JPWO2009110517A1 - 癌種の評価方法 - Google Patents
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Abstract
血液中のアミノ酸の濃度のうち各種の癌の状態と関連するアミノ酸の濃度を利用して癌の種類を精度よく評価することができる癌種の評価方法を提供することを課題とする。本発明にかかる癌種の評価方法は、評価対象から採取した血液からアミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データを測定し、測定した評価対象のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値に基づいて、評価対象につき、癌の種類を評価する。
Description
本発明は、血液(血漿)中のアミノ酸濃度を利用した癌種の評価方法に関するものである。
日本における癌による死亡は、2004年で男193075人・女127259人で、総死亡者数の第1位である。癌の種類にもよるが、初期の癌の5年生存率が80%以上のものがある一方、進行した癌の5年生存率が10%程度と極度に低いものもある。それゆえ、早期発見が癌治癒にとっては重要である。
ここで、例えば大腸癌の診断には、大便の免疫学的潜血反応による診断、大腸内視鏡による大腸生検などがある。
しかし、便潜血による診断は確定診断とはならず、有所見者のほとんどは偽陽性である。また、初期の大腸癌においては、便潜血による診断では、検出感度・検出特異度共に更に低くなることが懸念される。特に右側結腸の初期癌は、便潜血による診断では見落としが多い。また、CT・MRI・PETなどによる画像診断は、大腸癌の診断には不向きである。
一方、大腸内視鏡による大腸生検は確定診断になるが、侵襲度の高い検査であり、スクリーニングの段階で施行するのは実際的でない。さらに、大腸生検のような侵襲的診断では、患者が苦痛を伴うなど負担があり、また検査による出血などのリスクも起こりえる。
そのため、患者に対する身体的負担および費用対効果の面から、大腸癌発症の可能性の高い被験者を絞り込んで、その者を治療の対象とすることが望ましい。具体的には、侵襲の少ない方法で被験者を選択し、選択した被験者に対し大腸内視鏡検査を実施することで被験者を絞り込み、大腸癌の確定診断が得られた被験者を治療の対象とすることが望ましい。
しかし、便潜血による診断は確定診断とはならず、有所見者のほとんどは偽陽性である。また、初期の大腸癌においては、便潜血による診断では、検出感度・検出特異度共に更に低くなることが懸念される。特に右側結腸の初期癌は、便潜血による診断では見落としが多い。また、CT・MRI・PETなどによる画像診断は、大腸癌の診断には不向きである。
一方、大腸内視鏡による大腸生検は確定診断になるが、侵襲度の高い検査であり、スクリーニングの段階で施行するのは実際的でない。さらに、大腸生検のような侵襲的診断では、患者が苦痛を伴うなど負担があり、また検査による出血などのリスクも起こりえる。
そのため、患者に対する身体的負担および費用対効果の面から、大腸癌発症の可能性の高い被験者を絞り込んで、その者を治療の対象とすることが望ましい。具体的には、侵襲の少ない方法で被験者を選択し、選択した被験者に対し大腸内視鏡検査を実施することで被験者を絞り込み、大腸癌の確定診断が得られた被験者を治療の対象とすることが望ましい。
また、例えば肺癌の診断には、レントゲン写真・CT・MRI・PETなど画像による診断、喀痰細胞診、気管支鏡による肺生検、経皮針による肺生検、試験開胸または胸腔鏡による肺生検などがある。
しかし、画像による診断は確定診断とはならない。例えば胸部X線検査(間接撮影)の場合、有所見率は20%であるのに対して特異度は0.1%であり、有所見者のほとんどは偽陽性である。また、胸部X線検査の場合、検出感度も低く、厚生労働省の検討結果では約80%の肺癌発症者は見落とされていたという報告もある。特に、初期の肺癌においては、画像による診断では検出感度・検出特異度共に更に低くなることが懸念される。また、胸部X線検査には、被験者の放射線被爆の問題もある。また、CT・MRI・PETなどによる画像診断は、設備やコスト面で、集団検診で実施するには問題がある。また、喀痰細胞診の場合、2〜3割の患者しか確定診断ができない。
一方、気管支鏡、経皮針、試験開胸および胸腔鏡による肺生検は確定診断になるが、侵襲度の高い検査であり、画像診断により肺癌の疑いのある患者全員に施行するのは実際的でない。さらに、このような侵襲的診断では、患者が苦痛を伴うなど負担があり、また検査による出血などのリスクも起こりえる。
そのため、患者に対する身体的負担および費用対効果の面から、肺癌発症の可能性の高い被験者を絞り込んで、その者を治療の対象とすることが望ましい。具体的には、侵襲の少ない方法で被験者を選択し、選択した被験者に対し肺生検を実施することで被験者を絞り込み、肺癌の確定診断が得られた被験者を治療の対象とすることが望ましい。
しかし、画像による診断は確定診断とはならない。例えば胸部X線検査(間接撮影)の場合、有所見率は20%であるのに対して特異度は0.1%であり、有所見者のほとんどは偽陽性である。また、胸部X線検査の場合、検出感度も低く、厚生労働省の検討結果では約80%の肺癌発症者は見落とされていたという報告もある。特に、初期の肺癌においては、画像による診断では検出感度・検出特異度共に更に低くなることが懸念される。また、胸部X線検査には、被験者の放射線被爆の問題もある。また、CT・MRI・PETなどによる画像診断は、設備やコスト面で、集団検診で実施するには問題がある。また、喀痰細胞診の場合、2〜3割の患者しか確定診断ができない。
一方、気管支鏡、経皮針、試験開胸および胸腔鏡による肺生検は確定診断になるが、侵襲度の高い検査であり、画像診断により肺癌の疑いのある患者全員に施行するのは実際的でない。さらに、このような侵襲的診断では、患者が苦痛を伴うなど負担があり、また検査による出血などのリスクも起こりえる。
そのため、患者に対する身体的負担および費用対効果の面から、肺癌発症の可能性の高い被験者を絞り込んで、その者を治療の対象とすることが望ましい。具体的には、侵襲の少ない方法で被験者を選択し、選択した被験者に対し肺生検を実施することで被験者を絞り込み、肺癌の確定診断が得られた被験者を治療の対象とすることが望ましい。
また、例えば乳癌の診断には、自己検診、乳房触視診、マンモグラフィ・CT・MRI・PETなどによる画像診断、針生検などがある。
しかし、自己検診や触視診、画像診断は確定診断とはならない。特に、自己検診には、乳癌による死亡率を下げるほどの効果はない。また、自己検診では、マンモグラフィ検査による定期的なスクリーニングのように多数の早期癌を発見できるわけでもない。また、初期の乳癌においては、自己検診や触視診、画像診断では検出感度・検出特異度共に更に低くなることが懸念される。また、マンモグラフィによる画像診断には、被験者の放射線被爆や過剰診断の問題もある。また、CT・MRI・PETなどによる画像診断は、設備やコスト面で、集団検診で実施するには問題がある。
一方、針生検は確定診断になるが、侵襲度の高い検査であり、画像診断により乳癌の疑いのある患者全員に施行するのは実際的でない。さらに、針生検のような侵襲的診断では、患者が苦痛を伴うなど負担があり、また検査による出血などのリスクも起こりえる。
そして、一般的に、乳癌の検査は、自己検診を除いて多くの場合、被験者が精神的苦痛を感じることが考えられる。
そのため、患者に対する身体的負担・精神的負担および費用対効果の面から、乳癌発症の可能性が高い被験者を絞り込んで、その者を治療の対象とすることが望ましい。具体的には、精神的苦痛や侵襲の少ない方法で被験者を選択し、選択した被験者に対し針生検を実施することで被験者を絞り込み、乳癌の確定診断が得られた被験者を治療の対象とすることが望ましい。
しかし、自己検診や触視診、画像診断は確定診断とはならない。特に、自己検診には、乳癌による死亡率を下げるほどの効果はない。また、自己検診では、マンモグラフィ検査による定期的なスクリーニングのように多数の早期癌を発見できるわけでもない。また、初期の乳癌においては、自己検診や触視診、画像診断では検出感度・検出特異度共に更に低くなることが懸念される。また、マンモグラフィによる画像診断には、被験者の放射線被爆や過剰診断の問題もある。また、CT・MRI・PETなどによる画像診断は、設備やコスト面で、集団検診で実施するには問題がある。
一方、針生検は確定診断になるが、侵襲度の高い検査であり、画像診断により乳癌の疑いのある患者全員に施行するのは実際的でない。さらに、針生検のような侵襲的診断では、患者が苦痛を伴うなど負担があり、また検査による出血などのリスクも起こりえる。
そして、一般的に、乳癌の検査は、自己検診を除いて多くの場合、被験者が精神的苦痛を感じることが考えられる。
そのため、患者に対する身体的負担・精神的負担および費用対効果の面から、乳癌発症の可能性が高い被験者を絞り込んで、その者を治療の対象とすることが望ましい。具体的には、精神的苦痛や侵襲の少ない方法で被験者を選択し、選択した被験者に対し針生検を実施することで被験者を絞り込み、乳癌の確定診断が得られた被験者を治療の対象とすることが望ましい。
また、例えば胃癌の診断には、ペプシノゲン検査、X線検査(間接撮影)、胃内視鏡検査、腫瘍マーカーによる診断などがある。
しかし、ペプシノゲン検査、X線検査、腫瘍マーカーによる診断は確定診断とはならない。例えばペプシノゲン検査の場合、侵襲性は低いものの、感度は報告により異なり概ね40〜85%、特異度は70〜85%である。しかし、ペプシノゲン検査の場合、要精密検査率は20%であり、見逃しも多いと考えられている。また、X線検査の場合、感度は報告より異なるが概ね70〜80%、特異度は85〜90%である。しかし、X線検査の場合、バリウム飲用による副作用や放射線被爆の可能性がある。また、腫瘍マーカーによる診断の場合、胃癌の存在診断に有効な腫瘍マーカーは現時点では存在しない。
一方、胃内視鏡検査は確定診断になるが、侵襲度の高い検査であり、スクリーニングの段階で行うことは実際的ではない。さらに、胃内視鏡検査のような侵襲的診断では、患者が苦痛を伴うなど負担があり、また検査による出血などのリスクも起こりえる。
そのため、患者に対する身体的負担および費用対効果の面から、胃癌発症の可能性の高い被験者を絞り込んで、その者を治療の対象とすることが望ましい。具体的には、感度・特異度の高い方法で被験者を選択し、選択した被験者に対し胃内視鏡検査を実施することで被験者を絞り込み、胃癌の確定診断が得られた被験者を治療の対象とすることが望ましい。
しかし、ペプシノゲン検査、X線検査、腫瘍マーカーによる診断は確定診断とはならない。例えばペプシノゲン検査の場合、侵襲性は低いものの、感度は報告により異なり概ね40〜85%、特異度は70〜85%である。しかし、ペプシノゲン検査の場合、要精密検査率は20%であり、見逃しも多いと考えられている。また、X線検査の場合、感度は報告より異なるが概ね70〜80%、特異度は85〜90%である。しかし、X線検査の場合、バリウム飲用による副作用や放射線被爆の可能性がある。また、腫瘍マーカーによる診断の場合、胃癌の存在診断に有効な腫瘍マーカーは現時点では存在しない。
一方、胃内視鏡検査は確定診断になるが、侵襲度の高い検査であり、スクリーニングの段階で行うことは実際的ではない。さらに、胃内視鏡検査のような侵襲的診断では、患者が苦痛を伴うなど負担があり、また検査による出血などのリスクも起こりえる。
そのため、患者に対する身体的負担および費用対効果の面から、胃癌発症の可能性の高い被験者を絞り込んで、その者を治療の対象とすることが望ましい。具体的には、感度・特異度の高い方法で被験者を選択し、選択した被験者に対し胃内視鏡検査を実施することで被験者を絞り込み、胃癌の確定診断が得られた被験者を治療の対象とすることが望ましい。
また、例えば膵臓癌のように初期発見自体が困難な癌もある。
そして、膵臓癌の場合、自覚症状を訴えた後に精密検査で膵臓癌の確定診断を受けることになるが、多くの場合進行癌となっている。
そのため、患者に対する身体的負担および費用対効果の面から、膵臓癌発症の可能性の高い被験者を適切なスクリーニングで絞り込んで、その者を治療の対象とすることが望ましい。具体的には、感度・特異度の高い方法で被験者を選択し、選択した被験者に対し精密検査を実施することで被験者を絞り込み、膵臓癌の確定診断が得られた被験者を治療の対象とすることが望ましい。
そして、膵臓癌の場合、自覚症状を訴えた後に精密検査で膵臓癌の確定診断を受けることになるが、多くの場合進行癌となっている。
そのため、患者に対する身体的負担および費用対効果の面から、膵臓癌発症の可能性の高い被験者を適切なスクリーニングで絞り込んで、その者を治療の対象とすることが望ましい。具体的には、感度・特異度の高い方法で被験者を選択し、選択した被験者に対し精密検査を実施することで被験者を絞り込み、膵臓癌の確定診断が得られた被験者を治療の対象とすることが望ましい。
また、このような癌患者のスクリーニングを実施する際には、現在は個々の癌に対して特異的な診断方法を用いて行われている。
ところで、血中アミノ酸の濃度が、癌発症により変化することについては知られている。例えば、シノベールによれば(非特許文献1)、例えばグルタミンは主に酸化エネルギー源として、アルギニンは窒素酸化物やポリアミンの前駆体として、メチオニンは癌細胞がメチオニン取り込み能の活性化により、それぞれ癌細胞での消費量が増加するという報告がある。また、ヴィッセルスら(非特許文献2)やパーク(非特許文献3)によれば、大腸癌患者の血漿中アミノ酸組成は健常者と異なっていることが報告されており、プロエンツァら(非特許文献4)やカスツィーノ(非特許文献5)によれば、乳癌患者の血漿中アミノ酸組成は健常者と異なっていることが報告されている。また、特許文献1には、血中アミノ酸濃度を変数とする多変量判別式により肺癌の有無を評価する方法が開示されている。これにより、肺癌と非肺癌の状態を判別することができる。また、アミノ酸濃度と生体状態とを関連付ける方法については、特許文献2や特許文献3に公開されている。
しかしながら、これまでに、複数のアミノ酸を変数として癌の種類を診断する技術の開発は時間的および金銭的な観点から行われておらず、実用化されていないという問題点がある。具体的には、癌患者のスクリーニングにおいて複数の検査を同時に実施する場合、検査コストが高くなり、実施内容によっては被験者が拘束される時間や食事制限などに要する時間が長時間にわたるなどの問題点がある。また、具体的には、特許文献1においては肺癌と非肺癌の状態を判別することはできるが、“非肺癌の状態が癌を罹患していないのか”や“他種の癌を発症しているのか”について評価することはできなかったという問題点がある。また、特許文献2や特許文献3に開示されている指標式では、“癌を罹患していないのか”や“他種の癌を発症しているのか”について評価することはできなかったという問題点があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、血液中のアミノ酸の濃度のうち各種の癌の状態と関連するアミノ酸の濃度を利用して癌の種類を精度よく評価することができる癌種の評価方法を提供することを目的とする。具体的には、複数の癌に罹患している可能性の高い被験者を1種の検体で且つ短時間に絞り込むことができ、その結果、被験者への時間的、身体的および金銭的負担を軽減することができる癌種の評価方法を提供することを目的とする。また、具体的には、複数のアミノ酸の濃度や当該アミノ酸の濃度を変数とする1つ又は複数の判別式からなる判別式群により、ある検体が癌を発症しているか否か、そして癌を発症している場合にはその発症部位がどこであるかを精度よく評価することができ、その結果、検査の効率化や高精度化を図ることができる癌種の評価方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討した結果、各種の癌と非癌との多群判別に有用なアミノ酸を同定すると共に、さらに同定したアミノ酸の濃度を変数として含む1つ又は複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群(指標式群、相関式群)が癌の状態(具体的には癌の発症部位)に有意な相関があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる癌種の評価方法は、評価対象から採取した血液からアミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データを測定する測定ステップと、前記測定ステップで測定した前記評価対象の前記アミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの前記濃度値に基づいて、前記評価対象につき、癌の種類を評価する濃度値基準評価ステップとを含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種の評価方法は、前記に記載の癌種の評価方法において、前記濃度値基準評価ステップは、前記測定ステップで測定した前記評価対象の前記アミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの前記濃度値に基づいて、前記評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの前記癌の中から、どの前記癌であるかを判別する濃度値基準判別ステップをさらに含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種の評価方法は、前記に記載の癌種の評価方法において、前記濃度値基準判別ステップは、前記評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの前記癌の中から、どの前記癌であるかを判別することを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種の評価方法は、前記に記載の癌種の評価方法において、前記濃度値基準評価ステップは、前記測定ステップで測定した前記評価対象の前記アミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの前記濃度値、および前記アミノ酸の濃度を変数とする予め設定した1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群に基づいて、当該多変量判別式群を構成する前記多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出する判別値算出ステップと、前記判別値算出ステップで算出した1つまたは複数の前記判別値で構成される判別値群に基づいて、前記評価対象につき、前記癌の種類を評価する判別値基準評価ステップとをさらに含み、前記多変量判別式群を構成する各々の前記多変量判別式は、Glu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを前記変数として含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種の評価方法は、前記に記載の癌種の評価方法において、前記判別値基準評価ステップは、前記判別値群に基づいて、前記評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの前記癌の中から、どの前記癌であるかを判別する判別値基準判別ステップをさらに含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種の評価方法は、前記に記載の癌種の評価方法において、前記判別値基準判別ステップは、前記評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの前記癌の中から、どの前記癌であるかを判別することを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種の評価方法は、前記に記載の癌種の評価方法において、前記多変量判別式群を構成する各々の前記多変量判別式は、分数式、ロジスティック回帰式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、決定木で作成された式のいずれか1つであることを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種の評価方法は、前記に記載の癌種の評価方法において、前記多変量判別式群は、以下の判別式群1から16のいずれか1つであることを特徴とする。
