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JPH11270587A - 動力配分装置のクラッチ機構 - Google Patents

動力配分装置のクラッチ機構

Info

Publication number
JPH11270587A
JPH11270587A JP10070855A JP7085598A JPH11270587A JP H11270587 A JPH11270587 A JP H11270587A JP 10070855 A JP10070855 A JP 10070855A JP 7085598 A JP7085598 A JP 7085598A JP H11270587 A JPH11270587 A JP H11270587A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clutch
end side
pressure
gear
pressure pin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10070855A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Kobayashi
利雄 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Heavy Industries Ltd filed Critical Fuji Heavy Industries Ltd
Priority to JP10070855A priority Critical patent/JPH11270587A/ja
Publication of JPH11270587A publication Critical patent/JPH11270587A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数のクラッチ部及びピストン部を効率よく
配置し、部品点数を削減すると共に、小型で低コストな
動力配分装置のクラッチ機構を提供する。 【解決手段】 クラッチドラム36内に、第2のクラッ
チ部41が第1のクラッチ部40よりも一端側(左側)
に位置するよう連なって配設する。第2のプレッシャピ
ン57を第1のプレッシャピン56よりも外周側から間
隙40aに挿通し、第1のプレッシャピン56と第1の
ピストン60とをベアリング61を介して連結すると共
に、第1のピストン60よりも他端側に配設した第2の
ピストン62と第2のプレッシャピン57とをベアリン
グ63を介して第1のプレッシャピン56よりも外周側
で連結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、少なくとも2つ以上の
異なるクラッチ部を同軸上に連なって配設した動力配分
装置のクラッチ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両の運動性能を向上させるた
め、前後輪あるいは左右輪のトルク配分を積極的に制御
する様々な動力配分装置が開発され実用化されている。
このような場合、トルク配分制御は、通常、複数の異な
るクラッチ部からなるクラッチ機構を動作させて行う。
【0003】例えば、特開平5−77653号公報に
は、ダブルピニオン式の遊星歯車機構で形成された差動
装置に左右の駆動力配分を制御する駆動力伝達制御機構
を備えたものが開示されており、上記駆動力伝達制御機
構は、左右の出力軸に付設されて左右の出力軸の回転速
度を変速する変速機構と、この変速機構によって変速さ
れて、左右の出力軸と異なる速度で回転するように接続
された駆動力伝達補助部材と、左右の駆動力配分を調整
する左右一対のクラッチ部を有する多板クラッチ機構と
から構成されている。そして、多板クラッチ機構と差動
機構を同一ケーシング内に配設している。さらに、上記
多板クラッチ機構はクラッチ部とピストン部とから分離
構成され、クラッチ部がディファレンシャルケース内に
ピストン部がケース外に配置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記先行例に
おいては、クラッチ部は差動装置の両側に左右対称に互
いに離間して配置されているため、ピストン部を駆動し
各クラッチ部を動作させるための油圧源等の装置を互い
に離間した場所にそれぞれ設ける必要がある。このた
め、クラッチ機構を構成する部品点数が増加し、さら
に、機構全体の大型化、製造コストの高騰を招く虞があ
る。そして、これらは動力配分装置の大型化、製造コス
トの高騰等を招く虞がある。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、少なくとも2つ以上の複数のクラッチ部を有する
動力配分装置のクラッチ機構において、クラッチ部及び
ピストン部を効率よく配置し、部品点数を削減すると共
に、小型で低コストな動力配分装置のクラッチ機構を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、複数のクラッチ部によって
動力配分制御を行う動力配分装置のクラッチ機構におい
て、動力配分装置の筐体内で回動自在なクラッチドラム
と、このクラッチドラム内で同軸上に連ねて設けた複数
のクラッチ部と、各クラッチ部をそれぞれ押圧する複数
のプレッシャピンと、各プレッシャピンをそれぞれ動作
させる複数のピストンとを備え、一端側に配設されたク
ラッチ部を押圧するプレッシャピンが挿通可能な間隙を
上記クラッチドラムと他端側のクラッチ部との間に形成
すると共に、上記クラッチドラムの底部に各プレッシャ
ピンが挿通可能なピン孔を形成し、この間隙並びにピン
孔に各プレッシャピンを他端側から一端側に向けて挿通
し、上記クラッチドラムの外部で各プレッシャピンの他
端側とこれら各プレッシャピンに対応する各ピストンと
をベアリングを介してそれぞれ相対回転自在に連結した
ことを特徴とする。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、上記クラッチドラム内で一端側のクラッチ
