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JPH11323145A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

Info

Publication number
JPH11323145A
JPH11323145A JP13168998A JP13168998A JPH11323145A JP H11323145 A JPH11323145 A JP H11323145A JP 13168998 A JP13168998 A JP 13168998A JP 13168998 A JP13168998 A JP 13168998A JP H11323145 A JPH11323145 A JP H11323145A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copolymer
thermoplastic resin
molecular weight
resin composition
ethylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP13168998A
Other languages
English (en)
Inventor
Masato Fujikake
正人 藤掛
Hideo Miyazaki
英男 宮崎
Naoyuki Hashimoto
直幸 橋本
Shinji Kato
真司 加藤
Kazuyuki Miura
一幸 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd filed Critical Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Priority to JP13168998A priority Critical patent/JPH11323145A/ja
Publication of JPH11323145A publication Critical patent/JPH11323145A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた帯電防止性および機械的強度、特に耐衝
撃強度に優れた成型品を与えるとともに、成形加工性、
特に成形時のメヤニやブリードアウトが少なく、成形性
が良好な熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、高分子
量アルキレンオキシド重合体(a)、低分子量アルキレ
ンオキシド重合体(b)および金属塩(c)からなる改
質剤(A)1〜50重量部と、エチレン共重合体(B)
1〜10重量部と、熱可塑性樹脂(C)100重量部と
からなるものである。成分(b)の割合は成分(a)に
対して5〜50重量%であり、成分(c)の割合は成分
(a)と成分(b)との合計量に対して0.3〜10重
量%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加工性、成形性が良好で
あり、帯電防止性および機械的強度、特に耐衝撃強度に
優れた成型品を与える熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂は成形加工が容易であり、
しかも成型品が優れた特性を有し、経済的な利点を有す
るため各種の用途に広く使用されている。特に熱可塑性
樹脂は電気絶縁性に優れているので電気絶縁体として電
気部品にも多く使用されているが、このことが一方では
成型品が帯電しやすいこと、埃が付着し汚れやすいなど
の問題を生じさせている。この問題を防ぐ手段として
は、熱可塑性樹脂に帯電防止性を付与する方法がある。
【0003】熱可塑性樹脂に帯電防止性を付与する方法
として、従来から帯電防止剤を表面に塗布したり、帯電
防止剤を樹脂に添加、練り込む方法などが行われてい
る。特に長期間帯電防止効果を付与するために、熱可塑
性樹脂に高分子量の帯電防止剤を配合することが提案さ
れている。例えば特開昭64−26674号公報には分
子量2万以上のエチレンオキシド共重合体を配合する方
法が提案されており、特開平6−200171号公報に
はエチレンオキシドを1成分とする分子量2万以上10
00万以下のアルキレンオキシド共重合体と金属塩とを
配合する方法が提案されている。
【0004】しかしながら、このような帯電防止剤は、
高分子量であるため溶融粘度が高く、熱可塑性樹脂との
粘度差が大きいため樹脂中に細かく分散しにくい。ま
た、射出成形などのような高剪断成形下においても表層
への濃縮が起こりにくいので、帯電防止剤を比較的多く
添加しなければならない。そのため得られた成型品の機
械的物性が低下し、帯電防止剤と熱可塑性樹脂との相溶
性の悪さから成形時にいわゆるメヤニ(押出機のダイの
出口の周りに溜まるカスのこと)やブリードアウト(成
型品の表面に添加剤等が吹き出てくること)といわれる
現象が発生し、樹脂組成物成分の成形装置への付着や成
型品の外観が損なわれるなどの問題がある。
【0005】このように、従来の高分子量の帯電防止剤
では、熱可塑性樹脂との相溶性が悪いため、帯電防止性
と機械的物性、特に成形加工性に優れた樹脂組成物を得
ることが困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで考え出されたものであって、優れた帯電防
止性および機械的強度、特に耐衝撃強度にも優れた成型
品を与えると共に、成形加工性、特に成形時のメヤニや
ブリードアウトが少なく、成形性が良好な熱可塑性樹脂
組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂に高分
子量アルキレンオキシド重合体、低分子量アルキレンオ
キシド重合体および特定の金属塩の3成分からなる改質
剤を添加し、さらに相溶化剤としてエチレン共重合体を
添加すると、帯電防止性および機械的強度に優れ、さら
