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JPH11181077A - ランダム−ブロック共重合体及びそのモノフィラメント - Google Patents

ランダム−ブロック共重合体及びそのモノフィラメント

Info

Publication number
JPH11181077A
JPH11181077A JP10238065A JP23806598A JPH11181077A JP H11181077 A JPH11181077 A JP H11181077A JP 10238065 A JP10238065 A JP 10238065A JP 23806598 A JP23806598 A JP 23806598A JP H11181077 A JPH11181077 A JP H11181077A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
random
block copolymer
mol
monofilament
copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10238065A
Other languages
English (en)
Inventor
Akihiro Funae
昭広 船江
Koichi Uchiki
鋼一 内木
Hideyuki Akieda
秀幸 秋枝
Yuzo Ono
有三 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP10238065A priority Critical patent/JPH11181077A/ja
Publication of JPH11181077A publication Critical patent/JPH11181077A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 適度の加水分解性と優れた柔軟性及び機械的
強度を有するランダム−ブロック共重合体及びそのモノ
フィラメント、並びに、該共重合体の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 ラクチド単位(A)20〜80モル%及
びカプロラクトン単位(B)80〜20モル%を含むラ
ンダム共重合体セグメント5〜50モル%、並びに、グ
リコリド単位(C)を含むブロック重合体セグメント5
0〜95モル%を含むランダム−ブロック共重合体が、
優れた柔軟性及び機械的強度を有するモノフィラメント
を与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ランダム−ブロッ
ク共重合体及びその製造方法、並びに、該ランダム−ブ
ロック共重合体から形成されたモノフィラメントに関
し、更に詳しくは、ラクチド単位及びカプロラクトン単
位を含むランダム共重合体セグメント、並びに、グリコ
リド単位を含むブロック共重合体セグメントを含むラン
ダム−ブロック共重合体及びその製造方法、並びに、手
術用縫合糸として好適に用いられる、該ランダム−ブロ
ック共重合体から形成されたモノフィラメントに関す
る。
【0002】
【従来の技術】ランダム−ブロック共重合体としては、
ポリグリコール酸(別称ポリグリコリド)、ポリ乳酸
(別称ポリラクチド)、ポリカプロラクトン、ポリ(p
−ジオキサノン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)
及びそれらの共重合体等が知られている。
【0003】ポリグリコール酸、またはグリコリド−ラ
クチド共重合体等から製造されたマルチフィラメント縫
合糸は、ポリマーの硬直性に起因して、縫合糸が必要と
する柔軟性と強度を引き出すため、編組みされた形態を
とっている。そのため、表面に細菌が滞留し易い。ま
た、硬いフィラメントであるため、表面にコーティング
層を設け、タイダウン性を改善する必要があり、製造工
