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JPWO2008010393A1 - 製版方法及び印刷版 - Google Patents

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JPWO2008010393A1
JPWO2008010393A1 JP2008525818A JP2008525818A JPWO2008010393A1 JP WO2008010393 A1 JPWO2008010393 A1 JP WO2008010393A1 JP 2008525818 A JP2008525818 A JP 2008525818A JP 2008525818 A JP2008525818 A JP 2008525818A JP WO2008010393 A1 JPWO2008010393 A1 JP WO2008010393A1
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Abstract

本発明は、インクジェット方式による利便性と生産性の高い特徴を生かし、インクジェット方式の製版で問題であった耐刷性、解像力を改良すると共に、高い硬化感度を備え、低粘度のインクジェットインクにより、簡単な装置で製版を可能にする製版方法を提供する。この製版方法は、インクジェット記録方法により、印刷用版材上に版形成用インクを付着させた後、活性エネルギー線を照射し、かつインク溶媒を蒸発、乾燥することにより像形成を行って印刷版を作製する製版方法において、該版形成用インクが、少なくとも水と、該活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線架橋性化合物を、インク全質量に対して、0.8質量%以上、30.0質量%以下含有し、かつ該平均粒子径が5nm以上、150nm以下の樹脂微粒子を、0.1質量%以上、7質量%以下含有することを特徴とする。

Description

本発明は、製版方法及び印刷版に関し、更にはインクジェット記録方法を利用した製版方法と印刷版に関するものである。
一般に、印刷方式は、刷版にインキを付けて圧力により媒体に転写する記録方法であるが、平版印刷においては、刷版の表面に画像情報に応じて親水性部分及び親油性部分を形成し、親水性部分には湿し水を付着させることで、親油性部分にのみ印刷インキを付着させて印刷を行う。
これらの刷版の製造(製版)方法としては、アルミプレート上に感光性樹脂を塗布したPS版に対し、画像情報に応じて銀塩方式などで作製したマスクを通して紫外線を照射して、未硬化部分をアルカリなどで洗浄することにより、親油性の樹脂を画像上に形成する方法が知られている。また、最近ではマスクを形成することなくコンピュータ内の画像情報に応じて、レーザー光等により版となる材料に直接書き込みを行い現像により刷版とするCTP(Computer to Plate)も登場している。
このCTPの登場により印刷の工程が減り簡便、迅速となるが、CTPでも製版工程で現像が必要であり、多くの手間を要しており、また、処理廃液や廃材が出る問題があった。
また、他の方法として、インクジェット記録方式による製版方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、インクジェット記録方式により、油性インクを印刷版材の上に付着させ、乾燥後に残存する樹脂を像に対応させた版とする方法であるが、耐刷性が不十分であり、また刷版上に付着したインク滴が乾燥する前に、所謂ビーディングを起こし、解像力が低下するという問題があった。
耐刷性を向上するための方法として、親水化処理された印刷版材に光硬化性インクをインクジェット方式により付着後、全面露光を行う製版方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この方法では、ある程度の耐刷性は得られるものの、インクの着弾から露光までの間にビーディングが発生しやすく、これにより解像力が低下しやすい問題、またドットゲインが発生しやすいという問題があった。更に、インクの粘度が高く、吐出力の大きな特別のインクジェット記録ヘッドが必要になるという問題があった。
また、インクジェット方式を用いる他の方法として、光硬化性モノマーとしてアクリレート化合物を用い、反応性希釈剤、光重合開始剤、溶剤及び染料からなる光硬化性インクを印刷版材に付与して像形成し、光照射により像部分を硬化させる、溶剤含有タイプの紫外線硬化インクを用いた製版方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この方法では耐刷性はある程度の得られるものの、着弾から露光までの間にビーディングが発生しやすく、これにより解像力が低下しやすい問題があった。更に、溶剤の低下により粘度は低下するものの、十分な硬化感度を得るためには溶剤は少量しか添加することができず、結果として、インクの粘度低下は、無溶媒紫外線硬化型インクと大きくは変わらず、吐出力の大きな特別のインクジェット記録ヘッドが必要になるという問題があった。
更に、水溶性重合化合物としてα−ヘテロメタクリル化合物を含有し、かつ色材を含有する水系タイプの紫外線硬化型インクを親水性支持体上に射出し、紫外線を照射して硬化することにより、疎水性の画像を形成する製版方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、この方法では、着弾から露光までの間にビーディングが発生しやすく、これにより解像力が低下しやすい問題があった。また、像部分の印刷インキの着肉性が不十分であり、刷り上がり濃度がばらつくなどの問題があった。
また、水性タイプのインクを使用することは環境上良好であるが、版の耐水性が問題になりやすいという問題や、版部への印刷インキの着肉性が不十分となりやすいという問題があった。
