JPS6137465B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動吸込作用を有するピストンポン
プであつて、駆動カム軸を有し、この駆動カム軸
のカムがばね負荷されたポンプピストンを駆動
し、このポンプピストンが、運動する際に制御縁
でタンクからの無圧の液体の流入を制御するよう
になつており、液体を流出させるために流出弁が
設けられている形式のものに関する。

このような形式のピストンポンプは公知であ
る。しかしながらこのピストンポンプは粘度の低
い媒体のための高圧吸引ポンプとしては効率が極
めて悪い。

更にポンプにはばね負荷されたポンプピストン
と、ばね負荷されていないポンプピストン、所謂
フリーピストンが公知である。

ばね負荷されたピストンの利点は自動吸込作用
を有していることでありかつばねによつて常時駆
動カム又はそれに類似したものに接触せしめられ
ることである。これに対して欠点は、シール区間
が極めて短いのでシールが十分に行なえないこと
である。従つてこの場合には流入弁に於て、圧力
に関連して変化する、圧力が高い際にポンプの効
率を低下させる漏れ損失が生じる。

これに対してフリーピストン形のポンプに於て
はシール区間が比較的に長いので良好なシールが
期待できる。更にフリーピストンはピストンシー
ルとしての弾性的なシールと組合わせることが出
来る。このポンプは高圧に適し、効率が高く、し
かも全行程に亙つて搬送する。しかしこのポンプ
には自動吸込作用を持たず、駆動カムに圧着する
ために予圧が必要であるという欠点を有してい
る。

本発明の課題は公知のピストンの欠点を除くこ
とであり、その特徴とするところは、自動吸込作
用を有するピストンポンプにフリーピストンポン
プが直列されていて、自動吸込作用を有するピス
トンポンプの流入行程がフリーピストンポンプの
搬送行程と同期されていることである。

本発明の自動吸込作用を有するピストンポンプ
の利点は、効率、特に高い圧力範囲に於ける効率
が極めて高く、安価でかつスペースを取らない駆
動モータを使用できることである。自動吸込作用
を有するポンプの流出弁は同時にフリーピストン
ポンプの流入弁を成していると有利である。フリ
ーピストンにはばね負荷されたポンプピストンの
搬送圧を作用させておくことが出来る。

更に本発明のポンプでは、ばね負荷されたポン
プピストンの漏れ損失は、温度が高い場合のよう
に液体の粘度が低いときにも極めて小さくなる。
何故ならばこの場合には搬送は極めて低い対抗圧
に抗して行なわれればよいからである。更にピス
トンを駆動偏心体に圧着するために予圧が必要で
あるというフリーピストン形ポンプの持つ公知の
欠点は、必要な圧力がばね負荷されたピストンに
より与えられるので問題にならなくなる。

本発明によるポンプは効率が高く、全温度範囲
に亙つて申し分なく働く。

更に本発明によるポンプは、駆動モータが回転
している状態で、ばね負荷されたピストン範囲に
係合する簡単な部材を用いて停止させることが出
来る。

次に図面について本発明を説明する： ピストンポンプ１は図示されていない駆動モー
タによつて回転せしめられる水平な駆動カム軸２
を有している。駆動カム軸２の上にはラジアルカ
ムとして構成された駆動偏心体３が坐着せしめら
れており、この駆動偏心体３には鉢形のポンプピ
ストン４がばね５の作用下で接触せしめられてい
る。ポンプピストン４はポンプシリンダ６内で運
動可能であり、このポンプシリンダ６には側方
に、液体タンク８に接続された導管７が接続され
ている。ポンプシリンダ６への導管７の開口は制
御縁９を形成し、この制御縁９はポンプピストン
４の端面１０によつて制御される。このような形
式で制御縁９と端面１０はポンプの流入弁９，１
０を構成する。ポンプピストン４とポンプシリン
ダ６とは、ポンプピストン４が吸込行程方向にば
ね５で負荷されているので、駆動偏心体３によつ
て与えられるポンプピストン４の吐出行程が終了
すると液体タンク８から液体を自動的に吸込む、
いわゆる自動吸込作用を有するピストンポンプ１
１を構成する。

