[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JPWO2005093465A1 - 反射防止膜を有する光学部材 - Google Patents

反射防止膜を有する光学部材 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2005093465A1
JPWO2005093465A1 JP2006511547A JP2006511547A JPWO2005093465A1 JP WO2005093465 A1 JPWO2005093465 A1 JP WO2005093465A1 JP 2006511547 A JP2006511547 A JP 2006511547A JP 2006511547 A JP2006511547 A JP 2006511547A JP WO2005093465 A1 JPWO2005093465 A1 JP WO2005093465A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
silicon
oxide
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006511547A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4707656B2 (ja
Inventor
小島 博
博 小島
敏和 橋本
敏和 橋本
毅 櫻澤
毅 櫻澤
新出 謙一
謙一 新出
三石 剛史
剛史 三石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP2006511547A priority Critical patent/JP4707656B2/ja
Publication of JPWO2005093465A1 publication Critical patent/JPWO2005093465A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4707656B2 publication Critical patent/JP4707656B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • G02B1/11Anti-reflection coatings
    • G02B1/111Anti-reflection coatings using layers comprising organic materials

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

本発明の光学部材は、プラスチック基材、硬化膜、真空蒸着で形成される多層反射防止膜、及び該反射防止膜上に施される撥水膜をこの順に有する光学部材であって、硬化膜は (A) 変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と(B) 有機珪素化合物を含有するコーティング組成物を原料とし、多層反射防止膜は、特定の無機物質と、常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物とを蒸着原料として形成されるハイブリッド層であり、撥水膜は、フッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物を原料として形成される光学部材であり、審美性、密着性などの諸物性を満足し、耐擦傷性を向上させた光学部材である。【解決手段】