特開昭56−62157号公報 特開平4−69244号公報 特開昭63−102936号公報 特開2006−117795号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インクジェット方式による利便性と生産性の高い特徴を生かし、インクジェット方式の製版で問題であった耐刷性、解像力を改良すると共に、高い硬化感度を備え、低粘度のインクジェットインクにより、簡単な装置で製版を可能にする製版方法及び印刷版を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.インクジェット記録方法により、印刷用版材上に版形成用インクを付着させた後、活性エネルギー線を照射し、かつインク溶媒を蒸発、乾燥することにより像形成を行って印刷版を作製する製版方法において、該版形成用インクが、少なくとも水と、該活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線架橋性化合物を、インク全質量に対して、0.8質量%以上、30.0質量%以下含有し、かつ該平均粒子径が5nm以上、150nm以下の樹脂微粒子を、0.1質量%以上、7質量%以下含有することを特徴とする製版方法。
2.前記活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線架橋性化合物が、主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物であり、かつ該高分子化合物を、インク全質量に対して、0.8質量%以上、5.0質量%以下含有することを特徴とする前記1に記載の製版方法。
3.前記樹脂微粒子のガラス転移温度が、−20℃以上、70℃以下であることを特徴とする前記1または2に記載の製版方法。
4.前記高分子化合物の主鎖がポリ酢酸ビニルのケン化物であり、かつケン化度が77%以上、99%以下で、重合度が200以上、4000以下であることを特徴とする前記2または3に記載の製版方法。
5.前記高分子化合物の主鎖に対する前記側鎖の変性率が、0.8モル%以上、6モル%以下であることを特徴とする前記2乃至4のいずれか1項に記載の製版方法。
6.前記1乃至5のいずれか1項に記載の製版方法により作製されたことを特徴とする印刷版。
本発明により、インクジェット方式による利便性と生産性の高い特徴を生かし、インクジェット方式の製版で問題であった耐刷性、解像力を改良すると共に、高い硬化感度を備え、低粘度のインクジェットインクにより、簡単な装置で製版を可能にする製版方法及び印刷版を提供することができた。
本発明の製版方法に適用可能なインクジェットプリンタの一例を示す斜視図である。
符号の説明
1 キャリッジ
2 UV照射光源
3 搬送ローラー
4 版材
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、インクジェット記録方法により、印刷用版材上に版形成用インクを付着させた後、活性エネルギー線を照射し、かつインク溶媒を蒸発、乾燥することにより像形成を行って印刷版を作製する製版方法において、該版形成用インクが、少なくとも水と、該活性エネルギー線に照射により硬化する活性エネルギー線架橋性化合物をインク全質量に対して、0.8質量%以上、30.0質量%以下含有し、かつ該平均粒子径が5nm以上、150nm以下の樹脂微粒子を、0.1質量%以上、7質量%以下含有することを特徴とする製版方法により、インクジェット方式による利便性と生産性の高い特徴を生かし、インクジェット方式の製版で問題であった耐刷性、解像力を改良すると共に、高い硬化感度を備え、低粘度のインクジェットインクにより、簡単な装置で製版を可能にする製版方法を実現することができた。
従来の活性エネルギー線硬化性インクジェットインクは、構成材料の全てが硬化成分で構成されていたり、あるいは有機溶媒や水を含有する場合であっても、硬化性樹脂の含有量を多くしないと硬化しなかったりするため、実用的な感度(耐刷性の備えた硬度になるまでに必要とされる光量)が得られないという問題があった。そして、硬化に必要な硬化性樹脂量を添加した場合には、インクジェットインクの粘度が20mPa・sを超え、インクジェット記録方式による射出に不具合が生じることが多かった。
本発明では、水溶性の活性エネルギー線架橋性化合物を使用し、該活性エネルギー線架橋性化合物をインク全質量に対して、0.8質量%以上、30.0質量%以下含有することを特徴の1つとする。
本発明に係る水溶性の活性エネルギー線架橋性化合物は、架橋結合する前は親水性であり、水や水溶性有機溶剤にも溶解するが、架橋により疎水性が高まり、平版印刷材として使用するときの耐刷性や耐水性を向上させることができる。
また、本発明の製版方法では、水溶性の活性エネルギー線架橋性化合物は、架橋により疎水性が高まり、インキが付着する像部分を形成する。
従来の活性エネルギー線硬化性インクに用いられる硬化成分は、硬化成分の分子量が小さく、多くの硬化成分が架橋しないと硬度が出ないため、硬化のためには多量の硬化成分が必要であり、添加量が少ないと感度の低下を招くことになる。従って、多量の硬化成分が必要となるため、必然的にインクの粘度は高くなる。
これに対して、本発明に係る水溶性の活性エネルギー線架橋性化合物は、版形成用インク全質量に対して0.8質量%以上、30.0質量%以下という少量で硬化が可能となった。さらに本発明に係る版形成用インクが含有する硬化成分は、高分子量成分の主鎖に対して、架橋基が側鎖として付加している構造を有していることが好ましい。この構造により機構は不明だが、版形成用インク全質量に対して0.8質量%以上、5.0質量%以下という極めて少量で硬化が可能となった。
また、高分子化合物がポリ酢酸ビニルのケン化物であり、かつケン化度が77〜99%で、重合度が200以上、4000以下の時に顕著に感度の向上が見られる。重合度が4000以下であれば、インク粘度の過度の上昇を抑制することができ、安定した射出性能を得ることができる。また側鎖の変性率は0.8モル%以上、6モル%以下の時に特に顕著に感度の向上が見られる。
更に、本発明に係る版形成用インクは、硬化成分が少量であるため、版形成用インク中に蒸発成分を多く含有させることが可能となった。蒸発成分を多く含有することにより、乾燥、硬化後に印刷版材上に形成される像の厚みが薄くなり、ドットゲインの発生を抑えられた高画質な刷版の製造が可能になった。
