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JPH1142106A - 外装部品及びこれを備えた電子機器 - Google Patents

外装部品及びこれを備えた電子機器

Info

Publication number
JPH1142106A
JPH1142106A JP20163197A JP20163197A JPH1142106A JP H1142106 A JPH1142106 A JP H1142106A JP 20163197 A JP20163197 A JP 20163197A JP 20163197 A JP20163197 A JP 20163197A JP H1142106 A JPH1142106 A JP H1142106A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
coating film
silk
exterior component
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20163197A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Uchiyama
明 内山
Koichi Yamaguchi
浩一 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP20163197A priority Critical patent/JPH1142106A/ja
Publication of JPH1142106A publication Critical patent/JPH1142106A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 人肌に接触する部分として好適な特性を備
え、不快感や皮膚の炎症などを引き起こしにくい表面材
質を備えた外装部品を提供する。 【解決手段】 ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ス
テンレス鋼等からなる基材10の表面上に、アクリル樹
脂、アクリル−イソシアネート、アクリル−ウレタン又
はアクリル−シリコーンなどを主成分とし、適宜の溶
剤、硬化剤を添加した2液混合型の塗液、エポキシ樹脂
を主成分とする1液焼付型の塗液などを塗布して下地層
20を形成し、この下地層20の表面上に、ウレタン系
樹脂31と絹糸粒子32を混合した塗液を塗布すること
により塗膜30を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は外装部品及びこれを
備えた電子機器に係り、特に、腕時計などの人肌が頻繁
に触れる部分に用いるのに好適な表面材質に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、腕時計の外装ケース、時計バンド
などの時計用外装部品においては、基材の表面を鏡面仕
上げ、筋目仕上げ、ホーニング仕上げなどの各種状態に
仕上げてそのまま用いる場合と、基材表面に塗装やメッ
キを行う場合とがある。塗装により形成される塗膜は、
合成樹脂を基体とした樹脂層やガラスなどの硬質無機層
であり、基材表面に擦り傷が発生するのを防止し、基材
表面の腐食を防止し、また、装着者の金属アレルギーを
防止するためなどに形成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、腕時計など
のように、人肌に常に接触した部分を有するものの場合
には、時計用外装部品の表面に肌が密着したり、汗など
が滞留したりすることによって、人に不快感を与えた
り、雑菌の繁殖や通気性不足による皮膚炎が発生したり
するなどという問題点がある。
【0004】そこで本発明は上記問題点を解決するもの
であり、その課題は、人肌に接触する部分として好適な
特性を備え、不快感や皮膚の炎症などを引き起こしにく
い表面材質を備えた外装部品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明が講じた手段は、合成樹脂中に絹糸の粉末を混
合してなる表面材質を備えた外装部品である。
【0006】この手段によれば、絹糸の粉末を混合した
合成樹脂からなる表面材質を備えた外装部品とすること
により、肌触りが良好で、従来材質よりも吸放水性若し
くは吸放湿性が向上するため、不快感や肌の炎症などの
