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JPWO2008102680A1 - ハイパーブランチポリマー及びその製造方法 - Google Patents

ハイパーブランチポリマー及びその製造方法 Download PDF

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JPWO2008102680A1
JPWO2008102680A1 JP2009500151A JP2009500151A JPWO2008102680A1 JP WO2008102680 A1 JPWO2008102680 A1 JP WO2008102680A1 JP 2009500151 A JP2009500151 A JP 2009500151A JP 2009500151 A JP2009500151 A JP 2009500151A JP WO2008102680 A1 JPWO2008102680 A1 JP WO2008102680A1
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洋己 竹本
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雅昭 小澤
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Abstract

【課題】透明性が高く、製造時に多量の有機溶媒を必要とせず、簡便且つ大量生産できる、主鎖がポリアミド構造であり、末端基にアミノ基を有する保存安定性の高いハイパーブランチポリマー、該ポリマーの製造方法及びそれに使用するモノマーの製造方法、並びに、該ポリマーのポリマーのワニス、該ポリマーからなる被膜、該ポリマーを被膜した固相担体の提供を課題とする。【解決手段】式(1):【化1】(式中、A1は基中にアミド結合又はエーテル結合を含有することができる炭素原子数1ないし30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基、又は炭素原子数6ないし10のフェニレン基を表し、A2及びA3は基中にアミド結合又はエーテル結合を含有することができる炭素原子数1ないし30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基を表し、nは2ないし100,000の整数を表す。)で表される構造を有するハイパーブランチポリマー。【選択図】 なし

Description

本発明は、新規なハイパーブランチポリマー及びその製造方法に関する。すなわち、本発明は、繰り返し単位の主鎖にポリアミド構造を有し、分子末端にアミノ基を有するハイパーブランチポリマー及びその製造法に関する。
これらは、塗料、インキ、接着剤、樹脂フィラー、各種成形材料、ナノメートルサイズの多孔形成剤、化学的機械的研磨剤、機能物質の担持材料、ナノカプセル、フォトニック結晶、レジスト材料、光学材料、電子材料、情報記録材料、印刷材料、電池材料、医用材料、磁性材料などとして好適に利用される。
ハイパーブランチポリマーはデンドリマーと共にデンドリティック(樹枝状)ポリマーとして分類されている。
従来の高分子化合物は一般的に紐状(線状)の形状であるのに対し、これらのデンドリティックポリマーは積極的に分枝を導入することにより、特異なポリマー構造や様々な機能の発現を実現している。例えば、前記多分枝構造によって、ナノメートルオーダーの分子サイズや、数多くの官能基を保持し得る表面状態を有するポリマー構造をとるほか、線状ポリマーに比べて低粘度化できる、分子間の絡み合いが少なく微粒子的挙動を示す、非晶性になり溶媒溶解性を制御できるなどの様々な特性が発現し、これらの特性を利用して幅広い技術分野への応用が期待されている。
特に、デンドリティックポリマーの最も顕著な特徴として、末端基数の多さが挙げられる。デンドリティックポリマーにおいては一般に分子量の増加と共に分枝の数も増加するため、末端基の絶対数は高分子量のデンドリティックポリマーほど多くなる。
このような末端基数の多いデンドリティックポリマーでは、末端基の種類によって分子間相互作用が大きく左右され、ガラス転移温度や溶解性、薄膜形成性などが大きく変化するという一般の線状高分子にはない特徴を有する。
上記2種類のデンドリティックポリマーのうち、ハイパーブランチポリマーはその製造方法の簡便さにおいて、特に工業的生産においてデンドリマーよりも低コストで大量に生産可能であるという利点を有する。これは、一般にデンドリマーが保護−脱保護を繰り返して数多くの工程を経て合成されるのに対し、ハイパーブランチポリマーは1分子中に2種類の置換基を合計3個以上もつ、いわゆるABX型モノマーの1段階重合により合成され得るためである。
これまでハイパーブランチポリマーとして種々のポリマーが紹介されており、その一つとして、主鎖がポリアミド構造であり、末端基にアミノ基を有するハイパーブランチポリマーは、水溶性媒体に対する溶解性の高い点、末端アミノ基への官能基導入効率の高い点、ハイパーブランチポリマー表面がカチオン性である点などの優れた特徴を有することから注目されている。
例えば、これまでに分子内にカルボキシル基と2つ以上のアミノ基を有するABX型モノマー、及びそのモノマーから製造されるハイパーブランチポリマーが報告されている(例えば、非特許文献1及び2)。
また、ポリアミン化合物とアクリル酸アルキルエステルとの反応から製造される脂肪族アミノ基末端のハイパーブランチポリマーが提案されている(特許文献1)。
G.Yang、M.Jieki and M.Kakimoto , Macromolecules, 32, 2215−2220 (1999) Y.Ishida、A.C.F.Sun、M.Jieki and M.Kakimoto , Macromolecules, 33, 2832−2838 (2000) 特開平9−241377号公報
しかしながら、上記非特許文献1及び2に報告されたモノマーは芳香族アミノ基を分子内に有するため、重合する際には、有機溶媒中で縮合剤を使用する必要があった。すなわち、反応後には縮合剤成分を再沈殿操作などで除去する必要があり、このため、多量の有機溶媒を必要し、製造環境上の観点から改善の余地があった。また、ポリマー末端の芳香族アミノ基が空気中の酸素によって容易に酸化され易く、着色し易いことから保存安定性にも課題が残されていた。
また、特許文献1に記載のポリマーは、その製造工程において、アクリル酸アルキルエステルが単独で重合するのを防ぐため、反応系内にハイドロキノンモノメチルエーテルなどの重合禁止剤を添加する必要があり、そのため、得られたポリマーは重合禁止剤由来の着色が生じることがあった。また、重合禁止剤を除去するために再沈殿操作が必要となり、多量の有機溶媒の使用を必要とした。
本発明は、前記課題を解決した、透明性が高く、製造時に多量の有機溶媒を必要とせず、簡便且つ大量生産できるハイパーブランチポリマーを提供するものであって、詳細には、主鎖がポリアミド構造であり、末端基にアミノ基を有する保存安定性(透明性)の高いハイパーブランチポリマーを提供するものである。
また本発明は、前記ハイパーブランチポリマーの製造時に多量の有機溶媒を必要とせず、簡便な方法且つ大量生産が可能となるハイパーブランチポリマーの製造方法及びそれに使用するモノマーの製造方法を提供するものである。
さらに本発明は、上記ハイパーブランチポリマーのワニス、該ポリマーからなる被膜、並びに該ポリマーを被膜した固相担体を提供するものであり、今後の多面的な用途展開を期するものである。
本発明は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、下記の観点に記載の発明に到達したものである。
すなわち、本発明は第1観点として、式(1):
Figure 2008102680
