JPS6138349B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は内燃機関のシリンダー中に燃料を噴射
する装置、特に燃料噴射ノズルに関するものであ
る。

高圧ポンプにより周期的にある量の燃料を噴射
ノズルに供給して燃料を機関のシリンダーに噴射
する型式のデイーゼル燃料の噴射方式において
は、噴射ノズルからの流れは、外向きに又は内向
きに開きバネにより閉位置に偏倚される型の圧力
動作弁によつて通常制御される。

内向きに開く弁を有する燃料噴射ノズルは通常
は差動面積型弁を利用し、この種ノズルには一般
にノズル内の弁機構の協動する部材間から漏洩し
た燃料を除去するための排出導管が接続されてい
る。このことは次の事実から必要とされるもので
ある。即ちこの種のノズル機構では、弁のステム
部が延在する低圧力室を備え、それによつて弁を
閉ざすバネの偏倚力に抗して弁を開くべく弁上に
作用する必要な圧力差を得るように構成されてい
なければならないからである。

このような型式の燃料噴射ノズルにおいて排出
導管の必要性をなくすためには、漏洩燃料が流入
しうるアキユムレータ室をノズル内に設けること
がすでに提案されている。然しながらこのような
従来のアキユムレータ室を有する燃料噴射ノズル
は誤作動する可能性がある。即ち弁体の協動部材
を通つて連続的に燃料が漏洩しアキユムレータ室
内に徐々に燃料圧が形成されると、弁開放運動の
ため弁上に作用する実際の作動圧がアキユムレー
タ内に形成された圧力によつて徐々に減少し、こ
れがノズル開放圧力に悪影響を与えて噴射分布誤
作動の原因となる。そしてアキユムレータ室内の
圧力ポンプから噴射ノズルに供給される燃料の圧
力値に対応する程に増大すると、「圧力閉塞」が
発生して噴射バルブが開かなくなることになるで
あろうことは明らかである。

このように、ノズル内の弁機構の協働する部材
間から漏洩してしまう漏洩燃料を除去するのに排
出導管に代わつてアキユムレータ室を用いた従来
の差動面積型弁を用いる燃料噴射ノズル（例え
ば、英国特許第1321901号、同第1397700号）で
は、アキユムレータ室内の漏洩燃料の圧力がポン
プから噴射ノズルに供給される燃料の圧力と対応
する値にまで増大すると噴射バルブはポンプから
の燃料圧力では開作動しなくなり「圧力閉塞」に
より燃料が噴射さされないという問題があつた。

本発明は、漏洩燃料を除去するのに排出導管を
用いずにアキユムレータ室（制御室）を用いつつ
上記漏洩燃料による「圧力閉塞」を防止し、むし
ろ該漏洩燃料を利用して差動面積型噴射弁の一端
に均一な圧力が印加される燃料噴射ノズル構体を
供することを目的とする。

本発明による燃料噴射ノズル構体は仕切を有す
る筐体があり、孔付きの逆止弁弁座円板によつ
て、該円板の一側からの噴射オリフイスと燃料入
口とを有する燃料室と、逆止弁弁座円板の反対側
に位置し燃料漏洩を受け入れる制御室とに分けら
れている。逆止弁と噴射弁とは燃料室内に位置
し、バネの偏倚によつて制御室から燃料室への燃
料の流れを制御し噴霧オリフイスを通つて燃料室
から流れる燃料を制御する。

制御室は燃料室からの漏洩燃料を受け入れ、こ
の制御室内の燃料圧は逆止弁により解放され、こ
の逆止弁は又ノズルの噴射弁用のガイドの役をな
す。

本発明は、漏洩燃料の排出導管を必要とせずに
作動しうる燃料噴射ノズル構体を提供し、ノズル
内の漏洩燃料を利用して、ノズルからの燃料排出
を制御する差動面積型噴射弁の一端に均一な圧力
が加わるようになつている。

本発明を、その好適な実施例である燃料噴射ノ
ズル構体の拡大した縦断面図を参照して更に詳細
に説明する。

図面において、本発明に係る燃料噴射ノズル
は、ほぼ円筒形の噴射ノズル筐体を有し、該本体
は噴霧先端部材１０と逆コツプ型のキヤツプ１１
とを有し、両者は噴霧先端部材１０の上端の外ネ
ジ部１４と螺合するキヤツプ１１の内ネジ部１２
より確持される。逆止弁弁座円板１５の型式の分
割部材は、噴霧先端部材１０の上部リム１６とキ
ヤツプ１１の内側の環状肩部１７との間に密封挾
持されていて、キヤツプ１１と共に弁座円板の一
側上に所定容量の制御室１８を形成し、一方噴霧
先端部材１０を貫通する軸方向の段付開口と共に
弁座円板の反対側上に燃料室２０を形成する。燃
料室２０と制御室１８との間の燃料連通は、逆止
弁弁座円板１５の中心軸線から半径方向外側に所
定距離離れた位置にある通路１５ａにより行われ
る。