発生し難い製品を構成することができる。また、絹糸の
粉末を含有していることによって、絹糸の粉末の粒度に
起因する表面の凹凸状態や絹糸の粉末の光散乱特性によ
って視覚的にも質感を高めることができ、高級感のある
外観を備えた製品を得ることができる。
【0007】ここで、少なくとも基材の一部表面上に前
記表面材質からなる表面層を設けることが好ましい。
【0008】この手段によれば、絹糸の粉末を混合した
合成樹脂からなる表面層を被着することにより、任意材
質の下地に対して上記の表面材質の特性を持たせること
ができるので、低コストで高品位の製品を提供できる。
【0009】なお、上記表面層は、外装部品のほぼ全面
に形成しても、また、一部表面にのみ形成してもよい。
たとえば、表面層を特定の模様や文字の形状に印刷形成
してもよい。表面層をほぼ全面的に形成する場合には塗
装を行い、一部にのみ形成する場合には印刷によって行
うことができる。また、外装部品全体を上述の表面材質
で成形することも可能である。
【0010】ここで、前記基材の表面と前記表面層との
間に合成樹脂を含む下地層を形成することが好ましい。
【0011】この手段によれば、合成樹脂を含む下地層
を形成することによって、基材と表面層との間の密着性
を向上させることができる。特に、基材として金属製材
料を用いる場合には密着性を大きく向上させることがで
きる。
【0012】また、前記表面層を部分的に除去して文字
や図形を表面上に表すことが好ましい。
【0013】この手段によれば、表面層を部分的に除去
することによって各種表示用の文字や図形を表すことが
でき、絹糸の粉末を含む表面層の質感の高い外観と、表
面層の除去された下地とのコントラストによって視認性
の良好な文字及び図形を形成することができる。
【0014】さらに、上記各手段に記載された外装部品
を備えた電子機器である。
【0015】電子機器としては、電子腕時計、携帯電
話、ポケットベル、ICカード、電卓小型電子辞書、パ
ーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、電話機、コ
ピー機などがある。
【0016】なお、上記表面材質又は表面層は、人肌が
接触する機会の多い製品の外装部品に適用することが効
果的であり、特に、腕時計の外装ケース、裏蓋、時計バ
ンドなどに適用することが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、添付図面を参照して本発明
に係る実施形態について説明する。本実施形態は、腕時
計の外装ケースの表面に、絹糸の粉末を混合した塗液に
より塗装を行ったものである。絹糸粉末の粒度は0.5
μm〜300μm程度のものが利用できるが、塗料用若
しくは印刷用の素材としては、1μm〜十数μm程度、
好ましくは3〜9μm程度に形成することが望ましい。
この絹糸粉末をウレタン系樹脂に混合し、溶剤及び硬化
剤を加えて塗液とする。ウレタン系樹脂中の絹糸粉末の
量は適宜に設定できるが、通常、5〜25wt%、好ま
しくは10wt%程度である。
【0018】上記塗液に混合される絹糸粉末は、たとえ
ば、以下のような方法で形成することができる。繭や絹
糸を塩化カルシウムの水溶液に浸漬し、加熱して溶液を
濃縮しゲル化する。次に、この溶液を一旦冷凍した後に
常温に戻し、その後、水分を除去して凍結乾燥すること
によって絹糸粉末を得ることができる。また、繭や絹糸
を炭酸カルシウムの水溶液に入れて攪拌した後、析出し
た凝固物を取り出して水と混合して懸濁液とし、塩酸を
加えて二酸化酸素を発生させた後、水分を除去して粉末
化する方法もある。さらに、絹糸を酸若しくはアルカリ
処理して硬化させた後に破砕して粉末化する方法もあ
る。
【0019】絹糸粉末は、上述のようにして調製された
後、機械的、化学的特性を改善するために種々の処理を
施してもよい。たとえば、機械的強度、耐アルカリ性、
耐膨潤性、耐磨耗性を向上させるために、ホルマール処
理を行う場合がある。このホルマール処理は、たとえ
ば、ヘキサメチレンテトラミン水溶液に酢酸を加えた処
理液に絹糸粉末を浸漬し、加熱した後、絹糸粉末を取り
出してさらに加熱処理を行い、その後、硫酸ナトリウム
溶液などにより洗浄し、水洗した後、脱水、乾燥するも
のである。また、機械的性質を向上させるためにウレタ
ン化処理を行う場合もある。このウレタン化処理は、た
とえば、熱反応型水溶性ウレタン樹脂を水と混合した溶
液に絹糸粉末を浸漬し、ウレタン化触媒を加えて反応さ
せた後、濾過、水洗、乾燥を行うものである。このウレ
