JPH1151828A

JPH1151828A - 臭気濃度測定装置

Info

Publication number: JPH1151828A
Application number: JP9215159A
Authority: JP
Inventors: Yoshikazu Hayashi; 義和林
Original assignee: FOR TEC KK; Kikusui Kagaku Kogyo KK
Current assignee: FOR TEC KK; Kikusui Kagaku Kogyo KK
Priority date: 1997-08-08
Filing date: 1997-08-08
Publication date: 1999-02-26
Also published as: US6006583A

Abstract

(57)【要約】【課題】客観的かつ容易に臭気濃度を測定することの
できる臭気濃度測定装置の提供。【解決手段】臭気濃度測定装置１は、シリンダ３及び
ピストン５を有する注射器を備え、シリンダ３の内壁３
ａには、ニオイセンサ１１が固定されている。このニオ
イセンサ１１は、シリンダ３内部の空気の臭気を測定
し、そのニオイの強さに応じた電圧Ｖを出力する。シリ
ンダ３の外周に設けられたコントロールボックス７は電
子制御回路を備え、電圧Ｖが人間が感知できない強さの
ニオイに対応した値となると、赤ＬＥＤ９ｒに代えて青
ＬＥＤ９ｂを点灯させる。ピストン５を往復させながら
試料空気を希釈し、ＬＥＤ９ｒ，９ｂの点灯状態が変わ
った時点の希釈倍率により臭気濃度を測定することがで
きる。希釈倍率によって臭気濃度を測定しているので、
人間の嗅覚にきわめて良好に対応する測定結果が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、試料気体の臭気濃
度を測定する臭気濃度測定装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、騒音，大気汚染などと共に、悪臭
公害が問題となっている。このニオイの強さを測定する
方法として、従来より、次に述べる注射器法が採用され
ている。この測定方法には、例えば、ＡＳＴＭ（アメリ
カ工業材料試験協会）で定められた方法や、日本でそれ
を使いやすく変形した方法が知られている。

【０００３】注射器法では、注射器のシリンダ内に試料
空気を第１の所定量Ｖｓ（例えば２ｍｌ）吸入し、続い
て無臭空気を吸入してシリンダ内の容積を第２の所定量
（例えば１００ｍｌ）とする。すると、試料空気は、上
記各所定量によって規定される希釈倍率（１００／Ｖ
ｓ）で希釈される。１５秒以上放置して試料空気を拡散
させた後、シリンダ内の空気を押し出しながら、パネル
（ｏｂｓｅｒｖｅｒｓ）がそのニオイを嗅ぐ。そして、
シリンダ内の容積をＶｓとした後、再び無臭空気を吸入
して前述の操作を繰り返す。この操作を繰り返してパネ
ルがニオイを感知し得る最大希釈倍率を測定し、この希
釈倍率を臭気濃度の指標とするのである。

【０００４】なお、この注射器法では、１回の測定に対
して試料空気も１回採取するだけでよい。このため、希
釈倍率毎に試料空気を充填した臭袋を使用する三点比較
式臭袋法に比べて、少ない試料空気によって種々の希釈
倍率に対する測定が行えるといった利点がある。

【０００５】また、上記注射器法とは別に、半導体ガス
センサや人工脂質２分子膜を水晶発振器に添着したもの
等によって構成されたニオイセンサを試料空気中に配設
し、そのニオイセンサの出力よって試料空気のニオイの
強さを検出することも種々検討されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記注射器
法ではパネルにより個人差があるため、大人数のパネル
により上記最大希釈倍率の測定を行い、その測定結果を
総合的に判断して臭気濃度を求める必要がある。また、
パネルの手，衣服等は清潔かつ無臭でなければならず、
口等に長くニオイが残る食べ物をパネルが食べたり、パ
ネルが測定の直前（例えば３０分以内）に喫煙，ガム，
噛み煙草や食事等をするのも避けなければならない。更
に、風邪その他嗅力に悪影響を及ぼす身体状態のパネル
は除外し、状態のよいパネルだけで測定を行わなければ
ならない。

