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JPWO2008099782A1 - 硬化性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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JPWO2008099782A1 JP2008558074A JP2008558074A JPWO2008099782A1 JP WO2008099782 A1 JPWO2008099782 A1 JP WO2008099782A1 JP 2008558074 A JP2008558074 A JP 2008558074A JP 2008558074 A JP2008558074 A JP 2008558074A JP WO2008099782 A1 JPWO2008099782 A1 JP WO2008099782A1
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Abstract

有機溶剤を含有しなくても成形可能な硬化性樹脂組成物およびその製法を提供するものであり、該硬化性樹脂組成物が(A)フッ素原子および水酸基を含有するラジカル重合性不飽和単量体単位を含む水酸基含有含フッ素重合体(A−1)と、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有するイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)との反応生成物が(B)アクリルモノマーに溶解している硬化性樹脂組成物である。

Description

本発明は水酸基含有含フッ素共重合体とイソシアネート基含有不飽和化合物との反応生成物およびアクリルモノマーを含む硬化性樹脂組成物ならびにその製造方法に関する。
従来、含フッ素ポリマーを用いた硬化性樹脂組成物としては、末端にエチレン性炭素−炭素二重結合を有する硬化性含フッ素ポリマーに関する組成物(国際公開第02/18457号パンフレット参照)が提案されている。また、水酸基含有含フッ素共重合体とイソシアネート基含有アクリルモノマーとの反応生成物のキシレン溶媒中でアクリルモノマーを溶液重合して得られたグラフト共重合体を溶剤に分散させて塗料として用いられる硬化性樹脂組成物(特開昭62−25104号公報参照)が知られている。
本発明は、有機溶剤を含有しなくても成形可能な硬化性樹脂組成物およびその製法を提供することを目的とする。
本発明は、(A)フッ素原子および水酸基を含有するラジカル重合性不飽和単量体単位を含む水酸基含有含フッ素重合体(A−1)と、
1個のイソシアネート基と少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有するイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)との反応生成物が
(B)アクリルモノマーに溶解している硬化性樹脂組成物に関する。
硬化性樹脂組成物の30℃における粘度が5〜100000mPa・sであることが好ましい。
水酸基含有含フッ素重合体(A−1)が、式(I)で表される構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2008099782
(式中、X1およびX2は、同じであっても異なっていてもよく、フッ素原子または水素原子;X3はフッ素原子、水素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基;R1は、水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜30の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい。ただし、少なくとも1つのフッ素原子をX1〜X3およびR1のいずれかに含む)
水酸基含有含フッ素重合体(A−1)が、式(II)で表される構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2008099782
(式中、X1およびX2は、同じであっても異なっていてもよく、フッ素原子または水素原子;X3はフッ素原子、水素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基;X4およびX5は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;aは0〜3の整数;bは0または1;R2は水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜29の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい。ただし、少なくとも1つのフッ素原子をX1〜X5およびR2のいずれかに含む)
水酸基含有含フッ素重合体(A−1)が、式(III)で表される構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2008099782
(式中、R3は水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜29の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい)
アクリルモノマー(B)がラジカル反応性基を1個または2個以上含むアクリルモノマーであることが好ましい。
イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)におけるラジカル重合性不飽和基がメタクリル基、アクリル基、2−フルオロアクリル基、2−クロロアクリル基またはこれらの2種以上であることが好ましい。
また、本発明は、(A)フッ素原子および水酸基を含有するラジカル重合性不飽和単量体単位を含む水酸基含有含フッ素重合体(A−1)と1個のイソシアネート基と少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有するイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)とをアクリルモノマー(B)に溶解させ、アクリルモノマー(B)中で水酸基含有含フッ素重合体(A−1)とイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)とを反応させる硬化性樹脂組成物の製造方法にも関する。
水酸基含有含フッ素重合体(A−1)をアクリルモノマー(B)に溶解させ、ついでイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)を添加し溶解させることが好ましい。
イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)におけるイソシアネート基の数と、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)およびアクリルモノマー(B)における全水酸基の数の比が0.01:1〜1:1であることが好ましい。
水酸基含有含フッ素重合体(A−1)が、式(I)で表される構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2008099782
(式中、X1およびX2は、同じであっても異なっていてもよく、フッ素原子または水素原子;X3はフッ素原子、水素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基;R1は、水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜30の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい。ただし、少なくとも1つのフッ素原子をX1〜X3およびR1のいずれかに含む)
水酸基含有含フッ素重合体(A−1)が、式(II)で表される構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2008099782
(式中、X1およびX2は、同じであっても異なっていてもよく、フッ素原子または水素原子;X3はフッ素原子、水素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基;X4およびX5は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;aは0〜3の整数;bは0または1;R2は水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜29の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい。ただし、少なくとも1つのフッ素原子をX1〜X5およびR2のいずれかに含む)
水酸基含有含フッ素重合体(A−1)が、式(III)で表される構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2008099782
(式中、R3は水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜29の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい)
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)フッ素原子および水酸基を含有するラジカル重合性不飽和単量体単位を含む水酸基含有含フッ素重合体(A−1)と、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有するイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)との反応生成物と(B)アクリルモノマーを含む。