程が煩雑になる(特開昭48−62899号公報、出願
番号US−200,706号)という問題がある。
【0004】これらの欠点を改良するため、ドッテイら
は、ポリ(p−ジオキサノン)による生体吸収性モノフ
ィラメントを製造し、編組みしたマルチフィラメントと
同程度に良好な柔軟性と強度を有する縫合糸を提案して
いる(特公昭60−36785号公報、USP−4, 0
52, 988)。しかしながら、このポリ(p−ジオキ
サノン)かならるモノフィラメントは、柔軟性と強度は
良好であるものの、その加水分解が遅く、体内に残る期
間が長いという問題点を有する。
【0005】そこで、ベズワダらは、ポリ(p−ジオキ
サノン)かならるモノフィラメントの柔軟性と強度、更
には加水分解性を改善するため、ラクチド及びグリコリ
ドのランダム共重合体セグメントとp−ジオキサノンの
ブロック重合体セグメントからなるランダム−ブロック
共重合体から得られる生体吸収性モノフィラメントを開
示している(特開平4−212366号公報、USP−
5, 007, 923)。しかしながら、このランダム−
ブロック共重合体は、ポリ(p−ジオキサノン)からな
るモノフィラメントに比べ、柔軟性(ヤング率)及び引
張り強度は向上したものの、加水分解が速すぎることが
判明した。
【0006】また、ベズワダらは、ε−カプロラクトン
とグリコリドのランダム共重合体を作成した後、グリコ
リドを更にブロック重合した、ランダム−ブロック共重
合体の製造方法を開示している(特開平3−26901
3号公報、USP−4605730)。しかしながら、
本発明者らがその物性等を評価した結果、ε−カプロラ
クトンとグリコリドのランダム−ブロック共重合体も、
その加水分解が著しく速やいことが判明した。
【0007】また、特開平9−132638号公報(E
P−A−761712号公報)には、末端に水酸基を有
し、且つ2, 000以上、500, 000以下の重量平
均分子量を有するポリ乳酸100重量部の存在下、先
ず、ε−カプロラクトン20〜1, 200重量部を開環
重合し、次いで、該ε−カプロラクトンの開環重合の途
中または完了後にグリコリド15〜1, 200重量部を
添加して開環重合することにより得られるポリ乳酸セグ
メント、ポリ(ε−カプロラクトン)セグメント及びグ
リコール酸セグメントから成り、重量平均分子量が1
0, 000〜1, 000,000である三元ブロック共
重合体が開示されている。しかし、該三元ブロック共重
合体から得られるモノフィラメントは、優れた強度を有
するが、柔軟性の点では未だ十分であるとはいえない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の観点に鑑み、ポリ(p−ジオキサノン)及びそのモノ
フィラメントよりも加水分解が速く、また、ラクチドと
グリコリドのランダム共重合体セグメントとp−ジオキ
サノンのブロック重合体セグメントからなるランダム−
ブロック共重合体及びそのモノフィラメント、或いは、
ε−カプロラクトンとグリコリドのランダム共重合体セ
グメントとグリコリドのブロック重合体セグメントから
なるランダム−ブロック共重合体及びそのモノフィラメ
ントよりも、柔軟性と機械的強度が改善され、更に、加
水分解速度の遅いランダム−ブロック共重合体及びその
モノフィラメント、並びに、該ランダム−ブロック共重
合体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、ラクチド単位(A)とカプロラクトン単位
(B)を含むランダム共重合体セグメント、及び、グリ
コリド単位(C)を含むブロック重合体セグメントをそ
れぞれ特定の組成で含むランダム−ブロック共重合体
が、適度の柔軟性及び加水分解性、並びに、優れた機械
的強度を有するモノフィラメントを与えることを見出
し、本発明を完成するに到った。
【0010】すなわち、本発明の第1の目的は、ラクチ
ド単位(A)20〜80モル%及びカプロラクトン単位
(B)80〜20モル%を含むランダム共重合体セグメ
ント5〜50モル%、並びに、グリコリド単位(C)を
