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JPWO2006103972A1 - ポリヒドロキシアルカノエート樹脂発泡粒子 - Google Patents

ポリヒドロキシアルカノエート樹脂発泡粒子 Download PDF

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JPWO2006103972A1
JPWO2006103972A1 JP2007510401A JP2007510401A JPWO2006103972A1 JP WO2006103972 A1 JPWO2006103972 A1 JP WO2006103972A1 JP 2007510401 A JP2007510401 A JP 2007510401A JP 2007510401 A JP2007510401 A JP 2007510401A JP WO2006103972 A1 JPWO2006103972 A1 JP WO2006103972A1
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登志夫 宮川
廣瀬 文信
文信 廣瀬
千田 健一
健一 千田
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Abstract

本発明の課題は、生分解性を有し、かつ良好なポリヒドロキシアルカノエート樹脂発泡粒子、およびその成形体と該樹脂発泡粒子の製造方法を提供することである。本発明は、微生物から生産され、かつ、重量平均分子量が50000〜2000000である一般式(1):[−CHR−CH2−CO−O−](式中、RはCnH2n+1で表されるアルキル基で、n=1〜15である。)で示される繰り返し単位からなる共重合体(以下、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート):略称P3HA)を、発泡させてなる樹脂発泡粒子、該発泡粒子を用いた成形体、および該発泡体粒子の製造方法に関する。

Description

生分解性を有するポリヒドロキシアルカノエート樹脂発泡粒子、およびその成形体と該樹脂発泡粒子の製造方法に関する。
昨今廃棄プラスチックが引き起こす環境問題がクローズアップされる中で、使用後微生物の働きによって水と二酸化炭素に分解される生分解性プラスチックが注目を集めている。一般的に生分解性プラスチックは、1)ポリヒドロキシアルカノエート(本発明においては特にポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)、即ちP3HA)といった微生物生産系脂肪族ポリエステル、2)ポリ乳酸やポリカプロラクトン等の化学合成系脂肪族ポリエステル、3)澱粉や酢酸セルロース等の天然高分子物、といった3種類に大別される。化学合成系脂肪族ポリエステルの多くは嫌気性分解しないため廃棄時の分解条件に制約があり、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンは耐熱性に問題がある。また、澱粉および酢酸セルロースは非熱可塑性で脆く耐水性に劣るといった問題がある。一方、P3HAは好気性、嫌気性何れの環境下での分解性にも優れ、燃焼時には有毒ガスを発生せず、耐水性、耐水蒸気透過性に優れ、植物原料を使用した微生物に由来するプラスチックで、架橋処理などせずとも高分子量化が可能であり、地球上の二酸化炭素を増大させない、カーボンニュートラルである、といった優れた特徴を有している。特にP3HAは植物原料由来であるため、二酸化炭素の吸収、固定化効果に着目され、京都議定書にかかわる地球温暖化防止策への寄与効果が期待される。また、P3HAが共重合体の場合、構成するモノマーの組成比を制御することで、融点、耐熱性や柔軟性といった物性を変化させることが可能である。
この様にポリヒドロキシアルカノエートは、植物原料からなり、廃棄物の問題が解決され、環境適合性に優れ、幅広い物性制御が可能なため、包装材料、食器材料、建築・土木・農業・園芸材料、自動車内装材、吸着・担体・濾過材等に応用可能なポリヒドロキシアルカノエートからなる成形体が望まれている。
ところで生分解性プラスチックを使用して、すでに、シート、フィルム、繊維、射出成形品等が国内外で製品化されているが、プラスチック廃棄物の中でも包装容器、緩衝材、クッション材等に多量に用いられている発泡プラスチックは嵩高く、廃棄物を埋立もしくは焼却する際、広い敷地を要するために大きな社会問題となっており、その解決が望まれている。このため、生分解性を有するプラスチック発泡体の研究が盛んに行われており、これまで脂肪族ポリエステル系樹脂や澱粉とプラスチックの混合樹脂等の押出発泡体やバッチ式で得られる発泡粒子の検討がなされている。後者に関しては、石油由来の原料から合成して得られた生分解性の脂肪族ポリエステル樹脂を、発泡性を改良するためジイソシアナート反応させ高分子量化して得られる発泡粒子(たとえば、特開平6−248106号公報および国際公開第99/21915パンフレット参照)、架橋処理して得られる発泡粒子(たとえば、国際公開第99/21915パンフレット、特開平10−324766号公報、特開2001−49021号公報、特開2001−106821号公報、特開2001−288294号公報および特開平9−263651号公報参照)が検討されてきた。しかし、このような脂肪族ポリエステルよりなる発泡成形品は、成形時の収縮率が大きかったり、良品が得られる加工条件範囲が狭かったりと実用性に欠けていた。さらに、ジイソシアネート等の架橋剤を用いた架橋工程を有するため、生産コストが高くなり、経済的にも不利である。