水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)における水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体単位の具体例としては、例えば式(I):
Figure 2008099782
(式中、X1およびX2は、同じであっても異なっていてもよく、フッ素原子または水素原子;X3はフッ素原子、水素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基;R1は、水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜30の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい。ただし、少なくとも1つのフッ素原子をX1〜X3およびR1のいずれかに含む)
で示される水酸基含有含フッ素エチレン性単量体である。中でも式(II)で示される水酸基含有含フッ素エチレン性単量体がより好ましい。
Figure 2008099782
(式中、X1およびX2は、同じであっても異なっていてもよく、フッ素原子または水素原子;X3はフッ素原子、水素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基;X4およびX5は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;aは0〜3の整数;bは0または1;R2は水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜29の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい。ただし、少なくとも1つのフッ素原子をX1〜X5およびR2のいずれかに含む)
さらに好ましい水酸基含有含フッ素エチレン性単量体は式(III)で示される。
Figure 2008099782
(式中、R3は水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜29の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい)
次にR1〜R3に含まれている水酸基に関して説明する。水酸基が直接結合している炭素原子は一般に、水酸基が結合している炭素に結合している炭素数によって、1級炭素、2級炭素そして3級炭素の3種類に分類できる。
まず、1級炭素であるが、R−CH2−OHのように水酸基が結合している炭素に結合している炭素数が1個の場合(ここでRは炭素数1以上の有機基)である。
具体的に1価の水酸基含有有機基としては、
Figure 2008099782
などがあげられる。
次に2級炭素であるが、R−CR'H−OHのように水酸基が結合している炭素に結合している炭素数が2個の場合(ここでR、R'は炭素数1以上の有機基)である。
具体的に1価の水酸基含有有機基としては、
Figure 2008099782
などがあげられる。
次に3級炭素であるが、R−CR'R''−OHのように水酸基が結合している炭素に結合している炭素数が3個の場合(ここでR、R'、R''は炭素数1以上の有機基)である。
具体的に1価の水酸基含有有機基としては、
Figure 2008099782
などがあげられる。
これらの中で、立体障害の観点から1級および2級炭素に結合している水酸基が、反応性の観点より好ましくは1級炭素に結合した水酸基が好ましい。
次に上記で示したような1級〜3級の炭素に結合した水酸基を有する炭素数1から10の1価の水酸基含有有機基をY1とし、具体的なR1〜R3の構造をYを用いて説明する。ここでYはY1または単に水酸基を表す。
Figure 2008099782
(式中、l、mおよびnは整数であって、l:1〜10、m:1〜10、n:1〜5である)
Figure 2008099782
(式中、X4、X7はFまたはCF3、X5、X6はHまたはFであり、o+p+qは1〜10;rは0または1;s、tは0または1である)
などがあげられる。
(III)式の具体例としては、
Figure 2008099782
Figure 2008099782
さらに詳しくは、
Figure 2008099782
Figure 2008099782
などがあげられる。
これらの中でアクリルモノマーに対する溶解性、イソシアネート基(−NCO)との反応性の観点から、
Figure 2008099782
が特に好ましい。
水酸基含有含フッ素重合体はさらに水酸基を含有していない単量体単位を、アクリルに対する溶解性を損なわない範囲で構造単位に含んでもよい。そのような単量体単位の具体例は国際公開第02/18457号パンフレット記載の構造単位AやMの中で水酸基をもたないものをすべて採用できる。
その中でもアクリルモノマーに対する溶解性の観点から特に、
−CH2−CF2−、
−CH2−CF(CF3)−、
Figure 2008099782
が好ましい。
具体的な水酸基含有含フッ素重合体としてはアクリルモノマーに対する溶解性、NCOとの反応性の観点から、
Figure 2008099782
Figure 2008099782
(式中、pとqの比はモル比で20/80〜99/1である)
などがあげられる。
イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)におけるラジカル重合性不飽和基としては、メタクリル基、アクリル基、2−フルオロアクリル基、2−クロロアクリル基があげられるが、重合反応性、コスト、合成のしやすさの観点からメタクリル基、アクリル基が、なかでもアクリル基が特に好ましい。
イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)としては、例えば式(IV):
Figure 2008099782
(式中、R4、R5またはR6は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜4のアルキル基であり、R7は、−COO−R8−、−OCO−R8−または−O−R8−(ただし、R8は炭素数1〜20のアルキル基である))で表わされる、アルキルビニルエーテルやアルキルアリルエーテルがあげられる。
イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)としては、例えば、2−イソシアネートエチルアクリレート(式(V)):
CH2=CHCOOCH2CH2NCO (V)、
2−イソシアネートエチルメタクリレート(式(VI)):
CH2=C(CH3)COOCH2CH2NCO (VI)、
Figure 2008099782
4−イソシアネートブチルアクリレート、4−イソシアネートブチルメタクリレートなどがあげられる。
さらに、多価イソシアネートに対して不飽和モノアルコールを反応させた反応生成物のなかで、1個のイソシアネート基を有するものがあげられる。多価イソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合イソシアネート、P,P’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネートなどがあげられる。また、不飽和モノアルコールとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するモノアルコール類、アリルアルコール、アリルセロソルブ、トリメチルプロパンジアリルエーテルなどのアリル基を有するモノアルコール類があげられる。これらの中で合成の容易さ、反応性の高さから、2−イソシアネートエチルアクリレートまたは2−イソシアネートエチルメタクリレートが好ましい。
反応生成物(A)とは、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)における水酸基と、イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)におけるイソシアネート基とがウレタン結合したものである。
反応生成物(A)のフッ素含有量は、耐候性、撥水撥油性、防汚性が良好である、いう点から20質量%以上が好ましく、可視〜近赤外域にかけての広い波長範囲で透明性が良好であるという点から40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。また、反応生成物(A)のフッ素含量は、アクリルに対する溶解性が良好であるという点から75質量%以下が好ましく70質量%以下がより好ましく、65質量%以下がさらに好ましい。
反応生成物(A)の分子量は数平均分子量で、硬化性組成物に調製し、硬化させた硬化物の強度、表面硬度が良好であるという観点から1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、3000以上がさらに好ましい。また、反応生成物(A)の分子量は数平均分子量で、粘度が大きくならず、取扱いが良好であるという観点から、500000以下が好ましく、アクリルに対する溶解性が良好である、という観点から、100000以下がより好ましく、組成物の粘度が低く、取り扱いが良好であるという観点から、50000以下がさらに好ましい。
本発明におけるアクリルモノマー(B)とは、アクリロイル基、メタクリロイル基、2−フルオロアクリロイル基、2−クロロアクリロイル基を1個または2個以上有するモノマーをいい、ラジカル反応基を有するイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)とは異なるものをいう。
アクリルモノマー(B)におけるラジカル重合性不飽和基としては、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)の溶解性が高く、粘性が低いという観点から1個が好ましく、また、硬化性組成物に調製し、硬化させた硬化物の強度が良好であるという観点から2個以上が好ましく、さらに、硬化性組成物の硬化速度が良好であるという観点から3個以上がより好ましい。