【０００７】このように、注射器法では、大人数のパネ
ルと周到な準備を必要としていた。また、このような大
変な作業により臭気濃度を測定しても、人種，民族的な
嗅覚の相違が反映される可能性があり、その測定結果が
必ずしも充分な客観性を有しているとは言い切れなかっ
た。

【０００８】また、上記ニオイセンサを使用する方法で
は、センサの出力と人間の嗅覚との間に充分な対応関係
が見つかっていない。このため、ニオイセンサによる臭
気濃度の測定結果は、あくまでも単に参考にされるだけ
で、悪臭公害等の実体を把握するためには最終的には上
記注射器法または三点比較式臭袋法で測定を行わざるを
得なかった。

【０００９】そこで、本発明は、客観的かつ容易に臭気
濃度を測定することのできる臭気濃度測定装置を提供す
ることを目的としてなされた。

【００１０】

【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記目的
を達するためになされた請求項１記載の発明は、少なく
とも一部が外部に開口したシリンダと、該シリンダに嵌
合するピストンとを有し、上記シリンダ内の容積が、少
なくとも異なる二つの基準値となったことを検知可能な
注射器と、上記シリンダ内の臭気を測定する臭気測定手
段と、該臭気測定手段の測定結果を出力する出力手段
と、を備えたことを特徴とする臭気濃度測定装置を要旨
としている。

【００１１】このように構成された本発明では、注射器
のピストンを摺動させることによりシリンダ内の容積が
変化するが、その容積が二つの基準値（以下、説明のた
め小さい方をＶｓ，大きい方をＶｌとする）となったこ
とが検知できる。そこで、試料空気を吸入してシリンダ
内の容積をＶｓとした後、無臭空気を吸入してその容積
をＶｌとすると、試料空気をＶｌ／Ｖｓ倍に希釈するこ
とができる。また、臭気測定手段はシリンダ内の臭気を
測定し、出力手段はその測定結果を出力する。このた
め、上記希釈を繰り返しながら上記出力された測定結果
を観察し、その測定結果が人間が感知し得る臭気に対応
した値となる希釈倍率を測定すれば、前述の注射器法と
同様に臭気濃度を測定することができる。しかも、上記
希釈倍率を測定するに当たって、人間の感覚に頼る必要
がないので、パネルの準備が不要で、かつ客観的に臭気
濃度を測定することが可能となる。

【００１２】従って、本発明では、臭気濃度を客観的か
つ容易に測定することができる。また、本発明では、臭
気測定手段の出力をそのまま臭気濃度に換算するのでは
なく、その出力が人間が感知し得る臭気に対応した値と
なる希釈倍率を測定している。このため、本発明によっ
て測定された臭気濃度は人間の嗅覚にきわめて良好に対
応し、比較的安価なセンサを臭気測定手段として使用し
ても、充分な測定精度が得られる。しかも、本発明の臭
気測定手段及び出力手段は、小型の素子によって構成す
ることが可能である。従って、この場合、臭気濃度測定
装置が容易に携帯可能となり、各種臭気濃度の実地調査
がきわめて容易になるといった効果も生じる。

【００１３】請求項２記載の発明は、請求項１記載の構
成に加え、上記出力手段が、上記臭気測定手段の測定値
が所定値を超えているか否かを判断し、その判断結果に
応じた出力を行うことを特徴としている。本発明では、
出力手段が、臭気測定手段の測定値が所定値を超えてい
るか否かを判断し、その判断結果に応じた出力を行う。
前述のように、注射器法では、希釈された試料空気のニ
オイをパネルが感知し得るか否かによって上記希釈倍率
を、延いては臭気濃度を測定している。そこで、上記所
定値として人間が感知し得る臭気に対応した値を設定す
れば、出力手段の出力は、希釈された試料空気のニオイ
をパネルが感知し得るか否かに対応する。このため、出
力手段の出力に基づき、従来の注射器法と全く同様に臭
気濃度を測定することができる。従って、本発明では、
請求項１記載の発明の効果に加えて、臭気濃度を一層容
易にかつ正確に測定することができるといった効果が生
じる。