ポンプシリンダ６の端部からは導管１２が延び
ており、この導管１２内には逆止弁１３が接続さ
れている。この逆止弁１３はピストンポンプ１１
の流出弁であると共にフリーピストンポンプ１４
の流入弁である。このフリーピストンポンプ１４
は駆動偏心体３の、ピストンポンプ１１と反対側
に、しかもピストンポンプ１１と同軸的に配置さ
れている。

フリーピストンポンプ１４はフリーピストン１
５を有し、このフリーピストン１５はピストンポ
ンプ１１によつて生ぜしめられた圧力により駆動
偏心体３に圧着されている。フリーピストン１５
はポンプシリンダ１６内で運動可能である。この
ポンプシリンダ１６は導管１７を介して流出弁１
８に、かつこれを介して高圧タンク１９に接続さ
れている。導管１９ａは消費機に通じている。

本発明の装置は次のように働く。駆動モータが
駆動軸２を回転させると、ポンプピストン４はば
ね５の作用と協働して往復させられる。この際に
ポンプピストン４は流入弁９，１０を介して液体
を液体タンク８から吸上げかつそれを導管１２に
搬送する。逆止弁１３を介して液体は圧力下でピ
ストンポンプ１４のシリンダ１６内に達する。こ
の圧力はフリーピストン１５を駆動偏心体３に接
触させるために役立つ。

ピストンポンプ１４によつて生ぜしめられた圧
力は流出弁１８を介して高圧タンク１９に達し、
液圧式ブレーキ倍力装置のサーボ力として作用す
る。ポンプピストン４が吸込行程方向にばね負荷
されて液体を自動的に吸込むピストンポンプ１１
に、フリーピストン１５を有するピストンポンプ
１４を組合わせることによつて、種々の利点が得
られる。すなわち、図面から判かるようにばね負
荷されたピストンポンプ１１においては制御縁９
とポンプピストン４の端面１０との間に形成され
るシール区間は短く、高い吐出圧で液体を吐出し
ようとすると導管７への漏れ損失が大きくなると
いう欠点を有しており、この漏れ損失は高温で液
体の粘度が低いと特に大きい。しかしながら本発
明ではこのピストンポンプ１１にフリーピストン
ポンプ１４が直列に接続されているためにピスト
ンポンプ自体が高い圧力を吐出する必要がなくな
るために、シール区間が短くても、しかも液体の
粘度が高温にもとづいて小さい場合にも漏れ損失
が小さくなり、ポンプの効率がよくなる。

他面においてはフリーピストン１５を有するフ
リーピストンポンプ１４のシール区間はフリーピ
ストン１５の端面とポンプシリンダ１６の端面と
の間に形成され、比較的に大きいので、吐出圧が
高く、しかも液体の粘度が小さい場合にも漏れ損
失は小さいという利点を有している。又、フリー
ピストンポンプ１４はフリーピストン１５を駆動
偏心体３に接触させるために予備圧を必要とする
という欠点を有しているが、この予備圧は本発明
ではピストンポンプ１１によつて与えられる。

このような形式でピストンポンプ１１は高い効
率を有し、かつ全温度範囲に亙つて申し分なく作
用するようになる。従つて簡単で、小型で、しか
も経済的な駆動モータを使用することが出来るよ
うになる。

更に本発明によるピストンポンプ１は次のよう
な利点を有する：第１図に於ては棒２０が示され
ており、この棒２０はレバー２１によつて低圧ポ
ンプピストン４の運動範囲に侵入させることが出
来るようになつている。これによつてピストンポ
ンプ１全体は駆動モータを遮断することなしに停
止させることが出来る。すなわち、棒２０が駆動
偏心体３とポンプピストン４との間に侵入すると
ポンプピストン４はばね５で戻されなくなり、ポ
ンプピストン４は吸込み行程を行なわなくなり、
ピストンポンプ１１からの吐出は中断される。従
つてフリーピストンポンプ１４のフリーピストン
１５を駆動偏心体３に押し付ける圧力もフリーピ
ストン１５の前に形成されなくなるのでフリーピ
ストン１５は吸込行程を行なわなくなり、フリー
ピストンポンプ１４は停止させられる。この場合
には駆動偏心体３は駆動カム軸２によつて引続き
回転させておくことができる。

第２図はピストンポンプのケーシング２２の断
面図である。このポンプピストンの構成は第１図
と略同じであるので、この場合には第１図と同じ
符号が用いられている。

この場合ポンプピストン４′は周面に於けるリ
ング溝２５と半径方向の孔２６を備え、ポンプシ
リンダ６′内に配置されている。リング溝２５の
制御縁１０′は供給導管７′の開口に於ける制御縁
９′と協働して流入弁９′，１０′を構成してい
る。