アクリルモノマー(B)としては、具体的には、メチルメタクリレート(MMA)、メタクリル酸(MA)、エチルメタクリレート(EMA)、n−ブチルメタクリレート(nBMA)、イソブチルメタクリレート(iBMA)、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(MSPM)、2−(フェニルホスホリル)エチルメタクリレート(phenyl−P)、2−ヒドロキシ−3−(β−ナフトキシ)プロピルメタクリレート(HNPM)、N−フェニル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロピルグリシン(NPG−GMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EDMAまたは1G)、ジエチレングリコールジメタクリレート(DiEDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TriEDMA)、1,4−ブタンジオールジメタクリレート(1,4−BuDMA)、1,3−ブタンジオールジメタクリレート(1,3−BuDMA)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(16HX)、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(Bis−GMA)、2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン(BPDMA)、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン(Bis−MEPP)、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン(Bis−MPEPP)、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン(UDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPEHA)などがあげられる。また、これらに対応する各アクリレート、各2−フルオロアクリレート、各2−クロロアクリレートを例示することができる。
また、含フッ素アクリルモノマーの例としては
CH2=C(CH3)COOCH2CF3(3FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CF2CF2H(4FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CF2CF3(5FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CF2CFHCF3(6FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2(CF2)3CF2H(8FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF2)3CF3(9FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2(CF2)5CF2H(12FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF2)5CF3(13FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF2)7CF3(17FMA)、
CH2=C(CH3)COOCH(CF3)2(HFIP−MA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CCH3(CF3) 2(6FNP−MA)、
CH2=C(CH3)COOCH2CF(CF3)OCF2CF2CF3(6FOn1−MA)、
また、これらに対応する各アクリレート、各2−フルオロアクリレート、各2−クロロアクリレートを例示することができる。
上記の2−フルオロアクリレートとしては例えば、
CH2=CFCOOCH2CF2CF2H(4FFA)、
CH2=CFCOOCH2CF2CF3(5FFA)、
CH2=CFCOOCH2(CF2)3CF2H(8FFA)、
CH2=CFCOOCH2(CF2)5CF2H(12FFA)、
CH2=CFCOOCH(CF3)2(HFIP−FA)
などを例示することができる。
以上のようなアクリルモノマーがあげられるが、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)、イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)およびその反応生成物(A)の溶解性が良好であるという観点から、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートが好ましい。
反応生成物(A)とアクリルモノマー(B)の質量比は、95:5〜5:95が好ましく、80:20〜20:80がより好ましく、70:30〜30:70がさらに好ましい。反応生成物(A)とアクリルモノマー(B)の質量比が95:5からはずれて反応生成物(A)の質量が大きくなると粘性が高く、取り扱いづらくなる傾向がある。また、反応生成物(A)とアクリルモノマー(B)の質量比が5:95からはずれて反応生成物(A)の質量が小さくなるとフッ素含有率が低下してくるため、硬化性組成物を硬化させた硬化物の耐候性、撥水撥油性、防汚性が低下してくる傾向がある。
硬化性樹脂組成物の30℃における粘度は、粘性が低すぎると液だれが多く、かえって取り扱い性が低下するため、5mPa・s以上が好ましく、薄膜形成性が良好であるという観点から、10mPa・s以上がより好ましく、硬化の際の硬化収縮が小さいという観点から、50mPa・s以上がさらに好ましい。また、硬化性樹脂組成物の30℃における粘度は、取り扱い性が良好であるという観点から、100000mPa・s以下が好ましく、成型加工の際に細部にわたって硬化性組成物がいきわたるという観点から、50000mPa・s以下がより好ましく、薄膜を形成した際にレベリング(表面平滑)性が良好であるという観点から、20000mPa・s以下がさらに好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤としては、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)の硬化反応性基と反応して架橋する化合物であり、例えば不飽和結合を有さないイソシアネート類やアミノ樹脂類、酸無水物類、ポリエポキシ化合物、イソシアネート基含有シラン化合物などが通常用いられる。
前記の不飽和結合を有さないイソシアネート類の具体例としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネートまたはこれらの三量体、これらのアダクト体やビュウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらにブロック化されたイソシアネート類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
前記アミノ樹脂類の具体例としては、例えば尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂のほか、メラミンをメチロール化したメチロール化メラミン樹脂、メチロール化メラミンをメタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類でエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
酸無水物類の具体例としては、例えば無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
ポリエポキシ化合物やイソシアネート基含有シラン化合物としては、例えば特開平2−232250号公報、特開平2−232251号公報などに記載されているものが使用できる。好適な例としては、例えば、
Figure 2008099782
OCNC36Si(OC253
OCNC24Si(OCH33
などがあげられる。
硬化剤の配合量は、前記水酸基含有含フッ素重合体(A−1)中の化学的硬化反応性基1当量に対して0.1〜5当量、好ましくは0.5〜1.5当量である。本発明の組成物は通常0〜200℃で数分間ないし10日間程度で硬化させることができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させる際に、反応生成物(A)およびアクリルモノマー(B)を重合させる際にUV照射によって硬化させるため、硬化性樹脂組成物中に光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノンなどのアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシ−プロピルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−ヒドロキ−2−メチルプロピオフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン、ジエチルチオキサンソン、ジメチルチオキサンソンなどチオキサンソン類;その他の化合物として、ベンジル、α−アシルオキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、アンスラキノンなどがあげられる。
また、必要に応じてアミン類、スルホン類、スルフィン類などの公知の光開始助剤を添加してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、ラジカル反応性基を有さない有機溶剤およびフッ素系の溶剤を含まないことが、硬化性樹脂組成物を硬化した後に溶媒を除去する工程が不要である点、残留溶媒による耐熱性の低下、強度の低下、白濁といった悪影響がない点で好ましい。ラジカル反応性基を有さない有機溶剤の具体例としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリットなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルなどのグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、sec−ブタノール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノール、tert−アミルアルコールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール類;1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、ジメチルスルホキシドなどがあげられる。あるいはこれらの2種以上の混合溶剤などがあげられる。
