JPH11243296A - 電磁波シールド用透明部材とその製造方法 - Google Patents
電磁波シールド用透明部材とその製造方法Info
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- JPH11243296A JPH11243296A JP10340934A JP34093498A JPH11243296A JP H11243296 A JPH11243296 A JP H11243296A JP 10340934 A JP10340934 A JP 10340934A JP 34093498 A JP34093498 A JP 34093498A JP H11243296 A JPH11243296 A JP H11243296A
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Abstract
認性の付与された網の目状導電パターンを有する電磁波
シールド用透明部材とその製造方法の提供。 【解決の手段】 前記部材は、透明基体(1)上にTt
50%以上になるように、網の目導電パターンがスパッ
タリング等による銅薄膜層(100〜2000Å)とメ
ッキによる銅厚膜層(1〜10μm)とが順次積層され
てなっていて、かつ該パターンの有する電気抵抗値が2
00mΩ/□以下というものである。そして、更に該パ
ターンの表面は、酸化銅,硫化銅によって褐色から黒色
に着色されている。該部材は例えばPETフィルムを基
体として、まず銅薄膜層を形成し、次にフォトリソグラ
フィ法によって網の目パターンを露出し、この露出部分
に銅を電解メッキし、非パターン部分の残存レジストを
除去し、最後に、全面を化学エッチングして非パターン
部分の銅薄膜層を除去する。
Description
シールド用透明部材とその製造方法に関する。該部材
は、プラズマディスプレイ等の電子情報機器に対する電
磁波のシールドに有効である。
波、逆に他界から受ける電磁波は、該機器の誤動作を招
く要因として問題になっている。
策については、既に種々の手段が提案され、また実施も
されてきている。例えば、電子情報機器として、CRT
とかプラズマディスプレイモニターにおいては、特にそ
の内部から画面を通して発せられる電磁波が障害になる
ことから、一般にその画面に電磁波シールド材を装填す
るという方法がとられる。このような場合、該シールド
材はまず不透明であってはならず、透明であってかつ電
磁波を有効にシールドするものが求められる。
ては、まず、電導性メッシュ織物を透明シートに貼合し
たものとか、透明シートに導電性インキを使って、格子
状に印刷したもの等が提案されてきているが、これらの
ものでは、透明性と電磁波シールド性とは二律背反し、
透明性を上げようとすると、逆に電磁波シールド性は低
下するというものである。そこで、これを改善すること
を意図として、透明シートに銅箔(又は板)を貼合した
もの、又は該シートに銅を無電解メッキして銅層を設
け、そしてメッシュ状パターン化した後、非メッシュ状
パターン部分を塩化第二鉄水溶液等で化学エッチングを
行って、エッチング除去し、該シート上に銅のメッシュ
パターンを形成したシールド材が提案されている。例え
ば、実開昭64−44697号公報、特開平5−283
889号公報を挙げることができる。
号公報においても、次のような点で十分に満足されない
ものであった。つまり銅箔の場合では、まず透明シート
との間に接着材による接着層を設ける必要があるが、こ
の接着層による透明性の低下が避けられないこと、また
完全な接着は不可能に近く、特に銅箔という必要以上に
厚い層でのメッシュ状パターンでは、軽い屈曲でも剥離
する危険性が極めて高いこと、そして必要とする電磁波
シールド効果に対して、銅箔では必要以上に厚い層であ
るが、この厚い層であることが、導電パターン作製のた
めの化学エッチングにとってサイドエッチングしやす
く、その結果、当初設定したメッシュパターン通りの該
パターンが得がたく、どうしても線幅が小さくなった
り、また線幅にしても厚さにしてもムラがでやすく、常
に安定した品質をもって得ることが難しい。
シートに直接該メッキを施すのではなく、まず該シート
に透明アンカ層を設け、その上に該メッキをするもので
ある。該アンカ層は、微細孔を有するポリマーとか、無
機化合物によってなっているが、該アンカ層が何であれ
これが存在すること自体、前記同様全体の透明性の低下
は避けられない。また、該アンカ層を介してメッシュパ
ターンであることで、透明性シートの密着力には限界が
あり、特に屈曲に対しては、十分でない。更には該メッ