含むブロック重合体セグメント95〜50モル%を含む
ランダム−ブロック共重合体を提供することである。
【0011】本発明の第2の目的は、触媒及び開始剤の
存在下、140〜200℃において、ラクチド20〜8
0モル%に対しカプロラクトン80〜20モル%をラン
ダム共重合した後、得られたランダム共重合体5〜50
モル%に対しグリコリド95〜50モル%を添加して2
00〜240℃においてブロック重合することを特徴と
する前記ランダム−ブロック共重合体の製造方法を提供
することである。更にまた、第3の目的は、前記ランダ
ム−ブロック共重合体を紡糸、延伸して形成されたモノ
フィラメントを提供することである。
【0012】本発明に係るランダム−ブロック共重合体
は、公知の加水分解性ポリエステル、例えば、ポリ(p
−ジオキサノン)よりも加水分解が速い。また、ラクチ
ドとグリコリドのランダム共重合体セグメントとp−ジ
オキサノンのブロック重合体セグメントからなるランダ
ム−ブロック共重合体、或いは、ε−カプロラクトンと
グリコリドのランダム共重合体セグメントとグリコリド
のブロック重合体セグメントからなるランダム−ブロッ
ク共重合体よりも、加水分解性が良く、柔軟性に富み、
優れた機械的強度を有する。すなわち、適度の加水分解
性と機械的強度を有し、しかも、優れた柔軟性を有す
る。従って、本発明のランダム−ブロック共重合体は、
マルチフィラメントとすることなしに、モノフィラメン
トの形態で生体吸収性の手術用縫合糸を製造することが
できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のランダム−ブロック共重合体は、触媒及
び開始剤の存在下、特定量のラクチド及びカプロラクト
ンをランダム共重合した後、得られたランダム共重合体
に対し、特定量のグリコリドをブロック重合することに
より製造される。本発明に用いる触媒として、塩化ス
ズ、酸化スズ、フッ化スズ、テトラフェニルスズ、オク
タン酸第一スズ、酢酸スズ、ステアリン酸スズ、及びそ
の類似物のスズ、更には、酸化鉛、酸化亜鉛、三フッ化
ホウ素、三フッ化アンチモン、ステアリン酸鉛、トリエ
チルアミン、トリブチルアミン、トリブチルホスフィン
及びその類似物等が挙げられる。これらの中で、無毒性
安定性剤として、米国FDAで承認されているオクタン
酸第一スズが好ましい。触媒の使用量は、後述するモノ
マーの総量に対して、0. 001〜0. 05モル%の範
囲が好ましい。
【0014】開始剤としては、脂肪族アルコール、グリ
コール、ヒドロキシ酸またはアミン等が挙げられる。具
体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、アミルアルコール、カプリルアルコール、ラ
ウリルアルコール等の脂肪族飽和アルコール、シクロペ
ンタノール、シクロヘキサノール等の脂環式アルコー
ル、不飽和アルコール、ジエチレングリコール等のグリ
コール、乳酸、グリコール酸等のヒドロキシカルボン
酸、アミノフェノール、アセトアミノフェン等のアミン
等が挙げられる。これらの中でも、ラウリルアルコール
が好ましく使用される。開始剤の使用量は、後述するモ
ノマーの総量に対して、0. 01〜0. 5モル%の範囲
が好ましい。
【0015】使用するモノマーは、ラクチド、カプロラ
クトン及びグリコリドである。ラクチド−カプロラクト
ンランダム共重合体を製造する際は、上記触媒及び開始
剤の存在下、ラクチド20〜80モル%に対しカプロラ
クトン80〜20モル%をランダム共重合する。重合温
度は140〜200℃であり、好ましくは160〜18
0℃の範囲である。モノマーの転化率が90重量%以上
に達するまで重合反応を継続することが好ましい。重合
時間は、温度、触媒量及び開始剤量により変化するが、
通常、3〜24時間程度であることが好ましい。より好
ましくは6〜12時間程度である。3時間未満では、目
的とする転化率に到達しないことがあり、また、24時
間を超えるとランダム共重合体の分解が起こることがあ
り、分子量が低下する等して所望の特性を有するモノフ