またさらに、フッ素系の溶剤としては、例えばCH3CCl2F(HCFC−141b)、CF3CF2CHCl2/CClF2CF2CHClF混合物(HCFC−225)、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、メトキシ−ノナフルオロブタン、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼンなどのほか、
H(CF2CF2)nCH2OH(n:1〜3の整数)、
F(CF2)nCH2OH(n:1〜5の整数)、
CF3CH(CF3)OHなどのフッ素系アルコール類;
ベンゾトリフルオライド、パーフルオロベンゼン、パーフルオロ(トリブチルアミン)、ClCF2CFClCF2CFCl2などがあげられる。
これらフッ素系溶剤は単独でも、またフッ素系溶剤同士、非フッ素系とフッ素系の1種以上との混合溶剤などがあげられる。
さらには、本発明の硬化性樹脂組成物は、アクリルモノマー(B)以外の有機液体(有機溶剤)および水を用いない、いわゆる無溶剤型の硬化性樹脂組成物とすることができる。このように無溶剤型とすることにより、有機溶剤の除去が不要となり、成形工程などを簡略化でき、また、有機溶媒の除去が不充分な場合、有機溶剤が硬化物内に残存するといった問題が生じない。残存する有機溶剤の影響として耐熱性、機械的強度の低下、白濁するといった問題も生じない。さらに成形加工条件の関係から揮発分が許されないケースに対しても無溶剤型の硬化性樹脂組成物は有用である。例えば、密閉容器内の充填、封止のような用途である。
また、本発明は、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)と1個のイソシアネート基と少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有するイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)とをアクリルモノマー(B)に溶解させ、アクリルモノマー(B)中で水酸基含有含フッ素重合体(A−1)とイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)とを反応させる硬化性樹脂組成物の製造方法にも関する。
水酸基含有含フッ素重合体(A−1)は、フルオロオレフィンおよび水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体を含む混合単量体を重合することによって得られる。
フルオロオレフィンおよび水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体は、前記のフルオロオレフィン単位および水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体単位と同様のものを用いることができる。
水酸基含有含フッ素重合体(A−1)の製造方法は特に限定されず、重合条件は従来公知の条件が採用できる。なお、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)はアクリルモノマー(B)に溶解するため、重合生成物の形態(例えば粒子径など)は特に問題とならない。
水酸基含有含フッ素重合体(A−1)に対するアクリルモノマー(B)の質量比は、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)がアクリルモノマー(B)に均一溶解する範囲であれば特に制限はない。均一溶解していないと、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有するイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)と水酸基含有含フッ素重合体(A−1)との反応が困難もしくは不均一となり、その結果、硬化物の耐熱性、透明性などの物性が低下する。
水酸基含有含フッ素重合体(A−1)とイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)とをアクリルモノマー(B)に溶解させる際には、ラジカル反応性基を有さない有機溶剤を含まないことが好ましい。ラジカル反応性基を有さない有機溶剤としては、前記の有機溶剤があげられる。
水酸基含有含フッ素重合体(A−1)とイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)との反応とは、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)における水酸基と、イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)におけるイソシアネート基とを反応させ、ウレタン結合を形成させることをいう。
水酸基含有含フッ素重合体(A−1)とイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)との反応において、アクリルモノマー(B)が実質的に反応しない条件下あって、かつラジカル反応性基を有さない有機溶媒の不存在下で反応させることが好ましい。
水酸基含有含フッ素重合体(A−1)とイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)との反応における反応温度は、反応性が良好であるという点から5℃以上が好ましく、さらには系の粘度が下降し、その結果、反応速度が促進される点から10℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましい。また、反応温度は、溶解させているアクリルモノマー(B)が実質的に重合をおこさず、添加物が熱的に安定であれば組成物の粘度が低下し、反応速度が速いため、硬化促進剤などの添加も不要になる点から温度は高い方が好ましい。しかしながら、実質的にアクリルモノマーの熱安定性を考慮すれば80℃以下が好ましく、重合反応性が高い2−フルオロアクリルモノマーなどを用いる場合は60℃以下が好ましく、保存安定性を考慮すれば50℃以下がさらに好ましい。
イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)におけるイソシアネート基の数と水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)における水酸基の数の比は、イソシアネート基の数が水酸基の数以下である、0.01:1〜1:1が好ましく、硬化時のアクリルモノマーとの反応性が良好であるという点から0.1:1〜1:1がより好ましく、水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)の水酸基を残基として残しておくとアクリルとの溶解性が良好であるという点から0.2:1〜0.8:1がさらに好ましい。イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)におけるイソシアネート基の数と水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)における水酸基の数の比が0.01:1からはずれてイソシアネート基の数が小さくなるとアクリルモノマーとの反応が乏しくなり、結果として硬化物が白濁したり、硬化物の機械的強度が低下する傾向がある。また、イソシアネート基の数と水酸基の数の比が1:1からはずれてイソシアネート基の数が大きくなると過剰のイソシアネートが組成物中に残渣として残り、硬化物の特性を劣化させる傾向がある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記にあげたもの以外に、例えば、硬化促進剤、顔料、分散剤、増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤などを任意に添加してもよい。
硬化促進剤としては、例えば有機スズ化合物、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルとアミンとの反応物、飽和または不飽和の多価カルボン酸またはその酸無水物、有機チタネート化合物、アミン系化合物、オクチル酸鉛などがあげられる。
前記有機スズ化合物の具体例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズフタレート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ジブチルスズメトキシドなどがあげられる。
また前記酸性リン酸エステルとは、
Figure 2008099782
部分を含むリン酸エステルのことであり、例えば
Figure 2008099782
(式中、bは1または2、R8は有機残基を示す)で示される有機酸性リン酸エステルなどがあげられる。具体的には、
Figure 2008099782
などがあげられる。
前記、有機チタネート化合物としては、例えばテトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネートなどのチタン酸エステルがあげられる。
さらに前記アミン系化合物の具体例としては、例えばブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)などのアミン系化合物、さらにはそれらのカルボン酸などの塩、過剰のポリアミンと多塩基酸よりえられる低分子量ポリアミド樹脂、過剰のポリアミンとエポキシ化合物の反応生成物などがあげられる。