Description

本発明は、耐擦傷性を向上させた光学部材に関する。
従来、プラスチック成型品に耐擦傷性を付与する方法として、プラスチック基材表面に硬化膜を施すことが知られている。かかる硬化膜は、高屈折率化しているプラスチック基材との屈折率を合わせて審美性を高め、さらに、耐候性、耐湿性などの諸物性を向上させる提案がなされている。かかる提案の例として、特許文献1には、プラスチック基材と、硬化膜と、真空蒸着で形成された多層反射防止膜と、を有する光学部材が開示されている。かかる硬化膜のコーティング組成物の原料は、(A)金属スズと塩酸(無機酸)と過酸化水素との反応により得られた酸化第二スズのコロイド粒子と、酸化ジルコニウムのコロイド粒子とが、これらの酸化物の重量に基づいてZrO2/SnO2として0.02〜1.0の比率に結合した構造と4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を核として、その表面が0.1〜100のWO3/SnO2重量比と、0.1〜100のSiO2/SnO2重量比と2〜7nmの粒子径を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆されることによって形成される粒子径4.5〜60nmの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と、有機珪素化合物を含有している。反射防止膜は、真空蒸着法により二酸化珪素層、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化イットリウムの混合層を積層して形成されている。
ところで、膜の耐擦傷性を評価する方法として、スチールウールテストが用いられてきた。しかし、スチールウールテストは、数値で評価するものでないため、耐擦傷性を評価する方法として、近年、ベイヤ−(Bayer)試験が採用され始めている。特許文献1に開示されている光学部材についても、ベイヤ−(Bayer)試験で評価した場合において、更なる耐擦傷性の向上が望まれていた。
特開2000−284101号公報
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、その目的は、審美性、密着性などの諸物性を満足し、耐擦傷性を向上させた光学部材を提供することにある。
かかる課題は、以下の手段により解決された。その手段は、プラスチック基材、硬化膜、真空蒸着で形成された多層反射防止膜、及び該反射防止膜上に施される撥水膜をこの順に有する光学部材であって、硬化膜は、(A)金属スズと有機酸と過酸化水素との反応により得られた酸化第二スズのコロイド粒子と、酸化ジルコニウムのコロイド粒子とが、これらの酸化物の重量に基づいてZrO2/SnO2として0.02〜1.0の比率に結合した構造と4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を核として、その表面が0.1〜100のWO3/SnO2重量比と、0.1〜100のSiO2/SnO2重量比と2〜7nmの粒子径を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆されることによって製造される粒子径4.5〜60nmの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子、と(B)有機珪素化合物を含むコーティング組成物を原料とし、多層反射防止膜は、反射防止膜中の少なくとも1層が、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム及び酸化ニオブから選ばれる少なくとも1種の無機物質と、常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物とを蒸着原料として、形成されるハイブリッド層であり、撥水膜は、フッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物を原料として形成される層より構成される光学部材である。
本発明によれば、密着性、透明性等の物性を損なわずに、耐擦傷性が顕著に向上する光学部材を提供することができる。
本発明における成膜装置を示す概略図である。
符合の説明
1:光学式膜厚モニター
2:基板
3:基板保持用ドーム
4:有機物質導入口A
5:有機物質導入口B
6:蒸発源
7:RF型イオン銃
8:イオン化ガス導入口
9:排気系への接続部
10:外部モノマー加熱(気化)装置への接続部
以下、本発明に関し、詳述する。
1.プラスチック基材について
本発明で使用できるプラスチック基材に関しては、特に限定されない。プラスチック基材の素材としては、例えばメチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレートと1種以上の他のモノマーとをモノマー成分とする共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと1種以上の他のモノマーとをモノマー成分とする共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン含有共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタンなどを挙げることができる。
これらの中で、得られる硬化膜の屈折率、審美性(光学部材に関し、干渉縞が見られない特性)などの観点から、ポリイソシアネート化合物と、ポリチオール化合物とを原料とするポリチオウレタン系樹脂が好ましく、これらの素材を用いることで、屈折率1.58〜1.62程度のプラスチック基材を得ることができる。
2.硬化膜を形成するコーティング組成物について
(1)変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子について
変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子の組成は、前述の特許文献1によって知られている。本発明では、特許文献1に開示される変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子とは、異なる製法を用いて調製した複合体コロイド粒子を用いたものであり、核とする酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子において、金属スズと有機酸と過酸化水素との反応により得られた酸化第二スズコロイド粒子を使用し、さらに、他のコーティング組成物成分との組み合わせによる組成物を原料として硬化膜を得、これに特定の反射防止膜、及び撥水膜を施すことにより本発明の目的を達成しうる光学部材を得るものである。
変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子の製造方法としては、例えば下記(a)工程、(b)工程、(c)工程、(d)工程、(e)工程及び(f)工程からなる製造方法が好ましい。
(a)工程:有機酸水溶液中において、過酸化水素水と金属スズをH22/Snモル比が2〜4の範囲を保ち、酸化スズ濃度が40重量%以下になるように反応させ、粒子径が4〜50nmの酸化第二スズのコロイド粒子を生成する工程、
(b)工程:(a)工程で得た4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズのコロイド粒子をその酸化物SnO2として0.5〜50重量%の濃度に含有する酸化第二スズ水性ゾルと、ZrO2として0.5〜50重量%濃度のオキシジルコニウム塩の水溶液とを、これらに基づくZrO2/SnO2として0.02〜1.0の重量比に混合する工程、
(c)工程:(b)工程によって得られた混合液を60〜200℃で、0.1〜50時間加熱処理することにより、4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを生成させる工程、
(d)工程:タングステン酸塩、スズ酸塩及び珪酸塩をWO3/SnO2重量比として0.1〜100、SiO2/SnO2重量比として0.1〜100の比率に含有する水溶液を調製し、その水溶液中に存在する陽イオンを除去して得られる酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを生成させる工程、
(e)工程:(c)工程で得られた酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを、それに含まれるZrO2とSnO2の合計として100重量部と、(d)工程で得られた2〜7nmの粒子径と0.1〜100のWO3/SnO2重量比と0.1〜100のSiO2/SnO2重量比を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを、これに含まれるWO3とSnO2とSiO2の合計として2〜100重量部の比率に0〜100℃で混合することにより変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを生成させる工程、及び
(f)工程:(e)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを陰イオン交換体と接触させることにより、当該ゾル中に存在する陰イオンを除去する工程。
本発明の硬化膜を形成するコーティング組成物で使用されるゾルの製造に用いられる核粒子としての酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルは、上記(a)工程、(b)工程及び(c)工程からなる方法で製造する事ができる。
(a)工程に用いられる酸化第二スズのコロイド粒子は、有機酸水溶液中で過酸化水素水と金属スズをH22/Snモル比が2〜4の範囲を保ち、酸化スズ濃度が40重量%以下になるように反応させ生成させることにより、粒子径が4〜50nmの酸化第二スズのコロイド粒子から得ることができる。
この際、有機酸水溶液中に、過酸化水素水と金属スズをH22/Snモル比が2〜4の範囲に保ちながら添加するものである。過酸化水素水と金属スズはそれらの全量を一度に有機酸水溶液中に添加することもできるが、数回に分け、交互に添加する方法が好ましい。過酸化水素水と金属スズの添加順序に定めはないが、H22/Snモル比が2〜4の範囲に保たれていることが肝要である。通常は、過酸化水素水と金属スズを添加して、その反応が終了するのを待って次の過酸化水素水と金属スズの添加に移る。1回の反応時間は添加量にもよるが、通常5〜10分程度であり、次の過酸化水素水と金属スズの添加を行う。
(a)工程に用いられる有機酸と過酸化水素と金属スズの重量割合は、通常有機酸:過酸化水素:金属スズ=0.21〜0.53:0.57〜1.15:1.0である。
有機酸水溶液としては、シュウ酸水溶液又はシュウ酸を主成分として含む有機酸水溶液が好ましいが、シュウ酸水溶液のみを用いることで特に好ましく製造することができる。シュウ酸を主成分として含む有機酸水溶液とは、全有機酸中で80重量%以上のシュウ酸を含む有機酸の水溶液であり、残部はギ酸、酢酸等の有機酸を含有することができる。これらの有機酸水溶液は好ましくは濃度1〜30重量%、さらに好ましくは4〜10重量%の範囲で使用することができる。
酸化第二スズゾルの媒体は、水、親水性有機溶媒のいずれでもよいが、媒体が水である水性ゾルが好ましい。また、ゾルのpHとしては、ゾルを安定ならしめる値がよく、通常、0.2〜11程度がよい。本発明の目的が達成される限り、酸化第二スズゾルには、任意の成分、例えば、ゾルの安定化のためのアルカリ性物質、酸性物質、オキシカルボン酸等が含まれていてもよい。用いられる酸化第二スズゾルの濃度としては、酸化第二スズとして0.5〜50重量%程度であるが、この濃度は低い方がよく、好ましくは1〜30重量%である。
酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルは、上記酸化第二スズゾルにオキシジルコニウム塩をZrO2/SnO2重量比が0.02〜1.0になるように、通常0〜100℃で0.5〜3時間混合する(b)工程、次いでこれを60〜200℃、0.1〜50時間加熱処理する(c)工程により得ることができる。
用いるオキシジルコニウム塩としては、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウムなどのオキシ有機酸ジルコニウム、オキシ炭酸ジルコニウム等がある。これらのオキシジルコニウム塩は固体又は水溶液として用いることができるが、ZrO2として0.5〜50重量%程度の水溶液として用いるのが好ましい。オキシ炭酸ジルコニルのように、水に不溶の塩も混合する酸化第二スズが酸性ゾルの場合は使用することが可能である。
酸化第二スズゾルは特にアミンなどの有機塩基で安定化されたアルカリ性のゾルを用いるのが好ましく、オキシジルコニウム塩との混合は通常0〜100℃、好ましくは室温〜60℃程度がよい。そしてこの混合は撹拌下で酸化第二スズゾルにオキシジルコニウム塩を加えても、オキシジルコニウム塩水溶液に酸化第二スズゾルを加えてもよいが、後者の方が好ましい。この混合は充分行われる必要があり、0.5〜3時間程度が好ましい。
本発明において、被覆ゾルとして用いられ、(d)工程で得られる酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルに含まれるWO3、SnO2及びSiO2複合体コロイド粒子は、電子顕微鏡によって粒子径を観測することができ、その粒子径は2〜7nm、好ましくは2〜5nmである。このゾルのコロイド粒子の分散媒としては、水、親水性有機溶媒及びこれらの混合物のいずれも可能である。このゾルは、WO3、SnO2及びSiO2をWO3/SnO2重量比として0.1〜100、SiO2/SnO2重量比として0.1〜100の比率に含有する。このゾルに含まれるWO3、SnO2及びSiO2の合計の濃度は、通常40重量%以下、実用上好ましくは2重量%以上、好ましくは5〜30重量%である。このゾルは、1〜9のpHを示し、無色透明乃至僅かにコロイド色を有する液である。そして、室温では3ケ月以上、60℃でも1ケ月以上安定であり、このゾル中に沈降物が生成することがなく、また、このゾルが増粘したり、ゲル化を起すようなことはない。
(d)工程で得られる酸化タングステン(WO3)、酸化第二スズ(SnO2)及び二酸化珪素(SiO2)の複合体コロイド粒子を含有する安定な酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルの製造方法は、例えば、
(d−1)工程:タングステン酸塩、スズ酸塩及び珪酸塩をWO3/SnO2重量比として0.1〜100、SiO2/SnO2重量比として0.1〜100の比率に含有した水溶液を調製する工程、及び
(d−2)工程:(d−1)工程で得られた水溶液中に存在する陽イオンを除去する工程、を施すことにより製造することができる。
(d−1)工程で用いられるタングステン酸塩、スズ酸塩および珪酸塩の例としては、アルカリ金属、アンモニウム、アミン等のタングステン酸塩、スズ酸塩および珪酸塩等が挙げられる。これらアルカリ金属、アンモニウム及びアミンの好ましい例としては、Li、Na、K、Rb、Cs、NH4 +、あるいはエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン等のアルキルアミン;ベンジルアミン等のアラルキルアミン;ピペリジン等の脂環式アミン;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンなどが挙げられる。特に、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4・2H2O)、スズ酸ナトリウム(Na2SnO3・3H2O)及び珪酸ナトリウム(水ガラス)が好ましい。また、酸化タングステン、タングステン酸、スズ酸、珪酸等をアルカリ金属水酸化物の水溶液に溶解したものも使用することが出来る。また珪酸塩として活性珪酸にエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン等のアルキルアミンを添加して得られるアミンシリケートや第4級アンモニウムシリケートも使用する事ができる。
(d−1)工程の水溶液の調製方法としては、タングステン酸塩、スズ酸塩、珪酸塩の各粉末を水に溶解させ水溶液を調製する方法や、タングステン酸塩水溶液、スズ酸塩水溶液、及び珪酸塩水溶液を混合して水溶液を調製する方法や、タングステン酸塩とスズ酸塩の粉末及び珪酸塩の水溶液を水に添加して水溶液を調製する方法等が挙げられる。
(d)工程のゾルの製造に用いられるタングステン酸塩の水溶液は、WO3として0.1〜15重量%の濃度のものが好ましいが、これ以上の濃度でも使用可能である。
(d)工程のゾルの製造に用いられるスズ酸塩の水溶液としては、SnO2濃度0.1〜30重量%程度が好ましいが、これ以上の濃度でも使用可能である。
また、(d)工程のゾルの製造に用いられる珪酸塩の水溶液としては、SiO2濃度0.1〜30重量%程度が好ましいが、これ以上の濃度でも使用可能である。
(d−1)工程での水溶液の調製は攪拌下に、室温〜100℃程度、好ましくは、室温〜60℃位で行うのがよい。混合すべき水溶液は、WO3/SnO2重量比として0.1〜100、SiO2/SnO2重量比として0.1〜100になるように用いるのが好ましい。
(d−2)工程は(d−1)工程で得られた水溶液中に存在する陽イオンを除去する工程である。脱陽イオン処理の方法としては水素型イオン交換体と接触させる方法や塩析により行うことができる。ここで用いられる水素型陽イオン交換体としては、通常用いられるものであり、例えば市販品の水素型陽イオン交換樹脂を用いることが出来る。
(d−1)工程及び(d−2)工程を経て得られた水性ゾルは、濃度が低いときには所望に応じ、この水性ゾルを通常の濃縮方法、例えば、蒸発法、限外濾過法等により、ゾルの濃度を高めることができる。特に、限外濾過法は好ましい。この濃縮においても、ゾルの温度は約100℃以下、特に60℃以下に保つことが好ましい。
(d)工程の水性ゾルの水を親水性有機溶媒で置換することによりオルガノゾルと呼ばれる親水性有機溶媒ゾルが得られる。
