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JPH1161383A - 高真空薄膜形成装置 - Google Patents

高真空薄膜形成装置

Info

Publication number
JPH1161383A
JPH1161383A JP23033697A JP23033697A JPH1161383A JP H1161383 A JPH1161383 A JP H1161383A JP 23033697 A JP23033697 A JP 23033697A JP 23033697 A JP23033697 A JP 23033697A JP H1161383 A JPH1161383 A JP H1161383A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
deposition material
anode
discharge
cathode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP23033697A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiaki Agawa
阿川  義昭
Yasumasa Suzuki
康正 鈴木
Akiyoshi Chiyayahara
昭義 茶谷原
Kaneshige Fujii
兼栄 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Ulvac Inc
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Ulvac Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology, Ulvac Inc filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP23033697A priority Critical patent/JPH1161383A/ja
Publication of JPH1161383A publication Critical patent/JPH1161383A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Physical Deposition Of Substances That Are Components Of Semiconductor Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ダメージが加えられたり、不純物が混入するこ
とがなく、また、膜厚制御性がよい薄膜形成装置を提供
する。 【解決手段】薄膜形成装置5のカソード40に設けられ
た導電性の蒸着材料に対し、アノード30に正電圧を印
加した状態で、蒸着材料42近傍に配置された電極部材
42にパルス状の電圧を印加してトリガ放電を発生さ
せ、蒸着材料43とアノード30との間にアーク放電を
誘起させる。1回のトリガ放電で誘起されるアーク放電
により、蒸着材料43の微小粒子が所定量放出されるよ
うに構成する。高真空雰囲気でトリガ放電を必要な回数
だけ繰り返し発生させると、不純物やダメージのないご
く薄い薄膜を膜厚精度良く形成できる。また、複数の蒸
着源281〜285を基板4方向に向け、順次薄膜を形成
すると、多層膜を得ることができるので、磁性薄膜の形
成に適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薄膜形成装置にかか
り、特に、磁性薄膜の形成に適した高真空薄膜形成装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、薄膜は半導体装置や液晶装置
等の種々の分野に用いられており、金属薄膜の他、絶縁
性薄膜や磁性薄膜等の種々の薄膜が形成されている。
【0003】図5の符号105は、多層薄膜の形成に用
いられる従来技術のスパッタ装置であり、金属製の円筒
容器111と、上蓋112aと、下蓋112bとから成る
真空槽110を有している。
【0004】上蓋112aに設けられた孔125から回