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを前記変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを前記変数とする2つの分数式
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを前記変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを前記変数とする2つの分数式
また、本発明にかかる癌種評価装置は、制御手段と記憶手段とを備え評価対象につき癌の種類を評価する癌種評価装置であって、前記制御手段は、アミノ酸の濃度を変数とする前記記憶手段で記憶した1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群および前記アミノ酸の濃度値に関する予め取得した前記評価対象のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの前記濃度値に基づいて、当該多変量判別式群を構成する前記多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出する判別値算出手段と、前記判別値算出手段で算出した1つまたは複数の前記判別値で構成される判別値群に基づいて、前記評価対象につき、前記癌の種類を評価する判別値基準評価手段とを備え、前記多変量判別式群を構成する各々の前記多変量判別式は、Glu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを前記変数として含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種評価装置は、前記に記載の癌種評価装置において、前記判別値基準評価手段は、前記判別値群に基づいて、前記評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの前記癌の中から、どの前記癌であるかを判別する判別値基準判別手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種評価装置は、前記に記載の癌種評価装置において、前記判別値基準判別手段は、前記評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの前記癌の中から、どの前記癌であるかを判別することを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種評価装置は、前記に記載の癌種評価装置において、前記多変量判別式群を構成する各々の前記多変量判別式は、分数式、ロジスティック回帰式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、決定木で作成された式のいずれか1つであることを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種評価装置は、前記に記載の癌種評価装置において、前記多変量判別式群は、以下の判別式群1から16のいずれか1つであることを特徴とする。
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを前記変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを前記変数とする2つの分数式
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを前記変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを前記変数とする2つの分数式
また、本発明にかかる癌種評価装置は、前記に記載の癌種評価装置において、前記制御手段は、前記アミノ酸濃度データと前記癌の前記状態を表す指標に関する癌状態指標データとを含む前記記憶手段で記憶した癌状態情報に基づいて、前記記憶手段で記憶する前記多変量判別式を作成する多変量判別式群作成手段をさらに備え、前記多変量判別式群作成手段は、前記癌状態情報から所定の式作成手法に基づいて、前記多変量判別式群の候補である候補多変量判別式軍を作成する候補多変量判別式群作成手段と、前記候補多変量判別式群作成手段で作成した前記候補多変量判別式群を、所定の検証手法に基づいて検証する候補多変量判別式群検証手段と、前記候補多変量判別式群検証手段での検証結果から所定の変数選択手法に基づいて前記候補多変量判別式群の変数を選択することで、前記候補多変量判別式群を作成する際に用いる前記癌状態情報に含まれる前記アミノ酸濃度データの組み合わせを選択する変数選択手段と、をさらに備え、前記候補多変量判別式群作成手段、前記候補多変量判別式群検証手段および前記変数選択手段を繰り返し実行して蓄積した前記検証結果に基づいて、複数の前記候補多変量判別式群の中から前記多変量判別式群として採用する前記候補多変量判別式群を選出することで、前記多変量判別式群を作成することを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種評価方法は、制御手段と記憶手段とを備えた情報処理装置で実行する、評価対象につき癌の種類を評価する癌種評価方法であって、前記制御手段で、アミノ酸の濃度を変数とする前記記憶手段で記憶した1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群および前記アミノ酸の濃度値に関する予め取得した前記評価対象のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの前記濃度値に基づいて、当該多変量判別式群を構成する前記多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出する判別値群算出ステップと、前記判別値群算出ステップで算出した1つまたは複数の前記判別値で構成される判別値群に基づいて、前記評価対象につき、前記癌の種類を評価する判別値群基準評価ステップとを実行し、前記多変量判別式群を構成する各々の前記多変量判別式は、Glu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを前記変数として含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種評価方法は、前記に記載の癌種評価方法において、前記判別値基準評価ステップは、前記判別値群に基づいて、前記評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの前記癌の中から、どの前記癌であるかを判別する判別値基準判別ステップをさらに含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種評価方法は、前記に記載の癌種評価方法において、前記判別値基準判別ステップは、前記評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの前記癌の中から、どの前記癌であるかを判別することを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種評価方法は、前記に記載の癌種評価方法において、前記多変量判別式群を構成する各々の前記多変量判別式は、分数式、ロジスティック回帰式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、決定木で作成された式のいずれか1つであることを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種評価方法は、前記に記載の癌種評価方法において、前記多変量判別式群は、以下の判別式群1から16のいずれか1つであることを特徴とする。
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを前記変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを前記変数とする2つの分数式
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを前記変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを前記変数とする2つの分数式
また、本発明にかかる癌種評価方法は、前記に記載の癌種評価方法において、前記制御手段で、前記アミノ酸濃度データと前記癌の前記状態を表す指標に関する癌状態指標データとを含む前記記憶手段で記憶した癌状態情報に基づいて、前記記憶手段で記憶する前記多変量判別式を作成する多変量判別式作成ステップをさらに実行し、前記多変量判別式作成ステップは、前記癌状態情報から所定の式作成手法に基づいて、前記多変量判別式の候補である候補多変量判別式を作成する候補多変量判別式作成ステップと、前記候補多変量判別式作成ステップで作成した前記候補多変量判別式を、所定の検証手法に基づいて検証する候補多変量判別式検証ステップと、前記候補多変量判別式検証ステップでの検証結果から所定の変数選択手法に基づいて前記候補多変量判別式の変数を選択することで、前記候補多変量判別式を作成する際に用いる前記癌状態情報に含まれる前記アミノ酸濃度データの組み合わせを選択する変数選択ステップと、をさらに含み、前記候補多変量判別式作成ステップ、前記候補多変量判別式検証ステップおよび前記変数選択ステップを繰り返し実行して蓄積した前記検証結果に基づいて、複数の前記候補多変量判別式の中から前記多変量判別式として採用する前記候補多変量判別式を選出することで、前記多変量判別式を作成することを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種評価システムは、制御手段と記憶手段とを備え評価対象につき癌の種類を評価する癌種評価装置と、アミノ酸の濃度値に関する前記評価対象のアミノ酸濃度データを提供する情報通信端末装置とを、ネットワークを介して通信可能に接続して構成された癌種評価システムであって、前記情報通信端末装置は、前記評価対象の前記アミノ酸濃度データを前記癌種評価装置へ送信するアミノ酸濃度データ送信手段と、前記癌種評価装置から送信された前記癌の種類に関する前記評価対象の評価結果を受信する評価結果受信手段とを備え、前記癌種評価装置の前記制御手段は、前記情報通信端末装置から送信された前記評価対象の前記アミノ酸濃度データを受信するアミノ酸濃度データ受信手段と、前記アミノ酸の濃度を変数とする前記記憶手段で記憶した1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群および前記アミノ酸濃度データ受信手段で受信した前記評価対象の前記アミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの前記濃度値に基づいて、当該多変量判別式群を構成する前記多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出する判別値算出手段と、前記判別値群算出手段で算出した1つまたは複数の前記判別値で構成される判別値群に基づいて、前記評価対象につき、前記癌の種類を評価する判別値群基準評価手段と、前記判別値基準評価手段での前記評価対象の前記評価結果を前記情報通信端末装置へ送信する評価結果送信手段と、を備え、前記多変量判別式群を構成する各々の前記多変量判別式は、Glu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを前記変数として含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる癌種評価プログラムは、制御手段と記憶手段とを備えた情報処理装置に実行させる、評価対象につき癌の種類を評価する癌種評価プログラムであって、前記制御手段に、アミノ酸の濃度を変数とする前記記憶手段で記憶した1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群および前記アミノ酸の濃度値に関する予め取得した前記評価対象のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの前記濃度値に基づいて、当該多変量判別式群を構成する前記多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出する判別値群算出ステップと、前記判別値群算出ステップで算出した1つまたは複数の前記判別値で構成される判別値群に基づいて、前記評価対象につき、前記癌の種類を評価する判別値群基準評価ステップとを実行させ、前記多変量判別式群を構成する各々の前記多変量判別式は、Glu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを前記変数として含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記に記載の癌種評価プログラムを記録したことを特徴とする。
本発明によれば、評価対象から採取した血液からアミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データを測定し、測定した評価対象のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値に基づいて、評価対象につき、癌の種類を評価するので、血液中のアミノ酸の濃度のうち各種の癌の状態と関連するアミノ酸の濃度を利用して癌の種類を精度よく評価することができるという効果を奏する。具体的には、複数の癌に罹患している可能性の高い被験者を1種の検体で且つ短時間に絞り込むことができ、その結果、被験者への時間的、身体的および金銭的負担を軽減することができるという効果を奏する。また、具体的には、複数のアミノ酸の濃度や当該アミノ酸の濃度を変数とする1つ又は複数の判別式からなる判別式群により、ある検体が癌を発症しているか否か、そして癌を発症している場合にはその発症部位がどこであるかを精度よく評価することができ、その結果、検査の効率化や高精度化を図ることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、測定した評価対象のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値に基づいて、評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌の中から、どの癌であるかを判別するので、血液中のアミノ酸の濃度のうち癌の多群判別に有用なアミノ酸の濃度を利用して癌の多群判別を精度よく行うことができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、測定した評価対象のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値に基づいて、評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌の中から、どの癌であるかを判別するので、血液中のアミノ酸の濃度のうち癌の多群判別に有用なアミノ酸の濃度を利用して癌の多群判別を精度よく行うことができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、測定した評価対象のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値、およびアミノ酸の濃度を変数としGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを変数として含む予め設定した1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群に基づいて、当該多変量判別式群を構成する多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出し、算出した1つまたは複数の判別値で構成される判別値群に基づいて、評価対象につき、癌の種類を評価するので、各種の癌の状態と有意な相関がある多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の種類を精度よく評価することができるという効果を奏する。具体的には、複数の癌に罹患している可能性の高い被験者を1種の検体で且つ短時間に絞り込むことができ、その結果、被験者への時間的、身体的および金銭的負担を軽減することができるという効果を奏する。また、具体的には、複数のアミノ酸の濃度や当該アミノ酸の濃度を変数とする1つ又は複数の判別式からなる判別式群により、ある検体が癌を発症しているか否か、そして癌を発症している場合にはその発症部位がどこであるかを精度よく評価することができ、その結果、検査の効率化や高精度化を図ることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、算出した判別値群に基づいて、評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌の中から、どの癌であるかを判別するので、癌の多群判別に有用な多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の多群判別を精度よく行うことができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、算出した判別値群に基づいて、評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌の中から、どの癌であるかを判別するので、癌の多群判別に有用な多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の多群判別を精度よく行うことができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、多変量判別式群を構成する各々の多変量判別式は、分数式、ロジスティック回帰式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、決定木で作成された式のいずれか1つであるので、癌の多群判別に特に有用な多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の多群判別をさらに精度よく行うことができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、多変量判別式群は、以下の判別式群1から16のいずれか1つであるので、癌の多群判別に特に有用な多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の多群判別をさらに精度よく行うことができるという効果を奏する。
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを変数とする2つの分数式
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを変数とする2つの分数式
また、本発明によれば、アミノ酸濃度データと癌の状態を表す指標に関する癌状態指標データとを含む記憶手段で記憶した癌状態情報に基づいて、記憶手段で記憶する多変量判別式を作成する。具体的には、(1)癌状態情報から所定の式作成手法に基づいて候補多変量判別式を作成し、(2)作成した候補多変量判別式を所定の検証手法に基づいて検証し、(3)その検証結果から所定の変数選択手法に基づいて候補多変量判別式の変数を選択することで、候補多変量判別式を作成する際に用いる癌状態情報に含まれるアミノ酸濃度データの組み合わせを選択し、(4)(1)、(2)および(3)を繰り返し実行して蓄積した検証結果に基づいて、複数の候補多変量判別式の中から多変量判別式として採用する候補多変量判別式を選出することで、多変量判別式を作成する。これにより、個々の癌の状態の評価に最適な多変量判別式を作成することができ、その結果、癌の種類の評価に最適な多変量判別式群(具体的には、癌の多群判別に有用な多変量判別式群)を得ることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、当該記録媒体に記録された癌種評価プログラムをコンピュータに読み取らせて実行することで、コンピュータに癌種評価プログラムを実行させるので、癌種評価プログラムと同様の効果を得ることができるという効果を奏する。