部を押圧するプレッシャピンを他端側のクラッチ部を押
圧するプレッシャピンよりも外周側に配設し、上記筐体
内で他端側のクラッチ部に対応するピストンを一端側の
クラッチ部に対応するピストンよりも一端側に配設し、
一端側のクラッチ部に対応するプレッシャピンとクラッ
チとを他端側のクラッチ部に対応するプレッシャピンと
クラッチとの連結部よりも外周側で連結すると共に、プ
レッシャピンの内側に該プレッシャピンに対応するクラ
ッチ部よりも他端側のクラッチ部の一端側への移動を規
制するスナップリングを設けたことを特徴とする。
【0008】請求項3記載の発明は、請求項1或いは請
求項2記載の発明において、上記間隙は、上記クラッチ
部を構成するドリブンプレートとリテーニングプレート
の一部を切り欠いて形成したことを特徴とする。
【0009】すなわち、請求項1記載の発明では、動力
配分装置のクラッチ機構は、複数のクラッチ部をクラッ
チドラム内で同軸上に連ねて設け、一端側に配設された
クラッチ部を押圧するプレッシャピンが挿通可能な間隙
をクラッチドラムと他端側のクラッチ部との間に形成す
ると共に、クラッチドラムの底部に各プレッシャピンが
挿通可能なピン孔を形成する。そして、この間隙並びに
ピン孔に各プレッシャピンを他端側から一端側に向けて
挿通する。従って、複数のクラッチ部を同軸上に配設す
るに際し、複数のクラッチ部を一体化してコンパクトに
実現することが可能となり、クラッチ部を効率よく配設
することが可能となる。また、各プレッシャピンと各プ
レッシャピンに対応する各ピストンとをベアリングを介
して連結したので、クラッチドラムが回転しても各ピス
トンが連れ回ることなく、従って、動力配分装置の動作
時に、各ピストンを動作させる油圧室等に遠心油圧が作
用せず正確なクラッチ制御が行われる。
【0010】また、請求項2記載の発明では、所望のク
ラッチ部を連結するにあたり対応するピストンを一端側
へ動作させると、該所望のクラッチ部よりも他端側に配
設されたクラッチ部に対応するピストンも一体となって
一端側へ動作され、これらに対応するプレッシャピンも
動作されるが、この際該プレッシャピンに設けられたス
ナップリングも同時に一端側へ動作されるので、上記他
端側のクラッチ部は等ピッチのまま一端側へ移動し、所
望のクラッチ部のみが連結される。
【0011】また、請求項3記載の発明では、上記クラ
ッチ部を構成するドリブンプレートとリテーニングプレ
ートの一部を切り欠くことにより間隙を形成するので、
該間隙の形成が容易に行われる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1〜図6は本発明の一形態に係
り、図1は左右駆動力配分装置のクラッチ機構部を示す
要部拡大断面図、図2は左右駆動力配分装置の断面図、
図3は図1のI−I断面図、図4はプレッシャピンの分
解斜視図、図5は左右駆動力配分の油圧制御装置の構成
図、図6は左右駆動力配分制御装置の機能構成を示すブ
ロック図である。
【0013】以下、本発明によるクラッチ機構を適用し
た動力配分装置の一例して、複数のクラッチ部により左
右後輪へのトルク配分の積極的な制御を行うことが可能
な後輪左右駆動力配分装置について説明する。
【0014】図2に示すように、上記後輪左右駆動力配
分装置1は、大きく分けて差動制限機構部5と、歯車機
構部6と、クラッチ機構部7(動力配分装置のクラッチ
機構)とから主に構成されており、この後輪左右駆動力
配分装置1に駆動力を伝達するドライブピニオン8と上
記差動制限機構部5は、ディファレンシャルキャリア9
内に収容され、上記クラッチ機構部7は上記歯車機構部
6を介して上記ディファレンシャルキャリア9側面に配
設され、このディファレンシャルキャリア9の後端部は
カバー10で覆われ、上記歯車機構部6と上記クラッチ
機構部7はカバー11で覆われている。ここで、上記デ
ィファレンシャルキャリア9とカバー10,11で筐体
が構成されている。
【0015】上記ディファレンシャルキャリヤ9に取り
付けられた左側サイドリテーナ12には、左ドライブ軸
14がこの左側サイドリテーナ12を貫通して回動自在
に設けられ、この左ドライブ軸14と同軸上に、右ドラ
イブ軸15が上記ディファレンシャルキャリヤ9の右側
を貫通して回動自在に設けられている。
【0016】上記左ドライブ軸14の外周には、左側デ
ィファレンシャルケース16Lが回動自在に嵌合され、
上記左ドライブ軸14と上記左側ディファレンシャルケ
ース16Lが、上記左側サイドリテーナ12に軸受を介
して回動自在に支持されている。
【0017】上記左側ディファレンシャルケース16L
には、右側ディファレンシャルケース16Rの一端部
(左側端部)と、上記ドライブピニオン8と噛合される
クラウンギヤ17が共に回転中心の芯合わせがなされ固
定されており、右側ディファレンシャルケース16Rの
他端部は、キャリヤ18の右側面に形成した筒部18a
の外周に回動自在に嵌合され、軸受を介して上記ディフ
ァレンシャルキャリア9に支持されている。
【0018】また、上記キャリヤ18の筒部18aの内
側には、上記歯車機構部6における第1の歯車軸19が
スプライン嵌合され、さらに、この第1の歯車軸19の
内側に上記右ドライブ軸15が回動自在に嵌合されてい
る。
【0019】すなわち、上記右側ディファレンシャルケ
ース16Rと、上記キャリヤ18と上記第1の歯車軸1
9の接続部と、上記右ドライブ軸15とは、それぞれが
回動自在に上記ディファレンシャルキャリア9に支持さ
れ、また、上記左側ディファレンシャルケース16Lと
上記右側ディファレンシャルケース16Rとで構成さ
れ、上記クラウンギヤ17が取り付けられたディファレ
ンシャルケース16が、上記ディファレンシャルキャリ
ア9内で回動自在に保持されている。
【0020】上記ディファレンシャルケース16内に
は、上記キャリヤ18が回動自在に配設されて、上記キ
ャリヤ18内には上記左ドライブ軸14と上記右ドライ
ブ軸15が挿入されて、キャリヤ18が左ドライブ軸1
4の先端部にスプライン結合されている。
【0021】上記ディファレンシャルケース16内で、
左側ディファレンシャルケース16Lの左ドライブ軸1
