JPWO2006126730A1 - 二環式ピリミジン化合物及びその製造方法 - Google Patents
二環式ピリミジン化合物及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2006126730A1 JPWO2006126730A1 JP2007517937A JP2007517937A JPWO2006126730A1 JP WO2006126730 A1 JPWO2006126730 A1 JP WO2006126730A1 JP 2007517937 A JP2007517937 A JP 2007517937A JP 2007517937 A JP2007517937 A JP 2007517937A JP WO2006126730 A1 JPWO2006126730 A1 JP WO2006126730A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- optionally substituted
- alkyl group
- carbon atoms
- hydrogen atom
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 0 *OC(C(CC1)N=C1N)=O Chemical compound *OC(C(CC1)N=C1N)=O 0.000 description 2
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07D—HETEROCYCLIC COMPOUNDS
- C07D487/00—Heterocyclic compounds containing nitrogen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system, not provided for by groups C07D451/00 - C07D477/00
- C07D487/02—Heterocyclic compounds containing nitrogen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system, not provided for by groups C07D451/00 - C07D477/00 in which the condensed system contains two hetero rings
- C07D487/04—Ortho-condensed systems
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
Abstract
本発明は、二環式ピリミジン化合物の工業的に有利な製造方法に関する。具体的には、下記一般式(2)で表されるピロリン化合物又はその塩と、下記一般式(3)で表されるオキサゾリノン化合物又は下記一般式(4)で表されるグリシン誘導体とを反応させることを特徴とする、下記一般式(1)で表される二環式ピリミジン化合物又はその塩の製造方法に関する。
Description
本発明は、C型肝炎ウイルス阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤等の合成中間体として有用な二環式ピリミジン化合物及びその製造方法に関する。
下記式(a)で表される二環式ピリミジン化合物は、C型肝炎ウイルス阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤等の合成中間体として有用であることが報告されている(国際公開00/248116号パンフレット及び国際公開04/002406号パンフレット)。式(a)中、Cbzはベンジルオキシカルボニル基を示す。
また、上記文献には、式(a)で表される二環式ピリミジン化合物の製造方法として、下記反応スキームに示される方法が記載されている(国際公開00/248116号パンフレット実施例1、及び国際公開04/002406号パンフレットScheme10)。すなわち、ピログルタミン酸を出発物質として、エステル化、チオキソ化、アミジン化してアミノピロリンを得、次いでこれをマロン酸誘導体と反応させて二環式ピリミジン環を形成させ、次いで加水分解後、DPPA(Diphenylphosphoryl azide)と反応させてCurtius転位させる方法が記載されている。
また、上記文献には、式(a)で表される二環式ピリミジン化合物の製造方法として、下記反応スキームに示される方法が記載されている(国際公開00/248116号パンフレット実施例1、及び国際公開04/002406号パンフレットScheme10)。すなわち、ピログルタミン酸を出発物質として、エステル化、チオキソ化、アミジン化してアミノピロリンを得、次いでこれをマロン酸誘導体と反応させて二環式ピリミジン環を形成させ、次いで加水分解後、DPPA(Diphenylphosphoryl azide)と反応させてCurtius転位させる方法が記載されている。
しかしながら、前述した製造方法においてはCurtius転位が必須であるため、以下の問題が生ずる。すなわち、転位反応の際にDPPAという高価な試薬を必要とするため製造コストが高くなり、また安全性にも課題がある。したがって、上記式(a)で表される二環式ピリミジン化合物と同様の構造を有する化合物を工業的に有利に製造可能な製法の開発が望まれている。
本発明はこのような実情に鑑みなされたものであり、その解決しようとする課題は二環式ピリミジン化合物の工業的に有利な製造方法及び医薬化合物の中間体として有用な新規二環式ピリミジン化合物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、出発物質として、ピロリン化合物と、オキサゾリノン化合物又はグリシン誘導体とを用いることで二環式ピリミジン化合物を工業的に有利に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有する。
[1]下記一般式(2)で表されるピロリン化合物又はその塩と、下記一般式(3)で表されるオキサゾリノン化合物又は下記一般式(4)で表されるグリシン誘導体とを反応させることを特徴とする、下記一般式(1)で表される二環式ピリミジン化合物又はその塩の製造方法。
上記式中、Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示し、R1は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいアラルキル基を示し、R2は水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアルカリ金属を示し、R3は置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアラルキル基を示し、*は不斉炭素を示し、波線はシス体、トランス体又はそれらの混合物であることを示す。
[2]Rが、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基である、上記[1]記載の製造方法。
[3]R1が、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基又は置換されていてもよい炭素数7〜12のアラルキル基である、上記[1]又は[2]記載の製造方法。
[4]R2が、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はアルカリ金属である、上記[1]〜[3]のいずれか一に記載の製造方法。
[5]R3が、メチル基又はエチル基である、上記[1]〜[4]のいずれか一に記載の製造方法。
[6]下記式(2)で表されるピロリン化合物又はその塩と、下記一般式(5)で表されるグリシン誘導体とを反応させることを特徴とする、下記式(6)で表される二環式ピリミジン化合物又はその塩の製造方法。
上記式中、Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示し、R11は置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいアラルキル基を示し、R2は水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアルカリ金属を示し、R 3は置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアラルキル基を示し、*は不斉炭素を示し、波線はシス体、トランス体又はそれらの混合物であることを示す。
[7]Rが、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基である、上記[6]記載の製造方法。
[8]R11が、置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基又は置換されていてもよい炭素数7〜12のアラルキル基である、上記[6]又は[7]記載の製造方法。
[9]R2が、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はアルカリ金属である、上記[6]〜[8]のいずれか一に記載の製造方法。
[10]R3が、メチル基又はエチル基である、上記[6]〜[9]のいずれか一に記載の製造方法。
[11]下記一般式(1)で表される二環式ピリミジン化合物又はその塩。
上記式中、Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示し、R1は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいアラルキル基を示し、*は不斉炭素を示す。
[12]Rが、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基である、上記[11]記載の二環式ピリミジン化合物又はその塩。