転軸126が真空槽110内に気密に挿入されており、
その回転軸126には、シャッター115、基板ホルダ
ー116、ヒータ117が下方からこの順で取り付けら
れている。
【0005】円筒容器111には、真空排気系123と
ガス導入系124とが接続されており、多層薄膜を形成
する際には、先ず、基板ホルダー116に薄膜形成対象
である基板を複数枚装着し、真空排気系123を起動し
て、真空槽110内を1×10-5Torr程度の圧力まで真
空排気し、次いで、ガス導入系124によって、流量制
御した状態でアルゴンガスを導入する。
【0006】下蓋112b上には、複数のカソードター
ゲット121が配置されており、真空槽110内の圧力
が1×10-2Torr程度の圧力で安定したところで、各カ
ソードターゲット121に負電圧を印加する。
【0007】シャッター115と基板ホルダー116と
はグラウンド電位に置かれており、各カソードターゲッ
ト121と基板ホルダー116との間で放電が開始され
ると、シャッター115と各カソードターゲット121
との間にアルゴンガスプラズマが発生する。そのプラズ
マによって、各カソードターゲット121のスパッタリ
ングが開始される。
【0008】この図5では、5基のカソードターゲット
121が示されているが、ここでは、それぞれ異なる材
料が配置されており、基板104表面に、異なる薄膜を
積層して多層薄膜を形成するものとする。
【0009】このスパッタ装置105のシャッター11
5には、ほぼ基板と同じ大きさのコリメータ(孔)119
が設けられており、1層目の薄膜材料が設けられたカソ
ードターゲット121の真上にコリメータ119と基板
104とを位置させる。
【0010】その状態でヒータ117に通電し、基板1
04を加熱しながらコリメータ119と基板104とを
所定時間だけ静止させ、1層目の薄膜を形成する。
【0011】1層目の薄膜を形成した後、回転軸126
を回転させ、コリメータ119と基板104とを2層目
のカソードターゲット121の真上まで一緒に移動さ
せ、その上に所定時間だけ静止させて、2層目の薄膜を
形成する。
【0012】同様の手順により、1、2層目の薄膜上
に、3層〜5層目の薄膜を順番に形成した後、今度は、
基板ホルダー116とシャッター115とを相対移動さ
せ、未成膜の基板104とコリメータ119とを、1層
目のカソードターゲット121の真上に位置させ、新し
い基板104表面への成膜作業を開始する。
【0013】このように、基板ホルダー116に装着さ
れた複数の基板104の表面に、5層の薄膜によって構
成される多層薄膜を形成した後、真空排気系123を停
止し、真空槽110外へ搬出すると、多数の基板に対
し、効率よく多層薄膜を形成することができる。
【0014】しかし、上述のようなスパッタ装置105
では、スパッタリング中の圧力を1×10-3Torr以上に
する必要があり、基板104は、比較的高い圧力雰囲気
に於かれた状態で薄膜形成が行われるため、スパッタリ
ングガス中の不純物が薄膜中に取り込まれてしまう。ま
た、スパッタリングを行う際のプラズマは真空槽110
内に広がるため、真空槽110の内壁がスパッタされ、
不純物粒子となって薄膜中に混入する。更に、基板がプ
ラズマに曝されてしまうため、薄膜にダメージが加えら
れてしまうという問題がある。
【0015】特に、各カソードターゲット121に対
し、一緒に電圧を印加してプラズマを形成する場合に
は、形成したい薄膜材料とは異なる材料のカソードター
ゲット121もスパッタリングされてしまうため、形成
中の薄膜材料とは異なる材料の粒子も僅かではあるがコ
リメータ119を通過し、不純物粒子となって薄膜中に
混入してしまう。
【0016】形成対象の多層薄膜が磁性薄膜の場合に
は、例えば、上記各カソードターゲット121に、T
a、NiFe、Cu、Co、FeMn材料を配置し、基
板表面にそれらの材料から成る薄膜を一層ずつ積層させ
るが、磁性薄膜の磁気特性は不純物やダメージに対して
敏感であるため、プラズマを用いず、不純物やダメージ
のない高純度の薄膜を形成できる技術が必要になる。
【0017】プラズマを用いず上記のような磁性合金の
薄膜を形成できる装置には、従来より、例えば図4に示
すような、真空槽210内に、アーク蒸着源220と基
