JPH11326568A - プラズマ安定化装置 - Google Patents
プラズマ安定化装置Info
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- JPH11326568A JPH11326568A JP10133678A JP13367898A JPH11326568A JP H11326568 A JPH11326568 A JP H11326568A JP 10133678 A JP10133678 A JP 10133678A JP 13367898 A JP13367898 A JP 13367898A JP H11326568 A JPH11326568 A JP H11326568A
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- coils
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E30/00—Energy generation of nuclear origin
- Y02E30/10—Nuclear fusion reactors
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 プラズマの垂直位置不安定性および非軸対称
不安定性を制御することが可能なプラズマ安定化装置を
提供する。 【解決手段】 核融合炉において用いるプラズマ安定化
装置において、プラズマ1を閉じ込める磁場中に配置さ
れたプラズマ安定化手段を備え、そのプラズマ安定化手
段が超電導コイル6a、6bからなることを特徴とす
る。
不安定性を制御することが可能なプラズマ安定化装置を
提供する。 【解決手段】 核融合炉において用いるプラズマ安定化
装置において、プラズマ1を閉じ込める磁場中に配置さ
れたプラズマ安定化手段を備え、そのプラズマ安定化手
段が超電導コイル6a、6bからなることを特徴とす
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマ安定化装
置に関し、より特定的には、超電導コイルを用いたプラ
ズマ安定化装置に関する。
置に関し、より特定的には、超電導コイルを用いたプラ
ズマ安定化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、次世代のエネルギー源として核融
合炉の研究開発が進められている。この核融合炉におい
ては、高温高密度のプラズマを発生させ、維持する必要
があるが、その有望な方式として磁場閉じ込め方式が挙
げられる。そして、この磁場閉じ込め方式を用いた核融
合炉の型式の1つとして、トカマク型の核融合炉が有力
視されている。
合炉の研究開発が進められている。この核融合炉におい
ては、高温高密度のプラズマを発生させ、維持する必要
があるが、その有望な方式として磁場閉じ込め方式が挙
げられる。そして、この磁場閉じ込め方式を用いた核融
合炉の型式の1つとして、トカマク型の核融合炉が有力
視されている。
【0003】図17は、従来研究されているトカマク型
の核融合炉の構造を示す模式図である。図17を参照し
て、従来のトカマク型の核融合炉の構造を説明する。
の核融合炉の構造を示す模式図である。図17を参照し
て、従来のトカマク型の核融合炉の構造を説明する。
【0004】図17を参照して、従来研究されているト
カマク型の核融合炉は、真空容器109と、トロイダル
コイル104と、ポロイダルコイル103とを備える。
核融合反応を起こすためのプラズマ101は、真空容器
109の内部に保持される。この真空容器109は、円
環状(ドーナツ状)の構造を有する。この真空容器10
9のまわりを囲むように、プラズマ101を閉じ込める
ための磁場を発生させる電磁石であるトロイダルコイル
104とポロイダルコイル103とが設置されている。
なお、現在では、ポロイダルコイル103はトロイダル
コイル104の外側に配置されるのが普通である。トロ
イダルコイル104は、真空容器109の周辺に円環状
の磁場を形成する。また、ポロイダルコイル103は、
トロイダルコイル104により形成された円環磁場に対
して垂直方向の磁場を形成する。また、プラズマ101
においては、プラズマ電流115が流される。このプラ
ズマ101中を流れるプラズマ電流115はそのまわり
に電流と直交する磁場を形成する。そして、これらのト
ロイダルコイル104とポロイダルコイル103とプラ
ズマ電流115とにより形成される磁場の合成磁場にお
ける磁力線は、図17に示す磁力線108のように、螺
旋状となりプラズマ101のまわりを周回する。このよ
うな磁場によって、プラズマ101を閉じ込めることが
できる。
カマク型の核融合炉は、真空容器109と、トロイダル
コイル104と、ポロイダルコイル103とを備える。
核融合反応を起こすためのプラズマ101は、真空容器
109の内部に保持される。この真空容器109は、円
環状(ドーナツ状)の構造を有する。この真空容器10
9のまわりを囲むように、プラズマ101を閉じ込める
ための磁場を発生させる電磁石であるトロイダルコイル
104とポロイダルコイル103とが設置されている。
なお、現在では、ポロイダルコイル103はトロイダル
コイル104の外側に配置されるのが普通である。トロ
イダルコイル104は、真空容器109の周辺に円環状
の磁場を形成する。また、ポロイダルコイル103は、
トロイダルコイル104により形成された円環磁場に対
して垂直方向の磁場を形成する。また、プラズマ101
においては、プラズマ電流115が流される。このプラ
ズマ101中を流れるプラズマ電流115はそのまわり
に電流と直交する磁場を形成する。そして、これらのト
ロイダルコイル104とポロイダルコイル103とプラ
ズマ電流115とにより形成される磁場の合成磁場にお
ける磁力線は、図17に示す磁力線108のように、螺
旋状となりプラズマ101のまわりを周回する。このよ
うな磁場によって、プラズマ101を閉じ込めることが
できる。
【0005】しかし、このような磁場閉じ込め方式を用
いた核融合炉においては、プラズマの電磁流体力学的不
安定性により、プラズマに擾乱が加えられると簡単にプ
ラズマの不安定現象が発生する。その結果、プラズマの
閉じ込めが破壊され、核融合反応を安定して発生させる
ことができなくなる。
いた核融合炉においては、プラズマの電磁流体力学的不
安定性により、プラズマに擾乱が加えられると簡単にプ
ラズマの不安定現象が発生する。その結果、プラズマの
閉じ込めが破壊され、核融合反応を安定して発生させる
ことができなくなる。
【0006】そのため、プラズマを安定して閉じ込める
技術は、核融合炉を実現するために非常に重要な要素技
術となっている。
技術は、核融合炉を実現するために非常に重要な要素技
術となっている。
【0007】ここで、プラズマにおいて発生する不安定
現象としては、プラズマの垂直方向における位置が変動
するプラズマの垂直位置不安定現象と、プラズマにおけ
る磁気島形成などに代表されるプラズマの非軸対称不安
定現象とが従来から問題となっている。
現象としては、プラズマの垂直方向における位置が変動
するプラズマの垂直位置不安定現象と、プラズマにおけ
る磁気島形成などに代表されるプラズマの非軸対称不安
定現象とが従来から問題となっている。
【0008】プラズマの垂直位置不安定現象に対して
は、従来、核融合炉の内部の常電導体構造物において発
生する誘導電流による受動的安定化機構と、外部制御電
源を有するコイルによる能動的安定化制御とを組合せて
対処してきている。具体的には、まず、プラズマの垂直
方向における位置の変動が発生した場合、プラズマの周
囲の磁場においても変動が発生する。ここで、このプラ
ズマの位置の変動は、マイクロ秒単位で発生する。そし
て、プラズマの位置の変動に伴い、磁場も変動する。こ
のような磁場の変動が発生した場合、核融合炉内部の構
造物などを構成する常電導体においては、この磁場の変
動を抑制するように誘導電流が発生する。この誘導電流
とプラズマとの磁気的相互作用によって、プラズマの垂
直方向における位置の変動は、ミリ秒単位にまで安定化
される。
は、従来、核融合炉の内部の常電導体構造物において発
生する誘導電流による受動的安定化機構と、外部制御電
源を有するコイルによる能動的安定化制御とを組合せて
対処してきている。具体的には、まず、プラズマの垂直
方向における位置の変動が発生した場合、プラズマの周
囲の磁場においても変動が発生する。ここで、このプラ
ズマの位置の変動は、マイクロ秒単位で発生する。そし
て、プラズマの位置の変動に伴い、磁場も変動する。こ
のような磁場の変動が発生した場合、核融合炉内部の構
造物などを構成する常電導体においては、この磁場の変
動を抑制するように誘導電流が発生する。この誘導電流
とプラズマとの磁気的相互作用によって、プラズマの垂
直方向における位置の変動は、ミリ秒単位にまで安定化
される。
【0009】その後、外部制御電源を有するコイルに電
流を流すことにより、プラズマの位置の変動に対応して
その変動を修正するように磁場を印加する。これによ
り、プラズマの垂直方向の位置を安定化する。
流を流すことにより、プラズマの位置の変動に対応して
その変動を修正するように磁場を印加する。これによ
り、プラズマの垂直方向の位置を安定化する。
【0010】また、磁気島形成などに代表されるプラズ
マの非軸対称不安定現象に対しては、外部制御電源を有
するコイルなどを用いて、能動的に磁気的制御を行なう
ことなどが検討されてはいるが、対策が技術的に確立さ
れたとはいえない状況である。
マの非軸対称不安定現象に対しては、外部制御電源を有
するコイルなどを用いて、能動的に磁気的制御を行なう
ことなどが検討されてはいるが、対策が技術的に確立さ
れたとはいえない状況である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記したようなプラズ
マの垂直位置不安定現象に対する対応においては、以下
に示すような問題があった。
マの垂直位置不安定現象に対する対応においては、以下
に示すような問題があった。
【0012】すなわち、炉内の常電導体構造物を利用し
た受動的安定化機構においては、常電導体が電気抵抗を
有するため、磁場の変化により発生した誘導電流がこの
常電導体の電気抵抗により減衰する。このため、誘導電
流によりプラズマの垂直方向での変位を修正する効果が
持続せず、その結果も不十分であった。
た受動的安定化機構においては、常電導体が電気抵抗を
有するため、磁場の変化により発生した誘導電流がこの
常電導体の電気抵抗により減衰する。このため、誘導電
流によりプラズマの垂直方向での変位を修正する効果が
持続せず、その結果も不十分であった。
【0013】また、実用となる核融合炉を想定した場合
には、現状よりもさらに、高温、高密度かつ大規模なプ
ラズマを、安定して閉じ込める必要がある。そのため、
このような高温、高密度かつ大規模なプラズマの垂直位
置不安定現象を能動的に制御するためには、現状よりも
さらに大容量の外部電源が必要となる。そして、現状の
技術のレベルでは、要求されるような大容量の外部電源
を得ることが困難である。また、上記したようなプラズ
マのマイクロ秒単位の垂直位置不安定現象を、センサー
などで計測し、その計測データを基にして能動的な制御
を行なう事は、センサーや制御装置などの応答速度など
