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JPWO2005063964A1 - FKBP型PPIase、発現ベクター、形質転換体、融合タンパク質、融合タンパク質の製造方法、目的タンパク質の製造方法、FKBP型PPIaseの精製方法、及び融合タンパク質の精製方法 - Google Patents

FKBP型PPIase、発現ベクター、形質転換体、融合タンパク質、融合タンパク質の製造方法、目的タンパク質の製造方法、FKBP型PPIaseの精製方法、及び融合タンパク質の精製方法 Download PDF

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JPWO2005063964A1
JPWO2005063964A1 JP2005516628A JP2005516628A JPWO2005063964A1 JP WO2005063964 A1 JPWO2005063964 A1 JP WO2005063964A1 JP 2005516628 A JP2005516628 A JP 2005516628A JP 2005516628 A JP2005516628 A JP 2005516628A JP WO2005063964 A1 JPWO2005063964 A1 JP WO2005063964A1
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晃 井手野
西口 直樹
直樹 西口
古谷 昌弘
昌弘 古谷
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

低温から常温域でかつ通常の生化学的な環境下でも十分な活性を示すFKBP型PPIaseの作用により、目的タンパク質を高効率で製造することを課題とする。 メタン生成菌に属する常温性古細菌由来のFKBP型PPIaseの作用により、目的タンパク質を正常型タンパク質として取得する。該FKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質、又は該FKBP型PPIaseと目的タンパク質の共発現により目的タンパク質は正しく折り畳まれる。該融合タンパク質を発現することができるベクターによって、目的タンパク質は高効率で製造される。

Description

本発明は、FKBP型PPIase、発現ベクター、形質転換体、融合タンパク質、融合タンパク質の製造方法、目的タンパク質の製造方法、FKBP型PPIaseの精製方法、及び融合タンパク質の精製方法に関し、さらに詳細には、低温から常温域でかつ通常の生化学的な環境下でも十分な活性を示すFKBP型PPIase、該FKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質を発現することができる発現ベクター、該発現ベクターを含有する形質転換体、FKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質とその製造方法、該FKBP型PPIaseを利用した目的タンパク質の製造方法、疎水性相互作用クロマトグラフィーによる該PPIaseの精製方法、及び疎水性相互作用クロマトグラフィーによる該融合タンパク質の精製方法に関する。
近年、種々の生物のゲノム解析が終了しつつあり、今後の研究は、遺伝子の発現産物であるタンパク質の網羅的な機能解析へと進むものと考えられている。即ち、個々のタンパク質の性質を明らかにするとともに、タンパク質同士の相互作用を網羅的に解析することで、生命現象解明の一助としようとする研究が急速に増加しつつある。なかでも、各種の生理活性物質と特異的に結合し、その作用を伝達する細胞内受容体タンパク質は、その受容体タンパク質と結合する活性物質が新規医薬品の候補物質となり得ることから、その3次元構造決定に重大な関心が持たれている。
タンパク質の性質を決定しようとする場合は、そのタンパク質を組換えDNA技術によって大量に合成し、解析試料とすることが多い。即ち、目的タンパク質をコードする遺伝子を発現ベクターに組み込み、該発現ベクターをバクテリア、酵母、昆虫細胞等の宿主に導入し、宿主内で目的タンパク質の遺伝子を発現させ、得られた組換えタンパク質の性質を調べる方法が一般的である。しかし、タンパク質の性質を正確に評価するためには、一次構造のみならず三次元的な立体構造が極めて重要であるところ、上記のようにして得られた組換えタンパク質においては、宿主内で折り畳み反応が正しく行われず、正しい立体構造を有しない異常型タンパク質としてしか得られないケースにしばしば遭遇する。さらに、このような異常型タンパク質は可溶性ではなく封入体と呼ばれる不溶性の凝集体として得られることが多い。例えば、目的タンパク質が抗体の場合、大腸菌を宿主とすると、合成された組換えタンパク質のほとんどが不溶性の封入体となることが知られている(非特許文献1)。また、細胞内受容体タンパク質のように、元々は生体膜の表面上または内部に埋もれて存在しているタンパク質が目的タンパク質である場合も、組換えタンパク質として発現させると封入体になりやすい。
また、組換えタンパク質が宿主細胞のプロテアーゼにより分解されたりしてしまい、解析対象の目的タンパク質がほとんど得られない場合もある。さらに、目的タンパク質が細胞に対する毒性を示す場合には、組換えタンパク質は発現にすら至らないこともある。
封入体となった異常型タンパク質を折り畳み直して正しい立体構造に戻す方法としては、封入体を高濃度の塩酸グアニジンや尿素等で可溶化した後、適当な緩衝液等で30〜100倍程度に希釈する方法が知られている。例えば、特許文献1には、封入体を含む希釈した緩衝液中にタンパク質の折り畳みを促進する機能を有するシャペロニンを含有させることで、異常型タンパク質を正しく折り畳み、目的タンパク質を正常型タンパク質として取得する方法が記載されている。しかしながら、いったん封入体となった異常型タンパク質を折り畳み直して正しい立体構造に戻すことは予想以上に困難であり、上記した方法でもなかなか成功しないのが現実である。さらに、シャペロニンは、折り畳み反応の際に高エネルギー物質であるATP等のヌクレオチド3リン酸を必要とし、経済的に不利である。また、シャペロニンは分子量80万〜100万の巨大な分子であるので、折り畳み反応に用いるには重量比にすると極めて多大な量が必要とされ、やはり経済的に不利である。
また、目的タンパク質を、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、マルトース結合蛋白質(MBP)、NusAなどの作用により正常型タンパク質として取得する方法が提案されているが、いずれもその効果は十分とはいえない。
一方、発現産物の収量を向上させることを目的とした方法もいくつか開示されている。特許文献2には、分子シャペロンの一つであるシャペロニンの部分断片と目的タンパク質(目的ポリペプチド)とを融合させることにより、目的タンパク質の収量を増大させる方法が開示されている。さらに、シグナルペプチドを目的タンパク質に付与し、例えば大腸菌のペリプラズム領域に分泌発現させれば、通常は封入体となる目的タンパク質が可溶性タンパク質として発現できることが開示されている。しかしながら、ペリプラズム領域への発現する場合は発現産物の収量が少ないだけでなく、可溶化効率自体も不十分である。
ペプチジル−プロリル シス−トランス イソメラーゼ(Peptidyl−prolyl cis−trans isomerase。以下、「PPIase」と称する。)は、タンパク質の折り畳みに関与する折り畳み因子の1つであり、細胞内で折り畳み途上のタンパク質中のアミノ酸のうち、プロリン残基のN末端側ペプチド結合のシス−トランス異性化反応を触媒する活性(PPIase活性)を有するものである。そして、至適生育温度が55℃以上である好熱性古細菌又は超好熱性古細菌に由来するFKBP(FK506 Binding Protein)型PPIaseは、PPIase活性のみならず、分子シャペロン活性を有することが知られている。ここで、「分子シャペロン活性」とは、タンパク質の不可逆的凝集を抑制すると同時に、変性タンパク質の再折り畳みを促進させる活性と定義される。そして、この分子シャペロン活性を有するFKBP型PPIaseを用いて、正常型のタンパク質を得る方法が提案されている(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。この好熱性古細菌又は超好熱性古細菌由来FKBP型PPIaseが有する分子シャペロン活性は、シャペロニンが有する分子シャペロン活性と異なり、その活性発現にATP等の高エネルギー物質を必要としない点で優れている。
特開平9−220092号公報 国際公開00/075346号パンフレット プルックサン(Pluckthun)、バイオテクノロジー(Biotechnology)、第9巻、第545頁〜、1991年 古谷(Furutani)、バイオケミストリー(Biochemistry)、第39巻、第453頁〜、2000年 井手野(Ideno)、ユーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Eur.J.Biochem.)、第267巻、第3139頁〜、2000年 井手野(Ideno)、バイオケミカル・ジャーナル(Biochem.J.)、第357巻、第465頁〜、2001年 井手野(Ideno)、アプライド・エンバイロンメンタル・マイクロバイオロジー(Appl.Env.Microbiol.)、第68巻、第464頁−、2002年
通常、タンパク質を取り扱う際には、熱失活を避けるために低温から常温域、具体的には4〜37℃程度の温度域で取り扱うことが多い。また、大腸菌や酵母等の宿主を用いて組換えタンパク質を生産する場合は、宿主の至適生育温度である25〜37℃で生産する場合が多い。しかし、上記した好熱性古細菌又は超好熱性古細菌の至適生育温度は55℃以上であり、それらの古細菌由来のFKBP型PPIaseの最大活性を示す温度も55℃以上と考えられる。よって、これらのFKBP型PPIaseは低温から常温域での活性が高くなく、試験管内又は宿主内で目的タンパク質を正しく折り畳むには不適である。一方、常温性の古細菌としては高度好塩菌が知られている。すなわち、好度好塩菌は37℃前後に至適生育温度域を有しているため、同菌由来のFKBP型PPIaseは低温から常温域での高い活性が期待される。しかしながら、高度好塩菌の菌体内は1〜3M程度という高い塩濃度に保たれているため、その高度好塩菌が有するタンパク質も高い塩濃度下でのみ活性を示すものが多く、通常の生化学的な環境下でも十分な活性を示すかは不明である。他方、他の常温性の古細菌としては、メタン生成能を有するメタン生成菌が知られている。しかし、メタン生成菌由来のFKBP型PPIaseは未だ単離されておらず、その作用や物理化学的性質についても定かではない。
本発明の目的は、低温から常温域でかつ通常の生化学的な環境下でも十分な活性を示すFKBP型PPIaseを提供することにあり、さらに、該FKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質を発現することができる発現ベクター、該発現ベクターを含有する形質転換体、FKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質の製造方法、該FKBP型PPIaseを利用した目的タンパク質の製造方法、該PPIaseの精製方法、及び該融合タンパク質の精製方法を提供することも本発明の目的である。
本発明者らは、鋭意検討の結果、メタン生成菌に属する常温性古細菌由来のFKBP型PPIaseを単離し、該FKBP型PPIaseが分子シャペロン活性を有しており、低温から常温域でかつ通常の生化学的な環境下でも十分な活性を示すことを見出した。さらに、該FKBP型PPIaseの中でも特定のアミノ酸配列を有するもの、また、その中でも特に、特定のアミノ酸配列を欠失または元来保有しないものは、極めて高い分子シャペロン活性を有することを見いだした。さらに、該FKBP型PPIaseを目的タンパク質に作用させることによって、極めて高効率で目的タンパク質を正しく折り畳むことができることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)メタン生成菌に属する常温性古細菌に由来することを特徴とするFKBP型PPIase、
