JPH1163004A - トリポード系等速ジョイント - Google Patents
トリポード系等速ジョイントInfo
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- JPH1163004A JPH1163004A JP22521697A JP22521697A JPH1163004A JP H1163004 A JPH1163004 A JP H1163004A JP 22521697 A JP22521697 A JP 22521697A JP 22521697 A JP22521697 A JP 22521697A JP H1163004 A JPH1163004 A JP H1163004A
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- kit
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-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16D—COUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
- F16D3/00—Yielding couplings, i.e. with means permitting movement between the connected parts during the drive
- F16D3/16—Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts
- F16D3/20—Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members
- F16D3/202—Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members one coupling part having radially projecting pins, e.g. tripod joints
- F16D3/205—Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members one coupling part having radially projecting pins, e.g. tripod joints the pins extending radially outwardly from the coupling part
- F16D3/2055—Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members one coupling part having radially projecting pins, e.g. tripod joints the pins extending radially outwardly from the coupling part having three pins, i.e. true tripod joints
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- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Rolling Contact Bearings (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 トリポード系等速ジョイントの軸方向の誘起
スラストを低減させる。 【解決手段】 トリポード部材1のトラニオン軸2にニ
ードルまたはコロ3を介して回転自在にローラ4を取り
付けてなるトリポードキット6を、シャフト10に組み
付けて或いはシャフト10に組み付ける前の状態で、潤
滑油11に浸漬して少なくともニードル3の在るニード
ル部5に潤滑油11を浸透させ、しかる後、トリポード
キット6を外輪8に組み込んで外輪8内にグリース封入
を行う。これにより、誘起スラストの発生要因の1つで
あるニードル部5の潤滑性が、ニードル部5に浸透した
潤滑油11で良好に安定して、トリポード系等速ジョイ
ント特有の三次誘起スラストが確実に低減する。
スラストを低減させる。 【解決手段】 トリポード部材1のトラニオン軸2にニ