なお、本発明は、癌の種類を評価する際(具体的には、どの癌であるかを判別する際)、アミノ酸の濃度以外に、その他の代謝物の濃度や遺伝子の発現量、タンパク質の発現量、被験者の年齢・性別、喫煙の有無、心電図の波形を数値化したものなどをさらに用いてもかまわない。また、本発明は、癌の種類を評価する際(具体的には、どの癌であるかを判別する際)、多変量判別式における変数として、アミノ酸の濃度以外に、その他の代謝物の濃度や遺伝子の発現量、タンパク質の発現量、被験者の年齢・性別、喫煙の有無、心電図の波形を数値化したものなどをさらに用いてもかまわない。
100 癌種評価装置
102 制御部
102a 要求解釈部
102b 閲覧処理部
102c 認証処理部
102d 電子メール生成部
102e Webページ生成部
102f 受信部
102g 癌状態情報指定部
102h 多変量判別式作成部
102h1 候補多変量判別式作成部
102h2 候補多変量判別式検証部
102h3 変数選択部
102i 判別値算出部
102j 判別値基準評価部
102j1 判別値基準判別部
102k 結果出力部
102m 送信部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 利用者情報ファイル
106b アミノ酸濃度データファイル
106c 癌状態情報ファイル
106d 指定癌状態情報ファイル
106e 多変量判別式関連情報データベース
106e1 候補多変量判別式ファイル
106e2 検証結果ファイル
106e3 選択癌状態情報ファイル
106e4 多変量判別式ファイル
106f 判別値ファイル
106g 評価結果ファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 クライアント装置(情報通信端末装置)
300 ネットワーク
400 データベース装置
102 制御部
102a 要求解釈部
102b 閲覧処理部
102c 認証処理部
102d 電子メール生成部
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102f 受信部
102g 癌状態情報指定部
102h 多変量判別式作成部
102h1 候補多変量判別式作成部
102h2 候補多変量判別式検証部
102h3 変数選択部
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102j 判別値基準評価部
102j1 判別値基準判別部
102k 結果出力部
102m 送信部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 利用者情報ファイル
106b アミノ酸濃度データファイル
106c 癌状態情報ファイル
106d 指定癌状態情報ファイル
106e 多変量判別式関連情報データベース
106e1 候補多変量判別式ファイル
106e2 検証結果ファイル
106e3 選択癌状態情報ファイル
106e4 多変量判別式ファイル
106f 判別値ファイル
106g 評価結果ファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
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300 ネットワーク
400 データベース装置
以下に、本発明にかかる癌種の評価方法の実施の形態(第1実施形態)ならびに本発明にかかる癌種評価装置、癌種評価方法、癌種評価システム、癌種評価プログラムおよび記録媒体の実施の形態(第2実施形態)を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態により本発明が限定されるものではない。
[第1実施形態]
[1−1.本発明の概要]
ここでは、本発明にかかる癌種の評価方法の概要について図1を参照して説明する。図1は本発明の基本原理を示す原理構成図である。
[1−1.本発明の概要]
ここでは、本発明にかかる癌種の評価方法の概要について図1を参照して説明する。図1は本発明の基本原理を示す原理構成図である。
まず、本発明では、評価対象(例えば動物やヒトなど個体)から採取した血液から、アミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データを測定する(ステップS−11)。ここで、血中アミノ酸濃度の分析は次のように行った。採血した血液サンプルを、ヘパリン処理したチューブに採取し、採取した血液サンプルを遠心することにより血液から血漿を分離した。全ての血漿サンプルは、アミノ酸濃度の測定時まで−70℃で凍結保存した。アミノ酸濃度測定時には、スルホサリチル酸を添加し3%濃度調整により除蛋白処理を行い、測定には、ポストカラムでニンヒドリン反応を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を原理としたアミノ酸分析機を使用した。なお、アミノ酸濃度の単位は、例えばモル濃度や重量濃度、これらの濃度に任意の定数を加減乗除することで得られるものでもよい。
つぎに、本発明では、ステップS−11で測定した評価対象のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値に基づいて、評価対象につき、癌の種類を評価する(ステップS−12)。
以上、本発明によれば、評価対象から採取した血液からアミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データを測定し、測定した評価対象のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値に基づいて、評価対象につき、癌の種類を評価する。これにより、血液中のアミノ酸の濃度のうち各種の癌の状態と関連するアミノ酸の濃度を利用して癌の種類を精度よく評価することができる。具体的には、複数の癌に罹患している可能性の高い被験者を1種の検体で且つ短時間に絞り込むことができ、その結果、被験者への時間的、身体的および金銭的負担を軽減することができる。また、具体的には、複数のアミノ酸の濃度や当該アミノ酸の濃度を変数とする1つ又は複数の判別式からなる判別式群により、ある検体が癌を発症しているか否か、そして癌を発症している場合にはその発症部位がどこであるかを精度よく評価することができ、その結果、検査の効率化や高精度化を図ることができる。
ここで、ステップS−12を実行する前に、ステップS−11で測定した評価対象のアミノ酸濃度データから欠損値や外れ値などのデータを除去してもよい。これにより、癌の種類をさらに精度よく評価することができる。
また、ステップS−12では、ステップS−11で測定した評価対象のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値に基づいて、評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌)の中から、どの癌であるかを判別してもよい。具体的には、Glu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値と予め設定された閾値(カットオフ値)とを比較することで、評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌)の中から、どの癌であるかを判別してもよい。これにより、血液中のアミノ酸の濃度のうち癌の多群判別に有用なアミノ酸の濃度を利用して癌の多群判別を精度よく行うことができる。
また、ステップS−12では、ステップS−11で測定した評価対象のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値、およびアミノ酸の濃度を変数としGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを変数として含む予め設定した1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群に基づいて、当該多変量判別式群を構成する多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出し、算出した1つまたは複数の判別値で構成される判別値群に基づいて、評価対象につき、癌の種類を評価してもよい。これにより、各種の癌の状態と有意な相関がある多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の種類を精度よく評価することができる。具体的には、複数の癌に罹患している可能性の高い被験者を1種の検体で且つ短時間に絞り込むことができ、その結果、被験者への時間的、身体的および金銭的負担を軽減することができる。また、具体的には、複数のアミノ酸の濃度や当該アミノ酸の濃度を変数とする1つ又は複数の判別式からなる判別式群により、ある検体が癌を発症しているか否か、そして癌を発症している場合にはその発症部位がどこであるかを精度よく評価することができ、その結果、検査の効率化や高精度化を図ることができる。
また、ステップS−12では、算出した判別値群に基づいて、評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌)の中から、どの癌であるかを判別してもよい。具体的には、判別値群と予め設定された閾値(カットオフ値)とを比較することで、評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌)の中から、どの癌であるかを判別してもよい。これにより、癌の多群判別に有用な多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の多群判別を精度よく行うことができる。
また、多変量判別式群を構成する各々の多変量判別式は、分数式、ロジスティック回帰式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、決定木で作成された式のいずれか1つでもよい。具体的には、多変量判別式群は、以下の判別式群1から16のいずれか1つでもよい。これにより、癌の多群判別に特に有用な多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の多群判別をさらに精度よく行うことができる。
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを変数とする2つの分数式
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを変数とする2つの分数式
なお、これらの多変量判別式群を構成する各々の多変量判別式は、本出願人による国際出願である国際公開第2004/052191号に記載の方法や、本出願人による国際出願である国際公開第2006/098192号に記載の方法(後述する第2実施形態に記載の多変量判別式作成処理)で作成することができる。これら方法で得られた多変量判別式であれば、入力データとしてのアミノ酸濃度データにおけるアミノ酸濃度の単位に因らず、当該多変量判別式を癌の種類の評価に好適に用いることができる。
ここで、多変量判別式とは、一般に多変量解析で用いられる式の形式を意味し、例えば分数式、重回帰式、多重ロジスティック回帰式、線形判別関数、マハラノビス距離、正準判別関数、サポートベクターマシン、決定木などを包含する。また、異なる形式の多変量判別式の和で示されるような式も含まれる。また、重回帰式、多重ロジスティック回帰式、正準判別関数においては各変数に係数および定数項が付加されるが、この場合の係数および定数項は、好ましくは実数であること、より好ましくはデータから判別を行うために得られた係数および定数項の99%信頼区間の範囲に属する値、さらに好ましくはデータから判別を行うために得られた係数および定数項の95%信頼区間の範囲に属する値であればかまわない。また、各係数の値、及びその信頼区間は、それを実数倍したものでもよく、定数項の値、及びその信頼区間は、それに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。
また、分数式とは、当該分数式の分子がアミノ酸A,B,C,・・・の和で表わされ、且つ当該分数式の分母がアミノ酸a,b,c,・・・の和で表わされるものである。また、分数式には、このような構成の分数式α,β,γ,・・・の和(例えばα+βのようなもの)も含まれる。また、分数式には、分割された分数式も含まれる。なお、分子や分母に用いられるアミノ酸にはそれぞれ適当な係数がついてもかまわない。また、分子や分母に用いられるアミノ酸は重複してもかまわない。また、各分数式に適当な係数がついてもかまわない。また、各変数の係数の値や定数項の値は、実数であればかまわない。分数式で、分子の変数と分母の変数を入れ替えた組み合わせは、目的変数との相関の正負の符号は概して逆転するが、それらの相関性は保たれるので、判別性では同等と見なせるので、分子の変数と分母の変数を入れ替えた組み合わせも、包含するものである。
なお、本発明は、癌の種類を評価する際(具体的には、どの癌であるかを判別する際)、アミノ酸の濃度以外に、その他の代謝物の濃度や遺伝子の発現量、タンパク質の発現量、被験者の年齢・性別、喫煙の有無、心電図の波形を数値化したものなどをさらに用いてもかまわない。また、本発明は、癌の種類を評価する際(具体的には、どの癌であるかを判別する際)、多変量判別式における変数として、アミノ酸の濃度以外に、その他の代謝物の濃度や遺伝子の発現量、タンパク質の発現量、被験者の年齢・性別、喫煙の有無、心電図の波形を数値化したものなどをさらに用いてもかまわない。
[1−2.第1実施形態にかかる癌種の評価方法]
ここでは、第1実施形態にかかる癌種の評価方法について図2を参照して説明する。図2は、第1実施形態にかかる癌種の評価方法の一例を示すフローチャートである。
ここでは、第1実施形態にかかる癌種の評価方法について図2を参照して説明する。図2は、第1実施形態にかかる癌種の評価方法の一例を示すフローチャートである。
まず、動物やヒトなどの個体から採取した血液から、アミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データを測定する(ステップSA−11)。なお、アミノ酸の濃度値の測定は、上述した方法で行う。
つぎに、ステップSA−11で測定した個体のアミノ酸濃度データから欠損値や外れ値などのデータを除去する(ステップSA−12)。
つぎに、ステップSA−12で欠損値や外れ値などのデータが除去された個体のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値と予め設定された閾値(カットオフ値)とを比較することで、個体につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌)の中から、どの癌であるかを判別する、もしくはステップSA−12で欠損値や外れ値などのデータが除去された個体のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値、およびアミノ酸の濃度を変数としGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを変数として含む予め設定した1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群に基づいて、当該多変量判別式群を構成する多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出し、算出した1つまたは複数の判別値で構成される判別値群と予め設定された閾値(カットオフ値)とを比較することで、個体につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌)の中から、どの癌であるかを判別する(ステップSA−13)。
[1−3.第1実施形態のまとめ、およびその他の実施形態]
以上、詳細に説明したように、第1実施形態にかかる癌の評価方法によれば、(1)個体から採取した血液からアミノ酸濃度データを測定し、(2)測定した個体のアミノ酸濃度データから欠損値や外れ値などのデータを除去し、(3)欠損値や外れ値などのデータが除去された個体のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値と予め設定された閾値(カットオフ値)とを比較することで、個体につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌)の中から、どの癌であるかを判別する、もしくは欠損値や外れ値などのデータが除去された個体のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値、およびアミノ酸の濃度を変数としGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを変数として含む予め設定した1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群に基づいて、当該多変量判別式群を構成する多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出し、算出した1つまたは複数の判別値で構成される判別値群と予め設定された閾値(カットオフ値)とを比較することで、個体につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌)の中から、どの癌であるかを判別する。これにより、血液中のアミノ酸の濃度のうち癌の多群判別に有用なアミノ酸の濃度又は癌の多群判別に有用な多変量判別式群で得られる判別値群を利用して、癌の多群判別を精度よく行うことができる。
以上、詳細に説明したように、第1実施形態にかかる癌の評価方法によれば、(1)個体から採取した血液からアミノ酸濃度データを測定し、(2)測定した個体のアミノ酸濃度データから欠損値や外れ値などのデータを除去し、(3)欠損値や外れ値などのデータが除去された個体のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値と予め設定された閾値(カットオフ値)とを比較することで、個体につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌)の中から、どの癌であるかを判別する、もしくは欠損値や外れ値などのデータが除去された個体のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値、およびアミノ酸の濃度を変数としGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを変数として含む予め設定した1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群に基づいて、当該多変量判別式群を構成する多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出し、算出した1つまたは複数の判別値で構成される判別値群と予め設定された閾値(カットオフ値)とを比較することで、個体につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌)の中から、どの癌であるかを判別する。これにより、血液中のアミノ酸の濃度のうち癌の多群判別に有用なアミノ酸の濃度又は癌の多群判別に有用な多変量判別式群で得られる判別値群を利用して、癌の多群判別を精度よく行うことができる。
