JPWO2004024141A1 - Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤 - Google Patents
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Abstract
抗腫瘍剤などの医薬品として有用な、一般式(I)[式中、R1、R2、R3およびR4は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルなどを表し、Xは酸素原子、硫黄原子、−N(R5)−または−CH2−を表し、aは−CRa1Ra2−、置換もしくは非置換のアリーレン、置換もしくは非置換の二価の複素環基または結合を表し、bは−(CRb1Rb2)m−または−CHRb3CRb4Rb5−を表し、cは−(CRc1Rc2)n(CHRc3CRc4Rc5)p−を表し、dは−(CRd1CRd2)q−または−CHRd3CRd4Rd5−を表し、eは−CRe1Re2−を表す]で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHsp90ファミリー蛋白質阻害剤などを提供する。
Description
本発明は、環状フェニル酢酸誘導体を有効成分として含有し、抗腫瘍剤などの医薬品として有用な、ヒートショックプロテイン90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤に関する。
従来、Hsp90ファミリー蛋白質に結合する化合物としては、ゲルダナマイシン(Geldanamycin)、ハービマイシンなどのベンゾキノンアンサマイシン系抗生物質およびラディシコール(Radicicol)が知られている[セル・ストレス&シャペロンズ(Cell Stress & Chaperones),3,100−108(1998)、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),42,260−266(1999)]。これらの化合物はいずれもHsp90ファミリー蛋白質に結合し、Hsp90ファミリー蛋白質の機能を阻害することにより抗腫瘍活性などの薬理活性を示すと報告されている。したがって、Hsp90ファミリー蛋白質に結合する化合物は、Hsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90client protein)が関与する疾患の治療薬として有用である。
また、ゲルダナマイシン誘導体[17−AAG、インヴェストゲーショナル・ニュー・ドラッグス(Invest.New Drugs),17,361−373(1999)]およびラディシコール誘導体[キャンサー・リサーチ(Cancer Research),59,2931−2938(1999)、ブラッド(Blood),96,2284−2291(2000)、キャンサー・ケモセラピー&ファーマコロジー(Cancer Chemotherapy and Pharmacology),48,435−445(2001)、WO96/33989、WO98/18780、WO99/55689、WO02/16369]が、抗腫瘍効果を示すことが報告されている。
さらに、ノボビオシン(Novobiocin)およびPU3がHsp90ファミリー蛋白質に結合する化合物として報告されている[ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサー・インスティチュート(Journal of National Cancer Institute),92,242−248(2000)、ケミストリー&バイオロジー(Chemistry & Biology),8,289−299(2001)]。
Hsp90ファミリー蛋白質としては、Hsp90a蛋白質、Hsp906蛋白質、grp94、hsp75/TRAP1などが知られている[ファーマコロジー&セラピューティクス(Pharmacology & Therapeutics),79,129−168(1998)、モレキュラー・エンドクリノロジー(Molecular Endocrinology),13,1435−1448(1999)など]。
一方、一般式(I)で表される環状フェニル酢酸誘導体としては、クルブラリン(Curvularin)などが知られている[例えば、テトラヘドロン(Tetrahedron),54,15937−15958(1998)]。
また、ゲルダナマイシン誘導体[17−AAG、インヴェストゲーショナル・ニュー・ドラッグス(Invest.New Drugs),17,361−373(1999)]およびラディシコール誘導体[キャンサー・リサーチ(Cancer Research),59,2931−2938(1999)、ブラッド(Blood),96,2284−2291(2000)、キャンサー・ケモセラピー&ファーマコロジー(Cancer Chemotherapy and Pharmacology),48,435−445(2001)、WO96/33989、WO98/18780、WO99/55689、WO02/16369]が、抗腫瘍効果を示すことが報告されている。
さらに、ノボビオシン(Novobiocin)およびPU3がHsp90ファミリー蛋白質に結合する化合物として報告されている[ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサー・インスティチュート(Journal of National Cancer Institute),92,242−248(2000)、ケミストリー&バイオロジー(Chemistry & Biology),8,289−299(2001)]。
Hsp90ファミリー蛋白質としては、Hsp90a蛋白質、Hsp906蛋白質、grp94、hsp75/TRAP1などが知られている[ファーマコロジー&セラピューティクス(Pharmacology & Therapeutics),79,129−168(1998)、モレキュラー・エンドクリノロジー(Molecular Endocrinology),13,1435−1448(1999)など]。
一方、一般式(I)で表される環状フェニル酢酸誘導体としては、クルブラリン(Curvularin)などが知られている[例えば、テトラヘドロン(Tetrahedron),54,15937−15958(1998)]。
本発明の目的は、抗腫瘍剤などの医薬品として有用な、環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するHsp90ファミリー蛋白質阻害剤などを提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(24)に関する。
(1) 一般式(I)
{式中、R1、R2、R3およびR4は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルアミノ、カルバモイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルカルバモイルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルカルバモイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルアミノ、ヒドロキシアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルチオ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアロイル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、
Xは酸素原子、硫黄原子、−N(R5)−(式中、R5は水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)または−CH2−を表し、
aは−CRa1Ra2−[式中、Ra1およびRa2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、置換もしくは非置換のアリールオキシ、−O(C=O)Ra3(式中、Ra3は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノまたは置換もしくは非置換のアラルキルアミノを表す)、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、Ra1とRa2が一緒になって酸素原子(=O)、=NORa4(式中、Ra4は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す)または−O(CH2)rO−(式中、rは2または3を表す)を表す]、置換もしくは非置換のアリーレン、置換もしくは非置換の二価の複素環基または結合を表し、
bは−(CRb1Rb2)m−[式中、mは0〜5までの整数を表し、Rb1およびRb2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表すか、Rb1とRb2が一緒になって酸素原子(=O)を表す]または−CHRb3CRb4Rb5−(式中、Rb3、Rb4およびRb5は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルチオ、置換もしくは非置換のアリールチオ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、Rb3とRb4が一緒になって結合または酸素原子を表すか、またはRb4とRb5が一緒になって酸素原子(=O)を表す)を表し、
cは−(CRc1Rc2)n(CHRc3CRc4Rc5)p−(式中、nおよびpはそれぞれ前記mと同義であり、Rc1およびRc2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義であり、Rc3、Rc4およびRc5はそれぞれ前記Rb3、Rb4およびRb5と同義である)を表し、
dは−(CRd1CRd2)q−(式中、qは前記mと同義であり、Rd1およびRd2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義である)または−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記Rb3、Rb4およびRb5と同義である)を表し、
eは−CRe1Re2−(式中、Re1およびRe2は同一または異なって、水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表す}で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するヒートショックプロテイン90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤。
(2) R2およびR4が同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、低級アルキルアミノカルボニルオキシまたはジ低級アルキルアミノカルボニルオキシである上記(1)記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(3) R2およびR4がヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシである上記(1)記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(4) R1およびR3が水素原子である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(5) Xが酸素原子であり、aが−CRa1Ra2−(式中、Ra1およびRa2はそれぞれ前記と同義である)であり、bが−CHRb3CRb4Rb5−(式中、Rb3、Rb4およびRb5はそれぞれ前記と同義である)であり、cが−CRc1Rc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、かつeが−CH(CH3)−である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(6) Xが酸素原子であり、aが置換もしくは非置換の二価の複素環基であり、bおよびcが結合を表し、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、eが−CH(CH3)−である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(7) 一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、X、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(8) R2およびR4が同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、低級アルキルアミノカルボニルオキシまたはジ低級アルキルアミノカルボニルオキシである上記(7)記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(9) R2およびR4がヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシである上記(7)記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(10) R1およびR3が水素原子である上記(7)〜(9)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(11) Xが酸素原子であり、aが−CRa1Ra2−(式中、Ra1およびRa2はそれぞれ前記と同義である)であり、bが−CHRb3CRb4Rb5−(式中、Rb3、Rb4およびRb5はそれぞれ前記と同義である)であり、cが−CRc1Rc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、かつeが−CH(CH3)−である上記(7)〜(10)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(12) Xが酸素原子であり、aが置換もしくは非置換の二価の複素環基であり、bおよびcが結合を表し、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、eが−CH(CH3)−である上記(7)〜(10)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(13) 一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