ードルまたはコロ3を介して回転自在にローラ4を取り
付けてなるトリポードキット6を、シャフト10に組み
付けて或いはシャフト10に組み付ける前の状態で、潤
滑油11に浸漬して少なくともニードル3の在るニード
ル部5に潤滑油11を浸透させ、しかる後、トリポード
キット6を外輪8に組み込んで外輪8内にグリース封入
を行う。これにより、誘起スラストの発生要因の1つで
あるニードル部5の潤滑性が、ニードル部5に浸透した
潤滑油11で良好に安定して、トリポード系等速ジョイ
ント特有の三次誘起スラストが確実に低減する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や産業機械
等に使用されるトリポード系等速ジョイントに関する。
等に使用されるトリポード系等速ジョイントに関する。
【0002】
【従来の技術】トリポード系等速ジョイントは、図3に
示すように、半径方向に突出した3本のトラニオン軸を
円周方向に等間隔に配置したトリポード部材1を備えて
いる。各トラニオン軸2にニードルまたはコロ3を介し
て回転自在にローラ4を取り付けてあり、このローラ4
を外輪8の軸方向に形成したローラ溝9に収容させてあ
る。トリポード部材1は図示するようにシャフト10と
スプライン結合している。図3のローラ4は、外周が球
面の単一ローラ形であるが、この種のローラには内ロー
ラと外ローラを組み合わせた二重ローラ形も知られてい
る。
示すように、半径方向に突出した3本のトラニオン軸を
円周方向に等間隔に配置したトリポード部材1を備えて
いる。各トラニオン軸2にニードルまたはコロ3を介し
て回転自在にローラ4を取り付けてあり、このローラ4
を外輪8の軸方向に形成したローラ溝9に収容させてあ
る。トリポード部材1は図示するようにシャフト10と
スプライン結合している。図3のローラ4は、外周が球
面の単一ローラ形であるが、この種のローラには内ロー
ラと外ローラを組み合わせた二重ローラ形も知られてい
る。
【0003】上記トリポード系等速ジョイントは、ニー
ドル3とローラ4およびワッシャをトリポード部材1の
トラニオン軸2に組み付けてなるトリポードキット6を
防錆油で防錆処理してから外輪8に組み付けた後、外輪
8内にグリース(図示せず)を封入して製造されるのが
通常である。また、図示しないが外輪8とシャフト10
の間に弾性のブーツが装着され、グリースの洩れ防止や
等速ジョイントの外部衝撃に対する保護等が図られる。
このようなトリポード系等速ジョイントは、滑り運動が
少なく、スライド抵抗が小さいことから、前輪駆動車や
4輪駆動車の駆動軸、推進軸等に適用されている。
ドル3とローラ4およびワッシャをトリポード部材1の
トラニオン軸2に組み付けてなるトリポードキット6を
防錆油で防錆処理してから外輪8に組み付けた後、外輪
8内にグリース(図示せず)を封入して製造されるのが
通常である。また、図示しないが外輪8とシャフト10
の間に弾性のブーツが装着され、グリースの洩れ防止や
等速ジョイントの外部衝撃に対する保護等が図られる。
このようなトリポード系等速ジョイントは、滑り運動が
少なく、スライド抵抗が小さいことから、前輪駆動車や
4輪駆動車の駆動軸、推進軸等に適用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図3のよう
な摺動(プランジング)式のトリポード系等速ジョイン
トにおいては、外輪8に対してトリポード部材1(シャ
フト10)が作動角θをとった状態で相互に回転トルク
伝達を行う場合、ローラ4とローラ溝9が斜交状態にあ
って、ローラ4がローラ溝9内を外輪8の軸方向に移動
するときに軸方向のスラスト力を誘起する。このトリポ
ード系等速ジョイント特有の誘起スラストは、機械振動
発生の要因となり、特に自動車の場合はNVH特性を低
下させることがある。自動車のNVH特性の場合は、3
本のローラ溝9とローラ4の相互間で発生する三次誘起
スラストに影響を受け易く、この三次誘起スラストの低
減のための様々な技術開発がなされている。
な摺動(プランジング)式のトリポード系等速ジョイン
トにおいては、外輪8に対してトリポード部材1(シャ
フト10)が作動角θをとった状態で相互に回転トルク
伝達を行う場合、ローラ4とローラ溝9が斜交状態にあ
って、ローラ4がローラ溝9内を外輪8の軸方向に移動
するときに軸方向のスラスト力を誘起する。このトリポ