を考慮すると、実現する事は困難である。
には、現状よりもさらに、高温、高密度かつ大規模なプ
ラズマを、安定して閉じ込める必要がある。そのため、
このような高温、高密度かつ大規模なプラズマの垂直位
置不安定現象を能動的に制御するためには、現状よりも
さらに大容量の外部電源が必要となる。そして、現状の
技術のレベルでは、要求されるような大容量の外部電源
を得ることが困難である。また、上記したようなプラズ
マのマイクロ秒単位の垂直位置不安定現象を、センサー
などで計測し、その計測データを基にして能動的な制御
を行なう事は、センサーや制御装置などの応答速度など
を考慮すると、実現する事は困難である。
【0014】さらに、核融合炉の経済性を向上させるた
め、プラズマの断面形状の非円形化が進められている。
ところが、この非円形化したプラズマにおいては、その
不安定性も増大する。そのため、従来の手法によりプラ
ズマの垂直位置不安定現象などを抑制することは、ます
ます困難になってきている。
め、プラズマの断面形状の非円形化が進められている。
ところが、この非円形化したプラズマにおいては、その
不安定性も増大する。そのため、従来の手法によりプラ
ズマの垂直位置不安定現象などを抑制することは、ます
ます困難になってきている。
【0015】このように、現状よりもさらに高温、高密
度かつ大規模なプラズマにも対応し、さらに、プラズマ
の断面形状が非円形化した場合にも、有効に作用するプ
ラズマの安定化手段が求められている。
度かつ大規模なプラズマにも対応し、さらに、プラズマ
の断面形状が非円形化した場合にも、有効に作用するプ
ラズマの安定化手段が求められている。
【0016】また、核融合炉を実用化するためには、上
記したプラズマの非軸対称不安定現象を抑制する技術を
実現することも必須の条件であり、このような技術を実
現することも強く求められている。
記したプラズマの非軸対称不安定現象を抑制する技術を
実現することも必須の条件であり、このような技術を実
現することも強く求められている。
【0017】本発明は、このような課題を解決するため
になされたものであり、本発明の1つの目的は、高非円
形断面形状のプラズマの垂直位置不安定性を抑制するこ
とが可能なプラズマ安定化装置を提供することである。
になされたものであり、本発明の1つの目的は、高非円
形断面形状のプラズマの垂直位置不安定性を抑制するこ
とが可能なプラズマ安定化装置を提供することである。
【0018】本発明のもう1つの目的は、プラズマの非
軸対称不安定性を抑制することが可能なプラズマ安定化
装置を提供することである。
軸対称不安定性を抑制することが可能なプラズマ安定化
装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1におけるプラズ
マ安定化装置は、核融合炉において、プラズマを閉じ込
める磁場中に配置されたプラズマ安定化手段を備え、そ
のプラズマ安定化手段が超電導コイルからなることを特
徴とする。
マ安定化装置は、核融合炉において、プラズマを閉じ込
める磁場中に配置されたプラズマ安定化手段を備え、そ
のプラズマ安定化手段が超電導コイルからなることを特
徴とする。
【0020】このため、請求項1に記載の発明では、プ
ラズマの位置の不安定現象が発生した場合に、超電導コ
イルを貫く磁束が変化するため、超電導コイルにおいて
超電導コイルを貫く磁束の変化を打消す向きに誘導電流
が発生する。この誘導電流とプラズマとの磁気的相互作
用により、プラズマを所定の位置に戻そうとする向きの
力が発生する。そして、超電導コイルにおいては、電気
抵抗がゼロとなっているため、誘導電流の減衰はプラズ
マ運転時間の単位では無視できる程度のものである。そ
のため、プラズマを所定の位置に戻そうとする方向に働
く力の減衰も、プラズマ運転時間の単位では無視できる
程度のものとなる。この結果、プラズマの位置が変動す
るような場合も、有効にプラズマの位置を所定の位置へ
と修正することが可能となる。
ラズマの位置の不安定現象が発生した場合に、超電導コ
イルを貫く磁束が変化するため、超電導コイルにおいて
超電導コイルを貫く磁束の変化を打消す向きに誘導電流
が発生する。この誘導電流とプラズマとの磁気的相互作
用により、プラズマを所定の位置に戻そうとする向きの
力が発生する。そして、超電導コイルにおいては、電気
抵抗がゼロとなっているため、誘導電流の減衰はプラズ
マ運転時間の単位では無視できる程度のものである。そ
のため、プラズマを所定の位置に戻そうとする方向に働
く力の減衰も、プラズマ運転時間の単位では無視できる
程度のものとなる。この結果、プラズマの位置が変動す
るような場合も、有効にプラズマの位置を所定の位置へ
と修正することが可能となる。
【0021】また、超電導コイルに発生する誘導電流を
利用するので、従来の外部電源を用いたコイルによって
は対応することが困難であったプラズマの高速(マイク
ロ秒単位)の位置変動にも対応することができる。
利用するので、従来の外部電源を用いたコイルによって
は対応することが困難であったプラズマの高速(マイク
ロ秒単位)の位置変動にも対応することができる。
【0022】また、超電導コイルに流す電流のための外
部電源を必要としないので、装置の構成を簡略化するこ
とができる。この結果、プラズマ安定化装置の製造コス
トを低減することができる。また、保守および点検作業
などの作業負荷も軽減することが可能となる。
部電源を必要としないので、装置の構成を簡略化するこ
とができる。この結果、プラズマ安定化装置の製造コス
トを低減することができる。また、保守および点検作業
などの作業負荷も軽減することが可能となる。
【0023】請求項2におけるプラズマ安定化装置は、
請求項1において、プラズマが超電導コイルの軸心を取
囲むように円環状に形成されている。
請求項1において、プラズマが超電導コイルの軸心を取
囲むように円環状に形成されている。
【0024】このため、請求項2に記載の発明では、超
電導コイルの軸心に平行な方向(以下垂直方向と呼ぶ)
におけるプラズマの位置変動が発生した場合に、超電導
コイルを貫く磁束が変化する。これにより、超電導コイ
ルに誘電電流が発生し、プラズマと超電導コイルとの間
にプラズマの垂直方向における位置変動を抑制するよう
な力が発生する。この結果、プラズマの垂直方向におけ
る位置変動を有効に修正することができる。
電導コイルの軸心に平行な方向(以下垂直方向と呼ぶ)
におけるプラズマの位置変動が発生した場合に、超電導
コイルを貫く磁束が変化する。これにより、超電導コイ
ルに誘電電流が発生し、プラズマと超電導コイルとの間
にプラズマの垂直方向における位置変動を抑制するよう
な力が発生する。この結果、プラズマの垂直方向におけ
る位置変動を有効に修正することができる。
【0025】請求項3におけるプラズマ安定化装置は、
請求項1または2の構成において、超電導コイルが、プ
ラズマ上に位置する上部コイルと、プラズマ下に位置す
る下部コイルとを含む。上部コイルと下部コイルとには
それぞれ分割点が形成されている。上部コイルと下部コ
イルとは、それぞれの分割点において一方端部と他方端
部とを有する。上部コイルの一方端部と下部コイルの一
方端部とは電気的に接続されている。上部コイルの他方
端部と下部コイルの他方端部とは電気的に接続されてい
る。
請求項1または2の構成において、超電導コイルが、プ
ラズマ上に位置する上部コイルと、プラズマ下に位置す
る下部コイルとを含む。上部コイルと下部コイルとには
それぞれ分割点が形成されている。上部コイルと下部コ
イルとは、それぞれの分割点において一方端部と他方端
部とを有する。上部コイルの一方端部と下部コイルの一
方端部とは電気的に接続されている。上部コイルの他方
端部と下部コイルの他方端部とは電気的に接続されてい
る。
【0026】このため、請求項3に記載の発明では、上
部コイルと下部コイルとの間に位置するプラズマが垂直
方向における位置変動を起こした場合に、上部コイルと
下部コイルとの2つのコイルにより、より有効にプラズ
マの位置変動を抑制することができる。
部コイルと下部コイルとの間に位置するプラズマが垂直
方向における位置変動を起こした場合に、上部コイルと
下部コイルとの2つのコイルにより、より有効にプラズ
マの位置変動を抑制することができる。
【0027】たとえば、プラズマの位置が上部コイル方
向に変位した場合には、上部コイルを貫く磁束が増加す
るため、上部コイルにおいて上部誘導電流が発生する。
この上部誘導電流は、上部コイルの一方端部から他方端
部へと流れるものとする。
向に変位した場合には、上部コイルを貫く磁束が増加す
るため、上部コイルにおいて上部誘導電流が発生する。
この上部誘導電流は、上部コイルの一方端部から他方端
部へと流れるものとする。
【0028】また、このとき、下部コイルにおいても、
下部コイルを貫く磁束が減少するため、下部誘導電流が
発生する。この下部誘導電流は、下部コイルの他方端部
から一方端部へと流れるものとする。そして、上部コイ
ルと下部コイルとのそれぞれの一方端部同士および他方
端部同士は電気的に接続されているため、上部コイルと
下部コイルとを1つの回路とみることができる。この場
合、回路を流れる電流となる上部誘導電流と下部誘導電
流との流れる向きはこの回路において同じ方向となり、
上部コイルおよび下部コイルとプラズマとの間において
プラズマの位置変位を抑制する方向に作用する力を発生
させることができる。
下部コイルを貫く磁束が減少するため、下部誘導電流が
発生する。この下部誘導電流は、下部コイルの他方端部
から一方端部へと流れるものとする。そして、上部コイ
ルと下部コイルとのそれぞれの一方端部同士および他方
端部同士は電気的に接続されているため、上部コイルと
下部コイルとを1つの回路とみることができる。この場
合、回路を流れる電流となる上部誘導電流と下部誘導電
流との流れる向きはこの回路において同じ方向となり、
上部コイルおよび下部コイルとプラズマとの間において
プラズマの位置変位を抑制する方向に作用する力を発生
させることができる。
【0029】これにより、プラズマの垂直方向の位置変
動を有効に抑制することができる。一方、プラズマを立
上げる際、ポロイダルコイルなどの外部のコイルにより
プラズマを制御するための磁場を形成する際には、この
上部コイルと下部コイルとに発生する誘導電流は互いに
打消し合う。この結果、上部コイルと下部コイルとはこ
のプラズマ立上げ時に発生する磁場に対しては何ら悪影
響を及ぼすことはない。
動を有効に抑制することができる。一方、プラズマを立
上げる際、ポロイダルコイルなどの外部のコイルにより
プラズマを制御するための磁場を形成する際には、この
上部コイルと下部コイルとに発生する誘導電流は互いに
打消し合う。この結果、上部コイルと下部コイルとはこ
のプラズマ立上げ時に発生する磁場に対しては何ら悪影
響を及ぼすことはない。
【0030】具体的には、プラズマ立上げ時に上部コイ
ルおよび下部コイルの外側に位置するコイルにより形成
される磁場により、上部コイルおよび下部コイルともそ
れぞれのコイルを貫く磁束が増加することになる。これ
により、上部コイルおよび下部コイルでは、ある方向か
ら見た場合に同じ方向に流れようとする誘導電流が発生
する。しかし、上部コイルと下部コイルとは、その一方
端部同士および他方端部同士が互いに電気的に接続され
ているため、この上部コイルと下部コイルとを1つの回
路とみることができる。この場合、上部コイルおよび下