一方、近年、従来検討されてきた生分解性を有する脂肪族ポリエステル系樹脂発泡粒子の中でも、植物原料由来の脂肪族ポリエステルに注目が高まっており、P3HA樹脂発泡粒子は先に述べた理由からその開発が望まれている。本発明者らはP3HA樹脂の結晶性制御により発泡粒子を作製している(たとえば、特開2000−319438号公報参照)。特開2000−319438号公報によれば、P3HAの一種であるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(以下、略称はPHBH)を使用し、耐圧容器内で水を分散媒とし、イソブタンを発泡剤として2つの融点を有する発泡粒子を得る方法が記載されている。この方法によれば、架橋工程が必要な架橋構造を導入しなくても、結晶性制御により、発泡工程のみの1工程で溶融時の張力が高いなど良質な発泡粒子を得ることができ、さらにそれを成形する事で良質な成形体を得ることができた。
またP3HA樹脂の分子量は、1千万以上と超高分子量のものが存在し(たとえば、特開平10−176070号公報参照)、架橋構造を導入しなくても、発泡に有利な高分子量化が可能である。しかし、基材樹脂の分子量の違いによっては、全く発泡しないものや発泡はするが樹脂の膜強度が弱く破泡するもの等、良好な発泡性を得るためには、最適な溶融特性を有する基材樹脂の分子量範囲を掴むことが重要である。
従来検討してきたPHBH発泡粒子およびその成形体については、成形体は得られるが(たとえば、特開2000−319438号公報参照)、最適な分子量範囲等といった種々の詳細な条件検討まではなされておらず、その為に成形後の後収縮や成形時の加工幅が狭いなどの問題があり、その改善が望まれている。
本発明の課題は、生分解性を有し、かつ良好なポリヒドロキシアルカノエート樹脂発泡粒子、およびその成形体と該樹脂発泡粒子の製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、重量平均分子量が50000〜2000000であるP3HAを基材樹脂として用いた場合に、樹脂発泡粒子からなる成形体が後収縮せずに、広い成形幅を有した条件にて、良好な成形体を得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、重量平均分子量が50000〜2000000である一般式(1):[−CHR−CH2−CO−O−] (1)
(式中、RはCn2n+1で表されるアルキル基で、n=1〜15の整数である。)
で示される繰り返し単位を含む共重合体(以下、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート):略称はP3HA)を発泡させてなる樹脂発泡粒子に関する。好ましい実施態様は、P3HAの重量平均分子量が200000〜1800000である、上記樹脂発泡粒子に関する。より好ましくは、P3HAが、n=1および3の繰り返し単位を含むポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(以下、略称はPHBH)である上記樹脂発泡粒子、さらに好ましくは、PHBHの共重合成分の組成比が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)/ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)=99/1〜80/20(モル比l)である上記樹脂発泡粒子に関する。
本発明の第二は、上記樹脂発泡粒子を金型に充填し、加熱成形してなる樹脂発泡粒子成形体に関する。
本発明の第三は、P3HAを基材樹脂とし、分散剤とともに密閉容器内で水系分散媒に分散後、発泡剤を密閉容器内に導入する工程、該基材樹脂の軟化温度以上に加熱した後、密閉容器の一端を開放し、該基材樹脂と水系分散媒とを密閉容器の圧力よりも低圧の雰囲気下に放出して、該基材樹脂を発泡させる工程を含む上記樹脂発泡粒子の製造方法に関する。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明で使用するポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)(略称はP3HA)とは、一般式(1):
[−CHR−CH2−CO−O−] (1)
(式中、RはCn2n+1で表されるアルキル基で、n=1〜15の整数である。)
で示される3−ヒドロキシアルカノエートよりなる繰り返し構造を有する脂肪族ポリエステルであり、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)(略称はP3HA)である。本発明におけるP3HAは、特にその製造法に限定は無いが、地球環境保全の観点から生物由来が好ましく、工業的な生産性を考えると微生物由来が好ましい。
