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JPWO2008062825A1 - インサート着脱式切削工具及びインサート - Google Patents

インサート着脱式切削工具及びインサート Download PDF

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JPWO2008062825A1
JPWO2008062825A1 JP2008545429A JP2008545429A JPWO2008062825A1 JP WO2008062825 A1 JPWO2008062825 A1 JP WO2008062825A1 JP 2008545429 A JP2008545429 A JP 2008545429A JP 2008545429 A JP2008545429 A JP 2008545429A JP WO2008062825 A1 JPWO2008062825 A1 JP WO2008062825A1
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和哉 山崎
和哉 山崎
菅原 健治
健治 菅原
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Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

このインサート着脱式切削工具において、取付座は、台座部とクランプ駒とを有し、台座部は、インサートが載置される台座面と当接壁部とを備え、クランプ駒は、台座部に向けて突出する押圧凸部とこの押圧凸部よりもさらに台座部に向けて一段高く突出した2つの係止凸部とを備えている。インサートは多角形状の平板形をなし、その多角形面に対向する側から見て、一方向に向けて突出するとともに辺稜部に前記切刃が設けられたノーズ部と、前記ノーズ部の基端部の両側に設けられてそれぞれ前記係止凸部と係合される係止部と、前記ノーズ部の延在方向とは反対側を向いて前記当接壁部に当接される当接部とを有している。

Description

本発明は、被削材の倣い加工に最適なインサート着脱式切削工具及びこれに使用されるインサートに関する。
本願は、2006年11月22日に出願された特願2006−315353号、および2007年8月20日に出願された特願2007−213538号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
倣い加工に用いられるインサート着脱式切削工具を構成するインサートとしては、例えば特許文献1に記載されているように、三角形板、菱形板又は平行四辺形板をなし、そのコーナ部分を突出させてノーズ部を形成し、このノーズ部の辺稜部に切刃を設けたものが提案されている。このインサートにおいては、ノーズ部の先端角が小さく構成されているので、ノーズ部を被削材の外形に沿って倣うように移動させて切削を行うことができる。
また、このインサートには、その中央部分に厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられており、この貫通孔を利用してインサート着脱式切削工具に装着される構成とされている。
ところで、倣い加工を行う場合、ノーズ部を被削材の外形に沿って移動させて切削するので、切削抵抗がノーズ部に対してあらゆる方向に作用することになる。このため、例えば前記貫通孔にクランプネジ等を挿通して固定した場合には、この貫通孔部分を中心としてインサートが回転してしまうおそれがある。また、インサートの取付剛性が低い場合には、切削抵抗によってインサートに振れが生じて切削加工を寸法精度良く行うことができなくなってしまう。
一方、特許文献2には、インサートの側面と、このインサートが取り付けられる取付座の壁面とにそれぞれ凹凸部を形成し、これらを互いに嵌合させることで取付剛性を高めたインサート着脱式切削工具が提案されている。このインサート着脱式切削工具に使用されるインサートには、その中央部分に厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられており、取付座のクランプ駒の先端が貫通孔部分に係合されることにより、インサートを引き込むようにして前記凹凸部を嵌合させている。
実開昭56−132009号公報 特開2004−261883号公報
しかしながら、特許文献2に開示されたインサート着脱式切削工具においては、インサートの側面及び取付座の壁面にそれぞれ設けられた凹凸部の嵌合によりインサートをクランプしているので、取付剛性を向上させるためには、インサートの側面と取付座の壁面との接触面積を確保する必要がある。ここで、インサートの側面を大きくすると、ノーズ部の突出長さが短くなってしまい倣い加工を十分に行うことができない。一方、ノーズ部の突出長さを長くすると、インサートの取付剛性が低下してしまう。
さらに、インサートに設けられた貫通孔にクランプ駒の先端を係合させてクランプしているので、切削抵抗によってインサートが前記貫通孔部分を中心として回転し易く、前記凹凸部の係合が解除されてしまいインサートを強固に固定できなくなるおそれがあった。
また、インサートに貫通孔が設けられているので、インサート自体の剛性が低く、切削抵抗によって振れが生じて切削加工を寸法精度良く行うことができなくなってしまう。また、過大な切削抵抗が作用した場合には、インサートが破損してしまうおそれがあった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、切削抵抗によるインサートの位置ずれを確実に防止でき、寸法精度良く切削加工を行うことができるインサート着脱式切削工具及びこれに使用されるインサートを提供することを目的とする。
本発明のインサート着脱式切削工具は、ホルダの先端に設けられた取付座に、切刃を有するインサートが装着されることにより構成されるインサート着脱式切削工具である。前記取付座は、一方に向けて延びる台座部と、この台座部に対向配置されるクランプ駒とを有している。前記台座部は、前記インサートが載置される台座面と、この台座面の他方側端部に起立する当接壁部とを備え、前記クランプ駒は、前記台座部に向けて突出する押圧凸部と、この押圧凸部よりもさらに前記台座部に向けて一段高く突出した2つの係止凸部とを備えている。前記インサートは多角形状の平板形をなし、その多角形面に対向する側から見て、一方向に向けて突出するとともに辺稜部に前記切刃が設けられたノーズ部と、前記ノーズ部の基端部の両側に設けられてそれぞれ前記係止凸部と係合される係止部と、前記ノーズ部の延在方向とは反対側を向いて前記当接壁部に当接される当接部とを有している。前記取付座に、前記インサートを、前記ノーズ部が前記台座部の先端から突出するようにして配置して、前記クランプ駒を前記台座部に対して近接させるとともに前記他方側に向けて後退させることにより、前記インサートをクランプして固定する。
また、本発明のインサートは、前述のインサート着脱式切削工具に装着されるインサートであって、その外形が多角形状の平板形をなし、その多角形面に対向する側から見て、一方向に向けて突出するとともに辺稜部に前記切刃が設けられたノーズ部と、前記ノーズ部の基端部の両側に設けられた係止部と、前記ノーズ部の延在方向とは反対側を向く当接部とを有している。
この構成のインサート着脱式切削工具及びインサートによれば、インサートを取付座に装着する際に、インサートを、台座面と押圧凸部、係止凸部と当接壁部でそれぞれクランプすることになる。したがって、インサートを2方向からクランプして固定しているので、切削抵抗がノーズ部に対してあらゆる方向に作用してもインサートの位置ずれを防止できる。
