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JPH11228160A - 石英ガラス基板 - Google Patents

石英ガラス基板

Info

Publication number
JPH11228160A
JPH11228160A JP3824598A JP3824598A JPH11228160A JP H11228160 A JPH11228160 A JP H11228160A JP 3824598 A JP3824598 A JP 3824598A JP 3824598 A JP3824598 A JP 3824598A JP H11228160 A JPH11228160 A JP H11228160A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
quartz glass
ppm
tft
content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3824598A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuyuki Nakamura
哲之 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ohara Quarz Co Ltd
Original Assignee
Sumikin Quartz Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumikin Quartz Co Ltd filed Critical Sumikin Quartz Co Ltd
Priority to JP3824598A priority Critical patent/JPH11228160A/ja
Publication of JPH11228160A publication Critical patent/JPH11228160A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Liquid Crystal (AREA)
  • Glass Melting And Manufacturing (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】寸法安定性、純度、熱的変形性および光学的均
質性に優れた薄膜トランジスター用石英ガラス基板を提
供する。 【解決手段】不純物元素含有量がそれぞれ3ppb以下、Cl
含有量が0.5ppm以下、OH基含有量が10〜150ppm、脈理が
存在せず、歪みの最大値が20nm/cm以下であり、かつ下
記〜、または式を満たす石英ガラス基板。 |(FT0)−(FTa1)|≦100℃ ・・、|(FTa1)−(FTa2)
|≦ 50℃ ・・、 |(FT0)−(FTa2)|≦150℃ ・・、|(FT0)−(FTb2)
|≦ 50℃ ・・。 ここで、(FT0)は石英ガラスインゴットの仮想温度、(FT
a1)は熱酸化処理前の仮想温度、(FTa2)および(FTb2)は
熱酸化処理後の仮想温度である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ディスプレイ
のアクティブマトリックス方式の薄膜トランジスター
(Thin Film Transistor、以下、これを「TFT」と記
載する)に使用される石英ガラス基板、特に高温多結晶
シリコン型TFTに使用される石英ガラス基板に関す
る。
【0002】
【従来の技術】TFT方式の液晶ディスプレイは、アモ
ルファスシリコン(a・Si)型と多結晶シリコン(p・Si)
型(以下、これをp・Si-TFTと記載する)がある。p・S
i-TFTは、製造時の加熱処理温度によって高温p・Si-
TFTと低温p・Si-TFTとがあり、高温p・Si-TFT用
基板には厳しい品質が要求されるため石英ガラス基板が
使用されている。
【0003】石英ガラス基板は、一例として表1に示す
ような工程によって製造される。たとえば、四塩化ケイ
素(SiCl4)を約100℃に加熱し、気化したSiCl4ガスを酸
水素火炎中で加水分解反応によって石英ガラス微粒子
(スート)を合成する(工程A)。そのスートを堆積さ
せ、円柱状のスート体を作成する(工程B)。得られたス
ート体を不活性雰囲気中で加熱し、透明体のプリフォー
ムとする(工程C)。プリフォームをホットプレス炉な
どで加圧・成形してインゴットとした(工程D)後、ア
ニールする(工程E)。そのインゴットを切断、研磨し
て基板とする(工程F)。
【0004】
【表1】
【0005】p・Si-TFTは、上記の基板を使用して一
例として表2に示す1から13までの工程によって製造さ
れる。たとえば、p・Si-TFTは、基板の表面に多結晶S
i膜をパターニング後熱酸化処理した後、ゲート・アド
レス線をパターニングし、りんイオンの打ち込み、層間
絶縁膜、アニール、コンタクトホールのパターニング、
ITOの堆積、画素電極・信号線をパターニングして完成
される。なお、基板の予備加熱処理(工程1)は、TF
T製造メーカーによって実施する場合と実施しない場合
がある。
【0006】
【表2】
【0007】高温p・Si-TFT用基板(以下、これを単
に「基板」と記載する)に要求される品質特性は、次の
主要な3項目が挙げられる。この他に気泡または異物が
存在しないこと、外形精度が良いこと、表面の研磨状態
が良いことなども要求される。
【0008】耐熱性が高いこと(熱酸化処理などを施
した後に反り・収縮が小さいこと)、 純度が高いこと、 光学的均質性が高いこと。
【0009】基板の耐熱性について:高温p・Si-TFT
を製造するには、表2に示すように、多結晶Si形成パタ