ィラメントを得ることが困難となることがある。
【0016】次いで、得られたランダム共重合体5〜5
0モル%に対し、グリコリド95〜50モル%を添加し
て、200〜235℃の温度範囲において、ブロック重
合を行なう。モノマーの転化率が80重量%以上になる
まで重合反応を継続することが好ましい。重合時間は、
温度、触媒量及び開始剤量により変化するが、通常、3
0分〜2時間程度であることが好ましい。より好ましく
は1〜2時間程度である。30分間未満では、目的とす
る転化率に到達しないことがあり、また、2時間を超え
るとポリグリコール酸の分解により分子量が低下するこ
とがあり、所望の特性を有するモノフィラメントを得る
ことが困難となることがある。
【0017】中間体であるランダム共重合体は、非晶性
であるが、本発明のランダム−ブロック共重合体は、モ
ノフィラメントを紡糸する際の押出成形に必要とされる
適度の結晶化度と固有粘度(分子量の指標)を有する。
ランダム−ブロック共重合体の結晶性は、X線回折に基
けば10%以上である。押出成形、紡糸及び延伸後、得
られたモノフィラメントにおいてその構造を維持するこ
とができる。
【0018】本発明のランダム−ブロック共重合体の固
有粘度(測定方法は後述の実施例に記載する)は、30
℃において0. 8〜3dl/gである。好ましくは、約
1〜2dl/gの範囲である。0. 8dl/g未満の場
合は、成形する際の溶融粘度が低くなり、形状のよいフ
ィラメントが得難くなる。また、3dl/gを超える場
合は、成形時に溶融粘度が高くなり過ぎ、良好な成形性
が得難くなる。
【0019】本発明でのランダム共重合体の製造に使用
されるラクチドとカプロラクトンの比は、ラクチド20
〜80モル%に対し、カプロラクトン80〜20モル%
の範囲が好適である(実施例1〜3参照)。ラクチドの
比が20モル%未満の場合、ポリカプロラクトンのブロ
ック性が増し、非晶性を有するラクチド−カプロラクト
ン共重合体を得ることが困難である。また、ポリカプロ
ラクトンの融点である60℃と、ポリグリコール酸の融
点である225℃の二つの融点が存在することとなり、
延伸条件、及び熱処理条件の設定が困難となる。また、
得られるモノフィラメントの耐熱性が低下し、低温で変
形し易くなる(比較例1参照)。
【0020】ラクチドの比が80モル%を超える場合に
も、ポリ乳酸のブロック性が増し、非晶性を有するラク
チド−カプロラクトン共重合体が得難くなる。ポリ乳酸
の融点である180℃とポリグリコール酸の融点である
225℃の二つの融点が存在することとなり、延伸条
件、及び熱処理条件の設定が困難となる。また、得られ
るモノフィラメントは高強度を有するが、縫合糸が必要
とする十分な柔軟性が得られない(比較例2参照)。
【0021】本発明では、上記の如くして得られたラク
チド−カプロラクトンランダム共重合体5〜50モル%
に対し、グリコリド95〜50モル%が使用される。好
ましくは、ラクチド−カプロラクトンランダム共重合体
10〜30モル%に対し、グリコリド90〜70モル%
である。ランダム共重合体が5モル%未満であると、十
分な柔軟性質が得難い(比較例3参照)。ランダム共重
合体が50モル%を超えると、柔軟ではあるが、十分な
強度を有するモノフィラメントが得られない。(実施例
4〜5、比較例4参照)
【0022】本発明に係るモノフィラメントは、上述の
ランダム−ブロック共重合体を紡糸・延伸することによ
り製造される。紡糸には、公知の成形方法を採用するこ
とができる。また、延伸についても同様である。溶融紡
糸によりモノフィラメントを製造する場合、紡糸温度は
200〜260℃であることが好ましい。200℃未満
では、共重合体の溶融粘度が高すぎて、紡糸が困難であ
る。また、260℃を超えると、主としてグリコール酸
重合体が分解し、得られるモノフィラメントの強度が低
下する。ランダム−ブロック共重合体の溶液を調製し、
溶液紡糸することも可能である。その場合、溶媒にはク
ロロホルム、トルエン、キシレン等の溶媒が使用でき