硬化促進剤は1種を用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。硬化促進剤の配合割合は重合体100質量部に対して1.0×10-6〜1.0×10-2質量部が好ましく、5.0×10-5〜1.0×10-3質量部がより好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、種々の形態で各種の用途に利用できる。
例えば硬化膜を形成して各種用途に利用できる。膜を形成する方法としては用途に応じた適切な公知の方法を採用することができる。例えば膜厚をコントロールする必要がある場合は、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、フローコート法、バーコート法、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法などが採用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、膜形成してもよいが、各種成形品の成形材料として特に有用である。成形方法としては、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成型、トランスファー成形、光造形、ナノインプリント、真空成型などが採用できる。
本発明の硬化性樹脂組成物の用途としては、例えば、封止部材、光学材料、光電子撮像管、各種センサー、反射防止材などがあげられる。
封止部材の使用形態としては、例えば発光ダイオード(LED)、EL素子、非線形光学素子などの発光素子やCCDやCMOS、PDのような受光素子などの光機能素子のパッケージ(封入)、実装などが例示できる。また、深紫外線顕微鏡のレンズなどの光学部材用封止材(または充填材)などもあげられる。封止された光素子は種々の場所に使用されるが、非限定的な例示としては、ハイマウントストップランプやメーターパネル、携帯電話のバックライト、各種電気製品のリモートコントロール装置の光源などの発光素子;カメラのオートフォーカス、CD/DVD用光ピックアップ用受光素子などがあげられる。
光学材料としては特にフッ素を含有しているため、低屈折率の光学材料になる。例えば光伝送用媒体として有用である。特にコア材が石英、もしくは光学ガラスであるプラスチッククラッド光学ファイバーのクラッド材料、コア材がプラスチックである全プラスチック光学ファイバーのクラッド材料、反射防止コーテイング材料、レンズ材料、光導波路材料、プリズム材料、光学窓材料、光記憶ディスク材料、非線形型光素子、ホログラム材料、フォトリソグラティブ材料、発光素子の封止材料などといった光学材料に使用可能である。また、光デバイス用の材料としても使用できる。光デバイスとしては、光導波路、OADM、光スイッチ、光フィルター、光コネクター、合分波器などの機能素子および光配線などの光実装が知られており、これらのデバイスを形成するのに有用な材料である。さらに種々の機能性化合物(非線形光学材料、蛍光発光性の機能性色素、フォトリフラクティブ材料など)を含有させて、モジュレータ、波長変換素子、光増幅器などの光デバイス用の機能素子として用いるのにも適している。
センサー用途としては、特に光学センサーや圧力センサーなどの感度向上や撥水撥油特性によるセンサーの保護などの効果があり有用である。
そのほか、電子半導体用の封止部材用材料、耐水耐湿性接着剤、光学部品や素子用の接着剤としても使用できる。
用途として前記のような例示ができるが、これらに限定されるものではない。
つぎに実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本明細書で採用している測定法について、以下にまとめた。
(1)数平均分子量の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、東ソー(株)製のGPC HLC−8020を用い、Shodex社製のカラム(GPC KF−801を1本、GPC KF−802を1本、GPC KF−806Mを2本直列に接続)を使用し、溶媒としてテトラハイドロフラン(THF)を流速1ml/分で流して測定したデータより、数平均分子量を算出する。
(2)水酸基価の測定
無水酢酸を用いたアセチル化法により、常法に従って水酸基価を求める。
(3)フッ素含有量
酸素フラスコ燃焼法により試料10mgを燃焼し、分解ガスを脱イオン水20mlに吸収させ、吸収液中のフッ素イオン濃度をフッ素選択電極法(フッ素イオンメーター、オリオン社製 901型)で測定することにより求める(質量%)。
(4)粘度
東海八神株式会社製のコーンプレート型粘度計CV−1Eを用いて30℃における粘度をCP−100コーンを使用し、100rpmの条件で測定し、60秒間で安定した値を採用した。(mPa・s)
(5)屈折率(nD
ナトリウムD線(589nm)を光源として25℃において(株)アタゴ光学機器製作所製のアッベ屈折率計を用いて測定する。
(6)熱分解温度(Td)
熱重量計((株)島津製作所のTGA−50)を用い、窒素雰囲気の条件で昇温速度10℃/minの条件で測定し、1%質量減の温度で評価する。
(7)光透過率
自記分光光度計((株)日立製作所製のU−3310(商品名))を用いて波長300〜800nmにおける約100μm厚のサンプル(硬化フィルム)の分光透過率曲線を測定した値を採用する。
(8)耐溶剤性の測定
10mm×10mm×0.1mmのサンプルを20mLの酢酸ブチルに浸漬して、室温8時間経過後の様子を目視で観察する。
(9)耐熱性の評価
温度150℃において各サンプルを1時間保持し、外観の変化を観察する。
以下に示す水酸基含有含フッ素アリルエーテルポリマー(a)〜(d)を合成した。
合成例1(水酸基を有する含フッ素アリルエーテルポリマー(a)(PAEH−1)の合成)
撹拌装置温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール):
Figure 2008099782
を20.4gと、[H(CF2CF23COO]2−の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を21.2g入れ、充分に窒素置換を行ったのち、窒素気流下20℃で24時間撹拌を行なったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体17.6gを得た。
この重合体をBRUKER社製のNMR測定装置を用いて19F−NMR分析(測定条件:282MHz(トリクロロフルオロメタン:0ppm))、1H−NMR分析(測定条件:300MHz(テトラメチルシラン=0ppm)を行い、IR分析(Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計1760Xで室温にて測定)により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖末端にヒドロキシル基を有する含フッ素重合体であった。また、THFを溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は9000、重量平均分子量は22000であった。
Tg=31℃、フッ素含有率(質量%)=60、水酸基価(mgKOH/g)=137、屈折率=1.351。
合成例2(水酸基を側鎖にもつ含フッ素アリルエーテルポリマー(b)(PAEH−2)の合成)
撹拌装置温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、下式で表される含フッ素アリルエーテル:
Figure 2008099782
を19.7gと、[H(CF2CF23COO]2−の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を20.0g入れ、充分に窒素置換を行ったのち、窒素気流下20℃で24時間撹拌を行ったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体10.3gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖末端に水酸基を有する含フッ素重合体であった。また、THFを溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は5000、重量平均分子量は12000であった。
Tg=−4℃、フッ素含有率(質量%)=63、水酸基価(mgKOH/g)=98、屈折率=1.339。
合成例3(水酸基を側鎖にもつ含フッ素アリルエーテルポリマー(c)(PAEH−1/PAEE−1)の合成)
撹拌装置温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール):
Figure 2008099782
を9.6gと、9H,9H−パーフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノイック酸メチル:
Figure 2008099782
を9.6gいれ、よく攪拌し、[H(CF2CF23COO]2−の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を2.0g入れ、充分に窒素置換を行ったのち、窒素気流下20℃で20時間撹拌を行ったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をアセトンに溶解させたものを、CF3CF2CHCl2/CClF2CF2CHClFの45/55質量%の混合物(HCFC225)とn−ヘキサンとの質量比1:1溶液に注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体15.5gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記の水酸基含有含フッ素アリルエーテルと、メチルエステル構造を有する含フッ素アリルエーテルの構造単位からなる含フッ素共重合体であった。その組成比はNMRより、42:58(モル比)と求められた。
また、THFを溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は7200、重量平均分子量は11000であった。