キに至るまでに、従来から一般に行われている前処理
(パラジウム触媒による表面活性化等)が必要であり、
その分製造における管理と共に製造効率も悪い。
等を介せず、直接的にかつ透明性と電磁波シールド性と
が二律背反的にならないような電磁波シールド用透明部
材とそれを容易に、迅速に製造することもできる手段を
見い出すために鋭利検討してなされたものである。
ールド用透明部材とその製造方法との提供によってなる
が、それは、まず該透明部材については請求項1と2に
記載し、その製造方法は、各々請求項9と10に記載す
るものである。そして、請求項2〜8は、請求項1又は
2に従属する発明として提供している。
では、透明基体(1)上に、全光線透過率が50%以上
になるように、網の目導電パターンが物理的薄膜形成手
段による銅又はその合金薄膜層(2)とメッキ手段によ
る銅厚膜層(4)との順次積層にて形成されていて、か
つ該導電パターンの有する電気抵抗値を200mΩ/□
以下とする電磁波シールド用透明部材を提供する。
性を付与するために、銅厚膜層(4)上に褐色から黒色
の着色層(5)を設けた電磁波シールド用透明部材を提
供する。
その製造方法が次の(イ)〜(ホ)に記載する各工程を
順次行ってなるものである。 (イ)全光線透過率60%以上のシート状熱可塑性樹脂
の片面に、銅又はその合金をスパッタリングして、厚さ
100〜2000Åの薄膜層を形成する第一工程。 (ロ)前記薄膜層をフォトリソグラフィ法により現像し
て、網の目パターンを露出する第二工程。 (ハ)前記網の目パターン上に銅を電解メッキして、厚
さ1〜10μmの銅厚膜層を積層する第三工程。 (ニ)次に非網の目パターン部分の残存レジストを剥離
除去する第四工程。 (ホ)最後に、全面を化学エッチングして非網の目パタ
ーン部分の銅又はその合金薄膜層を溶解除去し、スパッ
タリングによる銅又はその合金薄膜層と電解メッキによ
る銅厚膜層との積層による網の目導電パターンを得る第
五工程。
る製造方法であり、それは、前記請求項9に記載する工
程(イ)〜(ホ)を行った後、更に次の(ヘ)に記載す
る第六工程を行い、視認性のより向上した電磁波シール
ド用透明部材を得る。 (ヘ)前記(ホ)によって得られた網の目導電パターン
の銅表面を酸化又は硫化処理して、褐色から黒色の酸化
銅又は硫化銅表面層を形成する第六工程。尚、これら請
求項9及び10に記載する製造方法は、請求項1又は2
に記載する電磁波シールド用透明部材の1つの好ましい
態様として提供するものであり、従って、この製造方法
のみに限定されるものではない。 以下順を追ってより詳細に説明する。
透明基体(1)とは基本的には本発明の電磁波シールド
用透明部材を通して、少なくともディスプレイ画面と
か、あるいは機器内部が透視できることを前提で、好ま
しくは全光線透過率65%以上の透過性と、他に耐熱
性、耐侯性、非収縮性、そして機械的強度、耐薬品性等
にも優れているものであるのが良い。そしてその形状
は、一般にはシート状(厚さにして約0.05〜2mm
程度)であるが、使用場所によっては、それが曲折形状
の場合もある。具体的には、ガラス板等の無機物による
透明基体、ポリメチルメタアクリレート、ポリスチレン
又はスチレンとアクリロニトリル又はメチルメタアクリ
レートとの共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−
1)、ポリプロピレンとかシクロペンテン、ノルボネ
ン、テトラシクロドデカン等の環状オレフィンモノマー
による単独又はエチレン等の共重合による非晶性環状オ
レフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテル
サルホン、ポリカーボネート、各種液晶性ポリマー等の
透明熱可塑性基体、アクリル系、ウレタン系、エポキシ
系、シリコーン系の熱硬化性透明樹脂による透明基体が
例示できる。
条件を勘案して決めるが、透明性(全光線透過率)は6
5%以上好ましくは85%以上を有していて、かつ熱可
塑性樹脂による基体から選択することが望ましい。尚、
本発明でいう全光線透過率(以下Ttと呼ぶ)とは、J
IS K7105(1981)に基づいて作製された日
本電色工業株式会社製の濁度計タイプNDH−20D型
によって測定した値(%)であり、この値が大きい程透
明で視認性に優れていることになる。
例えば縦横同一幅又は異幅によって格子状になり、開口
部分が直角四辺形であることは勿論、ある角度をもって
斜めに交差した状態、つまり開口部分が菱形である場合
とか、あるいは5〜10角形程度の多角形状、つまり開
口部が5〜10角形である場合もあるので特定されるも
