JPH11253151A - イネの育苗時病害防除剤 - Google Patents
イネの育苗時病害防除剤Info
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- JPH11253151A JPH11253151A JP10336500A JP33650098A JPH11253151A JP H11253151 A JPH11253151 A JP H11253151A JP 10336500 A JP10336500 A JP 10336500A JP 33650098 A JP33650098 A JP 33650098A JP H11253151 A JPH11253151 A JP H11253151A
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Abstract
a属菌でイネの種子及び/又は育苗土壌を処理すること
によって、イネの育苗時に発生する細菌病害を防除す
る。 【効果】 防除困難なイネ病害である各種細菌病を一種
の微生物によって種子の段階で同時防除することがで
き、省資源、省力化、環境保全の面でもすぐれている。
Description
生する細菌性病害に対して防除能を有するトリコデルマ
(Trichoderma)属に属する微生物を有効成分とするイネ
の種子伝染性細菌病防除剤、及び、それを利用すること
によって、イネの育苗時に発生する細菌性病害を防除す
るトータルシステムに関するものである。
作業の機械化など、より省力的な作業技術が求められて
いる。種子消毒による病害防除作業の軽減も省力化の一
手法として近年定着してきている。機械移植のための箱
育苗が普及するとともにイネ幼苗の病害による被害は我
が国の重要な問題となっている。しかしながら、これら
の病害のうち、シュードモナス・グルメ(Pseudomonas
glumae)に起因するイネもみ枯細菌病、シュードモナス
・プランタリ(Pseuomonas plantarii)に起因するイネ
苗立枯細菌病、シュードモナス・アベナエ(Pseudomanas
avenae)に起因するイネ褐条病等の細菌による病害は、
特に防除困難な病害である。
することが知られており、病害防除のための薬剤による
種子消毒はイネ栽培において重要な作業の一つとなって
いるが、細菌性病害は種子の段階で防除する必要があ
り、生育期に防除することが困難な病害である。従っ
て、これら病害が発生した苗は本田へ移植することがで
きず、苗箱ごと廃棄せざるを得ず、育苗時に完全に撲滅
せねばならない。イネもみ枯細菌病、イネ苗立枯細菌病
及びイネ褐条病は難防除病害であり、有効な薬剤は少な
く、これらの細菌に有効な薬剤として、現在のところわ
ずかにオキソリニック酸剤や水酸化第二銅などの薬剤が
種子消毒剤として使用されているにすぎない。しかしな
がら、水酸化第二銅などの銅剤は重金属であり、重金属
を用いない薬剤が望まれている。又、オキソリニック酸
剤は、近年、オキソリニック酸に対して感受性の低下し
たイネ苗立枯細菌病菌及びイネ褐条病菌の存在が指摘さ
れており、充分な防除効果が得られない事例がしばしば
発生し、今後増々難防除病害化することが懸念される。
更に、近年、種子消毒剤の使用済廃液の処理が環境汚染
の点で問題化していていることから、環境汚染の少ない
防除資材の開発が望まれている。
境への安全性が高いと想定される微生物の利用(いわゆ
る生物農薬)も提案され、一部は実用化段階に達してき
ている。
除においても、生物防除に関する研究が行われている。
特開平4−295407では非病原性のシュードモナス
・グルメがイネもみ枯細菌病の防除に有効なこと、特開
平6−87716では病原性を欠失したエルビニア・カ
ルトボーラーがイネ苗立枯細菌病の防除に有効なことが
開示されている。しかし、これらの技術は非病原性細菌
であり、ともに上述のイネ種子伝染性細菌病害の全てを
防除するには至っておらず、省力化のためには一種の微
生物による同時防除が要望されている。
ードモナス・セバシアに属する細菌がイネ苗床で発生す
る病害防除に有効なこと、特開平9−124426では
シュードモナス・グラディオリに属する細菌がイネばか
苗病、苗立枯細菌病、もみ枯細菌病の防除に有効なこと
が開示されているが、何れも化学農薬に代替しうる程の
効力を示すには至っていない。健苗育苗はイネ栽培にお
いて最も重要な技術であり、そのためにはイネ育苗中に
発生する病害はほぼ完全に撲滅されなくてはならない。
本発明は、トリコデルマ属に属する微生物を有効成分と
するイネの種子伝染性細菌病防除剤に関するものである
が、糸状菌であるトリコデルマ属菌をイネ種子に適用す
ることによりイネの種子伝染性細菌病害を有効に防除す
ることは、全く知られておらず、従来報告例は認められ
ない。
もみ枯細菌病、イネ苗立枯細菌病及びイネ褐条病は難防
除病害とされており、合成殺菌剤では充分な防除効果が
得られない事例がしばしば発生している。また、合成殺
菌剤による病害防除は耐性菌の出現によって防除効果が
