JPS5819334Y2 - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関用点火装置に関するものである。

一般に内燃機関においては、回転速度（ｒｐｍ）の上昇
に伴って点火位置を進めているが、２サイクル内燃機関
では、温度や吸気効率の関係がら高速領域で点火位置を
遅らせた方が機関の出力が増大することが知られている
。

また４サイクル機関では、過回転を防止するために高速
領域で点火位置を遅らせる必要がある場合がある。

そこで出願人は先に１次電流制御用半導体スイッチの動
作位置（点火位置）を定める信号源の出力端にトランジ
スタのコレクタエミッタ回路を抵抗を介して並列接続し
、機関の回転速度が設定速度を越えたときにトランジス
タのベースに信号を与えることによりそのコレクタエミ
ッタ間インピーダンスを減少させるようにした内燃機関
点火装置を提案した。

この装置では回転速度検出回路により検出した機関の回
転速度に応じて変化する速度検出電圧と設定速度に対応
した基準電圧とを電圧比較器により比較し、回転速度が
設定速度を越えたことを検出したときに比較器よりトラ
ンジスタのベースに信号を与えてトランジスタの導通を
制御するように構成されている。

このように横取すれば、トランジスタ素子の特性のばら
つきに影響を受けることなく、機関の回転数が増大した
ときに信号源の一部がトランジスタのコレクタエミッタ
回路と抵抗との直列回路を通して側路されているため信
号源の出力が１次電流制御用半導体スイッチのトリガレ
ベルに達する位相を遅らせて高速回転時に常に所望の遅
角特性を得ることができる。

ところで一般に使用される電圧比較器の特性として、比
較器の電源電圧が動作電圧以下の場合にときとして動作
不能とならずに入力信号とは無関係に出力端子より信号
を出力するという誤動作を起すことが試験により確認さ
れている。

従来の装置では比較器の電源電圧として回転速度検出回
路に含まれる回転速度検出コイルの出力を整流したもの
を利用しているため、機関の低速回転時に比較器の電源
電圧が動作電圧以下になった場合にトランジスタが導通
して点火位置が遅れるという誤動作を起し、機関の動作
が不安定となる欠点があった。

このような欠点を解消するために、回転速度検出コイル
の巻数を増加して低速回転時においても比較器を駆動す
るのに十分な電圧を得ることも考えられるが、このよう
にすると必然的に整流回路に用いるツェナーダイオード
等の部品の容量が大きくなるため電力の損失も多くなり
、点火動作に与える影響も大きくなるという欠点が生じ
る。

本考案の目的は、比較器の電源電圧が動作電圧以下の場
合に信号源とトランジスタのコレクタエミッタ回路とを
電気的に切り離すスイッチを設けて上記の欠点を解消し
た内燃機関点火装置を提供することにある。

以下図示の実施例により本考案を詳細に説明する。

第１図は本考案をコンデンサ充放電式の内燃機関用点火
装置に適用した場合の一実施例を示したものである。

同図において１は１次コイル１ａ及び２次コイル１ｂを
有する点火コイルで、点火コイル１の２次コイル１ｂの
両端には機関の気筒に取付けられた点火プラグ２が接続
されている。

点火コイル１の１次コイル１ａにはコンデンサ３か゛直
列に接続され、１次コイル１ａとコンテ゛ンサ３の直列
回路の両端に１次電流制御用半導体スイッチとしてのサ
イリスタ４がアノードをコンデンサ２側にして並列接続
されている。

１次コイル１ａとコンテ゛ンサ３との直列回路の両端に
はまたカソードをコンデンサ３側にしたダイオード５を
介してエキサイタコイル６が並列接続され、サイリスタ
４の両端にはこのサイリスタと逆方向のダイオード７が
並列接続されている。

サイリスタ４のゲートカソード間には抵抗８が並列に接
続され、抵抗８の両端にはコンテ゛ンサ９及び抵抗１０
の直列回路を介してアノードをサイリスタ４のカソード
側にしたサイリスタ１１が並列接続されている。

サイノスタ１１のアノードゲート間にはアノードをサイ
リスタ１１のゲート側にしてツェナーダイオード１２が
並列接続され、サイリスタ１１のゲートカソード間には
抵抗１３が並列接続されている。