のではない。尚、網の目をどうするか、つまりどのよう
な開口度を有する網の目にするかは、Ttと電磁波シー
ルド効果とが共に高くなることを前提で決める必要があ
るが、少なくとも最終的に得られた電磁波シールド用透
明部材としてのTtは、50%以上、好ましくは60%
以上さらに好ましくは65%以上である必要があるの
で、これを前提として決める必要がある。
れまた実用もされている金属又は非金属の、特に薄膜形
成技術において、化学的薄膜形成手段(メッキ法とかC
VD法)に対するものであり、具体的にはスパッタリン
グ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法の3法があ
る。これらは、共通して該金属又は非金属を何らかの方
法で気体又はイオンの状態にして、これを透明基体表面
に受けて、これを沈着して薄膜状とするもので、本発明
では該金属として銅又はその合金を使用する。
法又はイオンプレーティング法が好ましい。更にこの中
でもスパッタリング法がより好ましい。これはイオンプ
レーティング法はスパッタリング法よりも高エネルギー
での蒸着であり、それだけにその蒸着効率(速度)は高
い。しかし、蒸着雰囲気の温度が高いので透明基体の選
択に幅がないこと等の点で、総合的に見てスパッタリン
グ法がより好ましいとの理由からである。
ング法、真空蒸着法は一般的に行われている方法による
もので特別な条件はない。
はその合金は、銅については可能な限り純銅であること
が好ましく、またその合金については、銅を主体として
例えばCu/Zn(黄銅)、Cu/Sn(青銅)、Cu
/Al、Cu/Ni、Cu/Pd、リン青銅、Cu/B
e等の合金を挙げることができる。尚、銅にしてもその
合金にしても、化学エッチングに使用する無機酸水溶液
に対して、不溶である金属の存在は避けるべきである。
は無電解メッキのいずれかをいうが、電解メッキの方が
好ましい。これは、無電解メッキに比較して、より迅速
に必要な厚さの銅厚膜層を積層することができることに
よる。
成されるのは次の理由による。まず透明基体上に形成さ
れる網の目導電パターンが、銅主体に特定されるのは、
他の金属よりも該基体とのより高い密着力でもって、か
つより高い透明性と電磁波シールド性を有するシールド
材を製作することが容易であることによる。これは、ま
ず該基体面にスパッタリング等の物理的薄膜形成手段を
もって薄膜で蒸着したこと。該手段をとったことで、従
来のような前処理とか特殊な接着剤等を介在させること
なく、直接にかつ極めて高い密着力を得ることができる
こと。また、導電パターン化のために行う化学エッチン
グによって、非パターン部分にある該薄膜はすべて容易
に完全に除去されるので、これによる透明性への影響は
全くないものとなることによる。
があることで、該層の上に積層する次の手段、つまりメ
ッキ手段、特に電解メッキによる銅のメッキ適用性が格
段に向上し、前処理を必要とすることなく、直接かつ極
めて強力な密着力でもって、銅厚膜層を形成させること
ができる。ここで、特にメッキ手段がとられているの
で、優れた電磁波シールド性を付与するのに必要な銅の
厚さが、自由に容易にスピーディに得ることもできるの
である。
積層されたものでは、導電パターン化のために行う化学
エッチングによってはしばしば観察される線幅の縮小化
(1体1での再現性に欠ける)サイドエッチング現象は
実質的になく、所望する網の目導電パターンを再現する
ことができるので、より細い線幅の網の目でも、より低
い電気抵抗値を有して得ることができる。つまり、より
高い透明性と電磁波シールド性を得ることができること
になる。
は、メッキによる銅厚膜層(4)形成のために設けられ
るもので、電磁波シールド性発現の実質的因子は、第2
層に相当する該銅厚膜層にあることになる。従って、該
薄膜層(2)の有する膜厚は、可能な限り薄くし、逆に
第2層の該銅厚膜層をより厚くして構成するのがよいこ
とになる。
薄く、第2層はより厚くするのが良いが、しかし妥当な
厚さがあってそれは次のとおりである。つまり、第1層
となる銅又はその合金による薄膜層(2)は約100〜
2000Å、好ましくは300〜1700Åであり、第
2層となる銅厚膜層(4)は、約1〜10μm、好まし
くは2〜8μmである。これは、まず第1層において
は、あまりにも薄いと第2層のメッキによる銅厚膜層が
高い電気抵抗値のために、スピーディなメッキ(特に電
解メッキ)を行うことができなくなることによる。一
方、あまりにも厚膜にすると導電パターン化のために行
う化学エッチングにおいて非パターン部分の除去時間が
長くなり、その結果サイドエッチング現象を伴うとか、