(d)工程で得られた酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルは、酸化第二スズと酸化タングステンと二酸化珪素が原子レベルで均一に複合(固溶)して得られた酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素からなる複合体粒子を含有する。従って、酸化タングステンゾル、酸化第二スズゾル及び二酸化珪素ゾルの3種のゾルを単に混合して得られるものではない。
酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素の複合体ゾルは、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素の複合体粒子が固溶体を形成している為に、溶媒置換によっても酸化タングステン粒子、酸化第二スズ粒子及び二酸化珪素粒子に分解する事はない。
酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素の複合体ゾルは、酸化タングステン−酸化第二スズの複合ゾルに比べ、基材に被覆して被膜を形成した際に、耐水性、耐湿性、及び耐候性が向上する。
(d)工程で得られたゾル中のWO3/SnO2重量比は、上述のように0.1〜100であることが好ましい。該重量比が0.1未満では、不安定である場合があり、また、この重量比が100を越えると、やはりゾルは安定性を示さない場合がある。高いpHの水性ゾルから上記オルガノゾルをつくる際に加えられるオキシカルボン酸も、ゾルの安定化に貢献するが、その添加量がゾル中のWO3、SnO2及びSiO2の合計に対し30重量%以上と多いと、このようなゾルを用いて得られる乾燥塗膜の耐水性が低下する原因となる。用いられるオキシカルボン酸の例としては、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、グリコール等が挙げられる。また、アルカリ成分としては、Li、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属水酸化物、NH4 +、あるいはエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン;ベンジルアミン等のアラルキルアミン;ピペリジン等の脂環式アミン;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。これらは2種以上を混合して含有することができる。また、上記の酸性成分と併用することもできる。ゾル中のアルカリ金属、アンモニウム、アミン、オキシカルボン酸等の量に対応して、そのゾルのpHが変わる。ゾルのpHが1未満ではゾルは不安定であり、pHが9を越えると、酸化タングステン、酸化第二スズおよび二酸化珪素の複合体コロイド粒子が液中で溶解し易い。ゾル中のWO3、SnO2及びSiO2の合計濃度が40重量%を超えると、ゾルはやはり安定性に乏しい。この濃度が薄すぎると非実用的であり、工業製品として好ましい濃度は5〜30重量%である。
濃縮法として限外濾過法を用いると、ゾル中に共存しているポリアニオン、極微小粒子等が水と一緒に限外濾過膜を通過するので、ゾルの不安定化の原因であるこれらポリアニオン、極微小粒子等をゾルから除去することができる。
(e)工程は、(c)工程で得られた酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを、それに含まれるZrO2とSnO2の合計として100重量部と、(d)工程で得られた2〜7nmの粒子径と0.1〜100のWO3/SnO2重量比と0.1〜100のSiO2/SnO2重量比を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを、これに含まれるWO3とSnO2とSiO2の合計として2〜100重量部の比率に0〜100℃で混合する工程である。
(e)工程により、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルのコロイド粒子を酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルのコロイド粒子表面に結合させて、当該表面を上記酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆することにより、そのコロイド粒子を核としてその表面が酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体の性質を有するように変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を生成させることができ、そしてこの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子が液媒体に安定に分散したゾルとして得ることができる。
酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子によって変性されたこれらの酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルは、この酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルをその金属酸化物(ZrO2+SnO2)として100重量部と、上記酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルをこのゾルのWO3、SnO2及びSiO2の合計として2〜100重量部の比率に、好ましくは強撹拌下に混合する(e)工程、次いでこの混合ゾルからゾル中の陰イオンを除去する工程(f)工程により得られる。
上記(e)工程の混合によって得られたゾル中の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子は、電子顕微鏡によって観察することができ、ほぼ4.5〜60nmの粒子径を有する。上記混合によって得られたゾルはpHがほぼ1〜9を有しているが、改質のために用いたオキシジルコニウム塩に由来するCl-、NO2 -、CH3COO-などのアニオンを多く含有しているために、コロイド粒子はミクロ凝集を起こしており、ゾルの透明性が低くなっている。
上記混合によって得られたゾル中のアニオンを(f)工程の陰イオンを除去することにより、透明性の良い、安定な変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルを得ることができる。
(f)工程の陰イオン除去は上記混合によって得られたゾルを水酸基型陰イオン交換樹脂で、通常100℃以下、好ましくは室温〜60℃位の温度で処理することにより得られる。水酸基型陰イオン交換樹脂は市販品を用いることができるが、アンバーライトIRA−410のような強塩基型のものが好ましい。
(f)工程の水酸基型陰イオン交換樹脂による処理は(e)工程での混合によって得られたゾルの金属酸化物濃度が1〜10重量%で行うのが特に好ましい。
(a)〜(f)工程により得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルの濃度を更に高めたいときには、最大約50重量%まで常法、例えば蒸発法、限外濾過法等により濃縮することができる。またこのゾルのpHを調整したい時には、濃縮後に、前記アルカリ金属、アンモニウム等の水酸化物、前記アミン、オキシカルボン酸等をゾルに加えることによって行うことができる。特に、上記金属酸化物(ZrO2+SnO2)と(WO3+SnO2+SiO2)の合計濃度が10〜50重量%であるゾルは実用的に好ましい。
(f)工程より得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル中のコロイド粒子は、エチルシリケート、メチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン化合物又はその加水分解物で、部分的に又は全面的に表面を被覆する事ができる。
上記混合によって得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルが水性ゾルであるときは、この水性ゾルの水媒体を親水性有機溶媒で置換することによりオルガノゾルが得られる。この置換は、蒸留法、限外濾過法等通常の方法により行うことができる。この親水性有機溶媒の例としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド等の直鎖アミド類;N−メチル−2−ピロリドン等の環状アミド類;エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール等のグリコール類等が挙げられる。
上記水と親水性有機溶媒との置換は、通常の方法、例えば、蒸留置換法、限外濾過法等によって容易に行うことができる。
本発明で用いる酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子によって表面が被覆され、変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子はゾル中で負に帯電している。上記酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子は陽に帯電しており、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子は負に帯電している。従って、(e)工程での混合によりこの陽に帯電している酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子の周りに負に帯電している酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子が電気的に引き寄せられ、そして陽帯電のコロイド粒子表面上に化学結合によって酸化タングステン−酸化第二スズ複合体のコロイド粒子が結合し、この陽帯電の粒子を核としてその表面を酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子が覆ってしまうことによって、変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子が生成したものと考えられる。
但し、核ゾルとしての粒子径4〜50nmの酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と、被覆ゾルとしての酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合コロイド粒子とを混合するときに、核ゾルの金属酸化物(ZrO2とSnO2)100重量部に対し、被覆ゾルの金属酸化物(WO3+SnO2+SiO2)の合計量が2重量部より少ないと、安定なゾルが得られにくい。このことは、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子の量が不足するときには、この複合体のコロイド粒子による酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を核とするその表面の被覆が不充分となり、生成コロイド粒子の凝集が起こり易く、生成ゾルを不安定ならしめるものと考えられる。従って、混合すべき酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子の量は、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子の全表面を覆う量より少なくてもよいが、安定な変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子のゾルを生成せしめるに必要な最小量以上の量である。この表面被覆に用いられる量を越える量の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子が上記混合に用いられたときには、得られたゾルは、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子のゾルと、生じた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子のゾルの安定な混合ゾルに過ぎない。
好ましくは、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子をその表面被覆によって変性するには、用いられる酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子の量は、核ゾルの金属酸化物(ZrO2+SnO2)100重量部に対し、被覆ゾル中の金属酸化物(WO3+SnO2+SiO2)の合計として100重量部以下がよい。
本発明で使用される変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体の好ましい水性ゾルは、pH3〜11程度を有することが好ましい。pHが3より低いとそのようなゾルは不安定となり易く、また、このpHが11を越えると、変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を覆っている酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体が液中に溶解し易い。更に変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾル中の上記金属酸化物(ZrO2+SnO2)と(WO3+SnO2+SiO2)の合計濃度が60重量%を越えるときにも、このようなゾルは不安定となり易い。工業製品として好ましい濃度は10〜50重量%程度である。
酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子は高温で加水分解を受け易いことから、(e)工程の混合、(f)工程の陰イオン交換および(f)工程後の濃縮、pH調整、溶媒置換等の際には100℃以下が好ましい。
(2)有機珪素化合物について
本発明にかかる硬化膜を得るためのコーティング組成物においては、(B)成分として有機珪素化合物が用いられる。この有機珪素化合物としては、例えば一般式(I)
11 kSi(OR124-k …(I)
(式中、R11は官能基を有する若しくは有しない一価の炭素数1〜20の炭化水素基、R12は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基または炭素数2〜10のアシル基、kは0、1または2を示し、R11が複数ある場合、複数のR11はたがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のOR12はたがいに同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物、一般式(II)
Figure 2005093465
(式中、R13およびR14は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜4のアルキル基または炭素数2〜4のアシル基、R15およびR16は、それぞれ同一または異なる一価の炭素数1〜5の官能基を有する若しくは有しない炭化水素基、Yは炭素数2〜20の二価の炭化水素基、aおよびbは、それぞれ0または1を示し、複数のR13Oは、たがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のOR14はたがいに同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物およびそれらの加水分解物の中から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
前記一般式(I)において、R11で示される炭素数1〜20の一価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基を挙げることができる。ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。また、炭素数2〜20のアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、例えばビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリール基としては、炭素数6〜10のものが好ましく、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
これらの炭化水素基には官能基が導入されていてもよく、該官能基としては、例えばハロゲン原子、グリシドキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられる。これらの官能基を有する炭化水素基としては、該官能基を有する炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、例えばγ−クロロプロピル基、3,3,3−トリクロロプロピル基、クロロメチル基、グリシドキシメチル基、α−グリシドキシエチル基、β−グリシドキシエチル基、α−グリシドキシプロピル基、β−グリシドキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、α−グリシドキシブチル基、β−グリシドキシブチル基、γ−グリシドキシブチル基、δ−グリシドキシブチル基、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基、γ−アミノプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、β−シアノエチル基、γ−メタクリロイルオキシプロピル基、γ−アクリロイルオキシプロピル基などが挙げられる。
一方、R12のうちの炭素数1〜8のアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基などが挙げられ、アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。また、アシル基としては、例えばアセチル基などが挙げられる。
