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JPH11243169A - 電子冷却モジュールおよびその製造方法 - Google Patents

電子冷却モジュールおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH11243169A
JPH11243169A JP10042498A JP4249898A JPH11243169A JP H11243169 A JPH11243169 A JP H11243169A JP 10042498 A JP10042498 A JP 10042498A JP 4249898 A JP4249898 A JP 4249898A JP H11243169 A JPH11243169 A JP H11243169A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoelectric semiconductor
semiconductor element
base
cooling module
hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10042498A
Other languages
English (en)
Inventor
Itaru Shibata
田 格 柴
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP10042498A priority Critical patent/JPH11243169A/ja
Publication of JPH11243169A publication Critical patent/JPH11243169A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L2924/00Indexing scheme for arrangements or methods for connecting or disconnecting semiconductor or solid-state bodies as covered by H01L24/00
    • H01L2924/0001Technical content checked by a classifier
    • H01L2924/0002Not covered by any one of groups H01L24/00, H01L24/00 and H01L2224/00

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 信頼性が高くかつ多様な電子機器に対応する
ことができる十分な冷却性能をそなえた電子冷却モジュ
ールを提供する。 【解決手段】 多数の貫通孔3を形成した電気絶縁性の
基体2の前記貫通孔3の内部にp型熱電半導体素子4p
とn型熱電半導体素子4nをそれぞれ個別に設けている
と共に、前記p型熱電半導体素子4pとn型熱電半導体
素子4nとの間が前記基体2の表面から当該基体2の貫
通孔3の内壁に該基体2を貫通しない範囲にわたって形
成された表面側の電極5と前記基体2の裏面から当該基
体2の貫通孔3の内壁に該基体2を貫通しない範囲にわ
たって形成された裏面側の電極6で交互に接続されてい
る電子冷却モジュール1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子デバイスや電
子部品が発生する熱を効率よく放熱して部品を冷却する
のに好適な電子冷却モジュールおよびその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザ,パワートランジスタ,リ
レー,マイクロプロセッサなど発熱の大きな電子部品な
いしはこれらを用いた電子デバイスでは、安定して正常
に動作させるために電子部品の放熱・冷却が必要とな
り、とくに、高温環境下では必須の技術である。
【0003】従来より、この放熱・冷却のためにヒート
シンク,冷却ファン、ヒートスプレッダなどの冷却部品
が使用されている。また、p型およびn型熱電半導体素
子(ペルチェ素子)を利用した電子冷却モジュールを使
用する方法も採用されている。
【0004】電子冷却モジュールは、図12に示すよう
に、電子冷却モジュール101を構成するp型熱電半導
体素子102Pとn型熱電半導体素子102nとからな
るp−n素子ユニット102を吸熱側基板103と放熱
側基板104との間に交互に多数並べて配置し、基板1
03,104に形成した電極105,106を介して電
気的に直列に接続し、電極105,106に接続したリ
ード線107,108を介して図示しない電源を接続す
ることによって吸熱側から放熱側に熱を移動させるよう
にした電子機器である。
【0005】従来の電子冷却モジュール101は、p型
熱電半導体素子102pとn型熱電半導体素子102n
とからなるp−n素子ユニット102を用いて次のよう
にして製作されていた。すなわち、所望の組成に溶製さ
れた半導体インゴットを粉砕した原料粉をホットプレス
加工によりウエハ成形し、Niメッキを行って電極形成
したのちハンダメッキし、ウエハを所定の大きさに裁断
して熱電半導体素子を作製する。そして、多数の熱電半
導体素子を別途作製された吸熱側基板103および放熱
側基板104とともにモジュールに組み立てし、図12
に示したように規則正しく熱電半導体素子102p,1
02nを配置してハンダづけすることで電子冷却モジュ
ール101を作製していた(特開平1−106478号
公報(ただし、図面による構造の説明はなし)など)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようにして製作さ
れた電子冷却モジュールは、多くの工程を経るために、
製造上や歩留まりの点で次の(1)に示すような問題点
があった。
【0007】(1)基板上にp−n素子ユニットをハン
ダづけだけで配置しているため、衝撃などに対する機械
的強度が十分でない。
【0008】また、p−n素子ユニットの製作に関して
ウエハを裁断して素子を得るようにしているため、次の
(2),(3),(4)に示すような問題点があった。
【0009】(2)素子(チップ)の小型化に限界があ
