り出すキャリア100が結合されている。
この駆動装置GM6を構成するには、まず、前述の中速モータMCを構成した後、ウォーム式歯車減速機G6のキャリア100に設けてあるキャリアピン101を、各遊星ローラ122に内ローラ101Aを介して嵌合する。同時に、ケーシング51をボルト69で、モータM1の前端に結合したカバー110に連結する。これにより、駆動装置GM6が組み上がる。
この駆動装置GM6では、モータM1の高速回転が第1段減速部であるT/D部120によって中速回転に落とされた上で、ウォーム式歯車減速機G6に入力され、同ウォーム式歯車減速機G6内のウォームピニオン65とウォームギヤ64の噛み合いにより、更に大きく減速された上で、出力軸62から外部に取り出される。
この場合の駆動装置GM6における、出力機構部として結合してあるウォーム式歯車減速機G6もこれ自体振動及び騒音があまり生じない構造になっているが、T/D部120の存在によって、全体として一層騒音及び振動が低減される。
〔騒音測定試験〕
次に、本発明の有効性を客観的に示すデータとして、上述した本発明の実施形態の駆動装置の騒音測定試験を実施した結果について説明する。
ここでは、本発明の駆動装置のサンプルとして、一番騒音レベルの高いとされる揺動内接噛合遊星歯車減速機G3を組み込んだ駆動装置GM3を使用して試験を行い、比較のために、他の複数のギヤドモータについても同じ測定試験を行った。
測定試験に用いたギヤドモータは6種類あり、全てモータと2段の減速部を有する。即ち、モータに対して、1段目の減速部として比較例を含めて6種類の減速部が連結され、2段目の減速部として、全て揺動内接噛合遊星歯車構造が連結されている。
各サンプル(a)〜(f)として用意したギヤドモータは次の通りの構成であり、各タイプのギヤドモータの機構部分の組み合わせを、簡略のために記号を用いて図9に示す。
ここで使用している記号の意味は、
M … モータ
C … 揺動内接噛合遊星歯車タイプ
F … 振り分け軸タイプ
P … 単純遊星タイプ
G … 歯車タイプ
T/D … ローラによる摩擦伝動タイプ
であり、個別的には、
C1 … 揺動内接噛合遊星歯車タイプの減速段(後段側=2段目)
C2 … 揺動内接噛合遊星歯車タイプの減速段(前段側=1段目)
F(G) … 振り分け軸タイプで歯車式の減速段
F(T/D)… 振り分け軸タイプで摩擦伝動ローラ式の減速段
P(G) … 遊星タイプで歯車式の減速段
P(T/D)… 遊星タイプで摩擦伝動ローラ式の減速段
A … 遊星ローラの保持タイプ(1)
B … 遊星ローラの保持タイプ(2)
である。
〔試験に用いたギヤドモータのタイプ〕
各タイプのサンプル(a)〜(f)のギヤドモータについて、記号で表すと次のようになる。
(a)サンプル…「C1+C2+M」
(b)サンプル…「C1+F(G)+M」
(c)サンプル…「C1+F(T/D)+M」
(d)サンプル…「C1+P(G)+M」
(e)サンプル…「C1+P(T/D)A+M」
(f)サンプル…「C1+P(T/D)B+M」
これらのサンプルのうち、(a)〜(d)は比較例として用意したギヤドモータ、(e)、(f)は本発明の実施形態のギヤドモータである。
(a)のサンプル「C1+C2+M」のギヤドモータは、図19に示すタイプのギヤドモータ600である。このギヤドモータ600は、第1段目の減速部に揺動内接噛合遊星歯車機構601(C2)を有し、第2段目の減速部に揺動内接噛合遊星歯車機構602(C1)を有する。そして、第1段目の揺動内接噛合遊星歯車機構601の入力軸に、モータ(M)603の軸がスプライン605により浮動結合され、第1段目の揺動内接噛合遊星歯車機構601の出力軸が、第2段目の揺動内接噛合遊星歯車機構602の入力軸にスプライン604により浮動結合されている。
