JPH1118798A - コレステロールの定量方法及び定量用試薬 - Google Patents
コレステロールの定量方法及び定量用試薬Info
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Abstract
ロールデヒドロゲナーゼ、還元型補酵素、該コレステロ
ールデヒドロゲナーゼにより変換される酸化型補酵素を
還元型補酵素に再生する第二のデヒドロゲナーゼ及び該
第二のデヒドロゲナーゼの還元型基質の存在下、コレス
テロールを基質としてサイクリング反応させる。これに
より生じる過酸化水素の生成量を測定してコレステロー
ルを定量する。 【効果】 検体中に存在するコレステロール量自体が微
量な場合、または検体量自体がごく少量の場合であって
も、コレステロールを正確に定量できるようになり、臨
床検査や食品検査の分野での有用性が高い。
Description
や食品検査の分野での使用を目的とする微量のコレステ
ロールの定量方法及び定量用試薬に関する。
断などで良く知られている検査対象であり、一般に動脈
硬化の危険因子と言われている。このような成人病に対
する総コレステロールの測定以外に、血清のリポ蛋白の
分画であるHDL(高比重リポ蛋白)やLDL(低比重
リポ蛋白)中のコレステロールも測定されている。最近
ではレムナント様リポ蛋白分画中のコレステロールも注
目されているが、コレステロール濃度が低いために感度
良く測定される方法が要望されていた。また、血球など
の細胞内の微量コレステロールについての研究も行われ
ている。
療法の重要性が指摘されている。日常生活で摂取する食
品中のコレステロールについて、以前よりもより正確な
測定が要求されはじめた。特に、バター、牛乳、卵の無
コレステロール化が進められている現在、より高感度の
コレステロール測定方法が要求されてきている。
としては、ガスクロマトグラフィー法、コレステロール
オキシダーゼを作用させて生じる過酸化水素を蛍光・発
光で測定する方法、コレステロールデヒドロゲナーゼ
(CDH)で生じるニコチンアミドアデニンジヌクレオ
チド還元型(NADH)を蛍光・発光で測定する方法な
どがある。
出操作が煩雑であったり、大量に試料が必要であった
り、血清などでは内因性物質の干渉が大きく使用できな
いなどの欠点があった。
補酵素及びCDHを組み合わせたサイクリング反応によ
る高感度測定方法(特開平8−70894号公報)を開
発し、この方法による微量コレステロールの測定を可能
にした。この方法によれば、検体の前処理をすることな
く、迅速に感度・特異性に優れたコレステロールの高感
度定量が可能である。
tNAD(P)に作用して試薬ブランクが上昇する場合
には、第二のデヒドロゲナーゼを添加しないで還元型補
酵素を大量に添加することで対処している。そのような
条件では、測定中経時的に還元型補酵素が減少して酸化
型補酵素が増加するので、サイクリング率が低下して反
応が直線的に進行しないため、初速度(レート測定)で
測定する必要がある。
のような従来の方法を改良して、極微量のコレステロー
ルから血清などの高濃度のコレステロールまでの広範囲
の濃度域のコレステロールを定量できる方法及びそのた
めの試薬を提供することにより、とりわけ臨床検査や食
品検査の分野に貢献することにある。
−70894号公報に示す方法を継続して検討している
最中、別のコレステロールの高感度測定方法があること
を見い出した。即ち、コレステロールオキシダーゼ、還
元型補酵素、CDH、該CDHにより変換される酸化型
補酵素を還元型補酵素に再生する第二のデヒドロゲナー
ゼ及び該第二のデヒドロゲナーゼの還元型基質を組み合
わせることにより、上記問題が解決できることを見い出
し、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。
レステロールオキシダーゼ、CDH、還元型補酵素、該
CDHにより変換される酸化型補酵素を還元型補酵素に
再生する第二のデヒドロゲナーゼ及び該第二のデヒドロ
