JPS6228041Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、電子銃等における熱電子放射陰極
の弾圧保持装置に関する。

近年、電子ビーム露光装置或は、電子顕微鏡等
に使用される電子銃の陰極には希土類硼化物特に
六硼化ランタンのチツプが用いられており、これ
の加熱手段として一対の熱分解黒鉛又は高配向性
炭素材料を一対の導電部材によつて前記陰極チツ
プをその両側において挟持する構造のものが一般
である。

（従来技術とその欠点） 而して安定した高輝度電子ビームを得るには、
この種の陰極の使用温度である1500〜1600℃の高
温下においても該陰極チツプと前記発熱手段及び
導電性支柱との電気的機械的接触を安定に維持し
なければならない。

このため、発熱によつて不可選的に生ずる保持
部材の変形を吸収させる目的で導電性支柱の外側
に弧状板バネなどの弾性体を固定することが提案
されている。（例えば特開昭51−45640（第２
図）、特開昭52−77661第３図６） しかしながらこの構造は、バネの中間部を固定
し、両端を力の作用点とする構造のために該バネ
が加熱されたときの端部押圧力を適当に調整する
ことが事実上不可能である上、加熱時と不使用時
の接触点の位置ずれが大きい欠点がある。

更にこれとは別に第１図（特開昭52−77661の
第２図に相当）の如く導電性支持部材３ａ，４ａ
の両外側を絶縁性押圧棒６を介して耐熱弾性板５
により押圧する構造のものが提案されたが、この
ものは導電性支持部材がその中間部で押圧される
ために該支持部材３ａ，４ａが夫々内側に弓形に
変形するので発熱部材との平行度が維持できなく
なつて接触抵抗が変化する欠点があつた。

更に、これを改善するため第２図の如き構造の
ものが提案されたがこのものは補助支柱３，４及
び弾性板５の先端がウエーネルト電極７に接近す
るため放電が起き易く、また押圧棒が長くなつて
折損し易いという新たな欠点が生じた。

（目的） 本案は、上記従来装置の欠点を解決し、高温下
においても陰極チツプを通る電流通路の抵抗変化
を少なくして安定な電子ビームを得ると共に弾性
部材である耐熱金属板バネの押圧力を簡単に調節
でき、しかもチツプの空間的位置調節をも可能と
する新たな熱陰極保持装置を提供するものであ
る。

（構成） 本案装置の構成は、エミツタチツプと発熱体を
挟持する一対の導電支柱の基部と、この外側に
夫々並行して配設された先端曲屈耐熱性板バネ
（平板弾性材）の基部とを基板上に垂設した固定
支柱の内側基部に別個に固定して設けると共に前
記固定支柱の延長部に調節ネジを貫通螺合させて
該調節ネジによつて前記平板弾性材の先端押圧力
を調節するようにしたものである。

以下本案の実施例装置を第３図について説明す
る。

１０は絶縁基板であつて導電端子を備え、且つ
一対の固定支柱１１を垂設している。

１２は導電支柱であつて、基部１３が固定支柱
の基部内側１１ａにスポツト溶接その他の固着手
段によつて固定され前記固定支柱に並行して設け
られている。

１４はその先端頭部であつて、発熱性保持部材
２ａ，２ｂを介してエミツタチツプ１を挟持して
いる。

１５は高融点耐熱金属性の平板弾性材であつ
て、導電支柱１２の外側に間隔ｄを保つて並行配
設されてその基部１６は、固定支柱の内側段部１
１ｂに固着され、先端部１７は、導電支柱の頭部
１４の外側面に当接するように所定の角度θで屈
曲１７ａされている。

而して、平板弾性材の先端当接面１８は、頭部
外側面と面接触を維持するように屈曲角度θに応
じてテーパ面とされており、平板弾性材はその中
間平坦部１９において、固定支柱の延長部１１ｃ
を貫通して螺合している調節ネジ２０によつて常
時押圧されている。

（作用及び効果） 上記本案装置において平板弾性材１５はその中
間部１９が調節ネジ２０によつて押圧されること
によつて先端当接面１８に押圧力を生ずる。

この場合、平板弾性材は中間部が内側に弯曲さ
れ、これによつて屈曲部の角度θはより大きくな
るが、反面平坦部（基部固定部から屈曲部まで）
の直線距離は短くなるから全体として先端当接面
１８の位置の変化は少ないものとなる。

また使用時においてチツプ近傍が熱膨張によつ
て応力生じても導電支柱の頭部外側の当接面は面
接触であり且つ応力に対抗する位置にあるから押
圧力の圧力分圧が均等で挟持力の変化を小さくで
きるのである。

本案保持装置は、平板弾性材の押圧力作用点即
ち当接面１８の位置変化が小さいからチツプ等の
接触面及び接触圧力を安定に維持することができ
るのである。

更に一対の調節ネジ２０によつて夫々の側の導
電支柱に対する押圧力を調節できるから、これに
よつて電子ビームスポツトの位置調節も可能であ
る等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来装置の要部断面図、第
３図は本案装置の要部正面図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 陰極チツプが一対の発熱体によつて挟圧保持さ
   れると共に該発熱体が一対の導電支柱によつて支
   持されてなる熱陰極装置において、前記導電支柱
   がその基部を絶縁基盤上に垂設した固定支柱の内
   側に固着されて設けられると共に前記固定支柱の
   段部内側に基部が固着され且つ前記導電支柱の外
   側に一定の間隔を保つて並行配設された耐熱金属
   性平板弾性材がその先端部を屈曲されて前記導電
   支柱の頭部外側と面接触せしめられ、更にその中
   間平坦部が前記固定支柱の延長部に貫通螺合され
   た調節ネジによつて押圧されるように構成されて
   なる熱陰極保持装置。