ード系等速ジョイント特有の誘起スラストは、機械振動
発生の要因となり、特に自動車の場合はNVH特性を低
下させることがある。自動車のNVH特性の場合は、3
本のローラ溝9とローラ4の相互間で発生する三次誘起
スラストに影響を受け易く、この三次誘起スラストの低
減のための様々な技術開発がなされている。
【0005】上記技術開発は、例えば図3の単一ローラ
を二重ローラ形に切り換えることや、構成部品の形状や
材質を変更すること等で行われている。しかし、このよ
うな技術開発は、既存の製造設備に新たな投資を必要と
するなど、製造設備や製品の大幅なコスト増加、重量増
加の弊害を伴っているのが現状である。
を二重ローラ形に切り換えることや、構成部品の形状や
材質を変更すること等で行われている。しかし、このよ
うな技術開発は、既存の製造設備に新たな投資を必要と
するなど、製造設備や製品の大幅なコスト増加、重量増
加の弊害を伴っているのが現状である。
【0006】かかる現状に鑑み、本発明者等は別の観点
からトリポード系等速ジョイントの誘起スラストの発生
メカニズムを究明した結果、トラニオン軸とローラの間
のニードル部の潤滑状態が悪くなるほど誘起スラストが
増大し、特に、ニードル部の潤滑が枯渇すると三次誘起
スラストが急激に増大するという知見を得た。
からトリポード系等速ジョイントの誘起スラストの発生
メカニズムを究明した結果、トラニオン軸とローラの間
のニードル部の潤滑状態が悪くなるほど誘起スラストが
増大し、特に、ニードル部の潤滑が枯渇すると三次誘起
スラストが急激に増大するという知見を得た。
【0007】すなわち、通常のトリポード系等速ジョイ
ントは、組立最終段階で外輪内にグリースを封入してト
ラニオン軸とローラの間のニードル部の潤滑性をグリー
スで確保するようにしている。ところが、ニードル部は
複数のニードルの在る狭い部所であり、かつ、ニードル
部はニードルの抜け防止のためのワッシャ類で半ば塞が
れた状態にあって、外輪に封入したグリースがニードル
部に入り難い構造となっている。そのため、ニードル部
が潤滑の枯渇化等で潤滑不良が発生して誘起スラストが
増大する可能性が大きい。
ントは、組立最終段階で外輪内にグリースを封入してト
ラニオン軸とローラの間のニードル部の潤滑性をグリー
スで確保するようにしている。ところが、ニードル部は
複数のニードルの在る狭い部所であり、かつ、ニードル
部はニードルの抜け防止のためのワッシャ類で半ば塞が
れた状態にあって、外輪に封入したグリースがニードル
部に入り難い構造となっている。そのため、ニードル部
が潤滑の枯渇化等で潤滑不良が発生して誘起スラストが
増大する可能性が大きい。
【0008】そこで、トリポード系等速ジョイントの誘
起スラストを低減させる解決策として、トリポードキッ
トを外輪に組み込む前にニードル部にグリースを強制的
に充填する方策が考えられる。しかし、この解決策で
は、ニードル部にグリースを充填するための特別な設備
と作業工程が必要となるという不具合や、ニードル部と
その周辺にグリースが付着してトリポードキットの外輪
への組込み等の作業性が悪化するといった問題が発生し
て、現実的な解決策にはならない。
起スラストを低減させる解決策として、トリポードキッ
トを外輪に組み込む前にニードル部にグリースを強制的
に充填する方策が考えられる。しかし、この解決策で
は、ニードル部にグリースを充填するための特別な設備
と作業工程が必要となるという不具合や、ニードル部と
その周辺にグリースが付着してトリポードキットの外輪
への組込み等の作業性が悪化するといった問題が発生し
て、現実的な解決策にはならない。
【0009】また、上記誘起スラストを低減させる別の
解決策として、外輪にトリポードキットを組み付けた
後、外輪内に潤滑油を封入して、トリポードキットのト
ラニオン軸とローラの間のニードル部を油潤滑する方策
が考えられる。この場合、ニードル部の潤滑性が潤滑油
で良好に確保されて誘起スラストの低減が確実となる
(後述の実験データの図4グラフd参照)。しかし、こ
の解決策の場合は、外輪に封入された潤滑油の外部への
洩れの問題が新たに発生して、この場合も現実的な解決
策にはならない。
解決策として、外輪にトリポードキットを組み付けた
後、外輪内に潤滑油を封入して、トリポードキットのト
ラニオン軸とローラの間のニードル部を油潤滑する方策
が考えられる。この場合、ニードル部の潤滑性が潤滑油
で良好に確保されて誘起スラストの低減が確実となる