り、モジュールとして電子部品の小型化,高密度化に対
応し難い。
【0010】(3)素子(チップ)形状に自由度がな
く、電子部品への適用する際の柔軟な設計が困難であ
る。
【0011】(4)素子(チップ)の基板上への実装お
よび配置工程が煩雑である。
【0012】
【発明の目的】本発明は上記した従来の問題点に鑑みて
なされたもので、多数のp型熱電半導体素子とn型熱電
半導体素子を電極を介して直接に接続してなる電子冷却
モジュールに関して新規な構成および製造方法とするこ
とにより、信頼性が高くかつ多様な電子機器に対応でき
る十分な冷却性能をそなえた電子冷却モジュールおよび
簡素化した製造方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる電子冷却
モジュールは、請求項1に記載しているように、多数の
貫通孔を形成した電気絶縁性の基体の前記貫通孔の内部
にp型熱電半導体素子とn型熱電半導体素子をそれぞれ
個別に設けていると共に、前記p型熱電半導体素子とn
型熱電半導体素子との間が前記基体の表面から当該基体
の貫通孔の内壁に該基体を貫通しない範囲にわたって形
成された表面側の電極と前記基体の裏面から当該基体の
貫通孔の内壁に該基体を貫通しない範囲にわたって形成
された裏面側の電極で交互に接続されている構成とした
ことを特徴としている。
【0014】そして、本発明に係わる電子冷却モジュー
ルの実施態様においては、請求項2に記載しているよう
に、p型熱電半導体素子とn型熱電半導体素子は、それ
ぞれ、p型熱電半導体素子材料粉末を含む熱電半導体素
子ペーストとn型熱電半導体素子材料粉末を含む熱電半
導体素子ペーストの焼成体よりなっているものとしたこ
とを特徴としている。
【0015】同じく、本発明に係わる電子冷却モジュー
ルの実施態様においては、請求項3に記載しているよう
に、基体に形成した貫通孔の内部の断面形状は、前記貫
通孔の開口部の断面形状と相似した形状をもちかつその
断面積は前記開口部の断面積と同等かもしくはそれ以下
の断面積をもつものとしたことを特徴としている。
【0016】同じく、本発明に係わる電子冷却モジュー
ルの実施態様においては、請求項4に記載しているよう
に、基体に形成した貫通孔の開口部は、面取り加工が施
してあるものとしたことを特徴としている。
【0017】同じく、本発明に係わる電子冷却モジュー
ルの実施態様においては、請求項5に記載しているよう
に、基体は、アルミナ,窒化アルミニウム,石英および
ガラスのうちから選ばれる電気絶縁性の基体であるもの
としたことを特徴としている。
【0018】同じく、本発明に係わる電子冷却モジュー
ルの実施態様においては、請求項6に記載しているよう
に、表面側および裏面側の電極素材は、銀,銅,パラジ
ウム,白金,アルミニウム,ニッケルのうちから選ばれ
る少なくとも1種を含むものとしたことを特徴としてい
る。
【0019】同じく、本発明に係わる電子冷却モジュー
ルの実施態様においては、請求項7に記載しているよう
に、p型熱電半導体素子の素材は、Bi:0.05〜
0.10、Te:0.55〜0.70、Sb:0.25
〜0.35の原子組成範囲にあり、n型熱電半導体素子
の素材は、Bi:0.35〜0.45、Te:0.55
〜0.65、Se:0.02〜0.04の原子組成範囲
にあるものとしたことを特徴としている。
【0020】同じく、本発明に係わる電子冷却モジュー
ルの実施態様においては、請求項8に記載しているよう
に、p型熱電半導体素子材料粉末とn型熱電半導体素子
材料粉末は、ともに粒径が10μm以下であるものとし
たことを特徴としている。
【0021】本発明に係わる電子冷却モジュールの製造
方法は、請求項9に記載しているように、多数の貫通孔
を形成した電気絶縁性の基体の前記貫通孔の内部にp型
熱電半導体素子とn型熱電半導体素子をそれぞれ個別に
設けていると共に、前記p型熱電半導体素子とn型熱電
半導体素子との間が前記基体の表面から当該基体の貫通
孔の内壁に該基体を貫通しない範囲にわたって形成され
た表面側の電極と前記基体の裏面から当該基体の貫通孔
の内壁に該基体を貫通しない範囲にわたって形成された
裏面側の電極で交互に接続されている電子冷却モジュー
ルを製造するに際し、前記多数の貫通孔を形成した基体
の表面から当該基体の貫通孔の内壁に該基体を貫通しな
い範囲にわたり表面側の電極を形成すると共に、前記基
体の裏面から当該基体の貫通孔の内壁に該基体を貫通し
ない範囲にわたり裏面側の電極を形成した後、前記貫通
孔の内部にp型熱電半導体素子材料粉末を含む熱電半導
体素子ペーストとn型熱電半導体素子材料粉末を含む熱
電半導体素子ペーストを前記貫通孔の開口部からそれぞ
れ個別に注入し、前記p型およびn型熱電半導体素子ペ
ーストを不活性雰囲気中や還元性雰囲気中などで加熱・
焼成するようにしたことを特徴としている。
【0022】そして、本発明に係わる電子冷却モジュー
ルの製造方法の実施態様においては、請求項10に記載
しているように、加圧器を有するディスペンサを使用し
て熱電半導体素子ペーストを貫通孔の開口部から貫通孔
の内部に注入するようにしたことを特徴としている。
【0023】同じく、本発明に係わる電子冷却モジュー
ルの製造方法の実施態様においては、請求項11に記載
しているように、基板に形成した貫通孔と同等の開口部
を有するマスクを使用して熱電半導体素子ペーストを貫
通孔の開口部から貫通孔の内部に注入するようにしたこ
とを特徴としている。
【0024】同じく、本発明に係わる電子冷却モジュー
ルの製造方法の実施態様においては、請求項12に記載
しているように、表面側および裏面側の電極は、銀,
銅,パラジウム,白金,アルミニウム,ニッケルのうち
から選ばれる少なくとも1種を含む電極ペーストを使用
して形成されるようにしたことを特徴としている。
【0025】同じく、本発明に係わる電子冷却モジュー
ルの製造方法の実施態様においては、請求項13に記載
しているように、電極ペーストは所望のパターンをもつ
マスクを使用して印刷形成されるようにしたことを特徴
としている。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明に係わる電子冷却モジュー
ルおよびその製造方法の実施の形態について説明する。
【0027】本発明に係わる電子冷却モジュールは、冷
却対象となる電子部品に接触させて使用されるものであ
る。