(14) R2およびR4が同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、低級アルキルアミノカルボニルオキシまたはジ低級アルキルアミノカルボニルオキシである上記(13)記載の抗腫瘍剤。
(15) R2およびR4がヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシである上記(13)記載の抗腫瘍剤。
(16) R1およびR3が水素原子である上記(13)〜(15)のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
(17) Xが酸素原子であり、aが−CRa1Ra2−(式中、Ra1およびRa2はそれぞれ前記と同義である)であり、bが−CHRb3CRb4Rb5−(式中、Rb3、Rb4およびRb5はそれぞれ前記と同義である)であり、cが−CRc1Rc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、かつeが−CH(CH3)−である上記(13)〜(16)のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
(18) Xが酸素原子であり、aが置換もしくは非置換の二価の複素環基であり、bおよびcが結合を表し、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、eが−CH(CH3)−である上記(13)〜(16)のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
(19) 一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、X、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするHsp90ファミリー蛋白質を阻害する方法。
(20) 一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、X、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療方法。
(21) 一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、X、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
(22) Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤の製造のための一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、X、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(23) Hsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤の製造のための一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、X、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(24) 抗腫瘍剤の製造のための一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、X、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
一般式(I)中の各基の定義において、
低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、低級アルキルカルバモイルアミノ、ジ低級アルキルカルバモイルアミノ、低級アルコキシカルボニルアミノ、低級アルキルスルホニルアミノ、低級アルキルチオおよび低級アルコキシカルボニルオキシの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜8のアルキル、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなど、および例えば炭素数3〜8のシクロアルキル、より具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあげられる。ジ低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノカルボニルオキシおよびジ低級アルキルカルバモイルアミノにおける2個の低級アルキル部分は同一でも異なっていてもよい。
低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルケニル、より具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、クロチル、1−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−オクテニルなどがあげられる。
低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルキニル、より具体的にはエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプテニル、オクチニルなどがあげられる。
低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシおよび低級アルカノイルアミノの低級アルカノイル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜7のアルカノイル、より具体的にはホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイルなどがあげられる。
アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールチオ、アロイルおよびアロイルオキシのアリール部分としては、例えば炭素数6〜14のアリール、より具体的にはフェニル、インデニル、ナフチル、アントリルなどがあげられる。
アラルキル、アラルキルオキシおよびアラルキルアミノのアラルキル部分としては、例えば炭素数7〜15のアラルキル、より具体的にはベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチルなどがあげられる。
複素環基としては、芳香族複素環基および脂環式複素環基があげられ、芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基などがあげられ、より具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、オキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニルなどがあげられる。脂環式複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂環式複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環基などがあげられ、より具体的にはピロリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ホモピペリジノ、ホモピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロベンゾフラニルなどがあげられる。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
アリーレンは、前記アリールから水素原子を1つ除いた基を表し、二価の複素環基は、前記複素環基から水素原子を1つ除いた基を表す。
置換低級アルキル、置換低級アルケニル、置換低級アルキニル、置換低級アルコキシ、置換低級アルカノイルオキシ、置換低級アルコキシカルボニルオキシ、置換低級アルキルアミノ、置換ジ低級アルキルアミノ、置換低級アルカノイルアミノ、置換低級アルカノイル、置換低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換ジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換低級アルキルスルホニルアミノ、置換低級アルキルカルバモイルアミノ、置換ジ低級アルキルカルバモイルアミノ、置換低級アルコキシカルボニルアミノ、置換低級アルキルチオおよび置換低級アルコキシカルボニルにおける置換基としては、例えば同一または異なって、置換数1〜3のヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシなどがあげられる。置換基の置換位置は特に限定されない。ここで、低級アルコキシは前記と同義であり、置換低級アルコキシにおける置換基としては、例えば置換数1〜3のヒドロキシなどがあげられる。
置換アロイルオキシ、置換アラルキルオキシ、置換アリール、置換アロイル、置換アラルキル、置換アリールオキシ、置換アリールアミノ、置換アラルキルアミノ、置換アリールチオ、置換複素環基、置換アリーレンおよび置換二価の複素環基における置換基としては、例えば同一または異なって、置換数1〜3のヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシなどがあげられる。置換基の置換位置は特に限定されない。ここで、ハロゲン、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、低級アルキルおよび低級アルコキシは、それぞれ前記と同義であり、置換低級アルキルおよび置換低級アルコキシにおける置換基としては、例えば同一または異なって、置換数1〜3のヒドロキシ、ハロゲンなどがあげられ、ハロゲンは前記と同義である。
以下、一般式(I)で表される化合物を化合物(I)と称する。
化合物(I)の薬理学的に許容される塩は、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩などを包含する。
化合物(I)の薬理学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩があげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などがあげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、例えばモルホリン、ピペリジンなどの付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、例えばグリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの付加塩があげられる。
Hsp90ファミリー蛋白質阻害とは、Hsp90ファミリー蛋白質とHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)との結合を阻害することを意味する。
Hsp90ファミリー蛋白質としては、例えばHsp90α蛋白質、Hsp90β蛋白質、grp94、hsp75/TRAP1などがあげられる。
Hsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質は、Hsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質であればいずれでもよいが、例えばEGFR、Erb−B2、Bcr−Abl、src、raf−1、AKT、Flt−3、PLK、Wee1、FAK、cMET、hTERT、HIF1−α、変異p53、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体などがあげられる[エキスパート・オピニオン・オン・バイオロジカル・セラピー(Expert Opinion on Biological Therapy),2,3−24(2002)]。
Hsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患としては、例えば固形癌(例えば網膜芽線維種、骨肉種、大腸癌、乳癌、胃癌、膀胱癌、前立腺癌、腎細胞癌、ヒトパピローマウィルス性子宮頚癌、小細胞肺癌など)、血液癌(例えば急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、レンネルトTリンパ腫など)などの悪性腫瘍、骨粗鬆症、アテローム性動脈硬化症、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、多発性硬化症、全身性強皮症、ベーチェット病、結節性動脈周囲炎、潰瘍性大腸炎、活動性慢性肝炎、慢性糸球体腎炎、変形性関節症、痛風、シェーグレン症候群、乾癬、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、じん麻疹、食物アレルギー、各種脳炎、エンドトキシンショック、敗血症、炎症性大腸炎、糖尿病、肺炎、臓器移植に伴う拒絶反応、脳脊髄炎、食欲不振、急性肝炎、薬物中毒性肝障害、アルコール性肝炎、ウイルス肝炎、黄疸、肝硬変、肝不全、心房粘液腫キャッスルマン症候群、メサンギウム増殖性腎炎、虚血性再灌流障害、くも膜下出血、再発狭窄症(restenosis)、悪液質、サイトメガロウイルス性肺炎、サイトメガロウイルス性網膜症、アデノウイルス性感冒、アデノウイルス性プール熱、アデノウイルス性眼炎、エイズ、肉芽腫を伴う肺疾患などがあげられる[例えばファーマコロジカル・レビューズ(Pharmacological Reviews),50,493−514(1998)など]。