(後述の実験データの図4グラフd参照)。しかし、こ
の解決策の場合は、外輪に封入された潤滑油の外部への
洩れの問題が新たに発生して、この場合も現実的な解決
策にはならない。
【0010】それ故に本発明の目的とするところは、ト
ラニオン軸とローラの間のニードル部の潤滑性を技術
的、設備的に簡単な方策で良好にして、トリポード系等
速ジョイントの誘起スラストを低減させることにある。
ラニオン軸とローラの間のニードル部の潤滑性を技術
的、設備的に簡単な方策で良好にして、トリポード系等
速ジョイントの誘起スラストを低減させることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、トリポード部
材の3本のトラニオン軸にニードルまたはコロを介して
回転自在にローラを取り付けてなるトリポードキット
を、前記ローラを収容するための軸方向に延びるローラ
溝を形成した外輪内に組み込んで構成され、外輪内にグ
リースを封入して使用されるトリポード系等速ジョイン
トにおいて、前記トリポードキットを外輪に組み込む前
に潤滑油に浸漬して、ニードル部に潤滑油を浸透させる
ことにより、上記目的を達成するものである。
材の3本のトラニオン軸にニードルまたはコロを介して
回転自在にローラを取り付けてなるトリポードキット
を、前記ローラを収容するための軸方向に延びるローラ
溝を形成した外輪内に組み込んで構成され、外輪内にグ
リースを封入して使用されるトリポード系等速ジョイン
トにおいて、前記トリポードキットを外輪に組み込む前
に潤滑油に浸漬して、ニードル部に潤滑油を浸透させる
ことにより、上記目的を達成するものである。
【0012】ここで、外輪に組み込む前のトリポードキ
ットは、ニードルまたはコロとローラおよびワッシャ類
をトラニオン軸に取り付けたもので、このトリポードキ
ットの少なくともニードルまたはコロの在る部所を潤滑
油に浸漬すると、潤滑油がニードル部に浸透して、トリ
ポードキットを潤滑油から引き上げた後もニードル部に
残る。このようにしてニードル部に浸透した潤滑油は、
トリポードキットを外輪に組み付けてグリースを封入し
た後もニードル部に残って、ニードル部の潤滑性を良好
に維持する。
ットは、ニードルまたはコロとローラおよびワッシャ類
をトラニオン軸に取り付けたもので、このトリポードキ
ットの少なくともニードルまたはコロの在る部所を潤滑
油に浸漬すると、潤滑油がニードル部に浸透して、トリ
ポードキットを潤滑油から引き上げた後もニードル部に
残る。このようにしてニードル部に浸透した潤滑油は、
トリポードキットを外輪に組み付けてグリースを封入し
た後もニードル部に残って、ニードル部の潤滑性を良好
に維持する。
【0013】本発明においては、上記潤滑油をトリポー
ドキットの防錆油の代用油としても使用することが、ト
リポードキットの防錆油による防錆処理工程を省略する
上で望ましい。すなわち、上記潤滑油はトリポードキッ
トの防錆油としても使用できることから、潤滑油にトリ
ポードキットの防錆処理をしたい部分を浸漬しておけ
ば、等速ジョイント製造工程から防錆油による特別な防
錆処理工程が省略できる。
ドキットの防錆油の代用油としても使用することが、ト
リポードキットの防錆油による防錆処理工程を省略する
上で望ましい。すなわち、上記潤滑油はトリポードキッ
トの防錆油としても使用できることから、潤滑油にトリ
ポードキットの防錆処理をしたい部分を浸漬しておけ
ば、等速ジョイント製造工程から防錆油による特別な防
錆処理工程が省略できる。
【0014】また、本発明においては、上記潤滑油とし
て、外輪に封入するグリースの基油又は同グリースから
増調剤成分を抜いた潤滑油を使用することが、トリポー
ドキットのニードル部を潤滑する潤滑油と外輪に封入さ
れるグリースとの相性、適合性を良好にする上で望まし
い。この場合、グリースは基油に増調剤や添加剤等を混
合させて加熱処理したものであるが、このグリースの基
油だけを潤滑油として使用するか、或いは、基油にグリ
ース中の添加剤(1種類以上)を混合させたものを潤滑
油として使用すればよい。
て、外輪に封入するグリースの基油又は同グリースから
増調剤成分を抜いた潤滑油を使用することが、トリポー
ドキットのニードル部を潤滑する潤滑油と外輪に封入さ
れるグリースとの相性、適合性を良好にする上で望まし
い。この場合、グリースは基油に増調剤や添加剤等を混