る。この場合には溶媒の沸点以下の温度にて紡糸を行
う。溶液濃度は通常10〜30重量%が好ましい。前者
の溶融紡糸法が好ましい。
【0023】紡糸により未延伸糸を製造し、得られた未
延伸糸を延伸することにより、直線引張り強度50, 0
00psi以上の強度を有するモノフィラメントが得ら
れる。好ましい延伸条件は、延伸温度60〜180℃、
延伸倍率4〜15倍の範囲である。延伸倍率が4倍未満
の場合、十分な引張強度が得られない。また、15倍を
超えると、延伸の際にモノフィラメントが切れることが
あり好ましくない。本発明に係るモノフィラメントは、
上記条件で延伸した後、熱処理される。熱処理温度は、
80℃〜共重合体の融点未満の温度範囲が好ましい。具
体的には、80〜150℃程度である。処理時間は、1
〜24時間程度が好ましい。通常、例えば、ボビン等に
巻き付けた状態で適度の緊張下で実施する。
【0024】本発明に係るモノフィラメントは、直線引
張り強度が、50, 000psi以上、好ましくは6
0, 000psi以上である。結節引張り強度は30,
000psi以上、好ましくは40, 000psi以上
である。ヤング率は150, 000psi以下、好まし
くは100, 000psi以下である。伸長率は80%
以下、好ましくは60%以下である。また、モノフィラ
メントの径は4〜40ミルである。かかる特性を有する
モノフィラメントは、例えば、生体吸収性の外科手術用
縫合糸として好適に用いることができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれら実施例には限定されない。また、実
施例に記載した物性値は、以下の方法により測定した。 1.残存モノマー量(重量%) あらかじめ、濃度既知のモノマーの検量線を作成した
後、得られた共重合体0.3gをヘキサフルオルイソプ
ロパノール(以下、HFIPと称する)10mlに溶解
し、ガスクロマトグラフィー〔(株)日立製作所製、1
63型ガスクロ装置、キャピラリーカラム:cp−si
l 5CB、50m×0. 32mmφ、カラム温度:1
70℃)を用いて、残存モノマーを定量した。
【0026】2.固有粘度(dl/g) 得られた共重合体0. 100gをHFIP20mlに溶
解し、0. 5g/dlのHFIP溶液を調製した後、ウ
ベローデ(1B型)粘度計を用いて、30℃にて溶液粘
度を測定し、固有粘度(η:dl/g)を下記数式
(1)
【数1】 (但し、式中、tはポリマー溶液の落下時間〔s〕、t
o は溶媒の落下時間〔s〕、Cは溶液濃度〔g/dl〕
である)により算出した。
【0027】3.引張強度試験(kpsi) 引張試験機(オリエンテック(株)製、形式;テンシロ
ンRTA−100)を用いて、米国薬局方(United Sta
te Pharmacopoeia)XXIII 第(881)項に規定され
る方法に従い、チャック幅100mm、クロスヘッドス
ピード100mm/分で測定した。結節引張強度は、フ
ィラメント中央部を内径6, 5mm、肉厚1. 6mmの
柔軟なゴムチューブの回りに巻付け外科結びを形成した
後、ゴムチューブを抜取り、試料とした。ヤング率は得
られた応力−ひずみ曲線の初期直線的弾性領域の勾配よ
り次式により算出した。測定より得られた引張強度及び
ヤング率の単位は、〔kg/mm2 〕であるが、〔kp
si〕に換算した値を示した。 ヤング率=(tanθ×L×C×S)/(H×A) 上記数式において、 θ:応力−ひずみ曲線の初期直線とx軸(ひずみ軸)と
の角度〔度〕 L:チャック間距離〔mm〕 C:チャートスピード〔mm/分〕 S:y軸(応力軸)1目盛り当たりの荷重〔kg/m
m〕 H:クロスヘッドスピード〔mm/分〕 A:フィラメントの初期断面積〔mm2 〕 を示す。
【0028】実施例1 ラクチド(以下、LTDという)140. 7g及び蒸留
したカプロラクトン(以下、CLという)60. 4gを
1リットルの反応フラスコに加え、オクタン酸第1スズ
0. 0032モル%(0.1gのオクタン酸スズをトル
エン10mlに加えた溶液2. 0ml、LTDとCLの