(2)上記常温性古細菌は、Methanosarcina属古細菌であることを特徴とする(1)記載のFKBP型PPIase、
(3)ショートタイプFKBP型PPIaseであることを特徴とする(1)又は(2)記載のFKBP型PPIase、
(4)配列番号1、2又は3で表されるアミノ酸配列からなるモチーフを、その一部に含むアミノ酸配列を有することを特徴とする(1)、(2)又は(3)記載のFKBP型PPIase、
(5)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるモチーフを、そのN末端領域に含まないアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項(1)、(2)、(3)又は(4)記載のPPIase、
(6)配列番号6に記載のアミノ酸配列を有することを特徴とするFKBP型PPIase、
(7)配列番号8に記載のアミノ酸配列を有することを特徴とするFKBP型PPIase、
(8)配列番号10に記載のアミノ酸配列を有することを特徴とするFKBP型PPIase、
(9)ロングタイプFKBP型PPIaseであることを特徴とする(1)又は(2)記載のFKBP型PPIase、
(10)配列番号18に記載のアミノ酸配列を有することを特徴とするFKBP型PPIase、
(11)(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)又は(10)記載のFKBP型PPIaseと実質的に同一のアミノ酸配列を有し、かつ、実質的に同一の活性を有することを特徴とするFKBP型PPIase。
さらに、
(12)(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)又は(11)記載のFKBP型PPIaseをコードする第1コード領域と、少なくとも1つの制限酵素サイトを有し、前記制限酵素サイトに目的タンパク質をコードする第2コード領域を挿入することによりFKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質を発現することができることを特徴とする発現ベクター、
(13)上記制限酵素サイトは、前記第1コード領域の下流に位置することを特徴とする(12)記載の発現ベクター、
(14)上記第1コード領域と前記制限酵素サイトの間に、ペプチドリンカーをコードする塩基配列を有することを特徴とする(12)又は(13)記載の発現ベクター、
(15)上記ペプチドリンカーは、プロテアーゼ消化アミノ酸配列を含むことを特徴とする(14)記載の発現ベクター、
(16)(12)、(13)、(14)又は(15)に記載の発現ベクターの制限酵素サイトに、目的タンパク質をコードする第2コード領域が組み込まれていることを特徴とする発現ベクター、
(17)上記第2コード領域は、抗体又は抗体の部分断片をコードする遺伝子であることを特徴とする(16)記載の発現ベクター、
(18)上記第2コード領域は、細胞内受容体タンパク質をコードする遺伝子であることを特徴とする(16)記載の発現ベクター、
(19)(16)、(17)又は(18)記載の発現ベクターを含有することを特徴とする形質転換体、
(20)宿主が大腸菌であることを特徴とする(19)記載の形質転換体。
さらに、
(21)(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)又は(11)記載のFKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質、
(22)上記FKBP型PPIaseと前記目的タンパク質との間にプロテアーゼ消化アミノ酸配列を有することを特徴とする(21)記載の融合タンパク質、
(23)(16)記載の発現ベクターに組み込まれた第1コード領域及び第2コード領域を転写及び翻訳させ、FKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質を合成することを特徴とする融合タンパク質の製造方法、
(24)(16)記載の発現ベクターに組み込まれた第1コード領域及び第2コード領域を転写及び翻訳させ、FKBP型PPIaseと目的タンパク質の融合タンパク質を合成し、次いで、該融合タンパク質から目的タンパク質を切り出すことを特徴とする目的タンパク質の製造方法、
(25)前記発現ベクターは第1コード領域と第2コード領域の間にプロテアーゼ消化アミノ酸配列をコードする塩基配列を有し、第1コード領域と、プロテアーゼ消化アミノ酸配列をコードする塩基配列と、第2コード領域とを転写及び翻訳させ、FKBP型PPIaseと目的タンパク質との間にプロテアーゼ消化アミノ酸配列を有する融合タンパク質を合成し、該融合タンパク質に該プロテアーゼを作用させることにより目的タンパク質を切り出すことを特徴とする(24)に記載の目的タンパク質の製造方法、
(26)(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)又は(11)記載のFKBP型PPIaseをコードする遺伝子と目的タンパク質をコードする遺伝子を同一宿主内で共発現させることにより、宿主内で目的タンパク質にFKBP型PPIaseを作用させ、目的タンパク質を可溶化し、宿主の可溶画分から目的タンパク質を採取することを特徴とする目的タンパク質の製造方法、
(27)(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)又は(11)記載のFKBP型PPIaseを含む試料を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供することにより、該FKBP型PPIase以外の成分を除去することを特徴とするFKBP型PPIaseの精製方法、
(28)(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)又は(11)記載のFKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質を含む試料を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供することにより、該融合タンパク質以外の成分を除去することを特徴とする融合タンパク質の精製方法。
本発明のFKBP型PPIaseによれば、低温から常温域でかつ通常の生化学的な環境下でも効率的に目的タンパク質を折り畳むことができる。
本発明の発現ベクターによれば、FKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質を発現することができ、目的タンパク質は低温から常温域でかつ通常の生化学的な環境下でも効率的に折り畳まれる。
本発明の形質転換体によれば、低温から常温域でかつ通常の生化学的な環境下でも十分な活性を示すFKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質を生産することができる。
本発明の融合タンパク質によれば、目的タンパク質は低温から常温域でかつ通常の生化学的な環境下でも効率的に折り畳まれる。
本発明の融合タンパク質の製造方法によれば、本発明の融合タンパク質を効率よく製造することができる。
本発明の目的タンパク質の製造方法によれば、正しく折り畳まれた目的タンパク質を高効率で製造することができる。
本発明のFKBP型PPIaseの精製方法によれば、低温から常温域でかつ通常の生化学的な環境下で高い活性を示すFKBP型PPIaseを簡便に精製することができる。
本発明の融合タンパク質の精製方法によれば、目的タンパク質の製造に有用な融合タンパク質を簡便に精製することができる。
[図1]メタン生成菌に属する古細菌由来の9種のショートタイプFKBP型PPIaseのアミノ酸配列を並べて比較した図である。
[図2]実施例1で構築した発現ベクターpMm18F2の構成を表す模式図である。
[図3]実施例5でMaFKBP17.8を製造した結果を表すSDS−PAGE/CBBのゲルの写真である。
[図4]実施例8でMaFKBP28.0を製造した結果を表すSDS−PAGE/CBBのゲルの写真である。
[図5]実施例9で行ったMaFKBP17.8の分子シャペロン活性の評価結果を表すグラフである。
[図6]実施例10におけるSDS−PAGE/CBBのゲルの写真であり、図6(a)は融合タンパク質を製造した結果を表し、図6(b)はロダネーゼを製造した結果を表し、図6(c)は比較例の結果を表す。
[図7]実施例15、16及び17におけるSDS−PAGE/CBBのゲルの写真であり、図7(a)は実施例15で融合タンパク質を製造した結果を表し、図7(b)は実施例16で融合タンパク質を製造した結果を表し、図7(c)は実施例17で融合タンパク質を製造した結果を表す。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、詳しく説明する。
本発明のFKBP型PPIaseの一つは、メタン生成菌に属する常温性古細菌に由来するものである。ここで、「常温性古細菌」とは常温菌(中温菌ともいう)のうち古細菌に属する生物種を指し、Madiganらの分類法によると、一般に、至適生育温度が20〜45℃である古細菌を指す(Madigan,M.T.et al.,1997,“Block Biology of Microorganizm”8th ed.,Prentice Hall,New York)。また、この場合の「至適生育温度」とは、その微生物の増殖速度が最も早められる温度を指す。メタン生成菌に属する常温性古細菌としては、特に限定されず、例えば、Methanosarcina属、Methanobacterium属、Methanosphaera属、Methanococcus属、Methanocaldococcus属、及びMethanoignis属、並びにMethanomicrobiales目等に属する古細菌が挙げられる。特に、Methanosarcina属に属する古細菌、とりわけ、Mathanosarcina barkeri 、Methanosarcina mazei、及びMethanosarcina acetivorans由来のFKBP型PPIaseは、低温から常温域でかつ通常の生化学的な環境下において、PPIase活性及び/又は分子シャペロン活性が高く、好適である。なお、本発明のFKBP型PPIaseのタンパク質折り畳み作用は、その分子シャペロン活性によるところが大きいと考えられるが、PPIase活性も寄与している。
一般に、FKBP型PPIaseは、分子量が16〜18kDa程度のショートタイプFKBP型PPIaseと、分子量が26〜33kDa程度のロングタイプFKBP型PPIaseとに大別される。そして、FKBP型PPIaseは、これまでの解析の結果、ショートタイプとロングタイプのいずれもが分子シャペロン活性を有するが、PPIase活性については、ショートタイプFKBP型PPIaseの方がより高いことが知られている。さらに、古細菌由来FKBP型PPIaseは、ショートタイプ及びロングタイプのいずれも、PPIase活性及びFK506結合活性を担うFKBPドメインを有し、FKBPドメイン中に古細菌FKBP型PPIaseに特徴的なバルジ領域及びフラップ領域の2つの挿入配列を有していることが特徴である(Maruyama T,Suzuki R,Furutani M.,Front Biosci.(2004)9:1680−720)。そして、ロングタイプ古細菌由来FKBP型PPIaseは、上記2つの挿入配列を有するFKBPドメインのC末端側に、約100〜150アミノ酸からなるC末端ドメインを有する。本発明のFKBP型PPIaseは、ショートタイプ、ロングタイプのいずれでもよい。
また、本発明のFKBP型PPIaseでショートタイプのものは、配列番号1、2又は3で表されるアミノ酸配列(以下、「コンセンサス配列B」と称する。)からなるモチーフを、その一部に含むアミノ酸配列を有することが好ましい。なお、配列番号1、2又は3で表されるアミノ酸配列中のXaaは任意のアミノ酸で、それらは互いに異なるアミノ酸でもよいし、同じアミノ酸でもよい。コンセンサス配列Bは、配列番号1、2又は3の他に、下記一般式(I)で表すこともできる。
Figure 2005063964
さらに、本発明のFKBP型PPIaseでショートタイプのものは、配列番号4で表されるアミノ酸配列(以下、「コンセンサス配列A」と称する。)からなるモチーフを、そのN末端領域に含まないことが好ましい。ここで、N末端領域とは、そのタンパク質のN末端から略40アミノ酸残基までの領域をいう。