4が挿通される部分には、大径の第1のサンギヤ20が
ディファレンシャルケース16にスプライン結合され、
上記右ドライブ軸15の先端部に小径の第2のサンギヤ
21がスプライン結合され、上記第1のサンギヤ20が
小径の第1のピニオン22と噛合して第1の歯車列が形
成され、上記第2のサンギヤ21が大径の第2のピニオ
ン23と噛合して第2の歯車列が形成されている。
【0022】上記第1のピニオン22と上記第2のピニ
オン23はピニオン部材24に一体に形成されており、
複数(例えば3個)の上記ピニオン部材24が、キャリ
ヤ18に固定したそれぞれのプラネタリピン25に軸受
を介して回動自在に軸支されている。上記ピニオン部材
24の両端には上記キャリア18との間にスラスト荷重
受け用のワッシャが介装されている。
【0023】すなわち、上記差動制限機構部5は、上記
ドライブピニオン8からの駆動力を、クラウンギヤ1
7,ディファレンシャルケース16を介して第1のサン
ギヤ20に伝達し、上記第2のサンギヤ21から上記右
ドライブ軸15へ出力する一方、上記キャリヤ18から
上記左ドライブ軸14へ出力する複合プラネタリギヤ式
の差動制限装置で構成されている。
【0024】上記差動制限機構部5を構成する上記複合
プラネタリギヤ式の差動制限装置は、上記第1,第2の
サンギヤ20,21およびこれらサンギヤ20,21の
周囲に複数個配置される上記第1,第2のピニオン2
2,23の歯数を適切に設定することで差動機能を有す
る。
【0025】また、上記第1,第2のサンギヤ20,2
1と上記第1,第2のピニオン22,23との噛み合い
ピッチ円半径を適切に設定することで、基準トルク配分
を左右50:50の等トルク配分とすることが可能とな
る。
【0026】更に、上記第1,第2のサンギヤ20,2
1と上記第1,第2のピニオン22,23とを、例え
ば、斜歯歯車にし、上記第1の歯車列と上記第2の歯車
列の捩れ角を異にして、スラスト荷重を相殺させること
なくスラスト荷重を残留させてピニオン端面間に摩擦ト
ルクを生じさせ、また、上記第1,第2のピニオン2
2,23と上記プラネタリピン25の表面に噛合いによ
る分離,接線荷重の合成力が作用して摩擦トルクが生じ
るように設定し、入力トルクに比例した差動制限トルク
を得ることで差動制限機能を与える。
【0027】上記第1の歯車軸19は上記ディファレン
シャルキャリア9の外側に延出されて軸受を介して上記
ディファレンシャルキャリア9に回動自在に支持され、
上記キャリヤ18との接続部とは逆の端部に、基準回転
歯車としての第1の歯車26が形成されている。
【0028】また、上記第1の歯車26の外側(右側)
には、増速回転歯車としての第2の歯車27と減速回転
歯車としての第3の歯車28とが並設され、上記第2の
歯車27と上記第3の歯車28は共に同一の第2の歯車
軸29に形成されて、この第2の歯車軸29は上記右ド
ライブ軸15にスプライン嵌合されている。そして、上
記各第1,2,3の歯車26,27,28は、それぞ
れ、これら歯車26〜28の回転軸芯に付し、平行な同
一回転軸芯上に並設された第4,5,6の歯車30,3
1,32と噛合されている。
【0029】すなわち、歯車機構部6は、上記第1の歯
車26と上記第4の歯車30による第1の歯車列と、上
記第2の歯車27と上記第5の歯車31による第2の歯
車列と、第3の歯車28と第6の歯車32による第3の
歯車列の3つの歯車列から構成されている。
【0030】そして、各歯車列のギヤ比は、例えば、上
記第1,2,3,4,5,6の歯車26,27,28,
30,31,32の歯数をそれぞれz1 ,z2 ,z3 ,
z4,z5 ,z6 として、第1の歯車列は、z4 /z1
=0.9、第2の歯車列は、z5 /z2 =0.9×0.
9、第3の歯車列は、z6 /z3 =1に設定され、各ギ
ヤ比を大きい順にならべると、1(第3の歯車列のギヤ
比),0.9(第1の歯車列のギヤ比),0.9×0.
9(第2の歯車列のギヤ比)で、ステップ比が0.9の
一定になっている。尚、この値は他の値に設定しても良
い。
【0031】また、第4の歯車軸33の一端側(左側)
に上記第4の歯車30が一体に形成されており、第4の
歯車軸33は、その一端部が上記ディファレンシャルキ
ャリア9の外側に、他端部(右側端部)が上記カバー1
1の内側に円筒形状に形成された軸受部11aに、それ
ぞれ軸受を介して回動自在に支持されている。また、上
記第4の歯車軸33の他端側には、上記第4の歯車30
側が開口した円筒状のクラッチドラム36が固定されて
いる。
【0032】また、第5の歯車軸35の一端側に上記第
5の歯車31が一体に形成されており、この第5の歯車
軸35は、その他端部が上記第4の歯車軸33の外周に
沿って上記クラッチドラム36の底部36aまで延出し
て設けられている。さらに、上記第5の歯車軸35の他
端部には所定長さのクラッチハブ37が設けられ、この
クラッチハブ37と上記クラッチドラム36の間に第1
のクラッチ部40が形成されている。
【0033】さらに、第6の歯車軸38の一端側に上記
第6の歯車32が一体に形成されており、この第6の歯
車軸38は、上記第5の歯車軸35の外周に沿って上記
第1のクラッチ部40の端面近傍まで延出して設けられ
ている。上記第6の歯車軸38の他端部には所定長さの
クラッチハブ39が形成され、このクラッチハブ39と
クラッチドラム36の間に第2のクラッチ部41が形成
されている。
【0034】次に、本発明の要旨であるクラッチ機構部
7(動力配分装置のクラッチ機構)について詳しく説明
する。
【0035】上記第1のクラッチ部40は、図1に示す
ように、上記クラッチドラム36内の他端寄りに複数
(例えば4枚)のドリブンプレート43と複数(例えば
4枚)のドライブプレート45とが他端側(右側)から
順に交互に重ねて配設され、さらに、上記ドリブンプレ
ート43とラジアル方向の形状が略同一なリテーニング
プレート44が一端側(左側)に重ねて配設されて形成
されている。
【0036】上記ドリブンプレート43の外径は、図3
に示すように、このドリブンプレート43の外周が上記
クラッチドラム36の内周に対して所定の間隔を有する
よう、上記クラッチドラム36の内径よりも小さく形成