nは0、1または2であり、R11が複数ある場合、複数のR11はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよく、また、複数のOR12はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記一般式(I)で表される化合物の例としては、メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、イソプロピルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケート、tert−ブチルシリケート、テトラアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランなどが挙げられる。
一方、前記一般式(II)において、R13およびR14のうちの炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、炭素数2〜4のアシル基としては、アセチル基が好ましく挙げられる。このR13およびR14はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、R15およびR16で示される一価の炭素数1〜5の炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基および炭素数2〜5のアルケニル基が挙げられる。これらは直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などが挙げられ、アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、ブテニル基などが挙げられる。
これらの炭化水素基には官能基が導入されていてもよく、該官能基および官能基を有する炭化水素基としては、前記一般式(I)のR11の説明で例示したものと同じものを挙げることができる。このR15およびR16はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。Yで示される炭素数2〜20の二価の炭化水素基としては、炭素数2〜10のアルキレン基およびアルキリデン基が好ましく、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、エチリデン基、プロピリデン基などが挙げられる。
aおよびbは、それぞれ0または1を示し、複数のR13Oは、たがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のOR14はたがいに同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(II)で表される化合物の例としては、メチレンビス(メチルジメトキシシラン)、エチレンビス(エチルジメトキシシラン)、プロピレンビス(エチルジエトキシシラン)、ブチレンビス(メチルジエトキシシラン)などが挙げられる。
本発明にかかる硬化膜を得るためのコーティング組成物においては、(B)成分の有機珪素化合物として、一般式(I)、(II)で表される化合物およびその加水分解物の中から適宜1種選択して用いてもよいし、2種以上を選択し、組み合わせて用いてもよい。また、加水分解物は、一般式(I)、(II)で表される有機珪素化合物に、水酸化ナトリウムやアンモニアの水溶液などの塩基性水溶液、酢酸水溶液やクエン酸水溶液などの酸性水溶液を添加し、攪拌することにより調製することができる。
本発明にかかる硬化膜を得るためのコーティング組成物における前記(A)成分の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と(B)成分の有機珪素化合物の含有割合については、屈折率及び良好な透明性を得る観点から(B)成分100重量部当たり、(A)成分を、固形分として1〜500重量部の割合で含有するのが好ましい。
(3)コロイド粒子と有機珪素化合物を含有したコーティング組成物について
本発明にかかる硬化膜を得るためのコーティング組成物には、所望により、反応を促進するために硬化剤を、種々の基材となるレンズとの屈折率をあわせるために微粒子金属酸化物を、また塗布時における濡れ性を向上させ、硬化膜の平滑性を向上させる目的で各種の有機溶剤や界面活性剤を含有させることもできる。さらに、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等も硬化膜の物性に影響を与えない限り添加することも可能である。
前記硬化剤の例としては、アリルアミン、エチルアミンなどのアミン類、またルイス酸やルイス塩基を含む各種酸や塩基、例えば有機カルボン酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、過塩素酸、臭素酸、亜セレン酸、チオ硫酸、オルトケイ酸、チオシアン酸、亜硝酸、アルミン酸、炭酸などを有する塩または金属塩、さらにアルミニウム、ジルコニウム、チタニウムを有する金属アルコキシドまたはこれらの金属キレート化合物などが挙げられる。特に好ましい硬化剤は耐擦傷性の観点から、アセチルアセトネート金属塩である。アセチルアセトネート金属塩としては、M1(CH3COCHCOCH3 )n1(OR17 )n2(式中、M1はZn(II)、Ti(IV)、Co(II)、Fe(II)、Cr(III) 、Mn(II)、V(III) 、V(IV)、Ca(II)、Co(III) 、Cu(II)、Mg(II)、Ni(II)、R17は炭素数1〜8の炭化水素基、n1 +n2 はM1の価数に相当する数字で2,3または4であり、n2 は0,1または2である。)で表わされる金属錯体化合物が挙げられる。R17としては、前記一般式(I)において例示した炭素数1〜10の炭化水素基のうち炭素数1〜8のものを挙げることができる。
また、前記微粒子状金属酸化物としては、従来公知のもの、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素、酸化セリウム、酸化鉄などの微粒子が挙げられる。
コーティング組成物の硬化は、通常熱風乾燥または活性エネルギー線照射によって行われ、硬化条件としては、70〜200℃の熱風中にて行うのがよく、特に好ましくは90〜150℃が望ましい。なお活性エネルギー線としては遠赤外線などがあり、熱による損傷を低く抑えることができる。
上述のコーティング組成物を用い、その硬化被膜を基材上に形成する方法としては、上述したコーティング組成物を基材に塗布する方法が挙げられる。塗布手段としてはディッピング法、スピンコーティング法、スプレー法など通常行われる方法が適用できるが、面精度の面からディッピング法、スピンコーティング法が特に望ましい。
さらに上述したコーティング組成物を基材に塗布する前に、基材に酸、アルカリ、各種有機溶剤による化学的処理、プラズマ、紫外線などによる物理的処理、各種洗剤を用いる洗剤処理、サンドブラスト処理、更には各種樹脂を用いたプライマー処理を施すことによって、基材と硬化膜との密着性などを向上させることができる。
3.反射防止膜について
本発明で使用する反射防止膜は、真空蒸着法で形成される。また、良好な膜強度及び密着性を得るためイオンアシスト法で形成されることが好ましい。該反射防止膜のハイブリッド層以外の膜構成層は特に限定されないが、良好な反射防止効果等の物性を得るため、低屈折率層としてSiO2層、又はSiO2とAl23との混合層、高屈折率層としてNb25層、又はTiO2層を有することが好ましい。本発明における、ハイブリッド層に使用される無機物質としては、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム及び酸化ニオブから選ばれる少なくとも1種であり、二酸化珪素を含有することが好ましい。これらは単独でもまた複数のものを使用してもよい。複数の無機物質を用いる場合は、それらを物理的に混合してもよいし、また複合酸化物であってもよく、具体的にはSiO2−Al23等がある。
本発明における、ハイブリッド層に使用される有機物質としては、膜厚の制御、蒸着速度の制御の観点から、常温、常圧下で、液体状態にある有機珪素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物が用いられる。
前記有機珪素化合物としては、例えば、以下の一般式(a)〜(d)のいずれかで表される構造を有することが好ましい。
一般式(a):シランまたはシロキサン化合物
Figure 2005093465
一般式(b):シラザン化合物
Figure 2005093465
一般式(c):シクロシロキサン化合物
Figure 2005093465
一般式(d):シクロシラザン化合物
Figure 2005093465
一般式(a)〜(d)において、式中のm、nは、それぞれ独立に0以上の整数を表す。また、X1〜X8はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜6の炭化水素基(飽和・不飽和双方を含む)、−OR1基、−CH2OR2基、−COOR3基、−OCOR4基、−SR5基、−CH2SR6基、−NR7 2基、または、−CH2NR8 2基(R1〜R8は水素または炭素数1〜6の炭化水素基(炭素原子間の結合において飽和・不飽和双方を含む)を表す。またX1〜X8は上記の任意の官能基であればよく、すべて同じ官能基でもよいし、一部またはすべてがそれぞれ異なるものでもよく限定されない。
前記R1〜R8で示される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、フェニル基、シクロヘキシル基、プロピニル基、イソプロペニル基等が挙げられる。
一般式(a)で表せる具体的な化合物としては、トリメチルシラノール、ジエチルシラン、ジメチルエトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メルカプトメチルトリメチルシラン、アミノメチルトリメチルシラン、ジメチルジメチルアミノシラン、エチニルトリメチルシラン、ジアセトキシメチルシラン、アリルジメチルシラン、トリメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、アセトキシトリメチルシラン、トリメトキシビニルシラン、ジエチルメチルシラン、エチルトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン、フェニルシラン、ジメチルジビニルシラン、2-プロピニロキシトリメチルシラン、ジメチルエトキシエチニルシラン、ジアセトキシジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、アリロキシトリメチルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、イソプロペノキシトリメチルシラン、アリルアミノトリメチルシラン、トリメチルプロピルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリエチルシラン、ジエチルジメチルシラン、ブチルジメチルシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、トリエチルシラノール、ジエトキシジメチルシラン、プロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノジメチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、トリ(ジメチルアミノ)シラン、メチルフェニルシラン、メチルトリビニルシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、メチルトリアセトキシシラン、アリロキシジメチルビニルシラン、ジエチルメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ブチルジメチルヒドロキシメチルシラン、1-メチルプロポキシトリメチルシラン、イソブトキシトリメチルシラン、ブトキシトリメチルシラン、ブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソプロピルアミノメチルトリメチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシラン、メチルトリ(ジメチルアミノ)シラン、ジメチルフェニルシラン、テトラビニルシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、1,1-ジメチルプロピニロキシトリメチルシラン、ジエトキシジビニルシラン、ブチルジメチルビニルシラン、ジメチルイソブトキシビニルシラン、アセトキシトリエチルシラン、トリエトキシビニルシラン、テトラエチルシラン、ジメチルジプロピルシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジメチルジプロポキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルフェニルビニルシラン、フェニルトリメチルシラン、ジメチルヒドロキシメチルフェニルシラン、フェノキシトリメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、フェニルトリメトキシシラン、アニリノトリメチルシラン、1-シクロヘキセニロキシトリメチルシラン、シクロヘキシロキシトリメチルシラン、ジメチルイソペンチロキシビニルシラン、アリルトリエトキシシラン、トリプロピルシラン、ブチルジメチル-3-ヒドロキシプロピルシラン、ヘキシロキシトリメチルシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、トリメチルシリルベンゾネート、ジメチルエトキシフェニルシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、メトキシトリプロピルシラン、ジブトキシジメチルシラン、メチルトリプロポキシシラン、ビス(ブチルアミノ)ジメチルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジエチルメチルフェニルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、トリイソプロポキシビニルシラン、2-エチルヘキシロキシトリメチルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ジフェニルシラン、フェニルトリビニルシラン、トリエチルフェニルシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラアリロキシシラン、フェニルトリ(ジメチルアミノ)シラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、ジフェニルメチルシラン、ジアリルメチルフェニルシラン、ジメチルジフェニルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、トリペンチロキシシラン、ジフェニルジビニルシラン、ジアセトキシジフェニルシラン、ジエチルジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン、テトラブチルシラン、テトラブトキシシラン、トリフェニルシラン、ジアリルジフェニルシラン、トリヘキシルシラン、トリフェノキシビニルシラン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、ペンタメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3-ジメトキシテトラメチルジシロキサン、1,3-ジエチニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジエトキシテトラメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、1,3-ジブチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンなどの化合物が挙げられる。
一般式(b)で表される具体的な化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、などの化合物が挙げられる。
一般式(c)で表される具体的な化合物としてはヘキサメチルシクロトリシロキサン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどの化合物が挙げられる。
一般式(d)で表される具体的な化合物としては1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルシクロテトラシラザンなどの化合物が挙げられる。
これらの有機珪素化合物の数平均分子量は、ハイブリッド膜中の有機成分の制御、膜自体の強度の点から、好ましくは、48〜600、特に好ましくは、140〜500である。
次に、前記ハイブリッド層を構成する珪素非含有有機化合物としては、その側鎖または末端に反応性基を含有する炭素及び水素を必須成分とするもの、または二重結合を含むものが好ましく、具体的には一般式(e)〜(g)で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式(e):片末端にエポキシ基を有する炭素及び水素を必須成分とする珪素非含有有機化合物
Figure 2005093465
一般式(f):両末端にエポキシ基を有する炭素及び水素を必須成分とする珪素非含有有機化合物
Figure 2005093465
一般式(g):二重結合を含む、炭素及び水素を必須成分とする珪素非含有有機化合物
Figure 2005093465