本発明におけるP3HAとしては、前記3−ヒドロキシアルカノエートのホモポリマー、またはnの異なる2種以上の3−ヒドロキシアルカノエート組み合わせからなる共重合体、つまりジ−コポリマー、トリ−コポリマー、テトラ−コポリマーなど、またはこれらホモポリマーおよび共重合体から選ばれる2種以上のブレンド物があげられ、中でもn=1の3−ヒドロキシブチレート、n=2の3−ヒドロキシバリレート、n=3の3−ヒドロキシヘキサノエート、n=5の3−ヒドロキシオクタノエート、n=15の3−ヒドロキシオクタデカノエートなどのホモポリマー、またはこれら前記nが異なる3−ヒドロキシアルカノエート単位2種以上の組合わせからなる共重合体、またはこれらのブレンド物が好ましく使用できる。これらの中でも、物性コントロール範囲が広い点から、P3HAとしては、n=1の3−ヒドロキシブチレートとn=3の3−ヒドロキシヘキサノエートの共重合体であるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)がより好ましく、さらにその組成比としては、3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート=99/1〜80/20(モル比)であることがより好ましく、3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート=98/2〜82/18(モル比)であることがさらに好ましく、3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート=98/2〜85/15(モル比)であることがさらに好ましい。3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート組成比が99/1より大きいと、ホモポリマーであるポリヒドロキシブチレートと融点に差がなく、高温で加熱加工する必要があり、加熱加工時の熱分解による分子量低下が激しく品質の制御が困難となる場合がある。また3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート組成比が80/20より小さいと加熱加工時の再結晶化に時間がかかるため生産性が悪くなる傾向がある。
前記P3HAの重量平均分子量(Mw)は、5万〜200万であり、好ましくは10万〜190万、より好ましくは20万〜180万であり、さらに好ましくは30万〜130万である。重量平均分子量が5万より小さいと、本発明の樹脂発泡粒子の製造方法における発泡時の発泡力に樹脂の膜強度が耐えられず、発泡セルが破泡し、良好な発泡体が得られにくくなる場合がある。また、重量平均分子量が200万より大きいと、発泡時の流動性が低いため、高い発泡倍率が得られにくくなる場合がある。前記重量平均分子量は、クロロホルム溶離液を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定でのポリスチレン換算分子量分布測定より得られる重量平均分子量(Mw)をいう。
本発明におけるP3HAには得られる発泡粒子の要求性能を阻害しない範囲において、各種添加剤を加えても良い。ここで添加剤とは、たとえば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料などの着色剤、可塑剤、滑剤、結晶化核剤、無機充填剤等目的に応じて使用できるが、中でも生分解性を有する添加剤が好ましい。添加剤としては、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素等の無機化合物や、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸バリウム等の脂肪酸金属塩、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などがあげられるが、これらに限定された物ではない。また、発泡粒子の気泡径を調節する必要がある場合は気泡調整剤を添加する。気泡調整剤としては、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪藻土、クレー、重曹、アルミナ、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ベントナイト等の無機剤があり、その使用量は樹脂100重量部に対して、通常0.005〜2重量部を添加することが好ましい。
本発明のP3HA樹脂発泡粒子の製造方法を以下に述べる。本発明のP3HA樹脂発泡粒子は、まず基材樹脂であるP3HA樹脂を押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールなどを用いて加熱溶融混錬し、次いで円柱状、楕円柱状、球状、立方体状、直方体状などの本発明の発泡に利用しやすい粒子形状に成形することにより得られるP3HA樹脂粒子を使用する。粒子1個当たりの重量は0.1mg以上であることが好ましく、より好ましくは0.5mg以上である。また、上限値は特に限定されないが、10mg以下であることが好ましい。0.1mg未満ではP3HA樹脂粒子自体の製造が困難な場合がある。
こうして得られたP3HA樹脂粒子を、分散剤とともに密閉容器内で水系分散媒に分散後、発泡剤を密閉容器内に導入し、該P3HA樹脂粒子の軟化温度以上に加熱し、必要で有れば発泡させる温度付近で一定の時間保持した後、密閉容器の一端を解放し、該P3HA樹脂粒子と水系分散媒とを密閉容器の圧力よりも低圧の雰囲気下に放出して、P3HA樹脂発泡粒子が製造される。
密閉容器内の温度および圧力は、用いる樹脂粒子や発泡剤の種類によって適宜選択すればよいが、たとえば、100〜160℃、1.0〜4.0MPaであることが好ましく、110〜150℃、1.2〜3.5MPaであることがより好ましい。