ゲナーゼの還元型基質の存在下、コレステロールを基質
としてサイクリング反応させることにより生じる過酸化
水素の生成量を測定することを特徴とするものであり、
特に該第二のデヒドロゲナーゼ及びその還元型基質を組
み合わせることに特徴がある。還元型補酵素、CDH及
びコレステロールオキシダーゼを組み合わせただけでは
高感度化が困難である。即ち、還元型補酵素から酸化型
補酵素に変換されることにより、コレステロールはCD
H及びコレステロールオキシダーゼの共通の基質になる
ので、サイクリング反応による高感度化が達成されない
と考えられた。
直ちに還元型補酵素に再生することにより、CDHによ
るコレステロールへの作用性を減じ、コレステロールオ
キシダーゼ反応を促進できることに想到した。還元型補
酵素への変換方法として第二のデヒドロゲナーゼと第二
のデヒドロゲナーゼの還元型基質を添加することにより
目的を達成することができた。
オキシダーゼとを組み合わせた基質サイクリング反応自
体は公知である。しかしながら、デヒドロゲナーゼが優
位に還元型基質(コレステロール)に作用し易い場合に
は充分な感度を得ることができないので、サイクリング
反応による高感度化は行われていなかった。本発明方法
においては、酸化型補酵素に優位に反応する第二のデヒ
ドロゲナーゼと、第二のデヒドロゲナーゼの還元型基質
とを添加することにより、酸化型補酵素が還元型補酵素
に直ちに再生されるので、コレステロールに対するCD
Hの反応を遅くする、あるいは停止させることができ
る。これにより、コレステロールをコレステロールオキ
シダーゼに作用させやすくすることができるので、効率
良く過酸化水素を生成させることができるようになり、
高感度化が可能となる。
の方法の場合、第二のデヒドロゲナーゼを添加して、還
元型補酵素量を下げようとすると、添加している酸化型
補酵素に作用して試薬ブランクの上昇を引き起こす場合
があるが、本発明方法では添加する補酵素が一種であ
り、過酸化水素の生成量を測定するので、第二のデヒド
ロゲナーゼのマイナス要因はない。それ故、長時間直線
的に反応させることができるので、レート分析だけでは
なく一定時間経過後の吸光度変化量としてのエンドポイ
ント分析も可能であり、定量性の高い高感度測定が可能
となる。
オキシダーゼとしては、コレステロールを酸化してΔ4
−コレステノンと過酸化水素とを生成する酵素であれば
何れの酵素でも使用することができる。例えば、シュー
ドモナス由来、ストレプトマイセス由来やノカルディア
由来のコレステロールオキシダーゼなどが挙げられる。
Δ4−コレステノンをコレステロールに変換する酵素で
あれば何れの酵素も使用できる。例えば、ノカルディア
由来のCDHなどが挙げられる。
デヒドロゲナーゼが補酵素にするNADアナログなら何
れの補酵素でも使用できるが、好ましくはニコチンアミ
ドアデニンジヌクレオチド還元型(NADH)、ニコチ
ンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸還元型(NAD
PH)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド還
元型(チオNADH)、チオニコチンアミドアデニンジ
ヌクレオチドリン酸還元型(チオNADPH)などが選
択される。
基質の存在下、酸化型補酵素を還元型補酵素に再生する
ものなら何れの酵素も使用できるが、CDHのような可
逆反応を行う酵素を使用すると、直線性、感度などの低
下が起こるおそれがあるので、不可逆性の酵素を添加す
る方が好ましく、例えばグルコース−6−リン酸デヒド
ロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼなどが
挙げられる。
ては、用いるデヒドロゲナーゼが作用するものが選択さ
れ、例えば第二のデヒドロゲナーゼがグルコース−6−
リン酸デヒドロゲナーゼである場合には、グルコース−