【００１４】請求項３記載の発明は、請求項１または２
記載の構成に加え、上記臭気測定手段及び上記出力手段
が、上記注射器に着脱自在に構成されたことを特徴とし
ている。注射器法では、シリンダの内側とピストンの外
側とのすり合わせ面に、ニオイ物質が吸着する可能性が
ある。このため、きわめて高精度に臭気濃度を測定する
必要がある場合は、注射器を使い捨てにする必要がある
ことが指摘されている。本発明では、臭気測定手段及び
出力手段が注射器に着脱自在に構成されているので、臭
気測定手段及び出力手段は注射器から取り外して、注射
器のみを新品と交換することができる。このため、注射
器を使い捨てにしても、高価な臭気測定手段及び出力手
段は再利用することができる。従って、本発明では、請
求項１または２記載の発明の効果に加えて、きわめて高
精度に臭気濃度を測定する場合にも、その測定のコスト
を良好に低減することができるといった効果が生じる。

【００１５】請求項４記載の発明は、請求項１〜３のい
ずれかに記載の構成に加え、上記ピストンが摺動して、
上記シリンダ内の容積が少なくともいずれか一方の上記
基準値となったとき、上記ピストンの摺動を停止させる
停止手段を備えたことを特徴としている。

【００１６】注射器法では、前述のように、シリンダ内
の容積を二つの基準値の間で変化させて試料空気の希釈
を繰り返す必要がある。そこで、本発明の停止手段は、
シリンダ内の容積が少なくともいずれか一方の基準値と
なったとき、ピストンの摺動を停止させる。このため、
上記希釈を繰り返すためのピストンの操作が一層容易と
なる。従って、本発明では、請求項１〜３のいずれかに
記載の発明の効果に加えて、臭気濃度を一層容易に測定
することができるといった効果が生じる。

【００１７】請求項５記載の発明は、請求項１〜４のい
ずれかに記載の構成に加え、上記シリンダの開口部に設
けられ、その開口部を介して上記シリンダ内に流入する
空気を浄化して無臭空気とするフィルタを、更に備えた
ことを特徴としている。注射器法では、前述のように、
シリンダ内に無臭空気を吸入して試料空気を希釈する必
要がある。このため、上記希釈作業は、本来ならば無臭
空気の雰囲気中で行わなければならない。これに対し
て、本発明では、シリンダの開口部に、その開口部を介
してシリンダ内に流入する空気を浄化して無臭空気とす
るフィルタを備えている。このため、雰囲気中の空気に
多少のニオイがあっても、その空気がフィルタを介して
シリンダ内に流入するとき、浄化された無臭空気とな
る。よって、上記希釈作業は、必ずしも無臭空気の雰囲
気中で行う必要はない。従って、本発明では、請求項１
〜４のいずれかに記載の発明の効果に加えて、臭気濃度
を一層容易かつ正確に測定することができるといった効
果が生じる。

【００１８】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面
と共に説明する。図１（Ａ）は本発明が適用された臭気
濃度測定装置１の構成を表す平面図であり、図１（Ｂ）
は、そのシリンダ３をＡ−Ａ線に沿って切断した断面図
である。なお、この臭気濃度測定装置１は、請求項１及
び２記載の発明の実施の形態である。

【００１９】図１に示すように、臭気濃度測定装置１
は、ガラス製のシリンダ３及びピストン５を有する注射
器を備え、シリンダ３に気密に嵌合するピストン５の外
周は、シリンダ３の内壁３ａとのすり合わせ面が、磨り
ガラス５ｂとなっている。また、シリンダ３の先端（ピ
ストン５と反対側）には開口部３ｂが突出形成され、シ
リンダ３の外周には目盛り３ｆが形成されている。この
ため、ピストン５を引くと雰囲気の空気が開口部３ｂよ
りシリンダ３内に吸入され、ピストン５を押すとシリン
ダ３内の空気が開口部３ｂを介して排出される。そし
て、ピストン５の先端が配設された位置の目盛り３ｆを
読み取ることにより、シリンダ３内の容積を検知するこ
とができる。