<製造法>
化合物(I)は、例えば文献[特開2000−287697、テトラヘドロン(Tetrahedron),54,15937−15958(1998)、チャイニーズ・ケミカル・レターズ(Chin.Chem.Lett.),5,481−484(1994)、ヘテロサイクルズ(Heterocycles),32,307−310(1991)、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.),30,2241−2244(1989)、ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters),589−592(1990)、目本化学会誌,5,883−885(1981)、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agrc.Biol.Chem.),40,1663−1664(1976)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティー・C(J.Chem.Soc.C),10,947−948(1967)など]に記載の方法またはそれらに準じた方法により製造することができる。
さらに、有機合成化学で常用される公知の方法[例えば、コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)、R.C.ラロック(Larock)著(1989)など]によって各官能基を変換して種々の化合物(I)を製造することもできる。また、必要に応じて各官能基の保護、脱保護[例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T.W.Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1999)など]などを組み合わせ、種々の官能基を有する目的化合物を製造することができる。また、一部の化合物(I)の製造の具体例を後述する参考例に記載した。
上記各製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィーなどに付して単離精製することができる。また、中間体においては特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
化合物(I)の中には、幾何異性体、光学異性体などの立体異性体が存在し得るものもあるが、本発明では、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を使用することができる。
化合物(I)の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときは、化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて単離、精製すればよい。
また、化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの付加物も本発明に使用することができる。
化合物(I)の具体例を第1表に示す。
次に、化合物(I)の薬理作用について試験例により具体的に説明する。
試験例1 Hsp90蛋白質結合活性試験
(1)アーカイブズ・オブ・バイオケミストリー・アンド・バイオフィジックス(Archives of Biochemistry and Biophysics),282,290−296(1990)記載の方法に従って、ウシ脳から精製したHsp90蛋白質(純度58%)をトリス緩衝化生理食塩水(TBS、pH7.4)で1μg/mLになるように希釈し、住友ベークライト社製96穴ELISAアッセイプレートに75μL/ウェルの量で分注後、4℃で1晩放置して固相化した。
(2)上清を除去し、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むトリス緩衝化生理食塩水を300μL/ウェルの量で分注してブロッキングを行った。
(3)ブロッキング液を除去後、0.05% ツィーン20を含むトリス緩衝化生理食塩水(TBST)を500μL/ウェルの量加えて固相を洗浄する操作を3回繰り返した。
(4)被験化合物(化合物1〜12)を、TBSTを用いて最高濃度0.5mmol/Lから√10倍希釈で8段階に希釈した溶液を別の容器に作成した。この被験化合物溶液を、プロテアーゼ阻害剤コンプリートEDTA−フリー(ロシュ社製)およびペファブロックSC(Pefabloc SC,ロシュ社製)をそれぞれ1錠/40mLおよび0.4mmol/Lの濃度で含むTBSTを80μL/ウェルの量であらかじめ分注したアッセイプレートに、20μL/ウェルの量で添加し、室温で1時間放置した。ここで、アッセイのポジティブコントロールとしてジメチルスルホキシドを終濃度1μL/ウェル、ネガティブコントロールとしてラディシコールを終濃度0.25μmol/Lで用い、被験化合物と同一プレートに並べて被験化合物を用いた場合と同様の操作を行った。
(5)最終濃度0.1μmol/Lになるように、式(II)で表されるビオチン化ラディシコールを加え、さらに室温で1時間放置して、固相化したHsp90蛋白質に対する被験化合物の結合の競合反応を行った。
(6)(5)の反応液を除去後、TBSTを500μL/ウェルの量加えて固相を洗浄する操作を3回繰り返した。
(7)ユーロピウム標識ストレプトアビジン[ワラック オイ(Wallac Oy)社製]をアッセイ用緩衝液[ワラック オイ(Wallac Oy)社製]で最終濃度0.1μg/mLになるように希釈し、100μL/ウェルの量で分注した後、室温で1時間放置して、ビオチン−アビジン結合反応を行った。
(8)(7)の反応液を除去後、TBSTを500μL/ウェルの量加えて固相を洗浄する操作を3回繰り返した。
(9)蛍光増強溶液[ワラック オイ(Wallac Oy)社製]を100μL/ウェルの量で加え、室温で5分間発色反応を行い、マルチラベルカウンター[ARVOTM、ワラック オイ(Wallac Oy)社製]を用いて、励起波長340nm、測定波長615nmで時間分解蛍光を測定した。
ポジティブコントロールでの時間分解蛍光の測定値を結合率100%、ネガティブコントロールでの測定値を結合率0%として、被験化合物を加えたウェルでの結合率をそれぞれのウェルでの測定値より算出した。
化合物1〜4および化合物6〜12は、100μmol/L以下の濃度において、ビオチン化ラディシコールのHsp90蛋白質との結合を50%以上阻害し、Hsp90蛋白質に対する結合活性があることが示された。特に化合物8は、16μmol/Lでビオチン化ラディシコールのHsp90との結合を50%阻害した。
試験例2 ヒト大腸癌細胞HCT116に対する細胞増殖抑制活性
1×103個/ウェルのHCT116細胞を96穴マイクロタイタープレート(住友ベークライト社製MS−8196F)に分注し、37℃で24時間、5%炭酸ガスインキュベーター内で培養した。その後段階的に希釈した被験化合物を加え、さらに37℃で72時間、5%炭酸ガスインキュベーター内で培養した。そこに終濃度1mg/mLとなるようにXTT[2,3−bis(2−methoxy−4−nitro−5−sulfophenyl)−2H−tetrazolium−5−carboxanilidesodium salt]標準試薬(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を培養培地中に分注した。37℃で2時間、5%炭酸ガスインキュベーター内で培養後、マイクロプレート分光光度計Emax(モレキュラーデバイス社製)を用い490nm(対照波長650nm)での吸光度を測定した。
化合物1および化合物11は100μmol/L以下の濃度で細胞増殖を50%以上抑制した。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。また、それら医薬製剤は、動物および人に使用されるものである。
本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を単独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
投与経路は、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内などの非経口をあげることができる。
投与形態としては、例えば錠剤、注射剤などがある。
経口投与に適当な、例えば錠剤などは、乳糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性剤からなる。例えば注射剤の場合は、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合物からなる担体などを用いて注射用の溶液を調製する。
また、これら非経口剤においても、経口剤で例示した賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩の投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度により異なるが、通常経口の場合、成人一人当り0.01mg〜1g、好ましくは0.05〜50mgを一日一回ないし数回投与する。静脈内投与などの非経口投与の場合、成人一人当り0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mgを一日一回ないし数回投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
以下に、本発明の態様を参考例および実施例で説明する。
本発明は、以下の(1)〜(24)に関する。
(1) 一般式(I)
{式中、R1、R2、R3およびR4は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルアミノ、カルバモイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルカルバモイルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルカルバモイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルアミノ、ヒドロキシアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルチオ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアロイル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、
Xは酸素原子、硫黄原子、−N(R5)−(式中、R5は水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)または−CH2−を表し、
aは−CRa1Ra2−[式中、Ra1およびRa2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、置換もしくは非置換のアリールオキシ、−O(C=O)Ra3(式中、Ra3は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノまたは置換もしくは非置換のアラルキルアミノを表す)、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、Ra1とRa2が一緒になって酸素原子(=O)、=NORa4(式中、Ra4は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す)または−O(CH2)rO−(式中、rは2または3を表す)を表す]、置換もしくは非置換のアリーレン、置換もしくは非置換の二価の複素環基または結合を表し、
bは−(CRb1Rb2)m−[式中、mは0〜5までの整数を表し、Rb1およびRb2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表すか、Rb1とRb2が一緒になって酸素原子(=O)を表す]または−CHRb3CRb4Rb5−(式中、Rb3、Rb4およびRb5は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルチオ、置換もしくは非置換のアリールチオ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、Rb3とRb4が一緒になって結合または酸素原子を表すか、またはRb4とRb5が一緒になって酸素原子(=O)を表す)を表し、
cは−(CRc1Rc2)n(CHRc3CRc4Rc5)p−(式中、nおよびpはそれぞれ前記mと同義であり、Rc1およびRc2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義であり、Rc3、Rc4およびRc5はそれぞれ前記Rb3、Rb4およびRb5と同義である)を表し、
dは−(CRd1CRd2)q−(式中、qは前記mと同義であり、Rd1およびRd2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義である)または−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記Rb3、Rb4およびRb5と同義である)を表し、