に成形加工性にも優れた熱可塑性樹脂組成物が得られる
ことを見出し、本発明を完成させた。
【0008】すなわち、本発明は、高分子量アルキレン
オキシド重合体(a)、低分子量アルキレンオキシド重
合体(b)および金属塩(c)からなる改質剤(A)1
〜50重量部と、エチレン共重合体(B)1〜10重量
部と、熱可塑性樹脂(C)100重量部とからなり、前
記改質剤(A)中の成分(b)の割合が成分(a)に対
して5〜50重量%であり、前記改質剤(A)中の成分
(c)の割合が成分(a)と成分(b)の合計量に対し
て0.3〜10重量%であることを特徴としている。
【0009】本発明においては、相溶化剤としてエチレ
ン共重合体(B)を添加することによって、熱可塑性樹
脂(C)と改質剤(A)との相溶性が向上し、改質剤
(A)が熱可塑性樹脂(C)中に細かく分散されるよう
になる。このため、改質剤(A)を比較的少量添加する
だけで、優れた帯電防止性を有し、かつ耐水性および機
械的強度、特に耐衝撃強度や成形加工性にも優れた熱可
塑性樹脂組成物が得られると考えられる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、詳しく説明する。
【0011】まず、本発明における改質剤(A)は、高
分子量アルキレンオキシド重合体(a)、低分子量アル
キレンオキシド(b)および金属塩(c)からなるもの
である。
【0012】このうち、高分子量アルキレンオキシド重
合体(a)としては、重量平均分子量が20万〜100
0万、好ましくは50万〜600万の高分子量アルキレ
ンオキシド単独重合体および/または高分子量アルキレ
ンオキシド共重合体が挙げられる。重量平均分子量が2
0万未満では持続的な帯電防止効果が得られにくい。重
量平均分子量が1000万を超えると、高分子量アルキ
レンオキシド重合体(a)が改質剤における他の成分と
混練しにくくなり、成型品の表面状態も悪くなる傾向が
ある。
【0013】高分子量アルキレンオキシド単独重合体と
しては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシ
ドなどが挙げられ、とりわけ重量平均分子量が20万〜
1000万のポリエチレンオキシドが好ましく用いられ
る。
【0014】高分子量アルキレンオキシド共重合体とし
ては、エチレンオキシドを1成分として含むアルキレン
オキシド共重合体が好ましい。高分子量アルキレンオキ
シド共重合体におけるエチレンオキシド以外の成分とし
ては、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロ
ヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒド
リンなどがあげられる。なかでもプロピレンオキシドが
好ましい。高分子量アルキレンオキシド共重合体は、適
当なアルカリ、金属触媒などの存在下にエチレンオキシ
ドとその他の共重合可能なアルキレンオキシドとを共重
合して製造できる。その製造法には特に制限はなく、公
知の方法や特開平5−17566号公報に記載の方法を
使用することができる。
【0015】高分子量アルキレンオキシド共重合体中の
エチレンオキシドとその他のアルキレンオキシドとの組
成比に特別の制限はないが、高分子量アルキレンオキシ
ド共重合体に含まれているエチレンオキシドのモル組成
割合は、この共重合体全体に対して60〜99%である
ことが好ましい。モル組成割合が前記範囲にあることに
よって共重合体の結晶化度を低下することができ、樹脂
に対する相溶性が改善されて(低分子量アルキレンオキ
シド(b)が共存することを前提とするが)、帯電防止
性に優れた樹脂組成物が得られる。エチレンオキシドの
モル組成割合が60%未満では、配合量に見合った帯電
防止効果が得られないおそれがある。
【0016】一方、低分子量アルキレンオキシド重合体
(b)としては、重量平均分子量が5000〜2000
0、好ましくは10000〜15000の低分子量アル
キレンオキシド単独重合体および/または低分子量アル
キレンオキシド共重合体が挙げられる。重量平均分子量
が5000未満では、低分子量アルキレンオキシド重合
体(b)が他の成分と分離を起こしたりして、成型品の
表面状態が悪化することがある。重量平均分子量が20
000より大きい場合には、改質剤の溶融粘度を下げる
効果が十分得られないおそれがある。
【0017】低分子量アルキレンオキシド単独重合体と
しては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシ
ドなどが挙げられ、とりわけ重量平均分子量が5000
〜20000のポリエチレンオキシドが好ましい。
【0018】低分子量アルキレンオキシド共重合体とし
ては、エチレンオキシドを1成分として含むアルキレン
オキシド共重合体が好ましい。前記低分子量アルキレン
オキシド共重合体のエチレンオキシド以外の成分として
は、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘ
キセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリ
ンなどがあげられる。なかでもプロピレンオキシドが好
ましい。その製造法には特に制限はなく、公知の方法を
利用できる。
【0019】低分子量アルキレンオキシド共重合体中の
エチレンオキシドとその他のアルキレンオキシドとの組
成比に特別の制限はないが、アルキレンオキシド共重合
体に含まれるエチレンオキシドのモル組成割合が60〜
99%であることが好ましい。
【0020】本発明で使用される金属塩(c)は、アル
カリ金属またはアルカリ土類金属を有する金属塩である
のが好ましく、具体的には下記式(1) MXn (1) で示されるイオン解離性金属塩または、下記式(2) (R−SO3 n M (2) で示される有機スルホン酸金属塩が挙げられる。ここ
で、式(1)に示されているMはアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属を表し、Xはハロゲン原子、SCN、C