ーニング(工程3)とゲート・アドレス線用パターニン
グ(工程5および6)との間で900〜1150℃の温度に加
熱してゲート絶縁膜を形成する熱酸化処理(工程4)が
施される。この熱酸化処理によって基板が反りまたは収
縮を起こすと、TFT製品の品質を低下させる。
【0010】基板の反りは、TFTを製造するときの予
備加熱処理または熱酸化処理(900〜1150℃)などの高
温処理工程で生じる。基板に大きい反りが発生すると、
TFT回路に反りに起因するストレスを生じて、絶縁性
低下などの電気的特性の低下を招き、またTFT回路を
形成した基板をTFTパネルに組立てる工程で液晶を注
入する際に、TFT基板と裏面側のガラス基板との間で
シールが不十分となり、液晶が漏れるなどの故障の原因
となるといわれている。
【0011】従来、高温加熱処理した後の基板の反りを
耐熱性としてとらまえ、この耐熱性を改善する方法につ
いてのいくつかの提案がなされている。
【0012】一般に、石英ガラスの耐熱性に影響を及ぼ
す要因は、仮想温度(Fictive Temperature)と不純物
元素の含有(純度)である。
【0013】石英ガラスの耐熱性に及ぼす仮想温度の影
響については、仮想温度が1000〜1400℃の範囲では、そ
の温度が低いほど耐熱性が優れていることが、G.Hether
ingtonらの報告(Physics and Chemistry of Glasses,
vol.5,NO.5 (1964) p.130〜136)に示唆されている。
【0014】仮想温度とは、ガラスを極めて迅速にある
温度に変化させたとき、ガラスの構造が平衡になる温度
のことであり、言いかえると過冷却あるいは過昇温さ
れ、ある温度で平衡状態となるような構造のガラスとな
ったときの温度を仮想温度と称する(A.Q.Tool J.Am.C
er.Soc.,29,240(1946)、参照)。その温度に応じた密
度、屈折率、粘性、応力緩和、弾性率などの特性値を有
し、その状態を総称しているものとも解釈される。
【0015】耐熱性を向上させる不純物元素は、たとえ
ばアルミニウム(Al)、窒素(N)などであり、逆に低下さ
せるものとしてはOH基、塩素(Cl)、フッ素(F)などが知
られている。
【0016】Alを添加した石英ガラスについては、たと
えば、メチルシリケートにアルミニウムアルコキシドを
添加し、これをアンモニアの存在下に加水分解してアル
ミニウム含有シリカ粒子を作り、これを脱水、脱炭、焼
結して合成石英ガラスインゴットとし、これを粉砕した
粉を溶融成形することにより、アルミニウムを0.1〜100
0ppm含有せしめた高粘度合成石英ガラス部材とその製造
方法が提案されている(特開平8-40737号公報、参
照)。
【0017】Nを添加した石英ガラスについては、過去
に種々の報告がなされている(たとえば、T.H.Elmer
(1988) Glastech.Ber. Vol.61 Nr.1 p.24〜28)。
【0018】一方、耐熱性を低下させる不純物は、OH
基、ClおよびFである。しかし、Fは合成石英ガラスに
はほとんど存在しないため、本発明の改善の対象にはな
らない。OH基とClは、合成石英ガラスの製造条件によっ
て増減するため、極力少量にするか、望ましくは含有し
ない方がよいといわれている。例えば、特開平8-40737
号公報および特開平8-48532号公報には、OH基とClのい
ずれの含有量を1ppm以下、特開平9-40434号公報には、
OH基を5ppm以下、Clを1ppm以下とする石英ガラスとそ
の製造方法が提案されている。
【0019】さらに、石英ガラス基板のOH基含有量を50
ppm以下とすることにより、1000℃以上に加熱した後の
「反り」の発生を抑制し、塩素(Cl)を含有するとトラン
ジスター特性に問題が生じ、TFTのオン、オフ時の内
部抵抗を低下させるので、塩素を含有させない基板とす
る。さらに、金属不純物、特にアルカリ金属イオンが存
在すると膜付けが不均一になったり、TFTの素子に電
気的な悪影響を及ぼすので、これを1ppm以下とする石
英ガラス基板が提案されている(特開平6-67198号公
報、参照)。
【0020】高温p・Si-TFTを製造するには、表2に
示すように、多結晶Si形成パターニング(工程3)を施
した後、900〜1150℃の温度に加熱処理してゲート絶縁
膜を形成するため熱酸化処理(工程4)が施される。こ
の熱酸化処理によって基板が収縮を起こすと、その後に
施されるゲート・アドレス線の間隔が変化し、TFT回
路の性能が低下する。その線幅は1〜3μmであるた
め、熱酸化処理後の縮み量を10ppm以下にする必要があ
る。
【0021】高温加熱処理を施した後に「反り」および
「収縮」の小さい石英ガラス基板およびそれを得る方法
は、特開平8-87032号公報に開示された発明がある。こ
れは、精製した四塩化珪素等の珪素化合物を酸水素炎中
で加水分解させシリカ多孔質体を形成させ、次いで水素
含有雰囲気下で加熱処理することにより脱OH基した後、
さらに高温雰囲気下で加熱することにより透明ガラス化
して得られた石英ガラスを素材とすることによって、縮
み量が10ppm以下である多結晶Si薄膜トランジスター型L
CD基板とその製造方法である。
【0022】その他、基板ガラスには脈理と呼ばれる光
学的不均質部や歪みが存在すると、TFT方式のように
基板ガラス中を偏光された光が透過する際に、光学的不
均質部の局所的偏光面の回転によって、TFT画像の濃
淡むらができるという問題が生じる。従って、基板ガラ
ス中の脈理や歪については、TFT画像に影響を及ぼさ
ないレベル(たとえば、脈理ではMIL規格で定められた
グレードA、歪み量では20nm/cm以下)のものが要求さ
れている(「高純度シリカの応用技術」(1991)シーエ