【0028】(1)熱電半導体素子の配置構造 熱電半導体素子の配置は、基体により、素子形状および
素子数をも含めて所望の配置をとるものとすることが可
能である。
【0029】図1には本発明の一実施形態による電子モ
ジュールの一部分を示す。
【0030】この電子冷却モジュール1は、構造基体と
しての役割をもつ基体2にこの基体2を貫通するように
して多くの貫通孔3が形成してあり、前記多数の貫通孔
3の内部には、ひとつ置きに、p型熱電半導体素子4p
とn型熱電半導体素子4nが配置されたものとなってい
る。そして、p型熱電半導体素子4pとn型熱電半導体
素子4nとは、前記基体2の表面から当該基体2の貫通
孔3の内壁に該基体2を貫通しない範囲にわたって形成
された表面側の電極5と前記基体2の裏面から当該基体
2の貫通孔3の内壁に該基体2を貫通しない範囲にわた
って形成された裏面側の電極で6交互に接続されたもの
となっている。
【0031】なお、図示はしないが、貫通孔3の各々の
開口部のエッジ部分には面取り加工を施してある。
【0032】そして、図1に示すような構造をもつ電子
冷却モジュール1は、必要に応じて、図2に示すよう
に、さらに多くのp型熱電半導体素子4pとn型熱電半
導体素子4nを表面側の電極5および裏面側の電極6で
交互に接続したものとする。
【0033】図3は図1に示した電子冷却モジュール1
の変形例を示すものであって、この図3に示す電子冷却
モジュール1は、構造基体としての役割をもつ基体2に
この基体2を貫通するようにして多くの貫通孔3が形成
してあり、前記多数の貫通孔3の内部には、ひとつ置き
に、p型熱電半導体素子4pとn型熱電半導体素子4n
が配置されたものとなっている。そして、この変形例の
場合、貫通孔3の開口部の断面積は、貫通孔3の内部の
断面積よりも広いものとなるように、円錐形状部3Aが
設けられた開口部をもつものとして形成してある。な
お、付言すれば貫通孔3およびその開口部の形状は、図
1や図3に示した2種類のものに限定されないことはい
うまでもない。
【0034】(2)電子冷却モジュールの製造方法 本発明による電子冷却モジュールの製造方法では、多数
の貫通孔を形成した電気絶縁性の基体の表面から当該基
体の貫通孔の内壁に該基体を貫通しない範囲にわたって
表面側の電極を形成すると共に、前記基体の裏面から当
該基体の貫通孔の内壁に該基体を貫通しない範囲にわた
り裏面側の電極を形成し、その後、p型熱電半導体素子
材料粉末およびn型熱電半導体素子材料粉末を含む熱電
半導体素子ペーストを前記貫通孔の内部にそれぞれ個別
に注入し、p型およびn型熱電半導体素子ペーストを加
熱・焼成して前述の電子冷却モジュールの構造とするよ
うにしているが、この工程についてさらに詳述する。
【0035】(a)基体 図4には図1に示した構造の電子冷却モジュールに用い
る基体を示し、図5には図3に示した構造の電子冷却モ
ジュールに用いる基体を示す。図4および図5に示すよ
うに、それぞれの基体2にはこの基体2を貫通するよう
にして貫通孔3が形成してあり、各々の貫通孔3の内部
には、ひとつ置きに、p型熱電半導体素子材料粉末を含
む熱電半導体素子ペーストと、n型熱電半導体素子材料
粉末を含む熱電半導体素子ペーストが各貫通孔3の開口
部より注入される。ここで貫通孔3の内部の断面積は、
開口部の断面積以下の断面積となるように、すなわち、
図4に示すごとく等しいものとするか、あるいは、図5
に示すごとくより小さなものとなるように調整される。
なお、各貫通孔3の開口部のエッジ部分は面取り加工を
施している。また、基体2としては電気絶縁性を有する
ものであることが必須であり、アルミナ(Al
や窒化アルミ(AlN)などが好適に使用できるが、導
電性の金属表面に電気絶縁層を形成した金属基体を使用
することもできる。
【0036】(b)電極形式 図6には表面側の電極5および裏面側の電極6を形成し
た後の基体2の表面側および裏面側を示す。すなわち、
図6に示すように、基体2には、基体2の表面から当該
基体2の貫通孔3の内壁に該基体2を貫通しない範囲に
わたって形成された表面側の電極5をそなえていると共
に、基体2の裏面から当該基体2の貫通孔3の内壁に該
基体2を貫通しない範囲にわたって形成された裏面側の
電極6をそなえている。
【0037】この電極5,6は、銀,銅,パラジウム,
白金,アルミニウム,ニッケルのうちから選ばれる少な
くとも1種を含む電極ペーストを用いて例えばスクリー
ン印刷による手法が好適に使用できるが、ディスペンサ
を使用した方法なども使用できる。
【0038】そして、電極ペーストの印刷を終了した基
体2に対しては、電極ペーストの焼成を行うことによっ
て導電性のある電極5,6とする。
【0039】(c)熱電半導体素子の形成 図6に示した電極の形成が終了した基体2に、p型熱電
半導体素子材料粉末を含む熱電半導体素子ペーストと、
n型熱電半導体素子材料粉末を含む熱電半導体素子ペー
ストを貫通孔3の開口部よりひとつ置きに注入すること
によって、p型およびn型熱電半導体素子を形成する。
この熱電半導体素子ペーストの貫通孔3内への注入に際
しては、ディスペンサを使用する方法や、マスクを使用
して印刷する方法などがある。
【0040】熱電半導体素子ペーストの注入が終了した
後、基体2をアルゴンガス,窒素ガスなどの不活性雰囲
気中で焼成して本発明による電子冷却モジュール1の製
作が終了する。そして、この場合の焼成に際しては、後
述する熱電半導体ペースト中に含まれるバインダを焼失
させるための仮焼成工程と熱電半導体素子材料粉末を焼
結するための本焼成工程とにわけて実施してもよい。
【0041】(3)熱電半導体素子ペーストの調合 p型およびn型熱電半導体素子ペーストは、原材料粉末
とバインダとを混練して調整するが、以下に詳述する。
【0042】(a)原材料インゴットの作製 原材料インゴットは、熱電半導体素子を構成するBi,
Te,Sb,Seよりなり、必要に応じて微量のドーパ
ント材を加えて溶製される。
【0043】ここで、p型熱電半導体素子用インゴット
としては、Bi−Te合金,Bi−Te−Sb合金など
が使用され、n型熱電半導体素子用インゴットとして
は、Bi−Te合金,Bi−Te−Se合金などが使用
される。
【0044】そして、それらの好ましい組成としては、
p型熱電半導体素子の場合は、Bi:0.05〜0.1
0、Te:0.55〜0.70、Sb:0.25〜0.