電導パターンとしての線幅が細くなり易く、忠実に再現
されなくなるということによるものである。一方、第2
層にあっては、これが薄い方向では、必要とする電磁波
をシールドしなくなる。逆にあまりにも厚くしても、そ
れは必要以上であって更なる電磁波シールド効果は向上
しないことになる等の理由によるものである。
りなる導電パターンではあるが、更に該パターン自身の
有する電気抵抗値、ここでは単位面積当たりの電気抵抗
値、つまり表面抵抗値として200mΩ/□以下である
ことが必要であり、好ましくは5〜150mΩ/□、さ
らに好ましくは5〜50mΩ/□である。この電気抵抗
値は、必要とする電磁波シールド性を得る為に極めて重
要な因子であることから、前記の如く特定されるもので
あるが、ここではこれが200mΩ/□を境にして、こ
れを超えると電磁波シールド効果が小さくて実用性に欠
けてしまうので良くないことになる。一方、下限につい
ては、限りなく0mΩ/□に近い程良いということにな
る。しかし、この下限については、透明性、つまりTt
が小さくなるということが起こるので、あまり小さくて
も好ましくないということになり、この下限は前記の5
mΩ/□をもって、これ以上を目標とするのが良い。
波シールド効果になって現れるので、該抵抗値は小さい
程良いことになるが、Ttについては一般的には低下す
る方向になる。透明性のTtを最大にして、かつ電磁波
シールド効果を最大にすることが求められる。そのため
には、形成される導電パターンにおいてその線幅とピッ
チ間隔を可能な限り小さくして、該パターンを形成する
銅の厚さをより厚くすることが考えられる。本発明にお
ける前記構成ではこのこともできるので、この点でも画
期的な発明といえる。尚、本発明でいう電気的抵抗値
は、得られた網の目銅導電パターンについて、三菱油化
株式会社製LORESTA(ロレスタ、商品名:MCP
−TESTERFP)に専用MCPプローブ(四端子に
よる測定)を連結した電気抵抗測定器を使い、該パター
ンの銅表面に四端子をしっかり当接して、場所を変えて
測定したものである。
色層(5)は、最終的に得られた電磁波シールド用透明
部材を通して、表示画面を見た時により見やすくかつよ
り長時間凝視しても目に疲労感をあまり感じない特性、
つまり視認性のより向上をはかるために設けられる。そ
して、この特性は色によって異なり、一般に褐色から黒
色がよく、更には純粋な褐色より黒色に近づく程良い。
の種類については特定されないが、可能なかぎり薄層で
かつ該銅表面と強固に密着するものであることが望まし
い。かかる意味においては、酸化銅又は硫化銅によるの
が良く、これも該銅表面を酸化又は硫化処理して表層を
酸化銅又は硫化銅に変えて着色層とするのが良い。
について説明する。まず、請求項1に記載する電磁波シ
ールド用透明部材の製造方法として、請求項9にて例示
するが、これは本発明の課題に対して、それをより有効
に達成する手段であるからである。
透明基体(1)としては、少なくともその自身の有する
Ttは65%以上の前記シート状の熱可塑性樹脂を用い
る。中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート、非晶性ポリオレフィンのシートが良い。
そして、該シート状の厚さは、取り扱い性とか該Ttか
ら見て、0.1〜1mm程度のものを使用するのが良
い。そして、該シート状の片面にスパッタリング法にて
銅又はその合金をターゲットとして、これを厚さ100
〜2000Åの薄膜状にスパッタ蒸着する。このスパッ
タリングに際しては、該シートを何らの前処理を施す必
要はなく、直ちに行うことができるが、場合によって
は、その表面を脱脂洗浄するかグロー又はコロナによる
放電処理等の前処理をすることもある。スパッタリング
条件は、一般的条件に従って行えば良いが、次のような
条件で行う方が好ましい。つまり、10−1〜10−2
トール以下の低ガス圧(ガスはアルゴン等の不活性ガ
ス)下で行う低ガス圧スパッタリングである。この低ガ
ス圧スパッタリングは、3極グロー放電、2極グローR
F放電、マグネトロン、イオンビームによるスパッタリ
ングに相当するが、マグネトロンによるスパッタリング
がより好ましい。これは、形成される薄膜の速度が早
く、純度も高く、またスパッタリング装置の真空槽内に
発生する温度も低い(せいぜい100℃前後)ことによ
る。
て得られた銅又はその合金の薄膜層をフォトリソグラフ
ィ法を使って、現像し、所望の網の目パターンを露出す
る。ここで、フォトリソグラフィ法は、一般に行われて
いる感光性レジストの塗布→マスキングフィルムの真空
密着→露光→露光部又は非露光部の溶解除去のための現