図示構造において、噴霧先端部材１０はその下
端にとり付けられた噴霧先端２１を有し、この先
端２１は本体１０の肩部２２と下部フランジ２３
との間に挾持されている。このように位置付けさ
れた噴霧先端２１は、燃料室２０の下部の縮少直
径端と一端において連通する軸方向の通路２４を
有し、該通路は他端において一つ又はそれ以上の
噴射オリフイス２５と連通する。噴霧先端２１は
環状弁座２６を有するが、該弁座２６は、燃料が
軸線方向通路２４を通つて噴射オリフイス２５の
方へ流れる方向から見てこの噴霧オリフイス２５
の上流で軸線方向通路２４内に設けられている。

図示構造の噴霧先端部材１０は、該部材の外側
の取付肩部２８の上部にある半径方向の流入口２
７を備え、入口２７は一端が燃料室２０に開口
し、他端が部材１０に溶接されている導管３０に
流通し、それによつて、所定の脈動圧で燃料を送
る図示なき通常の噴射ポンプにデイーゼルを接続
することができる。

燃料室２０の上端内に位置し、燃料室の一部を
構成する部分の噴霧先端部材１０の内壁から横方
向に間隔をおいて配置された逆止弁３１は、軸方
向案内孔３２を有するスリーブ又はブツシユの型
式をなし、該孔３２を貫通して摺動可能に係合す
る、針弁型噴射弁３４の上部の拡大された所定直
径のステム端３３を支持する。逆止弁３１の上方
拡大端部には孔３２を囲繞する環状の凹所３５が
あり、又弁３１は軸線方向に延長するフランジ３
６があり、その上端部は所定直径の環状弁リム３
６ａとなつている。図示の如く、弁リム３６ａの
所定の内径は通路１５ａの直径方向の外端面より
大きいので、逆止弁弁座円板１５の逆止弁弁座１
５ｂの下面に弁リム３６が接触する図示位置に弁
３１があるときは、燃料が燃料室２０から制御室
１８へ直接連通するのを阻止する一方向逆止弁と
して作動し、一方向逆止弁３１が着座してないと
きは反対方向への燃料の流れを許す。

図示実施例では、噴射弁３４は上方の拡大直径
のステム端３３と、ステム端３３を拡大したフラ
ンジ又はカラー３８端に接続する所定直径を有す
る中間の縮少直径ステム部３７と、所定直径の細
長いステム４０とを有し、該ステム４０は、カラ
ー３８から延長して弁座２６を封ずる形をもつ円
錐形の弁先端４１で終端する。

所定のバネ負荷のコイルバネ４２は逆止弁３１
の下端をゆるく囲繞するように燃料室２０内に配
置され、バネ４２の一端は逆止弁３１のフランジ
３６の下面と接触し、他端は噴射弁３４のカラー
３８と接触する。コイルバネ４２は偏倚手段とし
て作動し、それによつて通常は逆止弁３１を孔１
５ａの近くの逆止弁弁座１５ｂに対して閉止状態
に維持し、又噴射弁３４を噴射オリフイス２５の
上流で弁座２６に対し閉止状態に維持する。

逆止弁３１と噴射弁３４の両方が図示の閉止状
態にあるときは、噴射弁３４のカラー３８と逆止
弁３１の低端部との間に空間４３が存在し、この
空間４３の軸方向長さは両弁の開放の最大量を規
制する。然し乍ら噴射弁３４の開放運動量を正確
に制御するためにねじ４４の様な弁停止部材が、
逆止弁弁座円板１５内にこのために設けてある中
央の内ネジ付孔内に調節可能ネジこまれて居り、
ナツト４５はネジ４４を所望位置に係止するため
に用いられている。

燃料噴射ノズルの操作に際し、図示なき適当な
燃料噴射ポンプからの燃料は導管３０と入口２７
を通つて燃料室２０内に入る。燃料室２０内に送
られたこの燃料の圧力は、噴射弁３４の大直径の
上部及び小直径の下部の間に存在する差動面積上
に作用し弁３４をコイルバネ４２の偏倚内に対抗
して軸方向に移動せしめ、弁先端４１を弁座２６
から離し、燃料が通路２４を通つて噴射オリフイ
ス２５に流入せしめ、図示なきシリンダーの燃料
室に噴射させる。燃料室２０内の燃料圧が噴射の
結果として又導管３０からポンプの方へ燃料が逆
方向へ流れるために充分に減少するとき、図示な
き燃料ポンプの出口に夫々引込み型（retraction
type）の逆止弁が設けられていると、コイルバ
ネ４２は再び噴射弁３４を図示の閉止位置に戻し
噴射を終了する。

