JPS6121216Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はフイルムを成形する装置においてフイ
ルム肉厚の偏在、それに伴なう局部的な強度の低
下を防止するダイに関し、特にインフレーシヨン
押出成形法に用いるダイの改良に関する。

一般にフイルムの製造は、熱可塑性樹脂を溶融
し、スクリユー押出機等の押出手段によりダイに
注入し、スリツト状ノズルから押出して冷却して
行なわれ、インフレーシヨン押出成形法の場合、
リング状スリツトの中心から空気が吹込まれる。

この場合の問題点として押出変動（ないし偏よ
り）がある。溶融樹脂が押出手段から一度水平方
向に押出された後、垂直方向に曲げられる方式の
場合、特にこの押出変動は生じやすい。そしてフ
イルム成型の場合にはこの変動は直接的に厚みの
変化となつて最終製品に致命的影響を及ぼす。こ
の原因としては押出手段のスクリユー形状の他に
固相部での樹脂とバレル・スクリユー部との摩擦
係数の変化、遷移部における溶融速度と輸送能力
の不一致、ダイまでに至る流れの不均一等種々の
原因が考えられる。従つてその防止策も種々であ
り、（例えばフイード部分のバレル設定部分を変
える方法、またフイードスクリユーにより樹脂の
供給量をコントロールする方法あるいは押出機先
端をギヤーポンプを取付けて変動を吸収する方法
などが試みられているがいずれも、押出変動を完
全に抑制することができない。

本考案はこの変動をダイの改良により最小限に
おさえることを目的とする。

即ち本考案の溶融樹脂をスリツト状ノズルを有
するダイから押し出してフイルムを成形するフイ
ルム製造用ダイにおいて、該ダイのスリツト状ノ
ズルへ樹脂を分配供給する流路分岐部の直前の流
路内に静止混合手段を配設し、該静止混合手段が
右捻り要素と左捻り要素とを軸方向に交互にかつ
隣接する要素の端部を交叉させて配列してなるこ
とを徴とするフイルム製造用ダイである。

一般に溶融樹脂はまずスクリユー押出機により
水平に押し出されたのち流路が上方に曲げられる
ことが多い。インフレーシヨン押出成形法の場
合、フイルムはダイからチユーブ殻状に押し出さ
れ、ノズルの中心部から空気を吹込まれる。樹脂
が上方に押し出されるのはこの後の巻取作業に一
定の空間を要することと未硬化のフイルムにかか
る重力の影響をできるだけ小さくするためであ
る。しかし、このようにスクリユー押出式の出口
からダイに至るまで、特にスリツト状ノズルに至
るまでの流路の曲折及び流路管壁に基因する温度
の不均一化等が流れの不均一化をもたらし、押出
し変動の大きな原因であることが判明した。

本考案の静止混合手段（交互捻りに係るもの：
以下同じ）はダイのスリツト状ノズルへの分岐部
の直前に配置することにより、この変動をおさえ
る。ここに直前というのは少くとも溶融樹脂の供
給流路が水平方向から垂直方向に変つてのちを意
味するが、本考案においては、ダイ自体の内部に
組込むことが望ましい。

静止混合手段自体は公知のいわゆるラインミキ
サーなどでよい。例えば米国ケニツクス社の「ス
タテイツクミキサー」、あるいは米国特許3051453
や同3195865などに開示されたものどがあり、場
合により、その他公知のものでもよい。これらの
静止混合手段は短い工程で急速に樹脂を混合する
効果があることを知られていたが、従来はダイの
直前に配することはかえつて残留歪を大きくする
可能性があると危惧されていたためこれまでは行
なわれてこなかた。

本考案者らはこれをダイの流路分岐部の直前に
配した結果、樹脂の流れと温度の均一化が向上
し、フイルム厚さの偏よりが解消することを見い
出した。

以下実施例を示す図面に従つて本考案を説明す
る。第１図はインフレーシヨン法押出成形機の一
例である。図中２は上端面に開口する円型のリン
グ形スリツト状ノズル３を有するダイ、４はダイ
２の下部側からスリツト状ノズル３の内側上端面
に開口したエアー供給路、５はピンチローラであ
る。溶融樹脂はエクストルーダ１から水平方向に
水平流路６へ押し出され、曲り部６ａ、上方向へ
の供給流路８、分岐部９を経てダイ２のスリツト
状ノズル６へ導びかれる。

本考案の装置では、この垂直方向への送給流路
に静止混合手段７を配置してある。静止混合手段
７は米国特許3051453、同3195865あるいは
3286992などに開示されている静止混合手段が特
に有効であるが、これに限られるものではなく、
混合効果を有する構造物であればすべて採用され
うる。静止混合手段はこの流路に任意の方法で設
置される。例えば溶接、焼ばめろう付溶接などで
よい。

第２図は一例として簡単な構造の静止混合手段
を示し、混合要素たる振り羽根７ａを軸方向に交
互に配列したものである。樹脂の流路には戻り羽
根７ａが少くとも２個、好ましくは５個以上配置
される。各要素は薄い板が左または右に180゜ひ
ねられた形をしており、右ひねり左ひねりの要素
が端面を交叉させて交互に流路に入れられる。溶
融樹脂はらせん状のひねりを受けて進行し、次の
要素に移るときに分割されて逆方向のひねりを受
ける。このくり返りによつて混合が行なわれる。
この混合要素を５個配した装置によつて製造され
た厚さ20〜200μのポリエチレンフイルムは入厚
の偏在が全く見られず、強度もすぐれていた。と
ころが同じ装置で静止混合手段を外した場合には
一定の位置にシワが発生し、温度を変えてもシワ
が解消すことはなかつた。捩り羽根７ａを２個と
した場合もシワの発生を見ることはなかつたが、
温度の低下時に肉厚の偏在が見られたことがあつ
た。またその程度は混合手段がダイに近い時ほど
軽度であつた。

なお、フイルム原料の樹脂の種類としては熱可
塑性のフイルム形成性のある物質であればよく、
例示すればポリエステル、ポリアミド、ポリオレ
フイン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンな
どである。

以上、詳述の通り、本考案によればフイルム製
用ダイのノズルへの流路分岐部の直前に静止混合
手段を配置することにより、押出フイルムの偏
流、シワ等を防止することが可能となつたもので
あり、特に100μｍ以下の薄いフイルム製造に適
している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の中央断面、第２図は
静止混合手段の一例の配置状況を示す概捻図であ
る。 ２……ダイ、３……スリツト状ノズル、７……
静止混合手段、７ａ……捩り羽根、６ａ……流路
曲り部、６，８……流路、９……分岐部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 溶融樹脂をスリツト状ノズルを有するダイか
   ら押出してフイルムを成形するフイルム製造用
   ダイにおいて、該ダイのスリツト状ノズルへ樹
   脂を分配供給する流路分岐部の直前の流路内に
   静止混合手段を配設し、該静止混合手段が右捻
   り要素と左捻り要素とを軸方向に交互にかつ隣
   接する要素の端部を交叉させて配列してなるこ
   とを特徴とするフイルム製造用ダイ。 ２ 前記ダイはインフレーシヨン成形用ダイであ
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載のダイ。 ３ 前記静止混合手段は、押出手段出口に接続れ
   た流路曲り部と前記ダイの流路分岐部との間に
   配設される実用新案登録請求の範囲第１項又は
   第２項記載のダイ。