合計モル数に対して)、ラウリルアルコール0. 14モ
ル%(LTDとCLの合計モル数に対し)を添加した。
反応フラスコを室温にて、圧力1mmHg以下で60分
放置した。その後、常圧に戻し、窒素気流下にて攪拌
下、140℃にて20分間昇温、更に180℃にて6時
間重合を行った。この時得られた共重合体の残存モノマ
ー量は3. 7重量%であった。この後、グリコリド(以
下、GLDという)800. 2gを添加し、215℃に
て30分、さらに235℃にて1時間重合を行った。得
られた共重合体の残存モノマー量は、4.8重量%であ
った。固有粘度(η)は1. 86〔dl/g〕、融点は
224℃であった。
【0029】得られた共重合体を押出温度240℃にて
紡糸し、モノフィラメント未延伸糸を作成した。押出機
のノズルの口径は、2. 0mmのものを用いた。得られ
た未延伸糸を、延伸温度120℃にて、延伸倍率8. 0
倍にて延伸した。得られた延伸モノフィラメントの直線
引張強度、結節引張強度、伸度、ヤング率を測定し、
〔表1〕に示した。
【0030】更に、得られた延伸糸を、120℃にて3
時間熱処理を行った。熱処理後の延伸モノフィラメント
の直線引張強度、結節引張強度、伸度、ヤング率を測定
し、〔表1〕に示した。加水分解試験を行うため、熱処
理後の延伸糸を37℃のリン酸緩衝溶液中に浸漬し、所
定期間経過後の直線引張強度保持率(20、30、60
日後)及び重量保持率(5、50、90、120、15
0日後)を測定した。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0031】実施例2〜5、比較例1〜4 CL、LTD、GLD及びPDOの添加量を表1に示し
た如く変更した以外は、実施例1と同様の重合操作を行
い、更に実施例1と同様にして紡糸・延伸、熱処理を行
った。得られた結果を表1及び表2に示す。尚、比較例
4は、グリコリドの含有量が少な過ぎて紡糸が不可能で
あった。
【0032】比較例5 LTD50. 3g及びGLD50. 6gを1リットルの
反応フラスコに加え、オクタン酸第1スズ0. 0032
モル%(0. 05gのオクタン酸第1スズをトルエン1
0mlに加えた溶液2. 0ml、LTDとGLDの合計
モル数に対し)、ラウリルアルコール0. 14モル%
(LTDとGLDの合計モル数に対し)を添加した。反
応フラスコを、室温にて、圧力1mmHg(140P
a)以下で60分放置した。その後、常圧に戻し、窒素
気流下にて攪拌下、140℃にて20分昇温、更に20
0℃にて3時間重合を行った。得られた共重合体の残存
モノマー量は2. 4重量%であった。この後、p−ジオ
キサノン(以下、PDOという)900. 4gを添加
し、110℃にて8時間重合を行った。得られた共重合
体の残存モノマー量は11. 6重量%であった。また、
固有粘度は2. 41〔dl/g〕、融点は106℃であ
った。
【0033】得られた共重合体を押出温度120℃にて
紡糸し、モノフィラメント未延伸糸を作成した。押出機
のノズルの口径は2. 0mmのものを用いた。得られた
未延伸糸を、延伸温度80℃で、延伸倍率8. 0倍に延
伸した。得られた延伸糸の直線引張強度、結節引張強
度、伸度、ヤング率を測定し表1及び表2に示した。更
に、得られた延伸糸を80℃で、6時間熱処理を行い熱
処理後の延伸糸の直線引張強度、結節引張強度、伸度、
ヤング率を測定し、表2に示した。
【表1】
【表2】 また、熱処理後の延伸糸の加水分解試験を実施例1と同
様に実施し、得られた結果を表2に示した。
【0034】比較例6 PDO1, 000. 9gを1リットルの反応フラスコに
加え、オクタン酸第1スズ0. 0032モル%(0. 6
35gのオクタン酸スズをトルエン10mlに加えた溶
液2. 0ml、PDOのモル数に対して)、ラウリルア
ルコール0. 14モル%(PDOのモル数に対して)を
添加した。反応フラスコを室温にて、圧力1mmHg以
下で60分放置した。その後、常圧に戻し、窒素気流下
で、攪拌下70℃まで20分昇温、更に110℃で8時