部コイルにおいて発生し、回路を流れる電流となる誘導
電流は、この回路中において互いに逆方向に流れようと
する。そのため、この上部コイルおよび下部コイルにお
いて発生する誘導電流は互いに打消し合う。
ルおよび下部コイルの外側に位置するコイルにより形成
される磁場により、上部コイルおよび下部コイルともそ
れぞれのコイルを貫く磁束が増加することになる。これ
により、上部コイルおよび下部コイルでは、ある方向か
ら見た場合に同じ方向に流れようとする誘導電流が発生
する。しかし、上部コイルと下部コイルとは、その一方
端部同士および他方端部同士が互いに電気的に接続され
ているため、この上部コイルと下部コイルとを1つの回
路とみることができる。この場合、上部コイルおよび下
部コイルにおいて発生し、回路を流れる電流となる誘導
電流は、この回路中において互いに逆方向に流れようと
する。そのため、この上部コイルおよび下部コイルにお
いて発生する誘導電流は互いに打消し合う。
【0031】この結果、プラズマ立上げ時に外部から供
給される磁束の変化に対しては、これら上部コイルおよ
び下部コイルは悪影響を及ぼすことはない。
給される磁束の変化に対しては、これら上部コイルおよ
び下部コイルは悪影響を及ぼすことはない。
【0032】請求項4におけるプラズマ安定化装置は、
請求項3の構成において、上部コイルと下部コイルとに
は、それぞれ複数の分割点が形成されている。
請求項3の構成において、上部コイルと下部コイルとに
は、それぞれ複数の分割点が形成されている。
【0033】このため、請求項4に記載の発明では、上
部コイルと下部コイルとが複数の分割点により複数の部
分に分割されているため、本発明によるプラズマ安定化
装置を核融合炉に設置する場合、分割された部分ごとの
部品の交換や保守および点検が可能となる。このため、
保守および点検などの作業効率を向上させることができ
る。
部コイルと下部コイルとが複数の分割点により複数の部
分に分割されているため、本発明によるプラズマ安定化
装置を核融合炉に設置する場合、分割された部分ごとの
部品の交換や保守および点検が可能となる。このため、
保守および点検などの作業効率を向上させることができ
る。
【0034】請求項5におけるプラズマ安定化装置は、
請求項1〜4のいずれか1項の構成において、プラズマ
表面に対向するように配置され、超電導コイルの直径よ
り小さい直径を有する超電導小コイルをさらに備える。
請求項1〜4のいずれか1項の構成において、プラズマ
表面に対向するように配置され、超電導コイルの直径よ
り小さい直径を有する超電導小コイルをさらに備える。
【0035】このため、請求項5に記載の発明では、プ
ラズマにおいて、磁気島形成など非軸対称の局所的な不
安定現象が発生した場合にも、この局所的な不安定現象
が発生した部分近くに位置する超電導小コイルにおい
て、この不安定現象による磁場の変動を抑制するように
作用する誘導電流が発生する。このため、この局所的な
不安定現象を有効に抑制することができる。
ラズマにおいて、磁気島形成など非軸対称の局所的な不
安定現象が発生した場合にも、この局所的な不安定現象
が発生した部分近くに位置する超電導小コイルにおい
て、この不安定現象による磁場の変動を抑制するように
作用する誘導電流が発生する。このため、この局所的な
不安定現象を有効に抑制することができる。
【0036】また、このように超電導コイルと超電導小
コイルとを両方備えることにより、プラズマの垂直方向
における位置不安定現象と、非軸対称の局所的な不安定
現象とを両方とも有効に抑制することが可能となる。
コイルとを両方備えることにより、プラズマの垂直方向
における位置不安定現象と、非軸対称の局所的な不安定
現象とを両方とも有効に抑制することが可能となる。
【0037】請求項6におけるプラズマ安定化装置は、
請求項5の構成において、プラズマを囲むように設置さ
れ、超電導コイルと超電導小コイルとを冷却するための
冷却媒体を移送する配管をさらに備える。超電導コイル
と超電導小コイルとは配管内に設置されている。
請求項5の構成において、プラズマを囲むように設置さ
れ、超電導コイルと超電導小コイルとを冷却するための
冷却媒体を移送する配管をさらに備える。超電導コイル
と超電導小コイルとは配管内に設置されている。
【0038】請求項7におけるプラズマ安定化装置は、
請求項5または6の構成において、超電導コイルまたは
超電導小コイルを、プラズマに対向して配置されるブラ
ンケット材の外側に設置する。
請求項5または6の構成において、超電導コイルまたは
超電導小コイルを、プラズマに対向して配置されるブラ
ンケット材の外側に設置する。
【0039】このため、請求項7に記載の発明では、核
融合炉のプラズマにおいて発生する中性子などの放射線
を、ブランケット材により遮蔽することにより、これら
の放射線によって超電導コイルもしくは超電導小コイル
が損傷を受けることを防止できる。この結果、超電導コ
イルおよび超電導小コイルのプラズマ安定化の機能が、
この放射線の照射により劣化することを有効に防止する
ことができる。
融合炉のプラズマにおいて発生する中性子などの放射線
を、ブランケット材により遮蔽することにより、これら
の放射線によって超電導コイルもしくは超電導小コイル
が損傷を受けることを防止できる。この結果、超電導コ
イルおよび超電導小コイルのプラズマ安定化の機能が、
この放射線の照射により劣化することを有効に防止する
ことができる。
【0040】請求項8におけるプラズマ安定化装置は、
請求項1の構成において、超電導コイルが、プラズマ表
面に対向するように配置され、プラズマの外径より小さ
い直径を有する超電導小コイルである。
請求項1の構成において、超電導コイルが、プラズマ表
面に対向するように配置され、プラズマの外径より小さ
い直径を有する超電導小コイルである。
【0041】このため、請求項8に記載の発明では、プ
ラズマにおいて磁気島形成など非軸対称の局所的な不安
定現象が発生した場合にも、この局所的な不安定現象が
発生した部分近くに位置する超電導小コイルにおいて、
この不安定現象による磁場の変動を抑制するように作用
する誘導電流が発生する。このため、この局所的な不安
定現象を有効に抑制することができる。
ラズマにおいて磁気島形成など非軸対称の局所的な不安
定現象が発生した場合にも、この局所的な不安定現象が
発生した部分近くに位置する超電導小コイルにおいて、
この不安定現象による磁場の変動を抑制するように作用
する誘導電流が発生する。このため、この局所的な不安
定現象を有効に抑制することができる。
【0042】請求項9におけるプラズマ安定化装置は、
請求項5または8の構成において、超電導小コイルがほ
ぼ並列して配置された第1および第2の超電導小コイル
を含む。第1の超電導小コイルにおけるコイル巻き線の
巻き方向は、第2の超電導小コイルにおけるコイル巻き
線の巻き方向と逆である。第1の超電導小コイルにおけ
るコイル巻き線の一方端部が、第2の超電導小コイルに
おけるコイル巻き線の一方端部と電気的に接続されてい
る。第1の超電導小コイルにおけるコイル巻き線の他方
端部は、第2の超電導小コイルにおけるコイル巻き線の
他方端部と電気的に接続されている。
請求項5または8の構成において、超電導小コイルがほ
ぼ並列して配置された第1および第2の超電導小コイル
を含む。第1の超電導小コイルにおけるコイル巻き線の
巻き方向は、第2の超電導小コイルにおけるコイル巻き
線の巻き方向と逆である。第1の超電導小コイルにおけ
るコイル巻き線の一方端部が、第2の超電導小コイルに
おけるコイル巻き線の一方端部と電気的に接続されてい
る。第1の超電導小コイルにおけるコイル巻き線の他方
端部は、第2の超電導小コイルにおけるコイル巻き線の
他方端部と電気的に接続されている。
【0043】このため、請求項9に記載の発明では、プ
ラズマの立上げ時には、外部のコイルから供給される磁
場による磁束の変化により、第1および第2の超電導小
コイルともそれぞれのコイルを貫く磁束が増加する。こ
のため、第1および第2の超電導小コイルにおいて、同
じ方向に流れようとする誘導電流が発生する。一方、第
1および第2の超電導小コイルのコイル巻き線の巻き方
向は互いに逆になっている。また、第1および第2の超
電導小コイルのそれぞれの一方端部同士および他方端部
同士は電気的に接続されている。この結果、この第1お
よび第2の超電導小コイルを1つの回路として見た場合
には、第1および第2の超電導小コイルで発生した誘導
電流はこの回路上においては互いに逆方向に流れようと
し、打消し合うことになる。この結果、この第1および
第2の超電導小コイルは、プラズマ立上げ時に外部のコ
イルから供給される磁場による磁束の変化に対しては何
ら悪影響を与えない。
ラズマの立上げ時には、外部のコイルから供給される磁
場による磁束の変化により、第1および第2の超電導小
コイルともそれぞれのコイルを貫く磁束が増加する。こ
のため、第1および第2の超電導小コイルにおいて、同
じ方向に流れようとする誘導電流が発生する。一方、第
1および第2の超電導小コイルのコイル巻き線の巻き方
向は互いに逆になっている。また、第1および第2の超
電導小コイルのそれぞれの一方端部同士および他方端部
同士は電気的に接続されている。この結果、この第1お
よび第2の超電導小コイルを1つの回路として見た場合
には、第1および第2の超電導小コイルで発生した誘導
電流はこの回路上においては互いに逆方向に流れようと
し、打消し合うことになる。この結果、この第1および
第2の超電導小コイルは、プラズマ立上げ時に外部のコ
イルから供給される磁場による磁束の変化に対しては何
ら悪影響を与えない。
【0044】一方、プラズマにおいて非軸対称の局所的
な不安定現象が発生した場合には、この局所的な不安定
現象が発生した部分近くに位置する第1および第2の超
電導小コイルのいずれか一方において、この不安定現象
による磁束の変動を抑制するように作用する誘導電流が
発生する。このような不安定現象が発生した部分と、第
1および第2の超電導小コイルとの位置関係により、こ
れら第1および第2の超電導小コイルにおいて発生する
誘導電流の大きさや向きは異なる。しかし、この不安定
現象は局所的に発生するため、第1および第2の超電導
小コイルにおいて同じ大きさの誘導電流が発生し、互い
に打消し合うことはほとんどない。その結果、プラズマ
の立上げ時とは異なり、この局所的な不安定現象による
磁束の変動を抑制するように作用する誘導電流が、第1
および第2の超電導小コイルからなる回路を流れること
になる。これにより、プラズマの局所的な不安定現象を
有効に抑制することができる。
な不安定現象が発生した場合には、この局所的な不安定
現象が発生した部分近くに位置する第1および第2の超
電導小コイルのいずれか一方において、この不安定現象
による磁束の変動を抑制するように作用する誘導電流が
発生する。このような不安定現象が発生した部分と、第
1および第2の超電導小コイルとの位置関係により、こ
れら第1および第2の超電導小コイルにおいて発生する
誘導電流の大きさや向きは異なる。しかし、この不安定
現象は局所的に発生するため、第1および第2の超電導
小コイルにおいて同じ大きさの誘導電流が発生し、互い
に打消し合うことはほとんどない。その結果、プラズマ
の立上げ時とは異なり、この局所的な不安定現象による
磁束の変動を抑制するように作用する誘導電流が、第1
および第2の超電導小コイルからなる回路を流れること