具体的には、ノーズ部の基端部の両側に係止部が形成され、ノーズ部の延在方向とは反対側を向くように当接部が形成されているので、台座面上でインサートが回転するように位置ずれすることを確実に防止できる。
さらに、台座面と押圧凸部とでクランプしているので、インサートが台座面から浮き上がるように位置ずれすることを確実に防止できる。
また、このインサートには、貫通孔を設ける必要がないので、インサートの剛性を向上させることができ、切削抵抗によるインサートの振れの発生を防止して寸法精度良く切削加工を行うことができる。さらに、切削抵抗によるインサートの破損を防止して、このインサートの寿命延長を図ることができる。
ここで、前記クランプ駒の前記台座面と対向する面に、前記取付座に装着された前記インサートの前記ノーズ部の延在方向に沿って延びるクーラント溝を形成し、前記ホルダに、前記クーラント溝に連通されたクーラント供給孔を形成してもよい。
この場合には、クーラント供給孔を通じて供給されたクーラントが、クーラント溝を通じてノーズ部の延在方向に沿って吐出されるので、切削箇所に向けて確実にクーラントを供給でき、切削加工をスムーズに行うことが可能となる。
また、本発明のインサートを、その外形が正三角形状の平板形をなし、その正三角形面に対向する側から見て、正三角形の各辺がそれぞれの中点側に向かうに従い内側に向けて凹むように形成することにより、上記正三角形面の各角部に向けて互いに接近するように延びる一対の切刃をそれぞれ有する3つのノーズ部を形成してもよい。前記3つのノーズ部の上記一対の切刃の前記各角部側への延長線の各交点を直線で結ぶと正三角形になる。
この場合、一のノーズ部を台座部から突出するように配置して、このノーズ部の基端部両側の側面、つまり、他のノーズ部との間の側面を係止部として取付座の係止凸部と係合させるとともに、一のノーズ部の延在方向とは反対側を向く側面を当接部として当接壁部に当接させることで、インサートを取付座にクランプすることができる。したがって、このインサートを回転させて3つのノーズ部を順次切削加工に使用することができ、インサートのさらなる寿命延長を図ることができる。
本発明のインサート着脱式切削工具は、ホルダの先端に設けられた取付座に、切刃を有するインサートが装着されることにより構成されるインサート着脱式切削工具である。前記取付座は、一方に向けて延びる台座部と、この台座部に対向配置されるクランプ駒とを有している。前記台座部は、前記インサートが載置される台座面と、この台座面の他方側の端部に起立する当接壁部とを備え、前記クランプ駒は、前記台座部に向けて突出する押圧凸部と、この押圧凸部よりもさらに前記台座部に向けて一段突出するとともに、前記台座面に対向する側から見て前記台座部が延びる方向に交差する方向に配置される2つの係合凸部とを備えている。前記インサートは多角形状の平板形をなし、その多角形面に対向する側から見て、一方向に向けて突出するとともに辺稜部に前記切刃が設けられたノーズ部と、前記ノーズ部が突出する前記一方向とは反対側を向いて前記当接壁部に当接される当接部と、前記多角形面に設けられて前記係合凸部とそれぞれ係合される2つの係合凹部とを有している。前記取付座に、前記インサートを、前記ノーズ部が前記台座部の先端から突出するようにして配置して、前記係合凸部を前記係合凹部に係合させるとともに前記押圧凸部を前記多角形面に当接させ、前記クランプ駒を前記台座部に向けて接近させるとともに前記他方側に向けて後退させることにより、前記インサートをクランプして固定する。
また、本発明のインサートは、前述のインサート着脱式切削工具に装着されるインサートであって、その外形が多角形状の平板形をなし、その多角形面に対向する側から見て、一方向に向けて突出するとともに辺稜部に前記切刃が設けられたノーズ部と、このノーズ部が突出する前記一方向とは反対側を向く当接部と、前記多角形面に設けられた2つの係合凹部とを有している。
この構成のインサート着脱式切削工具及びインサートによれば、インサートを取付座に装着する際に、インサートを、台座面と押圧凸部、係合凹部に係合した係合凸部と当接壁部でそれぞれクランプすることになる。したがって、インサートを2方向からクランプして固定しているので、切削抵抗がノーズ部に対してあらゆる方向に作用してもインサートの位置ずれを防止できる。具体的には、クランプ駒の2つ係合凸部は、台座面に対向する側から見て台座部が延びる方向に交差する方向に配置されてインサートの2つの係合凹部とそれぞれ係合し、クランプ駒の後退によりインサートの当接部を台座部の当接壁部に押し付けるので、台座面上でインサートが回転するように位置ずれすることを確実に防止できる。また、台座面と押圧凸部とでクランプしているので、インサートが台座面から浮き上がるように位置ずれすることも確実に防止できる。
また、前記係合凹部はインサートを貫通するように設ける必要がないので、インサートの剛性を向上させることができ、切削抵抗によるインサートの振れの発生を防止して寸法精度良く切削加工を行うことができる。さらに、切削抵抗によるインサートの破損を防止して、このインサートの寿命延長を図ることができる。また、前記2つの係合凹部をノーズ部から離れた前記当接部寄りに形成することができるので、クランプ駒がノーズ部先端側に突出するのを避けることができ、これによりクランプ駒が切屑排出性を損なうのを防ぐことができるという利点も得られる。
ここで、前記クランプ駒の前記台座面と対向する面に、前記取付座に装着された前記インサートの前記ノーズ部が延びる方向に沿ってクーラント溝を形成し、前記ホルダには、前記クーラント溝に連通するクーラント供給孔を穿設してもよい。この場合には、クーラント供給孔を通じて供給されたクーラントが、クーラント溝を通じてノーズ部が延びる方向に吐出されるので、切削箇所に向けて確実にクーラントを供給でき、切削加工をスムーズに行うことが可能となる。
また、本発明のインサートを、その外形が正三角形状の平板形をなし、その正三角形面に対向する側から見て、正三角形の各辺がそれぞれの中点側に向かうに従い内側に向けて凹むように形成することにより、前記正三角形面の各頂点に向けて互いに接近するように延びる一対の切刃をそれぞれ有する3つの前記ノーズ部を形成してもよい。前記3つのノーズ部の上記一対の切刃の前記各角部側への延長線の各交点を直線で結ぶと正三角形になり、前記正三角形面には前記ノーズ部の2等分線上にそれぞれ1つの前記係合凹部が形成される。この場合、一のノーズ部を台座部から突出するように配置して、この一のノーズ部以外の他のノーズ部の二等分線上に位置する2つの係合凹部をクランプ駒の2つの係合凸部とそれぞれ係合させるとともに、前記一のノーズ部が延びる方向と反対側を向くインサートの側面を当接部として当接壁部に当接させることで、インサートを取付座にクランプすることができる。したがって、このインサートを前記正三角形面の中心回りに回転させることにより、3つのノーズ部を順次切削加工に使用することができ、インサートのさらなる寿命延長を図ることができる。
本発明によれば、切削抵抗によるインサートの位置ずれを確実に防止でき、寸法精度良く切削加工を行うことができるインサート着脱式切削工具、及びこれに使用されるインサートを提供することができる。