像→所望する網の目パターンの露出をいう。ここで感光
性レジストには、ネガ型とポジ型があり、ネガ型では露
光されて紫外線を受けるとその部分のみが光硬化する。
ポジ型はネガ型の逆の光特性を有し、紫外光を受けた部
分が光分解する。両者現像処理を行えば、ネガ型では、
未露光部分が溶解除去され、ポジ型では露光部分が溶解
除去されることになる。従って、マスキングフィルム
は、ネガ型ではポジフィルム(網の目パターンは黒)を
ポジ型ではネガフィルム(網の目パターンは透明)を使
用することになる。
いが一般的にはネガ型ではアクリル系、ボジ型ではジア
ゾ系が使用される。また、該レジストは、一般には液状
であるのでこれを塗布する方法になるが、これがドライ
フィルムの様に、予めフィルム状であっても良い。ま
た、網の目パターンの内容、特に微細パターンでない該
パターンを所望する場合には、フォトリソグラフィ法に
代えて、印刷手法でもって、直接薄膜層上に網の目パタ
ーンを露出状態で得ることができる。
での露出網の目パターン部分の前記薄膜層をベースとし
て、この上に銅を電解メッキして、厚さ1〜10μmの
厚さに銅を積層する。電解メッキの条件は、一般に行わ
れている銅のメッキに準じて行えば良い。例えば、硫酸
銅と硫酸を主成分として調整された硫酸銅メッキ浴を用
いる場合には、含リン銅を陽極としてこの中に前記薄膜
形成熱可塑性樹脂シートを陰極として浸漬し、陰極電流
密度0.5〜6A/dm2、該溶液温度15〜30℃、
メッキ速度0.1〜1.2μm/minで行う。勿論、
他の方法、例えばシアン化第一銅とシアン化ナトリウム
を主成分とするメッキ浴による銅メッキ、つまりシアン
化銅メッキとか、ピロリン酸銅とピロリン酸カリウムを
主成分とするメッキ浴による銅メッキ、つまりピロリン
酸銅メッキによっても良い。
露出せずに残存している非網の目パターン部分の感光性
レジスト層を剥離除去する。剥離除去は、一般には各種
有機溶剤又はアルカリ系水溶液の剥離用薬液を用いてこ
れを噴射又は揺動浸漬する。
時に化学エッチングするものであるが、化学エッチング
の時間は少なくとも前記非網の目パターン部分の銅又は
その合金の薄膜層のすべてが、溶解除去されるまでであ
る。従って、その時間は該薄膜層の厚さによって変わ
る。全面を同時に化学エッチングするので、前記(ハ)
の第三工程による銅電解メッキによる層厚は、該薄膜層
の厚さに相当する分、化学エッチングされて薄くなる
が、しかし該薄膜層の厚さ(100〜2000Å)に比
較して、電解メッキによる銅厚膜層ははるかに厚い(1
〜10μm)ので、電気抵抗値に実質的変化はない。
金をエッチング液によって化学的に溶解除去する操作で
ある。従って、エッチング液は、該銅又はその合金が溶
解するものであれば制限はない。一般的には、通常使用
される塩化第二鉄又は塩化第二銅の水溶液であるが、こ
れらのものよりマイルドにエッチングできる、例えば硫
酸/過酸化水素系水溶液等を使うのが良い。これは、こ
こでの化学エッチングが非網の目パターンにあるスパッ
タによる銅又はその合金による極めて薄い層を単に除去
すれば、所望する導電パターンが自ら形成されてくるか
らである。つまり、厚い銅層を化学エッチングして導電
パターンを形成するものとは異なるからである。化学エ
ッチング時間は、約20〜50秒と短時間で終了する
が、終了後は直ちに水洗し、乾燥して全行程を終了す
る。
工程について説明する。第六工程は、請求項9にて得ら
れた銅の導電パターンの銅色のみでは、前記するように
視認性に欠けるような場合に、該導電パターン表面に別
色を着色して、これを改善するために行う工程である。
ここでは、この別色を褐色から黒色とするのが好ましい
ことから、これを酸化銅又は硫化銅にて行う。この酸化
銅による着色は該導電パターンを酸化剤と接して、化学
的に銅表面を酸化して酸化銅の表層膜とするのである。
一方硫化銅による着色は硫化剤と接することでおこなは
れる。従って、このような化学的方法での着色であるた
めに、異種の材料でコーティング等による新たな着色層
を設ける方法とは異なり、より薄い層でもって一体的に
形成されるので剥離するようなこともない。
リ性の強酸化剤の水溶液が良い。これには、例えば亜塩
素酸ナトリウムを水酸化ナトリムでアルカリ性にした水
溶液があり、これに浸漬するだけで良く、浸漬時間は数
分程度で良い。該水溶液中の水酸化ナトリウム濃度、亜
塩素酸ナトリウム濃度、浸漬時間等を変えることで、生
成する酸化銅の結晶構造に由来と考えられるが、その色
を褐色から黒色の範囲で自由に変えることができる。ま
た硫化剤としては、例えば硫黄又はその無機化合物(例
えば硫化カリ)を主成分とする水溶液である。ここで硫