板ホルダー216が配置された蒸着装置205が知られ
ている。
【0018】アーク蒸着源220は、カソード電極22
1とアノード電極222とを有しており、カソード電極
221の表面には、薄膜の材料である蒸着材料が配置さ
れている。
【0019】この蒸着装置205によって薄膜を形成す
る場合には、基板ホルダー216に基板204を装着
し、排気口217から真空槽210内を真空排気した
後、必要に応じ、ガス導入口218から放電用ガスを導
入し、バイアス電源225とアーク電源226を起動し
て、基板ホルダー216に負電圧を印加する。
【0020】アノード電極222の先端は、蒸着材料近
傍に配置されており、カソード電極221に負電圧、ア
ノード電極222に正電圧を印加すると、その間でアー
ク放電が発生し、アーク電流が流れることにより、カソ
ード電極221表面の蒸着材料が瞬間的に蒸発する。
【0021】その蒸発の際には、蒸着材料表面から蒸発
した微小粒子はイオン化され、正電荷が付与されるの
で、基板ホルダー216に負電圧を印加しておくと、そ
の微小粒子は基板204に引きつけられ、基板204表
面に堆積して薄膜が形成される。
【0022】このような蒸着源220ではプラズマは用
いられていないため、薄膜にはダメージは加えられず、
また、真空槽210を構成する材料が不純物となって薄
膜中に混入しないという利点がある。
【0023】しかしながら上述の蒸着源220では、ア
ーク放電を安定に維持するために、真空槽210内を高
真空雰囲気にすることができない。従って、真空槽21
0内に導入した放電用ガス中の不純物が、薄膜中に取り
込まれてしまうという問題がある。
【0024】また、アーク放電によって蒸着材料の微小
粒子を生成する際に、蒸着材料の巨大粒子も放出され、
微小粒子と共に基板204表面に到達し、薄膜の膜質を
低下させるという問題がある。
【0025】他方、上述のスパッタ装置105や蒸着装
置205は、高速成膜に適しているという利点があり、
ある程度厚い薄膜を形成する場合には、膜厚モニターを
用いて膜厚を監視しながら成長させ、所望膜厚の薄膜が
得られるが、逆に、ごく薄い薄膜を形成する場合には、
膜厚モニターでは膜厚を精度よく検出できないという欠
点がある。そのため、ごく薄い薄膜を形成する場合に
は、予め成膜速度を求めておき、成膜時間から膜厚を逆
算して膜厚管理を行っており、得られる薄膜の膜厚が不
正確になってしまうという問題がある。
【0026】近年では、ハードディスク装置の磁気抵抗
素子(MR)を形成するために、磁性層と反強磁性層とが
積層された磁性薄膜が用いられているが、そのような磁
性薄膜の場合には、各層の膜厚は、数nm程度と薄いた
め、成膜時間による膜厚管理では正確な膜厚制御が行え
ないないことから、その解決が望まれている。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の不都合を解決するために創作されたものであり、その
目的は、多層薄膜を形成する際に、ダメージが加えられ
たり、不純物が混入することのない薄膜形成装置を提供
することにある。また、本発明の他の目的は、多層薄膜
の膜厚制御性がよい薄膜形成装置を提供することにあ
る。
【0028】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、アノードとカソードを有
し、前記カソードに設けられた導電性の蒸着材料に対し
て前記アノードに正電圧を印加した状態で、前記蒸着材
料近傍に配置された電極部材と前記蒸着材料との間にパ
ルス状の電圧を印加してトリガ放電を発生させると、前
記蒸着材料と前記アノードとの間にアーク放電が誘起さ
れるように構成された蒸着源を有し、前記アーク放電に
よって放出された前記蒸着材料の微小粒子を、真空槽内
に配置された基板表面に付着させて薄膜を形成する薄膜
形成装置であって、前記蒸着材料の微小粒子が、1回の
トリガ放電で誘起されるアーク放電によって所定量放出
されるように構成され、前記トリガ放電を繰り返し発生
させ、前記薄膜を所望膜厚に形成できるように構成され
たことを特徴とする。
【0029】請求項1記載の薄膜形成装置に前記蒸着源
を複数設ける場合には、請求項2記載の発明のように、
前記各蒸着源のカソードの中心軸線が、前記真空槽内に