[13]R1が、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基又は置換されていてもよい炭素数7〜12のアラルキル基である、上記[11]又は[12]記載の二環式ピリミジン化合物又はその塩。
[14]S体である、上記[11]〜[13]のいずれか一に記載の二環式ピリミジン化合物又はその塩。
本発明によれば、高価な試薬や特殊な製造装置を使用することなく、種々の置換基を有する二環式ピリミジン化合物を工業的に有利に製造することができる。特に、本発明の製造方法は従来の技術的障害を克服した点において大きな意義を有する。すなわち、従来のCurtius転位を用いる製造方法においてはカルボキシル基の保護基がtert−ブチル等の嵩高い置換基である二環式ピリミジン化合物しか得られなかったのに対し、本願発明の製造方法によれば該置換基の大きさに制限されることなく所望の置換基を有する二環式ピリミジン化合物を製造することができる。これにより、中間体の種類が豊富になるため、医薬化合物を種々の方法で製造することができる。また、本発明によれば、前述した式(a)で表される化合物と同様に医薬化合物の中間体として有用な二環式ピリミジン化合物が提供される。
本発明はこのような実情に鑑みなされたものであり、その解決しようとする課題は二環式ピリミジン化合物の工業的に有利な製造方法及び医薬化合物の中間体として有用な新規二環式ピリミジン化合物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、出発物質として、ピロリン化合物と、オキサゾリノン化合物又はグリシン誘導体とを用いることで二環式ピリミジン化合物を工業的に有利に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有する。
[1]下記一般式(2)で表されるピロリン化合物又はその塩と、下記一般式(3)で表されるオキサゾリノン化合物又は下記一般式(4)で表されるグリシン誘導体とを反応させることを特徴とする、下記一般式(1)で表される二環式ピリミジン化合物又はその塩の製造方法。
上記式中、Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示し、R1は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいアラルキル基を示し、R2は水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアルカリ金属を示し、R3は置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアラルキル基を示し、*は不斉炭素を示し、波線はシス体、トランス体又はそれらの混合物であることを示す。
[2]Rが、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基である、上記[1]記載の製造方法。
[3]R1が、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基又は置換されていてもよい炭素数7〜12のアラルキル基である、上記[1]又は[2]記載の製造方法。
[4]R2が、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はアルカリ金属である、上記[1]〜[3]のいずれか一に記載の製造方法。
[5]R3が、メチル基又はエチル基である、上記[1]〜[4]のいずれか一に記載の製造方法。
[6]下記式(2)で表されるピロリン化合物又はその塩と、下記一般式(5)で表されるグリシン誘導体とを反応させることを特徴とする、下記式(6)で表される二環式ピリミジン化合物又はその塩の製造方法。
上記式中、Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示し、R11は置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいアラルキル基を示し、R2は水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアルカリ金属を示し、R 3は置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアラルキル基を示し、*は不斉炭素を示し、波線はシス体、トランス体又はそれらの混合物であることを示す。
[7]Rが、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基である、上記[6]記載の製造方法。
[8]R11が、置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基又は置換されていてもよい炭素数7〜12のアラルキル基である、上記[6]又は[7]記載の製造方法。
[9]R2が、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はアルカリ金属である、上記[6]〜[8]のいずれか一に記載の製造方法。
[10]R3が、メチル基又はエチル基である、上記[6]〜[9]のいずれか一に記載の製造方法。
[11]下記一般式(1)で表される二環式ピリミジン化合物又はその塩。
上記式中、Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示し、R1は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいアラルキル基を示し、*は不斉炭素を示す。
[12]Rが、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基である、上記[11]記載の二環式ピリミジン化合物又はその塩。
[13]R1が、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基又は置換されていてもよい炭素数7〜12のアラルキル基である、上記[11]又は[12]記載の二環式ピリミジン化合物又はその塩。
[14]S体である、上記[11]〜[13]のいずれか一に記載の二環式ピリミジン化合物又はその塩。
本発明によれば、高価な試薬や特殊な製造装置を使用することなく、種々の置換基を有する二環式ピリミジン化合物を工業的に有利に製造することができる。特に、本発明の製造方法は従来の技術的障害を克服した点において大きな意義を有する。すなわち、従来のCurtius転位を用いる製造方法においてはカルボキシル基の保護基がtert−ブチル等の嵩高い置換基である二環式ピリミジン化合物しか得られなかったのに対し、本願発明の製造方法によれば該置換基の大きさに制限されることなく所望の置換基を有する二環式ピリミジン化合物を製造することができる。これにより、中間体の種類が豊富になるため、医薬化合物を種々の方法で製造することができる。また、本発明によれば、前述した式(a)で表される化合物と同様に医薬化合物の中間体として有用な二環式ピリミジン化合物が提供される。
以下、本発明に係る二環式ピリミジン化合物及びその製造方法について、その好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本明細書において使用する各式中の記号の定義を説明する。
R又はR2におけるアルキル基とは、炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜7、更に好ましくは1〜4である、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基をいう。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられ、中でもメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が好ましい。また、R1又はR11における置換されていてもよいアルキル基とは、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ基)等から選ばれる1又はそれ以上の置換基で置換されていてもよい上記アルキル基をいい、例えば、トリフルオロメチル基が挙げられる。
R1又はR11における置換されていてもよいアリール基のアリール基とは、炭素数が好ましくは6〜14、より好ましくは6〜8のアリール基をいう。具体的には、フェニル基、フルオレニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられ、中でもフェニル基、トリル基が好ましい。また、R 1又はR11における置換されていてもよいアリール基とは、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、ニトロ基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ基)、トリフルオロメチル基等から選ばれる1又はそれ以上の置換基で置換されていてもよい上記アリール基をいい、例えば、o−、m−又はp−クロロフェニル基、o−、m−又はp−ニトロフェニル基、o−、m−又はp−メトキシフェニル基、o−、m−又はp−トリフルオロメチルフェニル基が挙げられ、p−クロロフェニル基が好ましい。
R又はR2におけるアラルキル基とは、アルキル基にアリール基が結合した1価の基をいい、該アルキル基の炭素数は好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3である。アラルキル基の合計炭素数は、好ましくは7〜12、より好ましくは7〜9である。具体的には、ベンジル基、2−フェニルエチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、フルオレニルメチル基等が挙げられ、中でもベンジル基が好ましい。また、R1又はR11における置換されていてもよいアラルキル基とは、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ基)、トリフルオロメチル基等から選ばれる1又はそれ以上の置換基で置換されていてもよい上記アラルキル基をいい、例えば、芳香環の3位及び/又は4位が塩素原子で置換されたベンジル基が挙げられる。