(b)のサンプル「C1+F(G)+M」のギヤドモータは、図20に示すタイプのギヤドモータ700である。このギヤドモータ700は、図17の「摩擦ローラ(太陽ローラ511と振り分けローラ512)」を、「歯車(太陽歯車711と振り分け歯車712)」に置き換えたものである。即ち、このギヤドモータ700は、振り分け軸タイプの揺動内接噛合遊星歯車機構(C1)751の振り分け軸703に、太陽歯車711と振り分け歯車712からなる歯車伝動機構752〔F(G)〕で入力回転を与えるように構成したものである。太陽歯車711を先端に設けた入力軸702は、モータ753(M)の軸701にスプライン結合されている。
(c)のサンプル「C1+F(T/D)+M」のギヤドモータは、図17に示した従来のタイプのギヤドモータ500である。このギヤドモータ500では、振り分け軸に摩擦ローラタイプの伝動機構〔F(T/D)〕によって入力回転を与えるようになっている。
(d)のサンプル「C1+P(G)+M」のギヤドモータは、図21に示すタイプのギヤドモータ800である。このギヤドモータ800は、1段目減速部に遊星歯車機構801〔P(G)〕を有し、2段目減速部に揺動内接噛合遊星歯車構造802(C1)を有するものであり、遊星歯車機構801の入力軸とモータMの出力軸の連結部805、及び、遊星歯車機構801の出力軸と揺動内接噛合遊星歯車構造802の入力軸の連結部804が、共に浮動結合構造となっているものである。
(e)のサンプル「C1+P(T/D)A+M」のギヤドモータは、図4の本発明のタイプの駆動装置と類似のギヤドモータである。このギヤドモータは、1段目に単純遊星ローラ機構(T/D)を備え、且つ、遊星ローラの公転成分の取出しを、キャリアに設けたリテーナで行うタイプのものである。
(f)のサンプル「C1+P(T/D)B+M」のギヤドモータは、図4の本発明のタイプの駆動装置と類似のギヤドモータである。このギヤドモータは、単純遊星ローラ機構(T/D)を備え、且つ、遊星ローラの公転成分の取出しを、キャリアに設けたピンで行うタイプのものである。
〔試験の条件及び方法〕
測定試験の条件及び方法は以下の通りである。
(1)測定は、無負荷の場合と100%負荷の場合で行った。
(2)ならし運転は、潤滑方式によらず、右2分、左2分だけ、測定前に無負荷で行った。
(3)測定時の回転方向は、左右両方向で行った。
(4)測定は、ギヤドモータの上方、左横、右横、低速軸の前、及びモータの後の各表面から1m(突起物を除く1m)の距離の5カ所にマイクロホンを設置して行った。
(5)測定は、マイクロホンセレクタを切り替えて、精密騒音測定計で1カ所ずつデータを読みとることで行った。
(6)測定場所は防音室とした。
(7)据え付けは、設置条件として厳しい低剛性の軽量架台への据付を想定した。なお、一部についてはFC定盤(鋳鉄)の上への据付についても測定を実施した。両者とも架台や定盤の上面とサンプル機械との間に空間があかないようにしてある。
(8)負荷はブロニーブレーキで与えた。
(9)聴感補正はA特性とした。
(10)騒音計の出力をFFT分析して、騒音スペクトルを測定した。そのときのサンプリングモードは、32回SUM(平均化処理)とした。
〔騒音測定結果〕
騒音測定結果を図10の表に数値で示し、100%負荷時の騒音量の違いを図11のグラフに示す。又、騒音スペクトルを分析した結果を、図12〜図15に示す。
〔騒音測定結果からの考察1〕
この測定試験結果から、次のことが考察できる。
(1)まず、(a)のギヤドモータの場合を基準に見てみると、(b)の振り分けタイプの歯車式のギヤドモータは、(a)よりも高騒音となっている。これは、振り分けタイプであるが故に、振り分け軸を通して振動が相互伝達することにより、全体が共振化しているため、と考えることができる。
