JPS6317468Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は血液、輸液等の液体用のプラスチツク
容器の栓体に関するものである。

従来、血液等の液体用プラスチツク容器の栓体
はプラスチツクキヤツプにゴム栓を覆う方式があ
り、このゴム栓を覆つた栓体は、使用後、注射針
を抜いた際に容器内に残つている液体が針穴から
漏れるという欠点がある。この液漏れにより周囲
を汚ごすので、ゴム栓の材質及び形状が工夫され
てきたが、最も弾性に優れている天然ゴム栓でも
従来の覆式では満足な結果は得られていないのが
現状である。

本考案は上記の欠点を考慮してなされたもの
で、使用後に注射針を抜いても針穴は完全に塞が
れて液漏れを起こさず、かつ使用中においても液
もれ等を全く起こさない栓体を提供するものであ
り、以下実施例により図面を用いて詳細に説明す
る。

第１図は本考案の一実施例を示す液体用プラス
チツク容器の口部及び栓体の断面を示す説明図で
あり、栓体Ａはデイスク状のゴム栓１と、このゴ
ム栓１が押し込まれるプラスチツク中栓２と、こ
のプラスチツク中栓２とゴム栓１を包囲する射出
成形部３とからなる。

ゴム栓１はプラスチツク中栓２に押し込まれる
もので、プラスチツク中栓２の内径よりも直径で
0.5〜2.0mm大きくすることが好ましく、ゴムの材
質及び径によつて決める。ゴム栓１の材質として
は、天然ゴムの他にプチルゴム、イソプレンゴム
等の合成ゴムが使用でき、形状はデイスク状であ
るが、その上面には第２図の斜視図に示すように
注射針等の挿入位置となる深さ0.5〜２mmの凹部
４が数個所設けられている。

又、ゴム栓１をとりまくプラスチツク中栓２は
ゴム栓１の外周をとりまく内周壁５とゴム栓１の
下面と密着する下面膜壁６が合成樹脂により一体
成形されたもので、内周壁５は肉厚で、下面膜壁
６は薄肉である。すなわち、内周壁５はゴム栓１
を強く嵌合させる為にゴム栓１の径を少し大きく
してあるため外側に広がろうとする圧力を受ける
ことと後工程で滅菌（110〜120℃）することを考
慮して、0.8〜2.0mmの厚みが好ましい。又第３図
の平面図に示すように内周壁５と下面膜壁６が連
設されている周縁７には数個の空気抜穴８が設け
てあり、この空気抜穴８はゴム栓１とプラスチツ
ク中栓２を強く嵌合させるのに役立ち、かつ射出
成形部３を成形する時には射出樹脂によつて塞が
れるので、ゴム栓１が抜けにくくなり、又容器内
の液体との接触を防ぐことになる。

又、プラスチツク中栓２を包囲する射出成形３
の上下面は注射針等が挿入されるようにそれぞれ
開口部９，９′となつていて、上の開口部９の周
囲には上面環状壁１０、プラスチツク中栓２の内
周壁５を包囲するように外周壁１１、その外周壁
１１の下部には容器開口部内側に密に嵌入する環
状体１２が設けられ、この外周壁１１と環状体１
２の継目付近外周には容器開口部周縁部上端と密
に接する鍔部１３が突設されており、この鍔部１
３の裏面には超音波シールにより融着し易くする
為のリブ１４が設けられている。（但し、リブ１
４はヒートシールの場合は省略する。） 次に本考案の栓体Ａの製造方法を示すと、まず
ゴム栓１をプラスチツク中栓２に強く押し込むの
であるが、ゴム栓１とプラスチツク中栓２の間の
空気は上記空気抜穴８によつて外へ出るので、ゴ
ム栓１は戻されることはなく下面膜壁６と密着す
ることができる。超音波の振動による下面膜壁６
の破壊を防ぐにはゴム栓１と密着していることが
必要である。このようにしてゴム栓１が強く押し
込まれたプラスチツク中栓２をインサート成形し
て栓体Ａを製造する。このとき、金型は注射針な
どを挿入す開口部９，９′を上下コアで、ゴム栓
１が強く嵌合されたプラスチツク中栓２を中心に
位置せしめて押え、すなわち、上コアはゴム栓１
の上面を押え、下コアは下面膜壁６を介してゴム
栓１およびプラスチツク中栓２を押え、空いてい
るキヤビテイ内に射出樹脂を満して射出成形部３
を成形する。この上コアと下コアの間のキヤビテ
イーの高さはゴム栓１と下面膜壁６の厚さよりも
０〜0.2mm低くしておき、型締で軽くゴム栓１と
下面膜壁６を押える。

次に具体的な一例を挙げれば、プラスチツク中
栓２としては、内径がφ18mm、下面膜壁６の厚み
を0.4mmであるものを一体成形し、ゴム栓１はプ
チルゴムで外径がφ19mm、厚み6.0mmのものを使用
し、射出成形機は汎用射出成形機縦型１オンス、
射出樹脂としてはポリプロピレン樹脂（シヨウア
ロマーMG510、（商品名）、（昭和電工(株)製）、金
型はピンゲート式一ケ取）ゲート口２ケ所、上コ
アと下コアのキヤビテイーの高さ6.4mmで、成形
条件は樹脂温度260℃、射出圧力50Kg／cm²、射出
時間６秒、冷却時間20秒で行い第１図に示すよう
な栓体Ａを得た。

上記のようにして得られた本考案の容器栓体
は、ゴム栓１があらかじめ成形されたプラスチツ
ク中栓２の中に強く嵌合されて常に円周側から中
心に向つて圧力が掛つており、（プラスチツク中
栓２がなくゴム栓１だけの場合、成形時に射出樹
脂の流れによつてゴム栓１が変形され、圧のかか
り具合が均一でないこと、上下コアで押え過ぎる
とゴム栓１が円周方向に伸びたまま射出樹脂によ
つて固定される）長時間注射針等を挿入しておい
た後、抜いた直後には弾性だけで挿入跡の針穴を
閉じないゴム栓でも、ゴム栓全体が縮められてい
る為にすみやかに針穴を塞ぐことができ、使用後
の液もれが全く起らない利点がある。

ゴム栓１は注射針等の挿入力と液漏れ防止から
４〜７mmの厚さが適当であり、プラスチツク中栓
２の内周壁５との嵌合部ａの幅は３mm以上とする
ことが好ましい。ゴム栓１は射出された上面環状
壁１１によつて押えられており離脱することがな
く、ゴム栓１の材質としてプチルゴムやイソプレ
ンゴムを使用し、射出成形部３の材質としてポリ
プロピレン樹脂を240℃以上で射出するとこの上
面環状壁１０は非常に強く接着し、ゴム栓１と射
出成形部３間の汚染を防ぐことができる。また注
射針等を挿入する上面の開口部９に露出したゴム
栓１の上面には挿入位置を示す凹部５が数ケ所設
けてあるので、前に挿入した位置とは重なり合わ
ないようになつている。

さらにプラスチツク中栓２と射出成形部３の樹
脂を同材質のもので成形すれば、プラスチツク中
栓２と射出成形部３は融着しているため、プラス
チツク中栓２の周囲から液漏れも全く無い、前記
実施例に示したように、プラスチツク中栓２の材
質のポリプロピレン樹脂と射出成形部３のポリプ
ロピレン樹脂とはグレードを変えることができ
る。すなわち、プラスチツク中栓２のポリプロピ
レン樹脂は滅菌に対して熱変形を起さない様な硬
くて軟化点の高いもの（例えば、硬度102ロツク
ウエルＲ、Vicat軟化点157℃）にし、射出樹脂
のポリプロピレン樹脂は容器Ｂの鍔１５との溶融
接着（超音波シール、ヒールシール等により）を
考慮して、軟らかくて軟化点の低いもの（硬度94
ロツクウエルＲ、Vicat軟化点145℃）とするこ
とが出来る利点がある。

本考案は以上述べたように、プラスチツク中栓
２にゴム栓１を押し込んだ状態で、その外側を熱
可塑性プラスチツク樹脂を射出成形して、ゴム栓
１をプラスチツク中栓２の外周と共に一体に包囲
したことを要点としたもので、成形時のパーツが
少なく、インサートが容易であり成形が簡単に出
き、又ゴム栓１は離脱することがなく、ゴム栓１
として使用できる材質の範囲が広がり、更に滅菌
が出き、強度があり、使用前、使用中、及び注射
針（ ）を抜いた後でも液漏れの心配が全ない等
優れた栓体を提供するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は本考案の容器栓体及び容器の開口部の一部を示
す断面図であり、第２図は容器栓体の斜視図であ
り、第３図はプラスチツク中栓の平面図である。 Ａ……栓体、Ｂ……容器、１……ゴム栓、２…
…プラスチツク中栓、３……射出成形部、５……
内周壁、６……下面膜壁、７……周縁、８……空
気抜穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 血液、輸液等の液体用プラスチツク容器の栓体
   において、内周壁と下面膜壁とからなり該内周壁
   と下面膜壁の連設された周縁に空気抜穴を設けた
   中栓に、ゴム栓を押込んだ状態でこのプラスチツ
   ク中栓の外周と共に該ゴム栓の外周に熱可塑性プ
   ラスチツク樹脂を射出して射出成形部を一体に包
   囲成形してなる容器の栓体。