【００２０】シリンダ３の先端近傍の外周には、長辺が
シリンダ３の半径程度の大きさを有する直方体のコント
ロールボックス７が固定され、その表面には赤，黄，青
の３色のＬＥＤ９ｒ，９ｙ，９ｂ（個々に呼ぶ場合は赤
ＬＥＤ９ｒ等という）が設けられている。コントロール
ボックス７に隣接するシリンダ３の内壁３ａには、半球
状のニオイセンサ１１が台座１１ａを介して固定されて
いる。このニオイセンサ１１は、半導体ガスセンサや人
工脂質２分子膜を水晶発振器に添着したもの等によって
構成された周知のもので、シリンダ３内部の空気の臭気
を測定し、そのニオイの強さに応じた電圧Ｖを出力する
ものである。すなわち、ニオイセンサ１１は臭気測定手
段に相当する。

【００２１】次に、コントロールボックス７の構成を図
２を用いて説明する。コントロールボックス７は、ＣＰ
Ｕ，ＲＯＭ，ＲＡＭ等を備えた周知のマイクロコンピュ
ータからなる電子制御回路（ＥＣＵ）１５を備えてお
り、ニオイセンサ１１の出力電圧Ｖはこの電子制御回路
１５に入力されている。電子制御回路１５は、ニオイセ
ンサ１１の出力電圧Ｖに基づいて次の臭気濃度測定処理
を実行し、ＬＥＤ９ｒ，９ｙ，９ｂの点滅を制御してい
る。

【００２２】図３は、この臭気濃度測定処理を表すフロ
ーチャートである。なお、電子制御回路１５は、所定周
期（例えば２０ｍ秒）毎にこの処理を繰り返し実行す
る。図３に示すように、電子制御回路１５は、処理を開
始すると先ず、Ｓ１（Ｓはステップを表す：以下同様）
にて、ニオイセンサ１１の出力電圧Ｖを読み込む。続く
Ｓ３では、出力電圧Ｖに変動があったか否かを判断す
る。変動があった場合は（Ｓ３：ＹＥＳ）Ｓ５へ移行
し、その出力変動から１５秒経過したか否かを判断す
る。１５秒経過していない場合は（Ｓ５：ＮＯ）、Ｓ７
にて黄ＬＥＤ９ｙを点灯した後、再びＳ５へ移行し、１
５秒経過すると（Ｓ５：ＹＥＳ）Ｓ１１へ移行する。ま
た、Ｓ３にて出力変動がないと判断した場合は（Ｓ３：
ＮＯ）、直接Ｓ１１へ移行する。

【００２３】ここで、周期濃度の測定対象としての試料
空気、またはそれを希釈するための無臭空気をシリンダ
３内に吸入した場合、ニオイセンサ１１の出力電圧Ｖが
変動する。この場合、シリンダ３内のニオイの強さを測
定するためには、所定時間（この場合１５秒）放置して
臭気の拡散均一化を図る必要がある。そこで、Ｓ３〜Ｓ
７の処理では、出力電圧Ｖの変動があった場合（Ｓ３：
ＹＥＳ）、黄ＬＥＤ９ｙを点灯しながら１５秒間待機す
るのである（Ｓ５，Ｓ７）。また、出力変動がなかった
場合は（Ｓ３：ＮＯ）、試料空気や無臭空気が吸入され
ておらず、拡散均一化を図る必要がないので、そのまま
Ｓ１１以下の処理へ移行する。

【００２４】Ｓ１１では、出力電圧Ｖが所定電圧Ｖ0 を
超えているか否かを判断する。そして、Ｖ＞Ｖ0 の場合
は（Ｓ１１：ＹＥＳ）、Ｓ１３にて赤ＬＥＤ９ｒを点灯
した後、Ｖ≦Ｖ0 の場合は（Ｓ１１：ＮＯ）、Ｓ１５に
て青ＬＥＤ９ｂを点灯した後、それぞれ一旦処理を終了
する。なお、Ｓ７，Ｓ１３，またはＳ１５でＬＥＤ９ｒ
〜９ｂのいずれかを点灯したときは、他のＬＥＤ９ｒ〜
９ｂは消灯する。