lO4 、BF4 、PF6 、B[Ph]4 (ただし、Ph
はフェニル基)、CF3 、SO3 、またはCF3 CO2
を表し、nは1または2を表す。式(2)に示されてい
るRはアルキル基またはアルキルフェニル基を表し、M
およびnについては式(1)の場合と同様である。
【0021】式(1)で示されるイオン解離性金属塩と
しては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカ
リ金属、またはマグネシウム、カルシウムなどのアルカ
リ土類金属を有しており、フッ素イオン(F- )、塩素
イオン(Cl- )、臭素イオン(Br- )、ヨウ素イオ
ン(I- )、チオシアン酸イオン(SCN- )、過塩素
酸イオン(ClO4 - )、テトラフルオロほう酸イオン
(BF4 - )、ヘキサフルオロリン酸イオン(P
6 - )、テトラフェニルほう酸イオン(B[Ph] 4
- )(ただし、Phはフェニル基を示す)、トリフルオ
ロメタンスルホン酸イオン(CF3 SO3 - )、または
トリフルオロ酢酸イオン(CF3 CO2 - )を遊離す
る。
【0022】また、式(2)で示される有機スルホン酸
金属塩としては、炭素数が1〜30の直鎖または分枝ア
ルキル基もしくはアルキルフェニル基を有するスルホン
酸金属塩が好ましく、例えばメチル、オクチル、ドデシ
ル、ステアリル、ベヘニルなどのアルキルスルホン酸金
属塩、およびドデシルベンゼンなどのアルキルフェニル
スルホン酸金属塩などがあげられる。塩を構成する金属
としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアル
カリ金属、およびマグネシウム、カルシウムなどのアル
カリ土類金属の中から任意に選択することができる。
【0023】式(1)または式(2)で示される金属塩
(c)は、単独で添加しても、2種以上を適宜混合して
添加してもよい。式(1)または式(2)で示される金
属塩(c)の他に酢酸リチウム、プロピオン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸カリウムなどのカルボン酸金属塩を用
いることもできる。
【0024】前記高分子量アルキレンオキシド重合体
(a)、低分子アルキレンオキシド重合体(b)および
金属塩(c)からなる改質剤(A)において、成分
(b)の割合は成分(a)に対して5〜50重量%、好
ましくは10〜40重量%である。成分(b)の成分
(a)に対する割合が5重量%より少ない場合、十分な
帯電防止効果が得られない。50重量%を超えると、改
質剤としての加工性が悪化したり、熱可塑性樹脂組成物
を成形した場合、表面への滲み出しなどがおこり、成型
品の表面状態が悪化するおそれがある。
【0025】前記改質剤(A)において、成分(c)の
割合は、成分(a)と成分(b)の合計量に対して0.
3〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。成分
(c)の成分(a)と成分(b)の合計量に対する割合
が0.3重量%より少ない場合、十分な帯電防止効果が
得られない。成分(c)の割合が10重量%を超える場
合、添加量を多くしただけの効果が得られない。
【0026】本発明において、相溶化剤として使用され
るエチレン共重合体(B)としては、エチレンとカルボ
キシル基含有モノマーとの共重合体、エチレンとカルボ
ン酸エステル含有モノマーとの共重合体などが挙げられ
る。カルボキシル基含有モノマーとは、単にカルボキシ
ル基を有するモノマーだけでなく、その塩及び無水物な
どの誘導体も含むものをいう。同様にカルボン酸エステ
ル含有モノマーとは、単にカルボン酸エステルを有する
モノマーだけでなく、その塩及び無水物などの誘導体も
含むものをいう。
【0027】前記エチレン共重合体(B)の具体例とし
ては、例えばエチレン−アクリル酸共重合体、エチレン
−メタクリル酸共重合体およびその部分中和物、エチレ
ン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸
エチル共重合体のようなエチレンーアクリル酸エステル
共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、
エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合
体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢
酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらのなかで
も、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタク
リル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合
体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体などが好
ましく用いられ、とりわけエチレン−アクリル酸エチル
共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体が好
ましい。
【0028】前記エチレン共重合体(B)に含まれるカ
ルボキシル基含有モノマーの割合、またはカルボン酸エ
ステル含有モノマーの割合には特に制限はないが、カル
ボキシル基含有モノマーの含有量、カルボン酸エステル
含有モノマーの含有量が1〜50重量%であるエチレン
共重合体が好ましい。
【0029】エチレン共重合体(B)を添加することに
より優れた効果が得られる理由は明らかではないが、改
質剤(A)であるポリアルキレンオキシド重合体の酸素
原子と、カルボン酸エステルを含有するエチレン共重合
体(B)との相互作用により、改質剤(A)と熱可塑性
樹脂(C)との相溶性が改善されると推測される。