第２図に於ては更に、駆動偏心体３′を受容す
るケーシング室２３から延びる漏れ導管２４が示
されている。この漏れ導管２４は供給導管７′に
戻されている。ピストンポンプの他の部分には既
に使用された符号にダツシユが付けられて示され
ている。フリーピストン１５′はピストンシール
としての弾性的なシールスリーブ１５ａと協働す
る。この場合フリーピストン１５′はばね負荷さ
れたピストンポンプ４′よりも小さな直径を有し
ている。

第３図は第２図の−線に沿つた断面図であ
る。

第４図に於ては本発明のポンプの別の実施例が
示されている。この場合にはピストンポンプ３１
は垂直な駆動カム軸３２を備えている。駆動カム
軸３２の上にはラジアルカムとして構成された２
つの駆動偏心体３０と３３が坐着せしめられてい
る。一つの偏心体３０には鉢形のポンプピストン
３４がばね３５の力によつて圧着されている。ピ
ストンポンプ３４はポンプシリンダ３６内で可動
である。ポンプピストン３４とポンプシリンダ３
６は第２図と第３図の場合と同様ピストンポンプ
３７を形成している。

ピストンポンプ３７の後ろには逆止弁３８と、
ポンプピストン３７の流出弁と、フリーピストン
ポンプ３９の流入弁が配置されている。フリーピ
ストンポンプ３９のフリーピストン４０はピスト
ンポンプ４０のポンプピストン３４に対して平行
に配置されている。フリーピストンポンプ３９の
フリーピストン４０はピストンポンプ３７の搬送
圧力によつて他方の駆動偏心体３３と接触させら
れている。逆止弁４１と高圧タンク４２はピスト
ンポンプ３９の後ろに配置されている。

液体タンク４３は、通路４５を介してピストン
ポンプ３７の流入弁４６と接続されたケーシング
室４４に接続されている。両方のピストンポンプ
３７と３９から生じる漏油はケーシング室４４内
に集まり、流入弁４６を介して再びピストンポン
プ３７に達する。

このポンプの作用形式は第１図から第３図まで
に示したポンプのものと略同じであるので、ここ
でもう一度記述することは省略する。両方のポン
プピストン４′と１５′並びに３４と４０は、低圧
側からの液体を余分に準備できるように、ばね負
荷されたポンプピストン４′，３４が大きな直径
を有するように構成されていると有利である。何
故ならばばね負荷されたポンプピストンは流入間
隙の長さに亙つて所定の搬送行程損失を有してい
るからである。このポンプピストンは大きな直径
で不足する搬送容積を補償する。しかしながら偏
心体行程を異つた大きさにし、両方のポンプピス
トンに同じ直径を与えておくことも出来る。