になる。これにより、プラズマの局所的な不安定現象を
有効に抑制することができる。
【0045】この結果、プラズマ立上げ時に外部から供
給される磁束の変化に対しては、何ら悪影響を及ぼさな
い一方で、非軸対称の局所的なプラズマの不安定現象を
抑制することができる。
給される磁束の変化に対しては、何ら悪影響を及ぼさな
い一方で、非軸対称の局所的なプラズマの不安定現象を
抑制することができる。
【0046】請求項10におけるプラズマ安定化装置
は、請求項8または9の構成において、超電導小コイル
をプラズマに対向して配置されるブランケット材の外側
に設置する。
は、請求項8または9の構成において、超電導小コイル
をプラズマに対向して配置されるブランケット材の外側
に設置する。
【0047】このため、請求項10に記載の発明では、
核融合炉のプラズマにおいて発生する中性子などの放射
線を、ブランケット材により遮蔽することにより、これ
らの放射線によって超電導小コイルが損傷を受けること
を防止できる。この結果、超電導小コイルにおけるプラ
ズマ安定化の機能がこれらの放射線の照射により劣化す
ることを有効に防止できる。
核融合炉のプラズマにおいて発生する中性子などの放射
線を、ブランケット材により遮蔽することにより、これ
らの放射線によって超電導小コイルが損傷を受けること
を防止できる。この結果、超電導小コイルにおけるプラ
ズマ安定化の機能がこれらの放射線の照射により劣化す
ることを有効に防止できる。
【0048】請求項11におけるプラズマ安定化装置
は、請求項1〜10のいずれか1項の構成において、適
用対象とする核融合炉が、磁場閉じ込め方式の核融合炉
である。
は、請求項1〜10のいずれか1項の構成において、適
用対象とする核融合炉が、磁場閉じ込め方式の核融合炉
である。
【0049】請求項12におけるプラズマ安定化装置
は、請求項11の構成において、適用対象とする核融合
炉が、トカマク方式、逆転磁場ピンチ方式、ヘリカル方
式からなる群から選択される1つの方式を用いた核融合
炉である。
は、請求項11の構成において、適用対象とする核融合
炉が、トカマク方式、逆転磁場ピンチ方式、ヘリカル方
式からなる群から選択される1つの方式を用いた核融合
炉である。
【0050】
【発明の実施の形態および実施例】以下、図面を参照し
て、本発明の実施の形態および実施例を説明する。
て、本発明の実施の形態および実施例を説明する。
【0051】(実施の形態)図1は、本発明の実施の形
態による超電導コイルからなるプラズマ安定化装置をト
カマク型の核融合炉に適用した場合における、プラズマ
とプラズマ安定化装置との位置関係を示す模式図であ
る。図1を参照して、本発明によるプラズマ安定化装置
をトカマク型の核融合炉に適用した場合について説明す
る。
態による超電導コイルからなるプラズマ安定化装置をト
カマク型の核融合炉に適用した場合における、プラズマ
とプラズマ安定化装置との位置関係を示す模式図であ
る。図1を参照して、本発明によるプラズマ安定化装置
をトカマク型の核融合炉に適用した場合について説明す
る。
【0052】図1を参照して、トカマク型の核融合炉に
おいては、プラズマ1は円環状の形状を有する。ただ
し、図1においては、この円環状のプラズマの一部のみ
を示している。そして、本発明の実施の形態によるプラ
ズマ安定化装置である超電導コイル6は、プラズマ1上
において、プラズマ1に沿うように設置されている。な
お、超電導コイル6はプラズマ1全周に沿うように円形
をしているが、図1ではその一部のみを示している。こ
のため、プラズマ1の垂直方向における位置の不安定現
象が発生した場合に、超電導コイル6を貫く磁束が変化
するため、超電導コイル6において誘導電流が発生す
る。この誘導電流により、超電導コイル6とプラズマ1
との間に、プラズマ1の垂直方向の位置の変位を打消
し、プラズマ1を所定の位置に押し戻そうとする向きの
力が発生する。そして、超電導コイル6においては、電
気抵抗がゼロとなっているため、誘導電流の減衰はプラ
ズマ運転時間の単位では無視できる程度のものである。
そのため、プラズマ1を所定の位置に押し戻そうとする
方向に働く力の減衰も、プラズマ運転時間の単位では無
視できる程度のものとなる。この結果、プラズマ1の垂
直方向における位置が変動するような場合にも、プラズ
マ1の位置を所定の位置へと有効に修正することができ
る。
おいては、プラズマ1は円環状の形状を有する。ただ
し、図1においては、この円環状のプラズマの一部のみ
を示している。そして、本発明の実施の形態によるプラ
ズマ安定化装置である超電導コイル6は、プラズマ1上
において、プラズマ1に沿うように設置されている。な
お、超電導コイル6はプラズマ1全周に沿うように円形
をしているが、図1ではその一部のみを示している。こ
のため、プラズマ1の垂直方向における位置の不安定現
象が発生した場合に、超電導コイル6を貫く磁束が変化
するため、超電導コイル6において誘導電流が発生す
る。この誘導電流により、超電導コイル6とプラズマ1
との間に、プラズマ1の垂直方向の位置の変位を打消
し、プラズマ1を所定の位置に押し戻そうとする向きの
力が発生する。そして、超電導コイル6においては、電
気抵抗がゼロとなっているため、誘導電流の減衰はプラ
ズマ運転時間の単位では無視できる程度のものである。
そのため、プラズマ1を所定の位置に押し戻そうとする
方向に働く力の減衰も、プラズマ運転時間の単位では無
視できる程度のものとなる。この結果、プラズマ1の垂
直方向における位置が変動するような場合にも、プラズ
マ1の位置を所定の位置へと有効に修正することができ
る。
【0053】また、外部電源から供給される電流ではな
く、超電導コイル6に流れる誘導電流を利用するので、
従来の外部電源を用いた制御方法では対応できなかった
ようなプラズマ1のマイクロ秒単位の位置変動にも対応
でき、この位置変動を有効に抑制することができる。
く、超電導コイル6に流れる誘導電流を利用するので、
従来の外部電源を用いた制御方法では対応できなかった
ようなプラズマ1のマイクロ秒単位の位置変動にも対応
でき、この位置変動を有効に抑制することができる。
【0054】また、超電導コイル6においてプラズマ1
の位置を制御するために必要な電流を流すための外部電
源を必要としないので、プラズマ安定化装置の構成を簡
略化することができる。この結果、プラズマ安定化装置
の製造コストを低減することができる。また、保守およ
び点検作業などの作業負荷も低減することが可能とな
る。
の位置を制御するために必要な電流を流すための外部電
源を必要としないので、プラズマ安定化装置の構成を簡
略化することができる。この結果、プラズマ安定化装置
の製造コストを低減することができる。また、保守およ
び点検作業などの作業負荷も低減することが可能とな
る。
【0055】また、本発明の実施の形態によるプラズマ
安定化装置においては、プラズマ1の表面に対向するよ
うに小型超電導コイル7をも設置する。このため、本発
明の実施の形態によるプラズマ安定化装置では、プラズ
マ1において磁気島形成などの非軸対称の局所的な不安
定現象が発生した場合にも、この局所的な不安定現象が
発生した部分近くに位置する小型超電導コイル7におい
て、この不安定現象による磁場の変動を抑制するように
作用する誘導電流が発生する。このため、この局所的な
不安定現象を有効に抑制することができる。
安定化装置においては、プラズマ1の表面に対向するよ
うに小型超電導コイル7をも設置する。このため、本発
明の実施の形態によるプラズマ安定化装置では、プラズ
マ1において磁気島形成などの非軸対称の局所的な不安
定現象が発生した場合にも、この局所的な不安定現象が
発生した部分近くに位置する小型超電導コイル7におい
て、この不安定現象による磁場の変動を抑制するように
作用する誘導電流が発生する。このため、この局所的な
不安定現象を有効に抑制することができる。
【0056】図2は、本発明の実施の形態によるプラズ
マ安定化装置を国際熱核融合実験炉に適用することを想
定した場合の断面模式図である。以下、図2を参照し
て、本発明の実施の形態によるプラズマ安定化装置を国
際熱核融合実験炉に適用する場合について説明する。
マ安定化装置を国際熱核融合実験炉に適用することを想
定した場合の断面模式図である。以下、図2を参照し
て、本発明の実施の形態によるプラズマ安定化装置を国
際熱核融合実験炉に適用する場合について説明する。
【0057】本発明の実施の形態によるプラズマ安定化
装置を適用することを想定している国際熱核融合実験炉
は、トカマク型の核融合炉であり、図2は、そのプラズ
マが閉じ込められている真空容器およびその周辺構造物
の断面を示している。図2を参照して、本発明の実施の
形態によるプラズマ安定化装置を適用した核融合実験炉
は、プラズマを閉じ込めるための真空容器9と、プラズ
マ1を閉じ込めるための磁場を発生させる中心ソレノイ
ドコイル2、ポロイダルコイル3、トロイダルコイル4
とを備える。真空容器9の内部には、中性子の減速、ト
リチウムの生産、放射線の遮蔽などの役割を果たすブラ
ンケット5が設置されている。そして、本発明の実施の
形態によるプラズマ安定化装置10a〜10dは、ブラ
ンケット5の外側面に設置されている。なお、プラズマ
安定化装置10a〜10dは、超電導コイルを含み、リ
ング状に設置されている。ここで、センターソレノイド
コイル2は、プラズマ1の立上げに必要な磁束を供給す
るためのものである。また、ポロイダルコイル3は、プ
ラズマ1の水平方向への膨張を抑え、かつ、プラズマ1
の断面を縦長の非円形状に保つための磁場を形成する。
また、プラズマの不安定現象が発生した場合には、外部
電源の能動的制御によりプラズマ1の位置制御を行なう
役割も果たす。
装置を適用することを想定している国際熱核融合実験炉
は、トカマク型の核融合炉であり、図2は、そのプラズ
マが閉じ込められている真空容器およびその周辺構造物
の断面を示している。図2を参照して、本発明の実施の
形態によるプラズマ安定化装置を適用した核融合実験炉
は、プラズマを閉じ込めるための真空容器9と、プラズ
マ1を閉じ込めるための磁場を発生させる中心ソレノイ
ドコイル2、ポロイダルコイル3、トロイダルコイル4
とを備える。真空容器9の内部には、中性子の減速、ト
リチウムの生産、放射線の遮蔽などの役割を果たすブラ
ンケット5が設置されている。そして、本発明の実施の
形態によるプラズマ安定化装置10a〜10dは、ブラ
ンケット5の外側面に設置されている。なお、プラズマ
安定化装置10a〜10dは、超電導コイルを含み、リ
ング状に設置されている。ここで、センターソレノイド
コイル2は、プラズマ1の立上げに必要な磁束を供給す
るためのものである。また、ポロイダルコイル3は、プ
ラズマ1の水平方向への膨張を抑え、かつ、プラズマ1
の断面を縦長の非円形状に保つための磁場を形成する。
また、プラズマの不安定現象が発生した場合には、外部
電源の能動的制御によりプラズマ1の位置制御を行なう
役割も果たす。
【0058】また、プラズマ安定化装置10a〜10d
では、プラズマ安定化装置10aの大型超電導コイル6
(図3参照)と、下側に位置するプラズマ安定化装置1
0dの大型超電導コイル6とが電気的に接続されてい
る。また、同様にプラズマ安定化装置10b、10cの
大型超電導コイル6同士も電気的に接続されている。
では、プラズマ安定化装置10aの大型超電導コイル6