されている。
【0037】ここで、上記クラッチドラム36の内周に
は複数(例えば12本)の凹溝42が上記歯車軸33の
軸方向に沿って所定間隔毎に形成されており、上記ドリ
ブンプレート43は、これらの外周に設けられた複数の
突部43aが凹溝42に嵌合することによりクラッチド
ラム36に保持されている。
【0038】ところで、上記突部43aは、上記凹溝4
2の全てに対応して設けられておらず、所定間隔毎に上
記突部43aを切り欠いた欠歯部43bが上記ドリブン
プレート43の外周に沿って対称に形成されている。な
お、本実施の形態では、上記ドリブンプレート43に
は、上記凹溝42に対応する上記突出部43aが2本連
なる毎に1ヶ所の欠歯部43bが形成されており、上記
欠歯部43bは、上記ドリブンプレート43上に都合4
ヶ所形成されている。
【0039】また、上記リテーニングプレート44の外
径は、上記ドリブンプレート43と同径に形成され、ま
た、リテーニングプレート44の外周には上記ドリブン
プレート43と同様に、突部44a、欠歯部44bが設
けられている。
【0040】また、上記ドライブプレート45は、内縁
が上記クラッチハブ37にスプライン嵌合されており、
また、このドライブプレート45の外径は、上記ドリブ
ンプレート43の外径と同径かあるいは小径に形成され
ている。
【0041】そして、上記各構成により第1のクラッチ
部40には、クラッチドラム36と欠歯部43b,44
b、とに囲まれ、該第1のクラッチ部40の一端側と他
端側とを連通する間隙40aが複数(例えば4ヶ所)形
成されている。
【0042】上記第2のクラッチ部41は、図1に示す
ように、上記クラッチドラム36内の一端寄りに複数
(例えば4枚)のドリブンプレート46と複数(例えば
4枚)のドライブプレート48とが他端側から順に交互
に重ねて配設され、さらに、ドリブンプレート46とラ
ジアル方向の形状が略同一のリテーニングプレート47
が一端側に重ねて配設されて形成されている。
【0043】上記ドリブンプレート46の外径は、図3
に示すように、上記第1のクラッチ部40におけるドリ
ブンプレート43の外径よりも大きく、且つ上記クラッ
チドラム36の内径よりもやや小さく形成されている。
【0044】このドリブンプレート46は、該ドリブン
プレート46の外周に設けられた複数の突部46aが上
記凹溝42に嵌合することにより上記クラッチドラム3
6に保持されている。
【0045】また、上記リテーニングプレート47の外
径は、上記ドリブンプレート46と同径に形成され、ま
た、リテーニングプレート47の外周には上記ドリブン
プレート46と同様に、突部47aが設けられている。
【0046】また、上記ドライブプレート48は、上記
クラッチハブ39にスプライン嵌合されている。ここ
で、本実施の形態では、上記ドライブプレート48の形
状は、上記ドライブプレート45の形状と同様に形成さ
れている。これは、上記第1のクラッチ部40の締結力
と上記第2のクラッチ部41の締結力を等しくするため
である。
【0047】さらに、上記クラッチドラム36の一端寄
りには、上記リテーニングプレート47を係止して第2
のクラッチ部41の一端側への移動を規制するスナップ
リング51が取り付けられている。
【0048】上記クラッチドラム底部36aには、上記
間隙40aに対応する4ヶ所の対称位置にピン孔36b
が形成されており、それぞれのピン孔36bには、第1
のプレッシャピン56と第2のプレッシャピン57とが
挿通されている。
【0049】図4に示すように、上記第1のプレッシャ
ピン56の他端側は、小径の第1のプレッシャリング5
8によって互いに対称となるよう連結されており、ま
た、上記第2のプレッシャリング57の他端側は、大径
の第2のプレッシャリング59によって互いに対称とな
るよう連結されている。
【0050】そして、図3に示すように、上記第1のプ
レッシャピン56は、第1のクラッチ部40の最も他端
側(右側)に位置するドリブンプレート43の欠歯部4
3bの内周側を押圧自在となっている。
【0051】また、上記第2のプレッシャピン57は、
第1のプレッシャピン56の外面に沿ってピン孔36b
に挿通された後、上記第1のクラッチ部40とクラッチ
ドラム36との間隙40aに挿通され、第2のクラッチ
部41の最も他端側(右側)に位置するドリブンプレー
ト46を押圧自在となっている。
【0052】また、上記第2のプレッシャピン57の先
端寄りの内側部分には、リテーニングプレート44を係
止して第1のクラッチ部40の一端側への移動を規制す
るスナップリング52が取り付けられている。
【0053】上記カバー11の軸受部11aの外周に
は、リング状に形成され内縁部が該軸受部11aと摺動
自在な第1のピストン60が嵌合されている。そして、
この第1のピストン60の一端側は、ベアリング61を
介して第1のプレッシャリング58と相対回転自在に連
接されている。
【0054】また、上記軸受部11aの外周であって、
第1のピストン60よりも他端側には、該第1のピスト
ン60よりも大径のリング状に形成され内縁部が軸受部
11aと摺動自在な第2のピストン62が嵌合されてい
る。
【0055】上記第2のピストン62には、第1のピス
トン60の外縁に沿って一端側に突出したリング部材6
2aが一体形成されていて、リング部材62aの内縁部
と第1のピストン60の外縁部とが摺動自在に嵌合さ
れ、また該リング部材62aの外縁部と上記カバー11
の内壁とが摺動自在に嵌合されている。そして、この第
2のピストン62に形成されたリング部材62aの一端
側は、ベアリング63を介して第2のプレッシャリング
59と相対回転自在に連接されている。
【0056】さらに、上記第1のピストン60と上記第
2のピストン62との間には第1の油圧室64が形成さ
れ、また、上記第2のピストン62と上記カバー11と
の間には、第2の油圧室65が形成されている。
【0057】そして、これら第1の油圧室64、第2の
油圧室65には、第1の作動油供給路66、第2の作動
油供給路67がそれぞれ連通され、後述する油圧制御装
置71により所要の作動油圧が各油圧室に供給されるよ
うになっている。ここで、上記第1のピストン60の内