Tg=12℃、フッ素含有率(質量%)=58、水酸基価(mgKOH/g)=62、屈折率=1.349。
合成例4(水酸基を側鎖にもつ含フッ素アリルエーテルポリマー(d)(PAEH−1/PAEHF−1)の合成)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール):
Figure 2008099782
を10.3gいれ、よく撹拌し、下式で示される官能基を有さない含フッ素アリルエーテル:
Figure 2008099782
を9.5gいれ、よく撹拌し、[H(CF2CF23COO]2−の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を9.8g入れ、充分に窒素置換を行ったのち、窒素気流下30℃で5時間撹拌を行ったところ、高粘度の固体が生成した。
得られた固体をアセトンに溶解させたものをヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体13.1gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、上記含フッ素アリルエーテルの構造単位のみからなり側鎖末端に水酸基およびケトン基を有する含フッ素重合体であった。その組成比はNMRより、53:47(モル比)と求められた。また、THFを溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は22000、重量平均分子量は33000であった。
Tg=9℃、フッ素含有率(質量%)=62、水酸基価(mgKOH/g)=68、屈折率=1.340。
比較合成例(水酸基を側鎖にもつ含フッ素アクリルポリマー(e)(6FOn=1MA/HEMA)の合成)
撹拌装置および温度計を備えた100mlのガラス製四ツ口フラスコに、CH2=C(CH3)COOCH2CF(CF3)OCF2CF2CF3(6FOn=1−MA)を10.9g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を4.2g入れてよく撹拌し、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を4mg加えて、充分に窒素置換を行なったのち、窒素気流下70℃で12時間撹拌を行なったところ、固体が生成した。
得られた固体をアセトンに溶解させたものをヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体11.7gを得た。
この重合体を19F−NMR、1H−NMR分析、IR分析により分析したところ、その組成比はNMRより、78:22(モル比)と求められた。また、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒に用いるGPC分析により測定した数平均分子量は34000、重量平均分子量は50000であった。
Tg=20℃、フッ素含有率(質量%)=46、水酸基価(mgKOH/g)=94、屈折率=1.410。
実施例1
以下の配合にしたがって組成物(a1)を調製した。表1に各組成の配合量を示す。
組成物(a1)
ポリマー(a) 50質量部
メタクリル酸メチル(MMA) 40質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPA) 10質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
次いで、組成物(a1)に不飽和基含有イソシアネート(A−2)として、昭和電工(株)製 カレンズAOI(以下、AOIともいう)を組成物100質量部に対して8質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加え、さらにジブチルスズジラウリレートを0.01質量部加えて40℃で24時間反応させた。AOIの構造式を式(V)に示す。
CH2=CHCOOCH2CH2NCO (V)
反応物について赤外線吸収分析で測定したところ、AOIのイソシアネート基に由来する−NCOの吸収が消失し、新たにウレタン結合に基づくNHの吸収が観測され、反応が進行したことが確認された(Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計1760Xで室温にて測定)。
硬化前の組成物の25℃における液状組成物の外観を目視で評価した。評価基準を以下に示す。
○:透明でかつ均一であり、550nmの光の透過率が80%以上である。
△:一部に白濁(ゲル状物)が認められる。
×:不透明、白濁。
硬化前の組成物の30℃における液状組成物の粘度、液状組成物の外観の評価結果を表3に示す。
ついで、ガラス板上に離型用のフッ素樹脂フィルムであるダイキン工業(株)製NF−0100(厚み100μm)を敷き、アプリケーターを用いて膜厚が約100μmとなるように塗布し、さらに、離型用のフッ素樹脂フィルムであるダイキン工業(株)製NF−0100(厚み100μm)を上部よりかぶせて、さらに厚み1mmのスライドガラスをのせた後に、高圧水銀灯を用い、上部より、1500mJ/cm2Uの強度で紫外線を照射したのち、離型用のフッ素樹脂フィルムを剥がして、硬化フィルムとした。
フッ素含有量、屈折率(n)、熱分解温度(Td)、光透過率可視(550nm)(T)を測定した。
また、外観を目視で評価した。評価基準を以下に示す。
○:透明でかつ均一である。
△:一部に白濁(にごり)が認められる。
×:不透明、白濁。
また、耐溶剤性の評価を行った。評価基準を以下に示す。
○:目視で膨潤が見られない。
△:目視で膨潤が見られる。
×:溶解する。
さらに、耐熱性の評価を行った。評価基準を以下に示す。
○:目視で変化が見られない
△:目視でわずかな変色、濁りがみられる
×:目視で明らかな変色、白濁、変形等が見られる
以上の結果を表3に示す。
実施例2
組成物(a1)にAOIを13質量部(水酸基に対して0.8当量に相当)加えて40℃で24時間反応させた以外は実施例1と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
実施例3
組成物(a1)の代わりに以下に示す組成物(b)を用い、AOIを6質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えた以外は実施例1と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
組成物(b)
ポリマー(b) 50質量部
MMA 40質量部
TMPA 10質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
実施例4
組成物(a1)の代わりに以下に示す組成物(c)を用い、AOIを3質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えた以外は実施例1と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
組成物(c)
ポリマー(c) 50質量部
MMA 40質量部
TMPA 10質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
実施例5
組成物(a1)の代わりに以下に示す組成物(d)を用い、AOIを4質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えた以外は実施例1と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
組成物(d)
ポリマー(d) 50質量部
MMA 40質量部
TMPA 10質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
実施例6
組成物(a1)に不飽和基含有イソシアネート(A−2)として、昭和電工(株)製 カレンズMOI(以下、MOIともいう)を組成物100重量部に対して9質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えて、さらにジブチルスズジラウリレートを0.01質量部加えて40℃で24時間反応させた。表1に各組成の配合量を示す。また、MOIの構造式を式(VI)に示す。
2C=C(CH3)COOCH2CH2NCO (VI)
反応物について赤外線吸収分析で測定したところ、MOIのイソシアネート基に由来する−NCOの吸収が消失し、新たにウレタン結合に基づくNHの吸収が観測され、反応が進行したことが確認された(Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計1760Xで室温にて測定)。
実施例1と同様にして硬化前の組成物の物性および硬化物の物性を測定した。結果を表3に示す。
実施例7
組成物(a1)に不飽和基含有イソシアネート(A−2)として、昭和電工(株)製 カレンズBEI(以下、BEIともいう)を組成物100重量部に対して12質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えて、さらにジブチルスズジラウリレートを0.01質量部加えて40℃で24時間反応させた。表1に各組成の配合量を示す。また、BEIの構造式を式(VII)に示す。
Figure 2008099782
反応物について赤外線吸収分析で測定したところ、BEIのイソシアネート基に由来する−NCOの吸収が消失し、新たにウレタン結合に基づくNHの吸収が観測され、反応が進行したことが確認された(Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計1760Xで室温にて測定)。
実施例1と同様にして硬化前の組成物の物性および硬化物の物性を測定した。結果を表3に示す。
実施例8
以下の配合にしたがって組成物(a2)を調製した。表1に各組成の配合量を示す。
組成物(a2)
ポリマー(a) 30質量部
MMA 40質量部
TMPA 30質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