配置される同一基板に向くように構成するとよい。
【0030】上述の本発明の構成によれば、蒸着源がア
ノードとカソードとを有しており、そのカソードには導
電性の蒸着材料が設けられ、蒸着材料近傍には電極部材
が配置されている。
【0031】アノードに、蒸着材料に対して正電圧を印
加した状態で電極部材と蒸着材料との間にパルス状の電
圧を印加すると、蒸着材料と電極部材との間に配置され
た絶縁円筒等の絶縁性部材の沿面でトリガ放電が発生
し、最初に、そのトリガ放電により、蒸着材料の微小粒
子が放出される。その微小粒子がアノードと蒸着材料と
の間に充満すると、絶縁性が低下し、アノードと蒸着材
料との間にアーク放電が誘起される。
【0032】そのアーク放電によって流れる電流は大電
流であり、蒸着材料からは、蒸着材料の微小粒子が多量
に放出される。その微小粒子は正電荷を帯びており、様
々な方向に放出されるが、アーク放電によって蒸着材料
に流れる電流は、正電荷を帯びた微小粒子に対し、蒸着
材料から遠ざける方向の力を及ぼす磁界を形成する。
【0033】その磁界が形成する力はカソードの中心軸
線に沿った方向であり、電荷対質量比が大きい微小粒子
は、その力によって基板方向に強く加速され、真空槽内
に放出されると基板に向けて飛行する。電荷対質量比が
小さい中性粒子や巨大粒子に対する加速は弱い。蒸着材
料とアノードの間でアーク放電が生じる場所は、アノー
ド内部にあるので、中性粒子や巨大粒子はアノードに衝
突し、付着してしまうので真空槽内には放出されない。
【0034】従って、微小粒子だけが基板に到達できる
ので、中性粒子や巨大粒子は薄膜中に混入せず、粒径の
そろった微小粒子によって膜質のよい薄膜を形成するこ
とができる。
【0035】その場合、アーク放電を維持するためには
大電流を流す必要があるが、アーク放電が誘起され、ア
ーク電流が流れ始めると、アーク電流を供給している電
源の電圧が低下するとアーク放電が停止する。アーク放
電が停止すると、電源電圧は所定時間で回復する。従っ
て、1回のトリガ放電により、電源能力に応じたアーク
放電電流が流れた後、アーク放電は自動的に停止するの
で、蒸着材料からは、電源のアーク電流供給量に応じた
量の蒸着材料の微小粒子が放出され、基板表面には、そ
の放出量に応じた膜厚の薄膜が形成されるので、繰り返
しトリガ放電を発生させると、基板表面に所望膜厚の薄
膜を形成することが可能となる。
【0036】1回のアーク放電によって形成される薄膜
の膜厚を一定値にするためには、アーク電流が供給され
る時間を制御するようにしてもよい。
【0037】このように、トリガ放電によって放出され
た微小粒子でアーク放電を誘起させているので、真空槽
内に放電誘起用のガスを導入する必要がない。また、薄
膜形成のためにプラズマを用いておらず、プラズマ用の
ガスを導入する必要もない。
【0038】従って、本発明の薄膜形成装置によれが、
高真空雰囲気下で、不純物やダメージのない薄膜を得る
ことが可能となる。
【0039】ところで、磁性薄膜のような多層膜を形成
する場合には、多層膜中の個々の薄膜の蒸着材料が配置
された蒸着源を複数設け、各蒸着源から順次蒸着材料の
微小粒子を放出させ、薄膜を積層する必要がある。
【0040】本発明の蒸着源は、アーク電流が形成する
磁界によって、イオン化した蒸着材料の微小粒子がカソ
ードの中心軸線方向に加速され、しかも平均自由行程が
大きい高真空雰囲気下で放出が行われるので、蒸着材料
に微小粒子はカソードから基板方向に直線的に飛行す
る。従って、複数の蒸着源によって同じ基板上に薄膜を
形成するためには、各蒸着源のカソードの中心軸線が同
一基板方向に向けておくとよい。
【0041】
【発明の実施の形態】図1の符号5は、本発明の一実施
形態の薄膜形成装置であり、金属製の円筒容器11と、
上蓋12aと、下蓋12bとから成る真空槽10を有して
いる。上蓋12aには、図示しない孔が設けられ、その
孔から真空槽10内に回転軸26が気密に挿入されてい
る。
【0042】回転軸26の先端部分には、基板ホルダー
16とヒータ17とが、下方からその順で取り付けられ
ており、真空槽10内で上蓋12a付近に位置するよう
にされている。
【0043】円筒容器11には、真空排気系23とガス
導入系24とが接続されており、真空排気系23を動作
