JPS5824530Y2 - シンゴウデンソウソウチ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、スタート・ストップ式のマルチバイブレータ
を用いた信号伝送装置に関する。

従来、この種の信号伝送装置は、第１図に示すような構
成であった。

同図において、１は非安定マルチバイブレータ、ＴＲ１
及びＴＲ２はその能動素子である第１及び第２のトラン
ジスタ、Ｓｌは入力信号に基づきトランジスタＴＲ工の
ベース端子を接地するスイッチ、Ｒｏは抵抗、ＴＲ３は
第３のトランジスタ、Ｃはカップリングコンデンサ、２
は出力増幅器、Ｔはトランスである。

この信号伝送装置は、人力信号に基づきスイッチＳ１が
閉成（ＯＮ）されるとマルチバイブレータ１が停止状態
に、スイッチＳ１が開放（ＯＦＦ）されるとマルチバイ
ブレータ１が発振状態になり、入力信号に対して随時発
振出力を得、これを出力増幅器２で増幅した後、トラン
スＴを介して伝送している。

ところで、この信号伝送装置ではマルチバイブレータ１
の発振停止時と発振時において、第１図のＡ点（コンデ
ンサＣの入力）の直流レベルに差異が生ずる。

即ち、発振停止時においては、抵抗Ｒ１を通して電源電
圧Ｖｃが加わっており、直流レベルはＶｃである。

一方、発振時においては、第３のトランジスタＴＲ３の
オン・オフ動作により、Ａ点の最大振幅電圧ｅ。

とじ、オンとオフの時間が等しいものとすると、直流レ
ベルはｅ。

／２となる。

ただし、出力増幅器２０入力インピーダンスＺｉが抵抗
Ｒ１より非常に大きい場合はｅ。

＝Ｖｃとなり、発振時の直流レベルはＶｃ／２となる。

この直流レベルの変化は、コンデンサＣの充放電により
吸収さ札る。

即ち、発振開始時において、Ａ点の直流レベルはＶｃか
らｅｏ／２に急激に変化するた、め、コンデンサＣの出
力における直流レベルは急激にＶｃ−ｅ□／２変化し、
その後コンデンサＣ１抵抗Ｒ１及び出力増幅器２の入力
担抗で決定される時定数に従って除々に元の電圧に戻る
。

又、発振停止時にはＡ点の直流レベルがｅ。

／２からＶｃに変化するため、発振開始時と同様にコン
デンサＣの出力における直流レベルが変化する。

このようにスイッチＳ１の開閉動作に伴ないマルチバイ
ブレータ１に接続された第３のトランジスタＴＲ３の出
力端Ａ点での直流レベルがこのマルチバイブレータ１の
発振停止時と発振時とで異なってくるので、コンデンサ
Ｃ及びトランスＴの出力は第２図に示す如くなる。

尚、第２図に示したタイムチャートにおいては、説明を
簡単にするためコンデンサＣ及びトランスＴの時定数に
比較して発振周波数を低いものとしており、上記時定数
によるサグの発生は無視している。

実際には、上記時定数はサグが発生しない程度の大きな
時定数であり、発振周波数はこの時定数の逆数より非常
に高いものであるため、トランスＴの出力波形は第３図
に示す如くなる。

したがって、このような信号伝送装置では、発振開始時
における直流レベルの変動が、出力増幅器２の動作点を
変化させ、更にみかげ上の振幅を大きくするために、伝
送路又は受信側装置に悪影響を与える恐れがあった。

本考案は、上述した事情に着目してなされたもので、伺
ら直流成分の変動を生じることなく良好なる発振出力が
得られる信号伝送装置を提供することを目的とする。

以下、図面を参照しながら本考案を詳説する。

第４図は本考案の一実施例を示す回路構成図であり、第
５図はその動作説明のためのタイムチャート、第６図は
その出力波形図である。

又、第４図において第１図と同一の要部には同一の符号
を付しその説明は省略する。

本実施例は、第５図に示すようにスイッチＳ１と殆ど遅
延なく連動する一方の接点側が接地されたスイッチＳ２
を設け、このスイッチＳ２の他方の接点側に接続された
抵抗Ｒ２によりマルチバイブレータ１の発振停止時（ス
イッチＳｌ及びＳ２の閉成時）のみＡ点における直流バ
イアスを抵抗Ｒ１とともに分圧するようにし、マルチバ
イブレータ１の発振停止時及び発振時における直流レベ
ル変動をなくすようにしたものである。