加圧された燃料を燃料室内に送入している間及
び弁開放のために噴射弁が上向きに移動している
間、燃料の漏洩が噴射弁３４の緩く嵌合している
ステム端３３と逆止弁３１内の案内孔３２の壁と
の間に生じ、この燃料が案内孔３２から凹所３５
内に流入し、この凹所３５から逆止弁弁座円板１
５内の孔１５ａを経て制御室１８内に流入する。

前述の如くして制御室１８内に漏洩した燃料が
室内に充満したとすると、燃料室２０内の加圧燃
料の各操作サイクルの間、追加の燃料が燃料室２
０から噴射弁３４と逆止弁３１の摺動する対応面
間を通つて制御案内に漏洩してその中の燃料圧が
増大する。この制御室１８内の漏洩燃料圧はこの
制御室の所定の容量及びコイルバネ４２の偏倚力
によつてある所定値に制限される。これは、噴射
が終了するときの様に燃料室内の燃料がある減少
した圧力のとき、制御室１８内の燃料と燃料室２
０内の燃料との間の圧力差が逆止弁３１をコイル
バネ４２の偏倚力に抗して逆止弁弁座１５ｂから
引き離し、燃料流が制御室１８から通路１５ａを
経て燃料室２０に流入するようにする。従つて、
所望のほぼ均一な制御圧が制御室１８内に従つて
凹所３５内に維持されて噴射弁３４の弁ステム３
３の上端上に作用する。それによつて噴射弁上の
制御された圧力が維持され、ノズル開放圧力を一
定に維持できる。よつて制御室１８内にある所定
値以上の圧力が形成されると逆止弁３１を下方に
移動させコイルバネ４２に抗して弁座から離す。
そしてこの圧力形成は噴射弁の噴射行程間に解放
されて制御室１８内の燃料圧を所望の所定圧に維
持する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る好適実施例の燃料噴射ノズ
ル構体を拡大した縦断面図である。 〔主要部の符号の説明〕、噴射体……１０、噴
霧出口……２５、カバー……１１、燃料入口……
２７、燃料室……２０、噴射弁……３４、第１の
所定直径のステム部……４０、出口弁座……２
６、弁座円板……１５、制御室……１８、ガイド
ステム部……３３、逆止弁……３１、軸方向ガイ
ド孔……３２、バネ……４２、弁座円板の通路…
…１５ａ、逆止弁の拡大端部……３６、環状凹部
……３５。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一端に弁座２６と噴射オリフイス２５とを備
   え、他端にキヤツプ１１が固定されている噴霧先
   端部材１０を有する筐体が設けられ；前記噴霧先
   端部材の燃料室２０内へと開口している燃料入口
   ２７が前記噴霧先端部材に設けられ；前記燃料室
   に連通している制御室１８が設けられ；前記噴霧
   先端部材内で軸線方向に可動である噴射弁３４が
   設けられ、該噴射弁３４はその細長システム４０
   の一端に弁先端４１を有し；該噴射弁３４はバネ
   ４２によつて付勢されて前記弁先端が前記弁座と
   係合し前記噴射オリフイスを通常閉じている燃料
   噴射ノズル構体において；前記筐体はその中に固
   定された逆止弁弁座円板１５を有し、該逆止弁弁
   座円板１５は前記キヤツプと共に前記制御室を形
   成し、該逆止弁弁座円板は貫通通路１５ａを有
   し；前記逆止弁弁座円板の燃料室側に逆止弁弁座
   １５ｂを供し；逆止弁３１が前記燃料室に位置せ
   しめられ、前記噴射弁の他端が前記逆止弁の軸線
   方向案内孔３２に摺動可能に取り付けられた拡大
   ステム端３３を有し、前記拡大ステム端と前記軸
   線方向案内孔の壁との間及び前記貫通通路を通る
   燃料漏洩により前記制御室と前記燃料室との間が
   連通せしめられ、 前記バネが前記逆止弁と前記噴射弁とに係合し
   て、前記逆止弁を通常付勢して前記貫通通路の周
   囲で前記逆止弁弁座と係合せしめ、もつて、前記
   噴射弁を前記逆止弁弁座で密封し、前記燃料室内
   に所定の燃料圧力が存在するときは前記噴射弁が
   前記弁座に対して開放運動することができ、前記
   制御室の圧力が燃料室の圧力より大きい所定の圧
   力差が存するときは前記逆止弁を前記弁座円板か
   ら開放するよう運動させることを特徴とする燃料
   噴射ノズル構体。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載の燃料噴射ノズ
   ル構体において、前記逆止弁３１が前記逆止弁弁
   座円板１５の前記通路１５ａと重なり前記軸線方
   向案内孔３２の周りに位置する環状凹所３５を画
   成する軸線方向に延在するフランジ３６で終端す
   るスリーブから成ることを特徴とする燃料噴射ノ
   ズル構体。