合させて加熱処理したものであるが、このグリースの基
油だけを潤滑油として使用するか、或いは、基油にグリ
ース中の添加剤(1種類以上)を混合させたものを潤滑
油として使用すればよい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。図1及び図2は、図3のトリポード系等速ジョイ
ントの本発明による製造過程を示すもので、図3と同一
部分には同一符号が付してある。
する。図1及び図2は、図3のトリポード系等速ジョイ
ントの本発明による製造過程を示すもので、図3と同一
部分には同一符号が付してある。
【0016】図3に関連して既に述べたように、トリポ
ード系等速ジョイントにおけるトリポードキット6は、
トリポード部材1の3本のトラニオン軸2にニードルま
たはコロ3とローラ4およびワッシャ類を組み付けて製
造される。この後、通常はトリポードキット6を防錆油
で防錆処理してから外輪8に組み付けて、外輪8内にグ
リース(図示せず)を封入するが、本発明においてはト
リポードキット6を外輪8に組み付ける前に、図1に示
すように、トリポードキット6を油槽12内の潤滑油1
1に浸漬する。この油浸漬は、トリポードキット6の少
なくとも3本のトラニオン軸2とローラ4の在る部分の
全部が潤滑油11に浸漬されるように行って、トラニオ
ン軸2とローラ4の間のニードル部5に潤滑油11を十
分に浸透させる。
ード系等速ジョイントにおけるトリポードキット6は、
トリポード部材1の3本のトラニオン軸2にニードルま
たはコロ3とローラ4およびワッシャ類を組み付けて製
造される。この後、通常はトリポードキット6を防錆油
で防錆処理してから外輪8に組み付けて、外輪8内にグ
リース(図示せず)を封入するが、本発明においてはト
リポードキット6を外輪8に組み付ける前に、図1に示
すように、トリポードキット6を油槽12内の潤滑油1
1に浸漬する。この油浸漬は、トリポードキット6の少
なくとも3本のトラニオン軸2とローラ4の在る部分の
全部が潤滑油11に浸漬されるように行って、トラニオ
ン軸2とローラ4の間のニードル部5に潤滑油11を十
分に浸透させる。
【0017】なお、図面ではトリポードキット6をシャ
フト10に組み付けた状態で浸漬をする場合を例示した
が、シャフト10に組み付ける前のトリポードキット6
のみを浸漬することもできる。
フト10に組み付けた状態で浸漬をする場合を例示した
が、シャフト10に組み付ける前のトリポードキット6
のみを浸漬することもできる。
【0018】次に、図2に示すように潤滑油浸透済みの
トリポードキット6の各ローラ4を外輪8のローラ溝9
に嵌挿し、外輪8内のグリース(図示せず)封入とブー
ツ(図示せず)装着を行ってトリポード系等速ジョイン
トが製造される。このような等速ジョイント製造に使用
される潤滑油11は、トリポードキット6のニードル部
5の潤滑性を良好に確保するものであればよく、特に、
防錆油を兼ねた潤滑油や、外輪8に封入されるグリース
と同系の油が望ましい。
トリポードキット6の各ローラ4を外輪8のローラ溝9
に嵌挿し、外輪8内のグリース(図示せず)封入とブー
ツ(図示せず)装着を行ってトリポード系等速ジョイン
トが製造される。このような等速ジョイント製造に使用
される潤滑油11は、トリポードキット6のニードル部
5の潤滑性を良好に確保するものであればよく、特に、
防錆油を兼ねた潤滑油や、外輪8に封入されるグリース
と同系の油が望ましい。
【0019】すなわち、上記トリポードキット6は、従
来同様に外輪8に組み込む前に防錆油で防錆処理する必
要があるが、この防錆油の代わりに上記潤滑油11を使
用することが可能である。したがって、トリポードキッ
ト6を潤滑油11に浸漬してから外輪8に組み込むよう
にすれば、防錆油による防錆処理工程を実施する必要が
なくなる。
来同様に外輪8に組み込む前に防錆油で防錆処理する必
要があるが、この防錆油の代わりに上記潤滑油11を使
用することが可能である。したがって、トリポードキッ
ト6を潤滑油11に浸漬してから外輪8に組み込むよう
にすれば、防錆油による防錆処理工程を実施する必要が
なくなる。
【0020】また、上記潤滑油11に後工程で使用され
る封入グリースと同系の油を使用する。例えば、封入グ
リースは基油と増調剤と添加剤等を混合して加熱処理し
たもので、本発明においてはこの封入グリースの基油だ
けを使用、或いは、封入グリースの増調剤を除いた基油