本発明の製版方法においては、本発明に係る版形成用インクが、インク全質量に対して、平均粒子径が5nm以上、150nm以下である樹脂微粒子を0.1質量%以上、7質量%以下含有することを特徴とし、これらの構成とすることにより、印刷インキの着肉性を改良させるものである。樹脂微粒子の平均粒子径は、インクジェットによる製版方法では重要な因子の一つである。樹脂微粒子の平均粒子径が5nm以上であれば、インキの着肉性に対する改良効果が得られ、150nm以下であれば、インクジェットヘッドからの安定した出射性を維持でき、高い着弾精度を要求される刷版の製造では、細線の再現性や小さい文字の再現性などで、十分な効果を得ることができる。また、樹脂微粒子の添加量は、着肉性そのものに影響する因子であり、0.1質量%以上であれば着肉性に対する効果を得ることができ、7質量%以下であれば十分な着肉性は得られると共に、間欠出射時でのノズル目詰まり等の発生を抑制でき、良好な出射安定性を実現することができる。
また、樹脂微粒子の特性の中でも、ガラス転移温度が−20℃以上、70℃以下の樹脂微粒子を用いることで、版材上で樹脂微粒子同士が多少なりとも融着すると考えている。これによりインキ着肉性と耐擦過性が向上すると推測している。
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明の製版方法に係る版形成用インク(以下、単にインクともいう)について説明する
〔活性エネルギー線架橋性高分子化合物〕
本発明の製版方法においては、版形成用インクが、少なくとも水と、該活性エネルギー線に照射により硬化する活性エネルギー線架橋性化合物をインク全質量に対して、0.8質量%以上、30.0質量%以下含有することを特徴とする。
本発明に適用可能な水溶性の活性エネルギー線架橋性化合物としては、例えば、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物(例えば、アクリレート系化合物)、カチオン重合性化合物(例えば、オキセタン化合物、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物等)等を挙げることができ、その中でも、例えば、特開2006−117795号公報に記載のα−ヘテロメタクリル化合物や親水性の主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合等を挙げることができ、本発明においては、その中でも、活性エネルギー線架橋性化合物の添加量を少なくすることができることから、特に、活性エネルギー線架橋性化合物が、主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物であることが好ましい。
本発明に係る主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物とは、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、または前記樹脂の誘導体、ならびにこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂に対して、側鎖に光二量化型、光分解型、光重合型、光変性型、光解重合型等の変性基を導入したものである。その中でも、光重合型の架橋性基が、感度及び形成される画像性能の観点から望ましい。
主鎖としては、側鎖の導入に対する簡便性や、取り扱いの観点からポリ酢酸ビニルのケン化物が好ましく、その重合度は200以上、4000以下が好ましく、200以上、2000以下がハンドリングの観点からより好ましい。主鎖に対する側鎖の変性率は0.3モル%以上、6モル%以下が好ましいが、0.8モル%以上、6モル%以下が反応性の観点からより好ましい。主鎖に対する側鎖の変性率が0.3モル%以上であれば、十分な架橋性を得ることができ本発明の効果を発揮させることができ、6モル%以下であれば、架橋密度が過度に増大することがなく、硬くてもろい膜の発生と膜強度の低下を防止することができる。
光二量化型の変性基としては、ジアゾ基、シンナモイル基、スチルバゾニウム基、スチルキノリウム基等を導入したものが好ましく、例えば、特開昭60−129742号公報等の公報に記載された感光性樹脂(組成物)が挙げられる。
特開昭60−129742号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中にスチルバゾニウム基を導入した下記一般式(1)で表される化合物である。
上記一般式(1)において、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Aはカウンターアニオンを表す。
特開昭56−67309号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中に、下記一般式(2)で表される2−アジド−5−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造、または、下記一般式(3)で表され、4−アジド−3−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂組成物である。
また、下記一般式(4)で表される変性基も好ましく用いられる。
上記一般式(4)において、Rはアルキレン基または芳香族環を表す。好ましくはベンゼン環である。
光重合型の変性基としては、例えば、特開2000−181062号、特開2004−189841号に示される下記一般式(5)で表される樹脂が反応性との観点から好ましい。
上記一般式(5)において、R2はメチル基または水素原子を表し、nは1または2を表し、Xは−(CH2m−COO−または−O−を表し、Yは芳香族環または単結合手を表し、mは0〜6までの整数を表す。
また、特開2004−161942号公報に記載されている光重合型の下記一般式(6)で表される変性基を、従来公知の水溶性樹脂に用いることも好ましい。
上記一般式(6)において、R3はメチル基または水素原子を表し、R4は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。
このような活性エネルギー線架橋型の樹脂は、インク全質量に対して0.8質量%以上、30.0質量%以下含有することを特徴の一つとする。0.8質量%以上存在することで、架橋効率が向上し、架橋後のインク粘度の急激な上昇によりビーディングやカラーブリードがより好ましくなる。5.0質量%以下の場合は、インク物性やインクヘッド内状態に悪影響しにくくなり、出射性やインク保存性の観点で好ましい。