させて真空排気すると、真空槽10内を1×10-7Torr
以下の圧力の高真空雰囲気にできるように構成されてい
る。
【0044】下蓋12bには、符号211〜215で示す
5基の蒸着源が取り付けられている。各蒸着源211
215は、パルス電圧で点火されるアーク蒸着源であ
り、図2(a)に示すように、金属材料が円筒形形状に成
形されて成るアノード30と、該アノード30の内部に
配置されたカソード40とを有している。
【0045】カソード40は、絶縁性材料が円筒形形状
に成形されて成る絶縁管41と、該絶縁管41端部の外
周部分に密着配置されたリング状の電極部材42と、絶
縁管41の開放部分に挿入された円柱状の蒸着材料43
とを有している。
【0046】カソード40は、アノード電極30とは非
接触の状態で、アノード電極30の開放端部よりも奥側
に配置されている。蒸着材料43と電極部材42とは非
接触の状態にされており、蒸着材料43は、一端が絶縁
管41の開放端部から突き出され、他端が絶縁管41の
内部に位置している。その蒸着材料43の他端部分は絶
縁管41内に設けられた導電体44と電気的に接続され
ており、電極部材42は、絶縁管41とアノード30と
の間に配置された導電体44に電気的に接続されてい
る。
【0047】真空槽10の外部には、トリガ電源46と
アーク電源47とが配置されており、トリガ電源46の
正電位側の端子は、導電体44を介して、各蒸発源21
1〜215内のうちの所望の蒸発源の電極部材42に接続
できるように構成されている。トリガ電源46の負電位
側の端子は、導電体45を介して、蒸着材料43に接続
されている。
【0048】アーク電源47の正電位側の端子には、各
蒸発源211〜215内のアノード30がを選択して接続
できるように構成されており、負電位側の端子は、前述
の導電体45を介して蒸発材料43に接続されている。
【0049】各蒸着源211〜215のアノード30とカ
ソード40の中心軸線281〜285は、基板ホルダー1
6の略中心位置で交差するように配置されており、その
位置を中央にして、基板4を基板ホルダー16に装着で
きるように構成されている。
【0050】この薄膜形成装置5を用いてスピンバルブ
構造の磁性薄膜を形成する場合には、例えば、Ta、N
iFe、Cu、Co、FeMnによって各蒸着源211
〜215内の蒸着材料43をそれぞれ構成させ、成膜対
象であるガラス製の基板4を基板ホルダー16に装着
し、シャッター15を基板4と各蒸着源211〜215
間に位置させる。その状態で真空排気系23を起動し、
低真空用ポンプ33によって1×10-1Torr程度の圧力
まで真空槽10内部を真空排気し、次いで、高真空ポン
プ34によって更に真空排気しながらヒータ17に通電
し、基板4を所定温度まで加熱する。
【0051】真空槽10内部が1×10-7Torr程度の高
真空雰囲気になったところで、蒸着源211内のTaで
構成された蒸着材料43と電極部材42とをトリガ電源
46に接続し、また、その蒸着源211のアノード30
をアーク電源47に接続する。
【0052】シャッター15を開け、アーク電源47に
よってアノード30に正電圧、蒸着材料43に負電圧を
印加した状態でトリガ電源46を起動し、蒸着材料43
に対して電極部材42に正のパルス電圧を印加すると、
図2(b)に示すように、絶縁管41の端部表面でトリガ
放電(沿面放電)が発生し、トリガ電流i1が流れる。
【0053】そのトリガ電流i1によって蒸着材料43
が蒸発し、表面からイオン化したTaの微小粒子51が
放出されると、アノード30と蒸着材料43との間の絶
縁耐圧が低下し、アノード電極30と蒸着材料43との
間にアーク放電が誘起され、蒸着材料43にアーク電流
2が流れ始める。
【0054】そのアーク電流i2は大電流であるため、
蒸着材料43が蒸発し、イオン化したTaの微小粒子5
1が様々な方向に大量に放出される。
【0055】各蒸着源211〜215の蒸着材料43と、
絶縁管42内部に設けられた導電体44とは円柱形形状
に成形されており、アーク電流i2は、カソード40内
で蒸着材料43と導電体44とを直線的に流れる。その
アーク電流i2によって、カソード40周囲に形成され
る磁界は、正電荷を帯びた荷電粒子に対し、アーク電流
2が流れる向きとは逆向きの方向、即ち、カソード4