本発明の第一の実施形態であるインサート着脱式切削工具101の上面図である。 図1におけるA−A断面図である。 図1に示すインサート着脱式切削工具101の正面図である。 図1に示すインサート着脱式切削工具101に使用されるインサート140の斜視図である。 本発明の他の実施形態のインサート150を示す斜視図である。 本発明のその他の実施形態のインサート160を示す斜視図である。 図6に示すインサート160を装着したインサート着脱式切削工具101の断面図である。 本発明の第二の実施形態であるインサート着脱式切削工具201を示す斜視図である。 図8に示す実施形態の平面図である。 図8に示す実施形態の側面図である。 図8に示す実施形態の正面図である。 図9におけるB−B拡大断面図である。 図8に示される実施形態に用いられるクランプ駒230を下面側から見た斜視図である。 図8に示される実施形態に用いられるインサート240を示す斜視図である。 図14に示す実施形態の平面図である。 図15におけるC−C断面図である。 本発明の他の実施形態のインサート250を示す平面図である。 図17におけるD−D断面図である。 本発明のその他の実施形態のインサート260を示す平面図である。 図19におけるE−E断面図である。 本発明のさらに他の実施形態のインサート270を示す斜視図である。
符号の説明
101…インサート着脱式切削工具、110…ホルダ、111…クーラント供給孔、115…取付座、116…固定ネジ、120…台座部、121…台座面、122…当接壁部、130…クランプ駒、131…係止凸部、132…押圧凸部、133…クーラント溝、140,150,160…インサート、141…着座面、142…すくい面、143…ノーズ部、144…切刃、146…係止部、147…当接部、201…インサート着脱式切削工具、210…ホルダ、211…クーラント供給孔、215…取付座、216…固定ネジ、220…台座部、221…台座面、222…当接壁部、230…クランプ駒、231…押圧凸部、232…係合凸部、233…クーラント溝、240,250,260…インサート、241…着座面、242…すくい面、243…ノーズ部、244…切刃、245…当接部、246,251,261…係合凹部、L…軸線、M…二等分線
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態について添付した図面を参照して説明する。図1から図3に、本実施形態であるインサート着脱式切削工具を示し、図4には、このインサート着脱式切削工具に使用されるインサートを示す。
このインサート着脱式切削工具101は、軸線Lに沿って延びるホルダ110と、ホルダ110の先端(図1及び図2おいて左側)に装着されるインサート140と、を備えている。
ホルダ110は、図1、図2に示すように、互いに対向する上面110A及び下面110Bと一対の側面110Cとを有する概略四角柱状をなしており、その先端に、インサート140を装着するための取付座115が形成されている。
取付座115は、台座部120と、この台座部120の上方に対向配置されるクランプ駒130と、このクランプ駒130をホルダ110に固定するとともにクランプ駒130を台座部120に近接するように押圧する固定ネジ116と、を有している。
台座部120は、図1から図3に示すように、軸線Lに沿って先端側に向けて突出するように延設されており、先端側に向かうにしたがい漸次その幅が狭くなるように構成されている。
この台座部120の先端側部分は、図2に示すように、ホルダ110の上面110Aから一段下方に凹んでおり、この凹んだ部分の上面が後述するインサート140を載置する台座面121とされている。さらに、台座面121の基端側(図1、図2において右側)には、台座面121から起立する当接壁部122が設けられている。本実施形態では、図1に示すように、一対の当接壁部122,122が、上面110Aに対向する側から見て軸線Lを挟んで対称に形成されており、これら当接壁部122,122は、先端側に向かうにしたがい漸次軸線Lに近づくように、ホルダ110の側面110Cに対して傾斜させられている。
また、当接壁部122の上端から基端側に連なる台座部120の上面には、上方に向けて開口する収容孔123が設けられており、この収容孔123にはコイルスプリング124が収容されている。また、この収容孔123の底面には、台座部120の上面に対して直交する方向に延びるネジ孔125が穿設されている。
収容孔123のさらに基端側には、下方に向けて凹んでホルダ110の幅方向(図1において上下方向)に延びる凹溝126が形成されている。この凹溝126の先端側の側壁は、上方に向かうにしたがい漸次先端側に向かうようにホルダ110の上面110Aに対して傾斜させられた斜面壁127とされている。また、凹溝126の幅方向中央部には、前記斜面壁127の一部を前記上面110Aに直交するように切り欠くことにより、切欠凹部128が形成されている。
また、ホルダ110には、軸線Lに平行に延びるクーラント供給孔111が穿設されており、このクーラント供給孔111の先端側には、前記台座面121の基端部分に開口する連通孔112が設けられている。さらに、クーラント供給孔111の基端側開口部には、図示しないクーラントパイプを接続するための接続部113が設けられている。
クランプ駒130は、図1に示すように概略矩形状をなしており、その先端角部には、下方に向けて突出する一対の係止凸部131,131が設けられている。係止凸部131の内側面は、係止凸部131の突出方向に直交する断面においてクランプ駒130の内側に向けて凸となる凸曲線状をなすように構成されている。
また、係止凸部131よりも基端側部分には、下方に向けて突出した一対の押圧凸部132,132が幅方向に並設されている。この押圧凸部132は、図1及び図2に示すように円柱状をなしている。また、この押圧凸部132の突出高さは、係止凸部131の突出高さよりも一段低く設定されている。なお、一対の押圧凸部132,132は、前記一対の係止凸部131,131の幅方向内側にそれぞれ配置されている。
これら一対の押圧凸部132,132の幅方向内側には、先端側に向けて延びるクーラント溝133が形成されている。
このクーラント溝133の基端側には、クランプ駒130の厚さ方向に貫通する挿通孔134が設けられ、この挿通孔134の上方開口部には座グリ部135が形成されている。
さらに、クランプ駒130の基端部には、下方に向けて突出する係合部136が形成されており、この係合部136の下端面は、クランプ駒130の基端側に向かうにしたがい漸次下方に向かう傾斜面137とされている。また、係合部136の幅方向中央部分には、傾斜面137からさらに下方に向けて延びる突起部138が形成されている。
固定ネジ116は、多段円柱状をなしており、外周面に雄ネジが形成されたネジ部116Aと、このネジ部116Aの後端に連設されて前記ネジ部116Aよりも一段小径とされた軸部116Bと、この軸部116Bのさらに後端側に連設されて大きく径方向外側に向けて張り出した頭部116Cと、を備えている。この固定ネジ116は、前記クランプ駒130の挿通孔134に挿通されて頭部116Cが座グリ部135に収容されるとともに、前記軸部116Bがコイルスプリング124の内側に挿通されて台座部120のネジ孔125に螺着されている。これにより、固定ネジ116を緩めることでコイルスプリング124によってクランプ駒130が台座部120から離間するように移動されるので、固定ネジ116を完全に取り外すことなく、インサート140の着脱を行うことができる構成とされている。
また、クランプ駒130の係合部136の傾斜面137と台座部120の斜面壁127とが互いに摺動可能に配置されており、さらに、係合部136から突出する突起部138が、台座部120の切欠凹部128内に、上下方向及び軸線L方向に隙間をあけて収容されている。また、台座部120の連通孔112の上方開口部がクランプ駒130のクーラント溝133の基端部分に対向するように配置されている。
