JPS6330340Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は口紅などの棒状化粧料を繰り出すとと
もに、カートリツジ式に交換可能とした繰出容器
に関するものである。

「従来技術」 従来、棒状固形化粧料など、たとえば口紅、ほ
ほ紅などを入れる容器としては、棒状化粧料の基
端を取り付けた受け皿を筒体内で往復動（上下
動）させる構造のものが適用されており、使用す
る際にこれら棒状固形化粧料などを必要量だけ繰
り出して使用し得るようになつているので、比較
的高価な化粧料であつても最後まで使用できる長
所があつた。その反面、化粧料の大部分が露出し
ているので、化粧料を充てんした受け皿を容器内
に収容する場合には、傷つけ防止の面から細心の
注意を必要とする。このため容器を組み立てる際
は、手作業により前記化粧料付きの受け皿を収容
する場合がおおく、作業能率が悪かつた。

一方、化粧料の傷つけ防止および作業性を向上
させる目的で、あらかじめ受け皿に型筒を嵌合さ
せておき、受皿底板の窓孔から化粧料を充てん
し、受け皿に凝固支持させる方法が採用されてい
るが、棒状化粧料そのものを交換する手段をもつ
ていない容器が大部分であるから、充てんした化
粧料に不良品がでると、容器全体を不要品としな
ければならない等の不満がある。

「考案の目的」 本考案は、このような背景に基づいて提案され
たもので、棒状化粧料を収容する際の傷つき防止
を図り、化粧料装着の機械化をし得るとともに、
棒状化粧料の交換を容易に行なうことのできる繰
出容器の提供を目的としている。

「考案の構成」 本考案は、内周面にらせん溝をもつらせん筒の
回転操作によつて内筒内を上下動させる受け皿に
棒状化粧料の基端を保持するホルダを着脱自在に
設け、前記受け皿の突起を上下方向に案内する長
孔の上部に、該長孔に連通する形態でかつ前記突
起を上方へ案内する如く、水平溝、ガイド溝およ
び横溝をクランク状に順次形成する如くしたもの
である。

「実施例」 以下、本考案の一実施例を第１図ないし第６図
を参照して説明すると、図において符号１は内周
面にらせん溝２をもつらせん筒、符号３は該らせ
ん筒１内に回転自在に挿入される内筒、符号４は
該内筒１内に挿入されらせん筒１の回転操作によ
り上下方向（第１図上下方向）に移動自在な受け
皿、符号５は該受け皿４内に着脱可能に取り付け
られかつ棒状化粧料６の基端部を保持するホルダ
であり、これら符号１〜５により繰出容器の主要
部材を構成している。

そして、前記らせん筒１の外周には化粧筒７が
固定的に嵌め込まれるようになつている。また前
記内筒３は、その周壁の相対向する位置に軸線方
向に延びる長孔８があけられるとともに上端に周
突条９が形成されており、該周突条９と内筒３の
把持部１０との間にらせん筒１を嵌合することに
よつて、らせん筒１に回転自在に支持されてい
る。一方、前記内筒３の周壁上部には前記長孔８
に連通する形態で周方向に沿つて水平に延びる水
平溝１１が形成されるとともに、該水平溝１１の
先端から鉛直上方に向かつて延びるガイド溝１２
が設けられる。該ガイド溝１２は、受け皿４外周
に突設された突起１３を上方へ案内するものであ
り、ガイド溝１２の上端からはガイド溝１２に連
通する形態で水平溝１１と周方向に延びる横溝１
４が設けられる。そして、これら周壁上部に形成
された３つの溝（水平溝１１、ガイド溝１２、横
溝１４）により受け皿４の突起１３が上方に案内
され、移動終点で横溝１４内に係止される。