また、ステップSA−13において、多変量判別式群を構成する各々の多変量判別式は、分数式、ロジスティック回帰式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、決定木で作成された式のいずれか1つでもよい。具体的には、多変量判別式群は、以下の判別式群1から16のいずれか1つでもよい。これにより、癌の多群判別に特に有用な多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の多群判別をさらに精度よく行うことができる。〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを変数とする2つの分数式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを変数とする2つの分数式
なお、これらの多変量判別式群を構成する各々の多変量判別式は、本出願人による国際出願である国際公開第2004/052191号に記載の方法や、本出願人による国際出願である国際公開第2006/098192号に記載の方法(後述する第2実施形態に記載の多変量判別式作成処理)で作成することができる。これら方法で得られた多変量判別式であれば、入力データとしてのアミノ酸濃度データにおけるアミノ酸濃度の単位に因らず、当該多変量判別式を癌の種類の評価に好適に用いることができる。
[第2実施形態]
[2−1.本発明の概要]
ここでは、本発明にかかる癌種評価装置、癌種評価方法、癌種評価システム、癌種評価プログラムおよび記録媒体の概要について、図3を参照して説明する。図3は本発明の基本原理を示す原理構成図である。
[2−1.本発明の概要]
ここでは、本発明にかかる癌種評価装置、癌種評価方法、癌種評価システム、癌種評価プログラムおよび記録媒体の概要について、図3を参照して説明する。図3は本発明の基本原理を示す原理構成図である。
まず、本発明は、制御部で、アミノ酸の濃度を変数としGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを変数として含む記憶部で記憶した1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群およびアミノ酸の濃度値に関する予め取得した評価対象(例えば動物やヒトなど個体)のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値に基づいて、当該多変量判別式群を構成する多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出する(ステップS−21)。
つぎに、本発明は、制御部で、ステップS−21で算出した1つまたは複数の判別値で構成される判別値群に基づいて、評価対象につき、癌の種類を評価する(ステップS−22)。
以上、本発明によれば、アミノ酸の濃度を変数としGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを変数として含む記憶部で記憶した1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群およびアミノ酸の濃度値に関する予め取得した評価対象のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値に基づいて、当該多変量判別式群を構成する多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出し、算出した1つまたは複数の判別値で構成される判別値群に基づいて、評価対象につき、癌の種類を評価する。これにより、各種の癌の状態と有意な相関がある多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の種類を精度よく評価することができる。具体的には、複数の癌に罹患している可能性の高い被験者を1種の検体で且つ短時間に絞り込むことができ、その結果、被験者への時間的、身体的および金銭的負担を軽減することができる。また、具体的には、複数のアミノ酸の濃度や当該アミノ酸の濃度を変数とする1つ又は複数の判別式からなる判別式群により、ある検体が癌を発症しているか否か、そして癌を発症している場合にはその発症部位がどこであるかを精度よく評価することができ、その結果、検査の効率化や高精度化を図ることができる。
ここで、ステップS−22では、ステップS−21で算出した判別値群に基づいて、評価対象につき、予め設定した複数の種類の癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(より具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌))の中から、どの癌であるかを判別してもよい。具体的には、判別値群と予め設定された閾値(カットオフ値)とを比較することで、評価対象につき、予め設定した複数の種類の癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(より具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌))の中から、どの癌であるかを判別してもよい。これにより、癌の多群判別に有用な多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の多群判別を精度よく行うことができる。
また、多変量判別式群を構成する各々の多変量判別式は、分数式、ロジスティック回帰式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、決定木で作成された式のいずれか1つでもよい。具体的には、多変量判別式群は、以下の判別式群1から16のいずれか1つでもよい。これにより、癌の多群判別に特に有用な多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の多群判別をさらに精度よく行うことができる。
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを変数とする2つの分数式
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを変数とする2つの分数式
なお、これらの多変量判別式群を構成する各々の多変量判別式は、本出願人による国際出願である国際公開第2004/052191号に記載の方法や、本出願人による国際出願である国際公開第2006/098192号に記載の方法(後述する多変量判別式作成処理)で作成することができる。これら方法で得られた多変量判別式であれば、入力データとしてのアミノ酸濃度データにおけるアミノ酸濃度の単位に因らず、当該多変量判別式を癌の種類の評価に好適に用いることができる。
ここで、多変量判別式とは、一般に多変量解析で用いられる式の形式を意味し、例えば分数式、重回帰式、多重ロジスティック回帰式、線形判別関数、マハラノビス距離、正準判別関数、サポートベクターマシン、決定木などを包含する。また、異なる形式の多変量判別式の和で示されるような式も含まれる。また、重回帰式、多重ロジスティック回帰式、正準判別関数においては各変数に係数および定数項が付加されるが、この場合の係数および定数項は、好ましくは実数であること、より好ましくはデータから判別を行うために得られた係数および定数項の99%信頼区間の範囲に属する値、さらに好ましくはデータから判別を行うために得られた係数および定数項の95%信頼区間の範囲に属する値であればかまわない。また、各係数の値、及びその信頼区間は、それを実数倍したものでもよく、定数項の値、及びその信頼区間は、それに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。
また、分数式とは、当該分数式の分子がアミノ酸A,B,C,・・・の和で表わされ、且つ当該分数式の分母がアミノ酸a,b,c,・・・の和で表わされるものである。また、分数式には、このような構成の分数式α,β,γ,・・・の和(例えばα+βのようなもの)も含まれる。また、分数式には、分割された分数式も含まれる。なお、分子や分母に用いられるアミノ酸にはそれぞれ適当な係数がついてもかまわない。また、分子や分母に用いられるアミノ酸は重複してもかまわない。また、各分数式に適当な係数がついてもかまわない。また、各変数の係数の値や定数項の値は、実数であればかまわない。分数式で、分子の変数と分母の変数を入れ替えた組み合わせは、目的変数との相関の正負の符号は概して逆転するが、それらの相関性は保たれるので、判別性では同等と見なせるので、分子の変数と分母の変数を入れ替えた組み合わせも、包含するものである。
なお、本発明は、癌の種類を評価する際(具体的には、どの癌であるかを判別する際)、アミノ酸の濃度以外に、その他の代謝物の濃度や遺伝子の発現量、タンパク質の発現量、被験者の年齢・性別、喫煙の有無、心電図の波形を数値化したものなどをさらに用いてもかまわない。また、本発明は、癌の種類を評価する際(具体的には、どの癌であるかを判別する際)、多変量判別式における変数として、アミノ酸の濃度以外に、その他の代謝物の濃度や遺伝子の発現量、タンパク質の発現量、被験者の年齢・性別、喫煙の有無、心電図の波形を数値化したものなどをさらに用いてもかまわない。
ここで、多変量判別式作成処理(工程1〜工程4)の概要について詳細に説明する。なお、この多変量判別式作成処理は、癌の種類を評価する際の対象とする癌(具体的には、上述した大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌など)をまとめたデータに対して一括して実行される。
まず、本発明は、制御部で、アミノ酸濃度データと癌の状態を表す指標に関する癌状態指標データとを含む記憶部で記憶した癌状態情報から所定の式作成手法に基づいて、多変量判別式群の候補である候補多変量判別式群(例えば、y=a1x1+a2x2+・・・+anxn、y:癌状態指標データ、xi:アミノ酸濃度データ、ai:定数、i=1,2,・・・,n)を作成する(工程1)。なお、事前に、癌状態情報から欠損値や外れ値などを持つデータを除去してもよい。
なお、工程1において、癌状態情報から、複数の異なる式作成手法(主成分分析や判別分析、サポートベクターマシン、重回帰分析、ロジスティック回帰分析、k−means法、クラスター解析、決定木などの多変量解析に関するものを含む。)を併用して複数の候補多変量判別式群を作成してもよい。具体的には、多数の健常者および癌患者から得た血液を分析して得たアミノ酸濃度データおよび癌状態指標データから構成される多変量データである癌状態情報に対して、複数の異なるアルゴリズムを利用して複数の候補多変量判別式群を同時並行的に作成してもよい。例えば、異なるアルゴリズムを利用して判別分析およびロジスティック回帰分析を同時に行い、2つの異なる候補多変量判別式を作成してもよい。また、主成分分析を行って作成した候補多変量判別式群を利用して癌状態情報を変換し、変換した癌状態情報に対して判別分析を行うことで候補多変量判別式群を作成してもよい。これにより、最終的に、診断条件に合った適切な多変量判別式群を作成することができる。
ここで、主成分分析を用いて作成した候補多変量判別式群は、全てのアミノ酸濃度データの分散を最大にするような各アミノ酸変数からなる一次式である。また、判別分析を用いて作成した候補多変量判別式群は、各群内の分散の和の全てのアミノ酸濃度データの分散に対する比を最小にするような各アミノ酸変数からなる高次式(指数や対数を含む)である。また、サポートベクターマシンを用いて作成した候補多変量判別式群は、群間の境界を最大にするような各アミノ酸変数からなる高次式(カーネル関数を含む)である。また、重回帰分析を用いて作成した候補多変量判別式は、全てのアミノ酸濃度データからの距離の和を最小にするような各アミノ酸変数からなる高次式である。ロジスティック回帰分析を用いて作成した候補多変量判別式は、尤度を最大にするような各アミノ酸変数からなる一次式を指数とする自然対数を項に持つ分数式である。また、k−means法とは、各アミノ酸濃度データのk個近傍を探索し、近傍点の属する群の中で一番多いものをそのデータの所属群と定義し、入力されたアミノ酸濃度データの属する群と定義された群とが最も合致するようなアミノ酸変数を選択する手法である。また、クラスター解析とは、全てのアミノ酸濃度データの中で最も近い距離にある点同士をクラスタリング(群化)する手法である。また、決定木とは、アミノ酸変数に序列をつけて、序列が上位であるアミノ酸変数の取りうるパターンからアミノ酸濃度データの群を予測する手法である。
多変量判別式作成処理の説明に戻り、本発明は、制御部で、工程1で作成した候補多変量判別式群を、所定の検証手法に基づいて検証(相互検証)する(工程2)。候補多変量判別式群の検証は、工程1で作成した各候補多変量判別式群に対して行う。
なお、工程2において、ブートストラップ法やホールドアウト法、リーブワンアウト法などのうち少なくとも1つに基づいて候補多変量判別式群の判別率や感度、特異性、情報量基準などのうち少なくとも1つに関して検証してもよい。これにより、癌状態情報や診断条件を考慮した予測性または堅牢性の高い候補多変量判別式群を作成することができる。
ここで、判別率とは、全入力データの中で、本発明で評価した癌の状態が正しい割合である。また、感度とは、入力データに記載された癌の状態が罹病になっているものの中で、本発明で評価した癌の状態が正しい割合である。また、特異性とは、入力データに記載された癌の状態が健常になっているものの中で、本発明で評価した癌の状態が正しい割合である。また、情報量基準とは、工程1で作成した候補多変量判別式群のアミノ酸変数の数と、本発明で評価した癌の状態および入力データに記載された癌の状態の差異と、を足し合わせたものである。また、予測性とは、候補多変量判別式群の検証を繰り返すことで得られた判別率や感度、特異性を平均したものである。また、堅牢性とは、候補多変量判別式群の検証を繰り返すことで得られた判別率や感度、特異性の分散である。
多変量判別式作成処理の説明に戻り、本発明は、制御部で、工程2での検証結果から所定の変数選択手法に基づいて候補多変量判別式群の変数を選択することで、候補多変量判別式群を作成する際に用いる癌状態情報に含まれるアミノ酸濃度データの組み合わせを選択する(工程3)。アミノ酸変数の選択は、工程1で作成した各候補多変量判別式群に対して行う。これにより、候補多変量判別式群のアミノ酸変数を適切に選択することができる。そして、工程3で選択したアミノ酸濃度データを含む癌状態情報を用いて再び工程1を実行する。
なお、工程3において、工程2での検証結果からステップワイズ法、ベストパス法、近傍探索法、遺伝的アルゴリズムのうち少なくとも1つに基づいて候補多変量判別式群のアミノ酸変数を選択してもよい。
ここで、ベストパス法とは、候補多変量判別式群に含まれるアミノ酸変数を1つずつ順次減らしていき、候補多変量判別式群が与える評価指標を最適化することでアミノ酸変数を選択する方法である。
多変量判別式作成処理の説明に戻り、本発明は、制御部で、上述した工程1、工程2および工程3を繰り返し実行し、これにより蓄積した検証結果に基づいて、複数の候補多変量判別式群の中から多変量判別式群として採用する候補多変量判別式群を選出することで、多変量判別式群を作成する(工程4)。なお、候補多変量判別式群の選出には、例えば、同じ式作成手法で作成した候補多変量判別式群の中から最適なものを選出する場合と、すべての候補多変量判別式群の中から最適なものを選出する場合とがある。
以上、説明したように、多変量判別式作成処理では、癌状態情報に基づいて、候補多変量判別式群の作成、候補多変量判別式群の検証および候補多変量判別式群の変数の選択に関する処理を一連の流れで体系化(システム化)して実行することにより、個々の癌の状態の評価に最適な多変量判別式を作成することができ、その結果、癌の種類の評価に最適な多変量判別式群(具体的には、癌の多群判別用の多変量判別式群)を得ることができる。
[2−2.システム構成]
ここでは、第2実施形態にかかる癌種評価システム(以下では本システムと記す場合がある。)の構成について、図4から図20を参照して説明する。なお、本システムはあくまでも一例であり、本発明はこれに限定されない。
ここでは、第2実施形態にかかる癌種評価システム(以下では本システムと記す場合がある。)の構成について、図4から図20を参照して説明する。なお、本システムはあくまでも一例であり、本発明はこれに限定されない。
まず、本システムの全体構成について図4および図5を参照して説明する。図4は本システムの全体構成の一例を示す図である。また、図5は本システムの全体構成の他の一例を示す図である。本システムは、図4に示すように、評価対象につき癌の種類を評価する癌種評価装置100と、アミノ酸の濃度値に関する評価対象のアミノ酸濃度データを提供する情報通信端末装置であるクライアント装置200とを、ネットワーク300を介して通信可能に接続して構成されている。
なお、本システムは、図5に示すように、癌種評価装置100やクライアント装置200の他に、癌種評価装置100で多変量判別式を作成する際に用いる癌状態情報や癌の状態を評価するために用いる多変量判別式などを格納したデータベース装置400を、ネットワーク300を介して通信可能に接続して構成されてもよい。これにより、ネットワーク300を介して、癌種評価装置100からクライアント装置200やデータベース装置400へ、あるいはクライアント装置200やデータベース装置400から癌種評価装置100へ、癌の状態に関する情報などが提供される。ここで、癌の状態に関する情報とは、ヒトを含む生物の癌の状態に関する特定の項目について測定した値に関する情報である。また、癌の状態に関する情報は、癌種評価装置100やクライアント装置200や他の装置(例えば各種の計測装置等)で生成され、主にデータベース装置400に蓄積される。
つぎに、本システムの癌種評価装置100の構成について図6から図18を参照して説明する。図6は、本システムの癌種評価装置100の構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。
癌種評価装置100は、当該癌種評価装置100を統括的に制御するCPU等の制御部102と、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して当該癌種評価装置をネットワーク300に通信可能に接続する通信インターフェース部104と、各種のデータベースやテーブルやファイルなどを格納する記憶部106と、入力装置112や出力装置114に接続する入出力インターフェース部108と、で構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。ここで、癌種評価装置100は、各種の分析装置(例えばアミノ酸アナライザー等)と同一筐体で構成されてもよい。また、癌種評価装置100の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷等に応じた任意の単位で、機能的または物理的に分散・統合して構成してもよい。例えば、処理の一部をCGI(Common Gateway Interface)を用いて実現してもよい。
記憶部106は、ストレージ手段であり、例えば、RAM・ROM等のメモリ装置や、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等を用いることができる。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。記憶部106は、図示の如く、利用者情報ファイル106aと、アミノ酸濃度データファイル106bと、癌状態情報ファイル106cと、指定癌状態情報ファイル106dと、多変量判別式関連情報データベース106eと、判別値ファイル106fと、評価結果ファイル106gと、を格納する。
利用者情報ファイル106aは、利用者に関する利用者情報を格納する。図7は、利用者情報ファイル106aに格納される情報の一例を示す図である。利用者情報ファイル106aに格納される情報は、図7に示すように、利用者を一意に識別するための利用者IDと、利用者が正当な者であるか否かの認証を行うための利用者パスワードと、利用者の氏名と、利用者の所属する所属先を一意に識別するための所属先IDと、利用者の所属する所属先の部門を一意に識別するための部門IDと、部門名と、利用者の電子メールアドレスと、を相互に関連付けて構成されている。