以上のように、ホルダ110の先端には、台座部120、クランプ駒130及び固定ネジ116とからなる取付座115が設けられている。
次に、前記取付座115に装着されるインサート140について説明する。このインサート140は、超硬合金等の硬質材料により構成されており、図4に示すように、その外形が正三角形状の平板形に形成されており、一の三角形面が着座面141とされ、他の三角形面がすくい面142とされている。
インサート140には、すくい面142に対向する側から見て、正三角形の各辺がそれぞれの中点側に向かうに従い内側に向けて凹むように形成されることにより、3つのノーズ部143が形成されている。各ノーズ部143の辺稜部には、すくい面142切刃144,144が形成されている。3つのノーズ部143の一対の切刃144,144の各角部側への延長線の各交点を直線で結ぶと正三角形になる。なお、ノーズ部143の先端角αは、15°≦α≦35°の範囲内とすることが好ましく、本実施形態では、α=25°に設定されている。
そして、隣り合う2つのノーズ部143の間には、すくい面142に対向する側から見て、これら2つのノーズ部143の延在方向に対して交差する方向に延びる支持面部145が形成されている。この支持面部145が前記クランプ駒130の係止凸部131に係合される係止部146とされている。なお、本実施形態では、支持面部145は、これら2つのノーズ部143の延在方向の交差角を2等分する方向に対して直交するように形成されている。これによりノーズ部143の基端部両側に支持面部145がそれぞれ配置されることになる。
また、本実施形態においては、ノーズ部143の側面は、すくい面142から着座面141へと向かうにしたがいインサート140の内側に漸次後退するように傾斜させられており、切刃144に逃げ角が付されている。ただし、前記支持面部145は、すくい面142及び着座面141に対してそれぞれ直交するように形成されている。
このような構成とされたインサート140が、ホルダ110の先端に設けられた取付座115に、以下のようにして装着されることによって、インサート着脱式切削工具101が構成される。
まず、固定ネジ116を緩めてクランプ駒130と台座部120とを離間させ、インサート140を挿入可能な隙間を生じさせる。この隙間に、インサート140を、1つのノーズ部143Aの延在方向を軸線L方向に平行に配置するとともに着座面141を台座面121に摺接させながらホルダ110の先端側から挿入し、前記1つのノーズ部143Aの延在方向の反対側を向く支持面部145の両側に位置する他の2つのノーズ部143B,143Cの側面をそれぞれ台座部120の当接壁部122に当接させる。つまり、これら他の2つのノーズ部143B,143Cの側面が当接部147とされているのである。
次に、固定ネジ116を締め付ける。すると、固定ネジ116の頭部116Cがクランプ駒130の座グリ部135を押圧し、クランプ駒130が台座部120に近接するように移動するとともに、傾斜面137と斜面壁127との摺動によりクランプ駒130が基端側に向けて移動する。そして、クランプ駒130の2つの係止凸部131がインサート140の前記1つのノーズ部143Aの基端部両側に配置された支持面部145(係止部146)に当接させられるとともにクランプ駒130の押圧凸部132がインサート140のすくい面142に当接させられる。
さらに固定ネジ116を締め付けることで、インサート140は、台座面121と押圧凸部132とで上下方向(インサート140の厚さ方向)にクランプされるとともに、係止凸部131と当接壁部122とで軸線L方向にもクランプされる。
以上のようにして構成されたインサート着脱式切削工具101は、旋盤又はマシニングセンタ等の工作機械に支持されて、高速に回転するワークにインサート140が押し付けられた状態でワークに対して相対的に移動させられ、ホルダ110の先端側から突き出された前記1つのノーズ部143Aの切刃144によってワークを倣うように切削するものである。
本実施形態であるインサート着脱式切削工具101によれば、インサート140を、台座面121と押圧凸部132、係止凸部131と当接壁部122でそれぞれクランプすることになり、インサート140を強固に固定でき、切削抵抗がノーズ部143に対してあらゆる方向に作用してもインサート140の位置ずれを防止できる。
具体的には、1つのノーズ部143Aの基端部両側に位置する支持面部145をそれぞれ係止部146として係止凸部131に係合させ、1つのノーズ部143Aの延在方向の反対側を向く支持面部145の両側に位置する他の2つのノーズ部143B,143Cの側面をそれぞれ当接部147として台座部120の当接壁部122に当接させているので、インサート140は、軸線L方向に4点でクランプされることになり、台座面121上でインサート140が回転したりスライドしたりすることを確実に防止できる。
また、インサート140は、上下方向(インサート140の厚さ方向)には、台座面121と押圧凸部132とでクランプされているので、インサート140が台座面121から浮き上がるように位置ずれすることを確実に防止できる。
さらに、このインサート140には、取付座115に装着するための貫通孔を設ける必要がないので、インサート140の剛性を向上させることができ、切削抵抗によるインサート140の振れの発生を防止して寸法精度良く切削加工を行うことができる。さらに、切削抵抗によるインサート140の破損を防止して、このインサート140の寿命延長を図ることができる。
また、本実施形態では、クランプ駒130にクーラント溝133が形成され、ホルダ110にクーラント溝133へと連通されたクーラント供給孔111が形成されているので、クーラント供給孔111を通じて供給されたクーラントを、クーラント溝133を通じて1つのノーズ部143Aの延在方向に沿って吐出できる。したがって、切削箇所に向けて確実にクーラントを供給でき、切削加工をスムーズに行うことができる。
また、インサート140の外形が正三角形状の平板形をなし、正三角形面に対向する側から見て、この正三角形面の各頂点に向けて延びる3つのノーズ部143が形成されているので、1つのノーズ部143Aを台座部120から突出するように配置して、他の2つのノーズ部143B,143Cとの間に位置する支持面部145を係止部146として利用し、1つのノーズ部143Aの延在方向の反対側を向く支持面部145の両側に位置する他の2つのノーズ部143B,143Cの側面を当接部147として利用して、取付座115に装着することができる。したがって、このインサート140を回転させて3つのノーズ部143を順次切削加工に使用することができ、インサート140のさらなる寿命延長を図ることができる。
以上、本発明の第1の実施形態であるインサート着脱式切削工具について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、前記第1の実施形態のインサート140では支持面部145の両側に位置するノーズ部143の側面を当接壁部122に当接させようにしたが、図5に示す他の実施形態のインサート150のように、支持面部145の両側に当接壁部122に当接させる受け面148を形成してもよい。ここで、受け面148をすくい面142及び着座面141に対して直交するように構成することにより、台座部120の当接壁部122を台座面121に対して直交するように立設すればよく、当接壁部122の形成が容易となるのはもちろん、インサート150の取付剛性の一層の向上を図ることができる。