縁部と外縁部、上記第2のピストン62の内縁部、及び
上記リング部材62aの外縁部には、シールリング68
a、68b、68c、68dがそれぞれ設けられてお
り、これらシールリングによって第1,第2の油圧室6
4,65の液密が保たれる。
【0058】また、上記軸受部11aの外周の一端側に
はスプリング受69が設けられ、このスプリング受69
と第1のピストン60との間には、該第1のピストン6
0を他端側に付勢するリターンスプリング70が設けら
れている。このとき、第2のピストン62は、上記第1
のピストン60によって同様に他端側に付勢される。
【0059】次に、上記各油圧室64,65に油圧を供
給する油圧制御装置71について、図5に基づき説明す
る。尚、上記第1,第2の油圧室64,65への制御油
圧の供給系は略同様であり、従って、以下、制御油圧を
第1の油圧供給路66を通じて第1の油圧室64に供給
する油圧供給系についてのみ説明する。
【0060】モータ72により駆動されるオイルポンプ
73の吐出圧がレギュレータ弁74で調圧され、所定の
作動油と作動油圧を生じ、作動油圧の油路75が、クラ
ッチ制御弁76,第1の油圧供給路66を介して第1の
油圧室64に連通されている。
【0061】また、上記油路75は、パイロット弁7
7,油路78によりデューティソレノイド弁79,上記
クラッチ制御弁76の制御側に連通されている。
【0062】そして、後述の左右駆動力配分制御装置8
0からのデューティ信号がデューティソレノイド弁79
に入力されて、該デューティソレノイド弁79によりデ
ューティ比に応じた所定のデューティ圧を生じ、このデ
ューティ圧により上記クラッチ制御弁76を動作するこ
とで、第1の油圧室64に供給するクラッチ油圧を制御
し、油圧多板クラッチから構成される第1のクラッチ部
40を作動する。
【0063】尚、第2の油圧室65への制御油圧の供給
系についても同様に構成されている。
【0064】また、上記左右駆動力配分制御装置80
は、マイクロコンピュータ等から構成され、図6に示す
ように、路面・走行状態判断手段81、油圧演算手段8
2、油圧設定手段83の各機能手段を備え、車体及びエ
ンジン各部に備えた各種センサ90〜94により検出さ
れる車両走行状態や路面状況に応じて、左右輪間の最適
な駆動力配分量を演算し、油圧制御装置71に信号出力
する。
【0065】尚、本実施の形態においては、図示しない
エンジンコントロールユニット(ECU)及びトランス
ミッションコントロールユニット(TCU)に対し、別
個に左右駆動力配分制御装置80を設けているが、上記
各機能手段81〜83をECU或いはTCUを備えるよ
うにしてもよく、又、ECU及びTCUを一つのコント
ロールユニットに統合したものにおいては、該コントロ
ールユニットに各機能手段81〜83を組込んでもよ
い。
【0066】上記路面・走行状態判断手段81は、舵角
センサ90により検出される操舵角、スロットル開度セ
ンサ91によるスロットル開度、車速センサ92による
車速、前後加速度センサ93による前後加速度、横加速
度センサ94による横加速度、及び、ECU或いはTC
U等からの自動変速機の変速位置(シフト位置)を表す
レンジ情報等に基づいて、路面状況(低μ路走行状態か
否か等)、及び、車両の走行状態(高速走行か低速走行
か・急旋回か否か・高負荷走行か低負荷走行か(加速状
態か)・スリップ状態の有無等)を、予めメモリしてお
いたマップ、計算式等により求める。
【0067】また、上記油圧演算手段82は、判断され
た車両の走行状態、及び路面状況を基に、予めメモリし
ておいたマップ、計算式等により、動作させるクラッチ
を選択すると共に、そのクラッチに付加する油圧値を演
算する。
【0068】そして、油圧設定手段83は、選択された
クラッチ、及び、そのクラッチに付加する油圧値に対応
して、油圧制御装置71の該当デューティソレノイド弁
79に対し、所定デューティ比のデューティ信号を出力
する。
【0069】次に、上記構成による本発明の作用につい
て説明する。先ず、後輪左右駆動力配分装置1の差動制
限機構部5の作用について説明すると、ドライブピニオ
ン8からクラウンギヤ17を介してディファレンシャル
ケース16に入力された駆動力は、第1のサンギヤ20
に入力され、第1,第2のピニオン22,23から第2
のサンギヤ21と、キャリヤ18とに分配されて伝達さ
れる。そして、第2のサンギヤ21の動力は、右ドライ
ブ軸15に伝達され、また、キャリヤ18の動力は左ド
ライブ軸14に伝達される。このとき、車両の走行状
態、例えば、車輪スリップ等によって差動制限トルクが
生じ、この差動制限トルクが車輪スリップを生じている
一方のドライブ軸側から他方のドライブ軸側に移動し、
他方のドライブ軸偏重のトルク配分となって、そのスリ
ップが防止される。
【0070】また、歯車機構部6においては、上記キャ
リヤ18の回転により第1の歯車軸19,第1の歯車2
6が回転すると、この回転は第4の歯車30を介して第
4の歯車軸33及びクラッチドラム36に伝達させる。
このとき、第4の歯車軸33(及びクラッチドラム3
6)は、第1,第4の歯車26,30のギヤ比に基づき
キャリヤ18と等速の回転を行う。
【0071】また、上記右ドライブ軸15の回転により
第2の歯車軸29,第2,第3の歯車27,28が回転
すると、この回転は第5,第6の歯車31,32を介し
て第5の歯車軸35,クラッチハブ37、及び、第6の
歯車軸38,クラッチハブ39にそれぞれ伝達される。
このとき、第5の歯車軸35は、第2、第5の歯車2
7,31のギヤ比に基づき右ドライブ軸15に対して増
速回転し、また、第6の歯車軸38は、第3,第6の歯
車28,32のギヤ比に基づき右ドライブ軸15に対し
て減速回転する。
【0072】すなわち、上記第1,第2のクラッチ部4
0,41を共に、開放した状態では、クラッチドラム3
6は、カバー11に対して相対回転し、さらに、上記ク
ラッチハブ37,39は、各ギヤ比に応じてそれぞれ異
なる速度で回転する。
【0073】一方、油圧制御装置71においては、モー
タ72によりオイルポンプ73が駆動され、レギュレー
タ弁74による作動油圧がクラッチ制御弁76と、パイ