ムシー社発行 p.173、参照)。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、石英
ガラス基板の耐熱性を向上させるには、Al、Nなどの元
素を添加すれば可能であるが、TFT用基板としては使
用できない。また、石英ガラスのOH基を5ppm以下にす
るには、製造段階で、真空下での水分除去、またはハロ
ゲンガスなどを用いた脱水処理を行う必要がある。その
結果、石英ガラス素地のガラス構造であるSiとO(酸
素)との四面体配位構造の一部が崩れて、Oの一部が四
面体配位からはずれ(−Si・Si−)のような構造欠陥を
生成することとなる。この(−Si・Si−)の構造欠陥を
多量に含んだ石英ガラス基板は、TFTとしてバックラ
イト光源のような強い光を照射すると、青色または緑色
の蛍光を発生しやすくなる。さらに、仮想温度を1000〜
1400℃の範囲で低くすると耐熱性は向上するが、TFT
回路の性能が低下するという現象が生じる。
【0024】前記特開平8-87032号公報に開示された発
明は、1150℃の温度で30分間加熱処理した後の縮み量が
10ppm以下となるように製造された基板である。しか
し、このような基板であっても実際のTFT製造ライン
に乗せると、TFT回路の性能が低下するという現象が
生じることがあった。
【0025】本発明の目的は、上記の問題を解消し、高
温p・SiTFT用の石英ガラス基板が具備すべき特性(耐
熱性、純度および光学的安定性)の他にTFT回路の性
能に優れた石英ガラス基板を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、TFT回
路の性能低下をもたらす原因について研究を行い、次の
知見を得た。
【0027】1150℃の温度で30分間加熱処理した後の
縮み量が10ppm以下である基板であっても、実際のTF
T製造ラインでの処理設備では容量(容積、熱源容量、
設備を構成する材料等)が異なるため、加熱処理した後
の縮み量が10ppm以上になることがある。
【0028】容量の異なる設備で石英ガラス基板を加
熱処理を行うと、反りと縮みの他に膨張することもあ
る。
【0029】この膨張・収縮を寸法安定性として、基
板の寸法変化量を元の寸法で除した指数を寸法変化率と
定義すると、寸法変化率と熱酸化処理前後の仮想温度の
差の絶対値との間に相関関係がある。ここでは、仮想温
度の差の絶対値を単に「仮想温度の差」と記載する。
【0030】本発明は、石英ガラスの不純物、光学的均
質性を規定することと上記の知見に基づき完成され、そ
の要旨は下記(1)および(2)に示す石英ガラス基板にあ
る。
【0031】(1)予備加熱処理を施した石英ガラス基板
上に多結晶シリコン膜をパターニングし、熱酸化処理を
施して製造される薄膜トランジスター用の石英ガラス基
板であって、不純物元素(Al、Fe、Ca、Ti、Zn、Cr、Mn、Mg、N
i、V、Cu、Co、P、W、Pb、Ta、Zr、B、Na、K、Li)の含有量が
それぞれ3ppb以下、Clの含有量が0.5ppm以下、OH基の最
大含有量が10〜150ppm、脈理が認められず、歪みの最大
値が20nm/cm以下であり、かつ下記〜式を満たす石
英ガラス基板。
【0032】|(FT0)−(FTa1)|≦100℃ ・・・・ |(FTa1)−(FTa2)|≦ 50℃ ・・・・ |(FT0)−(FTa2)|≦150℃ ・・・・ ここで、(FT0)は石英ガラスインゴットの仮想温度、(FT
a1)は予備加熱処理後の石英ガラス基板の仮想温度、(FT
a2)は多結晶シリコン膜をパターニングしてから熱酸化
処理を施した後の石英ガラス基板の仮想温度である。
【0033】(2)予備加熱処理を施さない石英ガラス基
板上に多結晶シリコン膜をパターニングし、熱酸化処理
を施して製造される薄膜トランジスター用の石英ガラス
基板であって、不純物元素(Al、Fe、Ca、Ti、Zn、Cr、Mn、Mg、
Ni、V、Cu、Co、P、W、Pb、Ta、Zr、B、Na、K、Li)の含有量が
それぞれ3ppb以下、Clの含有量が0.5ppm以下、OH基の最
大含有量が5〜150ppm、脈理が認められず、歪みの最大
値が20nm/cm以下であり、かつ下記式を満たす石英ガ
ラス基板。
【0034】|(FT0)−(FTb2)|≦50℃ ・・・・ ここで、(FTb2)は多結晶シリコン膜をパターニングして
から熱酸化処理を施した後の石英ガラス基板の仮想温度
である。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の基板は、石英ガラスイン
ゴットの仮想温度、およびTFT製造において施される
熱酸化処理前後における基板の仮想温度の差を規定する
ことにより、基板の寸法変化率を10ppm以下に抑えるこ
とができる。また、基板の不純物元素(Al、Fe、Ca、T
i、Zn、Cr、Mn、Mg、Ni、V、Cu、Co、P、W、Pb、T
a、Zr、B、Na、K、Li)の含有量をそれぞれ3ppb以
下、Cl含有量を0.5ppm以下、OH基の最大含有量を10〜15
0ppmとすることによって、TFT回路のリーク電流の発
生、腐食などの電気系統のトラブルおよびTFT回路の
断線などを解消し、バックライト光または紫外線を照射
したとき蛍光の発生が抑制できる。さらに、基板に脈理
が認められず、かつ歪みを20nm/cm以下とすることによ
り、濃淡むらのないTFT画像が得られる。
【0036】基板の仮想温度について:前述したよう
に、石英ガラスの仮想温度(FT0)が1000〜1400℃の間で
は、その温度が低いほど耐熱性は優れている。しかし、
このような石英ガラス基板であってもTFT基板とした
とき、寸法安定性を損なうことがある。そこで、本発明
者は、製造条件を変化させて製造した石英ガラス基板を
加熱処理する前後の仮想温度と寸法変化とを測定し、両
者の間に相関関係があることを確認した。