35の原子組成範囲であり、n型熱電半導体素子の場合
は、Bi:0.35〜0.45、Te:0.55〜0.
65、Se:0.02〜0.04の原子組成範囲であ
る。また、好適に用いられるドーパント材としては、ヨ
ウ化アンチモン(SbI),臭化水銀(HgBr
などである。
【0045】(b)原材料粉末の調整 上記合金インゴットをまず厚さ数十〜数百μmのフレー
ク状の細片にし、ついで、カッターミルにて粒径約30
μm以下、より好ましくは10μm以下に粉砕する。こ
の粉砕時には、原料粉末の酸化を防止するために、不活
性雰囲気中で粉砕する。そして、粉砕手段としては、カ
ッターミルによる粉砕に限定されるものではなく、例え
ば、ボールミルを使用した湿式粉砕の手法を使用するこ
ともできる。
【0046】(c)バインダとの混練 上記原材料粉末とバインダとを調合・混練して熱電半導
体素材ペーストを得る。ここで、バインダとしては、ポ
リビニルアルコール(PVA),ポリビニルブチラール
(PVB)、アクリル樹脂などを用いることができる。
そして、上記原材料粉末にこれらのバインダと適宜の溶
媒を加えて混練することで、p型熱電半導体素子ペース
トとn型熱電半導体素子ペーストを得る。また、必要に
応じて、可塑剤や界面活性剤などを加えることも可能で
ある。
【0047】
【発明の効果】本発明による電子冷却モジュールでは、
請求項1に記載しているように、多数の貫通孔を形成し
た電気絶縁性の基体の前記貫通孔の内部にp型熱電半導
体素子とn型熱電半導体素子をそれぞれ個別に設けてい
ると共に、前記p型熱電半導体素子とn型熱電半導体素
子との間が前記基体の表面から当該基体の貫通孔の内壁
に該基体を貫通しない範囲にわたって形成された表面側
の電極と前記基体の裏面から当該基体の貫通孔の内壁に
該基体を貫通しない範囲にわたって形成された裏面側の
電極で交互に接続されているものとしたから、熱電半導
体素子と基板との間の密着力が強く、信頼性を著しく向
上させたものとすることが可能であり、多様な電子機器
に対応できる十分な冷却性能をそなえた電子冷却モジュ
ールを提供することが可能であるという著大なる効果が
もたらされる。
【0048】そして、請求項2に記載しているように、
p型熱電半導体素子とn型熱電半導体素子は、それぞ
れ、p型熱電半導体素子材料粉末を含む熱電半導体素子
ペーストとn型熱電半導体素子材料粉末を含む熱電半導
体素子ペーストの焼成体よりなっているものとすること
によって、熱電半導体素子と基板との密着力が強く、か
つまた、熱電半導体素子が基板によって保護された信頼
性の高い電子冷却モジュールを提供することが可能であ
るという著大なる効果がもたらされる。
【0049】また、請求項3に記載しているように、基
体に形成した貫通孔の内部の断面形状は、前記貫通孔の
開口部の断面形状と相似した形状をもちかつその断面積
は前記開口部の断面積と同等かもしくはそれ以下の断面
積をもつものとすることによって、電極や熱電半導体素
子の形成が簡便にできると共に、電極および熱電半導体
素子と基板との密着性をより一層向上させたものとする
ことが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0050】さらに、請求項4に記載しているように、
基体に形成した貫通孔の開口部は、面取り加工が施して
あるものとすることによって、貫通孔の開口部における
エッジ部分がなくなり、エッジ部分がある場合の電極の
薄肉化を防止することが可能であるという著大なる効果
がもたらされる。
【0051】さらにまた、請求項5に記載しているよう
に、基体は、アルミナ,窒化アルミニウム,石英および
ガラスのうちから選ばれる電気絶縁性の基体であるもの
とすることによって、構造物としての強度にも優れた電
子冷却モジュールを提供することが可能であるという著
大なる効果がもたらされる。
【0052】さらにまた、請求項6に記載しているよう
に、表面側および裏面側の電極素材は、銀,銅,パラジ
ウム,白金,アルミニウム,ニッケルのうちから選ばれ
る少なくとも1種を含むものとすることによって、導電
性が良好で熱電性能指数に優れた電子冷却モジュールを
提供することが可能であるという著大なる効果がもたら
される。
【0053】さらにまた、請求項7に記載しているよう
に、p型熱電半導体素子の素材は、Bi:0.05〜
0.10、Te:0.55〜0.70、Sb:0.25
〜0.35の原子組成範囲にあり、n型熱電半導体素子
の素材は、Bi:0.35〜0.45、Te:0.55
〜0.65、Se:0.02〜0.04の原子組成範囲
にあるものとすることによって、熱電性能指数が高く冷
却特性の著しく優れた電子冷却モジュールを提供するこ
とが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0054】さらにまた、請求項8に記載しているよう
に、p型熱電半導体素子材料粉末とn型熱電半導体素子
材料粉末は、ともに粒径が10μm以下であるものとす
ることによって、焼結性に優れ熱電性能指数が大である
熱電半導体素子をそなえた電子冷却モジュールを提供す
ることが可能であるという著大なる効果がもたらされ
る。
【0055】本発明による電子冷却モジュールの製造方
法では、請求項9に記載しているように、多数の貫通孔
を形成した電気絶縁性の基体の前記貫通孔の内部にp型
熱電半導体素子とn型熱電半導体素子をそれぞれ個別に
設けていると共に、前記p型熱電半導体素子とn型熱電
半導体素子との間が前記基体の表面から当該基体の貫通
孔の内壁に該基体を貫通しない範囲にわたって形成され
た表面側の電極と前記基体の裏面から当該基体の貫通孔
の内壁に該基体を貫通しない範囲にわたって形成された