(一般式(e)、(f)において、R9は水素、または酸素を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、R10は酸素を含んでいてもよい炭素数1〜7の二価の炭化水素基を示し、一般式(g)において、X9〜X12はそれぞれ水素、炭素数1〜10の炭化水素基、または炭素数1〜10の炭素及び水素を必須成分とし、さらに酸素及び窒素の少なくとも一方を必須成分とする有機基を示す)
一般式(e)の化合物の具体例としては、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p-sec-ブチルフェニルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、2-メチルオクチルグリシジルエーテル、グリシドール、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
一般式(f)の化合物の具体例としては、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
一般式(g)の化合物の具体例としては、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、アクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリル酸、グリシジルメタクリレート、酢酸ビニル、スチレンなどがあげられる。
また、前記一般式(e)〜(g)で表される化合物の数平均分子量は、ハイブリッド膜中の有機成分の制御及びハイブリッドの膜強度を考慮して、好ましくは、28〜400、特に好ましくは、140〜360である。
本発明の反射防止膜における常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物(以下「有機物質」ということがある)の成膜方法としては、図1に示すように、ハイブリッド層を形成する際に、無機物質、有機物質それぞれを別の蒸着源にて同時に蒸着して成膜するのが好ましい。具体的には、無機物質を電子銃等を用いて加熱することにより気化させ、有機物質を外部タンクに貯蔵し、該タンク内で該有機物質を気化させ、無機物質と有機物質を同時に蒸着させる方法が好ましい。
なお、蒸着速度の制御の観点から、有機物質を貯蔵する外部タンクを加熱・減圧して該有機物質をチャンバー内に供給し、酸素ガス及び/またはアルゴンガスを用いイオンアシスト成膜するのが好ましい。さらに、本発明では有機物質が常温・常圧で液体であり、溶媒を使用する必要がなく、直接加熱して蒸着することができる。また、有機物質の導入口は、図1に示すよう無機物質蒸発源真上に設けるのが対衝撃性、対摩耗性向上に効果的であり、反射防止膜における有機珪素化合物を下部より、珪素非含有有機化合物を上部より供給するのが好ましい。
外部タンクの加熱温度は、その有機物質の蒸発温度により異なるが、30〜200℃、好ましくは50〜150℃とすることが適当な蒸着速度を得るという点から好ましい。
本発明におけるハイブリッド層の有機物質の好ましい膜内含有率は、特に良好な物性改質効果が得られる点を考慮して、0.02質量%〜25質量%である。
本発明におけるプラスチック基材上に形成された多層反射防止膜の構成としては、膜構成の少なくとも1層にハイブリッド層を用いる。
ハイブリッド層は、多層反射防止膜中の任意の層に形成できる。また、前記ハイブリッド層は複数の層への形成も可能である。ハイブリッド層の好ましい位置としては、特に優れた耐衝撃性を得るために、レンズ基材から最も近い位置及び/またはレンズ基材から最も遠い位置に施すことが好ましい。また、特に優れた密着性を得るためイオンアシスト法で形成されていると好ましい。
イオンアシスト法において、出力に関し好ましい範囲は、特に、良好な反応を得るとの観点から、加速電圧50-700V 加速電流30-250mAである。前記イオンアシスト法を実施する際に使用されるイオン化ガスは、成膜中の反応性、酸化防止の点からアルゴン(Ar)、又はアルゴンと酸素の混合ガスを用いるのが好ましい。
本発明における好ましい反射防止膜の好ましい膜厚及び屈折率の範囲は以下の通りである。なお、第1層は、プラスチック基材から最も近い層である。
第1層 0.005λ〜1.25λ 1.41〜1.50
第2層 0.005λ〜0.10λ 2.00〜2.35
第3層 0.005λ〜1.25λ 1.41〜1.50
第4層 0.05λ〜0.45λ 2.00〜2.35
第5層 0.005λ〜0.15λ 1.41〜1.50
第6層 0.05λ〜0.45λ 2.00〜2.35
第7層 0.2λ〜0.29λ 1.41〜1.50
さらに、耐擦傷性の観点から第1層から7層の好ましい組成は以下の通りである。
第1層:常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物と、二酸化珪素を含有する無機物質とを蒸着原料として形成されるハイブリッド層
第2層:酸化タンタル層が第2層を基準にして、少なくとも50重量%含有している層
第3層:常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物と、二酸化珪素を含有する無機物質とを蒸着原料として形成されるハイブリッド層
第4層:酸化タンタル層が第4層を基準にして、少なくとも50重量%含有している層
第5層:常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物と、二酸化珪素を含有する無機物質とを蒸着原料として形成されるハイブリッド層
第6層:酸化タンタル層が第6層を基準にして、少なくとも50重量%含有している層
第7層:常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物と、二酸化珪素を含有する無機物質とを蒸着原料として形成されるハイブリッド層
4. 撥水膜について
撥水膜は、前記反射防止膜の最外層上に設けられ、フッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物を原料として形成される。その原料及び形成方法は、欧州公開公報1351071号公報に記載されている方法が好ましい。その方法としては、溶媒で希釈したフッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物を減圧下、該有機珪素化合物の蒸着開始温度以上から該有機珪素化合物の分解温度を超えない範囲で、加熱開始から蒸着を90秒以内、好ましくは10秒以内に完結させるものである。かかる蒸着時間を達成する方法としては、前記有機珪素化合物に電子ビームを照射する方法が好ましく用いられる。
フッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物としては、下記一般式(h)で表されるもの、又は下記単位式(i)で表されるものが好ましい。
Figure 2005093465
(式中、Rfは炭素数1〜16の直鎖状のパーフルオロアルキル基、Xは水素または炭素数1〜5の低級アルキル基、R18は加水分解可能な基、tは1〜50の整数、rは0〜2の整数、pは1〜10の整数)
q2q+1CH2CH2Si(NH23 ・・・(i)
(ただし、qは1以上の整数である)
ここで、上記R18で示される加水分解可能な基としてはアミノ基、アルコキシ基、特にアルキル部が炭素数1〜2であるアルコキシ基、塩素原子等が挙げられる。
また、上記式(i)で表される化合物の具体例としては、n−CF3CH2CH2Si(NH2)3;n−トリフロロ(1,1,2,2−テトラヒドロ)プロピルシラザン、n−C3F7CH2CH2Si(NH2)3;n−ヘプタフロロ(1,1,2,2−テトラヒドロ)ペンチルシラザン、n−C4F9CH2CH2Si(NH2)3;n−ノナフロロ(1,1,2,2−テトラヒドロ)ヘキシルシラザン、n−C6F13CH2CH2Si(NH2)3;n−トリデオフロロ(1,1,2,2−テトラヒドロ)オクチルシラザン、n−C8F17CH2CH2Si(NH2)3;n−ヘプタデカフロロ(1,1,2,2−テトラヒドロ)デシルシラザン等を例示することができる。
また、撥水層の原料として、フッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物と、珪素非含有のパーフルオロポリエーテルとの2成分を主成分とする原料を用いることもでき、さらにはこれらの原料からなる第1層を形成し、該第1層上に接して、珪素非含有のパーフルオロポリエーテルを主成分とする原料を用いて第2層を形成することにより、撥水層を形成することも好適である。
珪素非含有のパーフルオロポリエーテルは、珪素を含有しない以下の構造式(j)
−(R19O)− ・・・(j)
(式中、R19は炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基である)
で表される単位からなるものが好ましく用いられ、平均分子量が1000〜10000、特に2000〜10000のものが好ましい。Rは炭素数1〜3のパーフルオロアルキレン基であり、具体的にはCF2,CF2−CF2,CF2CF2CF2,CF(CF3)CF2等の基が挙げられる。これらのパーフルオロポリエーテルは常温で液状であり、いわゆるフッ素オイルと称されるものである。
また、本発明の光学部材は、反射防止膜の下に、密着性を向上させるために、下地層として、後述するハイブリッド層形成の際に触媒作用のある金属、例えば、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニオブ(Nb)及びチタニウム(Ti)から選ばれる少なくとも1種類からなる層を施すことができる。特に好ましい下地層は、より良好な耐衝撃性を付与させるために、ニオブからなる金属層である。金属層を下地層として用いた場合、下地層の上に設けられるハイブリッド層の反応が進みやすくなり、分子内編み目構造を有する物質が得られ、耐衝撃性が向上する。
5.プライマー層について
本発明においては、特開昭63-141001号公報などに記載される、プラスチック基材と硬化膜との間に有機化合物よりなるプライマー層を施すことを否定するものでなく、更なる耐衝撃性向上のため、プラスチック基材と硬化被膜との間に、有機化合物を原料とするプライマー層を施してもよい。
このプライマー層の例としては、ポリイソシアネートとポリオールを原料として、ウレタン系の膜を形成するものが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-シクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートのそれぞれ数分子を種々の方法で結合させた付加物、イソシアヌレート、アロファネート、ビュウレット、カルボジイミドをアセト酢酸、マロン酸、メチルエチルケトオキシムなどでブロックしたものなどが挙げられ、一方、ポリオールとしては、水酸基を1分子内に複数個有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリアクリレートなどが挙げられる。また、プライマー層の屈折率向上のため、酸化チタン微粒子などの酸化金属微粒子をプライマー層に含有することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において得られた光学部材の物性評価は以下のようにして行った。
(1)視感透過率
プラスチックレンズの視感透過率Y1は、両面に反射防止膜を有するプラスチックレンズをサンプルとして、日立分光光度計U−3410を用い測定した。
(2)視感反射率
プラスチックレンズの視感反射率Y2は、両面に反射防止膜を有するプラスチックレンズをサンプルとして、日立分光光度計U−3410を用い測定した。
(3)密着性
プラスチックレンズの表面に剃刀にて1mm×1mmの升目を100個作成し、升目上にセロハンテープ(ニチバン社製造販売)を貼り、一気にテープをはがし、残った升目の数で評価した。表中、残った升目の数/100で記載した。
(4)耐摩耗性
プラスチックレンズの表面にスチールウール(規格#0000,日本スチールウール社製)にて98kPa(1kgf/cm2)の荷重をかけ、10ストローク擦り、表面状態により以下の基準で評価した。
UA:殆ど傷なし
A:細い傷数本あり
B:細い傷多数、太い傷数本あり
C:細い傷多数、太い傷多数あり
D:殆ど膜はげ状態
(5)耐熱性
プラスチックレンズをドライオーブンで60℃から、5℃ずつ上昇させて1時間加熱処理し、クラックの発生温度を測定した。
(6)耐アルカリ性
プラスチックレンズをNaOH10%水溶液に20℃、1時間浸漬し、表面状態により以下の基準で評価した。
UA:殆ど変化なし
A:点状の膜はげ数個あり
B:点状の膜はげが全面にあり
C:点状のはげが全面、面状のはげ数個あり
D:殆ど全面膜はげ
(7)Bayer値測定
摩耗試験機 BTETM Abrasion Tester(米COLTS社製)及び、ヘイズ値測定装置(村上色彩技術研究所)を使用し、基準レンズとのヘイズ値変化の差によりBayer値を測定した。
(サンプル数、測定方法)
(a)基準レンズ(CR39基材)3枚、サンプルレンズ3枚を用意した。
(b)摩耗テスト前ヘイズ(haze)値の測定を行った。
(c)BTETM Abrasion Testerにて、摩耗性テストを行った。
(砂による表面摩耗600往復)
(d)摩耗テスト後ヘイズ値を測定した。
(e)Bayer値を算出した(3枚分の平均値とする)。ここでBayer値とは基準レンズの透過率変化/サンプルレンズの透過率変化で表されるものである。
(8)機械的強度試験(JIS静圧試験)
JIS(Japanese Industrial Standard)T 7331:2000の一般的要求事項に記載されている機械的強度を具備しているか、JIS T 7331:2000に記載されている方法で試験を行った。
製造例1
(1)変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子の製造
(a)工程
しゅう酸((COOH)2・2H2O)37.5kgを純水363kgに溶解し、これを500Lの容器にとり、攪拌下70℃まで加温し、35%過酸化水素水150kgと金属スズ(山石金属社製、AT−SN、No200N)75kgを添加した。
過酸化水素水と金属スズの添加は交互に行った。初めに35%過酸化水素水10kgを次いで金属スズ5kgを添加した。反応が終了するのを待って(5〜10分)この操作を繰り返した。添加に要した時間は2.5時間で、添加終了後、35%過酸化水素水10kg更に添加し、90℃で1時間加熱処理し、反応を終了させた。過酸化水素水と金属スズのモル比はH22/Snは2.60であった。
得られた酸化スズゾルは非常に透明性が良好であった。この酸化スズゾルの収量は、626kgで比重1.154、pH1.56、SnO2濃度は14.9%であった。また、得られたゾルを電子顕微鏡で観察したところ、10〜15nmの球状の分散性の良い粒子であった。このゾルは放置によりやや増粘傾向を示したが、ゲル化は認められず安定であった。
得られたゾル626kgを純水にてSnO2として5重量%に希釈し、イソプロピルアミンを4.66kg添加し、陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに通液、ついで95℃で1hr加熱熟成、さらに陰イオン交換樹脂(Rohm&Haas社製、商品名:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに通液し、アルカリ性の酸化スズゾル2535kgを得た。ついで、得られたゾルを140℃で5hr加熱処理した。
(b)工程
オキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2濃度は17.68重量%)を78.2kg(ZrO2として13.8kg含有する。)に純水300kgおよび35%塩酸3.3kgを添加し、ついで撹拌下に、室温で、(a)工程で得られたアルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル2529kg(SnO2として91.0kg)を添加した。混合液はZrO2/SnO2重量比0.15でコロイド色を有する透明性の良好なゾルであった。
(c)工程
(b)工程で調製した混合液を撹拌下に、95℃で5時間加熱処理を行い、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル3471kgを得た。このゾルはSnO2として2.62重量%、ZrO2として0.40重量%、SnO2+ZrO2として3.01重量%でコロイド色を有するが、透明性は良好であった。
(d)工程
3号珪そう(SiO2として29.3重量%含有する。)49.8kgを純水898kgに溶解し、ついでタングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O(WO3として69.8重量%含有する)10.5kgおよびスズ酸ナトリウムNaSnO3・H2O(SnO2として55.7重量%含有する)13.1kgを溶解した。次いでこれを水素型陽イオン交換樹脂(Rohm&Haas社製、商品名:アンバーライトIR−120B)のカラムに通すことにより酸性の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合ゾル(pH2.0、WO3として0.6重量%、SnO2として0.6重量%、SiO2として1.2重量%を含有し、WO3/SnO2重量比1.0、SiO2/SnO2重量比2.0であった。)1179kgを得た。
(e)工程
(d)工程で調製した酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル1179kg(WO3+SnO2+SiO2として29.2kgを含有する。)に撹拌下に、室温で(c)工程で調製した酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル3471kg(ZrO2+SnO2として104.8kg含有する。)を60分で添加し、10分間撹拌を続行した。得られた混合液は酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子(ZrO2+SnO2)と酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合コロイド粒子(WO3+SnO2+SiO2)の比は(WO3+SnO2+SiO2)/(ZrO2+SnO2)重量比0.25、全金属酸化物は2.9重量%であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