【0037】仮想温度の測定は、F.L.Galeneerが提唱し
た方法、レーザーラマン分光計(日本分光株式会社製 N
R-1100)を用いて492cm-1および606cm-1波数の欠陥ピー
クの面積強度比を比較する方法によって行った(Non-Cr
ys. Solids, vol.58, No.6(1986) P.363〜365、参
照)。
【0038】基板の寸法安定性は、TFTを製造する工
程(表2)によって異なり、予備加熱処理(工程1)を
行う場合と、行わない場合とで異なるので、これを分け
て説明する。
【0039】(a)予備加熱処理を施す場合:石英ガラス
インゴットの仮想温度(FT0)、予備加熱処理を施した
後の基板の仮想温度(FTa1)、熱酸化処理を施した後の
基板の仮想温度(FTa2)を、上記のレーザーラマン分光
計を用いて測定した。また、予備加熱処理した後(FT
a1)および熱酸化処理した後(FTa2)の基板の寸法変化
をパターニングの線幅の変化として0.1μm単位まで顕
微鏡によって測定した。
【0040】図1は、予備加熱処理を施したときの仮想
温度の差と寸法変化率との関係を示す図である。図1
は、後述する実施例の結果を示すものである。同図から
基板の寸法変化率を10ppm以下にするには、下記の〜
式を満足する必要があることがわかる。
【0041】|(FT0)−(FTa1)|≦100℃ ・・・・ |(FTa1)−(FTa2)|≦ 50℃ ・・・・ |(FT0)−(FTa2)|≦150℃ ・・・・ (b)予備加熱処理を施さない場合:石英ガラスインゴッ
トの仮想温度(FT0)、熱酸化処理した後の基板の仮想
温度(FTb2)、ならびに(FT0)および(FTb2)時点で
の基板の寸法変化を、前記(a)と同様の方法で測定し
た。それらの結果を図2に示す。
【0042】図2は、予備加熱処理を施さないときの仮
想温度の差と寸法変化率との関係を示す図である。図2
は、後述する実施例の結果を示すものである。同図から
基板の寸法変化率を10ppm以下にするには、下記の式
を満足する必要があることがわかる。
【0043】|(FT0)−(FTb2)|≦50℃ ・・・・ 上記〜式において、仮想温度差の絶対値で示す理由
を次ぎに説明する。
【0044】仮想温度が約1500℃以下の温度域では、T
FT製造工程の進行とともに仮想温度が低下すると基板
は膨張し、上昇すると収縮する。一方、約1500℃以上の
温度域では逆の傾向が見られる。いずれの場合も膨張ま
たは収縮の寸法変化率と仮想温度差との間に相関関係が
あるので、仮想温度差の絶対値で規定することにした。
【0045】基板の純度について:石英ガラス基板の
TFT性能を低下させる不純物としては、金属不純物元
素、OH基およびClである。
【0046】不純物元素(M元素):石英ガラスの金属
不純物元素は、Al、Fe、Ca、Ti、Zn、Cr、Mn、Mg、Ni、
V、Cu、Co、P、W、Pb、Ta、Zr、B、Na、K、Liが挙
げられる。これらの不純物元素のそれぞれの含有量が3
ppbを超えると、その基板を用いたTFT製品は、TF
T回路のリーク電流発生、または回路の断線などの品質
欠陥が発生する。特に、Na、KおよびLiのアルカリ元素
がそれぞれ3ppbを超えると、その傾向が顕著となる。
したがって、これらの不純物元素は少ない方が望ましい
が、許容できる含有量はそれぞれ3ppb以下である。
【0047】OH基:OH基は、含有量に比例して石英ガラ
スの粘性を低下させるため、過大に含有するとTFT製
造工程での熱酸化処理工程などの高温処理で熱変形によ
る基板の「反り」が顕著になり、TFTパネル組立工程
で液晶漏れを生じるなどの欠陥を発生させる原因とな
る。その最大含有量が150ppmを超えると熱変形による
「反り」が過大となり製品不良が発生する。また、OH基
が10ppm未満では(−Si・Si−)の構造欠陥(Siのホモボ
ンドの構造欠陥)が内在することになり、TFT製品と
した後、強い光を照射すると基板から蛍光を発する。し
たがって、OH基の最大含有量を10〜150ppmとした。
【0048】上記の(−Si・Si−)の構造欠陥は、基板
を真空紫外分光光度計を用いて真空紫外光域の透過率を
測定すると、(−Si・Si−)の構造欠陥には、波長163nm
に吸収ピークをもつため約170nm以下の波長域の透過率
が低くなる特徴がある。
【0049】Cl:TFT基板にClが高濃度に含有する
と、TFT回路のオン・オフ時の内部抵抗比を低下さ
せ、TFTの素子に電気的悪影響を及ぼす。したがっ
て、Cl含有量は少ない方が望ましく、許容できる含有量
は測定下限の0.5ppm以下である。
【0050】基板の脈理および歪み:基板に脈理が認
められるか、または歪み量が大きくなると、TFTとし
たとき画像に濃淡が現れる。脈理が認められず、かつ歪
み量が20nm/cm以下であれば、TFTとしたとき画像に
濃淡は認められない。したがって、本発明では、脈理
は、MIL-G-174に規定する方法で測定してグレードA
(認められず)、歪み量は20nm/cm以下とした。
【0051】
【実施例】石英ガラスインゴットを表1に示すAからE
までの工程で作製した。
【0052】試験体1〜8、10および11は、四塩化ケイ
素(SiCl4)を約100℃に加熱し、気化したSiCl4ガスを酸
水素火炎中で加水分解反応によって石英ガラス微粒子
(スート)を合成し(工程A)、そのスートを堆積させ、
円柱状のスート体S1を作製した(工程B)。試験体9は、
スートを堆積させる工程Bを微量の不純物を含む雰囲気
で円柱状のスート体S2を作製した。
【0053】得られたスート体からプリフォームとする
工程C、インゴットとする工程D、アニールする工程E
を表3に示す条件で行った。
【0054】
【表3】
【0055】得られたインゴットから仮想温度、不純