R2におけるアルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムが挙げられ、ナトリウム、カリウムが好ましい。
R3における置換されていてもよいアルキル基としては、R1又はR11における置換されていてもよいアルキル基と同様の基をいい、例えば、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、中でもメチル基、エチル基が好ましい。R3における置換されていてもよいアラルキル基としては、R1又はR11における置換されていてもよいアラルキル基と同様の基をいい、例えば、ベンジル基が挙げられる。R3としては、特にメチル基又はエチル基が好ましい。
また、本発明に係る二環式ピリミジン化合物においては、Rが水素原子である場合、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩にすることができる。無機塩基との塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。有機塩基との塩としては、例えば、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン等との塩が挙げられる。
次に、本発明に係る二環式ピリミジン化合物の製造方法について説明する。
一般式(1)で表される二環式ピリミジン化合物又はその塩(以下、単に「二環式ピリミジン化合物(1)」という)の製造方法は、下記一般式(2)で表されるピロリン化合物又はその塩(以下、単に「ピロリン化合物(2)」という。)と、下記一般式(3)で表されるオキサゾリノン化合物(以下、「オキサゾリノン化合物(3)」という。)とを反応させることを特徴とするものである。以下、反応スキームを示す。
[式中、各記号は上記と同義を示す。]
ピロリン化合物(2)は、安定な塩の形態で単離できるため、そのまま塩の形態でも、フリー体としても使用することができる。ピロリン化合物(2)の塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、トリフルオロ酢酸塩等の酸付加塩が挙げられる。ピロリン化合物(2)の酸付加塩を使用する場合には、溶媒中で塩基を用いて中和し、一旦フリー体に変換した後に、オキサゾリノン化合物(3)と反応させてもよい。また、反応前に一旦フリー体とせず、例えば溶媒中にピロリン化合物(2)の塩及びオキサゾリノン化合物(3)を溶解し、塩基を添加して反応させてもよい。
中和に用いる塩基としては、特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等が挙げられ、中でも炭酸ナトリウムが好ましい。塩基の使用量は、ピロリン化合物(2)の塩をフリー体に変換できる量であれば特に限定はないが、経済上の観点からピロリン化合物(2)に対して2当量以下とするのが好ましい。
さらに、ピロリン化合物(2)としては、R体、S体又はこれらの混合物のいずれをも使用できるが、S体を使用すると、C型肝炎ウイルス阻害剤等の合成中間体として有用な二環式ピリミジン化合物(1)のS体を得ることができる。なお、ピロリン化合物(2)は、ピログルタミン酸を出発物質として前述の国際公開04/002406号パンフレットの記載に準じて製造することができる。
オキサゾリノン化合物(3)としては、R1及びR2で示される置換基を有する化合物であれば特に限定なく使用することができるが、反応性の観点からR2が水素原子、ナトリウム又はエチル基である化合物が好適である。また、オキサゾリノン化合物(3)にはシス体又はトランス体が存在するが、シス体、トランス体又はそれらの混合物のいずれの形態であってもよい。なお、オキサゾリノン化合物(3)は、例えば、馬尿酸を出発物質としてErlenmeyer法により製造することができる。
上記反応で用いる溶媒としては、本反応を阻害しない溶媒であればいずれでもよく、例えば、酢酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル)、炭化水素類(例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン)、アルコール類(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール)、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられ、中でもアセトニトリル等のニトリル類が好ましい。これらは単独又は2種以上を混合して使用してもよい。溶媒の使用量は、ピロリン化合物(2)に対して、通常2〜50倍重量であり、好ましくは5〜20倍重量である。
オキサゾリノン化合物(3)の使用量は、ピロリン化合物(2)に対して、通常0.7〜3当量、好ましくは0.8〜1.3当量である。また、ピロリン化合物(2)とオキサゾリノン化合物(3)との反応は、通常0℃から使用する溶媒の還流温度の範囲内(好ましくは60〜130℃)で行う。当該反応は、上記温度範囲内で、通常2〜30時間(好ましくは5〜20時間)で終了する。
二環式ピリミジン化合物(1)の単離精製は常法で行うことができる。例えば、反応終了後、溶媒を溜去し、残留物に酢酸エチルと酸性水溶液(例えば、塩酸、硫酸)を加えて洗浄する。次いで、分液して得られた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことにより、二環式ピリミジン化合物(1)を単離することができる。また、無機塩が析出した場合には、反応終了後、反応液をろ過し、ろ液を濃縮して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことにより、二環式ピリミジン化合物(1)を単離することができる。なお、二環式ピリミジン化合物(1)のエステルを単離後、例えば、酸性条件下で加水分解することにより該化合物(1)のカルボン酸を得ることができる。
なお、不純物として生成する位置異性体は、晶析、濾去、洗浄等によって淘汰することができる。晶析溶媒としては、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、アセトン、アセトニトリル、炭化水素類(例えば、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、水又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
また、二環式ピリミジン化合物(1)は、ピロリン化合物(2)と、下記式(4)で表されるグリシン誘導体(以下、「グリシン誘導体(4)」という。)とを反応させても製造することができる。以下、反応スキームを示す。
[式中、各記号は上記と同義を示す。]
上記反応は、溶媒中で行い、具体的には、ピロリン化合物(2)及びグリシン誘導体(4)に溶媒を加え、加熱撹拌する。なお、ピロリン化合物(2)及びグリシン誘導体(4)の添加順序は特に限定されるものではない。
ピロリン化合物(2)が酸付加塩の形態である場合、グリシン誘導体(4)はアルカリ金属塩の形態であることが望ましい。これにより、ピロリン化合物(2)の酸付加塩を中和することなく、反応させることができる。ピロリン化合物(2)の酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、トリフルオロ酢酸塩等を使用することができる。ピロリン化合物(2)はS体が好ましく、またそのエステルが好適に使用される。なお、グリシン誘導体(4)は、例えば欧州特許第88395号明細書に記載の方法にしたがって製造することができる。ピロリン化合物(2)の使用量は、グリシン誘導体(4)に対して、通常0.7〜3.0当量、好ましくは0.8〜1.3当量である。反応温度は、通常10℃から使用する溶媒の還流温度の範囲内(好ましくは20〜80℃)で行う。当該反応は、上記温度範囲内で、通常1〜24時間(好ましくは2〜8時間)で終了する。
上記反応で使用する溶媒としては、本反応を阻害しない溶媒であればいずれでもよく、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、酢酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン)、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられ、中でもアセトニトリル等のニトリル類が好ましい。これらは単独又は2種以上を混合して使用してもよい。溶媒の使用量は、ピロリン化合物(2)に対して、通常3〜50倍重量であり、好ましくは5〜20倍重量である。
二環式ピリミジン化合物(1)の単離精製は常法で行うことができる。例えば、反応終了後、溶媒を溜去し、残留物に酢酸エチルと酸性水溶液(例えば、塩酸、硫酸)を加えて洗浄する。次いで、分液して得られた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことにより、二環式ピリミジン化合物(1)を単離することができる。また、前述と同様に不純物を除去すべく、必要に応じて晶析に付すことができる。晶析溶媒としては、前述と同様の溶媒を使用することができる。さらに、前述と同様に二環式ピリミジン化合物(1)のエステルを単離後、例えば、酸性条件下で加水分解することにより該化合物(1)のカルボン酸を得ることができる。
次に、下記式(6)で表される二環式ピリミジン化合物又はその塩(以下、単に「二環式ピリミジン化合物(6)」という。)の製造方法について説明する。二環式ピリミジン化合物(6)の製造方法は、ピロリン化合物(2)と、下記一般式(5)で表されるグリシン誘導体(以下、「グリシン誘導体(5)」という。)とを反応させることを特徴とするものである。以下、反応スキームを示す。
[式中、各記号は上記と同義を示す。]
