JPH1171671A - 真空蒸着装置 - Google Patents
真空蒸着装置Info
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- JPH1171671A JPH1171671A JP24950997A JP24950997A JPH1171671A JP H1171671 A JPH1171671 A JP H1171671A JP 24950997 A JP24950997 A JP 24950997A JP 24950997 A JP24950997 A JP 24950997A JP H1171671 A JPH1171671 A JP H1171671A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 蒸着面が球面状の蒸着基体に対しても均一な
膜厚で薄膜を形成する。 【解決手段】 第1の基体ホルダ4は第1の仮想軸線2
6を中心に回転可能に真空チェンバ104内に支持さ
れ、第2の基体ホルダ6は第1の仮想軸線26に対して
20度ないし60度の角度で傾斜して延在する第2の仮
想軸線24を中心に回転可能な状態で第1の基体ホルダ
4に支持されている。表面に薄膜を形成すべき基体20
は、その球面状の蒸着面を下方に向け、第2の基体ホル
ダ6を成す回転板16に形成された開口18の箇所に配
置されている。第1の基体ホルダ4がモータ128によ
り回転駆動されると、回転板16は、その外周に形成さ
れた歯部と、真空チェンバ104に固定されたピニオン
28とが歯合している結果、第1の基体ホルダ4と共に
回転しつつ第1の基体ホルダ4に対しても回転する。蒸
発手段106は真空チェンバ104内の中心から外れた
位置に配置されている。
膜厚で薄膜を形成する。 【解決手段】 第1の基体ホルダ4は第1の仮想軸線2
6を中心に回転可能に真空チェンバ104内に支持さ
れ、第2の基体ホルダ6は第1の仮想軸線26に対して
20度ないし60度の角度で傾斜して延在する第2の仮
想軸線24を中心に回転可能な状態で第1の基体ホルダ
4に支持されている。表面に薄膜を形成すべき基体20
は、その球面状の蒸着面を下方に向け、第2の基体ホル
ダ6を成す回転板16に形成された開口18の箇所に配
置されている。第1の基体ホルダ4がモータ128によ
り回転駆動されると、回転板16は、その外周に形成さ
れた歯部と、真空チェンバ104に固定されたピニオン
28とが歯合している結果、第1の基体ホルダ4と共に
回転しつつ第1の基体ホルダ4に対しても回転する。蒸
発手段106は真空チェンバ104内の中心から外れた
位置に配置されている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空蒸着によって
基体表面に薄膜を形成する真空蒸着装置に関し、特にレ
ンズなど、蒸着面が球面状の基体に薄膜を蒸着形成する
真空蒸着装置に関するものである。
基体表面に薄膜を形成する真空蒸着装置に関し、特にレ
ンズなど、蒸着面が球面状の基体に薄膜を蒸着形成する
真空蒸着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、真空雰囲気中で、蒸着材料か
ら成る蒸発源を蒸発させ蒸着対象物の表面に蒸気を付着
させて薄膜を形成する真空蒸着法が知られている。例え
ば光学部品を製造する分野などでは、この真空蒸着法に
より、ガラス基板に、反射防止膜や、反射増加膜、ある
いは光学フィルタ膜などが形成される。薄膜を形成する
方法としては真空蒸着法以外にも、スパッタ法やCVD
法などが知られているが、特に多層膜を形成する場合に
は、膜厚制御の容易さ、成膜速度の速さ、装置構成の簡
素さなどの点で真空蒸着法が優れており、広く用いられ
ている。
ら成る蒸発源を蒸発させ蒸着対象物の表面に蒸気を付着
させて薄膜を形成する真空蒸着法が知られている。例え
ば光学部品を製造する分野などでは、この真空蒸着法に
より、ガラス基板に、反射防止膜や、反射増加膜、ある
いは光学フィルタ膜などが形成される。薄膜を形成する
方法としては真空蒸着法以外にも、スパッタ法やCVD
法などが知られているが、特に多層膜を形成する場合に
は、膜厚制御の容易さ、成膜速度の速さ、装置構成の簡
素さなどの点で真空蒸着法が優れており、広く用いられ
ている。
【0003】図5は真空蒸着法を行うための従来の真空
蒸着装置の一例を示す断面側面図である。この真空蒸着
装置102は、図5に示すように、真空チェンバ10
4、蒸発手段106、基板ホルダ108、モータ128
などにより構成されている。真空チェンバ104の底部
近傍の側壁には排気口114が形成されており、真空チ
ェンバ104の内部は、この排気口114を通じて不図
示の真空ポンプにより排気が行われることで必要な真空
状態が確保される。真空チェンバ104の底面の略中央
には蒸発手段106が配設されている。蒸発手段106
は、ルツボ116、そのシャッタ118、電子銃120
などを含んで構成されている。ルツボ116には、蒸発
源である蒸着材料が充填され、シャッタ118はその上
部に近接して配置されている。
蒸着装置の一例を示す断面側面図である。この真空蒸着
装置102は、図5に示すように、真空チェンバ10
4、蒸発手段106、基板ホルダ108、モータ128
などにより構成されている。真空チェンバ104の底部
近傍の側壁には排気口114が形成されており、真空チ
ェンバ104の内部は、この排気口114を通じて不図
示の真空ポンプにより排気が行われることで必要な真空
状態が確保される。真空チェンバ104の底面の略中央
には蒸発手段106が配設されている。蒸発手段106
は、ルツボ116、そのシャッタ118、電子銃120
などを含んで構成されている。ルツボ116には、蒸発
源である蒸着材料が充填され、シャッタ118はその上
部に近接して配置されている。
【0004】シャッタ118はルツボ116の上部を被
う大きさを有し、回転柱119により回転可能に支持さ