更にポンプの駆動カム軸は平らなカム軸として
構成することも出来る。この場合にはピストンは
アキシヤルピストンポンプのように運動せしめら
れる。

更に駆動カム軸は必要に応じて乾式回転して
も、湿式回転してもよい。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の複数の実施例を示すものであつ
て、第１図は本発明のピストンポンプの第１実施
例の概略図、第２図は第１図に示された構造のピ
ストンポンプのケーシングの断面図、第３図は第
２図の−線に沿つて断面図、第４は本発明の
ピストンポンプの第２実施例のケーシングの断面
図である。 １……ピストンポンプ、２……駆動カム軸、３
……駆動偏心体、４……ポンプピストン、５……
ばね、６……ポンプシリンダ、７……導管、８…
…液体タンク、９……制御縁、１０……端面、１
１……ピストンポンプ、１２……導管、１３……
逆止弁、１４……フリーピストンポンプ、１５…
…フリーピストン、１６……ポンプシリンダ、１
７……導管、１８……流出弁、１９……高圧タン
ク、２０……棒、２１……レバー、２２……ケー
シング、２３……ケーシング室、２４……漏れ導
管、２５……リング溝、２６……半径方向の孔、
３０……駆動偏心体、３１……ピストンポンプ、
３２……駆動カム軸、３３……駆動偏心体、３４
……ポンプピストン、３５……ばね、３６……ポ
ンプシリンダ、３７……ピストンポンプ、３８…
…逆止弁、３９……フリーピストンポンプ、４０
……フリーピストン、４１……逆止弁、４２……
高圧タンク、４３……液体タンク、４４……ケー
シング室、４５……通路、４６……流入弁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ポンプピストン４，３４が吸込行程方向には
   ばね５，３５で負荷されかつ吐出行程方向には駆
   動カム軸２，３２で駆動されるように構成されて
   いる自動吸込作用を有するピストンポンプであつ
   て、ポンプピストン４，３４が運動するときにポ
   ンプピストン４，３４の制御縁１０によつて液体
   タンク８，４３からの無圧の液体のための流入口
   が開閉されるようになつており、ピストンポンプ
   ４，３４からの液体の流出が流出弁を介して行な
   われる形式のものにおいて、自動吸込作用を有す
   るピストンポンプ１１，３７の下流側にフリーピ
   ストンポンプ１４，３９が直列に接続されてお
   り、このフリーピストンポンプ１４，３９が、自
   動吸込作用を有するピストンポンプ１１，３７の
   ポンプピストン４，３４を駆動する駆動カム軸
   ２，３２によつて駆動されるように構成されてお
   り、自動吸込作用を有するピストンポンプ１１，
   ３７の吸込行程がフリーピストンポンプ１４，３
   ９の吐出行程と同期されており、フリーピストン
   ポンプ１４，３９のポンプ作業室と自動吸込作用
   を有するピストンポンプ１１，３７のポンプ作業
   室とがフリーピストンポンプ１４，３９の吸込行
   程時には互いに接続されかつフリーピストンポン
   プ１４，３９の吐出行程時には互いに接続されな
   いように構成されていることを特徴とする、自動
   吸込作用を有するピストンポンプ。 ２ 自動吸込作用を有するピストンポンプの流出
   弁１３，３８が同時にフリーピストンポンプ１
   ４，３９の流入弁を成している、特許請求の範囲
   第１項記載のピストンポンプ。 ３ 駆動カム軸２，２′，３２がラジアルカム軸
   である、特許請求の範囲第１項又は第２項記載の
   ピストンポンプ。 ４ 駆動カム軸が正面カム軸である、特許請求の
   範囲第１項又は第２項記載のピストンポンプ。 ５ 自動吸込作用を有するピストンポンプ１１，
   ３７のポンプピストン４，４′とフリーポンプ１
   ４，３９のフリーピストン１５，１５′とが同軸
   的に配置されており、ポンプピストン４，４′と
   フリーピストン１５，１５′との間に駆動カム軸
   ２，２′が設けられている、特許請求の範囲第１
   項から第３項までのいずれか１項記載のピストン
   ポンプ。 ６ 自動吸込作用を有するピストンポンプ１１，
   ３７のポンプピストン４，４′とフリーピストン
   ポンプ１４，３９のフリーピストン１５，１５′
   とが同じ駆動偏心体３，３′を有している、特許
   請求の範囲第１項又は第２項又は第３項又は第５
   項記載のピストンポンプ。 ７ 自動吸込作用を有するピストンポンプのポン
   プピストン３４とフリーピストンポンプのフリー
   ピストン４０が互いに平行に横に並べて配置され
   ており、駆動カム軸３２の上にそれぞれポンプピ
   ストン３４又はフリーピストン４０を駆動する固
   有の駆動偏心体３０，３３が設けられている、特
   許請求の範囲第１項又は第２項又は第３項又は第
   ５項記載のピストンポンプ。 ８ 自動吸込作用を有するピストンポンプのポン
   プピストンとフリーピストンポンプのフリーピス
   トンとが同じ直径を有している、特許請求の範囲
   第１項から第７項までのいずれか１項記載のピス
   トンポンプ。 ９ 駆動カム軸のカムが乾式回転を目的としてポ
   ンプ作業室に対してシールされている特許請求の
   範囲第１項から第８項までのいずれか１項記載の
   ピストンポンプ。 １０ 駆動カム軸２′，３２のケーシング室２
   ３，４４が液体タンク８′，４３と接続されてい
   る、特許請求の範囲第１項から第８項までのいず
   れか１項記載のピストンポンプ。 １１ フリーピストン１５が弾性的なシールなし
   で構成されている、特許請求の範囲第１０項記載
   のピストンポンプ。