本発明に係る活性エネルギー線架橋型の高分子化合物においては、元々ある程度の重合度をもった主鎖に対して側鎖間で架橋結合を介して架橋をするため、一般的な連鎖反応を介して重合する活性エネルギー線硬化型の樹脂に対して光子一つ当たりの分子量増加効果が著しく大きい。一方、従来公知の活性エネルギー線硬化型の樹脂においては架橋点の数は制御不可能であるため硬化後の膜の物性をコントロールすることができず、硬くてもろい膜となりやすい。
本発明に用いられる樹脂においては、架橋点の数は主鎖の長さと、側鎖の導入量で完全に制御でき、目的に応じたインク膜の物性制御が可能である。
更に、従来公知の活性エネルギー線硬化型インクが色剤以外のほぼ全量が硬化性分であり、そのため硬化後のドットが盛り上がることにより、版の厚みが厚くなり、ドットゲインを発生するのに対して、本発明に用いられる樹脂を用いたインクによる製版方法においては、樹脂の添加量が少量ですみ、乾燥成分比率が高いため、硬化後にドットが不必要に盛り上がることなく、刷り上がりが良好な刷版が形成できる。
〔光重合開始剤、増感剤〕
本発明においては、光重合開始剤や増感剤を添加することができる。これらの化合物は溶媒に溶解、または分散した状態か、もしくは感光性樹脂に対して化学的に結合されていてもよい。
適用される光重合開始剤、光増感剤について特に制限はなく、従来公知の物を用いることができる。
適用される光重合開始剤、光増感剤について特に制限はないが、水溶性の物が混合性、反応効率の観点から好ましい。特に4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(HMPK)、チオキサントンアンモニウム塩(QTX)、ベンゾフェノンアンモニウム塩(ABQ)が水系溶媒への混合性という観点で好ましい。
更に、樹脂との相溶性の観点から、下記一般式(7)で表される4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(n=1、HMPK)や、そのエチレンオキシド付加物(n=2〜5)がより好ましい。
式中、nは1〜5の整数を表す。
また、他の一例として、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類。チオキサトン、2、4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類。エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類。アセトフェノン類。ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類。2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等ベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、及びこれらの混合物等が好ましく用いられ、上記は単独で使用しても混合して使用してもかまわない。
これらの光重合開始剤に加え、促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、主鎖に対して側鎖にグラフト化されていても好ましい。
〔樹脂微粒子〕
本発明に係る樹脂微粒子としては、特に限定はないが、好ましくは、ポリウレタン、ポリスチレン−アクリル、ポリスチレン−ブタジエン、ポリスチレン−マレイン酸、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、アクリル変性シリコーン樹脂、アクリル変性フッ素樹脂などからなる樹脂微粒子、またはこれらの共重合体及びこれらの塩からなる樹脂微粒子が挙げられ、好ましくは、ポリウレタン、ポリスチレン−アクリル、ポリスチレン−ブタジエン、ポリスチレン−マレイン酸の中の少なくとも一つから選ばれる共重合体が挙げられる。
本発明に係るインクにおいて、樹脂微粒子の平均粒径は5nm以上、150nm以下であることを特徴の一つとする。樹脂微粒子の平均粒径が5nm以上であれば、インキの着肉性に対する改良効果を得ることができ、150nm以下の粒子径であれば、インクジェットヘッドからの出射安定性を維持でき、高い着弾制度を要求される刷版の製造における細線再現性や小さい文字の再現性等の向上を達成することができる。本発明に係る樹脂微粒子の平均粒径は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。
また、本発明に係るインクにおいて、本発明に係る樹脂微粒子の含有量としては、インク全質量に対して0.1質量%以上、7質量%以下であることを特徴の一つとするが、0.1質量%以上、5質量%以下であることがさらに好ましい。本発明に係る樹脂微粒子の含有量が0.1質量%以上であれば、着肉性に優れた効果を発揮することができ、7質量%以下であれば、十分な着肉性を得られるとともに、間欠出射時に樹脂微粒子に起因するノズル目詰まりの発生を防止することができる。更には、一般的には、樹脂微粒子の添加によりインクの粘度が上昇し、このインク粘度の上昇に伴い、高い駆動周波数での射出が不可能になり、生産性の低下を招く原因になる。従って、インク粘度も考慮すると添加量は5質量%以下とすることが好ましい。
本発明に係る樹脂微粒子は、乳化剤を用いて強制的に乳化した強制乳化型、樹脂に親水性基または親水性セグメントを付与し分散させた自己乳化型のいずれであってもよい。乳化剤としては界面活性剤が多く用いられるが、スルホン酸基、カルボン酸基等の親水性基を有するポリマー(例えば、親水性基がグラフト結合しているポリマー、親水性部分を持つ単量体と疎水性部分を持つ単量体とから得られるポリマー)を用いることも好ましい。
近年、ラテックスのポリマー粒子として、粒子全体が均一であるポリマー粒子を分散したラテックス以外に、粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのポリマー粒子を分散したラテックスも存在するが、このタイプのラテックスも好ましく用いることができる。
本発明に係る樹脂微粒子としては、保存性の観点からノニオン性またはアニオン性であることが好ましく、更にはアニオン性であることが好ましい。
また、アニオン性の樹脂微粒子の場合にはアニオン性基を塩基で中和して使用する。この時の塩基としては、アンモニア、ジメチルエタノールアミン等の有機塩基を用いることが好ましい。有機塩基は揮発性があり版形成の後に蒸発するが、有機塩基が蒸発したあとは水溶性が低下し、耐水性が向上する。これにより、絶えず水に晒される印刷時の版の耐久性が向上する効果が期待できる。