本発明者らは、メタン生成菌に属する常温性古細菌由来の9種のショートタイプFKBP型PPIaseのアミノ酸配列(遺伝子の塩基配列からの推定)を比較し、上記したコンセンサス配列の有無により3つのグループに分類されることを見出した。すなわち、グループ1のショートタイプFKBP型PPIaseは、コンセンサス配列AをそのN末端領域に含まないが、コンセンサス配列Bをそのアミノ酸配列中に含むものである。また、グループ2ショートタイプFKBP型PPIaseは、コンセンサス配列AそのN末端領域に含まないが、コンセンサス配列BのPheが他のアミノ酸に置き換わったアミノ酸配列をそのアミノ酸配列中に含むものである。また、グループ3のショートタイプFKBP型PPIaseは、コンセンサス配列AをそのN末端領域に含み、かつコンセンサス配列Bもそのアミノ酸配列中に含むものである。これらのグループ1、グループ2及びグループ3のFKBP型PPIaseのアミノ酸配列を並べて比較した図を図1に示す。なお、図1においてはアミノ酸配列を1文字表記で表している。
図1において、MaFKBP17.8はMethanosarcina acetivorans由来のグループ1型ショートタイプFKBP型PPIase(配列番号8)、MmFKBP18.0はMethanosarcina mazei由来のグループ1型ショートタイプFKBP型PPIase(配列番号6)、MbFKBP19はMathanosarcina barkeri由来のグループ1型ショートタイプFKBP型PPIase(配列番号10)である。また、MbFKBP21はM.barkeri由来のグループ3型ショートタイプFKBP型PPIase(配列番号11)、MmFKBP17.9はM.mazei由来のグループ3型ショートタイプFKBP型PPIase(配列番号12)、MaFKBP19はM.acetivorans由来のグループ3型ショートタイプFKBP型PPIase(配列番号13)である。また、MaFKBP18.2はM.acetivorans由来のグループ2型ショートタイプFKBP型PPIase(配列番号14)、MmFKBP18.2はM.mazei由来のグループ2型ショートタイプFKBP型PPIase(配列番号15)、MbFKBP18はM.barkeri由来のグループ2型ショートタイプFKBP型PPIase(配列番号16)である。
各コンセンサス配列についてさらに詳しく説明する。まずコンセンサス配列Bは、図1で囲んで示した各アミノ酸配列のC末端側の配列、「D*NH*LAG****F」(*は任意のアミノ酸)に対応するアミノ酸配列である。このコンセンサス配列Bを一般化すると、Asp−A−Asn−His−B−Leu−Ala−Gly−X−Phe(Aは任意のアミノ酸、Bは任意のアミノ酸、Xは3〜5個の任意のアミノ酸からなるペプチド)と表現することができ、これは、配列番号1、2又は3で表されるアミノ酸配列と同じである。このコンセンサス配列Bは、古細菌由来FKBP型PPIaseに見られる特徴的なモチーフである。このコンセンサス配列Bの中で重要なアミノ酸はC末端のPheであり、前述の通り、本箇所のアミノ酸の種類によってショートタイプFKBP型PPIaseを、グループ1とグループ2に分類することができる。なお、コンセンサス配列BのXは、3〜5個の任意のアミノ酸からなるペプチドであるが、図1の例のように4個のアミノ酸からなる場合が多い。
一方、コンセンサス配列Aは、図1で囲んで示したグループ3のN末端側の配列、「GSGC」に対応するアミノ酸配列である。これは、配列番号4で表されるアミノ酸配列Gly−Ser−Gly−Cysである。このコンセンサス配列Aは、一部の常温性古細菌由来FKBP型PPIaseのN末端に近い領域に見られるモチーフであり、前述の通り、本モチーフの有無によってショートタイプFKBP型PPIaseをグループ3とその他のグループに分類することができる。すなわち、本モチーフを有するショートタイプFKBP型PPIaseは、グループ3に属する。本発明のFKBP型PPIaseにおいては、コンセンサス配列Bを有するグループ1が特に好ましく、さらに、コンセンサス配列BをN末端領域に有さないことが好ましい。なお、グループ3のショートタイプFKBP型PPIaseであっても、そのN末端領域を改変又は欠失させることによってコンセンサス配列Aを除去すれば、グループ1のショートタイプFKBP型PPIaseに変換することができる。
これらのショートタイプFKBP型PPIaseのなかでも、グループ1のFKBP型PPIaseは、グループ2又はグループ3のFKBP型PPIaseに比べて、その分子シャペロン活性が高い。このようなグループ1のFKBP型PPIaseは、例えば、上述のM.mazei、M.acetivorans、M.barkeri等のMethanosarcina属細菌に属する古細菌が有している。ここで、M.mazeiに由来するグループ1型ショートタイプFKBP型PPIaseをコードする遺伝子の塩基配列と推定されるアミノ酸配列を配列番号5に、アミノ酸配列のみを配列番号6に示す。同様に、M.acetivoransに由来するグループ1型ショートタイプFKBP型PPIaseをコードする遺伝子の塩基配列と推定されるアミノ酸配列を配列番号7に、アミノ酸配列のみを配列番号8に示す。また同様に、M.barkeriに由来するグループ1型ショートタイプFKBP型PPIaseをコードする遺伝子の塩基配列と推定されるアミノ酸配列を配列番号9に、アミノ酸配列のみを配列番号10に示す。
一方、本発明のFKBP型PPIaseのうち、ロングタイプの例として、Methanosarcina acetivoransに由来するロングタイプFKBP型PPIaseをコードする遺伝子の塩基配列と推定されるアミノ酸配列を配列番号17に、アミノ酸配列のみを配列番号18に示す。
本発明のFKBP型PPIaseと実質的に同一のアミノ酸配列を有し、かつ、実質的に同一の活性を有するFKBP型PPIaseもまた、本発明の1つである。ここで、「実質的に同一のアミノ酸配列を有する」とは、アミノ酸配列中の1又は2個以上(好ましくは1〜10個程度、より好ましくは1〜5個程度)のアミノ酸が欠失したもの、アミノ酸配列に1又は2個以上(好ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは1〜5個程度)のアミノ酸が付加したもの、アミノ酸配列中の1又は2個以上(好ましくは1〜10個程度、より好ましくは1〜5個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたもの等を意味する。また、実質的に同一のアミノ酸配列を有するとは、相同性が少なくとも50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上であることを意味する。なお、アミノ酸配列の相同性は、例えば、CulustalW等の市販の多重整列プログラムを用いて計算することができる。
また、「実質的に同一の活性」とは、分子シャペロン活性及び/又はPPIase活性が実質的に同一であることを指す。なお、分子シャペロン活性の評価は、例えば、ロダネーゼ、クエン酸合成酵素、リンゴ酸脱水素酵素、グルコース−6−リン酸脱水素酵素等をモデル酵素とし、これを6M塩酸グアニジン等のタンパク質変性剤で変性処理後、検定対象物質を含む緩衝液で変性剤を希釈した際に開始する変性タンパク質の再生率や、変性タンパク質の凝集の抑制率を測定することにより行うことができる(河田、バイオサイエンスとインダストリー 56,593−、1998年;Horowitz、Methods Mol.Biol.40、361−、1995年;Taguchi、J.Biol.Chem.269、8529−、1994年)。また、PPIase活性の評価は、例えば、キモトリプシンカップリング法(J.Bacteriol.1998,180(2):388−394)により行なうことができる。
本発明の発現ベクターは、上記した本発明のFKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質を発現できるものである。すなわち、本発明の発現ベクターは、本発明のFKBP型PPIaseをコードする第1コード領域と、少なくとも1つの制限酵素サイトを有するものであり、この制限酵素サイトに目的タンパク質をコードする第2コード領域を挿入することによりFKBP型PPIaseと目的タンパク質の融合タンパク質を発現することができる。ここで、融合タンパク質が発現できるということは、換言すれば、制限酵素サイトは、第1コード領域と同じ解読枠内に位置しているということである。さらに換言すれば、該制限酵素サイトに第2コード領域を挿入したときに、第1コード領域と第2コード領域の解読枠が一致しており、かつ第1コード領域と第2コード領域の間に終止コドンが存在しないということである。なお、制限酵素サイトの位置は第1コード領域の上流でもよいし下流でもよい。制限酵素サイトが第1コード領域の下流にあるときは、第1コード領域はプロモーターに有効に連結していることが必要である。そのような発現ベクターによれば、該プロモーターによって第1コード領域から転写が開始され、N末端側がFKBP型PPIaseでC末端側が目的タンパク質である融合タンパク質を発現することができる。
上記プロモーターとしては、用いる発現系に応じて適宜選択すればよく、宿主内で発現させる場合は、その宿主に適合したものを用いればよい。宿主が大腸菌であれば、例えば、Placプロモーター、Ptacプロモーター、xylAプロモーター、AraBプロモーター、lambdaプロモーター、T7プロモーター等を用いることができる。ほ乳細胞系によって発現させる場合は、ほ乳類細胞のゲノムから単離された、例えばマウスメタロチオネインプロモーター等のプロモーターや、これらの細胞で成長するウイルスから単離された、例えばバキュロウイルスプロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター等のプロモーターを用いることができる。
本発明の発現ベクターにおいては、さらに、第1コード領域と前記制限酵素サイトの間にペプチドリンカーとなる塩基配列を有してもよい。そのようなペプチドリンカーの代表例はプロテアーゼ消化アミノ酸配列である。すなわち、本発明の発現ベクターにおいては、第1コード領域と前記制限酵素サイトとの間にプロテアーゼ消化アミノ酸配列をコードする塩基配列を有することが好ましい。該プロテアーゼ消化アミノ酸配列をコードする塩基配列は、第1コード領域及び第2コード領域と同じ解読枠内で転写・翻訳され、プロテアーゼ消化アミノ酸配列となる。すなわち、本実施形態の発現ベクターによれば、FKBP型PPIaseと目的タンパク質とがプロテアーゼ消化アミノ酸配列を介して連結された融合タンパク質を発現することができる。そして、該融合タンパク質に対応のプロテアーゼを作用させることにより、目的タンパク質を切り出すことができる。
上記プロテアーゼとしては特に限定されず、例えば、トロンビン、ファクターXa、プレシジョンプロテアーゼ、エンテロキナーゼ等が挙げられる。これらのプロテアーゼとしては、例えば、市販されているものを用いることができる。また、プロテアーゼ認識アミノ酸配列以外のペプチドリンカーとしては、例えば、インテインの自己切断アミノ酸配列が挙げられる。すなわち、インティンの自己タンパク質スプライシング機能を利用して融合タンパク質から目的タンパク質を切り出すことができる。なお、ペプチドリンカーをコードする塩基配列の長さは特に限定されないが、15〜90塩基程度であることが好ましく、翻訳されてグリシンやセリン等の中性アミノ酸となる塩基配列を多く含むことが好ましい。
本発明の発現ベクターは、さらに、他の従来公知の塩基配列を含んでいてもよい。上記他の従来公知の塩基配列としては特に限定されず、例えば、発現産物の安定性を付与する安定性リーダー配列、発現産物の分泌を付与するシグナル配列、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子等の形質転換された宿主において表現型選択を付与することが可能なマーキング配列等が挙げられる。