(式中、A1は基中にアミド結合又はエーテル結合を含有することができる炭素原子数1ないし30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基、又は炭素原子数6ないし10のアリーレン基又はアルキルアリーレン基を表し、A2及びA3は基中にアミド結合又はエーテル結合を含有することができる炭素原子数1ないし30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基を表し、nは2ないし100,000の整数を表す。)で表される構造を有するハイパーブランチポリマーに関する。
第2観点として、式(2):
Figure 2008102680
(式中、A1、A2、A3及びnは前記式(1)における定義と同義であり、R1は水素原子、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表す。)で表される構造を有する第1観点記載のハイパーブランチポリマーに関する。
第3観点として、式(3):
Figure 2008102680
(式中、A1、A2、A3及びnは前記式(1)における定義と同義であり、Xはアミノ基末端の少なくとも一部に付加された酸性化合物を表し、Xはなくてもよい。)で表される構造を有する第1観点記載のハイパーブランチポリマーに関する。
第4観点として、式(4):
Figure 2008102680
(式中、A1、A2、A3及びnは前記式(1)における定義と同義であり、R1は前記式(2)における定義と同義であり、Xは前記式(3)における定義と同義である。)で表される構造を有する第1観点ないし第3観点に記載のハイパーブランチポリマーに関する。
第5観点として、上記式(2)又は式(4)において、R1が水素原子又はエチル基である、第2観点又は第4観点に記載のハイパーブランチポリマーに関する。
第6観点として、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で測定される重量平均分子量が400ないし20,000,000である、第1観点ないし第5観点のうちのいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーに関する。
第7観点として、式(5):
Figure 2008102680
(式中、A1、A2及びA3は前記式(1)における定義と同義であり、R1は前記式(2)における定義と同義であり、Xは前記式(3)における定義と同義である。)で表される化合物を重合させることによる、第4観点記載の式(4)で表されるハイパーブランチポリマーの製造方法に関する。
第8観点として、第7観点記載の式(5)で表される化合物の重合工程において、塊状重合又は溶液重合させることによる、第7観点記載のハイパーブランチポリマーの製造方法に関する。
第9観点として、第7観点記載の式(5)で表される化合物の重合工程において、生成する水及び/又はアルコールを除去しながら50℃ないし250℃の温度下にて塊状重合を為すところの第8観点記載のハイパーブランチポリマーの製造方法に関する。
第10観点として、式(6):
Figure 2008102680
{式中、A1、A2及びA3は前記式(1)における定義と同義であり、R1は炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、A4は式(7)又は式(8):
Figure 2008102680
Figure 2008102680
(式(7)及び式(8)中、R2は炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、又は炭素原子数7ないし15のアリールアルキル基を表す。)を表す。}で表される化合物を酸、塩基又は還元剤で処理することからなる、第7観点記載の式(5)で表される化合物の製造方法に関する。
第11観点として、式中、R1がエチル基である第7観点記載の式(5)で表される化合物に関する。
第12観点として、式(9):
Figure 2008102680
(式中、A2及びA3は前記式(1)における定義と同義であり、A4は前記式(6)における定義と同義であり、Xは前記式(3)における定義と同義である。)で表される化合物を、
式(10):
Figure 2008102680
(式中、A1は前記式(1)における定義と同義であり、またR1は前記式(6)における定義と同義であり、Yはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基及びヒドロキシコハク酸イミド基からなる群から選択される脱離基を表す。)で表される化合物と反応させることからなる、第10観点記載の式(6)で表される化合物の製造方法に関する。
第13観点として、式中、R1がエチル基である第10観点記載の式(6)で表される化合物に関する。
第14観点として、第4観点記載の式(4)で表されるハイパーブランチポリマーの末端アミノ基の一部又は全てがアミド結合又はイミン結合によって有機官能基と結合した構造を有するハイパーブランチポリマーに関する。
第15観点として、第1観点ないし第6観点又は第14観点のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーを媒体に溶解又は分散したハイパーブランチポリマーのワニスに関する。
第16観点として、第1観点ないし第6観点又は第14観点のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーからなるハイパーブランチポリマー被膜に関する。
第17観点として、第1観点ないし第6観点又は第14観点のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーを担体表面に被膜した固相担体に関する。
本発明のハイパーブランチポリマー並びに該ハイパーブランチポリマーを製造するために用いるモノマーは、末端基が脂肪族アミノ基であるため、ポリマー保存時或いはポリマー製造時における空気中の酸素による酸化に由来する着色を生じない。
また、前記ポリマーは、有機溶媒を必要としない塊状重合によって製造できるため、環境負荷低減に優れるだけでなく、簡便且つ効率よくポリマーを得ることができる。
さらに得られたポリマーは、水やメタノール等のプロトン性極性溶媒に溶解又は分散可能であるだけでなく、N−メチルピロリドン及びジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒にも溶解又は分散可能である点、同様の平均分子量を有する線状ポリマーと比較して低粘度である点、さらに官能基密度(末端のアミノ基)が高いという特徴を有することから、容易にポリマーのワニスの形態と為して各種材料に用いることができ、またその用途に合わせて分散特性を容易に改変することもできる。
そして得られたポリマーを用いて固相担体上に被膜を形成することにより、表面の親水性や化学物質との親和性、反応性を改変した固相担体を容易に得ることができる。
[ハイパーブランチポリマー]
本発明のハイパーブランチポリマーは、下記式(1)ないし式(4)で示される繰り返し単位構造を有するハイパーブランチポリマーである。
Figure 2008102680
(式中、A1は基中にアミド結合又はエーテル結合を含有することができる炭素原子数1ないし30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基、又は炭素原子数6ないし10のアリーレン基又はアルキルアリーレン基を表し、A2及びA3は基中にアミド結合又はエーテル結合を含有することができる炭素原子数1ないし30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基を表し、nは2ないし100,000の整数を表す。)
Figure 2008102680
(式中、A1、A2、A3及びnは前記式(1)における定義と同義であり、R1は水素原子、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表す。)
Figure 2008102680
(式中、A1、A2、A3及びnは前記式(1)における定義と同義であり、Xはアミノ基末端の少なくとも一部に付加された酸性化合物を表し、Xはなくてもよい。)
Figure 2008102680
(式中、A1、A2、A3及びnは前記式(1)における定義と同義であり、R1は前記式(2)における定義と同義であり、Xは前記式(3)における定義と同義である。)