物、脈理および歪み量の測定を行った。
【0056】仮想温度の測定は、F.L.Galeneerが提唱し
たレーザーラマン分光計(日本分光株式会社製 NR-110
0)を用いて行った。
【0057】不純物の測定は、フレームレス原子吸光光
度計およびIPC-Mass計を用いた湿式成分分析法によって
行った。
【0058】脈理は、米国陸軍規格(MIL-G-174)によっ
て測定した。
【0059】歪みの測定は、複屈折計を用いて行った。
【0060】これらのインゴットを切断、研磨して円板
状の基板とし、予備加熱処理を施す場合と、予備加熱処
理を施さない場合について、熱酸化処理前後の仮想温
度、熱酸化処理後の寸法変化および熱酸化処理後の熱変
形(反り)を測定した。
【0061】寸法変化の測定は、熱酸化処理前後のパタ
ーニング線幅の変化として0.1μm単位まで顕微鏡によ
って行った。
【0062】熱変形(反り)の測定は、コニカ社製フラ
ットネステスター計によって行った。
【0063】(発明例1)発明例の試験体1は、清浄な
スート体S1を用いて炉内圧が約20paの真空下で1350℃の
温度に加熱した後、1500℃に加熱して直径150mm、長さ1
200mmの石英ガラス透明体(プリフォーム)とした。得
られたプリフォームを高純度カーボン製モールド内に装
入し、一軸加圧のホットプレス炉用い、Arガス雰囲気下
で1700℃に加熱し、直径210mm、長さ600mmとし、6時間
かけて冷却して石英ガラス成形体(インゴット)とし
た。次に、アニール炉を用い、N2ガス雰囲気下で1150℃
に加熱し、10時間保持した後、40時間かけて徐冷した。
【0064】得られたインゴットから仮想温度、不純
物、脈理および歪み量の測定を行い、それらの結果を表
4および表5に示す。
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】表4から明らかなように、試験体1の仮想
温度(FT0)は1050℃、不純物元素の(M元素、即ちA
l、Fe、Ca、Ti、Zn、Cr、Mn、Mg、Ni、V、Cu、Co、
P、W、Pb、Ta、Zr、B、Na、K、Li)含有量はすべて
3ppb以下、Cl含有量は測定限界の0.5ppm以下、OH基の
最大含有量は100ppmであった。また、表5から明らかな
ように、試験体1の脈理はMIL規格のグレードA(脈理
が認められない)、歪み量は最大10nm/cmであった。
【0068】インゴットを切断、研磨して直径200mm、
厚さ1mmの石英ガラス基板(No.1)とした。この基板を予
備加熱処理(表1に示す工程1、1050℃)を施す場合
と、予備加熱処理を施さない場合について、熱酸化処理
(表1に示す工程4、1050℃)前後の基板の仮想温度、
熱酸化処理後の寸法変化および熱酸化処理後の熱変形
(反り)を測定した。
【0069】寸法変化は、熱酸化処理前の基板の変化
量、すなわち表2に示す工程6のパターニング(マスク
2)の後、工程3のパターニング(マスク1)との組み
合わせによるパターニング線幅の変化量を顕微鏡で読み
とる方法で測定した。熱変形(反り)は、コニカ製フラ
ットネステスター計によって測定した。それらの結果を
表4および表5に示した。
【0070】予備加熱処理を施す場合:表4から明らか
なように、発明例の試験体1のインゴットで製造した基
板(No.1)は、インゴットの仮想温度(FT0)が1050℃、そ
のインゴットから製造した予備加熱処理後の基板の仮想
温度(FTa1)が1080℃、熱酸化処理後の基板の仮想温度(F
Ta2)が1100℃であり、仮想温度の差が、 |(FT0)−(FTa1)|=|1050℃−1080℃|=30℃、 |(FTa1)−(FTa2)|=|1080℃−1100℃|=20℃、 |(FT0)−(FTa2)|=|1050℃−1100℃|=50℃と、
いずれも本発明で定める範囲内にある。そのため、熱酸
化処理後の基板の寸法変化率が3ppmと小さく、良好で
ある。
【0071】予備加熱処理を施さない場合:インゴット
の仮想温度(FT0)が1050℃、そのインゴットから製造し
た基板の熱酸化処理後の仮想温度(FTb2)が1100℃であ
り、仮想温度の差が|(FT0)−(FTb2)|=|1050℃−1
100℃|=50℃と本発明で定める範囲内にある。したが
って、熱酸化処理後の基板の寸法変化率が10ppmと良好
である。
【0072】熱変形(反り)は、予備加熱処理を施す場
合40μm、予備加熱処理を施さない場合30μmと小さく
良好である。これは、Cl含有量が測定限界の0.5ppm以
下、OH基の最大含有量が100ppmであり、また、不純物元
素(M元素)含有量がすべて3ppb以下であるためであ
る。
【0073】基板(No.1)を用いて製作したTFT製品に
ついて、電気的特性、液晶の漏れ、蛍光の発生について
調べ、それらの結果を表5に併記した。
【0074】表5から明らかなように、基板(No.1)を用
いたTFT製品は、いずれの仮想温度の差も本発明で定
める範囲内にあり、基板の寸法安定性がよく、純度が高
いため電気的特性が良好である。また、不純物も本発明
で定める範囲内にあり、熱変形(反り)が小さいため液
晶の漏れがなく、蛍光の発生も認められなかった。さら
に、脈理が認められず、歪みが最大10nm/cmであるた
め、TFT画像の濃淡もみられず、すべての要求品質を
満足する優れた性能のTFT製品であった。
【0075】(発明例2)発明例の試験体2は、上記の
スート体S1を用いてHe:70容積%、N2:30容積%の混
合ガス気流中で1300℃に加熱した後、1480℃に加熱して
直径140mm、長さ1350mmのプリフォームとした。その
後、実施例1と同様に加圧成形して直径160mm、長さ103
0mmのインゴットとした。次に、アニール炉を用いて、
2ガス雰囲気下で1250℃に加熱し、10時間保持した