上記反応は、前述の二環式ピリミジン化合物(1)の製造方法と同様の方法により行うことができ、また単離精製も同様の方法で行うことができる。R11OCO−で表される基としては、tert−ブチルオキシカルボニル基(Boc基)、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)、メトキシカルボニル基(Moc基)又は9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)が好適に使用される。なお、グリシン誘導体(5)は、先ず式(I)で表されるグリシン化合物を、tert−ブトキシビスジメチルアミノメタン、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール又はジメチルホルムアミドジエチルアセタールと反応させて式(II)で表されるジアルキルアミノメチレン化合物を得、次いでこれを酸で処理した後、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属化合物と反応させ、必要により、アルキル化又はアラルキル化することにより製造することができる。
なお、上記式中、X1及びX2はそれぞれ独立にメチル基又はエチル基を示し、その他の記号は上記と同義を示す。
本発明の製造方法によれば、種々の置換基を有する二環式ピリミジン化合物を工業的に有利に製造することができる。また、本発明の二環式ピリミジン化合物(1)は、前述した式(a)で表される化合物と同様に医薬化合物の合成中間体として使用可能である。
先ず、本明細書において使用する各式中の記号の定義を説明する。
R又はR2におけるアルキル基とは、炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜7、更に好ましくは1〜4である、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基をいう。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられ、中でもメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が好ましい。また、R1又はR11における置換されていてもよいアルキル基とは、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ基)等から選ばれる1又はそれ以上の置換基で置換されていてもよい上記アルキル基をいい、例えば、トリフルオロメチル基が挙げられる。
R1又はR11における置換されていてもよいアリール基のアリール基とは、炭素数が好ましくは6〜14、より好ましくは6〜8のアリール基をいう。具体的には、フェニル基、フルオレニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられ、中でもフェニル基、トリル基が好ましい。また、R 1又はR11における置換されていてもよいアリール基とは、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、ニトロ基、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ基)、トリフルオロメチル基等から選ばれる1又はそれ以上の置換基で置換されていてもよい上記アリール基をいい、例えば、o−、m−又はp−クロロフェニル基、o−、m−又はp−ニトロフェニル基、o−、m−又はp−メトキシフェニル基、o−、m−又はp−トリフルオロメチルフェニル基が挙げられ、p−クロロフェニル基が好ましい。
R又はR2におけるアラルキル基とは、アルキル基にアリール基が結合した1価の基をいい、該アルキル基の炭素数は好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3である。アラルキル基の合計炭素数は、好ましくは7〜12、より好ましくは7〜9である。具体的には、ベンジル基、2−フェニルエチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、フルオレニルメチル基等が挙げられ、中でもベンジル基が好ましい。また、R1又はR11における置換されていてもよいアラルキル基とは、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基(例えば、メトキシ基)、トリフルオロメチル基等から選ばれる1又はそれ以上の置換基で置換されていてもよい上記アラルキル基をいい、例えば、芳香環の3位及び/又は4位が塩素原子で置換されたベンジル基が挙げられる。
R2におけるアルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムが挙げられ、ナトリウム、カリウムが好ましい。
R3における置換されていてもよいアルキル基としては、R1又はR11における置換されていてもよいアルキル基と同様の基をいい、例えば、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、中でもメチル基、エチル基が好ましい。R3における置換されていてもよいアラルキル基としては、R1又はR11における置換されていてもよいアラルキル基と同様の基をいい、例えば、ベンジル基が挙げられる。R3としては、特にメチル基又はエチル基が好ましい。
また、本発明に係る二環式ピリミジン化合物においては、Rが水素原子である場合、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩にすることができる。無機塩基との塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。有機塩基との塩としては、例えば、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン等との塩が挙げられる。
次に、本発明に係る二環式ピリミジン化合物の製造方法について説明する。
一般式(1)で表される二環式ピリミジン化合物又はその塩(以下、単に「二環式ピリミジン化合物(1)」という)の製造方法は、下記一般式(2)で表されるピロリン化合物又はその塩(以下、単に「ピロリン化合物(2)」という。)と、下記一般式(3)で表されるオキサゾリノン化合物(以下、「オキサゾリノン化合物(3)」という。)とを反応させることを特徴とするものである。以下、反応スキームを示す。
[式中、各記号は上記と同義を示す。]
ピロリン化合物(2)は、安定な塩の形態で単離できるため、そのまま塩の形態でも、フリー体としても使用することができる。ピロリン化合物(2)の塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、トリフルオロ酢酸塩等の酸付加塩が挙げられる。ピロリン化合物(2)の酸付加塩を使用する場合には、溶媒中で塩基を用いて中和し、一旦フリー体に変換した後に、オキサゾリノン化合物(3)と反応させてもよい。また、反応前に一旦フリー体とせず、例えば溶媒中にピロリン化合物(2)の塩及びオキサゾリノン化合物(3)を溶解し、塩基を添加して反応させてもよい。
中和に用いる塩基としては、特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等が挙げられ、中でも炭酸ナトリウムが好ましい。塩基の使用量は、ピロリン化合物(2)の塩をフリー体に変換できる量であれば特に限定はないが、経済上の観点からピロリン化合物(2)に対して2当量以下とするのが好ましい。
さらに、ピロリン化合物(2)としては、R体、S体又はこれらの混合物のいずれをも使用できるが、S体を使用すると、C型肝炎ウイルス阻害剤等の合成中間体として有用な二環式ピリミジン化合物(1)のS体を得ることができる。なお、ピロリン化合物(2)は、ピログルタミン酸を出発物質として前述の国際公開04/002406号パンフレットの記載に準じて製造することができる。
オキサゾリノン化合物(3)としては、R1及びR2で示される置換基を有する化合物であれば特に限定なく使用することができるが、反応性の観点からR2が水素原子、ナトリウム又はエチル基である化合物が好適である。また、オキサゾリノン化合物(3)にはシス体又はトランス体が存在するが、シス体、トランス体又はそれらの混合物のいずれの形態であってもよい。なお、オキサゾリノン化合物(3)は、例えば、馬尿酸を出発物質としてErlenmeyer法により製造することができる。
上記反応で用いる溶媒としては、本反応を阻害しない溶媒であればいずれでもよく、例えば、酢酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル)、炭化水素類(例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン)、アルコール類(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール)、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられ、中でもアセトニトリル等のニトリル類が好ましい。これらは単独又は2種以上を混合して使用してもよい。溶媒の使用量は、ピロリン化合物(2)に対して、通常2〜50倍重量であり、好ましくは5〜20倍重量である。
オキサゾリノン化合物(3)の使用量は、ピロリン化合物(2)に対して、通常0.7〜3当量、好ましくは0.8〜1.3当量である。また、ピロリン化合物(2)とオキサゾリノン化合物(3)との反応は、通常0℃から使用する溶媒の還流温度の範囲内(好ましくは60〜130℃)で行う。当該反応は、上記温度範囲内で、通常2〜30時間(好ましくは5〜20時間)で終了する。
二環式ピリミジン化合物(1)の単離精製は常法で行うことができる。例えば、反応終了後、溶媒を溜去し、残留物に酢酸エチルと酸性水溶液(例えば、塩酸、硫酸)を加えて洗浄する。次いで、分液して得られた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことにより、二環式ピリミジン化合物(1)を単離することができる。また、無機塩が析出した場合には、反応終了後、反応液をろ過し、ろ液を濃縮して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことにより、二環式ピリミジン化合物(1)を単離することができる。なお、二環式ピリミジン化合物(1)のエステルを単離後、例えば、酸性条件下で加水分解することにより該化合物(1)のカルボン酸を得ることができる。