(2)次に振り分けタイプにおいて、振り分け伝動方式を摩擦ローラ式にした(c)のタイプを見てみると、(b)よりも低騒音化していることが分かる。これは、摩擦ローラの接触面での振動吸収作用が功を奏しているため、と考えることができる。しかし、摩擦ローラを使用した場合でも、(a)のタイプと大差はない。このことは、単に摩擦ローラを使用したというだけでは、騒音低減の効果は必ずしも得られないことを意味している。
(3)次に(d)の遊星歯車機構を前段に使用したギヤドモータについて見てみると、(a)〜(c)のタイプに比べて相当に騒音が大きいことが分かる。これは、遊星歯車機構自体が歯車の噛み合い箇所を多数持つものであり、多数の噛み合い箇所で発生する振動が、全体の騒音レベルを押し上げているため、と考えることができる。このことは、単に単純遊星タイプの減速部を介在させたというだけでは、騒音低減の効果は得られず、むしろ、騒音は増大してしまう場合があることを意味している。
(4)それに対し、本発明の実施形態で示した(e)タイプと(f)タイプのギヤドモータについて見てみると、他のタイプのものに比べて、大幅な低騒音化が達成できていることが分かる。これは、主には単純遊星タイプにおいて、歯車の代わりに、摩擦ローラを使用したことによる、と考えることができる。
つまり、(d)の遊星歯車タイプのギヤドモータでは、遊星タイプであるが故に、逆に歯車の噛み合い箇所が多くなることで、極めて高騒音化しているが、(e)、(f)のタイプのギヤドモータでは、その歯車を摩擦ローラに代えることで、却って摩擦接触面が多数箇所確保されることになり、騒音吸収効果が増して全体の低騒音化が達成できたものと考えることができる。
(5)次に(c)のタイプと(e)、(f)のタイプの違いを見てみると、(c)の振り分けローラタイプは、摩擦接触面の数は(e)、(f)のタイプと同じ程度確保することができるが、むしろ振り分け軸の振動を拾ってしまう(前述)ことで、騒音低下の効果があまり出てこなかったと考えることができる。反対に、(e)、(f)のタイプは、単純遊星タイプであるが故に、無用な振動を拾わずに済むため、低騒音化に寄与できたと見なせる。
(6)又、据え付け方式を軽量架台から定盤にした場合、(a)のタイプは大きな変化があったが、(e)、(f)のタイプでは、あまり大きな変化は見られなかった。この事実から(a)のタイプでは、相当大きなレベルの振動がギヤドモータ自体にあり、従ってこれを軽量架台に取り付けた場合には、該軽量架台がギヤドモータによって加振され(共振することによって)大きな騒音を発生する。
一方、これを定盤のような剛性上極めて強固な相手に据え付けた場合には、当該振動が据付によって抑制されるようになるため、騒音も減少する;
それに対し、(e)、(f)のタイプでは、既にギヤドモータ自体の振動のレベルが相当程度押さえ込まれているため、据え付け方式の違い、あるいは据え付け相手も違いによる差が出てこない、という推察が可能となる。
この推察の当否はともかく、いずれにしても(e)、(f)の本発明の場合は、据え付け方式の違いによる差が出て来ないレベルまで、振動低減効果が行き届いていることだけは明白である。この種のギヤドモータは、実際上必ず何らかの相手部材に据付なければならないことを考えると、「相手部材の如何によらず騒音レベルが低い」というのは、非常に大きなメリットであると言える。
(7)騒音スペクトルを見てみても分かるように、(e)、(f)の場合は、他の(a)〜(d)に比べて、ほとんど全ての周波数領域において、騒音レベルが低減している。従って、周波数が大きい範囲で知覚され易い騒音も、周波数が低い範囲で知覚され易い振動も大幅に低減されていると見なせる。
なお、ここでは、内接噛合遊星歯車構造の減速部との連結のみをデータとして示したが、外の減速部との連結においても同様の効果が得られることが発明者らの追試験で確認されている。そしてその知見が本発明創案の原点となっている。