前記水平溝１１の構造について第３図により説
明を補足しておくと、前記水平溝１１は、その幅
寸法l₁が受け皿４の突起１３の外径Ｄよりも大き
い長さとされ、水平溝１１の先端の上側周縁に下
側（第３図下側）に突出した凸部１５が設けられ
る。該凸部１５は受け皿４の突起１３を係止して
その移動を制限するものであり、突起１３が係止
される部分は長孔８に向かつて傾斜した傾斜面１
５ａとされる。なお、前記凸部１５の下縁と水平
溝１１の下側周縁との間の幅寸法l₂は、受け皿４
の突起１３の外径Ｄと少なくとも等しい長さが若
しくはそれ以上の大きさに設定される。また、前
記水平溝１１の基端側の下側周縁には突出部１６
が形成され、この突出部１６のガイド溝１２側
（第３図左側）に前記凸部１５の傾斜面１５ａに
対応する如く傾斜面１６ａが設けられる。

さて、前記受け皿４およびホルダ５について第
１図により説明すると、受け皿４は前記内筒３の
内径より若干小さな外径を有する有底円筒状に形
成されたものであり、外周上部の相対向する位置
に前記長孔８を介してらせん溝２に係合する突起
１３が形成され、内周下部に内周面を１周する如
く突条１７が突設される。またホルダ５は、受け
皿４の内径より若干小さな外径を有し外周に受け
皿４の上端に当接するフランジ部１８が周設され
た大径部５ａと、受け皿４の突条１７に係合する
係止突条１９を有する小径部５ｂとを備えた円筒
状に形成されたもので、前記小径部５ｂには下端
から発する割溝２０が形成される。そして該ホル
ダ５の大径部５ａには棒状化粧料成形用の型筒
（カプセル）２１が着脱自在に嵌め込まれる。な
お、該型筒２１の基端外周には前記化粧筒７の外
径よりも若干大きな内径を有する嵌合筒部２１ａ
が一体に設けられる。

次に、このように構成された繰出容器の作用に
ついて説明する。

この繰出容器を通常使用する操作は、一般に繰
出容器と同様である。すなわち、第２図などに示
すように組み立てた状態において、らせん筒１を
右回転させると、らせん溝２が右回転して受け皿
４の突起１３を押し、受け皿４が先端部方向に移
動させられる。この操作によつて受け皿４に取り
付けられたホルダ５および棒状化粧料６は、受け
皿４とともに先端部方向に移動させられ、棒状化
粧料６が内筒３の先端より突出する。そして、前
記突起１３が水平溝１１の凸部１５に係止されて
受け皿４の移動が停止された状態で使用に供され
る。

一方、逆にらせん筒１を左回転させると、らせ
ん溝２が受け皿４の突起１３を基端方向に押すか
ら、受け皿４にホルダ５を介して一体に取り付け
られた棒状化粧料６が、基端方向にもどされて内
筒３内に収容される。

次に、棒状化粧料６を装着する場合について説
明する。まず受け皿４の突起１３を、第２図に示
すように、横溝１４内に挿入しておき、受け皿４
を内筒３内の最上昇位置に位置させておく。この
操作は、受け皿４の突起１３を水平溝１１の凸部
１５に係止させるまで上昇させ、突起１３が凸部
１５に係止された状態のときに受け皿４を下に１
回押し、らせん筒１を右回転させることにより行
なう。なお、この操作の際、前記突起１３は受け
皿４を１回下に押すことにより下降し、突出部１
６の傾斜面１６ａによつて凸部１５の下に案内さ
れるので、らせん筒１を回す手指には、突起１３
が凸部１５を乗り越える際にかかる抵抗を全く受
けることがない。