れている。そして、回転柱119が不図示のモータによ
り回転駆動されることでシャッタ118の回転位置が変
化し、シャッタ118の開閉が行われる。すなわち、シ
ャッタ118を開放状態とするときは、シャッタ118
の位置はルツボ116の上部から外れた位置とされ、シ
ャッタ118を閉鎖状態とするときは、シャッタ118
の位置がルツボ116の上部の位置(図5の位置)とさ
れる。ルツボ116の側部には電子銃120が配設され
ており、この電子銃120から放出された電子が点線a
により示すようにルツボ116内の蒸着材料に入射する
ことで蒸着材料が蒸発する。
う大きさを有し、回転柱119により回転可能に支持さ
れている。そして、回転柱119が不図示のモータによ
り回転駆動されることでシャッタ118の回転位置が変
化し、シャッタ118の開閉が行われる。すなわち、シ
ャッタ118を開放状態とするときは、シャッタ118
の位置はルツボ116の上部から外れた位置とされ、シ
ャッタ118を閉鎖状態とするときは、シャッタ118
の位置がルツボ116の上部の位置(図5の位置)とさ
れる。ルツボ116の側部には電子銃120が配設され
ており、この電子銃120から放出された電子が点線a
により示すようにルツボ116内の蒸着材料に入射する
ことで蒸着材料が蒸発する。
【0005】基板ホルダ108は円盤状に形成され、多
数の開口124が形成されている。基板ホルダ108の
上面中央には回転軸126が略鉛直に固着され、基体ホ
ルダ108はこの回転軸126により支持されて、真空
チェンバ104内の上部に、下面を蒸発手段106に向
けて配置されている。回転軸126は、真空チェンバ1
04の天井部に形成した穴105に挿通して回転可能に
支持され、その上端は真空チェンバ104の上部に配設
されたモータ128の出力軸に連結されている。なお、
回転軸126と上記穴105との間にはOリング127
が介在されて気密性が確保されている。
数の開口124が形成されている。基板ホルダ108の
上面中央には回転軸126が略鉛直に固着され、基体ホ
ルダ108はこの回転軸126により支持されて、真空
チェンバ104内の上部に、下面を蒸発手段106に向
けて配置されている。回転軸126は、真空チェンバ1
04の天井部に形成した穴105に挿通して回転可能に
支持され、その上端は真空チェンバ104の上部に配設
されたモータ128の出力軸に連結されている。なお、
回転軸126と上記穴105との間にはOリング127
が介在されて気密性が確保されている。
【0006】このように構成された真空蒸着装置102
で、例えば光学部品を成すガラス基板などの基体の表面
に薄膜を形成する場合には、蒸着対象の基体154を、
下面を開口124を通じて下方に露出させた状態で、そ
れぞれ開口124内に係止させて配置し、そして、モー
タ128に給電して基板ホルダ108を回転させる。次
に、不図示のモータに給電してシャッタ118を一定の
角度だけ回転させ開放状態に設定する。その結果、ルツ
ボ116内の蒸着材料の蒸気はルツボ116から放出さ
れ、真空チェンバ104内を上昇して、基板ホルダ10
8により支持された基体154の表面に、開口124を
通じて付着し、薄膜を形成する。
で、例えば光学部品を成すガラス基板などの基体の表面
に薄膜を形成する場合には、蒸着対象の基体154を、
下面を開口124を通じて下方に露出させた状態で、そ
れぞれ開口124内に係止させて配置し、そして、モー
タ128に給電して基板ホルダ108を回転させる。次
に、不図示のモータに給電してシャッタ118を一定の
角度だけ回転させ開放状態に設定する。その結果、ルツ
ボ116内の蒸着材料の蒸気はルツボ116から放出さ
れ、真空チェンバ104内を上昇して、基板ホルダ10
8により支持された基体154の表面に、開口124を
通じて付着し、薄膜を形成する。
【0007】蒸着材料の蒸気は真空チェンバ104内に
おいて必ずしも均一な密度で分布しないが、基体ホルダ
108を回転させるため、どの基体154にも概ね均一
な厚さの薄膜が形成される。ただし、蒸発手段106が
真空チェンバ104内のほぼ中央に配置されているた
め、基体ホルダ108の周辺部では蒸気密度が低くな
り、基板ホルダ108の中央部に配置された基体154
と周辺部に配置された基体154とでは形成される薄膜
の厚さが異なる場合がある。そのため、基体ホルダ10
8の下方に、基体ホルダ108の半径方向で幅の異なる
膜厚補正板が配置され、膜厚の均一化が図られることも
多い。
おいて必ずしも均一な密度で分布しないが、基体ホルダ
108を回転させるため、どの基体154にも概ね均一
な厚さの薄膜が形成される。ただし、蒸発手段106が
真空チェンバ104内のほぼ中央に配置されているた
め、基体ホルダ108の周辺部では蒸気密度が低くな
り、基板ホルダ108の中央部に配置された基体154
と周辺部に配置された基体154とでは形成される薄膜
の厚さが異なる場合がある。そのため、基体ホルダ10
8の下方に、基体ホルダ108の半径方向で幅の異なる
膜厚補正板が配置され、膜厚の均一化が図られることも
多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
真空蒸着装置102では、基体154の蒸着面が平面
か、あるいは平面に近い場合には、蒸発手段106から
の蒸気は各基体154の蒸着面に対してほぼ垂直に入射
するので、基体154上の場所によらずほぼ均一な膜厚
で薄膜が形成される。しかし、蒸着対象の基体154が
例えば凸レンズであり、図5に示したようにその蒸着面
が球面状となっている場合には、基体154の中央部で
は蒸気はほぼ垂直に入射するが、周辺部では表面に対し
て斜めに入射する。そのため、周辺部に形成される薄膜
は膜厚が薄くなり、基体154の表面に均一な厚さで薄
膜を形成することは困難である。
真空蒸着装置102では、基体154の蒸着面が平面
か、あるいは平面に近い場合には、蒸発手段106から
