JPH11178955A

JPH11178955A - ウッドヘッド

Info

Publication number: JPH11178955A
Application number: JP9349307A
Authority: JP
Inventors: Tsutomu Yuasa; 勉湯浅
Original assignee: KUREIN GOLF KK
Current assignee: KUREIN GOLF KK
Priority date: 1997-12-18
Filing date: 1997-12-18
Publication date: 1999-07-06

Abstract

(57)【要約】【課題】金属製ヘッドの慣性モーメント及び重心距離
をより大きくする。【解決手段】バックフェースを含む所定範囲を切り欠
いた構造の中空ヘッド本体４と、前記所定範囲と同形か
つこの所定範囲の重量よりも重くなるように形成したウ
ェイト５とからなり、このヘッド本体４及びウェイト５
を外形が連続するように一体に組み付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ゴルフクラブのウ
ッドヘッドの慣性モーメント及び重心深度を大きくする
構造上の改善に関する。

【０００２】

【従来の技術】ゴルフクラブのウッドヘッド(以下ヘッ
ドと略する)には、打球の方向性を鋭くし、飛距離を延
ばすことが求められるが、この要求を満たす手段とし
て、ヘッドの慣性モーメント及び重心深度を大きくする
手法が広く知られている。近年一般的となった金属製ヘ
ッドでは、重量の制約ために中空となり、単純に錘を取
り付ける加工をすることができない。とりわけ加工が難
しいチタン(Ti)ヘッドについては、できるだけ加工の容
易な略扁平なソールのバックフェース寄りに重量物(例
えば銅又は真鍮)を取り付けるぐらいであった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ヘッドの回転モーメン
ト及び重心深度を大きくするには、ヘッド中心からでき
るだけ遠くに重量物を取り付ける必要がある。しかし、
上述に見られるように、近年多用される金属製ヘッドで
は加工上の問題から、重量物をソールに取り付けるほか
はなく、重量物をヘッド中心から遠ざけるには限界があ
った。そこで、主として金属製ヘッドの慣性モーメント
及び重心距離をより大きくすることを目指して、新たな
構造を有するヘッドの開発を試みた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】こうして開発したもの
が、バックフェースを含む所定範囲を切り欠いた構造の
中空ヘッド本体と、前記所定範囲と同形かつこの所定範
囲の重量よりも重くなるように形成したウェイトとから
なり、このヘッド本体及びウェイトを外形が連続するよ
うに一体に組み付けたウッドヘッドである。ウェイトが
切り欠いた所定範囲の重量よりも重いとは、ヘッド本体
を延長して構成できる所定範囲の仮想重量よりウェイト
が重いことを意味し、ヘッド本体と同構成の所定範囲の
見かけ密度より所定範囲と同形状のウェイトの見かけ密
度が大きいことに等しい。必ずしもウェイトを形成する
材料の比重がヘッド本体の材料の比重よりも重いことは
意味せず、例えば、高比重の材料からなる中空の所定範
囲よりは、低比重でも中実なウェイトの方が重い場合も
ある。

【０００５】本発明は、ヘッド本体とウェイトとの２部
材からなるヘッドであり、ヘッド本体に複雑な加工(組
付のためのビス孔の形成等は除く)を施すことなく、ヘ
ッド中心から最も遠いバックフェースにウェイトを取付
可能にする。これにより、ソールに重量物を取り付ける
よりも更に慣性モーメント及び重心深度を大きくするこ
とができる。具体的な例示としては、チタン(チタン合
金を含む)又はカーボン製中空構造のヘッド本体に対
し、銅、真鍮又はタングステン製中実又は中空構造のウ
ェイトを取り付ける組合せを挙げることができる。

【０００６】ヘッド本体とウェイトとは、接合面を挟ん
で一体化する。この接合面は、バックフェースの最後縁
よりスイング方向に一定距離に想定した垂直断面(平面)
を基本とし、３次元曲面であってもよい。接合面より前
半身がヘッド本体、後半身がウェイトとなる。ヘッド本
体とウェイトとの組付は、ビス止めとビスの弛みを防止
する接着剤との併用が好ましい。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明のウッドヘッドにつ
いて、図を参照しながら説明する。図１は本発明のヘッ
ド１をバックフェース側から見た斜視図で、図２は同ヘ
ッド１の組付関係をヒール側から見た側面図である。本
例のヘッド１は、図１に見られるように、バックフェー
スの最後縁よりスイング方向に一定距離の垂直断面であ
る接合面２,３で分割し、前半身をヘッド本体４、後半
身をウェイト５としている。外形上、スイングの空気抵
抗の軽減とトゥ及びヒール側へ重量の分散とを図るため
に、クラウンに設けたほぼ対称な凹み６,６をヘッド本
体４からウェイト５にかけて形成していることから、両
者４,５の外形が連続していることがわかる。

【０００８】ヘッド本体４は、図２に見られるように、
通常中空であり、ウェイト５を加味したヘッド１として
の重量が200ｇ前後になるように調整してある。このた
め、従来のように直接ヘッド本体に錘を取り付けようと
すれば、加工が容易で取付安定性に優れたソールを取付
位置として選択せざるを得なかった。本発明では、バッ
クフェースを所定範囲で切りとった外観のヘッド本体４
に、切りとった形状と相似なウェイト５を組み付けるこ
とで、ヘッド１における重量物の付加を容易にしたので
ある。こうしてバックフェースを含む一画に取り付けた
ウェイト５は、当然にヘッド中心から最後方に位置する
ことになり、構造的に見ても、慣性モーメント及び重心
深度が大きくなることがわかる。