低下する可能性が高く、その場合新たなる殺菌剤の開発
を必要とする。さらに、従来の種子消毒剤では使用済み
廃液を処理しなければならないという問題がある。すな
わち、使い残した消毒剤自体はもとより、消毒剤容器や
散布機器等の洗浄後に排出される廃液は、消毒剤を含有
しているため、これを土壌に捨てたり河川に捨てたりす
ると、消毒剤で土壌や河川が汚染されることとなり、重
大な環境汚染がひき起される。したがって、これらの廃
液は処理することが必須である。
殺菌剤による防除に代わる手段、あるいは併用する手段
として新しい生物農薬、しかも、難防除病害であるイネ
苗立枯細菌病及びイネもみ枯細菌病等の細菌性病害の確
実な防除を可能とする生物農薬を開発する目的でなされ
たものであり、本発明は、省資源、省力化、環境保全等
につながるものである。
を達成するため、特に難防除病害であるイネ細菌性病害
の確実な防除を達成するために、これらの病害の防除に
有効であるだけでなく、種子処理及び土壌処理において
もその有効性が維持されるイネの育苗時病害防除菌を新
規にスクリーニングする必要性を認めた。
果、イネに対して病原性のないトリコデルマ属に属する
糸状菌が、その菌体をイネ種子に処理することにより、
イネ育苗時の難防除病害とされるイネ苗立枯細菌病及び
イネもみ枯細菌病等の細菌性病害を確実に防除すること
を見出した。また、この防除効果はイネに対して病原性
のないトリコデルマ属菌が有すること、更に、薬剤処理
或いは紫外線照射等により病原性を消失させた菌や薬剤
に耐性を獲得した菌等の変異株においても同様の効果を
有することを見出し、本発明を完成するに至った。以
下、本発明について詳しく説明する。
トリコデルマ(Trichoderma)属に属し、イネに病原性
を示さない微生物が利用できる。好ましくは、トリコデ
ルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)、トリ
コデルマ・アウレオビリデ(Trichoderma aureovirid
e)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、
トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma haruzianu
m)、トリコデルマ・ロンギブラキアタム(Trichoderma
longibrachiatum)、トリコデルマ・シュードコニンギ
(Trichoderma pseudokoningii)、トリコデルマ・ポリ
スポラム(Trichoderma polysporum)又はトリコデルマ
・ハマタム(Trichoderma hamatum)に属する微生物で
あり、そのうちでも特に好ましい菌株としては、発明者
らが芝(ノシバ)根圏より分離したトリコデルマ・アト
ロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−1菌株、
サラダナ根圏より分離したトリコデルマ・アトロビリデ
(Trichoderma atroviride)SKT−2菌株、SKT−
1菌株を紫外線照射処理することによってベノミル剤に
高度な耐性を獲得したトリコデルマ・アトロビリデ(Tr
ichoderma atroviride)SKT−3菌株が例示される。
SKT−1菌株及びSKT−2菌株は、新規分離株であ
って、それぞれ、工業技術院生命工学工業技術研究所に
FERM P−16510、FERM P−16511
として寄託されている。また、新規誘導株であるSKT
−3菌株は、工業技術院生命工学工業技術研究所にFE
RM P−17021として寄託されている。
コデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)S
KT−1(FERM P-16510)、トリコデルマ・アトロビリ
デ(Trichoderma atroviride)SKT−2(FERM P-165
11)及びトリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma at
roviride)SKT−3(FERM P−17021)
は、以下の性質を有する。
0.0g、グルコース20.0g、寒天20.0g、蒸
留水1000ml)上及び2%麦芽エキス培地(麦芽エ
キス20.0g、寒天20.0g、蒸留水1000m
l)上での生育は良好で、菌糸伸長は早い、はじめ気生
菌糸少なく白色、しだいに羊毛状の気生菌糸を生じ、分
生子形成にしたがって緑色〜暗緑色となる。
る。輪生状あるいは不規則に分枝、各分枝は下方のもの
ほど伸びて分枝をくりかえし、全体として円錐形を呈す
る。各分枝はほぼ直角に分かれて先端はフィアライドに
なる。フィアライドは分生子柄先端に2〜4個(平均3
個)が規則正しく対生または輪生し、フィアライド先端
は細くなる。分生子はフィアライド頂端に塊状に形成さ
れる。球形〜豆球形で表面は平滑であり、SKT−1菌
株、SKT−3菌株は2.5〜4.0×2.5〜3.5
μm、SKT−2菌株は3.0〜4.0×2.7〜3.