eは−CRe1Re2−(式中、Re1およびRe2は同一または異なって、水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表す}で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するヒートショックプロテイン90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤。
(2) R2およびR4が同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、低級アルキルアミノカルボニルオキシまたはジ低級アルキルアミノカルボニルオキシである上記(1)記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(3) R2およびR4がヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシである上記(1)記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(4) R1およびR3が水素原子である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(5) Xが酸素原子であり、aが−CRa1Ra2−(式中、Ra1およびRa2はそれぞれ前記と同義である)であり、bが−CHRb3CRb4Rb5−(式中、Rb3、Rb4およびRb5はそれぞれ前記と同義である)であり、cが−CRc1Rc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、かつeが−CH(CH3)−である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(6) Xが酸素原子であり、aが置換もしくは非置換の二価の複素環基であり、bおよびcが結合を表し、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、eが−CH(CH3)−である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(7) 一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、X、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(8) R2およびR4が同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、低級アルキルアミノカルボニルオキシまたはジ低級アルキルアミノカルボニルオキシである上記(7)記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(9) R2およびR4がヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシである上記(7)記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(10) R1およびR3が水素原子である上記(7)〜(9)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(11) Xが酸素原子であり、aが−CRa1Ra2−(式中、Ra1およびRa2はそれぞれ前記と同義である)であり、bが−CHRb3CRb4Rb5−(式中、Rb3、Rb4およびRb5はそれぞれ前記と同義である)であり、cが−CRc1Rc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、かつeが−CH(CH3)−である上記(7)〜(10)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(12) Xが酸素原子であり、aが置換もしくは非置換の二価の複素環基であり、bおよびcが結合を表し、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、eが−CH(CH3)−である上記(7)〜(10)のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
(13) 一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
(14) R2およびR4が同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、低級アルキルアミノカルボニルオキシまたはジ低級アルキルアミノカルボニルオキシである上記(13)記載の抗腫瘍剤。
(15) R2およびR4がヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシである上記(13)記載の抗腫瘍剤。
(16) R1およびR3が水素原子である上記(13)〜(15)のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
(17) Xが酸素原子であり、aが−CRa1Ra2−(式中、Ra1およびRa2はそれぞれ前記と同義である)であり、bが−CHRb3CRb4Rb5−(式中、Rb3、Rb4およびRb5はそれぞれ前記と同義である)であり、cが−CRc1Rc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、かつeが−CH(CH3)−である上記(13)〜(16)のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
(18) Xが酸素原子であり、aが置換もしくは非置換の二価の複素環基であり、bおよびcが結合を表し、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、eが−CH(CH3)−である上記(13)〜(16)のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
(19) 一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、X、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするHsp90ファミリー蛋白質を阻害する方法。
(20) 一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、X、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療方法。
(21) 一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、X、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
(22) Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤の製造のための一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、X、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(23) Hsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤の製造のための一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、X、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(24) 抗腫瘍剤の製造のための一般式(I)
(式中、R1、R2、R3、R4、X、a、b、c、dおよびeはそれぞれ前記と同義である)で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
一般式(I)中の各基の定義において、
低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、低級アルキルカルバモイルアミノ、ジ低級アルキルカルバモイルアミノ、低級アルコキシカルボニルアミノ、低級アルキルスルホニルアミノ、低級アルキルチオおよび低級アルコキシカルボニルオキシの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜8のアルキル、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなど、および例えば炭素数3〜8のシクロアルキル、より具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあげられる。ジ低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノカルボニルオキシおよびジ低級アルキルカルバモイルアミノにおける2個の低級アルキル部分は同一でも異なっていてもよい。
低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルケニル、より具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、クロチル、1−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−オクテニルなどがあげられる。
低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分枝状の炭素数2〜8のアルキニル、より具体的にはエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプテニル、オクチニルなどがあげられる。
低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシおよび低級アルカノイルアミノの低級アルカノイル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜7のアルカノイル、より具体的にはホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイルなどがあげられる。
アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールチオ、アロイルおよびアロイルオキシのアリール部分としては、例えば炭素数6〜14のアリール、より具体的にはフェニル、インデニル、ナフチル、アントリルなどがあげられる。
アラルキル、アラルキルオキシおよびアラルキルアミノのアラルキル部分としては、例えば炭素数7〜15のアラルキル、より具体的にはベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチルなどがあげられる。
複素環基としては、芳香族複素環基および脂環式複素環基があげられ、芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基などがあげられ、より具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、フリル、チアゾリル、オキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニルなどがあげられる。脂環式複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂環式複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環基などがあげられ、より具体的にはピロリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ホモピペリジノ、ホモピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロベンゾフラニルなどがあげられる。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
アリーレンは、前記アリールから水素原子を1つ除いた基を表し、二価の複素環基は、前記複素環基から水素原子を1つ除いた基を表す。
置換低級アルキル、置換低級アルケニル、置換低級アルキニル、置換低級アルコキシ、置換低級アルカノイルオキシ、置換低級アルコキシカルボニルオキシ、置換低級アルキルアミノ、置換ジ低級アルキルアミノ、置換低級アルカノイルアミノ、置換低級アルカノイル、置換低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換ジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換低級アルキルスルホニルアミノ、置換低級アルキルカルバモイルアミノ、置換ジ低級アルキルカルバモイルアミノ、置換低級アルコキシカルボニルアミノ、置換低級アルキルチオおよび置換低級アルコキシカルボニルにおける置換基としては、例えば同一または異なって、置換数1〜3のヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシなどがあげられる。置換基の置換位置は特に限定されない。ここで、低級アルコキシは前記と同義であり、置換低級アルコキシにおける置換基としては、例えば置換数1〜3のヒドロキシなどがあげられる。