上記した発現ベクターの制限酵素サイトに、目的タンパク質をコードする第2コード領域がすでに組み込まれている発現ベクターも、本発明の1つである。このような発現ベクターによれば、第2コード領域を組み込む操作が不要であり、そのまま転写・翻訳させることによりFKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質を製造することができる。第2コード領域にコードされる目的タンパク質としては、例えば、抗体又は抗体の部分断片が挙げられる。抗体の部分断片としては、Fab、Single chain Fv(scFv)、Fc、抗体の各ドメインの2個以上の断片がペプチド結合で連結したポリペプチド等が挙げられる。また、上記抗体の由来動物やサブクラスは何でもよい。このように、抗体又は抗体の部分断片をコードする第2コード領域を含むベクターを使用すると、大腸菌等の宿主内で発現させても封入体とならず、正しく折り畳まれた抗体を得ることができる。その結果、従来のように動物を用いて抗体を作らせる必要がなく、より簡便かつ大量に抗体を得ることができる。なお、抗体をコードする遺伝子は、例えば、ハイブリドーマから調製することができる。そして、単一のハイブリドーマから得られる抗体をコードする遺伝子は単一であるので、得られる抗体はモノクローナルな抗体である。一方、ポリクローナルな抗体を取得する場合は、例えば、複数種のハイブリドーマからそれぞれ抗体をコードする遺伝子を取得し、それらの遺伝子を別々のベクターに組み込み、別々の形質転換体を作製し、それらの形質転換体を混合培養すればよい。
第2コード領域にコードされる目的タンパク質の他の例としては、細胞内受容体タンパク質が挙げられる。生理活性物質を受容する細胞内受容体タンパク質は、ほとんどが生体膜中に存在する。これらの細胞内受容体タンパク質は細胞外の様々な物質に選択的に応答し、細胞内に多彩なシグナルを伝達することから、その機能を解明することが創薬に直接繋がるとして非常に注目されている。これらの細胞内受容体タンパク質は構造的によく保存されたファミリーを形成しており、大きく分けて、イオンチャネル内在型、チロシンカイネース型、及びGタンパク質共役型の3つに分類される。
イオンチャネル内在型は、リガンドが受容体に結合すると、受容体そのものに存在するイオンチャネルが開き、NaやCa2+等を細胞内外のイオン勾配を利用して細胞内に移動させるタイプである。チロシンカイネース型は、リガンドの結合をリン酸化活性の上昇に転換させ、一連のカスケードを引き起こすことによりシグナルを増幅する。Gタンパク質共役型は、受容体自身はイオンチャネルや酵素活性を持たず、リガンドの結合による情報をGタンパク質を介して細胞内に伝達する。
細胞内受容体タンパク質を標的とした医薬品は数多く開発されているが、その多くがGタンパク質共役型受容体(GPCR)をターゲットとしている。したがって、GPCRの内因性リガンドを特定し、さらにその機能及び構造を明らかにすることによって、迅速な医薬品開発が可能になることが期待できる。これらのリガンドスクリーニングや構造解析のための結晶化や重水素化のためにはGPCRの大量発現技術の開発が不可欠であるが、これまでGPCRの発現は大腸菌や酵母では不可能であるとされてきており、主にCHOやCOS−7、HEKのような動物培養細胞で発現した微量なサンプルを用いて様々な分析を行っているのが現状であった。しかし、本発明の発現ベクターによれば、細胞内受容体タンパク質についても、大腸菌等を用いて組換え型タンパク質を安価に、かつ、大量に製造することができる。
本発明の形質転換体は、上記した発現ベクターのうち、第2コード領域がすでに組み込まれている発現ベクターを含有するものである。本発明の形質転換体を培養することにより、FKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質を製造することができる。本発明の形質転換体の元となる宿主は、本発明の発現ベクターの特性と適合するものであれば特に制限はなく、例えば、細菌等の原核生物、酵母、真菌、植物、昆虫細胞、ほ乳類細胞等が挙げられる。ここで、宿主が発現ベクターの特性と適合するとは、宿主内においてその発現ベクターが複製可能であり、かつ第1コード領域と第2コード領域を転写・翻訳できるということである。特に、転写が正常に行われるためには、発現ベクター上のプロモーターが正常に働く宿主を選択することが必要である。
上記宿主のうち、大腸菌はその取り扱いが容易であり、かつ宿主ベクター系も充実しているので特に好適である。大腸菌を宿主として用いる場合、発現ベクターから転写・翻訳される融合タンパク質は、細胞質に発現させてもよいし、ペリプラズム領域に発現させてもよい。ペリプラズム領域に融合タンパク質を発現させる場合は、融合タンパク質の5’末端にシグナル配列が付加されるように発現ベクターを構築し、大腸菌に導入すればよい。
本発明の形質転換体を作成する際の、発現ベクターを宿主に導入する方法は、公知の種々の方法を用いることができ、例えば、リン酸カルシウム沈殿法、電気穿孔、リポソーム融合、核注入、ウイルス又はファージ感染等が挙げられる。
なお、本発明の発現ベクターは、宿主に導入する以外に、バクテリア又は真核生物抽出液等を用いた無細胞翻訳系(Spirin,A.S.,1991,Science,11,2656−2664:Falcone,D.et al.,1991,Mol.Cell.Biol.,11,2656−2664)にて発現させることも可能である。無細胞翻訳系は、目的タンパク質が宿主に毒性を示すものである場合等に有効である。
本発明の融合タンパク質の主な実施形態は、メタン生成菌に属する常温性古細菌由来のFKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質である。本発明の融合タンパク質によれば、目的タンパク質が単独で発現すると正しく折り畳まれずに異常型タンパク質となってしまう場合でも、FKBP型PPIaseとの融合タンパク質として発現させることで、目的タンパク質を正しく折り畳まれた正常型タンパク質として発現することができる。その結果、正常型の目的タンパク質の生産性を飛躍的に向上させることができる。なお、目的タンパク質は適宜の方法で融合タンパク質から切り出すことができる。例えば、FKBP型PPIaseと目的タンパク質の間にプロテアーゼ認識アミノ酸配列を挿入しておけば、融合タンパク質に該プロテアーゼを作用させることにより、目的タンパク質を切り出し、単離することができる。なお、本発明の融合タンパク質は、例えば、上記した発現ベクター上の第1コード領域と第2コード領域を転写・翻訳することにより製造することができる。さらに、第1コード領域と第2コード領域の間にプロテアーゼ認識アミノ酸配列をコードする塩基配列を挿入しておけば、FKBP型PPIaseと目的タンパク質の間にプロテアーゼ認識アミノ酸配列を有する融合タンパク質を製造することができる。
本発明の目的タンパク質の製造方法は、メタン生成菌に属する常温性古細菌由来のFKBP型PPIaseの作用を利用して、正しく折り畳まれた正常型の目的タンパク質を製造するものである。この際、該FKBP型PPIaseを目的タンパク質に作用させる態様は主に2つある。1つの態様は、上記したように、目的タンパク質をFKBP型PPIaseとの融合タンパク質として発現させる、融合発現法である。融合発現法の場合は、目的タンパク質を切り出す工程が必要である。もう1つの態様は、FKBP型PPIaseと目的タンパク質をそれぞれ単独に同時に発現させる、共発現法である。共発現法によれば、目的タンパク質を切り出す必要がなく、製造工程を減らすことができる。なお、宿主を用いた共発現法の場合は、FKBP型PPIaseの遺伝子と目的タンパク質の遺伝子は、同じ発現ベクター上に存在してもよく、別々の発現ベクターに組み込まれていてもよい。同じ発現ベクター上に存在する場合は、例えば、それぞれの遺伝子が別々のプロモーター下流に組み込めばよい。さらに、FKBP型PPIaseの遺伝子を宿主のゲノム上に、目的タンパク質の遺伝子を発現ベクター上に組み込む構成も可能である。
本発明のFKBP型PPIase及び融合タンパク質は、タンパク質の精製に一般的に用いられている手法、すなわち、塩析、膜分離、各種クロマトグラフィー等を組み合わせることにより精製することができる。特に、本発明のFKBP型PPIaseの分子表面が疎水性アミノ酸に富んでいることを利用し、疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いることにより、本発明のFKBP型PPIase及び融合タンパク質を高純度に精製することができる。例えば、樹脂等に固定化された疎水基を介してFKBP型PPIase又は融合タンパク質を樹脂に吸着させ、FKBP型PPIase又は融合タンパク質が溶出されないような条件で樹脂を洗浄して不純物となる成分を除去することができる。なお、疎水基の例としては、C4〜C20程度のアルキル基、フェニル基等が挙げられる。また、精製に供するためのFKBP型PPIase及び融合タンパク質を含む試料は、例えば、それらの遺伝子を含有する形質転換体の培養物から調製することができる。
また、本発明のFKBP型PPIase及び融合タンパク質は、FKBP型PPIaseとFK506との親和性を利用して精製することもできる。すなわち、FK506やラパマイシン、その類縁化合物を担持させた担体を調製して、該担体にFKBP型PPIase又は融合タンパク質を含む試料を接触させ、担体上にFKBP型PPIase又は融合タンパク質を捕捉することができる。その後、適宜の方法で担体からFKBP型PPIase又は融合タンパク質を回収すればよい。
また、ヒスチジン6残基程度からなるヒスチジンタグをあらかじめ、本発明のFKBP型PPIase又は融合タンパク質の末端に導入しておくことにより、それらの精製を容易にすることができる。すなわち、ヒスチジンタグを末端に有するFKBP型PPIase又は融合タンパク質は、ニッケル等の金属をキレートした担体上に、ヒスチジンタグを介して結合する。具体的には、ニッケル等の金属をキレートした担体にFKBP型PPIase又は融合タンパク質を含む試料を接触させ、該担体上にヒスチジンタグを介してFKBP型PPIase又は融合タンパク質を捕捉することができる。その後、イミダゾール等で溶出して担体からFKBP型PPIase又は融合タンパク質を回収すればよい。このようなタグを用いる方法としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ又はその一部分をタグとし、グルタチオン樹脂によるアフィニティークロマトグラフィーにより精製する方法や、マルトース結合タンパク質又はその一部をタグとし、マルトース樹脂により精製する方法等がある。なお、これらのタグは、PPIase又は融合タンパク質のN末端側及びC末端側のいずれに導入してもよく、双方に導入してもよい。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
本実施例では、メタン生成菌に属する古細菌Methanosarcina mazei由来ショートタイプFKBP型PPIase(MmFKBP18.0)と目的タンパク質との融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。なお、MmFKBP18.0はグループ1型のショートタイプFKBP型PPIaseである。
Methanosarcina mazei Goe1(DSM3647)の菌懸濁液から菌ペレットを回収し、フェノール/クロロホルム処理、及び、エタノール沈殿法により、ゲノムDNAを回収した。一方、配列番号5に示される公知のMmFKBP18.0遺伝子の塩基配列を参考にして、PCR用のプライマーとして配列番号19に示されるMm18−F1プライマー及び配列番号20に示されるMm18−R1プライマーを合成した。次に、得られたゲノムDNAを鋳型とし、Mm18−F1プライマー及びMm18−R1プライマーをプライマー対としてPCRを行い、MmFKBP18.0遺伝子を増幅した。増幅されたDNA断片の塩基配列を確認したところ、公知のMmFKBP18.0遺伝子の塩基配列と一致した。なお、増幅されたDNA断片の両端には、Mm18−F1の5’末端に由来するNcoIサイト及びMm18−R1の3’末端に由来するSpeIサイトが導入された。
一方、配列番号39に示されるリンカーThrom−F2及びその相補鎖であるリンカーThrom−R2を合成した。なお、リンカーThrom−F2は、5’側にSpeIサイトを、3’側にEcoRIサイトを有し、内部には目的タンパク質の遺伝子を導入するためのBamHIサイト及びNdeIサイトを有している。さらに、融合タンパク質から目的タンパク質をトロンビンにより切り出せるように、BamHIサイトの上流に、翻訳されてトロンビン認識アミノ酸配列となる塩基配列を有している(図2)。次に、リンカーThrom−F2とリンカーThrom−R2をアニーリングさせ、2本鎖リンカーThromを調製した。