なお、上記実施形態では、ギヤドモータとしての一体性を確保するために、モータのカバー110の中にT/D部120を組み込んでいたが、カバー110を伝って減速機とモータ間で振動が伝達するのを遮断するために、敢えて、減速機とモータのカバーとT/D部のハウジングとを分離した上で結合するようにしてもよい。その場合は、例えばT/D機構のハウジングの両端にフランジを形成し、これらのフランジを減速機とモータに結合するようにすればよい。
このようにケーシング(ハウジングあるいはカバーを含む)間の縁を切ることにより、ケーシングを伝ってモータと減速機の間で振動が伝達するのを遮断することができるようになり、一層の「低騒音化」が可能になる。この場合、各ケーシングの連結部分にゴム等の振動吸収手段を挟み込むことで、一層の振動伝達阻止を図ることができる。
又、ケーシングを介しての外部への振動伝達を回避する目的で、単純遊星ローラ機構のリングローラ123をカバー110に直接固定するのを止めて、両者の間に振動吸収部材や空間を介在させることも考えられる。
そうすれば、ギヤドモータとしての一体性は若干低下するが、減速機と単純遊星ローラ機構とモータの三者を、動力伝達経路においても、又、ケーシングにおいても、完全に遮断することができる。この結果、特にケーシングの振動を抑えることができることから、駆動装置自体のみならず、相手機械(部材)との間の共振回避効果をも更に高めることができる。なお、このように三者のケーシングを分断した場合には、ギヤドモータの外部への取付脚部を、単純遊星ローラ機構のケーシングに設けることで、据え付け状態での相手部材への振動の伝達を更に抑制することができ、より一層騒音レベルを低減させることができる。
又、本発明の駆動装置はT/D部を介在させたことにより、各ローラの径のバリエーションを組み合わせることにより、非常に多種多様な減速比を備えた駆動装置のシリーズを容易に展開できる。
即ち、歯車式の減速機は、その構造上、ひとつひとつの部品が特殊で、多くの種類の部品を常時保有するのは、在庫コストが非常に嵩むため、メーカーサイドでの大きな問題のひとつとなっている。しかし、単純遊星ローラ機構は、ローラの径をわずかな追加加工で無段階に容易に変えることができるため、より個別的な微妙な変速比の調整についても適用範囲が広い。
なお、前述の各実施形態の駆動装置GM1〜GM6においては、潤滑をグリース潤滑としており、一般的には分離して別の種類のグリースを用いる1段目のT/D部分と、2段目以降の減速部の潤滑を共有化している。これにより、低速段で温度上昇が少なく消耗(酸化)の少ないグリースを高速段であるT/D部分へ円滑に補給できるようになっている。なお、T/D部分と歯車式の減速機とでグリースを共用化することについては、特開平11−364225号に詳しい開示がある。
産業上の利用の可能性
本発明の減速機付きモータのシリーズによれば、複数の単純遊星ローラ機構を用いて実質的に複数の中速モータ群を構成し、しかも、同形の中速モータに対して、複数種の減速機を自由に選択して連結できるようにしたので、単純遊星ローラ機構による減速機能の発揮により、減速機側の減速比をその分余裕を持って小さく設定することができるようになり、減速機の選定もコスト面を考慮しながら楽にできるようになる。又、中速モータを構成する単純遊星ローラ機構で1段目の減速が行われることにより、減速機付きモータの総減速比の範囲を広げることも容易にできる。更に、単純遊星ローラ機構において細かく減速比を調節することにより、減速比のバリエーションの豊富化が図れ、使用者の減速比の要求に柔軟に且つ確実に対応することができる。