タン化処理は、絹にイソシアネート類を反応させるもの
である。
【0020】上記塗液を用いた塗装においては、上記塗
液をスプレーガンによって吹付けた後に、60℃程度の
温度下で約20〜30分程度乾燥させる。本実施形態及
び後述の各実施例において、乾燥後の塗膜の厚さは30
〜40μm程度である。
【0021】上記塗膜を形成する基材としては、各種樹
脂や金属などを用いることができるが、本実施形態にお
いては、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアク
リレート樹脂、強化ポリアミド樹脂、ステンレス鋼など
について検討した。このうち、金属素材については多少
付着性に問題が生じたが、基材が樹脂である場合につい
ては付着性も含めて支障のない塗装性能が得られた。基
材をABS樹脂として上記の塗膜を厚さ35μmに形成
した後、3日間放置した複数の試料を作成し、以下のよ
うな試験結果が得られた。
【0022】 鉛筆硬度 H(三菱ユニ使用、1kg荷重) 付着性 良好 (1mm角領域に対するセロテープ剥離テストを実施) 耐水性 良好 (温度40℃の水に240時間浸漬後、上記剥離テスト
を実施) 耐湿性 良好 (温度40℃、湿度90%で120時間放置後、上記剥
離テストを実施) 耐熱性 良好 (温度60℃で120時間放置した後、上記剥離テスト
を実施) 耐ベンジン性 良好 (ベンジン1滴滴下後、自然乾燥) 耐弱アルカリ性 良好 (マイペット(花王株式会社製、商標)5vol%水溶
液滴下後、温度40℃、湿度90%で120時間放置) 耐指紋性 良好 (指紋を付着させた状態で温度60℃で120時間放置
し、外観を観察) 耐磨耗性 良好 (学振式磨耗試験機にて綿布を1kg/cm2 の圧力で
押し付けて、5000回往復させた後の外観を観察) 次に、上記のABS樹脂の表面上に形成した塗膜に対し
て、吸水性試験及び放水性試験を行った。比較対象は、
ABS樹脂の表面に何も付けないもの(無塗装品:A)
と、ABS樹脂の表面に、後述する下地層と同様の塗装
(アクリル−イソシアネートを主成分とするストロンエ
ースNo.17(カシュー株式会社製、商標、製品番
号)を10〜20μm程度の厚さに塗布、乾燥させたも
の)をしたもの(従来塗装品:B)である。
【0023】本実施形態Cは、40℃の温水に1時間浸
漬させると、図2に示すように、無塗装品A及び従来塗
装品Bに較べて高い吸水性を示す。この場合、基材であ
るABS樹脂にも吸水性があるが、これらの場合よりも
さらに高い吸水性を示していることが分かる。
【0024】つぎに、上記のように1時間温水に浸漬さ
せたものを温度20℃、湿度40%の環境で自然乾燥さ
せると、図3に示すように、無塗装品A及び従来塗装品
Bに較べて、本実施形態Cは極めて高い放水性を示す。
【0025】このように、上述の絹糸粉末を含む塗膜
は、高い吸水性及び放水性を備えており、また、肌触り
が良好である。したがって、腕時計などの外装ケースや
バンドなどの表面塗料としては感触が良好で極めて好適
である。特に、後述する実施例に示すように、常時人肌
が接触する裏蓋に上記塗膜を形成した場合、高温高湿の
環境下においても、汗などが皮膚と裏蓋との間に滞留し
にくくなり、汗の発散性が格段に向上したことによっ
て、皮膚の炎症の発生確率が大幅に低減された。また、
感覚的にも、べとつき感などの不快感が一掃され、きわ
めて良好な装着性が得られた。さらに、上述の塗膜を形
成した製品は、外観上も、従来の塗装にないフェルト様
の質感に絹糸粉末独特の光散乱による特性が加わり、高
級感のあるものとなった。これは、絹糸粉末の混入によ
る表面の微細な凹凸形状と、絹糸粉末の光学的特性とに
起因するものと思われる。
【0026】上記の絹糸粉末を含む塗液による塗装は、
上述のように外装ケースの基材表面に直接行うことも可
能であるが、密着性や耐蝕性を高めるためには、図1に
示すように、基材10の表面上に下地層20を形成し、
この下地層20の表面上に上記塗膜30を形成すること
が好ましい。ここで、塗膜30は、上述のものと同様に
ウレタン系樹脂31の中に細かな絹糸粒子32が分散さ
れたものとなる。
【0027】下地層20は、外装ケースの基材10の材
質によって種々のものがある。一般に基材10が合成樹
脂からなる場合には上述のように直接に絹糸粉末を含む
塗液を用いて塗膜30を形成してもよいが、特に、ステ
ンレス鋼、洋白などの金属若しくはメッキなどにより形
成された金属表面には、下地層20を形成した後に合成
樹脂層をアンダーコートとして形成した方が密着性や耐