(f)工程
(e)工程で得た混合液4650kgにジイソブチルアミンを2.3kg添加し、水酸基型陰イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに室温で通液、次いで90℃で1hr加熱熟成することにより変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル(希薄液)を得た。このゾルは、pH9.10で、コロイド色は呈するが透明性は良好であった。
(f)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)を、分画分子量10万の限外濾過膜の濾過装置により40〜50℃で濃縮し、高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル358kgを得た。このゾルは全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)31.9重量%で、安定であった。
上記高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性体ゾル358kgに撹拌下に、室温で酒石酸1.1kg、ジイソブチルアミン1.7kg、消泡剤(サンノプコ社製、商品名:SNディフォーマー483)1滴を加え、1時間撹拌した。このゾルを攪拌機付き反応容器で常圧下、メタノール5010リットルを添加しながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル220gを得た。このゾルは比重1.280、pH6.59(水との等重量混合物)、粘度2.1mPa・s、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)は42.8重量%、水分0.43重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は10〜15nmであった。
この水性ゾルを全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)濃度として、46.8重量%まで濃縮したものを、100ccのメスシリンダーに入れ、B型粘度計のNo.1ローターを用い60rpmの回転数で測定した粘度は、6.3mPa・sであった。
このゾルはコロイド色を呈し、透明性が高く、室温で沈降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は1.85であった。
比較製造例1
変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルの製造
<酸化第二スズゾルの調製>金属スズ粉末と塩酸水溶液と過酸化水素水溶液との反応により得られた比重1.420、pH0.40、撹拌直後の粘度32mPa・s、SnO2含量33.0重量%、HCl含量2.56重量%、電子顕微鏡による紡錘状コロイド粒子径10nm以下、BET法による粒子の比表面積120m2/g、この比表面積からの換算粒子径7.2nm、米国コールター社製N4装置による動的光散乱法粒子径107nm、淡黄色透明の酸化第二スズ水性ゾル1200gを水10800gに分散させた後、これにイソプロピルアミン4.8gを加え、次いで、この液を水酸基型陰イオン交換樹脂充填のカラムに通すことにより、アルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル13440gを得た。このゾルは、安定であり、コロイド色を呈しているが、透明性が非常に高く、比重1.029、pH9.80、粘度1.4mPa・s、SnO2含量2.95重量%、イソプロピルアミン含量0.036重量%であった。
(a)工程
試薬のオキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8H2O)を水に溶解して調製したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2として2.0重量%)3043g(ZrO2として60.87g含有する。)に撹拌下に、室温で、上記調製したアルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル10791g(SnO2として409.5g)を添加し、二時間撹拌を続行した。混合液はZrO2/SnO2重量比0.15、pH1.50でコロイド色を有する透明性の良好なゾルであった。
(b)工程(酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルの作製)
(a)工程で調製した混合液を撹拌下に、90℃で5時間加熱処理を行い、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル13834gを得た。このゾルはSnO2として2.96重量%、ZrO2として0.44重量%、SnO2+ZrO2として3.40重量%、pH1.45で、粒子径9.0nm、コロイド色を有するが、透明性は良好であった。
(c)工程(酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルの作製)
3号珪そう(SiO2として29.0重量%含有する。)113gを水2353.7gに溶解し、次いでタングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O(WO3として71重量%含有する。)33.3gおよびスズ酸ナトリウムNaSnO3・H2O(SnO2として55重量%含有する。)42.45gを溶解する。次いでこれを水素型陽イオン交換樹脂のカラムに通すことにより酸性の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル(pH2.1、WO3として0.75重量%、SnO2として0.75重量%、SiO2として1.00重量%を含有し、WO3/SnO2重量比1.0、SiO2/SnO2重量比1.33であり、粒子径2.5nmであった。)3150gを得た。
(d)工程
(c)工程で調製した酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル3150g(WO3+SnO2+SiO2として78.83gを含有する。)に撹拌下に、室温で(b)工程で調製した酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル11592.6g(ZrO2+SnO2として394.1g含有する。)を20分で添加し、30分間撹拌を続行した。得られた混合液は酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド(ZrO2+SnO2)と酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド(WO3+SnO2+SiO2)の比は(WO3+SnO2+SiO2)/(ZrO2+SnO2)重量比0.20、pH2.26、全金属酸化物3.2重量%であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
(e)工程(変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルの作製)
(d)工程で得た混合液14742.6gにジイソブチルアミンを9.5g添加し、次いで水酸基型陰イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに室温で通液、次いで80℃で1時間加熱熟成することにより変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)16288gを得た。このゾルは全金属酸化物2.90重量%、pH10.43で、コロイド色は呈するが透明性は良好であった。
(e)工程で得られた変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)を、分画分子量5万の限外濾過膜の濾過装置により室温で濃縮し、高濃度の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル2182gを得た。このゾルはpH8.71、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)18.3重量%で、安定であった。
上記高濃度の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル2182gに撹拌下に、室温で酒石酸4.0g、ジイソブチルアミン6.0g、消泡剤(前出:SNディフォーマー483)1滴を加え、1時間撹拌した。このゾルを攪拌機付き反応フラスコで常圧下、メタノール20リットルを少しずつ加えながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル1171gを得た。このゾルは比重1.124、pH7.45(水との等重量混合物)、粘度2.3mPa・s、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)32.7重量%、水分0.47重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は10〜15nmであった。このゾルはコロイド色を呈し、透明性が高く、室温で3ケ月放置後も沈降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は1.76であった。
実施例1
(1)コーティング組成物の作製
5℃雰囲気下、製造例1で作製した(A)成分である変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン−酸化珪素複合体メタノールゾル45重量部と(B)成分であるγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン15重量部及びテトラエトキシシラン3重量部とを混合し、1時間攪拌した。その後、0.001モル/L濃度の塩酸4.5重量部を添加し、50時間攪拌した。その後、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)25重量部、ダイアセトンアルコール(DAA)9重量部及び(C)成分であるアルミニウムトリスアセチルアセトネート(AL−AA)1.8重量部、過塩素酸アルミニウム0.05重量部を順次添加し、150時間攪拌した。得られた溶液を0.5μmのフィルターでろ過したものをコーティング組成物とした。
(2)硬化膜の形成
レンズ基材〔HOYA株式会社製,商品名:アイアス(EYAS、屈折率1.60)(ポリチオウレタン系レンズ)〕を60℃、10重量%水酸化ナトリウム水溶液中に300秒間浸漬し、その後、超音波28kHz印加の下、イオン交換水を用いて300秒間洗浄した。最後に、70℃雰囲気下、乾燥させる一連の工程を基材前処理とした。その後、前記コーティング液の中に浸漬させ、浸漬終了後、引き上げ速度20cm/分で引き上げたプラスチックレンズを120℃で1〜2時間加熱処理して硬化膜(ハードコートA層)を形成した。
(3)イオン銃処理
硬化膜上に、表に記載したイオン加速電圧、照射時間、ガス雰囲気下の条件で、イオン銃にてイオン照射を行った。
(4)ハイブリッド膜を有する反射防止膜の形成
前記イオン照射したハードコート層の上に、第1表に示した条件で第1〜7層からなる反射防止膜を形成して、プラスチックレンズを得た。
なお、ハイブリッド層は、図1に示す装置を用いて、無機物質の蒸着と有機物質との蒸着との、二元蒸着として、ほぼ同時に蒸着するように条件を設定した。有機物質の蒸着の際は、外部加熱タンクにて気化し、気化した有機物を、ガスバルブ、マスフローコントローラを使用して、蒸着装置内に導入した。ハイブリッド層を形成する際には、アルゴンガス、酸素ガスとの混合ガスの雰囲気下にてイオンアシスト法を用いた。また、表中「−」と記載されているのは、イオンアシスト法を用いず、通常の真空蒸着法にて層を形成した。なお、表中、M1は無機酸化物、CM1は有機珪素化合物、CM2は珪素非含有有機化合物を表す。
なお、表中に記載されている有機化合物の詳細は次の通りである。
(a) エポライト 70P (プロピレングリコールジグリシジルエーテル、平均分子量約188、共栄社化学(株)製造)
(b) TM2(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製造、商品名「KBM403」)とγ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製造、商品名「KBE903」)を1:1のモル比で混合したもの、混合物の構造は、(H3CO)3−Si−(CH23−O−CH2−CH(OH)−CH2−NH−(CH2)3−Si−(OC2H5)3であり、分子量は約457である。)
(c) エピオールP200(ポリプロピレングリコールグリシジルエーテル、平均分子量約304、日本油脂(株)製造)
(d) デナコールEX920(ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、平均分子量354、長瀬ケムテックス(株)製造)
また、KY-130は防汚膜形成用の「フッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物」(信越シリコーン(株)製造)である。
(5) 撥水膜の形成
フッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物を含有したKY-130(信越シリコーン(株)製)を0.3mlしみ込ませたステンレス製焼結フィルター(メッシュ80〜100μm、18φ×3mm)を真空蒸着装置内にセットし、以下の条件で電子銃を用いて該焼結フィルター全体を加熱処理して、撥水膜を形成した。
(a)真空度:2.3×10-6〜6.0×10-6 Torr
(b)電子銃の条件:加速電圧:6KV、印加電流:40mA、照射面積:3.5×3.5cm平方、蒸着時間:5秒
以上のようにして得た光学材料に関し、上述の物性評価を行った。結果を第2表に示す。
実施例2〜12
第1表に記載する条件で、反射防止膜を施した以外は、全て実施例1と同様にレンズを作製した。ただし、実施例5以降は、基材と硬化膜との間にプライマー層を施した。そのプライマー層の形成方法は次の通りである。
(プライマー層の形成)
ポリエステルタイプのポリオール(住友バイエルウレタン(株)社の商品名、デスモフェンA−670使用)6.65重量部、ブロック型ポリイソシアネート(住友バイエルウレタン(株)社の商品名、BL−3175使用)6.08重量部、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート0.17重量部、レベリング剤としてフッ素系レベリング剤(住友スリーエム(株)社の商品名、フロラードFC−430使用)0.17重量部、および溶媒としてジアセトンアルコール95.71重量部からなる混合物を均一な状態になるまで充分攪拌して得た。かくして得られた液状のプライマーは、前処理としてのアルカリ処理された基体レンズ上に浸漬法(引き上げ速度:24cm/分)にて塗布され、100℃で40分加熱して硬化され、厚さ2〜3μmのプライマー層を形成した。
各実施例で得られた光学部材についての物性評価結果を第2表に記載する。
なお、実施例1〜12により得られたレンズは、干渉縞が発生しなかった。
比較例1
コーティング剤の調製回転子を備えた反応器に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン15重量部と、比較製造例1で得られた変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル49重量部を仕込み、4℃で3時間攪拌したのち、0.001規定の塩酸3.5重量部を徐々に反応器中に滴下し、4℃で48時間攪拌した。次に、これにプロピレングリコールモノメチルエーテル30重量部およびシリコーン系界面活性剤0.04重量部を添加混合し、4℃で3時間攪拌したのちアルミニウムアセチルアセトネート0.60重量部および過塩素酸アルミニウム(アルドリッチ社製)0.05重量部を添加混合した。4℃で3日間攪拌したのち、4℃で2日間静置することにより、コーティング剤を調製した。該コーティング剤を用いて、実施例1と同様にしてレンズ基材アイアスに硬化膜を形成した。さらに、実施例1と同様の反射防止膜を形成し、評価を行った。評価結果を表1に示す。Bayer値は3であった。
比較例2
比較例1において、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン15重量部の代わりに、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン15重量部を用いた以外は、比較例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。Bayer値は3であった。
Figure 2005093465
Figure 2005093465
Figure 2005093465
Figure 2005093465
Figure 2005093465
Figure 2005093465
Figure 2005093465
Figure 2005093465
Figure 2005093465
Figure 2005093465
Figure 2005093465
Figure 2005093465
Figure 2005093465
Figure 2005093465
本発明によれば、審美性、密着性などの諸物性を満足し、かつ、耐擦傷性を向上させた光学部材を得ることができ、かつ該光学部材を効率的に製造することができる。本発明の光学部材は眼鏡用レンズとして特に優れている。