の蒸気は各基体154の蒸着面に対してほぼ垂直に入射
するので、基体154上の場所によらずほぼ均一な膜厚
で薄膜が形成される。しかし、蒸着対象の基体154が
例えば凸レンズであり、図5に示したようにその蒸着面
が球面状となっている場合には、基体154の中央部で
は蒸気はほぼ垂直に入射するが、周辺部では表面に対し
て斜めに入射する。そのため、周辺部に形成される薄膜
は膜厚が薄くなり、基体154の表面に均一な厚さで薄
膜を形成することは困難である。
【0009】すなわち、従来の真空蒸着装置では、蒸着
面が球面状の蒸着基体に対しては均一な膜厚で薄膜を形
成することができず、必要な光学特性を備えた光学部品
を作製することは困難であった。本発明の目的は、この
ような問題を解決して、蒸着面が球面状の蒸着基体に対
しても蒸着面上の場所によらず均一な膜厚で薄膜を形成
することが可能な真空蒸着装置を提供することにある。
面が球面状の蒸着基体に対しては均一な膜厚で薄膜を形
成することができず、必要な光学特性を備えた光学部品
を作製することは困難であった。本発明の目的は、この
ような問題を解決して、蒸着面が球面状の蒸着基体に対
しても蒸着面上の場所によらず均一な膜厚で薄膜を形成
することが可能な真空蒸着装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、複数の基体を真空チェンバ内に支持し、前記
基体の下方に配設した蒸発源から蒸着材料を蒸発させて
前記基体の表面に付着させることにより前記基体の表面
に薄膜を形成する真空蒸着装置において、略鉛直な第1
の仮想軸線を中心に回転可能な状態で前記真空チェンバ
内に支持された第1の基体ホルダと、前記第1の仮想軸
線に対し傾斜して延在する第2の仮想軸線を中心に回転
可能な状態で前記第1の基体ホルダに支持された第2の
基体ホルダと、前記基体の前記蒸着面を前記第2の仮想
軸線の延在方向とほぼ同方向に向けた状態で前記基体を
支持する、前記第2の基体ホルダに設けられた基体支持
部と、前記第1の基体ホルダを回転駆動する第1の駆動
手段と、前記第2の基体ホルダを回転駆動する第2の駆
動手段とを備えたことを特徴とする。
するため、複数の基体を真空チェンバ内に支持し、前記
基体の下方に配設した蒸発源から蒸着材料を蒸発させて
前記基体の表面に付着させることにより前記基体の表面
に薄膜を形成する真空蒸着装置において、略鉛直な第1
の仮想軸線を中心に回転可能な状態で前記真空チェンバ
内に支持された第1の基体ホルダと、前記第1の仮想軸
線に対し傾斜して延在する第2の仮想軸線を中心に回転
可能な状態で前記第1の基体ホルダに支持された第2の
基体ホルダと、前記基体の前記蒸着面を前記第2の仮想
軸線の延在方向とほぼ同方向に向けた状態で前記基体を
支持する、前記第2の基体ホルダに設けられた基体支持
部と、前記第1の基体ホルダを回転駆動する第1の駆動
手段と、前記第2の基体ホルダを回転駆動する第2の駆
動手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】また、本発明は、前記蒸発源が、真空チェ
ンバの底部で前記第1の仮想軸線から側方に偏位した箇
所に配置されていることを特徴とする。また、本発明
は、前記真空チェンバが前記第1の仮想軸線を中心とす
る円柱状を呈し、前記蒸発源は真空チェンバの底部の外
周寄り箇所に配置されていることを特徴とする。また、
本発明は、前記第2の仮想軸線が、前記第1の仮想軸線
に対して20度ないし60度の角度を成して傾斜して延
在することを特徴とする。
ンバの底部で前記第1の仮想軸線から側方に偏位した箇
所に配置されていることを特徴とする。また、本発明
は、前記真空チェンバが前記第1の仮想軸線を中心とす
る円柱状を呈し、前記蒸発源は真空チェンバの底部の外
周寄り箇所に配置されていることを特徴とする。また、
本発明は、前記第2の仮想軸線が、前記第1の仮想軸線
に対して20度ないし60度の角度を成して傾斜して延
在することを特徴とする。
【0012】また、本発明は、前記第2の仮想軸線が、
前記第1の仮想軸線に対して40度ないし55度の角度
を成して傾斜していることを特徴とする。また、本発明
は、前記第1の基体ホルダに複数の第2の基体ホルダが
支持されていることを特徴とする。また、本発明は、前
記第1の基体ホルダが第1の仮想軸線を中心とし上方に
凸で下部が開放された中空の円錐状に形成され、複数の
円形の第1の開口がこの第1の基体ホルダの周方向に間
隔をおいて複数形成され、前記第2の基体ホルダは前記
第2の開口に回転可能に嵌合支持される平面視円形の回
転板により構成され、前記第2の仮想軸線は第1の開口
の中心を通ることを特徴とする。
前記第1の仮想軸線に対して40度ないし55度の角度
を成して傾斜していることを特徴とする。また、本発明
は、前記第1の基体ホルダに複数の第2の基体ホルダが
支持されていることを特徴とする。また、本発明は、前
記第1の基体ホルダが第1の仮想軸線を中心とし上方に
凸で下部が開放された中空の円錐状に形成され、複数の
円形の第1の開口がこの第1の基体ホルダの周方向に間
隔をおいて複数形成され、前記第2の基体ホルダは前記
第2の開口に回転可能に嵌合支持される平面視円形の回
転板により構成され、前記第2の仮想軸線は第1の開口
の中心を通ることを特徴とする。
【0013】また、本発明は、前記第2の基体ホルダの
外周には歯部が形成され、第2の駆動手段は、前記第1
の仮想軸線にほぼ中心を一致させて前記真空チャンバ内
に固定され、前記第1の基体ホルダの上部において前記
第2の基体ホルダの歯部に歯合するピニオンを含むこと
を特徴とする。また、本発明は、前記第2の基体ホルダ
には、該第2の基体ホルダの周方向に間隔をおいて複数
の第2の開口が形成され、前記基体支持部はこれらの第
2の開口を含んで構成され、前記基体は各第2の開口
に、下面を下方に露出させて配設されていることを特徴
とする。また、本発明は、前記第1の駆動手段が、第1