図6に戻り、アミノ酸濃度データファイル106bは、アミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データを格納する。図8は、アミノ酸濃度データファイル106bに格納される情報の一例を示す図である。アミノ酸濃度データファイル106bに格納される情報は、図8に示すように、評価対象である個体(サンプル)を一意に識別するための個体番号と、アミノ酸濃度データとを相互に関連付けて構成されている。ここで、図8では、アミノ酸濃度データを数値、すなわち連続尺度として扱っているが、アミノ酸濃度データは名義尺度や順序尺度でもよい。なお、名義尺度や順序尺度の場合は、それぞれの状態に対して任意の数値を与えることで解析してもよい。また、アミノ酸濃度データに、他の生体情報(アミノ酸以外の他の代謝物の濃度や遺伝子の発現量、タンパク質の発現量、被験者の年齢・性別、喫煙の有無、心電図の波形を数値化したものなど)を組み合わせてもよい。
図6に戻り、癌状態情報ファイル106cは、多変量判別式を作成する際に用いる癌状態情報を格納する。図9は、癌状態情報ファイル106cに格納される情報の一例を示す図である。癌状態情報ファイル106cに格納される情報は、図9に示すように、個体番号と、癌の状態を表す指標(指標T1、指標T2、指標T3・・・)に関する癌状態指標データ(T)と、アミノ酸濃度データと、を相互に関連付けて構成されている。ここで、図9では、癌状態指標データおよびアミノ酸濃度データを数値(すなわち連続尺度)として扱っているが、癌状態指標データおよびアミノ酸濃度データは名義尺度や順序尺度でもよい。なお、名義尺度や順序尺度の場合は、それぞれの状態に対して任意の数値を与えることで解析してもよい。また、癌状態指標データは、癌の状態のマーカーとなる既知の単一の状態指標であり、数値データを用いてもよい。
図6に戻り、指定癌状態情報ファイル106dは、後述する癌状態情報指定部102gで指定した癌状態情報を格納する。図10は、指定癌状態情報ファイル106dに格納される情報の一例を示す図である。指定癌状態情報ファイル106dに格納される情報は、図10に示すように、個体番号と、指定した癌状態指標データと、指定したアミノ酸濃度データと、を相互に関連付けて構成されている。
図6に戻り、多変量判別式関連情報データベース106eは、後述する候補多変量判別式作成部102h1で作成した候補多変量判別式群を格納する候補多変量判別式ファイル106e1と、後述する候補多変量判別式検証部102h2での検証結果を格納する検証結果ファイル106e2と、後述する変数選択部102h3で選択したアミノ酸濃度データの組み合わせを含む癌状態情報を格納する選択癌状態情報ファイル106e3と、後述する多変量判別式作成部102hで作成した多変量判別式群を格納する多変量判別式ファイル106e4と、で構成される。
候補多変量判別式ファイル106e1は、後述する候補多変量判別式作成部102h1で作成した候補多変量判別式群を格納する。図11は、候補多変量判別式ファイル106e1に格納される情報の一例を示す図である。候補多変量判別式ファイル106e1に格納される情報は、図11に示すように、ランクと、候補多変量判別式(図11では、F1(Gly,Leu,Phe,・・・)やF2(Gly,Leu,Phe,・・・)、F3(Gly,Leu,Phe,・・・)など)とを相互に関連付けて構成されている。
図6に戻り、検証結果ファイル106e2は、後述する候補多変量判別式検証部102h2での検証結果を格納する。図12は、検証結果ファイル106e2に格納される情報の一例を示す図である。検証結果ファイル106e2に格納される情報は、図12に示すように、ランクと、候補多変量判別式(図12では、Fk(Gly,Leu,Phe,・・・)やFm(Gly,Leu,Phe,・・・)、Fl(Gly,Leu,Phe,・・・)など)と、各候補多変量判別式の検証結果(例えば各候補多変量判別式の評価値)と、を相互に関連付けて構成されている。
図6に戻り、選択癌状態情報ファイル106e3は、後述する変数選択部102h3で選択した変数に対応するアミノ酸濃度データの組み合わせを含む癌状態情報を格納する。図13は、選択癌状態情報ファイル106e3に格納される情報の一例を示す図である。選択癌状態情報ファイル106e3に格納される情報は、図13に示すように、個体番号と、後述する癌状態情報指定部102gで指定した癌状態指標データと、後述する変数選択部102h3で選択したアミノ酸濃度データと、を相互に関連付けて構成されている。
図6に戻り、多変量判別式ファイル106e4は、後述する多変量判別式作成部102hで作成した多変量判別式群を格納する。図14は、多変量判別式ファイル106e4に格納される情報の一例を示す図である。多変量判別式ファイル106e4に格納される情報は、図14に示すように、ランクと、多変量判別式(図14では、Fp(Phe,・・・)やFp(Gly,Leu,Phe)、Fk(Gly,Leu,Phe,・・・)など)と、各式作成手法に対応する閾値と、各多変量判別式の検証結果(例えば各多変量判別式の評価値)と、を相互に関連付けて構成されている。
図6に戻り、判別値ファイル106fは、後述する判別値算出部102iで算出した判別値を格納する。図15は、判別値ファイル106fに格納される情報の一例を示す図である。判別値ファイル106fに格納される情報は、図15に示すように、評価対象である個体(サンプル)を一意に識別するための個体番号と、ランク(多変量判別式を一意に識別するための番号)と、判別値と、を相互に関連付けて構成されている。
図6に戻り、評価結果ファイル106gは、後述する判別値基準評価部102jでの評価結果(具体的には、後述する判別値基準判別部102j1での判別結果)を格納する。図16は、評価結果ファイル106gに格納される情報の一例を示す図である。評価結果ファイル106gに格納される情報は、評価対象である個体(サンプル)を一意に識別するための個体番号と、予め取得した評価対象のアミノ酸濃度データと、各々の多変量判別式で算出した1つ又は複数の判別値と、癌の種類に関する評価結果(具体的には、どの癌であるかに関する判別結果)と、を相互に関連付けて構成されている。
図6に戻り、記憶部106には、上述した情報以外にその他情報として、Webサイトをクライアント装置200に提供するための各種のWebデータや、CGIプログラム等が記録されている。Webデータとしては後述する各種のWebページを表示するためのデータ等があり、これらデータは例えばHTMLやXMLで記述されたテキストファイルとして形成されている。また、Webデータを作成するための部品用のファイルや作業用のファイルやその他一時的なファイル等も記憶部106に記憶される。記憶部106には、必要に応じて、クライアント装置200に送信するための音声をWAVE形式やAIFF形式の如き音声ファイルで格納したり、静止画や動画をJPEG形式やMPEG2形式の如き画像ファイルで格納したりすることができる。
通信インターフェース部104は、癌種評価装置100とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)との間における通信を媒介する。すなわち、通信インターフェース部104は、他の端末と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。
入出力インターフェース部108は、入力装置112や出力装置114に接続する。ここで、出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる(なお、以下では、出力装置114をモニタ114として記載する場合がある。)。入力装置112には、キーボードやマウスやマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、図示の如く、大別して、要求解釈部102aと閲覧処理部102bと認証処理部102cと電子メール生成部102dとWebページ生成部102eと受信部102fと癌状態情報指定部102gと多変量判別式作成部102hと判別値算出部102iと判別値基準評価部102jと結果出力部102kと送信部102mとを備えている。制御部102は、データベース装置400から送信された癌状態情報やクライアント装置200から送信されたアミノ酸濃度データに対して、欠損値のあるデータの除去・外れ値の多いデータの除去・欠損値のあるデータの多い変数の除去などのデータ処理も行う。
要求解釈部102aは、クライアント装置200やデータベース装置400からの要求内容を解釈し、その解釈結果に応じて制御部102の各部に処理を受け渡す。閲覧処理部102bは、クライアント装置200からの各種画面の閲覧要求を受けて、これら画面のWebデータの生成や送信を行なう。認証処理部102cは、クライアント装置200やデータベース装置400からの認証要求を受けて、認証判断を行う。電子メール生成部102dは、各種の情報を含んだ電子メールを生成する。Webページ生成部102eは、利用者がクライアント装置200で閲覧するWebページを生成する。
受信部102fは、クライアント装置200やデータベース装置400から送信された情報(具体的には、アミノ酸濃度データや癌状態情報、多変量判別式群など)を、ネットワーク300を介して受信する。癌状態情報指定部102gは、多変量判別式群を作成するにあたり、対象とする癌状態指標データおよびアミノ酸濃度データを指定する。
多変量判別式作成部102hは、受信部102fで受信した癌状態情報や癌状態情報指定部102gで指定した癌状態情報に基づいて多変量判別式群を作成する。具体的には、多変量判別式作成部102hは、癌状態情報から、候補多変量判別式作成部102h1、候補多変量判別式検証部102h2および変数選択部102h3を繰り返し実行させることにより蓄積された検証結果に基づいて、複数の候補多変量判別式群の中から多変量判別式群として採用する候補多変量判別式群を選出することで、多変量判別式群を作成する。
なお、多変量判別式群が予め記憶部106の所定の記憶領域に格納されている場合には、多変量判別式作成部102hは、記憶部106から所望の多変量判別式群を選択することで、多変量判別式群を作成してもよい。また、多変量判別式作成部102hは、多変量判別式群を予め格納した他のコンピュータ装置(例えばデータベース装置400)から所望の多変量判別式群を選択しダウンロードすることで、多変量判別式群を作成してもよい。
ここで、多変量判別式作成部102hの構成について図17を参照して説明する。図17は、多変量判別式作成部102hの構成を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。多変量判別式作成部102hは、候補多変量判別式作成部102h1と、候補多変量判別式検証部102h2と、変数選択部102h3と、をさらに備えている。候補多変量判別式作成部102h1は、癌状態情報から所定の式作成手法に基づいて多変量判別式群の候補である候補多変量判別式群を作成する。なお、候補多変量判別式作成部102h1は、癌状態情報から、複数の異なる式作成手法を併用して複数の候補多変量判別式群を作成してもよい。候補多変量判別式検証部102h2は、候補多変量判別式作成部102h1で作成した候補多変量判別式群を所定の検証手法に基づいて検証する。なお、候補多変量判別式検証部102h2は、ブートストラップ法、ホールドアウト法、リーブワンアウト法のうち少なくとも1つに基づいて候補多変量判別式群の判別率、感度、特異性、情報量基準のうち少なくとも1つに関して検証してもよい。変数選択部102h3は、候補多変量判別式検証部102h2での検証結果から所定の変数選択手法に基づいて候補多変量判別式群の変数を選択することで、候補多変量判別式群を作成する際に用いる癌状態情報に含まれるアミノ酸濃度データの組み合わせを選択する。なお、変数選択部102h3は、検証結果からステップワイズ法、ベストパス法、近傍探索法、遺伝的アルゴリズムのうち少なくとも1つに基づいて候補多変量判別式群の変数を選択してもよい。
図6に戻り、判別値算出部102iは、多変量判別式作成部102hで作成したGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを変数として含む1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群および受信部102fで受信した評価対象のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値に基づいて、当該多変量判別式群を構成する多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出する。
ここで、多変量判別式群を構成する各々の多変量判別式は、分数式、ロジスティック回帰式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、決定木で作成された式のいずれか1つでもよい。具体的には、多変量判別式群は、以下の判別式群1から16のいずれか1つでもよい。
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを変数とする2つの分数式
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを変数とする2つの分数式
判別値基準評価部102jは、判別値算出部102iで算出した1つまたは複数の判別値で構成される判別値群に基づいて、評価対象につき、癌の種類を評価する。判別値基準評価部102jは、判別値基準判別部102j1をさらに備えている。ここで、判別値基準評価部102jの構成について図18を参照して説明する。図18は、判別値基準評価部102jの構成を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。判別値基準判別部102j1は、判別値群に基づいて、評価対象につき、予め設定した複数の種類の癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(より具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌))の中から、どの癌であるかを判別する。具体的には、判別値基準判別部102j1は、判別値群と予め設定された閾値(カットオフ値)とを比較することで、評価対象につき、予め設定した複数の種類の癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(より具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌))の中から、どの癌であるかを判別する。
図6に戻り、結果出力部102kは、制御部102の各処理部での処理結果(判別値基準評価部102jでの評価結果(具体的には判別値基準判別部102j1での判別結果)を含む)等を出力装置114に出力する。
送信部102mは、評価対象のアミノ酸濃度データの送信元のクライアント装置200に対して評価結果を送信したり、データベース装置400に対して、癌種評価装置100で作成した多変量判別式や評価結果を送信したりする。
つぎに、本システムのクライアント装置200の構成について図19を参照して説明する。図19は、本システムのクライアント装置200の構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。
クライアント装置200は、制御部210とROM220とHD230とRAM240と入力装置250と出力装置260と入出力IF270と通信IF280とで構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
制御部210は、Webブラウザ211、電子メーラ212、受信部213、送信部214を備えている。Webブラウザ211は、Webデータを解釈し、解釈したWebデータを後述するモニタ261に表示するブラウズ処理を行う。なお、Webブラウザ211には、ストリーム映像の受信・表示・フィードバック等を行う機能を備えたストリームプレイヤ等の各種のソフトウェアをプラグインしてもよい。電子メーラ212は、所定の通信規約(例えば、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)やPOP3(Post Office Protocol version 3)等)に従って電子メールの送受信を行う。受信部213は、通信IF280を介して、癌種評価装置100から送信された評価結果などの各種情報を受信する。送信部214は、通信IF280を介して、評価対象のアミノ酸濃度データなどの各種情報を癌種評価装置100へ送信する。
入力装置250はキーボードやマウスやマイク等である。なお、後述するモニタ261もマウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。出力装置260は、通信IF280を介して受信した情報を出力する出力手段であり、モニタ(家庭用テレビを含む)261およびプリンタ262を含む。この他、出力装置260にスピーカ等を設けてもよい。入出力IF270は入力装置250や出力装置260に接続する。
通信IF280は、クライアント装置200とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)とを通信可能に接続する。換言すると、クライアント装置200は、モデムやTAやルータなどの通信装置および電話回線を介して、または専用線を介してネットワーク300に接続される。これにより、クライアント装置200は、所定の通信規約に従って癌種評価装置100にアクセスすることができる。
ここで、プリンタ・モニタ・イメージスキャナ等の周辺装置を必要に応じて接続した情報処理装置(例えば、既知のパーソナルコンピュータ・ワークステーション・家庭用ゲーム装置・インターネットTV・PHS端末・携帯端末・移動体通信端末・PDA等の情報処理端末など)に、Webデータのブラウジング機能や電子メール機能を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより、クライアント装置200を実現してもよい。
また、クライアント装置200の制御部210は、制御部210で行う処理の全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈して実行するプログラムで実現してもよい。ROM220またはHD230には、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。当該コンピュータプログラムは、RAM240にロードされることで実行され、CPUと協働して制御部210を構成する。また、当該コンピュータプログラムは、クライアント装置200と任意のネットワークを介して接続されるアプリケーションプログラムサーバに記録されてもよく、クライアント装置200は、必要に応じてその全部または一部をダウンロードしてもよい。また、制御部210で行う処理の全部または任意の一部を、ワイヤードロジック等によるハードウェアで実現してもよい。
つぎに、本システムのネットワーク300について図4、図5を参照して説明する。ネットワーク300は、癌種評価装置100とクライアント装置200とデータベース装置400とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやイントラネットやLAN(有線/無線の双方を含む)等である。なお、ネットワーク300は、VANや、パソコン通信網や、公衆電話網(アナログ/デジタルの双方を含む)や、専用回線網(アナログ/デジタルの双方を含む)や、CATV網や、携帯回線交換網または携帯パケット交換網(IMT2000方式、GSM方式またはPDC/PDC−P方式等を含む)や、無線呼出網や、Bluetooth(登録商標)等の局所無線網や、PHS網や、衛星通信網(CS、BSまたはISDB等を含む)等でもよい。
