JPS609363Y2 - シリンダブロツクのオイルリタ−ン孔 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、シリンダブロックのオイルリターン孔に関
するものである。

一般に自動車用エンジンでは、シリンダブロックの上端
にシリンダヘッドを、下端にオイルパンを固定しており
、オイルパン内の潤滑オイルをオイルポンプによってシ
リンダヘッドに供給し、カムシャフト等シリンダヘッド
の動弁装置の潤滑を行なった後、オイルをシリンダブロ
ックのオイルリターン孔を介して再びオイルパン内に戻
すようにしている。

しかし従来のオイルリターン孔では、オイルをオイルパ
ンに戻す際に、オイルが回転半径の大きいコネクティン
グロッドの大端部、クランクシャフトのカウンタウェイ
ト等に当たるため、該オイルは回転するクランクシャフ
トによって遠心力を受けてリターン孔内にはね返される
という問題があり、特にエンジンの回転が速い場合には
オイルがリターン孔を介してシリンダヘッド内に逆流す
るという問題があった。

この考案は以上のような従来の問題点を鑑みてなされた
もので、オイルリターン孔の内周壁の一部をクランクシ
ャフトのジャーナル部を支持スる隔壁と連続して形成す
るとともに、潤滑オイルを間隔に連続する内周壁部分に
沿って流下させるためのガイドを上記オイルリターン孔
を設けることにより、潤滑オイルを回転半径の小さいク
ランクシャフトのジャーナル部に流下させ、潤滑オイル
のはね返りを低減するようにしたシリンダブロックのオ
イルリターン孔を提供することを目的としている。

以下本考案の一実施例を図について説明する。

第１図ないし第３図は本考案の一実施例によるシリンダ
ブロックのオイルリターン孔を示し、１はシリンダブロ
ックで、該シリンダブロック１の上端には、動弁装置及
びオイルセパレータ（図示せず）を有するシリンダヘッ
ド２がガスケット３ａを介して固定され、又シリンダブ
ロック１の下端には潤滑オイルを収容するためのオイル
パン４がガスケット３ｂを介して固定されている。

そしてシリンダブロック１内には円筒状の複数のシリン
ダ５が前後に配設されており、シリンダブロック１の外
壁とシリンダ５との間は冷却水を通す冷却水通路６が形
威されている。

またシリンダブロック１の下部（スカート部）には隔壁
７が一体に設けられ、この隔壁７にはそのジャーナル受
部７ａとキャップ８とによってクランクシャフト９のジ
ャーナル部９ａを回転自在に支持する主軸受部が形威さ
れている。

なお図中、９ｂ、９ｃはコネクティングロッド及びクラ
ンクシャフト９のカウンタウェイトである。

またシリンダブロック１には平面四角形状のオイルリタ
ーン孔１０が第１図に示すように折曲げられて形威され
、このオイルリターン孔１０の上端開口１０ａはシリン
ダヘッド２のオイル孔２ａと連通し、かつ隔壁７の中心
線Ａに対して対称に、即ち隣接する２つのシリンダ５の
中間に設けられている。

そしてオイルリターン孔１０の内周壁１１の第１図の左
側内周壁部分１１ａの下端は上記隔壁７と滑らかに連続
して形威され、その反対側の内周壁部分１１ｂの上部に
は潤滑オイルが隔壁７に連続する左側内周壁部分１１ａ
に沿って流れるようにガイド１２が一体に設けられてお
り、このガイド１２はオイルパン４内に溜ったガスがオ
イルリターン孔１０を介して抜けることのできる大きさ
となっている。