ロット弁77を介してデューティソレノイド弁79に供
給される。
【0074】そして、左右駆動力配分制御装置80は、
舵角センサ90により検出される操舵角、スロットル開
度センサ91によるスロットル開度、車速センサ92に
よる車速、前後加速度センサ93により検出される車体
の前後加速度、横加速度センサ94により検出される車
体の横加速度、及び、自動変速機の変速(シフト)位置
を表すレンジ情報等に基づいて、車両の走行状態および
路面状況を判断する。そして、この車両の走行状態およ
び路面状況に応じ、左右輪に対する最適な駆動力配分量
を演算し、この駆動力配分量を得るに適正なデューティ
比のデューティ信号を、油圧制御装置71の各デューテ
ィソレノイド弁79にそれぞれ出力する。
【0075】そして、このデューティ信号に応じ、各デ
ューティソレノイド弁79により所定のデューティ圧を
生じ、このデューティ圧によりクラッチ制御弁76が作
動して、第1,第2の油圧室64,65に供給するクラ
ッチ油圧が制御されることで、第1,第2のクラッチ部
40,41がそれぞれ接続、開放される。
【0076】ここで、右旋回のときには、左ドライブ軸
14に連設する外輪側の左輪(図示せず)の駆動トルク
を、右ドライブ軸15に連設する内輪側の右輪(図示せ
ず)の駆動トルクよりも大きくすることで旋回性能を向
上する。
【0077】すなわち、右旋回状態のときには、左右駆
動力配分制御装置80において舵角センサ90による操
舵角等によって、これが検出され、各センサからの検出
情報及びレンジ情報等により補正を行い、左右輪に対す
る最適な左右駆動力配分量が演算される。そして、この
左右駆動力配分量を得るに適正な各クラッチ油圧を定め
る各デューティソレノイド弁79に対するデューティ比
がそれぞれ設定され、このデューティ比によるデューテ
ィ信号が該当デューティソレノイド弁に出力される。
【0078】本実施の形態においては、デューティソレ
ノイド弁79に対するデューティ信号のデューティ比が
低いほど該デューティソレノイド弁79によるドレイン
量が減少してクラッチ制御弁76に対するデューティ圧
が上昇し、クラッチを作動するためクラッチ制御弁76
から油圧室64(65)に供給されるクラッチ油圧が上
昇する。逆に、デューティ比が高いほどデューティソレ
ノイド弁79によるドレイン量が増加してデューティ圧
が低下し、クラッチ制御弁76から油圧室64(65)
に供給されるクラッチ油圧が低下する(図5参照)。
【0079】従って、左右駆動力配分制御装置80は、
右旋回のとき、第1のクラッチ部40を開放し、第2の
クラッチ部41を接続すべく、第1の油圧室64へのク
ラッチ油圧を制御するデューティソレノイド弁に対し、
例えば、デューティ比100%のデューティ信号を出力
し、一方、第2の油圧室65へのクラッチ油圧を制御す
るデューティソレノイド弁に対して所定デューティ比
(例えば、デューティ比0〜80%)のデューティ信号
を出力する。
【0080】そして、左右駆動力配分制御装置80から
の各デューティ信号の出力により各デューティソレノイ
ド弁79が作動して、第1のクラッチ部40は、第1の
油圧室64中の作動油が第1の油圧供給路66を介して
ドレインされることで、第1のピストン60、第1のプ
レッシャピン65による押圧作動が解除されて開放し、
一方、第2のクラッチ部41は、クラッチ制御弁76、
第2の油圧供給路67を介して、所定のクラッチ油圧が
第2の油圧室65に供給されることで、第2のピストン
62、第2のプレッシャピン57の押圧作動により連結
(滑り接続)される。
【0081】その結果、第2のクラッチ部41の接続に
より、右ドライブ軸15の駆動力の一部、すなわち、右
輪側への駆動トルクの一部が、前述の歯車機構部6にお
ける各歯車列のギヤ比の設定により、第3の歯車28、
第6の歯車32、第2のクラッチ部41、第4の歯車3
0、第1の歯車29を介して、上記キャリア18から左
ドライブ軸14に移行される。これにより、右旋回のと
きには、外輪側の左輪の駆動トルクが、内輪側の右輪の
駆動トルクよりも大きくなり、旋回性能が向上する。
【0082】一方、左旋回のときには、右ドライブ軸1
5に連設する外輪側の右輪の駆動トルクを、左ドライブ
軸14に連設する内輪側の左輪の駆動トルクよりも大き
くすることで旋回性能を向上する。
【0083】すなわち、左旋回状態のときには、左右駆
動力配分制御装置80において舵角センサ90による操
舵角等によって、これが検出され、各センサからの検出
情報及びレンジ情報等により補正を行い、左右輪に対す
る最適な左右駆動力配分量が演算される。そして、この
左右駆動力配分量を得るに適正な各クラッチ油圧を定め
る各デューティソレノイド弁79に対するデューティ比
がそれぞれ設定され、このデューティ比によるデューテ
ィ信号が該当デューティソレノイド弁に出力される。
【0084】そして、左右駆動力配分制御装置80は、
左旋回のとき、逆に第1のクラッチ部40を接続し、第
2のクラッチ部41を開放すべく、第1の油圧室64へ
のクラッチ油圧を制御するデューティソレノイド弁に対
して所定デューティ比(例えば、デューティ比0〜80
%)のデューティ信号を出力し、一方、第2の油圧室6
5へのクラッチ油圧を制御するデューティソレノイド弁
に対して、例えば、デューティ比100%のデューティ
信号を出力する。
【0085】そして、左右駆動力配分制御装置80から
の各デューティ信号の出力により各デューティソレノイ
ド弁79が作動して、第1のクラッチ部40は、クラッ
チ制御弁76、第1の油圧供給路66を介して、所定の
クラッチ油圧が第1の油圧室64に供給されることで、
第1のピストン60、第1のプレッシャピン56の押圧
作動により連結(滑り接続)し、一方、第2のクラッチ
部41は、第2の油圧室65中の作動油が第2の油圧供
給路67を介してドレインされることで、第2のピスト
ン62、第2のプレッシャピン57による押圧作動が解
除されて開放する。
【0086】その結果、第1のクラッチ部40の接続に
より、左ドライブ軸14の駆動力の一部、すなわち、左
輪側への駆動トルクの一部が、前述の歯車機構部6にお
ける各歯車列のギヤ比の設定により、キャリア18、第
