JPS6214515B2

JPS6214515B2 -

Info

Publication number: JPS6214515B2
Application number: JP13235882A
Authority: JP
Inventors: Hasutaro Nanba; Hideho Tokuda
Original assignee: Nippon Kokan Ltd
Current assignee: JFE Engineering Corp
Priority date: 1982-07-28
Filing date: 1982-07-28
Publication date: 1987-04-02
Also published as: GB2124610A; CA1218679A; GB8320404D0; JPS5921564A; FR2531065B1; ZA835458B; FR2531065A1; KR900002297B1; DE3327167A1; GB2124610B; KR840005419A

Description

【発明の詳細な説明】

この発明は、左官材料中に骨材としてスラグお
よび軽量球状体を加えることによつて、こて塗り
による左官材料の厚付け性能を改善することを目
的とした厚塗り用左官材料に関するものである。従来使用されている左官材料のこて塗り１回の
標準塗厚は左官材料の種類によつて１mm〜６mm程
度であるから、厚い仕上厚（例えば６mm〜20mm）
を得る為には通常２〜４回程度のこて塗りを行わ
なければならず、しかも左官材料の性質上、連続
して追かけ重ね塗りは困難なので、１回目の塗層
（下塗）が十分養生期間をおいて乾燥した後、２
回目（中塗）、３回目（上塗）を塗り重ねること
になり、工期が遅延する。また剥離防止の為に下
塗では無機質結合材料を富調合にし、亀裂防止の
為に上塗では無機質結合材料を貧調合にするなど
の配慮を要し欠陥発生の要因は複雑であつた。新
規の左官塗りでもこのような問題点があり、更に
左官下地および左官仕上層の浮き部又は剥落部の
補修に際しても、部分的に２回又は３回の塗り重
ねを必要とする関係上、工期・工費共に多大とな
り、しかも補修を要しない健全部分との整合性を
損い易いなどの問題点があつた。従来知られている左官材料で１回にこて塗りに
より厚塗り（例えば６mm〜20mm）しようとして
も、左官下地面に対するこてによる圧締不足、左
官材料のだれやずり易さ、こて塗り作業のしにく
さなどの諸要因によつて、事実上１回の塗厚を標
準塗厚以上とするのは不可能とされていた。然し
乍ら左官材料の作業性能は第１図に示すＦ値（こ
て押え力に相当）、ψ値（こてすべりにくさに相
当）およびＭ値（こてのにぎりにかけるモーメン
ト）で表わせることができるので、左官材料に加
える骨材について種々研究した結果、厚塗り時に
所望の作業性能を保有する厚塗り用左官材料を得
たのである。即ち骨材は従来知られている硅砂およびこれに
準ずる砂の他に、スラグおよび軽量球状体を所定
の割合に混入することにより、前記従来の左官材
料の問題点を改善し、左官下地面へのこてによる
適正な圧力を容易に加え得ると共に、塗付け時お
よび塗付け後からの左官材料のだれ・ずりの発生
が皆無となり、しかも薄塗りしようとすればＦ値
が増大し、薄塗りのしにくい、厚塗りに好適の左
官材料を得たのである。この発明の骨材としては硅砂、スラグおよび軽