(図3参照)と、下側に位置するプラズマ安定化装置1
0dの大型超電導コイル6とが電気的に接続されてい
る。また、同様にプラズマ安定化装置10b、10cの
大型超電導コイル6同士も電気的に接続されている。
【0059】このプラズマ安定化装置10a〜10dの
断面拡大図を図3に示す。図3を参照して、本発明の実
施の形態によるプラズマ安定化装置は、冷却材配管15
と、断熱材11と、冷却材16と、大型超電導コイル6
と小型超電導コイル7とを備える。冷却材配管15の内
面には断熱材11が設置されている。断熱材11により
囲まれた流路の内部は冷却材16により満たされてい
る。この冷却材16としては液体窒素などを用いること
ができる。また、この冷却材16の流路には、大型超電
導コイル6と小型超電導コイル7とが設置されている。
大型超電導コイル6は、冷却材配管15に沿って延び、
コイルを形成する。そして、図2に示すように、プラズ
マ安定化装置10a、10dの大型超電導コイル6を電
気的に接続するため、図3に示した、プラズマ安定化装
置10aを構成する冷却材配管15がプラズマ安定化装
置10dを構成する冷却材配管15と接続するように設
置されている。そして、図4に示すように、プラズマ安
定化装置10aの大型超電導コイル6aと、プラズマ安
定化装置10dの大型超電導コイル6bとは、接続部1
2により互いに接続されている。
断面拡大図を図3に示す。図3を参照して、本発明の実
施の形態によるプラズマ安定化装置は、冷却材配管15
と、断熱材11と、冷却材16と、大型超電導コイル6
と小型超電導コイル7とを備える。冷却材配管15の内
面には断熱材11が設置されている。断熱材11により
囲まれた流路の内部は冷却材16により満たされてい
る。この冷却材16としては液体窒素などを用いること
ができる。また、この冷却材16の流路には、大型超電
導コイル6と小型超電導コイル7とが設置されている。
大型超電導コイル6は、冷却材配管15に沿って延び、
コイルを形成する。そして、図2に示すように、プラズ
マ安定化装置10a、10dの大型超電導コイル6を電
気的に接続するため、図3に示した、プラズマ安定化装
置10aを構成する冷却材配管15がプラズマ安定化装
置10dを構成する冷却材配管15と接続するように設
置されている。そして、図4に示すように、プラズマ安
定化装置10aの大型超電導コイル6aと、プラズマ安
定化装置10dの大型超電導コイル6bとは、接続部1
2により互いに接続されている。
【0060】このため、大型超電導コイル6aと6bと
の間に位置するプラズマ1(図2参照)が垂直方向の位
置変動を起こした場合に、大型超電導コイル6a、6b
との2つのコイルにより有効にプラズマ1の位置変動を
抑制することができる。以下、図5および6を参照し
て、大型超電導コイル6a、6bによるプラズマ1の位
置変動の抑制効果について具体的に説明する。
の間に位置するプラズマ1(図2参照)が垂直方向の位
置変動を起こした場合に、大型超電導コイル6a、6b
との2つのコイルにより有効にプラズマ1の位置変動を
抑制することができる。以下、図5および6を参照し
て、大型超電導コイル6a、6bによるプラズマ1の位
置変動の抑制効果について具体的に説明する。
【0061】図5および6は、本発明の実施の形態によ
るプラズマ安定化装置における大型超電導コイルの効果
を説明するための断面模式図である。図5を参照して、
大型超電導コイル6a、6bの間に核融合炉の炉心にお
けるプラズマ1が位置している。定常状態においては、
このプラズマ1はポロイダルコイル3(図2参照)およ
びトロイダルコイル4(図2参照)などにより形成さ
れ、磁力線8により示される磁場によって所定の位置に
保持されている。しかし、図5に示すように、プラズマ
1が大型超電導コイル6bの方向に変位したような場合
には、大型超電導コイル6bを貫く磁束が増加する。こ
のため、大型超電導コイル6bにおいては、図5に示す
ような誘導電流が発生する。そして、この結果、大型超
電導コイル6bとプラズマ1との間には反発力が発生す
る。
るプラズマ安定化装置における大型超電導コイルの効果
を説明するための断面模式図である。図5を参照して、
大型超電導コイル6a、6bの間に核融合炉の炉心にお
けるプラズマ1が位置している。定常状態においては、
このプラズマ1はポロイダルコイル3(図2参照)およ
びトロイダルコイル4(図2参照)などにより形成さ
れ、磁力線8により示される磁場によって所定の位置に
保持されている。しかし、図5に示すように、プラズマ
1が大型超電導コイル6bの方向に変位したような場合
には、大型超電導コイル6bを貫く磁束が増加する。こ
のため、大型超電導コイル6bにおいては、図5に示す
ような誘導電流が発生する。そして、この結果、大型超
電導コイル6bとプラズマ1との間には反発力が発生す
る。
【0062】一方、プラズマ1が図5に示すように、プ
ラズマ1が大型超電導コイル6bの方向に変位した場合
には、大型超電導コイル6aを貫く磁束は減少する。こ
のため、図5に示すような誘導電流が大型超電導コイル
6aにおいて発生する。この結果、プラズマ1と大型超
電導コイル6aとの間には吸引力が発生する。そして、
この大型超電導コイル6a、6bは、図4に示すように
互いに接続部12において電気的に接続されている。そ
こで、この大型超電導コイル6a、6bと接続部12と
を1つの回路としてみた場合には、それぞれの大型超電
導コイル6a、6bにおいて発生する誘導電流の向き
は、同じ向きにそろっていることになる。このため、大
型超電導コイル6a、6bのそれぞれにおいて発生した
誘導電流が互いに打消し合うことはなく、大型超電導コ
イル6a、6bとプラズマ1との間に吸引力および反発
力を発生させることができる。
ラズマ1が大型超電導コイル6bの方向に変位した場合
には、大型超電導コイル6aを貫く磁束は減少する。こ
のため、図5に示すような誘導電流が大型超電導コイル
6aにおいて発生する。この結果、プラズマ1と大型超
電導コイル6aとの間には吸引力が発生する。そして、
この大型超電導コイル6a、6bは、図4に示すように
互いに接続部12において電気的に接続されている。そ
こで、この大型超電導コイル6a、6bと接続部12と
を1つの回路としてみた場合には、それぞれの大型超電
導コイル6a、6bにおいて発生する誘導電流の向き
は、同じ向きにそろっていることになる。このため、大
型超電導コイル6a、6bのそれぞれにおいて発生した
誘導電流が互いに打消し合うことはなく、大型超電導コ
イル6a、6bとプラズマ1との間に吸引力および反発
力を発生させることができる。
【0063】一方、図6に示すように、プラズマ1を立
上げるためにポロイダルコイル3(図2参照)などによ
り磁場を形成する場合には、図6に示すように、大型超
電導コイル6a、6bの両方においてそれぞれのコイル
を貫く磁束が増加する。このため、大型超電導コイル6
a、6bにおいては、図6に示すような方向に誘導電流
が発生する。しかし、大型超電導コイル6a、6bは、
図4に示すように接続部12により互いに接続されてい
るため、この大型超電導コイル6a、6bと接続部12
とを1つの回路としてみた場合に、この回路における大
型超電導コイル6aで発生する誘導電流の方向と、大型
超電導コイル6bにおいて発生する誘導電流の方向とは
逆となり、互いに打消し合う。この結果、大型超電導コ
イル6a、6bにおいては、誘導電流が流れることはな
く、プラズマ1と大型超電導コイル6a、6bとの間に
は吸引力もしくは反発力が発生することはない。この結
果、プラズマ1を立上げる際の外部から供給される磁束
の変化に対しては、これらの大型超電導コイル6a、6
bは何ら悪影響を及ぼすことはない。
上げるためにポロイダルコイル3(図2参照)などによ
り磁場を形成する場合には、図6に示すように、大型超
電導コイル6a、6bの両方においてそれぞれのコイル
を貫く磁束が増加する。このため、大型超電導コイル6
a、6bにおいては、図6に示すような方向に誘導電流
が発生する。しかし、大型超電導コイル6a、6bは、
図4に示すように接続部12により互いに接続されてい
るため、この大型超電導コイル6a、6bと接続部12
とを1つの回路としてみた場合に、この回路における大
型超電導コイル6aで発生する誘導電流の方向と、大型
超電導コイル6bにおいて発生する誘導電流の方向とは
逆となり、互いに打消し合う。この結果、大型超電導コ
イル6a、6bにおいては、誘導電流が流れることはな
く、プラズマ1と大型超電導コイル6a、6bとの間に
は吸引力もしくは反発力が発生することはない。この結
果、プラズマ1を立上げる際の外部から供給される磁束
の変化に対しては、これらの大型超電導コイル6a、6
bは何ら悪影響を及ぼすことはない。
【0064】また、図4においては、大型超電導コイル
6a、6bを接続部12により電気的に接続することに
よって一体としたが、図7に示すように、大型超電導コ
イルを複数の分割点において分割し、複数の部材から構
成してもよい。図7は、図4に示した本発明の実施の形
態によるプラズマ安定化装置の大型超電導コイルの変形
例を示す模式図である。
6a、6bを接続部12により電気的に接続することに
よって一体としたが、図7に示すように、大型超電導コ
イルを複数の分割点において分割し、複数の部材から構
成してもよい。図7は、図4に示した本発明の実施の形
態によるプラズマ安定化装置の大型超電導コイルの変形
例を示す模式図である。
【0065】図7を参照して、本発明の実施の形態によ
るプラズマ安定化装置の大型超電導コイルの変形例で
は、上部の大型超電導コイル6a〜6dおよび下部の大
型超電導コイル6e〜6hともにそれぞれ4分割されて
いる。そして、それぞれ分割された大型超電導コイルの
6a〜6hは、接続部12a〜12hによりそれぞれ電
気的に接続されている。このように、大型超電導コイル
の変形例を構成するそれぞれのコイルを、超電導サドル
コイルと呼ぶ。
るプラズマ安定化装置の大型超電導コイルの変形例で
は、上部の大型超電導コイル6a〜6dおよび下部の大
型超電導コイル6e〜6hともにそれぞれ4分割されて
いる。そして、それぞれ分割された大型超電導コイルの
6a〜6hは、接続部12a〜12hによりそれぞれ電
気的に接続されている。このように、大型超電導コイル
の変形例を構成するそれぞれのコイルを、超電導サドル
コイルと呼ぶ。
【0066】このように、大型超電導コイルを複数の部
分に分割することにより、本発明の実施の形態によるプ
ラズマ安定化装置を核融合炉に設置する場合に、この分
割された部分ごとのプラズマ安定化装置の部品の交換や
保守点検などが可能となる。このため、プラズマ安定化
装置の保守および点検などの作業効率を向上させること
ができる。
分に分割することにより、本発明の実施の形態によるプ
ラズマ安定化装置を核融合炉に設置する場合に、この分
割された部分ごとのプラズマ安定化装置の部品の交換や
保守点検などが可能となる。このため、プラズマ安定化
装置の保守および点検などの作業効率を向上させること
ができる。
【0067】また、図3に示した小型超電導コイル7
は、図8および9に示すように、互いに接続された2つ
の超電導コイルから構成されてもよい。図8および9
は、本発明の実施の形態によるプラズマ安定化装置の小
型超電導コイルの変形例を示す模式図である。図8およ
び9を参照して、本発明の実施の形態によるプラズマ安
定化装置の小型超電導コイルの変形例を説明する。