つぎに、本システムのデータベース装置400の構成について図20を参照して説明する。図20は、本システムのデータベース装置400の構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。
データベース装置400は、癌種評価装置100または当該データベース装置400で多変量判別式群を作成する際に用いる癌状態情報や、癌種評価装置100で作成した多変量判別式群、癌種評価装置100での評価結果などを格納する機能を有する。図20に示すように、データベース装置400は、当該データベース装置400を統括的に制御するCPU等の制御部402と、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回路を介して当該データベース装置400をネットワーク300に通信可能に接続する通信インターフェース部404と、各種のデータベースやテーブルやファイル(例えばWebページ用ファイル)などを格納する記憶部406と、入力装置412や出力装置414に接続する入出力インターフェース部408と、で構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
記憶部406は、ストレージ手段であり、例えば、RAM・ROM等のメモリ装置や、ハードディスクのような固定ディスク装置や、フレキシブルディスクや、光ディスク等を用いることができる。記憶部406には、各種処理に用いる各種プログラム等を格納する。通信インターフェース部404は、データベース装置400とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)との間における通信を媒介する。すなわち、通信インターフェース部404は、他の端末と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。入出力インターフェース部408は、入力装置412や出力装置414に接続する。ここで、出力装置414には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる(なお、以下で、出力装置414をモニタ414として記載する場合がある。)。また、入力装置412には、キーボードやマウスやマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
制御部402は、OS(Operating System)等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部402は、図示の如く、大別して、要求解釈部402aと閲覧処理部402bと認証処理部402cと電子メール生成部402dとWebページ生成部402eと送信部402fとを備えている。
要求解釈部402aは、癌種評価装置100からの要求内容を解釈し、その解釈結果に応じて制御部402の各部に処理を受け渡す。閲覧処理部402bは、癌種評価装置100からの各種画面の閲覧要求を受けて、これら画面のWebデータの生成や送信を行う。認証処理部402cは、癌種評価装置100からの認証要求を受けて、認証判断を行う。電子メール生成部402dは、各種の情報を含んだ電子メールを生成する。Webページ生成部402eは、利用者がクライアント装置200で閲覧するWebページを生成する。送信部402fは、癌状態情報や多変量判別式群などの各種情報を、癌種評価装置100へ送信する。
[2−3.本システムの処理]
ここでは、以上のように構成された本システムで行われる癌種評価サービス処理の一例を、図21を参照して説明する。図21は、癌種評価サービス処理の一例を示すフローチャートである。
ここでは、以上のように構成された本システムで行われる癌種評価サービス処理の一例を、図21を参照して説明する。図21は、癌種評価サービス処理の一例を示すフローチャートである。
なお、本処理で用いるアミノ酸濃度データは、個体から予め採取した血液を分析して得たアミノ酸の濃度値に関するものである。ここで、血液中のアミノ酸の分析方法について簡単に説明する。まず、採血した血液サンプルを、ヘパリン処理したチューブに採取し、その後、当該チューブに対して遠心分離を行うことで血漿を分離する。なお、分離したすべての血漿サンプルは、アミノ酸濃度の測定時まで−70℃で凍結保存する。そして、アミノ酸濃度の測定時に、血漿サンプルに対してスルホサリチル酸を添加し、3%濃度調整により除蛋白処理を行う。なお、アミノ酸濃度の測定には、ポストカラムでニンヒドリン反応を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を原理としたアミノ酸分析機を使用した。
まず、Webブラウザ211を表示した画面上で利用者が入力装置250を介して癌種評価装置100が提供するWebサイトのアドレス(URLなど)を指定すると、クライアント装置200は癌種評価装置100へアクセスする。具体的には、利用者がクライアント装置200のWebブラウザ211の画面更新を指示すると、Webブラウザ211は、癌種評価装置100が提供するWebサイトのアドレスを所定の通信規約で癌種評価装置100へ送信することで、アミノ酸濃度データ送信画面に対応するWebページの送信要求を、当該アドレスに基づくルーティングで癌種評価装置100へ行う。
つぎに、癌種評価装置100は、要求解釈部102aで、クライアント装置200からの送信を受け、当該送信の内容を解析し、解析結果に応じて制御部102の各部に処理を移す。具体的には、送信の内容がアミノ酸濃度データ送信画面に対応するWebページの送信要求であった場合、癌種評価装置100は、主として閲覧処理部102bで、記憶部106の所定の記憶領域に格納されている当該Webページを表示するためのWebデータを取得し、取得したWebデータをクライアント装置200へ送信する。より具体的には、利用者からアミノ酸濃度データ送信画面に対応するWebページの送信要求があった場合、癌種評価装置100は、まず、制御部102で、利用者IDや利用者パスワードの入力を利用者に対して求める。そして、利用者IDやパスワードが入力されると、癌種評価装置100は、認証処理部102cで、入力された利用者IDやパスワードと利用者情報ファイル106aに格納されている利用者IDや利用者パスワードとの認証判断を行う。そして、癌種評価装置100は、認証可の場合にのみ、閲覧処理部102bで、アミノ酸濃度データ送信画面に対応するWebページを表示するためのWebデータをクライアント装置200へ送信する。なお、クライアント装置200の特定は、クライアント装置200から送信要求と共に送信されたIPアドレスで行う。
つぎに、クライアント装置200は、癌種評価装置100から送信されたWebデータ(アミノ酸濃度データ送信画面に対応するWebページを表示するためのもの)を受信部213で受信し、受信したWebデータをWebブラウザ211で解釈し、モニタ261にアミノ酸濃度データ送信画面を表示する。
つぎに、モニタ261に表示されたアミノ酸濃度データ送信画面に対し利用者が入力装置250を介して個体のアミノ酸濃度データなどを入力・選択すると、クライアント装置200は、送信部214で、入力情報や選択事項を特定するための識別子を癌種評価装置100へ送信することで、評価対象の個体のアミノ酸濃度データを癌種評価装置100へ送信する(ステップSA−21)。なお、ステップSA−21におけるアミノ酸濃度データの送信は、FTP等の既存のファイル転送技術等により実現してもよい。
つぎに、癌種評価装置100は、要求解釈部102aで、クライアント装置200から送信された識別子を解釈することによりクライアント装置200の要求内容を解釈し、癌の種類の評価用(具体的には予め設定した複数の種類の癌のうちのどの癌であるかの多群判別用)の多変量判別式群の送信要求をデータベース装置400へ行う。
つぎに、データベース装置400は、要求解釈部402aで、癌種評価装置100からの送信要求を解釈し、記憶部406の所定の記憶領域に格納したGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを変数として含む1つまたは複数の多変量判別式(例えばアップデートされた最新のもの)で構成される多変量判別式群を癌種評価装置100へ送信する(ステップSA−22)。
ここで、ステップSA−22において、癌種評価装置100へ送信する多変量判別式群を構成する各々の多変量判別式は、分数式、ロジスティック回帰式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、決定木で作成された式のいずれか1つでもよい。具体的には、多変量判別式群は、以下の判別式群1から16のいずれか1つでもよい。
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを変数とする2つの分数式
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを変数とする2つの分数式
つぎに、癌種評価装置100は、受信部102fで、クライアント装置200から送信された個体のアミノ酸濃度データおよびデータベース装置400から送信された多変量判別式群を受信し、受信したアミノ酸濃度データをアミノ酸濃度データファイル106bの所定の記憶領域に格納すると共に、受信した多変量判別式群を構成する各々の多変量判別式を多変量判別式ファイル106e4の所定の記憶領域に格納する(ステップSA−23)。
つぎに、癌種評価装置100は、制御部102で、ステップSA−23で受信した個体のアミノ酸濃度データから欠損値や外れ値などのデータを除去する(ステップSA−24)。
つぎに、癌種評価装置100は、判別値算出部102iで、ステップSA−24で欠損値や外れ値などのデータが除去された個体のアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値およびステップSA−23で受信した多変量判別式群に基づいて、当該多変量判別式群を構成する多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出する(ステップSA−25)。
つぎに、癌種評価装置100は、判別値基準判別部102j1で、ステップSA−25で算出した1つまたは複数の判別値で構成される判別値群と予め設定された閾値(カットオフ値)とを比較することで、個体につき、予め設定した複数の種類の癌(具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの癌(より具体的には、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの癌))の中から、どの癌であるかを判別し、その判別結果を評価結果ファイル106gの所定の記憶領域に格納する(ステップSA−26)。
つぎに、癌種評価装置100は、送信部102mで、ステップSA−26で得た判別結果(どの癌であるかに関する判別結果)を、アミノ酸濃度データの送信元のクライアント装置200とデータベース装置400とへ送信する(ステップSA−27)。具体的には、まず、癌種評価装置100は、Webページ生成部102eで、判別結果を表示するためのWebページを作成し、作成したWebページに対応するWebデータを記憶部106の所定の記憶領域に格納する。ついで、利用者がクライアント装置200のWebブラウザ211に入力装置250を介して所定のURLを入力し上述した認証を経た後、クライアント装置200は、当該Webページの閲覧要求を癌種評価装置100へ送信する。ついで、癌種評価装置100は、閲覧処理部102bで、クライアント装置200から送信された閲覧要求を解釈し、判別結果を表示するためのWebページに対応するWebデータを記憶部106の所定の記憶領域から読み出す。そして、癌種評価装置100は、送信部102mで、読み出したWebデータをクライアント装置200へ送信すると共に、当該Webデータ又は判別結果をデータベース装置400へ送信する。
ここで、ステップSA−27において、癌種評価装置100は、制御部102で、判別結果を電子メールで利用者のクライアント装置200へ通知してもよい。具体的には、まず、癌種評価装置100は、電子メール生成部102dで、利用者IDなどを基にして利用者情報ファイル106aに格納されている利用者情報を送信タイミングに従って参照し、利用者の電子メールアドレスを取得する。ついで、癌種評価装置100は、電子メール生成部102dで、取得した電子メールアドレスを宛て先とし利用者の氏名および判別結果を含む電子メールに関するデータを生成する。ついで、癌種評価装置100は、送信部102mで、生成した当該データを利用者のクライアント装置200へ送信する。
また、ステップSA−27において、癌種評価装置100は、FTP等の既存のファイル転送技術等で、判別結果を利用者のクライアント装置200へ送信してもよい。
図21の説明に戻り、データベース装置400は、制御部402で、癌種評価装置100から送信された判別結果またはWebデータを受信し、受信した判別結果またはWebデータを記憶部406の所定の記憶領域に保存(蓄積)する(ステップSA−28)。
また、クライアント装置200は、受信部213で、癌種評価装置100から送信されたWebデータを受信し、受信したWebデータをWebブラウザ211で解釈し、個体の判別結果が記されたWebページの画面をモニタ261に表示する(ステップSA−29)。なお、判別結果が癌種評価装置100から電子メールで送信された場合には、クライアント装置200は、電子メーラ212の公知の機能で、癌種評価装置100から送信された電子メールを任意のタイミングで受信し、受信した電子メールをモニタ261に表示する。
以上により、利用者は、モニタ261に表示されたWebページを閲覧することで、癌の多群判別に関する個体の判別結果を確認することができる。なお、利用者は、モニタ261に表示されたWebページの表示内容をプリンタ262で印刷してもよい。
また、判別結果が癌種評価装置100から電子メールで送信された場合には、利用者は、モニタ261に表示された電子メールを閲覧することで、癌の多群判別に関する個体の判別結果を確認することができる。利用者は、モニタ261に表示された電子メールの表示内容をプリンタ262で印刷してもよい。
これにて、癌評価サービス処理の説明を終了する。
[2−4.第2実施形態のまとめ、およびその他の実施形態]
以上、詳細に説明したように、癌評価システムによれば、クライアント装置200は個体のアミノ酸濃度データを癌種評価装置100へ送信し、データベース装置400は癌種評価装置100からの要求を受けて癌の多群判別用の多変量判別式群(Glu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを変数として含む1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群)を癌種評価装置100へ送信する。そして、癌種評価装置100は、(1)クライアント装置200からアミノ酸濃度データを受信すると共にデータベース装置400から多変量判別式群を受信し、(2)受信したアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値および多変量判別式群に基づいて、当該多変量判別式群を構成する多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出し、(3)算出した1つまたは複数の判別値で構成される判別値群と予め設定した閾値とを比較することで、個体につき、予め設定した複数の種類の癌の中からどの癌であるかを判別し、(4)この判別結果をクライアント装置200やデータベース装置400へ送信する。そして、クライアント装置200は癌種評価装置100から送信された判別結果を受信して表示し、データベース装置400は癌種評価装置100から送信された判別結果を受信して格納する。これにより、癌の多群判別に有用な多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の多群判別を精度よく行うことができる。
以上、詳細に説明したように、癌評価システムによれば、クライアント装置200は個体のアミノ酸濃度データを癌種評価装置100へ送信し、データベース装置400は癌種評価装置100からの要求を受けて癌の多群判別用の多変量判別式群(Glu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを変数として含む1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群)を癌種評価装置100へ送信する。そして、癌種評価装置100は、(1)クライアント装置200からアミノ酸濃度データを受信すると共にデータベース装置400から多変量判別式群を受信し、(2)受信したアミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの濃度値および多変量判別式群に基づいて、当該多変量判別式群を構成する多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出し、(3)算出した1つまたは複数の判別値で構成される判別値群と予め設定した閾値とを比較することで、個体につき、予め設定した複数の種類の癌の中からどの癌であるかを判別し、(4)この判別結果をクライアント装置200やデータベース装置400へ送信する。そして、クライアント装置200は癌種評価装置100から送信された判別結果を受信して表示し、データベース装置400は癌種評価装置100から送信された判別結果を受信して格納する。これにより、癌の多群判別に有用な多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の多群判別を精度よく行うことができる。
ここで、癌評価システムによれば、多変量判別式群を構成する各々の多変量判別式は、分数式、ロジスティック回帰式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、決定木で作成された式のいずれか1つでもよい。具体的には、多変量判別式群は、以下の判別式群1から16のいずれか1つでもよい。これにより、癌の多群判別に特に有用な多変量判別式群で得られる判別値群を利用して癌の多群判別をさらに精度よく行うことができる。
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを変数とする2つの分数式
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを変数とする2つの分数式
なお、これらの多変量判別式群を構成する各々の多変量判別式は、本出願人による国際出願である国際公開第2004/052191号に記載の方法や、本出願人による国際出願である国際公開第2006/098192号に記載の方法(後述する多変量判別式作成処理)で作成することができる。これら方法で得られた多変量判別式であれば、入力データとしてのアミノ酸濃度データにおけるアミノ酸濃度の単位に因らず、当該多変量判別式を癌の種類の評価に好適に用いることができる。
また、本発明にかかる癌種評価装置、癌評価方法、癌評価システム、癌評価プログラムおよび記録媒体は、上述した第2実施形態以外にも種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。例えば、上述した第2実施形態で説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種の登録データおよび検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、癌種評価装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。また、癌種評価装置100の各部または各装置が備える処理機能(特に制御部102にて行なわれる各処理機能)については、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて、その全部または任意の一部を実現することができ、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現することもできる。