この分圧抵抗Ｒ１とＲ２の関係を出力増幅器２の人力イ
ンピーダンスＺｉ、電源電圧をＶｃとして求めろ。

先ず、第３のトランジスタＴＲ３の最大振幅電圧ｅ。

はとなる。

そして、このときのコンデンサＣは交流的に低いインピ
ーダンスであるため最大振幅電圧ｅｏの平均値をとると
第３のトランジスタＴＲ３の直流レベルＥｓは となる。

従って分圧抵抗Ｒ１ とＲ２の関係式は となり、 この（３）式により次の関係式が求められる。

コノトキ、（４）式においてｚｉ′）＞Ｒ１であればＲ
１＝Ｒ２となる。

よって、この（４）式の関係が満足されている場合には
Ａ点（コンデンサＣの入力）における直流レベルは、第
５図に示すようにマルチバイブレータ１の発振停止時と
発振時とで変動しない。

即ち、マルチバイブレータ１の発振開始時に第３のトラ
ンジスタＴＲ３がオンとなる力ｔその際、従来のように
直流レベルが過渡的に偏移しないので発振出力はそのま
まコンデンサＣの充放電特性の影響を受けずに伝送され
る。

したがって、本実施例によるトランスＴの出力波形は第
６図に示す如くなり、みかけ上の振幅が大きくなること
がなく伝送路又は受信側装置に悪影響を与える恐れはな
くなる。

尚、本実施例では、スイッチＳ１及びＳ２の開放時、マ
ルチバイブレータ１が発振を開始し、第３のトランジス
タＴＲ３がオンとなる以前にＡ点の電位がスイッチＳ２
の開放により強制的に変位する。

よって、第６図に示されたトランスＴの出力波形の発振
開始時の出力波形（Ｂ部）を拡大すると第１図のように
なる。

ここで、ｔｌはスイッチＳ１が開放されてからマルチバ
イブレータ１が発振状態になり、第３のトランジスタＴ
Ｒ３がオンになるまでの時間であり、ｔ２は発振ノくル
ス間隔時間である。

次に、他の実施例としてこのような発振状態になるまで
のｔｌなる時間のパルスを除去するものについて簡単に
述べる。

第８図は本実施例を説明するためのタイムチャートであ
る。

本実施例は、前述の実施例と同一の回路構成を採りスイ
ン≠ＳｌとスイッチＳ２の連動関係を異ならせたもので
ある。

本実施例におけるスイッチＳｌとスイッチＳ２との遅延
時間をｔｄとすると ｔｌ＜ｔｄ＜１１＋ｔ２ である。

換言すれば、本実施例ま、第３のトランジスタＴＲ３が
オンとなっている時間内にスイッチＳ２を開放するよう
に遅延時間ｔｄを設定したものである。

よって、発振出力がＡ点に加わった直後に８２を開放す
るので、第８図に示す如く前述の実施例のような発振状
態になるまでのｔｌなる時間のパルスを除去することが
できる。

尚、上述した実施例のスイッチＳ１及びスイッチＳ２の
２つのスイッチは、リレースイッチのような機械接点ス
イッチでも良いし、トランジスタ等より構成される電子
スイッチでも良い。

以上説明したように本考案によれば、直流成分の変動が
生ずることがないので、伝送手段を構成する出力増幅器
の動作点が安定し、更にみかけ上の振幅も大きくならな
い。

よって、伝送路又は受信側装置に悪影響を与える恐れが
なくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の信号伝送装置を示す回路図、第２図はそ
の動作を説明するためのタイムチャート、第３図はその
出力波形図、第４図は本考案の一実施例である信号伝送
装置を示す回路図、第５図はその動作を説明するための
タイムチャート、第６図はその出力波形図、第７図は第
６図の出力波形図の一部拡大図、第８図は本考案の他の
実施例の動作を説明するためのタイムチャートである。 １・・・・・・非安定マルチバイブレータ、Ｃ・・・・
・・カップリングコンデンサ、２・・・・・・出力増幅
器、Ｒ１＋Ｒ２・・・・・・抵抗、Ｔ・・・・・・トラ
ンス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. マルチバイブレータと、入力信号に基づき前記マルチバ
   イブレータの発振・停止の切替制御を行なう第１のスイ
   ッチと、前記マルチバイブレータの発振出力が分圧点に
   印加されるインピーダンス回路と、前記分圧点に印加さ
   れる発振出力を伝送手段に導びくためのカップリングコ
   ンデンサ回路と、前記第１のスイッチと連動し前記マル
   チバイブレータの発振停止時には前記インピーダンス回
   路を分圧回路として動作させると共に前記マルチバイブ
   レータの発振時には前記インピーダンス回路の分圧回路
   としての動作を禁止する第２のスイッチとを備え、前記
   インピーダンス回路の分圧点の電位が前記マルチバイブ
   レータの発振時の発振出力の直流レベルと一致するよう
   に前記インピーダンス回路の分圧比を設定したことを特
   徴とする信号伝送装置。