なお、上記ハイパーブランチポリマーの一般的な構造式(概念図)として、式(4)で表される繰り返し単位を有するハイパーブランチポリマーを例として下記に示す。
Figure 2008102680
(式中、R1は前記式(2)における定義と同義である。)
上記式(1)ないし式(4)において、A1、A2及びA3で表される炭素原子数1ないし30の直鎖状アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、ノルマルプロピレン基、ノルマルブチレン基、ノルマルヘキシレン基などが挙げられ、前記分枝状のアルキレン基としては、イソプレン基、イソブチレン基、2−メチルプロピレン基などを挙げることができる。また、環状アルキレン基としては炭素原子数3ないし30の単環式、多環式及び架橋環式の環状構造の脂環式脂肪族基が挙げられ、具体的には、炭素原子数4以上のモノシクロ環、ビシクロ環、トリシクロ環、テトラシクロ環、ペンタシクロ環構造などを有する基を挙げることができる。
また、A1で表される炭素原子数6ないし10のアリーレン基又はアルキルアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ベンジレン基、フェネチレン基、ナフチレン基などを挙げることができる。
前記アルキレン基又はフェニレン基において、アミド結合又はエーテル結合が基中に含まれる場合、例えば、直鎖状アルキレン基中にアミド結合又はエーテル結合が含まれる場合、A1ないしA3は例えば以下の構造を有する基を表し得る。
(1)エーテル結合を含む場合:−CH2OCH2−,−CH2OCH2CH2−,−CH2CH2OCH2−,−CH2OCH2CH2CH2−,−CH2CH2OCH2CH2−,−CH2CH2CH2OCH2
(2)アミド結合を含む場合:−CH2C(O)NHCH2−,−CH2C(O)NHCH2CH2−,−CH2CH2C(O)NHCH2−,−CH2C(O)NHCH2CH2CH2−,−CH2CH2C(O)NHCH2CH2−,−CH2CH2CH2C(O)NHCH2
また、前記環状アルキレン基(脂環式脂肪族基)において、脂環部分の具体例として以下に構造例(a)ないし(s)を示す。
Figure 2008102680
なおA1、A2及びA3で表される直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(2)及び式(4)において、R1は水素原子、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表す。
このうち、前記炭素原子数1ないし5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、ノルマルペンチル基などが挙げられ、前記炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。
また、前記炭素原子数6ないし10のアリール基の具体例としては、フェニル基などが挙げられ、前記炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
これら有機基のうち、R1は水素原子又はエチル基であることが好ましい。
上記式(3)及び式(4)において、Xはアミノ基末端の少なくとも一部に付加された酸性化合物を表し、その具体例としては、フッ化水素酸、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、酢酸及びパラトルエンスルホン酸などが挙げられる。
なお、Xは式(3)及び式(4)中、なくてもよい。
本発明のハイパーブランチポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で測定される重量平均分子量が400ないし20,000,000であり、好ましくは600ないし10,000,000であり、より好ましくは800ないし5,000,000である。
また本発明のハイパーブランチポリマーの分散度{Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)}としては、1.0ないし10.0であり、好ましくは、1.1ないし9.0であり、より好ましくは1.2ないし8.0である。
[ハイパーブランチポリマーの製造方法]
本発明のハイパーブランチポリマーは、下記式(5)で表される化合物を重合することにより製造することができる。
Figure 2008102680
(式中、A1、A2及びA3は前記式(1)における定義と同義であり、R1は前記式(2)における定義と同義であり、Xは前記式(3)における定義と同義である。)
式(5)で表される化合物を用いた重合法としては塊状重合又は溶液重合を用いることが好ましく、より望ましくは塊状重合を用いることが望ましい。
塊状重合にて製造する場合、反応温度は50ないし250℃、好ましくは70ないし220℃、より好ましくは100ないし190℃にて重合反応を行うことが望ましい。このとき、反応の進行とともに生成する水又はアルコール類を減圧下で除去しながら反応させることもできる。
溶液重合にて製造する場合、前記式(5)で表される化合物の溶液中の濃度は任意であるが、式(5)で表される化合物と溶媒との総質量に対して、好ましくは1ないし90質量%、より好ましくは2ないし80質量%、さらに好ましくは5ないし70質量%にて重合反応を行うことが望ましい。
またこのとき、反応温度を−80ないし200℃、好ましくは0ないし180℃、より好ましくは25ないし160℃にて行うことが望ましく、反応時間を0.1ないし48時間、好ましくは0.2ないし36時間、より好ましくは0.3ないし24時間にて行うことが望ましい。
以上の反応条件にて溶液重合により生成した本発明のハイパーブランチポリマーは、例えば反応溶液を貧溶媒中に滴下し、沈殿させて単離することができる。
上記溶液重合に用いられる溶媒としては、式(5)で表される化合物を溶解可能な溶媒が好ましく、例えば非プロトン性極性溶媒が挙げられる。非プロトン性極性溶媒の具体例としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びアセトニトリルなどが挙げられる。
溶液重合の場合、反応を促進させるために縮合剤を使用することができる。縮合剤としては、カルボン酸の活性化により、アミノ基と縮合反応を促進することのできる化合物であれば特に制限はないが、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−エチル−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、亜リン酸トリフェニル、ジフェニルジクロロリン酸、ジフェニル(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾキサゾリル)ホスホナートなどが挙げられる。
また、溶液重合の場合は必要に応じて酸受容体(中和剤)を使用することができる。酸受容体の具体例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、キノリンなどを挙げることができる。
さらに、塊状重合及び溶液重合時に、ハイパーブランチポリマーとしての構造を損なわない範囲で分子量、分子量分布及び分岐度の調整を行うことができる。
分子量、分子量分布及び分岐度を調整する方法としては、重合反応中、分子内に1級又は2級アミノ基を2つ以上有する化合物を使用することが挙げられ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、プロピレントリアミン、ブチレントリアミンなどを使用することにより、分子量等を調整することが可能となる。
[式(5)で表される化合物の製造方法及び該化合物]
また、前記式(5)で表される化合物は、下記式(6)で表される化合物を酸、塩基又は還元剤で処理することにより製造することができる。
Figure 2008102680
{式中、A1、A2及びA3は前記式(1)における定義と同義であり、R1は炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、A4は式(7)又は式(8):