なお、不純物として生成する位置異性体は、晶析、濾去、洗浄等によって淘汰することができる。晶析溶媒としては、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、アセトン、アセトニトリル、炭化水素類(例えば、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、水又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
また、二環式ピリミジン化合物(1)は、ピロリン化合物(2)と、下記式(4)で表されるグリシン誘導体(以下、「グリシン誘導体(4)」という。)とを反応させても製造することができる。以下、反応スキームを示す。
[式中、各記号は上記と同義を示す。]
上記反応は、溶媒中で行い、具体的には、ピロリン化合物(2)及びグリシン誘導体(4)に溶媒を加え、加熱撹拌する。なお、ピロリン化合物(2)及びグリシン誘導体(4)の添加順序は特に限定されるものではない。
ピロリン化合物(2)が酸付加塩の形態である場合、グリシン誘導体(4)はアルカリ金属塩の形態であることが望ましい。これにより、ピロリン化合物(2)の酸付加塩を中和することなく、反応させることができる。ピロリン化合物(2)の酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、トリフルオロ酢酸塩等を使用することができる。ピロリン化合物(2)はS体が好ましく、またそのエステルが好適に使用される。なお、グリシン誘導体(4)は、例えば欧州特許第88395号明細書に記載の方法にしたがって製造することができる。ピロリン化合物(2)の使用量は、グリシン誘導体(4)に対して、通常0.7〜3.0当量、好ましくは0.8〜1.3当量である。反応温度は、通常10℃から使用する溶媒の還流温度の範囲内(好ましくは20〜80℃)で行う。当該反応は、上記温度範囲内で、通常1〜24時間(好ましくは2〜8時間)で終了する。
上記反応で使用する溶媒としては、本反応を阻害しない溶媒であればいずれでもよく、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、酢酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン)、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられ、中でもアセトニトリル等のニトリル類が好ましい。これらは単独又は2種以上を混合して使用してもよい。溶媒の使用量は、ピロリン化合物(2)に対して、通常3〜50倍重量であり、好ましくは5〜20倍重量である。
二環式ピリミジン化合物(1)の単離精製は常法で行うことができる。例えば、反応終了後、溶媒を溜去し、残留物に酢酸エチルと酸性水溶液(例えば、塩酸、硫酸)を加えて洗浄する。次いで、分液して得られた有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付すことにより、二環式ピリミジン化合物(1)を単離することができる。また、前述と同様に不純物を除去すべく、必要に応じて晶析に付すことができる。晶析溶媒としては、前述と同様の溶媒を使用することができる。さらに、前述と同様に二環式ピリミジン化合物(1)のエステルを単離後、例えば、酸性条件下で加水分解することにより該化合物(1)のカルボン酸を得ることができる。
次に、下記式(6)で表される二環式ピリミジン化合物又はその塩(以下、単に「二環式ピリミジン化合物(6)」という。)の製造方法について説明する。二環式ピリミジン化合物(6)の製造方法は、ピロリン化合物(2)と、下記一般式(5)で表されるグリシン誘導体(以下、「グリシン誘導体(5)」という。)とを反応させることを特徴とするものである。以下、反応スキームを示す。
[式中、各記号は上記と同義を示す。]
上記反応は、前述の二環式ピリミジン化合物(1)の製造方法と同様の方法により行うことができ、また単離精製も同様の方法で行うことができる。R11OCO−で表される基としては、tert−ブチルオキシカルボニル基(Boc基)、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz基)、メトキシカルボニル基(Moc基)又は9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)が好適に使用される。なお、グリシン誘導体(5)は、先ず式(I)で表されるグリシン化合物を、tert−ブトキシビスジメチルアミノメタン、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール又はジメチルホルムアミドジエチルアセタールと反応させて式(II)で表されるジアルキルアミノメチレン化合物を得、次いでこれを酸で処理した後、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属化合物と反応させ、必要により、アルキル化又はアラルキル化することにより製造することができる。
なお、上記式中、X1及びX2はそれぞれ独立にメチル基又はエチル基を示し、その他の記号は上記と同義を示す。
本発明の製造方法によれば、種々の置換基を有する二環式ピリミジン化合物を工業的に有利に製造することができる。また、本発明の二環式ピリミジン化合物(1)は、前述した式(a)で表される化合物と同様に医薬化合物の合成中間体として使用可能である。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(参考例1)
(S)−5−チオキソ−2−ピロリジンカルボン酸メチル
ピログルタミン酸メチル2.50g(17.4mmol)とローソン試薬3.53g(8.7mmol)にトルエン50mlを加えて85℃で終夜撹拌した。溶媒を留去して残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物を2.70g(17.0mmol)得た。
1H−NMR(CDCl3):δ2.34−2.40(1H,m),2.54−2.60(1H,m),2.94−3.00(2H,m),3.80(3H,s),4.55(1H,dd,J=6.0,2.8),8.44(1H,brs)
(参考例2)
(S)−5−(メチルスルファニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸メチル
(S)−5−チオキソ−2−ピロリジンカルボン酸メチル2.70g(17.0mmol)をTHF56mlに溶解させ、ヨウ化メチル9.6g(67mmol)を加えて室温下4時間反応させた。反応液を濃縮し、ジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて洗浄し、水層をジクロロメタンにて3回抽出した。得られた有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去して、表題化合物2.70g(15.5mmol)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ2.18−2.24(1H,m),2.28−2.33(1H,m),2.49(3H,s),2.66−2.70(1H,m),2.76−2.80(1H,m),3.76(3H,s),4.70(1H,dd,J=7.9,6.7)
(参考例3)
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸メチル塩酸塩
(S)−5−(メチルスルファニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸メチル2.70g(15.5mmol)をメタノール54mlに溶解させ、塩化アンモニウム0.82g(15.5mmol)を加えて2時間還流させた。反応後溶媒を留去し、酢酸エチルを加えて撹拌して、析出物をろ過して減圧乾燥し、表題化合物2.45g(13.7mmol)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6):δ2.09−2.15(1H,m),2.40−47(1H,m),2.81−2.85(2H,m),3.71(3H,s),4.61(1H,dd,J=9.2,4.8),9.13(1H,brs),9.49(2H,brs)
[実施例1]
(S)−3−ベンゾイルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸tert−ブチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸tert−ブチル塩酸塩250mg(1.13mmol)と炭酸ナトリウム140mg(1.32mmol)をアセトニトリル3mlに懸濁させ、4−エトキシメチレン−2−フェニル−5−オキサゾリノン195mg(0.90mmol)を加えて80℃にて終夜撹拌した。反応後溶媒を留去し、酢酸エチルと水を加えて洗浄して溶媒を留去した。残渣をエタノールで再結晶化させ、表題化合物203mg(0.56mmol)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ1.50(9H,s),2.35−2.38(1H,m),2.59−2.65(1H,m),3.06−3.14(1H,m),3.18−3.25(1H,m),5.03(1H,dd,J=9.6,2.9),7.47−7.58(3H,m),7.90−7.92(2H,m),8.67(1H,s),9.19(1H,s)
[実施例2]