蝕性を高めることができる。
【0028】下地層20を形成するための塗液として
は、アクリル樹脂、アクリル−イソシアネート、アクリ
ル−ウレタン又はアクリル−シリコーンなどを主成分と
し、適宜の溶剤、硬化剤を添加した2液混合型の塗液、
エポキシ樹脂を主成分とする1液焼付型の塗液などがあ
る。ここで、基材表面がポリカーボネート樹脂やABS
樹脂である場合には、アクリル−イソシアネートを主成
分とするストロン#100(カシュー株式会社製、商
標、製品番号)が好ましく、基材表面がレニー(ポリア
ミドMXD6樹脂、三菱エンジニアリングプラスチック
ス株式会社製、商標)やUポリマー(ポリアクリレート
樹脂、ユニチカ製、商標)である場合には、アクリル−
イソシアネートを主成分とするストロンエースNo.1
7(カシュー株式会社製、商標、製品番号)が好まし
く、さらに、SUS303BやSUS304などのステ
ンレス鋼である場合には、EP#1100(エポキシ樹
脂、カシュー株式会社製、製品番号)が好ましい。
【0029】基材としてステンレス鋼、下地層20用の
塗液としてEP#1100を用いた場合の下地形成に際
しては、たとえば、溶剤により希釈した塗液をスプレー
ガンにより吹付け、150℃で20分の乾燥を行い、約
10〜20μmの厚さの下地層を形成することができ
る。
【0030】上述のようにして、ABS樹脂、レニー
(商標)、Uポリマー(商標)、ポリカーボネートの各
材料で成形した腕時計の外装ケースと、ステンレス鋼に
より形成した裏蓋(上記外装ケースに対応するもの)と
に対して、それぞれ、下地層20及び塗膜30を上記の
ようにスプレー及び乾燥工程によって被着した。そのサ
ンプル番号1〜10(サンプル番号11は上記と同様の
従来塗装品Bである。)、基材の材料名及び塗膜形成後
の試料の表面色、下地層の塗液名、下地層の乾燥条件、
塗膜の仕上乾燥条件を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】なお、本発明に係る実施例であるサンプル
番号1〜10の試料については、すべて、上記の実施形
態と同様に、従来よりも高い吸湿性及び放湿性を備え、
良好な肌触りを有するものであった。これらの計11個
のサンプルについて、腕時計の外装ケース及び裏蓋とし
ての性能試験を行った。その結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】ここで、丸印は従来塗装品とほぼ同様の性
能であることを示し、三角印は従来塗装品よりも性能は
低下するものの実用レベルであることを示している。な
お、バツ印は従来塗装品よりも性能が悪化し、実用にな
らないものを示すものとしたが、表2中には該当するも
のは存在しなかった。二重丸印は、従来塗装品よりも高
い性能を示す項目にのみ記載した。
【0035】表2の密着性については、基材を90度折
り曲げて塗膜に異常が生じないか否かを確認する折り曲
げ試験と、1mm角部分をカットし、セロテープ接着後
剥離して塗膜が剥離しないか否かを確認する剥離試験の
2つの試験の結果により評価した。この2つの試験に対
して共に異常がない場合のみ実用的であるとした。サン
プル番号7番の試料(ポリカーボネート製の外装ケー
ス)についてのみ塗膜の浮きが発生したものが多少あっ
たが、ほとんど実用的には支障がないものであった。
【0036】耐磨耗性については、セーム皮を表面に接
触させて400g・fの荷重を加えて3万回の往復動作
により磨耗がどの程度進行するかによって評価した。耐
磨耗性は各実施例とも従来塗装品よりも性能が低下して
いるが、1.5万回以上の動作によって下地が露出しな
い状態を実用レベルとした結果、いずれの試料も実用レ
ベル内に収まった。
【0037】耐衝撃性については、上下左右前後の6姿
勢で床上1.0m及び1.5mから自由落下を行い、外
観の異常の有無を確認する落下試験を行って評価した。
全ての試料について、いずれの高さから落下させても異
常は見られなかった。
【0038】耐熱性については、100℃の雰囲気中に
おいて2時間及び5時間の放置にて異常の有無を確認す
る高温放置試験と、60℃で16時間放置した場合にお
ける異常の有無及び−10℃で16時間放置した場合に
おける異常の有無を確認する温度特性試験と、20℃か
ら60℃へ、60℃から−20℃への変化を繰り返す熱
サイクル試験とを行って評価した。全ての試料におい
て、いずれの試験についても異常は発見されなかった。
【0039】耐水性については、40℃の温水に浸漬さ