と添加剤の混合油を使用する。このようにトリポードキ
ット6のニードル部5に浸透させる潤滑油11に等速ジ
ョイントの封入グリースと同系の油を使用すると、潤滑
油11と封入グリースとの相性、耐久性等の相関関係が
適正となる。
る封入グリースと同系の油を使用する。例えば、封入グ
リースは基油と増調剤と添加剤等を混合して加熱処理し
たもので、本発明においてはこの封入グリースの基油だ
けを使用、或いは、封入グリースの増調剤を除いた基油
と添加剤の混合油を使用する。このようにトリポードキ
ット6のニードル部5に浸透させる潤滑油11に等速ジ
ョイントの封入グリースと同系の油を使用すると、潤滑
油11と封入グリースとの相性、耐久性等の相関関係が
適正となる。
【0021】以上のようにニードル部5に潤滑油11を
浸透させたトリポードキット6を外輪8に組み込み、グ
リース封入を行って製造されたトリポード系等速ジョイ
ントの誘起スラスト特性は、ニードル部5が潤滑油11
で油潤滑されてローラ4の回転が円滑となることから一
段と改善されることが実験で確認された。その実験デー
タを図4に示し、これを説明する。
浸透させたトリポードキット6を外輪8に組み込み、グ
リース封入を行って製造されたトリポード系等速ジョイ
ントの誘起スラスト特性は、ニードル部5が潤滑油11
で油潤滑されてローラ4の回転が円滑となることから一
段と改善されることが実験で確認された。その実験デー
タを図4に示し、これを説明する。
【0022】図4はトリポード系等速ジョイントの三次
誘起スラスト[kgf]と測定時間の実験データをグラ
フ化したもので、同図のグラフa〜dにおいて、グラフ
cが本発明品、グラフaとグラフbがグリース封入だけ
の従来品、グラフdが潤滑油を封入した実験品の三次誘
起スラスト特性を示すものである。
誘起スラスト[kgf]と測定時間の実験データをグラ
フ化したもので、同図のグラフa〜dにおいて、グラフ
cが本発明品、グラフaとグラフbがグリース封入だけ
の従来品、グラフdが潤滑油を封入した実験品の三次誘
起スラスト特性を示すものである。
【0023】グラフaとグラフbのグリース封入した従
来品は、10本の等速ジョイントの三次誘起スラストの
最大値の1本(グラフa)と最小値(グラフb)の1本
だけが示されている。すなわち、トリポード系等速ジョ
イントを同一方法、同一設備で製造しても、その誘起ス
ラスト測定値には多少のバラツキが生じ、このバラツキ
の最大値と最小値が図4に示される。ここで、誘起スラ
スト最大値のグラフaの等速ジョイントのトリポードキ
ットに代わり、本発明により外輪に組み込む前に潤滑油
に浸漬したトリポードキットを使用して製造し、誘起ス
ラストを測定したのがグラフcの本発明品である。この
グラフaとグラフcから明確なように、本発明品は三次
誘起スラストが従来品の半分程度まで大幅に低減され、
振動の少ない高品質な等速ジョイントが得られることが
分かる。
来品は、10本の等速ジョイントの三次誘起スラストの
最大値の1本(グラフa)と最小値(グラフb)の1本
だけが示されている。すなわち、トリポード系等速ジョ
イントを同一方法、同一設備で製造しても、その誘起ス
ラスト測定値には多少のバラツキが生じ、このバラツキ
の最大値と最小値が図4に示される。ここで、誘起スラ
スト最大値のグラフaの等速ジョイントのトリポードキ
ットに代わり、本発明により外輪に組み込む前に潤滑油
に浸漬したトリポードキットを使用して製造し、誘起ス
ラストを測定したのがグラフcの本発明品である。この
グラフaとグラフcから明確なように、本発明品は三次
誘起スラストが従来品の半分程度まで大幅に低減され、
振動の少ない高品質な等速ジョイントが得られることが
分かる。
【0024】なお、三次誘起スラストの最も小さいグラ
フdの実験品は、トリポードキットを外輪に組み込ん
で、外輪内に潤滑油を封入したもので、トリポードキッ
トのニードル部とその周辺が油潤滑されてローラの回転
がより円滑に行われることから、三次誘起スラストが本
発明品より小さくなる。しかし、この実験品の場合は、
外輪に封入される潤滑油の完全なシール構造が難しくて
潤滑油の洩れの問題があり、現実的でない。これに対し
て本発明品の場合は、トリポードキットのニードル部に
浸透した潤滑油は、後で外輪に封入されるグリースでシ
ールされる形となって、潤滑油の洩れの心配がなく、信
頼性に優れる。
フdの実験品は、トリポードキットを外輪に組み込ん