(S)−3−(p−クロロベンゾイルアミノ)−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸メチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸メチル塩酸塩320mg(1.79mmol)と炭酸ナトリウム208mg(1.97mmol)を酢酸エチル5mlに懸濁させ、4−エトキシメチレン−2−(p−クロロフェニル)−5−オキサゾリノン450mg(1.79mmol)を加えて80℃にて終夜撹拌した。反応後溶媒を留去し、酢酸エチルと1M塩酸を加えて洗浄して、溶媒を留去して残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物216mg(0.61mmol)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ2.40−2.44(1H,m),2.64−2.67(1H,m),3.10−3.17(1H,m),3.20−3.27(1H,m),3.84(3H,s),5.16(1H,dd,J=9.6,3.2),7.45−7.48(2H,m),7.83−7.86(2H,m),8.60(1H,s),9.17(1H,s)
[実施例3]
(S)−3−アセチルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸tert−ブチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸tert−ブチル塩酸塩1.0g(4.53mmol)と4−ヒドロキシメチレン−2−メチル−5−オキサゾリノンナトリウム塩714mg(4.79mmol)をアセトニトリル10mlに懸濁させて80℃にて終夜撹拌した。反応液をろ過して、ろ液から溶媒を留去して残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物563mg(1.92mmol)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ1.49(9H,s),2.19(3H,s),2.91−2.34(1H,m),2.54−2.60(1H,m),3.02−3.10(1H,m),3.15−3.23(1H,m),4.98(1H,dd,J=9.6,3.0),7.89(1H,s),8.99(1H,s)
[実施例4]
(S)−3−アセチルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸tert−ブチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸tert−ブチル塩酸塩500mg(2.27mmol)と4−ヒドロキシメチレン−2−メチル−5−オキサゾリノンナトリウム塩320mg(2.12mmol)を酢酸エチル5mlに懸濁させて80℃にて終夜撹拌した。反応液を冷却し濾過して、濾液に水を加え塩酸水溶液にて中和、分層して、飽和食塩水にて洗浄した。有機層の溶媒を留去し、ヘキサンにて洗浄し、表題化合物296mg(1.01mmol)を得た。
[実施例5]
(S)−3−(2−フェニルアセチル)アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸tert−ブチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸tert−ブチル塩酸塩511mg(2.32mmol)と4−ヒドロキシメチレン−2−ベンジル−5−オキサゾリノンナトリウム塩500mg(2.40mmol)をアセトニトリル5mlに懸濁させて80℃にて終夜撹拌した。反応液をろ過して、ろ液から溶媒を留去して残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物416mg(1.13mmol)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ1.47(9H,s),2.25−2.30(1H,m),2.52−2.58(1H,m),2.99−3.07(1H,m),3.11−3.20(1H,m),3.73(2H,s),4.94(1H,dd,J=9.6,2.7),7.31−7.39(5H,m),7.93(1H,s),8.99(1H,s)[実施例6]
(S)−3−アセチルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸メチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸メチル塩酸塩200mg(1.12mmol)と炭酸ナトリウム142mg(1.34mmol)をアセトニトリル3mlに懸濁させ、4−エトキシメチレン−2−メチル−5−オキサゾリノン156mg(1.01mmol)を加えて80℃にて終夜撹拌した。反応後溶媒を留去し、酢酸エチルを加えて抽出してシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物108mg(0.43mmol)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ2.20(3H,s),2.34−2.39(1H,m),2.59−2.64(1H,m),3.10−3.23(2H,m),3.82(3H,s),4.94(1H,dd,J=9.6,3.2),7.95(1H,s),9.00(1H,s)
[実施例7]
(S)−3−アセチルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸メチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸メチル塩酸塩600mg(3.35mmol)と4−エトキシメチレン−2−メチル−5−オキサゾリノン500mg(3.35mmol)にアセトニトリル6mlを加えて80℃にて終夜撹拌した。反応後溶媒を留去し、酢酸エチルと水を加えて塩酸水溶液にてpH4に調整して洗浄した。有機層の溶媒を留去し、表題化合物171mg(0.68mmol)を得た。
[実施例8]
(S)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸tert−ブチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸tert−ブチル塩酸塩153mg(0.69mmol)とメチル 2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシメチレングリシネートナトリウム塩200mg(0.73mmol)をアセトニトリル5mlに懸濁させて80℃にて終夜撹拌した。反応液の溶媒を留去して酢酸エチルを加え1M塩酸水溶液、飽和食塩水にて順次洗浄して、溶媒留去し残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物55mg(0.15mmol)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ1.49(9H,s),2.61−2.32(1H,m),2.52−2.58(1H,m),3.00−3.08(1H,m),3.12−3.21(1H,m),4.97(1H,dd,J=9.6,2.9),5.20(2H,s),7.33−7.39(6H,m),8.67(1H,s)
[実施例9]
(S)−3−アセチルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸
(S)−3−アセチルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸tert−ブチル100mg(0.34mmol)をクロロホルム2mlに溶解させ、トリフルオロ酢酸0.5mlを加え室温下にて5時間撹拌した。反応後、溶媒を留去し、クロロホルム5mlを加えて再度、溶媒を留去し、表題化合物76mg(0.32mmol)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6):δ2.10(3H,s),2.21−2.29(1H,m),2.56−2.62(1H,m),3.02−3.09(2H,m),5.02(1H,m),8.68(1H,s),9.44(1H,s)
(参考例1)
(S)−5−チオキソ−2−ピロリジンカルボン酸メチル
ピログルタミン酸メチル2.50g(17.4mmol)とローソン試薬3.53g(8.7mmol)にトルエン50mlを加えて85℃で終夜撹拌した。溶媒を留去して残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物を2.70g(17.0mmol)得た。
1H−NMR(CDCl3):δ2.34−2.40(1H,m),2.54−2.60(1H,m),2.94−3.00(2H,m),3.80(3H,s),4.55(1H,dd,J=6.0,2.8),8.44(1H,brs)
(参考例2)
(S)−5−(メチルスルファニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸メチル
(S)−5−チオキソ−2−ピロリジンカルボン酸メチル2.70g(17.0mmol)をTHF56mlに溶解させ、ヨウ化メチル9.6g(67mmol)を加えて室温下4時間反応させた。反応液を濃縮し、ジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて洗浄し、水層をジクロロメタンにて3回抽出した。得られた有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去して、表題化合物2.70g(15.5mmol)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ2.18−2.24(1H,m),2.28−2.33(1H,m),2.49(3H,s),2.66−2.70(1H,m),2.76−2.80(1H,m),3.76(3H,s),4.70(1H,dd,J=7.9,6.7)
(参考例3)
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸メチル塩酸塩
(S)−5−(メチルスルファニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸メチル2.70g(15.5mmol)をメタノール54mlに溶解させ、塩化アンモニウム0.82g(15.5mmol)を加えて2時間還流させた。反応後溶媒を留去し、酢酸エチルを加えて撹拌して、析出物をろ過して減圧乾燥し、表題化合物2.45g(13.7mmol)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6):δ2.09−2.15(1H,m),2.40−47(1H,m),2.81−2.85(2H,m),3.71(3H,s),4.61(1H,dd,J=9.2,4.8),9.13(1H,brs),9.49(2H,brs)
[実施例1]
(S)−3−ベンゾイルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸tert−ブチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸tert−ブチル塩酸塩250mg(1.13mmol)と炭酸ナトリウム140mg(1.32mmol)をアセトニトリル3mlに懸濁させ、4−エトキシメチレン−2−フェニル−5−オキサゾリノン195mg(0.90mmol)を加えて80℃にて終夜撹拌した。反応後溶媒を留去し、酢酸エチルと水を加えて洗浄して溶媒を留去した。残渣をエタノールで再結晶化させ、表題化合物203mg(0.56mmol)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ1.50(9H,s),2.35−2.38(1H,m),2.59−2.65(1H,m),3.06−3.14(1H,m),3.18−3.25(1H,m),5.03(1H,dd,J=9.6,2.9),7.47−7.58(3H,m),7.90−7.92(2H,m),8.67(1H,s),9.19(1H,s)
[実施例2]
(S)−3−(p−クロロベンゾイルアミノ)−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸メチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸メチル塩酸塩320mg(1.79mmol)と炭酸ナトリウム208mg(1.97mmol)を酢酸エチル5mlに懸濁させ、4−エトキシメチレン−2−(p−クロロフェニル)−5−オキサゾリノン450mg(1.79mmol)を加えて80℃にて終夜撹拌した。反応後溶媒を留去し、酢酸エチルと1M塩酸を加えて洗浄して、溶媒を留去して残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物216mg(0.61mmol)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ2.40−2.44(1H,m),2.64−2.67(1H,m),3.10−3.17(1H,m),3.20−3.27(1H,m),3.84(3H,s),5.16(1H,dd,J=9.6,3.2),7.45−7.48(2H,m),7.83−7.86(2H,m),8.60(1H,s),9.17(1H,s)
[実施例3]
(S)−3−アセチルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸tert−ブチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸tert−ブチル塩酸塩1.0g(4.53mmol)と4−ヒドロキシメチレン−2−メチル−5−オキサゾリノンナトリウム塩714mg(4.79mmol)をアセトニトリル10mlに懸濁させて80℃にて終夜撹拌した。反応液をろ過して、ろ液から溶媒を留去して残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物563mg(1.92mmol)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ1.49(9H,s),2.19(3H,s),2.91−2.34(1H,m),2.54−2.60(1H,m),3.02−3.10(1H,m),3.15−3.23(1H,m),4.98(1H,dd,J=9.6,3.0),7.89(1H,s),8.99(1H,s)
[実施例4]
(S)−3−アセチルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸tert−ブチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸tert−ブチル塩酸塩500mg(2.27mmol)と4−ヒドロキシメチレン−2−メチル−5−オキサゾリノンナトリウム塩320mg(2.12mmol)を酢酸エチル5mlに懸濁させて80℃にて終夜撹拌した。反応液を冷却し濾過して、濾液に水を加え塩酸水溶液にて中和、分層して、飽和食塩水にて洗浄した。有機層の溶媒を留去し、ヘキサンにて洗浄し、表題化合物296mg(1.01mmol)を得た。
[実施例5]
(S)−3−(2−フェニルアセチル)アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸tert−ブチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸tert−ブチル塩酸塩511mg(2.32mmol)と4−ヒドロキシメチレン−2−ベンジル−5−オキサゾリノンナトリウム塩500mg(2.40mmol)をアセトニトリル5mlに懸濁させて80℃にて終夜撹拌した。反応液をろ過して、ろ液から溶媒を留去して残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物416mg(1.13mmol)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ1.47(9H,s),2.25−2.30(1H,m),2.52−2.58(1H,m),2.99−3.07(1H,m),3.11−3.20(1H,m),3.73(2H,s),4.94(1H,dd,J=9.6,2.7),7.31−7.39(5H,m),7.93(1H,s),8.99(1H,s)[実施例6]
(S)−3−アセチルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸メチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸メチル塩酸塩200mg(1.12mmol)と炭酸ナトリウム142mg(1.34mmol)をアセトニトリル3mlに懸濁させ、4−エトキシメチレン−2−メチル−5−オキサゾリノン156mg(1.01mmol)を加えて80℃にて終夜撹拌した。反応後溶媒を留去し、酢酸エチルを加えて抽出してシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物108mg(0.43mmol)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ2.20(3H,s),2.34−2.39(1H,m),2.59−2.64(1H,m),3.10−3.23(2H,m),3.82(3H,s),4.94(1H,dd,J=9.6,3.2),7.95(1H,s),9.00(1H,s)
[実施例7]
(S)−3−アセチルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸メチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸メチル塩酸塩600mg(3.35mmol)と4−エトキシメチレン−2−メチル−5−オキサゾリノン500mg(3.35mmol)にアセトニトリル6mlを加えて80℃にて終夜撹拌した。反応後溶媒を留去し、酢酸エチルと水を加えて塩酸水溶液にてpH4に調整して洗浄した。有機層の溶媒を留去し、表題化合物171mg(0.68mmol)を得た。
[実施例8]
(S)−3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸tert−ブチル
(S)−5−アミノ−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−2−カルボン酸tert−ブチル塩酸塩153mg(0.69mmol)とメチル 2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシメチレングリシネートナトリウム塩200mg(0.73mmol)をアセトニトリル5mlに懸濁させて80℃にて終夜撹拌した。反応液の溶媒を留去して酢酸エチルを加え1M塩酸水溶液、飽和食塩水にて順次洗浄して、溶媒留去し残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物55mg(0.15mmol)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ1.49(9H,s),2.61−2.32(1H,m),2.52−2.58(1H,m),3.00−3.08(1H,m),3.12−3.21(1H,m),4.97(1H,dd,J=9.6,2.9),5.20(2H,s),7.33−7.39(6H,m),8.67(1H,s)
[実施例9]
(S)−3−アセチルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸
(S)−3−アセチルアミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピリミジン−6−カルボン酸tert−ブチル100mg(0.34mmol)をクロロホルム2mlに溶解させ、トリフルオロ酢酸0.5mlを加え室温下にて5時間撹拌した。反応後、溶媒を留去し、クロロホルム5mlを加えて再度、溶媒を留去し、表題化合物76mg(0.32mmol)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6):δ2.10(3H,s),2.21−2.29(1H,m),2.56−2.62(1H,m),3.02−3.09(2H,m),5.02(1H,m),8.68(1H,s),9.44(1H,s)