の基体ホルダの上端から前記ピニオンの内側を通って第
1の仮想軸線上を上方に延在する回転軸と、真空チェン
バ外に配設され前記回転軸を回転させるモータとを含ん
で構成されていることを特徴とする。また、本発明は、
前記薄膜が形成される基体の表面は球面状であることを
特徴とする。
外周には歯部が形成され、第2の駆動手段は、前記第1
の仮想軸線にほぼ中心を一致させて前記真空チャンバ内
に固定され、前記第1の基体ホルダの上部において前記
第2の基体ホルダの歯部に歯合するピニオンを含むこと
を特徴とする。また、本発明は、前記第2の基体ホルダ
には、該第2の基体ホルダの周方向に間隔をおいて複数
の第2の開口が形成され、前記基体支持部はこれらの第
2の開口を含んで構成され、前記基体は各第2の開口
に、下面を下方に露出させて配設されていることを特徴
とする。また、本発明は、前記第1の駆動手段が、第1
の基体ホルダの上端から前記ピニオンの内側を通って第
1の仮想軸線上を上方に延在する回転軸と、真空チェン
バ外に配設され前記回転軸を回転させるモータとを含ん
で構成されていることを特徴とする。また、本発明は、
前記薄膜が形成される基体の表面は球面状であることを
特徴とする。
【0014】本発明の真空蒸着装置では、各基体は、第
2の基体ホルダにより支持されて、それぞれの蒸着面が
第2の仮想軸線の延在方向に向いて傾斜した状態とな
り、そして、第1の基体ホルダと共に全体が回転するだ
けでなく、第2の基体ホルダと共に第2の仮想軸線の回
りを回転する。したがって、蒸発源からの蒸着材料の蒸
気は、基体の蒸着面が球面状であっても、各基体の中央
部に対して角度を変化させつつ斜めから入射し、一方、
基体の周辺部に対しても角度を変化させつつ斜めから入
射する。そのため、本発明では、基体の蒸着面に、場所
によらず均一な厚さで薄膜を形成することができる。そ
の結果、表面全体で必要な光学特性を備えた凸レンズな
どの光学部品を作製することが可能となる。また、本発
明では、蒸発源が、第1の仮想軸線から側方に偏位した
箇所に配置されるので、蒸着材料の蒸気が基体に対して
より斜めから入射することになり、均一な厚さの薄膜を
形成する上でより一層有利となる。
2の基体ホルダにより支持されて、それぞれの蒸着面が
第2の仮想軸線の延在方向に向いて傾斜した状態とな
り、そして、第1の基体ホルダと共に全体が回転するだ
けでなく、第2の基体ホルダと共に第2の仮想軸線の回
りを回転する。したがって、蒸発源からの蒸着材料の蒸
気は、基体の蒸着面が球面状であっても、各基体の中央
部に対して角度を変化させつつ斜めから入射し、一方、
基体の周辺部に対しても角度を変化させつつ斜めから入
射する。そのため、本発明では、基体の蒸着面に、場所
によらず均一な厚さで薄膜を形成することができる。そ
の結果、表面全体で必要な光学特性を備えた凸レンズな
どの光学部品を作製することが可能となる。また、本発
明では、蒸発源が、第1の仮想軸線から側方に偏位した
箇所に配置されるので、蒸着材料の蒸気が基体に対して
より斜めから入射することになり、均一な厚さの薄膜を
形成する上でより一層有利となる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
図面を参照して説明する。図1は本発明による真空蒸着
装置の一例を示す断面側面図、図2は図1のF−F’線
断面図である。図中、図5に示した真空蒸着装置と同一
の要素には同一の符号が付されており、それらに関する
詳しい説明はここでは省略する。本実施例の真空蒸着装
置2は、第1の基体ホルダ4、第1の基体ホルダ4に支
持された第2の基体ホルダ6、第1および第2の基体ホ
ルダ4,6をそれぞれ駆動する第1および第2の駆動手
段8,10などを含んで構成されている。第1の基体ホ
ルダ4は上方に凸で下部が開放された中空の円錐状に形
成され、円錐の中心を回転軸126の中心に一致させて
配置され、円錐の頂部に相当する箇所が略鉛直の回転軸
126の下端部に固着されている。この第1の基体ホル
ダ4には、平面視円形の4つの開口12(特許請求の範
囲の第1の開口に相当)が第1の基体ホルダ4の中心の
回りに等間隔に形成されている。各開口12の下面側の
縁には、第1の基体ホルダ4の下面側の箇所において、
中心方向に迫り出した段部14(図1)が形成され、段
部14の上面が第2の基体ホルダ6の下面に当接するこ
とで開口12に嵌合した第2の基体ホルダ6が支持され
る。開口12の直径は、平面視円形の第2の基体ホルダ
6がこの開口12に嵌合し、がたつきがなく、かつ円滑
に回転できる大きさとなっている。
図面を参照して説明する。図1は本発明による真空蒸着
装置の一例を示す断面側面図、図2は図1のF−F’線
断面図である。図中、図5に示した真空蒸着装置と同一
の要素には同一の符号が付されており、それらに関する
詳しい説明はここでは省略する。本実施例の真空蒸着装
置2は、第1の基体ホルダ4、第1の基体ホルダ4に支
持された第2の基体ホルダ6、第1および第2の基体ホ
ルダ4,6をそれぞれ駆動する第1および第2の駆動手
段8,10などを含んで構成されている。第1の基体ホ
ルダ4は上方に凸で下部が開放された中空の円錐状に形
成され、円錐の中心を回転軸126の中心に一致させて
配置され、円錐の頂部に相当する箇所が略鉛直の回転軸
126の下端部に固着されている。この第1の基体ホル
ダ4には、平面視円形の4つの開口12(特許請求の範
囲の第1の開口に相当)が第1の基体ホルダ4の中心の
回りに等間隔に形成されている。各開口12の下面側の
縁には、第1の基体ホルダ4の下面側の箇所において、
中心方向に迫り出した段部14(図1)が形成され、段
部14の上面が第2の基体ホルダ6の下面に当接するこ
とで開口12に嵌合した第2の基体ホルダ6が支持され
る。開口12の直径は、平面視円形の第2の基体ホルダ
6がこの開口12に嵌合し、がたつきがなく、かつ円滑
に回転できる大きさとなっている。
【0016】第2の基体ホルダ6は具体的には回転板1