せて5日、10日、15日保持した場合の異常の有無を
確認する低温水浸漬試験と、80℃の純水に浸漬させて
5日、7日、10日保持した場合の異常の有無を確認す
る高温水浸漬試験とによって評価した。低温水浸漬試験
においては全ての試料について最高15日間の浸漬によ
っても異常が発見されなかった。高温水浸漬試験におい
ては、サンプル番号7の試料(ポリカーボネート製の外
装ケース)について塗膜の浮きが発生したものもあっ
た。また、サンプル番号3及び4の試料(レニー製の外
装ケース)については、10日間の浸漬によって一部の
試料に塗膜浮きが見られた。
【0040】耐湿性については、温度40℃、湿度90
%の環境下で200時間放置し、異常の有無を確認し
た。全ての試料について異常は見られなかった。
【0041】耐蝕性については、人工汗又は食塩水に半
浸漬(人工汗又は食塩水に浸したガーゼに接触させ
る。)させた状態で24時間、48時間、72時間放置
し、異常の有無を確認した。サンプル番号3の試料(レ
ニー製の基材を用いた黒色の外装ケース)について48
時間経過後に塗膜浮きの発生したものがあった。
【0042】耐薬品性については、エタノール、アセト
ン、石油(灯油)及び食器洗剤にそれぞれ綿棒の先を浸
漬させた後、綿棒の先にて表面を5往復擦った。全ての
試料について異常は認められなかった。
【0043】汚れ付着性については、コーヒー及びしょ
うゆに1分間浸漬させた後水洗し、異常の有無を確認し
た。また、指を押し付けた後にふき取りを行い、異常の
有無を確認した。全ての試料について異常は認められな
かった。
【0044】耐擦傷性については、鉛筆硬度2B、H
B、2H、4Hの芯を入れたシャープペンシルによって
100g・fの圧力で表面を擦り、表面の異常を観察し
た。全ての試料について異常は認められなかった。
【0045】吸放湿性については、温度80℃の環境下
で2時間乾燥させた後、温度40℃、湿度90%の高温
高湿の環境下で1時間放置して重量変化を測定し、その
後、温度20℃、湿度40%の環境下で1時間放置後及
び2時間放置後の重量変化を測定する吸放湿性試験と、
温度80℃の環境下で2時間乾燥させた後、温度40℃
の温水に浸漬して1時間放置の重量変化を測定し、その
後、温度20℃、湿度40%の環境下で1時間経過後及
び2時間経過後の重量変化を測定する吸放水試験とを行
って評価した。なお、サンプル番号8〜10について
は、ステンレス鋼の裏蓋であることから吸湿性、放湿
性、吸水性、放水性とも0を基準として評価を行った。
本願の実施例はいずれも高い吸放湿性及び吸放水性を示
し、肌触りも良好である。
【0046】触感については、従来塗装品(サンプル番
号11)を基準として肌触りの良否を検査した。サンプ
ル番号1〜10の試料はいずれも従来塗装品よりもきわ
めて良好な肌触りを有し、特に、裏蓋の表面上に上記塗
膜を形成したサンプル番号8〜10の試料については、
腕時計として装着感も好ましく、汗ばんでも張り付き感
のないものであった。
【0047】上記のステンレス鋼の表面上に塗膜30を
形成した裏蓋においては、下地層20及び塗膜30の厚
さが従来の塗膜の厚さよりも厚くなるために、マーキン
グや刻印文字などが視認不可能になってしまうが、その
代わりに、レーザ照射によって塗膜30を除去すること
によって、マーキング及び刻印文字を描画することが可
能である。マーキングや文字の刻印は、レーザ照射によ
って照射部分の塗膜が分解し、炭化することから、容易
に実施することができる。また、塗膜の加熱によって、
除去部分に臨む塗膜の縁部は、一般にやや硬化し、当該
部分からの塗膜の剥離、破損などの問題も特に生じな
い。
【0048】以上説明したように、上記各実施形態にお
いては、実用上充分な特性を備えた時計用の外装部品の
表面構造が形成されており、特に、高い吸放水性若しく
は吸放湿性によって高温高湿の環境下でも快適に装着す
ることができるとともに、本来的に絹糸粉末による柔ら
かで肌触りの良い感触を備えており、金属アレルギーな
どの危険性もなく、肌荒れを誘発し難い時計用外装部品
を提供することができる。
【0049】また、本実施形態の塗膜の表面は、絹糸粉
末の特性によって極めて高級感のある質感の高い外観を
備えており、絹糸粉末の粒度及び粉末自体の外面状態に
よって自然な凹凸表面及び光散乱特性が得られるため、
全体としてフェルト様の外観となり、合成樹脂に多い、
いわゆるプレーンな印象を完全に払拭することができ
る。
【0050】上記実施形態及び各実施例においては、い
ずれも外装ケース又は裏蓋に対して表面層である塗膜を