で、外輪内に潤滑油を封入したもので、トリポードキッ
トのニードル部とその周辺が油潤滑されてローラの回転
がより円滑に行われることから、三次誘起スラストが本
発明品より小さくなる。しかし、この実験品の場合は、
外輪に封入される潤滑油の完全なシール構造が難しくて
潤滑油の洩れの問題があり、現実的でない。これに対し
て本発明品の場合は、トリポードキットのニードル部に
浸透した潤滑油は、後で外輪に封入されるグリースでシ
ールされる形となって、潤滑油の洩れの心配がなく、信
頼性に優れる。
【0025】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、外輪に組み込
まれる前のトリポードキットのニードル部に浸透した潤
滑油が等速ジョイント製造の最終段階までニードル部に
残って、ニードル部の潤滑性を安定した良好なものにす
るので、トリポード系等速ジョイント特有の三次誘起ス
ラストの大幅な低減を可能にする。また、既存のトリポ
ードキットを潤滑油に浸漬してから、外輪に組み込むだ
けでよいので、新たな特別な製造設備を必要としない設
備投資的に有利なトリポード系等速ジョイントの製造が
可能となる。また、誘起スラストの低減でもって、トリ
ポード系等速ジョイントの品種によってはトリポードキ
ットのローラ構造を単一ローラ形等の簡略なものにして
軽量化、低コスト化を図ることが可能となる。
まれる前のトリポードキットのニードル部に浸透した潤
滑油が等速ジョイント製造の最終段階までニードル部に
残って、ニードル部の潤滑性を安定した良好なものにす
るので、トリポード系等速ジョイント特有の三次誘起ス
ラストの大幅な低減を可能にする。また、既存のトリポ
ードキットを潤滑油に浸漬してから、外輪に組み込むだ
けでよいので、新たな特別な製造設備を必要としない設
備投資的に有利なトリポード系等速ジョイントの製造が
可能となる。また、誘起スラストの低減でもって、トリ
ポード系等速ジョイントの品種によってはトリポードキ
ットのローラ構造を単一ローラ形等の簡略なものにして
軽量化、低コスト化を図ることが可能となる。
【0026】請求項2の発明によれば、外輪に組み込ま
れる前のトリポードキットが浸漬される潤滑油でニード
ル部の油潤滑と共に、トリポードキットの防錆処理を行
うことが可能であり、このように潤滑油で防錆処理する
ことで、外輪に組み込まれる前のトリポードキットを防
錆油で防錆処理する工程が省略できて、等速ジョイント
製造の作業性改善が図れる。
れる前のトリポードキットが浸漬される潤滑油でニード
ル部の油潤滑と共に、トリポードキットの防錆処理を行
うことが可能であり、このように潤滑油で防錆処理する
ことで、外輪に組み込まれる前のトリポードキットを防
錆油で防錆処理する工程が省略できて、等速ジョイント
製造の作業性改善が図れる。
【0027】請求項3の発明によれば、外輪に組み込ま
れる前のトリポードキットのニードル部に浸透する潤滑
油と、トリポードキットを外輪に組み込んでから外輪に
封入されるグリースとの相性、耐久性等の物性が適正と
なって、耐久性に優れた高品質なトリポード系等速ジョ
イントが製造できる。
れる前のトリポードキットのニードル部に浸透する潤滑
油と、トリポードキットを外輪に組み込んでから外輪に
封入されるグリースとの相性、耐久性等の物性が適正と
なって、耐久性に優れた高品質なトリポード系等速ジョ
イントが製造できる。
【図1】トリポードキットの潤滑油浸漬時での断面図で
ある。
ある。
【図2】一般的なトリポード系等速ジョイントの縦断面
図である。
図である。
【図3】作動角をとった状態のトリポード系等速ジョイ
ントの縦断面図である。
ントの縦断面図である。
【図4】三次誘起スラストと測定時間の関係を示すグラ
フ図である。
フ図である。
1 トリポード部材 2 トラニオン軸 3 ニードルベアリング 4 ローラ 5 ニードル部 6 トリポードキット 8 外輪 9 ローラ溝 10 シャフト 11 潤滑油 12 油槽
Claims (3)
- 【請求項1】 トリポード部材の3本のトラニオン軸に
ニードルまたはコロを介して回転自在にローラを取り付
けてなるトリポードキットを、前記ローラを収容するた
めの軸方向に延びるローラ溝を形成した外輪内に組み込
んで構成され、外輪内にグリースを封入して使用される
トリポード系等速ジョイントにおいて、前記トリポード
キットを外輪に組み込む前に潤滑油に浸漬して、ニード