【０００９】ヘッド本体４の接合面２にはビス穴７を形
成し、ウェイト５をビス８で締めつけることで、ヘッド
本体４に対するウェイト５の組付を実現する。ビスの
数、大きさは自由であるが、経時的なビス８の弛みを防
止し、組付関係を安定させる目的から、接合面２,３に
接着剤を塗布し、ビス止めと接着との併用による組付が
好ましい。また、ヘッド本体４とウェイト５とは、外形
が連続するように組み付けることができればよいので、
接合面２,３は３次元曲面であってもよい。例えば、図
３に見られるように、凸曲面の接合面２,３を有するヘ
ッド本体４とウェイト５とを組み付けても、また図４に
見られるように、凹曲面の接合面２,３を有するヘッド
本体４とウェイト５とを組み付けても構わない。

【００１０】このほか、外観から組付手段が見えないよ
うに、ビス止め以外の組付方法を用いてもよい。図５は
凹部９及び凸部10の嵌合により組み付けるヘッド１の組
付関係をヒール側から見た側面図である。予め、ヘッド
本体４はクラウン又はソールを厚く作っておいて接合面
２に凹部９を形成し、ウェイト５の接合面３には凹部９
に対応する凸部10を形成しておく。そして、接合面２,
３が密着するように凹部９へ凸部10を嵌め込み、ヘッド
本体４とウェイト５とを組み合わせた状態でクラウン又
はソールを叩いて延展することにより、凹部９が扁平化
して凸部10との嵌合を緊密し、安定した組付関係を実現
する。この組付方法では、外部から組付手段(凹部９及
び凸部10)が視認されないので、外観がすっきりとす
る。

【００１１】

【実施例】次に、本発明のウッドヘッドの性能向上を確
認する目的で、図１相当のヘッドを製作し、ロボットに
よる試打を実施した。供試体には１番ウッド(280Ti、フ
ェース厚3.00mm)を選択し、供試体を元に約170ｇのチタ
ン製ヘッド本体に20ｇの真鍮製ウェイトを取り付けたヘ
ッドを実施例とし、供試体をそのまま使用して従来例と
した。実施例及び従来例の仕様について、表１に示す。

【００１２】

【表１】

【００１３】表１では、実施例は従来例に比べて、慣性
モーメントＩg(ヘッド重心回りの慣性モーメント)左
右、Ｉg上下及びＩs(シャフト軸回りの慣性モーメント)
が10％以上向上し、重心深度は10％以上後退している。
とりわけＩg上下は25％以上と驚異的に向上している。
これらから、インパクト時のボールのぶれが少なく、試
打における飛距離の向上、すなわちB.S.(インパクト直
後のボールの初速)及びインパクトロフト(インパクトの
瞬間における実際上のロフト角)の向上が期待される。
次に、実施例及び従来例共に各５回ずつスイングした試
打の結果を、平均値により、表２に示す。なお、各実施
例のインパクトロフト、B.E.については、リアルロフト
(表１参照)の差を考慮して、従来例に対して補正してあ
る。

【００１４】

【表２】

【００１５】実施例は、従来例に対して、B.S.(ボール
スピード)、ミート率(B.S./H.S.)こそあまり差はない
が、インパクトロフトが15％以上の改善を見せ、B.E.
(ボールの飛び出し角度)も20％近く高くなっている。こ
れは、ボールがより高く飛ぶことを意味し、それだけ飛
距離が延びることが予想される。このように、数値的に
示される改善の程度は、目覚ましいものということがで
きる。すなわち、ヘッド形状や重量が同一であれば、飛
距離の増大は明らかに実感できる程度のものであるとの
確証が得られた。こうした飛距離や打球の方向性に対す
る改善は、ヘッドの材質又は形状を問わずに適用できる
ことから、本発明は、従来のヘッドの飛距離の増大及び
打球の方向性を安定させる効果をもたらすものといえ
る。

【００１６】

【発明の効果】本発明は、ウッドヘッドの慣性モーメン
ト及び重心深度を大きくするものである。大きな慣性モ
ーメントはインパクト時のヘッドのぶれを抑え、大きな
重心深度はスイートスポットの拡大をもたらし、インパ
クトロフトを大きくしてボールの打ち出し角を上げる。
この結果、安定した方向性を有する飛距離の長い打球が
得られるようになる。こうして、本発明は、「遠くへ正
確に飛ばす」ウッドヘッドの提供を実現したのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のウッドヘッドをバックフェース側から
見た斜視図である。

【図２】同ウッドヘッドの組付関係をヒール側から見た
側面図である。

【図３】別例のウッドヘッドの組付関係をヒール側から
見た側面図である。

【図４】別例のウッドヘッドの組付関係をヒール側から
見た側面図である。

【図５】凹部及び凸部の嵌合により組み付けるウッドヘ
ッドの組付関係をヒール側から見た側面図である。

【符号の説明】

１ウッドヘッド２ヘッド本体側の接合面３ウェイト側の接合面４金属製ヘッド本体５真鍮製ウェイト６凹み７ビス穴８ビス９凹部 10 凸部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】バックフェースを含む所定範囲を切り欠
いた構造の中空ヘッド本体と、前記所定範囲と同形かつ
該所定範囲の重量よりも重くなるように形成したウェイ
トとからなり、該ヘッド本体及びウェイトを外形が連続
するように一体に組み付けたことを特徴とするウッドヘ
ッド。