6により構成され、回転板16には、その中心の回りに
等間隔に4つの開口18(特許請求の範囲の第2の開口
に相当)が形成されている。各開口18は基体支持部を
成し、各基体20は開口18を通じて下面を下方に露出
させた状態で開口18の箇所に配置される。各開口18
の縁には、回転板16の下面側の箇所において、中心方
向に迫り出した段部22が形成されており、この段部2
2の箇所における内径は基体20の直径より小さくなっ
ている。したがって、この開口18の箇所に配置された
基体20は、落下することなく各開口18の箇所に支持
される。回転板16の外周には歯部21が全周に形成さ
れている。
6により構成され、回転板16には、その中心の回りに
等間隔に4つの開口18(特許請求の範囲の第2の開口
に相当)が形成されている。各開口18は基体支持部を
成し、各基体20は開口18を通じて下面を下方に露出
させた状態で開口18の箇所に配置される。各開口18
の縁には、回転板16の下面側の箇所において、中心方
向に迫り出した段部22が形成されており、この段部2
2の箇所における内径は基体20の直径より小さくなっ
ている。したがって、この開口18の箇所に配置された
基体20は、落下することなく各開口18の箇所に支持
される。回転板16の外周には歯部21が全周に形成さ
れている。
【0017】第1の基体ホルダ4が上述のように円錐状
に形成され、第2の基体ホルダ6を成す回転板16は第
1の基体ホルダ4に形成された開口12に嵌合している
ので、回転板16の回転の中心となる第2の仮想軸線2
4は、第1の基体ホルダ4の回転の中心となる第1の仮
想軸線26(回転軸126の中心線)に対して傾斜して
延在している。そして、本実施の形態では、回転板1
6、すなわち第1の基体ホルダ4が水平に対してなす角
度θを20度ないし60度、望ましくは40度ないし5
5度傾斜させることで、第1および第2の仮想軸線2
6,24が成す角度θを20度ないし60度、望ましく
は40度ないし55度に設定している。
に形成され、第2の基体ホルダ6を成す回転板16は第
1の基体ホルダ4に形成された開口12に嵌合している
ので、回転板16の回転の中心となる第2の仮想軸線2
4は、第1の基体ホルダ4の回転の中心となる第1の仮
想軸線26(回転軸126の中心線)に対して傾斜して
延在している。そして、本実施の形態では、回転板1
6、すなわち第1の基体ホルダ4が水平に対してなす角
度θを20度ないし60度、望ましくは40度ないし5
5度傾斜させることで、第1および第2の仮想軸線2
6,24が成す角度θを20度ないし60度、望ましく
は40度ないし55度に設定している。
【0018】また、第1の基体ホルダ4の頂部の箇所に
は、回転軸126を内側にし、中心を回転軸126の中
心に一致させてピニオン28が配設され、真空チャンバ
の天井部に固定されている。ピニオン28は一種の傘形
歯車であり、その歯部は、第1の基体ホルダ4の上面か
ら突出する回転板16の歯部21に歯合している。この
ピニオン28および回転板16に形成された歯部21、
さらに第1の基体ホルダ4および第1の駆動手段8であ
るモータ128により本発明に係わる第2の駆動手段1
0が構成されている。
は、回転軸126を内側にし、中心を回転軸126の中
心に一致させてピニオン28が配設され、真空チャンバ
の天井部に固定されている。ピニオン28は一種の傘形
歯車であり、その歯部は、第1の基体ホルダ4の上面か
ら突出する回転板16の歯部21に歯合している。この
ピニオン28および回転板16に形成された歯部21、
さらに第1の基体ホルダ4および第1の駆動手段8であ
るモータ128により本発明に係わる第2の駆動手段1
0が構成されている。
【0019】真空チェンバ104の床部に配設する蒸発
手段106は、真空チェンバ104の中心部ではなく、
第1の仮想軸線26から側方に偏位した箇所、本実施の
形態では真空チェンバ104の外周寄り箇所に配置され
ている。
手段106は、真空チェンバ104の中心部ではなく、
第1の仮想軸線26から側方に偏位した箇所、本実施の
形態では真空チェンバ104の外周寄り箇所に配置され
ている。
【0020】次に、このように構成された真空蒸着装置
2の動作について説明する。まず、表面に薄膜を形成す
べき16個の基体20を、4つの回転板16の各開口1
8の箇所にそれぞれ配置する。各基体20は、図1に示
したように、一方の面が球面状に形成されており、球面
側が開口18を通じて下方に露出するように、球面側を
下にして配置する。
2の動作について説明する。まず、表面に薄膜を形成す
べき16個の基体20を、4つの回転板16の各開口1
8の箇所にそれぞれ配置する。各基体20は、図1に示
したように、一方の面が球面状に形成されており、球面
側が開口18を通じて下方に露出するように、球面側を
下にして配置する。
【0021】そして、この状態でモータ128に給電し
て第1の基体ホルダ4を駆動し、矢印G(図1)で示し
たように回転させる。第1の基体ホルダ4が回転するこ
とにより、第1の基体ホルダ4に支持された回転板16
も第1の基体ホルダ4と共に回転するが、その際、回転
板16の歯部21がピニオン28の歯部に歯合している
結果、回転板16も駆動されて第2の仮想軸線24の回
りに矢印Hで示したように回転する。一方、不図示のモ
ータに給電してシャッタ118を一定の角度だけ回転さ
せ開放状態に設定する。その結果、ルツボ116内の蒸
着材料の蒸気はルツボ116から放出され、真空チェン
バ104内を上昇して、回転板16により支持された各
基体20の表面に付着し、薄膜を形成する。
て第1の基体ホルダ4を駆動し、矢印G(図1)で示し
たように回転させる。第1の基体ホルダ4が回転するこ
とにより、第1の基体ホルダ4に支持された回転板16
も第1の基体ホルダ4と共に回転するが、その際、回転
板16の歯部21がピニオン28の歯部に歯合している
結果、回転板16も駆動されて第2の仮想軸線24の回