裏面側の電極で交互に接続されている電子冷却モジュー
ルを製造するに際し、前記多数の貫通孔を形成した基体
の表面から当該基体の貫通孔の内壁に該基体を貫通しな
い範囲にわたり表面側の電極を形成すると共に、前記基
体の裏面から当該基体の貫通孔の内壁に該基体を貫通し
ない範囲にわたり裏面側の電極を形成した後、前記貫通
孔の内部にp型熱電半導体素子材料粉末を含む熱電半導
体素子ペーストとn型熱電半導体素子材料粉末を含む熱
電半導体素子ペーストを前記貫通孔の開口部からそれぞ
れ個別に注入し、前記p型およびn型熱電半導体素子ペ
ーストを加熱・焼成するようにしたから、熱電半導体素
子と基板との間の密着力が強く、信頼性を著しく向上さ
せたものとすることが可能であり、多様な電子機器に対
応できる十分な冷却性能をそなえた電子冷却モジュール
を製造することが可能であって、とくに、熱電半導体素
子は型となる基体にあらかじめ電極を形成した後に、熱
電半導体素子ペーストを注入して焼成することにより製
作できるため、従来の電子冷却モジュールで問題であっ
た熱電半導体素子の製作および基板への実装を簡略化す
ることができ、モジュールの設計および製作が著しく容
易なものとなり、さらには、あらかじめ基体に電極を形
成しておくことができるので、電極の形成条件に影響さ
れることなく、熱電半導体素子ペースを焼成することが
できるなどの著大なる効果がもたらされる。
【0056】そして、請求項10に記載しているよう
に、加圧器を有するディスペンサを使用して熱電半導体
素子ペーストを貫通孔の開口部から貫通孔の内部に注入
するようになすことによって、基板の貫通孔内部でのひ
とつ置きのp型およびn型熱電半導体素子の形成を著し
く容易に行うことが可能であるという著大なる効果がも
たらされる。
【0057】また、請求項11に記載しているように、
基板に形成した貫通孔と同等の開口部を有するマスクを
使用して熱電半導体素子ペーストを貫通孔の開口部から
貫通孔の内部に注入することによっても、基板の貫通孔
内部でのひとつ置きのp型およびn型熱電半導体素子の
形成を著しく容易に行うことが可能であるという著大な
る効果がもたらされる。
【0058】さらに、請求項12に記載しているよう
に、表面側および裏面側の電極は、銀,銅,パラジウ
ム,白金,アルミニウム,ニッケルのうちから選ばれる
少なくとも1種を含む電極ペーストを使用して形成され
るようになすことによって、導電性が良好な電極の形成
を著しく簡便に行うことが可能であるという著大なる効
果がもたらされる。
【0059】さらにまた、請求項13に記載しているよ
うに、電極ペーストは所望のパターンをもつマスクを使
用して印刷形成されるものとすることによって、数多く
の電極の形成を極く短時間のうちにそしてまた精度良く
行うことが可能であるという著大なる効果がもたらされ
る。
【0060】
【実施例】以下、本発明に係わる電子冷却モジュールお
よびその製造方法の実施例を比較例と共に詳細に説明す
るが、本発明はこのような実施例のみに限定されないこ
とはいうまでもない。
【0061】(実施例1)この実施例では、図2に示し
た構造を有する電子冷却モジュール1を製造した場合に
ついて説明する。
【0062】(1)熱電半導体素子ペーストの作製 (I)インゴットの作製 p型熱電半導体素子用原料インゴットとして、Bi:
0.055,Te:0.61,Sb:0.33の原子比
組成をもつインゴットを作製し、n型熱電半導体素子用
原料インゴットとして、Bi:0.37,Te:0.6
0,Se:0.03の原子比組成をもつインゴットを作
製した。
【0063】(II)原料粉末の作製 これらのインゴットを窒素ガス中で厚さ数十〜数百μm
のフレーク状に粉砕したのち、カッターミルで平均粒径
3μmの原料粉末に粉砕した。
【0064】(III)ペーストの調合 原料粉末100重量部に対してポリビニルアルコール
(PVA)10重量部の比率で溶媒を加え、p型および
n型熱電半導体素子ペーストを作製した。
【0065】(2)基体の作製 図7には本実施例で作製した基体2を示す。この基体2
は、厚さが3mmのアルミナ製で、多数形成した貫通孔
3は2mm角の断面形状を有するものである。また、貫
通孔3の開口部のエッジ部にはC=0.4の面取り加工
を施したものとしている。
【0066】(3)電極の形成 図7に示した基体2に形成した多数の貫通孔3に対応す
るように、図8(A)に示す表面用メッシュマスク8A
と図8(B)に示す裏面用メッシュマスク8Bをそれぞ
れ基体2の表面側および裏面側に配置し、電極材料とし
てニッケルペーストを用い、基体2の表面側から当該基
体2の貫通孔3の内壁に該基体2を貫通しない範囲にわ
たって表面側の未焼成電極をスクリーン印刷により形成
すると共に、基体2の裏面側から当該基体2の貫通孔3
の内壁に該基体2を貫通しない範囲にわたって裏面側の
未焼成電極をスクリーン印刷により形成する。そして、
印刷後にニッケルペーストからなる未焼成電極を窒素雰
囲気中950℃で焼成することよって、図6に示すよう
な表面側の電極5および裏面側の電極6をそなえた基体
2とする。
【0067】(4)熱電半導体素子ペーストの注入 図9に示すように、前記(1)で述べたp型熱電半導体
素子ペースト4p(P)とn型熱電半導体素子ペースト
4n(P)を用いて、あらかじめニッケル電極5,6を
形成した基体2の貫通孔3の内部にディスペンサにより
ひとつ置きにして注入した。
【0068】(5)焼成 p型およびn型熱電半導体素子ペースト4p(P),4
n(P)を注入した基体2を窒素雰囲気中500℃で焼
成して図2に示した電子冷却モジュール1を得た。
【0069】(6)性能 得られた電子冷却モジュールの性能は、熱電性能指数が
2.5×10−3(1/K)であり、良好な冷却性能を