置換アロイルオキシ、置換アラルキルオキシ、置換アリール、置換アロイル、置換アラルキル、置換アリールオキシ、置換アリールアミノ、置換アラルキルアミノ、置換アリールチオ、置換複素環基、置換アリーレンおよび置換二価の複素環基における置換基としては、例えば同一または異なって、置換数1〜3のヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ハロゲン、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシなどがあげられる。置換基の置換位置は特に限定されない。ここで、ハロゲン、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、低級アルキルおよび低級アルコキシは、それぞれ前記と同義であり、置換低級アルキルおよび置換低級アルコキシにおける置換基としては、例えば同一または異なって、置換数1〜3のヒドロキシ、ハロゲンなどがあげられ、ハロゲンは前記と同義である。
以下、一般式(I)で表される化合物を化合物(I)と称する。
化合物(I)の薬理学的に許容される塩は、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩などを包含する。
化合物(I)の薬理学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩があげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などがあげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、例えばモルホリン、ピペリジンなどの付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、例えばグリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの付加塩があげられる。
Hsp90ファミリー蛋白質阻害とは、Hsp90ファミリー蛋白質とHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)との結合を阻害することを意味する。
Hsp90ファミリー蛋白質としては、例えばHsp90α蛋白質、Hsp90β蛋白質、grp94、hsp75/TRAP1などがあげられる。
Hsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質は、Hsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質であればいずれでもよいが、例えばEGFR、Erb−B2、Bcr−Abl、src、raf−1、AKT、Flt−3、PLK、Wee1、FAK、cMET、hTERT、HIF1−α、変異p53、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体などがあげられる[エキスパート・オピニオン・オン・バイオロジカル・セラピー(Expert Opinion on Biological Therapy),2,3−24(2002)]。
Hsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患としては、例えば固形癌(例えば網膜芽線維種、骨肉種、大腸癌、乳癌、胃癌、膀胱癌、前立腺癌、腎細胞癌、ヒトパピローマウィルス性子宮頚癌、小細胞肺癌など)、血液癌(例えば急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、レンネルトTリンパ腫など)などの悪性腫瘍、骨粗鬆症、アテローム性動脈硬化症、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、I型糖尿病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、多発性硬化症、全身性強皮症、ベーチェット病、結節性動脈周囲炎、潰瘍性大腸炎、活動性慢性肝炎、慢性糸球体腎炎、変形性関節症、痛風、シェーグレン症候群、乾癬、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、じん麻疹、食物アレルギー、各種脳炎、エンドトキシンショック、敗血症、炎症性大腸炎、糖尿病、肺炎、臓器移植に伴う拒絶反応、脳脊髄炎、食欲不振、急性肝炎、薬物中毒性肝障害、アルコール性肝炎、ウイルス肝炎、黄疸、肝硬変、肝不全、心房粘液腫キャッスルマン症候群、メサンギウム増殖性腎炎、虚血性再灌流障害、くも膜下出血、再発狭窄症(restenosis)、悪液質、サイトメガロウイルス性肺炎、サイトメガロウイルス性網膜症、アデノウイルス性感冒、アデノウイルス性プール熱、アデノウイルス性眼炎、エイズ、肉芽腫を伴う肺疾患などがあげられる[例えばファーマコロジカル・レビューズ(Pharmacological Reviews),50,493−514(1998)など]。
<製造法>
化合物(I)は、例えば文献[特開2000−287697、テトラヘドロン(Tetrahedron),54,15937−15958(1998)、チャイニーズ・ケミカル・レターズ(Chin.Chem.Lett.),5,481−484(1994)、ヘテロサイクルズ(Heterocycles),32,307−310(1991)、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.),30,2241−2244(1989)、ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters),589−592(1990)、目本化学会誌,5,883−885(1981)、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agrc.Biol.Chem.),40,1663−1664(1976)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティー・C(J.Chem.Soc.C),10,947−948(1967)など]に記載の方法またはそれらに準じた方法により製造することができる。
さらに、有機合成化学で常用される公知の方法[例えば、コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)、R.C.ラロック(Larock)著(1989)など]によって各官能基を変換して種々の化合物(I)を製造することもできる。また、必要に応じて各官能基の保護、脱保護[例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T.W.Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1999)など]などを組み合わせ、種々の官能基を有する目的化合物を製造することができる。また、一部の化合物(I)の製造の具体例を後述する参考例に記載した。
上記各製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィーなどに付して単離精製することができる。また、中間体においては特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
化合物(I)の中には、幾何異性体、光学異性体などの立体異性体が存在し得るものもあるが、本発明では、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を使用することができる。
化合物(I)の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときは、化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて単離、精製すればよい。
また、化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これらの付加物も本発明に使用することができる。
化合物(I)の具体例を第1表に示す。
次に、化合物(I)の薬理作用について試験例により具体的に説明する。
試験例1 Hsp90蛋白質結合活性試験
(1)アーカイブズ・オブ・バイオケミストリー・アンド・バイオフィジックス(Archives of Biochemistry and Biophysics),282,290−296(1990)記載の方法に従って、ウシ脳から精製したHsp90蛋白質(純度58%)をトリス緩衝化生理食塩水(TBS、pH7.4)で1μg/mLになるように希釈し、住友ベークライト社製96穴ELISAアッセイプレートに75μL/ウェルの量で分注後、4℃で1晩放置して固相化した。
(2)上清を除去し、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むトリス緩衝化生理食塩水を300μL/ウェルの量で分注してブロッキングを行った。
(3)ブロッキング液を除去後、0.05% ツィーン20を含むトリス緩衝化生理食塩水(TBST)を500μL/ウェルの量加えて固相を洗浄する操作を3回繰り返した。
(4)被験化合物(化合物1〜12)を、TBSTを用いて最高濃度0.5mmol/Lから√10倍希釈で8段階に希釈した溶液を別の容器に作成した。この被験化合物溶液を、プロテアーゼ阻害剤コンプリートEDTA−フリー(ロシュ社製)およびペファブロックSC(Pefabloc SC,ロシュ社製)をそれぞれ1錠/40mLおよび0.4mmol/Lの濃度で含むTBSTを80μL/ウェルの量であらかじめ分注したアッセイプレートに、20μL/ウェルの量で添加し、室温で1時間放置した。ここで、アッセイのポジティブコントロールとしてジメチルスルホキシドを終濃度1μL/ウェル、ネガティブコントロールとしてラディシコールを終濃度0.25μmol/Lで用い、被験化合物と同一プレートに並べて被験化合物を用いた場合と同様の操作を行った。
(5)最終濃度0.1μmol/Lになるように、式(II)で表されるビオチン化ラディシコールを加え、さらに室温で1時間放置して、固相化したHsp90蛋白質に対する被験化合物の結合の競合反応を行った。
(6)(5)の反応液を除去後、TBSTを500μL/ウェルの量加えて固相を洗浄する操作を3回繰り返した。
(7)ユーロピウム標識ストレプトアビジン[ワラック オイ(Wallac Oy)社製]をアッセイ用緩衝液[ワラック オイ(Wallac Oy)社製]で最終濃度0.1μg/mLになるように希釈し、100μL/ウェルの量で分注した後、室温で1時間放置して、ビオチン−アビジン結合反応を行った。
(8)(7)の反応液を除去後、TBSTを500μL/ウェルの量加えて固相を洗浄する操作を3回繰り返した。
(9)蛍光増強溶液[ワラック オイ(Wallac Oy)社製]を100μL/ウェルの量で加え、室温で5分間発色反応を行い、マルチラベルカウンター[ARVOTM、ワラック オイ(Wallac Oy)社製]を用いて、励起波長340nm、測定波長615nmで時間分解蛍光を測定した。
ポジティブコントロールでの時間分解蛍光の測定値を結合率100%、ネガティブコントロールでの測定値を結合率0%として、被験化合物を加えたウェルでの結合率をそれぞれのウェルでの測定値より算出した。
化合物1〜4および化合物6〜12は、100μmol/L以下の濃度において、ビオチン化ラディシコールのHsp90蛋白質との結合を50%以上阻害し、Hsp90蛋白質に対する結合活性があることが示された。特に化合物8は、16μmol/Lでビオチン化ラディシコールのHsp90との結合を50%阻害した。
試験例2 ヒト大腸癌細胞HCT116に対する細胞増殖抑制活性
1×103個/ウェルのHCT116細胞を96穴マイクロタイタープレート(住友ベークライト社製MS−8196F)に分注し、37℃で24時間、5%炭酸ガスインキュベーター内で培養した。その後段階的に希釈した被験化合物を加え、さらに37℃で72時間、5%炭酸ガスインキュベーター内で培養した。そこに終濃度1mg/mLとなるようにXTT[2,3−bis(2−methoxy−4−nitro−5−sulfophenyl)−2H−tetrazolium−5−carboxanilidesodium salt]標準試薬(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を培養培地中に分注した。37℃で2時間、5%炭酸ガスインキュベーター内で培養後、マイクロプレート分光光度計Emax(モレキュラーデバイス社製)を用い490nm(対照波長650nm)での吸光度を測定した。
化合物1および化合物11は100μmol/L以下の濃度で細胞増殖を50%以上抑制した。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。また、それら医薬製剤は、動物および人に使用されるものである。
本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を単独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
投与経路は、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内などの非経口をあげることができる。
投与形態としては、例えば錠剤、注射剤などがある。
経口投与に適当な、例えば錠剤などは、乳糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性剤からなる。例えば注射剤の場合は、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合物からなる担体などを用いて注射用の溶液を調製する。
また、これら非経口剤においても、経口剤で例示した賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩の投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度により異なるが、通常経口の場合、成人一人当り0.01mg〜1g、好ましくは0.05〜50mgを一日一回ないし数回投与する。静脈内投与などの非経口投与の場合、成人一人当り0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mgを一日一回ないし数回投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