MmFKBP18.0遺伝子を含む増幅DNA断片をNcoI/SpeIで、2本鎖リンカーThromをSpeI/EcoRIでそれぞれ処理し、あらかじめNcoI/EcoRIにて処理したpET21dプラスミドDNA(ノバジェン社製)に、MmFKBP18.0遺伝子−2本鎖リンカーの順になるよう挿入して、発現ベクターpMm18F2を構築した。発現ベクターpMm18F2の構成を図2に示す。すなわち、発現ベクターpMm18F2は、T7プロモーターの下流に、順に、第1コード領域となるMaFKBP18.0遺伝子、トロンビン認識アミノ酸配列をコードする塩基配列、BamHIサイト、及びNdeIサイトを有する。そして、BamHIサイト又はNdeIサイトに第2コード領域となる目的タンパク質をコードする遺伝子を挿入することにより、MmFKBP18.0と目的タンパク質との融合タンパク質を発現することができる。また、発現される該融合タンパク質は、MmFKBP18.0と目的タンパク質の間にトロンビン消化アミノ酸配列を有する。
本実施例では、メタン生成菌に属する古細菌Methanosarcina barkeri由来ショートタイプFKBP型PPIase(MbFKBP19.0)と目的タンパク質との融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。なお、MbFKBP19.0はグループ1型のショートタイプFKBP型PPIaseである。
Methanosarcina barkeri type strain(DSM800)の菌懸濁液から菌ペレットを回収し、実施例1と同様の操作でゲノムDNAを回収した。配列番号9に示される公知のMbFKBP19.0遺伝子の塩基配列を参考にして、PCR用のプライマーとして配列番号21に示されるMb19−F1プライマー及び配列番号22に示されるMb19−R1プライマーを合成した。次に、得られたゲノムDNAを鋳型とし、Mb19−F1プライマー及びMb19−R1プライマーをプライマー対としてPCRを行い、MbFKBP19.0遺伝子を増幅した。増幅されたDNA断片の塩基配列を確認したところ、公知のMbFKBP19.0遺伝子の塩基配列と一致した。なお、増幅されたDNA断片の両端には、Mb19−F1の5’末端に由来するSphIサイト及びMb19−R1の3’末端に由来するSpeIサイトが導入された。次に、実施例1と同様にして、MbFKBP19.0遺伝子を含む増幅DNA断片と、2本鎖リンカーThromをpET21プラスミドDNAに挿入して、発現ベクターpMb19F2を構築した。すなわち、発現ベクターpMb19F2は、図2に示される発現ベクターpMm18F2の構成のうち、MmFKBP18.0遺伝子に代わってMbFKBP19.0遺伝子とした構成を有する。
本実施例では、メタン生成菌に属する古細菌Methanosarcina acetivorans由来ショートタイプFKBP型PPIase(MaFKBP17.8)と目的タンパク質との融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。なお、MaFKBP17.8はグループ1型のショートタイプFKBP型PPIaseである。
Methanosarcina acetivorans C2A(DSM2834)の菌懸濁液から菌ペレットを回収し、実施例1と同様の操作でゲノムDNAを回収した。配列番号7に示される公知のMaFKBP17.8遺伝子の塩基配列を参考にして、PCR用のプライマーとして配列番号23に示されるMa17.8−F1プライマー及び配列番号24に示されるMa17.8−R1プライマーを合成した。次に、得られたゲノムDNAを鋳型とし、Ma17.8−F1プライマー及びMa17.8−R1プライマーをプライマー対としてPCRを行い、MaFKBP17.8遺伝子を増幅した。増幅されたDNA断片の塩基配列を確認したところ、公知のMaFKBP17.8遺伝子の塩基配列と一致した。なお、増幅されたDNA断片の両端には、Ma17.8−F1の5’末端に由来するNcoIサイト及びMa17.8−R1の3’末端に由来するSpeIサイトが導入された。次に、実施例1と同様にして、MaFKBP17.8遺伝子を含む増幅DNA断片と、2本鎖リンカーThromをpET21プラスミドDNAに挿入して、発現ベクターpMa17F2を構築した。すなわち、発現ベクターpMa17F2は、図2に示される発現ベクターpMm18F2の構成のうち、MmFKBP18.0遺伝子に代わってMaFKBP17.8遺伝子とした構成を有する。
本実施例では、Methanosarcina acetivorans由来ロングタイプFKBP型PPIase(MaFKBP28.0)と目的タンパク質との融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。
1.発現ベクターの構築
公知の配列番号17に示されるMaFKBP28.0遺伝子の塩基配列を参考にして、PCR用のプライマーとして、配列番号37で示されるMa28−F1プライマー及び配列番号38で示されるMa28−R1プライマーを合成した。次に、実施例3で調製したMethanosarcina acetivorans C2A(DSM2834)のゲノムDNAを鋳型とし、Ma28−F1プライマー及びMa28−R1プライマーをプライマー対としてPCRを行い、MaFKBP28.0遺伝子を増幅した。増幅されたDNA断片の塩基配列を確認したところ、公知のMaFKBP28.0遺伝子の塩基配列と一致した。なお、増幅されたDNA断片の両端には、Ma28−F1の5’末端に由来するNcoIサイト及びMa28−R1の3’末端に由来するSpeIサイトが導入された。次に、実施例1と同様にしてMaFKBP28.0遺伝子及び2本鎖リンカーThromをpET21dプラスミドDNAのNcoI/EcoRIサイトに挿入して、発現ベクターpMa28F2を構築した。すなわち、発現ベクターpMa28F2は、図2に示される発現ベクターpMm18F2の構成のうち、MmFKBP18.0遺伝子に代わってMaFKBP28.0遺伝子とした構成を有する。
本実施例では、MaFKBP17.8を製造・精製した。
1.MaFKBP17.8の製造
実施例3で調製した発現ベクターpMa17F2を大腸菌BL21(DE3)株(Novagen社)に導入し、形質転換体を得た。2L容の三角フラスコに、100μg/mLアンピシリンを含む2×YT培地(16g/L酵母エキス、20g/Lバクトトリプトン、5g/L NaCl、pH7.5)700mLを仕込み、得られた形質転換体を白金耳で2〜3回接種し、35℃で24時間回転培養(110rpm)した。培養終了後、培養液を遠心分離(10000rpm×10分)し、菌体を回収した。得られた菌体を1mM EDTAを含む25mM HEPES緩衝液(pH6.8)20mLに懸濁し、−20℃にて凍結保存した。
凍結保存した菌体懸濁液を融解し、超音波処理をして菌体を破砕した。菌体破砕液を遠心分離し、その上清(可溶性画分)と沈殿部(沈殿画分)に分離した。さらに沈殿画分を4%Triton X−100を含む25mM HEPES/1mM EDTA緩衝液(pH6.8)に懸濁して30分間処理し、膜成分を可溶化した。懸濁液を遠心分離して、沈殿を回収した。この操作を2回繰り返し、得られた沈殿を20mLの25mM HEPES/1mM EDTA緩衝液(pH6.8)に懸濁して封入体画分を調製した。可溶性画分10μg(5μL)と、5μLの封入体画分をそれぞれSDS−PAGE供し、クマシーブリリアントブルー(CBB)にてゲルを染色した。図3にゲルの写真を示す。図3において、左側のレーンが可溶性画分であり、右側のレーンが沈殿画分である。すなわち、MaFKBP17.8に相当するバンド(矢印)は、可溶性画分のみに検出された。以上より、MaFKBP17.8は封入体になることなく、可溶状態で回収された。
2.MaFKBP17.8の精製
得られた可溶性画分を下記条件の疎水性相互作用クロマトグラフィー、及び、ゲル濾過の順でカラム精製を繰り返すことにより、MaFKBP17.8をほぼ単一にまで精製した。なお、疎水性相互作用クロマトグラフィーの段階で、MaFKBP17.8はほとんど単一になっていた。
(a)疎水性相互作用クロマトグラフィーの条件
使用カラム:HighTrap Phenyl FF
(容量5mL、アマシャムバイオサイエンス社製)
溶離液
A液:10mMリン酸緩衝液(pH6.8)/500mM硫酸アンモニウム含有
B液:10mMリン酸緩衝液(pH6.8)
溶出条件:0−50分:B液0−100%の直線グラジェント溶出
50−70分:B液100%のイソクラティック溶出
流速:3mL/分
カラム温度:室温
(b)ゲル濾過条件
使用カラム:HiLoad 26/60 Superdex 200pg column
(26mm×60cm、アマシャムバイオサイエンス社製)
溶離液:100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0、0.15M NaCl含有)
溶出条件:イソクラティック溶出
流速:3mL/分
カラム温度:室温
次に、精製したMaFKBP17.8のPPIase活性を以下の手順で評価した。PPIase活性の測定はキモトリプシンカップリング法に準拠して行った。すなわち、2mLの100mMリン酸緩衝液(pH7.8)に、MaFKBP17.8を2.5−25nM、PPIaseの基質ペプチドであるN−suc−Ala−Leu−Pro−Phe−p−ニトロアニリド(ペプチド研究所)を最終濃度2μMになるように加え、15℃で2分間プレインキュベートした。次いで、キモトリプシンを最終濃度2μMとなるように添加し、遊離されるp−ニトロアニリドの吸光度を測定することでPPIase活性を評価した。その結果、MaFKBP17.8のPPIase活性(kcat/Km)は3.34s−1・μM−1であった。この値は、以下の既報の好熱・超好熱菌由来FKBP型ショートタイプPPIaseのPPIase活性、すなわち、好熱性古細菌Methanococcus thermolithotrophicus由来PPIase(MtFKBP17)の0.38s−1・μM−1、超好熱性古細菌Thermococcus sp.KS−1 PPIase(TcFKBP18)の0.35s−1・μM−1、超好熱性古細菌Methanococcus jannaschii由来PPIase(MjFKBP18)の0.92s−1・μM−1の(Ideno et al.,Gene 2002 Jun 12;292(1−2):57−63)と比較して、有意に高かった。
本実施例では、MmFKBP18.0を製造・精製した。
1.MmFKBP18.0の製造
実施例1で調製した発現ベクターpMm18F2を大腸菌BL21(DE3)株に導入し、形質転換体を得た。次に、実施例5と同様にして、形質転換体を培養し、菌体回収後、菌体懸濁液を−20℃で凍結保存した。さらに、実施例5と同様にして菌体懸濁液を超音波処理し、その上清画分(可溶性画分)を得た。上清画分10μgをSDS−PAGEに供したところ、MmFKBP18.0に相当する濃いバンドが検出され、MmFKBP18.0が大量に可溶性画分に発現していることが確認された。
2.MmFKBP18.0の精製
得られた上清画分を実施例5と同様の疎水性相互作用クロマトグラフィー及びゲル濾過法、並びに、下記条件の陰イオン交換クロマトグラフィーに供し、カラム精製を繰り返すことにより、MmFKBP18.0をほぼ単一にまで精製した。
(c)陰イオン交換クロマトグラフィー条件
使用カラム:DEAE Toyopearl column
(16mm×60cm;東ソー社)
溶離液
A液:25mM HEPES−KOH衝液(pH6.8)
B液:0.5M NaClを含む25mM HEPES−KOH緩衝液(pH6.8)
溶出条件:0−300分:B液0−100%の直線グラジエント溶出
300−420分:B液100%のイソクラティック溶出
流速:1mL/分
カラム温度:室温
本実施例では、MbFKBP19.0を製造・精製した。
1.MbFKBP19.0の製造
実施例2で調製した発現ベクターpMb19F2を大腸菌BL21(DE3)株に導入し、形質転換体を得た。次に、実施例5と同様にして、形質転換体を培養し、菌体回収後、菌体懸濁液を−20℃で凍結保存した。さらに、実施例5と同様にして菌体懸濁液を超音波処理し、その上清画分(可溶性画分)を得た。上清画分10μgをSDS−PAGEに供したところ、MbFKBP19.0に相当する濃いバンドが検出され、MbFKBP19.0が大量に可溶性画分に発現していることが確認された。