6−リン酸が用いられ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナ
ーゼである場合には、ホルムアルデヒドが用いられる。
シダーゼの必要量は0.1〜30U/mL、好ましくは
0.5〜5U/mLである。CDHの必要量は0.2〜
50U/mL、好ましくは1〜10U/mLである。測
定したいコレステロール濃度が低い場合には酵素量を増
やし、多いときは酵素量を下げて感度調整することがで
きる。第二のデヒドロゲナーゼの必要量は0.1〜20
U/mL、好ましくは0.3〜10U/mLである。
測定されるコレステロール濃度、サイクリング反応時間
などによって随時適量を添加すれば良いが、通常0.5
〜5mM添加すれば良い。還元型補酵素の量は100μ
M以下であれば良いが、好ましくは5〜50μM添加す
る。
質としてサイクリング反応が進行して過酸化水素が生成
する。過酸化水素の定量は、過酸化水素電極、パーオキ
シダーゼ(POD)やカタラーゼなどを用いて行うこと
ができる。PODを使用する場合には、4−アミノアン
チピリンとカラーカプラーとの酸化縮合による色素を測
定する方法、蛍光基質を用いてより高感度に測定する方
法があるが、血清干渉などを考慮すれば色素定量の方が
安心して採用できる。カタラーゼを使用する場合には、
メタノール共存下、生成するホルムアルデヒドを公知の
方法で測定することができる。
清、リポ蛋白の分画、髄液、尿、唾液などの体液及び血
球、細胞などの臨床検査に応用され得るものだけでな
く、食品も含まれる。本発明方法によれば、かかる検体
中の微量なコレステロールを精度良く定量することが可
能となり、例えば血清のHDL分画中のコレステロール
では50mg/dL以下、血清のレムナント様リポ蛋白
分画中のコレステロールでは10mg/dL以下、尿中
のコレステロールでは5mg/dL以下の精度で定量す
ることが要求されているが、本発明方法はかかる要求に
応えることができる。
上述のコレステロールオキシダーゼ、CDH、還元型補
酵素、第二のデヒドロゲナーゼ及び第二のデヒドロゲナ
ーゼの還元型基質を含有し、各試薬が測定対象に適した
濃度となるように配合された試薬キットとして通常提供
される。提供される際の試薬の形態は、乾燥状、液状な
ど特に限定されるものではない。試薬キット中には、酵
素の活性化剤などが配合されていてもよく、また試薬キ
ットが、例えば第一反応用試薬と第二反応用試薬との組
合せのように、反応液中に添加する時期が異なる複数の
種類の試薬を組み合わせたものであってもよい。
テロール量自体が微量な場合、または検体量自体がごく
少量の場合であっても、コレステロールを正確に定量で
きるようになり、臨床検査や食品検査の分野での有用性
が高い。
び比較例を挙げるが、本発明はこれらにより何等限定さ
れるものではない。
ルフォプロピル)−3−メチルアニリン
1.3、62.5、125、250μMの各試薬を調製
した。これらの試薬400μLに0、1、2、4、8、
16、32、64mg/dLのコレステロール水溶液
(10%トリトンX含有)各々を検体として10μL添
加し、37℃で5分間反応後の吸光度を波長546nm
で測定した。コレステロール濃度に対して吸光度をプロ
ットした結果を図1に示す。
ス−6−リン酸デヒドロゲナーゼ及びグルコース−6−
リン酸二ナトリウムを除き、実施例1と同様に操作し
て、コレステロール濃度に対する吸光度をプロットし
た。その結果を図2に示す。
は、効率の良いサイクリング反応が進行しないことが分
かった。
ヒドロゲナーゼ及び第二のデヒドロゲナーゼの基質とし
て、それぞれグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ
及びグルコース−6−リン酸二ナトリウムが添加されて
いるので、サイクリング効率が上昇し、生成する過酸化
水素量が増え、感度が上がることが分かった。さらに、
使用する補酵素の濃度を調整することにより、より高感
度な測定が可能になることが分かった。
40、30、20、10、5、2.5、1.25、0.