後、40時間かけて徐冷した。
【0076】得られたインゴットから試験体1と同様に
仮想温度、不純物元素、脈理および歪み量の測定を行
い、それらの結果を表4および表5に併記した。
【0077】表4および表5から明らかなように、試験
体2のインゴットの仮想温度(FT0)は1150℃、OH基の
最大含有量は150ppm、歪み量は最大12nm/cmであった
が、不純物元素含有量、Cl含有量および脈理は試験体1
に等しい。
【0078】インゴットを切断、研磨して直径150mm、
厚さ1mmの石英ガラス基板(No.2)とした。この基板を予
備加熱処理(表2に示す工程1、1100℃)をする場合
と、予備加熱処理をしない場合について、熱酸化処理温
度を1100℃として、実施例1と同様の方法で調査した。
それらの結果を表5に併記した。
【0079】予備加熱処理を施す場合:表4から明らか
なように、試験体2から得られた基板は、予備加熱処理
後の基板の仮想温度(FTa1)が1110℃、熱酸化処理後の基
板の仮想温度(FTa2)が1100℃であり、仮想温度の差が
40℃、が10℃、が50℃と、いずれも本発明で定める
範囲内にある。そのため、熱酸化処理後の基板の寸法変
化率が2ppmと小さく、良好である。
【0080】予備加熱処理を施さない場合:インゴット
の仮想温度(FT0)が1150℃、熱酸化処理後の仮想温度(FT
b2)が1100℃であり、仮想温度の差が50℃と本発明で
定める範囲内にある。したがって、熱酸化処理後の基板
の寸法変化率が10ppmと小さく良好である。
【0081】熱変形(反り)は、予備加熱処理を施す場
合50μm、予備加熱処理を施さない場合40μmと小さく
良好である。これは、CL含有量が測定限界の0.5ppm以
下、OH基の最大含有量が150ppmであり、不純物元素(M
元素)含有量がすべて3ppb以下のためである。
【0082】基板(No.2)を用いて製作したTFT製品に
ついて、電気的特性、液晶の漏れ、蛍光の発生について
調べ、それらの結果を表5に併記した。
【0083】表5から明らかなように、基板(No.2)を用
いたTFT製品は、基板の寸法安定性がよく、純度が高
いため電気的特性が良好で、熱変形(反り)が小さいた
め液晶の漏れがなく、蛍光の発生も認められなかった。
また、脈理が認められず、歪みが最大12nm/cmであるた
め、TFT画像の濃淡もみられず、すべての要求品質を
満足する優れた性能のTFT製品であった。
【0084】(発明例3)発明例の試験体3は、スート
体の加熱温度を1200℃としてOH基の最大含有量を10ppm
とする以外は試験体2と同条件で製作し、試験体2と同
様に性能を調査した。それらの結果を表4および表5に
併記した。
【0085】表4から明らかなように、試験体3のイン
ゴットの仮想温度(FT0)は1150℃、不純物元素(M元
素、即ちAl、Fe、Ca、Ti、Zn、Cr、Mn、Mg、Ni、V、C
u、Co、P、W、Pb、Ta、Zr、B、Na、K、Li)含有量
はすべて3ppb以下、Cl含有量は測定限界の0.5ppm以
下、OH基の最大含有量は10ppmであった。また、表5に
示すように、脈理はグレードA、歪み量は最大12nm/cm
であった。
【0086】インゴットを切断、研磨して直径150mm、
厚さ1mmの石英ガラス基板(No.3)とした。この基板を
予備加熱処理(表2に示す工程1、1100℃)をする場合
と、予備加熱処理をしない場合について、熱酸化処理温
度を1100℃として実施例1と同様の方法で調査した。そ
れらの結果を表5に併記した。
【0087】予備加熱処理を施す場合:表4から明らか
なように、試験体3から得られた基板は、予備加熱処理
後の仮想温度(FTa1)が1110℃、熱酸化処理後の仮想温度
(FTa2)が1100℃であり、仮想温度の差が10℃、が40
℃、が50℃と、いずれも本発明で定める範囲内にあ
る。そのため、熱酸化処理後の基板の寸法変化率が2pp
mと小さく、良好である。
【0088】予備加熱処理を施さない場合:インゴット
の仮想温度(FT0)が1150℃、熱酸化処理後の仮想温度(FT
b2)が1100℃であり、仮想温度の差が50℃と本発明で
定める範囲内にある。したがって、熱酸化処理後の基板
の寸法変化率が10ppmと小さく良好である。
【0089】熱変形(反り)は、予備加熱処理を施す場
合20μm、予備加熱処理を施さない場合15μmと小さく
良好である。これは、Cl含有量が測定限界の0.5ppm以
下、OH基の最大含有量が10ppmであり、不純物元素(M
元素)含有量がすべて3ppb以下のためである。
【0090】基板(No.3)を用いて製作したTFT製品に
ついて、電気的特性、液晶の漏れ、蛍光の発生について
調べ、それらの結果を表5に併記した。
【0091】表5から明らかなように、基板(No.3)を用
いたTFT製品は、基板の寸法安定性と純度が高いため
電気的特性が良好で、熱変形(反り)が小さいため液晶
の漏れがなく、蛍光の発生も認められなかった。また、
脈理が認められず、歪みが最大12nm/cmであるため、T
FT画像の濃淡もみられず、すべての要求品質を満足す
る優れた性能のTFT製品であった。
【0092】(発明例4)実施例1と同様にスート体S1
を製作した後、真空加熱炉を用いて炉内圧1〜3Paの真
空下で1250℃の温度に加熱した後、1550℃に加熱して直
径160mm、長さ1000mmのプリフォームとした。このあと
一軸加圧のホットプレス炉を用いて、実施例1と同様に
加圧成形して直径210mm、長さ560mmのインゴットとし
た。
【0093】得られたインゴットから仮想温度、不純物
元素、脈理および歪み量の測定を行い、それらの結果を
表4および表5に併記した。
【0094】表4に示すように、試験体4のインゴット
の仮想温度(FT0)は1500℃、不純物元素(M元素、即