量球状体の混合骨材が好適であり、各々の粒径は
塗付け後の塗層の厚さおよび用途によつて異なる
が、３mm以下が好ましい。またスラグは高炉水滓
スラグおよび／または風滓スラグなどを用い、軽
量球状体はガラス質微小中空球状体、合成高分子
物質球状体、ポゾラン物質球状体などを用いる
が、粒径、形状および比重など物理的性質が、前
記材料と近似した品質の骨材を使用することがで
きる。次に厚塗りに好適な左官材料の特性を列挙す
る。塗厚は標準塗厚を越えて20mmまでを２〜４回
で追かけ塗りが可能なこと。または50mmまで生
かわきの塗層に３〜６回程度で短時間に重ね塗
りできること。塗付け時および塗付け後、硬化する迄自重に
よりだれやずり変形をしないこと。このことは
こて塗り作業終了後なるべく早い時期に適度に
締るか、チキソトロピーが大きいこと。下地の拘束による収縮ひずみをできるだけ吸
収する変形能をもつこと。こて押え力Ｆ値が適度に大きく、下地になじ
み、高い付着性をもつこと。手首にかけるこてのにぎりにおけるモーメン
トＭ値が適度に大きく、締固められて、密実化
すること。こてすべり（こてばなれ）がよいこと。即
ち、こて面に粘りつかず、こてがすべり易いこ
と。これはψ値（こてすべりにくさ）が小さい
こと。薄塗りが困難なこと。即ち薄塗りした場合、
Ｆ値が大きくて、薄塗りより厚塗りの方が作業
者にとつてこて塗り作業性がよいこと。前記〜には互に相反する特性を必要とす
る。例えばずり変形しないけれどもこて押えがよ
くきかなくて、付着性が低かつたり、適度のこて
押えで下地になじむけれどもこてすべりが悪かつ
たりなどである。この発明においては、無機質結合材料に合成高
分子混和剤を加えたことによる効果の他に骨材と
して硅砂の他に、スラグおよび軽量球状体を混入
したので、これらの骨材の調合を適度の割合に定
めることにより、前記相反する性質を共有するよ
うになつたものと認められる。実験の結果によれ
ば、前記〜の性質を保有させる為の混合骨材
の比率は硅砂70％以下（重量）、スラグ25％〜75
％（重量）、軽量球状体５％〜50％（重量）であ
る。前記軽量球状体中には、吸水率10％以下のもの
（例えばガラス質微小中空球状体）１％以上、吸
水率40％以下のもの（例えばシラスバルーン）と
を加えて５％以上になればよい。またこの発明の左官材料には合成高分子混和剤
としてスチレン―ブタジエン共重合体、エチレン
―酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重
合体、塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル重合体の
ポリマーデイスパーシヨンおよび／または水溶性
セルロースエーテル他の高分子を用いることがで
き、その混入比率は適用材料によつて異なるが、
ポリマー・無機質結合材料比を固形分で０をこえ
て45％（重量）以下とする。また無機質結合材料
と混合骨材の比率は１：1.0〜4.0（容積）であ
る。この発明においては、無機質結合材料（以下セ
メントと呼ぶ）は普通ポルトランドセメント、早
強ポルトランドセメント、アルミナセメント、混
合セメント、せつこう、石灰などを用いる。さら
に補強効果をあげるために、無機質および／また
は有機質の繊維状材料を加えることもできる。この左官材料に使用する各原材料の厚塗り用左
官材料の特性に与える効果は表―１に示すとおり
である。