Claims (11)

  1. プラスチック基材、硬化膜、真空蒸着で形成される多層反射防止膜、及び該反射防止膜上に施される撥水膜をこの順に有する光学部材であって、硬化膜は、以下に記す(A)成分と(B)成分を含有するコーティング組成物を原料とし、多層反射防止膜は、反射防止膜中の少なくとも1層が、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム及び酸化ニオブから選ばれる少なくとも1種の無機物質と、常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物とを蒸着原料として形成されるハイブリッド層であり、かつ、撥水膜は、フッ素置換アルキル基含有有機珪素化合物を原料として形成される光学部材。
    (A)金属スズと有機酸と過酸化水素との反応により得られた酸化第二スズのコロイド粒子と、酸化ジルコニウムのコロイド粒子とが、これらの酸化物の重量に基づいてZrO2/SnO2として0.02〜1.0の比率に結合した構造と4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を核として、その表面が0.1〜100のWO3/SnO2重量比と、0.1〜100のSiO2/SnO2重量比、と2〜7nmの粒子径を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆されることによって形成される粒子径4.5〜60nmの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子
    (B)有機珪素化合物
  2. 前記反射防止膜は、基材側から外気側に向って順に、以下の7層構成よりなる請求項1記載の光学部材。
    第1層:常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物と、二酸化珪素を含有する無機物質とを蒸着原料として形成されるハイブリッド層
    第2層:酸化タンタルが第2層を基準にして、少なくとも50重量%含有している層
    第3層:常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物と、二酸化珪素を含有する無機物質とを蒸着原料として形成されるハイブリッド層
    第4層:酸化タンタルが第4層を基準にして、少なくとも50重量%含有している層
    第5層:常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物と、二酸化珪素を含有する無機物質とを蒸着原料として形成されるハイブリッド層
    第6層:酸化タンタルが第6層を基準にして、少なくとも50重量%含有している層
    第7層:常温、常圧下で液体である有機珪素化合物及び/又は常温、常圧下で液体である珪素非含有有機化合物と、二酸化珪素を含有する無機物質とを蒸着原料として形成されるハイブリッド層
  3. 前記ハイブリッド層は前記無機物質と前記有機珪素化合物及び/又は珪素非含有有機化合物をそれぞれ別の蒸着源にて同時に蒸着させることにより形成する請求項1又は2記載の光学部材。
  4. 前記無機物質を、電子銃を用いて加熱することにより気化させ、前記有機珪素化合物及び/又は珪素非含有有機化合物をタンクに貯蔵し、該タンク内で該有機珪素化合物及び/又は珪素非含有有機化合物を加熱することにより気化させ、該無機物質と該有機珪素化合物及び/又は珪素非含有有機化合物を同時に蒸着させる請求項3記載の光学部材。
  5. 前記有機珪素化合物の数平均分子量が、48〜600である請求項1〜4項のいずれか1記載の光学部材。
  6. 前記珪素非含有有機化合物の数平均分子量が、28〜400である請求項1〜5項のいずれか1項記載の光学部材。
  7. 前記有機珪素化合物が以下の一般式(a)〜(d)のいずれかで表される構造を有する請求項1〜6項のいずれか1項記載の光学部材。
    一般式(a):シランまたはシロキサン化合物
    Figure 2005093465
    一般式(b):シラザン化合物
    Figure 2005093465
    一般式(c):シクロシロキサン化合物
    Figure 2005093465
    一般式(d):シクロシラザン化合物
    Figure 2005093465
    (一般式(a)〜(d)において、式中のm、nは、それぞれ独立に0以上の整数を表す。また、X1〜X8はそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜6の炭化水素基(飽和・不飽和双方を含む)、−OR1基、−CH2OR2基、−COOR3基、−OCOR4基、−SR5基、−CH2SR6基、−NR7 2基、または、−CH2NR8 2基(R1〜R8は水素または炭素数1〜6の炭化水素基(炭素原子間の結合において飽和・不飽和双方を含む))
  8. 前記珪素非含有有機化合物が、以下の一般式(e)〜(g)のいずれかで表される構造を有する請求項1〜7項のいずれか1項に記載の光学部材。
    一般式(e):片末端にエポキシ基を有する炭素及び水素を必須成分とする珪素非含有有機化合物
    Figure 2005093465
    一般式(f):両末端にエポキシ基を有する炭素及び水素を必須成分とする珪素非含有有機化合物
    Figure 2005093465
    一般式(g):不飽和結合を含む、炭素及び水素を必須成分とする珪素非含有有機化合物
    Figure 2005093465
    (一般式(e)、(f)において、R9は水素、または酸素を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、R10は炭素数1〜7の酸素を含んでいてもよい二価の炭化水素基を示し、一般式(g)において、X9〜X12はそれぞれ水素、炭素数1〜10の炭化水素基、または炭素数1〜10の炭素及び水素を必須成分とし、さらに酸素及び窒素の少なくとも一方を必須成分とする有機基を示す)
  9. 前記ハイブリッド層の有機珪素化合物及び/又は珪素非含有有機化合物の膜内含有率が、0.02質量%〜25質量%である請求項1〜8項のいずれか1項に記載の光学部材。
  10. 有機珪素化合物は、一般式(I)
    11 kSi(OR124-k …(I)
    (式中、R11は官能基を有する若しくは有しない一価の炭素数1〜20の炭化水素基、R12は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基または炭素数2〜10のアシル基、kは0、1または2を示し、R11が複数ある場合、複数のR11はたがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のOR12はたがいに同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物、及び一般式(II)
    Figure 2005093465
    (式中、R13およびR14は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜4のアルキル基または炭素数2〜4のアシル基、R15およびR16は、それぞれ同一または異なる一価の炭素数1〜5の官能基を有する若しくは有しない炭化水素基、Yは炭素数2〜20の二価の炭化水素基、aおよびbは、それぞれ0または1を示し、複数のR13Oは、たがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のOR14はたがいに同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物およびそれらの加水分解物の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜9項のいずれか1項記載の光学部材。
  11. プラスチック基材は、屈折率1.58〜1.62のポリチオウレタン系樹脂である請求項1〜10項のいずれか1項記載の光学部材。