示した。また、この電子冷却モジュールを70cmの高
さからビニールシートを敷いたコンクリート床に自然落
下させて耐衝撃特性を調べたところ、冷却モジュールに
破損はなく、優れた機械的強度を有しているものであっ
た。
【0070】(実施例2)この実施例では、図3に示し
た構造を有する(ただし、全体としては図2に示したも
のと類似の構造を有する)電子冷却モジュール1を製作
する場合について説明する。
【0071】実施例1で説明したインゴットの作製,熱
電半導体素子ペーストの作製,電極の形成,熱電半導体
素子ペーストの注入,焼成はこの実施例2でも同様であ
るため省略する。
【0072】(1)基体の作製 本実施例に使用するアルミナ製基体2の構造を図10に
示す。すなわち、この基体2は厚さが3mmのアルミナ
製であり、多数形成する貫通孔3の内部は直径が2mm
の断面を有し、各貫通孔3の表面側および裏面側の開口
端部には開口径が2.5mmの円錐形状部3Aを形成し
たものとしている。そして、この図10に示した基体2
を使用して、実施例1と同様の工程により電子冷却モジ
ュール1を作製した。
【0073】(2)性能 得られた電子冷却モジュールの性能は、熱電性能指数が
2.7×10−3(1/K)であり、良好な冷却性能を
示した。また、この電子冷却モジュールを70cmの高
さからビニールシートを敷いたコンクリート床に自然落
下させて耐衝撃特性を調べたところ、冷却モジュールに
破損はなく、優れた機械的強度を有しているものであっ
た。
【0074】(実施例3)図2に示した構造を有する電
子冷却モジュール1を製作するに際し、熱電半導体素子
ペーストのバインダとしてアクリル樹脂を使用した場合
について説明する。
【0075】実施例1で説明した電極の形成,熱電半導
体素子ペーストの注入,焼成はこの実施例3でも同様で
あるため省略する。
【0076】(1)ペーストの調合 インゴットの作製,原料粉末の作製は実施例1と同様に
行った。そして、ここで得た原料粉末100重量部に対
して、エタノール150重量部,アクリル樹脂10重量
部の比率で加えることによって、p型およびn型熱電半
導体素子ペーストを作製した。そして、この熱電半導体
素子ペーストを使用して、実施例1と同様の工程により
電子冷却モジュールを作製した。
【0077】(2)性能 得られた電子冷却モジュールの性能は、熱電性能指数が
2.6×10−3(1/K)であり、良好な冷却性能を
示した。また、この電子冷却モジュールを70cmの高
さからビニールシートを敷いたコンクリート床に自然落
下させて耐衝撃特性を調べたところ、冷却モジュールに
破損はなく、優れた機械的強度を有しているものであっ
た。
【0078】(比較例1)ここでは、図12に示した従
来の電子冷却モジュール101について、実施例1〜3
と同様にしてその性能を評価した。
【0079】この電子冷却モジュールの性能は、熱電性
能指数が2.8×10−3(1/K)であり、良好な冷
却性能を示したが、この電子冷却モジュールを70cm
の高さからビニールシートを敷いたコンクリート床に自
然落下させて耐衝撃特性を調べたところ、熱電半導体素
子と電極との間で破損する素子部分が発生し、機械的信
頼性に乏しいものであった。
【0080】(実施例4)図2に示した構造を有する電
子冷却モジュール1を製作するに際し、表面側の電極5
および裏面側の電極6をアルミニウム電極からなるもの
とした場合について説明する。
【0081】実施例1で説明した熱電半導体素子ペース
トの作製,熱電半導体素子ペーストの注入,焼成はこの
実施例4でも同様であるため省略する。
【0082】(1)電極の形成 図7に示した基体2に形成した多数の貫通孔3に対応す
るように、図8(A)(B)に示したメッシュマスク8
A,8Bをそれぞれ基体2の表面側および裏面側に配置
し、電極材料としてアルミニウムペーストを用い、基体
2の表面側から当該基体2の貫通孔3の内壁に該基体2
を貫通しない範囲にわたって表面側の未焼成電極をスク
リーン印刷により形成すると共に、基体2の裏面側から
当該基体2の貫通孔3の内壁に該基体2を貫通しない範
囲にわたって裏面側の未焼成電極をスクリーン印刷によ
り形成する。そして、印刷後にアルミニウムペーストか
らなる未焼成電極を550℃で焼成することよって、図
6に示すような表面側の電極5および裏面側の電極6を
そなえた基体2とする。
【0083】(2)性能 得られた電子冷却モジュールの性能は、熱電性能指数が
2.6×10−3(1/K)であり、良好な冷却性能を
示した。また、この電子冷却モジュールを70cmの高
さからビニールシートを敷いたコンクリート床に自然落
下させて耐衝撃特性を調べたところ、冷却モジュールに
破損はなく、優れた機械的強度を有しているものであっ
た。
【0084】(比較例2)図2に示した構造を有する電
子冷却モジュール1を製作するに際し、基体2の貫通孔
3の開口部のエッジ部分が面取り加工を施していない場
合について説明する。
【0085】実施例1で説明した熱電半導体素子ペース
トの調合、電極の形成,熱電半導体素子ペーストの注
入,焼成はこの比較例2でも同様であるため省略する。
【0086】(1)基体の作製 図7には本実施例で作製した基体2を示す。この基体2
は厚さが3mmのアルミナ製で、多数形成した貫通孔3
は2mm角の断面形状を有するものであるが、貫通孔3
の開口部のエッジ部分には面取り加工を施していないも
のとしている。
【0087】(2)性能 得られた電子冷却モジュールの性能は、熱電性能指数が
2.2×10−3(1/K)であり、実施例1と比較す
ると冷却性能は劣る結果を示した。これは、貫通孔3の
開口部のエッジ部分がシャープであるため、ニッケル電
極層が薄くなったためである。また、この電子冷却モジ