また、図6に示すその他の実施形態のインサート160のように、その側面と着座面141およびすくい面142とが直交し、着座面141とすくい面142とを取り替えて使用可能なネガティブタイプのものとしてもよい。このようなインサート160は、すくい面142に連なる側面に逃げを与えるため、図7に示すように、台座面121が先端側に向かうにしたがい漸次下側に向けて後退するように傾斜させられたホルダ110に、台座面121に略直交する方向(インサート160の厚さ方向)および台座面121の延びる方向(ノーズ部143の突出方向)にクランプされることで装着される。
また、ホルダ110の軸線Lに沿ってノーズ部143を突出させるように配置したものとして説明したが、これに限定されることはなく、ホルダ110の軸線Lと斜交する方向に、あるいは、ノーズ部143を軸線Lに直交する方向に突出させたものであってもよい。
さらに、ホルダ110の形状、クランプ駒130の形状、インサート140の形状についても本実施形態に制限されることはなく、他の形状であってもよい。
また、コイルスプリング124を介して固定ネジ116を螺着させた構成として説明したが、コイルスプリング124を備えていなくてもよい。ただし、コイルスプリング124を配置することで、固定ネジ116を緩めるだけでクランプ駒130と台座部120との間に隙間が生じてこの隙間が保持され、インサート140の着脱が容易となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について添付した図面を参照して説明する。図8から図12に本実施形態であるインサート着脱式切削工具を示し、図13には、このインサート着脱式切削工具に使用されるクランプ駒を示し、図14から図16には、このインサート着脱式切削工具に装着される本発明の実施の形態のインサートを示す。このインサート着脱式切削工具201は、軸線Lに沿って延びるホルダ210と、ホルダ210の先端(図8及び図9おいて左側)に装着される前記実施形態のインサート240とを備えている。
ホルダ210は、図8から図12に示すように、互いに対向する上面210A及び下面210Bと一対の側面210Cとを有する概略四角柱状をなしており、その先端に、インサート240を装着するための取付座215が形成されている。取付座215は、台座部220と、前記上面210Aから一段突出した段部210Dに取り付けられて前記台座部220の上方に対向配置されるクランプ駒230と、このクランプ駒230をホルダ210に固定するとともにクランプ駒230を台座部220に近接するように押圧する固定ネジ216とを有している。
台座部220は、軸線Lに沿ってホルダ210先端側の一方に向け突出するように延設されており、先端側に向かうにしたがい漸次その幅が狭くなるように構成されている。この台座部220の先端側部分は、図10に示すように、前記段部210Dの上面から一段下方に凹んでおり、この凹んだ部分の上面が後述するインサート240を載置する台座面221とされていて、この台座面221は先端側に向かうにしたがい漸次下面210B側に向かうように傾斜させられている。
さらに、台座面221他方側の基端側(図9、図10において右側)には、台座面221に対して垂直な方向に起立する当接壁部222が設けられている。本実施形態では、図8に示すように、一対の当接壁部222が、上面210Aに対向する側から見て軸線Lを挟んで対称に形成されており、これら当接壁部222は、先端側に向かうにしたがい軸線Lに対称に漸次軸線Lに近づくように、ホルダ210の側面210Cに対して傾斜させられている。また、図示されない当接壁部222の間の部分は台座面221に垂直な平面視において軸線Lに垂直に延びる平面状に形成されている。
さらにまた、上記段部210Dの上面には、前記台座面221に対して垂直な方向に向けて、収容孔223が前記平面視に軸線L上に位置するように穿設されており、この収容孔223にはコイルスプリング224が収容されている。また、この収容孔223の底面中央からは該収容孔223と同軸にネジ孔225が穿設されている。
さらに、段部210Dの基端側を向く背面には、収容孔223の基端側に位置するように凹所226が形成されている。この凹所226には図12に示すように、段部210Dの上面に鈍角に交差して下方に向かうにしたがい漸次基端側に向かうように前記収容孔223の中心線に対して一定の傾斜角で傾斜させられた平面状の斜面壁227と、前記平面視にこの斜面壁227の軸線L上の部分を切り欠くようにして収容孔223に平行に延びる切欠凹部228とが形成されている。
また、ホルダ210には、その基端から軸線Lに平行に延びる止まり孔状のクーラント供給孔211が穿設されている。このクーラント供給孔211の先端側は、前記収容孔223と平行に上方に向けて延びて台座面221の基端部分に開口し、さらに前記一対の当接壁部222の間の部分に沿って延びる連通孔212に連通している。
クランプ駒230は、図9に示すように前記平面視に軸線Lに沿って延びる概略長方形状をなしており、その下面の先端側の2つの角部には、図12及び図13に示すように下方に向けて突出する一対の押圧凸部231が設けられている。また、これらの押圧凸部231の下面には、下方に向けてさらに一段突出した係合凸部232が形成されており、これらの係合凸部232は本実施形態では図13に示すように円板状あるいは円柱状をなしている。
さらに、クランプ駒230の下面には、これら一対の押圧凸部231および係合凸部232の間に、該クランプ駒230の先端面に開口して基端側に延びるクーラント溝233が形成されている。また、このクーラント溝233の基端は、クランプ駒230の上下面を貫通する挿通孔234に連通しており、この挿通孔234の上面開口部には座グリ部235が形成されているとともに、前記押圧凸部231の下面はこの挿通孔234の中心線に垂直な方向に、また前記係合凸部232がなす円板あるいは円柱の中心線はこの挿通孔234の中心線と平行となるようにされている。
さらに、この挿通孔234よりも基端側のクランプ駒230下面には、下方に向けて突出して前記凹所226に収容される突出部236が形成されている。この突出部236の先端側を向く面は、下方に向かうにしたがい漸次クランプ駒230の基端側に向かう傾斜面237とされていて、その前記挿通孔234の中心線に対してなす傾斜角は、凹所226の斜面壁227が収容孔223の中心線に対してなす傾斜角と等しくされている。また、この突出部236の下端には、傾斜面237からさらに下方に向けて前記挿通孔234の中心線と平行に突出し、前記切欠凹部228に収容させられる円柱状の突起部238が形成されている。
さらにまた、固定ネジ216は多段円柱状をなしており、外周面に雄ネジが形成されたネジ部216Aと、このネジ部216Aの後端に連設されて前記ネジ部216Aよりも一段小径とされた軸部216Bと、この軸部216Bのさらに後端側に連設されて大きく径方向外側に向けて張り出した頭部216Cとを備えている。この固定ネジ216は、前記クランプ駒230の挿通孔234に挿通されて頭部216Cが座グリ部235に収容され、前記軸部216Bがコイルスプリング224の内側に挿通されるとともにネジ部216Aが台座部220のネジ孔225に螺着されることにより、前記収容孔223の中心線と挿通孔234の中心線とが同軸となるようにしてクランプ駒230はホルダ210の段部210D上に取り付けられる。