ちAl、Fe、Ca、Ti、Zn、Cr、Mn、Mg、Ni、V、Cu、Co、
P、W、Pb、Ta、Zr、B、Na、K、Li)含有量はすべて
3ppb以下、Cl含有量は測定限界の0.5ppm以下、OH基の
最大含有量は50ppmであった。また、表5に示すよう
に、脈理はグレードA、歪み量は最大18nm/cmであっ
た。
【0095】インゴットを切断、研磨して直径200mm、
厚さ1mmの石英ガラス基板(No.4)とした。この基板を予
備加熱処理(1150℃)を施した後、熱酸化処理温度を11
50℃として実施例1と同様の方法で調査した。それらの
結果を表4および表5に併記した。
【0096】表4から明らかなように、基板(No.4)は、
予備加熱処理後の仮想温度(FTa1)が1420℃、熱酸化処理
後の仮想温度(FTa2)が1380℃であり、仮想温度の差が
80℃、が40℃、が120℃と、いずれも本発明で定め
る範囲内にある。そのため、熱酸化処理後の基板の寸法
変化率が8ppmと小さく、良好である。また、Cl含有量
が測定限界の0.5ppm以下、OH基の最大含有量が50ppmで
あり、不純物元素(M元素)含有量がすべて3ppb以下
のため、熱変形(反り)が表5に示すように小さく良好
である。しかし、予備加熱処理をしない場合は、基板の
寸法変化率が10ppmを超えそうなので試験を行わなかっ
た。
【0097】基板(No.4)を用いて製作したTFT製品に
ついて、電気的特性、液晶の漏れ、蛍光の発生について
調べ、それらの結果を表5に併記した。
【0098】表5から明らかなように、基板(No.4)を用
いたTFT製品は、基板の寸法安定性と純度が高いため
電気的特性が良好で、熱的変形(反り)が小さいため液
晶の漏れがなく、蛍光の発生が認められなかった。ま
た、脈理がなく歪みが18nm/cmと小さいためTFT画像
の濃淡もみられず、すべての要求品質を満足する優れた
性能のTFT製品であった。
【0099】(比較例5)比較例の試験体5は、OH基の
最大含有量を5ppmとするためプリフォームの加熱温度
を1250℃とする以外は試験体2と同条件で製作し、また
試験体2と同様に性能を調査した。それらの結果を表4
および表5に併記した。
【0100】表4および表5から明らかなように、OH基
の最大含有量が5ppmである以外は、すべて発明例2と
同様であった。したがって、基板(No.5)を用いたTFT
製品は、OH基の最大含有量が5ppmであるため、蛍光の
発生が認められた。
【0101】(比較例6)スート体S1を用い実施例1と
同様な条件で、プリフォームからインゴットまでを作製
したが、アニール処理の徐冷時間を実施例1に比較して
50%長く(60時間)した。得られたインゴットおよび基
板について、実施例1と同様に調査し、それらの結果を
表4および表5に併記した。
【0102】表4から明らかなように、試験体6のイン
ゴットの性能は、実施例1と比較すると仮想温度(FT0)
がいずれも870℃と異なっているが、不純物元素、Clお
よびOH基の含有量、脈理ならびに歪み量はいずれも等し
い。しかし、表5から明らかなように、基板(No.6)は、
仮想温度の差が100℃、が230℃と、いずれも本発明
で定める範囲よりも大きい。そのため、基板の寸法変化
率は18ppmと大きい。また、予備加熱処理を行わない場
合には、仮想温度の差が230℃と本発明で定める範囲
よりも大きい。そのため、基板の寸法変化率は40ppmと
大きい。
【0103】表5から明らかなように、基板(No.6)を用
いたTFT製品は、仮想温度の差、およびのいず
れも本発明で定める範囲を外れるため、熱酸化処理後の
寸法変化率が18ppmおよび40ppmと大きく、電気的特性が
不良となった。
【0104】(比較例7)スート体S1を用い実施例2と
同様な条件で、プリフォーム、インゴットを作製した
が、アニール処理の徐冷時間を実施例2に比較して50%
短く(20時間)した。得られたインゴットおよび基板に
ついて、実施例2と同様に調査し、それらの結果を表4
および表5に併記した。
【0105】表4から明らかなように、試験体5のイン
ゴットの性能は、実施例2と比較すると仮想温度(FT0)
が1300℃と異なっているが、不純物元素、ClおよびOH基
の含有量、脈理ならびに歪み量はいずれも等しい。しか
し、表4から明らかなように仮想温度の差が80℃、
が200℃と、いずれも本発明で定める範囲よりも大き
い。そのため、基板の熱酸化処理後の寸法変化率は15pp
mと大きい。また、予備加熱処理を行わない場合には、
仮想温度の差が200℃と本発明で定める範囲よりも大
きい。そのため、基板の熱酸化処理後の寸法変化率は34
ppmと大きい。
【0106】表4に示すように、基板(No.7)を用いたT
FT製品は、仮想温度の差、およびのいずれも本
発明で定める範囲を外れるため、熱酸化処理後の寸法変
化率が15ppmおよび34ppmと大きく、表5から明らかなよ
うに、電気的特性が不良となった。
【0107】(比較例8)スート体S1を用い実施例4と
同様な条件で、プリフォームを作製した。次に、実施例
4と同様に加圧・成形した後の冷却時間のみを実施例4
よりも20%短縮(4.8時間)して実施例4と同じサイズ
のインゴット(試験体8)とした。得られたインゴット
および基板について、実施例4と同様に調査し、それら
の結果を表4および表5に併記した。
【0108】表4から明らかなように、試験体8のイン
ゴットの性能は、実施例4と比較すると、不純物元素
(M元素)、ClおよびOH基の含有量が等しいが、仮想温
度(FT0)が1530℃、脈理がMIL規格のグレードBおよび歪
み量は最大30nm/cmと異なっている。このため、基板(N
o.8)を用いたTFT製品には、TFT画像に曇り状の偏
光した像が生じた。
【0109】(比較例9)スート体S2を用い実施例1と