以下に、本発明の態様を参考例および実施例で説明する。
以下、構造式中の波線は、立体異性体の混合物であることを示す。
参考例1: 化合物1、化合物2、化合物3および化合物4
Aspergillus属糸状菌MPC1009株[受託番号FERM BP−7900号;平成14年2月18日付で独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託]の寒天斜面培地から、一白金耳ずつを50mLの一次種培地(マッシュポテト3%、グルコース10%、酵母エキス0.5%、pH6.5)を入れた4本の300mL容の三角フラスコに接種し、28℃で4日間回転撹拌機上で培養して一次種培養液を得た。この一次種培養液75mLを2.5Lの二次種培地(グルコース2%、マッシュポテト2%、ペプトン0.5%、KH2PO40.5%、pH6.0に調整後、Mg3(PO4)2・8H2O0.05%を添加)を入れた5L容のジャーファーメンターに接種して、25℃で24時間通気撹拌培養を行った。得られた二次種培養液450mLを15Lの生産培地(グルコース2%、マッシュポテト2%、ペプトン0.5%、KH2PO40.5%、pH6.0に調整後、Mg3(PO4)2・8H2O0.05%を添加)を入れた30L容のジャーファーメンター(2基)に接種して、25℃で5日間通気撹拌培養を行った。培養終了後、培養液(30L)を吸引ろ過により菌体と上清に分け、培養上清を予め30%メタノールで充填したダイアイオンHP20(1.5L、三菱化学)のカラムクロマトグラフィーに付し、50%メタノールで洗浄後、100%メタノールで溶出させた。溶出液を濃縮後、酢酸エチルで抽出し、抽出液を濃縮乾固することにより、10.4gの抽出物を得た。得られた抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノールおよび酢酸エチル−メタノール)に繰り返し付すことにより、化合物1(1.0g)、化合物2(9.2mg)、化合物3(23mg)および化合物4(680mg)を得た。
化合物1:trans−dehydrocurvularin
1H NMR(CD3OD,300MHz)δ(ppm)1.18(3H,d,J=6.4Hz),1.52−1.64(2H,m),1.81−2.01(2H,m),2.24−2.42(2H,m),3.45(1H,d,J=16.7Hz),3.73(1H,d,J=16.7Hz),4.81(1H,m),6.24(1H,d,J=2.2Hz),6.28(1H,d,J=2.2Hz),6.50(1H,d,J=15.6Hz),6.59(1H,ddd,J=5.1,5.5,15.6Hz);FAB−MS m/z291[M+H]+;[α]D 28−67.2°(c1.06,C2H5OH)
化合物2:cis−dehydrocurvularin
1H NMR(CD3OD,300MHz)δ(ppm)1.12(3H,d,J=6.4Hz),1.49−1.58(2H,m),1.77(2H,m),2.20−2.27(2H,m),3.62(1H,d,J=14.5Hz),3.70(1H,d,J=14.5Hz),4.80(1H,m),5.93(1H,ddd,J=12.1,7.7,7.7Hz),6.22(1H,d,J=2.2Hz),6.24(1H,d,J=2.2Hz),6.49(1H,ddd,J=12.1,1.7,1.7Hz);FAB−MS m/z291[M+H]+
化合物3:12−oxocurvularin
1H NMR(CD3OD,300MHz)δ(ppm)1.10(3H,d,J=6.2Hz),1.69(1H,m),2.02(1H,m),2.23(1H,ddd,J=2.9,8.1,16.5Hz),2.64(1H,m),2.69(1H,m),2.97(2H,m),3.36(1H,m),3.51(1H,d,J=15.8Hz),3.60(1H,d,J=15.8Hz),4.92(1H,m),6.17(1H,d,J=2.2Hz),6.23(1H,d,J=2.2Hz);FAB−MS m/z307[M+H]+
化合物4:11−hydroxycurvularin(約2:1の立体異性体の混合物)
1H NMR(CD3OD,300MHz,主異性体)δ(ppm)1.13(3H,d,J=6.1Hz),1.38−1.65(6H,m),3.22(2H,d,J=7.6Hz),3.58(1H,d,J=15.6Hz),3.96(1H,d,J=15.6Hz),4.07(1H,m),4.98(1H,m),6.21(1H,d,J=2.1Hz),6.27(1H,d,J=2.1Hz);FAB−MS m/z309[M+H]+
参考例2: 化合物5および化合物6
参考例1で得られた化合物1(101.7mg,0.351mmol)を4mLのメタノールに溶解し、炭酸ナトリウム(85mg,0.80mmol)と30%過酸化水素水(1mL)を加え、氷冷しながら2時間撹拌した。反応液を氷水にあけ、酢酸エチル(50mL×2)で抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮した残渣をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(0.5mm×20cm×20cm,クロロホルム:メタノール=10:1)で分離精製し、化合物5(12.2mg,11%)および化合物6(5.5mg,5%)を得た。
化合物5
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm)1.27(3H,d,J=6.8Hz),1.60−2.15(6H,m),3.08(1H,brd,J=7.0Hz),3.69(1H,d,J=18.3Hz),3.97(1H,d,J=1.8Hz),4.17(1H,d,J=18.3Hz),5.10(1H,m),6.24(1H,d,J=2.6Hz),6.26(1H,d,J=2.6Hz),7.51(1H,brs),12.49(1H,brs);FAB−MS m/z307[M+H]+,305[M−H]−
化合物6
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm)1.28(3H,d,J=6.2Hz),1.55−1.83(4H,m),2.09−2.19(2H,m),3.31(1H,ddd,J=4.7,2.9,2.2Hz),3.70(1H,d,J=17.2Hz),3.76(1H,d,J=2.2Hz),3.78(1H,d,J=17.2Hz),5.07(1H,m),6.31(1H,d,J=2.2Hz),6.34(1H,d,J=2.2Hz),6.61(1H,brs),11.13(1H,brs);FAB−MS m/z307[M+H]+,305[M−H]−
参考例3: 化合物7
参考例1で得られた化合物1(65.0mg,0.224mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液に、トリエチルアミン(75μL,0.54mmol)とアニリン(50μL,0.55mmol)を加え、70℃で1時間撹拌した。反応液を0.1mol/L塩酸水溶液にあけ、酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮した残渣(48.7mg)をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィーで分離精製し、立体異性体比約2:1の混合物である化合物7(18.0mg,21%)を得た。
化合物7
1H NMR(アセトン−d6,300MHz,主異性体)δ(ppm)1.20(3H,d,J=6.6Hz),1.28−1.90(6H,m),2.83(1H,m),3.45(1H,m),3.66(1H,m),3.81(1H,d,J=15.4Hz),4.04(1H,d,J=15.4Hz),5.10(1H,m),6.48(1H,d,J=2.2Hz),6.54(1H,d,J=2.2Hz),6.61−6.79(3H,m),7.12−7.20(2H,m),8.96(1H,brs);FAB−MS m/z384[M+H]+,382[M−H]−
参考例4: 化合物8
参考例1で得られた化合物1(35.0mg,0.121mmol)のアセトン(3mL)溶液に炭酸カリウム(60mg,0.43mmol)とヨウ化メチル(15μL,0.2mmol)を加え、60℃で撹拌した。30分後、ヨウ化メチル(20μL,0.32mmol)をさらに加え、70℃で30分間撹拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。抽出液を0.5mol/L塩酸水溶液と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮した残渣(38.3mg)をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(0.5mm×20cm×20cm,n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で分離精製し、化合物8(7.6mg,21%)を得た。
化合物8
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm)1.24(3H,d,J=6.2Hz),1.58−1.70(2H,m),1.85−2.04(2H,m),2.27−2.52(2H,m),3.54(1H,d,J=17.8Hz),3.82(3H,s),4.04(1H,d,J=17.8Hz),4.85(1H,m),6.32(1H,d,J=2.4Hz),6.41(1H,d,J=2.4Hz),6.63(1H,dd,J=15.6,3.9Hz),6.68(1H,d,J=15.6Hz),12.8(1H,s);FAB−MS m/z305[M+H]+
参考例5: 化合物9
参考例1で得られた化合物1(32.4mg,0.112mmol)のエタノール溶液(2mL)に氷冷しながら塩化セリウム七水和物(53.4mg,0.143mmol)と水素化ホウ素ナトリウム(8.1mg,0.214mmol)を加え、氷冷を続けながら1時間撹拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチル(50mL×2)で抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮して得られた残渣(34.1mg)をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(0.5mm×20cm×20cm,クロロホルム:メタノール=10:1)で分離精製し、化合物9(3.5mg,9.8%)を得た。
化合物9
1H NMR(CD3OD,300MHz)δ(ppm)1.15(3H,d,J=6.4Hz),1.16(3H,t,J=7.0Hz),1.44−1.66(6H,m),3.42(1H,d,J=17.2Hz),3.59(2H,q,J=7.0Hz),3.68(1H,ddd,J=7.7,7.7,3.7Hz),3.90(1H,d,J=17.2Hz),5.06(1H,m),5.73(1H,dd,J=16.5,7.7Hz),6.16(1H,d,J=2.2Hz),6.24(1H,d,J=2.2Hz),6.39(1H,d,J=16.5Hz);FAB−MS m/z319[M−H]−,273[M−C2H5OH−H]−
参考例6: 化合物10
参考例1で得られた化合物3(15.0mg,0.0490mmol)のトルエン溶液(3mL)にカンファースルホン酸(27mg,0.116mmol)を加え、アルゴンガスの雰囲気下、2時間加熱還流した。反応液を濃縮して得られた残渣をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(0.5mm×20cm×20cm,クロロホルム:メタノール=10:1)で分離精製し、化合物10(3.5mg,25%)を得た。
化合物10:citreofuran
1H NMR(CD3OD,300MHz)δ(ppm)1.22(3H,d,J=6.6Hz),1.76(1H,m),2.03(1H,m),2.66(1H,ddd,J=3.3,11.0,15.0Hz),2.84(1H,ddd,J=2.9,5.9,15.0Hz),3.09(1H,d,J=14.3Hz),3.20(1H,d,J=14.3Hz),5.15(1H,m),6.09(1H,d,J=2.6Hz),6.20(1H,d,J=2.6Hz),6.29(1H,d,J=2.2Hz),6.33(1H,d,J=2.2Hz);FAB−MS m/z289[M+H]+
参考例7: 化合物11および化合物12
化合物11および化合物12は、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agrc.Biol.Chem.),52,3119−3121(1998)に記載の方法に準じて得た。以下に両化合物の物理化学データを記載する。
化合物11:curvularin
1H NMR(CD3OD,300MHz)δ(ppm)1.12(3H,d,J=6.2Hz),1.28−1.59(8H,m),2.74(1H,ddd,J=2.9,9.4,15.0Hz),3.21(1H,ddd,J=2.8,9.0,15.0Hz),3.62(1H,d,J=15.8Hz),3.86(1H,d,J=15.8Hz),4.91(1H,m),6.21(1H,d,J=2.2Hz),6.25(1H,d,J=2.2Hz);FAB−MS m/z293[M+H]+
化合物12:11−methoxycurvularin(約3:1の立体異性体混合物)