そして、化粧料原液が充填されて棒状化粧料６
が一体成形されたホルダ５付きの型筒２１を、第
４図および第５図に示すように、受け皿４内に挿
入し、受け皿４の突条１７にホルダ５の係止突条
１９を係合させる。この際、ホルダ５の挿入によ
り受け皿４には、当然下方（第５図下方）に向け
て押す力が働らくが、突起１３が横溝１４内に係
合しているので、受け皿４が下がることはなく、
らせん筒１と内筒３とが相対回転することがな
い。しかも、前記受け皿４の最上昇位置では、受
け皿４の上端が内筒３の先端近くに位置している
ので、内筒３の先端開口部を通して受け皿４内へ
ホルダ５を容易に入れることができ、また、受け
皿４の内周下部に突条１７が設けられているの
で、ホルダ５を深くまで差し込んだ位置で突条１
７とホルダ５の係止突条１９とが係合することと
なり、ホルダ５が突つ込み易いといつた利点があ
る。したがつて、ホルダ５の嵌合をきわめて容易
に行なうことができる。さらに、棒状化粧料６は
型筒２１により成形され、型筒２１ごとホルダ５
を介して受け皿４内に取り付けられるので、その
取り付けにあたつては全く傷つくおそれがない。

なお、前記型筒２１を取り外す操作は、らせん
筒１を左回転させて受け皿４を下降させることに
より行なう。この操作によつて前記受け皿４の下
降途中で型筒２１だけが容器先端に当たり、ホル
ダ５および棒状化粧料６から離脱して取り外され
る。また、前記受け皿４の突起１３は、第３図鎖
線に示すように凸部１５の下を通過して下降する
ので、凸部１５を乗り越える際、らせん筒１を回
わす手指には何の抵抗も伝わらずらせん筒１を回
わすことができる。

また、第４図に示すように、ホルダ５を型筒２
１に嵌め合わせる長さw₁分ホルダ５の長さが長
くなるが、ガイド溝１２の長さ寸法を適宜設定し
て、突起１３が凸部１５に係止された位置から最
上昇位置までの長さw₂（第３図参照）を変えれ
ば、通常使用時においてホルダ５が内筒３先端か
ら突出することがなく、繰出容器を体裁良く作成
することができる。なお、前記ホルダ５を受け皿
４から取り外す際に、通常使用時より長さw₂だ
け容器口部より上方に突出するのでホルダ５を離
脱するための保持部がそれだけ大きくなり取り外
しに便利となる。

第７図は受け皿４の突起１３を長孔８の上端よ
り上方へ案内する水平溝１１、ガイド溝１２の変
形例を示すもので、水平溝１１′はその幅寸法l₃
が突起１３の外径Ｄよりわずかに大きい寸法とさ
れ、その先端の下側周縁に突起１３を係止する凸
部１５′が設けられる。またガイド溝１２′は水平
溝１１′の先端に連通する形態で斜め上方に延び、
その先端に横溝１４が連通して形成される。

また、第８図は水平溝１１のさらに別の変形例
を示すもので、水平溝１１″の幅寸法は前述した
最初の実施例の水平溝１１と同じであるが、受け
皿４の突起１３を係止する凸部１５を水平溝１
１″の中央部上側周縁に設けた点、および下側周
縁の突出部１６をなくした点に違いがある。

次いで第９図および第１０図により、受け皿４
とホルダ５の変形例について説明すると、受け皿
４′は無底の円筒状に形成され、内周下部に環状
の突条１７が設けられた点は先の実施例の受け皿
４と同様である。また、ホルダ５′は小径部５ｂ
のないストレートな円筒状に形成され、下部に前
記突条１７に係合する係止突条１９が設けられ
る。

さらに、第１１図および第１２図により、受け
皿４とホルダ５の別の変形例について説明する
と、受け皿４″は上端から発する割溝２２が形成
された有底円筒状のもので、該割溝２２により分
割された４枚の弾性片２３の内面にホルダ５″の
嵌合溝２４に嵌合する突部２５が突設される。ま
た、ホルダ５″は円筒状の外周に周方向に沿つて
１周する嵌合溝２４が形成され、該嵌合溝２４よ
りも上側外周にローレツト溝２６が形成されてい
る。

なお、この変形例にあつては、受け皿４″の突
起１３が横溝１４内に挿入された際、受け皿４″
の弾性片２３が内筒３よりも上方に突出し、また
ローレツト溝２６によつて型筒２１が離脱する
際、型筒２１内に空気が侵入し、棒状化粧料６と
の離脱が一層容易になる。