2.MbFKBP19.0の精製
得られた上清画分を実施例6と同様にして疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過法、及び、陰イオン交換クロマトグラフィーに供し、カラム精製を繰り返すことにより、MbFKBP19.0をほぼ単一にまで精製した。
本実施例では、MaFKBP28.0を製造した。
実施例5と同様にして、発現ベクターpMa28F2を含有する形質転換体の作製、培養、菌体破砕、可溶性画分と沈殿画分の調製、及びSDS−PAGEを行った。図4にゲルの写真を示す。図4において、左側のレーンが可溶性画分であり、右側のレーンが沈殿画分である。すなわち、MaFKBP28.0に相当するバンド(矢印)は、可溶性画分のみに検出された。以上より、MaFKBP28.0は封入体になることなく、可溶状態で回収された。
本実施例では、MaFKBP17.8が分子シャペロン活性を有することを確認した。
6M塩酸グアニジン及び5mM DTTを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.8)にロダネーゼを最終濃度63μMになるよう溶解し、25℃で60分処理し、ロダネーゼを変性させた。得られた変性ロダネーゼ溶液を10μM MaFKBP17.8及び10mM DTTを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.8)で60倍に希釈し、そのまま45分間処理した。処理後、再生したロダネーゼの活性をホロビッチ(Methods in Molecular Biology 40,361−368(1995))の方法に従って評価した。再生したロダネーゼ活性の値を、ネイティブ型ロダネーゼの活性を100%とした相対値で表し、分子シャペロン活性とした。対照として、MaFKBP17.8を添加しなかった溶液におけるロダネーゼの活性を測定した。結果を図5に示す。すなわち、MaFKBP17.8非存在下では、ロダネーゼは5%程度しか再生しなかったのに対し、MaFKBP17.8存在下では約76%のロダネーゼが再生した。以上より、MaFKBP17.8の作用によって変性ロダネーゼが正しく折り畳まれて正常型のロダネーゼに再生されることが示された。
本実施例では、MaFKBP17.8と超好熱菌(Aeropyrum pernix)由来ロダネーゼからなる融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。さらに、該発現ベクターを含有する形質転換体を作製した。さらに、該形質転換体を培養することにより、該融合タンパク質を製造した。さらに、疎水性相互作用クロマトグラフィーを用い、該培養物より該融合タンパク質を精製した。さらに、精製された該融合タンパク質からロダネーゼを切り出し、ロダネーゼを正常型タンパク質として取得した。
1.発現ベクターの構築と形質転換体の作製
理化学研究所より入手したAeropyrum pernix(JCM9820。DSM11879と同じ。)の菌ペレットを用いて実施例1と同様の方法によりゲノムDNAを調製した。一方、配列番号40に示される公知のA.pernix由来ロダネーゼ遺伝子の塩基配列を参考にして、PCR用のプライマーとして配列番号25に示されるApTS−F1プライマー及び配列番号26に示されるApTS−R1プライマーを合成した。次に、得られたゲノムDNAを鋳型とし、ApTS−F1プライマー及びApTS−R1プライマーをプライマー対としてPCRを行い、A.pernix由来ロダネーゼ遺伝子を増幅した。増幅されたDNA断片の塩基配列を確認したところ、公知のA.pernix由来ロダネーゼ遺伝子の塩基配列と一致した。なお、増幅されたDNA断片の両端には、ApTS−F1の5’末端に由来するNdeIサイト及びApTS−R1の3’末端に由来するHindIIIサイトが導入された。次に、A.pernix由来ロダネーゼ遺伝子を含む増幅DNA断片をNdeI/HindIIIにて処理し、実施例3で構築した発現ベクターpMa17F2のNdeI/HindIIIサイトに挿入し、MaFKBP17.8とA.pernix由来ロダネーゼとの融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。すなわち、該発現ベクターは、T7プロモーターの下流に、順に、第1コード領域となるMaFKBP17.8遺伝子、トロンビン認識アミノ酸配列をコードするアミノ酸配列、及び第2コード領域となるA.pernix由来ロダネーゼをコードする遺伝子を有する。よって、該発現ベクターによれば、MaFKBP17.8とA.pernix由来ロダネーゼとの融合タンパク質を発現することができる。また、発現される該融合タンパク質は、MmFKBP17.8とA.pernix由来ロダネーゼの間にトロンビン消化アミノ酸配列を有する。次に、構築した発現ベクターを大腸菌BL21(DE3)株に導入し、形質転換体を作製した。
2.融合タンパク質の製造
作製した形質転換体を、実施例5と同様の方法により培養、回収した後、菌体破砕液の可溶性画分及び封入体画分を得た。実施例5と同様にして可溶性画分と封入体画分をSDS−PAGEに供し、CBBにてゲルを染色した。ゲルの写真を図6(a)に示す。すなわち、MaFKBP17.8とA.pernix由来ロダネーゼとの融合タンパク質((図中では「MaFKBP17.8−rho融合タンパク質」と表示))に相当するバンド(矢印)が、可溶性画分に認められた。以上より、A.pernix由来ロダネーゼはMaFKBP17.8との融合タンパク質とすることにより、封入体とはならず、可溶状態で合成された。
3.融合タンパク質の精製
得られた可溶性画分を実施例5と同様の条件で疎水性相互作用クロマトグラフィー及びゲル濾過の順でカラム精製を繰り返すことにより、MaFKBP17.8とA.pernix由来ロダネーゼの融合タンパク質を精製した。
4.ロダネーゼの製造
精製した融合タンパク質1mg当たりに1Uのトロンビンを加え、22℃にて16時間処理した。反応液をSDS−PAGEに供し、CBBにてゲルを染色した。ゲルの写真を図6(b)に示す。左側のレーンはトロンビン添加前、右側のレーンはトロンビン添加・処理後の試料である。すなわち、トロンビン添加前の試料ではMaFKBP17.8とA.pernix由来ロダネーゼとの融合タンパク質のみが検出されたが、トロンビン添加・処理後の試料では当該融合タンパク質は検出されず、ロダネーゼに相当するバンドとMaFKBP17.8に相当するバンドが検出された。以上より、MaFKBP17.8とA.pernix由来ロダネーゼとの融合タンパク質のトロンビン認識サイトが切断され、ロダネーゼが切り出されていることが確認された。
比較例として、以下の手順でA.pernix由来ロダネーゼ遺伝子を単独で発現させた。実施例10で調製したA.pernix由来ロダネーゼ遺伝子のNdeI/HindIII消化産物を、あらかじめNdeI/HindIIIにより処理しておいたpET21aプラスミドDNAに挿入し、A.pernix由来ロダネーゼを単独で発現する発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを大腸菌E.coli BL21(DE3)株に導入し、形質転換体を作製した。作製した形質転換体を実施例4と同様の方法で培養・回収し、得られた菌体破砕液の可溶性画分及び封入体画分をSDS−PAGEに供し、CBBにてゲルを染色した。ゲルの写真を図6(c)に示す。左側のレーンは可溶性画分、右側のレーンは沈殿画分である。すなわち、A.pernix由来ロダネーゼ(矢印)は封入体画分にのみ検出され、可溶性画分にはほとんど検出されなかった
以上より、A.pernix由来ロダネーゼは、大腸菌内で単独で発現させると封入体となるが、MaFKBP17.8との融合タンパク質にすると、封入体とならず、可溶性画分に合成されることが分かった。
本実施例では、MaFKBP17.8とFab抗体断片からなる融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。さらに、該発現ベクターを含有する形質転換体を作製した。さらに、該形質転換体を培養することにより、該融合タンパク質を製造した。
1.発現ベクターの構築と形質転換体の作製
マウス由来anti−HEL Fab抗体断片の発現ベクターpEHELFab−1(Ideno、Appl.Env.Microbiol.68、464−、2002)をNdeI/Bpul102Iにより処理し、アガローズゲル電気泳動により、anti−HEL Fab抗体断片の遺伝子断片を精製した。なお、この遺伝子断片は、Fab抗体断片の重鎖をコードする遺伝子とFab抗体断片の軽鎖をコードする遺伝子とが並んで配置され、転写によってポリシストロニックなmRNAが合成されるが、翻訳は別々に行われ、Fab抗体断片の重鎖と軽鎖とが融合タンパク質としてではなくそれぞれが単独で合成される。次に、実施例3で構築した発現ベクターpMa17F2のNdeI/Bpu1102Iサイトに、得られたanti−HEL Fab抗体断片の遺伝子断片を挿入することにより、MaFKBP17.8とFab抗体断片の重鎖との融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。すなわち、該発現ベクターは、T7プロモーターの下流に、順に、第1コード領域となるMaFKBP17.8遺伝子、トロンビン認識アミノ酸配列をコードするアミノ酸配列、及び第2コード領域となるFab抗体断片の重鎖をコードする遺伝子を有する。よって、該発現ベクターによれば、MaFKBP17.8とFab抗体断片の重鎖との融合タンパク質を発現することができる。また、発現される該融合タンパク質は、MaFKBP17.8とFab抗体断片の重鎖との間にトロンビン消化アミノ酸配列を有する。なお、Fab抗体断片の重鎖をコードする遺伝子の下流に位置しているFab抗体断片の軽鎖をコードする遺伝子により、Fab抗体断片の軽鎖は単独で合成される。次に、構築した発現ベクターを大腸菌BL21(DE3)株に導入し、形質転換体を作製した。
2.融合タンパク質の製造
作製した形質転換体を、実施例5と同様の方法により培養、回収した後、菌体破砕液の可溶性画分及び封入体画分を得た。実施例5と同様にして可溶性画分と封入体画分をSDS−PAGEに供し、CBBにてゲルを染色した。その結果、可溶性画分にMaFKBP17.8とFab重鎖の融合タンパク質のメジャーバンドが認められた。CBB染色した可溶性画分の電気泳動像から、該融合タンパク質のバンド密度をデンシトメータで測定した結果、大腸菌由来全可溶性タンパク質の約19%が該融合タンパク質であり、該融合タンパクが大量に製造されていた。なお、Fabの軽鎖部分に相当するバンドは認められなかった。
比較例として、以下の手順でFab抗体断片遺伝子を単独で発現させた。実施例11で調製したFab抗体断片遺伝子のNdeI/Bpu1102I消化産物を、あらかじめNdeI/Bpu1102Iにより処理しておいたpET21aプラスミドDNAに挿入し、Fab抗体断片を単独で発現する発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターを大腸菌BL21(DE3)株に導入し、形質転換体を作製した。作製した形質転換体を実施例5と同様の方法で培養・回収し、得られた菌体破砕液の可溶性画分及び封入体画分をSDS−PAGEに供した。その結果、Fab抗体断片の重鎖は封入体画分にのみ検出された。以上より、Fab抗体断片の重鎖は、大腸菌内で単独で発現させると封入体となるが、MaFKBP17.8との融合タンパク質にすると、封入体とならず、可溶性画分に合成されることが分かった。
本実施例では、MaFKBP17.8とscFv抗体断片からなる融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。さらに、該発現ベクターを含有する形質転換体を作製した。さらに、該形質転換体を培養することにより、該融合タンパク質を製造した。
1.発現ベクターの構築と形質転換体の作製