【００２５】また、前述の所定電圧Ｖ0 は、人間が感知
し得るニオイの強さに対応している。このため、臭気濃
度測定装置１では、次のようにして試料空気の臭気濃度
を測定することができる。先ず、シリンダ３及びピスト
ン５は、無臭のクレンザーと中性洗剤でワセリン等をよ
く落とし、無臭の部屋で別々に乾燥させておく。次に、
図示しない別の試料採取用注射器に採取された試料空気
を、目盛り３ｆを見ながら所定量Ｖｓ（例えば２ｍｌ）
だけシリンダ３内へ移す。このとき、試料採取用注射器
の開口部とシリンダ３の開口部３ｂとは、ＡＳＴＭで定
められた移注筒（ＴｒａｎｓｆｅｒＳｙｒｉｎｇｅ）を
用いて接続しても、シリコン製のゴム管等を用いて接続
してもよい。また、このとき、外気の混入を避けるた
め、ピストン５は引かずに試料採取用注射器のピストン
を押して試料空気を移すのが望ましい。

【００２６】続いて、臭気濃度測定装置１を無臭空気の
雰囲気中に配設し、ピストン５を引いて無臭空気を吸入
する。このときのシリンダ３内の容積が例えば１００ｍ
ｌであったとすると、試料空気は１００／Ｖｓの希釈倍
率で希釈されたことになる。希釈後１５秒間は、前述の
ように黄ＬＥＤ９ｙが点灯するが（Ｓ７）、試料空気が
拡散均一化する１５秒後には、試料空気のニオイの強さ
に応じて赤ＬＥＤ９ｒまたは青ＬＥＤ９ｂが点灯する
（Ｓ１３，Ｓ１５）。赤ＬＥＤ９ｒが点灯したときは
（Ｓ１３）、希釈後の試料空気に人間が感知し得るニオ
イが残っているので（Ｖ＞Ｖ0 ）、ピストン５を押して
シリンダ３内の容積をＶｓとし、前述の希釈作業を繰り
返す。この希釈作業を繰り返すと、青ＬＥＤ９ｂが点灯
するようになる（Ｓ１５）。このとき、シリンダ３内の
試料空気には、人間が感知し得るニオイが残っていない
（Ｖ≦Ｖ0 ）。そこで、このときの希釈倍率を注射器法
に定められた最大希釈倍率として、試料空気の臭気濃度
の指標とすることができる。

【００２７】このように、臭気濃度測定装置１では、ニ
オイセンサ１１の出力電圧Ｖを所定電圧Ｖ0 と比較する
ことによって、注射器法と全く同様に臭気濃度を測定す
ることができる。また、上記希釈倍率を測定するに当た
って、人間の感覚に頼る必要がない。このため、パネル
の準備が不要で、かつ客観的に臭気濃度を測定すること
が可能となる。従って、臭気濃度を客観的，正確，かつ
容易に測定することができる。また、臭気濃度測定装置
１では、ニオイセンサ１１の出力をそのまま臭気濃度に
換算するのではなく、その出力が人間が感知し得る臭気
に対応した値となる希釈倍率を測定している。このた
め、臭気濃度測定装置１によって測定された臭気濃度は
人間の嗅覚にきわめて良好に対応し、比較的安価なセン
サをニオイセンサ１１として使用しても、充分な測定精
度が得られる。

【００２８】しかも、ニオイセンサ１１及びコントロー
ルボックス７は、小型の素子によって構成されており、
シリンダ３に比べて充分に小さい。このため、臭気濃度
測定装置１は容易に携帯でき、各種臭気濃度の実地調査
がきわめて容易になる。更に、臭気濃度測定装置１で
は、シリンダ３内の試料空気が拡散均一化するまでは、
出力手段としてのＬＥＤ９ｒ，９ｂが点灯せず、臭気測
定手段（ニオイセンサ１１）の測定結果を出力しない。
このため、上記拡散均一化が完了するまでのニオイセン
サ１１の出力電圧Ｖに基づいて臭気濃度を測定してしま
うのを防止して、一層正確に臭気濃度を測定することが
できる。