5μmである。
である。pH4.0〜8.0の間で生育可能であり、最
適pHは5.0〜7.0である。
・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT−1
(FERM P-16510)、同SKT−2(FERM P-16511)、同
SKT−3(FERM P-17021)のほか、下記に示すように
イネに対して病原性がなくトリコデルマ属に属する微生
物、又、薬剤処理あるいは紫外線照射等により病原性を
消失させたり薬剤に耐性を獲得した等トリコデルマ属に
属する微生物であれば、すべての微生物が使用できる:
rma aureoviride)IFO−31932、トリコデルマ
・ハルジアナム(T. haruzianum)IFO−3129
2;トリコデルマ・ロンギブラキアタム(T. longibrac
hiatum)IFO−31919;トリコデルマ・シュード
コニンギ(T. pseudokoningii)IFO−31920;
トリコデルマ・ビリデ(T. viride)IFO−3113
7、トリコデルマ・ポリスポラム(T. polysporum)I
FO−9322;トリコデルマ・ハマタム(T. hamatu
m)IFO−31291。
いトリコデルマ属菌がいずれも使用することができる
(これらのトリコデルマ属菌は、その分生胞子懸濁液に
24時間浸漬したイネ種子を播種しても何らの病原性も
示さなかった)。このようなトリコデルマ属菌として
は、ふすま等の資材培養、固形培地上での静置培養、液
体培養等の公知の手段で増殖させたものを用いればよ
く、生存細胞が増殖するのであれば特に培地の種類、培
養条件等に制限されることはない。
原性を示さないトリコデルマ属菌自体のほか、その懸濁
液ないし培養液、又はその処理物(濃縮物、ペースト
状、乾燥物、希釈物等)を広く包含するものである。本
発明におけるイネの育苗時病害防除剤として用いる場合
には、イネに病原性を示さないトリコデルマ属菌の菌体
又は培養液を単独で用いても良いが、通常は、担体、界
面活性剤、分散剤又は補助剤等を配合して常法により例
えば、粉剤、粒剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤
などの形態に製剤化して使用すると更に好ましい。好適
な担体としては、例えばクレー、タルク、ベントナイ
ト、珪藻土、ホワイトカーボン、カオリン、バーミキュ
ライト、消石灰、珪砂、硫安、尿素等の固体担体が挙げ
られ、界面活性剤及び分散剤としては、例えばアルキル
ベンゼンスルホン酸金属塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルアリールエーテル、アルキル硫酸ナトリウム、アルキ
ルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジナフチルメタン
ジスルホン酸ナトリウム、リグニン酸ナトリウム等が挙
げられる。補助剤としては、例えばカルボキシメチルセ
ルロース、ポリオキシエチレングリコール、アラビアゴ
ム、澱粉、乳糖等が挙げられる。
る。通常、イネを育苗する場合、発芽程度を揃えるため
に、イネ種籾を一定期間水中に浸すいわゆる浸種作業を
行ない、更に32℃前後の温度に1日〜2日保って催芽
を行なった後に、育苗土壌を充填した育苗箱に播種した
り、苗床に直接播種したり、育苗土壌のほかの各種育苗
培体(ロックウール等)に播種する。本発明に係る防除
剤は、この一連の作業の内の少なくともひとつの時期
(イネの育苗時)の処理、すなわち、病原菌に感染した
イネ種籾に対して、浸種前、浸種期間中、浸種後又は催
芽期間中に浸漬、噴霧、塗布又は粉衣処理することによ
り発病苗が著しく減少し、優れた防除効果を示す。ま
た、イネ種籾の播種前又は播種後にイネの育苗土壌に潅
注又は混和処理することによっても、発病苗が著しく減
少し、優れた防除効果を示す。使用量としては、製剤の
剤型、適用方法、適用場所、適用すべき病害の種類、所
望の防除効果などに応じて適宜選定されるが、粉剤、粒
剤、或るいは水で希釈する製剤の場合は、トリコデルマ
属菌の胞子濃度が、102〜109程度、好ましくは10
4〜109の範囲で使用するのが望ましい。
原菌に感染したイネ種籾やそれを含有する培体に適用す
ることはもちろんのこと、病原菌に感染するおそれがあ
る場合や、それを予防するために健全なイネ種籾や育苗