【表】前記において、軽量球状体の混入割合を５％
（重量）未満にすると、左官材料のこてばなれが
悪くなり、作業性が悪化して実用的でなくなり、
50％（重量）をこえると、左官材料のこて押え力
が減少し、下地面へ必要な圧力を加えることが不
可能になり、付着性がなくなるなど実用的でなく
なる。またスラグが25％（重量）未満になると薄
塗りが可能となり、敢えて厚塗りをしなくなるの
で厚塗り用左官材料として不適当である。またス
ラグが75％（重量）を越えるとしまりが早まり、
可使時間が短かくなる。更に補強効果をあげる為
に無機および／又は有機質の繊維状材料を加える
こともできる。次にこの発明の実験例について説
明する。実験例１先ず使用骨材は表―２のような品質である。

【表】次に実験に用いた混合骨材の構成比は表―３の
通りである。

【表】上記３種の混合骨材Ａ・Ｂ・Ｃを用い、夫々に
普通ポルトランドセメント、スチレン―ブタジエ
ンゴムのポリマーデイスパーシヨンおよび水を加
えてセメントモルタルを作り、これを第１図に示
す装置（特開昭57―7540号参照）にかけて、Ｆ
値、ψ値およびＭ値を測定した処、第２図乃至第
６図に示す結果を得た。この場合におけるポリマ
ー・セメント比は固形分で７％（重量）、セメン
トと混合骨材比は１：２（容積）、水・セメント
比は48％（重量）とした。また室温は20±２℃、
湿度は60±５％RHとし、使用水温は18℃であつ
た。上記実験の結果について考察するに、こてによ
り厚塗り特性は混練５分後において先ず第２図乃
至第４図によれば、混合骨材Ａを用いたモルタル
は厚塗り（20mm）のときはＦ値が異常に小さく、
ψ値が異常に大きくて塗りにくい。一方薄塗り
（５mm）の場合は、ψ値が小さく、Ｆ値、Ｍ値が
適当の大きさで、薄塗り用モルタルとして適して
おり、厚塗り用としては不適当であつた。これは
混合骨材中にガラス質微小中空球状体を欠く為と
推定された。また混合骨材Ｂでは、厚塗りと薄塗りの間にＦ
値、Ｍ値およびψ値の差異が余り大きくないの
で、薄塗りにも使用できる。そのため厚塗りを支
持しても作業者は必然的に薄塗りしてしまう可能
性がある。従つて厚塗り用モルタルとしても使用
はできるが最適ではない。次に混合骨材Ｃは厚塗り（20mm）でもＦ値、Ｍ
値が適切に大きく、下地に対し適切なこて押えが
きくと共に、ψ値が小さくてこてすべりもよく厚
塗りし易い。また薄塗りしようとすれば、Ｆ値お
よびＭ値が極端に増大するので、現場においては
作業者は自然に１ストロークのこて塗りで厚く塗
り付けてしまう。この点Ｃは混合骨材中にスラグ
が多く混入されて、かつガラス質微小中空球状体
の混入による効果も付加された為と判断される。第５図および第６図は厚塗り作業の容易性と、
下地への圧締性による硬化後の仕上層の性能向上
との両者のバランスを考慮した上で、適正な特性
値領域（斜線域）を予想したものである。上記実験における装置（第１図）において、ブ
レード１（こて面に相当する）の長さｌ（進行方
向）は200mm、巾は90mm、こて面とにぎりの中心
との最短距離ｈは35mm、ブレードと試料とのなす
角度θは1.4度、ブレードの速度υは25cm／sec、
塗厚Ｔは５mm、10mm、15mm、20mmであつた。第５
図および第６図中△は５mm、○は10mm、◇は15
mm、□は20mmの塗厚を示す記号である。即ちこの発明によれば、骨材として前記混合骨
材を用い、スラグを25％〜75％（重量）、軽量球
状体を５％〜50％（重量）混合したので適度のＦ
値およびＭ値を保有し、ψ値は小さくて厚塗り用
左官材料に要求された諸特性を満足させる効果が
ある。次にRC躯体壁に15mmの塗厚で１回塗りした混
合骨材Ｃのモルタル仕上層の４週材令においての
引張接着強さを求めたところ、試験数５個で12.5
〜15.7Kgｆ／cm²を得た。上記の実験におけるセメントモルタル層は硬化
後確実な付着力を呈し、かつ３ケ月経過後も亀裂
またはひびわれを生じなかつた。次にJISR5201に準拠したモルタル試験体を作
製して20℃、60％RHの環境で、材令４週間養生
したものの曲げ強度および曲げ弾性係数を求めた
ところ、表―４の結果を得た。混合骨材Ｄに比べ
て曲げ強度および曲げ弾性係数は小さく、変形能
にすぐれ、ムーブメントによる発性応力を緩和で
きることが判明した。

【表】また吸水試験についてはJISA6203に準拠した
モルタル試験体を作製し、20℃、60％RHの環境
で４週材令で気乾比重と吸水率（48時間吸水後）
を求めたところ、表―５のとおりであつた。防水
性は満足することが判明した。

【表】実験例２使用骨材は表―６のような品質である。

【表】次に実験に用いた混合骨材の構成比は表―７の
通りである。

【表】上記２種の混合骨材Ｅ・Ｆを用い、夫々に普通
ポルトランドセメント、スチレン―ブタジエンゴ
ムのポリマーデイスパージヨンおよび水を加えて
セメントモルタルを作つて諸特性を求めたところ
表―８および表―９に示す結果を得た。この場合におけるポリマー・セメント比は固形
分で４％（重量）セメントと混合骨材比は１：
2.5（容積）、水・セメント比は混合骨材Ｅでは56
％（重量）、同Ｆでは55％（重量）とした。室温
は25±３℃、湿度は65±５％RHとし、使用水温
は21℃であつた。試験方法および試験条件は実験例１と同じであ
つた。