0の中心軸線方向に沿って、蒸着材料43から遠ざける
方向の力Fを及ぼす。
【0056】この力Fにより、イオン化したTaの微小
粒子は、アノード30の中心軸線281に沿って、アノ
ード30開口部から真空槽10内に直線的に放出さる。
中心軸線281方向には基板4が配置されており、Ta
の微小粒子は基板4方向に飛行し、その表面に堆積する
とTa薄膜が形成される。
【0057】Taの微小粒子が放出される際に、同時に
Taの巨大粒子52も放出されるが、その巨大粒子52
は、無電荷の中性粒子であるか、有電荷であっても電荷
量が小さいので、巨大粒子52の電荷対質量比は微小粒
子51の電荷対質量比に比べて小さいため、力Fによる
影響は小さく、アノード30に衝突し、付着するので真
空槽10内には放出されない。
【0058】アーク電流i2が流れている間、Taの微
小粒子は放出されるが、アーク電流i2は大電流である
ため、アーク電流i2が流れることによってアーク電源
47の電圧が下がり、アーク放電を維持できなくなる
と、自動的にアーク電流i2は停止する。従って、1回
のトリガ放電によって放出されるTa微小粒子の量は、
アーク電源47の電源能力によって決まるので、所望膜
厚が得られる回数だけトリガ放電させ、繰り返しアーク
放電を発生させ、Ta薄膜を成長させる。
【0059】基板4表面にTa薄膜から成る1層目の薄
膜が形成されると、トリガ電源46とアーク電源47と
をTaが配置された蒸着源211から切り放し、NiF
eが配置された蒸着源212側に接続する。
【0060】そして、上記Taの蒸着源211の場合と
同様に、所定の膜厚が得られる回数だけトリガ放電を発
生させ、誘起されたアーク放電によってイオン化したN
iFeの微小粒子を基板4に付着させ、Ta薄膜表面
に、所定膜厚のNiFe薄膜を形成する。
【0061】このように、Ta、NiFe、Cu、C
o、FeMnから成る蒸着材料43が配置された蒸着源
211〜215のカソード40(及びアノード30)の中心
軸線281〜285は基板4方向に向けられており、各蒸
着源211〜215から真空槽10内に放出され、磁界に
よって加速された蒸着材料の微小粒子は、基板4方向に
向かって飛行し、基板4に付着する。
【0062】従って、各蒸着源211〜215に対して、
トリガ電源46とアーク電源47とを、切り替えながら
順番に接続し、所定の膜厚が得られる回数だけトリガ放
電を発生させ、誘起されたアーク放電によって、基板4
表面上に、下層から、Ta、NiFe、Cu、Co、F
eMn薄膜をその順番で堆積させ、磁性薄膜を形成す
る。
【0063】各薄膜は、非常に膜厚が小さいが、トリガ
放電1回当たりに形成される薄膜の膜厚は、予め測定し
ておき、例えば、トリガ放電1回当たり0.1nmの薄
膜が形成されるものとすると、5nmの薄膜を形成する
ためには50回のパルス放電を行えばよい。この場合、
トリガ放電を行う間隔を1秒とすると、50秒で5nm
の薄膜を形成することができる。
【0064】このように5層の薄膜から成る多層薄膜を
形成した後、ヒータ17と真空排気系23を停止し、ガ
ス導入系124によって真空槽10内にベント用の窒素
ガスを導入し、真空槽10内が大気圧となったところ
で、図示しない搬出口から基板4を大気中に搬出する。
【0065】図3に、基板4表面に形成したスピンバル
ブ構造の磁性薄膜の積層状態を示す。符号61〜65で
示す薄膜は、それぞれTa、NiFe、Cu、Co、F
eMn薄膜であり、各薄膜61〜65の膜厚は、5n
m、10nm、2.5nm、2.2nm、11nmであ
る。Ta薄膜61、Cu薄膜63、FeMn薄膜65は
反強磁性薄膜であり、NiFe薄膜62、Co薄膜64
は磁性薄膜である。
【0066】以上説明したように、1回のアーク放電に
よって放出される蒸着材料の微小粒子は一定量であるの
で、トリガ放電を発生させる回数によって形成しようと
する薄膜の膜厚を制御できる。また、1回のアーク放電
では、蒸着材料の微小粒子は少量しか放出されないの
で、ごく薄い薄膜を膜厚精度よく形成することが可能と
なる。
【0067】更に、真空槽内にスパッタリングガス等の
ガスを導入せず、高真空雰囲気中で薄膜形成を行えるの
で、ガス中に含まれる不純物が薄膜中に取り込まれるこ
