JPS6227126Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、走行中のクツシヨン性を保持し且つ
横振れを防止し、屈曲性の向上を計り、衝撃吸収
性と安定性とを兼ね備えた靴用ミツドソールに関
する。

走行中における下肢の動きは、身体の中心線上
で着地するように内側へ巻き込むようになる。こ
の動きは着地後も足の内側へのローリング現象と
なつて作用する。殊に長距離走やジヨギングにお
いては、多くの場合踵より着地が行われるが、着
地に際しては体重の2.5〜３倍の衝撃が加わり、
又着地後足部に加わる圧力は足部外胛側から外胛
弓状彎曲を経て内胛側に移動し巨骨／踵骨間の関
節の構造も加味されて、踵部内側へ力がかかるこ
とになる。

近年高分子化学の発達にともない、高品質の発
泡体が開発され、ランニングシユーズのミツドソ
ールやヒールウエツジ等に使用され、着地時の衝
撃は大幅に緩和されるに至つた。しかしながらク
ツシヨン性の向上は、着地並びに体重の移動時に
ある程度のローリングを助長し走行を不安定にす
るとともに、この状態で走行を続けると更にロー
リングが過剰（過回内）となり、その結果踝や膝
部に不自然な力が加わり膝痛などのランニング傷
害が起こる。

本考案は、かかる傷害を克服するために、各部
分に比重の異なる高分子発泡体を層着し略本底の
輪郭に倣うよう形成された靴用ミツドソールを提
供し、屈曲性並びに安定性の向上、衝撃吸収、横
振れ防止、過回内防止等を同時に満足することを
目的とするもので、その要旨は、本底と胛被との
間に装着された略本底に倣う輪郭をした高分子発
泡体層からなり、この高分子発泡体層は母体とな
る発泡体Ｄ４の踏付部付近の上面外胛側に外胛側
縁を麓とする略山形状の発泡体Ａ１が層着され、
踵部の下面外胛側に略直方体形状の発泡体Ｂ２が
層着され、踵部の内胛側に略直方体形状の発泡体
Ｃ３が層着され、発泡体Ｃ３の長さは、爪先側位
置に抜き出るように足長方向において発泡体Ｂ２
の長さよりも長く、各発泡体Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄの硬
度がＡ＜Ｄ＜Ｂ，Ｄ＜Ｃの関係にあるように構成
されているところにある。

本考案のミツドソールは、硬度の最も低い発泡
体Ａ１を踏付部付近の上面外胛側に層着して踏付
部の外胛側で圧縮率が最も高く、先部から踏付部
の内胛側を通つて不踏部へ最後に踵の中央部にか
けての発泡体Ｄ４の圧縮率が次いで低く、踵部の
下面外胛側に硬度の高い発泡体Ｂ２を層着して踵
部の外胛側で圧縮率が更に低く、踵部の内胛側に
発泡体Ｄ４の硬度より高い発泡体Ｃ３を層着し発
泡体Ｃ３の硬度が発泡体Ｂ２の硬度より低い場合
には発泡体Ｃ３の高さを発泡体Ｂ２の高さより高
くして踵部の内胛側で圧縮率が最も低くなるよう
構成されている。

従つて、本考案のミツドソールは、ランナーの
着地に際して加わる垂直方向の圧力即ち衝撃は発
泡体Ｄ４更には発泡体Ｂ２、発泡体Ｃ３の弾性に
よつても吸収され、次いでランナーの体重の移動
に伴つて発生する回内に際しては中、高硬度の発
泡体Ｂ２、発泡体Ｃ３により回内タイミングが遅
れたり或いは回内角度が制約されるので、殊に過
回内傾向にあるラナーにあつてもその回内は一定
範囲内に止められ、衝撃吸収性と安定性との向上
を計ることができた。また発泡体Ａ１は踏付部付
近の外胛側にあつて山形状に層着されているから
爪先の屈曲性を著しく向上せしめランナーの足部
の疲労を軽減し、体重が外胛側から内胛側へ移動
するにともなう回内をスムーズにすることができ
た。

またミツドソールの発泡体Ｃ３の長さは、爪先
側位置に抜き出るように足長方向において発泡体
Ｂ２の長さよりも長く、且つ発泡体Ｃ３の高さ
は、厚み方向において発泡体Ｂ２の高さよりも高
くなるように構成しているから、着地時にける踏
付圧力の移動を外胛側に導き、外胛側から内胛側
に移動するに伴い足部が内胛側に回転し過ぎよう
とする過回内力を極力防止して、足部等が損傷し
ないようにすることができた。