【0030】本発明で使用される熱可塑性樹脂(C)は
特に限定されるものでなく、一般的な熱可塑性樹脂を使
用することができる。例えばポリエチレン、ポリプロピ
レンなどのポリオレフィン系樹脂や、ポリスチレン、ア
クリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS
樹脂)などのスチレン系樹脂や、ポリメタクリル酸メチ
ル、ポリメタクリル酸エチルなどのポリメタクリル酸エ
ステル系樹脂や、酢酸ビニル樹脂や、ビニルアルコール
系樹脂や、塩化ビニル系樹脂や、含フッ素系樹脂や、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレー
ト、エーテル−エステル共重合体などのポリエステル系
樹脂や、ポリウレタン系樹脂や、ポリアミド系樹脂や、
ポリカーボネート系樹脂や、ポリアセタール系樹脂など
が挙げられる。特にポリエチレン、ポリプロピレン、塩
化ビニル、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共
重合体などが好ましく、その中でも特にポリエチレン、
ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を用いた場
合に、配合された改質剤(A)の効果が顕著になる。こ
れらの熱可塑性樹脂は単独で用いても、2種類以上を適
宜混合して用いても良い。
【0031】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
熱可塑性樹脂(C)100重量部に対して前記改質剤
(A)を1〜50重量部、エチレン共重合体(B)を1
〜10重量部、好ましくは2〜5重量部添加する。改質
剤(A)の添加量が1重量部未満では、十分な帯電防止
効果が得られない。改質剤(A)の添加量が50重量部
を超えている場合、機械的強度の低下や表面状態の悪化
などが起こり、熱可塑性樹脂の特性が損なわれる。ま
た、エチレン共重合体(B)の添加量が10重量部を超
える場合には、多く添加しただけの効果が得られない。
エチレン共重合体(B)の添加量が1重量部より少ない
場合、相溶化剤としての効果が得られない。
【0032】次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造
方法について説明する。なお、混練機、混練方法、配合
成分の添加時期など、熱可塑性組成物の製造方法に関す
るものは、特に制限されるものではない。以下、製造方
法の一例について説明する。
【0033】まず、単軸押出機、2軸押出機、ニーダ、
2軸混練機などによって高分子量アルキレンオキシド重
合体(a)と低分子量アルキレンオキシド重合体(b)
と金属塩(c)とを所定の割合で配合し、これら3成分
を温度範囲70〜120℃で混練、ペレット化したもの
を改質剤(A)とする。次に、単軸押出機、2軸押出
機、ニーダ、2軸混練機などを用い、温度範囲70〜2
70℃でこの改質剤(A)、エチレン共重合体(B)お
よび熱可塑性樹脂(C)を所定の割合で混練し、熱可塑
性樹脂組成物とする。
【0034】上記エチレン共重合体(B)の添加方法に
ついては、改質剤(A)、エチレン共重合体(B)、熱
可塑性樹脂(C)の3成分をドライブレンドしてから同
時に溶融混合するか、あらかじめ改質剤(A)とエチレ
ン共重合体(B)、またはエチレン共重合体(B)と熱
可塑性樹脂(C)とを混合溶融させた後、残りの成分を
添加して混合するものとする。
【0035】本発明の熱可塑性樹脂組成物は単独で成型
品となることができる。あるいは本発明の熱可塑性樹脂
組成物をコンパウンド(マスターバッチ)とし、他の汎
用樹脂に配合して射出成形、圧縮成形、吹込成形、押出
成形など通常の方法によって成型品を製造することがで
きる。
【0036】上記のほか、本発明の熱可塑性樹脂組成物
には帯電防止性を損なわない程度の量の可塑剤、酸化防
止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、滑剤、顔料、
補強剤、加硫剤、加硫促進剤などを添加することができ
る。これらの他に添加する成分があれば、添加する目的
に応じて適量を配合することができる。
【0037】
【実施例】次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、実施
例および比較例によってさらに具体的に説明する。実施
例および比較例における配合成分とその取得法、および
得られた樹脂組成物の物性の測定法は、以下に説明する
ものを採用した。なお、[]内に記載されている略号
(アルファベット)については、以下に説明するとおり
であり、表1にそのまま記載している。
【0038】1.改質剤(A)の配合成分 取得法:有機亜鉛化合物−アルコール系触媒を用い、エ
チレンオキシドおよびプロピレンオキシドの仕込量を変
化させ、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのモル
組成割合の異なる下記3種類のアルキレンオキシド共重
合体を得た。各重合体の組成割合は、核磁気共鳴スペク
トル分析で分析した。 (a)高分子量アルキレンオキシド重合体 (単独重合体) [A]:エチレンオキシド単独重合体 重量平均分子量 200万 (共重合体) [B]:エチレンオキシド(90%) −プロピレンオキシド(10%)共重合体 重量平均分子量 200万 [C]:エチレンオキシド(80%) −プロピレンオキシド(20%)共重合体 重量平均分子量 200万 [D]:エチレンオキシド(80%) −プロピレンオキシド(20%)共重合体 重量平均分子量 400万
【0039】 (b)低分子量アルキレンオキシド重合体 (単独重合体) [L]:エチレンオキシド単独重合体 重量平均分子量 15000 (共重合体) [M]:エチレンオキシド(80%) −プロピレンオキシド(20%) 共重合体 重量平均分子量 13000 (エパンU−180:第一工業製薬(株)製) [N]:エチレンオキシド(75%) −プロピレンオキシド(25%) 共重合体 重量平均分子量 15000 (ユ−コン75H:ユニオンカーバイド製)