抵抗１３とサイリスタ１１のカソードとの接続点はダイ
オード１４のアノードに接続され、ダイオード１４のカ
ソードは一端がエキサイタコイル６とダイオード５との
接続点に接続された信号コイル１５の他端に接続されて
いる。

以上の各部によりコンデンサ充放電式の点火回路が構成
されている。

機関の回転速度を検出するため、ダイオード１４のアノ
ードと抵抗１３との接続点に一端が接続された回転速度
検出コイル１６が設けられている。

この検出コイル１６の両端には、アノードをこの検出コ
イル１６の他端側にしたダイオード１７と抵抗１８とコ
ンテ゛ンサ１９との直列回路が並列接続され、コンデン
サ１９の両端に抵抗２０が並列接続されている。

検出コイル１６の両端にはまた、アノードをダイオード
１７のアノードに共通接続したダイオード２１と抵抗２
２とを介して平滑用のコンテ゛ンサ２３が並列接続され
、コンデンサ２３の両端にツェナーダイオード２４が並
列接続されている。

コンテ゛ンサ２３の両端には電位差計型の可変抵抗器２
５が並列接続され、この可変抵抗器２５の中間端子２５
１は比較器２６の一方の入力端子に接続されている。

比較器２６の他方の入力端子は抵抗１８とコンデンサ１
９との接続点に接続され、比較器２６の出力端子が点火
位置制御用半導体スイッチとしてのｎｐｎ ）ランジス
タ２７のベースに接続されている。

トランジスタ２７のエミッタは可変抵抗器２５のコンデ
ンサ２３側の一端に接続され、コレクタは電流制限素子
としての抵抗２８を介して誤動作防止用スイッチとして
の叩ｎトランジスタ２９のエミッタに接続されている。

トランジスタ２９のベースは抵抗３０とツェナーダイオ
ード３１との直列回路を介してコンデンサ２３と抵抗２
２と可変抵抗器２５との接続点に接続され、コレクタは
サイリスタ４のカソードに接続されている。

上記の装置においては、エキサイタコイル６とダイオー
ド５とコンテ゛ンサ３とにより点火コイルに１次電流を
流すためのエネルギを供給する電源回路が構成され、信
号コイル１５により点火位置を定めるための信号源が構
成されている。

また抵抗８．１０，１３、コンテ゛ンサ９、サイリスタ
１１及びツェナーダイオード凹２により、信号コイル１
５から与えられる信号をパルスに変換する波形整形回路
が構威され、信号コイル１５とこの波形整形回路とによ
り信号回路が構成されている。

更に、検出コイル１６、ダイオード１７、抵抗１８．２
０及びコンデンサ１９により回転速度検出回路が構成さ
れ、検出コイル１６、ダイオード２１．抵抗２２、コン
テ゛ンサ２３、ツェナーダイオード２４及び可変抵抗器
２５により基準電圧発生回路が構成されている。

これら回転速度検出回路及び基準電圧発生回路と、比較
器２６、トランジスタ２７及び抵抗２８とにより点火位
置制御回路が構成され、トランジスタ２９により誤動作
防止用スイッチか゛構成されている。

上記の装置において、エキサイタコイル６、信号コイル
１５及び検出コイル１６は、内燃機関と同期回転する磁
石式交流発電機内に配置された発電コイルであり、これ
らのコイルには内燃機関の回転と同期して、図に矢印で
示した位相関係で交流電圧Ｖ６．ＶＩ５及びＶ１６が誘
起する。

今エキサイタコイル６に図示の実線矢印方向の電圧■６
か゛誘起すると、ダイオード５及び１次コイル１ａを通
してコンデンサ３が図示の極性に充電される。

次に信号コイル１５及びエキサイタコイル６に図示の破
線矢印方向の電圧Ｖ１５が誘起すると、信号コイル１５
→工キサイタコイル６→抵抗８→コンテ゛ンサ９→抵抗
１０→ダイオード１４→信号コイル１５の経過でコンデ
ンサ９が図示の極性に充電される。