Figure 2008102680
Figure 2008102680
(式(7)及び式(8)中、R2は炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、又は炭素原子数7ないし15のアリールアルキル基を表す。)を表す。}
上記式(7)及び式(8)中、R2で表される炭素原子数1ないし5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、t−ブチル基、ビニル基、アリル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。また、炭素原子数6ないし10のアリール基の具体例としては、フェニル基などが挙げられ、炭素原子数7ないし15のアリールアルキル基の具体例としては、ベンジル基、4−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基、2,4−ジメトキシベンジル基、ジフェニルメチル基などが挙げられる。
式(5)で表される化合物は、式(6)で表される化合物を酸、塩基又は還元剤で処理することにより製造することができる。このとき、式(6)中のA4で表される官能基の種類によって、処理方法は酸、塩基又は還元剤から適宜選択して使用することが好ましい。
上記A4で表される官能基において、式(7)中のR2がメチル基、エチル基、t−ブチル基、ビニル基、アリル基、ベンジル基、4−ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基などを表す場合、また、式(8)中のR2がメチル基、エチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基などを表す場合、酸を使用する処理を選択することが望ましい。
この場合、使用する酸としては式(6)で表される化合物を式(5)で表される化合物に変換できる酸であれば特に制限はないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの公知の酸を使用することができる。
酸の使用量は、式(6)で表される化合物中のA4で表される官能基の数に対して1ないし100倍モル当量であり、好ましくは1ないし50倍モル当量であり、より好ましくは1ないし20倍モル当量である。
酸を使用する場合の反応条件としては、反応時間0.01ないし100時間、反応温度−50ないし200℃から適宜選択される。好ましくは、反応時間0.1ないし50時間、反応温度0ないし130℃である。
上記A4で表される官能基において、式(7)中のR2がメチル基、エチル基、4−ニトロベンジル基などを表す場合、また、式(8)中のR2がメチル基、エチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、フェニル基などを表す場合、塩基を使用する処理を選択することが望ましい。
この場合、使用する塩基としては式(6)で表される化合物を式(5)で表される化合物に変換できる塩基であれば特に制限はないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド、水素化ナトリウムなどの公知の塩基を使用することができる。
塩基の使用量は、式(6)で表される化合物中のA4で表される官能基の数に対して1ないし100倍モル当量であり、好ましくは1ないし50倍モル当量であり、より好ましくは1ないし20倍モル当量である。
塩基を使用する場合の反応条件としては、反応時間0.01ないし100時間、反応温度−50ないし200℃から適宜選択される。好ましくは、反応時間0.1ないし50時間、反応温度0ないし130℃である。
前記A4で表される官能基において、式(7)中のR2がt−ブチル基、ビニル基、アリル基、ベンジル基、4−ニトロベンジル基、ジフェニルメチル基などを表す場合、また、式(8)中のR2がトリクロロメチル基、トリフルオロメチル基などを表す場合、還元剤を使用する処理を選択することが望ましい。
この場合、使用する還元剤としては式(6)で表される化合物を式(5)で表される化合物に変換できる還元剤であれば特に制限はないが、例えば、パラジウムカーボン、白金カーボン、ロジウムカーボン、ルテニウムカーボン、ラネーニッケルなどの触媒と水素を用いた水添反応、ヨウ化水素、硫化水素、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリブチルスズ、トリス(トリメチルシリル)シラン、チオグリコール酸などの公知の還元剤を使用することができる。
還元剤の使用量は、式(6)で表される化合物中のA4で表される官能基の数に対して1ないし100倍モル当量であり、好ましくは1ないし50倍モル当量であり、より好ましくは1ないし20倍モル当量である。
還元剤を使用する場合の反応条件としては、反応時間0.01ないし100時間、反応温度−50ないし200℃から適宜選択される。好ましくは、反応時間0.1ないし50時間、反応温度0ないし130℃である。
また本発明は、前記式(5)で表される化合物(ハイパーブランチポリマーを製造するモノマー)に関し、式中、R1がエチル基である化合物が好ましい。
[式(6)で表される化合物の製造方法及び化合物]
上記式(6)で表される化合物は、下記式(9)
Figure 2008102680
(式中、A2及びA3は前記式(1)における定義と同義であり、A4は前記式(6)における定義と同義であり、Xは前記式(3)における定義と同義である。)で表される化合物を、式(10):
Figure 2008102680
(式中、A1は前記式(1)における定義と同義であり、またR1は前記式(6)における定義と同義であり、Yはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基及びヒドロキシコハク酸イミド基からなる群から選択される脱離基を表す。)で表される化合物と反応させることにより、製造することができる。
上記式(10)中、Yは脱離基を表し、具体的には、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、ヒドロキシコハク酸イミド基などが挙げられる。
上記式(9)で表される化合物としては、具体的には下記の化合物が挙げられる。
Figure 2008102680
化合物名:
1:[2−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノエチルアミノ)エチル]カルバミン酸ベンジルエステル塩酸塩
2:[2−(2−t−ブチルオキシカルボニルアミノエチルアミノ)エチル]カルバミン酸t−ブチルエステル塩酸塩
3:[3−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロピルアミノ)プロピル]カルバミン酸ベンジルエステル塩酸塩
4:[3−(3−t−ブチルオキシカルボニルアミノプロピルアミノ)プロピル]カルバミン酸t−ブチルエステル塩酸塩
5:4−(4−ベンジルオキシカルボニルアミノブチルアミノ)ブチル]カルバミン酸ベンジルエステル塩酸塩
6:4−(4−t−ブチルオキシカルボニルアミノブチルアミノ)ブチル]カルバミン酸t−ブチルエステル塩酸塩
また、上記式(10)で表される化合物としては、具体的には下記の化合物が挙げられる。
Figure 2008102680
化合物名:
1:エチルスクシニルクロリド 5:エチルスクシニルブロミド
2:メチルスクシニルクロリド 6:メチルスクシニルブロミド
3:メチルグルタリルクロリド 7:メチルグルタリルブロミド
4:エチルグルタリルクロリド 8:エチルグルタリルブロミド
式(9)で表される化合物と式(10)で表される化合物を反応させるとき、溶解可能な溶媒中で、式(9)で表される化合物に対して、式(10)で表される化合物が1.0モル当量ないし5.0モル当量、好ましくは1.0モル当量ないし2.0モル当量にて反応させることが望ましい。