1H NMR(CDCl3,300MHz,主異性体)δ(ppm)1.18(3H,d,J=6.1Hz),1.40−1.72(6H,m),3.01(1H,dd,J=13.6,7.9Hz),3.36(3H,s),3.49(1H,d,J=18.3Hz),3.72(1H,m),3.79(1H,m),3.89(1H,d,J=18.3Hz),4.93(1H,m),6.22(1H,brs),6.29(1H,brs),7.69(1H,brs),8.46(1H,brs);FAB−MS m/z323[M+H]+
実施例1:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物1 40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物1 20 mg
乳糖 143.4mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
200 mg
実施例2:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物5 40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物5 20 mg
乳糖 143.4mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
200 mg
実施例3:注射剤
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物101gを精製大豆油100gに溶解させ、精製卵黄レシチン12gおよび注射用グリセリン25gを加える。この混合物を常法により注射用蒸留水で1000mLとして練合・乳化する。得られた分散液を0.2μmのディスポーザブル型メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物10 2 mg
精製大豆油 200 mg
精製卵黄レシチン 24 mg
注射用グリセリン 50 mg
注射用蒸留水 1.72mL
2.00mL
参考例1: 化合物1、化合物2、化合物3および化合物4
Aspergillus属糸状菌MPC1009株[受託番号FERM BP−7900号;平成14年2月18日付で独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託]の寒天斜面培地から、一白金耳ずつを50mLの一次種培地(マッシュポテト3%、グルコース10%、酵母エキス0.5%、pH6.5)を入れた4本の300mL容の三角フラスコに接種し、28℃で4日間回転撹拌機上で培養して一次種培養液を得た。この一次種培養液75mLを2.5Lの二次種培地(グルコース2%、マッシュポテト2%、ペプトン0.5%、KH2PO40.5%、pH6.0に調整後、Mg3(PO4)2・8H2O0.05%を添加)を入れた5L容のジャーファーメンターに接種して、25℃で24時間通気撹拌培養を行った。得られた二次種培養液450mLを15Lの生産培地(グルコース2%、マッシュポテト2%、ペプトン0.5%、KH2PO40.5%、pH6.0に調整後、Mg3(PO4)2・8H2O0.05%を添加)を入れた30L容のジャーファーメンター(2基)に接種して、25℃で5日間通気撹拌培養を行った。培養終了後、培養液(30L)を吸引ろ過により菌体と上清に分け、培養上清を予め30%メタノールで充填したダイアイオンHP20(1.5L、三菱化学)のカラムクロマトグラフィーに付し、50%メタノールで洗浄後、100%メタノールで溶出させた。溶出液を濃縮後、酢酸エチルで抽出し、抽出液を濃縮乾固することにより、10.4gの抽出物を得た。得られた抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノールおよび酢酸エチル−メタノール)に繰り返し付すことにより、化合物1(1.0g)、化合物2(9.2mg)、化合物3(23mg)および化合物4(680mg)を得た。
化合物1:trans−dehydrocurvularin
1H NMR(CD3OD,300MHz)δ(ppm)1.18(3H,d,J=6.4Hz),1.52−1.64(2H,m),1.81−2.01(2H,m),2.24−2.42(2H,m),3.45(1H,d,J=16.7Hz),3.73(1H,d,J=16.7Hz),4.81(1H,m),6.24(1H,d,J=2.2Hz),6.28(1H,d,J=2.2Hz),6.50(1H,d,J=15.6Hz),6.59(1H,ddd,J=5.1,5.5,15.6Hz);FAB−MS m/z291[M+H]+;[α]D 28−67.2°(c1.06,C2H5OH)
化合物2:cis−dehydrocurvularin
1H NMR(CD3OD,300MHz)δ(ppm)1.12(3H,d,J=6.4Hz),1.49−1.58(2H,m),1.77(2H,m),2.20−2.27(2H,m),3.62(1H,d,J=14.5Hz),3.70(1H,d,J=14.5Hz),4.80(1H,m),5.93(1H,ddd,J=12.1,7.7,7.7Hz),6.22(1H,d,J=2.2Hz),6.24(1H,d,J=2.2Hz),6.49(1H,ddd,J=12.1,1.7,1.7Hz);FAB−MS m/z291[M+H]+
化合物3:12−oxocurvularin
1H NMR(CD3OD,300MHz)δ(ppm)1.10(3H,d,J=6.2Hz),1.69(1H,m),2.02(1H,m),2.23(1H,ddd,J=2.9,8.1,16.5Hz),2.64(1H,m),2.69(1H,m),2.97(2H,m),3.36(1H,m),3.51(1H,d,J=15.8Hz),3.60(1H,d,J=15.8Hz),4.92(1H,m),6.17(1H,d,J=2.2Hz),6.23(1H,d,J=2.2Hz);FAB−MS m/z307[M+H]+
化合物4:11−hydroxycurvularin(約2:1の立体異性体の混合物)
1H NMR(CD3OD,300MHz,主異性体)δ(ppm)1.13(3H,d,J=6.1Hz),1.38−1.65(6H,m),3.22(2H,d,J=7.6Hz),3.58(1H,d,J=15.6Hz),3.96(1H,d,J=15.6Hz),4.07(1H,m),4.98(1H,m),6.21(1H,d,J=2.1Hz),6.27(1H,d,J=2.1Hz);FAB−MS m/z309[M+H]+
参考例2: 化合物5および化合物6
参考例1で得られた化合物1(101.7mg,0.351mmol)を4mLのメタノールに溶解し、炭酸ナトリウム(85mg,0.80mmol)と30%過酸化水素水(1mL)を加え、氷冷しながら2時間撹拌した。反応液を氷水にあけ、酢酸エチル(50mL×2)で抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮した残渣をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(0.5mm×20cm×20cm,クロロホルム:メタノール=10:1)で分離精製し、化合物5(12.2mg,11%)および化合物6(5.5mg,5%)を得た。
化合物5
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm)1.27(3H,d,J=6.8Hz),1.60−2.15(6H,m),3.08(1H,brd,J=7.0Hz),3.69(1H,d,J=18.3Hz),3.97(1H,d,J=1.8Hz),4.17(1H,d,J=18.3Hz),5.10(1H,m),6.24(1H,d,J=2.6Hz),6.26(1H,d,J=2.6Hz),7.51(1H,brs),12.49(1H,brs);FAB−MS m/z307[M+H]+,305[M−H]−
化合物6
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm)1.28(3H,d,J=6.2Hz),1.55−1.83(4H,m),2.09−2.19(2H,m),3.31(1H,ddd,J=4.7,2.9,2.2Hz),3.70(1H,d,J=17.2Hz),3.76(1H,d,J=2.2Hz),3.78(1H,d,J=17.2Hz),5.07(1H,m),6.31(1H,d,J=2.2Hz),6.34(1H,d,J=2.2Hz),6.61(1H,brs),11.13(1H,brs);FAB−MS m/z307[M+H]+,305[M−H]−
参考例3: 化合物7
参考例1で得られた化合物1(65.0mg,0.224mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液に、トリエチルアミン(75μL,0.54mmol)とアニリン(50μL,0.55mmol)を加え、70℃で1時間撹拌した。反応液を0.1mol/L塩酸水溶液にあけ、酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮した残渣(48.7mg)をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィーで分離精製し、立体異性体比約2:1の混合物である化合物7(18.0mg,21%)を得た。
化合物7
1H NMR(アセトン−d6,300MHz,主異性体)δ(ppm)1.20(3H,d,J=6.6Hz),1.28−1.90(6H,m),2.83(1H,m),3.45(1H,m),3.66(1H,m),3.81(1H,d,J=15.4Hz),4.04(1H,d,J=15.4Hz),5.10(1H,m),6.48(1H,d,J=2.2Hz),6.54(1H,d,J=2.2Hz),6.61−6.79(3H,m),7.12−7.20(2H,m),8.96(1H,brs);FAB−MS m/z384[M+H]+,382[M−H]−
参考例4: 化合物8
参考例1で得られた化合物1(35.0mg,0.121mmol)のアセトン(3mL)溶液に炭酸カリウム(60mg,0.43mmol)とヨウ化メチル(15μL,0.2mmol)を加え、60℃で撹拌した。30分後、ヨウ化メチル(20μL,0.32mmol)をさらに加え、70℃で30分間撹拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。抽出液を0.5mol/L塩酸水溶液と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮した残渣(38.3mg)をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(0.5mm×20cm×20cm,n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で分離精製し、化合物8(7.6mg,21%)を得た。
化合物8
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ(ppm)1.24(3H,d,J=6.2Hz),1.58−1.70(2H,m),1.85−2.04(2H,m),2.27−2.52(2H,m),3.54(1H,d,J=17.8Hz),3.82(3H,s),4.04(1H,d,J=17.8Hz),4.85(1H,m),6.32(1H,d,J=2.4Hz),6.41(1H,d,J=2.4Hz),6.63(1H,dd,J=15.6,3.9Hz),6.68(1H,d,J=15.6Hz),12.8(1H,s);FAB−MS m/z305[M+H]+
参考例5: 化合物9
参考例1で得られた化合物1(32.4mg,0.112mmol)のエタノール溶液(2mL)に氷冷しながら塩化セリウム七水和物(53.4mg,0.143mmol)と水素化ホウ素ナトリウム(8.1mg,0.214mmol)を加え、氷冷を続けながら1時間撹拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチル(50mL×2)で抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮して得られた残渣(34.1mg)をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(0.5mm×20cm×20cm,クロロホルム:メタノール=10:1)で分離精製し、化合物9(3.5mg,9.8%)を得た。
化合物9
1H NMR(CD3OD,300MHz)δ(ppm)1.15(3H,d,J=6.4Hz),1.16(3H,t,J=7.0Hz),1.44−1.66(6H,m),3.42(1H,d,J=17.2Hz),3.59(2H,q,J=7.0Hz),3.68(1H,ddd,J=7.7,7.7,3.7Hz),3.90(1H,d,J=17.2Hz),5.06(1H,m),5.73(1H,dd,J=16.5,7.7Hz),6.16(1H,d,J=2.2Hz),6.24(1H,d,J=2.2Hz),6.39(1H,d,J=16.5Hz);FAB−MS m/z319[M−H]−,273[M−C2H5OH−H]−
参考例6: 化合物10
参考例1で得られた化合物3(15.0mg,0.0490mmol)のトルエン溶液(3mL)にカンファースルホン酸(27mg,0.116mmol)を加え、アルゴンガスの雰囲気下、2時間加熱還流した。反応液を濃縮して得られた残渣をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(0.5mm×20cm×20cm,クロロホルム:メタノール=10:1)で分離精製し、化合物10(3.5mg,25%)を得た。
化合物10:citreofuran
1H NMR(CD3OD,300MHz)δ(ppm)1.22(3H,d,J=6.6Hz),1.76(1H,m),2.03(1H,m),2.66(1H,ddd,J=3.3,11.0,15.0Hz),2.84(1H,ddd,J=2.9,5.9,15.0Hz),3.09(1H,d,J=14.3Hz),3.20(1H,d,J=14.3Hz),5.15(1H,m),6.09(1H,d,J=2.6Hz),6.20(1H,d,J=2.6Hz),6.29(1H,d,J=2.2Hz),6.33(1H,d,J=2.2Hz);FAB−MS m/z289[M+H]+