培体に対しても自由に適用することができる。その際、
本発明に係るトリコデルマ属菌はイネに対して病原性を
示さないので、予防的に適用しても何ら害作用は生じな
い。
苗時に発生し、防除が困難とされるイネ苗立枯細菌病、
イネもみ枯細病及びイネ褐条病のイネ細菌性病害を確実
に防除することができる。しかも、従来の合成農薬によ
る防除のように耐性菌の出現によって防除効果が低下す
るという問題も解消される点からも、本発明はきわめて
卓越している。
イネの育苗時細菌性病害防除菌又はその培養液等防除菌
含有物をイネ種子に付着せしめたり、あるいは、該防除
菌を有効成分とする防除剤でイネ種子を処理することに
よって、病害防除性イネ種子を製造することができる。
また、同様にしてイネ育苗培体をトリコデルマ属菌で処
理、付着、含有せしめることにより、病害防除性イネ育
苗培体を製造することができる。
子及び/又はイネ育苗培体を容器に収容することによ
り、育苗箱等のイネ育苗容器が製造できる。本発明によ
って製造されたイネ育苗箱は、自動田植機等各種の用途
に使用可能である。このようなイネ育苗箱においては、
イネ苗の密度が非常に高いため、病害が発生しやすいだ
けでなく、一旦病害が発生するとごく短時間にイネ苗全
体に伝染してしまうという欠点は避けられず、健苗育成
の点で解決策が強く希求されていたのであるが、本発明
によってそれがきわめて効率的に解決されたのである。
するが、本発明はこれらの実施例により限定されるもの
ではない。
地で7〜14日間培養して形成させた分生胞子を8重量
部、珪藻土40重量部、クレー50重量部、ジナフタレ
ンジスルホン酸ナトリウム1重量部及びリグニンスルホ
ン酸ナトリウム1重量部を混合乾燥後、粉砕して水和剤
とした。
で7〜14日間培養して形成させた分生胞子を蒸留水に
懸濁して作成したトリコデルマ属菌胞子懸濁液30重量
部、ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩1
重量部、リグニンスルホン酸ナトリウム1重量部、カル
ボキシメチルセルロース2重量部及びクレーを90重量
部を均一に混合粉砕する。この混合物を、押出式造粒機
を用いて14〜32メッシュの粒状に加工した後、乾燥
して粒剤とした。
コデルマ菌をPD液体培地で27℃3日間振とう培養
し、得られた菌体をホモジナイズ後蒸留水に懸濁し、菌
体懸濁液を調製した。この菌体懸濁液に、イネもみ枯細
菌病罹病籾(品種黄金晴、開花期にもみ枯細菌病菌を接
種)を、15℃で5日間浸漬(浴比1:2)した後、菌
液を捨て32℃の湿室内に1日間保って催芽させた。育
苗培土を充填した径6cmのプラスチックカップに催芽
種子を播種し、播種後3日間、30℃の育苗庫内に保
ち、更に25℃の湿室内で10日間管理した後に、全苗
について発病の有無を調査し数1により発病苗率を、ま
た数2により防除価を算出した。1区当たりの播種量は
湿籾4g(約80〜90粒)、試験は3反復で行なっ
た。判定に当たっては、防除価100%をS、同100
%未満95%以上をA、同95%未満90%以上をB、
同90%未満50%以上をC、同50%未満をDとし
た。
マ菌も、イネもみ枯細菌病に対して明かな発病抑制効果
を示した。
コデルマ菌をPD液体培地で27℃、3日間振とう培養
し、得られた菌体をホモジナイズ後蒸留水に懸濁し、菌
体懸濁液を調製した。この菌体懸濁液に、イネ苗立枯細
菌病罹病籾(品種黄金晴、開花期に苗立枯細菌病菌を接
種)を、15℃で5日間浸漬(浴比1:2)した後、菌
液を捨て32℃の湿室内に1日間保って催芽させた。育
苗培土を充填した径6cmのプラスチックカップに催芽
種子を播種し、播種後3日間、30℃の育苗庫内に保
ち、更に25℃の温室内で7日間管理した後に、全苗に
ついて表2の基準によって発病程度を調査し、数3によ
り発病度を求め、更に無処理区との比から数4により防
除価を算出した。1区当たりの播種量は湿籾4g(約8
0〜90粒)、試験は3反復で行なった。判定に当たっ
ては、防除価100%をS、同100%未満95%以上
をA、同95%未満90%以上をB、同90%未満50
%以上をC、同50%未満をDとした。
マ菌も、イネ苗立枯細菌病に対して明かな発病抑制効果
を示した。
株、SKT−2菌株及びSKT−3菌株をPDA平板培
地上で7〜14日間培養し、得られた分生胞子を蒸留水
に懸濁し、胞子懸濁液を調製した。この胞子懸濁液或る