りに矢印Hで示したように回転する。一方、不図示のモ
ータに給電してシャッタ118を一定の角度だけ回転さ
せ開放状態に設定する。その結果、ルツボ116内の蒸
着材料の蒸気はルツボ116から放出され、真空チェン
バ104内を上昇して、回転板16により支持された各
基体20の表面に付着し、薄膜を形成する。
【0022】そして、本実施の形態の真空蒸着装置2で
は、各基体20は、上述のように傾斜した回転板16に
より支持されて、それぞれの蒸着面が第2の仮想軸線2
4の延在方向に向いており、かつ回転板16と共に第2
の仮想軸線24の回りに回転している。したがって、蒸
発手段が仮に真空チェンバ104内のほぼ中央に配置さ
れていたとしても、蒸発手段106から上昇してきた蒸
着源の蒸気は、蒸着面が球面状の各基体20の中央部に
対して入射角度を変化させつつ斜めから入射し、一方、
基体20の周辺部に対しても入射角度を変化させつつ斜
めから入射する。そのため、本実施の形態では、基体2
0に対する蒸気の入射角の差異に起因し薄膜の厚さのば
らつきが少なくなり、基体20の蒸着面には場所によら
ず均一な厚さで薄膜が形成される。しかも、本実施の形
態では、蒸発手段106が第1の仮想軸線26から偏位
した真空チェンバ104内の外周寄りに配置されている
ので、蒸発手段106からの蒸気は、各基体20に対し
ては一層傾斜した状態で入射する。したがって、基体2
0に対する蒸着源の蒸気の入射角の差異に起因した薄膜
の厚さのばらつきがより少なくなり、基体20の球面状
の蒸着面に薄膜を均一な厚さで形成する上でより一層有
利となる。蒸発手段106は、仮想軸線26からもっと
も遠ざかった位置に置くのがよい。これにより、基体2
0と蒸発手段106との距離において、最近距離と最遠
距離との差を大きくとることができ、第1および第2の
基体ホルダ4、6の相互回転により、基体20と蒸発手
段106との距離は最近距離と最遠距離との間で連続的
に変化した状態で蒸着がなされるので、蒸発手段106
との距離の不均一による膜厚のむらが抑えられて、一層
有利である。
は、各基体20は、上述のように傾斜した回転板16に
より支持されて、それぞれの蒸着面が第2の仮想軸線2
4の延在方向に向いており、かつ回転板16と共に第2
の仮想軸線24の回りに回転している。したがって、蒸
発手段が仮に真空チェンバ104内のほぼ中央に配置さ
れていたとしても、蒸発手段106から上昇してきた蒸
着源の蒸気は、蒸着面が球面状の各基体20の中央部に
対して入射角度を変化させつつ斜めから入射し、一方、
基体20の周辺部に対しても入射角度を変化させつつ斜
めから入射する。そのため、本実施の形態では、基体2
0に対する蒸気の入射角の差異に起因し薄膜の厚さのば
らつきが少なくなり、基体20の蒸着面には場所によら
ず均一な厚さで薄膜が形成される。しかも、本実施の形
態では、蒸発手段106が第1の仮想軸線26から偏位
した真空チェンバ104内の外周寄りに配置されている
ので、蒸発手段106からの蒸気は、各基体20に対し
ては一層傾斜した状態で入射する。したがって、基体2
0に対する蒸着源の蒸気の入射角の差異に起因した薄膜
の厚さのばらつきがより少なくなり、基体20の球面状
の蒸着面に薄膜を均一な厚さで形成する上でより一層有
利となる。蒸発手段106は、仮想軸線26からもっと
も遠ざかった位置に置くのがよい。これにより、基体2
0と蒸発手段106との距離において、最近距離と最遠
距離との差を大きくとることができ、第1および第2の
基体ホルダ4、6の相互回転により、基体20と蒸発手
段106との距離は最近距離と最遠距離との間で連続的
に変化した状態で蒸着がなされるので、蒸発手段106
との距離の不均一による膜厚のむらが抑えられて、一層
有利である。
【0023】以上、本発明について実施の形態をもとに
説明したが、これはあくまでも一例であり、本発明はこ
の例に限定されることなく種々の形態で実施することが
できる。例えば、第1の基体ホルダ4に取り付ける第2
の基体ホルダ6の数や、第2の基体ホルダ6に装着する
基体20の数などは、要求される装置仕様に応じて種々
に変更可能である。また、第1の基体ホルダ4の形は必
ずしも円錐状である必要はなく、第2の基体ホルダ6を
回転可能な状態で支持でき、そして、各基体20を傾斜
させて支持できる限りどのような形状であってもかまわ
ない。そして、本発明は基体表面に単層膜を形成する場
合だけでなく多層膜を形成する場合にも無論有効であ
る。
説明したが、これはあくまでも一例であり、本発明はこ
の例に限定されることなく種々の形態で実施することが
できる。例えば、第1の基体ホルダ4に取り付ける第2
の基体ホルダ6の数や、第2の基体ホルダ6に装着する
基体20の数などは、要求される装置仕様に応じて種々
に変更可能である。また、第1の基体ホルダ4の形は必
ずしも円錐状である必要はなく、第2の基体ホルダ6を
回転可能な状態で支持でき、そして、各基体20を傾斜
させて支持できる限りどのような形状であってもかまわ
ない。そして、本発明は基体表面に単層膜を形成する場
合だけでなく多層膜を形成する場合にも無論有効であ
る。
【0024】
【実施例】次に本発明による真空蒸着装置の実施例につ
いて説明する。この実施例では、上述した真空蒸着装置
2において、第1の仮想軸線26からルツボ116の中
心までの距離Aを350mm、真空チェンバ104の底
部を基準にした第1の基体ホルダ4の頂部の高さBを8
00mm、第1の基体ホルダ4の頂部から第2の基体ホ
ルダ6(回転板16)の中心までの距離Cを260m
m、回転板16の中心を挟んだ2つの開口18の中心間
の距離Dを100mm、第1および第2の仮想軸線2
6,24が成す角度θを40度とした。また、基体20
としては、図3の側面図に示したように、直径が30m
m、蒸着面の曲率半径が15mmであり、非蒸着面は平
面で、肉厚は15mmのものを用いた。
いて説明する。この実施例では、上述した真空蒸着装置