黄の場合は、それ単独では効率的ではないのでこれに生
石灰、カゼイン,必要によっては助剤的に硫化カリを添
加して水溶液化する。一方硫化カリの場合には、反応促
進の為に塩化アンモニウム等を併用して水溶液化する。
触触の時間、温度等はいずれの場合も適宜実験にて決め
ればよい。尚、酸化銅による表面層の厚さは酸化又は硫
化処理時間によって変わるが、厚くすることで電気抵抗
値が200mΩ/□を超えないようにする必要がある。
れて得られたものの構造を更に図示すると図1のとおり
である。該図は、その構造の1部を断面図で示してい
る。該図で1はTt65%以上のシート状熱可塑性樹
脂、2は銅又はその合金をスパッタリングした薄膜層、
2aはリソグラフィ法による網の目パターン露出部分
で、3は全面コーティングした感光性レジスト3aが残
存する部分、4は露出部分の該薄膜層上に電解メッキに
より積層した銅厚膜層、5は酸化銅表面層である。また
図2は(ヘ)を斜視図で示し、6は開口部分であり、こ
の開口部分の全面積によってTtは上下することにな
る。
ば、予め銅のスパッタリングと電解メッキとを行った後
に、フォトリソグラフィと共に化学エッチングを行うと
か、又はまず銅のスパッタリングを行い、得られた銅の
薄膜層をフォトリソグラフィと共に化学エッチングし、
該薄膜をパターン化する。次に銅を電解メッキして、該
パターン部分のみに銅を電解メッキして積層する等でも
良い。しかし、これらの方法よりも前記請求項9に記載
する製造方法が好ましいのは、次のような理由による。
対する忠実な再現性である。この再現性は、パターンそ
のものの線幅に変化がなくかつサイドエッチングもない
ということに他ならない。従って、所望するとおりに自
由に電気抵抗値つまり電磁波シールドを得ることができ
る。そして、再現性に優れていることは、より細線でか
つそこに積層する銅もより厚く積層することができるの
である。このことは、所望する電気抵抗値を得るのに、
線幅を広くするのではなく、線幅を小さく積層する銅の
厚さを厚くすることが可能になるので、従って電磁波シ
ールド性を上げても、全体の透明性の低下は極めて小さ
く抑えることができるということになる。つまり、電気
抵抗をより小さくして電磁波シールド性を向上させると
共に、全体のTtをも向上させるということが他の製造
方法よりもより容易にできるということからである。
尚、前記製造方法による導電パターンの再現性の確認
は、該パターンがメッシュ(格子)状で、線幅10μm
以上、ピッチ100μm以上、厚さ10μm以下のもの
で行った。2.54cmをピッチで除したものがメッシ
ュ度ということになる。
る。尚、本文及び該例で言う電磁波シールド効果(性)
は、(財)関西電子工業振興センター法(一般にKEC
法と呼んでいる)における測定装置によって、周波数1
00〜1000MHz(メガヘルツ)の範囲で測定した
電磁波の減衰率(dB−デシベル)でもって表したもの
である。
90%の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以下P
ETフィルムと呼ぶ)を使って、次のスパッタリングを
行う前に、まずグロー放電して前処理した。この前処理
のPETフィルムをマグネトロン式スパッタ装置の真空
槽内に、銅ターゲットに対峙して配置し、空気をアルゴ
ンに完全置換して得た真空度2×10−3トールの環境
下、印加電圧DC9kWで1m/minで3回繰り返し
のスパッタ蒸着を行った。
0Å(±100Å)で均一であった。また一部を切り取
ってテープ剥離テストしたが、銅薄膜が剥離するような
様子はなかった。
の該蒸着面に、ポジ型レジストをロールコータにてコー
ティングし、厚さ5μmの該レジスト層を設けた。そし
て、該レジスト層面に、線幅15μm、ピッチ150μ
mのメッシュ状パターン(メッシュ度=170)を描写
したネガフィルム(該パターン部分が透明で、非パタン
部分が黒色で、メッシュ状に描写されたマスキング用フ
ィルム)を真空密着した後、露光した。(超高圧水銀灯
を光源として、130mJ/cm2を照射した。)この
露光によって、該メッシュパターン部分のレジストは、
分解されているので、この部分を現像液にて溶解除去し
て、最後に水洗乾燥した。非パターン部分の該レジスト
は、該銅蒸着面と密着して残存している。従って、非パ
ターン部分はマスクされており、パターン部分は、該銅
蒸着層が露出されていることになる。
の条件にて、銅を電解メッキした。つまり、含リン銅を
陽極として、該パターンを陰極として、硫酸銅と硫酸及
び水との混合液をメッキ液として、該浴の温度23℃と
して、陰極電流密度1.7A/dm2、メッキ速度0.