【0040】(c)金属塩 (前記式(1)で示されるイオン解離金属塩) [X]:NaSCN(チオシアン酸ナトリウム) (前記式(2)で示される有機スルホン酸金属塩) [W]:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
【0041】2.エチレン共重合体(B) [EEA]:エチレン−アクリル酸エチル共重合体 EA含量41%(MB870:日本ユニカー(株)製) [EMMA]:エチレン−メタクリル酸メチル共重合体 MMA含量38%(アクリフトWM506:住友化学
(株)製)
【0042】3.熱可塑性樹脂(C) [PP]:ポリプロピレン樹脂(ノーブレンH501:
住友化学(株)製) [PE]:ポリエチレン樹脂(ケミレッツHD−121
0:丸善ポリマー(株)製) [ABS]:ABS樹脂(トヨラック500:東レ
(株)製)
【0043】4.樹脂組成物成型品の物性測定方法 (1)表面抵抗率(単位:Ω) 樹脂組成物を射出成形して直径10cm、厚さ0.2c
mの円板状の試験片を2個作製した。このうちの1個を
温度23℃、相対湿度50%の条件で24時間保持し、
洗浄前の試験片とした。前記試験片とは別に、残りの1
個の試験片を純水に15分間浸漬した。その後、試験片
の表面を純水で洗浄してから温度23℃、相対湿度50
%の雰囲気の中で24時間放置し、これを洗浄後の試験
片とした。両方の試験片の表面抵抗率を温度23℃、相
対湿度50%の条件下で測定し、洗浄前後の帯電防止性
として評価した。表面抵抗率は、極超絶縁計(SM−8
210:東亜電波工業(株)製)を用い、測定電圧10
0V、印加時間1分という条件で測定した。なお、表面
抵抗率が1012Ω以下の範囲にあれば帯電防止機能が十
分であると評価できる。
【0044】(2)アイゾット衝撃強度(単位:kJ/
2 ) JIS K7110に準じ、樹脂組成物を射出成形して
ノッチをいれ、インパクトテスター(東洋精機(株)
製)を使用して衝撃強度を測定した。
【0045】(3)成形時の加工状態 加工状態が良好なものを○とし、メヤニやブリードアウ
トがあるものを×とした。
【0046】〔実施例1〕重量平均分子量200万のエ
チレンオキシド(80%)−プロピレンオキシド(20
%)共重合体10重量部、重量平均分子量13000の
エチレンオキシド(80%)−プロピレンオキシド(2
0%)共重合体(エパンU−180:第一工業製薬
(株)製)1重量部、チオシアン酸ナトリウム0.3重
量部および酸化防止剤(スミライザーBHT:住友化学
(株)製)0.1重量部を電気加熱式2本ロール混練機
(TM型:安田精機製)を用いて、100〜120℃で
10〜20分間混練した後、ペレット化して改質剤とし
た。次に、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(MB
870:日本ユニカー(株)製)2重量部と、ポリプロ
ピレン樹脂(ノーブレンH501:住友化学(株)製)
100重量部と、上記改質剤11.4重量部とを混合し
た後、2軸押出機(直径30mm)を用いて180〜24
0℃で溶融、混練後にペレット化し、このペレットを本
発明の熱可塑性樹脂組成物とした。得られたペレットを
熱空気循環オーブン中75〜80℃で6時間以上かけて
完全に乾燥させた後、射出成形機(日本製鋼所(株)
製)を用いて、シリンダー温度200〜230℃、金型
温度40℃で成形し、各試験に応じた試験片を作製し
た。これらの試験片を使用し、各物性評価を行った。得
られた結果を表1に示す。
【0047】〔実施例2〕本実施例においては、実施例
1における重量平均分子量13000のエチレンオキシ
ド(80%)−プロピレンオキシド(20%)共重合体
(エパンU−180:第一工業製薬(株)製)1重量部
の代わりに、重量平均分子量15000のエチレンオキ
シド(75%)−プロピレンオキシド(25%)共重合
体(ユーコン75H:ユニオンカーバイド製)2重量部
を用いた。それ以外の組成を実施例1と同様にし、本発
明の熱可塑性樹脂組成物を得た。この熱可塑性樹脂組成
物から実施例1と同様の方法で試験片を作製し、各物性
評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0048】〔実施例3〕本実施例においては、実施例
2における改質剤を使用し、ポリプロピレン樹脂に混合
する上記改質剤の量を24.8重量部、エチレン−アク
リル酸エチル共重合体(MB870:日本ユニカー
(株)製)の量を3重量部とした。それ以外の組成を実
施例2と同様にし、さらに実施例1と同様の方法で本発
明の熱可塑性樹脂組成物を得た。この熱可塑性樹脂組成
物から実施例1と同様の方法で試験片を作製し、各物性
評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0049】〔実施例4〕本実施例においては、実施例
2における改質剤を使用し、ポリプロピレン樹脂に混合
する上記改質剤の量を6.2重量部、エチレン−アクリ
ル酸エチル共重合体(MB870:日本ユニカー(株)
製)の量を1重量部とした。それ以外の組成を実施例2
と同様にし、さらに実施例1と同様の方法で本発明の熱
可塑性樹脂組成物を得た。この熱可塑性樹脂組成物から
実施例1と同様の方法で試験片を作製し、各物性評価を
行った。得られた結果を表1に示す。
【0050】〔実施例5〕本実施例においては、実施例
2におけるエチレン−アクリル酸エチル共重合体(MB
870:日本ユニカー(株)製)の代わりに、エチレン
−メタクリル酸メチル共重合体(アクリフトWM50
6:住友化学(株)製)を用いた。それ以外の組成を実
施例2と同様にし、さらに実施例1と同様の方法で本発
明の熱可塑性樹脂組成物を得た。この熱可塑性樹脂組成
物から実施例1と同様の方法で試験片を作製し、各物性
評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0051】〔実施例6〕本実施例においては、実施例