本発明に係る樹脂微粒子は、ガラス転移点(Tg)が−20℃以上、70℃以下であることが好ましい。ガラス転移点が−20℃以上の樹脂であれば、版として使用する際の耐傷性、耐擦性を維持することができ、また、ガラス転移点が70℃以下であれば、樹脂微粒子の形状を残すことなく平滑化でき、樹脂が充分の硬度範囲とすることができることからインキの着肉性が良好になる。ガラス転移点(Tg)は、温度を変化させる過程において熱膨張係数及び比熱などが不連続的に変化することを利用して、公知の方法で測定することができる。
〔着色剤〕
本発明の製版方法に用いられるインクは、着色剤を含有しないクリアインクでも構わないが、刷版に描いた図柄を簡単に識別する目的から着色剤を含有することが好ましい。
着色剤の含有量は、画像形成用に用いられるインクジェットインクよりも少量で良く、インク全量に対して0.1質量%以上、3質量%以下が好ましい。また、着色剤の種類としては、染料、顔料のいずれでも良い。
(染料)
本発明で用いることのできる染料としては、特に制限はなく、酸性染料、直接染料、反応性染料等の水溶性染料、分散染料等が挙げられる。
以下、本発明に係るインクに適用可能な染料の具体例を列挙するが、本発明では、これら例示する染料にのみ限定されるものではない。
[水溶性染料]
本発明で用いることのできる水溶性染料としては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができる。
更に、染料として、下記一般式(8)で表される化合物または一般式(9)で表される化合物を用いることもできる。
上記一般式(8)において、R1は水素原子または置換可能な置換基を表し、水素原子またはフェニルカルボニル基が好ましい。R2は異なってもよく水素原子または置換可能な置換基を表し、水素原子が好ましい。R3は水素原子または置換可能な置換基を表し、水素原子またはアルキル基が好ましい。R4は水素原子または置換可能な置換基を表し水素原子、アリールオキシ基が好ましい。R5は異なってもよく水素原子または置換可能な置換基を表し、スルホン酸基が好ましい。nは1〜4の整数を表し、mは1〜5の整数を表す。
上記一般式(9)において、Xはフェニル基またはナフチル基を表し、置換可能な置換基で置換されていてもよく、スルホン酸基またはカルボキシル基で置換されていることが好ましい。Yは水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオンまたはアルキルアンモニウムイオンを表す。R6は異なってもよく水素原子またはナフタレン環に置換可能な置換基を表す。qは1または2を表す。pは1〜4の整数を表す。ただし、q+p=5である。Zは置換可能な置換基を表し、カルボニル基、スルホニル基または下記一般式(10)で表される基を表し、特に、下記一般式(10)で表される基が好ましい。
上記一般式(10)において、W1、W2はそれぞれ異なっていてもよいハロゲン原子、アミノ基、水酸基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基を表し、ハロゲン原子、水酸基またはアルキルアミノ基が好ましい。
[分散染料]
また、分散染料としては、アゾ系分散染料、キノン系分散染料、アントラキノン系分散染料、キノフタロン系分散染料等種々の分散染料を用いることができる。
(顔料)
本発明において使用できる顔料としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、水分散性顔料、溶剤分散性顔料等何れも使用可能であり、例えば、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料及び、カーボンブラック等の無機顔料を好ましく用いることができる。この顔料は、インク中で分散された状態で存在させ、この分散の方式としては、自己分散、界面活性剤を用いた分散、ポリマー分散、マイクロカプセル分散の何れでも良い。
不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本発明に係るインクが含有する顔料の分散状態における平均粒子径は、50nm以上、200nm未満であることが好ましい。
顔料分散体の粒子径測定は、動的光散乱法、電気泳動法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることが出来るが、動的光散乱法による測定が簡便でこの粒子径領域の精度が良く多用される。
本発明に係るインクに用いられる顔料は、分散剤及びその他目的とする特性に応じて必要な添加物と共に分散機により分散して用いることが好ましい。分散機としては従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等が使用できる。中でもサンドミルによる分散方法は、製造されるインクの粒度分布がシャープであり好ましい。また、サンドミル分散に使用するビーズの材質は、ビーズ破片やイオン成分のコンタミネーションの点から、ジルコニアまたはジルコンが好ましい。更に、このビーズ径としては0.3mm〜3mmが好ましい。
本発明に係るインクが含有する顔料の分散には、上記分散剤として界面活性剤または高分子分散剤を単独または併用して使用することができる。
〔水溶性溶剤〕
本発明に係るインクを構成する溶媒としては、少なくとも水を含有し、更に水溶性有機溶剤を含有しても良い。
本発明に係るインクに適用可能な水溶性溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。
本発明に係るインクが含有する溶媒(水単独あるいは水と水溶性有機溶剤の混合物)の総量としては、インク全量に対して50質量%以上、98質量%以下が好ましく、80質量%以上、98質量%以下が更に好ましい。更には、水がインク全量に対して50質量%以上、80%以下含有することが好ましい。
〔界面活性剤〕
本発明に係るインクは、界面活性剤を含有しても良い。
本発明に係るインクに好ましく適用される界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
これらの界面活性剤は、顔料の分散剤としても用いることができ、特にアニオン性及びノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
〔各種添加剤〕