また、こうしてホルダ210に取り付けられた状態で、クランプ駒230の突出部236の傾斜面237と台座部220の斜面壁227とは互いに密着して摺動可能に配置されており、さらに突出部236から突出する突起部238は、台座部220の切欠凹部228内に上下方向及び軸線L方向に隙間をあけて収容される。また、台座部220の連通孔212の上方開口部がクランプ駒230のクーラント溝233の基端部分に対向するように配置されている。したがって、この取付状態において前記一対の押圧凸部231及び係合凸部232は、前記平面視においてホルダ210の軸線Lを挟んでその両側に、台座部220が突出するように延びるその前記一方向である軸線L方向に交差(直交)する方向に配置されることになる。
次に、前記取付座215に装着されるインサート240について説明する。このインサート240は、超硬合金等の硬質材料により構成されており、図15に示すように、その外形が正三角形状の平板形に形成されたネガティブインサートであって、その正三角形面の中心C回りに120°ずつの回転対称とされるとともに表裏反転対称とされ、互いに平行な平面状とされた表裏の正三角形面のうち、選択的に一方の正三角形面が着座面241とされ、他方の正三角形面がすくい面242とされる。
ただし、このインサート240は、正三角形の前記着座面241またはすくい面242に対向する側から見て、正三角形の各辺がその中点側に向かうにしたがい内側(前記中心C側)に凹むように形成されることにより、前記中心Cから正三角形の各頂点に向けて延びる3つのノーズ部243が形成されている。各ノーズ部243の辺稜部には、正三角形面の各頂点に向けて互いに接近するように延びる一対の切刃244,244が形成されている。3つのノーズ部243の一対の切刃244,244の各角部側への延長線の各交点を直線で結ぶと正三角形になる。また、この切刃244の逃げ面とされる前記正三角形面に垂直なインサート240の側面は、台座部220の当接壁部222に当接する当接部245とされ、周方向に隣接するノーズ部243同士で前記正三角形の各辺上に位置する一対の当接部245同士の交差角は、前記一対の当接壁部222同士の交差角と等しくされている。
なお、このように前記一対の当接部245の交差角が設定されることにより、ノーズ部243の先端角αも設定されるが、この先端角αは15°≦α≦35°の範囲内とされることが好ましく、本実施形態では、α=25°に設定されている。また、ノーズ部243の先端は凸円弧状に形成される一方、前記一対の当接部245同士が交差する、前記正三角形の各辺がその中点側で中心Cに凹む部分は、ノーズ部243先端の凸円弧よりも半径の大きな凹円弧面状とされて、前記一対の当接部245に滑らかに接している。
そして、前記着座面241またはすくい面242とされるインサートの正三角形面には、切削に使用される1つのノーズ部243に対して2つの係合凹部246が形成されており、これらの係合凹部246がクランプ駒230の前記2つの係合凸部232と係合可能とされている。
この係合凹部246は底面を有する止まり孔状の凹部であって、本実施形態では前記正三角形面に垂直な中心線を有する円板状または円柱状の空間を形成するように凹まされており、その内径及び深さは、前記係合凸部232がなす円板または円柱の外径及び係合凸部232の下面からの突出量よりもそれぞれ僅かに大きくされている。
また、本実施形態のインサート240では、このような係合凹部246が、該正三角形面に対向する側から見て図15に示すように各ノーズ部243の2等分線M上に前記中心線を位置させるようにして、ノーズ部243の先端と前記中心Cとの間に1つずつ、表裏の正三角形面それぞれに3つずつ該中心Cからの距離を等しくして形成されている。そして、一つの正三角形面において周方向に隣接する2つの係合凹部246の間隔は、クランプ駒230の2つの係合凸部232の間隔と等しくされ、こうして2つの係合凸部232が2つの係合凹部246と係合したときに、残りの係合凹部246が2等分線M上に位置した1つのノーズ部243が倣い切削に使用されることになる。
このような構成とされたインサート240が、ホルダ210の先端に設けられた取付座215に、以下のようにして装着されることによって、インサート着脱式切削工具201が構成される。まず、固定ネジ216を緩めてクランプ駒230と台座部220とを離間させ、インサート240を挿入可能な隙間を生じさせる。なお、本実施形態ではインサート240の着座面241と台座面221との間に、インサート240の正三角形面と同形で厚さが均一のシート247が介装されている。上記の隙間は、このシート247の厚さも含めたものとされる。そして、この隙間にインサート240及びシート247を、前記1つのノーズ部243の2等分線Mが前記平面視に軸線Lと一致するようにしてホルダ210の先端側から挿入し、この1つのノーズ部243が突出した前記一方向とは反対側を向く正三角形の1辺の一対の当接部245をそれぞれ台座部220の一対の当接壁部222に当接させる。
次に、固定ネジ216を締め付けると、固定ネジ216の頭部216Cがクランプ駒230の座グリ部235を押圧し、クランプ駒230が台座部220に接近するように移動するとともに、傾斜面237と斜面壁227との摺動によりクランプ駒230が基端側に向けて移動する。そして、クランプ駒230の2つの係合凸部232が、インサート240の前記1つのノーズ部243の2等分線M上に位置する係合凹部246以外の2つの係合凹部246に嵌り込んで係合するとともに、前記押圧凸部231の下面がすくい面242とされるインサート240の正三角形面に当接させられ、さらに固定ネジ216を締め付けることで、インサート240は、台座面221と押圧凸部231とで台座面221に垂直な方向(インサート240の厚さ方向)にシート247ごとクランプされるとともに、係合凸部232と当接壁部222とで軸線L方向にもクランプされる。なお、シート247は、インサート240とともにひとつの固定手段によってクランプされてもよいし、インサート240とは別の固定手段によってクランプされてもよい。
以上のようにして構成されたインサート着脱式切削工具201は、旋盤又はマシニングセンタ等の工作機械に支持されて、高速に回転するワークにインサート240が押し付けられた状態でワークに対して相対的に移動させられ、ホルダ210の先端側から突き出された前記1つのノーズ部243の切刃244によって、例えばVプーリ等のワークを倣うように切削する。また、このとき前記クーラント供給孔211からは連通孔212を介してクランプ駒230のクーラント溝233にクーラント(切削油剤)が供給され、このクーラントはインサート240の前記1のノーズ部243の2等分線Mに沿って該ノーズ部243の先端に吐出させられて、切削部位を冷却、潤滑する。なお、インサート240を取り外す際には、固定ネジ216を緩めることでコイルスプリング224によってクランプ駒230が台座部220から離間するように移動されるので、固定ネジ216を完全に取り外すことなく、インサート240の着脱を行うことができる構成とされている。
このように、本実施形態であるインサート着脱式切削工具201によれば、インサート240を、台座面221と押圧凸部231、係合凸部232と当接壁部222でそれぞれクランプすることになり、インサート240を強固に固定でき、切削抵抗がノーズ部243に対してあらゆる方向に作用してもインサート240の位置ずれを防止できる。