は、図8および9に示すように、互いに接続された2つ
の超電導コイルから構成されてもよい。図8および9
は、本発明の実施の形態によるプラズマ安定化装置の小
型超電導コイルの変形例を示す模式図である。図8およ
び9を参照して、本発明の実施の形態によるプラズマ安
定化装置の小型超電導コイルの変形例を説明する。
【0068】図8を参照して、本発明の実施の形態によ
るプラズマ安定化装置の小型超電導コイルの変形例は、
2つの小型超電導コイル7a、7bを備える。そして、
小型超電導コイル7aのコイル巻き線の巻き方向は、小
型超電導コイル7bのコイル巻き線の巻き方向と逆にな
っている。また、それぞれの小型超電導コイル7a、7
bのコイル巻き線の一方端部および他方端部はそれぞれ
接続部14a、14bにより電気的に接続され、回路を
形成する。このため、たとえば、小型超電導コイル7a
において、上からみた場合に時計回りの方向に電流を流
した場合には、接続部14a、14bを介して小型超電
導コイル7bに伝達された電流は、小型超電導コイル7
bにおいては、時計と逆方向に流れることになる。(こ
のような接続を以下差動接続と呼ぶ)。
るプラズマ安定化装置の小型超電導コイルの変形例は、
2つの小型超電導コイル7a、7bを備える。そして、
小型超電導コイル7aのコイル巻き線の巻き方向は、小
型超電導コイル7bのコイル巻き線の巻き方向と逆にな
っている。また、それぞれの小型超電導コイル7a、7
bのコイル巻き線の一方端部および他方端部はそれぞれ
接続部14a、14bにより電気的に接続され、回路を
形成する。このため、たとえば、小型超電導コイル7a
において、上からみた場合に時計回りの方向に電流を流
した場合には、接続部14a、14bを介して小型超電
導コイル7bに伝達された電流は、小型超電導コイル7
bにおいては、時計と逆方向に流れることになる。(こ
のような接続を以下差動接続と呼ぶ)。
【0069】このように差動接続された2つの小型超電
導コイル7a、7bにおいては、図8に示すように、核
融合炉のプラズマの立上げの際に、外部から磁束が供給
され、矢印13a、13bのように同じ方向に磁束の変
化が発生した場合には、小型超電導コイル7a、7bの
それぞれにおいて発生する誘導電流が図8に示す矢印の
ように回路中で互いに逆向きとなる。このため、この誘
導電流が互いに打消し合い、小型超電導コイル7a、7
bにおいては誘導電流がほとんど流れないことになる。
この結果、小型超電導コイル7a、7bは、外部から供
給される磁束の変化に対しては何ら悪影響を及ぼすこと
はない。なお、図8の磁力線8は、超電導小型コイル7
a、7b付近での磁場を示している。
導コイル7a、7bにおいては、図8に示すように、核
融合炉のプラズマの立上げの際に、外部から磁束が供給
され、矢印13a、13bのように同じ方向に磁束の変
化が発生した場合には、小型超電導コイル7a、7bの
それぞれにおいて発生する誘導電流が図8に示す矢印の
ように回路中で互いに逆向きとなる。このため、この誘
導電流が互いに打消し合い、小型超電導コイル7a、7
bにおいては誘導電流がほとんど流れないことになる。
この結果、小型超電導コイル7a、7bは、外部から供
給される磁束の変化に対しては何ら悪影響を及ぼすこと
はない。なお、図8の磁力線8は、超電導小型コイル7
a、7b付近での磁場を示している。
【0070】一方、図9に示すように、プラズマにおい
て磁気島形成などの局所的な非軸対称不安定現象が発生
した場合には、この非軸対称不安定現象が発生した領域
近くに位置する小型超電導コイル7a、7bのそれぞれ
において、この不安定現象に起因して磁場が図10の矢
印13c、13dのように変動する場合がある。このよ
うな場合には、小型超電導コイル7a、7bにおいて発
生する誘導電流の向きは図9中の矢印のように同じ方向
となり、互いに打消し合うことはない。このため、小型
超電導コイル7a、7bにおいてそれぞれ誘導電流が流
れる。この結果、磁気島形成などの局所的な不安定現象
による磁場の変動を抑制するように、小型超電導コイル
7a、7bにおいて誘導電流が流れることになり、この
ような局所的な不安定現象を有効に抑制することができ
る。
て磁気島形成などの局所的な非軸対称不安定現象が発生
した場合には、この非軸対称不安定現象が発生した領域
近くに位置する小型超電導コイル7a、7bのそれぞれ
において、この不安定現象に起因して磁場が図10の矢
印13c、13dのように変動する場合がある。このよ
うな場合には、小型超電導コイル7a、7bにおいて発
生する誘導電流の向きは図9中の矢印のように同じ方向
となり、互いに打消し合うことはない。このため、小型
超電導コイル7a、7bにおいてそれぞれ誘導電流が流
れる。この結果、磁気島形成などの局所的な不安定現象
による磁場の変動を抑制するように、小型超電導コイル
7a、7bにおいて誘導電流が流れることになり、この
ような局所的な不安定現象を有効に抑制することができ
る。
【0071】なお、小型超電導コイル7a、7bの直径
は、10cm〜1m程度とすることが好ましい。ここ
で、小型超電導コイル7a、7bの直径を10cm以上
としたのは、この小型超電導コイル7a、7bを高温超
電導線により構成する場合に、高温超電導線に対してあ
まり小さな曲率で曲げ加工を行なうと、特性の劣化が起
きるためである。そこで、小型超電導コイル7a、7b
の直径を10cm以上とすれば、高温超電導線の特性の
劣化を防止でき、十分な特性を有する小型超電導コイル
7a、7bを得ることができる。一方、小型超電導コイ
ル7a、7bの直径を1m以下としたのは、これより大
きな超電導コイルでは、磁気島形成などの局所的な不安
定現象に対応することが困難になるためである。
は、10cm〜1m程度とすることが好ましい。ここ
で、小型超電導コイル7a、7bの直径を10cm以上
としたのは、この小型超電導コイル7a、7bを高温超
電導線により構成する場合に、高温超電導線に対してあ
まり小さな曲率で曲げ加工を行なうと、特性の劣化が起
きるためである。そこで、小型超電導コイル7a、7b
の直径を10cm以上とすれば、高温超電導線の特性の
劣化を防止でき、十分な特性を有する小型超電導コイル
7a、7bを得ることができる。一方、小型超電導コイ
ル7a、7bの直径を1m以下としたのは、これより大
きな超電導コイルでは、磁気島形成などの局所的な不安
定現象に対応することが困難になるためである。
【0072】(実施例)本発明によるプラズマ安定化装
置の効果を検証するため、プラズマの動的平衡と超電導
体において発生する超電導電流の連成解析を行なった。
図10は、この連成解析において用いた国際熱核融合実
験炉の構成を示す断面模式図である。図10を参照し
て、この連成解析に用いた国際熱核融合実験炉の構成
は、基本的に図2において示した核融合炉と同様であ
る。また、プラズマ安定化装置としては、高温超電導体
からなる大型超電導コイル6a〜6dを、図10に示す
ように、ブランケット5の外側に配置した。また、大型
超電導コイル6a、6dは電気的に接続されており、大
型超電導コイル6b、6cも電気的に接続されている。
置の効果を検証するため、プラズマの動的平衡と超電導
体において発生する超電導電流の連成解析を行なった。
図10は、この連成解析において用いた国際熱核融合実
験炉の構成を示す断面模式図である。図10を参照し
て、この連成解析に用いた国際熱核融合実験炉の構成
は、基本的に図2において示した核融合炉と同様であ
る。また、プラズマ安定化装置としては、高温超電導体
からなる大型超電導コイル6a〜6dを、図10に示す
ように、ブランケット5の外側に配置した。また、大型
超電導コイル6a、6dは電気的に接続されており、大
型超電導コイル6b、6cも電気的に接続されている。
【0073】ここで、プラズマ平衡計算にはプラズマ位
置制御シミュレーションコードTOFUを用いた。ま
た、超電導電流計算には磁束フロー・クリープモデルに
基づく超電導遮蔽電流解析コードを用いた。なお、両者
とも多くの検証例および実用例があり、信頼に足る計算
コードである。また、核融合炉内の導電性構造物はすべ
て軸対称と仮定した。また、ブランケットおよび真空容
器をそれぞれ49本、60本の電気的に等価なリング回
路に近似した。また、高温超電導体としては、Bi系2
223相の銀シーステープ材を想定した。
置制御シミュレーションコードTOFUを用いた。ま
た、超電導電流計算には磁束フロー・クリープモデルに
基づく超電導遮蔽電流解析コードを用いた。なお、両者
とも多くの検証例および実用例があり、信頼に足る計算
コードである。また、核融合炉内の導電性構造物はすべ
て軸対称と仮定した。また、ブランケットおよび真空容
器をそれぞれ49本、60本の電気的に等価なリング回
路に近似した。また、高温超電導体としては、Bi系2
223相の銀シーステープ材を想定した。
【0074】まず、解析条件の検証のため、大型超電導
コイル6a〜6dを配置しなかった場合、すなわち核融
合炉内の導電性構造物による受動制御のみによるプラズ
マの安定化効果について解析を行なった。この場合に
は、非常に小さな擾乱をプラズマに与えた場合に、プラ
ズマの磁気軸は垂直方向に、1.23(単位:1/秒)
の時定数で運動し、最終的に炉内構造物に衝突すること
が示された。
コイル6a〜6dを配置しなかった場合、すなわち核融
合炉内の導電性構造物による受動制御のみによるプラズ
マの安定化効果について解析を行なった。この場合に
は、非常に小さな擾乱をプラズマに与えた場合に、プラ
ズマの磁気軸は垂直方向に、1.23(単位:1/秒)
の時定数で運動し、最終的に炉内構造物に衝突すること
が示された。
【0075】一方、実験データによれば、核融合炉内の
導電性構造物において、プラズマの位置変動により誘起
された渦電流は、導電性構造物の電気抵抗とインダクタ
ンスの比に等しい時定数で減衰する。そして、この減衰
に伴い、プラズマの変位も指数関数的に大きくなる。上
記の解析結果はこのような実験結果にほぼ一致し、この
解析は妥当であると考えられる。
導電性構造物において、プラズマの位置変動により誘起
された渦電流は、導電性構造物の電気抵抗とインダクタ
ンスの比に等しい時定数で減衰する。そして、この減衰
に伴い、プラズマの変位も指数関数的に大きくなる。上
記の解析結果はこのような実験結果にほぼ一致し、この
解析は妥当であると考えられる。
【0076】次に、図10に示すように、大型超電導コ
イル6a〜6dを核融合炉内に配置することによる安定
化効果について解析を行なった。この安定化効果は大型
超電導コイル6a〜6dに発生する遮蔽電流によるロー
レンツ力に起因するため、大型超電導コイル6a〜6d
の断面積が大きく、臨界電流が大きいほど安定化効果は
高いと考えられる。しかし、このような大型超電導コイ
ル6a〜6dの配置を行なう場合の設置場所の自由度の
問題、および、大型超電導コイル6a〜6dの製造コス
トを考慮すれば、大型超電導コイル6a〜6dの断面積
はできるだけ小さい方が好ましい。
イル6a〜6dを核融合炉内に配置することによる安定
化効果について解析を行なった。この安定化効果は大型
超電導コイル6a〜6dに発生する遮蔽電流によるロー
レンツ力に起因するため、大型超電導コイル6a〜6d
の断面積が大きく、臨界電流が大きいほど安定化効果は
高いと考えられる。しかし、このような大型超電導コイ
ル6a〜6dの配置を行なう場合の設置場所の自由度の