このコンテ゛ンサ９の端子電圧が一定値を越えると、定
電圧ダイオード１２が導通してサイリスタ１１のゲート
に信号が与えられ、サイリスタ１１が導通する。

サイリスタ１１が導通するとコンテ゛ンサ９の電荷が抵
抗８→サイリスタ１１→抵抗１０→コンテ゛ンサ９の経
路で放電し、抵抗８の両端にパルス状の電圧が現われる
。

この電圧によりサイリスタ４の点弧信号が与えられ、こ
のサイリスタ４が導通する。

したがってコンデンサ３の電荷がサイリスタ４及び１次
コイル１ａを通して放電し、２次コイル１ｂに高電圧が
誘起して点火が行なわれる。

機関の回転速度が上昇すると、信号コイル１５及びエキ
サイタコイル６に誘起する電圧が増大するためコンデン
サ９の端子電圧がツェナーダイオード１２を導通させる
レベルに達する位相が進み、サイリスタ４に点弧信号が
与えられる位相が進んで点火位置か′進角する。

また上記の装置においては、検出コイル１６に図示の実
線矢印方向の電圧が誘起すると、ダイオード１７及び抵
抗１８を通してコンテ゛ンサ１９が一定の時定数で図示
の極性に充電される。

コンテ゛ンサ１９の電荷は抵抗２０を通して一定の時定
数で放電し、コンテ゛ンサ１９の端子電圧は一定の変化
率で減少する。

機関の回転数が低く、コンデンサ１９を充電する間隔が
長い場合には、コンデンサ１９が放電できる時間が長く
なるためコンデンサ１９の端子電圧は上記放電により零
にまで低下する。

機関の回転速度が上昇してコンデンサ１９を充電する間
隔が短くなるとコンテ゛ンサ１９が充分に放電しないう
ちに再充電されるためコンテ゛ンサ１９の端子電圧は零
にならなくなり、コンテ゛ンサ１９の両端の電圧Ｅｓは
回転速度に比例して上昇する。

したがってこの電圧Ｅｓを速度検出電圧として用いるこ
とかで゛きる。

検出コイル１６の出力はまだダイオード２１、抵抗２２
、コンデンサ２３、ツェナーダイオード２４からなる回
路で整流されるとともに定電圧化され、この定電圧が可
変抵抗器２５により分圧されて、点火位置の遅角を開始
させる設定回転速度に対応した基準電圧Ｅｒが作られる
。

速度検出電圧Ｅｓと基準電圧Ｅｒとは比較器２６に入力
される。

またこの定電圧は抵抗３０のツェナーダイオード３１と
の直列回路を介してトランジスタ２９のベースに入力さ
れる。

尚図示してないが比較器２６の電源電圧として上記定電
圧が用いられている。

ツェナーダイオード３１のツェナー電圧は、トランジス
タ２９のペースエミッタ間電圧とツェナーダイオード３
１のツェナー電圧とを加えたものがツェナーダイオード
２４のツェナー電圧に等しくなるように設定されている
。

したがって機関の回転速度が高く、コンデンサ２３の端
子電圧がツェナー電圧となる場合には、抵抗３０とツェ
ナーダイオード３１との直列回路を介してトランジスタ
２９にベース電流が流れてこのトランジスタが導通状態
になっている。

この状態で機関の回転数が設定回転速度Ｎ１を越えると
、速度検出電圧Ｅｓが基準電圧Ｅｒを越えるため比較器
２６から設定速度検出信号が出力され、これによりトラ
ンジスタ２７にベース電流が流れてこのトランジスタも
導通状態となる。

したがってトランジスタ２７及び２９がともに導通状態
となるため抵抗２８が信号コイル１５に対して並列的に
接続され、信号コイル１５からエキサイタコイル６を通
して波形整形回路２９に供給される信号の一部がこの抵
抗２８を通して側路されるようになる。

そのため、波形整形回路２９においてコンテ゛ンサ９が
ツェナーダイオード１２のツェナー電圧に達する位相が
遅れ、サイリスタ４に点弧信号パルスが与えられる位相
が遅れて点火位置が遅れる。

機関の回転速度が設定速度以下の場合には、比較器２６
が信号を出力しないためトランジスタ２７は遮断状態と
なり、たとえｌ・ランジスタ２９が導通状態にあっても
点火動作に何ら影響を与えない。

機関の回転速度が低く、コンテ゛ンサ２３の端子電圧が
ツェナーダイオード２４のツェナー電圧以下の場合には
、コンテ゛ンサ２３の端子電圧はツェナーダイオード３
１のツェナー電圧以下であるためトランジスタ２９には
ベース電流が流れずこのトランジスタは遮断状態になる
。