本発明においては、その他に従来公知の添加剤を含有することができる。例えば、蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤、水溶性多価金属塩、酸塩基、緩衝液等pH調整剤、酸化防止剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料等である。
〔インク物性値〕
本発明に係るインクは、高精細な刷版をインクジェット方法により安定に製造するために、好ましいインクの物性値の範囲が存在する。
インクの粘度は1mPa・s以上、15mPa・s以下が好ましく、特に2mPa・s以上、8mPa・s以下が好ましい。粘度が1mPa・s以上であれが安定な射出ができ、15mPa・s以下の粘度であれば、サテライトの発生を防止でき、早い繰り返し周期でインクを射出することが可能になり生産速度が向上する。
インクの表面張力は、25mN/m以上、50mN/m以下が好ましく、30mN/m以上、45mN/m以下が特に好ましい。25mN/m以上であれば、印刷版材上に着弾したドットの濡れ広がりを制御でき、良好な解像度とすることができる。また、50mN/m以下であれば、インクジェット記録ヘッド内での気泡の抜けが十分となり、良好な射出安定性を維持することができる。
〔インクの製造方法〕
本発明に係るインクは従来公知の方法により製造することができるが、製造工程の過程で濾過処理を行うことが好ましい。濾過の方法としては、例えば、金属製のメッシュフィルターにより行うことができるが、これと組み合わせてポリプロピレン等の樹脂製の体積濾過フィルターによる濾過を行うことも好ましい。
更に、本発明に係るインクは、脱気処理を施すことが好ましい。脱気の方法としては、例えば、真空槽中で攪拌することにより脱気を行う方法、インクを加熱した後に密封し脱気を行う方法、中空糸を用いた脱気モジュールを用いる方法などがあるが、脱気モジュールを用いる方法が特に好ましい。
〔印刷版材〕
本発明の製版方法に用いられる印刷版材は、表面が親水性であることが好ましい。印刷版材に用いられる支持体としては、従来公知の、平版印刷版に使用される版材を限定無く用いることができる。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)がラミネートされた紙、金属版(例えば、アルミニウム等)、プラスチックフィルム(例えば、三酢酸セルロース、酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)である。
特に好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートまたはアルミニウム板が挙げられる。
これらの支持体上に親水性を付与するため、プラズマ処理やコロナ放電のような物理的処理、親水性樹脂等のコーティングや界面活性剤溶液への浸漬といった化学的処理を単独または併用して施すことが好ましい。更に、湿し水がのりやすいように表面が粗面化されていることが好ましい。粗面化の方法としては有機、無機微粒子をコーティングなどにより表面に付着させ、このネットワーク構造によりミクロな凹凸形状を付与する方法などがある。その他好ましい例として、任意の支持体上に表面層として耐水性の親水性層を設けたものも挙げることができる。このような表面層としては、例えば、米国特許第3,055,295号や、特開昭56−13168号記載の無機顔料と結着剤とからなる層、特開平9−80744号記載の親水性膨潤層、特表平8−507727号記載の酸化チタン、ポリビニルアルコール、珪酸類からなるゾルゲル膜等を挙げることができる。
また、印刷版材として広く用いられているアルミニウム板を支持体として用いる場合には、粗面化処理、珪酸ソーダ、フッ化ジルコニウム酸カリウム、リン酸塩などの水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。
アルミニウム板の表面の粗面化は種々の方法により行うことができる。例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸、硝酸等の電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するために、例えば、界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えば、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。
〔インクジェット記録方法〕
本発明の製版方法においては、版形成用インクを装填したインクジェットプリンタにより、画像情報に基づきインクジェット記録ヘッドからインクを液滴として射出させて印刷版材に付着させ、活性エネルギー線の照射により硬化した後、インク溶媒の蒸発乾燥を経て印刷用刷版を形成する。
本発明の製版方法で使用するインクジェット記録ヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等などいずれの吐出方式を用いても構わない。
ヘッドから射出されるインク液滴量は、0.5ピコリットル以上、7ピコリットル以下が好ましく、0.8ピコリットル以上、4ピコリットル以下が特に好ましい。インク液滴量が0.5ピコリットル以上であれば、ヘッドから射出された液滴が空気抵抗による影響を受けることなく、安定した飛翔性を得ることができ、着弾位置の精度が向上する。また、7ピコリットル以下のインク液適量であれば、1つのドットサイズが大きくなりすぎることを防止でき、刷版としての高い解像度を実現することができる。
また、射出を工夫して、複数の液滴量を1つのヘッドから射出し、複数の液滴を連続的に射出させ飛翔中に合一させた後に着弾させることもできる。
本発明に適用可能なインクジェットプリンタの形態は如何なる方式でも構わないが、高画質の刷版製造にあたってはフラットベット方式、ドラム方式とすることが好ましい。また、印刷機の中にインクジェットプリンタを組み込み、印刷機上で製版する方法も好ましい。
〔活性エネルギー線、照射方法〕
本発明でいう活性エネルギー線とは、例えば、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、エックス線等が挙げられるが、人体への危険度が低く、取り扱いも容易で、工業的にもその利用が普及している電子線や紫外線が好ましい。