ル部に潤滑油を浸透させたことを特徴とするトリポード
系等速ジョイント。 - 【請求項2】 上記潤滑油をトリポードキットの防錆油
の代用油として使用し、トリポードキットの防錆油によ
る防錆処理工程を省略したことを特徴とする請求項1の
トリポード系等速ジョイント。 - 【請求項3】 上記潤滑油として、外輪に封入するグリ
ースの基油又は同グリースから増調剤成分を抜いた潤滑
油を使用することを特徴とする請求項1又は2のトリポ
ード系等速ジョイント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22521697A JPH1163004A (ja) | 1997-08-21 | 1997-08-21 | トリポード系等速ジョイント |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22521697A JPH1163004A (ja) | 1997-08-21 | 1997-08-21 | トリポード系等速ジョイント |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1886399A Division JPH11270572A (ja) | 1999-01-27 | 1999-01-27 | トリポ―ド系等速ジョイント |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1163004A true JPH1163004A (ja) | 1999-03-05 |
Family
ID=16825814
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22521697A Withdrawn JPH1163004A (ja) | 1997-08-21 | 1997-08-21 | トリポード系等速ジョイント |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1163004A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005353027A (ja) * | 2004-05-10 | 2005-12-22 | Ntn Corp | 軸継手の品質管理方法 |
USD809437S1 (en) * | 2015-08-03 | 2018-02-06 | Ntn Corporation | Tripod type constant velocity joint |
USD814365S1 (en) * | 2015-08-03 | 2018-04-03 | Ntn Corporation | Tripod kit for tripod type constant velocity joint |
USD814366S1 (en) * | 2015-08-03 | 2018-04-03 | Ntn Corporation | Tripod kit for tripod type constant velocity joint |
-
1997
- 1997-08-21 JP JP22521697A patent/JPH1163004A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005353027A (ja) * | 2004-05-10 | 2005-12-22 | Ntn Corp | 軸継手の品質管理方法 |
USD809437S1 (en) * | 2015-08-03 | 2018-02-06 | Ntn Corporation | Tripod type constant velocity joint |
USD814365S1 (en) * | 2015-08-03 | 2018-04-03 | Ntn Corporation | Tripod kit for tripod type constant velocity joint |
USD814366S1 (en) * | 2015-08-03 | 2018-04-03 | Ntn Corporation | Tripod kit for tripod type constant velocity joint |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20041102 |