間重合を行った。重合体の残存モノマー量は10. 4重
量%であった。また、固有粘度は1. 88dl/g、融
点は109℃であった。得られた重合体を押出し温度1
20℃で紡糸し、延伸温度80℃、延伸倍率8. 0倍に
延伸し,更に、60℃で12時間熱処理を行った以外
は、〔比較例5〕と同様の操作を行った。得られた結果
は表2に示した。
【0035】比較例7 市販縫合糸であるモノクリル(エチコン社製商品名、ε
−カプロラクトンとグリコリドとのランダム−ブロック
共重合体から製造)について、実施例1と同様にして物
性を評価した。得られた結果を表2に示した。
【0036】
【発明の効果】本発明のランダム−ブロック共重合体及
びそのモノフィラメントは、ポリ(p−ジオキサノン)
及びそのモノフィラメントよりも加水分解が速く、ま
た、ラクチド−グリコリドランダム共重合体セグメント
とp−ジオキサノンのブロック重合体セグメントからな
るランダム−ブロック共重合体及びそのモノフィラメン
ト、或いは、ε−カプロラクトン−グリコリドランダム
共重合体セグメントとグリコリドのブロック重合体セグ
メントからなるランダム−ブロック共重合体及びそのモ
ノフィラメントよりも、柔軟性と機械的強度が改善さ
れ、更に、加水分解が遅い。従って、本発明のランダム
−ブロック共重合体は、マルチフィラメントとすること
なしに、モノフィラメントの形態で生体吸収性の手術用
縫合糸となすことができる。
フロントページの続き (72)発明者 小野 有三 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井化学株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラクチド単位(A)20〜80モル%及
    びカプロラクトン単位(B)80〜20モル%を含むラ
    ンダム共重合体セグメント5〜50モル%、並びに、グ
    リコリド単位(C)を含むブロック重合体セグメント9
    5〜50モル%を含むランダム−ブロック共重合体。
  2. 【請求項2】 ランダム−ブロック共重合体の固有粘度
    が0. 8〜3dl/gである請求項1記載のランダム−
    ブロック共重合体。
  3. 【請求項3】 触媒及び開始剤の存在下、140〜20
    0℃において、ラクチド20〜80モル%に対し、カプ
    ロラクトン80〜20モル%をランダム共重合した後、
    得られたランダム共重合体5〜50モル%に対し、グリ
    コリド95〜50モル%を添加して200〜240℃に
    おいてブロック重合することを特徴とするランダム−ブ
    ロック共重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 ラクチド及びカプロラクトンの総量に対
    して、触媒0. 001〜0. 05モル%、開始剤0. 0
    1〜0. 5モル%をそれぞれ使用することを特徴とする
    請求項4記載のランダム−ブロック共重合体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 ランダム−ブロック共重合体の固有粘度
    が0. 8〜3dl/gであることを特徴とする請求項4
    記載のランダム−ブロック共重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜2のいずれか1に記載のラン
    ダム−ブロック共重合体を紡糸、延伸して形成されたモ
    ノフィラメント。
  7. 【請求項7】 太さが4〜40ミル、直線引張強度が少
    なくとも50, 000psi、結節引張強度が少なくと
    も30, 000psi、及び、ヤング率が150, 00
    0psi以下である請求項6記載のモノフィラメント。
  8. 【請求項8】手術用縫合糸である請求項6〜7のいずれ
    か1に記載のモノフィラメント。
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