具体的に、インサート240は前記平面視においては、軸線Lを挟んで両側に位置して該軸線Lに直交する方向に配置された2つの係合凸部232が、この軸線Lと一致させられた2等分線Mを挟んで両側に位置して該軸線Lに直交する方向に配置された2つの係合凹部246と係合し、同じく軸線Lおよび2等分線Mを挟んで両側に位置する各一対の当接部245及び当接壁部222との間でクランプされ、すなわち軸線L方向とこれに直交する方向とで合計4点でクランプされることになるので、台座面221上でインサート240が回転したりスライドしたりすることを確実に防止できる。また、インサート240は、台座面221に垂直な方向には、この台座面221とクランプ駒230の係合凸部232とでクランプされているので、インサート240が台座面221から浮き上がるように位置ずれすることを確実に防止できる。
さらに、こうしてインサート240に設けられる係合凹部246は、当該インサート240を貫通することのない止まり孔状に形成することができるので、インサート240の剛性を向上させることができ、切削抵抗によるインサート240の振れの発生を防止して寸法精度良く切削加工を行うことができるとともに、過大な負荷が作用してもインサート240の破損を防止して、このインサート240の寿命延長を図ることができる。
また、本実施形態では、クランプ駒230にクーラント溝233が形成され、ホルダ210にクーラント溝233へと連通されたクーラント供給孔211が形成されているので、クーラント供給孔211を通じて供給されたクーラントを、クーラント溝233を通じて切削に使用される1つのノーズ部243に向けて供給できる。そして、クランプ駒230の2つの係合凸部232は軸線Lを挟んでその両側に該軸線Lに交差する方向に間隔をあけて配置され、インサート240の2つの係合凹部246と係合するので、この軸線L及び2等分線M上にクーラントの供給を妨げる凸部が形成されることがなく、クーラント溝233を平面視に軸線Lに沿って配置でき、したがって切削部位に向けて確実にクーラントを供給でき、より確実な潤滑、冷却を図ることができる。
また、インサート240の外形が正三角形状の平板形をなし、正三角形面に対向する側から見て、この正三角形面の各頂点に向けて延びる3つのノーズ部243が形成されているので、いずれか1つのノーズ部243を台座部220から突出するように配置したときに、他の2つのノーズ部243の2等分線M上に位置する係合凹部246を前記係合凸部232と係合させるとともに、この1つのノーズ部243と反対側の2つの当接部245を当接壁部222に当接させて、インサート240を取付座215に装着することができる。したがって、このインサート240を回転させて3つのノーズ部243を順次切削加工に使用することができ、さらにはインサート240を表裏反転させて反対側の正三角形面をすくい面242として使用することができ、インサート240のさらなる寿命延長を図ることができる。
また、こうしてすくい面242とされる正三角形面上に係合凹部246が形成されているため、この係合凹部246に係合する係合凸部232を有するクランプ駒230の先端部を、このすくい面242に対向する側から見て、切削に使用される前記1つのノーズ部243の切刃244から外側にはみ出したりすることなく、前記三角形面内に納めることができ、したがって切刃244の切り込み量が制限を受けたりするような事態を防止することができる。しかも、本実施形態では、この1つのノーズ部243からホルダ210の基端側に離れた2つの係合凹部246に係合凸部232が係合させられるので、軸線L方向におけるクランプ駒230の先端の位置も、より基端側に配設することができ、切削によって生成された切屑がこのクランプ駒230に衝突してその排出性が損なわれるようなことも防ぐことができる。
以上、本発明の第2の実施形態であるインサート着脱式切削工具201およびインサート240について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、前記第2の実施形態のインサート240では係合凹部246を、係合凸部232と同様の円板状または円柱状の空間を形成するようにしたが、図17及び図18に示す他の実施形態のインサート250のように、係合凹部251を半球状等の凹球面状をなして凹むように形成してもよい。あるいは図19及び図20に示すその他の実施形態のインサート260のように、係合凹部261を底部に向けて内径が漸次小さくなる円錐台あるいは円錐状の空間を形成してもよい。なお、これら図17から図20に示す実施形態において、図14から図16に示した前記第2の実施形態のインサート240と共通する係合凹部246以外の部分には同一の符号を配してある。
この場合、クランプ駒230の係合凸部232は、これらの係合凹部251,261に係合してインサート250,260をホルダ210の基端側に引き込み可能な寸法、形状であれば、前記第2の実施形態と同様の円板状あるいは円柱状に突出するものであってもよい。また、各係合凹部251,261の形状に合わせて、半球等の凸曲面状をなして突出したり、円錐台状あるいは円錐状に突出したりしてこれら係合凹部251,261と係合するものであってもよく、この場合には、これら係合凹部251,261との係合によって僅かながらインサート250,260を台座面221側に押し付ける押圧力も生じるので、インサート250,260が台座面221から浮き上がるように位置ずれすることをさらに確実に防止できる。
さらにまた、これらのインサート240,250,260では、着座面241またはすくい面242となる正三角形面に上述のような係合凹部246,251,261が3つずつ互いに間隔をあけて独立して形成されているが、例えば図21に示すさらに他の実施形態のインサート270のように、これらの係合凹部246,251,261の前記中心C側の部分が連続するように形成されて三角形状の1つの凹所271を構成するようにされていてもよい。なお、本実施形態では図14から図16に示した第2の実施形態のインサート240に対応して、3つの係合凹部246が連続して凹所271を形成するようにされており、このインサート240と共通する部分にはやはり同一の符号を配してある。
このような場合でも、クランプ駒230の2つの係合凸部232は、凹所271がなす三角形の3つの角部のうち2箇所に位置する2つの係合凹部246と係合してインサート270をクランプすることになるため、位置ずれを防止することができる。ただし、この場合でも、すくい面242とされる正三角形面にクランプ駒230の押圧凸部231を確実に当接させるため、この正三角形面の周縁と前記凹所271との間には、該正三角形面に連続する面一な平面部がある程度の幅をもって残されるように形成されるのが望ましい。
さらに、前記インサート240,250,260はいずれもネガティブタイプのものであるが、切刃244の逃げ面とされる側面が一方の正三角形面から他方の正三角形面に向けて漸次後退するように傾斜して、切刃244に逃げ角が付されたポジティブインサートでもよく、この場合にはすくい面242とされる一方の正三角形面にのみ係合凹部246,251,261を形成すればよい。ただし、この場合にも、台座部220の一対の当接壁部222に当接する当接部245となる側面部分は、これらの正三角形面に垂直とされるのが望ましい。
また、前記第2の実施形態のインサート着脱式切削工具では、台座部220がホルダ210の軸線Lに沿った一方に突出するように延び、これに合わせてインサート240もその1のノーズ部243を突出させるように配置したものとして説明したが、これに限定されることはなく、これら台座部220と1のノーズ部243がホルダ210の軸線Lと斜交する方向に、あるいは、ノーズ部243を軸線Lに直交する方向に突出させたものであってもよい。さらに、ホルダ210の形状、クランプ駒230の形状、インサート240の形状についても本実施形態に制限されることはなく、他の形状であってもよい。例えば、本実施形態のクランプ駒230では押圧凸部231の下面から係合凸部232が突出しているが、これらは別の位置に離れて形成されていてもよい。