また、溶液中における式(9)で表される化合物と式(10)で表される化合物の合計量は、総質量(式(9)で表される化合物と式(10)で表される化合物と溶媒との合計質量)に対して、1質量%ないし80質量%であり、好ましくは2質量%ないし70質量%であり、より好ましくは5質量%ないし60質量%である。
式(9)で表される化合物と式(10)で表される化合物とを反応させるときに用いる溶媒としては、両化合物が共に溶解可能な溶媒であれば特に制限はないが、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アセトンが挙げられる。
式(9)で表される化合物と式(10)で表される化合物とを反応させる条件において、反応温度としては、−80ないし120℃であり、好ましくは0ないし100℃であり、より好ましくは20ないし80℃である。反応時間としては、0.1ないし48時間であり、好ましくは0.2ないし36時間であり、より好ましくは0.3ないし24時間である。
また、式(9)で表される化合物と式(10)で表される化合物とを反応させるとき、必要に応じて酸受容体(中和剤)を使用することができる。酸受容体の具体例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、キノリンなどを挙げることができる。
なお本発明は、前記式(6)で表される化合物、特に式中、R1がエチル基である式(6)で表される化合物を含む。
[末端アミノ基に有機官能基が付加したハイパーブランチポリマー]
本発明は、前記式(4)のハイパーブランチポリマーの末端アミノ基の一部又は全てがアミド結合又はイミン結合によって有機官能基と結合したハイパーブランチポリマーにも関する。
導入される有機官能基は、薄膜形成性等の機能性の向上に関して、上記式(4)のハイパーブランチポリマーのアミノ基1モルに対して、0.5ないし2.0倍モル当量の有機官能基が結合していることが望ましく、1.0ないし1.5倍モル当量の有機官能基が結合していることがより好ましい。
上記有機官能基が結合した構造を有するポリマーは、前記式(4)のハイパーブランチポリマーと、該ポリマーの末端アミノ基と反応してアミド結合又はイミン結合を形成し得る化合物とを反応させることにより、得ることができる。
<末端アミノ基と反応してアミド結合又はイミド結合を形成し得る化合物>
a) アミド結合を形成し得る化合物
前記アミド結合を形成し得る化合物としては、前記式(4)で表されるハイパーブランチポリマーの末端アミノ基と反応してアミド結合を形成し得る化合物であれば特に制限は無いが、例えば、脱離基を有するカルボニル化合物又は酸無水物化合物を挙げることができる。
a)−1 脱離基を有するカルボニル化合物
前記脱離基を有するカルボニル化合物は下記式(11)にて表される。
Figure 2008102680
(式中、Y1は脱離基を表し、R3は炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のヒドロキシアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表す。)
上記式(11)において、Y1で表される脱離基の具体例としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、又はヒドロキシコハク酸イミド基などが挙げられる。
また、炭素原子数1ないし20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、ノルマルペンチル基、ノルマルヘキシル基、ノルマルオクチル基などが挙げられる。
炭素原子数1ないし20のヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基などが挙げられる。
炭素原子数6ないし10のアリール基の具体例としては、フェニル基などが挙げられる。
また、炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
前記式(11)で表される化合物の具体例としては、アセチルクロリド、プロパノイルクロリド、ブタノイルクロリド、ペンタノイルクロリド、ヘキサノイルクロリド、ヘプタノイルクロリド、オクタノイルクロリド、デカノイルクロリド、ヘキサデカノイルクロリド、ベンゾイルクロリドなどが挙げられる。
a)−2 酸無水物化合物
前記酸無水物化合物の具体例としては、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸などが挙げられ、公知の酸無水物化合物を使用することができる。
b) イミン結合を形成し得る化合物
前記イミン結合を形成し得る化合物としては、前記式(4)で表されるハイパーブランチポリマーの末端アミノ基と反応してイミン結合を形成し得る化合物であれば特に制限は無いが、例えば、脱離基を有する化合物又は(メタ)アクリレート化合物を挙げることができる。
b)−1 脱離基を有する化合物
前記脱離基を有する化合物は下記式(12)にて表される。
Figure 2008102680
(式中、R3は前記式(12)における定義と同義であり、Y2は脱離基を表す。)
前記式(12)において、Y2で表される脱離基の具体例としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、トシル基、メシル基などが挙げられる。
前記式(12)で表される化合物の具体例としては、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、プロピルクロリド、ブチルクロリド、ペンチルクロリド、ヘキシルクロリド、ヘプチルクロリド、オクチルクロリドなどが挙げられる。
b)−2 (メタ)アクリレート化合物
前記(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの公知の(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。
なお本明細書において、(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタアクリレート化合物の両方を表す。例えば、メチル(メタ)アクリレートは、メチルアクリレートとメチルメタアクリレートを表す。
また、前記式(4)で表されるハイパーブランチポリマーのアミノ基と(メタ)アクリレート化合物の反応はマイケル付加となるため、理論上アミノ基の数に対して最大2倍モル当量まで(メタ)アクリレート化合物が付加することができる。
<ポリマーの末端アミノ基とアミド結合又はイミン結合を形成し得る化合物との反応>
式(4)で表されるハイパーブランチポリマーのアミノ基と、上述のアミド結合又はイミン結合を形成し得る化合物は、共に溶解又は分散可能な溶媒中で混合することにより、両化合物の間でアミド結合又はイミン結合を形成させることができる。
このとき、使用される溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
また、上記式(4)で表されるハイパーブランチポリマーのアミノ基に対して、0.01ないし100倍モル当量、好ましくは0.05ないし50倍モル当量、より好ましくは0.1ないし20倍モル当量の割合で、上記アミド結合又はイミン結合を形成し得る化合物を加えることが望ましい。
また反応条件としては、反応時間0.01ないし200時間、反応温度−50ないし200℃から適宜選択され、好ましくは、反応時間0.1ないし100時間、反応温度0ないし130℃である。
上記反応において、前記アミド結合又はイミン結合を形成し得る化合物が、前記酸無水物化合物又は前記式(11)で表される化合物の場合、式(4)で表されるハイパーブランチポリマーのアミノ基との反応時に、必要に応じて酸受容体を使用することができる。
酸受容体の具体例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、キノリンなどを挙げることができる。
上述の反応により得られた、式(4)で表されるハイパーブランチポリマーの末端アミノ基の一部又は全てにアミド結合又はイミン結合を介して有機官能基が付加した構造を有するハイパーブランチポリマーは、反応溶液中から溶媒留去、又は固液分離により溶媒と分離することができる。また、反応溶媒を貧溶媒中、例えばヘプタン、ヘキサンなどへ加えることにより、前記有機官能基が付加した構造を有するハイパーブランチポリマーを沈殿させ、粉末として回収することもできる。