次に作用効果について説明する。

シリンダヘッド２に供給されたオイルは、動弁装置の潤
滑を行なった後、シリンダヘッド２のオイル孔２ａから
オイルリターン孔１０内に流れ込む。

その際上端開口１０ａに流入するオイルのうち、左側に
流入するオイルは初めから左側の内周壁部分１１ａに沿
って流下する一方、右側に流入するオイルはまず右側の
内周壁１１ｂに沿って流れ、ついでガイド１２に案内さ
れて左側の内周壁部分１１ａに沿って流れ、さらにこの
内周壁部分１１ａと隔壁７とが滑らかに連続しているこ
とから、このオイルは隔壁７へと流下する。

そしてオイルがクランクシャフト９のジャーナル部９ａ
まで来ると、クランクシャフト９は第２図の矢印Ｂ方向
に回転しいるのにもかかわらず、ジャーナル部９ａの回
転半径が小さいことから、オイルはあまり大きな遠心力
を受けず、ジャーナル部９ａに沿って流れてオイルパン
４に戻る。

以上のように本実施例のオイルリターン孔では、オイル
パン４にオイルを戻す際に、クランクシャフト９のジャ
ーナル部９ａに沿って戻すようにしたので、オイルのは
ね返りを低減でき、又たとえオイルがはね返された場合
であっても、ガイド１２によってシリンダヘッド２への
オイルの逆流を防止でき、その結果シリンダヘッド２の
オイルセパレータの容量を小さくできる。

またオイルリターン孔１０の上端開口１０ａを隣持する
２つのシリンダ５の中間に設けたので、２つのシリンダ
５からのオイルを効率的に回収できる。

次に第４図は本考案の他の実施例を示し、図において第
１図ないし第３図と同一符号は同−又は相当部分を示す
。

ただしこの実施例ではオイルリターン孔１０を真直に形
成するとともに、ガイド１２′をシリンダブロック１と
別体に設けて該シリンダブロック１の上端部にシリンダ
ヘッド２で圧接固定している。

本実施例のオイルリターン孔では上記実施例と同様、オ
イルのはね返りを大きく低減できるとともに、ガイドが
別体のため、シリンダブロックの形威が単純になり鋳造
が簡単にできるという利点がある。

なお上記実施例ではオイルリターン孔の内周壁の一部を
隔壁に滑らかに連続して形成した場合について説明した
が、内周壁と隔壁の接続部に段部がある時は該段部をな
めらかに接続すればよいものである。

以上のように本考案によれば、オイルリターン孔の内周
壁の一部をクランクシャフトのジャーナル部を支持する
隔壁と連続して形威し、潤滑オイルを隔壁に連続する内
周壁部分に沿って流下させるためのガイドをオイルリタ
ーン孔に設けることにより、オイルのはね返りを低減し
てシリンダブロックへのオイルの逆流を防止できる効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例によるオイルリターン孔を有
するエンジンの要部側面断面図、第２図は第１図の■−
■線断面図、第３図は第１図のシリンダブロックの底面
図、第４図は本考案の他の実施例の要部側面断面図であ
る。 １・・・・・・シリンダブロック、２・・・・・・シリ
ンダヘッド、４・・・・・・オイルパン、７・・・・・
・隔壁、９・・・・・・クランクシャフト（クランク軸
）９ａ・・・・・・ジャーナル部（軸部）、１０・・・
・・・オイルリターン孔、１１・・・・・・内周壁、 １２゜ １２′・・・・・・ガイド。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１） 上端にシリンダヘッドを下端にオイルパンを
   固定したシリンダブロックに設けられオイルポンプによ
   って上記シリンダヘッドに供給される潤滑オイルを上記
   オイルパンに流下させるためのシリンダブロックのオイ
   ルリターン孔において、その内周壁の一部をクランク軸
   のジャーナル部を支持する隔壁と連続して形成上、上記
   潤滑オイルを上記隔壁に連続する部分の内周壁に沿って
   流下させるためのガイドを設けたことを特徴とするシリ
   ンダブロックのオイルリターン孔。
2. （２）上記オイルリターン孔の上端開口を上記隔壁の中
   心線に対して対称に設けたことを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載のシリンダブロックのオイルリ
   ターン孔。