問題、および、大型超電導コイル6a〜6dの製造コス
トを考慮すれば、大型超電導コイル6a〜6dの断面積
はできるだけ小さい方が好ましい。
【0077】そこで、まず、大型超電導コイル6a〜6
dの断面積を変化させた場合について解析を行ない、プ
ラズマの安定化効果に対する大型超電導コイル6a〜6
dの断面積の影響を検討した。この検討に用いた大型超
電導6a〜6dの断面のサイズとしては、縦および横が
それぞれ5cm×5cm、10cm×10cm、20c
m×20cm、30cm×30cmの4つのケースを用
いた。また、この解析においてプラズマに与えた擾乱の
データを図11に示す。図11を参照して、この解析に
おいてプラズマに与えた擾乱は、瞬間的にポロイダルベ
ータ値が−0.2、内部インダクタンスが−0.1と急
激に低下し、5秒後に初期値に回復するというものであ
る。ここで、グラフの横軸は時間(秒)であり、縦軸
は、それぞれのデータの初期値に対する変化率を示す。
なお、この解析で用いた擾乱のデータは、国際熱融合核
実験炉の設計条件の中で最も深刻とされているものであ
る。
dの断面積を変化させた場合について解析を行ない、プ
ラズマの安定化効果に対する大型超電導コイル6a〜6
dの断面積の影響を検討した。この検討に用いた大型超
電導6a〜6dの断面のサイズとしては、縦および横が
それぞれ5cm×5cm、10cm×10cm、20c
m×20cm、30cm×30cmの4つのケースを用
いた。また、この解析においてプラズマに与えた擾乱の
データを図11に示す。図11を参照して、この解析に
おいてプラズマに与えた擾乱は、瞬間的にポロイダルベ
ータ値が−0.2、内部インダクタンスが−0.1と急
激に低下し、5秒後に初期値に回復するというものであ
る。ここで、グラフの横軸は時間(秒)であり、縦軸
は、それぞれのデータの初期値に対する変化率を示す。
なお、この解析で用いた擾乱のデータは、国際熱融合核
実験炉の設計条件の中で最も深刻とされているものであ
る。
【0078】この解析により得られた結果である、プラ
ズマの垂直方向位置の変位量の時間変化のグラフを図1
2に示す。
ズマの垂直方向位置の変位量の時間変化のグラフを図1
2に示す。
【0079】図12を参照して、超電導コイル6a〜6
dの断面サイズが5cm×5cmの場合、多少のプラズ
マの垂直方向位置の安定化効果は見られるものの、プラ
ズマは数秒でブランケット5に接触する。このように安
定化効果が小さいのは、超電導コイル6a〜6dの断面
積が小さいため、超電導コイル6a〜6dにおいて臨界
電流値を超える電流が流れるためである。この結果、磁
束フローによるエネルギー散逸が大きくなり、十分なプ
ラズマの安定化効果を得ることができない。
dの断面サイズが5cm×5cmの場合、多少のプラズ
マの垂直方向位置の安定化効果は見られるものの、プラ
ズマは数秒でブランケット5に接触する。このように安
定化効果が小さいのは、超電導コイル6a〜6dの断面
積が小さいため、超電導コイル6a〜6dにおいて臨界
電流値を超える電流が流れるためである。この結果、磁
束フローによるエネルギー散逸が大きくなり、十分なプ
ラズマの安定化効果を得ることができない。
【0080】超電導コイル6a〜6dの断面サイズが1
0cm×10cmの場合には、断面サイズが5cm×5
cmの場合に比べて安定化効果がかなり大きくなってい
ることがわかる。そして、プラズマの垂直方向位置は初
期状態における位置の近くまで回復している。このよう
に、断面サイズが5cm×5cmの場合よりもプラズマ
の垂直方向位置の安定化効果が飛躍的に向上しているの
は、超電導コイル6a〜6dを流れる遮蔽電流が臨界電
流値を超えないためである。すなわち、遮蔽電流がクリ
ープ領域にあり、超電導コイル6a〜6dを流れる遮蔽
電流はほとんど減衰しない。なお、プラズマの垂直方向
位置が完全に初期の位置にまで回復しないのは、遮蔽電
流が0秒〜5秒の間で一時的に臨界電流値を超える結果
磁束フローが生じ、これによってエネルギー散逸が発生
したことが大きな要因の1つと考えられる。また、わず
かだがヒステリシス損失も生じていると考えられる。
0cm×10cmの場合には、断面サイズが5cm×5
cmの場合に比べて安定化効果がかなり大きくなってい
ることがわかる。そして、プラズマの垂直方向位置は初
期状態における位置の近くまで回復している。このよう
に、断面サイズが5cm×5cmの場合よりもプラズマ
の垂直方向位置の安定化効果が飛躍的に向上しているの
は、超電導コイル6a〜6dを流れる遮蔽電流が臨界電
流値を超えないためである。すなわち、遮蔽電流がクリ
ープ領域にあり、超電導コイル6a〜6dを流れる遮蔽
電流はほとんど減衰しない。なお、プラズマの垂直方向
位置が完全に初期の位置にまで回復しないのは、遮蔽電
流が0秒〜5秒の間で一時的に臨界電流値を超える結果
磁束フローが生じ、これによってエネルギー散逸が発生
したことが大きな要因の1つと考えられる。また、わず
かだがヒステリシス損失も生じていると考えられる。
【0081】超電導コイル6a〜6dの断面サイズが2
0cm×20cmおよび30cm×30cmである場合
には、プラズマの垂直方向の位置はほぼ初期の位置にま
で回復している。これは、図11に示すような擾乱が発
生した場合にも、超電導コイル6a〜6dではほとんど
遮蔽電流が臨界電流値を超えないためである。なお、ク
リープによる非常に小さなエネルギー損失とヒステリシ
ス損失は発生していると考えられる。
0cm×20cmおよび30cm×30cmである場合
には、プラズマの垂直方向の位置はほぼ初期の位置にま
で回復している。これは、図11に示すような擾乱が発
生した場合にも、超電導コイル6a〜6dではほとんど
遮蔽電流が臨界電流値を超えないためである。なお、ク
リープによる非常に小さなエネルギー損失とヒステリシ
ス損失は発生していると考えられる。
【0082】以上の結果から、超電導コイル6a〜6d
によるプラズマの安定化効果を十分なものとするために
は、超電導コイルa〜6dを流れる電流が超電導コイル
6a〜6dの臨界電流値を超えないことが必要である。
このため、国際熱核融合実験炉の体系においては、超電
導コイル6a〜6dの断面サイズが20cm×20cm
以上であれば十分なプラズマの安定化効果が得られると
考えられる。
によるプラズマの安定化効果を十分なものとするために
は、超電導コイルa〜6dを流れる電流が超電導コイル
6a〜6dの臨界電流値を超えないことが必要である。
このため、国際熱核融合実験炉の体系においては、超電
導コイル6a〜6dの断面サイズが20cm×20cm
以上であれば十分なプラズマの安定化効果が得られると
考えられる。
【0083】図13は、超電導コイル6a〜6dの断面
サイズが30cm×30cmの場合において、図11に
示した擾乱を与えた場合のプラズマ重心の位置の変位を
示すグラフである。ここで、図11に示すように、ポロ
イダルベータ値は一時的に低下しているが、このポロイ
ダルベータ値の低下はプラズマ圧の低下を意味する。そ
のため、図13に示すように、ポロイダルベータ値の低
下に伴い、プラズマの内圧が小さくなり、プラズマの水
平方向の重心の位置も変化する。つまり、プラズマが超
電導コイル6a〜6dの軸心方向に移動し、水平方向に
収縮している。ここで、この際のプラズマ電流の変化量
を図14に示す。
サイズが30cm×30cmの場合において、図11に
示した擾乱を与えた場合のプラズマ重心の位置の変位を
示すグラフである。ここで、図11に示すように、ポロ
イダルベータ値は一時的に低下しているが、このポロイ
ダルベータ値の低下はプラズマ圧の低下を意味する。そ
のため、図13に示すように、ポロイダルベータ値の低
下に伴い、プラズマの内圧が小さくなり、プラズマの水
平方向の重心の位置も変化する。つまり、プラズマが超
電導コイル6a〜6dの軸心方向に移動し、水平方向に
収縮している。ここで、この際のプラズマ電流の変化量
を図14に示す。
【0084】図14を参照して、プラズマが水平方向に
収縮した場合には、プラズマは磁束を一定に保とうとす
るため、プラズマ電流が大きくなっている。ここで、プ
ラズマ電流の初期値は21MAである。また、グラフの
縦軸はプラズマ電流の初期値からの変化量を示す。図1
1に示したような擾乱が与えられた瞬間には、図14に
示すように、プラズマ電流は最大約5.7%変動してい
る。ただし、約1秒後には、そのプラズマ電流の変動は
初期値に対して約1%程度にまで回復している。
収縮した場合には、プラズマは磁束を一定に保とうとす
るため、プラズマ電流が大きくなっている。ここで、プ
ラズマ電流の初期値は21MAである。また、グラフの
縦軸はプラズマ電流の初期値からの変化量を示す。図1
1に示したような擾乱が与えられた瞬間には、図14に
示すように、プラズマ電流は最大約5.7%変動してい
る。ただし、約1秒後には、そのプラズマ電流の変動は
初期値に対して約1%程度にまで回復している。
【0085】次に、プラズマの表面位置(セパラトリク
ス)の変動についての解析結果を示す。セパラトリクス
の変動については、初期平衡状態におけるセパラトリク
ス上に参照点を定義し、その点の変位によって評価し
た。ここで用いたセパラトリクス上の参照点を図15に
示す。なお、図15中における参照点p1〜p6のそれ
ぞれの矢印は、それぞれの参照点p1〜p6の変位の正
の方向を意味している。
ス)の変動についての解析結果を示す。セパラトリクス
の変動については、初期平衡状態におけるセパラトリク
ス上に参照点を定義し、その点の変位によって評価し
た。ここで用いたセパラトリクス上の参照点を図15に
示す。なお、図15中における参照点p1〜p6のそれ
ぞれの矢印は、それぞれの参照点p1〜p6の変位の正
の方向を意味している。
【0086】そして、図15において示したそれぞれの
参照点p1〜p6の変位の時間変化を図16に示す。
参照点p1〜p6の変位の時間変化を図16に示す。
【0087】図16を参照して、参照点p2〜p5は、
磁気軸の方向(正の方向)に変位しており、プラズマが
収縮することを示している。したがって、これらの参照
点p2〜p5では、プラズマは壁と接触することはな
い。
磁気軸の方向(正の方向)に変位しており、プラズマが
収縮することを示している。したがって、これらの参照
点p2〜p5では、プラズマは壁と接触することはな
い。
【0088】一方、参照点p1、p6は、プラズマ下に
位置する構造物に近づく方向に変位している。そして、
それぞれの変位の最大値は、参照点p1で22.5c
m、参照点p6において6.0cm程度であり、いずれ
もプラズマが構造物に接触することにならず問題はな
い。
位置する構造物に近づく方向に変位している。そして、
それぞれの変位の最大値は、参照点p1で22.5c
m、参照点p6において6.0cm程度であり、いずれ
もプラズマが構造物に接触することにならず問題はな
い。
【0089】以上のような数値解析結果により、本発明
によるプラズマ安定化装置は、外部電源による制御を行
なうことなく、核融合炉において要求されるプラズマ不
安定性の制御を行なうことが可能であることが示され
た。
によるプラズマ安定化装置は、外部電源による制御を行
なうことなく、核融合炉において要求されるプラズマ不
安定性の制御を行なうことが可能であることが示され
た。
【0090】開示された実施の形態または実施例はすべ
ての点で例示であって制限的なものではないと考えられ
るべきである。本発明の範囲は実施の形態または実施例
ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の
範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含ま
れることが意図される。
ての点で例示であって制限的なものではないと考えられ
るべきである。本発明の範囲は実施の形態または実施例
ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の
範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含ま
れることが意図される。
【0091】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜12に記載の
発明によれば、プラズマ安定化手段として超電導コイル
を利用することにより、外部からの制御電源を用いるこ
となく、核融合炉においてプラズマの不安定性の制御を
行なうことが可能なプラズマ安定化装置を得ることがで
きる。
発明によれば、プラズマ安定化手段として超電導コイル
を利用することにより、外部からの制御電源を用いるこ
となく、核融合炉においてプラズマの不安定性の制御を
行なうことが可能なプラズマ安定化装置を得ることがで
きる。
【図1】本発明の実施の形態によるプラズマ安定化装置
とプラズマとの位置関係を示す模式図である。
とプラズマとの位置関係を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態によるプラズマ安定化装置
を国際熱核融合実験炉に適用することを想定した場合の
断面模式図である。
を国際熱核融合実験炉に適用することを想定した場合の
断面模式図である。
【図3】図2において示した本発明の実施の形態による
プラズマ安定化装置の断面拡大図である。
プラズマ安定化装置の断面拡大図である。
【図4】本発明の実施の形態によるプラズマ安定化装置
における大型超電導コイルを示した模式図である。
における大型超電導コイルを示した模式図である。
【図5】本発明の実施の形態によるプラズマ安定化装置
における大型超電導コイルの効果を説明するための断面
模式図である。
における大型超電導コイルの効果を説明するための断面
模式図である。
【図6】本発明の実施の形態によるプラズマ安定化装置
の大型超電導コイルの効果を説明するための断面模式図
である。
の大型超電導コイルの効果を説明するための断面模式図
である。
【図7】本発明の実施の形態によるプラズマ安定化装置
の大型超電導コイルの変形例を示す模式図である。
の大型超電導コイルの変形例を示す模式図である。
【図8】本発明の実施の形態によるプラズマ安定化装置
の小型超電導コイルの変形例を示す模式図である。
の小型超電導コイルの変形例を示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態によるプラズマ安定化装置
の小型超電導コイルの変形例を示す模式図である。
の小型超電導コイルの変形例を示す模式図である。
【図10】本発明の実施例において行なった数値解析に
おいて用いた国際熱核融合実験炉の断面模式図である。
おいて用いた国際熱核融合実験炉の断面模式図である。
【図11】本発明の実施例において行なった数値解析に
おいて用いた擾乱のデータを示すグラフである。
おいて用いた擾乱のデータを示すグラフである。
【図12】本発明の実施例において行なった数値解析の
結果のうち、プラズマの垂直方向位置の変位量の時間変
化を示すグラフである。
結果のうち、プラズマの垂直方向位置の変位量の時間変
化を示すグラフである。
【図13】本発明の実施例において行なった数値解析の
結果のうち、プラズマ重心の位置の変位を示すグラフで
ある。
結果のうち、プラズマ重心の位置の変位を示すグラフで
ある。
【図14】本発明の実施例による数値解析の結果のう
ち、プラズマ電流の変化量を示すグラフである。
ち、プラズマ電流の変化量を示すグラフである。
【図15】本発明の実施例による数値解析の結果のう
ち、プラズマの表面位置(セパラトリクス)の変位を評
価するための参照点を示す模式図である。
ち、プラズマの表面位置(セパラトリクス)の変位を評
価するための参照点を示す模式図である。
【図16】本発明の実施例による数値解析の結果のう
ち、プラズマ表面の参照点の変位の時間変化を示すグラ
フである。
ち、プラズマ表面の参照点の変位の時間変化を示すグラ
フである。
【図17】従来研究されているトカマク型の核融合炉の
模式図である。
模式図である。
1 プラズマ 2 センターソレノイドコイル 3 ポロイダルコイル 4 トロイダルコイル 5 ブランケット 6,6a〜6h 大型超電導コイル 7,7a,7b 小型超電導コイル 8 磁力線 9 真空容器 10a〜10d プラズマ安定化装置 11 断熱材 12,12a〜12h 接続部 13a〜13d 変動磁場の向き 14a,14b 接続部 15 冷却材配管 16 冷却材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 598063605 内一 哲哉 茨城県那珂郡東海村白方白根2番地の22 東京大学大学院工学系研究科附属原子力工 学研究施設内 (72)発明者 宮 健三 茨城県那珂郡東海村白方白根2番地の22 東京大学大学院工学系研究科附属原子力工 学研究施設内 (72)発明者 吉田 義勝 茨城県那珂郡東海村白方91 (72)発明者 内一 哲哉 茨城県那珂郡東海村白方白根2番地の22 東京大学大学院工学系研究科附属原子力工 学研究施設内
Claims (12)
- 【請求項1】 核融合炉において、プラズマを閉じ込め
る磁場中に配置されたプラズマ安定化手段を備え、前記
プラズマ安定化手段が超電導コイルからなることを特徴
とする、プラズマ安定化装置。 - 【請求項2】 前記プラズマは、前記超電導コイルの軸
心を取囲むように円環状に形成されている、請求項1に
記載のプラズマ安定化装置。 - 【請求項3】 前記超電導コイルは、前記プラズマ上に
位置する上部コイルと、前記プラズマ下に位置する下部
コイルとを含み、 前記上部コイルと前記下部コイルとには、それぞれ分割
点が形成され、 前記上部コイルと前記下部コイルとは、それぞれの前記
分割点において、一方端部と他方端部とを有し、 前記上部コイルの一方端部と前記下部コイルの一方端部
とは電気的に接続されており、 前記上部コイルの他方端部と前記下部コイルの他方端部
とは電気的に接続されている、請求項1または2に記載
のプラズマ安定化装置。 - 【請求項4】 前記上部コイルと前記下部コイルとに
は、それぞれ複数の前記分割点が形成されている、請求
項3に記載のプラズマ安定化装置。 - 【請求項5】 前記プラズマ表面に対向するように配置
され、前記超電導コイルの直径より小さい直径を有する
超電導小コイルをさらに備える、請求項1〜4のいずれ
か1項に記載のプラズマ安定化装置。 - 【請求項6】 前記プラズマを囲むように設置され、前
記超電導コイルと前記超電導小コイルとを冷却するため
の冷却媒体を移送する配管をさらに備え、 前記超電導コイルと前記超電導小コイルとは、前記配管
内に設置されている、請求項5に記載のプラズマ安定化
装置。 - 【請求項7】 前記超電導コイルまたは前記超電導小コ
イルを、前記プラズマに対向して配置されるブランケッ
ト材の外側に設置する、請求項5または6に記載のプラ
ズマ安定化装置。 - 【請求項8】 前記超電導コイルは、前記プラズマ表面
に対向するように配置され、前記プラズマの外径より小
さい直径を有する超電導小コイルである、請求項1に記
載のプラズマ安定化装置。 - 【請求項9】 前記超電導小コイルは、ほぼ並列して配
置された第1および第2の超電導小コイルを含み、 前記第1の超電導小コイルにおけるコイル巻き線の巻き
方向は、前記第2の超電導小コイルにおけるコイル巻き
線の巻き方向と逆であり、 前記第1の超電導小コイルにおけるコイル巻き線の一方
端部は、前記第2の超電導小コイルにおけるコイル巻き
線の一方端部と電気的に接続され、 前記第1の超電導小コイルにおけるコイル巻き線の他方
端部は、前記第2の超電導小コイルにおけるコイル巻き
線の他方端部と電気的に接続されている、請求項5また
は8に記載のプラズマ安定化装置。 - 【請求項10】 前記超電導小コイルを、前記プラズマ
に対向して配置されるブランケット材の外側に設置す
る、請求項8または9に記載のプラズマ安定化装置。 - 【請求項11】 前記核融合炉は、磁場閉じ込め方式の
核融合炉である、請求項1〜10のいずれか1項に記載
のプラズマ安定化装置。 - 【請求項12】 前記核融合炉は、トカマク方式、逆転
磁場ピンチ方式、ヘリカル方式からなる群から選択され
る1つの方式を用いた核融合炉である、請求項11に記
載のプラズマ安定化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10133678A JPH11326568A (ja) | 1998-05-15 | 1998-05-15 | プラズマ安定化装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10133678A JPH11326568A (ja) | 1998-05-15 | 1998-05-15 | プラズマ安定化装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11326568A true JPH11326568A (ja) | 1999-11-26 |
Family
ID=15110335
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10133678A Withdrawn JPH11326568A (ja) | 1998-05-15 | 1998-05-15 | プラズマ安定化装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11326568A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018523258A (ja) * | 2015-05-12 | 2018-08-16 | ティーエーイー テクノロジーズ, インコーポレイテッド | 不所望の渦電流を低減するシステムおよび方法 |
CN116665924A (zh) * | 2023-06-14 | 2023-08-29 | 中国科学院合肥物质科学研究院 | 一种用于抑制等离子体垂直不稳定性的被动板结构 |
-
1998
- 1998-05-15 JP JP10133678A patent/JPH11326568A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018523258A (ja) * | 2015-05-12 | 2018-08-16 | ティーエーイー テクノロジーズ, インコーポレイテッド | 不所望の渦電流を低減するシステムおよび方法 |
CN116665924A (zh) * | 2023-06-14 | 2023-08-29 | 中国科学院合肥物质科学研究院 | 一种用于抑制等离子体垂直不稳定性的被动板结构 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050802 |