「考案の効果」 以上説明したように、本考案によれば次のよう
な優れた効果を奏する。

内筒に形成した長孔の上部に、水平溝、ガイ
ド溝および横溝を前記長孔に連通する形態でク
ランク状に順次上方に延出させ、かつ、水平溝
に前記突起を係止して突起の移動を制限する凸
部を設けたので、通常使用時は水平溝内に受け
皿の突起を係止させて棒状化粧料を使用するこ
とができ、また棒状化粧料交換時には、突起を
ガイド溝を通して横溝に係止させることによ
り、ホルダを通常使用位置からさらに上方へ持
ち上げることができるので、ホルダの交換を容
易に実施することができる。また、この交換時
においては、横溝により突起の下降が押さえら
れるので、ホルダを受け皿に差し込んだ時に、
受け皿が内筒内を下降することがなく、容易に
ホルダの装着を実施することができる。したが
つて、棒状化粧料の装着操作の機械化を容易に
なし得て作業能率を大幅に向上させることがで
きる。

また、横溝に係止された状態の突起は、受け
皿を繰り入れる操作によつてガイド溝を介して
水平溝内に挿入されるので、容易に棒状化粧料
の交換状態から使用状態へ移行させることがで
きる。

前記により、棒状化粧料の交換を容易に行う
ことができるので、たとえばユーザーにとつて
は比較的高価な容器を廃棄物にすることなく繰
り返し使用することができ、またメーカーにと
つては容器全体を不良品として処分する必要が
なくなるので製品の歩留りを上げることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第６図は本考案の繰出容器の一実
施例を示すもので、第１図は分解斜視図、第２図
は一部を切り欠いた斜視図、第３図は水平溝、ガ
イド溝および横溝の構造例を示す正面図、第４図
は中央縦断面図、第５図はホルダ付きの型筒を受
け皿に嵌合させた状態を示す中央縦断面図、第６
図は棒状化粧料を装着した状態を示す中央縦断面
図、第７図は水平溝とガイド溝の変形例を示す正
面図、第８図は水平溝のさらに別の変形例を示す
正面図、第９図および第１０図は受け皿とホルダ
の変形例を示すもので、第９図は中央縦断面図、
第１０図は分解斜視図、第１１図および第１２図
は受け皿とホルダのさらに別の変形例を示すもの
で、第１１図は分解斜視図、第１２図は組み立て
た状態を示す斜視図である。 １……らせん筒、２……らせん溝、３……内
筒、４，４′，４″……受け皿、５，５′，５″……
ホルダ、６……棒状化粧料、８……長孔、１１，
１１′，１１″……水平溝、１２，１２′……ガイ
ド溝、１３……突起、１４……横溝、１５，１
５′……凸部、１７……突条、１９……係止突条、
２１……型筒（カプセル）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内周面にらせん溝２をもつらせん筒１と、該ら
   せん筒内に回転自在に挿入され周壁に軸線方向に
   延びる長孔８が形成された内筒３と、該内筒内に
   挿入された前記長孔を介してらせん溝に係合する
   突起１３をもちらせん筒の回転操作によつて上下
   動させられる受け皿に着脱自在に取り付けられ棒
   状化粧料６を保持するホルダ５とを具備し、前記
   内筒の周壁上部には前記長孔に連通する形態で周
   方向に沿つて延びる水平溝１１が形成され、かつ
   該水平溝には前記受け皿の突起を係止して突起の
   移動を制限する凸部１５が設けられるとともに、
   前記水平溝の先端には該水平溝に連通し前記突起
   を上方へ案内するガイド溝１２が形成され、さら
   に、前記内筒周壁にはガイド溝の上端からガイド
   溝に連通する形態で周方向に延び受け皿の突起を
   係止する横溝１４が設けられていることを特徴と
   する繰出容器。