【表】

【表】表―10は同じポリマーセメントモルタルをコン
クリート下地に25mm厚さに塗つた壁の４週材令に
おける引張接着強さの結果を示す。

【表】上記ポリマーセメントモルタル仕上げは変形能
が大きく、亀裂またはひびわれは３ケ月経つても
発生しなかつた。実験例３実験例２で使用した乙種の混合骨材と同じ混合
骨材Ｅ・Ｆを用いて、夫々に普通ポルトランドセ
メント、水溶性セルロースエーテルおよび水を加
えてセメントモルタルを作つてその諸特性を求め
たところ、表―11および表―12に示す結果を得
た。この場合におけるポリマーセメント比は0.3％
（重量）、セメントと混合骨材比は１：2.5（容
積）、水・セメント比は混合骨材Ｅ・Ｆの場合、
共に67％（重量）とした。室温は25±３℃、湿度
は65±５％RHとし、使用水温は21℃であつた。試験方法および試験条件は実験例１及び実験例
２と同じであつた。

【表】

【表】表―13は同じポリマーセメントモルタルをコン
クリート下地に22mm厚さに塗つた壁の４週材令に
おける引張接着強さの結果を示す。

【表】上記ポリマーセメントモルタル仕上げは変形能
があり、ひびわれの発生は３ケ月経過時に多少認
められたに過ぎない。亀裂は発生しなかつた。次にこの発明の実施例について説明する。実施例１硅砂50％（重量）、高炉水滓スラグ40％（重
量）、ガラス質微小中空球状体10％（重量）を混
合してなる混合骨材をセメント１に対し、2.5
（容積）で調合し、更にスチレン―ブタジエンゴ
ムのラテツクスをセメントに対し、固形分で10％
（重量）を加え、水・セメント比35％（重量）で
混練したセメントモルタルを厚さ15mm〜25mmに１
回乃至２回の追かけ塗りで約５m²RC外壁面に補
修の目的で塗付けた所、３ケ月経過後において亀
裂やひびわれ及び浮きなどの異常を認められなか
つた。実施例２硅砂30％（重量）、高炉水滓スラグ50％（重
量）、ガラス質微小中空球状体20％（重量）を混
合してなる混合骨材をセメント１に対し、２（容
積）で調合し、更にエチレン―酢酸ビニル樹脂共
重合体エマルシヨンをセメントに対し、固形分で
７％（重量）加え、水・セメント比45％（重量）
で混練したセメントモルタルを30mm〜50mmに２回
乃至３回の追かけ塗りで約10m²、天井裏RC梁下
端部の水平鉄筋まで欠損した部分を補修の目的
で、重ね塗り被覆した処、３ケ月経過後におい
て、異常を認められなかつた。４週材令での引張
接着強さは、10Kgｆ／cm²以上であつた。実施例３硅砂40％（重量）、高炉水滓スラグ55％（重
量）、ガラス質微小中空球状体５％（重量）を混
合してなる混合骨材をセメント１に対し、1.5
（容積）で調合し、更にスチレン―ブタジエンゴ
ムのラテツクスをセメントに対し、固形分で７％
（重量）加え、水・セメント比38％（重量）で混
練したセメントモルタルをタイル張付用モルタル
として使用した。下地は12mm厚の耐水合板で、そ
の上にポリマー・セメント比12％（スチレン―ブ
タジエンゴムラテツクスの固形分重量）、セメン
ト：混合骨材＝１：0.7（容積）、水・セメント比
30％（重量）のセメントリツチ、ポリマーリツチ
のモルタルを下塗りをした後、上記モルタルで
108×60mm、厚さ16mmの外装タイルを接着層厚８
〜12mmで圧着張りした処、６ケ月経過後において
浮きや亀裂などの異常を求められなかつた。同材
令の引張接着強さは８〜10Kgｆ／cm²であつた。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の左官材料の特性を試験する
装置の原理図、第２図は同じくＦ値と塗厚の関係
グラフ、第３図は同じくＭ値と塗厚の関係グラ
フ、第４図は同じくψ値と塗厚の関係グラフ、第
５図は同じくＦ値とψ値の関係グラフ、第６図は
同じくＦ値とＭ値の関係グラフである。

Claims

【特許請求の範囲】１無機質結合材料・混合骨材および合成高分子
混和剤よりなる左官材料であつて、無機質結合材
料と混合骨材の比は１：1.0〜4.0（容積）であ
り、混合骨材は硅砂、高炉水滓及び比重1.70以
下、その篩呼び寸法を３mm以下とした無機質で微
小中空の軽量球状体を含み、混合骨材中の高炉水
滓は25％〜70％（重量）であることを特徴とした
厚塗り用左官材料。２混合骨材中のスラグは混合骨材に対し25％〜
75％（重量）、軽量球状体は５％〜50％（重量）
を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の厚塗り
用左官材料。