1の歯車29、第4の歯車30、第1のクラッチ部4
0、第5の歯車31、第2の歯車27を介して、右ドラ
イブ軸15に移行される。これにより、左旋回のときに
は、外輪側の右輪の駆動トルクが、内輪側の左輪の駆動
トルクよりも大きくなり、旋回性能が向上する。
【0087】尚、直進時には、両クラッチ部40,41
を共に開放し、差動制限機構部5による基準トルク配分
となる。
【0088】以下、本発明の要旨とするクラッチ機構部
7の動作について、更に詳しく説明する。
【0089】第1のクラッチ部40の連結(滑り接続)
時には、上述のように、クラッチ制御弁76、第1の油
圧供給路66を介して、所定のクラッチ油圧が第1の油
圧室64に供給される。すると、この油圧により第1の
ピストン60が一端側(図の左側)に動作し、第1のプ
レッシャピン56がドリブンプレート43を押圧して、
このドリブンプレート43とドライブプレート45とが
滑り接続して、第1のクラッチ40は、連結状態とな
る。
【0090】また、第1のクラッチ部40の開放時に
は、第1の油圧室64中の作動油が第1の油圧供給路6
6を介してドレインされて油圧が解除される。そして、
第1のピストン60がリターンスプリング70によって
他端側に押し戻され、第1のピストン60、第1のプレ
ッシャピン56によるドリブンプレート43に対する押
圧が解除されて、第1のクラッチ部40が開放される。
【0091】一方、第2のクラッチ部41の連結(滑り
接続)時には、上述のように、クラッチ制御弁76、第
2の油圧供給路67を介して、所定のクラッチ油圧が第
2の油圧室65に供給される。すると、この油圧により
第2のピストン62が一端側(図の左側)に動作し、第
2のプレッシャピン57がドリブンプレート46を押圧
して、このドリブンプレート46とドライブプレート4
8とが滑り接続して、第2のクラッチ41は、連結状態
となる。
【0092】このとき、上記第2のピストン62によっ
て第1のピストン60も一端側に動作するが、第1のプ
レッシャピンと56と、第2のプレッシャピン57の先
端寄りに取付けられたスナップリング52とが第1のク
ラッチ部40を伴い等ピッチのまま一端側に移動するだ
けなので、第1のクラッチ部40は、そのまま開放状態
に保たれ、不都合は生じない。
【0093】また、第2のクラッチ部41の開放時に
は、第2の油圧室65中の作動油が第2の油圧供給路6
7を介してドレインされて油圧が解除される。そして、
第1,第2のピストン60,62がリターンスプリング
70によって他端側に押し戻され、第2のピストン6
2、第2のプレッシャピン57によるドリブンプレート
46に対する押圧が解除されて、第2のクラッチ部41
が開放される。
【0094】ここで、不動部材である上記カバー11を
シリンダとして、該カバー11に対し上記第2のピスト
ン62を摺動自在に嵌合し、更に、第2のピストン62
と第2のプレッシャピン57(第2のプレッシャリング
59)との間にベアリング63が介装されているため、
クラッチドラム36,第2のプレッシャピン57(第2
のプレッシャリング59)等が回転しても、第2のピス
トン62が連れ回ることがなく。第2の油圧室65中の
遠心油圧の発生が未然に防止される。このため、第2の
ピストン62には遠心油圧が作用せず、従って、遠心油
圧の影響を受けることなく、クラッチ油圧の制御を正確
に行うことが可能となり、特に中速から高速域において
湿式油圧多板クラッチから構成される第2のクラッチ部
41の制御精度を向上することが可能となる。
【0095】また、不動部材である上記カバー11、及
び上記第2のピストン62をシリンダとして、カバー1
1及び第2のピストン62に対し上記第1のピストン6
0を摺動自在に勘合し、更に、第1のピストン60と第
1のプレッシャピン56(第1のプレッシャリング5
8)との間にも、ベアリング61が介装されているた
め、クラッチドラム36,第1のプレッシャピン56
(第1のプレッシャリング58)等が回転しても、第1
のピストン60が連れ回ることがなく、第1の油圧室6
4中の遠心油圧の発生が未然に防止される。このため、
第2のピストン62においても、遠心油圧が作用せず、
同様に遠心油圧の影響を受けることなく、クラッチ油圧
の制御を正確に行うことが可能となり、特に中速から高
速域において湿式油圧多板クラッチから構成される第1
のクラッチ部40の制御精度を向上することが可能とな
る。
【0096】従って、これらの相乗作用により、左右駆
動力配分制御の制御性及び制御精度が向上される。
【0097】以上のように、本実施の形態における左右
駆動力配分装置1のクラッチ機構部7は、第1,第2の
クラッチ部40,41を同軸上に連ねて設けたので、該
第1,第2のクラッチ部40,41を単一のクラッチド
ラム36内に設けることができ、部品点数の削減が可能
となると共に、クラッチ機構部7の小型化、低コスト化
の実現が可能となる。
【0098】また、上記第1のクラッチ部40を構成す
るドリブンプレート43,リテーニングプレート44に
欠歯部43b,44bを形成し、該欠歯部43b,44
bとクラッチドラム36との間隙40aを利用して、ク
ラッチドラム36内に第2のプレッシャピン57を第1
のプレッシャピン56と同一側方から挿通したので、こ
れら第1,第2のプレッシャピン56,57を動作させ
る第1,第2のピストン60,62を同一側方に連なっ
て配置することができ、リターンスプリング70の兼用
が可能となると共に、単一箇所に油圧源などを配置する
ことが可能となる。従って、これによっても、部品点数
の削減、クラッチ機構部7の小型化、低コスト化等の実
現が可能となる。
【0099】また、上記間隙40aは、突部43a,4
4aを切り欠いて形成したものなので、容易且つ任意に
形成することが可能である。
【0100】なお、上記構成のクラッチ機構部7を用い
た動力配分制御方法は上述のものに限らない。
【0101】また、本実施の形態では、後輪左右駆動力
配分装置1に本発明のクラッチ機構部7(動力配分装置
のクラッチ機構)を適用した一例を示したが、これに限
るものではなく、例えば、前輪左右駆動力配分装置や前
後輪駆動力配分装置に上記クラッチ機構部7を適用して
も良い。