【００２９】また、本発明は上記実施の形態になんら限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で種々の形態で実施することができる。例えば、ニオイ
センサ１１及びコントロールボックス７は、注射器に着
脱自在に構成してもよい。図４（Ａ）に示す例では、シ
リンダ３を構成する円筒部３１と先端部３３とを、ネジ
部３１ａ，３３ａを介して螺合させている。また、ニオ
イセンサ１１は、開口部３３ｂの基端部に設けた空間３
３ｃの内部に設けられ、その外周にコントロールボック
ス７が固定されている。この例では、ニオイセンサ１１
及びコントロールボックス７が、円筒部３１及びピスト
ン５に対して着脱自在となる。このため、次のような効
果が生じる。

【００３０】すなわち、注射器法では、ピストン５の磨
りガラス５ｂ（図１）にニオイ物質が吸着する可能性が
ある。このため、きわめて高精度に臭気濃度を測定する
必要がある場合は、注射器を使い捨てにする必要がある
ことが指摘されている。ところが、図４（Ａ）の例で
は、ニオイセンサ１１及びコントロールボックス７を取
り外して、注射器（円筒部３１及びピストン５）のみを
新品と交換することができる。このため、注射器を使い
捨てにしても、高価なニオイセンサ１１及びコントロー
ルボックス７（ＬＥＤ９ｒ，９ｙ，９ｂを含む）は再利
用することができる。従って、きわめて高精度に臭気濃
度を測定する場合にも、その測定のコストを良好に低減
することができる。なお、図４（Ａ）の例は請求項３記
載の発明の実施の形態に相当する。

【００３１】また、図４（Ｂ）に示すピストン５１のよ
うに、先端に窪み５１ｂを設け、その窪み５１ｂにニオ
イセンサ１１を固定してもよい。この場合、ニオイセン
サ１１を設けたことによるシリンダ３内の容積変化が最
小限に抑制される。従って、市販の注射器を改造して本
発明の臭気濃度測定装置を作成する場合、このような形
態を取れば、目盛り３ｆの信頼性が一層向上する。更に
この場合、図４（Ｂ）に示すように、コントロールボッ
クス７はピストン５１の内部に埋設するのが望ましい。

【００３２】また、図４（Ｃ）に示すシリンダ１０３の
ように、先端近傍の内壁１０３ａに、内側に盛り上がっ
た段部１０３ｃを形成してもよい。この場合、ピストン
５を押していくと、ピストン５の先端が段部１０３ｃに
係合し、ピストン５がそれ以上摺動しなくなる。このと
きのシリンダ１０３内の容積が前述のＶｓとなるように
設定しておけば、次のように上記希釈作業が容易にな
る。すなわち、開口部１０３ｂから試料空気を排出して
容積をＶｓとする際、ピストン５を段部１０３ｃに係止
されるまで押し続ければよい。このため、臭気濃度を一
層容易に測定することができる。すなわち、段部１０３
ｃは停止手段に相当し、図４（Ｃ）の例は請求項４記載
の発明の実施の形態に相当する。

【００３３】なお、シリンダ１０３内の容積が１００ｍ
ｌとなるまでピストン５を引いたとき、ピストン５の摺
動を停止させる構成を設けても、同様に臭気濃度を容易
に測定することができる。更に、その構成と段部１０３
ｃとを両方設ければ、臭気濃度をより一層容易に測定す
ることができる。また更に、停止手段としては、ニオイ
センサ１１や台座１１ａをピストン５に係合させる形態
も考えられる。この場合、構成を一層容易にして製造コ
ストを良好に低減することができる。

【００３４】また、図４（Ｄ）に示すシリンダ２０３の
ように、開口部２０３ｂに、その開口部２０３ｂを介し
てシリンダ２０３内に流入する空気を浄化するフィルタ
２２２を設けてもよい。このフィルタ２２２は、活性炭
を用いて構成された周知のもので、このフィルタ２２２
を通過した空気は標準的な無臭空気となる。このため、
このような構成を採用すれば、雰囲気中の空気に多少の
ニオイがあっても、その空気がフィルタ２２２を介して
シリンダ２０３内に流入するとき、浄化された無臭空気
となる。よって、上記希釈作業は必ずしも無臭空気の雰
囲気中で行う必要はない。従って、この場合、臭気濃度
を一層容易かつ正確に測定することができる。特に、臭
気濃度の実地調査がきわめて容易になる。なお、図４
（Ｄ）の例は請求項５記載の発明の実施の形態に相当す
る。