[ハイパーブランチポリマーを溶解又は分散したワニス]
前述の式(1)ないし(4)にて表される本発明のハイパーブランチポリマー(以降、ハイパーブランチポリマー(I)と称する)は、水単独媒体のみならず、水と相溶性のある有機媒体又はそれらの混合媒体に溶解又は分散させ、ハイパーブランチポリマーのワニスとすることができる。
また、前記式(3)又は(4)のハイパーブランチポリマーの末端アミノ基の一部又は全てに、アミド結合又はイミン結合を介して有機官能基が付加した構造を有する本発明のハイパーブランチポリマー(以降、ハイパーブランチポリマー(II)と称する)も、有機媒体に溶解又は分散させ、ハイパーブランチポリマーのワニスとすることができる。
上記ハイパーブランチポリマー(I)及び(II)共に、溶解したワニスが好ましい。
上記ハイパーブランチポリマー(I)又は(II)を溶解又は分散し得る媒体の例は以下の通りである:水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドなど。
これらの媒体は単独で使用してもよく、2種類以上の媒体を混合してもよい
これら媒体は、pHを調整するためにpH緩衝水溶液を使用してもよい。さらに、塩強度を調節するために、任意の無機塩又は有機塩を使用してもよい。
上記ハイパーブランチポリマー(I)又は(II)を上記溶媒に溶解又は分散させる濃度は任意であるが、ハイパーブランチポリマー(I)又は(II)と媒体の総質量(合計質量)に対して、ハイパーブランチポリマー(I)又は(II)の濃度は0.001ないし90質量%であり、好ましくは0.002ないし80質量%であり、より好ましくは0.005ないし70質量%である。
[ハイパーブランチポリマーの被膜及び該ポリマーで被覆した固相担体]
前述の本発明のハイパーブランチポリマー(I)又は(II)は、下記に定義する任意の固相担体に塗布又は吸着させることにより、本発明のハイパーブランチポリマー(I)又は(II)被膜、又は該ポリマーで担体表面を被覆した固相担体を得ることができる。
本発明で用いる固相担体とは、本発明のハイパーブランチポリマー(I)又は(II)が塗布又は吸着させて被覆することが可能な固体をいい、特に材質、形状、寸法などには制限がなく、任意のものを固相担体として使用することができる。
固相担体の材質の具体例としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、アクリル系樹脂などの各種樹脂材料、ガラス、アルミナ、炭素、金属などの無機材料などが挙げられる。また、固相担体の形状の例としては、平板状、粒子状、繊維状、膜状、シート状などが挙げられる。
これらの固相担体は、材質、形状、寸法などにより1種の材質を単独で用いたものでもよく、また、2種以上の材質を任意に組み合わせたり、特定の比率で併用したものであっても良い。例えば、ガラス平板状、樹脂シート状、樹脂膜状、無機材料と樹脂材料との積層板、あるいは各種材料の粒子状、繊維状の単独物、これらの混合物など、あるいは樹脂膜状と無機材料の混合物などが挙げられる。
さらに、上記固相担体は、そのまま使用してもよいが、何らかの表面処理(例えば金属や金属酸化物などの被覆材料による表面被覆)を施した後、表面に本発明のハイパーブランチポリマーを被覆してもよい。
さらに、固相担体と本発明のハイパーブランチポリマー(I)又は(II)とを結合させるために、官能基を固相担体上に導入してもよい。その官能基は任意であるが、例えば、カルボキシル基、アルデヒド基、ハロゲン基、カルボニル基、エポキシ基、ビニル基、スクシンイミド基などの、化学結合により固相担体と本発明のハイパーブランチポリマー(I)又は(II)とを結合させることができる官能基が挙げられる。また、本発明のハイパーブランチポリマー(I)又は(II)と固相担体との結合様式は、共有結合、水素結合、配位結合、イオン結合などの化学結合でもよく、物理吸着によって固相担体と結合させてもよい。
本発明のハイパーブランチポリマー(I)又は(II)を固相担体に被覆する方法としては、前述のハイパーブランチポリマー(I)又は(II)のポリマーのワニスを、含浸法、刷毛塗り法、キャスト法、スピンコート法などにより、固相担体上に被覆する。
さらに、ハイパーブランチポリマー(I)又は(II)のポリマーのワニス液に、上記固相担体を単に浸漬させることにより、固相担体上を被覆することもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
[物性測定条件]
以下の実施例において、試料の物性測定に用いた装置及び測定条件を下記に記す。
(1)化合物及びポリマーの同定:1H−NMRスペクトル
装置:日本電子データム(株)製 JNM−LA400
溶媒:CDCl3、DMSO−d6、D2
(2)分子量測定(ポリエチレンオキシド換算):ゲル浸透クロマトグラフィー
装置:昭和電工(株)製 GPC−101
カラム:東ソー(株)製 TSK−GEL α―5000+TSK−GEL α−2500
カラム温度:40℃
溶媒:0.5M 酢酸/酢酸ナトリウム水溶液
検出器:RI(示差屈折計)
(3)透明性の測定:UV−visスペクトル
装置:(株)島津製作所製 UV−2400PC
(4)接触角測定
装置:協和界面科学(株)製 全自動接触角計CA−W型
温度:23.0℃
湿度:50%
液量:3μL
着液後の安定化時間:5秒
[製造例1:ベンジルフェニルカーボネートの合成]
500mL反応器にベンジルアルコール(関東化学(株)製)54g、ピリジン(純正化学(株)製)50mL、及び塩化メチレン(関東化学(株)製)87mLを仕込み、その後、クロロギ酸フェニル(東京化成工業(株)製)78gを滴下し、温度を25±5℃に管理して3時間攪拌した。反応後、有機相を2N塩酸水溶液、次に蒸留水を用いて順次分液処理を行った。有機相を減圧留去し、得られた残渣を減圧乾燥してオイル状のベンジルフェニルカーボネート107g(収率:94%)を得た。
得られた化合物のNMRスペクトル測定結果を下記に示す。
NMR
1H−NMR(溶媒:CDCl3):δ5.27(s、2H)、7.17−7.43(m、10H)
[製造例2:[2−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノエチルアミノ)エチル]カルバミン酸ベンジルエステル塩酸塩の合成]
1000mL反応器にジエチレントリアミン(東京化成工業(株)製)15g及びジメチルホルムアミド(関東化学(株)製)100mLを仕込み、その後、製造例1で合成したベンジルフェニルカーボネート72.6gをジメチルホルムアミド50gに溶解した溶液を滴下し、温度を25±5℃に管理して15時間攪拌した。反応後、2N塩酸水溶液300gを滴下し、析出した沈殿物を濾過し、エタノール(関東化学(株)製)で固液洗浄した。得られた粉末を減圧乾燥して、白色結晶状の[2−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノエチルアミノ)エチル]カルバミン酸ベンジルエステル塩酸塩51.6g(収率:87%)を得た。
得られた化合物のNMRスペクトル測定結果を下記に示す。
NMR
1H−NMR(溶媒:DMSO−d6):δ3.00(t、4H)、3.32(t、4H)、5.04(s、4H)、7.32−7.37(m、8H)、7.48(t、2H)、8.88(s、2H)
[実施例1:N,N−ビス(2−ベンジルオキシカルボニルアミノエチル)スクシンアミド酸の合成]
500mL反応器に製造例2で合成した[2−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノエチルアミノ)エチル]カルバミン酸ベンジルエステル塩酸塩7g、ジメチルホルムアミド(関東化学(株)製)100g、及びトリエチルアミン(関東化学(株)製)3.7gを仕込み、その後、無水コハク酸(関東化学(株)製)1.7gをジメチルホルムアミド(関東化学(株)製)10gに溶解した溶液を滴下した。その後、温度を25±5℃に管理して15時間攪拌し、溶媒を減圧留去した。クロロホルム(関東化学(株)製)100gを加え、0.5N塩酸水溶液、次に蒸留水を用いて順次分液処理を行った。有機相を減圧留去し、得られた残渣を減圧乾燥してオイル状のN,N−ビス(2−ベンジルオキシカルボニルアミノエチル)スクシンアミド酸7.8g(収率:97%)を得た。