いは実施例1で作製したSKT−1菌株の水和剤を20
0倍又は2000倍に希釈した菌液に、イネもみ枯細菌
病罹病籾(品種黄金晴、開花期にもみ枯細菌病を接種)
を、15℃で5日間浸漬(浴比1:2)した後、菌液を
捨て32℃の湿室内に1日間保って催芽させた。育苗培
土を充填した径6cmのプラスチックカップに催芽種子
を播種し、播種後3日間、30℃の育苗庫内に保ち、更
に25℃の湿室内で11日間管理した後に、全苗につい
て発病の有無を調査し数1により発病苗率を、また数2
により防除価を算出した。1区当たりの播種量は湿籾4
g(約80〜90粒)、試験は3反復で行なった。得ら
れた結果を表4に示した。
KT−2菌及びSKT−3とも、イネもみ枯細菌病に対
して明らかな発病抑制効果を示した。また、SKT−1
菌の分生胞子を用いて調製した製剤においても同様の発
病抑制効果が認められた。
株、SKT−2菌株及びSKT−3菌株をPDA平板培
地上で7〜14日間培養し、得られた分生胞子を蒸留水
に懸濁し、胞子懸濁液を調製した。この胞子懸濁液或る
いは実施例1で作製したSKT−1菌株の水和剤を20
0倍又は2000倍に希釈した菌液に、イネ苗立枯細菌
病罹病籾(品種黄金晴、開花期に苗立枯細菌病菌を接
種)を、15℃で5日間浸漬(浴比1:2)した後、菌
液を捨て32℃の湿室内に1日間保って催芽させた。育
苗培土を充填した径6cmのプラスチックカップに催芽
種子を播種し、播種後3日間、30℃の育苗庫内に保
ち、更に25℃の湿室内で7日間管理した後に、全苗に
ついて表2の基準によって発病程度を調査し、数2によ
り発病度を求め、更に無処理区との比から数3により防
除価を算出した。1区当たりの播種量は湿籾4g(約8
0〜90粒)、試験は3反復で行なった。得られた結果
を表5に示した。
KT−2菌及びSKT−3菌とも、イネ苗立枯細菌病に
対して明らかな発病抑制効果を示した。また、SKT−
1菌の分生胞子を用いて調製した製剤においても同様の
発病抑制効果が認められた。
養により得られたイネ褐条病菌(Pseudomonas avenae)
懸濁液(108cfu/ml)にイネ種籾(品種黄金
晴)を減圧条件下で1時間浸漬接種し、イネ褐条病罹病
籾を作成した。トリコデルマ・アトロビリデSKT−1
菌株、SKT−2菌株及びSKT−3菌株をPDA平板
培地上で7〜14日間培養し、得られた分生胞子を蒸留
水に懸濁して得た胞子懸濁液或るいは実施例1で作製し
たSKT−1菌株の水和剤を200倍又は2000倍に
希釈した菌液に、上記イネ褐条病罹病籾を、15℃で5
日間浸漬(浴比1:2)した後、菌液を捨て32℃の湿
室内に1日間保って催芽させた。育苗培土を充填した径
6cmのプラスチックカップに催芽種子を播種し、播種
後3日間、30℃の育苗庫内に保ち、更に25℃の湿室
内で12日間管理した後に、全苗について発病の有無を
調査し数1により発病苗率を、また数2により防除価を
算出した。1区当たりの播種量は湿籾4g(約80〜9
0粒)、試験は3反復で行なった。得られた結果を表6
に示した。
KT−2菌及びSKT−3菌とも、イネ褐条病に対して
明らかな発病抑制効果を示した。また、SKT−1菌の
分生胞子を用いて調整した製剤においても同様の発病抑
制効果が認められた。
ネ苗立枯細菌病、イネもみ枯細菌病、イネ褐条病等の各
種細菌に起因する細菌病害は、特に防除困難な病害であ
って、種子の段階で防除する必要があり、作物の段階で
は防除することができない厄介な病害である。しかも従
来から用いられている種子消毒剤で比較的有効なものは
わずかであり、しかも有効性のみについてみても充分な
ものとはいえない。
の出現を招来するだけでなく、使い残しの殺菌剤、散布
器具や容器洗浄後の殺菌剤含有廃液の処理が大きな問題
としてクローズアップされてきており、土壌汚染、河川
汚染を防止する必要上、該廃液を容易に廃棄できなくな
ってきている。
したのが本発明であって、化学合成殺菌剤を使用すると
いう従来の発想を転換して生物農薬に着目し、鋭意研究
の結果、イネに病原性のないトリコデルマ属菌が、イネ
の細菌性病害の防除に有効であり、イネ種子に適用して
も種子に害を与えることがなく、更に、土壌や水中にお
いてもその有効性が低下することがない点を確認し、こ
こにはじめて上記した問題点のないすぐれたイネの種子
伝染性細菌病防除剤の完成に至ったものである。
てもその有効性が変化することがないので、イネ種子を