したがって比較器２６の電源電圧が動作電圧以下の場合
に比較器２６の誤動作により比較器２６が信号を出して
トランジスタのベースに電流が流されても、トランジス
タ２９が遮断状態にあるため信号源１５から信号の一部
が抵抗２８を通して側路されることがなく、機関の低速
回転時における点火位置制御回路の誤動作を防止できる
。

上記の装置においてトランジスタ２７はスイッチング動
作をするため、上記の点火位置の遅れは段階的に起り、
点火進角度（ピストンの上死点から点火位置までの進み
角）αの回転速度Ｎ（ｒｐｍ）に対する特性は第２図に
示すようになる。

上記の実施例では、点火位置が遅れる回転速度を１個だ
け設定できるが、第１図において鎖線３０で囲んだ部分
をモジュール化して、このモジュールを２以上組合せる
ことにより２以上の異なる回転速度で点火位置を段階的
に遅角させたり、一度遅角させた後再び進角させること
ができる。

また誤動作防止用スイッチとしてトランジスタが用いら
れたが、トランジスタに代えて他の適宜の制御可能な半
導体スイッチを用いてもよく、またリレー等の電磁スイ
ッチを用いることもできる。

更にトランジスタ２９のコレクタエミッタ回路をトラン
ジスタ２７のエミッタとツェナーダイオード２４のアノ
ードとの間に接続してもよい。

また点火装置は上記したコンデンサ充放電式の装置に限
られるものではなく、信号源の出力により点火位置か定
められる点火装置であれば如何なるものにも本考案を適
用することができる。

以上のように、本考案によれば、比較器の電源電圧が動
作電圧以下のときに遮断状態となり動作電圧以上のとき
に導通状態となる誤動作防止用スイッチを、信号源と点
火位置制御用半導体スイッチとの間に設けたので、機関
の回転速度が低く比較器の電源電圧が動作電圧以下の場
合に比較器の誤動作により点火位置が遅れるのを防止す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す接続図、第２図は第１
図の実施例により得られる進角度対回転速度特性の例を
示す線図である。 １・・・・・・点火コイル、２・・・・・・点火プラグ
、３・・・・・・コンテ゛ンサ、４・・・・・・サイリ
スタ（１次電流制御用半導体スイッチ）、６・・・・・
・エキサイタコイル、１５・・・・・・信号コイル、１
６・・・・・・検出コイル、２９・・・・・・コンテ゛
ンサ、１７゜２１・・・・・・ダイオード、１８，２０
，２２．３０・・・・・・抵抗、２３・・・・・・コン
デンサ、２４．３１・・・・・・ツェナーダイオード、
２５・・・・・・可変抵抗、２６・・・・・・比較器、
２７・・・・・・トランジスタ（点火位置制御用半導体
スイッチ）、２８・・・・・・電流制御素子、２９・・
・・・・トランジスタ（誤動作防止用スイッチ）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 点火コイルと、前記点火コイルに１次電流を流すための
   エネルギを供給する電源回路と、内燃機関の回転と同期
   して点火位置を定めるための信号を発生する信号源を含
   む信号回路と、前記信号回路から与えられる信号により
   動作して前記点火コイルの１次電流を急変させる１次電
   流制御用半導体スイッチとからなる点火回路と、内燃機
   関の回転速度に応じて変化する速度検出電圧を発生する
   回転速度検出回路と、設定速度に対応した基準電圧を発
   生する基準電圧発生回路と、前記電源回路を電源とし前
   記速度検出電圧と基準電圧とを比較して前記速度検出電
   圧が設定速度に対応した基準電圧を越えたことを検出し
   たときに設定速度検出信号を出力する比較器と、前記設
   定速度検出信号により導通する点火位置制御用半導体ス
   イッチと、前記点火位置制御用半導体スイッチに対して
   直列に接続された電流制御素子とを具備し、前記点火位
   置制御用半導体スイッチと電流制限素子との直列回路が
   前記信号源に対して並列に設けられた点火位置制御回路
   とを備えた内燃機関用点火装置において、前記比較器の
   電源電圧が比較器の動作電圧を越えたときに遮断状態か
   ら導通状態になるように制御される誤動作防止用スイッ
   チが前記点火位置制御用半導体スイッチと電流制限素子
   との直列回路と直列に接続されていることを特徴とする
   内燃機関用点火装置。