ここで、「プログラム」とは任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は、必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものを含む。なお、プログラムは、記録媒体に記録されており、必要に応じて癌種評価装置100に機械的に読み取られる。記録媒体に記録されたプログラムを各装置で読み取るための具体的な構成や読み取り手順や読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
また、「記録媒体」とは任意の「可搬用の物理媒体」や任意の「固定用の物理媒体」や「通信媒体」を含むものとする。なお、「可搬用の物理媒体」とはフレキシブルディスクや光磁気ディスクやROMやEPROMやEEPROMやCD−ROMやMOやDVD等である。「固定用の物理媒体」とは各種コンピュータシステムに内蔵されるROMやRAMやHD等である。「通信媒体」とは、LANやWANやインターネット等のネットワークを介してプログラムを送信する場合における通信回線や搬送波のように、短期にプログラムを保持するものである。
最後に、癌種評価装置100で行う多変量判別式作成処理の一例について図22を参照して詳細に説明する。図22は多変量判別式作成処理の一例を示すフローチャートである。なお、この多変量判別式作成処理は、癌の種類を評価する際の対象とする癌(具体的には、上述した大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌など)をまとめたデータに対して一括して実行される。なお、当該多変量判別式作成処理は、癌状態情報を管理するデータベース装置400で行ってもよい。
なお、本説明では、癌種評価装置100は、データベース装置400から事前に取得した癌状態情報を、癌状態情報ファイル106cの所定の記憶領域に格納しているものとする。また、癌種評価装置100は、癌状態情報指定部102gで事前に指定した癌状態指標データおよびアミノ酸濃度データを含む癌状態情報を、指定癌状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納しているものとする。
まず、多変量判別式作成部102hは、候補多変量判別式作成部102h1で、指定癌状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納されている癌状態情報から所定の式作成手法に基づいて候補多変量判別式群を作成し、作成した候補多変量判別式群を候補多変量判別式ファイル106e1の所定の記憶領域に格納する(ステップSB−21)。具体的には、まず、多変量判別式作成部102hは、候補多変量判別式作成部102h1で、複数の異なる式作成手法(主成分分析や判別分析、サポートベクターマシン、重回帰分析、ロジスティック回帰分析、k−means法、クラスター解析、決定木などの多変量解析に関するものを含む。)の中から所望のものを1つ選択し、選択した式作成手法に基づいて、作成する候補多変量判別式群の形(式の形)を決定する。つぎに、多変量判別式作成部102hは、候補多変量判別式作成部102h1で、癌状態情報に基づいて、選択した式選択手法に対応する種々(例えば平均や分散など)の計算を実行する。つぎに、多変量判別式作成部102hは、候補多変量判別式作成部102h1で、計算結果および決定した候補多変量判別式群のパラメータを決定する。これにより、選択した式作成手法に基づいて候補多変量判別式群が作成される。なお、複数の異なる式作成手法を併用して候補多変量判別式群を同時並行(並列)的に作成する場合は、選択した式作成手法ごとに上記の処理を並行して実行すればよい。また、複数の異なる式作成手法を併用して候補多変量判別式群を直列的に作成する場合は、例えば、主成分分析を行って作成した候補多変量判別式群を利用して癌状態情報を変換し、変換した癌状態情報に対して判別分析を行うことで候補多変量判別式群を作成してもよい。
つぎに、多変量判別式作成部102hは、候補多変量判別式検証部102h2で、ステップSB−21で作成した候補多変量判別式群を所定の検証手法に基づいて検証(相互検証)し、検証結果を検証結果ファイル106e2の所定の記憶領域に格納する(ステップSB−22)。具体的には、多変量判別式作成部102hは、候補多変量判別式検証部102h2で、指定癌状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納されている癌状態情報に基づいて候補多変量判別式群を検証する際に用いる検証用データを作成し、作成した検証用データに基づいて候補多変量判別式群を検証する。なお、ステップSB−21で複数の異なる式作成手法を併用して候補多変量判別式群を複数作成した場合には、多変量判別式作成部102hは、候補多変量判別式検証部102h2で、各式作成手法に対応する候補多変量判別式群ごとに所定の検証手法に基づいて検証する。ここで、ステップSB−22において、ブートストラップ法やホールドアウト法、リーブワンアウト法などのうち少なくとも1つに基づいて候補多変量判別式群の判別率や感度、特異性、情報量基準などのうち少なくとも1つに関して検証してもよい。これにより、癌状態情報や診断条件を考慮した予測性または堅牢性の高い候補指標式群を選択することができる。
つぎに、多変量判別式作成部102hは、変数選択部102h3で、ステップSB−22での検証結果から所定の変数選択手法に基づいて、候補多変量判別式群の変数を選択することで、候補多変量判別式群を作成する際に用いる癌状態情報に含まれるアミノ酸濃度データの組み合わせを選択し、選択したアミノ酸濃度データの組み合わせを含む癌状態情報を選択癌状態情報ファイル106e3の所定の記憶領域に格納する(ステップSB−23)。なお、ステップSB−21で複数の異なる式作成手法を併用して候補多変量判別式群を複数作成し、ステップSB−22で各式作成手法に対応する候補多変量判別式群ごとに所定の検証手法に基づいて検証した場合には、ステップSB−23において、多変量判別式作成部102hは、変数選択部102h3で、ステップSB−22での検証結果に対応する候補多変量判別式群ごとに所定の変数選択手法に基づいて候補多変量判別式群の変数を選択する。ここで、ステップSB−23において、検証結果からステップワイズ法、ベストパス法、近傍探索法、遺伝的アルゴリズムのうち少なくとも1つに基づいて候補多変量判別式群の変数を選択してもよい。なお、ベストパス法とは、候補多変量判別式群に含まれる変数を1つずつ順次減らしていき、候補多変量判別式群が与える評価指標を最適化することで変数を選択する方法である。また、ステップSB−23において、多変量判別式作成部102hは、変数選択部102h3で、指定癌状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納されている癌状態情報に基づいてアミノ酸濃度データの組み合わせを選択してもよい。
つぎに、多変量判別式作成部102hは、指定癌状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納されている癌状態情報に含まれるアミノ酸濃度データの全ての組み合わせが終了したか否かを判定し、判定結果が「終了」であった場合(ステップSB−24:Yes)には次のステップ(ステップSB−25)へ進み、判定結果が「終了」でなかった場合(ステップSB−24:No)にはステップSB−21へ戻る。なお、多変量判別式作成部102hは、予め設定した回数が終了したか否かを判定し、判定結果が「終了」であった場合には(ステップSB−24:Yes)次のステップ(ステップSB−25)へ進み、判定結果が「終了」でなかった場合(ステップSB−24:No)にはステップSB−21へ戻ってもよい。また、多変量判別式作成部102hは、ステップSB−23で選択したアミノ酸濃度データの組み合わせが、指定癌状態情報ファイル106dの所定の記憶領域に格納されている癌状態情報に含まれるアミノ酸濃度データの組み合わせまたは前回のステップSB−23で選択したアミノ酸濃度データの組み合わせと同じであるか否かを判定し、判定結果が「同じ」であった場合(ステップSB−24:Yes)には次のステップ(ステップSB−25)へ進み、判定結果が「同じ」でなかった場合(ステップSB−24:No)にはステップSB−21へ戻ってもよい。また、多変量判別式作成部102hは、検証結果が具体的には各候補多変量判別式群に関する評価値である場合には、当該評価値と各式作成手法に対応する所定の閾値との比較結果に基づいて、ステップSB−25へ進むかステップSB−21へ戻るかを判定してもよい。
ついで、多変量判別式作成部102hは、検証結果に基づいて、複数の候補多変量判別式群の中から多変量判別式群として採用する候補多変量判別式群を選出することで多変量判別式群を決定し、決定した多変量判別式群(選出した候補多変量判別式群)を多変量判別式ファイル106e4の所定の記憶領域に格納する(ステップSB−25)。ここで、ステップSB−25において、例えば、同じ式作成手法で作成した候補多変量判別式群の中から最適なものを選出する場合と、すべての候補多変量判別式群の中から最適なものを選出する場合とがある。
これにて、多変量判別式作成処理の説明を終了する。
癌の確定診断が行われた各種癌患者群の血液サンプル、および非癌群の血液サンプルから、前述のアミノ酸分析法により血中アミノ酸濃度を測定した。アミノ酸濃度の単位はnmol/mlである。各種癌患者および非癌患者のアミノ酸変数の分布に関する箱ひげ図を図23、図24に示す。図23に、男性の各種癌患者および非癌患者のアミノ酸変数の分布に関する箱ひげ図を、図24に、女性の各種癌患者および非癌患者のアミノ酸変数の分布に関する箱ひげ図を示す。なお、図23、図24において、横軸は非癌群と各種癌群とを表し、図中のABAはα−ABA(α−アミノ酪酸)を表す。更に、各種癌群及び非癌群の判別を目的に、各アミノ酸変数による各種癌群と非癌群の判別に関して、1元配置分散分析による評価を行い、男性データにおいてはアミノ酸変数Glu、Pro、Val、Leu、Phe、His、Trp、Orn、Lysが、p値が0.05より小さい値を、女性データにおいてはアミノ酸変数Asn、Glu、Pro、Cit、ABA、Met、Ile、Leu、Tyr、Phe、His、Argが、p値が0.05より小さい値を示した(図25)。これにより、アミノ酸変数Asn、Glu、Pro、Cit、ABA、Val、Met、Ile、Leu、Tyr、Phe、His、Trp、Orn、Lys、Argが、各種癌群と非癌群の多群間の判別能を持つことが判明した。
実施例1で用いたサンプルデータを用いた。癌に関して各種癌群(大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌)及び非癌群の6群判別性能を最大化する指標をステップワイズ変数選択法による線形判別分析により探索し、指標式群1として年齢、性別(男性=1、女性=2)、Thr、Glu、Gln、Pro、Cit、ABA、Val、Met、Ile、Leu、Tyr、Phe、His、Orn、Lys、Argから構成される線形判別式群(各判別式の年齢、性別、アミノ酸変数Thr、Glu、Gln、Pro、Cit、ABA、Val、Met、Ile、Leu、Tyr、Phe、His、Orn、Lys、Argの係数は図26に示した)が得られた。
指標式群1による各種癌及び非癌(大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌)の診断性能を判別結果の正答率で評価した結果、非癌の正答率が64.6%、大腸癌の正答率が44.6%、乳癌の正答率が76.3%、前立腺癌の正答率が80.0%、甲状腺癌の正答率が50.0%、肺癌の正答率が51.6%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ16.7%であるとした場合、58.6%と高い判別能を示した(図27)。なお、図26に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。なお、図26に示した判別式群と同等の判別能を示した判別式群は、この他にも複数得られた。それらの判別式群に含まれる変数の一覧を図28および図29に示す。
実施例1で用いたサンプルデータのうち、男性データを用いた。癌に関して各種癌群(大腸癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌)及び非癌群の5群判別性能を最大化する指標をステップワイズ変数選択法による線形判別分析により探索し、指標式群2として年齢、Glu、Pro、Cit、ABA、Met、Ile、Leu、Phe、His、Trp、Orn、Lysから構成される線形判別式群(各判別式の年齢、アミノ酸変数Glu、Pro、Cit、ABA、Met、Ile、Leu、Phe、His、Trp、Orn、Lysの係数は図30に示した)が得られた。
指標式群2による各種癌(大腸癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌)及び非癌の診断性能を判別結果の正答率で評価した結果、非癌の正答率が69.2%、大腸癌の正答率が52.3%、前立腺癌の正答率が50.0%、甲状腺癌の正答率が75.0%、肺癌の正答率が55.7%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ20.0%であるとした場合、60.4%と高い判別能を示した(図31)。なお、図30に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。なお、図30に示した判別式群と同等の判別能を示した判別式群は、この他にも複数得られた。それらの判別式群に含まれる変数の一覧を図32および図33に示す。
実施例1で用いたサンプルデータのうち、女性データを用いた。癌に関して各種癌群(大腸癌、乳癌、甲状腺癌、肺癌)及び非癌群の5群判別性能を最大化する指標をステップワイズ変数選択法による線形判別分析により探索し、指標式群3として年齢、Thr、Glu、Gln、Pro、ABA、Val、Met、Ile、Leu、Phe、His、Argから構成される線形判別式群(各判別式の年齢、アミノ酸変数Thr、Glu、Gln、Pro、ABA、Val、Met、Ile、Leu、Phe、His、Argの係数は図34に示した)が得られた。
指標式群3による各種癌(大腸癌、乳癌、甲状腺癌、肺癌)及び非癌の診断性能を判別結果の正答率で評価した結果、非癌の正答率が61.8%、大腸癌の正答率が66.7%、乳癌の正答率が52.6%、甲状腺癌の正答率が66.7%、肺癌の正答率が65.3%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ20.0%であるとした場合、61.7%と高い判別能を示した(図35)。なお、図34に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。なお、図34に示した判別式群と同等の判別能を示した判別式群は、この他にも複数得られた。それらの判別式群に含まれる変数の一覧を図36および図37に示す。
実施例1で用いたサンプルデータのうち、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌群のデータを用いた。癌に関して各種癌群(大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌)の5群判別性能を最大化する指標をステップワイズ変数選択法による線形判別分析により探索し、指標式群4として年齢、性別(男性=1、女性=2)、Thr、Glu、Pro、ABA、Val、Met、Ile、Leu、Phe、Hisから構成される線形判別式群(各判別式の年齢、性別、アミノ酸変数Thr、Glu、Pro、ABA、Val、Met、Ile、Leu、Phe、Hisの係数は図38に示した)が得られた。
指標式群4による各種癌(大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌)の診断性能を判別結果の正答率で評価した結果、大腸癌の正答率が46.2%、乳癌の正答率が73.7%、前立腺癌の正答率が80.0%、甲状腺癌の正答率が68.8%、肺癌の正答率が45.8%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ20.0%であるとした場合、52.1%と高い判別能を示した(図39)。なお、図38に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。なお、図38に示した判別式群と同等の判別能を示した判別式群は、この他にも複数得られた。それらの判別式群に含まれる変数の一覧を図340および図41に示す。
実施例1で用いたサンプルデータのうち、男性の大腸癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌群のデータを用いた。癌に関して各種癌群(大腸癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌)の4群判別性能を最大化する指標をステップワイズ変数選択法による線形判別分析により探索し、指標式群5として年齢、Asn、Glu、ABA、Val、Phe、His、Trpから構成される線形判別式群(各判別式の年齢、アミノ酸変数Asn、Glu、ABA、Val、Phe、His、Trpの係数は図42に示した)が得られた。
指標式群5による各種癌(大腸癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌)の診断性能を判別結果の正答率で評価した結果、大腸癌の正答率が52.3%、前立腺癌の正答率が50.0%、甲状腺癌の正答率が75.0%、肺癌の正答率が55.7%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ25.0%であるとした場合、51.8%と高い判別能を示した(図43)。なお、図42に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。なお、図42に示した判別式群と同等の判別能を示した判別式群は、この他にも複数得られた。それらの判別式群に含まれる変数の一覧を図44および図45に示す。
実施例1で用いたサンプルデータのうち、女性の大腸癌、乳癌、甲状腺癌、肺癌群データを用いた。癌に関して各種癌群(大腸癌、乳癌、甲状腺癌、肺癌)の4群判別性能を最大化する指標をステップワイズ変数選択法による線形判別分析により探索し、指標式群6として年齢、Thr、Glu、Pro、Val、Met、Ile、Leu、His、Argから構成される線形判別式群(各判別式の年齢、アミノ酸変数Thr、Glu、Pro、Val、Met、Ile、Leu、His、Argの係数は図46に示した)が得られた。
指標式群6による各種癌(大腸癌、乳癌、甲状腺癌、肺癌)の診断性能を判別結果の正答率で評価した結果、大腸癌の正答率が71.4%、乳癌の正答率が52.6%、甲状腺癌の正答率が66.7%、肺癌の正答率が63.3%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ25.0%であるとした場合、61.7%と高い判別能を示した(図47)。なお、図46に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。なお、図46に示した判別式群と同等の判別能を示した判別式群は、この他にも複数得られた。それらの判別式群に含まれる変数の一覧を図48および図49に示す。
実施例1で用いたサンプルデータのうち、非癌群、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌群を用いた。癌に関して各種癌群(大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌)及び非癌の5群判別性能を最大化する指標をステップワイズ変数選択法による線形判別分析により探索し、指標式群7として年齢、性別(男性=1、女性=2)、Thr、Glu、Gln、Pro、Cit、ABA、Val、Met、Ile、Leu、Tyr、Phe、Orn、Argから構成される線形判別式群(各判別式の年齢、性別、アミノ酸変数Thr、Glu、Gln、Pro、Cit、ABA、Val、Met、Ile、Leu、Tyr、Phe、Orn、Argの係数は図50に示した)が得られた。