PCR用のプライマーとして配列番号27に示されるSCF−F3プライマー及び配列番号28に示されるSCF−R3プライマーを合成した。次に、プラスミドpAALSC(伊庭ら1997、Gene 194、35−)を鋳型とし、SCF−F3プライマー及びSCF−R3プライマーをプライマー対としてPCRを行い、マウス由来anti−ニワトリリゾチーム(HEL)scFv抗体断片(D1.3)遺伝子を増幅した。増幅された遺伝子をTAクローニングにより、pT7ブルーベクター(Novagen社)に挿入し、NdeI/NotI処理後、実施例3で構築したpMa17F2のNdeI/NotIサイトに挿入して、MaFKBP17.8とscFv抗体断片との融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。すなわち、該発現ベクターは、T7プロモーターの下流に、順に、第1コード領域となるMaFKBP17.8遺伝子、トロンビン認識アミノ酸配列をコードするアミノ酸配列、及び第2コード領域となるscFv抗体断片をコードする遺伝子を有する。よって、該発現ベクターによれば、MaFKBP17.8とscFv抗体断片との融合タンパク質を発現することができる。また、発現される該融合タンパク質は、MaFKBP17.8とscFv抗体断片の間にトロンビン消化アミノ酸配列を有する。次に、構築した発現ベクターを大腸菌BL21(DE3)株に導入し、形質転換体を作製した。
作製した形質転換体を、実施例5と同様の方法により培養、回収した後、菌体破砕液の可溶性画分及び封入体画分を得た。実施例5と同様にして可溶性画分と封入体画分をSDS−PAGEに供し、ゲルをCBBにて染色した。その結果、可溶性画分に、MaFKBP17.8とマウス由来ant1−HEL scFv抗体断片の融合タンパク質のメジャーバンドが認められた。CBB染色した可溶性画分の電気泳動像から、該融合タンパク質のバンド密度をデンシトメータで測定した結果、大腸菌由来全可溶性タンパク質の約18%が該融合タンパク質であり、該融合タンパクが大量に製造されていた。
比較例として、以下の手順でマウス由来anti−HEL scFv抗体断片(D1.3)を単体で発現させた。実施例12で調製したマウス由来anti−ニワトリリゾチーム(HEL)scFv抗体フラグメント(D1.3)遺伝子断片を、あらかじめ制限酵素NdeI/Bpu1102I処理しておいたpET21aプラスミドDNAに挿入し、scFv抗体を単独で発現する発現ベクターを調製した。得られた発現ベクターを大腸菌BL21(DE3)株に導入し、形質転換体を作製した。得られた形質転換体を実施例5と同様の方法で培養・回収し、得られた菌体破砕液の可溶性画分及び封入体画分をSDS−PAGEに供し、ゲルをCBBにて染色した。その結果、マウス由来anti−HEL scFv抗体は可溶画分にはほとんど発現せず、封入体画分に凝集体として発現することがわかった。以上より、マウス由来anti−HEL scFv抗体断片は、大腸菌内で単独で発現させると封入体となるが、MaFKBP17.8との融合タンパク質にすると、封入体とならず、可溶性画分に合成されることが分かった。
本実施例では、MaFKBP17.8とヒト由来セロトニン(HT1a)レセプターからなる融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。さらに、該発現ベクターを含有する形質転換体を作製した。さらに、該形質転換体を培養することにより、該融合タンパク質を製造した。
1.発現ベクターの構築と形質転換体の作製
公知のHT1aレセプター遺伝子の塩基配列情報(NCBIコード:HSSERR51)をもとに、PCR用のプライマーとして配列番号29に示されるHT1a−F1プライマー及び配列番号30に示されるHT1a−R1プライマーを合成した。次に、ヒト胎盤cDNAライブラリー(タカラバイオ社)を鋳型とし、HT1a−F1プライマー及びHT1a−R1プライマーをプライマー対としてPCRを行い、HT1aレセプター遺伝子を増幅した。増幅されたDNA断片をpT7ブルーTベクターに挿入後、その塩基配列を確認したところ、データベースの登録情報と一致した。なお、増幅されたDNA断片の両端には、HT1a−F1の5’末端に由来するNdeIサイト及びHT1a−R1の3’末端に由来するNotIサイトが導入された。次に、HT1aレセプター遺伝子を含む増幅DNA断片をNdeI/NotIにて処理し、実施例3で構築した発現ベクターpMa17F2のNdeI/NotIサイトに挿入し、MaFKBP17.8とHT1aレセプターとの融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。すなわち、該発現ベクターは、T7プロモーターの下流に、順に、第1コード領域となるMaFKBP17.8遺伝子、トロンビン認識アミノ酸配列をコードするアミノ酸配列、及び第2コード領域となるHT1aレセプターをコードする遺伝子を有する。よって、該発現ベクターによれば、MaFKBP17.8とHT1aレセプターとの融合タンパク質を発現することができる。また、発現される該融合タンパク質は、MaFKBP17.8とHT1aレセプターの間にトロンビン消化アミノ酸配列を有する。次に、構築した発現ベクターを大腸菌BL21(DE3)株に導入し、形質転換体を作製した。
2.融合タンパク質の製造
作製した形質転換体を、実施例5と同様の方法により培養、回収した後、菌体破砕液の可溶性画分及び封入体画分を得た。実施例5と同様にして可溶性画分と封入体画分をSDS−PAGEに供した。融合タンパク質の検出は、CBBによるゲル染色と、抗セロトニンレセプター抗体を用いたウェスタンブロッティング法の両方を行った。その結果、可溶性画分にのみMaFKBP17.8とHT1aレセプターの融合タンパク質が検出された。CBB染色した可溶性画分の電気泳動像から、該融合タンパク質のバンド密度をデンシトメータで測定した結果、大腸菌由来全可溶性タンパク質の約2%が該融合タンパク質であった。
本実施例では、MaFKBP17.8とscFv抗体断片を宿主細胞内で共発現させて、scFv抗体断片を製造した。
実施例12と同様にして、マウス由来anti−HEL scFv抗体断片の遺伝子を増幅した。この増幅DNA断片をpT7ブルーTベクターに挿入し、NdeI/NotI処理後、あらかじめNdeI/NotIにより処理しておいたpET21aプラスミドDNAに挿入し、上記scFvの発現ベクターpETscFvを構築した。次に、pETscFvを鋳型とし、配列番号35に示されるT7−F1プライマーと配列番号36に示されるT7−R1プライマーをプライマー対としてPCRを行い、上記scFv遺伝子及びT7プロモーター部を含むscFvの発現ユニットDNA断片を増幅した。なお、増幅されたDNA断片の両端には、T7−F1プライマーの5’末端に由来するSphIサイト及びT7−R1プライマーの3’末端に由来するBamHIサイトが導入された。この増幅DNA断片をTAクローニングによりpT7ブルーTベクターに挿入した後、制限酵素SphI/BamHIで処理後、pACYC184プラスミド(和光純薬社)のSphI/BamHIサイトに挿入し、共発現用ベクターpACscFvを構築した。
2種類のベクター、すなわち、共発現用ベクターpACscFvと実施例3で調製した発現ベクターpMa17F2を、コンピテントセル大腸菌JM109(DE3)株に導入し、100μg/mLアンピシリン及び100μg/mLクロラムフェニコールを含むLB寒天培地にて培養した。得られたコロニーを、100μg/mLアンピシリン及び100μg/mLクロラムフェニコールを含む2×YT培地700mLに接種した。35℃で回転培養(110rpm)した後、OD600が0.6となった時点で100mM IPTGを7mL添加し、培養温度を20℃に下げてさらに約18時間培養し、MaFKBP17.8及びマウス由来anti−HEL scFv抗体断片の発現を誘導した。培養終了後、遠心分離(10000rpm×10分)にて菌体を回収した。回収した菌体を1mM EDTAを含む25mM HEPES緩衝液(pH6.8)20mLに懸濁し、−20℃にて一晩凍結保存した。菌体を融解し、超音波破砕を行って上清(可溶画分)及び沈澱画分に分離し、それぞれをSDS−PAGEに供し、CBBにて染色した。一方、比較例として、pACscFvのみを導入した組換え大腸菌についても同様の操作を行った。その結果、pACscFvのみを導入した組換え大腸菌ではscFv抗体断片は全て沈殿画分に検出されたが、pACscFvとpMa17F2の両方を導入した組換え大腸菌では、scFv抗体断片は上清画分に検出された。以上より、MaFKBP17.8と共発現させることにより、scFvは可溶性画分に発現させることが可能となった。
本実施例では、MaFKBP28.0とscFv抗体断片からなる融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。さらに、該発現ベクター含有する形質転換体を作製した。さらに、該形質転換体を培養することにより、該融合タンパク質を製造した。
1.発現ベクターの構築
実施例12で調製したscFv抗体断片遺伝子を含む増幅DNA断片をNdeI/NotIにて処理し、実施例4で構築した発現ベクターpMa28F2のNdeI/NotIサイトに挿入し、MaFKBP28.0とscFv抗体断片との融合タンパク質を発現することができる発現ベクターMa28F2−scFvを構築した。すなわち、発現ベクターMa28F2−scFvは、T7プロモーターの下流に、順に、第1コード領域となるMaFKBP28.0遺伝子、トロンビン認識アミノ酸配列をコードするアミノ酸配列、及び第2コード領域となるscFv抗体断片をコードする遺伝子を有する。よって、該発現ベクターによれば、MaFKBP28.0とscFv抗体断片との融合タンパク質を発現することができる。また、発現される該融合タンパク質は、MaFKBP28.0とscFv抗体断片の間にトロンビン消化アミノ酸配列を有する。次に、構築した発現ベクターMa28F2−scFvを大腸菌BL21(DE3)株に導入し、形質転換体を作製した。
2.融合タンパク質の製造
作製した形質転換体を、実施例5と同様の方法により培養、回収した後、菌体破砕液の可溶性画分及び封入体画分を得た。実施例5と同様にして可溶性画分と封入体画分をSDS−PAGEに供し、CBBにてゲルを染色した。ゲルの写真を図7(a)に示す。すなわち、MaFKBP28.0とscFv抗体断片との融合タンパク質(図中では「MaFKBP28.0−scFv融合タンパク質」と表示)に相当するバンド(矢印)が、可溶性画分に認められた。以上より、scFv抗体断片はMaFKBP28.0との融合タンパク質とすることにより、封入体とはならず、可溶状態で合成された。
本実施例では、MaFKBP28.0とA.pernix由来ロダネーゼからなる融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。さらに、該発現ベクター含有する形質転換体を作製した。さらに、該形質転換体を培養することにより、該融合タンパク質を製造した。
1.発現ベクターの構築と形質転換体の作製
実施例10で調製したA.pernix由来ロダネーゼ遺伝子を含む増幅DNA断片をNdeI/HindIIIにて処理し、実施例4で構築した発現ベクターpMa28F2のNdeI/HindIIIサイトに挿入し、MaFKBP28.0とA.pernix由来ロダネーゼとの融合タンパク質を発現することができる発現ベクターpMa28F2−rhoを構築した。すなわち、発現ベクターpMa28F2−rhoは、T7プロモーターの下流に、順に、第1コード領域となるMaFKBP28.0遺伝子、トロンビン認識アミノ酸配列をコードするアミノ酸配列、及び第2コード領域となるA.pernix由来ロダネーゼをコードする遺伝子を有する。よって、該発現ベクターによれば、MaFKBP28.0とA.pernix由来ロダネーゼとの融合タンパク質を発現することができる。また、発現される該融合タンパク質は、MaFKBP28.0とA.pernix由来ロダネーゼの間にトロンビン消化アミノ酸配列を有する。次に、構築した発現ベクターpMa28F2−rhoを大腸菌BL21(DE3)株に導入し、形質転換体を作製した。
2.融合タンパク質の製造
作製した形質転換体を、実施例5と同様の方法により培養、回収した後、菌体破砕液の可溶性画分及び封入体画分を得た。実施例5と同様にして可溶性画分と封入体画分をSDS−PAGEに供し、CBBにてゲルを染色した。ゲルの写真を図7(b)に示す。すなわち、MaFKBP28.0とA.pernix由来ロダネーゼとの融合タンパク質(図中では「MaFKBP28.0−rho融合タンパク質」と表示)に相当するバンド(矢印)が、可溶性画分に認められた。以上より、A.pernix由来ロダネーゼはMaFKBP28.0との融合タンパク質とすることにより、封入体とはならず、可溶状態で合成された。