得られた化合物の構造式(式(13))及び、NMRスペクトル測定結果を下記に示す。
構造式
Figure 2008102680
NMR
1H−NMR測定(溶媒:CDCl3):δ2.53(br s、4H)、3.29(br s、4H)、3.41(br s、4H)、5.05(d、4H)、5.55(br s、1H)、5.07(br s、1H)、7.32(br s、10H)
[実施例2:N,N−ビス(2−アミノエチル)スクシンアミド酸の合成]
500mL反応器に実施例1で合成したN,N−ビス(2−ベンジルオキシカルボニルアミノエチル)スクシンアミド酸7.2g、メタノール(関東化学(株)製)144g、5%Pdカーボン粉末(含水品)PEタイプ(エヌ・イー ケムキャット(株)製)0.72gを仕込み、反応器内を水素置換した。その後、温度を50±5℃に管理して10時間攪拌し、Pdカーボン粉末をろ別後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣を減圧乾燥してオイル状のN,N−ビス(2−アミノエチル)スクシンアミド酸3.1g(収率:100%)を得た。
得られた化合物の構造式(式(14))及び、NMRスペクトル測定結果を下記に示す。
構造式
Figure 2008102680
NMR
1H−NMR(溶媒:DMSO−d6):δ2.32(t、2H)、2.38(t、2H)、2.65−2.73(m、2H)、2.84−2.96(m、4H)、3.18(br s、2H)
[実施例3:N,N−ビス(2−ベンジルオキシカルボニルアミノエチル)スクシンアミド酸エチルエステルの合成]
1000mL反応器に製造例2で合成した[2−(2−ベンジルオキシカルボニルアミノエチルアミノ)エチル]カルバミン酸ベンジルエステル塩酸塩27.5g、テトラヒドロフラン(関東化学(株)製)250g、及びトリエチルアミン(関東化学(株)製)8.2gを仕込み、その後、エチルスクシニルクロリド(東京化成工業(株)製)13.3gを滴下した。その後、温度を25±5℃に管理して3時間攪拌し、蒸留水10gを加えて反応を停止させた後、溶媒を減圧留去した。ここにトルエン(関東化学(株)製)500gを加え、0.1N塩酸水溶液、1N水酸化ナトリウム水溶液、及び蒸留水にて順次分液処理後、有機相を減圧留去し、得られた残渣を減圧乾燥してオイル状のN,N−ビス(2−ベンジルオキシカルボニルアミノエチル)スクシンアミド酸エチルエステル25.1g(収率:75%)を得た。
得られた化合物の構造式(式(15))及び、NMRスペクトル測定結果を下記に示す。
構造式
Figure 2008102680
(式中、Etはエチル基を表す)
NMR
1H−NMR(溶媒:CDCl3):δ1.23(t、3H)、2.53−2.62(m、4H)、3.36(br s、4H)、3.46(br s、4H)、4.06(q、2H)5.34(br s、1H)、5.37(br s、1H)、7.27−7.34(m、10H)
[実施例4:N,N−ビス(2−アミノエチル)スクシンアミド酸エチルエステルの合成]
200mL反応器に実施例3で合成したN,N−ビス(2−ベンジルオキシカルボニルアミノエチル)スクシンアミド酸エチルエステル5g、メタノール(関東化学(株)製)50g、及び5%Pdカーボン粉末(含水品)PEタイプ(エヌ・イー ケムキャット(株)製)0.5gを仕込み、反応器内を水素置換した。その後、温度を25±5℃に管理し、10時間攪拌し、Pdカーボン粉末をろ別後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣を減圧乾燥してオイル状のN,N−ビス(2−アミノエチル)スクシンアミド酸エチルエステルの粗物2.7gを得た。
得られた化合物の構造式(式(16))及び、NMRスペクトル測定結果を下記に示す。
構造式
Figure 2008102680
(式中、Etはエチル基を表す)
NMR
1H−NMR(溶媒:D2O):δ1.24(t、3H)、2.66(t、2H)、2.83(t、2H)、2.93−3.03(m、4H)、3.52−3.58(m、4H)、4.14(q、2H)
[実施例5:ハイパーブランチポリマーAの合成]
50mL反応器に実施例2で合成したN,N−ビス(2−アミノエチル)スクシンアミド酸0.2gを仕込み、温度を180±5℃に管理し、減圧下で5時間塊状重合を行い、ハイパーブランチポリマーAを合成した。得られたポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリエチレンオキシド換算で表される重量平均分子量は2,500、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.49であった。
得られたハイパーブランチポリマーAは、水及びメタノールにそれぞれ5質量%の濃度にて溶解可能であった。
得られたハイパーブランチポリマーAの構造式(式(17))及び、NMRスペクトル測定結果を下記に示す。
構造式
Figure 2008102680
(式中、A1、A2及びA3は、それぞれエチレンを表す)
NMR
1H−NMR(溶媒:D2O):δ2.73−2.82(m、4H)、3.51−3.63(m、4H)、3.82−4.04(m、4H)
[実施例6:ハイパーブランチポリマーBの合成]
50mL反応器に実施例4で合成したN,N−ビス(2−アミノエチル)スクシンアミド酸エチルエステル0.2gを仕込み、温度を120±5℃に管理し、減圧下で9時間塊状重合を行い、ハイパーブランチポリマーBを合成した。得られたポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによるポリエチレンオキシド換算で表される重量平均分子量は15,000、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は2.58であった。
得られたハイパーブランチポリマーBは、水及びメタノールにそれぞれ5質量%の濃度にて溶解可能であった。
また、このポリマーBの0.002質量%水溶液をUV−visスペクトル測定を行ったところ、350nm以上に吸収を示さず、透明性が高いとする結果が得られた。
得られたハイパーブランチポリマーBの構造式(式(18))及び、NMRスペクトル測定結果を下記に示す。
構造式
Figure 2008102680
(式中、Etはエチル基を表し、A1、A2及びA3は、それぞれエチレンを表す)
NMR
1H−NMR(溶媒:D2O):δ2.70−2.81(m、4H)、3.37−3.66(m、4H)、3.83−4.03(m、4H)
[実施例7:ハイパーブランチポリマーBによるガラス表面の親水化の評価]
実施例6で合成したハイパーブランチポリマーBの1質量%メタノール溶液を調整した。次に、その溶液にスライドガラスを1時間浸漬後、メタノールで洗浄し、温度40℃で減圧乾燥し、スライドガラスの表面処理を行った。この表面処理を行ったスライドガラスに対する純水の接触角は29.2°であった。
一方、(純)メタノールに1時間浸漬後、メタノールで洗浄し、温度40℃で減圧乾燥したスライドガラスに対する純水の接触角は33.8°であった。
すなわち、実施例6で合成したハイパーブランチポリマーBを用いて表面を被覆したスライドガラス表面は、親水性が向上したという結果が得られた。
[実施例8:ハイパーブランチポリマーCの合成]
50mL反応器に実施例6で合成したハイパーブランチポリマーBの0.1gを仕込み、メタノール2g(関東化学(株)製)に溶解した。次に、メチルアクリレート0.2g(東京化成(株)製)を加え、温度を25±5℃に管理し、90時間攪拌した。その後、溶媒(メタノール)を減圧留去し、得られた残渣を減圧乾燥することにより、ハイパーブランチポリマーBのアミノ基末端にイミン結合によって官能基が結合したハイパーブランチポリマーCを0.12g得た。