とはない。また、プラズマを用いないので、真空槽を構
成する物質が不純物として薄膜中に混入したり、薄膜が
ダメージを受けることもない。
【0068】なお、上記蒸着源211〜215は、それぞ
れ異なる蒸着材料を配置したが、複数の蒸着源に同じ蒸
着材料を配置し、一緒にアーク放電を行わせ、成膜速度
を向上させることも可能である。
【0069】
【発明の効果】薄膜を膜厚精度よく形成できる。特に磁
性膜のように、各層の膜厚がごく薄い多層膜を膜厚精度
よく形成することができる。薄膜中に不純物が混入する
ことがなく、また、薄膜がダメージを受けることがない
ので、磁性薄膜の形成に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例の薄膜形成装置
【図2】(a):蒸着源の構造を説明するための模式的断
面図 (b):放電の発生機構を説明するための模式図
【図3】磁性薄膜の構造を説明するための断面図
【図4】従来技術の薄膜形成装置(蒸着装置)
【図5】従来技術の薄膜形成装置(スパッタ装置)
【符号の説明】
10……真空槽 281〜285……中心軸線 30
……アノード 40……カソード 43……蒸着材
フロントページの続き (71)出願人 000001144 工業技術院長 東京都千代田区霞が関1丁目3番1号 (74)上記1名の指定代理人 工業技術院大阪工業技術研 究所長 (外2名) (72)発明者 阿川 義昭 神奈川県茅ヶ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内 (72)発明者 鈴木 康正 神奈川県茅ヶ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内 (72)発明者 茶谷原 昭義 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内 (72)発明者 藤井 兼栄 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アノードとカソードを有し、前記カソード
    に設けられた導電性の蒸着材料に対して前記アノードに
    正電圧を印加した状態で、前記蒸着材料近傍に配置され
    た電極部材と前記蒸着材料との間にパルス状の電圧を印
    加してトリガ放電を発生させると、前記蒸着材料と前記
    アノードとの間にアーク放電が誘起されるように構成さ
    れた蒸着源を有し、 前記アーク放電によって放出された前記蒸着材料の微小
    粒子を、真空槽内に配置された基板表面に付着させて薄
    膜を形成する薄膜形成装置であって、 前記蒸着材料の微小粒子が、1回のトリガ放電で誘起さ
    れるアーク放電によって所定量放出されるように構成さ
    れ、前記トリガ放電を繰り返し発生させ、前記薄膜を所
    望膜厚に形成できるように構成されたことを特徴とする
    薄膜形成装置。
  2. 【請求項2】前記蒸着源を複数有する薄膜形成装置であ
    って、 前記各蒸着源のカソードの中心軸線が、前記真空槽内に
    配置される同一基板に向くように構成されたことを特徴
    とする請求項1記載の薄膜形成装置。
JP23033697A 1997-08-12 1997-08-12 高真空薄膜形成装置 Pending JPH1161383A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006328490A (ja) * 2005-05-27 2006-12-07 Utsunomiya Univ プラズマ蒸着装置
JP2009001915A (ja) * 2008-09-22 2009-01-08 Ulvac Japan Ltd 蒸着方法

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JP2006328490A (ja) * 2005-05-27 2006-12-07 Utsunomiya Univ プラズマ蒸着装置
JP2009001915A (ja) * 2008-09-22 2009-01-08 Ulvac Japan Ltd 蒸着方法

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