ュールを70cmの高さからビニールシートを敷いたコ
ンクリート床に自然落下させて耐衝撃特性を調べたとこ
ろ、冷却モジュールに破損はなく、機械的強度に関して
は優れたものであった。
【0088】(実施例5)図2に示した構造を有する電
子冷却モジュール1を製作するに際し、熱電半導体素子
の焼成を還元性雰囲気で行った場合について説明する。
【0089】実施例1で説明した熱電半導体素子の作
製,基体の作製,電極の形成,熱電半導体素子ペースト
の注入はこの実施例5でも同様であるため省略する。
【0090】(1)熱電半導体素子の焼成 電極5,6が形成された基体2の貫通孔3の内部に熱電
半導体素子ペーストが注入されたのちの基体2を窒素9
7%,水素3%の還元性混合ガス中において500℃で
焼成した。
【0091】(2)性能 得られた電子冷却モジュールの性能は、熱電性能指数が
2.7×10−3(1/K)であり、良好な冷却性能を
示した。また、この電子冷却モジュールを70cmの高
さからビニールシートを敷いたコンクリート床に自然落
下させて耐衝撃特性を調べたところ、冷却モジュールに
破損はなく、優れた機械的強度を有しているものであっ
た。
【0092】(比較例3)図2に示した構造を有する電
子冷却モジュール1を製作するに際し、熱電半導体素子
ペースト中の熱電半導体素子材料粉末の粒径を平均粒径
で20μmとした場合について説明する。
【0093】実施例1で説明した基体の作製,電極の形
成、熱電半導体素子ペーストの注入はこの比較例3でも
同様であるため省略する。
【0094】(1)性能 得られた電子冷却モジュールの性能は、熱電性能指数が
1.9×10−3(1/K)であり、実施例1と比較す
ると冷却性能は劣る結果を示した。これは、原料粉末の
粒径が粗大となり、良好な焼結熱電半導体素子が得られ
なかったためである。また、この電子冷却モジュールを
70cmの高さからビニールシートを敷いたコンクリー
ト床に自然落下させて耐衝撃特性を調べたところ、冷却
モジュールに破損はなく、機械的強度に関しては優れた
ものであった。
【0095】(実施例6)図2に示した構造を有する電
子冷却モジュール1を製作するに際し、熱電半導体素子
ペーストを基体2の貫通孔3の内部に注入するときに、
基体2の貫通孔3の位置に対応する位置に開口部を有す
る熱電半導体素子用マスクを使用して行う場合について
説明する。
【0096】実施例1で説明した熱電半導体素子ペース
トの作製,基体の作製,電極の形成,焼成はこの実施例
6でも同様であるため省略する。
【0097】(1)熱電半導体素子用マスク 図11には本実施例で使用する熱電半導体素子ペースト
注入用マスク9の構成を示す。
【0098】この熱電半導体素子ペースト注入用マスク
9は、厚さが0.3mmのステンレス鋼製であり、基体
2に形成したp型またはn型熱電半導体素子用の貫通孔
3の開口部と同等の位置に開口部9Aが形成してある。
そして、この熱電半導体素子ペースト注入用マスク9を
貫通孔3に対応して基体2に密着して設置する。その
後、まず、p型熱電半導体素子ペーストをマスク9を介
して貫通孔3の内部に注入する。この時の手法として
は、通常のスクリーン印刷機を使用することができる。
【0099】次に、一旦マスク9を基体2より外し、マ
スク9を90°回転して基体2に密着設置するとマスク
9の開口部9Aは基体2に形成したn型熱電半導体素子
用の貫通孔3と対応することになり、n型熱電半導体素
子ペーストをマスク9を介して貫通孔3の内部に注入す
る。
【0100】(2)性能 この様にして得られた電子冷却モジュールの性能は、熱
電性能指数が2.5×10−3(1/K)であり、良好
な冷却性能を示した。また、この電子冷却モジュールを
70cmの高さからビニールシートを敷いたコンクリー
ト床に自然落下させて耐衝撃特性を調べたところ、冷却
モジュールに破損はなく、優れた機械的強度を有してい
るものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子冷却モジュールの一部分を示
す断面説明図(図1の(A))および平面説明図(図1
の(B))である。
【図2】本発明による電子冷却モジュールの一例を示す
基体表面側説明図(図2の(A))および基体裏面側説
明図(図2の(B))である。
【図3】本発明による電子冷却モジュールの他の例によ
る一部分を示す断面説明図である。
【図4】本発明による電子冷却モジュールの基体構造の
一例を示す断面説明図である。
【図5】本発明による電子冷却モジュールの基体構造の
他の例を示す断面説明図である。
【図6】本発明による電子冷却モジュールにおいて基体
の貫通孔部分に電極を形成した後の状態を示す基体表面
側説明図(図6の(A))および基体裏面側説明図(図
6の(B))である。
【図7】本発明による電子冷却モジュールの実施例にお
いて用いた基体の構造を示す平面説明図である。
【図8】本発明による電子冷却モジュールの実施例にお
いて基体の貫通孔部分に電極を形成する際に用いる表面
用メッシュマスクの平面説明図(図8の(A))および
裏面用メッシュマスクの平面説明図(図8の(B))で
ある。
【図9】本発明による電子冷却モジュールの実施例にお
いて基板に形成した貫通孔の内部に熱電半導体素子ペー
ストを注入する要領を示す断面説明図である。
【図10】本発明による電子冷却モジュールの他の実施
例において用いた基体の構造を示す平面説明図である。
【図11】本発明による電子冷却モジュールの実施例に
おいて用いる熱電素子半導体素子ペースト注入用マスク
の平面説明図である。
【図12】従来の電子冷却モジュールの構造を例示する
斜面説明図である。
【符号の説明】