また、コイルスプリング224を介して固定ネジ216を螺着させた構成として説明したが、コイルスプリング224を備えていなくてもよい。ただし、コイルスプリング224を配置することで、固定ネジ216を緩めるだけでクランプ駒230と台座部220との間に隙間が生じてこの隙間が保持され、インサート240の着脱が容易となる。
本発明は、ホルダの先端に設けられた取付座に、切刃を有するインサートが装着されることにより構成されるインサート着脱式切削工具に関する。前記取付座は、一方に向けて延びる台座部と、この台座部に対向配置されるクランプ駒とを有している。前記台座部は、前記インサートが載置される台座面と、この台座面の他方側端部に起立する当接壁部とを備え、前記クランプ駒は、前記台座部に向けて突出する押圧凸部と、この押圧凸部よりもさらに前記台座部に向けて一段高く突出した2つの係止凸部とを備えている。前記インサートは多角形状の平板形をなし、その多角形面に対向する側から見て、一方向に向けて突出するとともに辺稜部に前記切刃が設けられたノーズ部と、前記ノーズ部の基端部の両側に設けられてそれぞれ前記係止凸部と係合される係止部と、前記ノーズ部の延在方向とは反対側を向いて前記当接壁部に当接される当接部とを有している。前記取付座に、前記インサートを、前記ノーズ部が前記台座部の先端から突出するようにして配置して、前記クランプ駒を前記台座部に対して近接させるとともに前記他方側に向けて後退させることにより、前記インサートをクランプして固定する。
本発明によれば、切削抵抗によるインサートの位置ずれを確実に防止でき、寸法精度良く切削加工を行うことができるインサート着脱式切削工具、及びこれに使用されるインサートを提供することができる。

Claims (8)

  1. ホルダの先端に設けられた取付座に、切刃を有するインサートが装着されることにより構成されるインサート着脱式切削工具であって、
    前記取付座は、一方に向けて延びる台座部と、この台座部に対向配置されるクランプ駒とを有し、
    前記台座部は、前記インサートが載置される台座面と、この台座面の他方側端部に起立する当接壁部とを備え、
    前記クランプ駒は、前記台座部に向けて突出する押圧凸部と、この押圧凸部よりもさらに前記台座部に向けて一段高く突出した2つの係止凸部とを備えており、
    前記インサートは多角形状の平板形をなし、その多角形面に対向する側から見て、一方向に向けて突出するとともに辺稜部に前記切刃が設けられたノーズ部と、前記ノーズ部の基端部の両側に設けられてそれぞれ前記係止凸部と係合される係止部と、前記ノーズ部の延在方向とは反対側を向いて前記当接壁部に当接される当接部とを有し、
    前記取付座に、前記インサートを、前記ノーズ部が前記台座部の先端から突出するようにして配置して、前記クランプ駒を前記台座部に対して近接させるとともに前記他方側に向けて後退させることにより、前記インサートをクランプして固定するインサート着脱式切削工具。
  2. 請求項1に記載のインサート着脱式切削工具であって、
    前記クランプ駒の前記台座面と対向する面には、前記取付座に装着された前記インサートの前記ノーズ部の延在方向に沿って延びるクーラント溝が形成されており、前記ホルダには、前記クーラント溝に連通されたクーラント供給孔が穿設されているインサート着脱式切削工具。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のインサート着脱式切削工具に装着されるインサートであって、
    その外形が多角形状の平板形をなし、その多角形面に対向する側から見て、一方向に向けて突出するとともに辺稜部に前記切刃が設けられたノーズ部と、前記ノーズ部の基端部の両側に設けられた係止部と、前記ノーズ部の延在方向とは反対側を向く当接部とを有しているインサート。
  4. 請求項3に記載のインサートであって、
    その外形が正三角形状の平板形をなし、その正三角形面に対向する側から見て、正三角形の各辺がそれぞれの中点側に向かうに従い内側に向けて凹むように形成されることにより、上記正三角形面の各角部に向けて互いに接近するように延びる一対の切刃をそれぞれ有する3つのノーズ部が形成され、
    前記3つのノーズ部の上記一対の切刃の前記各角部側への延長線の各交点を直線で結ぶと正三角形になるインサート。
  5. ホルダの先端に設けられた取付座に、切刃を有するインサートが装着されることにより構成されるインサート着脱式切削工具であって、
    前記取付座は、一方に向けて延びる台座部と、この台座部に対向配置されるクランプ駒とを有し、
    前記台座部は、前記インサートが載置される台座面と、この台座面の他方側の端部に起立する当接壁部とを備え、
    前記クランプ駒は、前記台座部に向けて突出する押圧凸部と、この押圧凸部よりもさらに前記台座部に向けて一段突出するとともに、前記台座面に対向する側から見て前記台座部が延びる方向に交差する方向に配置される2つの係合凸部とを備えており、
    前記インサートは多角形状の平板形をなし、その多角形面に対向する側から見て、一方向に向けて突出するとともに辺稜部に前記切刃が設けられたノーズ部と、前記ノーズ部が突出する前記一方向とは反対側を向いて前記当接壁部に当接される当接部と、前記多角形面に設けられて前記係合凸部とそれぞれ係合される2つの係合凹部とを有し、
    前記取付座に、前記インサートを、前記ノーズ部が前記台座部の先端から突出するようにして配置して、前記係合凸部を前記係合凹部に係合させるとともに前記押圧凸部を前記多角形面に当接させ、前記クランプ駒を前記台座部に向けて接近させるとともに前記他方側に向けて後退させることにより、前記インサートをクランプして固定するインサート着脱式切削工具。
  6. 請求項5に記載のインサート着脱式切削工具であって、
    前記クランプ駒の前記台座面と対向する面には、前記取付座に装着された前記インサートの前記ノーズ部が延びる方向に沿ってクーラント溝が形成されており、前記ホルダには、前記クーラント溝に連通するクーラント供給孔が穿設されているインサート着脱式切削工具。
  7. 請求項5又は請求項6に記載のインサート着脱式切削工具に装着されるインサートであって、
    その外形が多角形状の平板形をなし、その多角形面に対向する側から見て、一方向に向けて突出するとともに辺稜部に前記切刃が設けられたノーズ部と、このノーズ部が突出する前記一方向とは反対側を向く当接部と、前記多角形面に設けられた2つの係合凹部とを有しているインサート。
  8. 請求項7に記載のインサートであって、
    その外形が正三角形状の平板形をなし、その正三角形面に対向する側から見て、正三角形の各辺がそれぞれの中点側に向かうに従い内側に向けて凹むように形成されることにより、前記正三角形面の各頂点に向けて互いに接近するように延びる一対の切刃をそれぞれ有する3つの前記ノーズ部が形成され、
    前記3つのノーズ部の上記一対の切刃の前記各角部側への延長線の各交点を直線で結ぶと正三角形になり、
    前記正三角形面には前記ノーズ部の2等分線上にそれぞれ1つの前記係合凹部が形成されているインサート。
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