電子線を用いる場合には、照射する電子線の量は0.1〜30Mradの範囲が望ましい。0.1Mrad以上であれば十分な照射効果が得られ、30Mrad以下であれば、支持体等への悪影響を排除することができるため、好ましい。
紫外線を用いる場合は、光源として、例えば、0.1kPaから1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプや紫外域の発光波長を持つキセノンランプ、冷陰極管、熱陰極管、LED等従来公知の物が用いられる。
〔インク着弾後の光照射条件〕
活性エネルギー線の照射条件として、インク着弾後0.001〜1.0秒の間に活性エネルギー線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5秒である。高精細な像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
〔ランプの設置〕
活性エネルギー線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらの何れの照射方法も用いることができる。
また、活性エネルギー線の照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性エネルギー線を照射し、更に活性エネルギー線を照射する方法も好ましい態様の1つである。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《高分子化合物の合成》
グリシジルメタクリレート56g、p−ヒドロキシベンズアルデヒド48g、ピリジン2g、及びN−ニトロソ−フェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩1gを反応容器に入れ、80℃の湯浴中で8時間攪拌した。
次に、重合度300、ケン化率88%のポリ酢酸ビニルケン化物45gをイオン交換水225gに分散した後、この溶液にリン酸4.5gと上記反応で得られたp−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドをポリビニルアルコールに対して変性率が3モル%になる様に加え、90℃で6時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、塩基性イオン交換樹脂30gを加え1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過し、ここに光重合開始剤として、イルガキュア2959(チバスペシャルティケミカルズ社製)を15%水溶液100gに対して0.1gの割合で混合し、その後イオン交換水にて希釈して10%の高分子化合物1水溶液を得た。
次いで、上記高分子化合物1水溶液の調製において、必要に応じてポリ酢酸ビニルケン化物の重合度、ケン化度を変え、p−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドの仕込み量を変えて変性率を調整して、表2、表3に記載の高分子化合物2〜11の10%水溶液を調製した。
〔版形成用インクの調製〕
(インク1の調製)
10%の高分子化合物1水溶液 30部
ジョンクリル734(ジョンソンポリマー製) 4.76部
エチレングリコール 13部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2部
オルフィンE1010(日信化学社製) 0.15部
以上にイオン交換水を加え全量を100部として攪拌混合した。
続いて、#3500メッシュの金属フィルターによる濾過、中空糸モジュールによる脱気を行い、インク1を調製した。
(インク2の調製)
10%の高分子化合物1水溶液 30部
ジョンクリル734(ジョンソンポリマー製) 4.76部
シアン顔料分散液:Cab−o−jet250C 6部
エチレングリコール 13部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2部
オルフィンE1010(日信化学社製) 0.15部
以上にイオン交換水を加え全量を100部とし、インク1と同様の方法で濾過及び脱気を行って、インク2を調製した。
(インク3〜30の調製)
上記インク2の調製において、高分子化合物と樹脂微粒子およびインク組成を、表2、表3に記載の各化合物に代えた以外は同様にして、インク3〜インク30を調製した。
(インク31の調製)
重合性化合物B 25部
光重合開始剤A 1部
シアン顔料分散液:Cab−o−jet250C 6部
エチレングリコール 13部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2部
オルフィンE1010(日信化学社製) 0.15部
以上にイオン交換水を加え全量を100部とし、インク1と同様の方法で濾過及び脱気を行って、インク31を調製した。
(インク32〜35の調製)
上記インク31の調製において、高分子化合物と樹脂微粒子およびインク組成を、表3に記載の各化合物に代えた以外は同様にして、インク32〜35を調製した。
表1に、上記インク1〜31の調製に使用した各樹脂微粒子の詳細を示す。
なお、表1に記載の樹脂微粒子において、ジョンクリルシリーズは、ジョンソンポリマー社製であり、スーパーフレックスシリーズは第一工業製薬社製であり、SXシリーズは日本ゼオン社製である。
また、表2、表3に略称で記載のインク1〜31の調製に用いた各添加剤等の詳細は、以下の通りである。
*1:インク中の高分子化合物の固形分含有率(%)
*2:インク中の樹脂微粒子の固形分含有率(%)
EG:エチレングリコール
PG:プロピレングリコール
DEGBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
CAB:Cab−o−jet250C(シアン顔料)
E1010:オルフィンE1010(日信化学社製)
《製版の作製》
(インクジェットプリンタ)
図1に記載のインクジェットプリンタを使用した。ノズル口径20μm、ノズル数512ノズル、ノズル解像度300dpi(本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)のピエゾ方式のインクジェットヘッドをキャリッジ1に8個搭載し、キャリッジ1の両脇にUV照射光源2を付けたフラットベット型のインクジェットプリンタである。キャリッジ1は図1のX方向に移動し、Y方向はフラットベット上の搬送ローラー3で版材4を移動させることにより移動を行う。