2において、第1の仮想軸線26からルツボ116の中
心までの距離Aを350mm、真空チェンバ104の底
部を基準にした第1の基体ホルダ4の頂部の高さBを8
00mm、第1の基体ホルダ4の頂部から第2の基体ホ
ルダ6(回転板16)の中心までの距離Cを260m
m、回転板16の中心を挟んだ2つの開口18の中心間
の距離Dを100mm、第1および第2の仮想軸線2
6,24が成す角度θを40度とした。また、基体20
としては、図3の側面図に示したように、直径が30m
m、蒸着面の曲率半径が15mmであり、非蒸着面は平
面で、肉厚は15mmのものを用いた。
【0025】このような条件で実際に基体20に対して
蒸着を行い、表面に形成された薄膜の厚さを測定した。
図4の(A)は薄膜厚の測定位置を示す平面図、(B)
は同側面図である。測定結果を[表1]に示す。また、
比較のため、図5に示した真空蒸着装置102によって
も同じ形状寸法の基体20に対して蒸着を行い、形成さ
れた薄膜の厚さを同じ測定位置で測定した。測定結果は
同じく[表1]に示す(比較例)。なお、真空蒸着装置
102では、真空チェンバ104の底部を基準にした基
体ホルダの下面の高さB’を800mm、基体ホルダ1
08の中心から外側の基体154の中心までの距離C’
を200mmとした(図5)。
蒸着を行い、表面に形成された薄膜の厚さを測定した。
図4の(A)は薄膜厚の測定位置を示す平面図、(B)
は同側面図である。測定結果を[表1]に示す。また、
比較のため、図5に示した真空蒸着装置102によって
も同じ形状寸法の基体20に対して蒸着を行い、形成さ
れた薄膜の厚さを同じ測定位置で測定した。測定結果は
同じく[表1]に示す(比較例)。なお、真空蒸着装置
102では、真空チェンバ104の底部を基準にした基
体ホルダの下面の高さB’を800mm、基体ホルダ1
08の中心から外側の基体154の中心までの距離C’
を200mmとした(図5)。
【0026】
【表1】
【0027】この表から分るように、真空蒸着装置2で
は、測定位置P1〜P5において膜厚は391nm〜5
00nmであり、変化幅は109nmとなっている。こ
れに対して、従来の真空蒸着装置102では、測定位置
P1〜P5において膜厚は240nm〜500nmであ
り、変化幅は260nmとなっている。すなわち、本実
施例の真空蒸着装置2では膜厚の変化は大幅に縮小され
ている。
は、測定位置P1〜P5において膜厚は391nm〜5
00nmであり、変化幅は109nmとなっている。こ
れに対して、従来の真空蒸着装置102では、測定位置
P1〜P5において膜厚は240nm〜500nmであ
り、変化幅は260nmとなっている。すなわち、本実
施例の真空蒸着装置2では膜厚の変化は大幅に縮小され
ている。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明の真空蒸着装
置では、各基体は、第2の基体ホルダにより支持され
て、それぞれの蒸着面が第2の仮想軸線の延在方向に向
いて傾斜した状態となり、そして、第1の基体ホルダと
共に全体が回転するだけでなく、第2の基体ホルダと共
に第2の仮想軸線の回りを回転する。したがって、蒸発
源からの蒸着材料の蒸気は、蒸着面が球面状であって
も、基体の中央部と基体の周辺部に対して、入射角度を
変えつつ斜めに入射する。そのため、本発明では、入射
角度に起因した薄膜の厚さのばらつきが減少し、基体の
蒸着面に場所によらず均一な厚さで薄膜を形成すること
ができる。その結果、表面全体で必要な光学特性を備え
た凸レンズなどの光学部品を作製することが可能とな
る。さらに、本発明では、蒸発源が、第1の仮想軸線か
ら側方に離れた箇所に配置されているので、基体に対す
る蒸気の入射角がより斜めとなり、均一な厚さで薄膜を
形成する上でより有利となる。
置では、各基体は、第2の基体ホルダにより支持され
て、それぞれの蒸着面が第2の仮想軸線の延在方向に向
いて傾斜した状態となり、そして、第1の基体ホルダと
共に全体が回転するだけでなく、第2の基体ホルダと共
に第2の仮想軸線の回りを回転する。したがって、蒸発
源からの蒸着材料の蒸気は、蒸着面が球面状であって
も、基体の中央部と基体の周辺部に対して、入射角度を
変えつつ斜めに入射する。そのため、本発明では、入射
角度に起因した薄膜の厚さのばらつきが減少し、基体の
蒸着面に場所によらず均一な厚さで薄膜を形成すること
ができる。その結果、表面全体で必要な光学特性を備え
た凸レンズなどの光学部品を作製することが可能とな
る。さらに、本発明では、蒸発源が、第1の仮想軸線か
ら側方に離れた箇所に配置されているので、基体に対す
る蒸気の入射角がより斜めとなり、均一な厚さで薄膜を
形成する上でより有利となる。
【図1】本発明による真空蒸着装置の一例を示す断面側
面図である。
面図である。
【図2】図1のF−F’線断面図である。
【図3】基体の側面図である。
【図4】(A)は薄膜厚の測定位置を示す平面図、
(B)は同側面図である。
(B)は同側面図である。
【図5】真空蒸着法を行うための従来の真空蒸着装置の
一例を示す断面側面図である。
一例を示す断面側面図である。
2 真空蒸着装置 4 第1の基体ホルダ 6 第2の基体ホルダ 8 第1の駆動手段 10 第2の駆動手段 12 開口(第1の開口) 18 開口(第2の開口) 16 回転板 20 基体 28 ピニオン 104 真空チェンバ 106 蒸発手段 126 回転軸
Claims (11)
- 【請求項1】 複数の基体を真空チェンバ内に支持し、
前記基体の下方に配設した蒸発源から蒸着材料を蒸発さ
せて前記基体の表面に付着させることにより前記基体の
表面に薄膜を形成する真空蒸着装置において、 略鉛直な第1の仮想軸線を中心に回転可能な状態で前記
真空チェンバ内に支持された第1の基体ホルダと、 前記第1の仮想軸線に対し傾斜して延在する第2の仮想
軸線を中心に回転可能な状態で前記第1の基体ホルダに
支持された第2の基体ホルダと、 前記基体の前記蒸着面を前記第2の仮想軸線の延在方向