【００３５】また更に、ピストン５に磁性体を埋設する
と共に、シリンダ３の所定位置にホール素子を設けれ
ば、ピストン５が摺動した回数をホール素子の出力に基
づいて計数することができる。この場合、上記希釈作業
中に希釈を行った回数を覚えておく必要がなく、一層容
易に臭気濃度を測定することができる。

【００３６】更に、上記各実施の形態では、出力手段と
してＬＥＤ９ｒ，９ｂを使用しているが、出力手段の形
態としては種々考えられる。例えば、スピーカ等から出
力電圧Ｖに応じて音声を発生してもよく、出力電圧Ｖを
そのまま数値で表示してもよい。後者の場合、次のよう
な使用形態が考えられる。すなわち、上記希釈作業を続
けていくと、出力電圧Ｖはある一定値に収束する。そこ
で、その収束値に基づいて所定電圧Ｖ0 を設定し、出力
電圧Ｖがその所定電圧Ｖ0 を下回った時点における希釈
倍率より臭気濃度を測定するのである。この場合、ニオ
イセンサ１１の出力特性が経時変化を起こしても、所定
電圧Ｖ0 を設定し直せば正確に臭気濃度を測定すること
ができる。

【００３７】また更に、所定電圧Ｖ0 の値を前述の値よ
り少し高めに設定しておけば、次のような使用方法も考
えられる。すなわち、この場合、青ＬＥＤ９ｂが点灯し
ても試料空気にまだニオイが少し残っている。そこで、
その後の測定を従来通り人間の感覚によって行うのであ
る。どうしても人間の感覚に頼らざるを得ないようなニ
オイの臭気濃度を測定する場合、このような使用方法も
有効である。更に、上記実施の形態ではシリンダ３に目
盛り３ｆを設けているが、シリンダ３内の容積が少なく
とも異なる二つの基準値（前述の例ではＶｓと１００ｍ
ｌ）となったことを検知できるのであれば、目盛り３ｆ
は省略することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用された臭気濃度測定装置の構成を
表す平面図及び断面図である。

【図２】その装置を制御するコントロールボックスの構
成を表すブロック図である。

【図３】その装置で実行される臭気濃度測定処理を表す
フローチャートである。

【図４】上記臭気濃度測定装置の変形例の構成を表す断
面図である。

【符号の説明】

１…臭気濃度測定装置３，１０３，２０３…
シリンダ３ｂ，３３ｂ，１０３ｂ，２０３ｂ…開口部
３ｆ…目盛り５，５１…ピストン７…コントロールボッ
クス９ｒ，９ｙ，９ｂ…ＬＥＤ１１…ニオイセンサ
１５…電子制御回路３１ａ，３３ａ…ネジ部１０３ｃ…段部
２２２…フィルタ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくとも一部が外部に開口したシリン
ダと、該シリンダに嵌合するピストンとを有し、上記シ
リンダ内の容積が、少なくとも異なる二つの基準値とな
ったことを検知可能な注射器と、上記シリンダ内の臭気を測定する臭気測定手段と、該臭気測定手段の測定結果を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする臭気濃度測定装置。
【請求項２】上記出力手段が、上記臭気測定手段の測
定値が所定値を超えているか否かを判断し、その判断結
果に応じた出力を行うことを特徴とする請求項１記載の
臭気濃度測定装置。
【請求項３】上記臭気測定手段及び上記出力手段が、
上記注射器に着脱自在に構成されたことを特徴とする請
求項１または２記載の臭気濃度測定装置。
【請求項４】上記ピストンが摺動して、上記シリンダ
内の容積が少なくともいずれか一方の上記基準値となっ
たとき、上記ピストンの摺動を停止させる停止手段を備
えたことを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の
臭気濃度測定装置。
【請求項５】上記シリンダの開口部に設けられ、その
開口部を介して上記シリンダ内に流入する空気を浄化し
て無臭空気とするフィルタを、更に備えたことを特徴と
する請求項１〜４のいずれかに記載の臭気濃度測定装
置。