本考案の実施例を図により説明する。第１図は
本実施例の平面図で、第２図は第１図の外側側面
図、第３図は第１図の内側側面図、第４図は第１
図の踵側背面図である。本実施例に使用する高分
子発泡体としては、ポリエチレン、エチレン・ビ
ニルアセテート共重合体（EVA）などのポリオ
レフイン系樹脂やゴム及びこれらの混合物の発泡
体など種々使用できるが、ここでは全てEVA発
泡体を使用するものとする。本実施例のミツドソ
ールは、本底と胛被との間に装着され略本底に倣
う輪郭をしているEVA発泡体である。ミツドソ
ールの母体となる発泡体Ｄ４は、アスカー硬度計
Ｃタイプで硬度35度のEVA発泡体により本底の
輪郭に倣うよう形成する。この発泡体Ｄ４の踏付
部付近の上面外胛側に外胛側縁を麓とする略山形
のシー状で厚みが略５mm、アスカー硬度計Ｃタイ
プで硬度30度の発泡体Ａ１を層着し、踵部の下面
外胛側にこの下面外胛部を充たす略直方体でアス
カー硬度計Ｃタイプでの硬度40度の発泡体Ｂ２を
層着し、踵部の内胛側にこの内胛側を充たす略直
方体形状でアスカー硬度計Ｃタイプでの硬度40度
の発泡体Ｃ３を層着する。各発泡体の硬度は、発
泡体Ａ１で25〜40度、発泡体Ｂ２、発泡体Ｃ３で
50〜75度、発泡体Ｄ４で40〜60度の範囲のものが
適当であり、この範囲の部材から選択組み合わせ
て、踏付部の外胛側、踵部の外胛側、踵部の内胛
側の順に圧縮率が低くなるようにする。発泡体Ｄ
４の厚みは踵部で最も厚く23mm、踏付部で11mmと
爪先部に行くに従つて薄く形成し、各発泡体の
上、下、側面はこの発泡体Ｄ４に一致させる。発
泡体Ｂ２の上面は発泡体Ｄ４と密着し且つ外胛側
に向かつて上り勾配に形成する。発泡体Ｃ３の長
さは足長方向において発泡体Ｂ２の長さより長く
形成し、発泡体Ｃ３を発泡体Ｂ２より爪先側位置
に抜き出ているように層着する。本実施例では発
泡体Ｃ３と発泡体Ｂ２の硬度を等しくしているの
で厚み方向において発泡体Ｃ３の高さを発泡体Ｂ
２の高さより高く形成して、踵部の内胛側の圧縮
率を踵部の外胛側の圧縮率より低くなるようにし
ている。

従つて本実施例のミツドソールは、発泡体Ｂ２
の上面を外胛側に向かつて上り勾配に形成するこ
とによつて、踵部の外胛側に加わる圧力が外胛側
を通つて踏付部へ移動する際に、足部が外胛側へ
移動しようとするのを極力防止することができ
る。

また本実施例のミツドソールを構成する各発泡
体の色を同色又は異色にすれば、これを靴底に使
用した際に異色底としての美観を向上しうる。更
にミツドソールは全て同質のEVA発泡体にて形
成しているから、その接合は極めて確実であり、
製造は一体成形又は貼合成形のいずれも可能であ
り極めて簡易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本実施例の平面図、第２図は第１図の
外側側面図、第３図は第１図の内側側面図、第４
図は第１図の踵側背面図である。 １……発泡体Ａ、２……発泡体Ｂ、３……発泡
体Ｃ、４……発泡体Ｄ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 本底と胛被との間に装着された略本底に倣う輪
   郭をした高分子発泡体層からなり、この高分子発
   泡体層は母体となる発泡体Ｄ４の踏付部付近の上
   面外胛側に外胛側縁を麓とする略山形状の発泡体
   Ａ１が層着され、踵部の下面外胛側に略直方体形
   状の発泡体Ｂ２が層着され、踵部の内胛側に略直
   方体形状の発泡体Ｃ３が層着され発泡体Ｃ３の長
   さは、爪先側位置に抜き出るように足長方向にお
   いて発泡体Ｂ２の長さよりも長く、各発泡体Ａ，
   Ｂ，Ｃ，Ｄの硬度がＡ＜Ｄ＜Ｂ，Ｄ＜Ｃの関係に
   あるように構成されていることを特徴とするミツ
   ドソール。