とほぼ同方向に向けた状態で前記基体を支持する、前記
第2の基体ホルダに設けられた基体支持部と、 前記第1の基体ホルダを回転駆動する第1の駆動手段
と、 前記第2の基体ホルダを回転駆動する第2の駆動手段
と、 を備えたことを特徴とする真空蒸着装置。 - 【請求項2】 前記蒸発源は、真空チェンバの底部で前
記第1の仮想軸線から側方に偏位した箇所に配置されて
いる請求項1記載の真空蒸着装置。 - 【請求項3】 前記真空チェンバは前記第1の仮想軸線
を中心とする円柱状を呈し、前記蒸発源は真空チェンバ
の底部の外周寄り箇所に配置されている請求項1記載の
真空蒸着装置。 - 【請求項4】 前記第2の仮想軸線は、前記第1の仮想
軸線に対して20度ないし60度の角度を成して傾斜し
て延在する請求項1乃至3に何れか1項記載の真空蒸着
装置。 - 【請求項5】 前記第2の仮想軸線は、前記第1の仮想
軸線に対して40度ないし55度の角度を成して傾斜し
ている請求項1乃至3に何れか1項記載の真空蒸着装
置。 - 【請求項6】 前記第1の基体ホルダに複数の第2の基
体ホルダが支持されている請求項1乃至5に何れか1項
記載の真空蒸着装置。 - 【請求項7】 前記第1の基体ホルダは第1の仮想軸線
を中心とし上方に凸で下部が開放された中空の円錐状に
形成され、複数の円形の第1の開口がこの第1の基体ホ
ルダの周方向に間隔をおいて複数形成され、前記第2の
基体ホルダは前記第2の開口に回転可能に嵌合支持され
る平面視円形の回転板により構成され、前記第2の仮想
軸線は第1の開口の中心を通る請求項1乃至6に何れか
1項記載の真空蒸着装置。 - 【請求項8】 前記第2の基体ホルダの外周には歯部が
形成され、第2の駆動手段は、前記第1の仮想軸線にほ
ぼ中心を一致させて前記真空チャンバ内に固定され、前
記第1の基体ホルダの上部において前記第2の基体ホル
ダの歯部に歯合するピニオンを含む請求項7記載の真空
蒸着装置。 - 【請求項9】 前記第2の基体ホルダには、該第2の基
体ホルダの周方向に間隔をおいて複数の第2の開口が形
成され、前記基体支持部はこれらの第2の開口を含んで
構成され、前記基体は各第2の開口に、下面を下方に露
出させて配設されている請求項7または8記載の真空蒸
着装置。 - 【請求項10】 前記第1の駆動手段は、第1の基体ホ
ルダの上端から前記ピニオンの内側を通って第1の仮想
軸線上を上方に延在する回転軸と、真空チェンバ外に配
設され前記回転軸を回転させるモータとを含んで構成さ
れている請求項8記載の真空蒸着装置。 - 【請求項11】 前記薄膜が形成される基体の表面は球
面状である請求項1乃至10に何れか1項記載の真空蒸
着装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24950997A JPH1171671A (ja) | 1997-08-28 | 1997-08-28 | 真空蒸着装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24950997A JPH1171671A (ja) | 1997-08-28 | 1997-08-28 | 真空蒸着装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1171671A true JPH1171671A (ja) | 1999-03-16 |
Family
ID=17194038
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24950997A Pending JPH1171671A (ja) | 1997-08-28 | 1997-08-28 | 真空蒸着装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1171671A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013047605A1 (ja) * | 2011-09-30 | 2013-04-04 | 株式会社シンクロン | 成膜方法及び成膜装置 |
JP5638147B2 (ja) * | 2011-09-30 | 2014-12-10 | 株式会社シンクロン | 成膜方法及び成膜装置 |
JP2015034348A (ja) * | 2011-09-30 | 2015-02-19 | 株式会社シンクロン | 成膜方法及び成膜装置 |
CN106756814A (zh) * | 2017-01-03 | 2017-05-31 | 中国科学院上海光学精密机械研究所 | 电子束蒸发倾斜沉积镀膜装置及使用方法 |
-
1997
- 1997-08-28 JP JP24950997A patent/JPH1171671A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013047605A1 (ja) * | 2011-09-30 | 2013-04-04 | 株式会社シンクロン | 成膜方法及び成膜装置 |
JP5638147B2 (ja) * | 2011-09-30 | 2014-12-10 | 株式会社シンクロン | 成膜方法及び成膜装置 |
JP2015034348A (ja) * | 2011-09-30 | 2015-02-19 | 株式会社シンクロン | 成膜方法及び成膜装置 |
CN106756814A (zh) * | 2017-01-03 | 2017-05-31 | 中国科学院上海光学精密机械研究所 | 电子束蒸发倾斜沉积镀膜装置及使用方法 |
CN106756814B (zh) * | 2017-01-03 | 2018-11-20 | 中国科学院上海光学精密机械研究所 | 电子束蒸发倾斜沉积镀膜装置及使用方法 |
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