次いで、組成物(a2)に不飽和基含有イソシアネート(A−2)として、AOIを組成物100重量部に対して5質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えて、さらにジブチルスズジラウリレートを0.01質量部加えて40℃で24時間反応させた。
反応物について赤外線吸収分析で測定したところ、AOIのイソシアネート基に由来する−NCOの吸収が消失し、新たにウレタン結合に基づくNHの吸収が観測され、反応が進行したことが確認された(Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計1760Xで室温にて測定)。
実施例1と同様にして硬化前の組成物の物性および硬化物の物性を測定した。結果を表3に示す。
実施例9
組成物(a2)の代わりに以下に示す組成物(a3)を用い、AOIを8質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えた以外は実施例8と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
組成物(a3)
ポリマー(a) 50質量部
CH2=CCH3−COOCH2CF3(3FM) 40質量部
TMPA 10質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
比較例1
組成物(a3)をそのまま使用した以外は実施例9と同様にして各種物性を測定した。表2に各組成の配合量を示し、評価結果を表4に示す。
実施例10
組成物(a2)の代わりに以下に示す組成物(a4)を用い、AOIを8質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えた以外は実施例8と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
組成物(a4)
ポリマー(a) 50質量部
CH2=CCH3−COOCH248H(8FM) 20質量部
CH2=CCH3−COOCH2CCH3(CF3) 2(6FNPM) 20質量部
TMPA 10質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
比較例2
組成物(a4)をそのまま使用した以外は実施例10と同様にして各種物性を測定した。表2に各組成の配合量を示し、評価結果を表4に示す。
実施例11
組成物(a2)の代わりに以下に示す組成物(a5)を用い、AOIを8質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えた以外は実施例8と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
組成物(a5)
ポリマー(a) 50質量部
8FM 20質量部
6FNPM 20質量部
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(16HX) 10質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
比較例3
組成物(a5)をそのまま使用した以外は実施例11と同様にして各種物性を測定した。表2に各組成の配合量を示し、評価結果を表4に示す。
実施例12
組成物(a2)の代わりに以下に示す組成物(a6)を用い、AOIを3質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えた以外は実施例8と同様にして各種物性を測定した。
表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
組成物(a6)
ポリマー(a) 20質量部
8FM 40質量部
6FNPM 30質量部
16HX 10質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
比較例4
組成物(a6)をそのまま使用した以外は実施例11と同様にして各種物性を測定した。表2に各組成の配合量を示し、評価結果を表4に示す。
実施例13
組成物(a2)の代わりに以下に示す組成物(a7)を用い、AOIを8質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えた以外は実施例8と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
組成物(a7)
ポリマー(a) 50質量部
CH2=CH−COOCH248H(8FA) 50質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
比較例5
組成物(a7)をそのまま使用した以外は実施例11と同様にして各種物性を測定しようとしたが、1500mJ/cm2Uの紫外線量では硬化物が得られず、さらに紫外線を照射し、合計で10000mJ/cm2U照射したが、タック感が残ったため、物性測定は実施しなかった。表2に各組成の配合量を示す。
比較例6
国際公開第02/18457号パンフレット記載の実験例1記載のα−フルオロアクリロイル基を有する含フッ素硬化性ポリマー(PAEFA)を合成した。表2に各組成の配合量を示す。
溶媒であるジエチルエーテルを以下の手順で除去した。
1.ロータリーエバポレーターで40℃、0.5mmHg以下の条件で酢酸ブチルを留去。
2.真空乾燥器で40℃、0.5mmHg以下の条件で24時間乾燥。
2の真空乾燥過程でサンプルがゲル化し、MMA等のアクリルモノマーに溶解せず、無溶剤の硬化性組成物が作成できなかった。
比較例7
ポリマー(a)50質量部を酢酸ブチル100質量部に溶解後、AOIを8重量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えて40℃で24時間反応させた。表2に各組成の配合量を示す。
反応物について赤外線吸収分析で測定したところ、AOIのイソシアネート基に由来する−NCOの吸収が消失し、新たにウレタン結合に基づくNHの吸収が観測され、反応が進行したことが確認された。その後、反応溶媒である酢酸ブチルを以下の手順で除去した。
1.ロータリーエバポレーターで60℃、0.5mmHg以下の条件で酢酸ブチルを留去。
2.真空乾燥器で60℃、0.5mmHg以下の条件で24時間乾燥。
2の真空乾燥過程でサンプルがゲル化し、MMA等のアクリルモノマーに溶解せず、無溶剤の硬化性組成物が作成できなかった。
比較例8
以下の配合にしたがって組成物(e)を調整した。表2に各組成の配合量を示し、評価結果を表4に示す。
組成物(e)
ポリマー(e) 30質量部
MMA 40質量部
TMPA 30質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
次いで、組成物(e)に不飽和基含有イソシアネート(A−2)として、AOIを組成物100重量部に対して8質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えて、さらにジブチルスズジラウリレートを0.01質量部加えて40℃で24時間反応させた。
その結果、ポリマー(e)がアクリルモノマーに溶解せず、白濁した分散液となった。反応物について赤外線吸収分析で測定したところ、新たにウレタン結合に基づくNHの吸収が観測されたが、AOIのイソシアネート基に由来する−NCOの吸収が残存し、反応が進行しにくい結果となった(Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計1760Xで室温にて測定)。硬化物も1500mJ/cm2Uの紫外線量ではタック感が残り、白化した。結果を表3に示す
実施例14
組成物(a2)の代わりに以下に示す組成物(a8)を用い、AOIを7質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えた以外は実施例8と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
組成物(a8)
ポリマー(a) 42質量部
MMA 33質量部
CH2=CH−COOCH2CF3(3FA) 17質量部
TMPA 8質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
実施例15
実施例14と同様に組成物(a8)を用い、AOIを11質量部(水酸基に対して0.8当量に相当)加えた以外は実施例14と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
実施例16
組成物(a8)の代わりに以下に示す組成物(a9)を用い、AOIを4質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えた以外は実施例14と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
組成物(a9)
ポリマー(a) 25質量部
MMA 33質量部
3FA 17質量部
TMPA 25質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
実施例17
組成物(a8)の代わりに以下に示す組成物(a10)を用い、AOIを7質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えた以外は実施例14と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
組成物(a10)
ポリマー(a) 42質量部
MMA 33質量部
8FA 17質量部
TMPA 8質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
実施例18
実施例17と同様に組成物(a10)を用い、AOIを11質量部(水酸基に対して0.8当量に相当)加えた以外は実施例14と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
実施例19
組成物(a8)の代わりに以下に示す組成物(a11)を用い、AOIを4質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えた以外は実施例14と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
