JPS6223877Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、道路、鉄道の側傍や宅地造成工事等
によつて形成された土手等の地山法面に布設して
縁化を計るのに適用される擁壁に関する。

コンクリート製枠状ブロツクを、順次隣接させ
ながら法面に埋設固定するようにした既応擁壁の
難点を解消すべく、本願人は側面略櫛形状に形成
した縦材を地山法面に埋設して、これを所望数だ
け長手方向に連結した縦材列を所望数列地山法面
に縦設し、該各縦材列の嵌合用切欠溝に係嵌し
て、横材を直交状に組成すると共に、各縦材列の
両側部に膨設した両押圧部に押圧板を跨載し、こ
れをアンカーボルトにより地山法面に固定するよ
うにした擁壁を提案（実公昭54−1282号）し、登
録実用新案を得ている。

上述擁壁は、極めて水はけがよい為、流下水に
よつて擁壁強度が低下するといつた支障が生じな
いので、信頼性が高く、かつ施工容易で、しかも
固定強度が大きい等の点で効果的である。

本案は上述擁壁につき、更に改良を加えたもの
であり、法面にあつて植土を大量に保有させ得る
ようにして、雨水貯溜量をも大となし、これによ
つて、植物の安定成育を促進させ、しかも景観上
の重圧感からも解放される擁壁を提供しようとす
るのが、その目的である。

以下本考案を図示の実施例に基づいて詳述すれ
ば、第１図ないし第３図に示したように、縦材
１，１′…と、これに係嵌する横材２，２′…と、
押圧板３，３′…とアンカーボルト４…を主要構
成部材としている。

先ず、上記縦材１，１′…は、側面略櫛形状
に、地山法面Ａの高さに応じ所望数個縦方向に連
結すべき板状の連結基体５と、同基体５から上方
へ突出して、長手方向へ適当間隔毎に設けた複数
個の突歯部６，６′，６″…とからなり、この各突
歯部６，６′…間に横材２，２′…の嵌合用切欠溝
７，７′…を設けて形成されている。

こゝで、上記嵌合用切欠溝７，７′…は、第２
図の如く地山法面Ａとのなす角度θが、鋭角とな
るよう所望角度をもつて上方へ傾斜するよう凹欠
されている。

そして、上記横材２，２′…は、矩形の板状を
なし、後述するようにして連結基体５側を地山法
面Ａ中に埋設される縦材１，１′…の嵌合用切欠
溝７，７′…に係嵌可能な板厚となつていると共
に、その幅ｌは、上記嵌合用切欠溝７，７′…の
深さl′よりも、例えばその２倍程度拡幅に形成さ
れていて、上記嵌合用切欠溝７，７′…に係嵌し
た際、第２図に示した如く、縦材１，１′…の表
面から斜め上方へ突出するようになつている。

又、上記縦材１，１′…には、その所望突歯部
６，６′…に対応するよう連結基体５から両側へ
押圧部８，８′が突設され、同部８，８′の上面
は、上記嵌合用切欠溝７，７′…の底面と略同一
高さとしてある。

更に同縦材１，１′…は、第３図に示したよう
に、一端側には連結基体５の底部５′より長手方
向に、同底高の係嵌下位突起９を突設し、他端側
には同突起９の幅だけ底部５′より上方位置にあ
つて、係嵌上位突起９′を設け、後述するように
して縦材１，１′相互を連結することにより、当
該連結個所に横材２，２′を係嵌できる嵌合用切
欠溝１０が形成されるようになつている。

上述構成部材を用いて擁壁を地山法面Ａに布設
するには先ず、所望数の縦材１，１′…を、縦装
状態として係嵌下位突起９と係嵌上位突起９′を
係嵌することにより、所望数列の縦材列１１，１
１′，１１″，１１を形成するが、この時上記連
結基体５側を地山法面Ａに埋設する。

この際必要に応じて縦材１，１′…を図示しな
いアンカーボルトにより地山法面Ａを固定するよ
うにしてもよい。

そして、この場合、各縦材列１１，１１′…の
嵌合用切欠溝７，７′…や１０…を横方向に引揃
えておき、これらに横材２，２′…を係嵌するこ
とにより第１図に示した如く、縦材列１１，１
１′…と横材２，２′…とを直交状に組成し、この
ことによつて、横材２，２′…は、その幅ｌの略
1/2程、縦材１，１′の表面より前方斜め上方へ傾
斜突出する。

次に、別途用意した押圧板３，３′…を、縦材
１，１′…と横材２，２′…により囲成された枠目
１２，１２′…に嵌合することによつて、同板
３，３′…を隣接する縦材１，１′…の押圧部８，
８′間に跨載させ、該押圧板３，３′…に穿設して
おいた孔１３，１３′…からボルト１４，１４′…
を上記押圧部８，８′…に穿設しておいた孔１
５，１５′…に打込んで押圧部８，８′と押圧板
３，３′…を固定し、更に所望押圧板３，３′…の
中央部に穿設しておいたアンカー孔１６…からア
ンカーボルト４，４′…を打込んで、地山法面Ａ
に打込み、当該地山法面Ａに対し固定する。