参考例7: 化合物11および化合物12
化合物11および化合物12は、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agrc.Biol.Chem.),52,3119−3121(1998)に記載の方法に準じて得た。以下に両化合物の物理化学データを記載する。
化合物11:curvularin
1H NMR(CD3OD,300MHz)δ(ppm)1.12(3H,d,J=6.2Hz),1.28−1.59(8H,m),2.74(1H,ddd,J=2.9,9.4,15.0Hz),3.21(1H,ddd,J=2.8,9.0,15.0Hz),3.62(1H,d,J=15.8Hz),3.86(1H,d,J=15.8Hz),4.91(1H,m),6.21(1H,d,J=2.2Hz),6.25(1H,d,J=2.2Hz);FAB−MS m/z293[M+H]+
化合物12:11−methoxycurvularin(約3:1の立体異性体混合物)
1H NMR(CDCl3,300MHz,主異性体)δ(ppm)1.18(3H,d,J=6.1Hz),1.40−1.72(6H,m),3.01(1H,dd,J=13.6,7.9Hz),3.36(3H,s),3.49(1H,d,J=18.3Hz),3.72(1H,m),3.79(1H,m),3.89(1H,d,J=18.3Hz),4.93(1H,m),6.22(1H,brs),6.29(1H,brs),7.69(1H,brs),8.46(1H,brs);FAB−MS m/z323[M+H]+
実施例1:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物1 40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物1 20 mg
乳糖 143.4mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
200 mg
実施例2:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物5 40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物5 20 mg
乳糖 143.4mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
200 mg
実施例3:注射剤
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物101gを精製大豆油100gに溶解させ、精製卵黄レシチン12gおよび注射用グリセリン25gを加える。この混合物を常法により注射用蒸留水で1000mLとして練合・乳化する。得られた分散液を0.2μmのディスポーザブル型メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物10 2 mg
精製大豆油 200 mg
精製卵黄レシチン 24 mg
注射用グリセリン 50 mg
注射用蒸留水 1.72mL
2.00mL
本発明により、抗腫瘍剤などの医薬品として有用な、環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するHsp90ファミリー蛋白質阻害剤などが提供される。
Claims (24)
- 一般式(I)
{式中、R1、R2、R3およびR4は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノカルボニルオキシ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノカルボニルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニルアミノ、カルバモイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルカルバモイルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルカルバモイルアミノ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニルアミノ、ヒドロキシアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルチオ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル、置換もしくは非置換の低級アルカノイル、置換もしくは非置換のアロイル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、
Xは酸素原子、硫黄原子、−N(R5)−(式中、R5は水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)または−CH2−を表し、
aは−CRa1Ra2−[式中、Ra1およびRa2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、置換もしくは非置換のアリールオキシ、−O(C=O)Ra3(式中、Ra3は置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノまたは置換もしくは非置換のアラルキルアミノを表す)、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、Ra1とRa2が一緒になって酸素原子(=O)、=NORa4(式中、Ra4は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す)または−O(CH2)rO−(式中、rは2または3を表す)を表す]、置換もしくは非置換のアリーレン、置換もしくは非置換の二価の複素環基または結合を表し、
bは−(CRb1Rb2)m−[式中、mは0〜5までの整数を表し、Rb1およびRb2は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシまたは置換もしくは非置換の低級アルキルを表すか、Rb1とRb2が一緒になって酸素原子(=O)を表す]または−CHRb3CRb4Rb5−(式中、Rb3、Rb4およびRb5は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルチオ、置換もしくは非置換のアリールチオ、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、Rb3とRb4が一緒になって結合または酸素原子を表すか、またはRb4とRb5が一緒になって酸素原子(=O)を表す)を表し、
cは−(CRc1Rc2)n(CHRc3CRc4Rc5)p−(式中、nおよびpはそれぞれ前記mと同義であり、Rc1およびRc2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義であり、Rc3、Rc4およびRc5はそれぞれ前記Rb3、Rb4およびRb5と同義である)を表し、
dは−(CRd1CRd2)q−(式中、qは前記mと同義であり、Rd1およびRd2はそれぞれ前記Ra1およびRa2と同義である)または−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記Rb3、Rb4およびRb5と同義である)を表し、
eは−CRe1Re2−(式中、Re1およびRe2は同一または異なって、水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルを表す)を表す}で表される環状フェニル酢酸誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するヒートショックプロテイン90(Hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤。 - R2およびR4が同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、低級アルキルアミノカルボニルオキシまたはジ低級アルキルアミノカルボニルオキシである請求の範囲1記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
- R2およびR4がヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシである請求の範囲1記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
- R1およびR3が水素原子である請求の範囲1〜3のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
- Xが酸素原子であり、aが−CRa1Ra2−(式中、Ra1およびRa2はそれぞれ前記と同義である)であり、bが−CHRb3CRb4Rb5−(式中、Rb3、Rb4およびRb5はそれぞれ前記と同義である)であり、cが−CRc1Rc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、かつeが−CH(CH3)−である請求の範囲1〜4のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
- Xが酸素原子であり、aが置換もしくは非置換の二価の複素環基であり、bおよびcが結合を表し、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、eが−CH(CH3)−である請求の範囲1〜4のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
- R2およびR4が同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、低級アルキルアミノカルボニルオキシまたはジ低級アルキルアミノカルボニルオキシである請求の範囲7記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
- R2およびR4がヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシである請求の範囲7記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
- R1およびR3が水素原子である請求の範囲7〜9のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
- Xが酸素原子であり、aが−CRa1Ra2−(式中、Ra1およびRa2はそれぞれ前記と同義である)であり、bが−CHRb3CRb4Rb5−(式中、Rb3、Rb4およびRb5はそれぞれ前記と同義である)であり、cが−CRc1Rc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、かつeが−CH(CH3)−である請求の範囲7〜10のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
- Xが酸素原子であり、aが置換もしくは非置換の二価の複素環基であり、bおよびcが結合を表し、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、eが−CH(CH3)−である請求の範囲7〜10のいずれかに記載のHsp90ファミリー蛋白質またはHsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(Hsp90 client protein)が関与する疾患の治療剤。
- R2およびR4が同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシ、置換もしくは非置換のアロイルオキシ、置換もしくは非置換のアラルキルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、カルバモイルオキシ、低級アルキルアミノカルボニルオキシまたはジ低級アルキルアミノカルボニルオキシである請求の範囲13記載の抗腫瘍剤。
- R2およびR4がヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシである請求の範囲13記載の抗腫瘍剤。
- R1およびR3が水素原子である請求の範囲13〜15のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
- Xが酸素原子であり、aが−CRa1Ra2−(式中、Ra1およびRa2はそれぞれ前記と同義である)であり、bが−CHRb3CRb4Rb5−(式中、Rb3、Rb4およびRb5はそれぞれ前記と同義である)であり、cが−CRc1Rc2−(式中、Rc1およびRc2はそれぞれ前記と同義である)であり、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、かつeが−CH(CH3)−である請求の範囲13〜16のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
- Xが酸素原子であり、aが置換もしくは非置換の二価の複素環基であり、bおよびcが結合を表し、dが−CHRd3CRd4Rd5−(式中、Rd3、Rd4およびRd5はそれぞれ前記と同義である)であり、eが−CH(CH3)−である請求の範囲13〜16のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
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