形成しているが、時計用外装部品としては、上述のもの
に限定されることなく、時計バンドやバンド止め金具な
どにも適用することができる。また、時計用外装部品に
限定されることなく、携帯電話、ポケットベル、情報携
帯端末などの携帯式電子機器や、腕輪、指輪などの各種
装身具、さらには、キーボード、マウスなどの各種OA
機器の外装部品の表面に適用することができる。特に、
人肌に触れる機会の多い物品の外面に適用することが効
果的である。
【0051】また、上述の説明では、塗装によって絹糸
粉末の混合された表面層である塗膜を形成しているが、
絹糸粉末を混合させたインクを用いたスクリーン印刷そ
の他の各種印刷法や、絹糸粉末を混合させた樹脂を用い
た射出成形などの各種成形法などによって絹糸粉末を混
合させた表面材質を形成したものであってもよい。
【0052】上記の表2には、サンプル番号12とし
て、射出成形により形成した腕時計バンドの特性を示
す。この試料は、ポリウレタンエラストマーを主成分と
するウレタン系樹脂(たとえば、「レザミンP4590
(大日精化工業社製、商標、製品番号)」)に上述と同
様の絹糸粉末を10wt%混練し、所定の金型を用いて
成形温度約210℃、成形圧力約50kg/cm2 、射
出保圧時間30〜60秒で射出成形を行ったものであ
る。
【0053】このサンプル番号12の実施例において
も、上述の他の実施例と同様の触感、外観を得ることが
できた。また、密着性以外の他の特性についても、上述
と同様にほとんど問題がなかった。また、腕時計バンド
としての可撓性、弾性その他の機械的特性及び耐久性に
も支障がないものであった。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば以下
の効果を奏する。
【0055】請求項1によれば、絹糸の粉末を混合した
合成樹脂からなる表面材質を備えた外装部品とすること
により、肌触りが良好で、従来材質よりも吸放水性若し
くは吸放湿性が向上するため、不快感や肌の炎症などの
発生し難い製品を構成することができる。また、絹糸の
粉末を含有していることによって、絹糸の粉末の粒度に
起因する表面の凹凸状態や絹糸の粉末の光散乱特性によ
って視覚的にも質感を高めることができ、高級感のある
外観を備えた製品を得ることができる。
【0056】請求項2によれば、絹糸の粉末を混合した
合成樹脂からなる表面層を被着することにより、任意材
質の下地に対して上記の表面材質の特性を持たせること
ができるので、低コストで高品位の製品を提供できる。
【0057】請求項3によれば、合成樹脂を含む下地層
を形成することによって、基材と表面層との間の密着性
を向上させることができる。特に、基材として金属製材
料を用いる場合には密着性を大きく向上させることがで
きる。
【0058】請求項4によれば、表面層を部分的に除去
することによって各種表示用の文字や図形を表すことが
でき、絹糸の粉末を含む表面層の質感の高い外観と、表
面層の除去された下地とのコントラストによって視認性
の良好な文字及び図形を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の表面構造を示す拡大断
面図である。
【図2】本発明に係る塗膜を形成した樹脂製品の吸水性
を示すグラフである。
【図3】本発明に係る塗膜を形成した樹脂製品の放水性
を示すグラフである。
【符号の説明】
10 基材 20 下地層 30 塗膜 31 ウレタン系樹脂 32 絹糸粒子

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂中に絹糸の粉末を混合してなる
    表面材質を備えた外装部品。
  2. 【請求項2】 請求項1において、少なくとも基材の一
    部表面上に前記表面材質からなる表面層を備えた外装部
    品。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記基材の表面と前
    記表面層との間に合成樹脂を含む下地層を形成した外装
    部品。
  4. 【請求項4】 請求項2において、前記表面層を部分的
    に除去して文字や図形を表面上に表したことを特徴とす
    る外装部品。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に
    記載された外装部品を備えた電子機器。
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