2におけるチオシアン酸ナトリウムの代わりにドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いた。それ以外の組
成を実施例2と同様にし、さらに実施例1と同様の方法
で本発明の熱可塑性樹脂組成物を得た。この熱可塑性樹
脂組成物から実施例1と同様の方法で試験片を作製し、
各物性評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0052】〔実施例7〕本実施例においては、実施例
2における重量平均分子量200万のエチレンオキシド
(80%)−プロピレンオキシド(20%)共重合体の
代わりに、重量平均分子量400万のエチレンオキシド
(80%)−プロピレンオキシド(20%)共重合体を
用いた。それ以外の組成を実施例2と同様にし、さらに
実施例1と同様の方法で本発明の熱可塑性樹脂組成物を
得た。この熱可塑性樹脂組成物から実施例1と同様の方
法で試験片を作製し、各物性評価を行った。得られた結
果を表1に示す。
【0053】〔実施例8〕本実施例においては、実施例
2における重量平均分子量200万のエチレンオキシド
(80%)−プロピレンオキシド(20%)共重合体の
代わりに、重量平均分子量200万のエチレンオキシド
(90%)−プロピレンオキシド(10%)共重合体を
用いた。それ以外の組成を実施例2と同様にし、さらに
実施例1と同様の方法で本発明の熱可塑性樹脂組成物を
得た。この熱可塑性樹脂組成物から実施例1と同様の方
法で試験片を作製し、各物性評価を行った。得られた結
果を表1に示す。
【0054】〔実施例9〕本実施例においては、実施例
2における重量平均分子量200万のエチレンオキシド
(80%)−プロピレンオキシド(20%)共重合体の
代わりに、重量平均分子量200万のエチレンオキシド
単独重合体を用い、さらに、実施例2で使用していた重
量平均分子量15000のエチレンオキシド(75%)
−プロピレンオキシド(25%)共重合体(ユーコン7
5H:ユニオンカーバイド製)の代わりに、重量平均分
子量15000のエチレンオキシド単独重合体を用い
た。それ以外の組成を実施例2と同様にし、さらに実施
例1と同様の方法で本発明の熱可塑性樹脂組成物を得
た。この熱可塑性樹脂組成物から実施例1と同様の方法
で試験片を作製し、各物性評価を行った。得られた結果
を表1に示す。
【0055】〔実施例10〕本実施例において、実施例
2におけるポリプロピレン樹脂(ノーブレンH501:
住友化学(株)製)の代わりに、ポリエチレン樹脂(ケ
ミレッツHD−1210:丸善ポリマー(株)製)を用
いた。それ以外の組成を実施例2と同様にし、さらに実
施例1と同様の方法で本発明の熱可塑性樹脂組成物を得
た。この熱可塑性樹脂組成物から実施例1と同様の方法
で試験片を作製し、各物性評価を行った。得られた結果
を表1に示す。
【0056】〔実施例11〕本実施例において、実施例
10におけるエチレン−アクリル酸エチル共重合体(M
B870:日本ユニカー(株)製)2重量部の代わり
に、エチレンメタクリル酸メチル共重合体(アクリフト
WM506:住友化学(株)製)3重量部を用いた。そ
れ以外の組成を実施例10と同様にし、さらに実施例1
と同様の方法で本発明の熱可塑性樹脂組成物を得た。こ
の熱可塑性樹脂組成物から実施例1と同様の方法で試験
片を作製し、各物性評価を行った。得られた結果を表1
に示す。
【0057】〔比較例1〕本比較例においては、実施例
に2におけるチオシアン酸ナトリウム0.3重量部を全
く添加せずそれ以外の組成を実施例2と同様にし、さら
に実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。
この熱可塑性樹脂組成物から実施例1と同様の方法で試
験片を作製し、各物性評価を行った。得られた結果を表
1に示す。
【0058】〔比較例2〕本比較例においては、実施例
2における重量平均分子量15000のエチレンオキシ
ド(75%)−プロピレンオキシド(25%)共重合体
(ユーコン75H:ユニオンカーバイド製)を全く添加
せず、それ以外の組成を実施例2と同様にし、さらに実
施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。この
熱可塑性樹脂組成物から実施例1と同様の方法で試験片
を作製し、各物性評価を行った。得られた結果を表1に
示す。
【0059】〔比較例3〕本比較例においては、高分子
量アルキレンオキシド重合体を全く添加せず、低分子量
アルキレンオキシド重合体として重量平均分子量150
00のエチレンオキシド(75%)−プロピレンオキシ
ド(25%)共重合体(ユ−コン75H:ユニオンカー
バイド製)10重量部、チオシアン酸ナトリウム0.3
重量部、酸化防止剤(スミライザーBHT:住友化学
(株)製)0.1重量部およびポリプロピレン樹脂(ノ
ーブレンH501:住友化学(株)製)100重量部を
混合した後、実施例1と同様の方法で試験片を作製し、
各物性評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0060】〔比較例4〕本比較例においては、実施例
2におけるエチレン−アクリル酸エチル共重合体(MB
870:日本ユニカー(株)製)を全く添加せずそれ以
外の組成を実施例2と同様にし、さらに実施例1と同様
の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。この熱可塑性樹脂
組成物から実施例1と同様の方法で試験片を作製し、各
物性評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0061】〔比較例5〕本比較例においては、実施例
2におけるエチレン−アクリル酸エチル共重合体(MB
870:日本ユニカー(株)製)の添加量を0.5重量
部に変更した。それ以外の組成を実施例2と同様にし、