直接処理できることはもちろんのこと、イネ種子の播種
前、播種時、又は播種後の少なくともひとつの時期に、
イネの育苗培体(土壌、砂、ロックウール等)に潅注、
添加、混和処理することにより、イネの育苗時に発生す
る細菌性病害を防除することができる。
属菌は、イネの育苗時に発生する細菌性病害に対する防
除スペクトラムが広いため、各病原菌を同時に防除する
ことができ、一層の省力化、省資源化、環境保全が促進
される。
Claims (9)
- 【請求項1】 トリコデルマ(Trichoderma)属に属
し、イネの育苗時に発生する細菌性病害に対して防除能
を有する、下記に示す微生物の中から選ばれる少なくと
もひとつを有効成分とするイネの種子伝染性細菌病防除
剤。トリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atrovir
ide)、トリコデルマ・アウレオビリデ(Trichoderma aur
eoviride)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma virid
e)、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma haruzia
num)、トリコデルマ・ロンギブラキアタム(Trichoderm
a longibrachiatum)、トリコデルマ・シュードコニンギ
(Trichoderma pseudokoningii)、トリコデルマ・ポリス
ポラム(Trichoderma polysporum)、トルコデルマ・ハマ
タム(Trichoderma hamatum)。 - 【請求項2】 トリコデルマ属(Trichoderma)属に属
し、イネの育苗時に発生する細菌性病害に対して防除能
を有する微生物が、トリコデルマ・アトロビリデ(Trich
oderma atroviride) SKT-1株(FERM P-16510)、トリコデ
ルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride) SKT-2株
(FERM P-16511)、トリコデルマ・アトロビリデ(Trichod
erma atroviride) SKT-3株(FERM P-17021)よりなる群の
中から選ばれる少なくとも1菌株であることを特徴とす
る請求項1に記載のイネの種子伝染性細菌病害防除剤。 - 【請求項3】 イネの育苗時に発生する細菌性病害が、
イネ苗立枯細菌病、イネもみ枯細菌病及びイネ褐条病か
ら選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする
請求項1又は2に記載のイネの種子伝染性細菌病防除
剤。 - 【請求項4】 請求項1〜3の少なくとも何れか1項に
記載のイネの種子伝染性細菌病防除剤で処理してなる病
害防除性イネ種子。 - 【請求項5】 請求項1〜3の少なくとも何れか1項に
記載のイネの種子伝染性細菌病防除剤で処理してなる病
害防除性イネ育苗培体。 - 【請求項6】 請求項1〜3の少なくとも何れか1項に
記載のイネの種子伝染性細菌病防除剤で処理してなる病
害防除性イネ種子及び/又はイネ育苗培体を含有するこ
と、を特徴とするイネ育苗容器。 - 【請求項7】 請求項1〜3の少なくとも何れか1項に
記載のイネの種子伝染性細菌病防除剤をイネの種子に浸
種前、浸種時又は浸種後に浸漬、噴霧、塗布又は粉衣処
理することを特徴とするイネの育苗時に発生する細菌性
病害防除方法。 - 【請求項8】 請求項1〜3の少なくとも何れか1項に
記載のイネの種子伝染性細菌病防除剤をイネの種子の播
種前、播種時又は播種後にイネの育苗培体に潅注又は混
和処理すること、を特徴とするイネの育苗時に発生する
細菌性病害防除方法。 - 【請求項9】 トリコデルマ・アトロビリデ(Trichoder
ma atroviride) SKT-1株(FERM P-16510)又はトリコデル
マ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)SKT-2株(FE
RM P-16511)又はトリコデルマ・アトロビリデ(Trichode
rma atroviride) SKT-3株(FERM P-17021)。
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