同じ条件でプリフォームからインゴット(試験体9)と
し、アニール処理を行った。得られたインゴットおよび
基板について、実施例1と同様に調査し、それらの結果
を表4および表5に併記した。
【0110】スート体S2に不純物を含むため、試験体9
のインゴットの性能は、不純物元素(Fe、Ca、Ni、Na、
K、Mn、Mg)含有量がすべて5ppb、他の不純物元素(A
l、Ti、Zn、Cr、V、Cu、Co、P、W、Pb、Ta、Zr、
B、Li)含有量がすべて4ppbであった。しかし、Cl含
有量、OH基含有量、脈理および歪み量は実施例1と等し
い。したがって、試験体9を基板としたTFT製品は、
基板の不純物元素の含有量が本発明で定める範囲を超え
るため、成膜精度が悪く、リーク電流も発生するなど基
板の不純物汚染に起因する不良が発生した。
【0111】(比較例10)スート体S1を用い炉内圧約10
0Paの真空下で1350℃の温度に加熱した後、1500℃に加
熱して直径150mm、長さ1200mmのプリフォームとした。
その後、加圧成形して直径210mm、長さ600mmのインゴッ
ト(試験体10)とした。次に、実施例1と同様にアニー
ル処理を施した。得られたインゴットおよび基板につい
て、実施例1と同様に調査し、それらの結果を表4およ
び表5に併記した。
【0112】試験体10のインゴットの性能は、表4に示
すようにプリフォーム製作時の炉の真空度が悪いためCl
含有量が10ppm、OH基の含有量が140ppmであった。しか
し、その他の性能は試験体1に等しい。したがって、基
板(No.10)を用いたTFT製品は、基板のCl含有量が10p
pmと多いため、TFT回路に絶縁不良が発生した。
【0113】(比較例11)塩素を含有しない珪素化合物
(テトラメトキシシラン[Si(OCH3)4])を加熱気化し
たガスを原料として、投入熱量を増大した酸水素火炎中
で加水分解反応によってスートを合成すると同時に堆積
させ、直ちに透明ガラス化(直接合成法、[石英ガラス
業界ではCVD法ともいう])させ、直径150mm、長さ1
200mmのプリフォームを製作した。その後、一軸加圧の
ホットプレス炉を用いて、実施例1と同様に直径210m
m、長さ600mmのインゴット(試験体11)とし、さらにア
ニール炉を用いて加熱、徐冷した。得られたインゴット
および基板について、実施例1と同様に調査し、それら
の結果を表4および表5に併記した。
【0114】試験体11のインゴットの性能は、表4に示
すように不純物元素(M元素)含有量がすべて5ppm、Cl
を含有せず、OH基の最大含有量が1200ppmであった。し
かし、その他の性能は試験体1に等しい。したがって、
基板(No.11)を用いたTFT製品は、基板の純度が悪い
ため、リーク電流の増加による電気的欠陥と基板の熱変
形による反りが大きくなり、液晶の漏れが発生した。
【0115】
【発明の効果】本発明の基板は、熱酸化処理の前後での
仮想温度の差を規定することによって基板の寸法変化を
抑制し、不純物元素の含有量を調整することによって、
リーク電流の発生、電気系統のトラブルおよび断線など
が解消され、紫外線を照射したとき発生する蛍光を抑制
できる。さらに、基板に脈理が存在せず、歪みを20nm/c
m以下とすることにより、濃淡むらのないTFT画像が
得られる基板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】予備加熱処理を施したときの仮想温度の差と寸
法変化率との関係を示す図である。
【図2】予備加熱処理を施さないときの仮想温度の差と
寸法変化率との関係を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予備加熱処理を施した石英ガラス基板上に
    多結晶シリコン膜をパターニングし、熱酸化処理を施し
    て製造される薄膜トランジスター用の石英ガラス基板で
    あって、不純物元素(Al、Fe、Ca、Ti、Zn、Cr、Mn、Mg、Ni、V、
    Cu、Co、P、W、Pb、Ta、Zr、B、Na、K、Li)の含有量がそれぞ
    れ3ppb以下、Clの含有量が0.5ppm以下、OH基の最大含有
    量が10〜150ppm、脈理が認められず、歪みの最大値が20
    nm/cm以下であり、かつ下記〜式を満たすことを特
    徴とする石英ガラス基板。 |(FT0)−(FTa1)| ≦100℃ ・・・・ |(FTa1)−(FTa2)|≦ 50℃ ・・・・ |(FT0)−(FTa2)| ≦150℃ ・・・・ ここで、(FT0)は石英ガラスインゴットの仮想温度、(FT
    a1)は予備加熱処理後の石英ガラス基板の仮想温度、(FT
    a2)は多結晶シリコン膜をパターニングしてから熱酸化
    処理を施した後の石英ガラス基板の仮想温度である。
  2. 【請求項2】予備加熱処理を施さない石英ガラス基板上
    に多結晶シリコン膜をパターニングし、熱酸化処理を施
    して製造される薄膜トランジスター用の石英ガラス基板
    であって、不純物元素(Al、Fe、Ca、Ti、Zn、Cr、Mn、Mg、Ni、
    V、Cu、Co、P、W、Pb、Ta、Zr、B、Na、K、Li)の含有量がそ
    れぞれ3ppb以下、Clの含有量が0.5ppm以下、OH基の最大
    含有量が10〜150ppm、脈理が認められず、歪みの最大値
    が20nm/cm以下であり、かつ下記式を満たすことを特
    徴とする石英ガラス基板。 |(FT0)−(FTb2)|≦50℃ ・・・・ ここで、(FTb2)は多結晶シリコン膜をパターニングして
    から熱酸化処理を施した後の石英ガラス基板の仮想温度
    である。
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