3μm/minにて電解メッキした。そして十分に水洗
して乾燥した。
セトンを噴射しつつ、軽タッチでブラッシングして、非
パターン部分の残存レジストを溶解除去し、水洗、乾燥
した。得られた一部を切り取って、断面を顕微鏡して拡
大し観察したところ、積層された銅メッキ層は極めてシ
ャープに角柱状を呈し、幅は15.1μm、厚さ(高
さ)は4.9μmであった。ここで、銅メッキ層が極め
てシャープに角柱状で積層されたのは、予めフォトレジ
ストによって、枠をつくり、この枠が正確にシャープに
形成されているために、この枠に沿って、銅が積層され
たためと考えられる。
ンに浸漬して残存する非パターン部分のレジストを溶解
除去した後、水洗して乾燥後、これを次の条件で全面エ
ッチングした。
素とを含む水溶液を用い、これを浴槽に入れて、攪拌し
ながら、前記をエッチングした。エッチング時間は30
秒であり、30秒したら直ちに水洗し乾燥した。PET
フィルム上に170メッシュのシャープな導電パターン
が形成され、180°に折り曲げても、剥離するような
ことは全くなかった。形成された導電パターンの線幅
は、15μmで、厚さは4.8μmであった。尚、該パ
ターンは角柱状で、サイドエッチングは全く見られなか
った。このものの電気抵抗値、電磁波減衰率、Ttを表
1にまとめた。
例) 実施例1において、次の条件を変える以外は同様にし
て、各工程を経て、まずメッシュ状の銅による導電パタ
ーンをPETフィルム上に積層した。 ・銅のスパッタリングにより形成した薄膜層の厚さは1
700Å ・ポジ型レジストのコーティング厚さは7μm ・ネガフィルムのパターン画像は、線幅25μm/ピッ
チ250μm (メッシュ度=101)のメッシュ状パターン ・銅の電解メッキ厚さは6.8μm ・化学エッチングの時間は50秒
6.6μmで、線幅は25.0μmでありサイドエッチ
ングも全くなく、その断面観察ではシャープな角柱状を
呈してした。
面を褐色から黒色に着色するために、水酸化ナトリウム
と亜塩素酸ナトリウムとを成分とする水溶液を酸化浴と
して、70℃で5分間全体を浸漬した。5分間経過した
ら取り出して水洗乾燥した。該パターンの銅は、黒褐色
に変化し、その着色層の厚さは約0.52μmであっ
た。このものの電気抵抗値、電磁波減衰率、Ttは表1
にまとめた。
Tフィルムをプラズマディスプレイの画面に10mmの
距離で懸垂し、画像を見ると、実施例1の未着色品に比
較して見やすく、目の疲れもない感じで視認することが
できた。
例) まず実施例2と同一条件にてPETフイルム上に積層銅
によるメッシュ状導電パターンを形成した。そしてこれ
を硫黄を主成分として、これに生石灰、カゼイン及び硫
化カリを添加して蒸留水に溶解して調整した硫化浴に4
0℃で、60秒間接した。直ちに取り出して水洗・乾燥
した。該パターン表面は着色され実施例2よりも黒色で
鮮明であった。勿論この着色手段による該パッターンへ
の悪影響はなっかった。
□を超える場合) 実施例1において、次の条件を変える以外、同一条件に
て各工程を順次行い、比較用の導電パターンを有するP
ETフィルムを作製した。 ・オフネガフィルムのパターン画像は、線幅13μm/
ピッチ200μm (メッシュ度=195)のメッシュ状パターン ・銅の電解メッキによる積層厚さ0.8μm
ーンの線幅は10〜12μm、銅の厚さは0.6〜0.