指標式群7による各種癌(大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌)及び非癌群の診断性能を判別結果の正答率で評価した結果、非癌の正答率が67.0%、大腸癌の正答率が58.5%、乳癌の正答率が73.7%、前立腺癌の正答率が80.0%、甲状腺癌の正答率が62.5%全体の正答率が事前確率はそれぞれ20.0%であるとした場合、66.3%と高い判別能を示した(図51)。なお、図50に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。なお、図50に示した判別式群と同等の判別能を示した判別式群は、この他にも複数得られた。それらの判別式群に含まれる変数の一覧を図52および図53に示す。
実施例1で用いたサンプルデータのうち、男性の非癌群、大腸癌、前立腺癌、甲状腺癌群データを用いた。癌に関して各種癌群(大腸癌、前立腺癌、甲状腺癌)および非癌群の4群判別性能を最大化する指標をステップワイズ変数選択法による線形判別分析により探索し、指標式群8として年齢、Asn、Glu、ABA、Val、Phe、His、Trpから構成される線形判別式群(各判別式の年齢、アミノ酸変数Asn、Glu、ABA、Val、Phe、His、Trpの係数は図54に示した)が得られた。
指標式群8による各種癌(大腸癌、前立腺癌、甲状腺癌)、及び非癌群の診断性能を判別結果の正答率で評価した結果、非癌群の正答率が75.0%、大腸癌の正答率が68.2%、前立腺癌の正答率が70.0%、甲状腺癌の正答率が75.0%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ25.0%であるとした場合、72.8%と高い判別能を示した(図55)。なお、図54に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。なお、図54に示した判別式群と同等の判別能を示した判別式群は、この他にも複数得られた。それらの判別式群に含まれる変数の一覧を図56および図57に示す。
実施例1で用いたサンプルデータのうち、女性の非癌群、大腸癌、乳癌、甲状腺癌群のデータを用いた。癌に関して各種癌群(大腸癌、乳癌、甲状腺癌)及び非癌の4群判別性能を最大化する指標をステップワイズ変数選択法による線形判別分析により探索し、指標式群9として年齢、Thr、Glu、Gln、Pro、ABA、Val、Met、Ile、Phe、Argから構成される線形判別式群(各判別式の年齢、アミノ酸変数Thr、Glu、Gln、Pro、ABA、Val、Met、Ile、Phe、Argの係数は図58に示した)が得られた。
指標式群9による各種癌(大腸癌、乳癌、甲状腺癌)及び非癌群の診断性能を判別結果の正答率で評価した結果、非癌群の正答率が68.6%、大腸癌の正答率が71.4%、乳癌の正答率が57.9%、甲状腺癌の正答率が75.0%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ25.0%であるとした場合、67.1%と高い判別能を示した(図59)。なお、図58に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。なお、図58に示した判別式群と同等の判別能を示した判別式群は、この他にも複数得られた。それらの判別式群に含まれる変数の一覧を図60および図61に示す。
実施例1で用いたサンプルデータのうち、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌群を用いた。癌に関して各種癌群(大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌)の4群判別性能を最大化する指標をステップワイズ変数選択法による線形判別分析により探索し、指標式群10として年齢、性別(男性=1、女性=2)、Thr、Glu、Pro、ABA、Val、Metから構成される線形判別式群(各判別式の年齢、性別、アミノ酸変数TThr、Glu、Pro、ABA、Val、Metの係数は図62に示した)が得られた。
指標式群10による各種癌(大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌)の診断性能を判別結果の正答率で評価した結果、大腸癌の正答率が56.9%、乳癌の正答率が71.1%、前立腺癌の正答率が80.0%、甲状腺癌の正答率が75.0%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ25.0%であるとした場合、65.1%と高い判別能を示した(図63)。なお、図62に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。なお、図62に示した判別式群と同等の判別能を示した判別式群は、この他にも複数得られた。それらの判別式群に含まれる変数の一覧を図64および図65に示す。
実施例1で用いたサンプルデータのうち、男性の大腸癌、前立腺癌、甲状腺癌群データを用いた。癌に関して各種癌群(大腸癌、前立腺癌、甲状腺癌)の3群判別性能を最大化する指標をステップワイズ変数選択法による線形判別分析により探索し、指標式群11として年齢、Cit、ABA、Val、Metから構成される線形判別式群(各判別式の年齢、アミノ酸変数Cit、ABA、Val、Metの係数は図66に示した)が得られた。
指標式群11による各種癌(大腸癌、前立腺癌、甲状腺癌)の診断性能を判別結果の正答率で評価した結果、大腸癌の正答率が75.0%、前立腺癌の正答率が80.0%、甲状腺癌の正答率が75.0%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ33.3%であるとした場合、75.9%と高い判別能を示した(図67)。なお、図66に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。なお、図66に示した判別式群と同等の判別能を示した判別式群は、この他にも複数得られた。それらの判別式群に含まれる変数の一覧を図68および図69に示す。
実施例1で用いたサンプルデータのうち、女性の大腸癌、乳癌、甲状腺癌群のデータを用いた。癌に関して各種癌群(大腸癌、乳癌、甲状腺癌)の3群判別性能を最大化する指標をステップワイズ変数選択法による線形判別分析により探索し、指標式群12として年齢、Thr、Glu、Pro、Met、Pheから構成される線形判別式群(各判別式の年齢、アミノ酸変数Thr、Glu、Pro、Met、Pheの係数は図70に示した)が得られた。
指標式群12による各種癌(大腸癌、乳癌、甲状腺癌)の診断性能を判別結果の正答率で評価した結果、大腸癌の正答率が71.4%、乳癌の正答率が60.5%、甲状腺癌の正答率が83.3%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ33.3%であるとした場合、67.6%と高い判別能を示した(図71)。なお、図70に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。なお、図70に示した判別式群と同等の判別能を示した判別式群は、この他にも複数得られた。それらの判別式群に含まれる変数の一覧を図72および図73に示す。
大腸癌、乳癌の確定診断が行われた各種癌患者群の血液サンプル、および非癌群の血液サンプルから、前述のアミノ酸分析法により血中アミノ酸濃度を測定した。アミノ酸濃度の単位はnmol/mlである。各種癌患者および非癌患者のアミノ酸変数の分布に関する箱ひげ図を図74に示す。なお、図74において、横軸は非癌群と各種癌群とを表し、図中のABAはα−ABA(α−アミノ酪酸)を表す。更に、各アミノ酸変数による各種癌群と非癌群の判別に関して、1元配置分散分析による評価を行い、アミノ酸変数Thr、Glu、Cit、Val、Met、Ile、Leu、Pheが、p値が0.05より小さい値を示した(図75)。これにより、アミノ酸変数Thr、Glu、Cit、Val、Met、Ile、Leu、Pheが、大腸癌群、乳癌群及び非癌群の3群間の判別能を持つことが判明した。
実施例14で用いたサンプルデータを用いた。アミノ酸変数の濃度データの基準化を行った。すなわち、“(各アミノ酸変数の濃度データ−各アミノ酸変数の濃度の平均値)/各アミノ酸変数の濃度の標準偏差”という変換を施した値を得た。得られた基準化データを用いて主成分分析を行い、各主成分の固有値が1を上回る主成分を抽出したところ、第1主成分から第5主成分までが得られた。このうち、第3主成分をx軸に第4主成分をy軸にプロットした結果、非癌群と大腸癌群、非癌群と乳癌群、非癌群と(大腸癌+乳癌群)、大腸癌と乳癌群はそれぞれ分離することが判明し(図76)、アミノ酸変数を用いて大腸癌群、乳癌群、及び非癌群を相互に判別可能であることが判明した。
実施例14で用いたサンプルデータを用いた。アミノ酸変数の全濃度データと、各症例の数値化されたカテゴリーデータ(大腸癌=1で乳癌及び非癌=0、及び、乳癌=1で大腸癌及び非癌=0)を用いて正準相関解析を行った結果、アミノ酸変数の濃度データの合成変数で構成される2組の指標式群13を得た。得られた正準変数群を構成する各アミノ酸変数の係数は図77に示した。更に、得られた指標式群13を用いてマハラノビス距離による判別分析を行い、大腸癌、乳癌、及び非癌群の診断性能を判別結果の正答率で評価を行った結果、非癌の正答率が71.4%、大腸癌の正答率が70.0%、乳癌の正答率が80.0%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ33.3%であるとした場合、72.6%と高い判別能を示した(図78)。なお、図77に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。
実施例14で用いたサンプルデータを用いた。癌に関して大腸癌、乳癌、非癌群の3群判別性能を最大化する指標をステップワイズ変数選択法による線形判別分析により探索し、指標式群14としてThr、Glu、Gln、a−ABA、Val、Met、Ile、Pheから構成される線形判別式群(各判別式のアミノ酸変数Thr、Glu、Gln、a−ABA、Val、Met、Ile、Pheの係数は図79に示した)が得られた。
指標式群14による大腸癌、乳癌、非癌群の診断性能を判別結果の正答率で評価した結果、非癌の正答率が69.0%、大腸癌の正答率が72.0%、乳癌の正答率が70.0%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ33.3%であるとした場合、70.1%と高い判別能を示した(図80)。なお、図79に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。なお、図79に示した判別式群と同等の判別能を示した判別式群は、この他にも複数得られた。それらの判別式群に含まれる変数の一覧を図81および図82に示す。
実施例14で用いたサンプルデータのうち、女性データのみを用いた。癌に関して大腸癌、乳癌、非癌群の3群判別性能を最大化する指標をステップワイズ変数選択法による線形判別分析により探索し、指標式群15としてThr、Glu、Gln、ABA、Ile、Leu、Argから構成される線形判別式群(各判別式のアミノ酸変数Thr、Glu、Gln、ABA、Ile、Leu、Argの係数は図83に示した)が得られた。
指標式群15による大腸癌、乳癌、非癌群の診断性能を判別結果の正答率で評価した結果、非癌の正答率が69.6%、大腸癌の正答率が80.0%、乳癌の正答率が68.4%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ33.3%であるとした場合、70.6%と高い判別能を示した(図84)。なお、図83に示す式における各係数の値はそれを実数倍したものでもよく、定数項の値はそれに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。なお、図83に示した判別式群と同等の判別能を示した判別式群は、この他にも複数得られた。それらの判別式群に含まれる変数の一覧を図85および図86に示す。
実施例14で用いたサンプルデータのうち、女性データのみを用いた。本出願人による国際出願である国際公開第2004/052191号に記載の方法を用いて、大腸癌、乳癌、非癌群の3群判別性能を最大化する指標を鋭意探索し、同等の性能を持つ複数の指標の中にアミノ酸変数としてThr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argから構成される指標式群16が得られた(図87)。
指標式群16による大腸癌、乳癌、非癌群の診断性能を判別結果の正答率で評価を行った結果、非癌の正答率が79.4%、大腸癌の正答率が70.0%、乳癌の正答率が57.4%、全体の正答率が事前確率はそれぞれ33.3%であるとした場合、73.1%と高い判別能を示した(図88)。なお、図87に示す式における各係数の値は、それを実数倍したものでもよく、定数項の値は、それに任意の実定数を加減乗除したものでもよい。
以上のように、本発明にかかる癌種の評価方法は、産業上の多くの分野、特に医薬品や食品、医療などの分野で広く実施することができ、特に、癌の病態予測や疾病リスク予測などを行う分野において極めて有用である。
Claims (8)
- 評価対象から採取した血液からアミノ酸の濃度値に関するアミノ酸濃度データを測定する測定ステップと、
前記測定ステップで測定した前記評価対象の前記アミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの前記濃度値に基づいて、前記評価対象につき、癌の種類を評価する濃度値基準評価ステップと
を含むことを特徴とする癌種の評価方法。 - 前記濃度値基準評価ステップは、
前記測定ステップで測定した前記評価対象の前記アミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの前記濃度値に基づいて、前記評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの前記癌の中から、どの前記癌であるかを判別する濃度値基準判別ステップ
をさらに含むこと
を特徴とする請求項1に記載の癌種の評価方法。 - 前記濃度値基準判別ステップは、前記評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの前記癌の中から、どの前記癌であるかを判別すること
を特徴とする請求項2に記載の癌種の評価方法。 - 前記濃度値基準評価ステップは、
前記測定ステップで測定した前記評価対象の前記アミノ酸濃度データに含まれるGlu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つの前記濃度値、および前記アミノ酸の濃度を変数とする予め設定した1つまたは複数の多変量判別式で構成される多変量判別式群に基づいて、当該多変量判別式群を構成する前記多変量判別式毎に当該多変量判別式の値である判別値を算出する判別値算出ステップと、
前記判別値算出ステップで算出した1つまたは複数の前記判別値で構成される判別値群に基づいて、前記評価対象につき、前記癌の種類を評価する判別値基準評価ステップと
をさらに含み、
前記多変量判別式群を構成する各々の前記多変量判別式は、Glu,ABA,Val,Met,Pro,Phe,Thr,Ile,Leu,Hisのうち少なくとも1つを前記変数として含むこと
を特徴とする請求項1に記載の癌種の評価方法。 - 前記判別値基準評価ステップは、
前記判別値群に基づいて、前記評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、子宮癌のうち少なくとも2つの前記癌の中から、どの前記癌であるかを判別する判別値基準判別ステップ
をさらに含むこと
を特徴とする請求項4に記載の癌種の評価方法。 - 前記判別値基準判別ステップは、前記評価対象につき、大腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌のうち少なくとも3つの前記癌の中から、どの前記癌であるかを判別すること
を特徴とする請求項5に記載の癌種の評価方法。 - 前記多変量判別式群を構成する各々の前記多変量判別式は、分数式、ロジスティック回帰式、線形判別式、重回帰式、サポートベクターマシンで作成された式、マハラノビス距離法で作成された式、正準判別分析で作成された式、決定木で作成された式のいずれか1つであること
を特徴とする請求項6に記載の癌種の評価方法。 - 前記多変量判別式群は、以下の判別式群1から16のいずれか1つであること
〔判別式群1〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Orn,Lys,Argを前記変数とする5つの線形1次式
〔判別式群2〕年齢,Glu,Pro,Cit,ABA,Met,Ile,Leu,Phe,His,Trp,Orn,Lysを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群3〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,His,Argを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群4〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Phe,Hisを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群5〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群6〕年齢,Thr,Glu,Pro,Val,Met,Ile,Leu,His,Argを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群7〕年齢,性別,Thr,Glu,Gln,Pro,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Orn,Argを前記変数とする4つの線形1次式
〔判別式群8〕年齢,Asn,Glu,ABA,Val,Phe,His,Trpを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群9〕年齢,Thr,Glu,Gln,Pro,ABA,Val,Met,Ile,Phe,Argを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群10〕年齢,性別,Thr,Glu,Pro,ABA,Val,Metを前記変数とする3つの線形1次式
〔判別式群11〕年齢,Cit,ABA,Val,Metを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群12〕年齢,Thr,Glu,Pro,Met,Pheを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群13〕Thr,Ser,Asn,Glu,Gln,Gly,Ala,Cit,ABA,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,His,Trp,Orn,Lys,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群14〕Glu,Gln,ABA,Val,Ile,Phe,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群15〕Thr,Glu,Gln,ABA,Ile,Leu,Argを前記変数とする2つの線形1次式
〔判別式群16〕Thr,Gln,Ala,Cit,ABA,Ile,His,Orn,Argを前記変数とする2つの分数式
を特徴とする請求項7に記載の癌種の評価方法。
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