さらに実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得
た。この熱可塑性樹脂組成物から実施例1と同様の方法
で試験片を作製し、各物性評価を行った。得られた結果
を表1に示す。
【0062】〔比較例6〕本比較例においては、実施例
2におけるエチレン−アクリル酸エチル共重合体(MB
870:日本ユニカー(株)製)の添加量を15重量部
に変更した。それ以外の組成を実施例2と同様にし、さ
らに実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得
た。この熱可塑性樹脂組成物から実施例1と同様の方法
で試験片を作製し、各物性評価を行った。得られた結果
を表1に示す。
【0063】〔比較例7〕改質剤を添加しないポリプロ
ピレン樹脂(ノーブレンH501:住友化学(株)製)
を用いて、実施例1と同様にして試験片を作製し、各物
性評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0064】〔比較例8〕本比較例においては、実施例
10におけるエチレン−アクリル酸エチル共重合体(M
B870:日本ユニカー(株)製)を全く添加しなかっ
た。それ以外の組成を実施例10と同様にし、さらに実
施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。この
熱可塑性樹脂組成物から実施例1と同様の方法で試験片
を作製し、各物性評価を行った。得られた結果を表1に
示す。
【0065】〔比較例9〕改質剤を添加しないポリエチ
レン樹脂(ケミレッツHD−1210:丸善ポリマー
(株)製)を用いて、実施例1と同様にして試験片を作
製し、各物性評価を行った。得られた結果を表1に示
す。
【0066】
【表1】
【0067】表1に示されるように、実施例1〜11の
試験片は、表面抵抗率、衝撃強度、加工状態の全ての特
性において良好である。これに対し比較例1〜9の試験
片は、上記特性の全てが良好なものは存在しないことが
確認された。具体的に説明すると、比較例1の試験片
は、改質剤(A)に金属塩(c)が全く含まれていない
ために、表面抵抗率および衝撃強度が低く、しかも外観
(加工状態)も悪くなっている。比較例2の試験片は、
改質剤(A)に低分子量アルキレンオキシド重合体
(b)が全く含まれていないので、改質剤(A)が熱可
塑性樹脂(C)中に分散しにくくなり、表面抵抗率が実
施例のものよりもかなり高くなっている。比較例3の試
験片は、改質剤(A)に高分子量アルキレンオキシド重
合体(a)が全く含まれていないので、衝撃強度が特に
低くなっている。比較例4の試験片は、エチレン共重合
体(B)が全く含まれていないので、改質剤(A)と熱
可塑性樹脂(C)との相溶性が悪くなり、外観(加工状
態)が悪くなっている。
【0068】このように、改質剤(A)、エチレン共重
合体(B)および熱可塑性樹脂(C)の全てが配合され
ることによって、実施例1〜11の試験片(本発明の熱
可塑性樹脂組成物)は、比較例1〜9(従来の熱可塑性
樹脂組成物)よりも、表面抵抗率、衝撃強度、加工状態
の全てに優れたものとなる。
【0069】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によっ
て、優れた帯電防止性及び機械的強度を有し、さらに成
形加工性も優れ、特に成形時のメヤニやブリードアウト
が少なく、外観等の表面状態が良好な熱可塑性樹脂組成
物が得られる。この熱可塑性樹脂組成物は、高分子量ア
ルキレンオキシド重合体(a)、低分子量アルキレンオ
キシド重合体(b)および金属塩(c)からなる改質剤
(A)と熱可塑性樹脂(C)とに、相溶化剤としてエチ
レン共重合体(B)が添加されたものである。エチレン
共重合体(B)によって、改質剤(A)と熱可塑性樹脂
(C)との相溶性が良くなるので成形時にメヤニが発生
しにくくなり、これまで問題となっていた成形装置への
樹脂組成物成分の付着を低減できる。また、射出成形や
シート成形を行なう場合、表層剥離や表面へのブリード
アウトがない成型品が得られる。
【0070】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記組成
をもつことによって、耐衝撃性や表面状態を良好に維持
できる効果をもつ。したがって、本発明の熱可塑性樹脂
組成物は、エレクトロニクス部品やOA機器の成形材料
として、安心して使用することができ、しかも、幅広い
用途が期待できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 33/08 C08L 33/08 //(C08L 101/00 71:02 23:08) (72)発明者 加藤 真司 兵庫県姫路市飾磨区入船町1番地 住友精 化株式会社第2研究所内 (72)発明者 三浦 一幸 兵庫県姫路市飾磨区入船町1番地 住友精 化株式会社第2研究所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子量アルキレンオキシド重合体
    (a)、低分子量アルキレンオキシド重合体(b)およ
    び金属塩(c)からなる改質剤(A)1〜50重量部
    と、エチレン共重合体(B)1〜10重量部と、熱可塑
    性樹脂(C)100重量部とからなり、 前記改質剤(A)中の成分(b)の割合が成分(a)に
    対して5〜50重量%であり、 前記改質剤(A)中の成分(c)の割合が成分(a)と
    成分(b)の合計量に対して0.3〜10重量%である
    熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記高分子量アルキレンオキシド重合体
    (a)の重量平均分子量が20万〜1000万である請
    求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記高分子量アルキレンオキシド重合体
    (a)が、高分子量アルキレンオキシド単独重合体およ