前記分散剤としては、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、カオリン、塩基性炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、塩基性炭酸亜鉛等の無機物と、アニオン界面活性剤たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、α−オレフィンスルホン酸ソーダ、ノルマルパラフィンスルフォン酸ソーダ等を組み合わせて使用される。これらの添加量は特に限定されるものではなく、通常用いられている添加量であればよいが、無機物の量はP3HA樹脂100重量部に対して0.1〜3.0重量部であることが好ましく、0.2〜2.5重量部であることがより好ましい。また、アニオン界面活性剤量はP3HA樹脂100重量部に対し0.001〜0.2重量部であることが好ましく、0.01〜0.1重量部であることがより好ましい。また、分散媒としては経済性、取り扱い性の点から通常は水が好ましいが、これに限られたものではない。
前記の発泡剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等の炭素数3〜5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、およびメチルエチルエーテル等のエーテル、モノクロルメタン、ジクロロメタン、ジクロロジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素、二酸化炭素、窒素、空気などの無機ガス、水等があげられ、これらを少なくとも1種使用してもよい。環境適合性を考えるとハロゲン化炭化水素以外の発泡剤が好ましく、発泡性、発泡成形性の点から炭素数3〜5の飽和炭化水素が好ましく、イソブタンがより好ましい。発泡剤の添加量は目的の予備発泡粒子の発泡倍率、発泡剤の種類、ポリエステル系樹脂の種類、樹脂粒子と分散媒の比率、容器の空間容積、含浸または発泡温度などによって異なるが、P3HA樹脂粒子100重量部に対し、通常2〜10000重量部の範囲であることが好ましく、5〜1000重量部であることがより好ましい。発泡剤が2重量部未満であると充分な発泡倍率が得られない傾向があり、発泡剤が10000重量部をこえても、添加しただけの効果を得られるものでもなく、経済的に無駄となる傾向がある。
このようにして得られた本発明のP3HA樹脂発泡粒子の発泡倍率は、2〜80倍であることが好ましく、5〜60倍であることがより好ましい。発泡倍率が2倍未満であると発泡体の特性である断熱性や軽量化の効果が得られにくい傾向があり、80倍をこえるとごく限られた加熱成形条件でしか成形できない傾向がある。
前記方法で得られた本発明の樹脂発泡粒子は、必要であれば加圧空気で加圧熟成し、樹脂発泡粒子に発泡能を付与し、閉鎖しうるが密閉できない金型に充填し、次いで、金型内に水蒸気を導入することにより、樹脂発泡粒子同士を加熱融着させ、P3HA樹脂粒子の樹脂発泡成形体を製造することができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。また、実施例において「部」は重量基準である。本発明で使用した物質は以下の様に略した。
PHBH:ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)
HH率:PHBH中のヒドロキシヘキサノエートのモル分率(モル%)
<樹脂発泡粒子の重量平均分子量測定法>
GPC測定により、実施例にある樹脂粒子のポリスチレン換算Mwを求めた。GPC装置はCCP&8020システム(東ソー(株)製)のものを使用し、カラムはGPCK−805L(昭和電工(株)製)、カラム温度40℃とし、PHBH樹脂粒子Aおよび、PHBH樹脂発泡粒子B20mgをクロロホルム10mlに溶解したものを、200μl注入し、Mwを求めた。
<樹脂発泡成形体の発泡倍率測定法>
23℃のエタノールの入ったメスシリンダーを用意し、該メスシリンダーに相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて7日間放置した500個以上のPHBH樹脂発泡粒子B(発泡粒子群の重量W(g))および、適当な大きさに切り出したPHBH樹脂発泡成形体Cを、金網などを使用して沈め、エタノール水位上昇分より読みとられる発泡粒子群および、成形体の容積V(cm3)としたときに、樹脂密度ρ(g/cm3)から次式で与えられる。
発泡倍率=V/(W/ρ)
<樹脂発泡粒子の融点>
示差走査熱量測定は、実施例にあるPHBH樹脂粒子約5mgを精秤し、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製、SSC5200)にて10℃/分の昇温速度で0℃から200℃まで昇温を実施し、DSC曲線を得、吸熱曲線のピーク温度を融点Tmとした(複数有る場合は高温側の融解ピークをTm1、低温側の融解ピークをTm2とする)。
<PHBH樹脂発泡粒子の生分解性>
実施例のP3HA樹脂発泡粒子を、深さ10cmの土中に埋めて6ヶ月後、形状変化を観察し分解性を以下の基準で評価した。
○:かなりの部分が分解されており形状を確認しにくいほど分解
×:ほとんど形状に変化なく発泡粒子が観察され、分解していない
(実施例1)