67μmで一定でなかった。このバラツキについては、
前記メッシュパターンの線幅と銅のメッキの厚さが小さ
すぎた為に、化学エッチングによる細りと、銅の電解メ
ッキにムラが発生したためでないかと考えられる。
率、Ttは表1にまとめた。
の電磁波シールド用透明部材は、このままでも使用でき
るが、パターンが銅で形成されていることと、外力によ
る損傷等を考えて、実際の使用に際しては、全面に保護
膜を設けたものとするのが良い。該保護膜の選択につい
ては、勿論強い密着力を有することは当然であるが、透
明性、水分、酸素に対するバリヤ性、耐衝撃性、耐熱
性、耐薬品性等にも優れていることを考慮する必要があ
る。具体的には、例えばアクリル系、ウレタン系、シリ
コーン系の硬化型有機系物質によるものとか、無機系化
合物、例えば二酸化ケイ素に代表されるものが挙げられ
る。尚、二酸化ケイ素による保護膜は、前記有機系より
好ましいが、これは二酸化ケイ素をスパッタリングし
て、物理的に保護膜を形成することもできるが、化学的
に例えばペルヒドロポリシラザン溶液をコーティング
し、これを加熱又は加水のもとに二酸化ケイ素に分解す
るとか、多官能アルコキシシランを用いるゾルーゲル法
による二酸化ケイ素保護膜の形成も可能である。
ので、次のような効果を奏する。
目の導電パターンとは、特にスパッタリング等の技術に
よって直接形成した銅(又はその合金)薄膜層を介して
積層されているので、該基体とは極めて高い密着力を有
している。これは、屈曲にも耐え、かつ高温高湿中での
長時間使用でも剥離することはない。
様に接着剤等を介せず、直接形成されているので、それ
による透明性の低下はない。
に必要な導電パターンの電気抵抗がより狭い幅で、より
厚い層厚で銅がメッキされて形成されるので、電磁波シ
ールド効果と共に、高い透明性を有する部材である。
の製造方法に関して、請求項9に記載の方法を使うこと
で、パターンの細りサイドエッチングの懸念はなくな
り、製造が容易にかつ高い収率で得ることができるよう
になった。
又は硫化銅にて褐色から黒色に着色することもでき、こ
の着色層の存在は、各機器に装着して使用する場合、見
やすく長時間の凝視でも目の疲労感も小さい。
の断面図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 透明基体(1)上に、全光線透過率50
%以上になるように、網の目導電パターンが物理的薄膜
形成手段による銅又はその合金薄膜層(2)とメッキ手
段による銅厚膜層(4)との順次積層にて形成されてい
て、かつ該導電パターンの有する電気抵抗値が200m
Ω/□以下であることを特徴とする電磁波シールド用透
明部材。 - 【請求項2】 請求項1において、銅厚膜層(4)上に
更に褐色から黒色の着色層(5)を設けてなることを特
徴とする電磁波シールド用透明部材。 - 【請求項3】 前記透明基体(1)が全光線透過率65
%以上のシート状熱可塑性樹脂である請求項1又は2に
記載の電磁波シールド用透明部材。 - 【請求項4】 前記物理的薄膜形成手段がスパッタリン
グ法又はイオンプレーティング法である請求項1又は2
に記載の電磁波シールド用透明部材。 - 【請求項5】 前記メッキ手段が電解メッキ法である請
求項1又は2に記載の電磁波シールド用透明部材。 - 【請求項6】 前記銅又はその合金の薄膜層(2)の厚
さが100〜2000Åである請求項1又は2に記載の
電磁波シールド用透明部材。 - 【請求項7】 前記銅厚膜層(4)の厚さが1〜10μ
mである請求項1又は2に記載の電磁波シールド用透明
部材。 - 【請求項8】 前記着色層(5)が酸化銅又は硫化銅よ
りなる請求項2に記載の電磁波シールド用透明部材。 - 【請求項9】 次の(イ)〜(ホ)に記載する各工程を
順次行うことを特徴とする請求項1に記載の電磁波シー
ルド用透明部材の製造方法。 (イ)全光線透過率65%以上のシート状熱可塑性樹脂
の片面に、銅又はその合金をスパッタリングして、厚さ
100〜2000Åの薄膜層を形成する第一工程。 (ロ)前記薄膜層をフォトリソグラフィ法により現像し
て、網の目パターンを露出する第二工程。 (ハ)前記網の目パターン上に銅を電解メッキして厚さ
1から10μmの銅厚膜層を積層する第三工程。 (ニ)次に非網の目パターン部分の残存レジストを剥離
除去する第四工程。 (ホ)最後に、全面を化学エッチングして非網の目パタ
ーン部分の銅又はその合金薄膜層を溶解除去し、スパッ
タリングによる銅又はその合金薄膜層と電解メッキによ
る銅厚膜層との積層による網の目導電パターンを得る第
五工程。 - 【請求項10】 前記請求項9において、更に次の
(ヘ)に記載する工程を設けることを特徴とする請求項
2に記載の電磁波シールド用透明部材の製造方法。 (ヘ)前記(ホ)によって得られた網の目導電パターン
の銅表面を酸化又は硫化処理して、褐色から黒色の酸化
銅又は硫化銅表面層を形成する第六工程。
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