又、モータと減速機との間に単純遊星ローラ機構が存在することにより、減速機への入力回転速度を低く設定できて、減速機において発生する騒音・振動レベル自体を大幅に低減することができる上、減速機とモータ間で伝わろうとする振動(特に回転方向の振動及び軸方向の振動)を、単純遊星ローラ機構のローラの相互の接触によって吸収することができるので、減速機とモータ間で起こる複雑な共振現象を回避することができて、減速機付きモータ全体の振動や騒音のレベルを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施形態として示す減速機付きモータのシリーズの構成図である。
第2図は、同シリーズにおいて構成することのできる駆動装置の第1例を示す側断面図である。
第3図は、同シリーズにおいて構成することのできる駆動装置の第2例を示す側断面図である。
第4図は、同シリーズにおいて構成することのできる駆動装置の第3例を示す側断面図である。
第5図は、同シリーズにおいて構成することのできる駆動装置の第4例を示す側断面図である。
第6図は、同シリーズにおいて構成することのできる駆動装置の第5例を示す側断面図である。
第7図は、同シリーズにおいて構成することのできる駆動装置の第6例を示す側断面図である。
第8図は、同シリーズのモータの選択群を更に豊富化させた例を示す図である。
第9図は、騒音測定試験を行うサンプルとして用意したギヤドモータのタイプを示す図である。
第10図は、騒音測定試験結果を表として示す図である。
第11図は、騒音測定試験結果をグラフとして示す図である。
第12図は、タイプ別の騒音スペクトルを示す図である。
第13図は、タイプ別の騒音スペクトルを示す図である。
第14図は、タイプ別の騒音スペクトルを示す図である。
第15図は、タイプ別の騒音スペクトルを示す図である。
第16図は、従来のギヤドモータの断面図である。
第17図は、従来の振り分け軸タイプの揺動内接噛合遊星歯車構造の断面図である。
第18図は、図17のXIX−XIX矢視部の概略断面図である。
第19図は、騒音測定試験で比較例として用いたギヤドモータの断面図である。
第20図は、騒音測定試験で比較例として用いた他のギヤドモータの断面図である。
第21図は、騒音測定試験で比較例として用いた更に他のギヤドモータの断面図である。
Claims (4)
- モータに対して複数種の減速機を組み合わせることにより、任意の減速機付きモータを選択可能とした減速機付きモータのシリーズにおいて、太陽ローラと、該太陽ローラの周りを転接する遊星ローラと、該遊星ローラが内接するリングローラと、を備えた単純遊星ローラ機構を複数用意し、前記複数の単純遊星ローラ機構を、前記モータの出力軸周りのカバーに選択・連結することにより、複数の中速モータ群を構成可能とし、且つ、同形の中速モータに、遊星ローラの公転成分と同期するキャリアを介して前記複数種の減速機が選択・連結可能とされていることを特徴とする減速機付きモータのシリーズ。
- 請求項1において、前記単純遊星ローラ機構が、リングローラを同径とし、遊星ローラと太陽ローラとの径比を変えて、異なる変速比を有するように複数備えられていることを特徴とする減速機付きモータのシリーズ。
- 請求項1又は2において、前記単純遊星ローラ機構が、前記モータに対してその取り合い寸法を同一として、異なる枠番を有するように複数備えられていることを特徴とする減速機付きモータのシリーズ。
- 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記組み合わせ可能な複数種の減速機の中に、ベベルギヤによる直交軸歯車減速機が含まれており、且つこの直交軸歯車減速機と前記単純遊星ローラ機構とにより1/3〜1/60の範囲の総減速比を達成する減速機付きモータがシリーズ中に含まれていることを特徴とする減速機付きモータのシリーズ。
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