63、0.31のコレステロールを含有する各検体を調
製した。
7℃で5分間反応させた後、試薬B72μLを加え37
℃で5分間反応させ、試薬ブランクを対照に波長546
nmの吸光度を測定した。
4号公報の〔実施例〕に記載の試薬5及び試薬4を調製
し、〔実施例−4〕に記載の方法に従い操作した。な
お、各操作法における反応液中のコレステロール濃度を
同じにするために、試薬容量/検体容量の比を36/1
とした。その結果を図3(本法)及び図4(特開平8−
70894号公報の方法、以下、「従来法」ともい
う。)に示す。
ール濃度の検体について10回測定したときの平均値、
標準偏差、変動係数を求め、表1にまとめた。
法によれば、従来法の感度を5分間の吸光度変化量に換
算しても同等以上の感度を有することから、高感度にコ
レステロールを測定することが明らかである。また表1
に示されるように、約1.25mg/dLのコレステロ
ールを測定するとき、従来法と同等以上の良好な再現性
を示した。
0例を検体として、実施例2の操作方法によりコレステ
ロール濃度を測定した。また、希釈をしない検体を国際
試薬株式会社製のT−CHO試薬・K「コクサイ」で測
定した。結果を表2に示した。
に臨床検査に応用されているT−CHO試薬・K「コク
サイ」による方法とは極めて良い相関性を示した。これ
は本法が高感度に測定できることを示すものである。
を示す図である。
を示す図である。
対する吸光度を示す図である。
に対する吸光度変化量を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 コレステロールオキシダーゼ、コレステ
ロールデヒドロゲナーゼ、還元型補酵素、該コレステロ
ールデヒドロゲナーゼにより変換される酸化型補酵素を
還元型補酵素に再生する第二のデヒドロゲナーゼ及び該
第二のデヒドロゲナーゼの還元型基質の存在下、コレス
テロールを基質としてサイクリング反応させることによ
り生じる過酸化水素の生成量を測定することを特徴とす
るコレステロールの定量方法。 - 【請求項2】 還元型補酵素が、ニコチンアミドアデニ
ンジヌクレオチド還元型、ニコチンアミドアデニンジヌ
クレオチドリン酸還元型、チオニコチンアミドアデニン
ジヌクレオチド還元型又はチオニコチンアミドアデニン
ジヌクレオチドリン酸還元型である請求項1記載の定量
方法。 - 【請求項3】 第二のデヒドロゲナーゼが、グルコース
−6−リン酸デヒドロゲナーゼ又はホルムアルデヒドデ
ヒドロゲナーゼである請求項1記載の定量方法。 - 【請求項4】 コレステロールオキシダーゼ、コレステ
ロールデヒドロゲナーゼ、還元型補酵素、該コレステロ
ールデヒドロゲナーゼにより変換される酸化型補酵素を
還元型補酵素に再生する第二のデヒドロゲナーゼ及び該
第二のデヒドロゲナーゼの還元型基質を含有するコレス
テロールの定量用試薬。
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---|---|---|---|
JP18129797A JP3981190B2 (ja) | 1997-07-07 | 1997-07-07 | コレステロールの定量方法及び定量用試薬 |
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JPH1118798A true JPH1118798A (ja) | 1999-01-26 |
JP3981190B2 JP3981190B2 (ja) | 2007-09-26 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP18129797A Expired - Fee Related JP3981190B2 (ja) | 1997-07-07 | 1997-07-07 | コレステロールの定量方法及び定量用試薬 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7208287B2 (en) * | 1999-03-01 | 2007-04-24 | Sysmex Corporation | Reagent set and method for detecting cholesterol in a high-density lipoprotein or low density lipoprotein |
JP2017176039A (ja) * | 2016-03-30 | 2017-10-05 | 悦朗 伊藤 | タンパク質及び核酸の超高感度測定方法 |
JP2020024175A (ja) * | 2018-08-08 | 2020-02-13 | デンカ生研株式会社 | リポ蛋白コレステロールの定量方法及び定量キット |
-
1997
- 1997-07-07 JP JP18129797A patent/JP3981190B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2017169565A1 (ja) * | 2016-03-30 | 2017-10-05 | 悦朗 伊藤 | タンパク質及び核酸の超高感度測定方法 |
US11702684B2 (en) | 2016-03-30 | 2023-07-18 | Biophenoma Inc. | Method for measuring protein and nucleic acid with ultrahigh sensitivity |
JP2020024175A (ja) * | 2018-08-08 | 2020-02-13 | デンカ生研株式会社 | リポ蛋白コレステロールの定量方法及び定量キット |
WO2020032079A1 (ja) * | 2018-08-08 | 2020-02-13 | デンカ生研株式会社 | リポ蛋白コレステロールの定量方法及び定量キット |
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---|---|
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