本実施例では、MaFKBP28.0とオワンクラゲ由来天然型GFP(Green fluorescent protein)からなる融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。さらに、該発現ベクターを含有する形質転換体を作製した。さらに、該形質転換体を培養することにより、該融合タンパク質を製造した。
1.発現ベクターの構築と形質転換体の作製
PCR用のプライマーとして配列番号31に示されるGFP−F1プライマー及び配列番号32に示されるGFP−R1プライマーを合成した。次に、オワンクラゲ由来天然型GFP遺伝子を含む発現ベクターであるコントロールベクターGFP(ロシュダイアグノスティックス社製Cell−free protein translation systemキットに含まれているもの)を鋳型とし、GFP−F1プライマー及びGFP−R1プライマーをプライマー対としてPCRを行い、オワンクラゲ由来天然型GFP遺伝子を増幅した。なお、増幅されたDNA断片の両端には、GFP−F1の5’末端に由来するBamHIサイト及びGFP−R1の3’末端に由来するEcoRIサイトが導入された。増幅されたDNA断片をTAクローニングによりpT7ブルーベクターに挿入し、塩基配列を確認したところ、データベースに登録されているオワンクラゲ由来天然型GFP遺伝子の塩基配列と一致した。増幅されたDNA断片をBamHI/EcoRIで処理後、実施例4で構築したpMa28F2のBamHI/EcoRIでサイトに挿入して、MaFKBP28.0とオワンクラゲ由来天然型GFPとの融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。すなわち、該発現ベクターは、T7プロモーターの下流に、順に、第1コード領域となるMaFKBP28.0遺伝子、トロンビン認識アミノ酸配列をコードするアミノ酸配列、及び第2コード領域となるオワンクラゲ由来天然型GFPをコードする遺伝子を有する。よって、該発現ベクターによれば、MaFKBP28.0とオワンクラゲ由来天然型GFPとの融合タンパク質を発現することができる。また、発現される該融合タンパク質は、MaFKBP28.0とオワンクラゲ由来天然型GFPの間にトロンビン消化アミノ酸配列を有する。次に、構築した発現ベクターを大腸菌BL21(DE3)株に導入し、形質転換体を作製した。
2.融合タンパク質の製造
作製した形質転換体を、実施例5と同様の方法(ただし、培養温度は15℃)により培養、回収した後、菌体破砕液の可溶性画分及び封入体画分を得た。実施例5と同様にして可溶性画分と封入体画分をSDS−PAGEに供し、CBBによりゲルを染色した。ゲルの写真を図7(c)に示す。すなわち、MaFKBP28.0とオワンクラゲ由来天然型GFPとの融合タンパク質(図中では「MaFKBP28.0−GFP融合タンパク質」と表示)に相当するバンド(矢印)が、可溶性画分に認められた。以上より、オワンクラゲ由来天然型GFPはMaFKBP28.0との融合タンパク質とすることにより、封入体とはならず、可溶状態で合成された。CBB染色した可溶性画分の電気泳動像から、該融合タンパク質のバンド密度をデンシトメータで測定した結果、大腸菌由来全可溶性タンパク質の約28%が該融合タンパク質であり、大量に発現していた。
比較例として、超好熱古細菌由来FKBP型PPIaseで同様の操作を行った。すなわち、超好熱性古細菌Thermococcus sp.KS−1由来ショートタイプFKBP型PPIase(TcFKBP18)の発現プラスミドpEFE1−3(Iida、Gene 222、249−、1998)を鋳型とし、配列番号33に示されるTcFu−F1プライマー及び配列番号34に示されるTcFu−R2プライマーをプライマー対としてPCRを行い、TcFKBP18遺伝子を含むDNA断片を増幅した。なお、増幅されたDNA断片の両端には、TcFu−F1の5’末端に由来するNcoIサイト及びTcFu−R2の3’末端に由来するSpeIサイトが導入された。増幅されたDNA断片をpT7ブルーTベクターに挿入して塩基配列を確認したところ、データベースに登録されている塩基配列と一致した。増幅されたDNA断片を制限酵素NcoI/SpeIで処理後、実施例3で構築したpMa17F2のNcoI/SpeIにサイトに挿入して、TcFKBP18とオワンクラゲ由来天然型GFPとの融合タンパク質を発現することができる発現ベクターを構築した。すなわち、この発現ベクターは実施例17で構築した発現ベクターのMaFKBP28.0遺伝子がTcFKBP18遺伝子に置き換わったものである。この発現ベクターを用いて実施例17と同様にして、形質転換体の作製、培養、及び菌体破砕物のSDS−PAGEを行った。その結果、実施例17と同様に、可溶性画分にTcFKBP18とオワンクラゲ由来天然型GFPの融合タンパク質が検出された。CBB染色した可溶性画分の電気泳動像から、該融合タンパク質のバンド密度をデンシトメータで測定した結果、大腸菌由来全可溶性タンパク質の約19%が該融合タンパク質であり、大量に発現していた。
実施例17と上記比較例の各融合タンパク質の濃度を同一とした溶液試料を調製し、UVBを照射した。その結果、いずれの試料も蛍光を発したが、MaFKBP28.0との融合タンパク質を含む試料の蛍光強度は、TcFKBP18との融合タンパク質を含む試料の蛍光強度の約2倍であった。以上より、可溶性画分から得られたFKBP型PPIaseとオワンクラゲ由来天然型GFPとの融合タンパク質において、MaFKBP28.0との融合タンパク質の方がTcFKBP18との融合タンパク質に比べて、より多くのオワンクラゲ由来天然型GFPが正しく折り畳まれた。
以下の表に、上記した実施例で用いたPCR用のプライマーの塩基配列、制限酵素サイト、及び配列番号をまとめて記載した。
Figure 2005063964
Figure 2005063964

Claims (28)

  1. メタン生成菌に属する常温性古細菌に由来することを特徴とするFKBP型PPIase。
  2. 前記常温性古細菌は、Methanosarcina属古細菌であることを特徴とする請求項1記載のFKBP型PPIase。
  3. ショートタイプFKBP型PPIaseであることを特徴とする請求項1又は2記載のFKBP型PPIase。
  4. 配列番号1、2又は3で表されるアミノ酸配列からなるモチーフを、その一部に含むアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載のFKBP型PPIase。
  5. 配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるモチーフを、そのN末端領域に含まないアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のFKBP型PPIase。
  6. 配列番号6に記載のアミノ酸配列を有することを特徴とするFKBP型PPIase。
  7. 配列番号8に記載のアミノ酸配列を有することを特徴とするFKBP型PPIase。
  8. 配列番号10に記載のアミノ酸配列を有することを特徴とするFKBP型PPIase。
  9. ロングタイプFKBP型PPIaseであることを特徴とする請求項1又は2記載のFKBP型PPIase。
  10. 配列番号18に記載のアミノ酸配列を有することを特徴とするFKBP型PPIase。
  11. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載のFKBP型PPIaseと実質的に同一のアミノ酸配列を有し、かつ、実質的に同一の活性を有することを特徴とするFKBP型PPIase。
  12. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載のFKBP型PPIaseをコードする第1コード領域と、少なくとも1つの制限酵素サイトを有し、前記制限酵素サイトに目的タンパク質をコードする第2コード領域を挿入することによりFKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質を発現することができることを特徴とする発現ベクター。
  13. 前記制限酵素サイトは、前記第1コード領域の下流に位置することを特徴とする請求項12記載の発現ベクター。
  14. 前記第1コード領域と前記制限酵素サイトの間に、ペプチドリンカーをコードする塩基配列を有することを特徴とする請求項12又は13記載の発現ベクター。
  15. 前記ペプチドリンカーは、プロテアーゼ消化アミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項14記載の発現ベクター。
  16. 請求項12、13、14又は15記載の発現ベクターの制限酵素サイトに、目的タンパク質をコードする第2コード領域が組み込まれていることを特徴とする発現ベクター。
  17. 前記第2コード領域は、抗体又は抗体の部分断片をコードする遺伝子であることを特徴とする請求項16記載の発現ベクター。
  18. 前記第2コード領域は、細胞内受容体タンパク質をコードする遺伝子であることを特徴とする請求項16記載の発現ベクター。
  19. 請求項16、17又は18記載の発現ベクターを含有することを特徴とする形質転換体。
  20. 宿主が大腸菌であることを特徴とする請求項19記載の形質転換体。
  21. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載のFKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質。
  22. 前記FKBP型PPIaseと前記目的タンパク質との間にプロテアーゼ消化アミノ酸配列を有することを特徴とする請求項21記載の融合タンパク質。
  23. 請求項16記載の発現ベクターに組み込まれた第1コード領域及び第2コード領域を転写及び翻訳させ、FKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質を合成することを特徴とする融合タンパク質の製造方法。
  24. 請求項16記載の発現ベクターに組み込まれた第1コード領域及び第2コード領域を転写及び翻訳させ、FKBP型PPIaseと目的タンパク質の融合タンパク質を合成し、次いで、該融合タンパク質から目的タンパク質を切り出すことを特徴とする目的タンパク質の製造方法。
  25. 前記発現ベクターは第1コード領域と第2コード領域の間にプロテアーゼ消化アミノ酸配列をコードする塩基配列を有し、第1コード領域と、プロテアーゼ消化アミノ酸配列をコードする塩基配列と、第2コード領域とを転写及び翻訳させ、FKBP型PPIaseと目的タンパク質との間にプロテアーゼ消化アミノ酸配列を有する融合タンパク質を合成し、該融合タンパク質に該プロテアーゼを作用させることにより目的タンパク質を切り出すことを特徴とする請求項24に記載の目的タンパク質の製造方法。
  26. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載のFKBP型PPIaseをコードする遺伝子と目的タンパク質をコードする遺伝子を同一宿主内で共発現させることにより、宿主内で目的タンパク質にFKBP型PPIaseを作用させ、目的タンパク質を可溶化し、宿主の可溶画分から目的タンパク質を採取することを特徴とする目的タンパク質の製造方法。
  27. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載のFKBP型PPIaseを含む試料を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供することにより、該FKBP型PPIase以外の成分を除去することを特徴とするFKBP型PPIaseの精製方法。
  28. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載のFKBP型PPIaseと目的タンパク質との融合タンパク質を含む試料を疎水性相互作用クロマトグラフィーに供することにより、該融合タンパク質以外の成分を除去することを特徴とする融合タンパク質の精製方法。
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