1 電子冷却モジュール 2 基体 3 貫通孔 3A 貫通孔の円錐形状部 4n n型熱電半導体素子 4p p型熱電半導体素子 5 表面側の電極 6 裏面側の電極

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の貫通孔を形成した電気絶縁性の基
    体の前記貫通孔の内部にp型熱電半導体素子とn型熱電
    半導体素子をそれぞれ個別に設けていると共に、前記p
    型熱電半導体素子とn型熱電半導体素子との間が前記基
    体の表面から当該基体の貫通孔の内壁に該基体を貫通し
    ない範囲にわたって形成された表面側の電極と前記基体
    の裏面から当該基体の貫通孔の内壁に該基体を貫通しな
    い範囲にわたって形成された裏面側の電極で交互に接続
    されていることを特徴とする電子冷却モジュール。
  2. 【請求項2】 p型熱電半導体素子とn型熱電半導体素
    子は、それぞれ、p型熱電半導体素子材料粉末を含む熱
    電半導体素子ペーストとn型熱電半導体素子材料粉末を
    含む熱電半導体素子ペーストの焼成体よりなっているこ
    とを特徴とする請求項1に記載の電子冷却モジュール。
  3. 【請求項3】 基体に形成した貫通孔の内部の断面形状
    は、前記貫通孔の開口部の断面形状と相似した形状をも
    ちかつその断面積は前記開口部の断面積と同等かもしく
    はそれ以下の断面積をもつことを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の電子冷却モジュール。
  4. 【請求項4】 基体に形成した貫通孔の開口部は、面取
    り加工が施してあることを特徴とする請求項1ないし3
    のいずれかに記載の電子冷却モジュール。
  5. 【請求項5】 基体は、アルミナ,窒化アルミニウム,
    石英およびガラスのうちから選ばれる電気絶縁性の基体
    であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに
    記載の電子冷却モジュール。
  6. 【請求項6】 表面側および裏面側の電極素材は、銀,
    銅,パラジウム,白金,アルミニウム,ニッケルのうち
    から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請
    求項1ないし5のいずれかに記載の電子冷却モジュー
    ル。
  7. 【請求項7】 p型熱電半導体素子の素材は、Bi:
    0.05〜0.10、Te:0.55〜0.70、S
    b:0.25〜0.35の原子組成範囲にあり、n型熱
    電半導体素子の素材は、Bi:0.35〜0.45、T
    e:0.55〜0.65、Se:0.02〜0.04の
    原子組成範囲にあることを特徴とする請求項1ないし6
    のいずれかに記載の電子冷却モジュール。
  8. 【請求項8】 p型熱電半導体素子材料粉末とn型熱電
    半導体素子材料粉末は、ともに粒径が10μm以下であ
    ることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載
    の電子冷却モジュール。
  9. 【請求項9】 多数の貫通孔を形成した電気絶縁性の基
    体の前記貫通孔の内部にp型熱電半導体素子とn型熱電
    半導体素子をそれぞれ個別に設けていると共に、前記p
    型熱電半導体素子とn型熱電半導体素子との間が前記基
    体の表面から当該基体の貫通孔の内壁に該基体を貫通し
    ない範囲にわたって形成された表面側の電極と前記基体
    の裏面から当該基体の貫通孔の内壁に該基体を貫通しな
    い範囲にわたって形成された裏面側の電極で交互に接続
    されている電子冷却モジュールを製造するに際し、前記
    多数の貫通孔を形成した基体の表面から当該基体の貫通
    孔の内壁に該基体を貫通しない範囲にわたり表面側の電
    極を形成すると共に、前記基体の裏面から当該基体の貫
    通孔の内壁に該基体を貫通しない範囲にわたり裏面側の
    電極を形成した後、前記貫通孔の内部にp型熱電半導体
    素子材料粉末を含む熱電半導体素子ペーストとn型熱電
    半導体素子材料粉末を含む熱電半導体素子ペーストを前
    記貫通孔の開口部からそれぞれ個別に注入し、前記p型
    およびn型熱電半導体素子ペーストを加熱・焼成するこ
    とを特徴とする電子冷却モジュールの製造方法。
  10. 【請求項10】 加圧器を有するディスペンサを使用し
    て熱電半導体素子ペーストを貫通孔の開口部から貫通孔
    の内部に注入することを特徴とする請求項9に記載の電
    子冷却モジュールの製造方法。
  11. 【請求項11】 基板に形成した貫通孔と同等の開口部
    を有するマスクを使用して熱電半導体素子ペーストを貫
    通孔の開口部から貫通孔の内部に注入することを特徴と
    する請求項9または10に記載の電子冷却モジュールの
    製造方法。
  12. 【請求項12】 表面側および裏面側の電極は、銀,
    銅,パラジウム,白金,アルミニウム,ニッケルのうち
    から選ばれる少なくとも1種を含む電極ペーストを使用
    して形成されることを特徴とする請求項9ないし11の
    いずれかに記載の電子冷却モジュールの製造方法。
  13. 【請求項13】 電極ペーストは所望のパターンをもつ
    マスクを使用して印刷形成されることを特徴とする請求
    項9ないし12のいずれかに記載の電子冷却モジュール
    の製造方法。
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