組成物(a11)
ポリマー(a) 25質量部
MMA 33質量部
8FA 17質量部
TMPA 25質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
実施例20
組成物(a8)の代わりに以下に示す組成物(a12)を用い、AOIを4質量部(水酸基に対して0.5当量に相当)加えた以外は実施例14と同様にして各種物性を測定した。表1に各組成の配合量を示し、評価結果を表3に示す。
組成物(a12)
ポリマー(a) 25質量部
MMA 33質量部
3FA 17質量部
TMPA 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPEHA) 5質量部
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン 1質量部
Figure 2008099782
Figure 2008099782
Figure 2008099782
Figure 2008099782
本発明の硬化性樹脂組成物は、水酸基含有含フッ素重合体とイソシアネート基含有不飽和化合物との反応生成物がアクリルモノマー中に溶解し所定の粘度を有しているため、わざわざ有機溶剤に溶解させなくても簡便に硬化させることができ、得られる硬化性樹脂組成物から溶剤を除去する工程を必要としない。
また、本発明の硬化性樹脂組成物の製造において、水酸基含有含フッ素重合体の水酸基とイソシアネート基含有不飽和化合物のイソシアネート基とを反応させ、ウレタン結合を形成するため、塩などの副生成物が発生しない。そのため、副生成物を除去する工程を必要とせず、この反応をアクリルモノマー中で行うことができ、簡便である。
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、フッ素含有量が大きいため、得られる硬化物の屈折率を低くすることができる。

Claims (13)

  1. (A)フッ素原子および水酸基を含有するラジカル重合性不飽和単量体単位を含む水酸基含有含フッ素重合体(A−1)と、
    1個のイソシアネート基と少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有するイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)との反応生成物が
    (B)アクリルモノマーに溶解している硬化性樹脂組成物。
  2. 硬化性樹脂組成物の30℃における粘度が5〜100000mPa・sである請求の範囲第1項記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 水酸基含有含フッ素重合体(A−1)が、式(I)で表される構造単位を含むことを特徴とする請求の範囲第1項または第2項記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 2008099782
    (式中、X1およびX2は、同じであっても異なっていてもよく、フッ素原子または水素原子;X3はフッ素原子、水素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基;R1は、水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜30の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい。ただし、少なくとも1つのフッ素原子をX1〜X3およびR1のいずれかに含む)
  4. 水酸基含有含フッ素重合体(A−1)が、式(II)で表される構造単位を含むことを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 2008099782
    (式中、X1およびX2は、同じであっても異なっていてもよく、フッ素原子または水素原子;X3はフッ素原子、水素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基;X4およびX5は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;aは0〜3の整数;bは0または1;R2は水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜29の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい。ただし、少なくとも1つのフッ素原子をX1〜X5およびR2のいずれかに含む)
  5. 水酸基含有含フッ素重合体(A−1)が、式(III)で表される構造単位を含むことを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 2008099782
    (式中、R3は水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜29の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい)
  6. アクリルモノマー(B)がラジカル反応性基を1個または2個以上含むアクリルモノマーである請求の範囲第1項〜第5項のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  7. イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)におけるラジカル重合性不飽和基がメタクリル基、アクリル基、2−フルオロアクリル基、2−クロロアクリル基またはこれらの2種以上である請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  8. (A)フッ素原子および水酸基を含有するラジカル重合性不飽和単量体単位を含む水酸基含有含フッ素重合体(A−1)と1個のイソシアネート基と少なくとも1個のラジカル重合性不飽和基を有するイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)とをアクリルモノマー(B)に溶解させ、アクリルモノマー(B)中で水酸基含有含フッ素重合体(A−1)とイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)とを反応させる硬化性樹脂組成物の製造方法。
  9. 水酸基含有含フッ素重合体(A−1)をアクリルモノマー(B)に溶解させ、ついでイソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)を添加し溶解させる請求の範囲第8項記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
  10. イソシアネート基含有不飽和化合物(A−2)におけるイソシアネート基の数と、水酸基含有含フッ素重合体(A−1)およびアクリルモノマー(B)における全水酸基の数の比が0.01:1〜1:1である請求の範囲第8項または第9項記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
  11. 水酸基含有含フッ素重合体(A−1)が、式(I)で表される構造単位を含むことを特徴とする請求の範囲第8項〜第10項のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
    Figure 2008099782
    (式中、X1およびX2は、同じであっても異なっていてもよく、フッ素原子または水素原子;X3はフッ素原子、水素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基;R1は、水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜30の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい。ただし、少なくとも1つのフッ素原子をX1〜X3およびR1のいずれかに含む)
  12. 水酸基含有含フッ素重合体(A−1)が、式(II)で表される構造単位を含むことを特徴とする請求の範囲第8項〜第11項のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
    Figure 2008099782
    (式中、X1およびX2は、同じであっても異なっていてもよく、フッ素原子または水素原子;X3はフッ素原子、水素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基;X4およびX5は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基;aは0〜3の整数;bは0または1;R2は水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜29の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい。ただし、少なくとも1つのフッ素原子をX1〜X5およびR2のいずれかに含む)
  13. 水酸基含有含フッ素重合体(A−1)が、式(III)で表される構造単位を含むことを特徴とする請求の範囲第8項〜第12項のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
    Figure 2008099782
    (式中、R3は水酸基を少なくとも1個以上含有する炭素数1〜29の鎖状または分岐鎖状のアルキル基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基であって、鎖中にエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合を含んでいてもよい)
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