    び/または高分子量アルキレンオキシド共重合体である
    請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記高分子量アルキレンオキシド単独重
    合体がポリエチレンオキシドである請求項3に記載の熱
    可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記高分子量アルキレンオキシド共重合
    体がエチレンオキシドを1成分として含む共重合体であ
    り、この共重合体に含まれるエチレンオキシドのモル組
    成割合が前記共重合体全体に対して60〜99%である
    請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記低分子量アルキレンオキシド重合体
    (b)の重量平均分子量が5000〜20000である
    請求項1〜5のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 前記低分子量アルキレンオキシド重合体
    (b)が、低分子量アルキレンオキシド単独重合体およ
    び/または低分子量アルキレンオキシド共重合体である
    請求項1〜6のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  8. 【請求項8】 前記低分子量アルキレンオキシド単独重
    合体がポリエチレンオキシドである請求項7に記載の熱
    可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記低分子量アルキレンオキシド共重合
    体が、エチレンオキシドを1成分として含む共重合体で
    あり、この共重合体に含まれるエチレンオキシドのモル
    組成割合が前記共重合体全体に対して60〜99%であ
    る請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 前記金属塩(c)がアルカリ金属また
    はアルカリ土類金属を有する金属塩である請求項1〜9
    のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 前記金属塩(c)が下記式(1) MXn (1) (式中、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表
    し、Xはハロゲン原子、SCN、ClO4 、BF4 、P
    6 、B[Ph]4 (ただし、Phはフェニル基)、C
    3 、SO3 、またはCF3 CO2 を表し、nは1また
    は2を表す)で示されるイオン解離性金属塩、 または下記式(2) (R−SO3 n M (2) (式中、Rはアルキル基またはアルキルフェニル基を表
    し、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、
    nは1または2を表す)で示される有機スルホン酸金属
    塩である請求項10に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 前記エチレン共重合体(B)が、エチ
    レンとカルボキシル基含有モノマーとの共重合体、また
    はエチレンとカルボン酸エステル含有モノマーとの共重
    合体である請求項1〜11のいずれか1つに記載の熱可
    塑性樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 前記エチレン共重合体(B)が、エチ
    レン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エス
    テル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、また
    はエチレン−メタクリル酸エステル共重合体である請求
    項12に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 前記エチレン共重合体(B)に含まれ
    ているカルボキシル基含有モノマーの含有量、またはカ
    ルボン酸エステル含有モノマーの含有量が1〜50重量
    %である請求項12または13に記載の熱可塑性樹脂組
    成物。
  15. 【請求項15】 前記熱可塑性樹脂(C)がポリオレフ
    ィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリル酸
    エステル系樹脂およびポリスチレン系樹脂からなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種である請求項1〜14のいず
    れか1つに記載の熱可塑性樹脂組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008045029A (ja) * 2006-08-16 2008-02-28 Sumitomo Rubber Ind Ltd 導電性熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法及び成形物
JP2008045031A (ja) * 2006-08-16 2008-02-28 Sumitomo Rubber Ind Ltd 導電性熱可塑性エラストマー組成物、その製造方法及び成形物
US7744781B2 (en) 2006-08-16 2010-06-29 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Conductive thermoplastic elastomer composition, method of producing same, and molding

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