本発明によれば、高価な試薬や特殊な製造装置を使用することなく、医薬化合物の中間体として有用な、種々の置換基を有する二環式ピリミジン化合物を工業的に有利に製造することができる。
本出願は、日本で出願された特願2005−154466を基礎としており、それらの内容は本明細書にすべて包含されるものである。
本出願は、日本で出願された特願2005−154466を基礎としており、それらの内容は本明細書にすべて包含されるものである。
Claims (14)
- 下記一般式(2)で表されるピロリン化合物又はその塩と、下記一般式(3)で表されるオキサゾリノン化合物又は下記一般式(4)で表されるグリシン誘導体とを反応させることを特徴とする、下記一般式(1)で表される二環式ピリミジン化合物又はその塩の製造方法。
[式中、Rは水素原子、アルキル基又はアラルキル基を示し、R1は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいアラルキル基を示し、R2は水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアルカリ金属を示し、R3は置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアラルキル基を示し、*は不斉炭素を示し、波線はシス体、トランス体又はそれらの混合物であることを示す。] - Rが、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基である、請求項1記載の製造方法。
- R1が、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基又は置換されていてもよい炭素数7〜12のアラルキル基である、請求項1又は2記載の製造方法。
- R2が、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はアルカリ金属である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- R3が、メチル基又はエチル基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- Rが、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基である、請求項6記載の製造方法。
- R11が、置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基又は置換されていてもよい炭素数7〜12のアラルキル基である、請求項6又は7記載の製造方法。
- R2が、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はアルカリ金属である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
- R3が、メチル基又はエチル基である、請求項6〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
- Rが、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基である、請求項11記載の二環式ピリミジン化合物又はその塩。
- R1が、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜7のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基又は置換されていてもよい炭素数7〜12のアラルキル基である、請求項11又は12記載の二環式ピリミジン化合物又はその塩。
- S体である、請求項11〜13のいずれか一項に記載の二環式ピリミジン化合物又はその塩。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005154466 | 2005-05-26 | ||
JP2005154466 | 2005-05-26 | ||
PCT/JP2006/310952 WO2006126730A1 (ja) | 2005-05-26 | 2006-05-25 | 二環式ピリミジン化合物及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2006126730A1 true JPWO2006126730A1 (ja) | 2008-12-25 |
Family
ID=37452139
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007517937A Pending JPWO2006126730A1 (ja) | 2005-05-26 | 2006-05-25 | 二環式ピリミジン化合物及びその製造方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPWO2006126730A1 (ja) |
WO (1) | WO2006126730A1 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5716929A (en) * | 1994-06-17 | 1998-02-10 | Vertex Pharmaceuticals, Inc. | Inhibitors of interleukin-1β converting enzyme |
AU2002230763A1 (en) * | 2000-12-13 | 2008-01-03 | Bristol-Myers Squibb Pharma Company | Inhibitors of hepatitis c virus ns3 protease |
-
2006
- 2006-05-25 JP JP2007517937A patent/JPWO2006126730A1/ja active Pending
- 2006-05-25 WO PCT/JP2006/310952 patent/WO2006126730A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2006126730A1 (ja) | 2006-11-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7786304B2 (en) | Process for the preparation of eszopiclone | |
WO2011124704A1 (en) | Process for preparing an intermediate for silodosin | |
JP2009221209A (ja) | ベンゾオキサジン誘導体の製造法およびその製造中間体 | |
ES2251292A1 (es) | Procedimiento para la obtencion de un compuesto farmaceuticamente activo y de sus intermedios de sintesis. | |
KR100309871B1 (ko) | (-)피리도벤즈옥사진 카르복실산 유도체의 제조방법 | |
JP5899204B2 (ja) | キラルなβ−アミノカルボキサミド誘導体の製造方法 | |
WO2014083571A1 (en) | A process for the preparation of alcaftadine | |
JP4294121B2 (ja) | ピリドンカルボン酸誘導体の製造方法およびその中間体 | |
JPWO2006126730A1 (ja) | 二環式ピリミジン化合物及びその製造方法 | |
WO2009101634A2 (en) | A novel process for the preparation of eszopiclone | |
WO2014145507A1 (en) | A process for making a 4-amino-4-oxobutanoyl peptide cyclic analogue, an inhibitor of viral replication, and intermediates thereof | |
KR20180118054A (ko) | 의약품 합성용 중간체 화합물의 제조 방법 | |
JP2004099494A (ja) | 光学活性三環式化合物の製造方法 | |
ZA200406469B (en) | Stereoselective alkylation of chiral 2-methyl-4-protected piperazines. | |
WO2016079109A1 (en) | Process for the preparation of perhydroquinoxaline derivatives | |
KR100856133B1 (ko) | 아토르바스타틴의 개선된 제조방법 | |
JPH04270272A (ja) | アミノアルキルモルホリン誘導体の製造法 | |
KR100850558B1 (ko) | 아토르바스타틴의 효율적인 제조방법 | |
KR102152445B1 (ko) | 의약품 합성용 중간체 화합물의 제조 방법 | |
JP2007284358A (ja) | 光学活性なピペラジン化合物の製造方法 | |
EP1566381B1 (en) | Process for production of 1- 2-(benzimidazol-2-yl- thio)ethyl piperazine or salts thereof | |
US20120259116A1 (en) | Novel Process for the Preparation of Paliperidone | |
KR100755151B1 (ko) | 신규 방법 | |
JP2001002667A (ja) | 光学活性なグリシドール誘導体の精製方法 | |
KR100868160B1 (ko) | S-(-)-암로디핀 또는 이의 염의 제조방법 및 이에사용되는 중간체 |