JP2006511547A 2004-03-29 2005-03-28 反射防止膜を有する光学部材 Expired - Fee Related JP4707656B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006511547A JP4707656B2 (ja) 2004-03-29 2005-03-28 反射防止膜を有する光学部材

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004097156 2004-03-29
JP2004097156 2004-03-29
JP2006511547A JP4707656B2 (ja) 2004-03-29 2005-03-28 反射防止膜を有する光学部材
PCT/JP2005/005679 WO2005093465A1 (ja) 2004-03-29 2005-03-28 反射防止膜を有する光学部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2005093465A1 true JPWO2005093465A1 (ja) 2008-02-14
JP4707656B2 JP4707656B2 (ja) 2011-06-22

Family

ID=35056320

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006511547A Expired - Fee Related JP4707656B2 (ja) 2004-03-29 2005-03-28 反射防止膜を有する光学部材

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4707656B2 (ja)
WO (1) WO2005093465A1 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090311536A1 (en) * 2006-07-14 2009-12-17 Hiroshi Kojima Plastic Lens
JP4815288B2 (ja) * 2006-07-14 2011-11-16 Hoya株式会社 プラスチックレンズ
FR2985255B1 (fr) * 2011-12-28 2015-08-07 Ecole Polytech Article revetu d'un revetement interferentiel ayant des proprietes stables dans le temps.
US9110230B2 (en) 2013-05-07 2015-08-18 Corning Incorporated Scratch-resistant articles with retained optical properties
US9703011B2 (en) 2013-05-07 2017-07-11 Corning Incorporated Scratch-resistant articles with a gradient layer
US9366784B2 (en) 2013-05-07 2016-06-14 Corning Incorporated Low-color scratch-resistant articles with a multilayer optical film
US10160688B2 (en) 2013-09-13 2018-12-25 Corning Incorporated Fracture-resistant layered-substrates and articles including the same
US9335444B2 (en) 2014-05-12 2016-05-10 Corning Incorporated Durable and scratch-resistant anti-reflective articles
US11267973B2 (en) 2014-05-12 2022-03-08 Corning Incorporated Durable anti-reflective articles
US9790593B2 (en) 2014-08-01 2017-10-17 Corning Incorporated Scratch-resistant materials and articles including the same
KR102591067B1 (ko) 2015-09-14 2023-10-18 코닝 인코포레이티드 높은 광 투과율 및 내-스크래치성 반사-방지 제품
EP3351381B1 (en) * 2015-09-14 2020-11-18 AGC Inc. Antifogging article and automobile glass
WO2020037042A1 (en) 2018-08-17 2020-02-20 Corning Incorporated Inorganic oxide articles with thin, durable anti-reflective structures
WO2023022122A1 (ja) * 2021-08-19 2023-02-23 富士フイルム株式会社 組成物、膜、光学フィルタ、光学センサ、画像表示装置および構造体

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6427635A (en) * 1987-07-22 1989-01-30 Nissan Chemical Ind Ltd Preparation of tin oxide sol
JP2000284101A (ja) * 1999-03-30 2000-10-13 Hoya Corp 硬化被膜を有する光学部材
JP2003030007A (ja) * 2001-07-13 2003-01-31 Mitsubishi Electric Corp プログラム開発支援システム及び、プログラム開発支援方法及び、プログラム開発支援プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び、プログラム開発支援プログラム
JP2003329802A (ja) * 2002-05-14 2003-11-19 Hoya Corp 眼鏡レンズの製造方法
JP2004054048A (ja) * 2002-07-22 2004-02-19 Hoya Corp 光学部材及び光学部材用有機蒸着膜

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4362032B2 (ja) * 2001-10-25 2009-11-11 Hoya株式会社 反射防止膜を有する光学部材及びその製造方法
JP4220232B2 (ja) * 2002-12-26 2009-02-04 Hoya株式会社 反射防止膜を有する光学部材

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6427635A (en) * 1987-07-22 1989-01-30 Nissan Chemical Ind Ltd Preparation of tin oxide sol
JP2000284101A (ja) * 1999-03-30 2000-10-13 Hoya Corp 硬化被膜を有する光学部材
JP2003030007A (ja) * 2001-07-13 2003-01-31 Mitsubishi Electric Corp プログラム開発支援システム及び、プログラム開発支援方法及び、プログラム開発支援プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び、プログラム開発支援プログラム
JP2003329802A (ja) * 2002-05-14 2003-11-19 Hoya Corp 眼鏡レンズの製造方法
JP2004054048A (ja) * 2002-07-22 2004-02-19 Hoya Corp 光学部材及び光学部材用有機蒸着膜

Also Published As

Publication number Publication date
WO2005093465A1 (ja) 2005-10-06
JP4707656B2 (ja) 2011-06-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2611093B2 (ja) 硬化膜を有する光学部材
JP5182533B2 (ja) 金属酸化物複合ゾル、コーティング組成物及び光学部材
JP5182532B2 (ja) 変性金属酸化物複合ゾル、コーティング組成物及び光学部材
JP5168469B2 (ja) 酸化ジルコニウム−酸化スズ複合体ゾル、コーティング組成物及び光学部材
JP4707656B2 (ja) 反射防止膜を有する光学部材
JP2001123115A (ja) コーティング組成物及び光学部材
JP3712561B2 (ja) 硬化被膜を有する光学部材
JP4288432B2 (ja) コーティング組成物及び光学部材
EP1568659B1 (en) Modified stannic oxide sol, stannic oxide-zirconium oxide composite sol, coating composition and optical member
JP4287534B2 (ja) コーティング組成物
JP4129600B2 (ja) コーティング組成物及び光学部材
JP4996152B2 (ja) プラスチックレンズの製造方法
JP4510489B2 (ja) コーティング組成物の製造方法
EP1726975B1 (en) Method for producing plastic lens
JP4875839B2 (ja) プラスチックレンズの製造方法及びプラスチックレンズ
JP4591655B2 (ja) コーティング組成物及び光学部材
JP4088720B2 (ja) コーティング組成物及び光学部材
JP3398939B2 (ja) 硬化被膜を有する光学部材及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080306

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101221

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110214

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110308

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110315

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees