JPS6232726Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はストレートシヤンクを有する回転工具
の保持具の改良に関する。

ストレートシヤンクをもつた回転切削工具に
は、ドリル、エンドミル、リーマ等がある、これ
らの回転切削工具を保持する保持具には、種々あ
るが、代表的なものを第１図、第２図に示した。
第１図では円筒形のストレートシヤンクをテーパ
コレツト３だけで、スラスト荷重、切削トルクを
受けているので把持力が非常に弱く、切削中の工
具に過大なスラスト荷重や切削トルクがかかつた
り、スラスト荷重、切削トルクの大きい工具を使
用すると、テーパコレツト３内で工具シヤンクが
スリツプして保持具内に工具が押しこまれたり、
工具切刃が無理な状態で加工物にくいこんだまま
となり、工具切刃にチツピングが発生する等の欠
点があり、多軸ボール盤、トランスフアマシン、
マニシングセンタ等には使用出来ない。この欠点
を補うために第２図に示す保持具を使用してい
る。第２図では切削トルクを受けるドライブピー
ス８とスラスト荷重を受け工具長さを調整する調
整ねじ１１がある、本体１にドライブピース８の
切削トルクを受け、工具長さを調整するためのキ
ー溝１０が軸方向に設けられていて、ドライブピ
ース８が自在に軸方向に移動できるようになつて
いる。特にドリル等のようにスラスト荷重および
切削トルクの大きい工具の保持にはストレートシ
ヤンク後部に平取りタングをつけて第２図のよう
にドライブピース８にストレートシヤンクの平取
りタング部を挿入しテーパコレツト３により締め
つけて固定しているのでテーパコレツト３だけの
保持とちがつてスラスト荷重、切削トルクを調整
ねじ１１とドライブピース８により充分に支えら
れるようになつている。しかし、機械に取りつけ
使用する場合、切削中に工具が摩耗したり破損し
たりしたとき、途中で工具交換をしなければなら
ない。第２図の保持具では調整ねじ１１の操作は
図上貫通穴２の上方からドライバ又はレンチでし
なければならず、機械に取りつけたままで工具交
換はできても、工具の突きだし長さを調整する調
整ねじ１１を外部から操作できない。従つて新し
い工具又は再研削した工具を保持具に取りつけて
も、所定の工具突きだし長さにすることができな
い。加工精度を要求されるものにおいては、その
都度、保持具を機械より取りはずして、工具交換
後調整ねじを操作し工具の必要な突きだし長さに
合わせて工具を保持具に固定し更に機械に取りつ
けなければならない等非常に不便なために多軸ボ
ール盤、トランスフアマシン、マシニングセンタ
等には安易に使用することができない。又ドライ
ブピース８にはピン９がうちこまれている、この
ピン９はドライブピース８より両端がつきでてい
て本体１のキー溝１０を図上、上下に自在に移動
でき、切削トルクを支えている。したがつてこの
機構の回転工具保持具ではドライブピース８収納
部の外径が小さくなるとキー溝１０を設けた分だ
け強度が小さくなり剛性が低下するため製作上の
制約を受ける等大きな欠点がある。

本考案はかかる従来製品の欠点を解消したもの
である。

このため本考案は実施例である第４図、第５
図、第６図および第７図に示すように改良したも
のである。即ち本考案のものは第４図に示す調整
ねじ１１にテーパになつた割り溝１３と該割り溝
に連なる斜め切り欠け面１４をもつた挿入溝１５
を設けてある。第４図ロに示すタング支え金１９
はタング挿入溝２０をもつたタング支え部２１と
調整ねじ１１にはめこんだ時調整ねじの軸方向図
から見て下に抜けないためタング支え金に対して
逆テーパ面２９を設けた抜け止め部分２２からな
つている。またタング支え金１９の狭部２５の厚
みと抜け止め部２２の厚みは調整ねじ１１の狭部
１６より上の割り溝１３の幅より薄くなつてい
て、調整ねじの軸方向に適当な自由度をもたせ
て、工具セツト時の調整ねじ回転を容易にしてあ
る。第４図のハ図はタング支え金の他の実施例で
あり、タング支え部２１にボルト２３をねじこん
でボルトの頭部２４を抜け止め部としたものであ
る。さらにボルトの替りにピン状のものを打ちこ
んでもよく、又溶接か接着剤で固定してもよい。
今調整ねじの側面より、タング支え金１９を挿入
すると第５図のようになる。タング支え金１９の
抜け止め部２２の巾は割り溝１３の巾よりせまく
なつている。これはタング支え金１９が調整ねじ
１１に押しこまれた時（図上上方）押しこまれや
すく又、抜け止め部２２が調整ねじを左右に押し
広げないようにしてある。調整ねじ１１にタング
支え金１９を挿入すると抜け止め部２２が割り溝
１３の狭部１６に引掛つてタング支え金１９が調
整ねじ軸方向下方には抜けないようになつてい
る。こうして１体化した調整ねじを本体１に収納
することによつて調整ねじ作用とドライブピース
作用を兼ねさせ、右刃工具には左ねじを、左刃工
具には右ねじの調整ねじを使用することによつて
スラスト荷重、切削トルクを充分支えることがで
きる。本考案の回転工具保持具を使用すると、工
具切刃の摩耗、破損等による工具交換は保持具を
機械に取りつけたままででき、しかも工具の必要
突きだし長さは外部から手で工具そのものを回転
させて簡単に調整ができる。又キー溝がないので
保持具本体の剛性が高く巾広い寸法の工具に適用
することができる。さらに切削中に工具に過大な
切削トルクなどがかかり、工具がスリツプした場
合でも、調整ねじ１１はタング支え金１９の斜面
２６に接して、径方向に広がつて本体のねじ１２
に食い込み強力にロツクされ、正常な切削を続け
ることができる等大きな利点がある。

以下本考案の実施例の作用を第４図以下により
説明する。保持具本体１には貫通穴２が設けてあ
る。先端にはテーパコレツト３が締めつけナツト
４により本体１に取りつけてある。調整ねじ１１
のテーパの割り溝１３とそれに連なる斜め切り欠
け面１４をもつた挿入溝１５に調整ねじ１１の軸
に対して横からタング支え金１９を挿入する。一
体化した調整ねじ（第５図）は、本体１の後端
（図上では上方）から、ねじ１２にそつて中へね
じこまれている。タング付きストレートシヤンク
５を締めつけナツト４の開口より挿入し支え金１
９のタング挿入溝２０にタング部２７を挿入す
る。挿入したタング部はドライバーの役目を兼ね
ているので、工具を手で回転させると調整ねじが
軸方向に移動するから、工具の必要な長さの位置
に調整ねじを移動させ工具の位置が決まる。その
後締めつけナツト４を締めつけてテーパコレツト
３を本体１のテーパ面６にそつて図上において上
方に押し上げると、テーパコレツト３はたわんで
内周面７が工具シヤンク５の外周面を圧して工具
を強力に把持する。

第６図に示す実施例では右刃工具に左ねじの調
整ねじを使用している。今切削中に過大な切削ト
ルクが工具にかかり、テーパコレツト３内でシヤ
ンク５がスリツプすると、タング部がドライバー
作用し調整ねじは下方に進み当然工具も下方に押
し下げられる。しかし工具刃先は被加工物に突き
当つているため、むしろ工具はタング支え金１９
を押し上げる状態となる。つまりタング挿入溝２
０に挿入されたタング部２７はタング支え金１９
を調整ねじ１１に押し込み、押し込まれたタング
支え金１９の斜面２６は調整ねじ１１の斜め切り
欠け面１４とほぼ同一の傾斜面をなし、調整ねじ
１１の斜め切り欠け面１４に接し、これを左右に
圧して押し広げる。押し広げられた調整ねじは本
体のねじ１２に食いこんで強力にロツクされる。
また第７図に示すものは第４図ハに示すタング支
え金を挿入したものであるが、作用は第６図の場
合と同様である。これらの機構は瞬時に作動する
ので、スラスト荷重、切削トルクを完全に支え
て、安定した切削を続けることができる。この回
転工具保持具は一般市場にあるストレートシヤン
ク工具用に開発されたものである。実験によると
把持力は第１図のものと比較し本考案のものは、
調整ねじのロツク相乗効果により2.5倍以上であ
る。

回転工具保持具を機械に取りつけたまま外部か
ら工具交換や工具突き出し長さを工具自身で簡単
に調整でき安定した切削を続けることができるの
で多軸ボール盤、トランスフアマシン、マシニン
グセンタ等に安易に使用でき保持具の剛性が大き
い等多くの利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図・２図は従来品の断面図、第３図は第２
図の側面図、第４図は本考案の調整ねじと支え
金、第５図は第４図の組立図、第６図は本考案の
実施例、第７図は他の実施例を示す。 １……本体、２……貫通穴、３……テーパコレ
ツト、４……締めつけナツト、５……ストレート
シヤンク、６……テーパ面、７……内周面、８…
…ドライブピース、９……ピン、１０……キー
溝、１１……調整ねじ、１２……ねじ、１３……
割り溝、１４……斜め切り欠け面、１５……タン
グ支え金挿入溝、１６……割り溝狭部、１７……
切欠け、１８……六角穴、１９……タング支え
金、２０……タング挿入溝、２１……タング支え
部、２２……抜け止め部、２３……ボルト、２４
……ボルト頭部、２５……タング支え金狭部、２
６……斜面、２７……タング部、２８……貫通
穴。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 回転工具保持具にストレートシヤンク工具を
   保持するテーパコレツトとテーパコレツトを締
   めつけるナツトを有し保持具内部に工具突きだ
   し長さを調整しスラスト荷重を受けとめる調整
   ねじを収納した回転工具保持具において、調整
   ねじの軸方向に割り溝１３を設けその割り溝に
   連なる斜め切り欠け面１４をもつたタング支え
   金挿入溝１５を設けると共に、抜け止め部及び
   前記斜め切り欠け面に接する斜面を具えたタン
   グ支え金１９を、前記割り溝と挿入溝に挿入し
   て調整ねじを１体化し、右刃工具には左ねじを
   左刃工具には右ねじの調整ねじを用いたことを
   特徴とする回転工具保持具。 (2) 前記の切り欠け面に接する斜面は切り欠け面
   と同一角度の斜面である実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の回転工具保持具。