微生物として、Alcaligenes eutrophusにAeromonas caviae由来のPHA合成酵素遺伝子を導入したAlcaligenes eutrophus AC32(受託番号FERM BP−6038(平成8年8月12日に寄託された原寄託(FERM P−15786)より移管)(平成9年8月7日、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、あて名;日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6))(J.Bacteriol.,179,4821(1997))を用いて原料、培養条件を適宜調整して生産されたPHBH(HH率8mol%のPHBH)をニーダー付きφ35mm単軸押出成形機(笠松加工製ラボ万能押出機)でシリンダー温度145℃にて溶融混練し、押出機先端に取り付けられた3mmφの小孔ダイより押し出されたストランドを、ペレタイザーでカットして粒重量5mgのPHBH樹脂粒子A(Mw=80万)を作製した。
該樹脂粒子A100重量部と分散剤として第3リン酸カルシウム1重量部を、10L耐圧容器に仕込んだ後、発泡剤としてイソブタン25重量部を添加、攪拌し、容器内温度が123℃となるまで昇温(発泡温度とする)後、容器内圧が2.5MPaの状態で1時間保持したのち、耐圧容器下部に設けた小孔ノズルを通して大気圧下に放出発泡し、発泡倍率が11倍で、示差走査熱量測定法によるDSC曲線において2つの融点(150℃(Tm1)、128℃(Tm2))を示す結晶構造を有するPHBH樹脂発泡粒子Bを得た。
該PHBH樹脂発泡粒子Bを、300×400×30mmの金型に充填し、0.13〜0.20MPa(ゲージ)の水蒸気を金型に導入し、該PHBH樹脂発泡粒子B同士を加熱、融着させ、発泡倍率12倍のPHBH樹脂発泡成形体Cを得た。結果を表1に示す。
Figure 2006103972
(比較例1)
PHBH樹脂粒子AのMwが1万であるものを用いた以外は、実施例1と同様に行った。結果、発泡セル内が破裂したPHBH樹脂発泡粒子Bしか得られなかった。よって、PHBH樹脂発泡成形体Cは得られなかった(表中「−」で示す)。また、この樹脂の生分解性は良好であった。結果を表1に示す。
(比較例2)
PHBH樹脂粒子AのMwが450万であるものを用いた以外は、実施例1と同様に行った。結果、PHBH樹脂粒子Aを得るための溶融押出ストランドにメルトフラクチャーが顕著に発生し、ペレタイザーにて引取る際、途中で切れて連続的にカッティングが困難であった。得られるPHBH樹脂粒子Aの粒形状は不揃いであり、また、それを用いたPHBH樹脂発泡粒子は未発泡のものしか得られなかった。よって、PHBH樹脂発泡成形体Cは得られなかった(表中「−」で示す)。また、この樹脂の生分解性は良好であった。結果を表1に示す。
本発明により、上述の化学合成系脂肪族ポリエステルや澱粉などの天然物高分子で達成が困難な、耐熱性、耐水性に優れた、植物由来の環境適合性に優れた樹脂発泡粒子を得ることが出来る。また、廃棄時に好気性、嫌気性何れの環境下でも微生物などの作用により分解し、地球上の炭素循環系に還る組成物、成形体が得られる。さらには地球上の二酸化炭素を積極的に固定化して得られる植物由来の組成物、成形体であり地球温暖化防止が期待できる。さらには、発泡粒子製造工程に関して取扱が容易で経済的な製造方法を提供できる。

Claims (6)

  1. 重量平均分子量が50000〜2000000である、一般式(1):
    [−CHR−CH2−CO−O−] (1)
    (式中、RはCn2n+1で表されるアルキル基で、n=1〜15の整数である。)
    で示される繰り返し単位を含む共重合体ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を発泡させてなる樹脂発泡粒子。
  2. ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)の重量平均分子量が200000〜1800000である請求の範囲第1項記載の樹脂発泡粒子。
  3. ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)が、n=1および3の繰り返し単位を含むポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)である請求の範囲第1項または第2項記載の樹脂発泡粒子。
  4. ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)の共重合成分の組成比が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)/ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)=99/1〜80/20(モル比)である請求の範囲第3項記載の樹脂発泡粒子。
  5. 請求の範囲第1項〜第4項の何れか1項に記載の樹脂発泡粒子を金型に充填し、加熱成形してなる樹脂発泡粒子成形体。
  6. ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)を基材樹脂とし、分散剤とともに密閉容器内で水系分散媒に分散後、発泡剤を密閉容器内に導入する工程、該基材樹脂の軟化温度以上に加熱した後、密閉容器の一端を開放し、該基材樹脂と水系分散媒とを密閉容器の圧力よりも低圧の雰囲気下に放出して、該基材樹脂を発泡させる工程を含む請求の範囲第1項〜第4項の何れか1項に記載の樹脂発泡粒子の製造方法。
JP2007510401A 2005-03-25 2006-03-20 ポリヒドロキシアルカノエート樹脂発泡粒子 Withdrawn JPWO2006103972A1 (ja)

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