【0102】また、同一のクラッチドラム内に連なって
配設するクラッチ部の数は2個に限るものではなく、3
個以上のクラッチ部を連なって配設してもよい。このよ
うな3個以上のクラッチ部を備えたクラッチ機構部を例
えば前後輪駆動力配分装置に用いれば、異なる比率での
駆動力配分制御を段階的に行うことができる。
【0103】また、本実施の形態では、突部43a,4
4aを切り欠いて間隙40aを形成したが、本発明は、
これに限らず、例えば突部43a,44aを切り欠くこ
となく単に互いに隣接する突部43a,44a間の空間
部を間隙として利用しても良い。
【0104】また、プレッシャピンや該プレッシャピン
を挿通する間隙の数、凹溝や突部の数等は上述のものに
限らないのは勿論である。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、動力配分装置のクラッチ機構は、複数のク
ラッチ部をクラッチドラム内で同軸上に連ねて設け、一
端側に配設されたクラッチ部を押圧するプレッシャピン
が挿通可能な間隙をクラッチドラムと他端側のクラッチ
部との間に形成すると共に、クラッチドラムの底部に各
プレッシャピンが挿通可能なピン孔を形成する。そし
て、この間隙並びにピン孔に各プレッシャピンを他端側
から一端側に向けて挿通するので、複数のクラッチ部を
同軸上に配設するに際し、複数のクラッチ部を一体化し
てコンパクトに実現することができて、クラッチ部を効
率よく配設することができ、部品点数の削減、小型化等
を実現することができる。
【0106】また、各プレッシャピンと各プレッシャピ
ンに対応する各ピストンとをベアリングを介して連結し
たので、クラッチドラムが回転しても各ピストンが連れ
回ることなく、従って、動力配分装置の動作時に、各ピ
ストンを動作させる油圧室等に遠心油圧が作用せず、正
確なクラッチ制御を行うことができる。
【0107】また、請求項2記載の発明では、所望のク
ラッチ部を連結するにあたり対応するピストンを一端側
へ動作させると、該所望のクラッチ部よりも他端側に配
設されたクラッチ部に対応するピストンも一体となって
一端側へ動作され、これらに対応するプレッシャピンも
動作されるが、この際スナップリングも同時に一端側へ
動作されるので、上記他端側のクラッチ部は等ピッチの
まま一端側へ移動し、所望のクラッチ部のみが連結され
る。従って、上記請求項1記載の発明の効果に加え、ク
ラッチドラムを共通として複数のクラッチ部を設けて、
複数のピストンを一側に連なって配設することができ、
より部品点数の削減、小型化等を実現することができ、
該ピストンによって所望のクラッチ部のみが連結可能と
なる。
【0108】また、請求項3記載の発明では、上記クラ
ッチ部を構成するドリブンプレートとリテーニングプレ
ートの一部を切り欠くことにより間隙を形成するので、
上記請求項1或いは請求項2記載の発明の効果に加え、
該間隙を容易に形成することができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】左右駆動力配分装置のクラッチ機構部を示す要
部拡大断面図
【図2】左右駆動力配分装置の断面図
【図3】図1のI−I断面図
【図4】プレッシャピンの分解斜視図
【図5】左右駆動力配分の油圧制御装置の構成図
【図6】左右駆動力配分制御装置の機能構成を示すブロ
ック図
【符号の説明】
1 後輪左右駆動力配分装置(動力配分装置) 7 クラッチ機構部(クラッチ機構) 9 ディファレンシャルキャリア(筐体) 10,11 カバー(筐体) 36 クラッチドラム 36a クラッチドラム底部 36b ピン孔 40 第1のクラッチ部 40a 間隙 41 第2のクラッチ部 43 ドリブンプレート 44 リテーニングプレート 52 スナップリング 56,57 プレッシャピン 60,62 ピストン 61,63 ベアリング

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のクラッチ部によって動力配分制御
    を行う動力配分装置のクラッチ機構において、 動力配分装置の筐体内で回動自在なクラッチドラムと、 このクラッチドラム内で同軸上に連ねて設けた複数のク
    ラッチ部と、 各クラッチ部をそれぞれ押圧する複数のプレッシャピン
    と、 各プレッシャピンをそれぞれ動作させる複数のピストン
    とを備え、 一端側に配設されたクラッチ部を押圧するプレッシャピ
    ンが挿通可能な間隙を上記クラッチドラムと他端側のク
    ラッチ部との間に形成すると共に、上記クラッチドラム
    の底部に各プレッシャピンが挿通可能なピン孔を形成
    し、この間隙並びにピン孔に各プレッシャピンを他端側
    から一端側に向けて挿通し、上記クラッチドラムの外部
    で各プレッシャピンの他端側とこれら各プレッシャピン
    に対応する各ピストンとをベアリングを介してそれぞれ
    相対回転自在に連結したことを特徴とする動力配分装置
    のクラッチ機構。
  2. 【請求項2】 上記クラッチドラム内で一端側のクラッ
    チ部を押圧するプレッシャピンを他端側のクラッチ部を
    押圧するプレッシャピンよりも外周側に配設し、上記筐
    体内で他端側のクラッチ部に対応するピストンを一端側
    のクラッチ部に対応するピストンよりも一端側に配設
    し、一端側のクラッチ部に対応するプレッシャピンとク
    ラッチとを他端側のクラッチ部に対応するプレッシャピ
    ンとクラッチとの連結部よりも外周側で連結すると共
    に、プレッシャピンの内側に該プレッシャピンに対応す
    るクラッチ部よりも他端側のクラッチ部の一端側への移
    動を規制するスナップリングを設けたことを特徴とする
    請求項1記載の動力配分装置のクラッチ機構。
  3. 【請求項3】 上記間隙は、上記クラッチ部を構成する
    ドリブンプレートとリテーニングプレートの一部を切り
    欠いて形成したことを特徴とする請求項1または請求項
    2記載の動力配分装置のクラッチ機構。
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