(刷版の作製)
図1のプリンタから版材とする砂目立てしたアルミ基材上に、各インクを液適量1ピコリットルで解像度2400dpi×2400dpiで像形成を行った。画像は総合評価用に10cm×10cmのベタ画像、細線画層、3ポイントから10ポイントの明朝体文字画像、自然画(写真)の画像を組み合わせたものを作成して用いた。
インクの硬化は、キャリッジの両脇に設置したメタルハライドランプ(日本電池社製 MAL 400NL 電源電力3kW・hr)から120W/cmの条件で照射した。
各インクで粘度が異なるので、それぞれのインクで液適量1ピコリットルとなるようにプリンタのピエゾ素子に付加する電圧を調整した。
《インクの評価》
(間欠出射性の評価)
ノズル口径20μm、ノズル数512ノズル、ノズル解像度300dpi(本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)のピエゾ方式のインクジェットヘッドより、液適量1plとなるように駆動電圧を調整して射出試験を行った。温度20℃、湿度30%RHの環境下で、12kHzの駆動周波数で1分連続で出射させた後に、一定時間射出を停止させ、連続射出を再開した時の状態を観察し、以下に示す基準に従って間欠出射性の評価を行った。
○:3分停止させた後に全ノズルからの出射を確認した
△:3分停止では出射欠ノズルが見られたが、1分停止では全ノズルからの出射を確認した
×:1分停止でノズルの欠けが見られた
《刷版画像の評価》
(耐水擦過性の評価)
イソプロピルアルコールの1%水溶液をスポンジに付け、刷版全体を強く擦った。擦ったあと刷版像の状態を目視観察し、以下に示す基準に従って耐水擦過性の評価を行った。
◎:200回擦っても刷版全体の画像が全く剥がれ落ちない
○:50回擦っても刷版全体の画像が全く剥がれ落ちない
△:50回擦った時点で細線の一部に掛けが見られた
×:50回擦った時点で3ポイントの文字が判読不能になった
(着肉性の評価)
作製した刷版を印刷機に掛けて、コート紙(SA金藤:王子製紙製)に印刷を行った。刷り上がったベタ画像部の状態を目視観察し、以下に示す基準に従って着肉性の評価を行った。
◎:刷り上がったベタ部の濃度が濃く良好で、ベタ画像部分にムラは認められない
○:刷り上がったベタ部の濃度は濃く、ベタ画像部分にわずかにムラが認められる
△:刷り上がったベタ部の濃度がやや低く、かつムラが認められる
×:刷り上がったベタ部の濃度が低く、甚だしいムラが見られる
(耐刷性の評価)
作製した刷版を印刷機に掛けて、コート紙(OK金藤:王子製紙製)に印刷を行った。
刷り上がった紙の細線部分の欠け、3ポイント文字の欠けや潰れをルーペで確認し、以下に示す基準に従って、耐刷性の評価を行った。
◎:15,000枚目の印刷物にも欠けや潰れは見られない
○:15,000枚目の印刷物にはわずかな欠けが見られたが、10,000枚目の印刷物では欠けや潰れは見られない
△:10,000枚目の印刷物で欠けや潰れが見られた
×:3,000枚目の印刷物で欠けや潰れが見られた
(ドットゲインの評価)
A3サイズの刷版の四隅に3cm×3cmの15%の網点パッチを印刷するための刷版を作製し、印刷機に掛けてコート紙(OK金藤:王子製紙製)印刷した。
刷り上がったパッチの網点%をX−rite528(X−rite社製)を用いて測定し、下記の基準に従ってドットゲインを評価した。
○:網点%が15%±3%であった
△:網点%が15%±5%であった
×:網点%が15%±5%を超えていた
(インク粘度適性の評価)
25℃でのインク粘度を、振動式粘度計としてVM−1AL(CBCマテリアルズ社製)を用いて測定し、以下に示す基準に従ってインク粘度適性の評価を行った。
○:2mPa・s以上、8mPa・s未満
△:2mPa・s未満または8mPa・s以上、15mPa・s未満
×:15mPa・s以上
以上により得られた結果を、表4に示す。
表4に記載の結果より明らかなように、本発明に係る高分子化合物と樹脂微粒子とを本発明で規定する量を含有する版形成用インクを用いた本発明の製版方法は、比較例に対し、耐水擦過性、着肉性、耐刷性、ドットゲインのいずれにも優れ、かつインクが適正な粘度特性を備えていることが分かる。

Claims (6)

  1. インクジェット記録方法により、印刷用版材上に版形成用インクを付着させた後、活性エネルギー線を照射し、かつインク溶媒を蒸発、乾燥することにより像形成を行って印刷版を作製する製版方法において、該版形成用インクが、少なくとも水と、該活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線架橋性化合物を、インク全質量に対して、0.8質量%以上、30.0質量%以下含有し、かつ該平均粒子径が5nm以上、150nm以下の樹脂微粒子を、0.1質量%以上、7質量%以下含有することを特徴とする製版方法。
  2. 前記活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線架橋性化合物が、主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物であり、かつ該高分子化合物を、インク全質量に対して、0.8質量%以上、5.0質量%以下含有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の製版方法。
  3. 前記樹脂微粒子のガラス転移温度が、−20℃以上、70℃以下であることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の製版方法。
  4. 前記高分子化合物の主鎖がポリ酢酸ビニルのケン化物であり、かつケン化度が77%以上、99%以下で、重合度が200以上、4000以下であることを特徴とする請求の範囲第2項または第3項に記載の製版方法。
  5. 前記高分子化合物の主鎖に対する前記側鎖の変性率が、0.8モル%以上、6モル%以下であることを特徴とする請求の範囲第2項乃至第4項のいずれか1項に記載の製版方法。
  6. 請求の範囲第1項乃至第5項のいずれか1項に記載の製版方法により作製されたことを特徴とする印刷版。
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