得られたハイパーブランチポリマーCのNMRスペクトル測定結果を下記に示す。
NMR
1H−NMR(溶媒:D2O):δ2.33(br s、2.8H)、2.71(br s、4H)、3.07(br s、2.8H)、3.36−3.51(溶媒中の水由来のピークと重なるため測定不可)、3.56(br s、4.2H)、3.73−3.92(m、4H)
上記1H−NMR測定結果から、前記ハイパーブランチポリマーBのエチレン基(式(18)中、A1、A2又はA3、それぞれ4H)に対して1.4倍モル当量の式(19)で表されるメトキシカルボニルエチル基(2.8H、2.8H、4.2H)を有していることが確認された。また、ハイパーブランチポリマーBにおいて、理論上アミノ基末端の数は繰り返し単位数n、すなわち各エチレン基数とほぼ同一になることから、得られたハイパーブランチポリマーCには、前記ハイパーブランチポリマーBのアミノ基末端に対して1.4倍モル当量の有機官能基が導入されていることが示唆された。
Figure 2008102680
(式中、Meはメチル基を表す)
得られたハイパーブランチポリマーCは、ジメチルスルホキシド及びN−メチルピロリドンに5質量%の濃度にて溶解可能であった。
[実施例9:ハイパーブランチポリマーCの被膜の形成]
実施例8で得られたハイパーブランチポリマーCの5質量%ジメチルスルホキシド溶液を調整した。この溶液を0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製ミクロフィルター用いて濾過した後に、ガラス基板上に300rpmで5秒さらに1500rpmで20秒、スピンコート法で塗付した。その後、ホットプレート上にて温度200℃で10分間加熱し、ガラス基板上に膜厚126nmを有する薄膜状形成体を得た。
本発明のハイパーブランチポリマーは、塗料、インキ、接着剤、樹脂フィラー、各種成形材料、ナノメートルサイズの多孔形成剤、化学的機械的研磨剤、機能物質の担持材料、ナノカプセル、フォトニック結晶、レジスト材料、光学材料、電子材料、情報記録材料、印刷材料、電池材料、医用材料、磁性材料などとして好適に利用され、特に固相担体上に被覆した場合、固相担体の表面を改変し、コーティング剤として有用である。

Claims (17)

  1. 式(1):
    Figure 2008102680
    (式中、A1は基中にアミド結合又はエーテル結合を含有することができる炭素原子数1ないし30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基、又は炭素原子数6ないし10のアリーレン基又はアルキルアリーレン基を表し、A2及びA3は基中にアミド結合又はエーテル結合を含有することができる炭素原子数1ないし30の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基を表し、nは2ないし100,000の整数を表す。)で表される構造を有するハイパーブランチポリマー。
  2. 式(2):
    Figure 2008102680
    (式中、A1、A2、A3及びnは前記式(1)における定義と同義であり、R1は水素原子、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表す。)で表される構造を有する請求項1記載のハイパーブランチポリマー。
  3. 式(3):
    Figure 2008102680
    (式中、A1、A2、A3及びnは前記式(1)における定義と同義であり、Xはアミノ基末端の少なくとも一部に付加された酸性化合物を表し、Xはなくてもよい。)で表される構造を有する請求項1記載のハイパーブランチポリマー。
  4. 式(4):
    Figure 2008102680
    (式中、A1、A2、A3及びnは前記式(1)における定義と同義であり、R1は前記式(2)における定義と同義であり、Xは前記式(3)における定義と同義である。)で表される構造を有する請求項1ないし請求項3に記載のハイパーブランチポリマー。
  5. 上記式(2)又は式(4)において、R1が水素原子又はエチル基である、請求項2又は請求項4に記載のハイパーブランチポリマー。
  6. ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で測定される重量平均分子量が400ないし20,000,000である、請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマー。
  7. 式(5):
    Figure 2008102680
    (式中、A1、A2及びA3は前記式(1)における定義と同義であり、R1は前記式(2)における定義と同義であり、Xは前記式(3)における定義と同義である。)で表される化合物を重合させることによる、請求項4記載の式(4)で表されるハイパーブランチポリマーの製造方法。
  8. 請求項7記載の式(5)で表される化合物の重合工程において、塊状重合又は溶液重合させることによる、請求項7記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
  9. 請求項7記載の式(5)で表される化合物の重合工程において、生成する水及び/又はアルコールを除去しながら50℃ないし250℃の温度下にて塊状重合を為すところの請求項8記載のハイパーブランチポリマーの製造方法。
  10. 式(6):
    Figure 2008102680
    {式中、A1、A2及びA3は前記式(1)における定義と同義であり、R1は炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、A4は式(7)又は式(8):
    Figure 2008102680
    Figure 2008102680
    (式(7)及び式(8)中、R2は炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、又は炭素原子数7ないし15のアリールアルキル基を表す。)を表す。}で表される化合物を酸、塩基又は還元剤で処理することからなる、請求項7記載の式(5)で表される化合物の製造方法。
  11. 式中、R1がエチル基である請求項7記載の式(5)で表される化合物。
  12. 式(9):
    Figure 2008102680
    (式中、A2及びA3は前記式(1)における定義と同義であり、A4は前記式(6)における定義と同義であり、Xは前記式(3)における定義と同義である。)で表される化合物を、
    式(10):
    Figure 2008102680
    (式中、A1は前記式(1)における定義と同義であり、またR1は前記式(6)における定義と同義であり、Yはフルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基及びヒドロキシコハク酸イミド基からなる群から選択される脱離基を表す。)で表される化合物と反応させることからなる、請求項10記載の式(6)で表される化合物の製造方法。
  13. 式中、R1がエチル基である請求項10記載の式(6)で表される化合物。
  14. 請求項4記載の式(4)で表されるハイパーブランチポリマーの末端アミノ基の一部又は全てがアミド結合又はイミン結合によって有機官能基と結合した構造を有するハイパーブランチポリマー。
  15. 請求項1ないし請求項6又は請求項14のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーを媒体に溶解又は分散したハイパーブランチポリマーのワニス。
  16. 請求項1ないし請求項6又は請求項14のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーからなるハイパーブランチポリマー被膜。
  17. 請求項1ないし請求項6又は請求項14のうちいずれか1項に記載のハイパーブランチポリマーを担体表面に被膜した固相担体。
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