このようにして構成した擁壁は、第２図に示し
た如く縦材列１１，１１′…を横材２，２′…とに
より枠目１２，１２′…が縦列及び横列状に多数
個形成されるから、同枠目１２，１２′…に植土
１７…を充填することゝなるが、上記横材２，
２′…は、縦材１，１′の表面よりも相当に長く、
かつ斜め上方へ突出されているので、植土充填用
のポケツト部１８…は多段状に、かつ大容積に形
成される。

従つて、上記各ポケツト部１８…には大量の植
土１７を投入保持できると共に、該植土１７中に
縦材１，１′のほとんどは第２図に示した如く埋
設されることになる。

又、上述のように擁壁を構成するに際しては第
２図に示したように、地山法面Ａの下端に基礎コ
ンクリートＢを打設し、該基礎コンクリートＢに
前記縦材列１１，１１′…の下端を埋込み、各枠
目１２，１２′…には裏込砕石Ｃを充填し、最上
端には天端コンクリートＤを打設する。

上記植土１７…は裏込砕石Ｃの上に充填され、
降雨が裏込砕石Ｃに浸透して流下し、最下段たる
押圧板３に穿設した水抜き孔１９から外部に流出
するようにする。

又、前記各縦材１，１′…には、その突歯部
６，６′…の基部に窓孔２０，２０′…を貫設して
おき、各段の枠目１２，１２′…相互が連通する
ようにしてある。

以上説明したように本考案に係る擁壁によれ
ば、側面略櫛形状に形成した縦材１，１′…を地
山法面Ａに埋設して所望数だけ長手方向に連結し
た縦材列１１，１１′…を、所望数列地山法面Ｂ
に縦設し、該各縦材列１１，１１′…の嵌合用切
欠溝７，７′、１０…に係嵌して横材２…を直交
状に組成すると共に、各縦材列１１，１１′…の
両側部に膨設した両押圧部８，８′に押圧板３，
３′…を跨載し、これをアンカーボルト１７によ
り地山法面Ａに固定するようにしてなる擁壁にお
いて、上記縦材１，１′…の突歯部６，６′間に形
成される嵌合用切欠溝７，７′…１０，１０′…
を、地山法面Ａに対して鋭角となるよう上方へ傾
斜させて形成し、一方、上記横材２，２′…は、
上記嵌合用切欠溝７，７′…１０，１０′…の深さ
l′よりも拡幅ｌに形成して、該横材２，２′…を
上記嵌合用切欠溝７，７′…１０，１０′…に係嵌
して組成することにより縦材列表面より所望寸法
だけ上方へ傾斜突出するように構成したものであ
るから、植土１７のポケツト部１８は大容積に形
成され、植栽用の植土１７を大量に保有させるこ
とができ、かつ横材２，２′…は上向きに傾斜突
設されているので、植土１７の落降を防止し得
て、植土の保持が安定し、又植土１７の表面積が
広くなるので雨水も貯溜し易くなり、もつて植物
の安定成育を助長し得るから、地山法面の縁化促
進に寄与することができる。

又、植土１７により縦材列１１，１１′…の表
面は覆われるから景観上の重圧感も解消され、環
境破壊の点からも、極めて望ましい結果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る擁壁の平面図、第２図は
同擁壁の側面図、第３図は同擁壁の構成部材を示
す斜視図である。 １，１′……縦材、２，２′……横材、３，３′
……押圧板、４，４′……アンカーボルト、５，
５′……横材、６，６′……突歯部、７，７′，１
０，１０′……嵌合用切欠溝、８，８′……押圧
部、１１，１１′……縦材列、１７……植土。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 側面略櫛形状に形成した縦材を地山法面に埋設
   して、所望数だけ長手方向に連結した縦材列を、
   所望数列地山法面に縦設し、該各縦材列の嵌合用
   切欠溝に係嵌して横材を直交状に組成すると共
   に、各縦材列の両側部に膨設した両押圧部に押圧
   板を跨載し、これをアンカーボルトにより地山法
   面に固定するようにしてなる擁壁において、上記
   縦材の突歯部間に形成される嵌合用切欠溝を、地
   山法面に対して鋭角に上方へ傾斜して形成し、一
   方、上記横材は上記嵌合用切欠溝の深さよりも拡
   幅に形成して、該横材を上記嵌合用切欠溝に係嵌
   して組成することにより縦材列表面より所望寸法
   だけ上方へ傾斜突出するようにしてなる擁壁。